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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】LED発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20240624BHJP
【FI】
H01L33/48
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020172661
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022064124
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 豪一郎
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-012765(JP,A)
【文献】特開2003-045206(JP,A)
【文献】特開2017-175057(JP,A)
【文献】特開2007-027433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上に実装され、赤色光を出射する第1LED素子と、
前記基台上に実装され、緑色光を出射する第2LED素子と、
前記基台上に実装され、橙色光を出射する第3LED素子と、
前記基台上で、少なくとも前記第1LED素子及び第2LED素子の周囲に配置された反射枠と、
拡散材を含有し、前記反射枠の内側に配置されて前記第1LED素子及び第2LED素子を封止する第1封止樹脂と、を有し、
前記第1封止樹脂は、前記第1LED素子から出射される赤色光と前記第2LED素子から出射される緑色光とを混合して黄色光を生成し、
前記第3LED素子から出射される橙色光のピーク波長は、前記第1LED素子から出射される赤色光のピーク波長及び前記第2LED素子から出射される緑色光のピーク波長の少なくとも一方よりも555nmに近接し
前記第1LED素子及び前記第2LED素子の少なくとも一方と前記第3LED素子との間の距離は、前記第1LED素子と前記第2LED素子との間の距離よりも長い、
ことを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記第3LED素子から出射される橙色光のピーク波長の光強度は、前記第1LED素子から出射される赤色光のピーク波長及び前記第2LED素子から出射される緑色光のピーク波長の光強度よりも低い、請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第1LED素子、前記第2LED素子、前記第3LED素子、前記反射枠及び前記第1封止樹脂を覆う第2封止樹脂を更に有し、
前記第1LED素子、前記第2LED素子及び前記第3LED素子は前記反射枠の内側に配置される、請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記第1封止樹脂は、前記黄色光と前記第3LED素子からの橙色光を混合する、請求項3に記載のLED発光装置。
【請求項5】
前記反射枠の内側に配置され、青色光を出射する第4LED素子を更に有する、請求項3又は4に記載のLED発光装置。
【請求項6】
前記第1LED素子、前記第2LED素子、前記第3LED素子、前記反射枠及び前記第1封止樹脂を覆う第2封止樹脂を更に有し、
前記第1LED素子及び前記第2LED素子は前記反射枠の内側に配置され、前記第3LED素子は前記反射枠の外側に配置される、請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項7】
前記第2封止樹脂は、前記黄色光と前記第3LED素子からの橙色光を混合する、請求項6に記載のLED発光装置。
【請求項8】
基台と、
前記基台上に実装された第1LED素子と、
前記基台上に実装された第2LED素子と、
前記基台上に実装された第3LED素子と、
前記基台上で、少なくとも前記第1LED素子及び第2LED素子の周囲に配置された反射枠と、
少なくとも前記第1LED素子及び第2LED素子を封止する第1封止樹脂と、を有し、
前記第3LED素子から出射される光のピーク波長は、前記第1LED素子から出射される光のピーク波長及び前記第2LED素子から出射される光のピーク波長の少なくとも一方よりも555nmに近接し
前記第1LED素子及び前記第2LED素子の少なくとも一方と前記第3LED素子との間の距離は、前記第1LED素子と前記第2LED素子との間の距離よりも長い、
ことを特徴とするLED発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる色の光を出射する発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)等の発光素子を実装して、白色等の所望の色の光を出射するLED発光装置が知られている。例えば、特許文献1には、赤色、緑色及び青色の光を出射するLED素子を実装して、それぞれのLED素子から出射する光を混色して白色の光を出射するLED発光装置が記載されている。特許文献1に記載されるLED発光装置は、赤色、緑色及び青色の光を出射するLED素子の配置間隔を均等にすることで、混色性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-21554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には白色の光を出射するLED発光装置は記載されているが、赤色、緑色及び青色である三原色並びに白色以外の色の光を出射するLED発光装置は、全く記載及び示唆されていない。