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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0662 20160101AFI20240624BHJP
   H01M 8/2432 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20240624BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240624BHJP
【FI】
H01M8/0662
H01M8/2432
H01M8/2483
H01M8/04746
H01M8/0438
H01M8/04014
H01M8/0612
H01M8/0247
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020202421
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090193
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 陽祐
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163318(JP,A)
【文献】特開2017-142935(JP,A)
【文献】特開2016-085928(JP,A)
【文献】特開2015-153672(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115502(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位を備える燃料電池スタックであって、各前記発電単位における前記燃料極に面する燃料室にガスを供給する燃料極側ガス供給マニホールドと、各前記発電単位における前記燃料室からガスを排出する燃料極側ガス排出マニホールドと、各前記発電単位における前記空気極に面する空気室にガスを供給する空気極側ガス供給マニホールドと、各前記発電単位における前記空気室からガスを排出する空気極側ガス排出マニホールドと、が形成された、燃料電池スタックと、
ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記燃料電池スタックの前記燃料極側ガス排出マニホールドと前記燃焼器とを接続する燃料極側ガス排出流路と、
前記燃料電池スタックの前記空気極側ガス排出マニホールドと前記燃焼器とを接続する空気極側ガス排出流路と、
を備える燃料電池モジュールにおいて、
前記燃料極側ガス排出流路と前記空気極側ガス排出流路との少なくとも一方である特定ガス排出流路に、
前記特定ガス排出流路内のガスを冷却する冷却機構と、
前記冷却機構の下流側に配置され、前記特定ガス排出流路内のガスの圧力を調整する圧力制御機構と、
が設けられており、
前記冷却機構と前記圧力制御機構とは、少なくとも前記燃料極側ガス排出流路に設けられ、
前記燃料電池モジュールは、さらに、
原燃料ガスの脱硫を行う脱硫器と、
前記燃料極側ガス排出流路における前記冷却機構より下流側の位置と前記脱硫器とを接続する分岐流路と、
を備える
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
電解質層と前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位を備える燃料電池スタックであって、各前記発電単位における前記燃料極に面する燃料室にガスを供給する燃料極側ガス供給マニホールドと、各前記発電単位における前記燃料室からガスを排出する燃料極側ガス排出マニホールドと、各前記発電単位における前記空気極に面する空気室にガスを供給する空気極側ガス供給マニホールドと、各前記発電単位における前記空気室からガスを排出する空気極側ガス排出マニホールドと、が形成された、燃料電池スタックと、
ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記燃料電池スタックの前記燃料極側ガス排出マニホールドと前記燃焼器とを接続する燃料極側ガス排出流路と、
前記燃料電池スタックの前記空気極側ガス排出マニホールドと前記燃焼器とを接続する空気極側ガス排出流路と、
を備える燃料電池モジュールにおいて、
前記燃料極側ガス排出流路と前記空気極側ガス排出流路との少なくとも一方である特定ガス排出流路に、
前記特定ガス排出流路内のガスを冷却する冷却機構と、
前記冷却機構の下流側に配置され、前記特定ガス排出流路内のガスの圧力を調整する圧力制御機構と、
が設けられており、
前記燃料電池モジュールは、さらに、
水を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器において蒸発した水を利用して原燃料ガスを改質する改質器と、
を備え、
前記冷却機構は、前記蒸発器に供給される水と前記特定ガス排出流路内のガスとの間で熱交換を行う熱交換部を含む、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料電池モジュールにおいて、さらに、
前記燃料電池スタックの前記燃料極側ガス供給マニホールドに接続された燃料極側ガス供給流路と、
前記燃料電池スタックの前記空気極側ガス供給マニホールドに接続された空気極側ガス供給流路と、
少なくとも前記空気極側ガス供給流路と前記空気極側ガス供給マニホールドと各前記発電単位の前記空気室と前記空気極側ガス排出マニホールドと前記空気極側ガス排出流路とを含む空気極側ガス流路と、少なくとも前記燃料極側ガス供給流路と前記燃料極側ガス供給マニホールドと各前記発電単位の前記燃料室と前記燃料極側ガス排出マニホールドと前記燃料極側ガス排出流路とを含む燃料極側ガス流路と、の少なくとも一方の圧力を測定する圧力測定部と、
前記圧力測定部による圧力測定結果に基づき、前記圧力制御機構を制御する制御部と、
を備える、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記冷却機構は、前記空気極側ガス供給マニホールドに供給するためのガスと、前記燃料極側ガス供給マニホールドに供給するためのガスと、の少なくとも一方と前記特定ガス排出流路内のガスとの間で熱交換を行う熱交換部を含む、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
各前記発電単位は、さらに、貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分が前記単セルの周縁部に接合され、前記空気極に面する空気室と前記燃料極に面する燃料室とを区画する第1のセパレータを有する、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
各前記発電単位は、さらに、
前記単セルに電気的に接続された導電性のインターコネクタと、
貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分が前記インターコネクタの周縁部と接合され、前記空気室と前記燃料室との一方と、他の前記発電単位における前記空気室と前記燃料室との他方と、を区画する第2のセパレータと、
を有する、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という。)が知られている。SOFCは、例えば、燃料電池スタックと燃焼器とを備える燃料電池モジュールの形態で利用される。
【0003】
燃料電池スタックは、複数の発電単位を備える構造体である。各発電単位は、電解質層と、電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という。)を有する。また、燃料電池スタックには、各発電単位における燃料極に面する燃料室にガス(燃料ガス)を供給する燃料極側ガス供給マニホールドと、各発電単位における燃料室からガス(燃料オフガス)を排出する燃料極側ガス排出マニホールドと、各発電単位における空気極に面する空気室にガス(酸化剤ガス)を供給する空気極側ガス供給マニホールドと、各発電単位における空気室からガス(酸化剤オフガス)を排出する空気極側ガス排出マニホールドとが形成されている。
【0004】
