(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】形状記憶合金を含むエアロゾル送達装置および関連方法
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20240624BHJP
A61M 15/06 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 A
A61M15/06 C
(21)【出願番号】P 2019560501
(86)(22)【出願日】2018-01-23
(86)【国際出願番号】 IB2018050410
(87)【国際公開番号】W WO2018138637
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン,アンドリーズ・ドン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル・エフ
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】石黒 雄一
【審判官】水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-524494(JP,A)
【文献】国際公開第2017/011419(WO,A1)
【文献】特表2015-500026(JP,A)
【文献】特表2016-525345(JP,A)
【文献】国際公開第2016/118645(WO,A1)
【文献】特表2015-512262(JP,A)
【文献】特開平5-212100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-40/95
A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
電源と、
エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと流体連通している噴霧器と、
電源と連絡して配置される分配機構であって、電源からの出力に応答して形状を変化させるように、かつリザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節するように、構成された形状記憶合金を含む
み、噴霧器が、そこからエアロゾルを生成するように構成されている、当該分配機構と、
エアロゾル送達装置への吸引に対応する信号を出力するように構成されたフローセンサと、
吸引の検出に応答して電流が分配機構に出力され分配機構の形状が変化される状態をつくるコントローラと、
を含み、
電源、リザーバおよび噴霧器がそれぞれ、分離可能なハウジングに収容される、エアロゾル送達装置。
【請求項2】
噴霧器が、液体輸送要素および加熱要素を含み、電源は、分配機構に電流を出力するように構成され、形状記憶合金は、電源によって供給される電流から生成される熱に応答して形状を変化させるように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項3】
エアロゾル送達装置は、液体輸送要素の周りに巻き付けられた形状記憶合金を含む1つ以上のコイルを含み、
1つ以上のコイルは、分配機構ならびに加熱要素として作用し、形状記憶合金を含む1つ以上のコイルが、1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、変化するように構成されている、請求項2に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項4】
1つ以上のコイルでの電流の受け取りを停止すると、1つ以上のコイルが、第2の形状から第1の形状に戻るように構成される、請求項3に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項5】
分配機構が、弁を含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項6】
弁が、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化するように構成される、請求項5に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項7】
弁での電流の受け取りを停止すると、弁が、第2の形状から第1の形状に戻るように構成される、請求項6に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項8】
形状記憶合金が、ニッケルチタン(NiTi)合金を含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項9】
分配機構が、第1の形状から第2の形状に変化して、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させるように構成されたアクチュエータを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項10】
分配機構が、リザーバの内部と係合したピストンをさらに含み、ピストンが、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿って移動するように構成される、請求項
9に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項11】
エアロゾル送達装置の制御方法であって、
分配機構と、それぞれが分離可能なハウジングに収容される
電源と噴霧器とリザーバと、を提供することであって、リザーバはエアロゾル前駆体組成物を収容
し、分配機構は、電源と連絡して配置さ
れ、形状記憶合金を含む、
当該提供することと、
電源からの出力に応じて、リザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節するために、分配機構の形状記憶合金の形状が変化されることと、
噴霧器を用い、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルが生成されることと、
センサによって吸引を検出すること、
を含み、
前記の分配機構の形状記憶合金の形状が変化されることは、吸引の検出に応答して制御される、
制御方法。
【請求項12】
噴霧器を提供することが、分配機構であり、且つ、形状記憶合金を含む1つ以上のコイルと液体輸送要素とを含む、加熱要素を提供することを含み、1つ以上のコイルが液体輸送要素の周りに巻き付けられ、
分配機構の形状を変化させることが、1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、1つ以上のコイルを変化させることを含む、請求項
11に記載の制御方法。
【請求項13】
コイルに対する電流の流れを停止することによって、第2の形状から第1の形状にコイルを戻すことをさらに含む、請求項
12に記載の制御方法。
【請求項14】
弁を含む分配機構の形状を変化させることが、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化させることを含む、請求項
11に記載の制御方法。
【請求項15】
弁において電源から出力された電流の受け取りを停止することと、
それに応じて、第2の形状から第1の形状に弁を戻すことと
をさらに含む、請求項
14に記載の制御方法。
【請求項16】
分配機構の形状を変化させることが、第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させて、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させることを含む、請求項
11に記載の制御方法。
【請求項17】
第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させることが、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿ってリザーバの内部と係合したピストンを動かすことを含む、請求項
16に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙品などのエアロゾル送達装置に関し、さらに具体的には、エアロゾルの生成のために電気的に生成された熱を利用するエアロゾル送達装置(例えば、一般に電子タバコと呼ばれる喫煙品)に関する。エアロゾル送達装置は、タバコから製造されたか、タバコに由来するか、あるいはタバコを組み込む材料を組み込み、人間が摂取するために吸入可能なエアロゾルを形成するために気化することができるエアロゾル前駆体を加熱するように構成される。
【背景技術】
【0002】
使用のためにタバコを燃焼することを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、多くの喫煙装置が長年にわたって提案されてきた。これらの装置の多くは、紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙に関連する感覚を提供するように設計されているが、タバコの燃焼に起因する相当量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達することはないと言われている。この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、タバコを著しく燃焼することなく紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙感覚を提供しようとする多くの喫煙製品、香味発生器および薬用吸入器が提案されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれるRobinsonらの米国特許第7,726,320号明細書ならびにGriffith,Jr.らの米国特許出願公開第2013/0255702号明細書およびSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に記載の背景技術に記載されている様々な代替喫煙品、エアロゾル送達装置および発熱源を参照されたい。また、例えば、参照により本明細書に組み込まれるBlessらの米国特許出願公開第2015/0216232号明細書に記載の商標名および商業的供給元によって参照される様々な種類の喫煙品、エアロゾル送達装置および電気式発熱源を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0216232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、機能性が向上したエアロゾル送達装置を提供することが望ましい。これに関して、噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の送達を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、形状記憶合金を含むエアロゾル送達装置および関連方法に関する。