近年、LED発光装置の利用分野が広がるに連れて、三原色及び白色以外の光、例えば金色の光を出射するLED発光装置が望まれている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、金色光を出射するLED発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るLED発光装置は、基台と、基台上に実装され、赤色光を出射する第1LED素子と、基台上に実装され、緑色光を出射する第2LED素子と、基台上に実装され、橙色光を出射する第3LED素子と、基台上で、少なくとも第1LED素子及び第2LED素子の周囲に配置された反射枠と、拡散材を含有し、反射枠の内側に配置されて第1LED素子及び第2LED素子を封止する第1封止樹脂とを有し、第1封止樹脂は、第1LED素子から出射される赤色光と第2LED素子から出射される緑色光とを混合して黄色光を生成し、第3LED素子から出射される橙色光のピーク波長は、第1LED素子から出射される赤色光のピーク波長及び第2LED素子から出射される緑色光のピーク波長の少なくとも一方よりも555nmに近接している。
【0007】
さらに、本発明に係るLED発光装置では、第3LED素子から出射される橙色光のピーク波長の光強度は、第1LED素子から出射される赤色光のピーク波長及び第2LED素子から出射される緑色光のピーク波長の光強度よりも低いことが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係るLED発光装置では、第1LED素子、第2LED素子、第3LED素子、反射枠及び第1封止樹脂を覆う第2封止樹脂を更に有し、第1LED素子、第2LED素子及び第3LED素子は反射枠の内側に配置されることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係るLED発光装置では、第1封止樹脂は、黄色光と第3LED素子からの橙色光を混合して、金色光を生成することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係るLED発光装置は、反射枠の内側に配置され、青色光を出射する第4LED素子を更に有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係るLED発光装置では、第1LED素子、第2LED素子、第3LED素子、反射枠及び第1封止樹脂を覆う第2封止樹脂を更に有し、第1LED素子及び第2LED素子は反射枠の内側に配置され、第3LED素子は反射枠の外側に配置されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るLED発光装置では、第2封止樹脂は、黄色光と第3LED素子からの橙色光を混合して、金色光を生成することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るLED発光装置は、基台と、基台上に実装された第1LED素子と、基台上に実装された第2LED素子と、基台上に実装された第3LED素子と、基台上で、少なくとも第1LED素子及び第2LED素子の周囲に配置された反射枠と、少なくとも第1LED素子及び第2LED素子を封止する第1封止樹脂と、を有し、第3LED素子から出射される光のピーク波長は、第1LED素子から出射される光のピーク波長及び第2LED素子から出射される光のピーク波長の少なくとも一方よりも555nmに近接している。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るLED発光装置は、金色光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は第1実施形態に係るLED発光装置の平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図2】(a)は反射枠、第1封止樹脂及び第2封止樹脂を省略した図1(a)に示すLED発光装置の平面図であり、(b)は図1(a)に示すLED発光装置の背面図である。
図3】第1LED素子~第4LED素子が光を出射した状態の図1(a)に示すLED発光装置の平面図である。
図4】第1LED素子及び第2LED素子から出射される光から生成される黄色光のスペクトルと、第3LED素子から出射される橙色光のスペクトルとを示す図である。
図5】第2実施形態に係るLED発光装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るLED発光装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1(a)は第1実施形態に係るLED発光装置の平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
【0018】
LED発光装置1は、基台10と、第1LED素子31と、第2LED素子32と、第3LED素子33と、第4LED素子34と、反射枠41と、第1封止樹脂42と、第2封止樹脂43とを有する。第1LED素子31は赤色光を出射し、第2LED素子32は緑色光を出射し、第3LED素子33は橙色光を出射し、第4LED素子34は青色光を出射する。LED発光装置1は、第1LED素子31、第2LED素子32、第3LED素子33及び第4LED素子34のそれぞれが光を出射したときに、金色と視認可能な光、すなわち金色光を出射する。
