IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デピュイ・シンセス・プロダクツ・エルエルシーの特許一覧

特許7508317塞栓コイル近位接続要素及び耐延伸性繊維
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】塞栓コイル近位接続要素及び耐延伸性繊維
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020155306
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2021045547
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】16/573,469
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】タイソン・モンティドロ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ソラウン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ブルームンズティック
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-212372(JP,A)
【文献】特開2019-111339(JP,A)
【文献】特開2012-000464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓インプラントであって、
内部を通る管腔、近位端、及び遠位端を含む、塞栓コイルと、
前記塞栓コイルの前記近位端近くで前記塞栓コイルに溶接された脱離特徴部と、
前記脱離特徴部に係合し、前記塞栓コイルの前記管腔を通って延在し、前記塞栓コイルの前記遠位端近くで前記塞栓コイルに貼着された耐延伸性繊維と、を備え、
前記塞栓コイルの前記管腔が、内径を含み、
前記脱離特徴部が、前記管腔から近位に配設された近位部分と、前記管腔内に配設された遠位部分と、を備え、
前記近位部分が、前記管腔の前記内径よりも大きい第1の幅を含み、
前記遠位部分が、前記管腔の前記内径とほぼ等しい第2の幅を有する幅広セクションと、前記管腔の前記内径よりも小さい第3の幅を有する幅狭セクションと、前記幅広セクションと前記幅狭セクションとの間のテーパ状セクションと、を含み、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルが再成形される際に、前記塞栓コイルの巻線の分離を制限するのに有効である、塞栓インプラント。
【請求項2】
前記耐延伸性繊維が、縫合糸である、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項3】
前記耐延伸性繊維が、非弾性である、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項4】
前記脱離特徴部が、放射線不透過性である、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項5】
前記脱離特徴部が、内部を通る開口部を備え、
前記耐延伸性繊維が、前記脱離特徴部の前記開口部を通過し、
前記開口部が、前記塞栓コイルの前記近位端から近位に延在し、
前記開口部が、機械的送達システムのループワイヤを受容するようにサイズ決め及び位置決めされている、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項6】
前記脱離特徴部が、内部を通る第1の開口部と、前記第1の開口部とは別個の、内部を通る第2の開口部と、を備え、
前記耐延伸性繊維が、前記第1の開口部を通過し、
前記第1の開口部の少なくとも一部分が、前記塞栓コイルの前記管腔内に位置決めされており、
前記第2の開口部の少なくとも一部分が、前記塞栓コイルの前記近位端から近位に位置決めされている、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項7】
システムであって、
請求項6に記載の塞栓インプラントと、
前記第2の開口部を通して位置決めされたループワイヤ、及び前記ループワイヤの開口部を通して位置決めされたプルワイヤ、を含む、機械的送達システムと、を備え、
前記脱離特徴部が、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを分離するブリッジを更に備え、
前記ブリッジが、前記ループワイヤの前記開口部から遠位方向に前記プルワイヤの一部分を支持する、システム。
【請求項8】
前記内径が第1の内径であり、
前記塞栓コイルの前記管腔が、非拡張部分と拡張部分とを含み、
前記拡張部分が前記第1の内径を有し、前記非拡張部分が前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項9】
方法であって、
脱離特徴部の第1の開口部に耐延伸性繊維を通すことと、
塞栓コイルの管腔を通して前記耐延伸性繊維を延在させることと、
前記塞栓コイルの近位端から近位に前記脱離特徴部の近位部分が延在するように、前記塞栓コイルの前記管腔内に前記脱離特徴部の遠位部分を挿入することと、
前記塞栓コイルの前記近位端に前記脱離特徴部を溶接することと、
記塞栓コイルの遠位端に前記耐延伸性繊維を貼着することと、
前記脱離特徴部と前記塞栓コイルの前記遠位端との間に、前記耐延伸性繊維に沿って張力を提供することと、を含み、
前記塞栓コイルの前記管腔が、内径を含み、
前記近位部分が、前記管腔の前記内径よりも大きい第1の幅を含み、
前記遠位部分が、前記管腔の前記内径とほぼ等しい第2の幅を有する幅広セクションと、前記管腔の前記内径よりも小さい第3の幅を有する幅狭セクションと、前記幅広セクションと前記幅狭セクションとの間のテーパ状セクションと、を含む、方法。
【請求項10】
平坦なシート材料から前記脱離特徴部を切断することと、
前記脱離特徴部内の前記第1の開口部を切断することと、
前記第1の開口部通して機械的送達システムの一部分を延在させて、前記脱離特徴部を送達チューブに係合させることと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
平坦なシート材料から前記脱離特徴部を切断することと、
