(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
E03C1/042 F
(21)【出願番号】P 2020171498
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】中川 芳一
(72)【発明者】
【氏名】照井 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐也
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】小川 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 量敬
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-7813(JP,A)
【文献】特開2012-202109(JP,A)
【文献】特開2004-60212(JP,A)
【文献】特開2020-26637(JP,A)
【文献】特開2008-285905(JP,A)
【文献】特開2008-248539(JP,A)
【文献】特開2011-69169(JP,A)
【文献】特開2015-74912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00 - 1/10
F16K 11/00 - 11/24
F16K 35/00 - 35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の水栓本体と、
先端に吐水口を有するとともに基端が前記水栓本体に前記水栓本体の周方向に回転可能に支持され、前記水栓本体と連通される吐水管と、
前記水栓本体と前記吐水管の前記基端との間に設けられ、前記水栓本体に着脱可能に設けられた規制部材と、
を備え、
前記規制部材は、前記吐水管の回転軌跡に沿って形成された溝部を有し、
前記吐水管は、前記溝部に挿入される突起部を有
し、
前記規制部材は、前記水栓本体に対して向きを変更して取り付け可能とされ、
前記規制部材は、板状であり、かつ前記水栓本体に対して裏表を変更して取り付け可能とされ、
前記溝部は、前記規制部材の両面に設けられている水栓装置。
【請求項2】
前記溝部の周方向の長さが互いに異なる複数の前記規制部材の中から1つを選択して前記水栓本体に取り付け可能とされる請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記水栓本体は、前記吐水管側に設けられ、前記規制部材が取り付けられる支持部を有し、
前記吐水管は、前記規制部材から前記水栓本体の軸方向に沿って突出するように形成されており、
前記突起部は、前記溝部側に設けられている請求項1または請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記突起部は、前記吐水管の前記規制部材側の端部から下方に突出し、
前記溝部には、前記突起部が前記吐水管側から収容される請求項3に記載の水栓装置。
【請求項5】
前記突起部は、前記吐水管における前記規制部材側の側面から前記水栓本体の径方向の外側に突出し、
前記溝部には、前記突起部が前記径方向の内側から収容される請求項3に記載の水栓装置。
【請求項6】
前記規制部材は、円板状に形成されるとともに、裏表を反転して取り付け可能とされ、 前記溝部は、前記規制部材を貫通するとともに、前記規制部材の反転線を中心として非対称に設けられている
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項7】
前記規制部材は、前記水栓本体にネジによって締結固定される請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項8】
前記規制部材及び前記水栓本体のいずれか一方は、嵌合凹部を有し、
前記規制部材及び前記水栓本体のいずれか他方は、前記嵌合凹部と嵌合する嵌合凸部を有する請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シンクの周囲に設置される水栓装置には、水栓本体に対して吐水管が回転可能に取り付けられるものがある。このような水栓装置には、シンク外に吐水されることを防ぐため、吐水管の回転範囲を規制する規制手段が用いられることがある。規制手段として、例えば吐水管の基端から突出したストッパ軸と、吐水管の基端が取り付けられる水栓本体の先端から突出したストッパボルトと、を用いる技術が開示されている。水栓装置は、ストッパ軸とストッパボルトとを当接させることにより、吐水管の回転を規制している。水栓本体は、ストッパボルトの突出長さを調整することにより、ストッパ軸とストッパボルトとの当接の有無を任意に選択し、吐水管の回転規制を調整できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した水栓装置では、吐水管の回転規制を調整するために、水栓本体の内側からストッパボルトの突出長さを調節する必要がある。