(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、判定方法および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240624BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2020158639
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】エフサステクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古山 孝志
(72)【発明者】
【氏名】遠崎 武志
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 章浩
(72)【発明者】
【氏名】河原林 広
(72)【発明者】
【氏名】宮島 健吉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 南美子
(72)【発明者】
【氏名】北川 義洋
(72)【発明者】
【氏名】柴田 志子
(72)【発明者】
【氏名】高島 昌志
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-72622(JP,A)
【文献】特開2016-62517(JP,A)
【文献】特開2012-59111(JP,A)
【文献】特開2020-42428(JP,A)
【文献】特開2012-190354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データと前記データの価値とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記データに対するアクセスを受け付けた場合に、前記アクセスを行った利用者の異動情報を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記利用者の異動情報を基にして、前記データの価値を更新する更新部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記更新部は、アクセスを受け付けたデータに対する操作内容と、前記異動情報とを基にして前記データの価値を更新することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記異動情報には、前記利用者が中途退職者に属することを示す第1属性、前記利用者が定年退職者に属することを示す第2属性、前記利用者が異動者に属することを示す第3属性のうち、いずれかの属性が設定され、前記更新部は、前記操作内容と、前記属性との組み合わせを基にして、前記データの価値を更新することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データの価値は、機密性に関する第1価値、前記データの最新の価値を示す第2価値、保存する価値を示す第3価値を有し、前記更新部は、前記操作内容と、前記属性との組み合わせを基にして、前記第1価値、前記第2価値、前記第3価値のうち、少なくとも一つを更新することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記異動情報に、前記第1属性が設定されている場合には、前記第1価値および前記第2価値に、所定値を加算することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記更新部は、前記異動情報に前記第2属性が設定され、かつ、前記操作内容がデータの更新である場合には、前記異動情報に前記第2属性が設定され、かつ、前記操作内容がデータの確認である場合と比較して大きな値を、前記第3価値に加算することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記更新部は、前記異動情報に前記第2属性が設定され、かつ、前記操作内容がデータの更新である場合には、前記異動情報に前記第3属性が設定され、かつ、前記操作内容がデータの更新である場合と比較して大きな値を、前記第3価値に加算することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記データには、前記データにアクセスを行った利用者の異動情報と、アクセスを行った日時とが関連付けられ、前記更新部は、前記異動情報に前記第2属性が設定され、前記利用者の退職日を起点とした所定期間内に、前記日時が含まれる場合に、前記第3価値に所定値を加算することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
データと前記データの価値とを対応付けて記憶する記憶装置を有するコンピュータが実行する判定方法であって、
前記データに対するアクセスを受け付けた場合に、前記アクセスを行った利用者の異動情報を特定し、
特定した前記利用者の異動情報を基にして、前記データの価値を更新する
処理を実行することを特徴とする判定方法。
【請求項10】
データと前記データの価値とを対応付けて記憶する記憶装置を有するコンピュータに、
前記データに対するアクセスを受け付けた場合に、前記アクセスを行った利用者の異動情報を特定し、
特定した前記利用者の異動情報を基にして、前記データの価値を更新する
処理を実行させることを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