【0019】
基台10は、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂等の高耐熱性であり且つ機械的強度が高い合成樹脂で形成され、底面11と、第1側面12と、第2側面13と、第3側面14と、第4側面15とを有する。基台10は、底面11、第1側面12と、第2側面13、第3側面14及び第4側面15によって、第1LED素子31~第4LED素子34、反射枠41、第1封止樹脂42及び第2封止樹脂43を収容する収容部を形成する。
【0020】
図2(a)は反射枠41、第1封止樹脂42及び第2封止樹脂43を省略したLED発光装置1の平面図であり、図2(b)はLED発光装置1の背面図である。
【0021】
底面11は、例えば辺の長さが3mmである正方形状の平面形状を有し、厚さは0.6mmであるが、底面11の平面形状及び厚さは、LED発光装置1が使用される用途に応じて適宜変更してもよい。基台の底面の平面形状は、長方形状であってもよく、円形又は多角形状であってもよい。
【0022】
底面11の表面には、第1アノード配線パターン21aと、第1カソード配線パターン21kと、第2アノード配線パターン22aと、第2カソード配線パターン22kと、第3アノード配線パターン23aと、第3カソード配線パターン23kとが形成される。底面11の表面には、第4アノード配線パターン24aと、第4カソード配線パターン24kとが更に形成される。底面11の表面に形成される配線パターンは、銅等の金属により形成された導電性薄膜である。
【0023】
第1アノード配線パターン21aは第1LED素子31のアノードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続され、第1カソード配線パターン21kは第1LED素子31のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。第2アノード配線パターン22aは第2LED素子32のアノードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続され、第2カソード配線パターン22kは第2LED素子32のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。
【0024】
第3アノード配線パターン23aは第3LED素子33のアノードに半田付けや銀等の金属が含有された導電性ペーストにより電気的に接続され、第3カソード配線パターン23kは第3LED素子33のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。第4アノード配線パターン24aは第4LED素子34のアノードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続され、第4カソード配線パターン24kは第4LED素子34のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。
【0025】
底面11の裏面には、第1アノード電極51aと、第1カソード電極51kと、第2アノード電極52aと、第2カソード電極52kと、第3アノード電極53aと、第3カソード電極53kと、第4アノード電極54aと、第4カソード電極54kとが形成される。底面11の表面に形成される電極は、実装基板に半田付けなどにより実装可能な電極であり、底面11の表面に形成される配線パターンと同様に、銅等の金属により形成された導電性薄膜である。
【0026】
第1アノード電極51aは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第1アノード配線パターン21aに接続され、第1カソード電極51kは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第1カソード配線パターン21kに接続される。第1LED素子31は、第1アノード電極51aと第1カソード電極51kとの間に第1LED素子31の順方向電圧以上の電圧が印加されることに応じて赤色光を出射する。
【0027】
第2アノード電極52aは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第2アノード配線パターン22aに接続され、第2カソード電極52kは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第2カソード配線パターン22kに接続される。第2LED素子32は、第2アノード電極52aと第2カソード電極52kとの間に第2LED素子32の順方向電圧以上の電圧が印加されることに応じて緑色光を出射する。
【0028】
第3アノード電極53aは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第3アノード配線パターン23aに接続され、第3カソード電極53kは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第3カソード配線パターン23kに接続される。第3LED素子33は、第3アノード電極53aと第3カソード電極53kとの間に第3LED素子33の順方向電圧以上の電圧が印加されることに応じて橙色光を出射する。
【0029】
