(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫及び給水タンク
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20240624BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F25C1/25 305E
F25D25/00 E
(21)【出願番号】P 2020044563
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪川 充央
(72)【発明者】
【氏名】山尾 明
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-126609(JP,A)
【文献】特開2016-125757(JP,A)
【文献】国際公開第2011/000072(WO,A2)
【文献】特開2005-008228(JP,A)
【文献】特開2006-189193(JP,A)
【文献】特開平08-296954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/25
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを貯蔵室に備える冷蔵庫において、
前記給水タンクは、上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、
前記容器本体は、前側に設けられた容器幅広部と、前記容器幅広部の後側に設けられ前記容器幅広部より幅方向に狭い容器幅狭部と、前記容器幅狭部の側面に設けられた容器係止部とを備え、
前記蓋体は、前記容器幅広部の後方において前記容器係止部に係止する固定部材と、前記固定部材を回転可能に支持する回動軸とを備え、
前記固定部材が前記回動軸に対して回動することにより前記固定部材が前記容器係止部との係止を解除し、係止が解除された状態において、前記固定部材
の反回動軸側の末端部が前記蓋体に当接可能である、冷蔵庫。
【請求項2】
前記固定部材が前記容器係止部に係止したときに、前記固定部材の外側面が、前記容器幅広部の外側面と前後方向に重なる、又は、前記容器幅広部の外側面より前記容器本体の幅方向内側に位置する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記蓋体は、前側に設けられた蓋幅広部と、前記蓋幅広部の後側に設けられた前記蓋幅広部より幅方向に狭い蓋幅狭部とを備え、前記蓋幅狭部の側方に前記固定部材が設けられている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記容器幅広部の後端と前記蓋幅広部の後端が上下方向に重なっている請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記固定部材は、前記容器本体の側面と対向する面に前後方向に延びる突条を備える請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記容器本体は前記蓋体の前方において上方へ突出する前突出部を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記蓋体の上面前端と前記前突出部の上面後端とが同じ高さに位置する請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記前突出部は、容器本体の前壁の前方に間隔をあけて設けられたタンク正面部を備え、
前記タンク正面部は、上側に行くほど肉厚に設けられている請求項6又は7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記タンク正面部の前面及び背面は、上方へ行くほど後方へ傾斜し、
鉛直方向に対する前記タンク正面部の背面の角度が、鉛直方向に対する前記タンク正面部の前面の角度より大きい請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、冷蔵庫の貯蔵室に設けられ、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクにおいて、
前記容器本体は、前側に設けられた容器幅広部と、前記容器幅広部の後側に設けられ前記容器幅広部より幅方向に狭い容器幅狭部と、前記容器幅狭部の側面に設けられた容器係止部とを備え、
