(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240624BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240624BHJP
G06F 21/45 20130101ALI20240624BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240624BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240624BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G06F3/12 338
H04N1/00 127B
H04N1/00 838
G06F21/45
G06F3/12 322
B41J29/00 Z
B41J29/38
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2020171563
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2020033884
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】千葉 慎一
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-33769(JP,A)
【文献】特開2015-22492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
G06F 21/45
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置が有する操作部または操作画面を用いた前記画像形成装置の設定変更を行わせないためのロック機能と、前記画像形成装置を操作するための設定画面をクライアント端末にネットワークを介して提供するための機能と、を有する画像形成装置であって、
前記クライアント端末が前記設定画面を介して前記画像形成装置を操作する際に利用される前記画像形成装置に設定されたパスワードを管理する管理手段と、
前記画像形成装置に設定されたパスワードが初期パスワードである場合、前記クライアント端末からの前記設定画面での操作を制限する第1制御手段と、
前記画像形成装置に設定されたパスワードが前記初期パスワードである間は、前記ロック機能を有効にしないように制御する第2制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置に設定されたパスワードが前記初期パスワードである間に、前記ロック機能を有効にするための操作を受け付けた場合には、前記ロック機能を有効にしない旨を通知することを特徴とする請求項1に記載の
画像形成装置。
【請求項3】
前記ロック機能が有効であり、且つ前記パスワードが前記初期パスワードではないときに、前記クライアント端末から前記設定画面で前記初期パスワードに戻すための操作を受け付けた場合には、前記画像形成装置に設定されるパスワードを前記初期パスワードに変更できない旨を通知することを特徴とする請求項1または2に記載の
画像形成装置。
【請求項4】
前記ロック機能が有効でなければ、記画像形成装置に設定されるパスワードを前記初期パスワードに戻すための操作に基づき、記画像形成装置に設定されるパスワードを前記初期パスワードに変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置に設定されたパスワードが前記初期パスワードでない場合には、
前記クライアント端末からの前記設定画面での操作を受け付けて処理が実行されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
画像形成装置。
【請求項6】
前記ロック機能の解除は、前記クライアント端末から前記設定画面で受け付けた操作でのみ実行可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記初期パスワードは、前記画像形成装置に対して工場出荷時から設定されており、複数の前記画像形成装置に対して共通して設定されているパスワードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置が有する操作部または操作画面を用いた前記画像形成装置の設定変更を行わせないためのロック機能と、前記画像形成装置を操作するための設定画面をクライアント端末にネットワークを介して提供するための機能と、を有する画像形成装置における制御方法であって、
前記クライアント端末が前記設定画面を介して前記画像形成装置を操作する際に利用される前記画像形成装置に設定されたパスワードを管理する管理ステップと、
前記画像形成装置に設定されたパスワードが初期パスワードである場合、前記クライアント端末からの前記設定画面での操作を制限する第1制御ステップと、
前記画像形成装置に設定されたパスワードが前記初期パスワードである間は、前記ロック機能を有効にしないように制御する第2制御ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ認証機能を有する情報処理システムおよび情報処理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機やプリンタ等の画像形成装置には様々な機能がある。それらの機能の中には、画像形成装置の設定を変更させないロック機能も存在する。例えば、特許文献1には、画像形成装置における特定の部材を用いた設定変更を不可能にするキーロック機構について開示されている。キーロック機能によって画像形成装置の管理者が意図していない設定変更を抑制することができる。
【0003】
一方、画像形成装置には、ローカル画面での操作のみならず、PC等のクライアント端末の画面(リモートUI)を介して操作や設定変更を行う機能も存在する。例えば、特許文献2には、携帯端末を用いて画像形成装置の操作を行う構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-201707号公報
