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特許7508223医療用カテーテル用のプラーワイヤtバーに対する改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】医療用カテーテル用のプラーワイヤtバーに対する改善
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019237805
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2020108776
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】62/786,401
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/708,170
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】アナンド・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョイ・バイバイ
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-188104(JP,A)
【文献】特開2012-115679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/00
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
近位部から遠位部に、縦軸に沿って延びる略管状の部材と、
前記医療用プローブの前記遠位部に近接する前記略管状の部材に連結された先端部と、
前記略管状の部材に配置され、前記縦軸に沿って移動し、前記縦軸に対して前記先端部を曲げるように構成されたプラーワイヤと、
前記略管状の部材に配置され、前記プラーワイヤに接続されたアンカーと、を備え、前記アンカーが、略横方向への拡張部、及び前記プラーワイヤに接続したフェルールを含むtバーを有し、前記tバーが、前記略横方向への拡張部に配置されたポリマー部材を有し、
前記アンカーは、糊によって前記略管状の部材に固定されており
前記ポリマー部材がポリエチレンテレフタレートで作られているモノフィラメントを含む、医療用プローブ。
【請求項2】
前記tバーが金属部材を含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記tバーが金属とポリマーとの複合材料を含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記略横方向への拡張部が、前記フェルールから延びる2つの横断部材を含み、前記ポリマー部材が、前記横断部材のそれぞれの上に配置されたポリウレタンスリーブを含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記ポリウレタンスリーブが、約101.6μm(約0.004インチ)の厚さを有する管状の部材を含む、請求項に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記プラーワイヤがステンレス鋼ワイヤを含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記モノフィラメントは、前記フェルールの周りで少なくとも1回は巻回されるように構成されている、請求項に記載の医療用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、電気生理学的カテーテル、特に心臓組織をアブレーションすることができる電気生理学的カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓組織のアブレーションは、不整脈を処置するために使用されている。アブレーションエネルギーは、典型的には、アブレーションされる組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができる先端部分によって、心臓組織に提供される。これらのカテーテルの一部は、さまざまな電極3次元構造からアブレーションエネルギーを投与する。このようなカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明者らは、エンドプローブであって、このようなエンドプローブにおいてプラーワイヤに印加されているより大きな引張力を、エンドプローブが維持することができるような、カテーテルで使用するためのエンドプローブを考案した。一実施形態では、発明者らは、近位部から遠位部に延びる略管状の部材を含む、医療用プローブを考案した。管状の部材は、先端部、プラーワイヤ、及びアンカーを含む。管状の部材は、縦軸に沿って近位部から遠位部に延びる。先端部は、医療用プローブの遠位部に近接する管状の部材に連結される。プラーワイヤは管状の部材内に配置され、縦軸に沿った移動で、縦軸に対して先端部を曲げるように構成される。アンカーは管状の部材内に配置され、プラーワイヤに接続される。アンカーは、略横方向への拡張部、及びプラーワイヤに接続されたフェルールを含むtバーからなる。tバーは、略横方向への拡張部上に配置されたポリマー部材を含む。