前記蓋体は、前記容器幅広部の後方において前記容器係止部に係止する固定部材と、前記固定部材を回転可能に支持する回動軸とを備え、
前記固定部材が前記回動軸に対して回動することにより前記固定部材が前記容器係止部との係止を解除し、係止が解除された状態において、前記固定部材
の反回動軸側の末端部が前記蓋体に当接可能である、給水タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫及び給水タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動製氷機能を備えた冷蔵庫では、冷蔵室内に給水タンクを設置し、この給水タンク内の水を製氷皿に給水して製氷を行っている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このような冷蔵庫において、給水タンクは、冷蔵室の底面に載置され、庫内の目立ちやすい位置に設けられることが多いが、これまで給水タンクの意匠性について考慮されているものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上記事情を考慮してなされたものであり、使い勝手が良く意匠性に優れた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを貯蔵室に備える冷蔵庫において、前記給水タンクは、上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、前記容器本体は、前側に設けられた容器幅広部と、前記容器幅広部の後側に設けられ前記容器幅広部より幅方向に狭い容器幅狭部と、前記容器幅狭部の側面に設けられた容器係止部とを備え、前記蓋体は、前記容器幅広部の後方において前記容器係止部に係止する固定部材と、前記固定部材を回転可能に支持する回動軸とを備え、前記固定部材が前記回動軸に対して回動することにより前記固定部材が前記容器係止部との係止を解除し、係止が解除された状態において、前記固定部材の反回動軸側の末端部が前記蓋体に当接可能である、冷蔵庫。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す縦断面図
【
図4】固定部材によって蓋体を容器本体に固定した給水タンクの斜視図
【
図9】固定部材による蓋体の固定を解除した給水タンクの斜視図
【
図10】固定部材による蓋体の固定を解除した給水タンクの断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態の冷蔵庫1について図面に基づき説明する。なお、本明細書において、給水タンク30の前、後及び左右とは、給水タンク30を冷蔵室6のタンク室に収納したときの前、後及び左右である。また、給水タンク30の幅方向とは、給水タンク30を冷蔵室6のタンク室に収納したときの左右方向である。
【0009】
(1)冷蔵庫1の構成
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面に開口する冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4との間に形成された断熱空間5に真空断熱材や発泡断熱材等の断熱材を有して構成されている。冷蔵庫本体2は内箱4の内部に複数の貯蔵空間が設けられており、具体的には、上段から順に、冷蔵室6、野菜室7が設けられ、その下方に製氷室8と小冷凍室(不図示)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室10が設けられている。
【0010】
冷蔵室6及び野菜室7は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切板11により上下に仕切られている。
図2に示すように、仕切板11と最下段の棚板12とで上下に仕切られた空間は、冷蔵室6の一方側壁(左側壁)に寄せて配設された縦仕切壁13によって冷蔵庫幅方向に区画されている。冷蔵室6の左側壁と縦仕切壁13に挟まれた空間(以下、タンク室ということもある)には、給水タンク30及び給水装置31が設けられている。給水タンク30は、仕切板11に設けられた不図示の位置決め部によって前後方向における所定位置に収納されるようになっている。また、縦仕切壁13と冷蔵室6の他方側壁(右側壁)に挟まれた空間(以下、チルド室ということもある)には、収納容器14が収納されている。なお、縦仕切壁13は、
図2に示すように収納容器14の前側部分の後方に隠れるように配置されている。
【0011】