会社等のシステムには様々なデータが保存されており、利用者は、各種の業務目的によって、システムに保存されたデータにアクセスし、データの確認、更新を行っている。また、利用者は、必要に応じて、システムに新規のデータを作成し、追加している。
【0003】
ここで、システムに保存可能なデータ量には限界があるため、従来のシステムでは、データの更新日時を基にして、更新日時から一定期間経過したデータを、自動で削除する対応を行っている。
【0004】
なお、上記のようにデータを自動で削除する技術では、更新日時から一定期間経過したデータを一律に削除してしまうため、利用者は、システムに保存された各データを確認する場合、新規にデータを作成した場合に、重要だと思われるデータに関しては、削除対象から除外する設定を行うことで、かかるデータが削除されないような対策を行っている。
【0005】
また、利用者は、上記の対策に加えて、データのセキュリティ対策等も行っている。たとえば、利用者は、システムに保存された各データを確認する場合や、新規にデータを作成した際に、機密性が高いと思われるデータに関しては、パスワード等を設定することで、第三者からの閲覧を抑止し、情報漏洩を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-223544号公報
【文献】特開2005-092832号公報
【文献】特開2013-200715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、システムに保存されたデータに適切な価値を付与することができないという問題がある。
【0008】
たとえば、システムに保存されたデータのうち、削除対象から除外するデータや、機密性の高いデータは、価値の高いデータといえるが、係るデータの価値は、一定ではなく、時間とともに変動するものである。すなわち、保存した当初は価値がなかったものが、社内環境の変化等によって、価値が上昇することが起こり得る。
【0009】
一方、データを作成した時点では、価値が高いと判断され、削除対象から除外したデータが、その後、価値を失う場合もある。このような場合には、保存する価値のないデータがいつまでも削除されず、システムに残ってしまう。
【0010】
ここで、利用者が、定期的に、システムに保存されたデータを一つ一つ確認して、データの価値を再考し、削除有無、パスワード設定を更新することも考えられるが、データ量が膨大であるため、現実的ではない。
【0011】
1つの側面では、本発明は、データに適切な価値を付与することができる情報処理装置、判定方法および判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の案では、情報処理装置は、記憶部と、特定部と、更新部とを有する。記憶部は、データとデータの価値とを対応付けて記憶する。特定部は、データに対するアクセスを受け付けた場合に、アクセスを行った利用者の異動情報を特定する。更新部は、特定部によって特定された利用者の異動情報を基にして、データの価値を更新する。
【発明の効果】
【0013】
システムに保存されたデータに適切な価値を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、プロパティ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、価値管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施例の情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示する情報処理装置、判定方法および判定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図1に示すように、このシステムは、利用者端末10a,10b,10cと、情報処理装置100とを有する。利用者端末10a~10cは、ネットワーク50を介して、情報処理装置100に接続される。
【0017】
利用者端末10a~10cは、利用者の保有する端末装置であり、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等に対応する。情報処理装置100にアクセスし、情報処理装置100に保存されたデータの閲覧、更新を行う。また、情報処理装置は、新たなデータを、情報処理装置100に記録してもよい。本実施例では一例として、利用者を会社員として説明するが、これに限定されるものではない。
【0018】
図1に示す例では、利用者端末10a~10cを示すが、このシステムは、利用者端末10a~10c以外の利用者端末を有していてもよい。以下の説明では、利用者端末10a~10c、他の利用者端末をまとめて、利用者端末10と表記する。
【0019】
情報処理装置100は、データを保存し、保存したデータに対して価値を付与する装置である。たとえば、情報処理装置100は、データに対するアクセスを受け付けた場合に、アクセスした利用者の異動情報およびデータに対する操作内容を基にして、データの価値を更新する処理を繰り返し実行する。
【0020】
図2は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、この情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、出力部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0021】
