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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20240624BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20240624BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20240624BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240624BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240624BHJP
   F25D 19/02 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
F25D17/08 303
F25D23/12 M
F25D23/06 R
F25D23/02 Z
F25D11/00 101B
F25D19/02 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020020619
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021127838
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 検造
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-180059(JP,A)
【文献】特開平11-044476(JP,A)
【文献】特開2008-107030(JP,A)
【文献】特開2016-080247(JP,A)
【文献】特開2018-132199(JP,A)
【文献】実開平06-002088(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 23/12
F25D 23/06
F25D 23/02
F25D 11/00
F25D 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を貯蔵する貯蔵室が形成された箱体と、前記箱体の前面に設けられた開口部を開閉する扉と、を備えた貯蔵庫であって、
前記貯蔵室を上下方向に仕切る仕切部材と、
前記仕切部材によって前記貯蔵室内を仕切ることにより形成された複数の空間のうちの一の空間側に設けられ、前記一の空間の空気を冷却する冷却器と、
前記貯蔵室の背面側に設けられ、前記貯蔵室内の空気が下部から上部に向けて流通する背面側通風路と、
前記扉の裏面に設けられ、上端部が前記一の空間の上部に、下端部が他の空間の上部にそれぞれ開口し、前記一の空間の空気の一部を前記他の空間に流入させる扉ダクトと、を備えた
貯蔵庫。
【請求項2】
物品を貯蔵する貯蔵室が形成された箱体と、前記箱体の前面に設けられた開口部を開閉する扉と、を備えた貯蔵庫であって、
前記貯蔵室を上下方向に仕切る仕切部材と、
前記仕切部材によって前記貯蔵室内を仕切ることにより形成された複数の空間のうちの一の空間側に設けられ、前記一の空間の空気を冷却する冷却器と、
前記貯蔵室の上面部に沿って前後方向に延びる上面側通風路と、を備え、
前記扉の裏面に設けられ、上端部が前記一の空間の上部に、下端部が他の空間の上部にそれぞれ開口し、前記一の空間の空気の一部を前記他の空間に流入させる扉ダクトと、を備え、
前記扉ダクトの前記上端部には、前記扉を閉鎖した状態で前記上面側通風路から前記一の空間の空気の一部が流入する
貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室の背面側には、前記貯蔵室内の空気が流通する背面側通風路が設けられ、
前記背面側通風路は、前記扉ダクトを介して前記一の空間から前記他の空間に流入する空気と同量の空気を、前記他の空間から前記一の空間に流入させる
請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記一の空間内において背面側通風路を流通した空気を上部から下部に向けて循環させる第1送風機と、
前記他の空間内において空気を循環させる第2送風機と、を備えた
