(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】半導体基板及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240624BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240624BHJP
G02F 1/16766 20190101ALI20240624BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240624BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G02F1/167
G02F1/16766
H01L29/78 612Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 618Z
(21)【出願番号】P 2020179100
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 宏宜
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-009328(JP,A)
【文献】特開2003-058107(JP,A)
【文献】特開2000-216404(JP,A)
【文献】特開2009-049393(JP,A)
【文献】特開2019-186301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1343-1/1345
1/135-1/1368
1/15-1/19
G09F9/30-9/46
H01L21/336
21/8232-21/8238
21/8249
27/06
27/07
27/085-27/092
27/118
29/786
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する走査線と、
前記走査線上に設けられた、第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上において、前記走査線上に重畳する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層上に設けられた第2絶縁層と、
前記第2絶縁層に設けられた、第1開口部及び第2開口部と、
前記第2絶縁層上に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する信号線と、
前記第2絶縁層上に設けられ、前記第2方向に延伸する接続電極と、
を備え、
前記信号線は、前記第1開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、
前記接続電極は、前記第2開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、
前記酸化物半導体層は、前記第2方向に延伸する第1端部及び第2端部を有し、
前記第1開口部は、前記第2方向に延伸する第3端部及び第4端部を有し、
前記第2開口部は、前記第2方向に延伸する第5端部及び第6端部を有し、
前記第3端部及び前記第5端部は、前記第1方向に間隔を置いて対向し、
前記第1端部は、前記第1方向において、前記第3端部及び前記第4端部との間に位置し、
前記第2端部は、前記第1方向において、前記第5端部及び前記第6端部との間に位置し、
前記信号線は、前記酸化物半導体層に重畳し、前記第2方向に延伸する第7端部を有し、
前記接続電極は、前記酸化物半導体層に重畳し、前記第2方向に延伸し、前記第7端部に対向する第8端部を有し、
前記第3端部は、前記第1方向において、前記第1端部及び前記第7端部との間に位置し、
前記第5端部は、前記第1方向において、前記第2端部及び前記第8端部との間に位置す
る、半導体基板。
【請求項2】
前記酸化物半導体層は、第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層を含み、
前記第2酸化物半導体層は、前記第1酸化物半導体層と前記第2方向に間隔を置いて配置され、
前記第1酸化物半導体層は、前記第1方向に沿って延伸する第9端部及び第10端部を有し、
前記第2酸化物半導体層は、前記第1方向に沿って延伸する第11端部及び第12端部を有し、
前記第1開口部は、前記第1方向に沿って延伸する第13端部及び第14端部を有し、
前記第2開口部は、前記第1方向に沿って延伸する第15端部及び第16端部を有し、
前記第10端部及び第12端部は、前記第2方向に間隔を置いて対向し、
前記第9端部は、前記第2方向において、
前記第10端部及び前記第13端部、並びに、前記第10端部及び前記第15端部との間に位置し、
前記第11端部は、前記第2方向において、前記第12端部及び前記第14端部、並びに、前記第12端部及び前記第16端部との間に位置する、請求項
1に記載の半導体基板。
【請求項3】
前記第1開口部は、前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層に重畳し、
前記第2開口部は、前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層に重畳する、請求項
2に記載の半導体基板。
【請求項4】
第1基材と、前記第1基材上に設けられ、第1方向に延伸する走査線と、前記走査線上に設けられた、第1絶縁層と、前記走査線上に設けられた酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層に設けられた、第1開口部及び第2開口部と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する信号線と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第2方向に延伸する接続電極と、前記接続電極に接続された画素電極と、を備えた半導体基板と、
前記画素電極と対向した第2基材と、前記第2基材並びに前記画素電極との間に位置し前記画素電極と対向した対向電極と、を備えた対向基板と、
前記画素電極及び前記対向電極との間に位置し、前記画素電極及び前記対向電極との間に印加される電圧がかかる表示機能層と、を備え、
前記信号線は、前記第1開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、
前記接続電極は、前記第2開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、
前記酸化物半導体層は、前記第2方向に延伸する第1端部及び第2端部を有し、
前記第1開口部は、前記第2方向に延伸する第3端部及び第4端部を有し、
前記第2開口部は、前記第2方向に延伸する第5端部及び第6端部を有し、