通信部110は、有線または無線通信によって、利用者端末10との間で情報の送受信を行う。たとえば、通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0022】
入力部120は、キーボードやマウス等の入力デバイスを用いて実現され、操作者による入力操作に対応して、制御部150に対して処理開始などの各種指示情報を入力する。出力部130は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンター等の印刷装置等によって実現される。
【0023】
タイマ135は、現在の日時の情報を、制御部150に出力するタイマである。タイマ135は、定期的に、インターネット上の外部装置にアクセスして、日時を修正してもよい。
【0024】
記憶部140は、プロパティ情報141、データテーブル142、価値管理テーブル143を有する。記憶部140は、たとえば、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0025】
プロパティ情報141は、利用者の異動情報に関する情報を有する。
図3は、プロパティ情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、プロパティ情報141は、利用者識別情報と、氏名と、退職フラグと、異動情報と、退職予定日を有する。
【0026】
利用者識別情報は、利用者を一意に識別する情報である。氏名は、利用者の氏名を示す。異動フラグは、利用者識別情報に対応する利用者が、中途退職者であるか、定年退職者であるか、現在の部署から他の部署に異動する異動者であるかを示すフラグである。たとえば、利用者が、中途退職者、定年退職者、異動者のいずれかに該当する場合には、異動フラグが「オン」に設定される。一方、利用者が、中途退職者、定年退職者、異動者のいずれにも該当しない場合には、異動フラグが「オフ」に設定される。
【0027】
異動情報は、利用者が、中途退職者、定年退職者、異動者のいずれかに該当するかを示す情報である。利用者が、中途退職者、定年退職者、異動者のいずれにも該当しない場合には、異動情報はブランクとなる。
【0028】
退職予定日は、利用者が中途退職する予定日、あるいは、利用者が退職する予定日を示す。利用者が、中途退職者、退職者に該当しない場合には、退職予定日はブランクとなる。
【0029】
図2の説明に戻る。データテーブル142は、データを保存するテーブルである。
図4は、データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4に示すように、このデータテーブル142は、データ識別情報と、データと、削除除外フラグと、保護対象フラグとを有する。データ識別情報は、データを一意に識別する情報である。データは、保存対象のデータとなる。
【0030】
削除除外フラグは、削除対象から除外するか否かを示すフラグである。削除除外フラグが「オン」となる場合には、データを削除対象から除外することを示す。削除除外フラグが「オフ」となる場合には、データを削除対象から除外しないことを示す。削除除外フラグが「オフ」となるデータについては、データのアクセス日時から所定期間経過後に、削除される。
【0031】
保護対象フラグは、データに対するセキュリティ対策を施すか否かを示すフラグである。保護対象フラグが「オン」となる場合には、データに対してセキュリティ対策を施すことを示す。保護対象フラグが「オフ」となる場合には、データに対してセキュリティ対策を施さないことを示す。たとえば、セキュリティ対策として、パスワード設定や、閲覧制限等があげられる。
【0032】
図2の説明に戻る。価値管理テーブル143は、データに付与された価値に関する情報を保持するテーブルである。
図5は、価値管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すように、この価値管理テーブル143は、データ識別情報と、データ種別と、価値と、アクセス者識別情報と、アクセス日時と、総合評価とを有する。
【0033】
データ識別情報は、データを一意に識別する情報である。データ種別は、データの種別を示す。価値は、データに付与した価値を示す。たとえば、価値には、第1価値と、第2価値と、第3価値とが含まれる。
【0034】
第1価値は、データの機密性に関する価値を示す。第2価値は、データの最新の価値を示す。第3価値は、データの保存価値を示すものである。
【0035】
アクセス者識別情報は、該当するデータにアクセスした利用者の利用者識別情報を示す。アクセス日時は、該当するデータがアクセスされた最新の日時を示す。総合評価は、該当するデータの総合的な評価を示す。
【0036】
図2の説明に戻る。制御部150は、受付部151と、特定部152と、更新部153と、後処理部154とを有する。制御部150は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)により実現される。また、制御部150は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実行されてもよい。
【0037】
受付部151は、利用者端末10からのログイン要求を受け付けた場合に、認証処理を実行する。ログイン要求には、利用者端末10を操作する利用者の利用者識別情報が含まれているものとする。受付部151は、認証に成功した場合に、利用者端末に対するデータテーブル142に対するアクセスを許容する。受付部151が実行する認証処理は、パスワード等を用いた周知の認証処理とする。
