(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】血管内装置のためのプルワイヤの取り外し
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240624BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61B17/12
A61M25/00 540
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020104346
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-04-19
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】タイソン・モンティドロ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/070793(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270877(US,A1)
【文献】特表2012-523943(JP,A)
【文献】特開2013-078584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280667(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61F 2/95
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内送達システムであって、
患者を通して治療部位に送達されるようにサイズ決めされた送達チューブと、
前記送達チューブに取り付けられ、前記送達チューブの近位端から近位方向に延在する中間ハイポチューブと、
前記中間ハイポチューブのルーメンを通って、かつ前記送達チューブのルーメンを通って延在するプルワイヤと、を備え、
前記プルワイヤは、前記プルワイヤに取り付けられ、前記
中間ハイポチューブの近位端に対して近位方向に位置付けられている係合隆起部を含み、
前記係合隆起部は、前記中間ハイポチューブの前記ルーメン内への前記係合隆起部の移動を阻止するようにサイズ決めさ
れ、
前記血管内送達システムは、
前記係合隆起部が前記中間ハイポチューブに係合しない、前記中間ハイポチューブに対する遠位方向への前記係合隆起部の移動の長さを画定する、伸張緩和間隙と、
前記送達チューブの遠位端に据え付けられた血管内インプラントと、を更に備え、
前記血管内インプラントは、前記血管内インプラントに対する前記プルワイヤの遠位端の近位方向への移動に応答して、前記送達チューブから分離されるように構成され、
前記中間ハイポチューブの遠位端が、前記送達チューブの前記ルーメン内に位置付けられ、
前記中間ハイポチューブが、延長可能セクションを含み、
前記延長可能セクションが、前記送達チューブの前記ルーメン内に位置付けられている、血管内送達システム。
【請求項2】
血管内送達システムであって、
患者を通して治療部位に送達されるようにサイズ決めされた送達チューブと、
前記送達チューブに取り付けられ、前記送達チューブの近位端から近位方向に延在する中間ハイポチューブと、
前記中間ハイポチューブのルーメンを通って、かつ前記送達チューブのルーメンを通って延在するプルワイヤと、を備え、
前記プルワイヤは、前記プルワイヤに取り付けられ、前記中間ハイポチューブの近位端に対して近位方向に位置付けられている係合隆起部を含み、
前記係合隆起部は、前記中間ハイポチューブの前記ルーメン内への前記係合隆起部の移動を阻止するようにサイズ決めされ、
前記血管内送達システムは、
前記係合隆起部が前記中間ハイポチューブに係合しない、前記中間ハイポチューブに対する遠位方向への前記係合隆起部の移動の長さを画定する、伸張緩和間隙と、
前記送達チューブの遠位端に据え付けられた血管内インプラントと、を更に備え、
前記血管内インプラントは、前記血管内インプラントに対する前記プルワイヤの遠位端の近位方向への移動に応答して、前記送達チューブから分離されるように構成され、
前記血管内送達システムは、前記中間ハイポチューブに取り付けられたシースを更に備え、
前記係合隆起部を含む前記プルワイヤの近位部分は、前記シースのルーメン内に位置付けられている
、血管内送達システム。
【請求項3】
前記係合隆起部が、前記中間ハイポチューブの前記近位端に
向けた遠位方向に移動可能である、請求項1
又は2に記載の血管内送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には医療機器に関し、より具体的には血管内インプラントを配置することに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの血管内インプラント装置及び血塊捕捉装置が当該分野において知られている。多くは、送達のために1つ以上のカテーテルとワイヤとを組み合わせるシステムを介して、機械的に配置及び操作される。機械的に送達され得るインプラントの例としては、塞栓要素、ステント、移植片、薬物送達インプラント、フローダイバータ、フィルタ、刺激リード線、感知リード線、又はマイクロカテーテルを通して送達される他の埋め込み可能な構造体が挙げられる。いくつかの産科用及び胃腸用インプラントもまた、1つ以上のカテーテルとワイヤとを組み合わせる同様のシステムを介して埋め込まれ得る。機械的手段によって解放、配置、又は別様に操作され得る装置は、設計においては大きく異なるが、同様の送達カテーテル及びワイヤシステムを用いることができる。
【0003】
多くのこのようなカテーテルベースのインプラント送達システムは、インプラントを配置するために医師が近位端で操作し得る、カテーテルを通って延在する内側細長部材(複数可)を含む。内側細長い部材(複数可)は、インプラントの解放のための時間までカテーテル内にインプラントを保持し得る。これらのシステムは、カテーテルに対して内側細長部材のうちの1つ以上を後退させるか又は引っ張ることによって作動され得る。こうしたワイヤ又は内側細長部材は、本明細書では「プルワイヤ」と総称される。