請求項に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記扉ダクトを介して前記一の空間から前記他の空間に流入させる空気を流通させる第3送風機と、
前記貯蔵室内の温度を検出する温度センサと、を備え、
前記第3送風機は、前記温度センサの検出温度に基づいて動作が制御される
請求項に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記仕切部材の前記一の空間側の面には、前記一の空間内を循環する空気が流通する第1ダクトが設けられ、
前記仕切部材の前記他の空間側の面には、前記他の空間内を循環する空気が流通する第2ダクトが設けられている
請求項1乃至のいずれかに記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記一の空間の空気を加熱する第1加熱部と、
前記他の空間の空気を加熱する第2加熱部と、を備えた
請求項1乃至のいずれかに記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記仕切部材は、前記貯蔵室に対して着脱自在であり、
前記仕切部材による前記貯蔵室内の仕切を解除することにより、前記貯蔵室内を均一の温度に保持可能である
請求項1乃至のいずれかに記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば弁当や生鮮食品等の温度管理が必要な物品を貯蔵するための貯蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯蔵庫としては、内部に物品を貯蔵する貯蔵室が形成された箱体と、箱体に設けられた開口部を開閉する扉と、貯蔵室内の空気を冷却するための冷却器と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記貯蔵庫では、互いに異なる保存温度の物品を同時に貯蔵するために、断熱性を有する固定の仕切部材によって貯蔵室を複数の空間に仕切るとともに、それぞれの空間に対応する冷却器及び扉を設置することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-257172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記貯蔵庫では、それぞれの空間に対応する冷却器が必要となるとともに、複数の扉が必要となるため、製造コストが高くなる。また、前記貯蔵庫では、仕切部材によって仕切られた貯蔵室の複数の空間のそれぞれに冷却器が必要となり、貯蔵室における物品を貯蔵可能な空間の容積が小さくなる。
【0006】
本発明の目的とするところは、複数種類の保存温度の物品を同時に貯蔵する場合においても、複数の冷却器及び扉を必要とせず、貯蔵室における物品を貯蔵可能な空間の容積の減少を抑制することのできる貯蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の貯蔵庫は、前記目的を達成するために、物品を貯蔵する貯蔵室が形成された箱体と、前記箱体の前面に設けられた開口部を開閉する扉と、を備えた貯蔵庫であって、前記貯蔵室を上下方向または幅方向に仕切る仕切部材と、前記仕切部材によって前記貯蔵室内を仕切ることにより形成された複数の空間のうちの一の空間側に設けられ、前記一の空間の空気を冷却する冷却器と、前記扉の裏面に設けられ、前記一の空間の空気の一部を他の空間に流入させる扉ダクトと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の貯蔵庫によれば、冷却器が設けられた貯蔵室の一の空間の一部の空気によって他の空間を冷却することで、一の空間の設定温度よりも高い設定温度まで他の空間を冷却することが可能となるので、複数の冷却器及び扉を必要とすることなく、複数の温度帯の物品を貯蔵することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示す貯蔵庫の正面図である。
図2】扉を開放した貯蔵庫の正面図である。
図3図1における3-3断面図である。
図4図1における4-4断面図である。
図5】仕切部材の取り付け状態を示す貯蔵庫の要部断面図である。
図6】仕切部材を取り外した状態を示す貯蔵庫の要部断面図である。
図7】仕切部材を収納部に収納した状態を示す貯蔵庫の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図7は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0011】