前記脱離特徴部内の前記第1の開口部を切断することと、
前記第1の開口部とは別個の、前記脱離特徴部内の第2の開口部を切断することと、
前記第2の開口部を通して機械的送達システムの一部分を延在させて、前記脱離特徴部を送達チューブに係合させることと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
放射線不透過性の平坦なシート材料から前記脱離特徴部を切断することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記内径が第1の内径であり、
前記塞栓コイルの前記管腔が、非拡張部分と拡張部分とを含み、
前記拡張部分が前記第1の内径を有し、前記非拡張部分が前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、移植可能な医療用装置に関し、より具体的には、移植可能な医療用装置を送達システムに機械的に解放可能に固設するための係合特徴部に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、動脈瘤に治療装置を送達して動脈瘤の嚢を塞栓材料で装填し、かつ/又は動脈瘤の頸部を遮断して動脈瘤への血流を抑制することによって血管内治療することができる。動脈瘤嚢を装填するときに、塞栓材料が、血液凝固を促して、動脈瘤内に血栓腫瘤を作り出す場合がある。実質的に動脈瘤嚢を装填することなく、動脈瘤頸部を治療する場合、動脈瘤頸部への血流を抑制して、動脈瘤内の静脈うっ血を誘発し、動脈瘤内での血栓腫瘤の自然な形成を容易にすることができる。
【0003】
いくつかの現在の治療では、動脈瘤嚢を装填するか、又は動脈瘤頸部の入口を治療するかのいずれかに複数の塞栓コイルが使用される。塞栓コイル治療の間の一般的な課題は、移植されたコイル及び部分的に移植されたコイルの移植された部分が絡まり、再位置決めが困難となることである。場合によっては、医師は、部分的に移植されたコイルを後退させることができない場合があり、理想的ではない場所にコイルを位置決めするように強いられる場合がある。動脈瘤頸部に不適切に位置決めされる塞栓コイルは、特に、入口及び/又は嚢が過剰に充填されている場合、血管に接合する際に、血液の流れを妨害するという有害作用を潜在的に有し得る。非理想的に移植されたコイルの一部分が取り除かれると、当該部分が、隣接する血管に入り、血塊形成を促す場合があり、最終的に、動脈瘤に繋留され、ひいては、治療が非常に困難な閉塞を引き起こす可能性がある。反対に、入口及び/又は嚢が十分に充填されていない場合、血流が動脈瘤内に残留する可能性がある。
【0004】
いくつかの現在の治療では、塞栓コイルは、管状送達部材に取り付けられ、送達カテーテルを介して動脈瘤に送達される。送達中、塞栓コイルは、送達部材のインプラント係合/展開システム(本明細書では、同等に「係合システム」又は「展開システム」と称される)に係合され得る。塞栓コイルが定位置にあるとき、展開システムはコイルを解放することができ、コイルを移植されたままにすることができ、送達部材を後退させることができる。いくつかの治療は、本明細書において総称的に「プルワイヤ」と称される1つ若しくは2つ以上のワイヤ又は他の伸長された部材を引っ張ることによってインプラントを解放するために医師によって作動され得る機械的係合/展開システムを利用する。
【0005】
機械的係合システムを有する送達部材を備えた塞栓コイルの送達及び展開に関連した課題のうちのいくつかには、コイルの早期解放、及び高密度に充填された治療部位からの押し戻しによる送達部材の移動が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、同様の課題に直面する塞栓コイル及び他のインプラントの移植を容易にするための改良された方法、装置、及びシステムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上述の必要性を満たすシステム、装置、及び方法を提供することである。本明細書に提示されるいくつかの実施例では、塞栓コイル内のコイル巻線の分離は、コイルの管腔内に位置決めされた耐延伸性繊維で低減又は阻止される。コイル巻線の分離を低減又は阻止することは、一部の場合には、部分的に移植されたコイルの移植された部分が移植されたコイルと絡まることを阻止し、かつそれによって、コイルの一部又は全てをより簡単に再位置決め及び/又は抽出することを可能にすることができる。本明細書に提示されるいくつかの実施例では、塞栓コイルの送達中、プルワイヤの遠位端は、塞栓コイルの近位端に貼着された係合/脱離特徴部(本明細書では同等に「係合特徴部」、「脱離特徴部」、又は「鍵」と称される)によって支持される。鍵によって提供される支持は、場合によっては、塞栓コイルが早期に解放される可能性を低減し得る。本明細書に提示されるいくつかの例では、塞栓インプラントは、高度に可撓性の近位部分を有し得る。塞栓インプラントの可撓性は、場合によっては、高密度に充填された治療部位からの押し戻しにより送達部材への力を低減し、かつそれによって、押し戻しによる送達部材の移動を低減することができる。
【0008】
必要性のいくつか又は全てを満たすために、塞栓コイルを有するインプラント、コイルを通って延在する耐延伸性繊維、及びコイルの近位端にある脱離特徴部/鍵が提供される。耐延伸性繊維は、塞栓コイルの巻線の分離を制限するのに有効であり得る。鍵は、送達チューブの係合システムに塞栓コイルを固設するため、及び塞栓コイルの近位端に耐延伸性繊維を固設するための取り付け部を提供することができる。
【0009】
動脈瘤を治療するための例示的な方法は、特定の順番なしに提示される以下の工程のうちの1つ又は2つ以上を含むことができ、本方法は、ここでは含まれていない追加の工程を含むことができる。塞栓コイル及び耐延伸性繊維を有するインプラントの一部又は全部を動脈瘤内に位置決めすることができる。塞栓コイルの一部分を動脈瘤から後退させることができる。この部分を動脈瘤から後退させるときに、耐延伸性繊維によって、この部分の延長を抑制することができる。塞栓コイルは屈曲させることができ、耐延伸性繊維は、屈曲時の塞栓コイルの巻線の分離を制限することができる。
【0010】
耐延伸性繊維は、塞栓コイルの管腔内に延在するように位置決めされ得る。耐延伸性繊維は、耐延伸性繊維の長さの大部分に沿って張力下にあり得る。
【0011】