燃焼器は、燃料極側ガス排出流路を介して、燃料電池スタックの燃料極側ガス排出マニホールドと接続されており、かつ、空気極側ガス排出流路を介して、燃料電池スタックの空気極側ガス排出マニホールドと接続されている。各マニホールドを介して燃料電池スタックから排出されたガス(燃料オフガスおよび酸化剤オフガス)は、燃焼器に導入され、燃焼器内で混合されて燃焼される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-91683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃料電池モジュールの運転の際には、例えば、燃料電池スタック内部の温度制御のために、空気極側ガス供給マニホールドに供給されるガスの流量や燃料極側ガス供給マニホールドに供給されるガスの流量が増減される。このようなガス流量の増減に伴い、燃料電池スタックの各発電単位において空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が大きくなると、各発電単位において空気極側ガス流路または燃料極側ガス流路を構成する部材が変形し、空気極側ガス流路または燃料極側ガス流路の圧損が大きくなってガス分配性が悪化し、単セルの性能低下や劣化、破損を引き起こすおそれがある。なお、このような課題は、SOFCに限らず、他のタイプの燃料電池の燃料電池モジュールにも共通の課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される燃料電池モジュールは、燃料電池スタックを備える。燃料電池スタックは、電解質層と前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位を備える。燃料電池スタックには、各前記発電単位における前記燃料極に面する燃料室にガスを供給する燃料極側ガス供給マニホールドと、各前記発電単位における前記燃料室からガスを排出する燃料極側ガス排出マニホールドと、各前記発電単位における前記空気極に面する空気室にガスを供給する空気極側ガス供給マニホールドと、各前記発電単位における前記空気室からガスを排出する空気極側ガス排出マニホールドとが形成されている。また、燃料電池モジュールは、ガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃料電池スタックの前記燃料極側ガス排出マニホールドと前記燃焼器とを接続する燃料極側ガス排出流路と、前記燃料電池スタックの前記空気極側ガス排出マニホールドと前記燃焼器とを接続する空気極側ガス排出流路とを備える。前記燃料極側ガス排出流路と前記空気極側ガス排出流路との少なくとも一方である特定ガス排出流路に、前記特定ガス排出流路内のガスを冷却する冷却機構と、前記冷却機構の下流側に配置され、前記特定ガス排出流路内のガスの圧力を調整する圧力制御機構と、が設けられている。
【0010】
このように、本燃料電池モジュールでは、燃料極側ガス排出流路と空気極側ガス排出流路との少なくとも一方である特定ガス排出流路に、特定ガス排出流路内のガスを冷却する冷却機構が設けられているため、特定ガス排出流路における冷却機構の下流側に、特定ガス排出流路内のガスの圧力を調整するための圧力制御機構として、特別な耐熱性能を有さない汎用的な圧力制御機構を設けることができる。また、本燃料電池モジュールでは、圧力制御機構によって特定ガス排出流路内のガスの圧力を調整することにより、各発電単位における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑制することができる。従って、本燃料電池モジュールによれば、空気極側ガス流路と燃料極側ガス流路との圧力差に起因して各発電単位における空気極側ガス流路または燃料極側ガス流路を構成する部材が変形し、各発電単位における空気極側ガス流路または燃料極側ガス流路の圧損が大きくなってガス分配性が悪化することを抑制することができ、ひいては、ガス分配性悪化に伴う単セルの性能低下や劣化、破損の発生を抑制することができる。
【0011】
(2)上記燃料電池モジュールにおいて、さらに、前記燃料電池スタックの前記燃料極側ガス供給マニホールドに接続された燃料極側ガス供給流路と、前記燃料電池スタックの前記空気極側ガス供給マニホールドに接続された空気極側ガス供給流路と、少なくとも前記空気極側ガス供給流路と前記空気極側ガス供給マニホールドと各前記発電単位の前記空気室と前記空気極側ガス排出マニホールドと前記空気極側ガス排出流路とを含む空気極側ガス流路と、少なくとも前記燃料極側ガス供給流路と前記燃料極側ガス供給マニホールドと各前記発電単位の前記燃料室と前記燃料極側ガス排出マニホールドと前記燃料極側ガス排出流路とを含む燃料極側ガス流路と、の少なくとも一方の圧力を測定する圧力測定部と、前記圧力測定部による圧力測定結果に基づき、前記圧力制御機構を制御する制御部と、を備える構成としてもよい。本燃料電池モジュールによれば、圧力制御機構を用いて各発電単位における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを効果的に抑制することができ、ガス分配性悪化に伴う単セルの性能低下や劣化、破損の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
(3)上記燃料電池モジュールにおいて、前記冷却機構と前記圧力制御機構とは、少なくとも前記燃料極側ガス排出流路に設けられ、前記燃料電池モジュールは、さらに、原燃料ガスの脱硫を行う脱硫器と、前記燃料極側ガス排出流路における前記冷却機構より下流側の位置と前記脱硫器とを接続する分岐流路と、を備える構成としてもよい。本燃料電池モジュールによれば、燃料電池スタックから排出されたガスを原燃料ガスの脱硫のために利用することができ、システム効率を向上させることができる。
【0013】
(4)上記燃料電池モジュールにおいて、前記冷却機構は、前記空気極側ガス供給マニホールドに供給するためのガスと、前記燃料極側ガス供給マニホールドに供給するためのガスと、の少なくとも一方と前記特定ガス排出流路内のガスとの間で熱交換を行う熱交換部を含む構成としてもよい。本燃料電池モジュールでは、熱交換部において、空気極側ガス供給マニホールドに供給するためのガスと燃料極側ガス供給マニホールドに供給するためのガスとの少なくとも一方が、特定ガス排出流路内のガスの熱を奪うことによって、特定ガス排出流路内のガスが冷却される。従って、本燃料電池モジュールによれば、冷却機構による特定ガス排出流路内のガスの冷却を実現しつつ、冷却機構を設けたことに伴う燃料電池モジュール全体としての熱効率の低下を抑制することができる。
【0014】
(5)上記燃料電池モジュールにおいて、さらに、水を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器において蒸発した水を利用して原燃料ガスを改質する改質器と、を備え、前記冷却機構は、前記蒸発器に供給される水と前記特定ガス排出流路内のガスとの間で熱交換を行う熱交換部を含む構成としてもよい。本燃料電池モジュールでは、熱交換部において、蒸発器に供給される水が、特定ガス排出流路内のガスの熱を奪うことによって、特定ガス排出流路内のガスが冷却される。従って、本燃料電池モジュールによれば、冷却機構による特定ガス排出流路内のガスの冷却を実現しつつ、冷却機構を設けたことに伴う燃料電池モジュール全体としての熱効率の低下を抑制することができる。
【0015】
(6)上記燃料電池モジュールにおいて、各前記発電単位は、さらに、貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分が前記単セルの周縁部に接合され、前記空気極に面する空気室と前記燃料極に面する燃料室とを区画する第1のセパレータを有する構成としてもよい。本燃料電池モジュールでは、単セルに接合された第1のセパレータの変形に伴うガス分配性の悪化が発生しやすい構成が採用されているが、圧力制御機構を用いて各発電単位における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑制できるため、該圧力差に起因する第1のセパレータの変形を抑制することができ、ガス分配性悪化に伴う単セルの性能低下や劣化、破損の発生を抑制することができる。
【0016】