本発明の貯蔵庫1は、例えば、コンビニエンスストアの倉庫やコンビニエンスストアの敷地内における屋外等に設置され、温度の管理が必要な弁当や生鮮食品等の物品を貯蔵するためのものである。貯蔵庫1は、複数の物品を収容した合成樹脂製のケース、所謂番重を上下方向に積層した状態で内部に収容するものである。
【0012】
この貯蔵庫1は、図1及び図2に示すように、前面に開口部10aが設けられた貯蔵庫本体10と、貯蔵庫本体10の開口部10aを開閉する扉20と、貯蔵庫本体10に対して着脱自在に設けられた仕切部材30と、を備えている。
【0013】
貯蔵庫本体10は、断熱性を有する部材からなり、図2乃至図4に示すように、底面部10b、背面部10c、上面部10d及び一対の側面部10eを有する箱体である。
【0014】
貯蔵庫本体10の内側には、底面部10b、背面部10c及び上面部10dのそれぞれの内面から間隔をおいて底面板11、背面板12及び上面板13が設けられている。これにより、貯蔵庫本体10の内側には、一対の側面部10e、底面板11、背面板12及び上面板13に囲まれた空間である貯蔵室14と、底面部10bと底面板11との間、背面部10cと背面板12との間、上面部10dと上面板13との間を、連続して延びる通風路15と、が形成される。
【0015】
貯蔵室14は、一対の側面部10eの内側面及び背面板12の前面からそれぞれ張り出すとともに、上下方向に延びる複数の張出部14aが形成されている。張出部14aは、貯蔵室14内に番重を収納した場合に、貯蔵室14の一対の側面部10eの内面及び背面板12の前面のそれぞれと番重の側面との間に隙間を形成し、貯蔵室14に対して番重を位置決めする。貯蔵室14には、上下方向の中央部よりもやや下側において、仕切部材30を取り付けるための取付部14bが設けられている。取付部14bは、張出部14aが形成されておらず、上下方向に間隔をおいて位置する張出部14aと張出部14aとの隙間である。また、貯蔵室14には、下端部において、仕切部材30を収納するための収納部14cが設けられている。収納部14cは、張出部14aが形成されておらず、張出部14aの下端部と底面板11との隙間である。さらに、貯蔵室14には、図3及び図4に示すように、取付部14bよりも上側において貯蔵室14内の温度を検出するための上部側温度センサ14dと、取付部14bよりも下側において貯蔵室14内の温度を検出するための下部側温度センサ14eと、が設けられている。
【0016】
通風路15は、図3及び図4に示すように、底面部10bに沿って前後方向に延びる底面側通風路15aと、背面部10cに沿って上下方向に延びる背面側通風路15bと、上面部10dに沿って前後方向に延びる上面側通風路15cと、を有している。
【0017】
底面側通風路15aは、貯蔵庫本体10の開口部10aの下端側において幅方向にわたって設けられた吸入口15a1を介して、前端部が貯蔵室14の下側に連通している。また、底面側通風路15aは、後端部が背面側通風路15bの下端部に連通している。底面側通風路15a内には、貯蔵室14内の空気を吸入口15a1から吸入して背面側通風路15bに向かって流通させるための第2送風機としての下側循環用送風機15a2が設けられている。
【0018】
背面側通風路15bは、下端部が底面側通風路15aの後端部に連通している。また、背面側通風路15bは、上端部が上面側通風路15cの後端部に連通している。また、背面側通風路15bには、背面板12の上下方向の中央部よりもやや下側において、幅方向に延びるダクト接続孔12aを介して、仕切部材30の後述する上面側通風路及び下面側通風路のそれぞれの後端部が接続される。
【0019】
ダクト接続孔12aは、図5及び図6に示すように、上下方向に移動自在に設けられた閉塞部材12a1によって開閉される。閉塞部材12a1は、ダクト接続孔12aを開放した状態または閉塞した状態で、つまみネジによって背面板12に固定される。ダクト接続孔12aの後方に位置する背面側通風路15bには、背面側通風路15bを流通する空気の一部をダクト接続孔12a側の前方に案内するためのガイド部材15b1が設けられている。ガイド部材15b1は、図2に示すように、ダクト接続孔12aと略同一の幅方向の大きさを有し、背面側通風路15bの幅方向の中央部に配置されている。したがって、背面側通風路15bは、ガイド部材15b1の幅方向両側の隙間を介して、ガイド部材15b1の下側の空間と上側の空間とが連通する。