【文献】特開2018-197918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のセキュリティ意識の向上により、初期パスワードを用いたデバイスの操作が禁止される傾向にあり、例えば、ユーザーが初期パスワードのままパスワード変更を行うことなくデバイスを遠隔操作しようとした場合、キーロック機能を搭載したデバイスにおいて課題が生じる。
【0006】
キーロック機能とはデバイスの設定変更をローカルUIからできないように制御する機能であり、一度有効にすると解除操作はリモートUIを介してのみ実行可能となる。つまり、デバイスに初期パスワードが設定されている状態でデバイスのキーロック機能を有効にしてしまうと、ローカルUIおよびリモートUIのどちらからも設定変更ができない操作不可状態に陥ることになるであろう。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、デバイスの設定値としてキーロック機能を有効にする値と初期パスワードの値が同時に設定されることは許可しないように制御することでデバイスが操作不可状態に陥ることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為、本発明のデバイスは、以下の特徴を有する。
【0009】
画像形成装置が有する操作部または操作画面を用いた前記画像形成装置の設定変更を行わせないためのロック機能と、前記画像形成装置を操作するための設定画面をクライアント端末にネットワークを介して提供するための機能と、を有する画像形成装置であって、前記クライアント端末が前記設定画面を介して前記画像形成装置を操作する際に利用される前記画像形成装置に設定されたパスワードを管理する管理手段と、前記画像形成装置に設定されたパスワードが初期パスワードである場合、前記クライアント端末からの前記設定画面での操作を制限する第1制御手段と、前記画像形成装置に設定されたパスワードが前記初期パスワードである間は、前記ロック機能を有効にしないように制御する第2制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、デバイスの設定値としてキーロック機能を有効にする値と初期パスワードの値が同時に設定されることは許可しないように制御することでデバイスが操作不可状態に陥ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に於ける画像形成装置のブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1に於ける初回電源投入時に実行される設定ナビ機能におけるパスワード設定の画面フローを説明する説明図である。
【
図3】本発明の実施例1に於けるパスワード設定の画面フローを説明する説明図である。
【
図4】本発明の実施例1に於けるリモートUIからのパスワード設定の画面フローを説明する説明図である。
【
図5】本発明の実施例1に於けるキーロック機能設定の画面フローを説明する説明図である。
【
図6】本発明の実施例1に於けるキーロック機能設定が不可であるケースの画面フローを説明する説明図である。
【
図7】本発明の実施例1に於けるキーロック機能設定が不可であるケースのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例1に於けるパスワード設定が不可であるケースの画面フローを説明する説明図である。
【
図9】本発明の実施例1に於けるパスワード設定が不可であるケースのフローチャートである。
【
図10】本発明の実施例1に於けるリモートUI設定が不可であるケースの画面フローを説明する説明図である。
【
図11】本発明の実施例1に於けるリモートUI設定が不可であるケースのフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例2に於ける操作不可状態からの復帰時の画面フローを説明する説明図である。
【
図13】本発明におけるリモートUI設定が不可であるケースの画面フローを説明する説明図である。
【
図14】本発明における初期パスワードの設定が不可であるケースの画面フローを説明する説明図である。
【
図15】本発明における、設定値ファイルのインポート処理後の再起動処理のフローである。
【
図16】本発明の実施例に於ける画像形成装置及び端末のソフトウェアブロック図である。
【
図17】本発明の実施例に於ける操作表示部を説明する説明図である。
【
図18】クライアント端末108のリモート画面の一例を示す図である。
【
図19】本発明の実施例4に於ける制限機能が有効時に制限対象の操作が行われたケースのフローチャートである。
【
図20】本発明の実施例4に於ける制限機能の解除成功時の画面フローを説明する説明図である。
【
図21】本発明の実施例4に於ける制限機能の解除失敗時の画面フローを説明する説明図である。
【
図22】本発明の実施例5に於ける制限機能無効モード時のホーム画面を説明する説明図である。
【
図23】本発明の実施例5に於ける制限機能無効モード起動時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
図1は本発明の実施例である画像形成装置100を含む情報処理システムの構成を示す図である。
【0015】
図1において、画像形成装置100は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、プリンタ104と、操作表示部105を持つ。また画像形成装置100は、外部との通信インターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)I/F106と、ネットワーク I/F107とを有する。
【0016】
CPU101はシステム制御部であり、画像形成装置100の全体を制御する。
【0017】
ROM102はCPU101の制御プログラムを格納している。なお、上記制御プログラムは、以下に説明する上記実施例を実行する制御プログラムである。またROM102は、書き換え可能なフラッシュROMなどの種類があり、画像形成装置100のユーザが登録した設定値、管理データ等を格納する。
【0018】
また、ROM102には、画像形成装置100の各種設定内容の設定値が管理されている。設定内容の詳細については後述するが、少なくともキーロック機能の設定が有効であるかどうかの設定値(ON/OFF)、およびリモートUI機能の設定が有効であるかどうかの設定値(ON/OFF)が管理されているものとする。
【0019】