【0004】
脈管構造を通って追跡している間に又は埋め込みが完了する前に、インプラントを早期に解放することにより、合併症が生じる場合がある。早期解放の可能性を軽減することは、可撓性の低い機械的解放システムという代償をもたらし得る。例えば、それぞれ参照により本明細書に取り込まれている、米国特許第8,062,325号に記載されているような又は米国特許出願第15/964,857号に記載されているような解放システムを使用して塞栓コイルを送達する場合、コイルの近位端の硬化を最小限に抑えるために、塞栓コイル内に延在する最小長さのプルワイヤを有することが望ましい場合があるが、この制限された係合は、脈管構造を通って送達システムを追跡する間に、プルワイヤの有意な近位移動が生じた場合、コイルが早期に外れる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、可撓性の機械的解放システムも提供しつつ、血管内治療装置の早期配置の可能性を軽減し得るシステム、装置、及び方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上述のニーズを満たすシステム、デバイス、及び方法を提供することである。一般に、本発明の目的は、プルワイヤの近位端が送達チューブとは独立して移動することを可能にするアセンブリを、その近位端に有する血管内送達システムと、上記の必要性を満たすものを使用及び作製するための方法と、を提供することである。アセンブリは、一般に、プルワイヤ、送達チューブ、プルワイヤの遠位移動によってプルワイヤの近位端がアクセス不可能になることを防止するための機構、及びプルワイヤの近位端を不注意な早期操作から保護するための機構を含み得る。血管内送達システムが蛇行した脈管構造を通り抜けているとき、プルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して遠位方向に移動し、プルワイヤの遠位端への応力を緩和し得る。プルワイヤの近位端は、送達中の不注意な操作から保護され、送達システムの遠位端が定位置にきたときに操作可能になり得る。
【0007】
いくつかの実施例では、プルワイヤの近位端がアクセス不可能になることを防止する機構は、プルワイヤの近位端上に位置付けられた隆起部と、送達チューブの近位端から延在し、隆起部が中間ハイポチューブに入るのを阻止するようにサイズ決めされた係合面を提供する中間ハイポチューブとの組み合わせを含み得る。プルワイヤの近位端は、それによって、ハイポチューブに対して近位方向及び/又は遠位方向に自由に移動することができるが、隆起部が中間ハイポチューブの係合面に係合されている場合を除く。この場合、プルワイヤの遠位移動は阻止される。
【0008】
いくつかの実施例では、中間ハイポチューブは伸張可能であり得る。そのような実施例では、不注意な操作からプルワイヤの近位端を保護する機構は、血管内治療装置の送達中に中間ハイポチューブが伸張するのを防止する破断可能な取り付け部を含み得る。血管内治療装置を配置するために、破断可能な取り付け部は破断され得、中間ハイポチューブは伸張され得、伸張されると、ブルワイヤの近位端は中間ハイポチューブに係合し得、更に伸張されると、プルワイヤの近位端は近位方向に移動され得る。プルワイヤの近位端の十分な移動は、プルワイヤの遠位端の近位並進をもたらし得る。プルワイヤの遠位端の十分な近位並進は、血管内治療装置の配置をもたらし得る。
【0009】
いくつかの実施例では、プルワイヤの近位端を不注意な操作から保護する機構としては、プルワイヤの近位端を取り囲むシースが挙げられ得る。シースは、中間ハイポチューブに取り付けられ、プルワイヤの近位端を取り囲むように位置付けられ得る。血管内治療装置を配置するために、シースを把持し、送達チューブに対して近位方向に引っ張って、中間ハイポチューブを伸張させ、それによってプルワイヤを中間ハイポチューブに係合させ、近位方向に並進させることができる。
【0010】
本発明によれば、例示的な血管内送達システムは、送達チューブ、中間ハイポチューブ、及びプルワイヤを含み得る。血管内装置は、患者の血管を通して治療部位に血管内治療装置を送達するのに好適であり得る。その目的のために、送達チューブは、患者(patent)の体内を通して治療部位に送達されるようにサイズ決めされ得る。治療中、中間ハイポチューブは、患者の外側に位置付けられ得、患者の脈管構造に入るのに好適である必要はない。
【0011】
中間ハイポチューブは、送達チューブに取り付けることができ、送達チューブの近位端から近位方向に延在し得る。プルワイヤは、中間ハイポチューブ及び送達チューブの両方のルーメンを通って延在し得る。係合隆起部は、プルワイヤに取り付けられ、中間ハイポチューブの近位端に対して近位方向に位置付けられ得る。
【0012】
血管内送達システムは、中間ハイポチューブに取り付けられたシースを更に含み得る。シースは、係合隆起部及びプルワイヤの近位部分を取り囲み得る。
【0013】
係合隆起部は、中間ハイポチューブの近位端に対して遠位方向に移動可能であり得る。係合隆起部と中間ハイポチューブとの間の伸張緩和間隙は、中間ハイポチューブに係合する前に、係合隆起部が遠位方向に移動し得る移動の長さを画定し得る。
【0014】
血管内治療装置は、血管内送達システムの遠位端に位置付けられ得る。プルワイヤは、血管内治療装置を配置するために移動可能であり得る。
【0015】
中間ハイポチューブの遠位端は、送達チューブのルーメン内に位置付けられ得る。中間ハイポチューブは、延長可能セクションを含み得る。延長可能セクションは、送達チューブのルーメン内に位置付けられ得る。
【0016】
血管内送達システムを組み立てるための例示の方法は、順不同で提示される以下の工程のうちの1つ以上を含み得、この方法は、本明細書に含まれない追加の工程を含み得る。送達チューブ、中間ハイポチューブ、及びプルワイヤが提供され得る。送達チューブは、患者の脈管構造を介した送達用にサイズ決めされ得る。提供された送達チューブ及び中間ハイポチューブの両方は、内部を通るそれぞれのルーメンを有し得る。
【0017】