【0004】
以下のフィーチャーもまた、エンドプローブと組み合わせることが可能である。例えば、ポリマー部材としては粘弾性材料を挙げることができ、粘弾性材料としてはポリウレタンを挙げることができ、ポリマー部材としては高強度モノフィラメントを挙げることができ、ポリマー部材としては高強度繊維を挙げることができ、高強度繊維としては超高分子量繊維を挙げることができ、tバーとしては金属部材を挙げることができ、tバーとしては、粘弾性材料と金属との組み合わせであることができる複合材料を挙げることができ、横方向への拡張部としては、中央体から延びる2つの横断部材を挙げることができ、ポリマー部材としては、横断部材のそれぞれにまたがり配置されたポリウレタンスリーブを挙げることができ、ポリウレタンスリーブとしては、約0.004インチの厚さを有する管状の部材を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書は、本主題を具体的に指摘し、かつ明確にその権利を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本主題は、以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
図1】本発明のカテーテルの一実施形態の側面図である。
図2】本発明に従ったプローブの一実施形態の、カテーテル本体とプローブ先端区画との接合部の側面断面図である。
図3】線3-3に沿って撮った、図2に示すプローブの横断面図である。
図4図2に示す先端区画の遠位端の側面断面図である。
図5】線5-5に沿った先端区画の横断面図である。
図6】プラーワイヤが、先端区画の側壁にアンカリングされたカテーテル先端区画の横断面図である。
図7】好ましいプラーワイヤtバーアンカーの長手方向断面図である。
図8】約90度回転して末端に十字を示す、図7のプラーワイヤtバーアンカーの長手方向断面図である。
図9A】医療用プローブの一実施形態の側面図である。
図9B図9Aの医療用プローブの拡大部分の透視側面図である。
図10A図9Aで使用されるアンカーの、以前のバージョンの写真を示す。
図10B図9Aで使用される本発明の一実施形態の写真を示す。
図11図10Bのアンカーの別の図を示す。
図12】アンカーの能力を改善し、プラーワイヤに印加されたより大きな引張力を維持するために利用される、ポリマー部材の更に別の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定ではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者が本発明を作製し使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用が説明される。
【0007】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用するとき、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、及び「被験者」は、任意のヒト又は動物被験体を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0008】
本発明の一実施形態において、操縦可能な両方向性電極カテーテルが提供される。図1に示すように、カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長カテーテル本体12と、カテーテル本体12の遠位端における先端区画14と、カテーテル本体12の近位端における制御ハンドル16と、を備える。
【0009】
図2及び3に示すように、カテーテル本体12は、単軸又は中央ルーメン18を有する、細長管状構造物を備える。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さ方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造を有することができ、任意の好適な材料で作製できる。現時点における好ましい構造は、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁20を備える。外壁20は、好ましくはステンレス鋼などの埋め込まれた編み組みメッシュを含み、カテーテル本体12のねじり剛性を上昇させ、その結果、制御ハンドル16が回転するとき、先端区画14は対応する方向に回転する。
【0010】