RAM103は、実行プログラム、プログラム制御変数、各種ワーク用バッファ等や、画像形成装置100のユーザが登録した一部の設定値、管理データ等を格納する。
【0020】
プリンタ104は受信画像やファイルデータを記録紙に記録する。
【0021】
操作表示部105はテンキー、キーボード、タッチパネル、LCD、LED等で構成される。ユーザによる各種操作を受け付けたり、操作画面を表示したり、ユーザへの通知を行う。今回は、テンキーを用いて画像形成装置100を操作する例で説明するが、すべての操作キーがソフトキーであってもよく、一部がソフトキーで残りのキーがハードキーであってもよい。
【0022】
USB I/F106はUSBデバイスとの接続、通信及び電力供給などを行う。
【0023】
ネットワークI/F107は、LAN109を介して画像形成装置100の各部とのデータ送受信を行う。特にクライアント端末108からの印刷ジョブ受信や、RUI機能において装置100の制御情報の受信を行う。なおLAN109には、有線で通信を行うもの(有線LAN)と、無線で通信を行うもの(無線LAN)を含む。
【0024】
図1を用いて画像形成装置100のハードウェア構成図を説明したが、クライアント端末108のハードウェア構成図も画像形成装置100と同様であるため、説明を割愛する。
【0025】
図16は、本発明の実施例である画像形成装置100及びクライアント端末108のソフトウェア構成を示す図である。
【0026】
画像形成装置100の操作表示制御部1601は、画像形成装置100へのデータ入力の受付や出力結果の表示などを制御する。リモートUI制御部1602は、リモートUI機能におけるデータ生成や画像レイアウトなど、リモートUI機能全般の制御を行う。通信制御部1603は、操作表示制御部1601やリモートUI制御部1602などが生成したデータをクライアント端末108へ送信し、またクライアント端末108からのデータを受信する処理を制御する。設定値管理部1604は例えば、操作表示制御部1601からの設定値変更依頼に応じて、設定値保存部1605への設定値変更処理を制御する。
【0027】
クライアント端末108の通信制御部1611は、画像形成装置100へデータを送信し、画像形成装置100からのデータを受信する処理を制御する。ウェブブラウザアプリケーション1612は、リモートUI機能を使用するために必要なアプリケーションである。ウェブブラウザアプリケーション1612にてアクセス処理を実行すると、通信制御部1611を通じてリモートUI機能のためのデータを要求、表示する。入出力制御部1613は、ウェブブラウザアプリケーション1612を起動するための入力データの受け取りや、ウェブブラウザアプリケーション1612が処理した結果の表示などを行う。
【0028】
図17は、本発明の実施例である画像形成装置100にある操作表示部105の詳細説明のための説明図である。
【0029】
表示部1701は、画像形成装置100の状態や各入出力の結果などを表示する。ジョブキー1702には、ジョブに関連する機能の呼び出しをする機能や、選択画面等において上方向に選択カーソルを移動させる機能が割り当てられている。セットアップキー1704は、パスワード設定やキーロック機能、リモートUI機能等の設定変更を行う管理設定画面を表示するためのキーである。キーロック機能とは、少なくともセットアップキー1704を含むハードキーの操作を無効にするための機能である。その結果、管理設定画面を介した画像形成装置100の設定変更ができなくなる。本実施例では、キーロック機能を、セットアップキー1704の操作が無効になる機能であるものとして説明するが、画像形成装置100における設定変更をできなくする機能であればいいのであって、特定のハードキーに関して限定された機能ではない。例えば、表示部1701において表示される設定変更用のソフトキーをグレーアウト表示にする機能をキーロック機能としてもよい。
【0030】
通知LED1703は、画像形成装置100の状態の通知などを行うためのLED(Light Emitting Diode)である。点灯、点滅などの動作による通知と、色による通知がある。
【0031】
図2は、画像形成装置100の初回電源投入時に実行される設定ナビ機能の画面フローを説明する説明図である。
【0032】
画像形成装置100に初めて電源が投入されると、CPU101は日付設定画面201を表示する。ユーザは操作表示部105のテンキー等を使用し、日付情報を入力する。日付情報を入力した後にOKキー1705を選択すると、CPU101は時間設定画面202を表示する。テンキー等を用いて時間を入力しOKキー1705を選択すると、CPU101はリモート設定画面203を表示する。クライアント端末108のリモートUIを使用する場合にはリモート設定画面203において「はい」を選択し、使用しない場合には「いいえ」を選択する。
【0033】
ユーザーが所望する選択肢を選択した後にOKキー1705が選択されると、CPU101はパスワード設定画面204を表示する。OKキー1705を選択するとCPU101は、パスワード確認画面205を表示する。パスワード設定画面204およびパスワード確認画面205に入力したパスワードが一致した場合、CPU101は設定ナビ完了通知画面206を表示して設定ナビ機能を終了する。
【0034】
なお、パスワード設定画面204からパスワード確認画面205に遷移する際、パスワード設定画面204に既に入力済みの初期パスワードをユーザーに変更させてからパスワード確認画面205に遷移するようにしてもよい。あるいはパスワード設定画面204の入力欄を空欄の状態で表示し、ユーザーに任意のパスワードを入力させてからパスワード確認画面205に遷移するようにしてもよい。
【0035】
今回は、設定ナビ機能によって日付設定、時間設定、リモートUI機能設定、パスワード設定を実行する画面を表示する形態を説明したが、それ以外の機能を設定する画面を表示するようにしてもよい。また、設置ナビ機能における各種設定項目は、ユーザの意思で設定することなくスキップするための選択肢、または選択するためのハードキーを用意するようにしてもよい。その場合、画像形成装置100に予め設定されている初期パスワードをユーザーが変更することなく、画像形成装置100の使用を開始することが可能となる。それ以外の設定項目も、画像形成装置100の工場出荷時の設定値が維持されるものとする。
【0036】
<画像形成装置100におけるパスワード設定>