インプラントは、耐延伸性繊維に係合した鍵で送達システムに固設され得る。インプラントを送達システムに固設するために、鍵を通して送達システムのループワイヤを位置決めすることができ、ループワイヤの開口部を通してプルワイヤを位置決めすることができる。インプラントが送達システムに固設されているとき、プルワイヤは、ループワイヤから近位方向及びループワイヤから遠位方向の両方に、鍵によって支持され得る。
【0012】
インプラントの送達及び/又は位置決めの間、鍵をX線撮影で可視化することができる。
【0013】
鍵を送達システムから解放し、それによって、送達システムからインプラントを解放することができる。インプラントを解放するときに、鍵をインプラントに取り付けたままにすることができる。
【0014】
例示的な塞栓インプラントは、塞栓コイル、脱離特徴部、及び耐延伸性繊維を含み得る。脱離特徴部は、塞栓コイルの近位端で塞栓コイルに貼着され得る。耐延伸性繊維は、脱離特徴部に係合し、塞栓コイルの管腔を通って延在し得、塞栓コイルの遠位端で塞栓コイルに貼着され得る。このように構成されると、耐延伸性繊維は、塞栓コイルを再成形する際に、塞栓コイルの巻線の分離を制限するのに有効であり得る。
【0015】
耐延伸性繊維は、縫合糸であり得る。耐延伸性繊維は、非弾性であり得る。
【0016】
脱離特徴部は、放射線不透過性であり得る。
【0017】
脱離特徴部は、耐延伸性繊維が通過する開口部を有し得る。開口部は、塞栓コイルの近位端から近位に延在し得る。
【0018】
脱離特徴部は、機械的送達システムのループワイヤを受容するようにサイズ決めされ、かつ耐延伸性繊維が通過する、単一の開口部を有し得る。
【0019】
代替的に、脱離特徴部は、2つの別個の開口部、耐延伸性繊維が通過する第1の開口部、及び機械的送達システムのループワイヤを受容するようにサイズ決めされた第2の開口部、を有し得る。第1の開口部は、塞栓コイルの管腔内に少なくとも部分的に位置決めされ得る。第2の開口部は、塞栓コイルの近位端から近位方向に少なくとも部分的に位置決めされ得る。
【0020】
例示的なシステムは、2つの別個の開口部と、ループワイヤ及びプルワイヤを含む機械的送達システムとを備える脱離特徴部を有する例示的な塞栓インプラントを含み得る。耐延伸性繊維は、2つの開口部のうちの一方を通過することができ、ループワイヤは、2つの開口部のうちの他方を通過することができる。プルワイヤは、ループワイヤの開口部を通して位置決めし、それによって、ループワイヤでインプラントを機械的送達システムに固設することができる。脱離特徴部は、脱離特徴部の2つの開口部の間に位置決めされたブリッジを更に含むことができ、ブリッジは、ループワイヤのループ開口部から遠位方向にある、プルワイヤの一部分を支持することができる。
【0021】
脱離特徴部は、塞栓コイルの管腔から近位に配設された近位部分と、管腔内に配設された遠位部分と、を有し得る。近位部分は、塞栓コイル管腔の内径よりも大きい寸法の幅を有することができ、遠位部分は、塞栓コイル管腔の内径とほぼ等しい寸法の幅を有することができる。
【0022】
本明細書に記載される例示的なインプラントなどの塞栓インプラントを構築又は設計するための例示的な方法は、特定の順番なしに提示される以下の工程のうちの1つ又は2つ以上を含むことができ、本方法は、ここでは含まれていない追加の工程を含むことができる。脱離特徴部は、平坦なシート材料から切断され得る。1つ又は2つ以上の開口部は、脱離特徴部から切断され得る。耐延伸性繊維は、脱離特徴部の開口部に通され得る。耐延伸性繊維は、塞栓コイルの管腔を通って延在し得る。脱離特徴部は、塞栓コイルの一方の端部に貼着され得る。耐延伸性繊維は、塞栓コイルの他方の端部に貼着され得る。脱離特徴部と塞栓コイルの第2の端部との間に、耐延伸性繊維に沿って張力を提供することができる。
【0023】
機械的展開システムの一部分は、脱離特徴部の開口部を通って延在して、脱離特徴部を送達チューブに係合することができる。機械的展開システムは、内部を通して耐延伸性繊維が通される同じ開口部、又は内部を通して耐延伸性繊維が通される開口部とは別個の、脱離特徴部の開口部を通って延在し得る。
【0024】
脱離特徴部は、放射線不透過性の平坦なシート材料から切断され得る。
【0025】
脱離特徴部の遠位部分は、塞栓コイルの管腔内に挿入することができ、脱離特徴部の近位部分は、塞栓コイルの近位端から近位に延在することができる。塞栓コイル及び脱離特徴部は、脱離特徴部の近位部分が塞栓コイルの管腔の内径よりも広く、脱離特徴部の遠位部分が塞栓コイルの管腔の内径とほぼ等しいように選択され得る。
【0026】
脱離特徴部を塞栓コイルに貼着するために、脱離特徴部を塞栓コイルに溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上記及び更なる態様は、
添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
図1A】本発明の態様による、塞栓インプラントの例示である。
図1B】本発明の態様による、塞栓インプラントの例示である。
図2A】本発明の態様による、中に伸縮抵抗性繊維が通されている脱離特徴部の例示である。
図2B】本発明の態様による、中に伸縮抵抗性繊維が通されている脱離特徴部の例示である。
図3】本発明の態様による、塞栓コイルの管腔に挿入されている耐延伸性繊維の例示である。
図4】本発明の態様による、塞栓コイルの管腔を出る耐延伸性繊維の例示である。
図5A】本発明の態様による、塞栓コイルの管腔に挿入されている脱離特徴部の例示である。
図5B】本発明の態様による、塞栓コイルの管腔に挿入されている脱離特徴部の例示である。
図6A】本発明の態様による、塞栓コイルに貼着された脱離特徴部の例示である。
図6B】本発明の態様による、塞栓コイルに貼着された脱離特徴部の例示である。
図7】本発明の態様による、塞栓コイルの端部に貼着された耐延伸性繊維の例示である。
図8A】最適ではない耐延伸性繊維の留置の結果として塞栓コイルが延伸する時間順序を例示している。
図8B】最適ではない耐延伸性繊維の留置の結果として塞栓コイルが延伸する時間順序を例示している。
図8C】最適ではない耐延伸性繊維の留置の結果として塞栓コイルが延伸する時間順序を例示している。
図9】本発明の態様による、動脈瘤内に位置決めされている塞栓コイルの例示である。
図10A】絡まった塞栓コイルの例示である。
図10B】先行技術による問題の例示として、絡まったコイルが伸長した状態の例示である。