カテーテル10の全長及び直径は、用途に応じて変化し得る。現時点における好ましいカテーテル10は、約48インチの全長を有する。カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約8フレンチ以下である。外壁20の内表面は、任意の好適な材料、好ましくはナイロン又はポリイミドで作製可能な補強管22で裏張りされるのが好ましい。補強管22は、編み組まれた外壁20と共に、改善された曲げ及びねじれ安定性を提供するが、同時に、カテーテル本体12の壁厚も最小化し、これにより、中央ルーメン18の直径を最大化する。補強管22の外径は、外壁20の内径とおよそ同じであるか、又はわずかに小さいものである。特に好ましいカテーテル10は、約0.092インチの外径、及び約0.052インチのルーメン18の直径を有する。
【0011】
図4及び5に示すように、先端区画14は、第1の軸外ルーメン26及び第2の軸外ルーメン28を有する可撓性管材24の短い区画を備える。可撓性管材24は、好ましくはカテーテル本体20より可撓性である、好適な無害物質で作製される。管材24用の現時点における好ましい材料は、編み組みポリウレタン、即ち編み組みステンレス鋼などの埋め込みメッシュを備えるポリウレタンである。カテーテル本体12の外径と同様に、先端区画14の外径は、好ましくは約7フレンチ以下、より好ましくは約6と1/2フレンチ以下である。
【0012】
軸外ルーメン26、28は、先端区画14の直径方向とは反対の半分を通って延びる。先端区画が6と1/2フレンチである、8フレンチ又は7フレンチ直径のカテーテルにおいて、軸外ルーメン26及び28が、約0.018インチ~約0.025インチの範囲の直径を有するのが好ましく、約0.018インチ~約0.022インチの直径を有するのが更に好ましい。1つの直径に沿って、3個ではなく2個のルーメンを用いることで、本設計は、参照により本明細書に組み込まれている米国再発行特許第34,502号に記載されている、一方向に偏向及び操縦可能な、単純化した構造物を維持する。しかし、追加のルーメンが先端区画に提供されてよいと理解される。米国特許第6,171,277号に記載されているように(その開示は参照により本明細書に組み込まれている)、先端区画14は4個のルーメンを含有することができ、これらのうち2つは、約0.035インチのより大きい直径を有し、これらのうち2つは、約0.019インチのより小さい直径を有する。電極用のリード線、熱電対線、及び/又は電磁式センサケーブルは、プラーワイヤのそれぞれが延びる異なるルーメンを通って延びることができる。そのため、本発明は先端区画14内に2つ以上のルーメンを用いる場合がある。
【0013】
カテーテル本体12を先端区画14に取り付ける好ましい手段を、図2に説明する。先端区画14の近位端は、カテーテル本体12の外壁20の内表面を受ける外周切り込み34を含む。先端区画14及びカテーテル本体12は、糊などによって取り付けられる。しかしながら、先端区画14とカテーテル本体12とが取り付けられる前に、補強管22がカテーテル本体12内に挿入される。補強管22の遠位端は、カテーテル本体12の遠位端の近くに、ポリウレタン糊などで糊接合部を形成することによって固定して取り付けられる。カテーテル本体12の遠位端と補強管22の遠位端との間に、カテーテル本体12が先端区画14の切り込み34を受けるための空間を許容するために、好ましくは、小さい距離、例えば、約3mm、が提供される。補強管22の近位端部に力が印加され、補強管22が圧縮下にある間に、第1の糊接合部(図示せず)が、補強管22と外壁20との間に、速乾糊(例えばSuper Glue)によって作られる。その後、より遅乾性であるがより強力な接着剤、例えばポリウレタンを使用して、補強管22及び外壁20の近位端の間に第2の糊接合部が形成される。
【0014】
図示した実施形態において、先端区画14の遠位端は、先端電極38を担持する(図1及び4を参照されたい)。先端区画14の長さに沿って、環状電極40が固定されている(図4を参照されたい)。環状電極40の長さは重要ではないが、約0.5mm~約3mmであることが好ましい。所望される場合、更なる環状電極を備えることができる。複数の環状電極を用いる場合、これらは、その縁が接触しないのであれば、所望により任意の方法で隔置される。
【0015】
図2~5に示すように、先端電極38及び環状電極40はそれぞれ、個別のリード線30に接続される。各リード線30は、先端区画14内を第2の軸外ルーメン28を通って延び(図5)、カテーテル本体12内を中央ルーメン18を通って延び(図3)、及び制御ハンドル16を通って延びる。各リード線30の近位端は、制御ハンドル16の近位端の外に延び、適切なコネクタと接続され、好適なモニタ、エネルギー源などにプラグ接続する、又は別様において接続することができる。
【0016】
リード線30は、任意の従来の技術により先端電極38及び環状電極40に接続される。リード線30を先端電極38に接続することは、好ましくははんだなどにより成し遂げられる。リード線30を環状電極40に接続することは、好ましくはまず管材24を通して小穴を作製することにより、成し遂げられる。このような穴は、例えば、管材24を通して針を刺し、永続的な穴が形成されるように十分に針を加熱することによって形成することができる。次に、リード線30をマイクロフックなどを使用して穴を通して引き込む。次いでリード線30の末端部からコーティングを全て剥ぎ取り、リング電極40の下面に溶接した後、穴を覆う位置へとリング電極をスライドさせ、ポリウレタン糊等によって定着させる。