一態様では、エアロゾル送達装置が提供される。エアロゾル送達装置は、電流を出力するように構成された電源を含んでもよい。エアロゾル送達装置は、エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと流体連通する噴霧器を含んでもよい。噴霧器は、電源から電流を受け取るように構成されてもよい。エアロゾル送達装置は、電源によって供給される電流から生成された熱に応答して形状を変化させ、かつリザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節するように構成された形状記憶合金を含む分配機構を含んでもよい。噴霧器は、そこからエアロゾルを生成するように構成されてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、噴霧器は液体輸送要素および加熱要素を含んでもよい。加熱要素は、分配機構であってよく、液体輸送要素の周りに巻き付けられた形状記憶合金を含む1つ以上のコイルを含んでもよい。形状記憶合金を含む1つ以上のコイルは、1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、変化するように構成されている。1つ以上のコイルでの電流の受け取りを停止すると、1つ以上のコイルは、第2の形状から第1の形状に戻るように構成されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、分配機構は、弁を含んでもよい。弁は、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化するように構成されてもよい。弁での電流の受け取りを停止すると、弁は、第2の形状から第1の形状に戻るように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、電源、リザーバおよび噴霧器はそれぞれ、分離可能なハウジングに収容されてもよい。いくつかの実施形態では、形状記憶合金はニッケルチタン合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達装置は、エアロゾル送達装置への吸引に対応する信号を出力するように構成されたフローセンサと、吸引の検出に応答して電流を出力して熱を生成して分配機構の形状を変化させるように構成されたコントローラとを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、分配機構は、第1の形状から第2の形状に変化して、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させるように構成されたアクチュエータを含んでもよい。分配機構は、リザーバの内部と係合したピストンをさらに含んでもよく、ピストンは、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿って移動するように構成される。
【0010】
追加の態様では、エアロゾル送達装置の操作方法が提供される。方法は、電源と、噴霧器と、エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、形状記憶合金を含む分配機構とを提供することを含んでもよい。方法はまた、電源によって出力される電流によって分配機構を加熱して、分配機構の形状を変化させて、リザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節することを含んでもよい。方法はまた、電源から噴霧器に電流を導いて、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを生成することを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、噴霧器を提供することは、分配機構であり、且つ、形状記憶合金を含む1つ以上のコイルと液体輸送要素とを含む、加熱要素を提供することを含んでもよく、1つ以上のコイルは、液体輸送要素の周りに巻き付けられる。分配機構の形状を変化させることは、1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、1つ以上のコイルを変化させることを含んでもよい。方法は、コイルに対する電流の流れを停止することによって、第2の形状から第1の形状にコイルを戻すことを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、弁を含む分配機構の形状を変化させることは、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化させることを含んでもよい。方法は、弁での電流の受け取りを停止することを含んでもよい。方法は、それに応じて、第2の形状から第1の形状に弁を戻すことを含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、センサによって吸引を検出することを含んでもよい。吸引の検出に応答して、電源によって供給される電流による分配機構の加熱が制御されてもよい。いくつかの実施形態では、分配機構の形状を変化させることは、第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させて、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させることを含んでもよい。第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させることは、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿ってリザーバの内部と係合したピストンを動かすことを含んでもよい。本開示のこれらならびに他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面とともに、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【0014】
したがって、本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0015】
実施形態1:エアロゾル送達装置であって、
電流を出力するように構成された電源と、
エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと流体連通している噴霧器であって、電源から電流を受け取るように構成されている噴霧器と、
電源によって供給される電流から生成された熱に応答して形状を変化させてリザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節するように構成された形状記憶合金を含む分配機構と、
を含み、
噴霧器が、そこからエアロゾルを生成するように構成されるエアロゾル送達装置。
【0016】
実施形態2:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、噴霧器が液体輸送要素および加熱要素を含む、装置。
【0017】
実施形態3:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、
加熱要素が、分配機構であり、且つ、液体輸送要素の周りに巻き付けられた形状記憶合金を含む1つ以上のコイル含み、形状記憶合金を含む1つ以上のコイルが、液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、変化するように構成されている、装置。
【0018】
実施形態4:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、1つ以上のコイルでの電流の受け取りを停止すると、1つ以上のコイルが、第2の形状から第1の形状に戻るように構成される、装置。
【0019】
実施形態5:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、分配機構が弁を含む、装置。
【0020】
実施形態6:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、弁が、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化するように構成される、装置。
【0021】
実施形態7:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、弁での電流の受け取りを停止すると、弁が、第2の形状から第1の形状に戻るように構成される、装置。
【0022】
実施形態8:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、電源、リザーバおよび噴霧器がそれぞれ、分離可能なハウジングに収容される、装置。
【0023】
実施形態9:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、形状記憶合金がニッケルチタン(NiTi)合金を含む、装置。
【0024】
実施形態10:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、エアロゾル送達装置への吸引に対応する信号を出力するように構成されたフローセンサと、吸引の検出に応答して電流を出力して熱を生成して分配機構の形状を変化させるように構成されたコントローラとをさらに含む、装置。
【0025】
実施形態11:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、分配機構が、第1の形状から第2の形状に変化して、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させるように構成されたアクチュエータを含む、装置。
【0026】
実施形態12:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの装置であって、分配機構が、リザーバの内部と係合したピストンをさらに含み、ピストンが、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿って移動するように構成される、装置。
【0027】
実施形態13:エアロゾル送達装置の操作方法であって、電源と、噴霧器と、エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、形状記憶合金を含む分配機構とを提供することと、電源によって出力される電流によって分配機構を加熱して、分配機構の形状を変化させて、リザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節することと、電源から噴霧器に電流を導いて、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを生成することと、を含む、操作方法。
【0028】
実施形態14:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、