製氷室8、小冷凍室及び冷凍室10は、いずれも冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃)に冷却される貯蔵室である。製氷室8には、製氷皿33と離氷機構34を含む製氷装置32と、製氷装置32で作製した氷を貯めておく貯氷箱9とが設置されている。製氷装置32は、冷蔵室6に設けられた給水タンク30及び給水装置31とともに自動製氷装置を構成し、給水装置31によって吸い上げられた給水タンク30の水が製氷皿33に供給されるようになっている。
【0012】
冷蔵庫本体2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室6及び野菜室7)の奥部には、冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却するための冷蔵冷却器20が設けられている。冷蔵冷却器20の上方には冷蔵冷却器20で生成された冷気を冷蔵空間に送風する冷蔵ファン21が設けられている。
【0013】
冷蔵庫本体2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室8、小冷凍室、冷凍室10)の奥部には、冷凍温度帯の貯蔵室を冷却するための冷凍冷却器22が設けられている。冷凍冷却器22の上方には冷凍冷却器22で生成された冷気を冷蔵空間に送風する冷凍ファン23が設けられている。
【0014】
冷蔵冷却器20及び冷凍冷却器22は、冷蔵庫本体2の背面下部に形成された機械室24に収納された圧縮機25や凝縮器とともに冷凍サイクルを構成し、圧縮機25から吐出された冷媒によって冷却される。
【0015】
(2)収納容器14
図2及び
図3に示すように、縦仕切壁13と冷蔵室6の右側壁に挟まれたチルド室に収納された収納容器14は、前壁14a、後壁、左右側壁及び底面を備える上面に開口する略直方体状の容器である。
【0016】
前壁14aの上端部には、前壁14aの前方及び上方へ突出する容器突出部15が設けられている。
図3に示すように、容器突出部15は、収納容器14の前壁14aの前方に間隔をあけて設けられた容器正面部16と、容器正面部16と前壁14aとを連結する左右方向に延びる連結部17と、容器正面部16及び連結部17の左右側部と前壁14aとを連結する側面部18とを備える。
【0017】
連結部17は、前壁14aの上部から前方へ略水平に突出し、容器正面部16の下部に連結されている。連結部17の下方には、容器正面部16と前壁14aとの間に下方に開口する容器手掛け部19が形成されている。容器手掛け部19は、使用者の指が下方から挿入され収納容器14を出し入れする際に手掛けとして機能する。
【0018】
容器正面部16は、左右方向に収納容器14の全幅にわたって設けられ、棚板12と収納容器14の上面開口部の前端との間で形成された隙間を前方から閉塞している。容器正面部16の上端部には、上方に行くほど後方へ傾斜する容器傾斜部16dが形成されている。
【0019】
容器正面部16の下端部には、上下方向の寸法が一定に設けられた左右方向に延びる帯状の第2強調部16aが設けられている。第2強調部16aは、容器正面部16の他の部分と視覚的に区別可能な領域であり、例えば、材質や色彩や模様や部材厚み等が異なる領域である。この第2強調部74aは、着色や表面加工や金属蒸着などによって他の部分より透明度が低い部分であることが好ましい。
【0020】
(3)給水タンク30
給水タンク30は、
図4~
図8に示すように、上面に開口する容器本体36と、容器本体36の上面開口を閉塞する蓋体38とを備える。給水タンク30は、容器本体36に給水装置31を介して製氷皿33へ給水するための水(製氷水)を貯水し、蓋体38によって製氷水が容器本体36からこぼれるのを防止する。
【0021】
容器本体36は、左右の側壁36cの間隔に比べ前壁36aと後壁36bとの間隔が大きい前後方向に長い略直方体状の合成樹脂製の容器である。容器本体36は、容器本体36の前側に設けられた容器幅広部37と、容器幅広部37の後側に設けられた容器幅狭部39とを備える。
【0022】
容器幅広部37は、前壁36aと左右の側壁36cの前部で区画された部分である。容器幅広部37の後部には、後方に行くほど幅狭となるくびれ部37aが形成され、くびれ部37aの後端に容器幅狭部39が設けられている。容器幅狭部39は、くびれ部37aの後端から後方へ延びる左右の側壁36cと後壁36bで区画された部分であり、容器幅広部37より左右方向(幅方向)に狭くなっている。
【0023】