前記第3端部及び前記第5端部は、前記第1方向において間隔を置いて対向し、
前記第1端部は、前記第1方向において、前記第3端部及び前記第4端部との間に位置し、
前記第2端部は、前記第1方向において、前記第5端部及び前記第6端部との間に位置し、
前記信号線は、前記第2方向に延伸する第7端部を有し、
前記接続電極は、前記第2方向に延伸し、前記第7端部に対向する第8端部を有し、
前記第3端部は、前記第1方向において、前記第1端部及び前記第7端部との間に位置し、
前記第5端部は、前記第1方向において、前記第2端部及び前記第8端部との間に位置す
る、表示装置。
【請求項5】
前記酸化物半導体層は、第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層を含み、
前記第2酸化物半導体層は、前記第1酸化物半導体層と前記第2方向に間隔を置いて配置され、
前記第1酸化物半導体層は、前記第1方向に沿って延伸する第9端部及び第10端部を有し、
前記第2酸化物半導体層は、前記第1方向に沿って延伸する第11端部及び第12端部を有し、
前記第1開口部は、前記第1方向に沿って延伸する第13端部及び第14端部を有し、
前記第2開口部は、前記第1方向に沿って延伸する第15端部及び第16端部を有し、
前記第10端部及び第12端部は、前記第2方向において間隔を置いて対向し、
前記第9端部は、前記第2方向において、
前記第10端部及び前記第13端部、並びに、前記第10端部及び前記第15端部との間に位置し、
前記第11端部は、前記第2方向において、前記第12端部及び前記第14端部、並びに、前記第12端部及び前記第16端部との間に位置する、請求項
4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1開口部は、前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層に重畳し、
前記第2開口部は、前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層に重畳する、請求項
5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体基板及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、例えば電気泳動表示装置が知られている。このような電気泳動表示装置では、スイッチング素子として薄膜トランジスタを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-221097号公報
【文献】特開2020-126218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、特性のムラの発生が抑制され、均一な特性を有する半導体基板、及び当該半導体基板を有する表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る半導体基板は、第1方向に延伸する走査線と、前記走査線に重なる第1半導体層と第2半導体層と、前記第1半導体層及び前記第2半導体層を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、前記走査線に交差し、第2方向に延伸する信号線と、を備える半導体基板であり、前記絶縁層は一対の長辺及び一対の短辺からなる第1開口部を有し、前記第1開口部の前記長辺は前記第2方向に平行であり、前記第1開口部の前記短辺は前記第1方向に平行であり、前記信号線は、前記第1開口部を介して、前記第1半導体層及び前記第2半導体層に接続される。
【0006】
また、一実施形態に係る半導体基板は、第1方向に延伸する走査線と、前記走査線上に設けられた、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上において、前記走査線上に重畳する酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層に設けられた、第1開口部及び第2開口部と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する信号線と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第2方向に延伸する接続電極と、を備え、前記信号線は、前記第1開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、前記接続電極は、前記第2開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、前記酸化物半導体層は、前記第2方向に延伸する第1端部及び第2端部を有し、前記第1開口部は、前記第2方向に延伸する第3端部及び第4端部を有し、前記第2開口部は、前記第2方向に延伸する第5端部及び第6端部を有し、前記第3端部及び前記第5端部は、前記第1方向に間隔を置いて対向し、前記第1端部は、前記第1方向において、前記第3端部及び前記第4端部との間に位置し、前記第2端部は、前記第1方向において、前記第5端部及び前記第6端部との間に位置する。
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、第1基材と、前記第1基材上に設けられ、第1方向に延伸する走査線と、前記走査線上に設けられた、第1絶縁層と、前記走査線上に設けられた酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層に設けられた、第1開口部及び第2開口部と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する信号線と、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第2方向に延伸する接続電極と、前記接続電極に接続された画素電極と、を備えた半導体基板と、前記画素電極と対向した第2基材と、前記第2基材並びに前記画素電極との間に位置し前記画素電極と対向した対向電極と、を備えた対向基板と、前記画素電極及び前記対向電極との間に位置し、前記画素電極及び前記対向電極との間に印加される電圧がかかる表示機能層と、を備え、前記信号線は、前記第1開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、前記接続電極は、開口部を介して、前記酸化物半導体層に接続され、前記酸化物半導体層は、前記第2方向に延伸する第1端部及び第2端部を有し、前記第1開口部は、前記第2方向に延伸する第3端部及び第4端部を有し、前記第2開口部は、前記第2方向に延伸する第5端部及び第6端部を有し、前記第3端部及び前記第5端部は、前記第1方向において間隔を置いて対向し、前記第1端部は、前記第1方向において、前記第3端部及び前記第4端部との間に位置し、前記第2端部は、