噴霧器を提供することが、分配機構であり、且つ、形状記憶合金を含む1つ以上のコイルと液体輸送要素とを含む、加熱要素を提供することを含み、
1つ以上のコイルが液体輸送要素の周りに巻き付けられ、
分配機構の形状を変化させることが、1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、1つ以上のコイルを変化させることを含む、方法。
【0029】
実施形態15:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、コイルに対する電流の流れを停止することによって、第2の形状から第1の形状にコイルを戻すことをさらに含む、方法。
【0030】
実施形態16:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、弁を含む分配機構の形状を変化させることが、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化させることを含む、方法。
【0031】
実施形態17:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、弁での電流の受け取りを停止することと、それに応じて、第2の形状から第1の形状に弁を戻すこととをさらに含む、方法。
【0032】
実施形態18:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、センサによって吸引を検出することをさらに含み、吸引の検出に応答して、電源によって供給される電流による分配機構の加熱が制御される、方法。
【0033】
実施形態19:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、分配機構の形状を変化させることが、第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させて、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させることを含む、方法。
【0034】
実施形態20:任意の前述の実施形態、または任意の前述の実施形態の任意の組合せの方法であって、第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させることが、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿ってリザーバの内部と係合したピストンを動かすことを含む、方法。
【0035】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面とともに、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本開示は、そのような特徴または要素が、本明細書の特定の実施形態の説明または特許請求の範囲において、明示的に組み合わされているか、あるいは列挙されているかどうかにかかわらず、本開示に記載されているか、請求項のうちいずれか1つ以上に記載されている2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の前後関係が明らかに他のことを指示しない限り、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が、組合せ可能であるように意図された通りに見えるように全体的に読み取られることを意図している。
【0036】
本開示は上述の一般的な用語で記載しており、添付の図面をこれから参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】本開示の例示的な実施形態による、閉鎖構成にある弁として設けられた分配機構を有するエアロゾル送達装置の側面断面図を示し、ここで弁は、形状記憶合金を含む。
【
図1B】本開示の例示的な実施形態による、弁が開放構成にある
図1Aのエアロゾル送達装置の側面断面図を示す。
【
図2A】本開示の例示的な実施形態による、後退形状のアクチュエータとして設けられ、ラチェットの第1の歯に連結された分配機構を有するエアロゾル送達装置の側面断面図を示し、ここでアクチュエータは、形状記憶合金である。
【
図2B】本開示の例示的な実施形態による
図2Aのエアロゾル送達装置の側面断面図を示し、ここでアクチュエータは、延在形状にある。
【
図2C】本開示の例示的な実施形態による、
図2Aのエアロゾル送達装置の側面断面図を示し、ここでアクチュエータは、後退形状にあり、ラチェットの第2の歯に連結されている。
【
図3A】本開示の例示的な実施形態による、液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間された加熱要素の側面図を示し、ここで加熱要素は、形状記憶合金を含む。
【
図3B】本開示の例示的な実施形態による
図3Aの加熱要素の側面図を示し、ここで加熱要素は、液体輸送要素の外面と接触している。
【
図4】本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル送達装置の操作方法の方法流れ図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示は、以下、その例示的な実施形態を参照して、さらに詳細に記載される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、前後関係が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0039】
以下に記載されるように、本開示の実施形態は、エアロゾル送達装置および関連方法に関する。本開示によるエアロゾル送達装置は、(好ましくは、材料を著しく燃焼させることなく)材料を加熱して吸入可能な物質を形成するために、電気エネルギーを使用する。そのようなシステムの構成要素は、最も好ましくは、手持ち式装置と見なすのに十分に小型の物品の形態を有する。すなわち、エアロゾルが主にタバコの燃焼または熱分解の副産物から生じるという意味では、好ましいエアロゾル送達装置の構成要素を使用しても煙が生成されず、むしろそれらの好ましい装置を使用すると、その中に組み込まれた特定の成分の揮発または気化に起因する蒸気が生成される。好ましい実施形態では、エアロゾル送達装置の構成要素は、電子タバコとして特徴付けられてもよく、これらの電子タバコは、最も好ましくは、タバコおよび/またはタバコ由来成分を組み込み、ひいてはエアロゾル形態のタバコ由来成分を送達する。
【0040】
特定の好ましいエアロゾル送達装置のエアロゾル生成成分は、そのいかなる成分も実質的に燃焼することなく、タバコを点火し燃焼させることによって(ひいては、タバコの煙を吸い込むことによって)使用される紙巻タバコ、葉巻またはパイプを喫煙するという数々の感覚(例えば、吸入および呼気の作法、味または香味の種類、感覚刺激効果、物理的感触、使用作法、目に見えるエアロゾルによってもたらされるような視覚的刺激など)をもたらす。例えば、本開示のエアロゾル生成装置のユーザは、喫煙者が従来の種類の喫煙品を使用するのと同じように、その装置を保持し使用し、その装置によって生成されたエアロゾルを吸入するためにその装置の一端を吸い、選択された時間間隔で吸煙する等々を行う。
【0041】
本開示のエアロゾル送達装置はまた、好適な蒸気生成物品または薬剤送達物品として特徴付けられる。したがって、そのような物品または装置は、吸入可能な形態または状態で、1つ以上の物質(例えば、香味および/または薬学的活性成分)を提供するように構成することができる。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点よりも低い温度で気相にある物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、気体中の微細固体粒子または液滴の浮遊物)であり得る。
【0042】
本開示のエアロゾル送達装置は、最も好ましくは、電源(すなわち、電力源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、電力放出ユニットからエアロゾル生成装置の他の構成要素への電流の流れを制御することなどによって、発熱のために供給される電力を作動、制御、調節および/または停止するための手段)、噴霧器(例えば、液体輸送要素および電気抵抗ヒータまたは発熱部品)、分配機構(例えば、形状記憶合金を含む弁またはアクチュエータ)、エアロゾル前駆体(例えば、「スモークジュース(smoke juice)」、「e-リキッド(e-liquid)」および「e-ジュース(e-juice)」と一般に呼ばれる成分など、一般に、十分な熱を加えるとエアロゾルを生じることができる液体である組成物)、およびエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達装置を吸引することを可能にするマウスエンド領域または先端(例えば、生成されたエアロゾルがユーザによる吸引によりそこから引き出されるように、エアロゾル送達装置を通る画定された空気流路)の何らかの組合せを含む。
【0043】
本開示のエアロゾル送達装置内の構成要素のさらに具体的な形式、構成および配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして明らかになるであろう。さらに、様々なエアロゾル送達装置構成要素の選択および配置は、本開示の背景技術の項で参照される代表的な製品などの市販の電子エアロゾル送達装置を考慮して理解することができる。
【0044】
エアロゾル送達装置内の構成要素の位置合わせは可変である。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、装置の2つの対向端に対して中心(例えば、特定の状況では交換可能かつ使い捨て可能または再充填可能なカートリッジのリザーバ内)に配置される。ただし、他の構成は除外されない。一般に、加熱要素からの熱がエアロゾル前駆体組成物(ならびに、同様に、ユーザへの送達のために提供され得る1つ以上の風味料、薬剤など)を揮発させ、ユーザに送達するためのエアロゾルを形成するように、構成要素が互いに対して構成される。加熱要素がエアロゾル前駆体組成物を加熱すると、消費者による吸入に適した物理的形態でエアロゾルが形成、放出または生成される。前述の用語は、放出する(release)、放出する(releasing)、放出する(releases)または放出された(released)への言及が、形成するまたは生成する(form or generate)、形成するまたは生成する(forming or generating)、形成するまたは生成する(forms or generates)および形成されたまたは生成された(formed or generated)を含むように言い換え可能であることを意味することに留意すべきである。具体的には、吸入可能な物質は、蒸気もしくはエアロゾルまたはそれらの混合物の形態で放出される。
【0045】