第4アノード電極54aは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第4アノード配線パターン24aに接続され、第4カソード電極54kは底面11を貫通するビアに充填された導電性部材によって第4カソード配線パターン24kに接続される。第4LED素子34は、第4アノード電極54aと第4カソード電極54kとの間に第4LED素子34の順方向電圧以上の電圧が印加されることに応じて青色光を出射する。
【0030】
第1LED素子31は、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlInGaP)等の半導体材料で形成されたLEDダイであり、アノードとカソードとの間に順方向電圧以上の電圧が印加されたときに629nmのピーク波長を有する赤色光を出射する。第1LED素子31が出射する赤色光の周波数の最小値は580nmであり、第1LED素子31が出射する赤色光の周波数の最大値は661nmである。
【0031】
第2LED素子32は、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)及びテルル化亜鉛(ZnTe)等の半導体材料で形成されたLEDダイである。第2LED素子32は、アノードとカソードとの間に順方向電圧以上の電圧が印加されたときに525nmのピーク波長を有する緑色光を出射する。第2LED素子32が出射する緑色光の周波数の最小値は478nmであり、第2LED素子32が出射する緑色光の周波数の最大値は599nmである。
【0032】
第3LED素子33は、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlInGaP)及びガリウムヒ素リン(GaAsP)等の半導体材料で形成されたLEDダイである。第3LED素子33は、アノードとカソードとの間に順方向電圧以上の電圧が印加されたときに608nmのピーク波長を有する橙色光を出射する。第3LED素子33が出射する橙色光は、アンバー光とも称される。第3LED素子33が出射する橙色光の周波数の最小値は571nmであり、第3LED素子33が出射する橙色光の周波数の最大値は632nmである。第3LED素子33から出射される橙色光のピーク波長は、第1LED素子31から出射される赤色光のピーク波長と第2LED素子32から出射される緑色光のピーク波長との中間に配置される。
【0033】
第4LED素子34は、窒化ガリウム(GaN)等の半導体材料で形成されたLEDダイであり、アノードとカソードとの間に順方向電圧以上の電圧が印加されたときに450nmのピーク波長を有する青色光を出射する。
【0034】
第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれは、基台10の底面11の表面の中央部に正方形の四角に位置するように配置される。第1LED素子31と第2LED素子32との間の距離は、第2LED素子32と第3LED素子33との間の距離と等しい。第2LED素子32と第3LED素子33との間の距離は、第3LED素子33と第4LED素子34との間の距離と等しい。第3LED素子33と第4LED素子34との間の距離は、第4LED素子34と第1LED素子31との間の距離と等しい。また、第1LED素子31と第3LED素子33との間の距離は、第3LED素子33と第4LED素子34との間の距離と等しい。
【0035】
反射枠41は、酸化亜鉛及び酸化チタン等の反射材が混入された白色等の不透明なシリコーン樹脂等の合成樹脂により形成され、真円形のリング状の平面形状を有する。反射材は、例えば含有率が30%である酸化チタンである。反射枠41は、第1LED素子31、第2LED素子32、第3LED素子33及び第4LED素子34を囲むように配置され、第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれが出射された光を反射してLED発光装置1の上方に出射する。
【0036】
反射枠41は、チキソトロピー性が高い材料を用いて形成してもよい。チキソトロピー性が高い材料は、応力を加えることにより流動性が増加し、応力を加えることを停止することにより流動性が低下する。
【0037】
まず、応力が加えられて流動性の高い状態の反射枠41の材料を、第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれの周囲を囲むように基台10上に流し込む。次いで、反射枠41の材料に応力を加えることを停止して流動性を低下させた後、反射枠41の材料を硬化することにより反射枠41が得られる。また、チキソトロピー性が高い材料ではなく、粘度が高い材料を用いて、反射枠41を形成してもよい。
【0038】
第1封止樹脂42は、酸化チタン等の拡散材であるフィラーを含有するシリコーン樹脂等の透明な合成樹脂であり、反射枠41の内側に配置されて、第1LED素子31~第4LED素子34及びボンディングワイヤ35を封止する封止材である。フィラーの含有率は、例えば1%であり、50%以下であってもよい。第1封止樹脂42は、第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれが出射された光を混色して金色光を生成する。
【0039】
第2封止樹脂43は、酸化チタン等の拡散材であるフィラーを含有するシリコーン樹脂等の透明な合成樹脂であり、底面11、第1側面12と、第2側面13、第3側面14及び第4側面15によって形成される収容部に充填される。第2封止樹脂43は、含有するフィラーの含有量が第1封止樹脂42と相違する。しかしながら、第2封止樹脂43に含有されるフィラーの含有量は、第1封止樹脂42に含有されるフィラーの含有量と同一であってもよい。
【0040】
図3は、第1LED素子31~第4LED素子34が光を出射した状態のLED発光装置1の平面図である。
