(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】外科用ドリル装置、測定モジュール、およびトランスデューサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20240624BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B17/56
(21)【出願番号】P 2020561832
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(86)【国際出願番号】 US2019030180
(87)【国際公開番号】W WO2019213241
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-26
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】カルシージョ,スティーヴ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/040783(WO,A1)
【文献】特表2011-525844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0116673(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルビットを作動させるように構成される外科用ドリル装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに移動可能に取り付けられたプローブであって、処置対象物に対応して配置されるように構成されたプローブと、
前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するために用いられるトランスデューサアセンブリであって、
前記プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域と前記第2の円弧領域とは回転方向に位置ずれしている、歯車と、
少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれが前記歯車に連結されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータが、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第1の円弧領域内の前記基準点の回転位置を検出するように構成され、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータが、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に少なくとも前記第2の円弧領域内の前記基準点の回転位置を検出するように構成され、前記第1のポテンショメータが、前記第2の円弧領域内の前記基準点を検出できないようになっている、トランスデューサアセンブリと
を備えている外科用ドリル装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つのポテンショメータが、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれにおける前記基準点の検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている、請求項1に記載の外科用ドリル装置。
【請求項3】
前記ポテンショメータのそれぞれに連結された制御器をさらに備え、
前記制御器は、独立して生成された複数の前記出力信号のそれぞれを受信し、前記独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するように構成されている、請求項2に記載の外科用ドリル装置。
【請求項4】
ディスプレイをさらに備え、
前記制御器が、決定された前記プローブの移動量に対応する穿孔深さ信号であって、前記ディスプレイによって受信される穿孔深さ信号を生成するように構成され、
前記穿孔深さ信号は、ユーザーが見ることができるように前記ディスプレイ上に表示される、請求項3に記載の外科用ドリル装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれは、
抵抗要素に電気接続された1対の端子部分を有する本体部分であって、前記1対の端子部分のうち一方の端子部分が、第1の基準信号を受信するように構成され、前記1対の端子部分のうち他方の端子部分が、第2の基準信号に接続され、前記抵抗要素が、前記1対の端子部分間の円弧長さを画定する円弧形状を有し、前記1対の端子部分が、追加的な円弧長さを画定する間隙によって互いに離れている、本体部分と、
前記本体部分内に連結されると共に前記歯車に連結されたロータ部分であって、ロータ部分が、前記本体部分の第3の端子部分に電気接続されたワイパーアームを備え、前記歯車の歯車軸を中心とする回転方向における回転によって、前記ワイパーアームのそれぞれが前記歯車軸を中心として前記回転方向に回転する、ロータ部分と
を備え、
各抵抗要素の円弧長さに沿った前記少なくとも2つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームのそれぞれの位置決めによって、各出力信号が前記第3の端子部分に生成され、各出力信号が、各抵抗要素の円弧長さに沿ったその相対的な位置決めに対応し、前記受信した第1の基準信号に関して換算され、
前記間隙内への前記少なくとも2つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームのそれぞれの位置決めによって、中断信号が生成され、
前記少なくとも2つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームのうち少なくとも1つワイパーアームは、前記歯車が前記歯車軸を中心として360°回転するときに、前記歯車の基準点における複数の回転位置のうち取り得る回転位置の1つずつに応じて前記円弧長さに沿ってその各抵抗要素に接続するように位置決めされるようになっている、請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