中間ハイポチューブは、中間ハイポチューブが送達チューブの近位端から近位方向に延在するように、送達チューブに取り付けられ得る。
【0018】
中間ハイポチューブを送達チューブに取り付けるために、中間ハイポチューブの遠位端は送達チューブのルーメン内に取り付けられ得る。
【0019】
中間ハイポチューブには、歪み緩和セクションが提供され得る。中間ハイポチューブを送達チューブに取り付けるために、歪み緩和セクションは送達チューブのルーメン内に位置付けられ得、歪み緩和セクションから遠位方向にある中間ハイポチューブの一部は、中間ハイポチューブに取り付けられ得、歪み緩和セクションから近位方向にある中間ハイポチューブの一部は、送達チューブに取り外し可能に取り付けられ得る。
【0020】
係合隆起部は、プルワイヤの近位端に形成され得る。プルワイヤは、係合隆起部が中間ハイポチューブの近位端に対して近位方向にあり、プルワイヤの長さが中間ハイポチューブ及び送達チューブのルーメンを通って延在するように、位置付けられ得る。係合隆起部は、中間ハイポチューブのルーメン内への係合隆起部の移動を阻止するようにサイズ決めされ得る。
【0021】
プルワイヤは、プルワイヤの遠位端が送達チューブの遠位端に対して固定され、プルワイヤの近位端が送達チューブの近位端に対して摺動可能に並進できるように、位置付けられ得る。プルワイヤの遠位端は、送達チューブの遠位端に血管内治療装置を固定するように位置付けられ得る。
【0022】
係合隆起部が中間ハイポチューブに係合することなく中間ハイポチューブに対して遠位方向に移動し得る長さを、伸張緩和間隙が画定するように、伸張緩和間隙が提供され得る。
【0023】
内部を通るルーメンを有するシースも提供され得る。シースは、中間ハイポチューブに取り付けられ得る。係合隆起部は、シースのルーメン内に位置付けられ得る。
【0024】
血管内治療装置を配置するための例示的な方法は、順不同で提示される以下の工程のうちの1つ以上を含み得、この方法は、本明細書に含まれない追加の工程を含み得る。血管内送達システムは、選択された送達システムが送達チューブと、送達チューブの近位端から延在する中間ハイポチューブと、送達チューブ及び中間ハイポチューブのルーメンを通って延在するプルワイヤと、を含むように選択され得る。血管内送達システムは、患者の脈管構造を通して延長され得る。送達システムが患者の体内を通って延長されるとき、プルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して遠位方向に移動可能にされ得る。血管内治療装置は、プルワイヤの近位端を送達チューブの近位端に対して近位方向に移動させることによって配置され得る。
【0025】
プルワイヤは、プルワイヤの近位端に又はその付近に位置付けられたビードを有し得、ビードは、中間ハイポチューブの近位端に係合し、それによって、プルワイヤの近位端が中間ハイポチューブのルーメンに入るのを阻止し得る。
【0026】
プルワイヤの近位端は、シースに取り囲まれ得る。血管内治療装置を配置するために、シースは、送達チューブに対して近位方向に移動され得る。シースの移動により、中間ハイポチューブが伸び得る。中間ハイポチューブの伸びは、プルワイヤの近位端を中間ハイポチューブに係合させ得る。プルワイヤの近位端を中間ハイポチューブに係合させながら、中間ハイポチューブを伸長させることによって、ブルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して近位方向に移動し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
【
図1】本発明の態様による血管内送達システム及び血管内インプラントの図である。
【
図2】本発明の態様による、
図1に示されるような血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図3】本発明の態様による、体腔を通り抜ける送達システムの図である。
【
図4A】本発明の態様による、送達システムが
図3に示されるような体腔内の折り返しを通り抜けるときの、
図2に示されるような血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図4B】本発明の態様による、送達システムが
図3に示されるような体腔内の折り返しを通り抜けるときの、
図2に示されるような血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図4C】本発明の態様による、送達システムが
図3に示されるような体腔内の折り返しを通り抜けるときの、
図2に示されるような血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図4D】本発明の態様による、送達システムが
図3に示されるような体腔内の折り返しを通り抜けるときの、
図2に示されるような血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図5A】本発明の態様による、治療装置の配置のために操作されている血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図5B】本発明の態様による、治療装置の配置のために操作されている血管内送達システムの近位アセンブリの図である。
【
図5C】本発明の態様による、
図5A及び
図5Bに示されるものと類似した近位アセンブリの操作に応答して、インプラントを配置する血管内送達システムの図である。
【
図6】本発明の態様による、送達システムを設計及び/又は構築するための方法の工程を概説したフローチャートである。
【
図7】本発明の態様による、血管内送達システムを使用して患者を治療するための方法の工程を概説したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