このため、従来の水栓装置には、吐水管の回転規制を調整する際に手間がかかるという点で課題が残されていた。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、吐水管の回転規制の調整が容易な水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の課題を解決するために、本発明に係る水栓装置は、筒状の水栓本体と、先端に吐水口を有するとともに基端が前記水栓本体に前記水栓本体の周方向に回転可能に支持され、前記水栓本体と連通される吐水管と、前記水栓本体と前記吐水管の前記基端との間に設けられ、前記水栓本体に着脱可能に設けられた規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記吐水管の回転軌跡に沿って形成された溝部を有し、前記吐水管は、前記溝部に挿入される突起部を有し、前記規制部材は、前記水栓本体に対して向きを変更して取り付け可能とされ、前記規制部材は、板状であり、かつ前記水栓本体に対して裏表を変更して取り付け可能とされ、前記溝部は、前記規制部材の両面に設けられている。
【0007】
(2)上記(1)において、前記溝部の周方向の長さが互いに異なる複数の前記規制部材の中から1つを選択して前記水栓本体に取り付け可能とされてもよい。
【0008】
(3)上記(1)または(2)において、前記水栓本体は、前記吐水管側に設けられ、前記規制部材が取り付けられる支持部を有し、前記吐水管は、前記規制部材から前記水栓本体の軸方向に沿って突出するように形成されており、前記突起部は、前記溝部側に設けられていてもよい。
【0009】
(4)上記(3)において、前記突起部は、前記吐水管の前記規制部材側の端部から下方に突出し、前記溝部には、前記突起部が前記吐水管側から収容されてもよい。
【0010】
(5)上記(3)において、前記突起部は、前記吐水管における前記規制部材側の側面から前記水栓本体の径方向の外側に突出し、前記溝部には、前記突起部が前記径方向の内側から収容されてもよい。
【0013】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて前記規制部材は、円板状に形成されるとともに、裏表を反転して取り付け可能とされ、前記溝部は、前記規制部材を貫通するとともに、前記規制部材の反転線を中心として非対称に設けられていてもよい。
【0017】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記規制部材は、前記水栓本体にネジによって締結固定されてもよい。
【0018】
(8)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記規制部材及び前記水栓本体のいずれか一方は、嵌合凹部を有し、前記規制部材及び前記水栓本体のいずれか他方は、前記嵌合凹部と嵌合する嵌合凸部を有してもよい。
すなわち、前記水栓本体が前記嵌合凸部を有する場合、前記規制部材が前記嵌合凹部を有し、前記水栓本体が前記嵌合凹部を有する場合、前記規制部材が前記嵌合凸部を有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
上記の水栓装置によれば、吐水管の回転規制を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る水栓装置の断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る支持部を上方から見た平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る規制部材を上方から見た平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る別の規制部材を上方から見た平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る吐水管の接続部における上下方向に沿う断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る吐水管の接続部を下方から見た平面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例に係る規制部材を上方から見た平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る規制部材の斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る吐水管の接続部における突起部周辺の側面図である。
【
