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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240624BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240624BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240624BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H04N1/00 567C
B65H11/00 B
B65H1/04 324
B65H1/04 310Z
G03G15/00 107
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020086985
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182683
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】福島 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-134452(JP,A)
【文献】特開2020-007097(JP,A)
【文献】特開平09-083720(JP,A)
【文献】特開2012-240819(JP,A)
【文献】特開2006-188293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 11/00
B65H 1/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置される載置と、
前記載置に載置されたシートを給送方向に給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送されたシートを搬送路に沿って搬送する複数のローラが配置されたシート搬送部と、
前記シート搬送部によって搬送されるシートの画像を読み取る読取部と、
前記シート搬送部に対して回動可能に設けられ、前記シート搬送部に対して閉じた位置から前記搬送路を開放するように開閉可能な開閉カバーと、
前記給送方向に直交するシート幅方向に移動可能であるように前記載置部に設けられ、前記載置部に載置されたシートの前記シート幅方向における両側の端部に当接してシートの位置を規制する一対の規制部材と、
前記開閉カバーの前記給送方向における上流側端部に設けられ、シートの複数の定型サイズを示す文字を含み、定型サイズのシートが前記載置部に載置される場合に前記規制部材が移動されるべき位置を示すサイズ指標と、
前記開閉カバーの前記上流側端部に設けられ、前記サイズ指標によって示される複数の定型サイズよりも前記シート幅方向における大きさが小さいシートの載置されるべき位置を表示するセット位置表示部と、有し、
前記セット位置表示部は、前記シート幅方向における前記給送ローラの中央の位置を中心として前記シート幅方向に延びる直線によって構成される、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記セット位置表示部は、前記直線の前記シート幅方向における一方の端部から前記給送方向に延びる第1端線と、前記直線の前記シート幅方向における他方の端部から前記給送方向に延びる第2端線と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記シート幅方向における前記第1端線から前記第2端線までの距離は、装置が給送可能な最大サイズのシートの幅よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記シート幅方向における前記第1端線から前記第2端線までの距離は、装置が給送可能な最小サイズのシートの幅と同一であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記サイズ指標が示す複数の定型サイズのうち最も幅が小さい定型サイズはA6サイズであり、