前記第1方向において、前記第5端部及び前記第6端部との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の半導体基板の平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のうち、走査線及び半導体層を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図1のうち、走査線、半導体層、及び絶縁層の開口部を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1のうち、走査線、半導体層、絶縁層の開口部、信号線、及び接続電極を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図1のうち、半導体層、信号線、接続電極、絶縁層、及び開口部を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1のA1-A2に沿った半導体基板の断面図である。
【
図8】
図8は、
図7のうち、走査線、半導体層、絶縁層の開口部、信号線、接続電極のみを示している。
【
図10】
図10は、本実施形態の表示装置を説明する図である。
【
図13】
図13は、実施形態における半導体基板の他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る半導体基板について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。
【0011】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0012】
また、第3方向Zの矢印の先端側に半導体基板を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における半導体基板の断面を見ることを断面視という。
【0013】
図1は、本実施形態の半導体基板の平面図である。
図2は、
図1のうち走査線を示す平面図である。
図3は、
図1のうち、走査線及び半導体層を示す平面図である。
図4は、
図1のうち、走査線、半導体層、及び絶縁層の開口部を示す平面図である。
図5は、
図1のうち、走査線、半導体層、絶縁層の開口部、信号線、及び接続電極を示す平面図である。
図6は、
図1のうち、半導体層、信号線、接続電極、絶縁層、及び開口部を示す図である。
図7は、
図1のA1-A2に沿った半導体基板の断面図である。
図8は、
図7のうち、走査線、半導体層、絶縁層の開口部、信号線、接続電極のみを示している。
図9は、
図7の別の構成例を示す断面図である。詳細は後述するが、
図1に示す基板SUB1は、表示装置DSPに備えられている。
【0014】
図1から
図5に示す基板SUB1において、走査線GLは、第1方向Xに延伸して配置されている。信号線SLは、第2方向Yに延伸して配置されている。走査線GL及び信号線SLの交点には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor(TFT))Tr1及びTr2(以下トランジスタTr1及びTr2)が配置されている。なお本実施形態において、トランジスタTr1及びTr2を区別する必要がない場合は、単にトランジスタTrと呼ぶこともある。
トランジスタTr1の半導体層SC1及びトランジスタTr2の半導体層SC2は、それぞれ長辺および短辺を有し、実質的に同形状(実質的に同面積)の半導体層を、互いに平行に配置されている。なお半導体層SC1及びSC2を区別する必要がない場合は、単に半導体層SCと呼ぶこともある。
【0015】
本実施形態の半導体層SC1及びSC2に用いられる材料は、酸化物半導体である。このように酸化物半導体層を有するトランジスタ(以下酸化物半導体トランジスタともいう)は、オフリーク電流が極めて小さい。酸化物半導体トランジスタを、スイッチング素子として表示装置の画素に使う場合、画素容量に書き込んだ電荷を長時間保持でき、所望の電圧を保持し続けることが可能である。
【0016】
また、トランジスタTrは、上述のようにトランジスタTr1及びTr2の2個に限らず、トランジスタTr1及びTr2にさらにトランジスタTr3を追加した3個の構造(後述する
図13参照)であってもよく、3個以上のトランジスタTrを有するものであってもよい。
同様に半導体層SCも、上述のように半導体層SC1及びSC2の2個に限らず、トランジスタの数に合わせ3個以上をそれぞれ並列に配置させる構造であってもよい。
【0017】
トランジスタTr1の半導体層SC1及びトランジスタTr2の半導体層SC2は、それぞれ平面視で信号線SLに接触する領域RS1及びRS2を有している。半導体層SC1及び半導体層SC2は、それぞれ平面視で接続電極DE(ドレイン電極ともいう)に接触する領域RD1及びRD2を有している。領域RS1及びRS2をそれぞれソース領域、及び、領域RD1及びRD2をそれぞれドレイン領域と呼ぶこともある。
【0018】
半導体層SC1は、領域RS1及び領域RD1との間にチャネル形成領域RC1を有している、半導体層SC2は、領域RS2及び領域RD2との間にチャネル形成領域RC2を有している。半導体層SC1及び半導体層SC2のそれぞれのチャネル形成領域RC1及びRC2の全体は、同一の走査線GLに重畳している。
【0019】
走査線GLが半導体層SC1及びSC2に重畳する領域では、走査線GLは半導体層SC1及びSC2を覆っている。すなわち、当該領域における第1方向Xに沿った長さは、半導体層SC1及びSC2それぞれの長さより長い。当該領域における第2方向Yに沿った長さは、半導体層SC1及びSC2の長さの和より長い。
【0020】
領域RS1及びRS2を特に区別する必要がない場合は、単に領域RSと呼ぶことがある。領域RD1及びRD2を特に区別する必要がない場合は、単に領域RDと呼ぶことがある。チャネル形成領域RC1及びRC2を特に区別する必要がない場合は、単にチャネル形成領域RCと呼ぶことがある。
詳細は後述するが、半導体層SC1及びSC2のそれぞれの上には、絶縁層ESが設けられている。絶縁層ESには、信号線SL、半導体層SC1の領域RS1、及び半導体層SC2のRS2、に重畳して、開口部ESCH1が設けられている。接続電極DE、半導体層SC1の領域RD1、及び半導体層SC2の領域RD2に重畳して、開口部ESCH2が設けられている。開口部ESCH2は、第1方向Xに沿って、開口部ESCH1と間隔をおいて配置されている。本実施形態では、開口部ESCH1及びESCH2を、それぞれ第1開口部及び第2開口部と呼ぶこともある。特に区別する必要がない場合は、開口部ESCH1及びESCH1を、併せて開口部ESCHと呼ぶ。
【0021】