(7)上記燃料電池モジュールにおいて、各前記発電単位は、さらに、前記単セルに電気的に接続された導電性のインターコネクタと、貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分が前記インターコネクタの周縁部と接合され、前記空気室と前記燃料室との一方と、他の前記発電単位における前記空気室と前記燃料室との他方と、を区画する第2のセパレータと、を有する構成としてもよい。本燃料電池モジュールでは、インターコネクタに接合された第2のセパレータの変形に伴うガス分配性の悪化が発生しやすい構成が採用されているが、圧力制御機構を用いて各発電単位における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑制できるため、該圧力差に起因する第2のセパレータの変形を抑制することができ、ガス分配性悪化に伴う単セルの性能低下や劣化、破損の発生を抑制することができる。
【0017】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池モジュールおよびその製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における燃料電池モジュール10の構成を模式的に示す説明図
図2】第1実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図
図3図2のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図4図2のIV-IVの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図
図5図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
図6図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図
図7】第2実施形態における燃料電池モジュール10aの構成を模式的に示す説明図
図8】第3実施形態における燃料電池モジュール10bの構成を模式的に示す説明図
図9】第4実施形態における燃料電池モジュール10cの構成を模式的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.実施形態:
A-1.燃料電池モジュール10の構成:
図1は、第1実施形態における燃料電池モジュール10の構成を模式的に示す説明図である。燃料電池モジュール10は、燃料電池スタック100と、その他の装置とを備える。以下では、まず燃料電池スタック100の構成について説明し、その後、燃料電池モジュール10を構成する他の装置の構成について説明する。
【0020】
A-2.燃料電池スタック100の構成:
図2は、第1実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図3は、図2のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図4は、図2のIV-IVの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0021】
燃料電池スタック100は、複数の発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。複数の発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、複数の発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。
【0022】
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)の周縁部には、上下方向に貫通する複数の孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
【0023】
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図3および図4に示すように、ナット24と各エンドプレート104,106(または後述するガス通路部材27)との間には、絶縁シート26が介在している。
【0024】
各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図2および図3に示すように、1つのボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOG(例えば空気)が導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の空気室166に供給するガス流路である空気極側ガス供給マニホールド161として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する空気極側ガス排出マニホールド162として機能する。また、図2および図4に示すように、他の1つのボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFG(例えば水素リッチなガス)が導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の燃料室176に供給する燃料極側ガス供給マニホールド171として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料極側ガス排出マニホールド172として機能する。
【0025】
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の本体部28の孔は、各ガス通路部材27の設置位置に設けられた各マニホールド161,162,171,172に連通している。
【0026】
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
【0027】
(発電単位102の構成)
図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図6は、図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
【0028】
図5および図6に示すように、発電単位102は、単セル110と、単セル用セパレータ120と、空気極側フレーム部材130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム部材140と、燃料極側集電体144と、一対のインターコネクタ150と、一対のIC用セパレータ180とを備えている。単セル用セパレータ120、IC用セパレータ180、空気極側フレーム部材130、燃料極側フレーム部材140の周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
【0029】
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。また、IC用セパレータ180は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔181が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。IC用セパレータ180における貫通孔181を取り囲む部分は、例えば溶接により、インターコネクタ150の周縁部と接合されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保する。また、インターコネクタ150およびIC用セパレータ180は、空気室166と燃料室176との一方と、他の発電単位102における空気室166と燃料室176との他方とを区画する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、インターコネクタ150およびIC用セパレータ180の1つの組合せは、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150およびIC用セパレータ180の組合せは、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150およびIC用セパレータ180の組合せと同一部材である。IC用セパレータ180は、特許請求の範囲における第2のセパレータに相当する。
【0030】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、緻密な層である。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。
【0031】