図3を用いて、クライアント端末108におけるパスワード設定の画面フローを説明する。トップ画面301において設定画面表示の操作を行うことで、CPU101は管理設定選択画面302を表示する。ここで設定画面表示の操作とは、トップ画面301が表示された状態でセットアップキー1704が選択された場合である。セットアップキー1704は、トップ画面301以外の画面が表示されている状態で選択されると、操作画面上のフォーカスを右に遷移させるためのボタンである。
【0037】
管理設定選択画面302においてパスワード設定項目「システム管理者パスワード」が選択されると、CPU101はパスワード入力画面303を表示する。パスワード入力画面が表示された際には入力欄は空欄ではあるが、
図3に示されたように現在のパスワードが入力されると、CPU101はパスワード入力画面304を表示する。現在のパスワード以外のパスワード(第二のパスワード)が入力されると、CPU101はパスワード入力画面305を表示する。パスワード入力画面304に入力されたパスワードと同じパスワードがパスワード入力画面305に入力された場合、CPU101は画面306を表示して、設定を終了する。
【0038】
なお、現在のパスワードが初期パスワードである状態から第二のパスワードを設定することができるのは言うまでもないが、第二のパスワードが設定されている状態から初期パスワードに設定を戻すことも可能であるものとする。
【0039】
ここで初期パスワードの定義について説明する。初期パスワードとは、画像形成装置100に工場出荷時から設定されているパスワードを指す。そのパスワードが複数の画像形成装置100一台一台で異なるように設定されていてもよいが、本実施例では複数の画像形成装置に共通して設定されているパスワードであるものとして説明する。
【0040】
<クライアント端末108におけるパスワード設定>
図4は、クライアント端末108のリモートUIを介してパスワード設定を行う画面フローである。なお、
図4のようにクライアント端末108のリモートUIにおける操作を実現するためには、予め画像形成装置100において初期パスワードを第二のパスワードに変更しておく必要がある(
図3)。画像形成装置100に初期パスワードが設定されたままでは、後述のログイン画面で初期パスワードを入力したとしてもログインすることはできない。
【0041】
リモートUI機能の利用を開始した際、CPU101はログイン画面410を表示する。リモートUI機能の利用を開始するための具体的な操作方法については特に限定しないが、例えば、クライアント端末108のウェブブラウザアプリケーション1612で画像形成装置100のIPアドレスを入力することによってログイン画面410が表示されるものとする。ユーザは、管理者モードボタン411を選択し、パスワード入力欄412に画像形成装置100に設定されている第二のパスワードを入力する。パスワード入力を終えたら、ログインボタン413を押下し、画像形成装置100にログインする。
【0042】
ログイン後、CPU101は設定変更画面420を表示する。設定変更画面420は、画像形成装置100に設定されるパスワードや管理者名、画像形成装置100のメールアドレス等が表示されている。編集ボタン421を押下するとCPU101は、設定変更画面430を表示する。設定変更画面430には、設定変更画面420において表示されていた設定値が変更可能な状態で表示されている。ユーザはパスワード設定ボタン432を選択した上で、画像形成装置100に設定されているパスワードをパスワード入力欄431に入力し、新しいパスワードをパスワード入力欄433及びパスワード入力欄434に入力する。OKボタン435を押下すると、パスワード入力欄433およびパスワード入力欄434に入力された新しいパスワードが画像形成装置100に設定される。なお、パスワード入力欄433およびパスワード入力欄434に入力する新しいパスワードとして初期パスワードを入力した場合、初期パスワードを設定できない旨をエラー画面等でユーザーに通知するようにしてもよい。あるいは、初期パスワードの設定を禁止することなく、クライアント端末108のリモートUIにおいてログアウト操作を行うまでは、リモートUIでの操作を許可し、ログアウト後はログインできないようにしてもよい。
【0043】
ログイン画面410において一般ユーザーモードを選択し、ログインすると一般ユーザーモードのリモート画面(不図示)が表示されるが、画像形成装置100の設定内容を確認するためのリモート画面であって、設定内容を変更することはできない。
【0044】
<キーロック機能設定>
キーロック機能設定は、セットアップキー1704の操作を無効にするための設定である。上述した通り、トップ画面501(301)が表示されている状態でセットアップキー1704を選択すると、管理設定画面302が表示され、パスワードの設定を含む画像形成装置100の設定変更が可能となる。セットアップキー1704の操作を無効にするということは、セットアップキー1704を押下しても管理設定画面302が表示されず、画像形成装置100の設定を変更できなくなることを意味する。画像形成装置100を管理者が意図しない設定に変更されることがないよう、キーロック機能設定という機能が画像形成装置100に設けられている。
【0045】
本実施例では、セットアップキー1704の操作を無効にすることを例に説明するため、「キーロック機能」と称するが、設定変更を不可能にするロック機能であればよい。
【0046】
図5は、本発明におけるキーロック機能設定を行う際の画面フローである。トップ画面501においてセットアップキー1704を選択することで、CPU101は管理設定画面502を表示する。キーロック機能設定項目「セットアップキーのロック」が選択されると、CPU101はキーロック警告画面503を表示する。キーロック警告画面503には、キーロック機能設定を解除するためにはリモートUIで操作する必要がある旨が表示されている。キーロック警告画面503の内容に従ってOKキー1705が選択されると、CPU101はロック設定画面504を表示する。ユーザにより設定内容が決定されると、CPU101は設定完了通知画面505を表示して設定を終了する。設定が終了した後はトップ画面501が表示され、セットアップキー1704を選択しても管理設定画面502が表示されなくなる。
【0047】
なお、