後退可能なプルワイヤを有する少なくともいくつかの既知の血管内送達システムでは、プルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して実質的に固定され、プルワイヤの遠位端は、治療装置の配置システムに取り付けられ、プルワイヤの長さの大部分は、送達チューブのルーメンの範囲内で自由に移動する。このような送達システムが蛇行した解剖学的構造を通り抜けるとき、プルワイヤの長さは、送達チューブのルーメンの外側湾曲部まで延在する傾向があり、それによってプルワイヤの取り付けられた近位端及び遠位端に歪み力が生じ得る。プルワイヤの近位端が送達チューブに対してしっかり固定されている場合、歪みによってプルワイヤの遠位端が近位方向に移動され得る。プルワイヤの遠位端の有意な近位移動は、インプラント又は治療装置を早期に配置させ得る。
【0029】
本明細書に提示される実施例では、プルワイヤの近位端がプルワイヤの遠位端と比較してより自由に移動することを可能にするため、弛緩機構が血管内送達システムの近位端上に構築され得る。例示的な送達システムが蛇行した解剖学的構造を通り抜けるとき、プルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して遠位方向に移動して、プルワイヤの遠位端における歪みを緩和し、それによって、インプラント又は治療装置が既存の血管内送達システムと比較して早期に配置される可能性を低減し得る。
【0030】
図は、本発明による略中空又は管状の構造を示す。本明細書で使用されるとき、用語「管状」及び「管」は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造や、断面が厳密に円形である構造、長さにわたって均一な断面である構造に制限されるものではない。例えば、管状構造又は管状系は、一般に、実質的に直円柱構造として図示される。しかしながら、管状系は、本発明の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有し得る。
【0031】
図1は、例示的な血管内送達システム100の図である。システムは、その近位端に、プルワイヤ150の遠位端154に歪み緩和を提供するためのアセンブリを含み得る。アセンブリは、
図2でより詳細に示されている。送達システム100は、送達チューブ110と、送達チューブ110の遠位端114付近で送達チューブ110に取り付けられたループワイヤ140と、送達チューブ110の近位端112から延在する中間ハイポチューブ130と、プルワイヤ150とを含み得る。送達システム100は、治療部位に送達するために、送達システム100の遠位端104に塞栓コイル210などの血管内治療装置200を据え付けることができ、送達システム100は、プルワイヤ150を近位方向に引っ張ることによって血管内治療装置200を配置し得る。
図1では、送達チューブ110が断面図で示されている。
図2では、送達チューブ110及び中間ハイポチューブ130が断面図で示されている。
【0032】
治療装置200は、鍵などの係合機構230を含み得る。係合機構は、治療装置200の近位端に位置付けられた開口部を含み得る。治療装置200は、係合機構230の開口部を通してループワイヤ140の一部を供給し、ループワイヤ140を通してプルワイヤ150の遠位端154を延長することによって、送達システム100に据え付けられ得る。
【0033】
治療装置200を配置するために、プルワイヤ150は、プルワイヤの遠位端154がループワイヤ140内の開口部から出て、それによってループワイヤ140を係合解除するように、近位方向に引っ張られ得る。ループワイヤ140がプルワイヤ150から係合解除されると、ループワイヤ140は、係合機構230内の開口部から自由に出ることが可能である。
【0034】
送達チューブ110は、圧縮可能セクション118を含み得る。圧縮可能セクション118は、いったんループワイヤ140が係合解除されると、圧縮可能セクション118が減圧し、治療装置200に対して遠位方向に力を提供し得るように、圧縮下にあり得る。ループワイヤ140は、減圧している圧縮可能セクション118から力が提供されたときに、ループが係合機構230の開口部から外に移動し、それによって治療装置200が送達システム100から取り外されるように、十分な可撓性を有し得る。減圧中に圧縮可能セクション118から提供される力はまた、インプラント200を送達システム100の遠位端104から離れる遠位方向に押して、送達システム100と治療装置200との間の分離を生じさせ得る。
【0035】
図2は、プルワイヤ150の遠位端154が治療装置200を送達システム100に据え付けるように位置付けられたときに、プルワイヤ150の遠位端154における歪み緩和を提供するための、血管内送達システム100の近位端における例示的なアセンブリの図である。プルワイヤ150の遠位端154は、
図1に関連して記載されるように、又は結果として治療装置200がプルワイヤ150の近位移動時に配置されることになり得る他の手段によって、治療装置200を送達システム100に据え付け得る。
【0036】
送達システム100の近位端にあるアセンブリは、プルワイヤ150、送達チューブ110、中間ハイポチューブ130、及びシース170を含み得る。プルワイヤ150は、送達チューブ110、中間ハイポチューブ130、及びシース170内に延在し得る。中間ハイポチューブ130は、送達チューブ110に取り付けられ、送達チューブ110から近位方向に延在し得る。プルワイヤ150は、中間ハイポチューブ130にしっかりと接続される必要はなく、むしろ、プルワイヤ150の近位端には、ビードと中間ハイポチューブ130の近位端との間に伸張緩和間隙190が存在するようにビードが付けられ得る。間隙190は、プルワイヤ150の近位端が蛇行した解剖学的構造の追跡中に送達チューブ110の近位端112及び中間ハイポチューブ130に対して移動することを可能にし、それによって、その遠位端におけるプルワイヤ150の早期後退の可能性を最小限に抑え得る。
【0037】
プルワイヤ150は、プルワイヤ150の外周158を超え、ビード156が中間ハイポチューブ130のルーメン136に入ることを阻止する寸法まで、半径方向に延在する、ビード、隆起部、延在部、突出部、又は他の機構(本明細書では、「ビード」と総称される)156をその近位端152に有し得る。中間ハイポチューブ130は、ビードから間隙距離190に位置付けられた近位端132を有し得る。中間ハイポチューブ130の近位端132は、送達システムの操作中に間隙190が縮小した場合に、ビード156が中間ハイポチューブ130に入ることを阻止されるよう、プルワイヤ150の近位端に対して遠位の位置を維持するようにサイズ決めされ得る。