【請求項6】
各ポテンショメータに連結された制御器をさらに備え、
前記制御器が、独立して生成された前記各出力信号を受信し、前記独立して生成された各出力信号に基づいて、前記ドリルビットによって形成された組織の穿孔の深さを決定するように構成されている、請求項5に記載の外科用ドリル装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記歯車軸を中心として前記回転方向に回転する前記歯車における複数の全回転の数を決定するようにさらに構成され、
各全回転は、前記ハウジングに対する前記プローブの所定の移動量に対応し、
前記制御器は、生成された前記各出力信号、生成された前記中断信号、及び決定された前記複数の全回転の数に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの全移動量を決定するように構成されている、
請求項3に従属する請求項5に記載の外科用ドリル装置。
【請求項8】
前記制御器は、前記歯車軸を中心として前記回転方向に回転する前記歯車における複数の全回転の数を決定するようにさらに構成され、
各全回転は、前記ハウジングに対する前記プローブの所定の移動量に対応しており、
前記制御器は、生成された前記各出力信号、生成された前記中断信号、及び決定された前記複数の全回転の数に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの全移動量を決定するように構成されている、請求項6に記載の外科用ドリル装置。
【請求項9】
前記ハウジング内に配置された連結アセンブリであって、前記ドリルビットを離脱可能に連結するように構成された連結アセンブリをさらに備えている請求項1~8のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
【請求項10】
ドリルビットを作動させるように構成される外科用ドリル装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された連結アセンブリであって、前記ドリルビットを離脱可能に連結するように構成される連結アセンブリと、
前記ハウジングに移動可能に取り付けられるプローブであって、組織に対応して配置されるように構成されたプローブと、
トランスデューサアセンブリであって、
前記プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が、第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域と前記第2の円弧領域とは回転方向に位置ずれしている、歯車と、
少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つの回転センサ機器が前記歯車に回転可能に固定されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つの回転センサ機器のうちの、第1の回転センサ機器が、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第1の円弧領域内の前記基準点の回転位置を検出するように構成され、第2の回転センサ機器が、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第2の円弧領域内における前記基準点の回転位置を検出するように構成され、前記第1の回転センサ機器が、前記第2の円弧領域内の前記基準点を検出できないようになっており、前記少なくとも2つの回転センサ機器が、それぞれ、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれの前記基準点における前記検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている、トランスデューサアセンブリと、
独立して生成された複数の前記出力信号のそれぞれを受信し、前記独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、前記ドリルビットによって形成された前記組織の穿孔の深さを決定するように構成される制御器と、
を備えている外科用ドリル装置。
【請求項11】
外科器具用の測定モジュールであって、
ハウジングと、
測定プローブと、
前記測定
プローブに連結されて前記ハウジングに対する前記測定プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車を備え、前記ハウジングに対する前記測定プローブの移動量を決定するために用いられるトランスデューサアセンブリであって、前記歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が、第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域と前記第2の円弧領域とは回転方向に位置ずれしている、トランスデューサアセンブリと、
少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれが前記歯車に連結されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータは、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第1の円弧領域内の前記基準点の回転位置を検出するように構成され、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータは、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に少なくとも前記第2の円弧領域内の前記基準点の前記回転位置を検出するように構成され、前記第1の
ポテンショメータは、前記第2の円弧領域内の前記基準点を検出することができないようになっている、測定モジュール。
【請求項12】
外科器具用の測定モジュールであって、
ハウジングと、
測定プローブと、
トランスデューサアセンブリであって、
前記測定
プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記測定プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域と前記第2の円弧領域とは回転方向に位置ずれしている、歯車と、
少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つの回転センサ機器のそれぞれが、前記歯車に対して回転可能に固定されている、トランスデューサと
を備え、
第1の回転センサ機器が、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第1の円弧領域内の前記基準点の回転位置を検出するように構成され、第2の回転センサ機器は、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第2の円弧領域内の前記基準点の前記回転位置を検出するように構成され、前記第1の回転センサ機器が、前記第2の円弧領域内の前記基準点を検出することができないようになっており、前記少なくとも2つの回転センサ機器が、それぞれ、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれにおける前記基準点の検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている、トランスデューサアセンブリと、
独立して生成された複数の前記出力信号のそれぞれを受信し、前記独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、ドリルビットによって形成された組織の穿孔の深さを決定するように構成されている制御器と
を備えている測定モジュール。
【請求項13】
プローブ及びハウジングを有する外科用工具と共に用いられ、前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するために用いられるトランスデューサアセンブリであって、
前記プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域と前記第2の円弧領域とは回転方向に位置ずれしている、歯車と、
少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれが前記歯車に連結されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータは、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に前記第1の円弧領域内の前記基準点の回転位置を検出するように構成され、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータは、前記基準点が前記角回転経路上を移動するように回転した場合に少なくとも前記第2の円弧領域内の前記基準点の前記回転位置を検出するように構成され、前記第1のポテンショメータが、前記第2の円弧領域内の前記基準点を検出することができないようになっている、トランスデューサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年5月1日に出願された米国仮特許出願第62/665,024号の優先権及び全ての利得を主張するものであり、その開示内容は、参照することによってここに具体的に含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
整形外科にて用いられる電動式外科用工具又は電動式外科用システムの一種として、外科用ドリル装置が挙げられる。この種の工具は、モータを含むハウジングを備えている。ドリル装置の一部でもある連結アセンブリは、ドリルビットをモータに離脱可能に保持し、これによって、モータの作動時にドリルビットが回転する。外科用ドリル装置は、その名前が暗示するように、ドリルビットが当てられる処置対象物、例えば、組織を穿孔する。穿孔する必要がある外科手術の一種としては、骨折した骨を修復するための外傷処置が挙げられる。この種の処置では、骨の複数の骨折区域を一緒に保持するために、髄内釘と呼ばれることもある細長ロッドが用いられる。髄内釘を適所に保持するために、1つ又は複数の孔が骨に形成される。これらの孔は、髄内釘に形成された相補的な孔と真っすぐに並ぶように位置決めされる。位置合せされた骨孔及び髄内釘孔のそれぞれに、スクリューが挿入される。これらのスクリューは、髄内釘を骨に対して適切な位置に保持する。
【0003】
他の種類の処置では、プレートとして知られる移植片又は加工品が、骨の複数の骨折区域における外面に固定され、これらの区域を一緒に保持する。スクリューは、プレートを骨のそれぞれの区域に保持する。プレートを保持するスクリューを骨に嵌合させるために、先ずは、スクリューを受け入れる孔を形成する必要がある。
【0004】
スクリューを受け入れる孔を骨に形成するために用いられる処置の一部分において、その孔の端から端までの深さを知ることが望ましい。この情報によって、外科医は、穿孔内に嵌合されるスクリューの寸法を選択することが可能になる。もしもスクリューが短すぎるのであれば、そのスクリューは、該スクリューが適所に挿入される髄内釘を固定して保持することができないこととなる。もしもスクリューが長すぎるのであれば、そのスクリューは、骨の外に過剰に飛び出す可能性がある。もしもスクリューが骨の外に過剰に飛び出したのであれば、スクリューの露出端部が周囲組織を擦る可能性がある。もしもこのような状況が生じたのであれば、スクリューにより擦られた組織が損傷するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、多くの骨穿孔処置において、穿孔の深さの測定が不可欠となっている。
【0006】
このような測定は、多くの場合、ドリル装置と別の深さゲージによって行われる。これには、外科医が穿孔からドリルビットを引き出した後に深さゲージを該穿孔内に挿入することが必要となる。従って、触覚フィードバックに基づき、外科医は、ゲージの遠位端部のみが穿孔の向こう側の開口に延びるようにゲージを設置する。いったんこの処置が終了したならば、外科医は、ゲージの目盛を読み、穿孔の深さを決定する。この測定は、好ましくない。なぜならば、この測定は、手間と時間が掛かり、測定された深さを確認するのに人的要因に依存し、感染のリスクを高めると共に患者を麻酔に晒す時間を増大させる可能性があるからである。