図5に示したような画面フローは、画像形成装置100に設定されているパスワードが第二のパスワードである場合である。画像形成装置100に初期パスワードが設定された状態でキーロック機能設定が選択された場合の画面遷移については後述する。
【0048】
<操作不可状態>
操作不可状態とは、画像形成装置100のローカル画面およびクライアント端末108のリモートUI(リモート画面)での設定変更ができない状態を指す。具体的には、キーロック機能の設定によってローカル画面での設定変更ができず、パスワードが初期パスワードのままなのでリモートUIにおける設定変更もできないことである。表1には画像形成装置100において想定される設定内容の組み合わせを示す。カラム「操作状態」に「×」が入力されている設定値の組み合わせが操作不可状態である。
【0049】
表1からわかるように、キーロック機能の設定が有効であっても、パスワードが第二のパスワードで且つリモートUIの設定が有効であれば、リモートUIを介した設定変更が可能となる。そのため、キーロック機能「ON」且つパスワード「第二のパスワード」且つリモートUI「ON」は操作不可状態にはならない。
【0050】
【0051】
<キーロック機能設定を抑制する処理>
図6は、本発明におけるキーロック機能設定を抑制するための画面フローを説明する説明図である。画像形成装置100には工場出荷時のデフォルト値(初期パスワード)「7654321」が設定されている、あるいはリモートUI設定が「OFF」になっているものとする。
【0052】
トップ画面601において設定画面表示の操作を行うことで、CPU101は、管理設定画面602を表示する。キーロック機能設定項目「セットアップキーのロック」が選択されると、CPU101はエラー画面603を表示し、設定を終了する。エラー画面603には、初期パスワードが設定されている状態、あるいはリモートUI機能が有効ではない状態ではキーロック機能を設定できない旨がユーザーに通知されればよく、エラー画面603に示された形態に限定されない。エラー画面603が表示された後はユーザーにパスワードの変更を促すために、エラー画面603から管理設定画面602に遷移させてもよい。
【0053】
<
図6の画面遷移の制御フロー>
図7は、
図6で説明したキーロック機能設定が不可であるケースにおける制御方法を示すフローチャートである。本フローチャートは、CPU101が管理設定画面602を表示したことをきっかけに開始されるものとする。S701においてCPU101はユーザー操作によって選択された設定項目を判定する。設定項目「システム管理パスワード」が選択されたと判定されるとS705に進み、パスワード設定画面300が表示され処理が終了する。パスワード設定画面300が表示された後の画面遷移は
図3と同様である。
【0054】
S701において設定項目「セットアップキーのロック」が選択されたと判定されると、S702においてCPU101はパスワードが初期パスワードであるかを判定する。画像形成装置100の初期パスワードはROM102で管理されているものとし、ROM102の初期パスワードの文字列と、画像形成装置100に設定されているパスワードの文字列とが一致するかどうかが判定される。一致すると判定された場合にはS704に進み、一致しないと判定された場合にはS706に進む。S704においてCPU101はエラー画面603を表示し、処理を終了する。
【0055】
S702において初期パスワードが設定されていないと判定されると、S706においてCPU101はリモートUI設定が有効であるかを判定する。有効ではない(リモート設定画面203において「いいえ」が選択された)場合はS704に進む。有効である(リモート設定画面203において「はい」が選択された)場合にはS703においてCPU101はキーロック機能をONにして処理を終了する。
【0056】
<パスワード設定を抑制する処理(クライアント端末108)>
クライアント端末108において、初期パスワードの設定を抑制する際の動作について説明する。画像形成装置100に第二のパスワードが設定されており、第二のパスワードを用いてクライアント端末108から管理者ログインできる前提で説明する。リモート画面の一例は
図4に示した通りである。設定変更画面430においてユーザーが第二のパスワードから初期パスワードに変更し、OKボタン453が選択されると、ユーザーの設定内容に問題がある旨を示すポップアップが表示される。その一例を
図18に示す。
【0057】
OKボタン453近傍に「現在の設定ではキーロックを設定できません」と表示されている。OKボタン453を押下したことをきっかけにCPU101が設定変更画面430における設定内容を確認し、キーロック機能の設定が有効であり、かつ初期パスワードの設定が指示されているとポップアップが表示される。そのため、ユーザーが初期パスワードを設定した行為自体に対するエラーメッセージではなく、設定内容に対するエラーメッセージになっている。
【0058】
ただし、ユーザーにエラーを通知する方法やメッセージの内容については特に限定せず、パスワードの設定内容およびキーロック機能の設定を確認するよう、ユーザーに促すような表示方法であってもよい。
【0059】
<パスワード設定を抑制する処理(画像形成装置100)>
上述ではキーロック機能の設定対象がセットアップキー1704であるものとして説明した。しかしキーロック機能の設定対象を操作表示部105に配置されているセットアップキー1704以外のボタンにも適用されるようにしてもよい。例えば、操作表示部105に表示されているボタン「ユーティリティ」やボタン「給紙選択」のみをキーロック機能の設定対象とすることも可能であるものとする。
【0060】
クライアント端末108におけるキーロック機能の設定項目は
図18に示した通りである。設定項目「キーロック設定」のチェックボックスにチェックをいれると、該当のボタンがキーロックされ、押下しても処理が行われなくなる。
図18では「セットアップキー」のチェックボックスのみがチェックされている。
【0061】
図18の設定項目「キーロック設定」の設定内容によっては、キーロック機能が有効であったとして、セットアップキー1704に対する設定でなければ画像形成装置100で管理設定画面802の表示が可能となる。
図8は、セットアップキー1704以外のキーがキーロックされている状況での画面遷移である。
【0062】
図8は、本発明における初期パスワードの設定を抑制する際の画面フローである。画像形成装置100は、キーロック機能が有効で、且つ設定されているパスワードが第二のパスワードであるものとする。
