IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-ヒータ制御用制御システム 図1
  • 特許-ヒータ制御用制御システム 図2
  • 特許-ヒータ制御用制御システム 図3
  • 特許-ヒータ制御用制御システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ヒータ制御用制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
H05B3/00 370
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020546903
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019020936
(87)【国際公開番号】W WO2019173466
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】62/640,143
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レムケ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カーリー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ボーリンガー、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ブライトロウ、スタントン、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】キドニー、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、カート
(72)【発明者】
【氏名】ヘントゲス、ジェイムス
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-176297(JP,A)
【文献】特開昭63-091987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0109767(US,A1)
【文献】特開平11-015537(JP,A)
【文献】特開2003-228254(JP,A)
【文献】特開昭58-019916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヒータゾーンを定義する複数の抵抗発熱体を有するヒータシステムを制御するための制御システムであって、
前記制御システムは、
前記複数の抵抗発熱体が熱を発するように前記複数のヒータゾーンに電力を供給し、前記複数の抵抗発熱体の電気的特性を感知するように構成された複数のゾーン制御回路と、
前記複数のゾーン制御回路に電気的に結合された少なくとも2つの補助コントローラと、
前記少なくとも2つの補助コントローラに電気的に結合された主コントローラと、
を具備し、
前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記ゾーン制御回路を介して前記複数のヒータゾーンに電力を制御し、前記複数の抵抗発熱体の前記電気的特性に基づき前記ヒータゾーンの動作を監視するように構成され、
前記主コントローラは、前記電気的特性に基づき前記ヒータゾーンのそれぞれに動作設定値を提供するように構成され、前記少なくとも2つの補助コントローラは、動作設定値に基づきヒータシステムに電力を供給するため、前記複数のゾーン制御回路を作動させ、
前記少なくとも2つの補助コントローラのそれぞれは、電力コントローラおよびセンサコントローラを含み、
前記電力コントローラのそれぞれは、前記主コントローラに電気的に結合され、
前記センサコントローラのそれぞれは、前記主コントローラに電気的に結合され、
前記ヒータシステムの性能を検証するために、前記センサコントローラのそれぞれは、互いに電気的に結合され、前記センサコントローラのそれぞれは、前記複数のゾーン制御回路のそれぞれに電気的に結合される
制御システム。
【請求項2】
各電力コントローラは、別の電力コントローラとは異なるゾーン制御回路のセットに電気的に結合される
請求項1の制御システム。
【請求項3】
前記制御システムに電源を電気的に結合及び分離するように構成された電源スイッチ
をさらに具備する請求項1の制御システム。
【請求項4】
前記主コントローラ及び前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記電源スイッチに電気的に結合され、
前記主コントローラ及び前記少なくとも2つの補助コントローラのそれぞれは、前記ヒータシステムの異常性能を判定する1つのシステム診断を実行するように構成され、
前記主コントローラ及び前記補助コントローラのそれぞれは、前記1つのシステム診断に基づき前記電源スイッチを動作させるように構成された
請求項3の制御システム。
【請求項5】
前記システム診断は、ゾーン間診断を実行することを具備し、
前記ゾーン間診断は、前記複数のヒータゾーンのうちの隣接するヒータゾーンの組の間の温度差を判定することと、前記温度差に基づいて前記ヒータシステムの前記異常性能を判定することと、を具備する、
請求項4の制御システム。
【請求項6】
前記ゾーン制御回路のそれぞれは、前記ヒータゾーンに電力を供給するための電力モジュールと、前記ヒータゾーンの前記電気的特性を測定するためのセンサモジュールとを含む、
請求項1の制御システム。
【請求項7】
前記センサモジュールのそれぞれは、前記少なくとも2つの補助コントローラに電気的に結合され、前記電力モジュールは、セットで提供され、前記電力モジュールのそれぞれのセットが、前記電力モジュールの別のセットとは異なる補助コントローラに電気的に結合される
請求項6の制御システム。
【請求項8】
前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記感知された電気的特性に基づいて、前記感知された電気的特性の正確性を判定する、診断検証チェックを実行するように構成される、
請求項1の制御システム。