単セル用セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。単セル用セパレータ120における貫通孔121を取り囲む部分は、例えばロウ材を含む接合部124により、単セル110(電解質層112)の周縁部と接合されている。単セル用セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画される。単セル用セパレータ120は、特許請求の範囲における第1のセパレータに相当する。
【0032】
空気極側フレーム部材130は、中央付近に略矩形の空気室用孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えばマイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム部材130によって、発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180間が電気的に絶縁され、その結果、一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。空気極側フレーム部材130には、空気極側ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室166と空気極側ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。
【0033】
燃料極側フレーム部材140は、中央付近に略矩形の燃料室用孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。燃料極側フレーム部材140には、燃料極側ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料極側ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
【0034】
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えばステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、空気極114とエンドプレート104とを電気的に接続する(図3および図4参照)。
【0035】
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150の表面に接触しており、その結果、燃料極側集電体144は、燃料極116とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における燃料極側集電体144は、燃料極116とエンドプレート106とを電気的に接続する(図3および図4参照)。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサ149が配置されている。
【0036】
A-3.燃料電池モジュール10における燃料電池スタック100以外の装置の構成:
次に、燃料電池モジュール10における燃料電池スタック100以外の装置の構成について説明する。図1に示すように、燃料電池モジュール10は、蒸発器310および改質・加熱器330を含む補助器300と、各装置間を結ぶ各種流路とを備える。補助器300は、燃料電池スタック100と共に、断熱材350によって囲まれた断熱空間351に収容されている。なお、図1では、便宜的に、燃料極側のガス(原燃料ガスRFG、燃料ガスFGおよび燃料オフガスFOGを含む)の流れを一点鎖線で示し、空気極側のガス(酸化剤ガスOGおよび酸化剤オフガスOOGを含む)の流れを実線で示し、排ガスEGの流れを破線で示し、水の流れを二点鎖線で示している。
【0037】
蒸発器310は、内部に空間が形成された箱形部材であり、例えば金属により形成されている。蒸発器310は、純水PWを蒸発させて水蒸気を生成するための装置である。蒸発器310には、純水PWを導入するための純水導入流路251が接続されている。純水導入流路251は、主として配管により構成されており、純水導入流路251上には、イオン交換樹脂252と、浄水タンク・フロート254と、流量制御機構256とが設けられている。給水源から純水導入流路251に供給された水WAは、イオン交換樹脂252においてカルシウムイオン等の除去が行われ、浄水タンク・フロート254において浄化・貯留され、流量制御機構256により制御された流量で、純水PWとして蒸発器310に導入される。
【0038】
また、蒸発器310には、原燃料ガスRFGを導入するための原燃料ガス導入流路261が接続されている。原燃料ガス導入流路261は、主として配管により構成されており、原燃料ガス導入流路261上には、流量制御機構262と、水素添加脱硫器264とが設けられている。ガス源から原燃料ガス導入流路261に供給された原燃料ガスRFGは、水素添加脱硫器264において硫黄成分を除去された状態で、流量制御機構262により制御された流量で蒸発器310に導入される。
【0039】
また、蒸発器310には、改質・加熱器330のハウジング335(後述)から蒸発器310へ排ガスEGを送り出すための排ガス中継流路226と、蒸発器310から改質・加熱器330の改質器331(後述)へ混合ガスを送り出すための混合ガス流路228と、蒸発器310から排ガスEGを排出するための排ガス排出流路223とが接続されている。これらの流路は、主として配管により構成されている。
【0040】
改質・加熱器330は、改質器331と、燃焼器333と、ハウジング335とを備える。ハウジング335は、例えば金属により形成された密閉型の容器であり、改質器331および燃焼器333を収容している。ハウジング335は、内壁336と外壁337とを有する二重壁構造に構成されており、内壁336と外壁337との間に形成された空気流路338には、伝熱用フィン339が配置されている。なお、図1では、便宜的に、伝熱用フィン339の一部の図示を省略している。ハウジング335には、酸化剤ガスOG(空気)を導入するための空気導入流路271が接続されている。空気導入流路271は、主として配管により構成されており、空気導入流路271上には流量制御機構272が設けられている。空気導入流路271に供給された酸化剤ガスOGは、流量制御機構272により制御された流量でハウジング335の空気流路338に導入される。また、ハウジング335には、燃料電池スタック100の空気極側ガス供給マニホールド161に向けて酸化剤ガスOGを送り出すための空気極側ガス供給流路61が接続されている。空気極側ガス供給流路61は、主として配管により構成されている。
【0041】
改質器331は、内部に空間が形成された箱形部材であり、例えば金属により形成されている。改質器331は、原燃料ガスRFGを改質して燃料ガスFGを生成するための装置である。改質器331内には、改質反応を促進させる触媒が配置されていてもよい。上述したように、改質器331には、蒸発器310から改質器331へ混合ガスを送り出すための混合ガス流路228が接続されている。また、改質器331には、燃料電池スタック100の燃料極側ガス供給マニホールド171に向けて燃料ガスFGを送り出すための燃料極側ガス供給流路71が接続されている。燃料極側ガス供給流路71は、主として配管により構成されている。
【0042】
燃焼器333は、内部に空間が形成された箱形部材であり、例えば金属により形成されている。燃焼器333は、酸化剤オフガスOOGおよび燃料オフガスFOGを燃焼させるための装置である。燃焼器333内には、酸化剤オフガスOOGおよび燃料オフガスFOGの燃焼を促進させる触媒が配置されていてもよい。燃焼器333には、燃料電池スタック100の空気極側ガス排出マニホールド162から酸化剤オフガスOOGが送り出される空気極側ガス排出流路240と、燃料電池スタック100の燃料極側ガス排出マニホールド172から燃料オフガスFOGが送り出される燃料極側ガス排出流路230とが接続されている。これらの流路は、主として配管により構成されている。燃料極側ガス排出流路230の構成については、後に詳述する。
【0043】
A-4.燃料電池モジュール10の動作:
次に、燃料電池モジュール10の動作について説明する。図1に示すように、空気導入流路271を介して改質・加熱器330のハウジング335に形成された空気流路338内に導入された酸化剤ガスOGは、燃焼器333によって生成された燃焼熱(排ガスEG)によって加熱されつつ空気流路338内を流れ、空気極側ガス供給流路61を介して燃料電池スタック100の空気極側ガス供給マニホールド161に供給される。図3および図5に示すように、空気極側ガス供給マニホールド161に供給された酸化剤ガスOGは、空気極側ガス供給マニホールド161から、各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して空気室166に供給される。また、図1に示すように、原燃料ガス導入流路261を介して蒸発器310に原燃料ガスRFGが供給されると共に、純水導入流路251を介して蒸発器310に純水PWが供給されると、蒸発器310において、排ガス中継流路226を介して導入された排ガスEGの熱を利用して純水PWを蒸発させることにより水蒸気が生成されると共に、この水蒸気が原燃料ガスRFGと混合される。水蒸気と混合された原燃料ガスRFGは、混合ガス流路228を介して蒸発器310から改質器331に導入され、改質器331において水蒸気改質され、その結果、水素リッチな燃料ガスFGが生成される。生成された燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給流路71を介して燃料電池スタック100の燃料極側ガス供給マニホールド171に供給される。図4および図6に示すように、燃料極側ガス供給マニホールド171に供給された燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給マニホールド171から、各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して燃料室176に供給される。
【0044】
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、各発電単位102の単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われる。
【0045】
図1図3および図5に示すように、各発電単位102の空気室166から酸化剤ガス排出連通流路133を介して空気極側ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、空気極側ガス排出流路240を介して燃焼器333に導入される。また、図1図4および図6に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料ガス排出連通流路143を介して燃料極側ガス排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料極側ガス排出流路230を介して燃焼器333に導入される。燃焼器333に導入された酸化剤オフガスOOGおよび燃料オフガスFOGは、燃焼器333において混合されて燃焼され、その後、排ガスEGとして排ガス中継流路226を介して蒸発器310へと排出される。なお、燃焼器333において発生する熱により、改質器331における改質反応が促進されると共に、燃料電池スタック100が加熱される。蒸発器310に導入された排ガスEGは、排ガス排出流路223を介して貯湯ユニット290に排出され、給水源から給水用流路259を介して貯湯ユニット290に供給された水WAの加熱に利用される。
【0046】
A-5.燃料極側ガス排出流路230の詳細構成:
次に、燃料極側ガス排出流路230の詳細構成について説明する。上述したように、燃料極側ガス排出流路230は、燃料電池スタック100の燃料極側ガス排出マニホールド172と燃焼器333とを接続する流路である。図1に示すように、燃料極側ガス排出流路230は、ドレイナー234と、圧力制御機構236と、燃料電池スタック100の燃料極側ガス排出マニホールド172とドレイナー234とを接続する第1配管231と、ドレイナー234と圧力制御機構236とを接続する第2配管235と、圧力制御機構236と燃焼器333とを接続する第3配管237とを有している。なお、第3配管237上には、ブロワBLが設けられている。
【0047】
ここで、本実施形態では、燃料極側ガス排出流路230の一部が、断熱材350によって囲まれた断熱空間351の外部に配置されている。より具体的には、第1配管231における下流側の一部と、ドレイナー234と、第2配管235と、圧力制御機構236と、第3配管237における上流側の一部とが、断熱空間351の外部に配置されている。上述した第1配管231における下流側の一部は、断熱空間351の外部に配置されているため、燃料極側ガス排出流路230内のガスを冷却する冷却機構232として機能する。すなわち、燃料電池スタック100の燃料極側ガス排出マニホールド172から排出された比較的高温の(例えば、600℃~700℃程度の)燃料オフガスFOGは、燃料極側ガス排出流路230を構成する第1配管231に導入され、第1配管231における断熱空間351の外部に配置された部分(冷却機構232)において、所定の温度以下(例えば100℃以下)に冷却される。冷却機構232において冷却されることにより発生した凝縮水は、ドレイナー234において除去される。なお、ドレイナー234において除去された凝縮水は、凝縮水回収流路258を介して、純水導入流路251上のイオン交換樹脂252に導入される。燃料極側ガス排出流路230は、特許請求の範囲における特定ガス排出流路に相当する。
【0048】
圧力制御機構236は、圧力制御弁により構成され、燃料極側ガス排出流路230内の燃料オフガスFOGの圧力を調整する装置である。圧力制御機構236は、冷却機構232およびドレイナー234の下流側に位置している。また、燃料電池モジュール10は、燃料極側ガス流路の圧力を測定する燃料極側圧力計238と、空気極側ガス流路の圧力を測定する空気極側圧力計248とを備える。ここで、燃料極側ガス流路は、燃料極側においてガスが流れる流路を意味し、少なくとも燃料極側ガス供給流路71と燃料極側ガス供給マニホールド171と各発電単位102の燃料室176と燃料極側ガス排出マニホールド172と燃料極側ガス排出流路230とを含む流路である。なお、本実施形態では、燃料極側ガス流路は、原燃料ガス導入流路261における流量制御機構262より下流側から、混合ガス流路228、燃料極側ガス供給流路71および各発電単位102の燃料室176を経て燃焼器333まで至るガス流路の全体である。また、空気極側ガス流路は、空気極側においてガスが流れる流路を意味し、少なくとも空気極側ガス供給流路61と空気極側ガス供給マニホールド161と各発電単位102の空気室166と空気極側ガス排出マニホールド162と空気極側ガス排出流路240とを含む流路である。なお、本実施形態では、空気極側ガス流路は、空気導入流路271における流量制御機構272より下流側から、空気流路338、空気極側ガス供給流路61および各発電単位102の空気室166を経て燃焼器333まで至るガス流路の全体である。本実施形態では、燃料極側圧力計238は、燃料極側ガス流路の内、燃料極側ガス排出流路230に設けられており、空気極側圧力計248は、空気極側ガス流路の内、空気極側ガス排出流路240に設けられている。燃料極側圧力計238および空気極側圧力計248は、特許請求の範囲における圧力測定部に相当する。
【0049】
また、燃料電池モジュール10は、燃料極側圧力計238および空気極側圧力計248による圧力測定結果に基づき、圧力制御機構236を制御する制御部280を備える。制御部280は、燃料極側ガス流路の圧力と空気極側ガス流路の圧力との差が過大とならないように、圧力制御機構236を制御する。例えば、燃料電池スタック100の温度を下げるために、空気極側ガス供給マニホールド161に供給されるガスの流量が増やされると、空気極側ガス流路の圧力が高くなる。その結果、燃料極側ガス流路の圧力と空気極側ガス流路の圧力との差が過大となることが予測される場合には、制御部280は、圧力制御機構236を構成する弁を閉じる方向に動作させることにより、燃料極側ガス流路の圧力を高くして、燃料極側ガス流路の圧力と空気極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑止する。反対に、燃料電池スタック100の温度を上げるために、空気極側ガス供給マニホールド161に供給されるガスの流量が減らされると、空気極側ガス流路の圧力が低くなる。その結果、燃料極側ガス流路の圧力と空気極側ガス流路の圧力との差が過大となることが予測される場合には、制御部280は、圧力制御機構236を構成する弁を開く方向に動作させることにより、燃料極側ガス流路の圧力を低くして、燃料極側ガス流路の圧力と空気極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑止する。