【0007】
本開示は、これらの課題のいくつかに対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ドリルビットを作動させるように構成される外科用ドリル装置が提供される。ドリル装置は、ハウジングと、前記ハウジングに移動可能に取り付けられたプローブであって、処置対象物に対応して配置されるように構成されたプローブと、トランスデューサアセンブリとを備えている。トランスデューサアセンブリは、プローブに連結された歯車を備えている。歯車は、ハウジングに対するプローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成されている。歯車は、歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、角回転経路は、第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされている。第1の円弧領域は、第2の円弧領域から離れている。少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサも含まれている。少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれは、歯車に連結されている。少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータは、第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータは、少なくとも第2の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、第1の回転センサは、第2の円弧領域内の基準点を検出することができないようになっている。
【0009】
ドリル装置に取り付けられたドリルビットによって形成された処置対象物の穿孔の深さを決定する方法も提供される。ドリル装置は、ハウジングと、ハウジングに連結されたプローブと、プローブに連結された歯車、及び歯車に連結された少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサを有するトランスデューサアセンブリとを備えている。この方法は、歯車における第1の回転位置を決定するステップと、決定された第1の回転位置から歯車軸を中心とする単一の回転方向における歯車における複数の全回転の数を決定するステップとを含んでいる。各全回転は、ハウジングに対するプローブの所定の移動量に対応する。この方法は、歯車における第2の回転位置を決定するステップも含んでいる。決定された第2の回転位置は、決定された第1の回転位置と同じであるか又は異なっている。この方法は、決定された第1及び第2の回転位置及び歯車の決定された複数の全回転の数から、ハウジングに対するプローブの移動量を決定するステップを含む。
【0010】
外科用ドリル装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置された連結アセンブリであって、ドリルビットを離脱可能に連結するように構成された連結アセンブリと、前記ハウジングに移動可能に取り付けられたプローブであって、組織に対して配置されるように構成されたプローブとを備えていてもよい。また、ドリル装置は、トランスデューサアセンブリを備えていてもよい。トラスデュ―サアセンブリは、プローブに連結された歯車を備えていてもよい。歯車は、ハウジングに対するプローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成されている。歯車は、歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、角回転経路は、第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、第1の円弧領域は、第2の円弧領域から離れている。トラスデュ―サアセンブリは、少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサであって、少なくとも2つの回転センサ機器が歯車に回転可能に固定されている、トランスデューサを備えていてもよい。第1の回転センサ機器は、第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、第2の回転センサ機器は、第2の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成されている。第1の回転センサ機器は、第2の円弧領域内の基準点を検出できないようになっており、少なくとも2つの回転センサ機器は、それぞれ、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれにおける基準点の検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている。また、ドリル装置は、独立して生成された複数の出力信号のそれぞれを受信し、独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、ドリルビットによって形成された組織の穿孔の深さを決定するように構成された制御器を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】外科器具と、一つの構成においてドリルビット及び先端保護具を有するものとして示されるエンドエフェクタアセンブリとを備える外科用システムを示す斜視図である。
【
図2】外科器具が測定モジュールと、駆動アセンブリと、ハンドピース本体から離間した解除機構とを有するように示され、エンドエフェクタアセンブリが外科器具から取り外され、かつ先端保護具がドリルビットの遠位側切削チップ部分から離間するように示される
図1の外科用システムの部分分解斜視図である。
【
図3】アクチュエータアセンブリを示すために駆動アセンブリ及び解除機構をハンドピース本体の仮想輪郭線から離間するように示した
図1及び
図2における外科器具の一部の部分分解斜視図である。
【
図4】
図1の線4-4に沿った部分等角断面図である。
【
図5】エンドエフェクタアセンブリが外科器具から取り外されるように