また、容器本体36は、前壁36aの上端部から前方及び上方に突出するように前壁36aの略全幅にわたって設けられた前突出部40と、左右の側壁36cに設けられた容器係止部42と、上面開口部の周縁部から外方へ突出する容器フランジ部44とを備える(
図5及び
図7参照)。
【0024】
前突出部40は、前壁36aの前方に間隔をあけて設けられたタンク正面部46と、タンク正面部46の左右両端に設けられた側面部47と、タンク正面部46の上端に設けられた上面部48と、容器本体36の前壁36aから上方へ突出する背面部41を備え、側面部47の下部が容器本体36の上端両側部に連結され、側面部47の上部及び上面部48が背面部41に連結されている。
【0025】
前突出部40は、タンク正面部46と前壁36aとの間に下方に開口するタンク手掛け部49が形成されている(
図6参照)。タンク手掛け部49は、使用者の指が下方から挿入され給水タンク30を引き出す際に手掛けとして機能する。
【0026】
タンク正面部46は、上方に行くほど後方へ傾斜しており、その傾斜角度が、
図3に示すように収納容器14の前面部を構成する容器正面部16と略同一の傾斜角度を有している。本実施形態では、給水タンク30のタンク正面部46及び収納容器14の容器正面部16は、上方に行くほどごく僅かに鉛直方向より後方へ傾斜している。
【0027】
なお、タンク正面部46は、上側に行くほど肉厚に設けられていることが好ましい。また、タンク正面部46の前面及び背面は、上方に行くほどごく僅かに鉛直方向より後方へ傾斜し、鉛直方向に対するタンク正面部46の背面の角度が、鉛直方向に対するタンク正面部46の前面の角度より大きく設定されていることが好ましい。
【0028】
タンク正面部46は、左右方向に前壁36aの全幅にわたって設けられ、上下方向に収納容器14の容器正面部16の下端と同じ高さから容器正面部16の上端と同じ高さまで設けられている。本実施形態では、給水タンク30のタンク正面部46の上端部に上方に行くほど後方へ傾斜するタンク傾斜部46dが容器傾斜部16dと同じ高さに略平行に形成されている。
【0029】
タンク正面部46の下端部には、上下方向の寸法が一定に設けられた左右方向に延びる帯状の第1強調部46aが設けられている。第1強調部46aは、タンク正面部46の他の部分と視覚的に区別可能な領域であり、例えば、材質や色彩や模様や部材厚み等が異なる領域である。この第1強調部46aは、着色や表面加工や金属蒸着などによって他の部分より透明度が低い部分であることが好ましい。
【0030】
第1強調部46aの下端46bは、タンク正面部46の下端に位置し、チルド室に収納された収納容器14の第2強調部16aの下端16bと同じ高さに位置する。また、第1強調部46aの上端46cは、チルド室に収納された収納容器14の第2強調部16aの上端16cと同じ高さに位置する。
【0031】
前突出部40の上面部48は、タンク正面部46の上端から後方へ行くほど低くなるように傾斜する傾斜面をなし、上面部48の後端48aが背面部41の上端に連結されている。背面部41は、容器本体36の上面開口部の前端から上方に行くほどごく僅かに鉛直方向より前方へ傾斜する傾斜面をなしている。
なお、前突出部40の上面部48は、タンク正面部46の上端から後方へ行くほど水平方向に対する傾斜角度が漸次小さくなるように湾曲する傾斜面であってもよい。また、前突出部40は上方に行くほどタンク正面部46の幅方向の寸法が小さくなる先細形状をなしていることが好ましい。
【0032】
容器フランジ部44は、容器本体36の上面開口部の周縁部から外方へ突出する部分である。容器フランジ部44は、前壁36a、左右の側壁36c、後壁36bの上端部に設けられ、容器本体36の上面開口部の全周に設けられている。
【0033】
くびれ部37aの後方において左右の側壁36cの上端部から側方へ突出する容器フランジ部44には、側壁36cからの突出量が小さくなるように幅方向内方へ凹んだ切欠部44aが設けられている。切欠部44aにおいて側壁36cに沿った縁部には、下方へ突出する容器係止部42が設けられている。
【0034】
蓋体38は、容器本体36の上面開口を覆う蓋本体50と、蓋本体50の左右の側端部に設けられた固定部材51とを備える合成樹脂成形体である。
【0035】
蓋本体50は、蓋本体50の前側に設けられた蓋幅広部52と、蓋幅広部52の後側に設けられた蓋幅狭部53と、蓋幅狭部53に設けられた蓋フランジ部54を備える。蓋幅広部52は、容器本体36の容器幅広部37と幅方向長さが略同一に設けられ、容器幅広部37の上面を覆うようになっている。蓋幅狭部53は、容器本体36の容器幅狭部39と幅方向長さが略同一に設けられ、容器本体36の容器幅狭部39の上面を覆うようになっている。