【0020】
さらに、背面側通風路15bには、図3及び図4に示すように、ダクト接続孔12aよりも下側において背面側通風路15bを流通する空気を加熱するための第2加熱部としての下側加熱部15b2と、ダクト接続孔12aよりも上側において背面側通風路15bを流通する空気を加熱するための第1加熱部としての上側加熱部15b3と、が設けられている。下側加熱部15b2及び上側加熱部15b3は、それぞれシート状の電熱ヒータである。
【0021】
上面側通風路15cは、後端部が背面側通風路15bの上端部に連通している。また、上面側通風路15cは、図3に示すように、貯蔵庫本体10の開口部10aの上端部において幅方向にわたって設けられた吐出口15c1を介して、前端部が貯蔵室14の上部に連通する循環用上面側通風路15c2と、図4に示すように、扉20の後述する扉ダクトの上端部に前端部が連通する給気用上面側通風路15c3と、を有している。循環用上面側通風路15c2内には、背面側通風路15bを流通した空気を吐出口15c1に向かって流通させるための第1送風機としての上側循環用送風機15c4と、循環用上面側通風路15c2を流通する空気を冷却するための冷却器15c5と、が設けられている。また、給気用上面側通風路15c3内には、背面側通風路15bを流通した空気を扉ダクトに向かって流通させるための第3送風機としての給気用送風機15c6と、を備えている。
【0022】
貯蔵庫本体10の上面部10dの上面には、図示しない圧縮機、凝縮器及び膨張弁等の冷凍サイクルを構成する部品を収容するための機械室16が形成されている。循環用上面側通風路15c2に配置された冷却器15c5は、機械室16内の圧縮機、凝縮器及び膨張弁に接続されており、冷凍サイクルの蒸発器として機能する。
【0023】
扉20は、図1及び図2に示すように、断熱性を有する矩形状の部材であり、幅方向一端部が貯蔵庫本体10の前端部の幅方向一端部に回動自在に支持されている。扉20の幅方向他端側には、扉20を開閉する際に使用者が手で把持するハンドル21が設けられている。扉20の裏面には、図2乃至図4に示すように、幅方向にわたって上下方向に延びる扉ダクト22が設けられている。また、扉20の裏面には、上下方向に延びるとともに、貯蔵室14の内側に張り出す複数の張出部23が形成されている。
【0024】
扉ダクト22は、貯蔵庫本体10の開口部10aを扉20によって閉鎖した状態で、上端部が上面側通風路15cの給気用上面側通風路15c3に連通し、下端部が貯蔵室14の下部側に連通している。
【0025】
仕切部材30は、図3及び図4に示すように、貯蔵室14の取付部14bに取り付けられた状態において、前端部が幅方向にわたって扉ダクト22の背面に当接する。これにより、扉ダクト22の下端部は、貯蔵室14の下部側の空間のみに連通する。仕切部材30は、図5に示すように、貯蔵室14を上下方向に仕切る断熱部31と、断熱部31の上面側に設けられ、貯蔵室14の上側の空間を循環する空気が流通する第1ダクトとしての上面側ダクト32と、断熱部31の下面側に設けられ、貯蔵室14の下側の空間を循環する空気が流通する第2ダクトとしての下面側ダクト33と、を有している。仕切部材30は、取付部14bに取り付けることによって、貯蔵室14内を上側の空間と下側の空間とに仕切る状態になる。また、仕切部材30は、貯蔵室14内において収納部14cに取り付けることにより収納状態となる。
【0026】
上面側ダクト32は、取付部14bに仕切部材30を取り付けた状態において、断熱部31の上面に沿って前後方向に延びており、貯蔵室14の上側の空間の空気を流入させるための流入口32aが前端部に設けられている。また、上面側ダクト32は、取付部14bに仕切部材30を取り付けた状態において、後端部が背面側通風路15bに連通し、流入口32aから流入した空気を背面側通風路15bに流入させる。
【0027】
下面側ダクト33は、取付部14bに仕切部材30を取り付けた状態において、断熱部31の下面に沿って前後方向に延びており、貯蔵室14の下側の空間に空気を流出させるための流出口33aが前端部に設けられている。また、下面側ダクト33は、取付部14bに仕切部材30を取り付けた状態において、後端部が背面側通風路15bに連通し、背面側通風路15bの下側を流通する空気の一部を流入させて流出口33aから流出させる。
【0028】