図10】第3実施形態に係る吐水管の接続部及び規制部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
(水栓装置)
以下、本発明の水栓装置1について
図1から
図6に基づいて説明する。
図1に示すように、水栓装置1は、給水部4から浄水用のカートリッジ5に原水W1を導入して原水W1を濾過し、原水W1が濾過された浄水W2を吐出する場合に使用される。
図1に示すように、水栓装置1は、流し台のシンク(不図示)設けられたカウンタ3(請求項の被取付け部の例示)から上方に起立した状態で設けられている。カウンタ3には、水栓装置1を取り付けるための取付け孔3aが設けられている。取付け孔3aは、カウンタ3を上下方向に貫通している。以下の説明に用いる図中において、矢印UPは上方、矢印DOWNは下方をそれぞれ示している。
【0022】
水栓装置1は、基端(下端)10aがカウンタ3に固定された略円筒状の水栓本体10と、水栓本体10の先端(上端)10bに設けられた規制部材30と、基端(下端)20aが規制部材30を介して水栓本体10の先端10bに接続された吐水管20と、を備えている。
【0023】
(水栓本体)
水栓本体10は、基端10aを下方に向けた状態で上下方向に延びている。水栓本体10の軸方向は、上下方向に沿っている。以下、水栓本体10の軸方向を単に「軸方向」と称し、水栓本体10の周方向を単に「周方向」と称し、水栓本体10の径方向を単に「径方向」と称して説明する場合がある。
水栓本体10の下端部には、水栓本体10の外側面から径方向の外側に延出するフランジ部11が設けられている。フランジ部11は、カウンタ3の取付け孔3aを上方から塞いでいる。水栓本体10は、フランジ部11を介して取付け孔3aの外周縁に固定されている。
【0024】
水栓本体10内には、給水部4に接続される第1流路P1と、第1流路P1と連通するとともにカートリッジ5に接続される第2流路P2と、第2流路P2とは別にカートリッジ5に接続される第3流路P3と、が設けられている。第1流路P1は、軸方向に延びている。第1流路P1は、給水部4から原水W1が導入される流路である。第2流路P2は、軸方向に延びている。第2流路P2は、第1流路P1に導入された原水W1をカートリッジ5に導入する流路である。第3流路P3は、軸方向に延びるとともに水栓本体10を軸方向に貫通している。第3流路P3は、吐水管20と連通している。第3流路P3は、カートリッジ5から導入された浄水W2を吐水管20に導入する流路である。
【0025】
水栓本体10の内部であって、第1流路P1の上端と第2流路P2の上端との間には、水量調節部P4が設けられている。水量調節部P4は、第1流路P2と第2流路P2とを連通させる流路である。水量調節部P4は、水栓本体10の径方向の外側に開口している。水量調節部P4の開口部には、径方向の外側からハンドル12が連結されている。ハンドル12は、外部から操作可能とされている。水栓装置1は、ハンドル12の操作によって、吐水管20から吐出される浄水W2の量を調節できる。
【0026】
図2は、支持部13を上方から見た平面図である。
図1及び
図2に示すように、支持部13は、有底の円筒状に形成されている。支持部13は、底部14を下方に向けた状態で水栓本体10の先端10bに設けられている。支持部13の底部14には、連通孔14bが設けられている。連通孔14bは、内部に底部14の中心点14aを含んでいる。連通孔14bは、中心点14aから径方向の外側に延びる上面視長孔形状に形成されている。連通孔14bは、径方向の外側の端部14b1で底部14を軸方向に貫通し、第3流路P3と連通している。底部14には、連通孔14bの長手方向と直交するとともに中心点14aを通る1本の直線上に、2個の固定孔14cが設けられている。2個の固定孔14cは、中心点14aを挟んで対称な位置に配置されている。固定孔14cは、上方に向けて開口する雌ネジ部である。支持部13の内部には、規制部材30が上方から取り付けられる。規制部材30は、支持部13によって支持されている。
【0027】
(規制部材)
図3は、規制部材30を上方から見た平面図である。
図1及び
図3に示すように、規制部材30は、円板状に形成されている。規制部材30の直径は、支持部13の内径よりも僅かに小さい。規制部材30には、連通孔30bが設けられている。連通孔30bは、内部に規制部材30の中心点30aを含んでいる。連通孔30bは、中心点30aから径方向外側に延びる上面視長孔形状に形成されている。連通孔30bの全体は、規制部材30を軸方向に貫通している。連通孔30bは、連通孔14bを介して第3流路P3と連通している。連通孔30bは、連通孔14bと重ね合わされることにより、水栓本体10と吐水管20との間に、浄水W2の導入流路を形成する。規制部材30には、連通孔30bの長手方向と直交するとともに中心点30aを通る1本の直線上に、2個の固定孔30cが設けられている。2個の固定孔30cは、中心点30aを挟んで対称な位置に配置されている。固定孔30cは、規制部材30を軸方向に貫通している。固定孔30cは、断面視で、規制部材30の表面及び裏面から規制部材30の上下方向中間部に向かうに従い漸次先細るテーパ形状に形成されている。規制部材30は、連通孔14b,30b同士と固定孔14c,30c同士とがそれぞれ重なるように、支持部13の底部14に上方から重ね合わされる。固定孔14c,30cは、重ね合わされた状態で上方からネジBが挿入され、締め付けられる。これにより、規制部材30は、水栓本体10の支持部13に締結固定される。ネジBのネジ頭は、固定孔14cのテーパ形状に嵌るように形成されている。このため、規制部材30の締結固定が完了した場合、ネジBのネジ頭は、規制部材30の面と面一となる。