前記セット位置表示部の前記直線の長さは、A6サイズのシートの前記シート幅方向における長さよりも短いことを特徴とする請求項3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記開閉カバーの前記上流側端部は水平面に対して傾斜した傾斜部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記シート幅方向における前記対の規制部材の中間位置と、前記シート幅方向における前記給送ローラの中央の位置とは、前記シート幅方向において一致していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記シート幅方向における前記対の規制部材の中間位置と、前記シート幅方向における前記給送ローラの中央の位置は、前記シート幅方向においてずれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記セット位置表示部は、前記開閉カバーに貼り付けられるラベルに設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記セット位置表示部を隠すための目隠しシートを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取られた画像に基づいて、記録材に画像を形成する画像形成と、有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送されたシートの画像を読み取る画像読取装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の画像読取装置や、複写機等に設けられた画像読取装置では、載置部に載置されたシートを給送し、読取部にてシートの画像を読み取る。特許文献1では、不定形サイズのシートに対応するために、シートの幅を測定可能なスケールを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-103944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、載置すべきシートの位置を認識しやすくすることに関しては考慮されていなかった。よって、シートの載置の際の操作性は好ましくなった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題を鑑みてなされたものであり、シートの載置の際の操作性を向上させた画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートが載置される載置と、前記載置に載置されたシートを給送方向に給送する給送ローラと、前記給送ローラによって給送されたシートを搬送路に沿って搬送する複数のローラが配置されたシート搬送部と、前記シート搬送部によって搬送されるシートの画像を読み取る読取部と、前記シート搬送部に対して回動可能に設けられ、前記シート搬送部に対して閉じた位置から前記搬送路を開放するように開閉可能な開閉カバーと、前記給送方向に直交するシート幅方向に移動可能であるように前記載置部に設けられ、前記載置部に載置されたシートの前記シート幅方向における両側の端部に当接してシートの位置を規制する一対の規制部材と、前記開閉カバーの前記給送方向における上流側端部に設けられ、シートの複数の定型サイズを示す文字を含み、定型サイズのシートが前記載置部に載置される場合に前記規制部材が移動されるべき位置を示すサイズ指標と、前記開閉カバーの前記上流側端部に設けられ、前記サイズ指標によって示される複数の定型サイズよりも前記シート幅方向における大きさが小さいシートの載置されるべき位置を表示するセット位置表示部と、有し、前記セット位置表示部は、前記シート幅方向における前記給送ローラの中央の位置を中心として前記シート幅方向に延びる直線によって構成される、ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの載置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係わる画像形成装置の断面図。
図2】本発明に係わる画像読取装置の上面図。
図3】本発明に係わる画像読取装置の斜視図。
図4】本発明に係わる開閉カバーの拡大図。
図5】本発明に係わる画像読取装置の断面図。
図6】セット位置表示部を説明する説明図。
図7】セット位置表示部の変形例を説明する説明図。
図8】セット位置表示部の変形例を説明する説明図。
図9】セット位置表示部の変形例を説明する説明図。
図10】セット位置表示ラベルの貼り付け関する説明図。
図11】目隠しラベルが貼り付けられた開閉カバーを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
<画像形成装置101の構成>
まず、本実施形態の画像形成装置101の概略構成について、図1を参照しながら説明する。画像形成装置101は、図1に示すように、画像読取装置103と、画像読取装置103によって読み取った原稿の画像に基づいて記録材に画像を形成する装置本体101Aと、を備えている。装置本体101Aの上方に配置された画像読取装置103は、詳しくは後述するように、リーダ20とADF1とを備え、原稿Dを光学的に走査して画像情報を読み取る。「ADF」は自動原稿給送装置(Auto Document Feeder)を表す。原稿Dとは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、布などのシートである。画像読取装置103によって電気信号に変換された画像情報は、装置本体101Aに設けられた図5に示す制御部132へと転送される。