開口部ESCH1及びESCH2は、それぞれ、一対の長辺及び一対の短辺を有する概略長方形形状を有している。開口部ESCH1及びESCH2のそれぞれにおいて、第2方向Yに沿って延伸する長辺は、第1方向Xに沿って延伸する短辺よりも長い。また、開口部ESCHは、概略長方形形状に限らず、第2方向Yに平行な長軸を有し、第1方向Xに平行な短軸を有する楕円形形状であってもよい。開口部ESCHは、長方形形状、楕円形形状に限らず、長軸と短軸、又は長辺と短辺を有し、少なくとも2つ以上の半導体層SCを一つの開口部ESCHで露出させる所定の形状であればよい。
【0022】
なお本実施形態において、半導体層SC2及び半導体層SC1のチャネル形成領域RC1以外の一部は、走査線GLに重畳しなくてもよい。半導体層SC1については、半導体層SC1のチャネル形成領域RC1が走査線GLに重畳していればトランジスタとして機能するため、走査線GLから半導体層SC1のチャネル形成領域RC1を除く一部(具体的には領域RS1の一部及び領域RD1の一部)を走査線GLから露出させている。これにより、ゲート電極(走査線GL)と信号線SL及び接続電極DEとで形成される容量による負荷を低減できる。
【0023】
上記を換言すると、
図1及び
図5に示す基板SUB1では、走査線GLと、半導体層SC1、信号線SL、及び接続電極DEとが重畳する面積を小さくなるようにしている。また、走査線GLに一部が重畳しない領域を有する半導体層は、半導体層SC2であってもよい。その場合は、半導体層SC1の全体が同一の走査線GLに重畳する。
【0024】
また、上述の実質的に同形状(実質的に同面積)の「実質的」については、設計思想としては同形状(同面積)としているものの、理想的な均一の同形状(同面積)に製造することは難しいため製造プロセスにより生じる多少の形状および面積のばらつきを含むことを意味するものである。また、「平行」についても設計思想としての平行を意味し、理想的な平行を製造上実現することが難しいため製造プロセスにより生じる角度のばらつきを含むことを意味するものである。
【0025】
また
図1に示す基板SUB1には、接続電極DTCが設けられている。接続電極DTCは、走査線GLに重畳し、第1方向Xに信号線SLに間隔を置いて位置している。接続電極DTCは、信号線SL及び接続電極DEと同じ材料で形成されている。接続電極DTCは、絶縁層GI及び絶縁層ESに形成されるコンタクトホールCH1にて、走査線GLと接続されている。
図1及び
図5では、2つのコンタクトホールCH1を設けた構成を示している。複数のコンタクトホールCH1を設けることにより、基板SUB1の歩留まり向上を図ることができる。ただしこれに限定されず、コンタクトホールCH1は1つだけ設ける構成にしてもよい。他のコンタクトホールについても同様である。
【0026】
補助ゲート電極TUGは、平面視にて、走査線GL、接続電極DTC、及び接続電極DEに重畳している。補助ゲート電極TUGは、平面視にて、半導体層SC1及び半導体層SC2それぞれチャネル形成領域RC1及びRC2の両方に重畳していればよい。本実施形態において、補助ゲート電極TUGは、半導体層SC1及び半導体層SC2のそれぞれのチャネル形成領域RC1及びRC2の全体に重畳している。
また補助ゲート電極TUGは、絶縁層PASに形成されるコンタクトホールCH2にて、接続電極DTCと接続されている。これにより補助ゲート電極TUGは、接続電極DTCを介して、走査線GLに電気的に接続される。
ただし、補助ゲート電極TUG、接続電極DTC、コンタクトホールCH1及びコンタクトホールCH2を設けない構造であってもよい。
【0027】
図5に示す基板SUB1のトランジスタTr(Tr1及びTr2)では、基材BA1、走査線GL(ゲート電極)、絶縁層GI、半導体層SC(SC1及びSC2)、信号線SL及び接続電極DE、が、第3方向Zにおいてこの順に積層されている。信号線SL及び接続電極DEは、同じ材料で形成されている。接続電極DEは、第2方向Yに沿って延伸し、信号線SLと第1方向Xにおいて間隔をおいて配置され、信号線SLと平行に配置されている。
また断面図として図示しないが、接続電極DTCは、信号線SL及び接続電極DEと同層に設けられている。補助ゲート電極TUGは、絶縁層PASを挟んで、信号線SL、接続電極DE、及び接続電極DTC上に設けられている。なお本実施形態では、同一の材料及び同一の工程で形成された層を同層としている。
画素電極PEについては、後述する。
【0028】
半導体層SCは、絶縁層GIの上に設けられている。上述のように、半導体層SCのうち、絶縁層GIを挟んで、信号線SLに接触する領域が領域RS(RS1及びRS2)、接続電極DEに接触する領域がRD(RD1及びRD2)、領域RS及びRDに挟持される領域がチャネル形成領域RC(RC1及びRC2)である。
上述のように、半導体層SC上には絶縁層ESが設けられており、絶縁層ESは開口部ESCHを有している。
【0029】
ここで半導体層SC、並びに、信号線SL及び接続電極DEの製造工程について説明する。半導体層SCを形成後、当該信号線SL及び接続電極DEの材料となる導電層を成膜する。当該導電層を、例えばドライエッチング等パターニングすることにより、所望の形状を有する信号線SL及び接続電極DEを形成する。このような製造工程で形成されるトランジスタは、いわゆるチャネルエッチ型トランジスタと呼ばれる。
【0030】
チャネルエッチ型トランジスタでは、当該導電層をパターニングして信号線SL及び接続電極DEを分離するので、一度のパターニング工程で信号線SL及び接続電極DEを形成可能という利点を有する。一方、パターニング工程において、半導体層SCのチャネル形成領域RCもエッチングされてしまい、チャネル形成領域RCにダメージが生じてしまう恐れがある。チャネル形成領域RCへのダメージは、トランジスタの特性に悪影響を及ぼす恐れがある。これによりトランジスタの特性の差が発生し、基板全体での特性差が生じ、半導体基板に特性のムラが発生する恐れが生じる。
【0031】
そこで本実施形態では、半導体層SC形成後、半導体層SC上に無機絶縁材料、例えば酸化珪素で絶縁層ESを積層し、その後絶縁層ESのうち、信号線SL及び接続電極DEとの接続領域にのみ開口部を形成する。いわゆるチャネルストッパ型トランジスタを形成する。チャネルストッパ型トランジスタでは、チャネル形成領域RCが絶縁層ESで覆われる。よって、信号線SL及び接続電極DE形成工程、すなわち、絶縁層ES上に導電層を成膜、当該導電層を、例えばドライエッチング等パターニングしても、チャネル形成領域RCにダメージが生じない。よって、半導体基板での特性のムラの発生が抑制され、均一な特性を得ることができる。
【0032】
図6及び
図8において、構成要素の端部のうち、第1方向Xに沿って並んで位置し、第2方向Yに沿って延伸する端部について述べる。半導体層SC1の信号線SL側の端部及び接続電極DE側の端部を、それぞれ端部EO1a及びEO1bとする。半導体層SC2の信号線SL側の端部及び接続電極DE側の端部を、それぞれ端部EO2a及びEO2bとする。端部EO1a及びEO2aを併せて端部EOaと呼ぶこともある。端部EO1b及びEO2bを併せて端部EObと呼ぶこともある。