【0038】
利用者は、認証に成功すると、利用者端末10を操作して、データテーブル142に登録されたデータに対する確認(閲覧)、更新を行う。また、利用者は、利用者端末10を操作して、データテーブル142に新規のデータを追加してもよい。
【0039】
受付部151は、データテーブル142に登録されたデータに対する確認、更新が行われた場合、価値管理テーブル143のデータ識別情報に対応する、アクセス者識別情報と、アクセス日時とを更新する。
【0040】
たとえば、受付部151は、利用者端末10から、データ識別情報「Data-A」のデータに対してアクセスを受け付けた場合、データ識別情報「Data-A」に対応するアクセス者識別情報、アクセス日時を更新する。
【0041】
アクセス者識別情報は、ログイン要求に含まれる利用者識別情報であって、データにアクセスした利用者を識別する情報である。アクセス日時は、アクセスを受け付けた場合の日時であり、受付部151は、タイマ135から取得する。
【0042】
ところで、利用者は、利用者端末10を操作して、データテーブル142のデータを、情報処理装置100から取得し、各種の操作を行ってもよい。たとえば、利用者は、利用者端末10を操作して、データのプリントアウトや、データを外部記憶装置に保存する操作(書き出し要求)を行う。受付部151は、利用者端末10から、データに対する操作の内容の情報を取得するものとする。
【0043】
受付部151は、アクセスされたデータのデータ識別情報と、利用者識別情報と、データに対して実行された操作内容の情報とを、特定部152に出力する。操作内容には、データの確認、更新、プリントアウト、外部記憶装置への保存等が含まれる。
【0044】
受付部151は、利用者端末10からログイン要求を受け付け、データに対応する各種の操作を受け付けるたびに、上記処理を繰り返し実行する。
【0045】
特定部152は、利用者識別情報と、プロパティ情報141とを基にして、利用者識別情報に対応する異動フラグがオンであるか否かを判定する。
【0046】
異動フラグが「オン」となっている場合の特定部152の処理について説明する。特定部152は、利用者識別情報と、プロパティ情報141とを比較して、利用者識別情報に対応する異動情報を特定する。特定部152は、データ識別情報(アクセスされたデータのデータ識別情報)と、異動情報と、操作内容とを対応付けた情報を、更新部153に出力する。
【0047】
以下の説明では、データ識別情報と、異動情報と、操作内容とを対応付けた情報を「特定情報」と表記する。特定情報に含まれる異動情報には、中途退職者、定年退職者、異動者のいずれかが設定される。
【0048】
異動フラグが「オフ」となっている場合の特定部152の処理について説明する。特定部152は、受付部151から、次の利用者識別情報と、操作内容の情報とを取得するまで、待機する。
【0049】
特定部152は、受付部151から、データ識別情報と、利用者識別情報と、操作内容の情報とを取得するたびに上記処理を繰り返し実行する。
【0050】
更新部153は、特定部152から特定情報(異動情報、操作内容)を基にして、データの価値を更新する処理部である。以下に説明するように、更新部153は、第1更新処理、第2更新処理を順に実行する。
【0051】
更新部153が実行する「第1更新処理」について説明する。更新部153は、第1更新処理において、異動情報と、操作内容とを基にして、データの価値を更新する。
【0052】
更新部153は、異動情報が「中途退職者」である場合には、操作内容によらず、第1価値と、第2価値に、「1」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143について、特定情報に含まれるデータ識別情報に対応する、第1価値および第2価値に、「1」を加算することで、データの価値を更新する。
【0053】
更新部153は、異動情報が「定年退職者」であり、操作内容が「確認」である場合には、第3価値に「1」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143について、特定情報に含まれるデータ識別情報に対応する、第3価値に「1」を加算することで、データの価値を更新する。
【0054】
更新部153は、異動情報が「定年退職者」であり、操作内容が「更新」である場合には、第3価値に「2」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143について、特定情報に含まれるデータ識別情報に対応する、第3価値に「2」を加算することで、データの価値を更新する。
【0055】
更新部153は、異動情報が「異動者」であり、操作内容が「更新」である場合には、第3価値に「1」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143について、特定情報に含まれるデータ識別情報に対応する、第3価値に「1」を加算することで、データの価値を更新する。
【0056】
なお、更新部153は、異動情報が「異動者」であり、操作内容が「確認」である場合には、データの価値を更新しない。
【0057】
更新部153が実行する「第2更新処理」について説明する。更新部153は、特定情報の操作内容に、プリントアウトまたは外部記憶装置の保存が含まれているか否かを判定する。更新部153は、操作内容に、プリントアウトまたは外部記憶装置の保存(書き出し要求)が含まれている場合には、第1価値に「1」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143について、特定情報に含まれるデータ識別情報に対応する、第1価値に「1」を加算することで、データの価値を更新する。