エアロゾル送達装置は、電池または他の電源を組み込んで、例えば、ヒータの電力供給、制御システムの電力供給、インジケータの電力供給、分配機構の作動など、装置に様々な機能を提供するのに十分な電流を供給する。電源は様々な実施形態をとることができる。好ましくは、電源は、加熱要素および/または分配機構を急速に加熱するのに十分な電力を供給してエアロゾルを形成することができ、所望の持続時間にわたり使用を通して物品に電力を供給することができる。電源は、エアロゾル送達装置を容易に取り扱うことができるように、エアロゾル送達装置内に都合よく収まる大きさであることが好ましい。さらに、好ましい電源は、望ましい喫煙経験を損なわないように十分に軽量である。例えば、電源は電池である。
【0046】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるNovakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に開示されているように、カートリッジと制御本体との間の相対的な回転を実質的に防止する回転防止機構を含む基部を含む。
【0047】
噴霧器ユニットは、本エアロゾル送達装置に使用される1つ以上のヒータ構成要素を含んでもよい。様々な実施形態では、1つ以上のマイクロヒータまたは類似の固体ヒータが使用される。利用されるマイクロヒータの実施形態は、本明細書でさらに説明される。本開示の装置に使用するのに適した追加のマイクロヒータおよびマイクロヒータを組み込んだ噴霧器が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCollettらの米国特許第8,881,737号明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWardらの米国特許第9,210,738号明細書に記載されているように、液体輸送要素の周りにコイルを巻くことによって加熱要素が形成される。さらに、いくつかの実施形態では、コイルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDePianoらの米国特許第9,277,770号明細書に記載されているように、可変のコイル間隔を有する。抵抗加熱要素を形成するために、電流が印加されると熱を生成するように構成された材料の様々な実施形態が使用される。ワイヤコイルを形成する材料の例には、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、ニッケルチタン(NiTi)、二珪化モリブデン(MoSi2)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al)2)、黒鉛および黒鉛系材料、セラミック(例えば、正温度係数セラミックまたは負温度係数セラミック)ならびに銅/アルミニウム/ニッケル合金が挙げられる。追加の実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDePianoらの米国特許出願公開第2014/0270729号明細書に記載されているように、打ち抜きされた加熱要素が噴霧器に使用される。上記に加えて、追加の代表的な加熱要素およびその中で使用するための材料が、Countsらの米国特許第5,060,671号明細書、Deeviらの米国特許第5,093,894号明細書、Deeviらの米国特許第5,224,498号明細書、Sprinkel Jr.らの米国特許第5,228,460号明細書、Deeviらの米国特許第5,322,075号明細書、Deeviらの米国特許第5,353,813号明細書、Deeviらの米国特許第5,468,936号明細書、Dasの米国特許第5,498,850号明細書、Dasの米国特許第5,659,656号明細書、Deeviらの米国特許第5,498,855号明細書、Hajaligolの米国特許第5,530,225号明細書、Hajaligolの米国特許第5,665,262号明細書、Dasらの米国特許第5,573,692号明細書およびFleischhauerらの米国特許第5,591,368号明細書に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、他の実施形態では、化学的加熱が使用されてもよい。上述したように、ヒータおよびヒータを形成するために使用される材料の様々な追加の例が、参照により本明細書に組み込まれるCollettらの米国特許第8,881,737号明細書に記載されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示のエアロゾル送達装置は、制御本体、噴霧器ユニットおよびカートリッジを含む。制御本体がカートリッジおよび/または噴霧器ユニットに連結されると、カートリッジ内の電子部品(図示せず)が制御本体と電気接続を形成する。したがって、制御本体は、電子部品を使用して、カートリッジが純正品であるかどうかを判断し、および/または他の機能を実行する。さらに、電子部品およびそれによって実行される機能の様々な例が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に記載されている。
【0049】
使用中、ユーザは、噴霧器ユニット、またはエアロゾル送達装置の他の任意の部分に設けられてもよいマウスピースを吸引する。これにより、制御本体内、噴霧器ユニット内またはカートリッジ内の開口部を通して空気を引き込んでもよい。例えば、一実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDePianoらの米国特許第9,220,302号明細書に記載されているように、カプラと制御本体の外側本体との間に開口部が画定される。しかし、他の実施形態では、エアロゾル送達装置の他の部分を介して空気の流れが受け入れられる。
【0050】
エアロゾル送達装置内のセンサ(例えば、制御本体内の吸煙またはフローセンサ)が吸煙を検出する。吸煙センサは、エアロゾル送達装置への吸引に対応する信号を出力するように構成される。制御本体は、それによって、センサによる吸煙の検出に応答して、電流を出力して噴霧器に分配されたエアロゾル前駆体組成物を加熱するように構成される。したがって、ヒータがエアロゾル前駆体組成物を気化させ、マウスピースが、それを吸引している消費者に向かって、カートリッジから空気および同伴蒸気(すなわち、吸入可能な形態のエアロゾル前駆体組成物の成分)を通過させる。
【0051】
カートリッジに含められてもよい構成要素に関する様々な他の詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるNovakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に記載されている。本開示によるエアロゾル送達装置の様々な構成要素は、当該技術分野に記載され市販されている構成要素から選択することができる。市販のエアロゾル送達装置の例示的な実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2016年7月28日に出願されたWatsonらの米国特許出願番号第15/222,615号明細書に記載されている。また、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号明細書に開示された電子喫煙品内の複数のエアロゾル化可能な材料の制御可能な送達のためのカートリッジおよび噴霧器ユニットが参照される。
【0052】
本開示では、
図1A~
図1Bは、全体が100Aで示されるエアロゾル送達装置の第1の実施形態の断面図を示す。エアロゾル送達装置は、分離可能なハウジングにそれぞれ収容された制御本体200、カートリッジ300および噴霧器ユニット400を含む。噴霧器ユニット400は、カートリッジ300の第1の端部でカートリッジ300と係合し、制御本体200は、カートリッジ300の反対側の第2の端部でカートリッジ300と係合する。制御本体200、カートリッジ300および噴霧器ユニット400のそれぞれは、ねじ係合、圧入係合、締まり嵌め、磁気係合などを介して、隣接する構成要素と機能的な関係で恒久的にまたは取り外し可能に位置合わせされる。いくつかの態様では、エアロゾル送達装置100Aは、カートリッジ300、噴霧器ユニット400および制御本体200が組み立てられた構成にある場合、実質的に棒状、実質的に管状または実質的に円筒形状である。
【0053】
特定の実施形態では、制御本体200、カートリッジ300および噴霧器ユニット400のうちの1つ以上は、使い捨て可能であるか、再使用可能であると称される。例えば、制御本体は、典型的な交流電気コンセントへの接続、自動車の充電器(すなわち、シガーソケット)への接続、およびユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む任意の種類の再充電技術と組み合わされた電源206(例えば、交換可能な電池または再充電可能な電池および/またはキャパシタ)を有する。さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChangらの米国第8,910,639号明細書に開示されているような使い捨てカートリッジを含む。別の例では、カートリッジ300は、その中に配置されたエアロゾル前駆体組成物を含み、エアロゾル前駆体組成物が残らず気化した際に除去および交換されるように構成される。
【0054】
制御本体200は、制御構成要素(例えばコントローラ)202、フローセンサ204(例えば吸煙センサまたは圧力スイッチ)および電源206を含む。いくつかの態様では、電源206は、例えば、抵抗加熱、制御構成要素(例えば、制御構成要素202)の電力供給、インジケータの電力供給、分配機構の電力供給など、エアロゾル送達装置100Aに様々な機能を提供するのに十分な電流を出力するように構成された電池または他の電源を含む。電源206は、好ましくは、エアロゾル送達装置100Aが容易に取り扱われるように、エアロゾル送達装置100A内に都合よく収まる大きさである。制御本体200の追加の構成要素には、限定するものではないが、例えば、吸気口208、様々な数、様々な形状の、および/または(例えば、そのようなインジケータが存在する場合に音を放つための)制御本体200内の開口部内のインジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))(図示せず)、噴霧器ユニット400内に配置された加熱要素および/またはカートリッジ300内に配置されたアクチュエータとの電気接続を可能にするコネクタ回路(図示せず)、カプラ(図示せず)、封止部材(図示せず)、接着部材(例えば、KAPTON(R)テープ)(図示せず)、スペーサ(図示せず)ならびにエンドキャップ(図示せず)が挙げられる。電源の例は、Peckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号明細書に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。吸煙作動能力を提供する例示的な機構には、イリノイ州フリーポートのHoneywell,Inc.のMICRO SWITCH(TM)部門によって製造されたモデル163PC01D36シリコンセンサが挙げられる。本開示によるコネクタ回路に使用されてもよいデマンド操作型(demand-operated)電気スイッチの追加の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGerthらの米国特許第4,735,217号明細書に記載されている。本エアロゾル送達装置に有用なマイクロコントローラを含む電流調整回路および他の制御構成要素の追加の説明は、いずれもBrooksらの米国特許第4,922,901号明細書、米国特許第4,947,874号明細書および米国特許第4,947,875号明細書、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書ならびにNguyenらの米国特許第7,040,314号明細書に提供されており、これらのいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAmpoliniらの米国第9,423,152号明細書に記載された制御方式も参照される。