【0028】
また、規制部材30は、ネジBによる締結を解除することで、支持部13から取り外すことができる。すなわち、規制部材30は、支持部13に着脱可能に設けられている。規制部材30は、支持部13の底部14に対して裏表を変更(反転)させた状態で固定孔14c,30cにネジBを挿入し、底部14の上面に締結可能(取り付け可能)とされている。規制部材30は、規制部材30の径方向に延びる反転線Lrを中心に裏表を反転して、底部14の上面に取り付けることもできる。反転線Lrは、2つの固定孔30cの中心点を結ぶ直線に直交する直線である。すなわち、2つの固定孔30cは、反転線Lrを中心として線対称に設けられている。
【0029】
なお、固定孔30cは、規制部材30の表面及び裏面の両方で断面視テーパ形状に形成されている。このため、規制部材30の裏表を変更させた場合でも、ネジBは、固定孔14cに嵌り込み、ネジBのネジ頭は、規制部材30の面と面一となる。
【0030】
規制部材30には、固定孔30cよりも径方向の内側であって、連通孔30bよりも径方向の外側に、溝部31が設けられている。溝部31は、規制部材30の両面に設けられている。本実施形態では、溝部31は、規制部材30を軸方向に貫通している。なお、溝部31が両面に設けられている場合には、規制部材30を軸方向に貫通する場合だけでなく、規制部材30の両面にそれぞれ凹部が形成されている場合も含まれる。溝部31は、周方向に沿って形成されている。溝部31の一端31aの中心点と中心点30aとを結ぶ直線と、溝部31の他端31bの中心点と中心点30aとを結ぶ直線と、の角度Aは、吐水管20を回転させる範囲を示し、例えば90度より大きく180度より小さい。溝部31は、反転線Lrを中心として非対称に設けられている。このため、規制部材30が支持部13の底部14に対して裏表を変更させた状態で底部14に取り付けられた場合、規制部材30の裏表を変更させる前後で、上方から見た溝部31の形成範囲が反転する。
【0031】
なお、規制部材30は、水栓本体10の中心軸を中心とした180度の回転により、水栓本体10に対する規制部材30の回転位置を変更して支持部13に取り付けられてもよい。この場合、規制部材30の回転位置を変更する前後で、上方から見た溝部31の形成範囲が反転する。
【0032】
図4は、別の規制部材30Aを上方から見た平面図である。
図4に示すように、規制部材30Aと規制部材30とは、溝部31の周方向の長さが互いに異なっている。すなわち、規制部材30Aと規制部材30とは、溝部31の形成範囲が異なっている。規制部材30Aにおける角度Aは、例えば規制部材30における角度Aよりも大きく180度より小さい。また、規制部材30Aにおける溝部31は、反転線Lrを中心として対称な形状に形成されている。
水栓装置1の使用者は、状況に応じて、複数の規制部材30,30Aの中から1つを選択して水栓本体10に取り付けることができる。
【0033】
(吐水管)
図1に示すように、規制部材30を挟んで水栓本体10の反対側には、吐水管20が設けられている。吐水管20は、規制部材30から水栓本体10の軸方向に沿って上方に突出するように形成されている。吐水管20の基端20aは、水栓本体10に周方向に回転可能に支持されている。吐水管20は、連通孔14b,30bを介して水栓本体10の第3流路P3と連通している。吐水管20は、水栓本体10の支持部13に接続される接続部21と、接続部21に外挿され接続部21から上方に延びる吐水管本体22と、接続部21とは反対側の吐水管本体22の端部に設けられた吐水口23と、を有している。接続部21、吐水管本体22及び吐水口23は、相対移動不可に一体化されている。
【0034】
図5は、吐水管20の接続部21における上下方向に沿う断面図である。
図6は、吐水管20の接続部21を下方から見た平面図である。
接続部21は、吐水管20の基端20aに設けられている。
図5及び