【請求項9】
前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記ゾーン制御回路から電気的特性を受信し、前記電気的特性に基づき性能特性を計算し、システム診断、診断検証チェック、又は、それらの組み合わせを実行する
請求項1の制御システム。
【請求項10】
ヒータシステムの複数のヒータゾーンに電力を供給し、前記ヒータゾーンの電気的特性を測定するように構成された複数のゾーン制御回路と、
前記複数のゾーン制御回路に結合された少なくとも2つの補助コントローラと、
前記少なくとも2つの補助コントローラに結合された主コントローラと、
前記主コントローラおよび前記少なくとも2つの補助コントローラのそれぞれに結合された電源スイッチと、
を具備する制御システムであって、
前記少なくとも2つの補助コントローラは、
前記複数のゾーン制御回路を介して前記複数のヒータゾーンに電力を制御するように構成され、
前記電気的特性に基づいて、前記ヒータシステムの性能特性を計算し、
(i)前記少なくとも2つの補助コントローラによって測定された前記電気的特性、および(ii)前記少なくとも2つの補助コントローラによって測定された前記性能特性の少なくとも1つを認証するために診断検証チェックを実行するように構成され、
前記主コントローラは、前記ヒータシステムの前記性能特性に基づき前記ヒータシステムの前記ヒータゾーンのそれぞれに動作設定値を提供し、
前記主コントローラは、前記診断検証チェックに基づき保護動作を選択的に実行するように構成され、
前記電源スイッチは、前記制御システムに電源を結合及び分離するように構成され、
前記少なくとも2つの補助コントローラのそれぞれは、電力コントローラおよびセンサコントローラを含み、
前記電力コントローラのそれぞれ、および前記センサコントローラのそれぞれは、前記主コントローラに電気的に結合され、
前記ヒータシステムの性能を検証するために、前記センサコントローラのそれぞれは、互いに電気的に結合され、前記センサコントローラのそれぞれは、前記複数のゾーン制御回路のそれぞれに電気的に結合される
御システム。
【請求項11】
電力コントローラのそれぞれは、別の電力コントローラとは異なるゾーン制御回路のセットに電気的に結合される
請求項10の制御システム。
【請求項12】
複数のヒータゾーンを定義する複数の抵抗発熱体を有するヒータシステムを制御するための制御システムであって、
前記制御システムは、
前記複数の抵抗発熱体が熱を発するように前記複数の抵抗発熱体に電力を供給し、前記複数の抵抗発熱体の電気的特性を感知するように構成された複数のゾーン制御回路と、
前記複数のゾーン制御回路に電気的に結合された少なくとも2つの補助コントローラと、
前記少なくとも2つの補助コントローラに電気的に結合された主コントローラと、
を具備し、
前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記複数のゾーン制御回路を介して前記複数のヒータゾーンへの電力を制御し、前記複数の抵抗発熱体の前記電気的特性に基づき前記ヒータゾーンの動作を監視するように構成され、
前記主コントローラは、前記電気的特性に基づき前記ヒータゾーンのそれぞれに動作設定値を提供するように構成され、前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記動作設定値に基づき前記ヒータシステムに電力を供給するため、前記複数のゾーン制御回路を作動させ、
前記少なくとも2つの補助コントローラのそれぞれは、互いに電気的に結合され、
前記感知された電気的特性の正確性を判定するために、前記少なくとも2つの補助コントローラのそれぞれは、他の補助コントローラが実行した診断検証チェックの結果を交換する
制御システム。
【請求項13】
複数のヒータゾーンを定義する複数の抵抗発熱体を有するヒータシステムを制御するための制御システムであって、
前記制御システムは、
前記複数の抵抗発熱体が熱を発するように前記複数の抵抗発熱体に電力を供給し、前記複数の抵抗発熱体の電気的特性を感知するように構成された複数のゾーン制御回路と、
前記複数のゾーン制御回路に電気的に結合された少なくとも2つの補助コントローラと、
前記少なくとも2つの補助コントローラに電気的に結合された主コントローラと、
を具備し、
前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記複数のゾーン制御回路を介して前記複数のヒータゾーンへの電力を制御し、前記複数の抵抗発熱体の前記電気的特性に基づき前記ヒータゾーンの動作を監視するように構成され、
前記主コントローラは、前記電気的特性に基づき前記ヒータゾーンのそれぞれに動作設定値を提供するように構成され、前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記動作設定値に基づき前記ヒータシステムに電力を供給するため、前記複数のゾーン制御回路を作動させ、
前記補助コントローラのそれぞれは、各ゾーンが定義された動作パラメータ内で動作しているかどうかを判断するため、性能特性に基づき診断を実行するように構成され、
前記少なくとも2つの補助コントローラは、前記感知された電気的特性の正確性を判定する診断検証チェックを行うため、1つ以上の診断結果を交換する
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2018年3月8日に出願された米国仮出願第62/640,143号の利益及び優先権を主張する。上記出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電力センス制御を具備するヒータを有する熱システムを制御するためのシステム及び/又は方法に関する。
【背景】
【0003】
本項の記載は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成するものではない場合がある。
【0004】
抵抗ヒータは、ターゲット及び/又は環境に熱を提供するため、様々な用途で使用される。例えば、そのような抵抗ヒータは、カートリッジヒータ、流体ラインヒータ、又は他の適切なヒータを含むが、これらに限定されない。制御システムは、ヒータによって生成される熱の量を調節するため、典型的には抵抗ヒータへの電力を制御する。