【0038】
あるいは、中間ハイポチューブ130は、中間ハイポチューブのルーメン内の閉塞物など、代替的な係合機構を含み得る。その場合、ビード156は、中間ハイポチューブ130のルーメン136に入るようにサイズ決めされ得、代替的な係合機構は、ルーメン136内へのビード156の更なる遠位移動を防止し得る。そのような実施例では、間隙距離190は、ビード156が、代替的な係合機構に係合する前に、送達チューブ110の近位端112に対して遠位方向に移動し得る長さであると理解され得る。
【0039】
アセンブリは、プルワイヤ150の不注意な操作及び/又は破断を防止するために、中間ハイポチューブ132から延出するプルワイヤ150の近位部分を被覆するためのシース170を更に含み得る。シース170は、溶接、接着剤、締まり嵌め、又は他の手段178によって中間ハイポチューブセクション130に取り付けられ得る。シース170は、中間ハイポチューブ130の近位端132の外周及び中間ハイポチューブ130の少なくとも一部の上に適合するようにサイズ決めされたルーメン176を有し得る。シース170のルーメン176内の表面は、中間ハイポチューブ130の外側表面に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0040】
中間ハイポチューブ130は、溶接、接着剤、締まり嵌め、又は他の手段124によって送達チューブ110に取り付けられ得る。中間ハイポチューブ130は、送達チューブ110のルーメン内に収まるようにサイズ決めされた外周を有し得る。中間ハイポチューブ130の外側表面は、中間ハイポチューブ130が治療手順中に送達チューブ110から容易に取り外されないように、送達チューブ110のルーメン116の内側表面に取り付けられ得る。
【0041】
中間ハイポチューブ130は、送達チューブ110のルーメン116内に位置付けられた延長可能セクション138を有し得る。延長可能セクション138は、中間ハイポチューブ130を伸ばすために治療手順中に伸張され得る。中間ハイポチューブ130は、延長可能セクション138に対して遠位方向14にある取り付け点124において送達チューブ110に取り付けられ得、それにより、延長可能セクション138が伸張されているとき、中間ハイポチューブ130は、送達チューブ110の近位端112から近位方向12に更に延在する。
【0042】
中間ハイポチューブ130の早期の伸びを防止するために、中間ハイポチューブには、送達チューブ110の近位端112付近にある、延長可能セクション138の近位側の送達チューブ110に破断可能な取り付け部122が取り付けられ得る。
【0043】
延長可能セクション138は、セクションが切断又は除去された中間ハイポチューブ130の領域を含み得る。実例として、
図2は、ハイポチューブ130内に螺旋状の切り込みを有する歪み緩和セクション138を示す。
【0044】
中間ハイポチューブ130は、送達チューブ110の長さよりも有意に短い長さを有し得る。治療中、送達チューブ110の遠位端114は、患者内の治療部位付近に位置付けられるが、送達チューブの近位端112は、患者の外側に位置付けられ得る。送達チューブ110は、記載されるように位置付けられる一方、中間ハイポチューブ130の近位端132は、患者の外側に位置付けられ得、中間ハイポチューブ130は、患者の体内に延在する必要はない。
【0045】
図3は、動脈瘤治療に好適な塞栓コイルなどのインプラント200、ガイドカテーテル300、並びに送達チューブ110及びプルワイヤ150を含む送達システム100の、蛇行した脈管構造(脈管構造は図示せず)内での位置付けを示す。屈曲部A、B、及びCにおいて、送達チューブ110は、それぞれの屈曲部のそれぞれの外側湾曲部上のガイドカテーテル300の側壁まで延在し得、同様に、プルワイヤ150は、それぞれの屈曲部のそれぞれの外側湾曲部上の送達チューブ110の側壁まで延在し得る。手順中、送達チューブ110及びプルワイヤ150は、最初に屈曲部A、次いで屈曲部B、次いで屈曲部Cを通過しながら、ガイドカテーテル300へと遠位方向に供給され得る。送達チューブ110及びプルワイヤ150が屈曲部を通り抜けるとき、プルワイヤ150の近位端152は、プルワイヤ150の近位端152が送達チューブ110に対して遠位方向14に移動するように、中間ハイポチューブ130の近位端132に漸進的に接近し得る。
【0046】
図4A~
図4Dは、送達システム100が屈曲部A、B、及びCを通って遠位方向に移動するときの、プルワイヤ150の近位端152の漸進的移動を示す。
図4Aは、送達システム100の遠位端104が屈曲部Aに近づくときの、プルワイヤ150の近位端152の位置付けを示す。
図4Bは、送達システム100の遠位端104が屈曲部Aを周り、屈曲部Bに近づくときの、プルワイヤ150の近位端152の中間ハイポチューブ130に向かった移動を示す。
図4Cは、送達システム100の遠位端104が屈曲部Bを周り、屈曲部Cに近づくときの、中間ハイポチューブ130に向かって更に移動するプルワイヤ150の近位端を示す。
図4Dは、送達システム100の遠位端104が屈曲部Cを周り、治療部位に近づくときの、中間ハイポチューブ130の近位端と接触する、プルワイヤ150の近位端上のビードを示す。
【0047】
図3及び
図4A~
図4Dの図を集合的に参照すると、送達システム100が治療部位へと遠位方向に移動されるとき、プルワイヤ150の近位端152は、送達チューブ110及び中間ハイポチューブ130に対して近位方向及び遠位方向に自由に移動し得る。示されるように、プルワイヤ150上のビード156は、送達システム100が治療部位へと遠位方向に移動するにつれ、ハイポチューブ130の近位端に近づき得る。
図4B~
図4Dに示される矢印は、プルワイヤ150の近位端152の遠位移動を示す。
【0048】