【0011】
装置本体101Aは、記録材であるシートPに画像を形成するための画像形成手段である画像形成部133と、画像形成部133にシートPを給送するシート給送部34と、を有している。シート給送部34は、互いに異なるサイズのシートを収納可能なシート収納部137a、137b、137c、137dを備えている。各シート収納部に収納されたシートは、ピックアップローラ32によって繰り出され、フィードローラ33a及びリタードローラ33bによって1枚ずつ分離されて、対応する搬送ローラ対131へと受け渡される。そして、シートPは、シート搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ対131に順に受け渡されることで、レジストレーションローラ対136へと搬送される。
【0012】
なお、ユーザーによって手差しトレイ137eに積載されたシートPは、給送ローラ138によって装置本体101Aの内部に給送され、レジストレーションローラ対136へと搬送される。レジストレーションローラ対136は、シートPの先端を停止させて斜行を補正すると共に、画像形成部133によるトナー像の形成プロセスである作像動作の進行に合わせてシートPの搬送を再開する。
【0013】
シートPに画像を形成する画像形成部133は、感光体である感光ドラム121を備えた電子写真方式の画像形成ユニットである。感光ドラム121は、シートPの搬送方向に沿って回転可能であり、感光ドラム121の周囲には帯電器118、露光装置123、現像器124、転写帯電器125、分離帯電器126、及びクリーナ127が配置されている。帯電器118は感光ドラム121の表面を一様に帯電させ、露光装置123は画像読取装置103等から入力される画像情報に基づいて感光ドラム121を露光し、ドラム上に静電潜像を形成する。
【0014】
現像器124は、トナーを含む現像剤を収容しており、感光ドラム121に帯電したトナーを供給することで静電潜像をトナー像に現像する。感光ドラム121に担持されたトナー像は、転写帯電器125が形成するバイアス電界により、レジストレーションローラ対136から搬送されるシートPに転写される。トナー像を転写されたシートPは、分離帯電器が形成するバイアス電界によって感光ドラム121から離間し、定着前搬送部128によって定着部129へ向けて搬送される。なお、シートPに転写されずに感光ドラム121に残留した転写残トナー等の付着物はクリーナ127によって除去され、感光ドラム121は次の作像動作に備える。
【0015】
定着部129に搬送されたシートPは、ローラ対に挟持されて搬送されながら、トナー像の加圧及び加熱を含む定着処理を受ける。これによってトナーが溶融し、その後固着することにより、シートPに画像が定着する。画像出力が完了している場合、定着画像が得られたシートPは、排出ローラ対40を介して、装置本体101Aの外方に突出した排出トレイ130に排出される。両面印刷においてシートPの裏面に画像を形成する場合、定着部129を通過したシートPは、反転部139によって表面と裏面とを入れ替えられ、両面搬送部140によってレジストレーションローラ対136へと搬送される。そして、画像形成部133によって再び画像を形成されたシートPは、排出トレイ130に排出される。
【0016】
上記の画像形成部133は画像形成手段の一例であり、例えばインクジェット方式の画像形成ユニットやオフセット印刷方式の印刷機構を画像形成手段として用いてもよい。
【0017】
<画像読取装置103の構成>
次に、図2図3図4図5を用いて画像読取装置の概略構成について説明する。図2は、画像読取装置103の上面図で、図3は画像読取装置103の斜視図である。図4は開閉カバーに設けられたセット位置表示部とサイズ指標を示すために、給送方向の沿って見たときの図である。図5は、画像読取装置の断面図(図2のA-A断面図)である。図6はmセット位置表示部の拡大図である。
【0018】
なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
図5に示すように、画像読取装置103は、スキャナ部20と、ADF1と、によって構成される。画像読取装置103は、スキャナ部30に配置された第1読取ユニット14と、ADF1に配置された第2読取ユニット15と、を備えている。
【0020】
第1読取ユニット14及び第2読取ユニット15は、ADF1によって搬送されるシートとしての原稿Dの両面を読取可能な両面読取部Eを構成している。スキャナ部20に配置される第1読取ユニット14は、原稿Dの第1面の画像情報を読み取る。また、第2読取ユニット15は、原稿Dの第1面とは反対側の第2面の画像を読み取る。