図11】本発明の態様による、塞栓コイルの絡まり及び伸長を抑制する耐延伸性繊維の例示である。
図12】本発明の態様による、動脈瘤治療の一部として行われ得る方法工程を概説するフロー図である。
図13】本発明の態様による、送達チューブに固設された塞栓インプラントの例示である。
図14A】本発明の態様による、送達チューブから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示している。
図14B】本発明の態様による、送達チューブから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示している。
図14C】本発明の態様による、送達チューブから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示している。
図14D】本発明の態様による、送達チューブから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示している。
図15】本発明の態様による、塞栓コイルの内径を拡張する脱離特徴部を含む塞栓インプラントの端部の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的は、より正確かつ反復可能なインプラント脱離を達成することである。より具体的には、本発明の目的は、部分的に移植されたインプラントの再位置決めが困難になること、移植中に押し戻されることにより送達システムが位置をシフトすること、及び/又はインプラントが早期に解放されることなどの課題に直面する、塞栓コイル及び他のインプラントの移植を容易にすることである。これらの必要性のいくつか又は全てを満たすために、例示的なインプラントは、インプラントの塞栓部分(例えば、塞栓コイル)の延伸及び他の変形を制限するための耐延伸性繊維と、耐延伸性繊維を固設することができ、送達システムを脱離可能に取り付けることができる脱離特徴部と、を含み得る。
【0029】
インプラントの再位置決めを容易にするために、耐延伸性繊維は塞栓コイルを通って延在し、コイルが屈曲して引っ張られるとコイルの巻線の分離を制限することができる。巻線の分離を制限することによって、塞栓コイルは、部分的に移植された場合に絡まる可能性が低くなり、部分的に移植された場合に後退させたときに延伸するか、又は別様に変形する可能性が低くなる。これによって、塞栓コイルをより容易に再位置決めすることができる。いくつかの実施例では、脱離特徴部は、2つの別個の開口部を含むことができ、一方は、耐延伸性繊維を固設するためのものであり、他方は、係合システムに係合するためのものである。二重開口脱離特徴部は、信頼性の高い耐延伸性繊維の位置決めを提供するため、ひいては、より容易に再位置決めすることができるインプラントをより確実に提供するための潜在的な製造上の課題を低減し得る。
【0030】
移植中の押し戻しの効果を低減するために、脱離特徴部は、高可撓性近位セクションを有する塞栓コイルインプラントを提供するようにサイズ決めされて塞栓コイルに貼着され得る。高可撓性近位セクションを有する塞栓コイルインプラントは、送達チューブに対する押し戻し力を低減し、かつそれによって、送達チューブがシフトする効果を軽減することができる。追加的に又は代替的に、脱離特徴部は、高可撓性遠位セクションを有する送達チューブと噛み合うようにサイズ決めすることができ、送達チューブの高可撓性遠位セクションは、送達チューブがシフトする効果を軽減することができる。高可撓性近位セクションを有する塞栓コイルインプラントが、高可撓性遠位セクションを有する送達チューブと噛み合うと、送達チューブの可撓性遠位セクションとインプラントの可撓性近位セクションとの組み合わせにより、送達チューブがシフトする効果を更に軽減することができる。
【0031】
早期展開の事例を低減するために、脱離特徴部は、プルワイヤを支持するためのブリッジを含み得る。脱離特徴部は、送達チューブ上の機械的係合/展開システムに脱離可能に取り付けることができる。脱離特徴部は、機械的係合システムのループワイヤが通過することができる開口部を含み得る。いくつかの実施例では、脱離特徴部は、プルワイヤの遠位部分が載置され得る開口部から遠位に位置決めされたブリッジを更に含み得る。ブリッジは、ループワイヤとの係合により、プルワイヤが変形することを抑制することができ、ひいては、プルワイヤの屈曲により、インプラントが早期に解放される可能性を低減することができる。
【0032】
図1Aは、内部を通る管腔13を有する塞栓コイル12と、脱離特徴部18aと、耐延伸性繊維16と、を含むインプラント10aの例示である。例示目的のために切り欠き図で例示されるコイル12及び溶接部42の一部分。脱離特徴部18aは、コイル12の管腔13内に部分的に位置決めすることができ、かつコイル12から外に延在することができる。脱離特徴部18aは、内部を通して耐延伸性ワイヤ16がループ状にされる遠位開口部24aと、機械的インプラント係合システムのループワイヤ又は他の係合機構を受容するようにサイズ決めされた近位開口部22aと、を含み得る。脱離特徴部18aは、遠位開口部24aと近位開口部22aとの間に位置決めされたブリッジ28aを含み得る。脱離特徴部18aは、送達チューブの管腔内に嵌合するようにサイズ決めされた近位タブ38を含み得る。耐延伸性繊維16は、塞栓コイル12の端部で、脱離特徴部18aが溶接部44又は他の適切な取り付け部で取り付けられる端部の反対側に固設することができる。
【0033】
脱離特徴部18aを塞栓コイル12の管腔13内に更に延在するようにテーパ状にして、塞栓コイル12がテーパ状領域を取り囲む追加の可撓性を塞栓コイル12が有することを可能にすることができる。脱離特徴部18aはまた、実質的に平坦な輪郭を有することができ、画像の平面内及び外への方向に更に高い可撓性を提供する。
【0034】
脱離特徴部18aは、コイル12のいかなる巻線も融着させることなく(例示されるように)、又は少数の巻線(例えば、5つ若しくは4つ以下の巻線)を融着させることによって、取り付け部42を用いてコイル12に十分に固設することができる。典型的には10個又は11個以上の巻線が一緒にはんだ付けされる(融着される巻線の数の制御が制限された状態)既知の解決策と比較して、コイル12への取り付け部42は、著しくより少ない融着コイル巻線を用いて実現され得る。融着される巻線の数を低減することによって、インプラント10aの近位セクションは、塞栓コイルの近位端から巻線を融着させることに依存する既知の設計と比較して、高い可撓性を有することができる。