【0041】
LED発光装置1では、第1LED素子31から出射される赤色光と第2LED素子32から出射される緑色光とが混色されることによって、黄色光が生成される。第1LED素子31及び第2LED素子32から出射される光から生成される黄色光の中に、黄色光よりも波長が長く且つ黄色光よりも光量が少ない第3LED素子33から出射される橙色光を出射することにより黄色光が映えて金色光と視認される。LED発光装置1では、第4LED素子34から出射される青色光の光量を抑制することで、LED発光装置1から出射される光は、金色であると視認され易くなる。
【0042】
図4は、第1LED素子31及び第2LED素子32から出射される光から生成される黄色光のスペクトルと、第3LED素子33から出射される橙色光のスペクトルとを示す図である。図4において、横軸は波長を示し、縦軸は光強度を任意単位で示す。また、図4において、波形401は第1LED素子31及び第2LED素子32から出射される光から生成される黄色光のスペクトルを示し、第3LED素子33から出射される橙色光のスペクトルを示す。
【0043】
黄色光のスペクトルを示す波形401は、2つのピーク波長を有する。2つのピーク波長の一方は第1LED素子31から出射される赤色光のピーク波長λ1であり、2つのピーク波長の他方は第2LED素子32から出射される緑色光のピーク波長λ2である。2つのピーク波長があるから、緑色光の強い黄色光や赤色光の強い黄色光に調整できる。一方、橙色光のスペクトルを示す波形402は、第3LED素子33から出射される橙色光のピーク波長λ3のみを有する。つまり、第3LED素子33のピーク波長λ3は、第1LED素子31から出射されるピーク波長λ1と第2LED素子32から出射されるピーク波長λ2の間に位置する。
【0044】
橙色光のピーク波長λ3と明るい場所に順応したときに人の目が最大感度となる555nmとの間の波長差Δλ3は、赤色光のピーク波長λ1と555nmとの間の波長差Δλ1よりも小さい。一方、橙色光のピーク波長λ3と555nmとの間の波長差Δλ3は、緑色光のピーク波長λ2と555nmとの間の波長差Δλ2よりも大きい。すなわち、橙色光のピーク波長λ3は、緑色光のピーク波長λ2よりも555nmに離隔する一方、赤色光のピーク波長λ1よりも555nmに近接している。
【0045】
LED発光装置1は、光強度が低い橙色光のピーク波長λ3を赤色光及び緑色光のピーク波長λ1及びλ2の少なくとも一方よりも555nmに近接させることで、橙色光を視認することにより黄色光が映える効果を向上させることができる。
【0046】
また、ピーク波長λ3における橙色光の光強度I3は、ピーク波長λ1における赤色光の光強度I1及びピーク波長λ2における赤色光の光強度I2よりも低い。ピーク波長λ3における橙色光の光強度I3がピーク波長λ1における赤色光及びピーク波長λ2における赤色光の光強度I1及びI2より低いので、橙色光の光量は、赤色光と緑色光とを混色することで生成される黄色光の光量よりも小さくなる。LED発光装置1は、橙色光の光量を赤色光と緑色光とを混色することで生成される黄色光の光量よりも小さくすることで、金色光を生成する。
【0047】
また、LED発光装置1は、第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれがLEDダイとして実装されるので、封止樹脂に蛍光体を含有して蛍光体から出射される光を混色する場合よりも出射する色の制御が容易である。
【0048】
また、LED発光装置1は、第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれがLEDダイとして実装されるので、第1封止樹脂42及び第2封止樹脂43のそれぞれに蛍光体が含有されない。LED発光装置1は、第1封止樹脂42及び第2封止樹脂43のそれぞれに蛍光体が含有されないので、蛍光体が発熱することにより封止樹脂の温度が上昇してLED素子の発光効率が低下することを防止できる。
【0049】
図5は、第2実施形態に係るLED発光装置の平面図である。
【0050】
LED発光装置2は、基台60と、第1LED素子31と、第2LED素子32と、第3LED素子33と、反射枠81と、第1封止樹脂82と、第2封止樹脂83とを有する。LED発光装置2は、第1LED素子31、第2LED素子32及び第3LED素子33の全てが光を出射したときに、金色光を出射する。
【0051】
基台60は、基台10と同様に、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂等の高耐熱性であり且つ機械的強度が高い合成樹脂で形成され、底面61と、第1側面62と、第2側面63と、第3側面64と、第4側面65とを有する。基台60は、底面61、第1側面62と、第2側面63、第3側面64及び第4側面65によって、第1LED素子31~第3LED素子33、反射枠81、第1封止樹脂82及び第2封止樹脂83を収容する収容部を形成する。
【0052】
第1アノード配線パターン71aは第1LED素子31のアノードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続され、第1カソード配線パターン71kは第1LED素子31のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。第2アノード配線パターン72aは第2LED素子32のアノードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続され、第2カソード配線パターン72kは第2LED素子32のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。第3アノード配線パターン73aは第3LED素子33のアノードに半田付けにより電気的に接続され、第3カソード配線パターン73kは第3LED素子33のカソードにボンディングワイヤ35によって電気的に接続される。