【0063】
トップ画面801において設定画面表示の操作を行う(セットアップキー1704を選択する)ことで、CPU101は管理設定画面802を表示する。設定項目「システム管理者パスワード」が選択されると、CPU101はパスワード入力画面803を表示する。ユーザーによって現在のパスワードが入力されると、CPU101はパスワード入力画面804を表示して新しいパスワードを入力させる。ここで、新しいパスワードとして初期パスワード「7654321」が入力され、OKキー1705が選択されると、CPU101はエラー画面805を表示して、設定を終了する。設定終了後は、トップ画面801または管理設定画面802が表示されるものとする。
【0064】
エラー画面805には、キーロック機能が有効である場合は初期パスワードを新しいパスワードとして設定できない旨がユーザーに通知されればよく、エラー画面805に示されたような形態に限定されない。エラー画面805の代わりに、キーロック機能の解除を促すためにロック設定画面を表示するようにしてもよい。
【0065】
図8では、セットアップキー1704以外のキーがロックされているにもかかわらず、エラー画面805を表示するようにした。操作不可状態にはならないものの、一部キーのキーロック機能が有効であることから、操作不可状態になる可能性があるとみなしてエラー画面805が表示される。
【0066】
<
図8の画面遷移の制御フロー>
図9は、
図8の画面遷移を制御するためのフローチャートである。本フローチャートは、管理設定画面802が表示されたタイミングで実行されるものとする。なお、上述で説明済みの処理については同じ付番を振り、説明を割愛する。
【0067】
S705においてパスワード入力画面803が表示された後、S901においてCPU101は、パスワード入力画面803においてユーザー操作によって入力されたパスワードが、画像形成装置100に設定されているパスワードであるかを判定されるまで待機する。画像形成装置100に設定されているパスワードがパスワード入力画面803において入力された判定されると、S902においてCPU101は新しいパスワードを入力するためのパスワード入力画面804を表示する。
【0068】
S903においてCPU101は、パスワード入力画面804において新しいパスワードが入力されたと判定されるまで待機し、新しいパスワードが入力されたと判定された後、S904において入力されたパスワードが初期パスワードであるかを判定する。初期パスワードではないと判定されると、S905においてパスワードの入力が完了した旨をユーザーに通知し(例えば、画面306)、処理を終了する。画面306が表示された後はトップ画面301が表示されるようにしてもよい。
【0069】
S904において初期パスワードが入力されたと判定されると、S907においてCPU101はキーロック機能が有効であるかを判定する。有効でないと判定された場合にはS905に進み、有効であると判定された場合にはS906に進む。ここでのキーロック機能の有無の判断はキーの種類に限らず、キーロック機能が有効であるかどうかが判断される。
【0070】
S906においてCPU101はエラー画面805を表示する。エラー画面が表示された後は、トップ画面301あるいは管理設定画面802が表示されるようにしてもよい。
【0071】
クライアント端末108のリモート画面において初期パスワードを設定する際にも基本的には
図9の処理が実行される。ただし、S701の処理の代わりに、CPU101は設定変更画面420の編集ボタン421が押下されるまで待機する処理が実行される。押下されたと判断されると、S705の処理において管理設定画面430が表示される。
【0072】
実施例1より、初期パスワードが設定されている状態と、キーロック機能が有効である状態が共存しないように制御することができる。その結果、キーロック機能によってローカルUIでの設定変更が不可であり、且つ初期パスワードであるがためにリモートUIでの操作が実行できない、いわゆる操作不可状態を回避することができる。
【0073】
なお、キーロック機能が無効である場合には、パスワードを第二のパスワードから初期パスワードにもどすことは可能である。
【実施例2】
【0074】
実施例1では、管理設定画面にキーロック機能とパスワードの設定を変更するための設定項目が設けられている場合の構成について説明した。実施例2では、管理設定画面において設定項目「リモートUIの使用」が表示されている構成について説明する。つまり、実施例1では、設定ナビ機能でしかリモートUI機能の設定が行えなかったが(
図2)、実施例2では管理設定画面からリモートUI機能の設定が可能となる。
【0075】
管理設定画面1002において「リモートUIの使用」が選択されると、リモート設定画面203が表示され、リモートUIを利用する設定を行うかどうかをユーザーが選択することができる。リモート設定画面203における設定が完了すると、トップ画面1001が表示される。
【0076】
<リモートUI設定を抑制する処理>
図10を用いてリモートUI設定を抑制する際のフローを説明する。本フローは管理設定画面1002が表示されたことをきっかけに実行されるものとする。上記で説明済みの処理については同じ付番を振り、説明を省略する。また、本フローは、リモートUIが有効である状態で開始されるものとする。
【0077】
S1101においてCPU101は管理設定画面1002において選択された設定項目を判定する。設定項目「セットアップキーのロック」が選択されると、S702~704の処理が実行される。設定項目「システム管理者パスワード」が選択されると、S705とS901~906の処理が実行される。
【0078】
S1101において設定項目「リモートUIの使用」が選択されたと判定されると、S1102においてCPU101は画像形成装置100のキーロック機能が有効であるかを判定する。有効であると判定されるとS1104に進み、エラー画面1003が表示される。ここで表示されるエラー画面1003の一例は
図10の形態に限定されず、リモートUIの設定変更を受け付けられない旨をユーザーに通知できればよい。
【0079】
S1102においてCPU101は画像形成装置100のキーロック機能が有効でないと判定された場合にはリモート設定画面203を表示し、リモートUIの設定変更を受け付け、処理を終了する。
【0080】