端部EO1a及びEO1bは、第1方向Xに間隔をおいて配置されている。端部EO2a及びEO2bは、第1方向Xに間隔をおいて配置されている。
【0033】
信号線SLの端部のうち、半導体層SCと重畳する端部を端部ER1、半導体層SCと重畳しない端部を端部ER2とする。接続電極DEの端部のうち、半導体層SCと重畳する端部を端部ED1、半導体層SCと重畳しない端部を端部ED2とする。端部ER1及び端部ED1は隣接しており、互いに対向する。
端部ER1及びER2は、第1方向Xに間隔をおいて配置されている。端部ED1及びED2は、第1方向Xに間隔をおいて配置されている。
【0034】
絶縁層ESの開口部ESCH1の端部のうち、半導体層SC1と重畳する端部を端部ET1a、半導体層SCと重畳しない端部を端部ET1bとする。開口部ESCH2の端部のうち、半導体層SCと重畳する端部を端部ET2a、半導体層SCと重畳しない端部を端部ET2bとする。端部ET1a及びET2aは隣接し、第1方向Xにおいて間隔をおいて互いに対向している。端部ET1a及びET1bは、開口部ESCH1の一対の長辺(もしくは開口部ESCH1の長軸に沿う端部)に該当する。端部ET1c及びET1dは、開口部ESCH1の一対の短辺(もしくは開口部ESC1の短軸に沿う端部)に該当する。端部ET2a及びET2bは、開口部ESCH2の一対の長辺(もしくは開口部ESCH2の長軸に沿う端部)に該当する。端部ET2c及びET2dは、開口部ESCH2の一対の短辺(もしくは開口部ESCH2の短軸に沿う端部)に該当する。
図8では端部ER2及びET1bのそれぞれ、端部ED2及びET2bのそれぞれが一致しない例を示しているが、これに限定されない。端部ER2及びET1bのそれぞれ、端部ED2及びET2bのそれぞれは一致していてもよい。
【0035】
端部EO1aは、端部ET1a及びET1bとの間に位置している。端部ET1aは、端部EO1a及びER1との間に位置している。
端部EO1bは、端部ET2a及びET2bとの間に位置している。端部ET2aは、端部EO1b及びED1との間に位置している。
換言すると、端部EO1aは、開口部ESCH1内に位置している。端部EO1bは、開口部ESCH2内に位置している。
【0036】
端部EO1aは、端部ET1bから第1方向Xに沿って距離d1aだけ離れている。端部ET1aは、端部EO1aから第1方向Xに沿って距離d1bだけ離れている。
端部EO1bは、端部ET2bから第1方向Xと逆方向に沿って距離d2aだけ離れている。端部ET2aは、端部EO1bから第1方向Xと逆方向に沿って距離d2bだけ離れている。
【0037】
開口部ESCH1及びESCH2は、それぞれ、半導体層SC1及びSC2に重畳している。したがって、開口部ESCH1の端部ET1a及びET1bの長さは、それぞれ、半導体層SC1の端部EO1a及び半導体層SC2の端部EO2aの長さの和より長い。
同様に、開口部ESCH2の端部ET2a及びET2bの長さは、それぞれ、半導体層SC1の端部EO1b及び半導体層SC2の端部EO2bの長さの和より長い。
【0038】
また、開口部ESCHは、信号線SL及び接続電極DEが並列に配置された2以上の半導体層SCにコンタクトされるものであればよく、2以上の半導体層SCに接続される長方形状の開口部ESCHの端部ET1b及びET2bは、半導体層SCの端部EO1a、EO1b、EO2a、EO2bの内側に形成されるものであってもよい。具体的には、半導体層SC1の端部EO1a及びEO1bとの間に、端部ET1b及びET2bが位置していてもよい。同様に、半導体層SC2の端部EO2a及びEO2bとの間に、端部ET1b及びET2bが位置していてもよい。
【0039】
信号線SLの端部ER1は、開口部ESCH1の端部ET1aから第1方向Xに沿って距離d1cだけ離れている。
接続電極DEの端部ED1は、開口部ESCH2の端部ET2aから第1方向Xと逆方向に沿って距離d2cだけ離れている。
なお
図7及び
図8がトランジスタTr1の断面を示しているため、トランジスタTr1の構成要素である半導体層SC1を例にして説明しているが、トランジスタTr2の半導体層SC2も同様である。
【0040】
半導体層SC1及びSC2それぞれにおいて、チャネル形成領域RC1及びRC2の第1方向Xに沿った長さを、それぞれ、チャネル長L1及びL2とする。特に区別する必要がない場合は、単にチャネル長Lと呼ぶ。チャネル長Lは、開口部ESCH1の端部ET1a及び開口部ESCH2の端部ET2aとの距離に相当する。
【0041】
構成要素の端部のうち、第2方向Yに沿って並んで位置し、第1方向Xに沿って延伸する端部について述べる。半導体層SC1の端部のうち、半導体層SC2と隣接する端部を端部EO1d、端部EO1dと反対側の端部を端部EO1cとする。半導体層SC2の端部のうち、半導体層SC1と隣接する端部を端部EO2d、端部EO2dと反対側の端部を端部EO2cとする。端部EO1d及びEO2dは、第2方向Yにおいて間隔をおいて対向している。
【0042】
半導体層SC1及びSC2は、端部ET1c及びET1dとの間、並びに、端部ET2c及びET2dとの間に配置されている。すなわち、端部EO1c及びEO2cは、端部ET1c及びET1dとの間、並びに、端部ET2c及びET2dとの間に配置されている。
端部EO1cは、端部ET1c及びET2cとは一致していない。半導体層SC1の端部EO1cは、開口部ESCH1の端部ET1cと、第2方向Yに沿って距離g1aだけ離れている。半導体層SC1の端部EO1cは、開口部ESCH2の端部ET2cと、第2方向Yに沿って距離g2aだけ離れている。端部ET1c及びET2cが第1方向Xに延伸する同一線上に位置していれば、距離g1a及びg2aは一致する。その場合は、距離g1a及びg2aを距離gaと言い換えてもよい。
【0043】
端部EO2cは、端部ET1d及びET2dとは一致していない。半導体層SC2の端部EO2cは、開口部ESCH1の端部ET1dと、第2方向Yと逆方向に沿って距離g1bだけ離れている。半導体層SC2の端部EO2cは、開口部ESCH2の端部ET2dと、第2方向Yと逆方向に沿って距離g2bだけ離れている。端部ET1d及びET2dが第1方向Xに延伸する同一線上に位置していれば、距離g1b及びg2bは一致する。その場合は、距離g1b及びg2bを距離gbと言い換えてもよい。
【0044】
半導体層SC1及びSC2それぞれにおいて、チャネル形成領域RC1及びRC2の第2方向Yに沿った長さを、それぞれ、チャネル幅W1及びW2とする。特に区別する必要がない場合は、単にチャネル幅Wと呼ぶ。チャネル幅Wは、半導体層SCの第2方向Yに沿った長さに相当する。