【0021】
第1読取ユニット14及び第2読取ユニット15は、原稿Dの搬送方向に直交する主走査方向に配列されたLEDアレイからなる光源と、同じく主走査方向に配列された複数の受光素子と、を備えている。LEDアレイから放出され、原稿Dによって反射された反射光は、レンズを介して各受光素子に結像され、受光素子によって光電変換される。
【0022】
スキャナ部20は、プリンタ本体101Aの上面に固定されている(図1参照)。スキャナ部20の上面には、図5に示すように、フラットベッド型の原稿台31が配置されている。第1読取ユニット14は、図5における左右方向に移動可能なキャリッジ(不図示)に支持されており、原稿台31に沿って原稿台31の全長に亘って移動可能である。
【0023】
ADF1は、スキャナ部20の奥側に配置された不図示のヒンジ機構によって、スキャナ部20に対して上下方向に開閉可能に支持されている。
【0024】
ADF1は、上面に原稿が載置される載置面2aを備えた原稿トレイ2と、原稿搬送部12と、原稿排出部3と、を備えている。原稿トレイ2は、ユーザーによって載置された原稿Dを支持する。原稿搬送部12は、内部に原稿搬送路が形成されており、原稿トレイ2に載置された原稿Dを、原稿搬送路に沿って両面読取部Eに給送する。原稿搬送部12により給送された原稿Dは両面読取部Eにおいて画像を読み取られ、原稿排出部3に排出される。
【0025】
原稿搬送部12は、給送ローラとしてのピックアップローラ4と、フィードローラ5と、リタードローラ6と、レジストレーションローラ対7と、搬送ローラ対8,9と、排出ローラ対10とを有している。開閉カバー11は原稿搬送部12に対して支点11bを中心として回動自在に取り付けられている。開閉カバー11の内側の部分は、原稿を案内するガイドである。開閉カバー11を開くと原稿搬送路が開放される。よって、開閉カバー11を開くとによって、原稿搬送路に滞留した原稿を取り除くことができる。
【0026】
ピックアップローラ4は、原稿トレイ2の上面に対して上下方向に移動可能であり、原稿トレイ2上の原稿Dに当接して原稿を給送方向Fに給送する。フィードローラ5は、ピックアップローラ4から受け取った原稿Dを搬送方向の下流へ向けて搬送する。リタードローラ6は、フィードローラ5に圧接され、トルクリミッタを介して搬送方向に逆らう方向の回転駆動が入力されている。これにより、フィードローラ5は搬送される原稿Dを1枚ずつに分離する。
【0027】
レジストレーションローラ対7は、回転を停止した状態で、フィードローラ5によって搬送される原稿Dの搬送方向下流端(以下、先端とする)を受け止め、原稿Dを撓ませて斜行を補正する。また、レジストレーションローラ対7は、原稿Dを搬送ローラ対8に受け渡す。搬送ローラ対8は、原稿Dを両面読取部Eに送り込んで、下流側の搬送ローラ対9に受け渡す。このとき、第1読取ユニット14及び第2読取ユニット15により、原稿Dの画像が読み取られる。搬送ローラ対9は、両面読取部Eを通過した原稿Dを排出ローラ対10に受け渡す。排出ローラ対10は、原稿Dを原稿排出部3に排出する。
【0028】
原稿トレイ2には、第1サイド規制板201と第2サイド規制板202とがそれぞれが幅方向Wに移動自在に設けられている(図2、3参照)。第1サイド規制板201と第2サイド規制板202とは、原稿トレイ2の載置面2aに載置された原稿の幅方向Wの両側に接して原稿の位置を規制する。なお、ここで、シート幅方向としての幅方向Wとは、読取部としての表面読取ユニット14及び裏面読取ユニット15が原稿Dの画像を読み取る際の主走査方向、即ち給送方向に直交する方向である。
【0029】
第1サイド規制板201と第2サイド規制板202とは、一方をユーザーが幅方向に動かすと、他方が反対方向に同じ距離だけ移動するように、原稿トレイ2の内部に配置されたピニオンギア977を含んだ連動機構によって連動される。即ち、ピニオンギア977によって、幅方向Wにおける所定位置(以下、搬送中心と呼ぶ)から第1サイド規制板201までの距離と搬送中心から第2サイド規制板202までの距離を一定に保ちつつ幅方向Wに移動する。原稿トレイ2の載置面2aにセットされた原稿Dは、たとえばユーザーが第2サイド規制板202を操作することで、セット位置および姿勢が決まるようになっている。
【0030】
図3および図4に示すように開閉カバー11には開閉カバー11の右端にある傾斜部11aに、定形紙のサイズを認識できるようにするためのサイズ指標301と、セット位置表示部13が設けられている。傾斜部11aのサイズ指標301と、セット位置表示部13と、積載面2aに載置された原稿とを同時に視認できるように、サイズ指標301およびセット位置表示部13は、載置面2aとは異なる位置に設けられている。本実施形態では、載置面2aにおける下流側の部分の上方である開閉カバー11の傾斜部11aにサイズ指標301およびセット位置表示部13が印刷されている。よって、図5において矢印Hで示した上方から見た場合に、水平面に対して傾斜した傾斜部11aのサイズ指標301と、傾斜部11aのセット位置表示部13と、載置された原稿とを同時に視認することができる。