図6に示すように、接続部21は、軸方向に延びる円筒状に形成されている。接続部21の外形状は、側面視で多段状に形成されている。接続部21は、連通孔14b,30bと連通している。接続部21の下端21aには、突起部24が設けられている。突起部24は、接続部21の下端21aから下方に突出している。突起部24は、上方から溝部31に収容される。突起部24は、溝部31内で周方向に沿って移動可能となっている。突起部24の移動範囲は、溝部31によって規制される。すなわち、突起部24を有する吐水管20は、溝部31によって周方向への回転が規制される。このため、吐水管20の回転軌跡は、溝部31の延出方向に沿うことになる。また、水栓装置1は、規制部材30を別の規制部材30Aに取り換えることにより、吐水管20の周方向への回転の規制範囲を変更することができる。
【0035】
吐水管本体22は、接続部21と水栓本体10の支持部13との間に挿入される円筒状の部材である。吐水管本体22は、水栓本体10の先端10bから上方に起立している。吐水管本体22は、吐水管20の先端20bの手前で逆U字状に曲げられている。吐水管本体22は、接続部21と連通している。
吐水口23は、吐水管20の先端20bに設けられている。吐水口23は、接続部21及び吐水管本体22と連通している。吐水口23は、下方のシンクに向けて開口している。吐水口23は、第3流路P3から吐水管20に導入された浄水W2をシンク内に吐出する。
【0036】
(作用効果)
本実施形態の水栓装置1において、規制部材30は、吐水管20の回転軌跡に沿って形成された溝部31を有している。吐水管20は、溝部31に挿入される突起部24を有している。
この構成によれば、突起部24は、溝部31によって周方向への回転が規制される。このため、規制部材30に溝部31を設け、吐水管20に突起部24を設けるだけの簡単な構造で、水栓装置1は、吐水管20の水栓本体10に対する回転を規制できる。加えて、規制部材30は、水栓本体10に対して着脱可能に設けられている。このため、規制部材30を水栓本体10に装着するか、規制部材30を水栓本体10から取り外すかを選択するだけで、吐水管20の回転を規制の有無を選択できる。したがって、吐水管20の回転規制を容易に調整できる。よって、水栓装置1の作業性を向上できる。水栓装置1は、溝部31と突起部24とを備える簡単な構成で吐水管20の回転規制を行える。このため、本発明は、吐水管20の径が比較的細い場合にも適用できる。
【0037】
本実施形態の水栓装置1は、複数の規制部材30,30Aの中から1つを選択して水栓本体10に取り付け可能とされている。複数の規制部材30,30Aは、溝部31の周方向の長さが互いに異なっている。
この構成によれば、複数の規制部材30,30Aは、溝部31による吐水管20の周方向への移動の規制範囲が互いに異なっている。このため、水栓装置1の使用者は、必要に応じて規制部材30と規制部材30Aとを使い分けることができる。これにより、水栓装置1の使用者は、必要に応じて吐水管20の回転規制の範囲を調整できる。
【0038】
本実施形態の水栓装置1では、水栓本体10は、規制部材30が取り付けられる支持部13を有している。
この構成によれば、水栓本体10は、支持部13により規制部材30を安定して支持できる。規制部材30には、吐水管20の突起部24が挿入されるため、水栓本体10は、支持部13により、吐水管20を安定して支持できる。したがって、水栓装置1の安定性を向上できる。
本実施形態の水栓装置1では、支持部13は、水栓本体10の先端10b(吐水管20側)に設けられている。支持部13には、規制部材30が取り付けられている。突起部24は、吐水管20の基端20a(溝部31側)に設けられている。
この構成によれば、規制部材30は、水栓本体10の先端10bに設けられ、突起部24は、吐水管20の基端20aに設けられる。このため、水栓装置1を組み立てる作業者は、規制部材30の溝部31と突起部24を目視しながら、溝部31に突起部24を収容できる。これにより、水栓装置1の作業性を向上できる。
【0039】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材30は、支持部13の内部に取り付けられる。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材30が外部に露出することを抑制できる。したがって、水栓装置1のデザイン性を維持できる。
【0040】
本実施形態の水栓装置1では、突起部24は、吐水管20における接続部21の下端21aから下方に突出している。溝部31には、突起部24が吐水管20側から収容される。
この構成によれば、突起部24を溝部31に対して上方から収容できる。これにより、例えば突起部24が溝部31に対して側方または下方から収容される場合と比較して、水栓装置1は、突起部24を有する吐水管20が重力の作用によって水栓本体10から外れることを抑制できる。したがって、水栓装置1の安定性を向上できる。
【0041】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材30は、水栓本体10に対して向きを変更して取り付け可能とされている。以下において、「規制部材の向き」は、「規制部材の裏表」及び「規制部材の回転位置」を含むものとする。