開口部ESCH1の端部ET1c及び開口部ETSCH2の端部ET2cを、半導体層SC1の端部EO1cから離すことにより、トランジスタTr1のチャネル幅Wを維持することができる。同様に、開口部ESCH1の端部ET1d及び開口部ETSCH2の端部ET2dを、半導体層SC2の端部EO2cから離すことにより、トランジスタTr2のチャネル幅Wを維持することができる。
【0045】
図8に示す基材BA1は、樹脂、ガラス等の絶縁性の材料で形成されている。基材BA1と走査線GLとの間には、図示しない絶縁層(UCとする)が設けられていてもよい。
図7に示すように、絶縁層ES、信号線SL、接続電極DEを覆って、さらなる絶縁層PASが形成されている。
【0046】
絶縁層GI、並びに、絶縁層UC及び絶縁層PASが設けられる場合においてそれぞれの絶縁層は、酸化珪素等の酸化物や、窒化珪素等の窒化物が用いられた無機絶縁層である。絶縁層UC、絶縁層GI、絶縁層PASは、それぞれ単層に限定されず、複数の絶縁層が積層されていてもよい。例えば、絶縁層UCに酸化珪素と窒化珪素の積層膜、絶縁層GIに酸化珪素膜、絶縁層PASに酸化珪素と窒化珪素の積層膜を用いてもよい。
【0047】
絶縁層ESとしては、上述の酸化珪素、あるいは、酸化珪素及び窒化珪素の積層膜を用いてもよい。
ただし、例えば、絶縁層ESとして酸化珪素を用い、絶縁層GIは、窒化珪素及び酸化珪素の2層の積層を用いることが好ましい。または、例えば、絶縁層ESとして酸化珪素を用い、絶縁層GIは、絶縁層ESと同じ酸化珪素を含まないことが好ましい。同じ酸化珪素とは、珪素と酸素の比率が概略同じであることを意味する。すなわち、絶縁層ESと絶縁層GIにおける珪素と酸素の比率が異なることが好ましい。絶縁層ES及びGIがいずれも同じ酸化珪素である場合、開口部ESCHを設けるためのエッチングにおいて、下層の絶縁層GIまでエッチングされてしまう恐れがある。例えば、
図9に示すように、絶縁層GIが窒化珪素で形成される絶縁層GI1及び酸化珪素で形成される絶縁層GI2の2層の積層であるならば、上層の酸化珪素で形成される絶縁層GI2は絶縁層ESのエッチングの影響を受けるものの、下層の窒化珪素で形成される絶縁層GI1により過度なエッチングを防ぐことが可能である。
【0048】
図7及び
図9に示すように、絶縁層PAS上に、補助ゲート電極TUGが形成され、絶縁層PAS及び補助ゲート電極TUGを覆う有機樹脂層、具体的にはアクリル樹脂やポリイミド樹脂を有する絶縁層PLNが設けられている。絶縁層PLN上には、画素電極PEがトランジスタTr1及びTr2それぞれの一部を覆うように設けられている。
【0049】
走査線GL、信号線SL、接続電極DE、接続電極DTC、及び補助ゲート電極TUGは、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Cu(銅)、Cr(クロム)などの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成される。またこれら金属材料及び合金の単層構造であってもよいし、上述の金属材料を適宜積層した多層構造であってもよい。
【0050】
図10は、本実施形態の表示装置を説明する図である。
図10(A)は、本実施形態の表示装置DSPを示す回路図である。
図10(B)は、
図10(A)の表示装置DSPの1つの画素PXを示す回路図である。なお、
図10(A)及び(B)においては、全ての画素PX及び全ての配線について図示していない。
【0051】
表示装置DSPは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DA以外の非表示領域NDAと、を備えている。本実施形態において、非表示領域NDAは、額縁状に形成されている。
図10(A)に示すように、表示装置DSPは、基材BA1、表示領域DAにて基材BA1の上方にマトリクス状に配列された複数の画素PX、複数の走査線GLと、複数の信号線SLと、複数本の容量配線CWと、を備えている。なお走査線及び信号線をそれぞれゲート線及びソース線ともいう。
【0052】
本実施形態では、走査線GLの数をMとし、それぞれ走査線GL_1乃至GL_Mとする。ただし走査線において個々の区別が必要ない場合は、単に走査線GLと呼ぶ。また信号線SLの数をNとし、それぞれ信号線SL_1乃至SL_Nとする。ただし信号線SLにおいて個々の区別が必要ない場合は、単に信号線SLと呼ぶ。すなわち表示装置DSPは、M行N列の画素PXを有している。
【0053】
表示装置DSPは、走査線駆動回路GD1及びGD2(ゲートドライバともいう)、及び信号線駆動回路SD(ソースドライバともいう)を備えている。走査線駆動回路GD1及びGD2は後述する走査線GLを駆動する。走査線駆動回路GD1及びGD2は、非表示領域NDAに配置されている。信号線駆動回路SDは、信号線SLを駆動する。信号線駆動回路SDは、非表示領域NDAに配置されている。
【0054】
走査線GLは、走査線駆動回路GDに接続され、第1方向Xに延伸し、第2方向Yに並んで配置される。走査線GLは、第1方向Xに並んだ複数の画素PXに電気的に接続されている。信号線SLは、信号線駆動回路SDに接続され、第2方向Yに延伸し、第1方向Xに並んで配置される。信号線SLは、第2方向Yに並んだ複数の画素PXに電気的に接続されている。容量配線CWは、第1方向X又は第2方向Yに延出している。本実施形態において、容量配線CWは、第2方向Yに延出し、第2方向Yに並んだ複数の画素PXに電気的に接続されている。複数の容量配線CWは、非表示領域NDAにて束ねられ、駆動素子DRIに接続されている。
【0055】
走査線駆動回路GDは、走査線GLに制御信号SGを与え、走査線GLを駆動する。信号線駆動回路SDは、信号線SLに画像信号(例えば、映像信号)Vsigを与え、信号線SLを駆動する。駆動素子DRIは容量配線CWに定電圧Vpcを与え、容量配線CWは定電位に固定される。また、駆動素子DRIは、対向電極CEにコモン電圧Vcomを与え、対向電極CEは定電位(コモン電位)に固定される。本実施形態において、対向電極CEは、全ての画素PXで共用されるため共通電極と称され得る。本実施形態において、容量配線CWは、対向電極CEと同電位に設定されているが、対向電極CEと異なる電位に設定されていてもよい。走査線駆動回路GD、信号線駆動回路SD、及び駆動素子DRIは、複数の画素PXを駆動するための駆動部を構成している。
【0056】
図10(B)に示すように、各々の画素PXは、上述のトランジスタTr1及びTr2、並びに、第1容量C1及び第2容量C2と、を備えている。
トランジスタTr1及びTr2は、それぞれ、第1端子t1、第2端子t2、及び制御端子t3を有している。本実施形態では、制御端子t3はゲート電極として機能し、第1端子t1及び第2端子t2の一方がソース電極(信号線SL)として機能し、第1端子t1及び第2端子t2の他方が接続電極DEとして機能している。トランジスタTr1及びTr2は、電気的に信号線SLと画素電極PEとの間にて並列に接続されている。
【0057】