【0035】
図1Bは、同様の要素を示す同様の参照番号を有する図1Aに関連して説明される要素を有する、代替的に構築されたインプラント10bの例示である。例示目的のために切り欠き図で例示されるコイル12及び溶接部42の一部分。図1Aに例示されるインプラント10aと比較して、インプラント10bは、機械的係合システムを係合することができ、かつ内部を通して耐延伸性繊維16をループ状にすることができる開口部を提供する、単一の開口部26bを有する代替的な脱離特徴部18bを有し得る。図1Bに例示される脱離特徴部18bはまた、図1Aに例示される脱離特徴部18aの延在するテーパ状領域を欠いている。図1Aに例示される脱離特徴部18aのテーパ状領域は、図1Bのインプラント10bと比較して、インプラント10aのより可撓性の近位セクションを提供し得るが、それにもかかわらず、図1Bに例示される脱離特徴部18bは、平坦であることにより、画像の平面内及び外への方向に可撓性を提供することによって、既知の塞栓コイルインプラントよりも高い可撓性を提供し、かつ低い輪郭の取り付け部42によって、塞栓コイルの近位端からの巻線の融着に依存する設計よりも高い可撓性を提供することができる。
【0036】
図2A及び図2B図7は、図1A及び図1Bに例示されるインプラント10a及び10bを構築するための一連の工程を例示している。図2A及び図2Bは、脱離特徴部18a、18bを通過している耐延伸性繊維16を例示している。脱離特徴部18a、18bは、平坦なシート材料からレーザー切断することができる。平坦なシート材料は、好ましくは、塞栓コイル12に溶接され得るか、又は別様に貼着され得る放射線不透過性材料である。
【0037】
図2Aは、機械的係合システム及び/又は送達チューブと係合するようにサイズ決めされた近位部分32を有する、二重開口脱離特徴部18aを例示している。近位部分32は、幅W1を有するものとして例示されている。二重開口脱離特徴部18aは、塞栓コイルの管腔13内に嵌合するようにサイズ決めされた遠位部分34を有し得る。遠位部分34は、塞栓コイル12の内径とほぼ同じ幅の幅W2を有するより広いセクションと、塞栓コイル12の内径よりも著しく狭い幅W3を有するテーパ状セクションと、を有し得る。脱離特徴部18aは、近位部分32よりも狭く、かつ送達チューブの管腔内に嵌合するようにサイズ決めされている、近位タブ38を有し得る。
【0038】
図2Bは、機械的係合システム及び/又は送達チューブと係合するようにサイズ決めされた近位部分32を有する、単一開口脱離特徴部18bを例示している。近位部分32は、幅W1を有して例示されている。単一開口脱離特徴部18bは、近位部分32よりも狭く、かつコイル12の管腔13内に嵌合するようにサイズ決めされている、遠位部分34bを有し得る。単一開口脱離特徴部18bは、近位部分32よりも狭く、かつ送達チューブの管腔内に嵌合するようにサイズ決めされている、近位タブ38を有し得る。
【0039】
脱離特徴部18a、18bが形成された後、耐延伸性繊維16は、二重開口脱離特徴部18aの遠位開口部24a、又は単一開口脱離特徴部18bの単一開口部26bに通され得る。
【0040】
図3は、塞栓コイル12の近位端15に挿入されている耐延伸性繊維16の自由端の例示である。図3に例示される工程では、耐延伸性繊維16は、図2A及び図2Bに例示されるような脱離特徴部10a、10bを通してループ状にすることができる。
【0041】
図4は、塞栓コイル12の遠位端14で塞栓コイル12の管腔13から出る耐延伸性繊維16の自由端の例示である。
【0042】
図5A及び図5Bは、塞栓コイル12の管腔13に挿入されている脱離特徴部18a、18bの例示である。塞栓コイル12の遠位端14を出た後、耐延伸性繊維16の自由端を、図4の矢印によって示されるように、更に引っ張って、脱離解特徴部18a、18bを、図5A及び図5B、並びに矢印によって示される例示されるように、塞栓コイル12の近位端15において塞栓コイル12の管腔13内へと移動させることができる。塞栓コイル12の管腔13内への脱離特徴部18a、18bの進入前に、塞栓コイルは、図5Aに示されるような内径Dを有し得る。脱離特徴部18a、18bの近位部分34は、滑り嵌めのために、内径Dとほぼ等しい遠位部分34の少なくとも一部分を上回る幅を有するようにサイズ決めすることができる。代替的又は追加的に、遠位部分34の少なくとも一部分は、締まり嵌めを作り出すために、直径Dよりも大きい幅を有し得る。代替的又は追加的に、遠位部分34の少なくとも一部分は、コイル12の近位端15付近でより高い可撓性のコイル12を可能にするために、直径Dよりも小さい幅を有し得る。
【0043】
図6A及び図6Bは、遠位部分34が塞栓コイル12の管腔13に完全に挿入された状態の脱離特徴部10a、10b、並びに溶接部42又は他の取り付け部によって塞栓コイル12に貼着された脱離特徴部18a、18bの例示である。図6A及び図6Bの両方において、脱離特徴部18a、18bは、塞栓コイル12の管腔13の内径Dにほぼ等しい遠位部分34の長さの少なくとも一部分を上回る幅を有する、遠位部分34を有して例示されている。
【0044】
図7は、塞栓コイル12の遠位端に貼着された耐延伸性繊維16の例示である。脱離特徴部18a、18bを貼着するか、又は少なくとも、図6A及び図6Bに例示されるように脱離特徴部18a~18bを位置決めした後に、耐延伸性繊維16をきつく引っ張って、繊維16内の弛緩を低減し、かつ/又は繊維16内に張力を作り出すことができ、繊維16を溶接部44又は他の取り付け部で貼着することができる。繊維16が取り付けられた後、繊維は、治療の準備中、インプラントの10a、10bの送達中、治療部位でのインプラントの位置決め中、インプラントの後退中、及びインプラントの展開中に、塞栓コイル12に加えられる力による著しい伸長に抵抗するように、実質的に耐延伸性になり得る。換言すれば、耐延伸性繊維16は、塞栓コイル12を動脈瘤から後退させるときに塞栓コイル12の延長を制限するのに有効であり得、かつ耐延伸性繊維16は、塞栓コイル12を屈曲させたときに塞栓コイル12内の巻線の分離を制限するのに有効であり得る。
【0045】