この構成によれば、水栓本体10に対して規制部材30の向きを変更するだけで、上方から見た溝部31の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、規制部材30の向きを反転するだけで、吐水管20の回転規制の範囲を変更できる。
【0042】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材30は、板状であり、かつ水栓本体10の先端10bに対して裏表を変更して取り付け可能とされている。溝部31は、規制部材30の両面に設けられている。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材30の両面を吐水管20の回転規制のために活用することができる。例えば規制部材30の両面に長さの異なる凹部状の溝部31を設けることにより、水栓装置1は、規制部材30の裏表を変更するだけで上方から見た溝部31の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、規制部材30の裏表を変更するだけで、吐水管20の回転規制の範囲を反転できる。
【0043】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材30は、円板状に形成されている。規制部材30は、裏表を反転させて取り付け可能とされている。溝部31は、規制部材30を貫通するとともに、反転線Lrを中心として非対称に設けられている。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材30の裏表を変更することにより、規制部材30の裏表を変更する前後で、上方から見た溝部31の形成範囲を反転できる。したがって、水栓装置1は、規制部材30の裏表を変更するだけで、吐水管20の回転規制の範囲を反転できる。
【0044】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材30は、水栓本体10にネジによって締結固定される。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材30を水栓本体10に簡単かつ強固に固定できる。したがって、水栓本体10の強度を向上できる。
【0045】
連通孔30bは、中心点30aから径方向外側に延びる上面視長孔形状に形成されている。連通孔30bの全体は、規制部材30を軸方向に貫通している。連通孔30bは、連通孔14bと重ね合わされることにより、水栓本体10と吐水管20との間に、浄水W2の導入流路を形成する。
この構成によれば、連通孔30bが例えば中心点30aを中心とした上面視真円状に形成されている場合と比較して、水栓装置1は、浄水W2の導入流路を広くとることができる。したがって、水栓装置1は、水栓本体10から吐水管20へと導入される浄水W2の流量をより多くすることができる。
【0046】
上述の第1実施形態では、連通孔30bよりも径方向外側に、溝部31が設けられている場合について説明したが、これに限られない。
図7は、変形例に係る別の規制部材30Bを上方から見た平面図である。
図7に示すように、溝部31は、連通孔30bに連続する段状に形成されてもよい。本変形例では、連通孔30bは、規制部材30Bの中心点30aを中心とする上面視真円状に形成されている。この場合、支持部13は、水栓本体10における支持部13より下側の本体筒部(不図示)よりも外径の小さい円筒状に形成される。さらに、支持部13の底部14には、径方向の外側に張り出すフランジ部(不図示)が設けられる。このフランジ部は、水栓本体10の本体筒部の外側面と略面一となる。支持部13の固定孔14cは、このフランジ部に設けられる。規制部材30Bは、連通孔30b内に支持部13を挿入された状態で、支持部13に取り付けられる。規制部材30Bは、支持部13のフランジ部に対して締結固定される。本変形の規制部材30Bは、規制部材30と同様に裏表及び水栓本体10に対する回転位置を変更して水栓本体10の支持部13に取り付けることができる。規制部材30Bにおける溝部31は、規制部材30と同様に反転線Lrを中心として非対称に設けられている。
【0047】
上述の第1実施形態では、規制部材30が円板状に形成されている場合について説明したが、これに限られない。規制部材30は、板厚方向から見て例えばイチョウ型に形成されてもよい。
【0048】
上述の第1実施形態では、溝部31が規制部材30を貫通している場合について説明したが、これに限られない。溝部31は、規制部材30の表面及び裏面の少なくとも一方に設けられた凹部であってもよい。
【0049】