【0058】
上記の説明では、更新部153は、情報処理装置100が、データに対するアクセスを受け付けた場合に、第1更新処理、第2更新処理を実行する場合について説明したが、更新部153は、所定期間ごとに、次の第3更新処理を実行してもよい。
【0059】
更新部153が実行する「第3更新処理」について説明する。更新部153は、価値管理テーブル143のレコードを選択し、選択したレコードに含まれるアクセス者識別情報を特定する。第3更新処理において、価値管理テーブル143で選択したレコードを「選択レコード」と表記する。
【0060】
更新部153は、特定したアクセス者識別情報(利用者識別情報)と、プロパティ情報141とを比較して、アクセス者識別情報に対応する利用者識別情報の退職フラグが「オン」となっているか否かを判定する。
【0061】
退職フラグが「オン」となっている場合の更新部153の処理について説明する。更新部153は、アクセス者識別情報と、プロパティ情報141とを比較して、アクセス者識別情報に対応する利用者識別情報の異動情報および退職予定日を特定する。
【0062】
更新部153は、異動情報が「中途退職者」である場合には、第1価値に「1」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143の選択レコードに含まれる第3価値に「1」を加算することで、データの価値を更新する。
【0063】
更新部153は、異動情報が「定年退職者」である場合には、価値管理テーブル143の選択レコードに含まれるアクセス日時を特定する。更新部153は、退職予定日を起点とした所定期間内に、アクセス日時が含まれる場合に、第3価値に「1」を加算すると判定する。更新部153は、価値管理テーブル143の選択レコードに含まれる第3価値に「1」を加算することで、データの価値を更新する。
【0064】
更新部153は、所定期間ごとに、価値管理テーブル143の選択レコードを切り替えながら、上記処理を繰り返し実行することで、データの価値を更新する。
【0065】
図2の説明に戻る。後処理部154は、価値管理テーブル143に記録されたデータに対応する価値を基にして、各種の後処理を実行する。たとえば、後処理部154は、第1後処理、第2後処理、第3後処理、第4後処理、第5後処理を実行する。
【0066】
後処理部154が実行する「第1後処理」について説明する。後処理部154は、次の処理を実行することで、データ識別情報毎の総合評価を行い、評価結果を、価値管理テーブル143に登録する。
【0067】
たとえば、後処理部154は、式(1)を基にして、評価値を算出する。式(1)のα、β、γは、予め設定される係数である。後処理部154は、評価値が、閾値Th1以上、閾値Th2未満の場合には、総合評価を「D」とする。後処理部154は、評価値が、閾値Th2以上、閾値Th3未満の場合には、総合評価を「C」とする。後処理部154は、評価値が、閾値Th3以上、閾値Th4未満の場合には、総合評価を「B」とする。後処理部154は、評価値が、閾値Th4以上の場合には、総合評価を「A」とする。
【0068】
評価値=α×第1価値+β×第2価値+γ×第3価値・・・(1)
【0069】
後処理部154が実行する「第2後処理」について説明する。後処理部154は、価値管理テーブル143のレコードを選択し、選択したレコード(選択レコード)に含まれる第1価値が閾値Tha以上であるか否かを判定する。後処理部154は、選択レコードに含まれる第1価値が閾値Tha以上である場合には、選択レコードのデータ識別情報を特定する。後処理部154は、特定したデータ識別情報に対応する、データテーブル142の保護対象フラグを「オン」に設定する。
【0070】
後処理部154が実行する「第3後処理」について説明する。後処理部154は、価値管理テーブル143のレコードを選択し、選択したレコード(選択レコード)に含まれる第3価値が閾値Thb以上であるか否かを判定する。後処理部154は、選択レコードに含まれる第3価値が閾値Thb以上である場合には、選択レコードのデータ識別情報を特定する。後処理部154は、特定したデータ識別情報に対応する、データテーブル142の削除除外フラグを「オン」に設定する。
【0071】
後処理部154が実行する「第4後処理」について説明する。後処理部154は、価値管理テーブル143のアクセス日時を走査し、現在日時から所定期間経過したデータ識別情報を特定する。後処理部154は、データテーブル142を参照し、特定したデータ識別情報に対応する削除除外フラグが「オフ」である場合に、特定したデータ識別情報に対応するデータを削除する。
【0072】
後処理部154が実行する「第5後処理」について説明する。後処理部154は、データテーブル142を参照し、保護対象フラグが「オン」となるレコードが存在する場合には、保護対象フラグが「オン」となるレコードのデータのパスワードを設定する。たとえば、後処理部154は、ランダムに生成したパスワードを設定し、設定したパスワードと、データ識別情報とを管理者の端末装置に通知する。
【0073】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の処理手順の一例について説明する。