【0031】
図4に示されているように、規制部材としての第2サイド規制板202には、サイズ指標301に対応した位置に、指示部としての凸部202aが設けられている。即ち、サイズ指標301は定型紙のサイズを示す複数の文字を含んでいる。そして、載置された原稿の幅方向の両側に合った位置に第1、第2サイド規制板201、202が位置している場合、凸部202aは、サイズ指標301に含まれている複数の文字のうち、載置された原稿のサイズを表した文字を指示するように配置されている。よって、第2サイド規制板202の凸部202aが示すサイズ指標の文字に基づいて、ユーザーは、原稿のサイズを確認することができる。このように凸部202aが指示する開閉カバー11のサイズ指標301によって原稿のサイズをユーザーが認識できる。また、原稿のサイズをユーザーが既に知っていた場合には、既知のサイズに対応した位置にサイズ指標301に基づいて第2サイド規制板202を移動させる。この状態で、第1サイド規制板201および第2サイド規制板202の間に、即ち第1サイド規制板201および第2サイド規制板202に幅方向の両側を合わせて原稿をセットすればよいことがユーザーは容易に認識できる。
【0032】
以上説明したように、幅方向が同じ原稿同士を一括でセットする場合には、第2サイド規制板202を操作することで、原稿サイズおよび原稿セット位置が明確になる。
【0033】
ここで、例えば、幅方向でのサイズが互いに異なる複数枚の原稿(以下、不定形混載原稿と呼ぶ)をセットする場合、セットされる原稿のうちで最大サイズの原稿は第1、第2サイド規制板201、202に両側が接するのでセット位置が明確である。一方、不定形混載原稿をセットする場合、セットされる原稿のうちで最大サイズよりも小さいサイズの原稿を、どの位置にセットすべきかが認識しづらいことが懸念される。本実施形態では、該懸念に対応するために、セット位置表示部13を設けている。以下では、図6を参照しながらセット位置表示部13について述べる。
【0034】
セット位置表示部13は、幅方向Wに延びた第1部分として第1幅表示部401と、幅方向に延びた第2部分として第2幅表示部402と、を含んでいる。
【0035】
第1幅表示部401は、幅方向Wに所定長さだけ延びている第1上流ライン431、および、第1上流ライン431よりも給送方向における下流に配置されていて幅方向に延びた第1下流ライン411を含む。さらに、第1幅表示部401は、幅方向Wの最も外側に位置していて給送方向Fに延びた第1の端線421と、幅方向Wの内側の第1傾斜線441とを含む。第1幅表示部401では、第1上流ライン431、第1下流ライン411、第1の端線421と、第1傾斜線441とによって囲まれた領域を背景とは異なる色にして第1幅表示部401を容易に確認できるようにしている。
【0036】
第2幅表示部402は、幅方向Wに所定長さだけ延びている第2上流ライン432、および、第2上流ライン432よりも給送方向Fにおける下流に配置されていて幅方向Wに延びた第2下流ライン412を含む。さらに第2幅表示部402は、幅方向Wの最も外側に位置していて給送方向Fに延びた第2の端線422と、幅方向Wの内側の第2傾斜線442とを含む。第2幅表示部402では、第2上流ライン432、第2下流ライン412、第2の端線422と、第2傾斜線442とによって囲まれた領域を背景とは異なる色にされている。
【0037】
給送方向Fにおける下流に行くにしたがって幅方向Wの外側となるように傾斜した第1傾斜線441および第2傾斜線442とは交点403で交わっている。交点403によって載置部に載置される原稿の、幅方向Wにおける中央の位置を識別できるように、セット位置表示部13は表示している。即ち、第1傾斜線441および第2傾斜線442および交点403によって中央の位置をユーザーに案内するセット中心案内部13aを構成している。言い換えると、第1幅表示部401と第2幅表示部402とを合わせた領域は、幅方向の中央の位置を示す部分であるセット中心案内部13aが欠けた略長方形である。
【0038】
第1幅表示部401と第2幅表示部402とは交点403(即ち載置される原稿の中央の位置)に対して幅方向Wで対称の形状である。
【0039】
第1幅表示部401における幅方向Wの一方側の端である第1の端線421から第2幅表示部402における幅方向Wの他方の端である第2の端線422までの距離は、画像読取装置1が読み取ることが可能、即ち給送可能な、幅方向で最小サイズの原稿の幅と同一である。ここで、画像読取装置が読み取ることが可能な最小サイズの原稿とは、画像読取装置の仕様における最小サイズを意味している。