【0005】
いくつかのアプリケーションにおいて、制御システムは、抵抗ヒータの性能を監視する個別のセンサからフィードバックデータを受信する閉ループシステムである。個別のセンサは、抵抗ヒータの制御を微調整するためのデータを提供する一方で、センサは、スペースを占有し、熱システム全体に複雑さを加えることがある。これら及び他の問題は、本開示によって対処される。
【発明の概要】
【0006】
本項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その完全な範囲又はその特徴のすべてを包括的に開示するものではない。
【0007】
一形態において、本開示は、複数のゾーン制御回路と、少なくとも2つの補助コントローラと、主コントローラと、を含む制御システムに向けられる。複数のゾーン制御回路は、ヒータシステムの複数のヒータゾーンに電力を供給し、ゾーンの性能特性(performance characteristics)を感知するために動作可能である。補助コントローラは、複数のゾーン制御回路に結合される。補助コントローラは、複数のゾーンへの電力を制御し、性能特性に基づきヒータゾーンの動作を監視する。主コントローラは、補助コントローラに結合され、性能特性に基づきヒータゾーンのそれぞれに動作設定値(operation set-point)を提供するように構成されている。補助コントローラは、動作設定値に基づきヒータシステムに電力を供給するため、ゾーン制御回路を動作させる。
【0008】
別の形態において、補助コントローラのそれぞれは、電力コントローラ及びセンサコントローラを含む。各電力コントローラ及び各センサコントローラは、主コントローラに結合され、センサコントローラは、互いに結合され、複数のゾーン制御回路のそれぞれに結合される。一変形において、各電力コントローラは、別の電力コントローラとは異なるゾーン制御回路のセットに結合される。
【0009】
さらに別の形態において、制御システムは、制御システムに電源を結合及び分離するために操作可能な電源スイッチをさらに含む。一変形において、主コントローラ及び補助コントローラは、電源スイッチに結合される。主コントローラ及び補助コントローラのそれぞれは、少なくとも1つの診断を実行するように構成され、主コントローラ及び補助コントローラのそれぞれは、少なくとも1つの診断に基づき電源スイッチを操作するように構成されている。
【0010】
一形態において、ゾーン制御回路のそれぞれは、ヒータゾーンに電力を供給するための電力モジュールと、ヒータゾーンの電気的特性を測定するためのセンサモジュールとを含む。一変形において、センサモジュールのそれぞれは、補助コントローラの両方に結合され、電力モジュールは、セットで提供され、電力モジュールの各セットが、電力モジュールの別のセットとは異なる補助コントローラに結合される。
【0011】
別の形態において、補助コントローラのそれぞれは、各ゾーンが定義された動作パラメータ内で動作しているかどうかを判断するため、性能特性に基づき診断を実行するように構成され、補助コントローラは、診断検証チェックを実行するため、診断結果を交換する。
【0012】
さらに別の形態において、補助コントローラは、ゾーン制御回路から電気的特性を受信し、電気的特性に基づき性能特性を計算するか、診断を実行するか、又は性能特性の計算と診断の実行の両方を行う。
【0013】
一形態において、熱システムは、本明細書に記載の制御システムと、複数のゾーンを規定する複数の抵抗発熱体を含むヒータシステムと、を含む。複数の抵抗発熱体のそれぞれは、制御システムに結合され、制御システムが電力を供給し、抵抗発熱体の性能特性を測定するような電力センス機能を有する。
【0014】
一形態において、本開示は、複数のゾーン制御回路、少なくとも2つの補助コントローラ、主コントローラ、及び電源スイッチを含む制御システムに向けられる。複数のゾーン制御回路は、ヒータシステムの複数のゾーンに電力を供給し、ゾーンの電気的特性を測定するために動作可能である。補助コントローラは、ヒータシステムの複数のゾーンへの電力を制御するため、複数のゾーン制御回路に結合される。補助コントローラは、電気的特性に基づきヒータシステムの性能特性を測定し、電気的特性に基づき少なくとも1つの診断を実行する。主コントローラは、補助コントローラに結合され、ヒータシステムの性能特性に基づきヒータのゾーンのそれぞれに動作設定値を提供する。電源スイッチは、主コントローラ及び補助コントローラのそれぞれに結合され、電源スイッチは、制御システムに電源を結合及び分離するように操作可能である。
【0015】
別の形態において、主コントローラは、異常な性能を検出するために1つ以上の診断を実行し、異常な性能の検出に応答して電源を制御システムから切り離すため、電源スイッチを操作する。
【0016】
さらに別の実施形態において、補助コントローラは、互いに結合されており、各補助コントローラは他の補助コントローラと結果を交換して診断検証チェックを行う。
【0017】
一態様において、ゾーン制御回路のそれぞれは、ゾーンへの電力を制御するための電力モジュールと、ゾーンの電気的特性を測定するためのセンサモジュールと、を含む。一変形において、センサモジュールのそれぞれは、補助コントローラの両方に結合され、電力モジュールは、セットで提供され、電力モジュールのそれぞれのセットが、電力モジュールの別のセットとは異なる補助コントローラに結合される。別の変形において、各電力モジュールは、ヒータシステムのゾーンに電力を供給するため、少なくとも2つの補助コントローラのうちの1つの補助コントローラによって操作可能な電力変換器を含む。さらに別の変形において、各センサモジュールは、ゾーンの電気的特性として、電圧、電流、又はそれらの組み合わせを測定するように構成されている。別の変形において、各補助コントローラは、センサモジュールからの電気的特性に基づきゾーンの温度を計算するように構成されている。
【0018】