【0017】
図2~5にもまた示すように、2つのプラーワイヤ32は、カテーテル10を通って延びる。各プラーワイヤ32は、制御ハンドル16から、カテーテル本体12内の中央ルーメン18を通って(図3)、そして先端区画14の軸外ルーメン26及び28のうちの1つの中まで延びる(図5)。以下でより詳細に記載するように、各プラーワイヤ32の近位端の近位移動は、制御ハンドル16内で予め制限され、各プラーワイヤ32の遠位端は、先端区画14内でアンカリングされる。
【0018】
各プラーワイヤ32は任意の好適な金属、例えばステンレス鋼又はニチノールで作製される。各プラーワイヤ32は、低摩擦ポリマーなどのコーティングといったコーティングを有するのが好ましい。各プラーワイヤ32は、好ましくは約0.006インチ~約0.010インチの範囲の直径を有する。プラーワイヤ32の両方が同一直径を有するのが好ましい。
【0019】
各プラーワイヤ32は、先端区画14の遠位端付近でアンカリングされる。図4に示す実施形態においては、プラーワイヤ32は両方、溶接などによって先端電極38にアンカリングされる。
【0020】
あるいは、第1の軸外ルーメン26内のプラーワイヤ32は、先端区画14の側壁にアンカリングすることができる。図7~9に示すように、プラーワイヤ32は、プラーワイヤ32の遠位端に固定して取り付けられたアンカー44により、取り付けられるのが好ましい。アンカー44は、例えば圧着又は溶接により、プラーワイヤ32の遠位端に固定して取り付けられた、プラーワイヤストックに接続された金属管45、例えばフェルールにより形成される。管は、プラーワイヤ32の遠位端を超えて少しだけ延びる区画を有する。平坦なステンレス鋼リボンなどの小区画で作製された十字ピース47を、金属管の遠位端に対して横切る機構で、はんだ付け又は溶接する。これが、tバーアンカー44を作製する。切り欠きが先端区画14の側面に作製され、プラーワイヤ32を担持する軸外ルーメン26内に開口部をもたらす。十字ピース47は、切り欠き内を横断して横たわる。十字ピース47を形成するリボンの長さは、軸外ルーメン26の開口部の直径よりも広いため、アンカー44を引っ張って、軸外ルーメン26内に完全に入れることはできない。次いで、切り欠きをポリウレタン糊などで封止し、滑らかな外表面を得る。糊は軸外ルーメン26内に流れ、アンカーを完全に固定する。追加のルーメンを備えて、リード線の導管、洗浄流体、又は他の品目(図示せず)が通過して遠位端にたどり着くことを可能にすることができる。先端区画14内にプラーワイヤ32をアンカリングする他の手段は当業者によって認識され、本発明の範囲に含まれる。
【0021】
戻って図1及び図2を参照すると、カテーテル10は、それぞれが、対応するプラーワイヤ32の周囲で関係している2つの圧縮コイル46を更に備える。各圧縮コイル46は、ステンレス鋼など任意の適切な金属で作製される。各圧縮コイル46は、それ自体に密に巻回されており、可撓性すなわち屈曲性を提供するが、圧縮に対しては抵抗するようになっている。各圧縮コイル46の内径は、関係するプラーワイヤ32の直径よりわずかに大きい。例えば、プラーワイヤ32が約0.007インチの直径を有するとき、対応する圧縮コイル46は、約0.008インチの内径を有するのが好ましい。プラーワイヤ32を被覆することで、プラーワイヤ32が圧縮コイル46内を自由に摺動することができる。各圧縮コイル46の外表面を、その長さの大部分に沿って可撓性・非伝導性シース48で被覆して、中央ルーメン18内で圧縮コイル46とリード線30とが接触するのを防止することができる。薄壁ポリイミド管材で作製した非伝導性シース48が、現時点において好ましい。好ましい実施形態では、圧縮コイル46及びプラーワイヤ30は、電気ワイヤを通過させるために、又は洗浄流路として利用されるルーメン48と共に、ルーメン30内に配置される。
【0022】
図2に示すように、カテーテル本体の遠位端において、2つの圧縮コイル46は、補強管22及びスペーサー36内で直径の反対側に配置されるため、2つの圧縮コイル46は、先端区画14内の2つの軸外ルーメン26、28と一直線になっている。圧縮コイル46及び補強管22は、圧縮コイル46が補強管22内に緊密に嵌り、摺動可能であるような寸法である。この設計により、リード線30はそれ自体が、コイルを誤整列させることなく、2つの圧縮コイル46の周りに分布する。
【0023】
圧縮コイル46は、ポリウレタン糊などによりカテーテル本体12内で固定される。各圧縮コイル46は、糊接合部(図示せず)によりカテーテル本体12内の補強管22の近位端にて、近位端にアンカリングされる。補強管22を使用しない場合、各圧縮コイルは、カテーテル本体12の外壁20に直接アンカリングされる。
【0024】