図1-
図5の外科器具の長手方向に沿って示した断面図である。
【
図7A-7C】歯車の基準点に関連するワイパーアームの種々の位置決めを示し、かつ測定モジュールの歯車及び互いに対して180°回転した1対のポテンショメータを示す部分分解正面斜視図である。
【
図8】歯車の基準点に関連するワイパーアームの1つの位置決めを示し、かつ測定モジュールの歯車及び互いに対して90°回転した1対のポテンショメータを示す正面図である。
【
図9】
図1-
図8の外科用ドリル装置に取り付けられたドリルビットによって形成された処置対象物の穿孔の深さを決定する方法を示す論理フローチャートである。
【
図10】
図9における論理フローチャートのステップ706のための論理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照すると、代表的には、医学的及び/又は外科的処置に関連付けられる処置機能を果たすように構成される外科用システム又は外科用ドリル装置が、
図1-
図2において符号60によって示されている。なお、いくつかの図面を通して、同様の番号が同様の構造物を示すために用いられている。本明細書に示される代表的な構成では、外科用システム60は、処置対象物、例えば、患者の組織又は骨の穿孔を容易にするために用いられる。ここに示されるように、別段の指示がない限り、「処置対象物(workpiece)」という用語は、代替的には、組織及び/又は骨を指すものと理解されたい。この目的を達成するために、外科用システム60の図示の構成は、手持ち式外科器具62と、総称的に符号64によって示されるエンドエフェクタアセンブリとを備えている。エンドエフェクタアセンブリ64は、ドリルビット66を備え、先端保護具68も備えているとよい。
図2に最もよく示されるように、ドリルビット66は、総称的に符号70によって示される切削チップ部分と、総称的に符号72によって示される挿入部分との間で軸AXに沿って略長手方向に延びている。切削チップ部分70は、処置対象物に係合するように構成され、挿入部分72は、外科器具62に対するドリルビット66の離脱可能な取り付けを容易にするように構成されている。
【0013】
外科器具62に対するドリルビット66の取り付けを助長するために、いくつかの構成では、先端保護具68は、ドリルビッチ66の切削チップ部分70の少なくとも一部を隠しながらドリルビット66の切削チップ部分70に離脱可能に固定されるように構成され、これによって、外科用システム60のユーザー(例えば、外科医)は、外科器具62への取り付中にドリルビット66を安全に取り扱いかつ位置決めすることが可能になる。一旦、エンドエフェクタアセンブリ64が外科器具62に取り付けられたならば、先端保護具68がドリルビット66の切削チップ部分70から取り外され、この後、外科用システム60が処置対象物の穿孔に利用可能になる。
【0014】
図1-
図6を参照すると、ここに示される代表的な構成では、外科器具62は、ピストル型グリップ状のハンドピース本体74を有する手持ち式ドリル装置として具体化されている。ハンドピース本体74は、バッテリ76に離脱可能に取り付けられる(バッテリへの取り付けは、詳細に示されていない)。しかしながら、ハンドピース本体がピストル型グリップの有無に関わらずどのような適切な形状を有してもよいことも考慮されている。図示の外科器具62は、ドリルビット66を回転させるために用いられる電力を外科器具62に供給するように、ハンドピース本体74に離脱可能に取り付けることができるバッテリ76を用いている。しかしながら、外科器具62は、内部バッテリ(例えば、取り外し不能なバッテリ)、外部コンソールへのテザー接続、電源等のような他の形態を有するように構成されてもよいことを理解されたく、他の構成もまた考えられる。
【0015】
図示される構成では、バッテリー76又は他の電源は、(
図5に概略的に示される)制御器78に電力を供給し、制御器78は、(
図3にも示される)入力制御ボタン80及びアクチュエータアセンブリ82に連通して配置されている。入力制御ボタン80及びアクチュエータアセンブリ82は、それぞれ、ハンドピース本体74によって支持されている。制御器78は、概して、入力制御ボタン80の作動に応じてアクチュエータアセンブリ82の作動を促進するように構成されている。入力制御ボタン80は、図示の構成では、トリガー式の形態を有し、ユーザー(例えば、外科医)の作動に応答し、例えば、磁石又はホール効果センサによって生じた電気信号を介して、制御器78に連通している。従って、外科医が外科器具62を操作するために入力制御ボタン80を作動させると、制御器78は、バッテリー76からアクチュエータアセンブリ82に電力を導き、アクチュエータアセンブリ82は、以下に詳述するように、ドリルビット66を回転させるのに用いられる回転トルクを生成する。ハンドピース本体74、バッテリー76、制御器78、及び入力制御ボタン80は、それぞれ、本開示の範囲から逸脱することなく多くの異なる態様によって回転トルクの生成を容易にするように構成されてもよい。
【0016】
図3にも示されるように、アクチュエータアセンブリ82は、概して、電動モータ84及び歯車組86を備えている。電動モータ84及び歯車組86は、それぞれ、ハンドピース本体74内に支持されている。モータ84は、制御器78から受信した指令、信号等に応じて回転トルクを選択的に生成するように構成されている。
図5に最もよく示されるように、モータ84は、1対の軸受90によって軸AXを中心とする回転に対して支持されたロータ挿管88を備えている。歯車組86に隣接して配置された駆動歯車92がロータ挿管88に連結され、該ロータ挿管88と同時に回転し、歯車組86に回転トルクを伝達するのに用いられる。この目的を達成するために、図示の形態では、歯車組86は、2段複合遊星機構として具体化され、概して、リング歯車ハウジング94を備えている。リング歯車ハウジング94は、とりわけ、軸受90、1つ又は複数の保持クリップ98、ワッシャー100、及び/又はシール102を介して、出力ハブ96を回転可能に支持している。しかしながら、歯車組86の他の構成もまた考えられる。
【0017】