本開示が十分に理解されるように、ここでは、例によって与えられた様々な形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示を十分に理解するため、ここでは、例として、添付の図面を参照しながら、その様々な形態を説明する。
【0020】
図1】本開示による制御システムを有する熱システムのブロック図である。
【0021】
図2】温度感知電源ピンを有するカートリッジヒータの一例である。
【0022】
図3】6つのヒートゾーンを有するヒータシステムを制御するための制御システムのブロック図である。
【0023】
図4】制御システムのゾーン制御回路のブロック図である。
【0024】
本明細書に記載された図面は、例示を目的としたものであり、本開示の範囲を何ら制限することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明は、本質的に単に例示であり、本開示、適用、又は用途を限定することを意図していない。図面全体を通して、対応する参照数字は、類似又は対応する部分及び特徴を示すことが理解されるべきである。
【0026】
熱システムは、複数の抵抗発熱体を有するヒータシステムと、抵抗発熱体への調整可能な電力の供給からシステム診断の実行まで、ヒータシステムの動作を制御する制御システムとを含む。閉ループ制御の一部として、温度、電圧、電流、抵抗などの様々な性能特性を測定するために、離散的な温度センサが熱システムについて配置される。これらのディスクリートセンサは、各センサが制御システムに対して専用の入出力インタフェース(例えば、ポート、ピンなど)を必要とするため、制御システムのサイズ、コスト、及び複雑さを増大させる可能性がある。
【0027】
ヒータシステムは、制御システムが個別のセンサを使用せずに電力を供給し、ヒータシステムの性能特性を測定することを可能にするために、電力センス能力を有していてもよい。これは、個別のセンサの数を減らしてもよいが、個別のセンサは、ヒータシステムから取られた測定値を検証するために依然として使用される。
【0028】
本開示は、ヒータシステムの測定値を検証し、異常な性能が検出された場合に保護手段を実行するためのセンサ診断能力を有する制御システムに向けられる。本明細書に記載されているように、制御システムは、各抵抗発熱体の電力レベルを定義するための主コントローラと、抵抗発熱体に電力を供給し、ヒータシステムの性能特性を測定する少なくとも2つの補助コントローラとを含む。各補助コントローラは、測定検証、言い換えれば認証チェックの一環として、そのデータを他の補助コントローラと共有する。測定値間の不一致がある場合、補助コントローラ(複数可)は、主コントローラに通知し、及び/又はヒータシステムへの電力供給を停止するなどの保護手段を実行する。さらに、各補助コントローラは、ヒータシステムの性能を確認するため、1つ以上の診断を行う。性能異常の場合、補助コントローラは、熱システムを保護するため、保護手段を実行してもよい。
【0029】
さらに、補助コントローラは、性能特性を主コントローラに提供し、主コントローラは、計算をさらに検証し、異常な性能を検出するために、1つ以上の診断を実行する。したがって、制御システムは、ヒータシステムと、制御システム自体の性能を監視するため、少なくとも2層の保護層を有する。
【0030】
図1を参照すると、本開示は、複数の加熱ゾーンを定義する1つ以上の抵抗発熱体104~104(総称して“発熱体104”、“N”は整数)を有するヒータシステム102のための制御システム100に向けられる。制御システム100及びヒータシステム102は、共に、熱システムを形成する。
【0031】
制御システム100は、抵抗発熱体104に電気的に結合され、電源106から入力された電圧を、入力電圧以下であってもよい所望の電圧出力に変換することにより、発熱体104に調整可能な電力を供給する。
【0032】
ヒータシステム102は、制御システム100が電力を供給し、ヒータシステムの性能特性を測定することを可能にする電力感知能力を有する。例えば、一形態において、ヒータシステム102は、発熱体104の抵抗の変化が、温度などの性能特性を決定するために制御システム100によって使用され得るような“2線式”ヒータであってもよい。このような2線式システムは、本願と共通に所有される米国特許第7,196,295号に開示されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2線式システムにおいて、このシステムは、別のものを制御しながら、これらのパラメータ(すなわち、電力、抵抗、電圧、及び電流)のうちの1つ以上を制限するカスタマイズ可能なフィードバック制御システムにおいて、電力、抵抗、電圧、及び電流を組み込んだ制御と、ヒータの設計とを融合させる適応型熱システムである。制御システムは、一定期間に亘ってヒータシステムに供給される電流、電圧、及び電力のうちの少なくとも1つを監視し、安定した連続的な電流及び電圧の読取り値を取得するように構成される。これら読取り値は、その後、抵抗、及びヒータシステムの発熱体の温度を決定するために使用することができる。
【0033】
別の例において、ヒータシステム102の発熱体104は、制御システム100に接続するための温度感知電源ピンを有してもよい。より具体的には、図2を参照すると、ヒータシステム102は、複数のカートリッジヒータ、例えば、2つの端部204、206を有する抵抗発熱体202を含むカートリッジヒータ200を含んでもよい。一形態において、抵抗発熱体202は、例示的にはニクロム材料のような金属線の形態であり、非導電性部分(又はシース209によって囲まれたコア208)の周りに巻かれているか、又は配置されている。コア208は、近位端210及び遠位端212を定義し、少なくとも近位端210を通って延びる第1及び第2開口部214及び216をさらに定義する。
【0034】
ヒータ200は、さらに、第1導電性材料からなる第1電源ピン218と、第1電源ピン218の第1導電性材料とは異なる第2導電性材料からなる第2電源ピン220とを具備する。さらに、抵抗発熱体202は、第1及び第2電源ピン218、220の第1導電性材料及び第2導電性材料とは異なる材料で形成され、第1電源ピン218との端部204に第1接合部222を形成し、第2電源ピン220との他端部206に第2接合部224を形成する。抵抗発熱体202は、第1接合部222における第1電源ピン218と異なる材料であり、第2接合部224における第2電源ピン220と異なる材料であるため、熱電対接合が実質的に形成される。したがって、第1及び第2接合部222、224における電圧の変化が検出され、個別/離散的な温度センサを使用することなく、ヒータ200の平均温度を決定することができる。