【0055】
本開示のエアロゾル送達装置には、さらに別の構成要素を利用することができる。例えば、Sprinkelらの米国特許第5,154,192号明細書は、喫煙品用のインジケータを開示しており、Sprinkel,Jr.の米国特許第5,261,424号明細書は、吸引に関連したユーザの唇の動作を検出し、次いで加熱を引き起こす装置のマウスエンドに関連する圧電センサを開示しており、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書は、マウスピースを通る圧力の降下に応答して加熱負荷アレイへのエネルギー流を制御するための吸煙センサを開示しており、Harrisらの米国特許第5,967,148号明細書は、挿入された構成要素の赤外線透過性の不均一性を検出する識別器と、構成要素がレセプタクルに挿入された際に検出ルーチンを実行するコントローラとを含む喫煙装置内のレセプタクルを開示しており、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書は、複数の分化したフェイズを有する規定済みの実行可能な電力サイクルを記載しており、Watkinsらの米国特許第5,934,289号明細書は、フォトニックオプトロニック(photonic-optronic)構成要素を開示しており、Countsらの米国特許第5,954,979号明細書は、喫煙装置を通る吸引抵抗を変化させるための手段を開示しており、Blakeらの米国特許第6,803,545号明細書は、喫煙装置に使用するための特定の電池構成を開示しており、Griffenらの米国特許第7,293,565号明細書は、喫煙装置とともに使用するための様々な充電システムを開示しており、Fernandoらの米国特許第8,402,976号明細書は、充電を容易にし、装置のコンピュータ制御を可能にするための喫煙装置用のコンピュータインタフェース手段を開示しており、Fernandoらの米国特許第8,689,804号明細書は、喫煙装置用の識別システムを開示しており、Flickの国際公開第2010/003480号パンフレットは、エアロゾル生成システムを用いた吸煙を示す流体流感知システムを開示しており、前述の開示はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用され得るエアロゾル送達装置および開示材料または構成要素に関連する構成要素の追加の例には、Gerthらの米国特許第4,735,217号明細書、Morganらの米国特許第5,249,586号明細書、Higginsらの米国特許第5,666,977号明細書、Adamsらの米国特許第6,053,176号明細書、Whiteの米国第6,164,287号明細書、Vogesの米国特許第6,196,218号明細書、Felterらの米国特許第6,810,883号明細書、Nicholsの米国特許第6,854,461号明細書、Honの米国特許第7,832,410号明細書、Kobayashiの米国特許第7,513,253号明細書、Hamanoの米国特許第7,896,006号明細書、Shayanの米国特許第6,772,756号明細書、Honの米国特許第8,156,944号明細書および米国特許第8,375,957号明細書、Thorensらの米国特許第8,794,231号明細書およびOglesbyらの第8,851,083号明細書、Honの米国特許出願公開第2006/0196518号明細書および米国特許出願公開第2009/0188490号明細書、Monseesらの米国特許第8,915,254号明細書および米国特許第8,925,555号明細書、Oglesbyらの米国特許出願公開第2010/0024834号明細書、Wangの米国特許出願公開第2010/0307518号明細書、DePianoらの米国特許第9,220,302号明細書、Honの国際公開第2010/091593号パンフレット、Fooの国際公開第2013/089551号パンフレットが挙げられ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、前述の文献によって開示された様々な材料が本装置に組み込まれてもよく、前述の開示はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
カートリッジ300は、その中にエアロゾル前駆体組成物304を収容するリザーバ302を含む。エアロゾル前駆体組成物304は、1つ以上の異なる成分を含む。例えば、エアロゾル前駆体組成物304は、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物)、水、ニコチン、天然および人工の香味料、メントールまたはそれらの混合物を含む。代表的な種類の追加のエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,793,365号明細書、Jakobらの米国特許第5,101,839号明細書、BiggsらのPCT国際公開第98/57556号パンフレットおよびR.J.Reynolds Tobacco Company MonographによるChemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco(1988)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。エアロゾル前駆体組成物に含まれるタバコまたはタバコ由来成分の説明を含む、エアロゾル前駆体組成物の実施形態に関する追加の説明は、いずれも2016年7月21日に出願され、いずれもDavisらの米国特許出願番号第15/216,582号明細書および米国特許出願番号第15/216,590号明細書に提供され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
カートリッジ300はさらに、長手方向に延びる空気流路318を含み、空気流路318は、カートリッジ300の長手方向の長さ全体にわたって延びる。空気流路318は、吸気口208と流体連通する第1の長手方向端部にポートを画定し、噴霧器ユニットの流路404(以下にさらに詳細に説明される)と連絡する反対側の第2の長手方向端部にポートを画定する。空気流路318は、消費者ユーザのための吸入可能な物質を形成するために、吸気口208から噴霧器402(以下にさらに詳細に説明される)に近接する位置に周囲空気を導くように構成される。
【0058】
噴霧器ユニット400は、噴霧器402と、噴霧器ユニット400の内部構造によって画定される流路404と、マウスピース406を有するマウスエンド領域とを含む。マウスエンド領域は、カートリッジ300と係合している噴霧器ユニット400の端部の反対側に画定される。マウスピース406は、エアロゾル送達装置100Aの吸引中に、噴霧器ユニット400から消費者に向かって空気および同伴蒸気(すなわち、吸入可能なエアロゾル形態のエアロゾル前駆体組成物の成分)を通過させる開口部を含む。
【0059】
噴霧器ユニット400の内部は、流路404を形成する内部構造を含む。例えば、
図1A~
図1Bに示すように、流路404は複数の部分で構成され、第1の部分は、噴霧器ユニット400のハウジングの2つの内部構造の間に画定され、リザーバ302と噴霧器402との間に画定されたポート310を通る流れの方向に対して実質的に平行である。流路404の第2の部分は、噴霧器ユニット402とハウジングの内部構造との間に画定され、ポート310を通る流れの方向に対して実質的に垂直である。したがって、流路404の第1および第2の部分は互いに対して約90度に配置される。流路404の第3の部分は、噴霧器ユニット400のハウジングの内部構造と噴霧器ユニット400のハウジングの内部との間に画定され、ポート310に対して実質的に平行である。流路404の第3の部分は、空気流路318の反対側の第2の端部と流体連通する。マウスピース406は、流路404の第3の部分に隣接し流体連通するように配置される。したがって、エアロゾル前駆体組成物304が流路404を通ってリザーバ302から噴霧器402に送達されると、エアロゾル前駆体組成物304を加熱してそこからエアロゾルを生成するように噴霧器402が構成される。流入口208から空気流路318を通って導かれた周囲空気が、エアロゾルと混合されて吸入可能な物質を形成する。形成された吸入可能な物質は、流路404の第3の部分からマウスピース406に導かれて、消費者に送達される。
【0060】
いくつかの態様では、噴霧器402は、電池206と電気的に連絡しており、かつそこから受け取った電流に応答して熱を生成するように構成されたワイヤコイルを含む抵抗加熱要素と、熱との相互作用によってエアロゾルを生成するために、加熱要素によって生成された熱と相互作用するようにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成されたウィックを含む液体輸送要素とを含む。ワイヤコイルが分配機構ならびに抵抗加熱要素として作用する噴霧器402の例示的な実施形態が、
図3A~
図3Bを参照して提供される。
【0061】
ワイヤコイルを形成するために、電流が印加されると熱を発生するように構成された材料の様々な実施形態が使用される。ワイヤコイルを形成する材料の例には、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二珪化モリブデン(MoSi
2)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al)
2)およびセラミック(例えば、正温度係数セラミック)が挙げられる。あるいは、ワイヤコイルは、
図3A~
図3Bに関してさらに詳細に説明されるニッケルチタンなどの形状記憶合金から形成される。液体輸送要素もまた、液体を輸送するように構成された様々な材料から形成される。例えば、液体輸送要素は、いくつかの実施形態では綿および/またはガラス繊維を含む。加熱要素の両端にある導電性ヒータ端子(例えば、正負の端子)は、加熱要素を通して電流を導くように構成され、適切な配線またはコネクタ回路(図示せず)に取り付けられて、噴霧器ユニット400がカートリッジ300および制御本体200と係合した際に加熱要素と電池206との電気接続を形成するように構成される。噴霧器402およびその構成要素の追加の例示的な構成は、いずれもBrammerらの米国特許出願公開第2015/0117842号明細書、米国特許出願公開第2015/0114409号明細書および米国特許出願公開第2015/0117841号明細書に提供されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0062】