上述の第1実施形態では、連通孔30bの全体が、規制部材30を軸方向に貫通している場合について説明したが、これに限られない。連通孔30bは、中心点30a側の端部が規制部材30を軸方向に貫通していれば、連通孔30bのうち中心点30a側の端部以外の部分は水栓本体10に向けて開口する凹部であってもよい。ただし、連通孔の全体が、規制部材30を貫通している方が、水栓本体10と吐水管20との間に形成される浄水W2の導入流路を広くとることができ、吐水管20への浄水W2の流量をより多くすることができる。
【0050】
(第2実施形態)
続いて、
図8及び
図9に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図8は、規制部材30Cの斜視図である。
図9は、吐水管20の接続部21Aにおける突起部周辺の側面図である。
第1実施形態では、突起部24は、接続部21Aの下端21aから下方に突出しているとした。これに対して、第2実施形態は、突起部24は、接続部21Aの側面21bから径方向の外側に突出している点で第1実施形態と異なる。
【0051】
図8に示すように、規制部材30Cは、有底の円筒状に形成されている。規制部材30Cの底壁部35には、連通孔30bと、2個の固定孔30cと、が設けられている。連通孔30bは、底壁部35の中心点30aを中心とする上面視真円状に形成されている。溝部31は、規制部材30Cの側壁部34における内側面に形成されている。溝部31は、規制部材30の開口端から軸方向に延びる第1溝部32と、開口端とは軸方向に反対側の第1溝部32の端部から周方向に延びる第2溝部33と、を有している。
図9に示すように、突起部24は、接続部21Aにおける下端21a側の側面21bから径方向の外側に突出している。突起部24は、径方向の内側から溝部31の第2溝部33に収容される。より具体的には、突起部24は、溝部31に収容される際、まず上方から第1溝部32に挿入され、その後、第2溝部33内に挿入される。
【0052】
本実施形態の水栓装置1では、突起部24は、吐水管20における接続部21の下端21a側の側面21bから径方向の外側に突出している。溝部31の第2溝部33には、突起部24が径方向の内側から収容される。
この構成によれば、突起部24が第2溝部33の上下方向の壁面に当接することにより、突起部24の水栓本体10に対する上下方向の移動が第2溝部33によって規制される。これにより、突起部24を有する吐水管20の水栓本体10に対する上下方向に移動が規制できる。したがって、水栓装置1は、水栓本体10から吐水管20が上方に抜けることを抑制できる。よって、水栓装置1の安定性を向上できる。
【0053】
上述の第2実施形態では、溝部31は、第1溝部32と、第2溝部33と、を有している場合について説明したが、これに限られない。溝部31は、第1溝部32のみから構成され、第1溝部32は、軸方向だけでなく周方向に延びるとともに、周方向の長さが上述の第2溝部33と同程度に形成されてもよい。この場合、溝部31が、第1溝部32と、第2溝部33と、を有している場合と比較して、規制部材30Cに溝部31を容易に形成できる。
【0054】
(第3実施形態)
続いて、
図10に基づいて本発明の第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態の構成のうち、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図10は、吐水管20の接続部21B及び規制部材30Dの分解斜視図である。
図10に示す規制部材30Dは、ネジBによって水栓本体10に固定されている。ネジBによる締結は、解除可能とされている。すなわち、規制部材30Dは、水栓本体10に対して着脱可能に設けられている。規制部材30Dは、突起部36を有している。突起部36は、水栓本体10とは反対側の規制部材30Dの表面から吐水管20の接続部21B側に突出している。突起部36は、周方向に沿って延びている。
【0055】
規制部材30Dは、水栓本体10の中心軸を中心とした180度の回転により、水栓本体10に対して回転位置を変更して支持部13に取り付けることも可能である。この場合、規制部材30Dの回転位置を変更する前後で、上方から見た突起部36の形成範囲が反転する。
【0056】
接続部21Bの下端21aは、接続部21Bの側面21bから径方向外側に突出するフランジ状に形成されている。接続部21Bの下面には、水栓本体10側に開口する溝部25が設けられている。溝部25は、周方向に沿って延びている。溝部25は、規制部材30Dの突起部36を下方から挿入される。溝部25は、突起部36よりも周方向に長く形成されている。このため、溝部25に突起部36が挿入された状態で吐水管20を周方向に回転させると、突起部36が溝部25に対して相対移動する。突起部36の相対移動は、溝部25によって規制される。すなわち、吐水管20の周方向の回転は、溝部25によって規制される。
【0057】
本実施形態の水栓装置1において、規制部材30Dは、吐水管20側に突出する突起部36を有している。吐水管20は、吐水管20の回転軌跡に沿って形成され、突起部36を挿入される溝部25を有している。