【0040】
ここで、交点403の幅方向における位置(即ちセット中心案内部13aが示す、原稿の中央の位置)は、ピックアップローラ4の幅方向Wにおける中央と一致している。
【0041】
以下では、セット位置表示部13に係る原稿セットに関して、および、セット位置表示部13に伴う作用・効果が述べられる。
【0042】
幅方向Wのサイズが互いに異なる複数の原稿(以下、不定形混載原稿と呼ぶ)を一括でセットする場合、ユーザーは、セットしたい不定形混載原稿の中の幅方向Wにおける最大サイズの原稿のサイズに対応した位置に1対のサイド規制板201、202を移動させる。不定形混載原稿の中の最大サイズの原稿以外のサイズの原稿Dは、その原稿Dの幅方向の中心が、セット中心案内部13aが示す中央の位置に合うようにセットされる。セット中心案内部13aがあることによって、セット中心案内部13aがない場合と比較してセット性が向上する。
【0043】
また、第1、第2幅表示部401、402がセット中心案内部13aに対して幅方向に同じ長さだけ対称に延びている。したがって、セットしたい原稿Dの幅方向Wの一方側の端と第1幅表示部401の第1の端線421との距離と、原稿Dの幅方向Wの他方側の端と第2幅表示部402の第2の端線422との距離が同一になるように原稿のセットを行うことができる。これによって、幅方向Wにおける原稿の中央を、ピックアップローラ4の幅方向にける中央を合わせて、原稿をセットすることが容易にできる。幅方向Wにおける原稿の中央をピックアップローラ4の幅方向にける中央を合わせることで、給送時の斜行が抑制できて安定した原稿の給送が実現できる。
【0044】
さらに、第1、第2幅表示部401、402を合わせた幅方向Wの長さが、画像読取装置が対応できる(装置として保証されている)原稿の最小サイズの幅に対応した長さに設定されている。したがって、ユーザーは、マニュアルを見ずに、載置した原稿が保証されている原稿の最小幅以上であるかどうかを、第1、第2幅表示部401、402に基づいて確認することができる。これにより、ユーザーが誤って、保証外の原稿を給送する虞が少なくなる。
【0045】
以上により、不定形混載原稿をセットする場合でも、原稿セットの操作性を維持したまま、不定形混載原稿を安定して給送するための原稿セットが可能になる。
【0046】
なお、以上の説明では、不定形混載原稿のセット時について述べた。しかし、不定形混載原稿のセット時に限らず、一対のサイド規制板201、202を操作せずに、原稿を給送する際にも同様の効果が得られる。
【0047】
上述の形態では、幅方向Wにおける搬送中心と、ピックアップローラ4の中心位置、セット中心案内部13aが示す中央の位置とが幅方向Wにおいて一致した形態を例示した。しかし、搬送中心と、ピックアップローラ4の中心位置とが幅方向Wにおいてずれている装置にも本発明は適用できる。この装置では、ピックアップローラ4の中心位置とセット中心案内部13aが示す原稿の中央の位置とは幅方向で一致し、搬送中心はセット中心案内部13aが示す原稿の中央の位置に対して幅方向Wにおいて一定量オフセットされる。この場合、搬送中心とは、第1規制板201と第2の規制板202の幅方向における中間位置であるので、当該中間位置と、セット中心案内部13aが示す原稿の中央の位置とが幅方向においてずれている。
【0048】
上述の形態では、セット位置表示部13を開閉カバー11の傾斜部11aに設けたが、そこに限らず、例えば、原稿トレイ2上の、載置面2aとは異なる箇所に設けてもよい。
【0049】
上述の形態では、第2サイド規制板202において、サイズ指標301に対応した位置に設けられた指示部として凸部202aを例示した。しかし指示部は凸部に限らず例えば第2サイド規制板202に設けた矢印であってもよい。
【0050】
第1幅表示部401における幅方向の一方側の端である第1の端線421から第2幅表示部402における幅方向Wの他方の端である第2の端線422までの距離が、画像読取装置1が読み取ることが可能な幅方向で最小サイズの原稿の幅と同一である形態を例示した。しかし、第1幅表示部401における幅方向の一方側の端である第1の端線421から第2幅表示部402における幅方向の他方の端である第2の端線422までの距離を最小サイズよりも長く最大サイズよりも短い長さに設定してもよい。この場合、載置した原稿が保証されている原稿の最小幅以上であるかどうかの確認はしづらいものの、原稿の幅方向での中央を、幅方向における載置すべき位置の中央に合わせてセットしやすいという効果を奏する。
【0051】
セット位置表示部13として図6に示した第1幅表示部401と第2幅表示部402とを例示したが以下では、セット位置表示部の変形例について説明する。
【0052】