以上のように構成された貯蔵庫1は、図7に示すように、仕切部材30を貯蔵室14内における収納部14cに収納した状態とすることによって、貯蔵室14内を4℃または20℃の単一の温度に保持することが可能である。このとき、給気用送風機15c6を停止した状態で、下側循環用送風機15a2及び上側循環用送風機15c4を常時駆動させる。
【0029】
これにより、上面側通風路15cの循環用上面側通風路15c2を流通する空気は、冷却器15c5によって冷却されて吐出口15c1から貯蔵室14内に吐出される。吐出口15c1から吐出された空気は、貯蔵室14の前面側を下方に流通し、吸入口15a1を介して底面側通風路15aに吸入される。底面側通風路15aに吸入された空気は、下側循環用送風機15a2によって背面側通風路15bに送られて、背面側通風路15b内を上方に流通し、循環用上面側通風路15c2に流入する。
【0030】
ここで、貯蔵室14内の温度が貯蔵室14内の設定温度である4℃または20℃よりも高い場合には、冷却器15c5における空気の冷却能力を制御し、貯蔵室14内の温度が設定温度となるように調整する。
【0031】
また、貯蔵室14内の温度が貯蔵室14内の設定温度である4℃または20℃より低い場合には、冷却器15c5による空気の冷却を停止または冷却能力を小さくし、下側加熱部15b2及び上側加熱部15b3の一方または両方によって背面側通風路15bを流通する空気を加熱することによって、貯蔵室14内の温度が設定温度となるように調整する。
【0032】
また、貯蔵庫1は、図3及び図4に示すように、仕切部材30を貯蔵室14内における取付部14bに取り付けることによって、貯蔵室14内の上側を4℃に保持し、下側を上側と異なる温度である20℃に保持することが可能である。このとき、背面側通風路15bでは、図5に示すように、閉塞部材12a1を上方に移動させてダクト接続孔12aを開放し、仕切部材30の上面側ダクト32及び下面側ダクト33の後端側を背面側通風路15bに連通させる。また、下側循環用送風機15a2及び上側循環用送風機15c4は、常時駆動させる。さらに、給気用送風機15c6は、上部側温度センサ14d及び下部側温度センサ14eの検出温度に基づいて駆動と停止とを切り替える制御を行う。
【0033】
これにより、貯蔵室14の上側の空間では、給気用送風機15c6を停止した状態で、上面側通風路15cの循環用上面側通風路15c2を流通する空気が、冷却器15c5によって冷却されて吐出口15c1から貯蔵室14の上部側に吐出される。吐出口15c1から吐出された空気は、貯蔵室14の前面側を下方に流通し、流入口32aを介して仕切部材30の上面側ダクト32に流入する。仕切部材30の上面側ダクト32に流入した空気は、上面側ダクト32の後端部まで流通し、背面側通風路15bの中間部に流入する。背面側通風路15bの中間部に流入した空気は、上面側通風路15cの循環用上面側通風路15c2に流入する。
【0034】
また、貯蔵室14の下側の空間では、給気用送風機15c6を停止した状態で、仕切部材30の下面側ダクト33の流出口33aから流出した空気が、貯蔵室14の前面側を下方に流通し、吸入口15a1を介して底面側通風路15aに流入する。底面側通風路15aに流入した空気は、下側循環用送風機15a2によって送られて背面側通風路15bに下端部から流入し、背面側通風路15bを上方に流通する。背面側通風路15bの下側を流通した空気は、ガイド部材15b1によって案内されて仕切部材30の下面側ダクト33に流入する。
【0035】
また、給気用送風機15c6を駆動させると、背面側通風路15bの上側を流通する空気の一部は、上面側通風路15cの循環用上面側通風路15c2に流入する。また、背面側通風路15bの上側を流通するその他の空気は、給気用上面側通風路15c3に流入する。給気用上面側通風路15c3をした空気は、扉ダクト22に流入し、扉ダクト22を通過して貯蔵室14の下側の空間に流入する。
【0036】
また、給気用送風機15c6を駆動させると、扉ダクト22から貯蔵室14の下側の空間に流入した空気は、仕切部材30の下面側ダクト33の流出口33aから流出した空気と共に貯蔵室14の前面側を下方に流通し、吸入口15a1を介して底面側通風路15aに流入する。底面側通風路15aに流入した空気は、下側循環用送風機15a2によって背面側通風路15bに下端部から流入し、背面側通風路15bを上方に流通する。背面側通風路15bの下側を流通する空気の一部は、ガイド部材15b1によって案内されて仕切部材30の下面側ダクト33に流入する。また、背面側通風路15bの下側を流通するその他の空気は、ガイド部材15b1の幅方向両側の隙間を通って背面側通風路15bの上側に流入する。ここで、背面側通風路15bの上側には、扉ダクト22から貯蔵室14の下側の空間に流入した空気と同じ量の空気が流入する。