噴霧器ユニット400がカートリッジ300および制御本体200と係合されている場合、カートリッジ300のリザーバ302から噴霧器ユニット400にエアロゾル前駆体組成物304が選択的に分配されるように構成される。このように、分配機構306がリザーバ302内および/または噴霧器ユニット400内に配置され、分配機構306は、電源206によって供給される電流から生成された熱に応答して形状を変化させるように構成されている形状記憶合金を含む。
【0063】
形状記憶合金とは、一般に、適切な熱刺激を受けた際に以前に規定されたいくつかの形状または大きさに戻る能力を示す一群の金属材料を指す。形状記憶合金は、それらの降伏強度、剛性、寸法および/または形状が温度の関数として変化する相転移を起こすことができる。一般に、形状記憶合金は、低温またはマルテンサイト相では弾性変形することができ、ある程度高い温度にさらされると、オーステナイト相または母相に変態し、変形前のそれらの形状に戻る。
【0064】
形状記憶合金は、いくつかの異なる温度依存相で存在する。これらの相のうち最も一般的に利用されているのは、いわゆるマルテンサイト相およびオーステナイト相である。以下の考察では、マルテンサイト相とは一般に比較的変形可能な低温相を指し、オーステナイト相とは一般に比較的硬質の高温相を指す。形状記憶合金は、マルテンサイト相にあり加熱されると、オーステナイト相に変化し始める。この現象が始まる温度は、多くの場合、オーステナイト開始温度(As)と呼ばれる。この現象が完了する温度は、オーステナイト終了温度(Af)と呼ばれる。
【0065】
形状記憶合金は、オーステナイト相にあり冷却されるとマルテンサイト相に変化し始め、この現象が始まる温度は、マルテンサイト開始温度(Ms)と呼ばれる。オーステナイトがマルテンサイトに変態し終わる温度は、マルテンサイト終了温度(Mf)と呼ばれる。一般に、形状記憶合金は、それらのマルテンサイト相にある方が柔らかく容易に変形可能であり、オーステナイト相にある方が硬く、強固であり、および/または硬質である。
【0066】
形状記憶合金は、合金の組成および加工履歴に応じて、一方向形状記憶効果、内因性双方向効果(intrinsic two-way effect)または外因性双方向形状記憶効果(extrinsic two-way shape memory effect)を示すことができる。焼鈍された形状記憶合金は、通常、一方向形状記憶効果のみを示す。形状記憶材料を低温変形の後に十分に加熱すると、マルテンサイトからオーステナイト型への転移を引き起こし、材料は元の焼鈍形状を回復する。したがって、一方向形状記憶効果は加熱時にのみ観察される。一方向記憶効果を示す形状記憶合金組成物を含む活物質は、自動的には再形成せず、形状をその以前の形状に戻すために外部の機械的な力を必要とする。
【0067】
内因性および外因性双方向形状記憶材料は、加熱時のマルテンサイト相からオーステナイト相への(すなわち、第1の形状から第2の形状への)形状転移、ならびに冷却時のオーステナイト相からマルテンサイト相に戻る(すなわち、第2の形状から第1の形状への)追加の形状転移によって特徴付けられる。本開示に関して、本明細書に記載の形状記憶合金は、双方向形状記憶効果を示す。内因性形状記憶効果を示す活物質は、上記の相変態の結果として活物質が自動的に自らを再形成する形状記憶合金組成物から製造される。形状記憶材料では、加工によって内因性双方向形状記憶挙動を誘発しなければならない。そのような手順は、マルテンサイト相にある間の材料の極端な変形、拘束もしくは負荷の下での加熱-冷却、またはレーザーアニーリング、研磨もしくはショットピーニングなどの表面改質を含む。双方向形状記憶効果を示すように材料がトレーニングされると、低温状態と高温状態との間の形状変化は一般に可逆的であり、多数の熱サイクルを通して持続する。対照的に、外因性双方向形状記憶効果を示す活物質は、一方向効果を示す形状記憶合金組成物と、元の形状を再形成するための復元力を提供する他の元素とを組み合わせる複合材料または複数成分材料である。
【0068】
形状記憶合金が加熱された際にその高温形態を記憶する温度は、合金の組成のわずかな変化によって、および熱処理を介して調節可能である。例えば、ニッケル-チタン形状記憶合金では、約100℃超から約-100℃未満まで変化させることができる。形状回復プロセスは、わずか数度の範囲にわたって発生し、変態の開始または終了は、所望の用途および合金組成に応じて1または2度以内に制御することができる。形状記憶合金の機械的性質は、それらの変態にまたがる温度範囲にわたって大きく変化し、典型的にはシステムに形状記憶効果、超弾性効果および高減衰能をもたらす。
【0069】
好適な形状記憶合金材料には、限定するものではないが、ニッケル-チタン系合金、インジウム-チタン系合金、ニッケル-アルミニウム系合金、ニッケル-ガリウム系合金、銅系合金(例えば、銅-亜鉛合金、銅-アルミニウム合金、銅-金、および銅-スズ合金)、金-カドミウム系合金、銀-カドミウム系合金、インジウム-カドミウム系合金、マンガン-銅系合金、鉄-白金系合金、鉄-白金系合金、鉄-パラジウム系合金などが挙げられる。合金組成が形状記憶効果、例えば、形状配向の変化、減衰能などを示す限り、合金は二元、三元、または任意の高次であり得る。
【0070】
形状記憶合金は、それらのマルテンサイトからオーステナイトへの相転移温度を超えて加熱されると、(予歪みの量に応じて)2.5倍の弾性率の増加および最大8%の寸法変化を示す。超弾性(または擬弾性)として知られる形状記憶合金の応力誘起相変化とは、双方向に実質的に変形した後に負荷が除かれると形状記憶合金がその元の形状に戻る能力を指す。形状記憶合金がそれらのオーステナイト相にある際に十分な応力を加えると、最大8%の超弾性変形を示し得る比較的低い弾性率のそれらのマルテンサイト相に変化する。加えられた応力を取り除くと、形状記憶合金はそれらのオーステナイト相に戻り、その結果、それらの出発形状および比較的高い弾性率を回復し、エネルギーを消散する。さらに具体的には、外部から加えられた応力の印加は、Msよりも高い温度でマルテンサイトを形成させる。マルテンサイトの形成によって巨視的変形がもたらされる。応力が解放されると、マルテンサイト相はオーステナイト相に変態して戻り、形状記憶合金はそれらの元の形状に戻る。超弾性形状記憶合金は、永久塑性変形させることなく通常の金属合金の数倍の歪みを加えることができるが、これは特定の温度範囲にわたってのみ観察され、最大回復能力はAf付近で生じる。形状記憶合金に関する追加の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBrowneらの米国特許第9,316,212号明細書に提供されている。また、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるJaniら、Materials&Design、(1980~2015)、第56巻第1078頁~第1113頁、およびBorden、Mechanical Engineering、1991年10月、第67頁~第72頁を参照されたい。さらに、例示的な形状記憶合金は、カリフォルニア州アーバインのDYNALLOY,Inc.から市販されている。
【0071】
このように、分配機構306の形状記憶合金は、電源206と連絡するように構成される。いくつかの実施形態では、電源206は、電流がコネクタ回路(図示せず)を通過することによって熱が生成される電流を出力するように構成される。したがって、フローセンサ204(例えば、吸煙センサまたは圧力スイッチ)によって吸煙が感知されると、電源206から電流が導かれて分配機構306の形状記憶合金を加熱してその形状を変形させ、エアロゾル前駆体組成物の流れを噴霧器402に提供する。電流の出力によって生成された熱は、コントローラ202によって、コネクタ回路を介して分配機構306、ならびに噴霧器402に導かれる。これに関して、分配機構が抵抗加熱によって加熱されるように、分配機構306を通して電流が導かれてもよい。あるいは、別個の加熱要素が分配機構306を加熱してもよい。
【0072】
したがって、本開示を参照すると、分配機構306の形状記憶合金は、いくつかの実施形態では、双方向形状記憶効果をもたらす。したがって、分配機構306は、電源206によって供給される電流から生成された熱に応答して第1の形状から第2の形状に(すなわち、マルテンサイト相からオーステナイト相に)形状を変化させ、冷却時に第2の形状から第1の形状に戻る(オーステナイト相からマルテンサイト相に戻る)ように構成される。好ましくは、いくつかの実施形態では、形状記憶合金は、以下の特性を有するニッケル-チタン合金を含む:約390℃~410℃のオーステナイト終了温度Af、約145℃~155℃のオーステナイト開始温度As、約145℃~155℃のマルテンサイト開始温度Msおよび約55℃~75℃のマルテンサイト終了温度Mf。いくつかの実施形態では、マルテンサイト開始温度Msとオーステナイト開始温度Asとは実質的に同じである。
【0073】
形状記憶合金に利用される合金に関係なく、これらの実施形態では、分配機構306は、オーステナイト開始温度Asに達するとすぐに第1の形状から第2の形状に変化し始めるように構成され、オーステナイト終了温度Afに達するとすぐに第2の形状への変態を完了する。同様に、分配機構306は、マルテンサイト開始温度Msに達するとすぐに第2の形状から第1の形状に変化し始めるように構成され、マルテンサイト終了温度Mfに達するとすぐに第1の形状への変態を完了する。
【0074】
理解され得るように、これらの変態が起こる温度は、エアロゾル送達装置100Aがさらされる通常の周囲条件を上回るように構成され得る。このように、第1の形状から第2の形状への変態は、分配機構306がその使用中に意図的に加熱された場合にのみ起こり得る。同様に、第2の形状から第1の形状への変態が起こる温度もまた、分配機構が第1の形状に変態して戻り得るようにエアロゾル送達装置がさらされる通常の周囲条件を上回り得る。したがって、例えば、好ましい実施形態では、第1の形状から第2の形状への変態のためのオーステナイト開始温度Asは、約125℃~約175℃の温度で生じ得、第2の形状から第1の形状への変態のためのマルテンサイト開始温度Msは、約160℃~約100℃の温度で生じ得る。
【0075】
いくつかの態様では、分配機構306は弁308として構成され、それにより、弁308は、電源206からの電流から生成された熱に応答して、リザーバ302と噴霧器402との間に画定されたポート310に対して第1の構成から第2の構成に変化するように構成される。ポート310は、カートリッジ300が噴霧器ユニット400と係合しているか位置合わせされた際に、リザーバ302と噴霧器402との間に画定された通路を含む。このように、エアロゾル前駆体組成物304は、弁308が開放構成(すなわち、弁の第2の形状)にある場合にリザーバ302からポート310を通って噴霧器402に分配されることが可能になり、弁308が閉鎖構成(すなわち、弁の第1の形状)にある場合にリザーバ302からポート310を通って噴霧器402に分配されるのが防がれる。