ビード156と中間ハイポチューブの係合面132との間の間隙190a、190b、190c、190dは、送達システム100が遠位方向に移動するにつれ、
図4A~
図4Dに示されるように漸進的に小さくなり得る。
図4Dでは、中間ハイポチューブ130に係合されたビード156が示されている。この位置では、プルワイヤ150の近位端152は、遠位方向14に更に移動することが阻止され、間隙190dの間隔は縮小され、本質的にゼロが測定される。
【0049】
図2を参照すると、送達システム100は、送達システム100が端部から端部まで本質的に直線状の構成に伸ばされたとき、ビード156の遠位面と中間ハイポチューブ130の係合面132との間に測定可能な間隙間隔190を含み得る。間隙間隔190は、送達システム100が治療部位に送達されるときに、ビード156がハイポチューブ130と係合する可能性が低くなるようにサイズ決めされ得る。間隙間隔が大きいほど、プルワイヤ150の近位端152の移動距離が大きくなり、プルワイヤの遠位端における歪み緩和が大きくなり、それによって、治療装置の早期配置の可能性が低減し得る。間隙間隔190の最大長さは、送達システム100の近位端の操作が容易な分、制限され得る。例えば、医師が、
図2に示されるような数インチの長さの近位アセンブリを有する送達システムを操作することは困難であり得る。したがって、間隙190は、治療装置の早期配置の可能性を十分に低減するために、また治療手順中の送達システムの操作しやすさを促進するために、プルワイヤ150の遠位端上の歪みを十分に緩和するようにサイズ決めされ得る。
【0050】
図5A~
図5Bは、治療装置(例えばインプラント)を配置するための、送達システム100の近位端におけるアセンブリの操作を示す。
図5Cは、
図5A及び
図5Bに示される送達システムの近位端の操作に応答してインプラント200を係合解除するための、プルワイヤ150の遠位端154の移動を示す。
【0051】
図5Aは、近位端152及びビード156を含むプルワイヤ150の近位部分を被覆するシース170を示し、シース170は、溶接部178によって中間ハイポチューブ130に取り付けられ、中間ハイポチューブは、遠位溶接部124によって送達チューブ110に取り付けられ、中間ハイポチューブ130はまた、送達チューブ100の近位端において近位溶接部122によって送達チューブに固定される。近位溶接部122は、治療中にユーザーによって破断されるように設計され得、一方、中間ハイポチューブ120をシース170及び送達チューブ110に取り付ける他の溶接部178、124は、アセンブリが治療中に操作されるときに、しっかりと取り付けられたままであるように設計され得る。
【0052】
図5Bは、矢印によって示されるように、近位方向に引っ張られているシース170を示す。処理中、ユーザーは、近位溶接部122を破断するのに十分な力Fを加えて、中間ハイポチューブ130から送達チューブ110の近位端112を取り外すことができる。あるいは、近位溶接部128は、捻れ力又は曲げ力で破壊され得る。溶接部128が破壊された後、シース170は、矢印によって示されるように近位方向に移動され得る。中間ハイポチューブ130の延長可能セクション138は拡張して、中間ハイポチューブ130が送達チューブ110の近位端112から更に延出することを可能にする。シース170が近位方向に移動され、中間ハイポチューブ130が延長されると、中間ハイポチューブ130は、プルワイヤ150上のビード156と係合し得る。シース170が更に近位方向に移動され、中間ハイポチューブ130が更に延長されると、ビード156は、近位方向に移動して、プルワイヤ150の長さを近位方向に移動させ得る。
【0053】
図5Cは、ループワイヤ140を通して延長されるプルワイヤ150の遠位端154を示す。矢印は、
図5Bに示されるようにプルワイヤ150上のビード156が近位方向に移動することに応答した、プルワイヤ150の遠位端154の近位移動を示す。ビード156は、プルワイヤの遠位端154がループワイヤ140を近位方向に通過するのに十分な距離を近位方向に移動し、それによってループワイヤ140を係合解除し得る。ループワイヤ140が係合解除されると、インプラント100が配置され得る。
【0054】
図6は、本発明による送達システムを設計及び/又は構築するための例示的な方法の工程を概説するフローチャートである。
図7は、本発明による送達システムを使用して患者を治療するための例示的な方法の工程を概説するフローチャートである。方法600、700それぞれについて、方法の工程は、本明細書に記載される例示的な送達システム及び手段によって、又は当業者に既知である手段によって実装され得る。方法の工程は、一般に、それらが好ましく実行され得る順序で提示される。当業者によって認識され理解されるように、特定の工程は、同時に又は代替的な順序で実行することができる。
【0055】
図6に概説される方法600を参照すると、工程610では、送達チューブ、中間ハイポチューブ、及びプルワイヤが提供され得る。提供される構成要素は、本明細書に記載される送達チューブ110、中間ハイポチューブ130、及びプルワイヤ150、それらの変形、又は当業者に既知である等価な構成要素であり得る。
【0056】
工程620では、係合隆起部をプルワイヤの近位端付近に形成し得、プルワイヤの近位端が中間ハイポチューブのルーメンに入ることを係合隆起部が阻止するように、係合隆起部が中間ハイポチューブのルーメンよりも大きくなるようにサイズ決めされ得る。係合隆起部は、本明細書に記載されるプルワイヤ150上のビード156、その変形、又は当業者に既知である等価な構成要素であり得る。
【0057】
工程630では、中間ハイポチューブが送達チューブから近位方向に延在し、送達チューブの近位端から更に近位方向に更に延在するように伸張可能であるように、中間ハイポチューブが送達チューブに取り付けられ得る。中間ハイポチューブは、本明細書に示されるように遠位取り付け位置124に取り付けられ、そうでなければ本明細書に記載されるように取り付けられ、かつ/又は当業者に既知であるような他の手段によって取り付けられ得る。中間ハイポチューブは、本明細書に示されるように、その長さの一部138に沿って伸張可能であり、そうでなければ本明細書に記載されるように伸張可能であり、かつ/又は当業者に既知であるような他の手段によって延長可能であり得る。