【0036】
蓋フランジ部54は、蓋幅狭部53の左右側面及び背面の下端部から外方へ突出する部分であり、蓋幅狭部53の側方に幅方向内方へ凹んだ取付凹部55が形成されている。取付凹部55には、固定部材51が設けられている。
【0037】
また、蓋フランジ部54の下面には、下方へ延びる垂下壁56,57が設けられている。垂下壁56は、垂下壁57の内側に間隔をあけて設けられており、垂下壁57より下方へ長く延びている。
【0038】
蓋本体50は、両垂下壁56,57の間において容器本体36の左右側壁36c及び後壁36bの上端が嵌まり、蓋幅広部52の前面52aが容器本体36の前壁36aの上端部に密着することで、蓋幅広部52の後端部52cが容器幅広部37の後端部(つまり、くびれ部37aの先端部)と上下方向に重なるように、容器本体36の上面開口を閉塞する。
【0039】
蓋本体50が、容器本体36の上面開口を閉塞すると、蓋幅広部52及び蓋幅狭部53が容器本体36の上面開口部より上方へ突出し、蓋幅広部52の前面52aが前突出部40の背面部41と近接対向する。その際、
図6に示すように、蓋体38の上面前端を構成する蓋幅広部52の上面前端52bが、前突出部40の上面部48の後端48aと同じ高さに位置していることが好ましい。また、容器本体36の前突出部40の後端における幅方向長さが、容器幅広部37の前端や蓋幅広部52の前端における幅方向長さと同一であることが好ましい。
【0040】
図4,
図5及び
図7に示すように、固定部材51は、蓋フランジ部54の取付凹部55に設けられた前後方向に延びる回動軸58に回動可能に支持され、蓋幅狭部53の側方に配置されている。固定部材51は、回動軸58の下方に左右の側壁36cへ向けて突出する蓋係止部59と、蓋係止部59の更に下方に操作部60とが設けられている。
【0041】
なお、固定部材51の外側面には、幅方向外方へ突出する外側突条61が前後方向に沿って設けられてもよい。また、
図9に示すように、蓋係止部59を前後方向に間隔をあけて複数箇所(本実施形態では2箇所設ける)を設けても良く、複数箇所の蓋係止部59の間に前後方向に延びる内側突条62を設けても良い。内側突条62を設ける場合、蓋係止部59に内側突条62が接続されていることが好ましい。
【0042】
このような外側突条61及び内側突条62は、固定部材51を補強するとともに、固定部材51が容器本体36の容器係止部42と係止している状態で給水タンク30を上から保持する際に外側突条61が滑り止めとして機能し、固定部材51と容器本体36の容器係止部42との係合を解除した状態で蓋体38を容器本体36から取り外す際に内側突条62が滑り止めとして機能する。
【0043】
固定部材51は、使用者が操作部60を側壁36cに接近するように回動することで、
図4及び
図7に示すように蓋係止部59が容器係止部42に係止して蓋体38を容器本体36に固定する。このように蓋係止部59が容器係止部42に係止した状態では、
図7及び
図8に示すように、固定部材51が容器幅広部37の後方であって容器幅狭部39の側方に位置し、固定部材51の外側面が、容器幅広部37の外側面と前後方向に重なる、又は、容器幅広部37の外側面より容器本体36の幅方向内側に位置することが好ましい。つまり、固定部材51が容器幅広部37より幅方向外方へ突出することなく容器幅広部37の後方に配置されることが好ましい。
【0044】
また、固定部材51の蓋係止部59と容器係止部42との係合を解除する場合は、使用者が側壁36cから離れるように操作部60を回動することで、蓋係止部59が容器係止部42から外れ、容器本体36に対する蓋体38の固定を解除する。
【0045】
なお、本実施形態では、蓋係止部59が容器係止部42から外れた後、
図9及び
図10に示すように、蓋幅狭部53の側面に近づくように操作部60を上方へ回動すると、固定部材51は、蓋幅広部52の後方であって、蓋幅狭部53の側方に配置される。その際、固定部材51は、蓋幅広部52より幅方向外方へ突出することなく蓋幅広部52の後方に配置されることが好ましい。
【0046】
このような給水タンク30は、
図2に示すように冷蔵室6の左側壁と縦仕切壁13に挟まれたタンク室に収納されると、給水タンク30の前面部とチルド室に収納された収納容器14の前面部が左右方向(冷蔵庫幅方向)に重なるようになっている。
【0047】
具体的には、