【0037】
ここで、貯蔵室14内の上側の空間の温度が貯蔵室14内の設定温度である4℃よりも高く、貯蔵室14内の下側の空間の温度が貯蔵室14内の設定温度である20℃よりも高い場合には、冷却器15c5における空気の冷却能力を制御し、貯蔵室14内の上側の温度が設定温度となるように調整する。また、貯蔵室14内の下側の空間では、給気用送風機15c6によって貯蔵室14内の上側の空気を流入させることによって、空気の温度が設定温度まで冷却される。貯蔵室14内の下側の空間では、下部側温度センサ14eの検出温度に基づいて給気用送風機15c6の駆動と停止とを切り替える制御を行い、温度が設定温度となるように調整する。
【0038】
また、貯蔵室14内の上側の空間の温度が貯蔵室14内の設定温度である4℃よりも高く、貯蔵室14内の下側の空間の温度が貯蔵室14内の設定温度である20℃よりも低い場合には、冷却器15c5における空気の冷却能力を制御し、貯蔵室14内の上側の温度が設定温度となるように調整する。また、貯蔵室14内の下側の空間では、給気用送風機15c6を停止した状態で、下側加熱部15b2によって背面側通風路15bを流通する空気を加熱し、温度が設定温度となるまで加熱する。貯蔵室14内の下側の空間では、下部側温度センサ14eの検出温度に基づいて下側加熱部15b2の駆動と停止とを切り替える制御を行い、温度が設定温度となるように調整する。
【0039】
また、貯蔵室14内の上側の空間の温度が貯蔵室14内の設定温度である4℃よりも低く、貯蔵室14内の下側の空間の温度が貯蔵室14内の設定温度である20℃よりも低い場合には、冷却器15c5による空気の冷却を停止または冷却能力を小さくするとともに、給気用送風機15c6を駆動し、下側加熱部15b2及び上側加熱部15b3のそれぞれによって背面側通風路15bを流通する空気を加熱する。これにより、貯蔵室14内の上側の空間は、上側加熱部15b3によって加熱されるとともに、給気用送風機15c6によって下側加熱部15b2によって加熱された下側の空間の空気が供給されることで、温度が設定温度となるまで加熱される。上側加熱部15b3及び給気用送風機15c6は、貯蔵室14内の上側の空間の温度が設定温度まで上昇した時点で停止させる。貯蔵室14内の上側の空間は、上部側温度センサ14dの検出温度に基づいて上側加熱部15b3及び給気用送風機15c6の駆動と停止とを切り替える制御を行い、温度が設定温度となるように調整する。また、貯蔵室14内の下側の空間は、温度が設定温度となるまで下側加熱部15b2によって加熱される。貯蔵室14内の下側の空間は、下部側温度センサ14eの検出温度に基づいて下側加熱部15b2の駆動と停止とを切り替える制御を行い、温度が設定温度となるように調整する。
【0040】
このように、本実施形態の貯蔵庫1によれば、扉20の裏面に設けられ、貯蔵室14の上側の空間の空気の一部を下側の空間に流入させる扉ダクト22を備えている。
【0041】
これにより、扉ダクト22を介して冷却器15c5が設けられた上側の空間の空気の一部を下側の空間に供給することによって、上側の空間の設定温度と異なる設定温度となるように下側の空間を冷却することが可能となるので、複数の冷却器及び扉を必要とすることなく、複数種類の保存温度の物品を同時に貯蔵することが可能となる。
【0042】
また、背面側通風路15bは、扉ダクト22を介して上側の空間から下側の空間に流入する空気と同量の空気を、下側の空間から上側の空間に流入させる。
【0043】
これにより、貯蔵室14の上側の空間と下側の空間とを同じ圧力に保持することが可能となるので、扉ダクト22を介して上側の空間の空気を確実に下側の空間に流入させることが可能となる。
【0044】
また、貯蔵室14の上側の空間内において空気を循環させる上側循環用送風機15c4と、下側の空間内において空気を循環させる下側循環用送風機15a2と、を備えている。
【0045】
これにより、貯蔵室14の上側の空間及び下側の空間のそれぞれにおいて、空間全体の温度を均一の温度とすることが可能となるので、貯蔵された全て物品を目的の温度とすることが可能となる。
【0046】