依然として図2を参照すると、各圧縮コイル46の遠位端は、糊接合部52により、カテーテル本体12内の補強管22の遠位端に、又は、補強管22を使用しないとき、カテーテル本体12の外壁20の遠位端に直接、アンカリングされる。あるいは、圧縮コイル46の遠位端は、先端区画14の軸外ルーメン26、28内まで延びることができ、糊接合部により、先端区画14の遠位端にて、近位端にアンカリングされる。リード線30もまた、糊接合部でアンカリングされることができる。しかし、所望される場合、プラスチック管材などの形態のトンネルを、糊接合部にてリード線の周りに備えて、リード線が糊接合部内で摺動可能となることを可能にすることができる。
【0025】
両方の糊接合部は、好ましくは、ポリウレタン糊などを含む。糊は、カテーテル本体20の外表面と中央ルーメン18との間に作製された穴を通って注射器などによって塗布されてもよい。このような穴は例えば、永久穴を形成するために十分過熱された、外壁18及び、補強管22を穿刺する針などにより形成することができる。次いで、穴を通して糊を、圧縮コイル46の外表面に導入し、外側周辺の周りで吸い上げ、各圧縮コイル46を囲む各シース48の周囲全体を中心に、糊接合部を形成する。
【0026】
図2及び5に最もよく示すように、軸外ルーメン26、28内で、各プラーワイヤ32は、好ましくは好適な低摩擦ポリマーで作製されるプラスチックシース42により囲まれる。プラスチックシース42は、先端区画が偏向したときに、プラーワイヤ32が先端区画14の壁まで通じることを防止する。各シース42は、各プラーワイヤ32の遠位端付近で終了する。あるいは、各プラーワイヤ32は、カテーテル本体を通って延びる圧縮コイルに対して、回転が長手方向に拡張される圧縮コイルにより囲まれることができ、これにより、囲んでいる圧縮コイルは屈曲可能かつ圧縮可能となる。
【0027】
プラーワイヤ32をカテーテル本体12に対して長手方向に動かすことで先端区画14を偏向させることになるが、そのような動きは、制御ハンドル16を操作することで実現される。本発明で使用するのに好適な両方向性制御ハンドルは、米国特許第7,377,906号の図9~24に示されており、この先行特許は本明細書において、本出願にその全体が参照により組み込まれている。
【0028】
図9A及び9Bを参照すると、発明者らは、プルワイヤにより大きな引張力を印加することが可能なアンカー44の構成を考案した。この構成において、医療用プローブ100は、近位部から遠位部に延びる、少なくとも略管状の部材24を含む。管状の部材24は、先端部102と、プラーワイヤ32と、アンカー44と、を含む。管状の部材24は、縦軸L-Lに沿って近位部から遠位部に延びる。先端部102は、医療用プローブ100の遠位部に近接した管状の部材24に連結される。プラーワイヤ32は管状の部材24内に配置され、縦軸L-Lに沿って移動し、縦軸L-Lに対して先端部102を曲げるように構成されている。アンカー44は管状の部材24内に配置され、tバー47を介してプラーワイヤ32に接続される。tバー47は、羽47a及び47bの形態の略横方向への拡張部、並びにプラーワイヤ32に接続されたフェルール45を含む。アンカー44のこの構成は、図10Aで確認することができる。
【0029】
発明者らは、tバーの略横方向への拡張部47上に配置されたポリマー部材48によって、図10Aのアンカー44を改善し、ここで図10Bに示す、新規のアンカー構成44’に到達した。図11に個別に示すように、アンカー44’は、プルワイヤ32に固定して接続されたフェルール45、並びに、横断翼47a及び47bのそれぞれにまたがり配置された、ポリマー部材49(琥珀色の材料として示す)を有する2つの略横方向への拡張部47a及び47bを含む。
【0030】
一実施形態では、ポリマー部材49としては、例えばポリウレタンなどの粘弾性材料を挙げることができる。ポリマー部材49を実装することで、アンカー44’は、より大きな引張力がプルワイヤ32により維持されるようにすることができる。表に示すように、平均引張力は、アンカー44を使用する場合と、アンカー44’を使用する場合とでは、医療用プローブのサンプルの大きさに対して約36%増加した。
【0031】
【表1】
【0032】
アンカー44’の代替的実施形態において、ポリマー部材49としては、例えば、アンカー44’’用の超高分子量繊維などの、高強度モノフィラメント又は高強度繊維49’を挙げることができる。アンカー44’’のモノフィラメント又は繊維49’は、中央体45の周りで少なくとも1回は巻回され、延長部47a及び47bに、tバー47から、プラーワイヤルーメン26の残りのルーメン区画部分26’まで、約0.100インチ(即ち約2.5mm)遠位方向に向かって所定の距離延びる繊維49’の自由端と隣接するように構成されている。更に、次いでポリマー部材49’は、糊などにより、残りのルーメン区画26’内で固定される。アンカー45からの張力はこれにより、管状の部材24内に形成されるスロット29内で、及びルーメン区画26’内に分配される。tバー47としては、例えばステンレス鋼などの金属の、生体適合性金属又は合金といった金属部材を挙げることができる。あるいは、tバー47としては、金属とポリマーの複合材料、又はポリマーのみを挙げることができる。tバー47は、中央体45から延びる2つの略対称な延長部47a及び47bと共に示されるが、tバー47としては、中央フェルール体45から突出する、複数の直線延長部及び1つの直線延長部などの幾何学構造物といった、他の形態を挙げることができる。