図8A図8Cは、最適ではない耐延伸性繊維16の留置の結果として塞栓コイル12を延伸させることができる時間順序を例示している。図8Aは、単一開口脱離特徴部18b内の最適ではない繊維16の留置を例示している。繊維16は、最適ではない、脱離特徴部18bのセクション上でループ状にすることができ、それにより、図8Bに例示されるような繊維16の移動により、最適ではない位置から繊維16を係脱させることができ、図8Cに例示されるような繊維16の移動により、少なくとも繊維16が脱離特徴部18aに再び係合するまで塞栓コイル12を延伸させることができる。したがって、製造上の課題は、図7に例示される取り付け工程が実施されるときに、図8Aに例示されるような最適ではない場所に繊維16が位置決めされることを阻止することである。製造が完了した後に、図8Bに例示されるような最適ではない場所から繊維16が取り除かれた場合、治療中に再位置決めしている間など、インプラント10bを操作しているときに、塞栓コイル12を、図8Cに例示されるように伸長させるか、又は別様に変形させることができる。
【0046】
二重開口脱離特徴部18aの利点は、図1Aに例示されるインプラント10aの製造中に、耐延伸性繊維16が、脱離特徴部18aの最適ではないセクション上でループ状になる可能性が低いことである。
【0047】
図9は、送達カテーテル200を通して送達され、血管BVの動脈瘤A内に位置決めされている、塞栓インプラント(複数可)10の例示である。インプラント(複数可)は、動脈瘤嚢内でループ状になり屈曲して、血栓腫瘤を形成し得る。インプラント(複数可)は、それら自体及び/又は他のインプラントの隣のループにループバックし得る。動脈瘤Aが次第に充填されると、インプラント10の重複部分が互いに押し込まれ得る。
【0048】
図10Aは、コイルの重複部分が互いに押し込まれるときに、耐延伸性繊維16が絡まることがない塞栓コイル12の例示である。この絡まりにより、コイル12のいずれかを再位置決めすることが困難又は不可能になることがあり、これは、一部の現在の塞栓コイルインプラントの既知の問題である。図10Bは、力Fにより、図10Aに例示されるセクションの長さL1より長い長さL2まで伸長する塞栓コイル12の一部分を例示している。図10Bは、医師が、絡まった部分的に移植された塞栓コイルを後退させようと試みる場合があり、コイルを後退させることができないだけでなく、変形した伸長されたコイルをここで位置決めする必要があることにより、既に困難な治療を悪化させる場合もある、シナリオを例示している。塞栓コイルの巻線が、例えば、屈曲により分離したとき、又は高密度な充填によってコイルがより引密に圧縮されたときに、絡まる可能性がより高くなることがある。
【0049】
図11は、本発明のある態様による、絡まること及び伸長されることが阻止されている耐延伸性繊維16を各々が有する、例示的な塞栓コイル12の例示である。各コイル12は、屈曲部分20を有するものとして例示されている。耐延伸性繊維16は、移植されたときに必要に応じてコイル12を撓ませ、屈曲させることを可能にするように、各コイルの管腔13内でシフトし得る。繊維16は、屈曲部分20の巻線間の分離量を制限するのに十分な張力を有し得る。巻装の分離は、図10Aに例示されるように、2つの隣接するコイル12の巻線が絡まることを抑制するように制限され得る。図11はまた、コイル12の一部分40に加えられた力Fを例示しており、耐延伸性繊維16内の張力により、部分40が伸長することが抑制されている。図11は、医師が、耐延伸性繊維16が中に通されている、部分的に移植された塞栓コイル12をうまく後退させることができるシナリオを例示している。
【0050】
図12は、本明細書に記載されるような例示的なインプラント10、10a、10bを使用した動脈瘤治療の一部として行われ得る工程を含む、方法500を例示しているフロー図である。工程510では、塞栓コイル及び耐延伸性繊維を有するインプラントを、動脈瘤嚢内に少なくとも部分的に位置決めすることができる。工程520では、塞栓コイルの一部分を屈曲させることができる。工程530では、コイルが屈曲するときに、耐延伸性繊維が塞栓コイルの屈曲部分内の巻線の分離を抑制し得る。工程540では、インプラントの移植された部分の一部又は全部を動脈瘤から後退させることができる。工程550では、インプラントが後退するときに、耐延伸性繊維が塞栓コイルの延長を抑制し得る。
【0051】
図13は、送達チューブ300に固設された、図1A及び図1Bに例示されるか、又は別様に本明細書に記載されるインプラント10a、10bのいずれかのような例示的な塞栓インプラント10の例示である。例示的な送達チューブ及び係合/展開システムは、米国特許公開第2019/0192162号、及び米国特許出願公開第15/964,857号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。送達チューブ300は、インプラント10の脱離特徴部18の近位部分32を受容するようにサイズ決めされたノッチ310を含むことができ、同様に、脱離特徴部18の近位部分32は、送達チューブ300のノッチ310内に嵌合するようにサイズ決めされ得る。図13は、脱離特徴部18の平坦な輪郭を強調する、インプラント10の側面図を例示している。図1A及び図1Bに関連して記載されるように、インプラント10は、脱離特徴部18が平坦であることによって、及び/又はいくつかのコイル巻線を融着することなく、脱離特徴部18がコイル12に固設されることによって、高可撓性近位部分を有し得る。脱離特徴部18は、画像の平面内及び外への方向に可撓性が増加するようにテーパ状にすることもできる。脱離特徴部18は、送達チューブ300の管腔内に位置決めされた近位タブ38を更に含み得る。
【0052】
動脈瘤閉塞治療中に、既知の塞栓インプラントの近位部分の可撓性の欠如、及び/又は送達チューブの遠位部分の可撓性の欠如により、インプラントが動脈瘤内に留置されている間に、送達チューブが治療部位から引き戻されるか、又は別様に適所を外れて移動することがある。したがって、より可撓性の遠位部分を有する送達チューブ、及びより可撓性の近位部分を有するインプラントは、単独で又は組み合わせにより、インプラントを送達するためのより安定したシステムを提供することができる。しかしながら、可撓性の構造は、操作時に変形又は拡張しやすい場合がある。耐延伸性繊維16及び/又は脱離特徴部18は、単独で又は組み合わせにより、コイル12を支持し、本明細書に記載される原理に従って、コイル12の変形及び拡張を抑制することができる。本発明の目的は、高可撓性近位部分を有し、かつ/又は高可撓性遠位部分を有する送達チューブ300と噛み合うように構成されたインプラント10を提供することである。