第1幅表示部401として、第1上流ライン431、第1下流ライン411、第1の端線421と、第1傾斜線441とによって囲まれた領域を背景とは異なる色にする形態を例示した。しかし、第1幅表示部401を、背景とは異なる色の、第1上流ライン431、第1下流ライン411、第1の端線421と、第1傾斜線441によって構成し、各ラインによって囲まれた内部の領域の色は背景色と同一の色にしてもよい。
【0053】
第2幅表示部402として、第2幅表示部402では、第2上流ライン432、第2下流ライン412、第2の端線422と、第2傾斜線442とによって囲まれた領域を背景とは異なる色にした形態を例示した。第2幅表示部402を、背景とは異なる色の、第2上流ライン432、第2下流ライン412、第2の端線422と、第2傾斜線442によって構成し、各ラインによって囲まれた内部の領域の色は、背景色と同一の色にしてもよい。
【0054】
幅方向に延びた第1幅表示部401の第1傾斜線441と、幅方向に延びた第2幅表示部402の第2傾斜線442との交点403によって、原稿の中央の位置を示す形態を、図6を参照しながら例示した。しかし、図7に示すように、原稿の中央の位置を示す中央マーク503を、幅方向に延びた第1幅表示部501と幅方向に延びた第2幅表示部502とは別に設けてもよい。
【0055】
第1幅表示部401の第1の端線421と第2幅表示部402の第2の端線422とを給送方向に平行にし、且つ、第1幅表示部401の第1傾斜線441と第2幅表示部401の第1傾斜線442とを直線形状とした形態を、図6を参照しながら例示した。しかし、例えば図8に示すような形態であってもよい。即ち、第1幅表示部601の幅方向における外側の端621を給送方向に対して斜めにしてもよい。第2幅表示部602の幅方向における外側の端622を給送方向に対して斜めにしてもよい。第1幅表示部602の幅方向における内側の端を円弧形状の傾斜線641にしてもよい。第2幅表示部602の幅方向における内側の端を円弧形状の傾斜線642にしてもよい。そして、傾斜線641と傾斜線642との交点649によって載置される原稿の中央位置を示す。
【0056】
また、第1幅表示部401の第1上流ライン431、第1下流ライン411、第2幅表示部402の第2上流ライン432、第2下流ライン412のいずれも幅方向に平行な直線である形態を、図6を参照しながら例示した。しかし、例えば図9に示すように、第1幅表示部701の第1上流ライン731、第1下流ライン711、第2幅表示部702の第2上流ライン732、第2下流ライン712を幅方向に対して傾斜していてもよい。なお、図9において、705は、原稿の中央の位置を示す中央マークを示す。
【0057】
図7乃至図9のいずれの変形例の場合も、幅方向Wにおいて、第1幅表示部501の長さと第2幅表示部502の長さは同一である。
【0058】
また、上述の実施形態ではセット位置表示部13は開閉カバー11に印刷されていた。
【0059】
しかし、開閉カバー11に印刷することに替えて、例えばセット位置表示部13を備えたラベルを開閉カバー11に添付してもよい。即ち、セット位置表示部13を含んだセット位置表示ラベル113として別部品とすることで機械ごとに選択的に貼付可能としている。このようにすることで不定形サイズ原稿を一括でスキャンするユーザーに対してのみ、セット位置表示ラベル113を開閉カバー11に貼り付けて対応し、その他のユーザーに対してはセット位置表示ラベル113を貼り付けないというユーザー毎への対応が容易になる。不定形サイズ原稿を一括で読み取ることをしないユーザーに対してセット位置表示部13があることでの操作の混乱を避けることが可能である。図10(a)は開閉カバーにセット位置表示ラベル113を貼り付けた場合の拡大図を示し、図10(b)は開閉カバーにセット位置表示ラベルを貼り付けない場合の拡大図を示す。
【0060】
図10(a)で示した変形例ではセット位置表示ラベル113を別部品とした。サイズ指標114を別部品として機械(ユーザー毎)ごとに選択的に貼付可能としても良い。
【0061】
セット位置表示部13とサイズ指標部114が両方ともを開閉カバー11に印刷された構成において、目隠しラベル(目隠しシート)をセット位置表示部13やサイズ指標部114に添付するようにしてもよい。機械ごとに選択的に貼付可能とすることでどちらかの指標を無効化する方法も可能である。図11では、セット位置表示部13に対して目隠しラベル(目隠しシート)911を添付している。これによって、不定形サイズ原稿を一括で読み取ることをしないユーザーに対してセット位置表示部13があることでの操作の混乱を避けることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
D 原稿
E 両面読取部
2 原稿トレイ
2a 載置面
13 セット位置表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11