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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/18 20060101AFI20240624BHJP
   B65H 1/14 20060101ALI20240624BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B65H1/18 310
B65H1/14 310A
B65H3/06 340E
B65H1/14 320A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020068156
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021165177
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深田 一路
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-040802(JP,A)
【文献】特開2018-127312(JP,A)
【文献】特開2012-193010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/18
B65H 1/14
B65H 3/06
B65H 1/24
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される、昇降動作が可能なシート積載部と、
前記シート積載部に積載されたシートを画像形成装置のシート搬送路へ給送するための給送部材であって、前記シートに当接する当接位置と、前記シートに対して上方に離間する離間位置と、に昇降移動が可能に構成された給送部材と、
前記シート積載部の昇降動作と、前記給送部材の昇降移動と、を制御する制御部と、
を備えたシート給送装置において、
前記給送部材が前記シートを前記シート搬送路へ給送可能な給送位置にあるのか否かを検知する検知手段を備え、
前記当接位置にある前記給送部材を前記離間位置へ移動させる離間動作において、前記給送部材は、前記シート積載部が下降動作を開始した後に、前記シート積載部に積載されたシートから上方に離間し、
前記制御部は、前記離間動作において、前記検知手段が、前記給送部材が前記給送位置から外れていることを検知した後に、前記給送部材が前記給送位置にあることを検知することで、前記離間動作が完了したと判断することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記離間動作において、前記給送部材は、前記シート積載部に積載されたシートに当接したまま前記給送位置の高さから前記シート積載部の下降動作に合わせて下降して前記給送位置から外れた高さとなり、その後、前記シート積載部に積載されたシートから上方に離間するように上昇して前記給送位置の高さまで戻ることを特徴とする請求項に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記シート積載部を昇降動作させる積載部駆動ユニットと、
前記給送部材を昇降移動させる給送部材駆動ユニットと、
前記積載部駆動ユニットと前記給送部材駆動ユニットのそれぞれに駆動力を供給する単一の駆動源と、
を備え、
前記離間動作において、前記積載部駆動ユニットが前記駆動力によって前記シート積載部の下降を開始した後に、前記駆動力が前記給送部材駆動ユニットに供給される状態となることを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記積載部駆動ユニットは、前記単一の駆動源から供給された駆動力による前記積載部駆動ユニットの動作に連動して、前記給送部材駆動ユニットを動作させる力を前記給送部材駆動ユニットに伝達する伝達部を有し、
前記給送部材駆動ユニットは、前記伝達部から力を受ける被伝達部を有し、
前記離間動作において、前記伝達部と前記被伝達部は、前記積載部駆動ユニットが前記駆動力によって前記シート積載部の下降を開始した時点では、互いに離間した非連動状態にあり、その後、互いに当接して前記駆動力が前記伝達部から前記被伝達部に伝達される連動状態となることを特徴とする請求項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記給送部材駆動ユニットは、前記被伝達部として、前記給送部材と一体に移動可能に構成されたレバー部材を有し、
前記レバー部材は、前記給送部材が前記シート積載部に積載されたシートに押し付けられるように付勢されており、
前記積載部駆動ユニットは、前記伝達部として、前記レバー部材に対して進退移動が可能に構成されたリンク部材を有し、
前記リンク部材は、前記給送部材が前記シートを前記シート搬送路へ給送可能な給送位置にあるときは、前記レバー部材から離れており、前記シート積載部が下降動作を開始すると、前記レバー部材に向かって移動して当接し、前記レバー部材に作用する付勢力に抗して前記レバー部材を押し上げることで、前記給送部材を前記シートから離間させることを特徴とする請求項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記給送部材としての給送ローラと、
前記給送ローラを駆動するためのモータと、
前記給送ローラと一体に移動可能に構成されたレバー部材と、
前記レバー部材に対して進退移動が可能に構成されたスライダ部材と、
前記シートを前記シート搬送路へ給送する際に前記モータが前記給送ローラに供給する回転駆動力とは逆方向の回転駆動力を前記モータから供給されることで、前記スライダ部材を前記レバー部材に対して進退移動させる連動部材と、
を備え、
前記スライダ部材は、前記給送部材が前記シートを前記シート搬送路へ給送可能な給送位置にあるときは、前記レバー部材から離れており、前記シート積載部が下降動作を開始すると、前記レバー部材に向かって移動して当接し、前記レバー部材に作用する付勢力に抗して前記レバー部材を押し上げることで、前記給送部材を前記シートから離間させることを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記シート積載部を昇降動作させる積載部駆動ユニットと、