【0050】
なお、本実施形態では、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232より下流側(本実施形態では、圧力制御機構236より下流側)の位置と、水素添加脱硫器264とを接続する分岐流路242が設けられている。分岐流路242上には、ブロワBLが設けられている。この分岐流路242を介して燃料オフガスFOGが水素添加脱硫器264に供給され、水素添加脱硫器264における脱硫処理に利用される。なお、本実施形態では、分岐流路242上にブロワBLが設けられているため、水素添加脱硫器264に流す燃料オフガスと燃焼器333に流す燃料オフガスとの分配を制御することができる。
【0051】
A-6.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池モジュール10は、燃料電池スタック100を備える。燃料電池スタック100は、電解質層112と電解質層112を挟んで互いに対向する空気極114および燃料極116とを含む単セル110をそれぞれ有する複数の発電単位102を備える。燃料電池スタック100には、各発電単位102における燃料室176にガスを供給する燃料極側ガス供給マニホールド171と、各発電単位102における燃料室176からガスを排出する燃料極側ガス排出マニホールド172と、各発電単位102における空気室166にガスを供給する空気極側ガス供給マニホールド161と、各発電単位102における空気室166からガスを排出する空気極側ガス排出マニホールド162とが形成されている。また、燃料電池モジュール10は、ガスを燃焼させる燃焼器333と、燃料電池スタック100の燃料極側ガス排出マニホールド172と燃焼器333とを接続する燃料極側ガス排出流路230と、燃料電池スタック100の空気極側ガス排出マニホールド162と燃焼器333とを接続する空気極側ガス排出流路240とを備える。また、燃料極側ガス排出流路230には、燃料極側ガス排出流路230内のガスを冷却する冷却機構232と、冷却機構232の下流側に配置され、燃料極側ガス排出流路230内のガスの圧力を調整する圧力制御機構236とが設けられている。
【0052】
このように、本実施形態の燃料電池モジュール10では、燃料極側ガス排出流路230に、燃料極側ガス排出流路230内のガスを冷却する冷却機構232が設けられているため、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232の下流側に、燃料極側ガス排出流路230内のガスの圧力を調整するための圧力制御機構236として、特別な耐熱性能を有さない汎用的な圧力制御機構236を設けることができる。また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、圧力制御機構236によって燃料極側ガス排出流路230内のガスの圧力を調整することにより、各発電単位102における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑制することができる。従って、本実施形態の燃料電池モジュール10によれば、空気極側ガス流路と燃料極側ガス流路との圧力差に起因して各発電単位102における空気極側ガス流路または燃料極側ガス流路を構成する部材が変形し、各発電単位102における空気極側ガス流路または燃料極側ガス流路の圧損が大きくなってガス分配性が悪化することを抑制することができ、ひいては、ガス分配性悪化に伴う単セル110の性能低下や劣化、破損の発生を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10は、さらに、燃料電池スタック100の燃料極側ガス供給マニホールド171に接続された燃料極側ガス供給流路71と、燃料電池スタック100の空気極側ガス供給マニホールド161に接続された空気極側ガス供給流路61とを備える。また、燃料電池モジュール10は、少なくとも空気極側ガス供給流路61と空気極側ガス供給マニホールド161と各発電単位102の空気室166と空気極側ガス排出マニホールド162と空気極側ガス排出流路240とを含む空気極側ガス流路の圧力を測定する空気極側圧力計248と、少なくとも燃料極側ガス供給流路71と燃料極側ガス供給マニホールド171と各発電単位102の燃料室176と燃料極側ガス排出マニホールド172と燃料極側ガス排出流路230とを含む燃料極側ガス流路の圧力を測定する燃料極側圧力計238と、空気極側圧力計248および燃料極側圧力計238による圧力測定結果に基づき、圧力制御機構236を制御する制御部280とを備える。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10によれば、圧力制御機構236を用いて各発電単位102における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを効果的に抑制することができ、ガス分配性悪化に伴う単セル110の性能低下や劣化、破損の発生を効果的に抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10は、さらに、原燃料ガスRFGの脱硫を行う水素添加脱硫器264と、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232より下流側の位置と水素添加脱硫器264とを接続する分岐流路242とを備える。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10によれば、燃料電池スタック100から排出された燃料オフガスFOGを原燃料ガスRFGの脱硫のために利用することができ、システム効率を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、各発電単位102は、さらに、単セル用セパレータ120を有する。単セル用セパレータ120には、貫通孔121が形成されており、単セル用セパレータ120における貫通孔121を取り囲む部分が単セル110の周縁部に接合されており、その結果、単セル用セパレータ120は、空気室166と燃料室176とを区画している。本実施形態の燃料電池モジュール10では、単セル110に接合された単セル用セパレータ120の変形に伴うガス分配性の悪化が発生しやすい構成であるが、圧力制御機構236を用いて各発電単位102における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑制できるため、該圧力差に起因する単セル用セパレータ120の変形を抑制することができ、ガス分配性悪化に伴う単セル110の性能低下や劣化、破損の発生を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、各発電単位102は、さらに、IC用セパレータ180を有する。IC用セパレータ180には、貫通孔181が形成されており、IC用セパレータ180における貫通孔181を取り囲む部分がインターコネクタ150の周縁部に接合されており、その結果、IC用セパレータ180は、空気室166と燃料室176との一方と、他の発電単位102における空気室166と燃料室176との他方とを区画している。本実施形態の燃料電池モジュール10では、インターコネクタ150に接合されたIC用セパレータ180の変形に伴うガス分配性の悪化が発生しやすい構成であるが、圧力制御機構236を用いて各発電単位102における空気極側ガス流路の圧力と燃料極側ガス流路の圧力との差が過大となることを抑制できるため、該圧力差に起因するIC用セパレータ180の変形を抑制することができ、ガス分配性悪化に伴う単セル110の性能低下や劣化、破損の発生を抑制することができる。
【0057】
なお、燃料極側ガス排出流路230の冷却機構232による燃料オフガスFOGの冷却は、燃料オフガスFOGに含まれる水蒸気が凝縮する温度以下まで冷却することが好ましい。このようにすれば、燃料オフガスFOGに含まれる水分を除去することができ、燃料オフガスFOGの燃料濃度が高くなって燃焼器333における燃焼性能が良好となる。
【0058】