【0035】
温度感知電源ピンに関する追加の詳細は、2015年5月29日に出願され、“RESISTIVE HEATER WITH TEMPERATURE SENSING POWER PINS”と題された米国シリアル番号14/725,537及び2018年4月11日に出願された米国シリアル番号15/950,358で“RESISTIVE HEATER WITH TEMPERATURE SENSING POWER PINS AND AUXILIARY SENSING JUNCTION”と題された出願人の同時係属出願に記載されている。これらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、抵抗発熱体の温度を測定するための熱電対感知ピンとして機能する電源ピンに接続された1つ以上の抵抗発熱体を有するヒータを開示する。本出願によれば、コントローラは、電源ピンと通信しており、抵抗発熱体と電源ピンとによって形成された接合部における電圧(mV)の変化を測定し、抵抗発熱体の平均温度を計算するように構成される。温度感知電源ピンは、他のヒータ、例えば流体ラインヒータ、流体浸漬ヒータ、又は他の好適なヒータと共に使用することができ、カートリッジヒータに限定されるべきではない。
【0036】
図3を参照すると、一形態において、制御システム100は、複数の抵抗発熱体によって定義される6つのヒータゾーン304~304(総称して“ヒータゾーン304”)を有するヒータシステム302の動作を制御する制御システム300として提供されてもよい。ヒータシステム102と同様に、ヒータシステム302は、電力感知能力を有し、各ヒータゾーン304は、制御システム300に電気的に結合される。一形態において、制御システム300は、接触器305を介して電源106に結合される。
【0037】
制御システム300は、複数のゾーン制御回路320~320(総称して“ゾーン制御回路320”)、少なくとも2つの補助(AUX)コントローラ322、322(総称して“補助コントローラ322”)、主コントローラ324、及び電源スイッチ326を含む。本開示の制御システムは、任意の数(例えば、2以上)のヒータゾーン/発熱体を制御するように構成することができ、したがって、6つに限定されるべきではないことが容易に理解される。
【0038】
一形態において、ゾーン制御回路320は、各ゾーン304の独立した制御を提供するため、ヒータゾーン304に接続される。各ゾーン制御回路320は、特定のゾーン304への電力を制御するための電力モジュール(PM)330(図では330~330)と、ヒータゾーン304の発熱体における電圧及び/又は電流などの電気的特性を測定するためのセンサモジュール(SM)332(図では332~332)とを含む。各センサモジュール332は、補助コントローラ322の両方に結合される。電力モジュール330は、セットで提供され、電力モジュール330の各セットが、電力モジュール330の別のセットとは異なる補助コントローラ322に結合される。例えば、電力モジュール330~330は、補助コントローラ322に結合される1つのセットを形成し、電力モジュール330~330は、補助コントローラ322に結合される第2セットを形成する。
【0039】
一形態において、電力モジュール330は、ゾーン304に調整可能な電力を供給するための降圧コンバータなどの電力変換器を含み、センサモジュール332は、電気的特性を測定するための電圧及び/又は電流検出器を含む。例えば、図4を参照すると、例示的なゾーン制御回路400は、上述したように、温度を測定するための熱電対接合を利用する温度感知電源ピンを有するヒータシステムに接続するように構成される。図4において、実線は電力を表し、破線はデータ信号を表す。
【0040】
一形態において、各ゾーン制御回路400は、ヒータシステムのゾーンに調整可能な電力を供給するための電力モジュール402と、熱電対接合部における電圧の変化などの電気的特性を測定するためのセンサモジュール404とを含む。一形態において、電力モジュール402は、電源106からの入力電圧(VIN)を、ヒータゾーンの発熱体に印加される出力電圧(VOUT)に調整するために補助コントローラ322によって操作可能な降圧コンバータなどの電力変換器410を含む。例えば、電力変換器410は、制御スイッチ(図示せず)と、制御スイッチに結合されたドライバ回路(図示せず)とを含む。ドライバ回路は、補助コントローラ322の1つから電力制御信号を受け、電力制御信号に基づき制御スイッチを作動させ、電源106からの電力を調整する。このような電力変換器の一例は、2017年6月15日に出願され、“POWER CONVERTER FOR A THERMAL SYSTEM”と題された同時係属出願、米国シリアル番号15/624,060にさらに記載されており、これは本出願と共通に所有され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
パワーモジュール402は、電力変換器410に供給される電圧の量(すなわち、入力電圧)を検出するための入力(I/P)電圧検出器412と、ヒータシステムに供給される電圧の量(すなわち、電圧出力)を検出するための出力(O/P)電圧検出器414と、ヒータシステムに供給される電流の量(すなわち、電流出力)を検出するための出力(O/P)電流検出器416と、をさらに含む。検出器412、414、416は、電圧及び/又は電流を測定するための逐次近似レジスタ(SAR)を含んでもよい。入力電圧、出力電圧、及び出力電流は、さらなる処理のために補助コントローラ322に伝達される。
【0042】