トランジスタTr1及びTr2の各々において、第1端子t1は信号線SLに接続され、第2端子t2は画素電極PEに接続され、制御端子t3は走査線GLに接続されている。これにより、トランジスタTr1及びTr2の各々は、走査線GLに与えられる制御信号SGにより、導通状態又は非導通状態に切替えられる。画像信号Vsigは、信号線SL及び導通状態のトランジスタTr1及びTr2を介して画素電極PEに印加される。
第1容量C1及び第2容量C2は、キャパシタである。第1容量C1は、画素電極PEと容量配線CWとの間に接続されている。第2容量C2は、画素電極PEと対向電極CEとの間に接続されている。
【0058】
図11は、表示装置DSPを示す断面図である。ここでは1つの画素PXに注目して説明している。
図11に示すように、基板SUB1は、基材BA1と、基材BA1の上に設けられた駆動素子層DVLと、駆動素子層DVLの上に設けられた画素電極PEと、を備えている。
なお駆動素子層DVLには、上述したトランジスタTr1及びTr2、走査線GL、信号線SL、各配線層、並びに各絶縁層等が含まれている。
【0059】
基板SUB2は、画素電極PEと対向した基材BA2と、基材BA2と画素電極PEとの間に位置し画素電極PEと対向した対向電極CEと、を備えている。対向電極CEは、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料で形成されている。
【0060】
本実施形態において、基板SUB1は半導体基板であり、基板SUB2は対向基板である。基材BA1及びBA2は、樹脂、ガラス等の絶縁性の材料で形成されている。本実施形態において、基材BA2は、画面側(観察側)に位置し、光透過性を有している。基材BA1は、画面の反対側に位置しているため、不透明であってもよいし、透明であってもよい。なお基材BA1及びBA2を、それぞれ、第1基材及び第2基材と呼ぶこともある。基板SUB1及びSUB2を、それぞれ、第1基板及び第2基板と呼ぶこともある。
【0061】
表示装置DSPの表示機能層DLは、画素電極PEと対向電極CEとの間に位置している。表示機能層DLには、画素電極PEと対向電極CEとの間に印加される電圧がかかる。本実施形態において、表示装置DSPは電気泳動表示装置であり、表示機能層DLは電気泳動層である。表示機能層DLは、X-Y平面内においてほとんど隙間なく配列された複数のマイクロカプセルMCPによって形成されている。
表示装置DSPの粘着層ALは、画素電極PEと表示機能層DLとの間に位置している。
【0062】
マイクロカプセルMCPは、例えば20μm~70μm程度の粒径を有する球状体である。図示した例では、スケールの関係上、1つの画素電極PEと対向電極CEとの間に、多くのマイクロカプセルMCPが配置されているが、1辺の長さが百~数百μm程度の矩形状、又は多角形状の画素PXにおいては、1個~10個程度のマイクロカプセルMCPが配置されている。
【0063】
マイクロカプセルMCPは、分散媒DPRと、複数の黒色粒子BPLと、複数の白色粒子WPLとを備えている。黒色粒子BPL及び白色粒子WPLは、電気泳動粒子と称される場合もある。マイクロカプセルMCPの外殻部(壁膜)OWLは、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂を用いて形成されている。分散媒DPR、マイクロカプセルMCP内において、黒色粒子BPLと、白色粒子WPLとを分散させる液体である。黒色粒子BPLは、例えば、アニリンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。白色粒子WPLは、例えば、二酸化チタン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。これらの顔料には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。また、黒色粒子BPL及び白色粒子WPLの代わりに、例えば赤色、緑色、青色、イエロー、シアン、マゼンタなどの顔料を用いてもよい。
【0064】
上記構成の表示機能層DLにおいて、画素PXを黒表示させる場合、画素電極PEが対向電極CEよりも相対的に高電位に保持される。すなわち、対向電極CEの電位を基準電位としたとき、画素電極PEが正極性に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子BPLが対向電極CEに引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子WPLが画素電極PEに引き寄せられる。その結果、対向電極CE側からこの画素PXを観察すると黒色が視認される。一方、画素PXを白表示させる場合には、対向電極CEの電位を基準電位としたとき、画素電極PEが負極性に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子WPLが対向電極CE側へ引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子BPLが画素電極PEに引き寄せられる。その結果、この画素PXを観察すると白色が視認される。
【0065】
なお、本実施形態において、画素電極PEは、粘着層ALに接している。但し、画素電極PEと粘着層ALとの間に絶縁性の保護層が介在し、保護層で画素電極PEが保護されていてもよい。
【0066】
図12は、表示装置の一部を示す拡大平面図である。
画素電極PEは、互いに電気的に接続された画素電極PE1及び画素電極PE2を有している。走査線GLは、画素電極PE1と交差している。画素電極PE2は、第2方向Yにおいて走査線GLに間隔を置いて位置している。
【0067】
ここでm行目の走査線GL_m及びn列目の信号線SL_n及びに接続されるトランジスタTr1及びTr2を、トランジスタTr_(m,n)とする(ただし、mは1以上M-1以下の自然数、nは1以上N-1以下の自然数である)。トランジスタTr_(m,n)を含み、走査線GL_m、走査線GL_m+1、信号線SL_n、信号線SL_n+1によって区画される画素PXを、画素PX(m,n)とする。
なお以下主にn列目の画素について述べるため、特に必要でなければ列を示す「n」は省略する。
【0068】
画素PX(m,n)の接続電極DTCは、走査線GL_mに重畳し、第1方向Xに信号線SL_n及び信号線SL_n+1に間隔を置いて位置している。
画素PX(m,n)の接続電極DEは、第2方向Yに延在している。画素PX(m,n)の接続電極DEの一端部は、走査線GL_mに重畳する領域において、信号線SL_nと接続電極DTCとの間に位置し、上述のように、各々の半導体層SCに重畳している。画素PX(m,n)の接続電極DEの他端部は、画素PX(m,n)の画素電極PE2に重畳している。
【0069】