表1で示した通り、キーロック機能が「ON」になっている状態で、リモートUI設定が「OFF」になると操作不可状態になる。そのため本実施例では、キーロック機能が有効であると判定された場合、リモートUI設定の設定内容に関わらず、リモートUI設定をユーザーにさせない形態を示した。
【0081】
リモートUI設定が「ON」の状態で
図11のフローの実行が開始された場合、既にキーロック機能が有効な状態でリモートUIの設定画面(リモート設定画面203)を表示してしまうと、画像形成装置100が操作不可状態になるような設定変更をユーザーが行う可能性がある。そのため、リモート設定画面203を表示することなくS1104の処理を実行する。
【0082】
実施例2により、キーロック機能が有効である場合には、リモートUIでしか画像形成装置100の設定変更ができないため、リモートUIの設定変更を受け付けないことによって操作不可状態を回避することができる。
【実施例3】
【0083】
実施例1および2では、ユーザー操作による画像形成装置100の設定変更によって操作不可状態になることを防ぐ構成を説明した。そのため、ユーザーがパスワードの設定変更または、キーロック機能の設定変更を行おうとした際に、エラー画面が表示されるようにした。
【0084】
しかし、操作不可状態になり得る状況はユーザー操作による設定変更に限定されない。例えば、画像形成装置100に対して設定値ファイルをインポートした際にも発生し得る。ここで設定値ファイルとは、パスワードの設定値またはキーロック機能の設定値の少なくとも1つが含まれているファイルである。
【0085】
既に画像形成装置100に設定値が設定されている状態で、設定値ファイルを画像形成装置100にインポートすると、インポートされた設定値ファイルと設定済みの設定値によって画像形成装置100が操作不可状態になる可能性がある。具体的には、キーロック機能の設定が「OFF」であり、且つ初期パスワードが設定されている画像形成装置100に対し、キーロック設定が「ON」の設定値が含まれる設定値ファイルがインポートされると、画像形成装置100のキーロック機能の設定が「ON」になり、且つ設定されているパスワードが初期パスワードとなるため、操作不可状態になる。
【0086】
実施例3では、設定値ファイルをインポートした結果、画像形成装置100が操作不可状態となってしまうことを防ぐ構成について説明する。
【0087】
画像形成装置100は、設定値ファイルをインポートすると、自動的に再起動するように制御されている。
図12は、設定値ファイルをインポートした後の再起動をきっかけに実行される画面遷移である。
【0088】
CPU101は再起動処理が開始されると、起動中を示す画面1201が表示される。画面1201が表示されている最中、CPU101は画像形成装置100が操作不可状態ではないかを判定する。具体的には「キーロック機能」「パスワード」「リモートUI機能」の3つの設定状態を確認し、操作不可状態になる組み合わせになっていないかを判断する。操作不可状態となる組み合わせは上述の表1に示した3つのパターン(操作状態が「×」である状態)を指す。
【0089】
操作不可状態ではないと判定されると、インポートされた設定値ファイルはそのまま画像形成装置100に反映される。一方で操作不可状態であると判定されると、キーロック機能が自動で解除される。その際には画面1202が表示される。
【0090】
実施例3を適用することで、設定値ファイルをインポートした後に画像形成装置100が操作不可状態になることを防ぐことができる。また、画面1202を表示させることによって、操作不可状態を解消しつつ、設定値が自動で変更された旨をユーザーに通知することでできる。
【実施例4】
【0091】
実施例1~3では、操作不可状態を回避するための構成を説明した。実施例4では、操作不可状態になったとしてもその状態を解消するための構成について説明する。なお本実施例では以降、下方向キーが操作制限されているものとして説明する。
【0092】
CPU101は、下方向キーの押下を検知すると(S1901)、その操作がキーロック機能の対象の操作であるかどうかを判定する(S1902)。例えば、下方向キーがユーザーによって押下されたかをS1902では判定する。該当の操作でないと判定された場合(S1902の“No”の分岐)、S1901の時に表示されていた画面に対して、選択したキーの対応する処理を実行する(S1906)。
【0093】
制限対象の操作であった場合(S1902の“Yes”の分岐)、認証情報入力画面を表示する(S1903)。認証情報入力画面において、認証が成功した場合(S1904の“Yes”の分岐)、S1901で表示されていた画面に対して、下方向キー押下時の処理を実行する(S1907)。認証情報入力画面において、認証が失敗した場合(S1904の“No”の分岐)、当該操作が不可である通知画面を表示し(S1905)、S1901の時に表示していた画面を表示する(S1906)。なおここではあらかじめ設定された認証情報を用いて認証を行っているが、キーロック機能を解除するために別途パスワードを設定し、それを用いて認証を行う方法などでもよい。
【0094】
図20は、
図19の処理を実行した際の画面遷移である。実施例4では、あらかじめ管理者用パスワードとして「1234」が設定されており、そのパスワードをキーロック機能解除用に使用するものとする。
【0095】
ホーム画面2001で下方向キーの押下を検知すると、画面が認証情報入力画面2002に遷移する。認証情報入力画面2002で正しいパスワードを入力してOKキーを押下すると、認証処理が実行される。認証が成功するとキーロック機能が解除され、ホーム画面2001に対して下方向キーの処理が実行され「設定登録」項目がフォーカスされる(2003)。なお認証情報入力画面2002において、入力されたパスワードを「****」のように、外部から認識できないよう伏せた状態で表示してもよい。
【0096】
図21は、認証情報入力画面2002において認証処理に失敗した場合の画面遷移である。
【0097】
ホーム画面2101で下方向キーの押下を検知すると、認証情報入力画面2102に遷移する。認証情報入力画面2102で不正なパスワードを入力してOKキーを押下すると、認証が失敗し、制限されている旨の通知画面2103を一定時間表示し、その後自動的にホーム画面2101を表示する。
【0098】