前記積載部駆動ユニットに駆動力を供給する、前記モータとは異なる駆動源と、
を備えることを特徴とする請求項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記給送部材は、シート給送装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部にシートを給送するシート給送部と、
を備える画像形成装置であって、
前記シート給送部が、請求項1~のいずれか1項に記載のシート給送装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置及びそれらに備えられるシート給送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタや複写機などの画像形成装置においては、シートに画像を形成する画像形成部に向けてシートを自動給送するためのシート給送ユニットと、シートを収納し昇降可能に設けられたシート積載トレイとを備えている構成が一般的である。このような画像形成装置に用いられるシート給送ユニットには、シート積載トレイに積載された最上位のシートを画像形成部に送り出すためのピックローラと、ピックローラから送り出されたシートを一枚ずつに分離するための分離部がそれぞれ設けられている。また、シート積載トレイには、シートを収納するためのシート収納部が設けられており、複数の規定サイズのシートを一定の枚数まで収納することができる。トレイごと装置本体にシートが収納されると、シートを昇降するためのトレイ昇降部により、給送動作時にシートはリフトアップされ、ピックローラと最上位のシートは当接する。その後更に昇降動作を継続することでシートはピックローラと当接したまま給送可能な位置まで持ち上げられる。ここでピックローラの位置を検出するセンサの信号の切り替わりを用いることで、シートの収納枚数やサイズに依らず、給送動作を開始する際の最上位のシートの位置を一定にし、安定した給送動作を実現している。
【0003】
上記のような構成のシート給送ユニットとシート積載トレイでは、給送動作が終了してもピックローラと最上位のシートとの当接状態は維持される。ここでローラとシートが当接したまま長時間経過すると、ローラゴムの油成分がシートに染み出したり、ローラの押圧跡がシートに残留したりしてしまう可能性がある。そのようなシートを印刷に使用すると、表面性の変化から画像不良を引き起こすことが懸念される。そのため給送動作後にはピックローラとシートとの当接状態を解除し、離間させることが望ましい。当接状態が長時間維持されることによる画像不良を防止するために、当接状態からシート積載トレイを下降させたり(特許文献1)、ピックローラを上昇させたり(特許文献2)する手段が一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-064805号公報
【文献】国際公開第2011/007406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例ではシート搬送トレイとピックローラとの離間位置のバラつきが大きくなってしまう課題があった。
【0006】
特許文献1のように離間動作をシート搬送トレイの下降によって行う場合、離間動作が開始するとピックローラの位置を検出するセンサの信号が切り替わる。しかしそのセンサ信号の切り替わりを検知した瞬間には、ピックローラと最上位のシートとの離間は完了していない。そのため、センサ信号の切り替わりから更に一定時間シート搬送トレイを下降させる。一方、特許文献2のように離間動作をピックローラの上昇によって行う場合、ピックローラの位置を検出するセンサの信号の切り替わりは発生しない。そのため、離間動作が完了するまで一定時間上昇を継続する。
【0007】
ここでシート搬送トレイまたはピックローラの昇降動作を行う駆動源の回転保証制御を行わない場合、負荷トルク変動などの外乱要因により、回転数がばらつくことによって離間位置がばらつく。離間位置のばらつきに伴い、装置の小型化が困難になったり、離間動作後に再当接する時間や給紙準備時間が長くなることから、ユーザーの印刷時間が長くなってしまったりするおそれがある。また、シート搬送トレイまたはピックローラの離間位置のばらつきを小さくするために、昇降動作に回転保証制御が可能な駆動源を用いたり、シート搬送トレイまたはピックローラが離間位置まで昇降したことを検知できるセンサを追加したりする場合、コストアップ等を招く。
【0008】
本発明の目的は、シート搬送トレイ等のシート積載部に積載されたシートに対して給送ローラ等の給送部材を離間させる制御において、離間状態を簡易な構成でバラつき少なく検知することを可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明におけるシート給送装置は、
シートが積載される、昇降動作が可能なシート積載部と、
前記シート積載部に積載されたシートを画像形成装置のシート搬送路へ給送するための給送部材であって、前記シートに当接する当接位置と、前記シートに対して上方に離間する離間位置と、に昇降移動が可能に構成された給送部材と、
前記シート積載部の昇降動作と、前記給送部材の昇降移動と、を制御する制御部と、
を備えたシート給送装置において、
前記給送部材が前記シートを前記シート搬送路へ給送可能な給送位置にあるのか否かを検知する検知手段を備え、
前記当接位置にある前記給送部材を前記離間位置へ移動させる離間動作において、前記給送部材は、前記シート積載部が下降動作を開始した後に、前記シート積載部に積載されたシートから上方に離間し、
前記制御部は、前記離間動作において、前記検知手段が、前記給送部材が前記給送位置から外れていることを検知した後に、前記給送部材が前記給送位置にあることを検知することで、前記離間動作が完了したと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、シートに対する給送部材の離間制御のために、新たな位置検出手段を追加することを必要とせず、離間位置のばらつきを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置本体の全体構成を示した断面図