この構成によれば、突起部36は、溝部25によって、水栓本体10に対する周方向への相対的な回転が規制される。このため、規制部材30Dに突起部36を設け、吐水管20に溝部25を設けるだけの簡単な構造で、水栓装置1は、吐水管20の水栓本体10に対する回転を規制できる。加えて、規制部材30Dは、水栓本体10に対して着脱可能に設けられている。このため、規制部材30Dを水栓本体10に装着するか、規制部材30Dを水栓本体10から取り外すかを選択するだけで、吐水管20の回転を規制の有無を選択できる。したがって、吐水管20の回転規制を容易に調整できる。よって、水栓装置1の作業性を向上できる。水栓装置1は、溝部25と突起部36とを備える簡単な構成で吐水管20の回転規制を行える。このため、本発明は、吐水管20の径が比較的細い場合にも適用できる。
【0058】
本実施形態の規制部材30Dは、水栓本体10に対して回転可能に設けられている。
この構成によれば、水栓本体10は、規制部材30Dを水栓本体10に対して回転させることにより、突起部36の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、規制部材30Dを水栓本体10に対して回転させるだけで、吐水管20の回転規制の範囲を変更できる。
【0059】
上述した第3実施形態では、規制部材30Dは、ネジBによって水栓本体10に固定されているとしたが、これに限られない。規制部材30Dに、軸方向に貫通する回転止め用の貫通孔(不図示)が設けられ、水栓本体10の支持部13から突出する回転止め用の突起部(不図示)が設けられてもよい。この場合、回転止め用の突起部は、平面視で回転止め用の貫通孔より僅かに小さく形成されている。回転止め用の突起部が回転止め用の貫通孔に下方から挿入されることにより、規制部材30Dは、水栓本体10の支持部13に取り付けられる。
【0060】
上述した第3実施形態では、水栓装置1は1つの規制部材30Dを備える場合について説明したが、これに限られない。水栓装置1は、突起部36の周方向の長さが互いに異なる複数の規制部材30Dの中から1つを選択して水栓本体10に取り付け可能とされていてもよい。
この場合、水栓装置1の使用者は、突起部36の周方向の長さが互いに異なる複数の規制部材30Dを必要に応じて使い分けることができる。これにより、水栓装置1の使用者は、必要に応じて吐水管20の回転規制の範囲を調整できる。
【0061】
上述の各実施形態では、水栓本体10に規制部材30,30A,30B,30C,30DがネジBによって締結固定される場合について説明したが、これに限られない。
ネジBによる締結固定に限らず、突起部24が溝部31の周方向の壁面に当接した際、規制部材30,30A,30B,30C,30Dが周方向に移動しない(回転しない)ように固定されていればよい。規制部材30,30A,30B,30C,30Dは、水栓本体10に、例えばピン等によって固定されてもよい。
【0062】
また、規制部材30,30A,30B,30C,30Dは、水栓本体10に対して嵌合によって固定されてもよい。
この場合、例えば、規制部材30,30A,30B,30C,30D及び水栓本体10のいずれか一方は、嵌合凹部(不図示)を有し、規制部材30,30A,30B,30C,30D及び水栓本体10のいずれか他方は、嵌合凹部と嵌合する嵌合凸部(不図示)を有する。すなわち、水栓本体10が嵌合凸部を有する場合、規制部材30,30A,30B,30C,30Dが嵌合凹部を有し、水栓本体10が嵌合凹部を有する場合、規制部材30,30A,30B,30C,30Dが嵌合凸部を有してもよい。
規制部材30,30A,30B,30C,30Dと水栓本体10は、嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合することにより、固定される。したがって、水栓装置1は、ネジBによって締結固定される場合と比較して水栓装置1の部品点数を削減できる。
【0063】
上述の各実施形態では、水栓装置1は、カウンタ3から上方に起立した状態で設けられている場合について説明したが、これに限られない。水栓装置1は、カウンタ3以外の被取付け部から側方または下方に延びるように取り付けられてもよい。
【0064】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の水栓装置は、吐水管の回転規制を容易に調整できる。本発明の水栓装置は、例えば、一般家庭や業務用の流し台のシンクに用いられる。
【符号の説明】
【0067】
1 水栓装置
3 カウンタ(被取付け部)
4 給水部
5 カートリッジ
10 水栓本体
13 支持部
20 吐水管
20a 基端
20b 先端
23 吐水口
24 突起部
25 溝部
30,30A,30B,30C,30D 規制部材
30a 中心点
31 溝部
36 突起部
B ネジ
Lr 反転線