【0053】
図14Aは、インプラント10を送達及び位置決めするように構成された、インプラント10及び送達チューブ300の例示である。図14B図14Dは、例示的な塞栓インプラント10を送達チューブ300から解放するための一連の工程の例示である。送達チューブ300の一部分は、例示目的のために切り取られている。
【0054】
図14Aは、プルワイヤ140と、インプラント12の脱離特徴部18内に係止されたループワイヤ400と、を含む、係合システムを例示している。送達チューブ300は、圧縮され得る圧縮可能部分306を含み得る。ループワイヤ400は、ループワイヤ400の遠位端404に開口部405を有することができ、開口部405は、脱離特徴部18の開口部22aを通して留置され得る。プルワイヤ140が開口部405を通って入れられると、ここでインプラント12が固設される。
【0055】
脱離特徴部18は、ループワイヤ開口部405から遠位に位置決めされ、ループワイヤ開口部405がプルワイヤ140によって支持される場所の遠位にある、プルワイヤ140の遠位部分を支持するように位置決めされている、ブリッジ28を含み得る。このように構成されると、ブリッジ28は、ループワイヤ400がループ開口部405でプルワイヤ140を強く引いたときに、ブリッジ28がプルワイヤ140の遠位部分の変形を抑制し得るように、プルワイヤ140の遠位部分を支持することができる。近位タブ38は、ループワイヤ開口部405がプルワイヤ140によって支持される場所の近位にある、プルワイヤ140の一部分を支持するように位置決めされ得る。ブリッジ28と近位タブ38との組み合わせは、ループワイヤ400によって加えられる力によってプルワイヤ140が変形することを抑制することができる。送達チューブ300は、脈管構造を通してインプラント10を送達する間、及びインプラント10が治療部位に位置決めされている間、図14Aに例示されるように、インプラント10に脱離可能に取り付けることができる。ブリッジ28は、ループワイヤ400からの力によるプルワイヤ140の屈曲により、インプラント10が早期に解放される可能性を低減し得る。
【0056】
ブリッジ28は、例示されるような二重開口インプラントにおいて、近位開口部22aと遠位開口部24aとを分離し得る。単一開口インプラントが、例示されるブリッジ28に関して記載されるものと同様に、プルワイヤ140の遠位部分を支持するように機能し得る構造を含むように適合され得ることも企図される。したがって、代替的なブリッジ構造が、本発明の範囲内であるように意図される。
【0057】
図14Bは、インプラント10の解放順序を開始するために、近位に引き込まれているプルワイヤ140を例示している。図14Cは、プルワイヤ140が開口部405から出て、ループワイヤ400から引きほどかれた瞬間を例示している。ループワイヤ400の遠位端部404は脱落し、かつ係止部分18から出る。図から分かるように、ここでインプラント10を送達チューブ300に保持しているものは何もない。図14Dは、解放順序の終了を例示している。ここで、圧縮可能部分306は元の形状に拡張し/戻り、前方に「弾ける」。送達チューブ300の遠位端304により弾性力Eが医療用装置10に付与されて、これを離れる方向に「押し出し」、医療用装置10のきれいな分離及び送達を確実にする。
【0058】
図15は、同様の要素を示す同様の参照番号を有する図1Aに関連して説明される要素を有する、代替的に構築されたインプラント10cの近位セクションの断面図である。図1Aに例示されるインプラント10aと比較して、図15に例示されるインプラント10cは、代替的な脱離特徴部18cを有し得る。図18cに例示される脱離特徴部18cは、内径D1を有する塞栓コイル12の管腔13内に嵌合するようにサイズ決めされた幅D2を備える部分を有し得る。脱離特徴部18cの幅D2は、脱離特徴部18cが管腔13内に位置決めされるときに、管腔13の近位部分が直径D2まで拡張して、脱離特徴部18cの幅D2を収容するように、コイル管腔13の内径D1よりも大きくすることができる。このように構成されると、コイル12の拡張部分は、脱離特徴部18cをコイル12に固設することを助けるために、幅D2を有する脱離特徴部のセクションに対して圧縮力を提供することができる。
【0059】
図1Aに例示されるインプラント10aと比較して、ブリッジ28cは、塞栓コイル12の近位端から近位に延在し得る。このように構成されると、いくつかの構成では、ブリッジ28cによって支持される塞栓コイル12の管腔13にプルワイヤ140を挿入する必要はない。塞栓コイル12に挿入されるプルワイヤ140の長さを制限することにより、塞栓コイルの近位セクションの可撓性を増加させることができる。
【0060】
図15に例示されるインプラント10cは、図2A及び図2B図7に例示される原理に従って構築され得る。図15に例示されるインプラント10cは、図9及び図11図14Dに例示される原理に従って使用され得る。
【0061】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。
【0062】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本発明は、代替的な材料、構成要素部品の代替的な幾何学形状、構成要素部品の互いに対する代替的な位置決めなどを含む、インプラントの多くの変形例及び修正例、並びにインプラントを作製及び使用するための方法を企図する。これらの修正例は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが企図される。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
塞栓コイル及び耐延伸性繊維を含むインプラントの一部又は全てを動脈瘤内に位置決めすることと、
前記塞栓コイルの第1の部分を前記動脈瘤から後退させることと、
前記第1の部分を前記動脈瘤から後退させる際に、前記耐延伸性繊維で前記塞栓コイルの前記第1の部分の延長を制限することと、を含む、方法。
(2) 前記塞栓コイルの管腔内に延在させるように前記耐延伸性繊維を位置決めすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記塞栓コイルの第2の部分を屈曲させることと、