図3に示すように、給水タンク30及び収納容器14をそれぞれタンク室及びチルド室に収納すると、給水タンク30のタンク正面部46と収納容器14の容器正面部16との前後方向位置が一致するとともに、給水タンク30のタンク正面部46に設けられた第1強調部46aと収納容器14の容器正面部16に設けられた第2強調部16aaとの前後方向位置が一致する。
【0048】
給水タンク30のタンク正面部46は、収納容器14の容器正面部16と略同一の傾斜角度を有しているため、給水タンク30のタンク正面部46が、チルド室に設けられた収納容器14の容器正面部16と左右方向に重なる。
【0049】
また、給水タンク30に設けられた第1強調部46aの下端46b及び上端46cが、収納容器14に設けられた第2強調部16aの下端16b及び上端16cと高さ方向に一致するように設けられているため、第1強調部46aが第2強調部16aと左右方向に重なり、左右方向に連続した一続きの模様を構成する。
【0050】
(4)効果
以上のような本実施形態では、給水タンク30の容器本体36が、前側に設けられた容器幅広部37と、容器幅広部37の後側に設けられた容器幅狭部39とを備える。そのため、使用者が容器本体36を前方から把持しやすく、給水タンク30に貯水した状態であっても容易に給水タンク30を水平に保持することができ、貯水した水をこぼすことなくタンク室に給水タンク30を収納することができる。しかも、タンク室に給水タンク30を収納すると、容器幅狭部39が容器幅広部37の後方に隠れ前方から目立ちにくくなり、冷蔵庫の意匠性を向上することができる。
【0051】
また、本実施形態のように容器幅広部37の後方において固定部材51の蓋係止部59が容器係止部42と係止する場合、タンク室に給水タンク30を収納すると固定部材51が容器幅広部37の後方に隠れ前方から目立ちにくくなり、冷蔵庫の意匠性を向上することができる。
【0052】
また、本実施形態のように蓋幅広部52の後側に設けられた蓋幅狭部53の側方に固定部材51が設けられている場合、固定部材51が蓋体38の側面から大きく飛び出ることがなく外観をすっきりとさせることができ、給水タンク30の意匠性を向上することができる。特に、蓋体38が容器本体36の上面開口を閉塞した状態において、容器幅広部37の後端と蓋幅広部52の後端が上下方向に重なっている場合、容器本体36と蓋体38との一体感が増し、より一層、給水タンク30の意匠性を向上することができる。
【0053】
また、容器本体36が蓋体38の前方に上方へ突出する前突出部40を備える場合、タンク室に給水タンク30を収納すると、蓋体38が前突出部40の後方に隠れ前方から目立ちにくくなり、冷蔵庫の意匠性を向上することができる。
【0054】
また、蓋体38が容器本体36の上面開口を閉塞した状態において、蓋幅広部52の上面前端52bが、前突出部40の上面部48の後端48aと同じ高さに位置している場合、容器本体36と蓋体38との一体感が増し、より一層、給水タンク30の意匠性を向上することができる。
【0055】
また、容器幅広部37の前端における幅方向長さが、容器本体36の前突出部40の後端における幅方向長さと同一である場合、容器本体36と蓋体38との一体感が増し、より一層、給水タンク30の意匠性を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態において、給水タンク30の前面部を構成するタンク正面部46が、収納容器14の前面部を構成する容器正面部16と左右方向に重なる場合、給水タンク30と収納容器14のデザインが統一され、冷蔵庫の意匠性を向上することができる。
【0057】
また、本実施形態において、給水タンク30のタンク正面部46に設けられた第1強調部46aと、収納容器14の容器正面部74に設けられた第2強調部74aとが左右方向に重なる場合、左右方向に連続した一続きの模様が形成され、給水タンク30と収納容器14のデザイン上の一体感が強調され、より一層、冷蔵庫の意匠性を向上することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…冷蔵庫、6…冷蔵室、11…仕切板、12…棚板、14…収納容器、30…給水タンク、36…容器本体、36a…前壁、36b…後壁、36c…側壁、37…容器幅広部、37a…くびれ部、38…蓋体、39…容器幅狭部、40…前突出部、41…背面部、42…容器係止部、44…フランジ部、46…タンク正面部、50…蓋本体、51…固定部材、52…蓋幅広部、55…取付凹部、56…垂下壁、57…垂下壁、58…回動軸、59…蓋係止部、60…操作部