【0076】
図1Aは、第1の形状の弁308を示し、ここで弁308は、弁308がポート310に対して流れの方向に対して実質的に垂直に配置され、それを通る流れが遮断されるように閉鎖構成にある。弁308が閉鎖構成にある場合、電源206によって供給される電流から熱が生成されないため、弁308に熱が供給されない。あるいは、電源206からの電流から熱が生成されている場合、生成された熱は、弁308の形状記憶合金が変態するか形状変化するように構成されたオーステナイト開始温度A
sまで弁308の形状記憶合金を加熱していない。例えば、約150℃のオーステナイト開始温度A
sは、弁308の形状記憶合金を第1の構成から第2の予め構成された構成に変化させる。
【0077】
図1Bは、第2の予め構成された形状の弁308を示し、ここで弁308は、弁308がポート310に対して流れの方向と実質的に平行に配置されるか、あるいはポートから少なくとも部分的に変位し、エアロゾル前駆体組成物304がそれを通って流れ得るように開放構成にある。弁308が開放構成にある場合、電源206からの電流から弁308に熱が供給され、これにより、弁308の形状記憶合金が少なくともオーステナイト開始温度A
sまで加熱される。弁308の形状記憶合金の温度がオーステナイト開始温度A
sよりも上に留まる限り、弁308は、その第2の予め構成された形状のままであり、ポート310はエアロゾル前駆体組成物304が流れるための開放導管のままである。しかし、電源206が弁308を加熱するための電流を供給しなくなると、弁308の形状記憶合金は冷え始め、形状記憶合金の温度がマルテンサイト開始温度M
sまで冷えると、第1の形状(すなわち閉鎖構成)に戻る。
【0078】
特に、いくつかの態様では、コントローラ202と連絡している機構(図示せず)が提供される。弁308がオーステナイト開始温度Asに達した後および/またはオーステナイト開始温度Asを超えた後、ならびに吸煙に関する所望の期間または他の尺度の後、コントローラ202は形状記憶合金を加熱するために電流を導くのを止め、それにより、形状記憶合金がマルテンサイト開始温度Msまで冷えて、形状記憶合金が第1の形状(すなわち閉鎖構成)に変態して戻る。このように、機構は、所望量のエアロゾル前駆体組成物304が流れるのを可能にするように構成され、それにより、弁308の形状記憶合金は、エアロゾル生成のために所望量のエアロゾル前駆体組成物304が噴霧器402に導かれるのと同時に冷却されて閉鎖構成に戻る。
【0079】
好都合なことに、エアロゾル送達装置100Aは、リザーバ302内に配置されたエアロゾル前駆体組成物304の漏れを大幅に制限するか完全に防止する能力を提供する。弁308は、一回の吸煙当たり一定量のエアロゾル前駆体組成物304のみが分配されるようにポート310を覆うために利用され、使用されていない場合にリザーバ302を覆うことによって漏れを防ぐように作用する。
【0080】
図2A~
図2Cは、全体が100Bで示されるエアロゾル送達装置の第2の実施形態の断面図を示す。エアロゾル送達装置100Bは、その機能的および構造的構成要素のそれぞれが、
図1A~
図1Bに示されるエアロゾル送達装置100Aに多くの点で類似している。例えば、エアロゾル送達装置100Bは、分離可能なハウジングにそれぞれ収容された制御本体200、カートリッジ300および噴霧器ユニット400を含む。制御本体200は、制御構成要素(例えば、コントローラ)202、フローセンサ204(例えば、吸煙センサまたは圧力スイッチ)および電源206など、
図1A~
図1Bに示される実施形態の制御本体200の構成要素といずれも同じ構成要素を含む。制御本体200には、吸気口208も設けられる。
【0081】
装置100Bのカートリッジ300は、
図1A~
図1Bに示される装置100Aと同様に、その中にエアロゾル前駆体組成物304を収容するリザーバ302を含む。上述のように、空気流路318は、
図1A~
図1Bに示すように、カートリッジ300の長手方向の長さにわたって規定され、空気流路318の第1の長手方向端部で吸気口208と流体連通する。噴霧器ユニット400は、
図1A~
図1Bに示される装置100Aと同様に、噴霧器402と、噴霧器ユニット400の内部構造によって画定されかつ空気流路318の反対側の第2の端部と流体連通する流路404と、マウスピース406を有するマウスエンド領域とを含む。ポート310がリザーバ302と噴霧器402との間に画定され、それを通してエアロゾル前駆体組成物304が分配される。しかし、装置100Bは、
図1A~
図1Bに示される分配機構306とは異なる分配機構306を含む。
【0082】
これに関して、
図1Aおよび
図1Bに関して上述した分配機構306が、前駆体組成物の流れを制御する弁308を含むのに対して、別の実施形態の分配機構は、第1の形状から第2の形状に変化して、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させるように構成されたアクチュエータを含む。一実施形態では、ピストンがリザーバの内部と係合し、ピストンは、アクチュエータの作動に応答してリザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿って移動するように構成される。アクチュエータとして構成された分配機構のそのような例示的な構成の1つが、
図2A~
図2Cに示されている。
【0083】
図2A~
図2Cに示される分配機構306は、リザーバ302に隣接する領域内のカートリッジ300内に配置される。いくつかの態様では、分配機構306は、ラチェット314と係合したアクチュエータ312を含む。ラチェット314は、アクチュエータ312の作動に応答してリザーバ302内の中心に規定された長手方向軸に沿って移動するように構成されたピストン316と係合する。
【0084】
アクチュエータ312は、そこに導かれた電流または熱に応答して第1の形状から第2の形状に変化してリザーバ302内のエアロゾル前駆体組成物304を噴霧器402に向かって押すように構成された形状記憶合金を含む。さらに具体的には、
図2A~
図2Cに示すように、アクチュエータ312はばねの形態である。ばねは、ばねが比較的短い長さを画定する後退構成(
図2A、
図2C参照)と、ばねが比較的長い長さを画定する細長い構成(
図2B参照)との間で構成可能であってよい。
【0085】
アクチュエータ312は、電源206によって供給される電流により加熱されるように構成される。さらに具体的には、電源206は、電流がコネクタ回路(図示せず)を通過することによって熱が生成される電流を出力するように構成される。アクチュエータ312自体が電流を受け取り、それに応答して(例えば、抵抗加熱によって)熱を生成してもよいか、別個の要素が電流を受け取り、アクチュエータを加熱してもよい。したがって、アクチュエータ312は、電源206からの電流から生成された熱に応答して、ラチェット314に対して作動するか第1の形状から、第2の予め構成された形状に、変化するように構成される。
【0086】
ラチェット314は、ピストン316およびアクチュエータ312の両方と係合し、それにより、アクチュエータ312の第1の形状から第2の形状への作動(例えば、形状の変化または変態)がラチェット314を移動させ、リザーバ302内の中心に規定された長手方向軸に沿ってピストン316がラチェット314と係合されている。
図2A~
図2Cに示すものなどのいくつかの例示的な実施形態では、ラチェット314は、一方向の運動を可能にする複数の傾斜した歯を有するバーまたはロッドを含む。例えば、ラチェット314の複数の傾斜した歯は、エアロゾル前駆体組成物304の流れ方向に沿ってのみ運動を可能にする。歯または爪(図示せず)がラチェット314の一組の傾斜した歯と係合可能であるため、複数の歯の各連続する歯とラチェット314の歯とが係合すると、アクチュエータ312の第1の形状から第2の形状への変化に応答して、長手方向軸に沿ってリザーバ302の内部でピストン316が徐々に移動する。
【0087】
ピストン316が長手方向軸に沿って徐々に移動するにつれて、リザーバ302の容積が減少し、それにより、その中に収容されたエアロゾル前駆体組成物304がポート310を通って噴霧器402に向かって流路404に押し込まれる。これに関して、ポート310および/または流路は、ピストン316が変位した場合を除いて、それを通る流れに抵抗するように比較的小さくてもよい。このように、エアロゾル前駆体組成物304は、アクチュエータ312が第2の構成(すなわち、第2の予め構成された延在形状)にある場合にリザーバ302からポート310を通って噴霧器402に分配されることが可能になり、アクチュエータ312が第1の構成(すなわち、第1の後退形状)にある場合にリザーバ302からポート310を通って噴霧器402に分配されるのが防がれる。
【0088】
図2Aは、第1の構成のアクチュエータ312を示し、ここでアクチュエータ312は、外側自由端がラチェット314と係合し、第2の対向端がカートリッジ300の内部領域と係合している第1の後退形状にある。アクチュエータ312が第1の構成にある場合、電源206によって供給される電流から熱が生成されないため、アクチュエータ312に熱が供給されない。あるいは、電源206からの電流から熱が生成されている場合、生成された熱は、アクチュエータ312の形状記憶合金が変態するか形状変化するように構成されたオーステナイト開始温度A
sまでアクチュエータ312を加熱しない。例えば、約150℃のオーステナイト開始温度A
sは、アクチュエータ312の形状記憶合金を第1の形状から第2の予め構成された形状に変化させる。それにもかかわらず、アクチュエータ312の形状記憶合金の温度がオーステナイト開始温度A
sに達するまで、ピストン316は長手方向軸に沿って移動しない。
【0089】
図2Bは、第2の構成のアクチュエータ312を示し、ここでアクチュエータ312は、外側自由端がラチェット314と係合し、第2の対向端がカートリッジ300の内部領域と係合している第2の延在形状にある。アクチュエータ312が第2の構成にある場合、アクチュエータ312の形状記憶合金の温度がオーステナイト開始温度A
sに達するかそれを超えるように、電源206によって供給される電流から熱が生成されているか、すでに熱が生成されている。アクチュエータ312の形状記憶合金の温度がオーステナイト開始温度A
sに達するかそれを超えると、アクチュエータは第1の後退形状から第2の延在形状に変態し始める。これにより、アクチュエータ312が延びるにつれてラチェット314が長手方向軸に沿って強制的に移動される。アクチュエータ312がオーステナイト開始温度A