以上が、操作不可状態になったとしてもその状態を解消するためのフローとその際の画面遷移である。実施例4を適用することで、操作パネルからキーロック機能を解除することができ、利便性が向上する。さらに、リモートUIが必ずしも必要ではなくなるため、リモートUI使用不可かつキーロック機能の有効化時に発生していた操作不可状態も回避することができる。
【実施例5】
【0099】
実施例4では、認証情報入力画面2102において入力されたパスワードが正しい場合、キーロックが解除され、ロックされていたキーに対応する処理が実行できる構成を説明した。実施例5では、認証やキーロック機能の解除を要することなくキーロック機能を一時的に無効にして、キーの操作を可能にする方法について
図22を用いて説明する。
【0100】
実施例5の画像形成装置には、特殊モード機能と呼ばれる、通常時とは異なる動作モードで動作する機能があるものとする。特殊モード機能の実行方法は、特定のキーを押下しながら機器の起動を行うものである。本実施例におけるキーロック機能無効モードは、特殊モード機能の一つで、キーロック機能無効モードの実行中はキーロック機能の設定状態によらず、機器を操作することが可能である。ユーザはこのモード中に任意の機器操作を行うことができ、キーロック機能自体の設定変更を行う必要がない。なお電源を切り、どのキーも押下せずに通常通り起動させれば、キーロック機能は機器の設定に応じた状態に戻る。
【0101】
特殊な起動方法を用いて起動させると、起動後のホーム画面2201の左下に、特殊モードマーク2202が表示される。この特殊モードマーク2202は、この特殊モード機能を実行中は、どの画面に遷移しても常にこの位置に特殊モードマーク2202が表示される。
【0102】
図23は、本発明の実施形態5に於ける特殊モード機能の呼び出し方を示すフローチャートである。
【0103】
CPU101は、機器が電源ONされると起動処理を開始する(S2301)。次にCPU101は、起動処理中に特定のキーが押下されているかどうかを検知し、何も押下されていないか、または無効なキーが押下されている場合(S2302の“No”の分岐)、通常モードで起動する(S2303)。起動処理中に特定のキーが押下されている場合(S2302の“Yes”の分岐)、押下されたキーに割り当てられた特殊モードで起動する(S2304)。
【0104】
実施例5を適用することで、キーロック機能の解除を行うことなく、キーロック機能を一時的に無効にすることができ、任意の設定変更操作を行うことができる。
【0105】
〔その他の実施例〕
実施例1において、設定ナビ機能のパスワード設定画面204において初期パスワードを設定させないようにする構成も可能である。例えば、リモート設定画面203において「はい」が選択された後、パスワード設定画面204において初期パスワードを変更しない、または初期パスワードと同じ文字列をパスワードとして設定するユーザー指示がなされた場合、パスワード確認画面205に遷移することなくエラー画面(不図示)を表示してもよい。そのエラー画面には、初期パスワードが設定されたままではリモートUIを使用できない旨が表示されるものとする。
【0106】
その一方でリモート設定画面203において「いいえ」が選択された場合は、パスワード設定画面204で初期パスワードを変更しない、または初期パスワードと同じ文字列をパスワードとして設定されたとしてもパスワード確認画面205を表示し、画像形成装置100の利用を開始させてもよいものとする。
【0107】
また、実施例1の
図6では、エラー画面603が表示された後は、トップ画面601または管理設定画面602が表示される形態を示した。しかし、ユーザーにパスワード設定の変更を促すために、エラー画面603が表示された後にパスワード入力画面303を表示するようにしてもよい。または、エラー画面603の代わりに、ユーザーにパスワード変更を促す画面1301(
図13)を表示するようにしてもよい。画面1301において選択項目1302が選択された場合には、パスワード入力画面303に遷移し、その後の画面遷移は
図3(304~306)を同じである。画面306が表示された後は、管理設定画面302またはロック設定画面504を表示させることによって、キーロック機能設定をユーザーに促すようにしてよい。
【0108】
画面1301において選択項目1303が選択された場合には、トップ画面301が表示されるようにしてもよい。
【0109】
また、実施例1の
図8では、エラー画面805が表示された後は、トップ画面801または管理設定画面802が表示される形態を示した。しかし、キーロック機能の解除を促すために、エラー画面805が表示された後にロック設定画面504を表示するようにしてもよい。または、エラー画面805の代わりに、キーロック機能の解除を促す画面1401(
図14)を表示するようにしてもよい。選択項目1402が選択された場合には、ロック設定画面504を表示するか、あるいは選択項目1402の選択が確定したタイミングで、自動でキーロック機能を解除するようにしてもよい。選択項目1402が選択されキーロック機能が解除された後は、パスワード入力画面303を表示してパスワードの設定変更操作を継続させるようにする。
【0110】
画面1401において選択項目1403が選択された場合には、管理設定画面502またはトップ画面801を表示するようにしてもよい。
【0111】
また、ユーザーが所望する設定ができないことをUI画面によって通知するようにしたが、UI画面である必要はなく、音声やLEDランプの点滅であってもよい。
【0112】
また、
図15に示されるように、操作不可状態であると判定された(S1501)後に、キーロック設置を自動でOFFにし(S1502)、S1503において、キーロック設定が自動で変更された旨をユーザーに通知する構成であってもよい。
【0113】
また、
図9のS907は、キーの種類に限定せず、キーロック機能の設定が有効であるかどうかを判断する処理内容であるが、セットアップキー1704のキーロック機能が有効であるかどうかを判断する処理内容であってもよい。
【0114】
また、本発明の目的は以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0115】
100 画像形成装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 プリンタ
105 操作表示部
106 USB I/F
107 ネットワーク I/F
108 クライアント端末
109 LAN