また、扉ダクト22に空気を流通させる給気用送風機15c6と、上部側温度センサ14d及び下部側温度センサ14eと、を備え、給気用送風機15c6が、上部側温度センサ14d及び下部側温度センサ14eの検出温度に基づいて動作が制御される。
【0047】
これにより、給気用送風機15c6の動作の制御によって、貯蔵室14の上側の空間と下側の空間との間の空気の流れが調整可能となるので、貯蔵室14の上側及び下側のそれぞれの空間を確実に設定温度とすることが可能となる。
【0048】
また、仕切部材30の上側の面には、上側の空間内を循環する空気が流通する上面側ダクト32が設けられ、仕切部材30の下側の面には、下側の空間内を循環する空気が流通する下面側ダクト33が設けられている。
【0049】
これにより、貯蔵室14の上側の空間の下部を流通する空気が上面側ダクト32を流通して背面側通風路15bに流入し、背面側通風路15bを流通して貯蔵室14の下側の空間の上部を流通する空気が下面側ダクト33を流通するので、貯蔵室14内に貯蔵された物品によって空気の流れが妨げられることはなく、貯蔵室14の上側及び下側のそれぞれの空間の温度を均一に保持することが可能となる。
【0050】
また、貯蔵室14の上側の空間の空気を加熱する上側加熱部15b3と、下側の空間の空気を加熱する下側加熱部15b2と、を備えている。
【0051】
これにより、貯蔵庫1の設置されている場所の温度が貯蔵室14の設定温度よりも低い場合においても、貯蔵室14の上側及び下側のそれぞれの空間を設定温度に保持することが可能となる。
【0052】
また、仕切部材30は、貯蔵室14に対して着脱自在であり、仕切部材30による貯蔵室14内の仕切を解除することにより、貯蔵室14内を均一の温度に保持可能である。
【0053】
これにより、一種類の保存温度の物品のみを貯蔵室14内に貯蔵する場合に、物品の貯蔵量を増大させることが可能となり、貯蔵室14の空間を有効に活用することが可能となる。
【0054】
尚、前記実施形態では、貯蔵室14を仕切部材30で仕切ることによって上下方向に並ぶ2つの空間を形成した貯蔵庫1を示したが、これに限られるものではない。例えば、貯蔵室を前後方向に対して直交する方向仕切ることにより複数の空間を形成するものであれば、貯蔵室内を幅方向に仕切る貯蔵庫に本発明を適用可能である。また、貯蔵室を複数の空間に仕切るものであれば、3以上の空間に仕切る貯蔵庫に対して本発明を適用可能である。
【0055】
また、前記実施形態では、貯蔵室14の上側の空間に冷却器15c5を配置し、貯蔵室14の上側の空間の空気を下側の空間に扉ダクト22を介して流入させるようにした貯蔵庫1を示したが、これに限られるものではない。例えば、貯蔵室の下側の空間に冷却器を配置し、貯蔵室の下側の空間の空気を、扉ダクトを介して上側の空間に流入させるようにした貯蔵庫に本発明を適用可能である。
【0056】
また、前記実施形態では、貯蔵室14の上下方向の所定位置に設けられた取付部14bに仕切部材30を取り付けるようにした貯蔵庫1を示したが、これに限られるものではない。例えば、貯蔵室内において任意の高さ位置に仕切部材を取り付け可能とし、必要に応じて貯蔵室の上側の空間の大きさと下側の空間の大きさを調整してもよい。この場合には、仕切部材の取り付け可能な高さのうち最も低い位置よりも低い位置まで扉ダクトの下端部を延出させるようにすればよい。
【0057】
また、前記実施形態では、貯蔵室14内において、上下方向に延びる張出部14a,23によって貯蔵される番重の位置決めを行うものを示したが、これに限られるものではない。前記実施形態に示した張出部14a,23を設けることなく、例えば、貯蔵室の底面板及び仕切部材の上面に番重の底面部が嵌合する凹部を形成し、凹部に最下部の番重を嵌合させることにより積層した番重全体の位置決めを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…貯蔵庫、10…貯蔵庫本体、10a…開口部、14…貯蔵室、14d…上部側温度センサ、14e…下部側温度センサ、15a2…下側循環用送風機、15b…背面側通風路、15b2…下側加熱部、15b3…上側加熱部、15c4…上側循環用送風機、15c5…冷却器、15c6…給気用送風機、20…扉、22…扉ダクト、30…仕切部材、32…上面側ダクト、33…下面側ダクト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7