図2】画像形成装置に設けられた給送ユニットの概略構成を示す断面図
図3】画像形成装置に設けられたカセット内の本発明の実施例のリフトアップ概略構成を示す斜視図
図4】画像形成装置に設けられたリフトアップ駆動と本発明の実施例1である給送ローラ当接離間構成との概略連結構成を示す斜視図
図5】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの当接状態を示す断面図
図6】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの離間状態を示す断面図
図7】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの当接状態を示す簡易断面図
図8】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの離間動作を示す簡易断面図
図9】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの離間動作を示す簡易断面図
図10】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの離間完了状態を示す簡易断面図
図11】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートの離間動作と、給装ローラの位置を検出するセンサの検知状態と、給送ローラユニットおよび当接離間レバーを支持している部材の関係を示す表
図12】実施例1の給送ローラとリフトアッププレートのリフトアップ開始前の様子を示す簡易断面図
図13】画像形成装置に設けられたリフトアップ駆動と実施例2である給送ローラ当接離間構成との概略連結構成を示す斜視図
図14】実施例2の給送ローラとリフトアッププレートの当接状態を示す断面図
図15】実施例2の給送ローラとリフトアッププレートの離間状態を示す断面図
図16】実施例2の給送ローラとリフトアッププレートの当接状態を示す簡易断面図
図17】実施例2のリフトアッププレートの離間動作を示す簡易断面図
図18】実施例2の給送ローラの離間動作を示す簡易断面図
図19】実施例2の給送ローラとリフトアッププレートの離間完了状態を示す簡易断面図
図20】実施例2の給送ローラとリフトアッププレートの離間動作と、給装ローラの位置を検出するセンサの検知状態と、給送ローラユニットおよび当接離間レバーを支持している部材の関係を示す表
図21】実施例2の給送ローラとリフトアッププレートのリフトアップ開始前の様子を示す簡易断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0013】
(実施例1)
[全体構成]
図1は、画像形成装置及び用紙給送装置の全体構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、電子写真記録方式によって画像を形成するものであり、シート(記録材)Sを画像形成部へ搬送してトナー像を転写し、そのシートSを定着部へ搬送してトナー像を定着した後、排出部へと排出するものである。
【0014】
シートSは、装置下部に装填されたシート積載部としてのカセットユニット3に積載収納されている。このシートSは、シートSを、画像形成部5に向けて、画像形成装置1の装置本体のシート搬送路上へ供給するための給送ユニット2に設けられた、反時計回り方向に回転する給送ローラ211によって最上位のシートから順に繰り出される。搬送ローラ対4により画像形成部5に送られる。ここで、画像形成部5は、感光体ドラム51及び感光体ドラム51に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジPを装置本体に着脱可能とするカートリッジ方式である。
【0015】
画像形成部5では、レーザスキャナ52により画像情報に応じたレーザ光が感光体ドラム51上に照射されることで、感光体ドラム51上に静電潜像を形成し、その後、プロセスカートリッジP内の現像部(不図示)にてトナー現像を行っている。画像形成部5に送られたシートSは、転写ローラ53へのバイアス印加により、このトナー画像が未定着画像として転写された後、定着部6に送られる。定着部6は、定着フィルムと定着フィルム内面側に配置された発熱手段としてのセラミックヒータ等によって構成される加熱ユニット61と、これと圧接する加圧ローラ62によって定着ニップを形成している。シートSはこの定着ニップを通過することで未定着画像が永久定着されることとなる。そして、シートSはシート排出経路7を経由して、排出ローラ対8により機外に排出され、排出トレイ9上に積載される。
【0016】
本実施例では、シートSに画像を形成する画像形成部として、転写部と定着部を用いた
電子写真画像形成プロセスを採用しているが、本発明はこれに限定されるべきではない。たとえば、本発明はシートSに画像形成する画像形成部として、ノズルからインク液を吐出させることによって、シートに画像を形成するインクジェット画像形成プロセスを用いるものであってもよい。
【0017】
[給送ユニット2]
次に画像形成装置1に搭載される給送ユニット2の詳細な構成に関して、図2を用いて説明する。図2は給送ユニット2の断面を表したものである。画像形成装置1において、給送ユニット2とカセットユニット3、およびそれらの動作制御にかかわる各種構成が、本発明のシート給送装置、シート給送部に相当する。また、画像形成装置1の各種構成のうち、後述するシート積載部としてのリフトアッププレート31の昇降動作にかかわる構成が、本発明の積載部駆動ユニットに相当する。また、後述する給送部材としての給送ローラ211の昇降移動にかかわる構成が、本発明の給送部材駆動ユニットに相当する。さらに、それら各ユニットの制御にかかわる構成が、本発明の制御部に相当する。
【0018】