また、燃料極側ガス排出流路230を構成する第3配管237の内の断熱空間351内に位置する部分の長さは、長い方が好ましい。該部分の長さが長いと、断熱空間351内の熱(例えば、燃料電池スタック100から放射される熱)によって該部分を流れる燃料オフガスFOGの温度を上昇させることができるため、燃焼器333に導入される燃料オフガスFOGの温度低下に伴う効率の低下を抑制することができる。例えば、燃料極側ガス排出流路230を構成する第3配管237の内の断熱空間351内に位置する部分の長さを、第3配管237の内の断熱空間351外に位置する部分と第2配管235の長さとの合計長さより長くしてもよい。また、燃料極側ガス排出流路230を構成する第3配管237の内の断熱空間351内に位置する部分は、第1配管231の内の断熱空間351内に位置する部分に近接して並行するように配置されることが好ましい。第1配管231の内の断熱空間351内に位置する部分には、比較的高温の燃料オフガスFOGが流れている。そのため、第3配管237の内の断熱空間351内に位置する部分を第1配管231の内の断熱空間351内に位置する部分に近接して並行するように配置すると、第1配管231の内の断熱空間351内に位置する部分を流れる燃料オフガスFOGの熱によって第3配管237の内の断熱空間351内に位置する部分を流れる燃料オフガスFOGの温度を上昇させることができ、燃焼器333に導入される燃料オフガスFOGの温度低下に伴う効率の低下を抑制することができる。あるいは、燃料極側ガス排出流路230を構成する第3配管237における一部を、断熱材350内を延伸させる等して、断熱するようにしてもよい。
【0059】
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態における燃料電池モジュール10aの構成を模式的に示す説明図である。以下では、第2実施形態の燃料電池モジュール10aの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料電池モジュール10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0060】
第2実施形態の燃料電池モジュール10aは、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232aの構成が、第1実施形態の燃料電池モジュール10と異なっている。具体的には、第2実施形態の燃料電池モジュール10aでは、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232aが、熱交換部233を含んでいる。すなわち、本実施形態では、酸化剤ガスOGをハウジング335に導入するための空気導入流路271aの一部が、燃料極側ガス排出流路230を構成する第1配管231における断熱空間351の外部に配置された部分に近接して並行するように配置されている。これにより、第1配管231の該部分(空気導入流路271aに並行する部分)が、酸化剤ガスOG(空気極側ガス供給マニホールド161に供給するためのガス)と燃料極側ガス排出流路230内の燃料オフガスFOGとの間で熱交換を行う熱交換部233として機能する。熱交換部233においては、酸化剤ガスOGと燃料オフガスFOGとの熱交換が行われ、圧力制御機構236に導入される燃料オフガスFOGの温度が低下すると共に、ハウジング335に導入される酸化剤ガスOGの温度が上昇する。
【0061】
このように、本実施形態の燃料電池モジュール10aでは、燃料極側ガス排出流路230に設けられた冷却機構232aが、空気極側ガス供給マニホールド161に供給するためのガス(酸化剤ガスOG)と燃料極側ガス排出流路230内のガス(燃料オフガスFOG)との間で熱交換を行う熱交換部233を含む。そのため、熱交換部233において、空気極側ガス供給マニホールド161に供給するためのガスが、燃料極側ガス排出流路230内のガスの熱を奪うことによって、燃料極側ガス排出流路230内のガスが冷却される。従って、本実施形態の燃料電池モジュール10aによれば、冷却機構232aによる燃料極側ガス排出流路230内のガスの冷却を実現しつつ、冷却機構232aを設けたことに伴う燃料電池モジュール10a全体としての熱効率の低下を抑制することができる。
【0062】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態における燃料電池モジュール10bの構成を模式的に示す説明図である。以下では、第3実施形態の燃料電池モジュール10bの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料電池モジュール10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0063】
第3実施形態の燃料電池モジュール10bは、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232bの構成が、第1実施形態の燃料電池モジュール10と異なっている。具体的には、第3実施形態の燃料電池モジュール10bでは、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232bが、熱交換部233bを含んでいる。すなわち、本実施形態では、水WAを蒸発器310に供給するための純水導入流路251bの一部が、燃料極側ガス排出流路230を構成する第1配管231における断熱空間351の外部に配置された部分に近接して並行するように配置されている。これにより、第1配管231の該部分(純水導入流路251bに並行する部分)が、蒸発器310に供給される水WAと燃料極側ガス排出流路230内の燃料オフガスFOGとの間で熱交換を行う熱交換部233bとして機能する。熱交換部233bにおいては、水WAと燃料オフガスFOGとの熱交換が行われ、圧力制御機構236に導入される燃料オフガスFOGの温度が低下すると共に、蒸発器310に導入される水WA(純水PW)の温度が上昇する。
【0064】
このように、本実施形態の燃料電池モジュール10bでは、燃料極側ガス排出流路230に設けられた冷却機構232bが、蒸発器310に供給される水WAと燃料極側ガス排出流路230内のガス(燃料オフガスFOG)との間で熱交換を行う熱交換部233bを含む。そのため、熱交換部233bにおいて、蒸発器310に供給される水WAが、燃料極側ガス排出流路230内のガスの熱を奪うことによって、燃料極側ガス排出流路230内のガスが冷却される。従って、本実施形態の燃料電池モジュール10bによれば、冷却機構232bによる燃料極側ガス排出流路230内のガスの冷却を実現しつつ、冷却機構232bを設けたことに伴う燃料電池モジュール10b全体としての熱効率の低下を抑制することができる。
【0065】
D.第4実施形態:
図9は、第4実施形態における燃料電池モジュール10cの構成を模式的に示す説明図である。以下では、第4実施形態の燃料電池モジュール10cの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料電池モジュール10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0066】
第4実施形態の燃料電池モジュール10cは、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232cの構成が、第1実施形態の燃料電池モジュール10と異なっている。具体的には、第4実施形態の燃料電池モジュール10cでは、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232cが、熱交換部233cを含んでいる。すなわち、本実施形態では、原燃料ガスRFGを蒸発器310に導入するための原燃料ガス導入流路261cの一部が、燃料極側ガス排出流路230を構成する第1配管231における断熱空間351の外部に配置された部分に近接して並行するように配置されている。これにより、第1配管231の該部分(原燃料ガス導入流路261cに並行する部分)が、原燃料ガスRFG(燃料極側ガス供給マニホールド171に供給するためのガス)と燃料極側ガス排出流路230内の燃料オフガスFOGとの間で熱交換を行う熱交換部233cとして機能する。熱交換部233cにおいては、原燃料ガスRFGと燃料オフガスFOGとの熱交換が行われ、圧力制御機構236に導入される燃料オフガスFOGの温度が低下すると共に、蒸発器310に導入される原燃料ガスRFGの温度が上昇する。
【0067】