【0033】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構造に改変及び変更を実施し得る点は認識されるであろう。
【0034】
したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0035】
本明細書に記載の実施例又は実施形態のいずれも、上記のものに加えて又はそれに代えてさまざまな他の特徴を含むことができる。本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮して、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には明確になるはずである。
【0036】
本発明に含有される主題の例示の実施形態について図示し説明したが、本明細書で記載した方法及びシステムの更なる適用例は、特許請求の範囲を逸脱することなく適切な変更により達成され得る。更に、上記に述べた方法及び工程が、特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、特定の工程は述べられた順序で行われる必要はなく、工程が、実施形態がそれらの意図される目的で機能することを可能とするものである限り、任意の順序で行われることを意図している。したがって、本開示の趣旨又は請求項に見出される本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形例が存在する範囲では、本特許がこうした変形例をも包含することが意図される。このようないくつかの変更態様は、当業者には明らかのはずである。例えば上述した実施例、実施形態、幾何学的なもの、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものである。したがって特許請求の範囲は、明細書及び図面に記載される構造及び動作の詳細に限定されるべきではない。
【0037】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
近位部から遠位部に、縦軸に沿って延びる略管状の部材と、
前記医療用プローブの前記遠位部に近接する前記管状の部材に連結された先端部と、
前記管状の部材に配置され、前記縦軸に沿って移動し、前記縦軸に対して前記先端部を曲げるように構成されたプラーワイヤと、
前記管状の部材に配置され、前記プラーワイヤに接続されたアンカーと、を備え、前記アンカーが、略横方向への拡張部、及び前記プラーワイヤに接続したフェルールを含むtバーを有し、前記tバーが、前記略横方向への拡張部に配置されたポリマー部材を有する、医療用プローブ。
(2) 前記ポリマー部材が粘弾性材料を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記粘弾性材料がポリウレタンを含む、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(4) 前記ポリマー部材が高強度モノフィラメントを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記ポリマー部材が高強度繊維を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0038】
(6) 前記高強度繊維が超高分子量繊維を含む、実施態様4に記載の医療用プローブ。
(7) 前記高強度繊維がポリエチレンテレフタレートを含む、実施態様4に記載の医療用プローブ。
(8) 前記tバーが金属部材を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 前記tバーが複合材料を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(10) 前記複合材料が、粘弾性材料と金属との組み合わせを含む、実施態様9に記載の医療用プローブ。
【0039】
(11) 前記横方向への拡張部が、中央体から延びる2つの横断部材を含み、前記ポリマー部材が、前記横断部材のそれぞれの上に配置されたポリウレタンスリーブを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(12) 前記ポリウレタンスリーブが、約101.6μm(約0.004インチ)の厚さを有する管状の部材を含む、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(13) 前記ワイヤがステンレス鋼ワイヤを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12