図2に示す給送ユニット2は、シート積載部としてのカセットユニット3内のリフトアッププレート31に積載されたシートSを搬送ローラ212の下流側に搬送することが出来る。リフトアッププレート31は、カセットユニット3内に配設された軸(不図示)に回転可能に支持されており、給送ユニット2に設けられている給送ローラ211にシート最上面が当接するまでリフトアップされる。給送ローラ211と搬送ローラ212は、ローラホルダ(保持部材)213に保持されている。ローラホルダ213は、搬送ローラ212を中心に(搬送ローラ212を支点として)揺動可能に構成されている。ローラホルダ213には給送ローラ加圧機構(不図示)により、カセット3内のリフトアッププレート31に積載されたシートSに対して一定の給送ローラ圧を付与する。
【0019】
[給送ローラユニット21]
続いて、給送ローラユニット21の構成について図2を用いて説明する。本実施例においては、給送ローラ211、搬送ローラ212、ローラホルダ213、アイドラギア214を含むユニットを給送ローラユニット21と称している。
【0020】
給送ユニット2及び給送ローラユニット21は、リフトアッププレート31に積載されたシートSを検知するシート検知手段を有する。シート検知手段は、給送フレーム22にセンサ215が設けられ、ローラホルダ213に検知部(被検知部)213aが設けられて構成される。センサ215は、例えば、光学センサであり、発光部の検知光を受光部が受光することを検知部213aによって妨げられると(遮光状態)、ONとなり、受光部が検知光を受光すると(透過状態)、OFFとなるセンサを用いることができる。給送ローラユニット21が前述のように揺動可能に設けられている。リフトアッププレート31に積載されたシートSと給送ローラ211が接触して給送ローラユニット21は上方に移動し、検知部213aをセンサ215が検知することで、リフトアッププレート31に積載されたシートSの最上位面の位置と給送ローラの位置を検知する。
【0021】
図2に示すように、リフトアッププレート31に積載されたシートSは給送ローラ211に当接する。単一の駆動源としてのリフトアップモータ35の駆動力によりリフトアッププレート31が上昇すると、給送ローラ211がリフトアッププレート31に積載されたシートSの最上面に当接し、給送ローラユニット21が持ち上げられて上方に回動する。前述の通り、ローラホルダ213の検知部213aの回動をセンサ215が検知し、リフトアップモータ35の駆動を止めてリフトアッププレート31の揺動が止まり、シートSの位置が決まる構成になっている。シートSが積載されていない状態では、リフトアッププレート31が給送ローラ211に当接し、リフトアッププレート31の位置が決まる。これにより、常にリフトアッププレート31に積載されたシートSの位置が給送ローラ
211により給送可能な位置となる。
【0022】
次に、シートSを給送する動作について説明する。装置本体に取り付けられた給紙搬送モータ(不図示)を駆動させて給送ローラ211及び搬送ローラ212を回転させる。給送ローラ211によって給送されたシートSは搬送ローラ212と分離ローラ24により1枚に分離され、搬送ローラ対4へ給送される。シートSが画像形成部に給送され、リフトアッププレート31に積載されたシートSの枚数が減少していくと、給送ローラ211が下方向に徐々に移動していく。
【0023】
一定枚数のシートSが給送され、ローラホルダ213の検知部213aがセンサ215に検知されない位置まで移動すると、リフトアップモータ35がリフトアッププレート31を再び上昇させる。リフトアッププレート31を、ローラホルダ213の検知部213aがセンサ215に検知される位置まで上昇させる。これにより、リフトアッププレート31に積載されたシートSの高さを常に一定の範囲内に制御している。
【0024】
[カセットユニット3のリフトアップ構成]
次に画像形成装置1に搭載されるカセット3内部のリフトアップ構成に関して、図3を用いて説明する。図3はカセット3内部のリフトアップ概略構成を示す斜視図である。図3(a)は初期状態、図3(b)はリフトアップ状態を示している。
【0025】
図3に示すリフトアップ構成はリフトアッププレート31、リフトアッププレート31を持ち上げるリフトアップ部材32、リフトアップモータ35からの駆動をリフトアップ部材32に伝達するリフトアップ入力ギア34、リフトアップ出力ギア33で構成される。リフトアップモータ35が駆動することで、リフトアップ入力ギア34、リフトアップ出力ギア33に駆動伝達される。リフトアップ出力ギア33はリフトアップ部材32に接続され、リフトアップ出力ギア33の駆動と同時にリフトアップ部材32を回動させる。リフトアッププレート31は、各種サイズのシートSを積載収納するカセット本体内部に設けられた軸(不図示)を中心に回動し、図3(b)のように、リフトアップ部材32に持ち上げられて積載されたシートSを給送ローラ211に向けて押圧する。
【0026】
本発明における実施例1について図4図12を用いて説明する。
まず、全体の構成について図4を用いて説明する。図4はリフトアップ駆動と本発明の実施例1である給送ローラ当接離間部との連結構成を表している。リフトアッププレート31までの連結構成は前述の通りである。給送ローラ当接離間部はリフトアップモータ35の駆動を伝達する当接離間ギア36、当接離間ギア36に接続される当接離間リンク37、当接離間リンク37と給送ローラユニット21に接続され、上下に回動可能な当接離間レバー25で構成される。伝達部もしくはリンク部材としての当接離間リンク37は、リフトアップ駆動ユニットに設けられており、被伝達部もしくはレバー部材としての当接離間レバー25は、給送フレーム22に設けられている。当接離間リンク37は、離間レバー25に対して進退移動可能に構成されている。
【0027】
また、給送ローラユニット21は当接離間レバー25の回動に連動して回動する。当接離間リンク37にはラック37aが設けられており、リフトアップモータ35の駆動により回転する当接離間ギア36の回転移動を上下移動に変換する。これにより、当接離間リンク37は上下可動となる。当接離間レバー25は付勢部材(不図示)でリフトアッププレート31方向に付勢された状態で当接離間リンク37に乗っており、当接離間リンク37の上下移動に連動して上下に回動する。また、給送ローラユニット21は給送フレーム22に着脱可能に取り付けられており、当接離間レバー25の動作に連動して給送ローラユニット21が揺動する。