このように、本実施形態の燃料電池モジュール10cでは、燃料極側ガス排出流路230に設けられた冷却機構232cが、燃料極側ガス供給マニホールド171に供給するためのガス(原燃料ガスRFG)と燃料極側ガス排出流路230内のガス(燃料オフガスFOG)との間で熱交換を行う熱交換部233cを含む。そのため、熱交換部233cにおいて、燃料極側ガス供給マニホールド171に供給するためのガスが、燃料極側ガス排出流路230内のガスの熱を奪うことによって、燃料極側ガス排出流路230内のガスが冷却される。従って、本実施形態の燃料電池モジュール10cによれば、冷却機構232cによる燃料極側ガス排出流路230内のガスの冷却を実現しつつ、冷却機構232cを設けたことに伴う燃料電池モジュール10c全体としての熱効率の低下を抑制することができる。
【0068】
E.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
上記実施形態における燃料電池モジュール10の構成や燃料電池モジュール10を構成する各部分の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、燃料極側ガス排出流路230上に冷却機構232および圧力制御機構236が設けられているが、燃料極側ガス排出流路230上に代えて、あるいは燃料極側ガス排出流路230上と共に、空気極側ガス排出流路240上に冷却機構および圧力制御機構が設けられていてもよい。燃料極側ガス排出流路230および空気極側ガス排出流路240の内、冷却機構および圧力制御機構が設けられた流路が、特許請求の範囲における特定ガス排出流路に相当する。なお、一般に、燃料極側ガス流路におけるガス流量は空気極側ガス流路におけるガス流量より小さいことが多いため、燃料電池モジュール10の熱効率の低下を抑制するという観点からは、燃料極側ガス排出流路230のみに冷却機構232および圧力制御機構236が設けられることが好ましい。
【0070】
上記実施形態における冷却機構232の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第2-4実施形態では、冷却機構232として、酸化剤ガスOG、水WA、または、原燃料ガスRFGとの熱交換を行う熱交換部233を含む構成を採用しているが、冷却機構232として、他の流体との熱交換を行う熱交換部を含む構成を採用してもよい。また、上記実施形態では、圧力制御機構236が圧力制御弁により構成されているが、圧力制御機構236が他の構成であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、燃料極側圧力計238が、燃料極側ガス流路における燃料極側ガス排出流路230の位置に設けられているが、燃料極側ガス流路における燃料極側圧力計238の設置位置は任意に変更可能である。例えば、燃料極側圧力計238が、原燃料ガス導入流路261における流量制御機構262より下流側で、かつ、水素添加脱硫器264より上流側の位置に設けられてもよい。同様に、上記実施形態では、空気極側圧力計248が、空気極側ガス流路における空気極側ガス排出流路240の位置に設けられているが、空気極側ガス流路における空気極側圧力計248の設置位置は任意に変更可能である。例えば、空気極側圧力計248が、空気導入流路271における流量制御機構272より下流側で、かつ、断熱材350(断熱空間351)の外部の位置に設けられてもよい。また、燃料極側圧力計238と空気極側圧力計248とのいずれか一方のみが設けられるとしてもよい。このような構成であっても、例えばガス流量と圧力変化との関係を予め特定しておくことにより、圧力計による圧力測定結果に基づき圧力制御機構236を適切に制御することができる。
【0072】
上記実施形態では、分岐流路242が、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232および圧力制御機構236より下流側の位置と水素添加脱硫器264とを接続するように設けられているが、分岐流路242が、燃料極側ガス排出流路230における冷却機構232より下流側で、かつ、圧力制御機構236より上流側の位置と水素添加脱硫器264とを接続するように設けられてもよい。
【0073】
上記実施形態では、各発電単位102が単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180とを備えているが、各発電単位102が単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180との一方または両方を備えていないとしてもよい。例えば、各発電単位102がIC用セパレータ180を備えず、インターコネクタ150が発電単位102の周縁部(Z軸方向視で空気極側フレーム部材130や燃料極側フレーム部材140と重なる部分)まで延伸していてもよい。
【0074】
上記実施形態では、水素添加脱硫器264に燃料オフガスを供給するためのブロワBLが分岐流路242上に設けられているが、該ブロワBLが原燃料ガス導入流路261上における流量制御機構262と水素添加脱硫器264との間に設けられてもよい。あるいは、該ブロワBLの設置を省略してもよい。該ブロワBLの設置を省略した場合でも、分岐流路242の配管の内径を燃料極側ガス排出流路230の第3配管237の内径より小さくすることにより、水素添加脱硫器264に流すオフガスと燃焼器333に流すオフガスとの分配を制御することができる。
【0075】
上記第2実施形態から上記第4実施形態では、熱交換部233,233b、233cが断熱空間351の外部に配置されているが、熱交換部233,233b、233cの一部または全部が断熱空間351内に配置されていてもよい。
【0076】
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池にも適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10:燃料電池モジュール 22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 61:空気極側ガス供給流路 71:燃料極側ガス供給流路 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104:エンドプレート 106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:単セル用セパレータ 121:貫通孔 124:接合部 130:空気極側フレーム部材 131:空気室用孔 132:酸化剤ガス供給連通流路 133:酸化剤ガス排出連通流路 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム部材 141:燃料室用孔 142:燃料ガス供給連通流路 143:燃料ガス排出連通流路 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサ 150:インターコネクタ 161:空気極側ガス供給マニホールド 162:空気極側ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料極側ガス供給マニホールド 172:燃料極側ガス排出マニホールド 176:燃料室 180:IC用セパレータ 181:貫通孔 223:排ガス排出流路 226:排ガス中継流路 228:混合ガス流路 230:燃料極側ガス排出流路 231:第1配管 232:冷却機構 233:熱交換部 234:ドレイナー 235:第2配管 236:圧力制御機構 237:第3配管 238:燃料極側圧力計 240:空気極側ガス排出流路 242:分岐流路 248:空気極側圧力計 251:純水導入流路 252:イオン交換樹脂 254:浄水タンク・フロート 256:流量制御機構 258:凝縮水回収流路 259:給水用流路 261:原燃料ガス導入流路 262:流量制御機構 264:水素添加脱硫器 271:空気導入流路 272:流量制御機構 280:制御部 290:貯湯ユニット 300:補助器 310:蒸発器 330:改質・加熱器 331:改質器 333:燃焼器 335:ハウジング 336:内壁 337:外壁 338:空気流路 339:伝熱用フィン 350:断熱材 351:断熱空間 BL:ブロワ EG:排ガス FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス PW:純水 RFG:原燃料ガス WA:水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9