図6は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、情報処理装置100の受付部151は、利用者端末10からログイン要求を受け付ける(ステップS101)。受付部151は、利用者がアクセスしたデータのデータ識別情報および操作内容を特定する(ステップS102)。
【0074】
情報処理装置100の特定部152は、ログイン要求に含まれる利用者識別情報に対応する退職フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS103)。特定部152は、退職フラグがオンでない場合には(ステップS103,No)、処理を終了する。
【0075】
一方、特定部152は、退職フラグがオンである場合には(ステップS103,Yes)、利用者の異動情報を特定する(ステップS104)。
【0076】
情報処理装置100の更新部153は、更新処理を実行する(ステップS105)。更新部153は、操作内容に、書き出し要求が含まれるか否かを判定する(ステップS106)。更新部153は、書き出し要求が含まれる場合には(ステップS106,Yes)、データ識別情報に対する第1評価に1を加算する(ステップS107)。
【0077】
一方、更新部153は、書き出し要求が含まれない場合には(ステップS106,No)、処理を終了する。
【0078】
次に、
図6のステップS105に示した更新処理の一例について説明する。
図7は、更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、情報処理装置100の更新部153は、異動情報が、異動者である場合には(ステップS201,Yes)、操作内容が更新であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0079】
更新部153は、操作内容が更新である場合には(ステップS202,Yes)、第3価値に1を加算する(ステップS203)。一方、更新部153は、操作内容が更新でない場合には(ステップS202,No)、更新処理を終了する。
【0080】
一方、更新部153は、異動情報が、異動者でない場合には(ステップS201,No)、異動情報が、中途退職者であるか否かを判定する(ステップS204)。更新部153は、異動情報が中途退職者である場合には(ステップS204,Yes)、第1価値および第2価値に1を加算する(ステップS205)。
【0081】
一方、更新部153は、異動情報が、中途退職者でない場合には(ステップS204,No)、操作内容が更新であるか否かを判定する(ステップS206)。更新部153は、操作内容が更新である場合には(ステップS206,Yes)、第3価値に2を加算する(ステップS207)。
【0082】
一方、更新部153は、操作内容が更新でない場合には(ステップS206,No)、第3価値に1を加算する(ステップS208)。
【0083】
上記の
図7で説明した処理は、更新部153の「第1更新処理」に対応する処理手順であり、
図6のステップS106、107に示した処理が、更新部153の「第2更新処理」に対応する処理手順である。
【0084】
次に、更新部153が実行する第3更新処理の処理手順の一例について説明する。
図8は、第3更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、情報処理装置100の更新部153は、価値管理テーブル143のレコードを選択し、アクセス者識別情報を特定する(ステップS301)。
【0085】
更新部153は、プロパティ情報141を基にして、アクセス者識別情報に対応する退職フラグがオンとなっているか否かを判定する(ステップS302)。更新部153は、退職フラグがオンとなっていない場合には(ステップS302,No)、処理を終了する。
【0086】
一方、更新部153は、退職フラグがオンとなっている場合には(ステップS302,Yes)、アクセス者識別情報に対応する異動情報が、異動者であるか否かを判定する(ステップS303)。更新部153は、異動情報が、異動者である場合には(ステップS303,Yes)、処理を終了する。
【0087】
一方、更新部153は、異動情報が、異動者でない場合には(ステップS303,No)、異動情報が、中途退職者であるか否かを判定する(ステップS304)。更新部153は、異動情報が、中途退職者である場合には(ステップS304,Yes)、第1評価値に1を加算する(ステップS305)。
【0088】
一方、更新部153は、異動情報が、中途退職者でない場合には(ステップS304,No)、アクセス日時を特定する(ステップS306)。更新部153は、退職予定日を起点とした所定期間以内に、アクセス日時が含まれるか否かを判定する(ステップS307)。更新部153は、退職予定日を起点とした所定期間以内に、アクセス日時が含まれない場合には(ステップS307,No)、処理を終了する。
【0089】
一方、更新部153は、退職予定日を起点とした所定期間以内に、アクセス日時が含まれる場合には(ステップS307,Yes)、第3価値に1を加算する(ステップS308)。
【0090】
次に、本実施例に係る情報処理装置の効果について説明する。情報処理装置100は、データに対するアクセスを受け付けた場合に、アクセスを行った利用者の異動情報を特定し、異動情報を基にして、データの価値を更新する。これによって、システムに保存されたデータに対して、適切な価値を付与することができる。
【0091】