前記塞栓コイルの前記第2の部分を屈曲させながら、前記耐延伸性繊維を用いて、前記塞栓コイルの前記第2の部分内の巻線の分離を制限することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記耐延伸性繊維に係合した鍵によって前記インプラントを送達システムに固設することと、
前記送達システムから前記鍵を解放し、それによって、前記インプラントを前記送達システムから解放することと、更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記インプラントを前記送達システムに固設する前記工程が、
前記鍵を通して前記送達システムのループワイヤを位置決めすることと、
前記ループワイヤの開口部を通して前記送達システムのプルワイヤを位置決めすることと、を更に含み、
前記方法が、
前記鍵によって、前記ループ開口部に対して遠位方向に位置決めされた前記プルワイヤの第1の部分を支持することと、
前記鍵によって、前記ループ開口部に対して近位方向に位置決めされた前記プルワイヤの第2の部分を支持することと、を更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0064】
(6) 塞栓インプラントであって、
内部を通る管腔、近位端、及び遠位端を含む、塞栓コイルと、
前記塞栓コイルの前記近位端近くで前記塞栓コイルに貼着された脱離特徴部と、
前記脱離特徴部に係合し、前記塞栓コイルの前記管腔を通って延在し、前記塞栓コイルの前記遠位端近くで前記塞栓コイルに貼着された耐延伸性繊維と、を備え、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルが再成形される際に、前記塞栓コイルの巻線の分離を制限するのに有効である、塞栓インプラント。
(7) 前記耐延伸性繊維が、縫合糸である、実施態様6に記載の塞栓インプラント。
(8) 前記耐延伸性繊維が、非弾性である、実施態様6に記載の塞栓インプラント。
(9) 前記脱離特徴部が、放射線不透過性である、実施態様6に記載の塞栓インプラント。
(10) 前記脱離特徴部が、内部を通る開口部を備え、
前記耐延伸性繊維が、前記脱離特徴部の前記開口部を通過し、
前記開口部が、前記塞栓コイルの前記近位端から近位に延在し、
前記開口部が、機械的送達システムのループワイヤを受容するようにサイズ決め及び位置決めされている、実施態様6に記載の塞栓インプラント。
【0065】
(11) 前記脱離特徴部が、内部を通る第1の開口部と、前記第1の開口部とは別個の、内部を通る第2の開口部と、を備え、
前記耐延伸性繊維が、前記第1の開口部を通過し、
前記第1の開口部の少なくとも一部分が、前記塞栓コイルの前記管腔内に位置決めされており、
前記第2の開口部の少なくとも一部分が、前記塞栓コイルの前記近位端から近位に位置決めされている、実施態様6に記載の塞栓インプラント。
(12) システムであって、
実施態様11に記載の塞栓インプラントと、
前記第2の開口部を通して位置決めされたループワイヤ、及び前記ループワイヤの開口部を通して位置決めされたプルワイヤ、を含む、機械的送達システムと、を備え、
前記脱離特徴部が、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを分離するブリッジを更に備え、
前記ブリッジが、前記ループワイヤの前記開口部から遠位方向に前記プルワイヤの一部分を支持する、システム。
(13) 前記塞栓コイルの前記管腔が、内径を含み、
前記脱離特徴部が、前記管腔から近位に配設された近位部分と、前記管腔内に配設された遠位部分と、を備え、
前記近位部分が、前記管腔の前記内径よりも大きい寸法の第1の幅を含み、
前記遠位部分が、前記管腔の前記内径とほぼ等しい寸法の第2の幅を含む、実施態様6に記載の塞栓インプラント。
(14) 方法であって、
脱離特徴部の第1の開口部に耐延伸性繊維を通すことと、
塞栓コイルの管腔を通して前記耐延伸性繊維を延在させることと、
前記塞栓コイルの第1の端部に前記脱離特徴部を貼着することと、
前記第1の端部とは反対側の前記塞栓コイルの前記第2の端部に前記耐延伸性繊維を貼着することと、
前記脱離特徴部と前記塞栓コイルの前記第2の端部との間に、前記耐延伸性繊維に沿って張力を提供することと、を含む、方法。
(15) 平坦なシート材料から前記脱離特徴部を切断することと、
前記脱離特徴部内の前記第1の開口部を切断することと、
前記第1の開口部(26b)を通して機械的展開システムの一部分を延在させて、前記脱離特徴部を送達チューブに係合させることと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0066】
(16) 平坦なシート材料から前記脱離特徴部を切断することと、
前記脱離特徴部内の前記第1の開口部を切断することと、
前記第1の開口部とは別個の、前記脱離特徴部内の第2の開口部を切断することと、
前記第2の開口部を通して機械的展開システムの一部分を延在させて、前記脱離特徴部を送達チューブに係合させることと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 放射線不透過性の平坦なシート材料から前記脱離特徴部を切断することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記塞栓コイルの前記管腔内に前記脱離特徴部の遠位部分を挿入することと、
前記塞栓コイルの前記近位端から近位に前記脱離特徴部の近位部分を延在させることと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記管腔が内径を含むように前記塞栓コイルを選択することと、
前記脱離特徴部の前記近位部分が、前記管腔の前記内径よりも大きい寸法の第1の幅を含むように、かつ前記脱離特徴部の前記遠位部分が、前記管腔の前記内径とほぼ等しい寸法の第2の幅を含むように、前記脱離特徴部を選択することと、を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記塞栓コイルの第1の端部に前記脱離特徴部を貼着することが、前記塞栓コイルの前記第1の端部に前記脱離特徴部を溶接することを含む、実施態様14に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15