他の電子部品に加えて、一形態において、センサモジュール404は、測定動作時に熱電対接合部における電圧の変化を測定する熱電対(TC)センサ418と、測定動作時に漏れ電流を迂回させるためのシャント420とを含む。一形態において、TCセンサ418は、典型的にはmV単位である測定された電圧をデジタル値に変換するためのアナログ/デジタル変換器と、電圧スパイクを遮断するための高電圧FETとを含む。センサモジュール404は、温度感知電源ピンが接続されるコネクタの温度、及び/又は電子部品が配置される回路基板の温度など、制御システムの性能に関連する他の電気的特性を測定するための電子部品をさらに含んでもよい。センサモジュール404によって取得された測定値は、さらなる処理のために補助コントローラ322に提供される。
【0043】
センサモジュール404は、温度感知電源ピンによって定義される熱電対接合部で電圧を測定するように構成されているが、センサモジュール404は、ヒータゾーンの発熱体の電圧及び/又は電流の少なくとも1つを測定することによって発熱体の抵抗を決定する2線式ヒータシステムのために構成されてもよい。そのような構成において、センサモジュールは、発熱体における電圧及び/又は電流(例えば、電気的特性)を測定するための電力計測チップを含んでもよい。次いで、このデータは、補助コントローラ322によって、発熱体の抵抗及び/又は平均温度を決定するために使用される。
【0044】
図3に戻り、補助コントローラ322は、ゾーン制御回路320からの電気的特性に基づき、ヒータゾーン304の電力を制御し、性能を監視するように構成されている。補助コントローラ322のそれぞれは、1つ以上のマイクロプロセッサなどの電子機器、マイクロプロセッサによって実行されるコンピュータにより読み取り可能な命令(すなわち、ソフトウェアプログラム)を格納するメモリ(例えば、RAM、ROMなど)、及び他の好適な構成要素を含む。一形態において、補助コントローラ322の数は、ヒータシステムのゾーンの数に基づき選択され、したがって、2つに限定されるべきではない。
【0045】
一形態において、各補助コントローラ322は、電力コントローラ340及び340(総称して「電力コントローラ340」)と、センサコントローラ342及び342(総称して「センサコントローラ342」)とを含む。図3では、電力コントローラからの通信(実線)とセンサコントローラからの通信(破線-点線)とを区別するために、異なる種類の線が使用されている。各電力コントローラ340と各センサコントローラ342は、データを交換するために主コントローラ324に結合される。各電力コントローラ340は、他の電力コントローラ340とは異なる一組のゾーン制御回路320に結合されている。例えば、図3において、電力コントローラ340は、ゾーン制御回路320~320、より具体的には電力モジュール330~330に結合されている。電力コントローラ340は、ゾーン制御回路320320 に結合され、より具体的には電力モジュール330~330に結合される。センサコントローラ342は、互いに結合され、ゾーン制御回路320のそれぞれに結合され、より具体的にはゾーン制御回路320のセンサモジュール332に結合される。センサコントローラ342は、センサコントローラ342によって検出された異常な性能の場合、スイッチ326を作動させるため、電源スイッチ326にも結合されている。
【0046】
一形態において、電力コントローラ340は、主コントローラ324から各ヒータゾーン304の動作設定値を受信し、動作設定値に基づき、電力コントローラ340は、ヒータゾーン304への電力を調整するための電力制御信号をそれぞれの電力モジュール330に出力する。一形態において、電力制御信号は、電力変換器の制御スイッチを作動させるためのデューティサイクルを示すパルス信号である。電力制御に加えて、電力コントローラ340は、電力モジュール330の入力電圧検出器、出力電圧検出器、及び/又は出力電流検出器からの信号を受信し、入力電圧、出力電圧、及び/又は出力電流を決定する。そのようなフィードバック情報は、さらなる処理のために主コントローラ324に送信される。
【0047】
一形態において、センサコントローラ342は、センサモジュール332のそれぞれから電気的特性を得るため、測定動作中にゾーン制御回路320を動作させる。例えば、測定動作の間、センサコントローラ342は、漏れ電流を迂回させるため、センサモジュール332のシャントを動作させ、例えば熱電対接合部を介して発熱体の電気的特性を測定する。別の例において、2線式ヒータシステムの場合、センサコントローラ342は、発熱体の電圧及び/又は電流を測定する。一形態において、各センサコントローラ342は、熱電対接合部の温度、又は発熱体の抵抗及び/又は温度など、ヒータゾーン304の性能特性を決定するため、電気的特性を処理する。例えば、ルックアップテーブル及び/又は所定のアルゴリズムを使用して、センサコントローラ342は、熱電対変換(mVから温度)、冷接点補償、抵抗測定、及び/又は抵抗対温度測定を実行してもよい。センサコントローラ342は、回路基板の温度及び/又はシャントの温度を示すセンサモジュール332からの信号を取得するように構成されてもよい。
【0048】
センサコントローラ342は、異常な性能を検出するため、ヒータゾーン診断及び/又はシステム診断などの1つ以上の診断も実行する。例えば、ヒータゾーン診断は、センサコントローラ342が、主コントローラによって定義されたそれぞれの温度設定値及び/又はそれぞれの抵抗設定値で発熱体が動作しているかどうかを判定することを含んでもよい。所定の発熱体がそれぞれの設定値を超える場合、センサコントローラ342は、発熱体の異常性能を判定し、保護手段を実行してもよい。システム診断は、センサコントローラ342が、ヒータシステム302の隣接するヒータゾーン間の温度差を監視し、その差が温度変動閾値を超える場合、センサコントローラ342が熱システムの異常性能を判定し、保護手段を発行するゾーン間診断を実行することを含んでもよい。システム診断の別の例は、温度がそれぞれの閾値を超えるかどうかを判断するため、シャント、コネクタ、及び/又は回路基板などの様々な構成要素の温度を監視することを含む。その場合、センサコントローラ342は、構成要素の異常な性能を判定し、保護手段を実行する。実行される保護手段は、異常な性能を主コントローラ324に通知すること、電源制御スイッチ326を操作すること、技術者に通知するためのアラート(可聴及び/又は視覚)を発行すること、及び/又は他の適切な手段を含むことができる。