【0028】
続いて、本発明における実施例1での給送ローラ211とシートSの当接離間動作の概略について図5、6を用いて説明する。図5は給送ローラ211とシートSが当接している状態、図6は給送ローラ211とシートSが離間している状態をそれぞれ表している。図5、6の(a)は搬送路の幅方向から見た給送ローラ当接状態と離間状態を示す断面図であり、図5、6の(b)は搬送方向下流側から見た給送ローラ当接状態と離間状態を示す断面図である。
【0029】
カセットユニット3にシートSを積載して、図5のように給送ローラ211に当接した状態になるまでの手段は下記の通りである。リフトアップモータ35をある方向へ回転駆動させると、当接離間リンク37が矢印A方向へ下降し、それに連動して当接離間レバー25も矢印A方向へ下降する。当接離間レバー25に連動して給送ローラユニット21は矢印W方向へ回動する。
【0030】
この時、リフトアッププレート31は前述のリフトアップ構成での説明の通り、給送ローラ211へ当接させる矢印V方向へ上昇し、給送ローラ211に当接して、シートS給送位置まで上昇する。前述のシート検知手段により、センサ215がローラホルダ213の検知部213aを検知すると、リフトアップモータ35が止まり、リフトアップ及び給送ローラ211の当接が完了する。このとき、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持しているのはリフトアッププレート31およびシートSである。
【0031】
次に、図6のように給送ローラ211からシートSが離間した状態になるまでの手段は下記の通りである。リフトアップモータ35を逆方向へ回転駆動させると、逆方向の回転駆動力を受けることで、当接離間ギア36の回転が逆になるため、当接離間リンク37が矢印B方向へ上昇し、当接離間レバー25を矢印B方向へ持ち上げて上昇させる。当接離間レバー25の上昇に連動して給送ローラユニット21は矢印Y方向へ回動する。
【0032】
このとき、リフトアップ駆動もリフトアップとは逆側に回転するため、リフトアップ出力ギア33の逆回転により、リフトアップ部材32は下方へ回動する。それに連動してリフトアッププレート31は給送ローラ211から離間する矢印X方向へ下降する。給送ローラ211とリフトアッププレート31が互いに離間する方向に回動し、給送ローラ211がシートSから離間する。このとき、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持しているのは当接離間リンク37である。
【0033】
続いて、本発明における実施例1での離間動作の詳細について図7~12を用いて説明する。
【0034】
図7~10は、給送ローラ211とリフトアッププレート31の離間動作を簡易化した図である。図7~10の(a)は搬送路の幅方向から見た給送ローラとリフトアッププレート31の状態を示す断面図であり、図7~10の(b)は搬送方向下流側から見た給送ローラとリフトアッププレート31の状態を示す断面図である。ここで、点線tはシートS給送位置、点線uはセンサ検知位置、点線fは給送ローラ211がシートと当接する面の位置、点線gはシートSが給送ローラ211と当接する面の位置、点線hは当接離間レバー25が当接離間リンク37と当接する面の位置、点線iは当接離間リンク37が当接離間レバー25と当接する面の位置である。
【0035】
図11は、図7~10に示した給送ローラ211とリフトアッププレート31が当接状態から離間状態まで推移する際の給送ローラ211の位置を検出するセンサ215の検知状態と、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材の関係を示した表である。
【0036】
図7は、給送ローラ211とシートSが当接している状態(給送ローラ211が当接位置にある状態)を表している。このときセンサ215は、遮光(ON)状態(給送ローラ211がシート給送可能な給送位置にあることを検知した状態)であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材は、リフトアッププレート31およびシートSである。
【0037】
また、このとき当接離間リンク37と当接離間レバー25の間には一定の間隔d1がある。すなわち、当接離間リンク37の動作が当接離間レバー25に伝達されない非連動状態にある。給送ローラ211は、シートSを給送するため、当接離間レバー25を介して付勢部材(不図示)によってシートSに押し付けられる方向へ付勢されているが、当接離間リンク37と当接離間レバー25の間の間隔d1があることにより、当接離間レバー25を押圧する力は当接離間リンク37には伝達しないため、安定した給送動作を実現できる。
【0038】
また、点線t(シートS給送位置)、点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)、点線g(シートSが給送ローラ211と当接する面の位置)は全て同一の位置にある。
【0039】
図8はリフトアッププレート31が給送ローラ211とシートSが当接した状態でリフトダウン(下降動作)する方向へ離間動作を行う状態を表している。このときセンサ215は透過(OFF)状態(給送ローラ211が給送位置から外れた高さにあることを検知した状態)であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材はリフトアッププレート31およびシートSである。
【0040】
離間動作に伴い、リフトアッププレート31は矢印X方向へ下降、給送ローラユニット21および当接離間レバー25は矢印Y方向へ回動、当接離間リンク37は矢印B方向へ上昇する。このとき、当接離間リンク37と当接離間レバー25との間隔d1は、図7に示した当接状態のときと比較し詰まっている。また、点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)および点線g(シートSが給送ローラ211と当接する面の位置)は、点線t(シートS給送位置)よりも下に位置している。