【0058】
工程640では、ワイヤが中間ハイポチューブ及び送達チューブのルーメンを通って延在し、プルワイヤが中間ハイポチューブのルーメンから近位方向に延在し、かつ係合隆起部が中間ハイポチューブに対して近位方向に位置付けられるように、プルワイヤが位置付けられ得る。
【0059】
工程650では、血管内治療装置が、送達チューブの遠位端においてプルワイヤの遠位部分で固定され得る。血管内治療装置は、本明細書に示される塞栓コイル200、本明細書に記載される別の治療装置、又は当業者に既知である治療装置であり得る。プルワイヤの遠位部分は、治療装置が送達されているときに治療装置を固定し得るアセンブリの一部を形成し、治療装置及び/又は送達チューブの遠位端に対するプルワイヤの遠位部分の近位移動によって治療装置を配置し得る。治療装置を配置するためのアセンブリは、本明細書に示される、及び/若しくは記載されるような機械的アセンブリ、又は当業者に既知であるようなアセンブリであり得る。
【0060】
工程660では、プルワイヤの遠位端が送達チューブの遠位端に対して固定され、プルワイヤの近位端が送達チューブの近位端に対して摺動可能に並進できるように、プルワイヤが位置付けられ得る。プルワイヤの遠位端は、治療装置が治療部位に送達されているときに治療装置を固定するアセンブリの一部を形成することによって、送達チューブの遠位端に対して固定され得る。治療装置を固定するためにアセンブリを形成するプルワイヤの部分は、プルワイヤの長さの大部分が送達チューブの範囲内での移動自由度を有するように、プルワイヤ間の唯一の取り付け点であり得、プルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して遠位方向及び近位方向に自由に移動する。
【0061】
工程670では、シースが中間ハイポチューブに取り付けられ得る。シースは、プルワイヤの近位端を取り囲むように位置付けられ得る。シースは、本明細書に示され、記載されるシース170、その変形、又は当業者に既知であるような等価な構成要素であり得る。シースは、本明細書に示されるような位置178で中間ハイポチューブに取り付けられ、そうでなければ本明細書に記載されるように取り付けられ、かつ/又は当業者に既知であるような他の手段によって取り付けられ得る。シースは、治療中に医師によって把持されるように成形され得る。
【0062】
図7に概説される方法700を参照すると、工程710では、送達チューブ、中間ハイポチューブ、及びプルワイヤを有する血管内送達システムが選択され得る。血管内送達システムは、本明細書に記載される例示的な送達システム100、その変形、又は当業者に既知であるような等価なシステムであり得る。
【0063】
工程720では、プルワイヤの近位端がシースに取り囲まれ得る。シースは、本明細書に示され、記載されるシース170、その変形、又は当業者に既知であるような等価な構成要素であり得る。プルワイヤの近位端は、プルワイヤの近位端を取り囲むように位置付けられたシースを含む、選択された血管内送達システム(工程710)によって、工程720でシースに取り囲まれ得る。あるいは、シースは、血管内送達システムとは別個に選択された補助構成要素であってもよく、シースは、工程720においてプルワイヤの近位端を取り囲むように位置付けられ得る。いずれの場合も、シースは、取り付けられたときに、不注意な操作及び/又は破損からプルワイヤの近位端を保護する働きをし得る。
【0064】
工程730では、送達システムが患者の脈管構造を通して延長され得る。
【0065】
工程740では、送達システムが患者の脈管構造を通して延長されるとき、プルワイヤの近位端は、送達チューブの近位端に対して遠位方向に移動できるようにされ得る。
【0066】
工程750では、プルワイヤの近位端が、プルワイヤ上のビードをハイポチューブに係合させることによって、中間ハイポチューブ及び送達チューブに入ることを阻止され得る。
【0067】
工程760では、シースが移動されて、中間ハイポチューブが伸ばされ得る。
【0068】
工程770では、プルワイヤの近位端が、中間ハイポチューブを伸長することによって係合及び移動され得る。
【0069】
工程780では、プルワイヤの近位端を送達チューブの近位端に対して近位方向に移動させることによって、治療装置が配置され得る。
【0070】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本発明は、代替的な構成要素、プルワイヤの近位端がプルワイヤの遠位移動によってアクセス不可能になることを防止するための代替的な機構、プルワイヤの近位端を不注意な早期操作から保護するための代替的な機構、送達チューブの近位端から中間ハイポチューブを延長させるための代替的な手段などを含む、血管内送達システムの多くの変形及び修正を企図する。これらの修正は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0071】
〔実施の態様〕
(1) 血管内送達システムであって、
患者を通して治療部位に送達されるようにサイズ決めされた送達チューブと、
前記送達チューブに取り付けられ、前記送達チューブの近位端から近位方向に延在する中間ハイポチューブと、
前記中間ハイポチューブのルーメンを通って、かつ前記送達チューブのルーメンを通って延在するプルワイヤと、を備え、
前記プルワイヤは、前記プルワイヤに取り付けられ、前記ハイポチューブの近位端に対して近位方向に位置付けられている係合隆起部を含み、
前記係合隆起部は、前記中間ハイポチューブの前記ルーメン内への前記係合隆起部の移動を阻止するようにサイズ決めされている、血管内送達システム。
(2) 前記中間ハイポチューブに取り付けられたシースを更に備え、
前記係合隆起部を含む前記プルワイヤの近位部分は、前記シースのルーメン内に位置付けられている、実施態様1に記載の血管内送達システム。
(3) 前記係合隆起部が、前記中間ハイポチューブの前記近位端に対して遠位方向に移動可能である、実施態様1に記載の血管内送達システム。