【0049】
一形態において、センサコントローラ342のそれぞれは、測定された電気的特性、性能特性、及び/又は他のセンサコントローラ342によって実行された診断に関して診断検証チェックを実行する。例えば、センサコントローラ342は、両コントローラ342に提供される測定された電気的特性を比較することにより、センサモジュール332が正確な結果を提供しているかどうかを判断する。さらに、センサコントローラ342は、計算された性能特性及び/又は診断が実質的に同じであるかどうかを判断することによって、他のセンサコントローラ342の性能を検証する。すなわち、センサコントローラ342がセンサコントローラ342と異なる温度を計算した場合、両方のセンサコントローラ342は、その不一致を検出するように構成されており、その不一致は、その後、主コントローラ324に伝達され得る。したがって、センサコントローラ342は、ヒータシステム302の性能と互いの性能を監視するための冗長診断チェックとして動作する。特定の診断例が本明細書に提供されているが、センサコントローラ342は、他の適切な診断及び/又はシステムチェックを構成してもよく、本明細書に記載されているものに限定されるべきではない。
【0050】
主コントローラ324は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサによって実行されるコンピュータが読取り可能な命令(すなわち、ソフトウェアプログラム)を記憶するメモリ(例えば、RAM、ROMなど)などの電子機器、及び他の好適な構成要素を含む。一形態において、主コントローラ324は、ユーザからの入力、フィードバックデータ、及び/又は予め記憶された制御プログラムに基づき、ヒータシステム302の動作を制御する。
【0051】
一形態において、主コントローラ324は、制御システム100に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス(図示せず)を介して、ユーザからの入力を受信する。ユーザは、温度又は電力の変化率、ヒータシステム又は制御システムの温度限界、発熱体の抵抗限界、制御システムの電力出力限界、及び/又は他の適切な設定などの1つ又は複数の動作設定を定義してもよい。補助コントローラ322から主コントローラ324に提供されるフィードバックデータは、入力電圧、出力電圧、出力電流、各発熱体の電気的特性、ヒータシステムの性能特性、及び/又は診断結果を含む。
【0052】
制御プログラムは、設定された条件内でヒータシステム302を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであり、各プログラムは、ユーザによって定義されるか、制御プログラム内で予め定められた1つ以上の動作設定によって定義される。例えば、制御プログラムは、電圧出力/電流出力が所定の限界に達するまでヒータシステムに徐々に電力を供給するパワーアップ制御、ヒータシステムの温度を特定の設定値に制御する定常状態制御、及びヒータシステムの温度を設定されたランプレートで上昇させる設定レート制御を含んでもよい。主コントローラ324は、それが制御するヒータシステムに基づく他の制御プログラムを含んでいてもよく、本明細書に記載された例に限定されるべきではない。
【0053】
実行される制御プログラムに従って、主コントローラ324は、温度設定値、電力設定値、セットレート制御、及び/又は持続時間など、ヒータシステム302のための動作設定値を決定する。例えば、主コントローラ324は、ヒータシステム302の各ゾーンの温度設定値、及び/又はヒータシステム302の全体的な平均温度のための温度設定値を定義する。別の例において、主コントローラ324は、ヒータシステム302の各ゾーン304に対する電力設定値(例えば、電圧及び/又は電流の電力レベル量)を決定する。主コントローラ324は、他の動作設定値を定義してもよく、本明細書に提供される例に限定されるべきではないことが容易に理解されるべきである。
【0054】
一形態において、主コントローラ324は、加熱動作中に動作設定値を補助コントローラ322に送信し、測定動作中に補助コントローラ322からフィードバックデータを取得する。例えば、加熱動作中、電力コントローラ340は、動作設定値を受信し、所望の電力をヒータゾーン304に出力するため、電力モジュール330の電力変換器に電力制御信号を印加する。電力コントローラ340は、制御システムの電力量(すなわち、入力電圧、出力電圧、及び/又は出力電流)も測定し、この情報を主コントローラ324に提供する。測定動作のために、主コントローラ324は、発熱体の電気的特性を測定するため、測定命令をセンサコントローラ342に送信する。一形態において、この指示を受信すると、センサコントローラ342は、ゾーン制御回路320のシャントを作動させ、発熱体の電気的特性を測定する。センサコントローラ342は、上述したように、性能特性をさらに計算し、1つ以上の診断を実行してもよい。補助コントローラ322によって得られたデータは、主コントローラ324に送信される。
【0055】
主コントローラ324はまた、熱システムの可能性のある異常な性能を検出するため、1つ以上の診断を実行するようにも構成されている。主コントローラ324は、補助コントローラによって実行されるものと同様の診断を実行してもよく、いくつかの追加の診断、例えば、加熱システムの温度がユーザ定義の温度制限を超えるかどうかを決定するためのユーザ温度制限制御、及びセンサコントローラ342の結果を検証するための補助制御チェックなどを実行してもよい。例えば、発熱体の電気的特性を使用して、主コントローラ324は、例えば、熱電対変換(mVを温度へ)、冷接点補償、及び/又は2線式システムのための抵抗温度変換を使用して、性能特性を計算してもよい。主コントローラ324は、計算された値を補助コントローラ322の値と比較して、その値が実質的に同じであるかどうかを判断する。そうでない場合、主コントローラ324は、異常な性能をユーザに通知すること、及び/又は電源スイッチ326を操作して制御システム300への電力供給を停止するなどの保護手段を実行する。