【0041】
図9は、給送ローラ211とリフトアッププレート31が互いに離間する方向へ動作する状態を表している。図8の状態から更に離間動作を継続すると、当接離間リンク37と当接離間レバー25との間隔d1が段階的に詰まった後に接触し、それと共にシートSと給送ローラ211との当接状態が解除される(給送ローラ211がシートSから上方に上昇して離間する)。すなわち、当接離間リンク37の動作が当接離間レバー25に伝達される連動状態となり、当接離間リンク37の上昇によって当接離間レバー25も上昇する。
【0042】
その後、リフトアッププレート31は矢印X方向へ下降、給送ローラユニット21および当接離間レバー25は矢印Y方向へ回動、当接離間リンク37は矢印B方向へ上昇する。このときセンサ215は透過(OFF)状態であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材は当接離間リンク37になる。点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)およびシートSが点線g(シートSが給送ローラ211と当接する面の位置)は離れた状態で点線t(シートS給送位置)よりも下に位置している。
【0043】
図10は給送ローラ211とシートSとの離間が完了した状態を表している。図9の状態から更に離間動作を継続すると、リフトアッププレート31は矢印X方向へ下降、給送ローラユニット21および当接離間レバー25は矢印Y方向へ回動、当接離間リンク37
は矢印B方向へ上昇する。このとき、当接離間リンク37が当接離間レバー25に作用する付勢力に抗して当接離間レバー25を押し上げることで、給送ローラ211とシートSは確実に離間している。
【0044】
ここでセンサの検知状態が透過(OFF)状態から遮光(ON)状態に切り替わった瞬間に離間動作を停止することで、給送ローラ211とシートSの離間位置のばらつきを最小化することができるため、給送ローラユニット21やリフトアッププレート31の離間位置を検知する新たなセンサを追加したり、離間動作に回転保証制御の可能な駆動源を用いたりすることによるコストアップを伴わずに、装置の小型化が実現できる。
【0045】
このとき給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材は当接離間リンク37である。また点線t(シートS給送位置)と点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)は同一の位置にある。
【0046】
図12はリフトアッププレート31がリフトアップ前の初期位置であり、給送ローラ211は降下した状態であることを表している。図12(a)は搬送路の幅方向から見た給送ローラとリフトアッププレートの状態を示す断面図であり、図12(b)は搬送方向下流側から見た給送ローラとリフトアッププレートの状態を示す断面図である。
【0047】
図12の状態になるのは、画像形成装置及び用紙給送装置から引き出したカセットユニット3内のリフトアッププレート31上にユーザーがシートSをセットし、再びカセットユニット3を画像形成装置及び用紙給送装置内部に挿入した直後である。
【0048】
このときセンサは透過(OFF)状態であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材は当接離間リンク37である。この状態からリフトアッププレート31をリフトアップさせ、シートSと給送ローラ211が接触した後更に動作を継続し、センサが遮光(ON)状態に切り替わったタイミングでリフトアップを停止する。これで図7に示した当接状態への推移が完了する。
【0049】
本実施例のように、給送ローラ211とシートSとの当接状態が離間状態に推移したことの検知を、シートSの最上位面の位置と給送ローラ211の位置を検知するセンサ215の信号の遮光(ON)、透過(OFF)、遮光(ON)の切り替わりによって行うと、離間動作に回転保証制御が可能な駆動源を用いたり、給送ローラ211およびリフトアッププレート31が離間位置まで昇降したことを検知できるセンサを追加したりすることによるコストアップを伴わずに、離間時に駆動する部材の位置ばらつきを最小化することができる。
【0050】
上記のようなセンサ215の信号の遮光(ON)、透過(OFF)、遮光(ON)の切り替わりは、リフトアップモータ35を使ってリフトアッププレート31と給送ローラユニット21を両方稼動させることによって発生させることが出来る。センサ215の信号の切り替わりを元に離間動作の駆動制御を実施(センサ215の信号の切り替わりで離間動作の完了を判断)することで、リフトアッププレート31と給送ローラユニット21の離間位置ばらつきの最小化を実現している。
【0051】
なお、本実施例では給送ローラユニット21が給送フレーム22から着脱可能な構成を取っているが、着脱しない構成であり当接離間レバー25と給送ローラユニット21の接続が固定されている構成であってもよい。
【0052】
(実施例2)
次に本発明における実施例2について図13図21を用いて説明する。なお、本実施
例が実施例1と異なるところは、給送ローラ当接離間部の連結構成である。また、本実施例においては、実施例1と同じ構成及び機能を成す部品に関しては、実施例1と同じ番号を付すことで、再度の説明は割愛する。
【0053】
まず、全体の構成について図13を用いて説明する。図13は給送ローラ当接離間部の連結構成を表している。図13(a)は搬送方向の上流側から給送ローラ当接離間部を斜視した様子、図13(b)は搬送方向の下流側から給送ローラ当接離間部を斜視した様子をそれぞれ示している。
【0054】
給送ローラ当接離間部は、正回転時に給送ローラ211と搬送ローラ212をシートS搬送時に搬送方向に駆動伝達する給紙搬送モータ38、給紙搬送モータ38の正回転駆動を伝達せず逆回転駆動のみを伝達する当接離間カムギア39、当接離間カムギア39に接続される当接離間スライダ40、当接離間スライダ40と給送ローラユニット21に接続され、上下に回動可能な当接離間レバー25で構成されている。