情報処理装置100は、アクセスを行った利用者の異動情報と、操作内容とを基にして、データの価値を更新する。これによって、同一の異動情報の利用者であっても、操作内容に応じて、データに適切な価値を付与することができる。たとえば、操作内容が、更新である場合には、確認であるものと比較して、より保存価値のあるデータであるといえるため、更新である場合には、確認である場合と比較してより大きい第3価値を、データに付与する。
【0092】
情報処理装置100は、データに付与する価値として、第1価値、第2価値、第3価値を設定し、アクセスを行った利用者の異動情報と、操作内容に応じて、いずれかの価値を更新する。これによって、データに対して、様々な観点の価値を付与することができる。
【0093】
情報処理装置100は、アクセスを行った利用者の異動情報に、中途退職者が設定されている場合には、第1価値および第2価値に、所定値を加算する。中途退職者がアクセスするデータは、機密性が高く、データ自体に価値があるといえるため、データに対して適切な価値を付与することができる。
【0094】
情報処理装置100は、アクセスを行った利用者の異動情報が、定年退職者であり、かつ、操作内容が更新である場合、アクセスを行った利用者の異動情報が、定年退職者であり、操作内容が確認である場合よりも、大きな値を、データの第3価値に加算する。定年退職者が、アクセスして更新するデータは、定年退職者がノウハウ等を残している可能性があるため、より保存価値の高いデータであるといえ、上記の処理により、データに適切な価値を付与することができる。
【0095】
情報処理装置100は、アクセスを行った利用者の異動情報が、定年退職者であり、かつ、操作内容が更新である場合、アクセスを行った利用者の異動情報が、異動者であり、かつ、操作内容が更新である場合よりも、大きな値を、データの第3価値に加算する。定年退職者が、アクセスして更新するデータは、異動者が、アクセスして更新するデータよりも保存価値が高いといえるため、上記の処理により、データに適切な価値を付与することができる。
【0096】
情報処理装置100は、データにアクセスした利用者の異動情報が、定年退職者であり、アクセスした日時が、退職予定日を起点とした所定期間内に含まれる場合に、データの第3価値に所定値を加算する。定年退職者が、退職日の近くで、アクセスして更新するデータは、定年退職者がノウハウ等を残している可能性があるため、より保存価値の高いデータであるといえ、上記の処理により、データに適切な価値を付与することができる。
【0097】
ところで、上記の実施例で説明した情報処理装置100の処理は一例であり、他の処理を実行して、データに価値を付与してもよい。たとえば、利用者の異動情報に、他の付加情報を更に追加し、付加情報を更に用いて、データに価値を付与してもよい。付加情報には、役職や、派遣社員か否か等の情報が含まれる。更新部153は、付加情報に、所定の役職が設定されている場合には、データに付加する価値に、補正値(1より大きい値)を乗算することで、価値を補正し、補正した価値を加算してもよい。所定の役職の利用者がアクセスしたデータは、一般の利用者がアクセスするデータよりも価値が大きい場合がある。
【0098】
また、付加情報に、派遣社員が設定されている場合には、データに付加する価値に、補正値(0以上、1未満の値)を乗算することで、価値を補正し、補正した価値を加算してもよい。派遣社員は、あまり業務を知らない場合が多いため、データに加算する価値を小さくする。
【0099】
次に、上記実施例に示した情報処理装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
図9は、実施例の情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0100】
図9に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、有線または無線ネットワークを介して、外部装置等との間でデータの授受を行う通信装置204と、インタフェース装置205とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0101】
ハードディスク装置207は、受付プログラム207a、特定プログラム207b、更新プログラム207c、後処理プログラム207dを有する。また、CPU201は、各プログラム207a~207dを読み出してRAM206に展開する。
【0102】
受付プログラム207aは、受付プロセス206aとして機能する。特定プログラム207bは、特定プロセス206bとして機能する。更新プログラム207cは、更新プロセス206cとして機能する。後処理プログラム207dは、後処理プロセス206dとして機能する。
【0103】
受付プロセス206aの処理は、受付部151の処理に対応する。特定プロセス206bの処理は、特定部152の処理に対応する。更新プロセス206cの処理は、更新部153の処理に対応する。後処理プロセス206dの処理は、後処理部154の処理に対応する。
【0104】
なお、各プログラム207a~207dについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207dを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 出力部
135 タイマ
140 記憶部
141 プロパティ情報
142 データテーブル
143 価値管理テーブル
150 制御部
151 受付部
152 特定部
153 更新部
154 後処理部