【0056】
本開示の制御システムは、電力を供給するためのワイヤの数を減らし、ヒータシステムの性能特性を感知するための電力センス能力を有するヒータシステムのために構成されている。制御システムは、互いに決定された測定値/計算値を認証するためにセンサ診断チェックを実行するように構成された複数のセンサコントローラを含む。さらに、主コントローラは、補助コントローラからの測定値の認証の別の層を提供するために、同様の診断チェックを実行するように構成されている。したがって、ヒータシステムの性能特性を検証するための個別的なセンサは必要ないため、システムの複雑さを低減することができる。
【0057】
制御システムについて特定の例示的な図が提供されているが、システムは、図に詳述されていない追加の構成要素を含んでもよいことは、容易に理解されるべきである。例えば、制御システムは、例えば、ゾーン制御回路の電力変換器よりも低い電圧で動作する主制御器及び補助制御器などの構成要素を含む。したがって、制御システムは、低電圧コンポーネントに電力を供給するための低電圧電源(例えば、3~5V)を含む。さらに、低電圧構成要素を高電圧から保護するため、制御システムは、低電圧構成要素を高電圧構成要素から絶縁し、なおかつ構成要素が信号を交換することを可能にする電子構成要素を含む。
【0058】
本明細書で使用されるように、A、B、及びCのうち少なくとも1つという語句は、非排他的論理和を用いた論理(A OR B OR C)を意味するものと解釈されるべきであり、“Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、及びCのうち少なくとも1つ”を意味するものと解釈されるべきではない。
【0059】
本開示の記載は、本質的に例示的なものに過ぎず、したがって、本開示の本質から逸脱しない変形は、本開示の範囲内であることが意図されている。そのような変形は、開示の精神及び範囲からの逸脱とみなされるべきではない。
以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ヒータシステムの複数のヒータゾーンに電力を供給し、前記複数のヒータゾーンの性能特性を感知するために動作可能な複数のゾーン制御回路と、
前記複数のゾーン制御回路に結合された少なくとも2つの補助コントローラと、
前記補助コントローラに結合された主コントローラと、
を具備し、
前記補助コントローラは、前記複数のゾーンに電力を制御し、前記性能特性に基づき前記ヒータゾーンの動作を監視し、
主コントローラは、前記性能特性に基づき前記ヒータゾーンのそれぞれに動作設定値を提供するように構成され、前記補助コントローラは、動作設定値に基づきヒータシステムに電力を供給するため、ゾーン制御回路を作動させる
制御システム。
[2]
前記補助コントローラのそれぞれは、電力コントローラとセンサコントローラとを含み、
各電力コントローラ及び各センサコントローラは、主コントローラに結合され、
前記センサコントローラは、互いに結合され、前記複数のゾーン制御回路のそれぞれに結合される
[1]の制御システム。
[3]
各電力コントローラは、別の電力コントローラとは異なるゾーン制御回路のセットに結合される
[2]の制御システム。
[4]
前記制御システムに電源を結合及び分離するために操作可能な電源スイッチ
をさらに具備する[1]の制御システム。
[5]
前記主コントローラ及び前記補助コントローラは、前記電源スイッチに結合され、
前記主コントローラ及び前記各補助コントローラは、少なくとも1つの診断を実行するように構成され、
前記主コントローラ及び前記各補助コントローラは、前記少なくとも1つの診断に基づき前記電源スイッチを動作させるように構成された
[4]の制御システム。
[6]
前記主コントローラは、異常な性能を検出するために1つ以上の診断を実行し、前記異常な性能の検出に応答して前記電源を前記制御システムから切り離すため、前記電源スイッチを操作する
[4]の制御システム。
[7]
前記ゾーン制御回路のそれぞれは、前記ヒータゾーンに電力を供給するための電力モジュールと、前記ヒータゾーンの電気的特性を測定するためのセンサモジュールとを含む、
[1]の制御システム。
[8]
前記センサモジュールのそれぞれは、前記補助コントローラの両方に結合され、前記電力モジュールは、セットで提供され、前記電力モジュールのそれぞれのセットが、前記電力モジュールの別のセットとは異なる補助コントローラに結合される
[7]の制御システム。
[9]
前記各電力モジュールは、前記ヒータシステムのゾーンに電力を供給するために、前記少なくとも2つの補助コントローラのうちの1つの補助コントローラによって操作可能な電力変換器を含む、
[7]の制御システム。
[10]
各センサモジュールは、ゾーンの電気的特性として、電圧、電流、又はそれらの組み合わせを測定するように構成されている
[7]の制御システム。
[11]
前記補助コントローラのそれぞれは、前記センサモジュールからの電気的特性に基づき前記ゾーンの温度を計算するように構成されている
[10]の制御システム。
[12]
前記補助コントローラは、互いに結合され、前記補助コントローラのそれぞれは、診断検証チェックを実行するため、他の補助コントローラと結果を交換する
[1]の制御システム。
[13]
前記補助コントローラのそれぞれは、各ゾーンが定義された動作パラメータ内で動作しているかどうかを判断するため、性能特性に基づき診断を実行するように構成され、
補助コントローラは、診断検証チェックを行うため、診断結果を交換する
[1]の制御システム。
[14]
前記補助コントローラは、前記ゾーン制御回路から電気的特性を受信し、前記電気的特性に基づき前記性能特性を計算するか、診断を実行するか、又は、前記性能特性の計算と前記診断の実行の両方を行う
[1]の制御システム。
[15]
[1]の制御システムと、
複数のゾーンを定義する複数の抵抗発熱体を具備するヒータシステムと、
を具備し、
前記複数の抵抗発熱体のそれぞれは、前記制御システムに結合され、前記制御システムが電力を供給し、前記抵抗発熱体の性能特性を測定するような電力センス機能を有する
熱システム。
図1
図2
図3
図4