【0055】
スライダ部材としての当接離間スライダ40にはカム受け面40aが設けられており、連動部材として、給紙搬送モータ38の逆回転駆動により回転する当接離間カムギア39の回転移動を上下移動に変換する。これにより、当接離間スライダ40は上下可動となる。
【0056】
当接離間カムギア39には当接カム面39aと離間カム面39bがそれぞれ設けられており、カム受け面40aに当接カム面39aが面している場合には当接離間スライダ40は給送ローラ211の当接位置、カム受け面40aに離間カム面39bが面している場合には当接離間スライダ40は給送ローラ211の離間位置にそれぞれ移動する。
【0057】
当接離間レバー25は、付勢部材(不図示)でリフトアッププレート31方向に付勢された状態で当接離間スライダ40に乗っており、当接離間スライダ40の上下移動に連動して上下に回動する。また、給送ローラユニット21は給送フレーム22に着脱可能に取り付けられており、当接離間レバー25の動作に連動して給送ローラユニット21が揺動する。
【0058】
続いて、本発明における実施例2での実施例での給送ローラ211とシートSの当接離間動作の概略について図14、15を用いて説明する。図14は給送ローラ211とシートSが当接している状態、図15は給送ローラ211とシートSが離間している状態をそれぞれ表している。図14、15の(a)は搬送路の幅方向から見た給送ローラ当接状態と離間状態を示す断面図であり、図14、15の(b)は搬送方向下流側から見た給送ローラ当接状態と離間状態を示す断面図である。
【0059】
カセットユニット3にシートSを積載して、図14のように給送ローラ211に当接した状態になるまでの手段は下記の通りである。給紙搬送モータ38を逆回転駆動させ、カム受け面40aに当接カム面39aが面すると、当接離間スライダ40が矢印A方向へ下降し、それに連動して当接離間レバー25も矢印A方向へ下降する。当接離間レバー25に連動して給送ローラユニット21は矢印W方向へ回動する。
【0060】
この時、リフトアップモータ35をある方向へ回転駆動させると、リフトアッププレート31は実施例1同様、給送ローラ211へ当接させる矢印V方向へ上昇し、給送ローラ211に当接して、シートS給送位置まで上昇する。前述のシート検知手段により、センサ215がローラホルダ213の検知部213aを検知すると、リフトアップモータ35が止まり、リフトアップ及び給送ローラ211の当接が完了する。このとき、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持しているのはリフトアッププレート31お
よびシートSである。
【0061】
次に、図15のように給送ローラ211からシートSが離間した状態になるまでの手段は下記の通りである。リフトアップモータ35を逆回転に駆動すると、リフトアップ駆動もリフトアップとは逆側に回転するため、リフトアップ出力ギア33の逆回転により、リフトアップ部材32は下方へ回動する。それに連動してリフトアッププレート31は給送ローラ211から離間する矢印X方向へ下降する。
【0062】
この後給紙搬送モータ38を逆回転駆動させ、カム受け面40aに離間カム面39bが面すると、当接離間スライダ40が矢印B方向へ上昇し、当接離間レバー25を矢印B方向へ持ち上げて上昇させる。当接離間レバー25の上昇に連動して給送ローラユニット21は矢印Y方向へ回動する。これにより、給送ローラ211とリフトアッププレート31が互いに離間する方向に回動し、給送ローラ211がシートSから離間する。このとき、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持しているのは当接離間スライダ40である。
【0063】
続いて、本発明における実施例2での離間動作の詳細について図16~21を用いて説明する。
【0064】
図16~19は給送ローラ211とリフトアッププレート31の離間動作を簡易化した図である。図16~19の(a)は搬送路の幅方向から見た給送ローラとリフトアッププレート31の状態を示す断面図であり、図16~19の(b)は搬送方向下流側から見た給送ローラとリフトアッププレート31の状態を示す断面図である。ここで、点線tはシートS給送位置、点線uはセンサ検知位置、点線fは給送ローラ211がシートと当接する面の位置、点線gはシートSが給送ローラ211と当接する面の位置、点線hは当接離間レバー25が当接離間スライダ40と当接する面の位置、点線jは当接離間スライダ40が当接離間レバー25と当接する面の位置である。
【0065】
図20は、図16~19に示した給送ローラ211とリフトアッププレート31が当接状態から離間状態まで推移する際の給送ローラ211の位置を検出するセンサ215の検知状態と、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材の関係を示した表である。
【0066】
図16は給送ローラ211とシートSが当接している状態を表している。このときセンサ215は遮光(ON)状態であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材はリフトアッププレート31およびシートSである。
【0067】
このとき当接離間スライダ40と当接離間レバー25の間には一定の間隔d2がある。給送ローラ211はシートSを給送するため、当接離間レバー25を介して付勢部材(不図示)によってシートS方向へ付勢されているが、当接離間スライダ40と当接離間レバー25の間の間隔d2があることにより、当接離間レバー25を押圧する力は当接離間スライダ40には伝達しないため、安定した給送動作を実現できる。
【0068】
また、点線t(シートS給送位置)、点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)、点線g(シートSが給送ローラ211と当接する面の位置)は全て同一の位置にある。
【0069】
図17はリフトアッププレート31が給送ローラ211とシートSが当接した状態でリフトダウンする方向へ離間動作を行う状態を表している。このときセンサ215は透過(OFF)状態であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している