(4) 前記係合隆起部が前記中間ハイポチューブに係合しない、前記中間ハイポチューブに対する遠位方向への前記係合隆起部の移動の長さを画定する、伸張緩和間隙を更に備える、実施態様3に記載の血管内送達システム。
(5) 血管内治療装置が、前記血管内送達システムの遠位端に近接して位置付けられ、
前記プルワイヤが、前記血管内治療装置を配置するように移動可能である、実施態様1に記載の血管内送達システム。
【0072】
(6) 前記中間ハイポチューブの遠位端が、前記送達チューブの前記ルーメン内に位置付けられている、実施態様1に記載の血管内送達システム。
(7) 前記中間ハイポチューブが、延長可能セクションを含み、
前記延長可能セクションが、前記送達チューブの前記ルーメン内に位置付けられている、実施態様6に記載の血管内送達システム。
(8) 方法であって、
患者を通して治療部位に送達されるようにサイズ決めされ、内部を通るルーメンを含む送達チューブを提供することと、
内部を通るルーメンを含む中間ハイポチューブを提供することと、
プルワイヤを提供することと、
前記プルワイヤの近位端に近接して前記プルワイヤ上に係合隆起部を形成することと、
前記中間ハイポチューブが前記送達チューブの近位端から近位方向に延在し、かつ前記中間ハイポチューブが前記送達チューブの前記近位端から更に延在するように伸張可能であるように、前記中間ハイポチューブを前記送達チューブに取り付けることと、
前記プルワイヤを、前記送達チューブの前記ルーメンを通って、かつ前記中間ハイポチューブの前記ルーメンを通って延在するように位置付けることと、
前記係合隆起部を、前記中間ハイポチューブの近位端に対して近位方向に位置付けることと、
前記中間ハイポチューブの前記ルーメン内への前記係合隆起部の移動を阻止するように、前記係合隆起部をサイズ決めすることと、を含む、方法。
(9) 前記プルワイヤの遠位端が前記送達チューブの遠位端に対して固定され、前記プルワイヤの前記近位端が前記送達チューブの前記近位端に対して摺動可能に並進可能となるように、前記プルワイヤを位置付けることを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 内部を通るルーメンを含むシースを提供することと、
前記シースを前記中間ハイポチューブに取り付けることと、
前記係合隆起部を前記シースの前記ルーメン内に位置付けることと、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0073】
(11) 前記係合隆起部が前記中間ハイポチューブに係合しない、前記中間ハイポチューブに対する遠位方向への前記係合隆起部の移動の長さを、伸張緩和間隙が画定するように、前記伸張緩和間隙を提供することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 血管内治療装置を前記送達チューブの遠位端に近接して固定するように、前記プルワイヤの遠位端を位置付けることを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記中間ハイポチューブを前記送達チューブに取り付ける前記工程が、
前記中間ハイポチューブの遠位端を前記送達チューブの前記ルーメン内に取り付けることを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記中間ハイポチューブを提供する前記工程が、
前記中間ハイポチューブ上に歪み緩和セクションを提供することを更に含み、
前記中間ハイポチューブを前記送達チューブに取り付ける前記工程が、
前記中間ハイポチューブの前記歪み緩和セクションを前記送達チューブの前記ルーメン内に位置付けることと、
前記中間ハイポチューブの遠位部分を前記送達チューブに取り付けることであって、前記遠位部分は、前記歪み緩和セクションに対して遠位方向にある、ことと、
前記中間ハイポチューブの近位部分を前記送達チューブに取り外し可能に取り付けることであって、前記近位部分は、前記歪み緩和セクションに対して近位方向にある、ことと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 血管内治療装置を配置するための方法であって、前記方法は、
送達チューブと、前記送達チューブの近位端から延在する中間ハイポチューブと、前記送達チューブのルーメン及び前記中間ハイポチューブのルーメンを通って延在するプルワイヤと、を備える血管内送達システムを選択することと、
患者の脈管構造を通して前記血管内送達システムを延長させることと、
前記血管内送達システムが前記患者の前記脈管構造を通して延長されるときに、前記プルワイヤの近位端が前記送達チューブの前記近位端に対して遠位方向に移動することを可能にすることと、
前記プルワイヤの前記近位端を前記送達チューブの前記近位端に対して近位方向に移動させることによって、前記血管内治療装置を配置することと、を含む、方法。
【0074】
(16) 前記プルワイヤの前記近位端に近接して位置付けられたビードを前記中間ハイポチューブの近位端に係合させ、それによって、前記プルワイヤの前記近位端が前記中間ハイポチューブの前記ルーメンに入ることを阻止すること、を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記プルワイヤの前記近位端をシースで取り囲むことを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記血管内治療装置を配置する前記工程が、
前記シースを前記送達チューブに対して近位方向に移動させ、それによって前記中間ハイポチューブを伸長することと、
前記プルワイヤの前記近位端を前記中間ハイポチューブに係合させることと、
前記プルワイヤの前記近位端が前記中間ハイポチューブに係合されている間に、前記中間ハイポチューブを伸長することによって、前記プルワイヤの前記近位端を前記送達チューブの前記近位端に対して近位方向に移動させることと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。