容量電極OEは、半導体層SC、信号線SL、接続電極DTC、及び接続電極DEに間隔を置いて位置し、画素電極PE1及び画素電極PE2にそれぞれ重畳している。本実施形態において、容量電極OEの全体は、平面視にて、画素電極PE1の内側に位置し、かつ、画素電極PE2の内側に位置している。画素PX(m,n)及び1行前の画素PX(m-1,n)の容量電極OEは、走査線GL_mに対して互いに対向している。容量電極OEは、信号線SL及び接続電極DEと同層に形成されている。
【0070】
接続配線NWは、第2方向Yに延在し、走査線GLと交差し、信号線SLと交差しない。接続配線NWは、走査線GLを挟んで第2方向Yに隣り合う2個の容量電極OEを接続している。接続配線NWは補助ゲート電極TUGと同層に形成されている。本実施形態において、第2方向Yに並ぶ複数の接続配線NW及び複数の容量電極OEは、電気的に接続され、容量配線CWを形成している。
【0071】
接続電極TPCは、補助ゲート電極TUGに間隔を置いて位置し、接続電極DE及び画素電極PE1に重畳している。接続電極TPCは、絶縁層PLNに形成されたコンタクトホールCH5を介して画素電極PE1に電気的に接続されている。接続電極TPCは、絶縁層PASに形成されたコンタクトホールCH4を介して接続電極DEに電気的に接続されている。
なお接続電極DEは、絶縁層GI及び絶縁層ESに形成されたコンタクトホールCH3を介して、画素電極PE2に電気的に接続されている。これにより、接続電極DE、接続電極TPC、画素電極PE1、及び画素電極PE2が電気的に接続される。
【0072】
走査線GL及び画素電極PE2は、同一の材料で形成される。信号線SL、接続電極DE、接続電極DTC、及び容量電極OEは、同一の材料で形成される。補助ゲート電極TUG及び接続電極TPC、及び接続配線NWは、同一の材料で形成される。
また、接続配線NWは、信号線SLと同一の材料で形成されるものであってもよい。
【0073】
すなわち、走査線GL、画素電極PE2、信号線SL、接続電極DE、接続電極DTC、容量電極OE、接続配線NW、補助ゲート電極TUG、及び接続電極TPCは、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Cu(銅)、Cr(クロム)などの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成される。またこれら金属材料及び合金の単層構造であってもよいし、上述の金属材料を適宜積層した多層構造であってもよい。
【0074】
画素電極PE1は、透明導電層又は光反射層、あるいは光反射層と透明導電層との積層体で構成されている。
透明導電層は、対向電極CEと同様、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料で形成される。
【0075】
上述した実施形態の半導体基板は、上述した基板SUB1に限らず、各種の半導体基板に適用可能である。
また、上述した実施形態の表示装置DSPは、上述した電気泳動表示装置に限らず、各種の表示装置に適用可能である。例示すると、表示装置DSPは、液晶表示装置であってもよい。その場合、表示機能層DLは液晶層である。液晶層は、例えば、高分子分散液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)を利用していてもよい。
【0076】
本開示において、半導体層SC1の端部EO1aを第1端部、端部EO1bを第2端部とする。開口部ESCH1の端部ET1aを第3端部、端部ET1bを第4端部とする。開口部ESCH2の端部ET2aを第5端部、端部ET2bを第6端部とする。信号線SLの端部ER1を第7端部、接続電極DEの端部ED1を第8端部とする。
【0077】
半導体層SC1の端部EO1cを第9端部、端部EO1dを第10端部とする。半導体層SC2の端部EO2cを第11端部、端部EO2dを第12端部とする。開口部ESCH1の端部ET1cを第13端部、端部ET1dを第14端部とする。開口部ESCH2の端部ET2cを第15端部、端部ET2dを第16端部とする。
ただし、数字は便宜的に付したものであり、上記に限定されるものではない。
【0078】
端部EO1a(第1端部)、端部EO1b(第2端部)、端部ET1a(第3端部)、端部ET1b(第4端部)、端部ET2a(第5端部)、端部ET2b(第6端部)、端部ER1(第7端部)、及び端部ED1(第8端部)は、第1方向Xにおいて間隔をおいて配置されている。
端部EO1c(第9端部)、端部EO1d(第10端部)端部EO2c(第11端部)、端部EO2d(第12端部)、端部ET1c(第13端部)及び端部ET2c(第15端部)、並びに、端部ET1d(第14端部)及び端部ET2d(第16端部)、第2方向Yにおいて間隔をおいて配置されている。
【0079】
<構成例1>
図13は、実施形態における半導体基板の他の構成例を示す平面図である。
図13に示した構成例では、
図1に示した構成例と比較して、3つのトランジスタを有する、という点で異なっている。
図13に示す基板SUB1は、
図1で示すトランジスタTr1及びTr2との間に、トランジスタTr3を有している。トランジスタTr3は、第2方向Yに沿って、トランジスタTr1及びTr2との間に配置されている。トランジスタTr3の半導体層SC3は、トランジスタTr1の半導体層SC1及びトランジスタTr2の半導体層SC2との間に設けられている。
【0080】
並列に配置された半導体層SCが増えることにより、トランジスタのチャネル幅Wが増加するのと同じ効果が得られる。すなわち、トランジスタを流れる電流を増加させることが可能である。これによりトランジスタの高耐圧化や移動度向上の効果を得ることができる。
なお本構成例では、3つのトランジスタを設ける例について説明したが、これに限定されない。トランジスタの数は4つ以上でもよい。その場合は、トランジスタTr1及びTr2との間に、2つ以上のトランジスタ、つまり、半導体層SC1及びSC2との間に、2つ以上の半導体層を設ければよい。
本構成例の基板SUB1も、上述した実施形態と同様に、表示装置へ適用することが可能である。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0081】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
DSP…表示装置、ED1…端部、ED2…端部、EO1a…端部、EO1b…端部、EO1c…端部、EO1d…端部、EO2a…端部、EO2b…端部、EO2c…端部、EO2d…端部、EOa…端部、EOb…端部、ER1…端部、ER2…端部、ES…絶縁層、ESCH…開口部、ESCH1…開口部、ESCH2…開口部、ET1a…端部、ET1b…端部、ET1c…端部、ET1d…端部、ET2a…端部、ET2b…端部、ET2c…端部、ET2d…端部、ETSCH2…開口部、RC…チャネル形成領域、SC…半導体層、SL…信号線、SUB1…基板、SUB2…基板、Tr…トランジスタ。