部材はリフトアッププレート31およびシートSである。
【0070】
離間動作に伴い、リフトアッププレート31は矢印X方向へ下降、給送ローラユニット21および当接離間レバー25は矢印Y方向へ回動する。このとき、当接離間スライダ40は動作していないが、当接離間スライダ40と当接離間レバー25との間隔d2は、図16に示した当接状態のときと比較し詰まっている。
【0071】
また、リフトアッププレート31のリフトダウン動作は、センサ215が透過(OFF)状態に切り替わった時点で停止する。ここで、点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)および点線g(シートSが給送ローラ211と当接する面の位置)は、点線t(シートS給送位置)よりも下に位置している。
【0072】
図18は給送ローラ211がリフトアッププレート31から離間する方向へ動作する状態を表している。この動作はセンサ215が透過(OFF)状態に切り替わり、リフトアッププレート31の離間動作が停止した後に実施される。給送ローラ211の離間動作を行うと、当接離間スライダ40と当接離間レバー25との間隔d2が段階的に詰まった後に接触し、それと共にシートSと給送ローラ211との当接状態が解除される。
【0073】
その後、給送ローラユニット21および当接離間レバー25は矢印Y方向へ回動、当接離間スライダ40は矢印B方向へ上昇する。このときセンサ215は透過(OFF)状態であり、給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材は当接離間スライダ40になる。点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)およびシートSが点線g(シートSが給送ローラ211と当接する面の位置)は離れた状態で点線t(シートS給送位置)よりも下に位置している。
【0074】
図19は給送ローラ211とシートSとの離間が完了している状態を表している。図18の状態から更に給送ローラ211の離間動作を継続すると、給送ローラユニット21および当接離間レバー25は矢印Y方向へ回動、当接離間スライダ40は矢印B方向へ上昇するが、このとき給送ローラ211とシートSは確実に離間している。
【0075】
ここでセンサの検知状態が透過(OFF)状態から遮光(ON)状態に切り替わった瞬間に離間動作を停止することで、給送ローラ211とシートSの離間位置のばらつきを最小化することができるため、給送ローラユニット21やリフトアッププレート31の離間位置を検知する新たなセンサを追加したり、離間動作に回転保証制御の可能な駆動源を用いたりすることによるコストアップを伴わずに、装置の小型化が実現できる。
【0076】
このとき給送ローラユニット21および当接離間レバー25を支持している部材は当接離間スライダ40である。また点線t(シートS給送位置)と点線f(給送ローラ211がシートと当接する面の位置)は同一の位置にある。
【0077】
図21はリフトアッププレート31がリフトアップ前の初期位置であり、給送ローラ211は降下した状態であることを表している。図21(a)は搬送路の幅方向から見た給送ローラとリフトアッププレートの状態を示す断面図であり、図21(b)は搬送方向下流側から見た給送ローラとリフトアッププレートの状態を示す断面図である。
【0078】
図21の状態になるのは、画像形成装置及び用紙給送装置から引き出したカセットユニット3内のリフトアッププレート31上にユーザーがシートSをセットし、再びカセットユニット3を画像形成装置及び用紙給送装置内部に挿入した直後である。
【0079】
このときセンサは透過(OFF)状態であり、給送ローラユニット21および当接離間
レバー25を支持している部材は当接離間スライダ40である。この状態からリフトアッププレート31をリフトアップさせ、シートSと給送ローラ211が接触した後更に動作を継続し、センサが遮光(ON)状態に切り替わったタイミングでリフトアップを停止する。これで図16に示した当接状態への推移が完了する。
【0080】
本実施例のように、給送ローラ211とシートSとの当接状態が離間状態に推移したことの検知を、シートSの最上位面の位置と給送ローラ211の位置を検知するセンサ215の信号の遮光(ON)、透過(OFF)、遮光(ON)の切り替わりによって行うと、実施例1のときと同様に離間動作に回転保証制御が可能な駆動源を用いたり、給送ローラ211およびリフトアッププレート31が離間位置まで昇降したことを検知できるセンサを追加したりすることによるコストアップを伴わずに、離間時に駆動する部材の位置ばらつきを最小化することができる。
【0081】
上記のようなセンサ215の信号の遮光(ON)、透過(OFF)、遮光(ON)の切り替わりは、リフトアップモータ35を使ってリフトアッププレート31を、給紙搬送モータ38の逆回転を用いて給送ローラユニット21をそれぞれ稼動させることによって発生させることが出来る。センサ215の信号の切り替わりを元に離間動作の駆動制御を実施することで、リフトアッププレート31と給送ローラユニット21の離間位置ばらつきの最小化を実現している。
【0082】
なお、実施例1同様、本実施例では給送ローラユニット21が給送フレーム22から着脱可能な構成を取っているが、着脱しない構成であり当接離間レバー25と給送ローラユニット21の接続が固定されている構成であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…画像形成装置、2…給送ユニット、21…給送ローラユニット、211…給送ローラ、212…搬送ローラ、213…ローラホルダ、213a…検知部、215…センサ、25…当接離間レバー、3…カセットユニット、31…リフトアッププレート、32…リフトアップ部材、35…リフトアップモータ、37…当接離間リンク、37a…ラック、38…給紙搬送モータ、39…当接離間カムギア、40…当接離間スライダ、S…シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21