sに加熱されるかそれを超えて加熱されると、アクチュエータ312はその最大延在長さまで延びるように構成され、最大延在長さはラチェット314が長手方向軸に沿って移動する1つ以上の増分に対応する。各増分はラチェットの各歯の長さによって決まる。したがって、アクチュエータ312が延びることができる最大長は、ラチェット314の各歯の長さに応じて構成することができる。例えば、一実施形態では、アクチュエータ312の最大延在長さで、ラチェット314は1ラチェット長に等しい距離を移動し、等しい量のエアロゾル前駆体組成物304を噴霧器402に向かって押す。アクチュエータ312の最大延在長さが達成されると、ラチェット314と係合したピストン316の歯または爪が反対方向へのラチェットの移動を妨げるか、アクチュエータ312自体がそのような動きを妨げるため、ピストン316はカートリッジ300に対してその現在位置に留まる。
【0090】
しかし、電源206が電流を供給しなくなり、それから熱が生成されなくなると、アクチュエータ312の形状記憶合金は冷え始め、形状記憶合金の温度がマルテンサイト開始温度Msまで冷えると、第1の後退構成(すなわち第1の形状)に戻る。第1の形状では、ピストン316の爪もしくは歯またはアクチュエータ312自体がラチェット314の反対方向への移動を妨げるため、ラチェット314およびピストン316はカートリッジ300に対して同じ位置に維持される。
【0091】
図2Cは、第1の構成に戻ったアクチュエータ312を示し、ここでアクチュエータ312は、マルテンサイト開始温度M
sまで冷えた後の第1の後退形状にある。特に、アクチュエータ312の外側自由端は、第2の細長い形状から第1の後退形状に戻って変態した際に、ピストン316からさらに離れた新しい歯と係合して、アクチュエータの以前の細長い構成に対応する位置にピストン316を実質的に保持する。このように、アクチュエータ312は、噴霧器ユニット400に向かってピストン316を実質的に一方向に移動させ、ピストンが制御本体200に向かって反対方向に移動するのを実質的に防止する。
【0092】
図3A~
図3Bは、全体が500で示される噴霧器の例示的な実施形態の側面図を示す。いくつかの実施形態では、噴霧器500は、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Cのエアロゾル送達装置100A、100Bに含まれる噴霧器402と同様の噴霧器として実装されるように構成されるのに対して、他の実施形態では、噴霧器500は、従来のエアロゾル送達装置に実装されるように構成される。噴霧器500は、液体輸送要素502および加熱要素504を含む。いくつかの点で、加熱要素504は、本開示の意味の範囲内で、抵抗加熱要素ならびに分配機構として構成される。さらに具体的には、加熱要素504は、リザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節するように構成され、噴霧器は、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Cのそれぞれに提供される分配機構306と同様にそこからエアロゾルを生成するように構成される。
【0093】
いくつかの実施形態では、加熱要素504は、液体輸送要素502の周りに巻き付けられた形状記憶合金を含む1つ以上のコイルを含む。加熱要素504の形状記憶合金は、上述したものと同じあらゆる特性を含む。したがって、加熱要素504が電源(例えば、電源206、
図1A~
図2C)から電流を受け取ると、加熱要素504は、液体輸送要素502によってそれに供給されたエアロゾル前駆体組成物を加熱するだけではなく、液体輸送要素502の周りで第1の形状から第2の形状に変化して、リザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節するように構成される。
【0094】
好都合なことに、エアロゾル送達装置100Bならびにエアロゾル送達装置100Aは、必ずしも噴霧器ユニット400または制御本体200を交換することなくエアロゾル前駆体組成物カートリッジを交換することができるように、カートリッジ300と噴霧器ユニット400とを別個に収容する。したがって、これは、同じ制御本体および噴霧器ユニットを保持しながら、エアロゾル前駆体組成物の様々な香味、種類、ニコチン強度などを切り替えることができるため、再使用可能なエアロゾル送達装置に対する費用効率の良い手法である。
【0095】
さらに具体的には、
図3Aに示すように、加熱要素504は第1の形状にあり、ここで加熱要素504の1つ以上のコイルは液体輸送要素502の外面から少なくとも部分的に離間されている。このように、狭窄部を実質的に設けることなくエアロゾル前駆体組成物(例えば、304、
図1A~
図2C)が液体輸送要素502に流れ込むのを可能にするように、液体輸送要素502の外面が露出される。加熱要素504が第1の形状にある場合、電源によって供給される電流から熱が生成されないため、加熱要素504によって熱が生成されない。あるいは、電源からの電流から熱が生成されている場合、生成された熱は、加熱要素504の形状記憶合金が変態するか形状変化するように構成されたオーステナイト開始温度A
sまで加熱要素504の形状記憶合金を加熱しない。例えば、約150℃のオーステナイト開始温度A
sは、加熱要素504の形状記憶合金を第1の形状から第2の予め構成された形状に変化させる。
【0096】
逆に、
図3Bに示すように、加熱要素504は、第2の予め構成された形状にあり、ここで加熱要素504の1つ以上のコイルは、電源からの電流から生成された熱に応答して、液体輸送要素502の外面と接触して液体輸送要素502でエアロゾル前駆体組成物を加熱し、それによりエアロゾルを生成する。加熱要素504が第2の予め構成された形状にある場合、加熱要素504の形状記憶合金の温度は、オーステナイト開始温度A
sを超えている。加熱要素504の温度がオーステナイト開始温度A
sを超えたままである限り、加熱要素504は、その第2の予め構成された形状のままであり、液体輸送要素502によって吸収されたエアロゾル前駆体組成物を加熱する。しかし、電流の受け取りを停止し、それによって熱が生成されなくなると、加熱要素504の形状記憶合金は、冷え始め、形状記憶合金の温度がマルテンサイト開始温度M
sに達すると、第2の形状から第1の形状に戻る。
【0097】
加熱要素504が必ずしも液体輸送要素502の外面と直接接触して配置されるとは限らず、締め付けることなく液体輸送要素502のさらに大きな表面積が露出されるため、このように形状記憶合金によって構成された噴霧器の利点には、優れたウィッキング補充が挙げられる。さらに、リザーバが設けられているカートリッジとは別に、噴霧器ユニット(例えば、噴霧器ユニット400、
図1A~
図2B)内に噴霧器500を配置することによって、単一の噴霧器が、様々な異なるエアロゾル前駆体組成物を含むカートリッジと交換することができるため、カスタマイズ性と達成される柔軟性とが向上する。さらに、この構成は、エアロゾル送達装置の既存の実施形態の場合に一般的であるように、噴霧器の交換を必要とせずにカートリッジを交換することを可能にする。
【0098】
次に
図4を参照すると、全体が600で示されるエアロゾル送達装置の操作方法が提供される。エアロゾル送達装置の操作は、例えば上述のエアロゾル送達装置100Aまたはエアロゾル送達装置100Bなどのエアロゾル送達装置を利用するように構成される。第1の工程602では、電源と、噴霧器と、エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、形状記憶合金を含む分配機構とが提供されるか、あるいは利用可能にされる。いくつかの例示的な実施形態では、電源、噴霧器、リザーバおよび分配機構はそれぞれ、
図1A~
図1B、
図2A~
図2Bおよび/または
図3A~
図3Bを参照して本明細書に記載されているものである。
【0099】
第2の工程604では、電源によって出力される電流によって分配機構を加熱して、分配機構の形状を変化させて、リザーバから噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の流れを選択的に調節する。
【0100】
第3の工程606では、電源から噴霧器に電流を導いて、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを生成する。
【0101】
いくつかの実施形態では、工程602で噴霧器を提供することは、分配機構である加熱要素であって、形状記憶合金を含む1つ以上のコイルと液体輸送要素とを含む加熱要素を提供することと、を含んでもよく、1つ以上のコイルは、液体輸送要素の周りに巻き付けられる。工程604では、分配機構の形状を変化させることは、1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面から少なくとも部分的に離間されてエアロゾル前駆体組成物が液体輸送要素に流れ込むことを可能にする第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答して1つ以上のコイルが液体輸送要素の外面と接触して液体輸送要素でエアロゾル前駆体組成物を加熱してそれによりエアロゾルを生成する第2の形状に、1つ以上のコイルを変化させることを含んでもよい。方法は、コイルに対する電流の流れを停止することによって、第2の形状から第1の形状にコイルを戻すことをさらに含んでもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、弁を含む分配機構の形状を工程604で変化させることは、エアロゾル前駆体組成物がリザーバから噴霧器に分配されるのを防ぐために弁が閉鎖構成にある第1の形状から、電源からの電流から生成された熱に応答してリザーバと噴霧器との間に画定されたポートに対してリザーバから噴霧器にエアロゾル前駆体組成物を分配することを可能にするために弁が開放構成にある第2の形状に、変化させることを含んでもよい。方法は、弁での電流の受け取りを停止することをさらに含んでもよい。方法は、それに応じて、第2の形状から第1の形状に弁を戻すことを含んでもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法は、センサによって吸引を検出することをさらに含んでもよい。電源によって供給される電流によって工程604で分配機構を加熱することは、吸引の検出に応答して制御されてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、工程604で分配機構の形状を変化させることは、第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させて、噴霧器に向かってエアロゾル前駆体組成物を変位させることを含んでもよい。第1の形状から第2の形状にアクチュエータの形状を変化させることは、アクチュエータの作動に応答して、リザーバ内の中心に規定された長手方向軸に沿ってリザーバの内部と係合したピストンを動かすことを含んでもよい。
【0105】
上記の説明および関連する図面に示された教示の利益を有し、本開示が関連する当業者には、本開示の多くの変更および他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のために使用されない。