【0053】
底面61の裏面には、底面11の裏面と同様に実装基板に半田付けなどにより実装可能な電極が形成されるが、ここでは詳細な説明は省略する。また、第1LED素子31~第3LED素子33は、図1等を参照して既に説明したので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0054】
第1LED素子31及び第2LED素子32は、第2側面63と第3側面とが接する角の近傍に隣接して配置される。一方、第3LED素子33は、第1LED素子31及び第2LED素子32が配置される角に対向する第2側面63と第3側面とが接する角の近傍に隣接して配置される。第1LED素子31及び第2LED素子32は、互いに近接して配置される一方、第3LED素子33と離隔して配置される。
【0055】
反射枠81は、酸化亜鉛及び酸化チタン等の反射材が混入された白色等の不透明なシリコーン樹脂等の合成樹脂により形成され、楕円形のリング状の平面形状を有する。反射枠81は、第1LED素子31及び第2LED素子32を囲むように配置され、第1LED素子31及び第2LED素子32のそれぞれが出射された光を反射してLED発光装置1の上方に出射する。反射枠81は、反射枠41と同様に、高いチキソトロピー性を有する材料を用いて形成してもよく、高い粘度を有する材料を用いて形成してもよい。
【0056】
第1封止樹脂82は、酸化チタン等の拡散材であるフィラーを含有するシリコーン樹脂等の透明な合成樹脂であり、反射枠81の内側に配置されて、第1LED素子31及び第2LED素子32及びボンディングワイヤ35を封止する封止材である。第1封止樹脂42は、第1LED素子31及び第2LED素子32のそれぞれが出射された光を混色して黄色光を生成する。
【0057】
第2封止樹脂83は、酸化チタン等の拡散材であるフィラーを含有するシリコーン樹脂等の透明な合成樹脂であり、底面11、第1側面12と、第2側面13、第3側面14及び第4側面15によって形成される収容部に充填される。第2封止樹脂83は、含有されるフィラーの含有率が第1封止樹脂42と相違する。なお、第2封止樹脂83は、含有されるフィラーの含有率が第1封止樹脂42と同一であってもよい。第2封止樹脂83は、第1LED素子31及び第2LED素子32から第1封止樹脂82を介して出射された黄色光と、第3LED素子33から出射される橙色光とを混色して金色光を生成する。
【0058】
第1LED素子31と第2LED素子が近接して配置され、混色性が良くなる。また、反射枠81で囲まれ、第1LED素子31と第2LED素子からの基台60の底面61と平行する方向への光が遮られるから、発光点が小さくなる。更に、第3LED素子を隔離したので、第3LED素子のピーク波長の黄色光への影響を抑制できる。
【0059】
(実施形態に係るLED発光装置の変形例)
LED発光装置1では、第1LED素子31~第4LED素子34の四色の光を出射するLED素子が実装されるが、実施形態に係るLED発光装置では、青色光を出射する第4LED素子34は実装されなくてもよい。
【0060】
また、LED発光装置1及び2では、出射する光の色毎に単一のLED素子が実装されるが、実施形態に係るLED発光装置では、同一色の光を出射する複数のLED素子が実装されてもよい。同一色の光を出射する複数のLED素子が実装されるとき、LED素子の間の実装間隔は短い方が好ましく、また、出射する光の色が相違するLED素子を隣接して配置することが好ましい。
【0061】
また、LED発光装置1では、第3LED素子として橙色光を出射するLED素子が実装されるが、実施形態に係るLED発光装置では、第3LEDとして橙色光ではなくシアン色光を出射するLED素子を搭載してもよい。
【0062】
また、LED発光装置1及び2に実装される第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれは所定のピーク波長及び波長幅を有するが、実施形態に係るLED発光装置に実装される第1LED素子~第4LED素子のピーク波長及び波長幅は、説明された値に限定されない。実施形態に係るLED発光装置に実装される第1LED素子~第4LED素子のピーク波長及び波長幅は、LED発光装置から出射される光が金色光となるように適宜設定される。
【0063】
また、実施形態に係るLED発光装置に実装される第1LED素子31~第4LED素子34のそれぞれの配置位置は、LED発光装置から出射される光が金色光となるように適宜設定される。また、実施形態に係るLED発光装置では、反射枠に囲まれるLED素子は、LED発光装置から出射される光が金色光となるように適宜設定される。例えば、実施形態に係るLED発光装置では、第3LED素子33のみを反射枠で囲むことによって、第3LED素子33から出射される橙色光を他のLED素子から出射される光から生成される黄色光と分離することができる。
【符号の説明】
【0064】
1、2 LED発光装置
10、60 基台
31 第1LED素子
32 第2LED素子
33 第3LED素子
34 第4LED素子
41、81 反射枠
42、82 第1封止樹脂
43、83 第2封止樹脂
図1
図2
図3
図4
図5