歯車組86のさらなる詳細は、例えば、2018年2月2日に「手持ち式外科器具用ドリルビット」の標題で出願された米国特許出願第15/887,507号に記載されているが、この特許文献は、モータ84の作動による駆動歯車92の回転が出力ハブ96の同時回転をもたらすこと、及び出力ハブ96がドリルビット66と同時に回転することを記載している。なお、この特許文献の内容は、参照することによってその全体がここに含まれるものとする。アクチュエータアセンブリ82は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の態様を有するように構成されてもよい。非制限的な例では、図示されるアクチュエータアセンブリ82は、モータ84の駆動歯車92と出力ハブ96との間における回転速度及びトルクを調整するために複合遊星機構を用いているが、いくつかの構成において他の形式の歯車組86が用いられてもよい。さらに、図示されるアクチュエータアセンブリ82は、回転トルクを生成するために電動式ブラシレスDCモータを用いているが、他の形式の原動機が用いられてもよく、他の構成もまた考えられる。
【0018】
前述したように、モータ84によって生じた回転トルクは、出力ハブ96の回転をもたらし、出力ハブ96は、ドリルビット66と同時に回転する。これを達成するために、
図2-
図5に最もよく示されるように、外科器具62は、駆動アセンブリ114をさらに備えている。駆動アセンブリ114は、概して、アクチュエータアセンブリ82の種々の挿管部品を貫通し、歯車組86の出力ハブ96とスプライン係合する。駆動アセンブリ114は、ドリルビット66と外科器具62との間における離脱可能な取り付けを促進するように構成されている。駆動アセンブリ114は、概して、駆動挿管116、駆動ヘッド118、及び駆動本体120を備えている。駆動本体120は、駆動挿管116と駆動ヘッド118との間に延び、それらと同時に回転する。駆動アセンブリ114は、駆動挿管116に隣接する出力ハブ96とのスプライン係合を介して、並びに駆動ヘッド118に隣接する軸受90、スナップリング100、及びシール102の配置構成を介して、ハンドピース本体74内において軸AXを中心に回転可能に支持されている(
図6参照)。
【0019】
駆動アセンブリ114のさらなる詳細は、例えば、米国特許出願第15/887,507号にも記載されている。この特許文献の内容も、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。図示される構成では、駆動アセンブリ114の駆動ヘッド118は、総称的に符号126によって示される連結具を備えている、連結具126は、外科器具62が本開示のドリルビット66を回転させる以外の用途に関連して利用されるときに回転トルクの伝達を容易にするために設けられている。さらに具体的には、図示される駆動アセンブリ114は、外科器具62が、(駆動挿管116の孔122又は駆動ヘッド118の連結具126のいずれかと係合して同時に回転するように構成可能な)多数の異なる種類の外科器具、工具、モジュール、エンドエフェクタ等を回転、駆動、又は作動させることができるように構成されている。この構成によって、同一の外科器具62を多数の医学的及び/又は外科的処置に利用することが可能になることを理解されたい。しかしながら、駆動アセンブリ114は、いくつかの形態では、例えば、外科器具62が本開示のドリルビット66に専用に用いられる形態では、連結具126を有する駆動ヘッド118を省略するように異なって構成されてもよいことも考えられる。
【0020】
図1-
図3を再び参照すると、外科器具62の図示される構成は、ドリルビット66の取り外しを容易にするように構成された、総称的に符号150によって示される解除機構又は連結機構をさらに備えている。連結機構150は、概して、解除サブアセンブリ152、保持具本体154、及びハウジングアダプタ156を備えている。保持具本体154及びハウジングアダプタ156は、それぞれ、解除サブアセンブリ152をアクチュエータアセンブリ82及びハンドピース本体74に固定するように構成されているが、多くの異なる構成によって具体化されてもよいし、いくつかの構成では外科器具62の他の部分に一体化されてもよい。
【0021】
前述したように、本開示のドリルビット66は、概して、切削チップ部分70と挿入部分72との間において軸AXに沿って延び、ドリルビット66の接触面124と駆動アセンブリ114の駆動挿管116の孔122とにおける係合を介して、本明細書に記載されかつ図面の全体を通して示される外科器具62に離脱可能に取り付けられるように構成されている。駆動挿管116は、アクチュエータアセンブリ82の歯車組86の出力ハブ96と連携し、軸AXを中心とするドリルビット66の回転を促進する。
【0022】
図2を参照すると、ドリルビット66は、総称的に符号176によって示される胴部を備えている。胴部176は、近位端部178と遠位端部180との間において軸AXに沿って延びている。胴部176の遠位端部180は、溝182を備えている。溝182は、軸AXを中心として螺旋状に配置され、組織のような処置対象物の穿孔を促進するためにドリルビット66の先端まで延びている(
図2参照)。図示される構成では、ドリルビット66は、近位端部178と遠位端部180との間において胴部176に連結された軸受領域184も備えている。軸受領域184は、測定モジュール128の測定プローブ134内に受け入れられかつ測定プローブ134に対して回転するように寸法決めされている。ここでは、軸受領域184は、本質的に胴部176の「段付き(stepped)」外面を画定している。軸受領域184のこの段付き外面は、ドリルビット66の長さに沿った回転支持をもたらし、図示される構成において胴部165の隣接する遠位領域及び近位領域の直径よりも大きい直径を有している。しかしながら、ドリルビット66の胴部176の軸受領域184は、本開示の範囲から逸脱することなく他の形態を有するように構成されてもよいことを理解されたい。さらに、本開示ではドリルビット66として記載されるが、ドリルビット66は、同様の特徴を有する他の適切なエンドエフェクタ又はバー又はリーマのような回転エンドエフェクタとして構成されてもよいことも考えられる。
【0023】
外科用システム60の図示される構成は、総称的に符号128によって示される測定モジュールをさらに備えている。測定モジュール128は、使用中に外科医に測定機能をもたらすために外科器具62に離脱可能に取り付けられるように構成されている。この目的を達成するために、
図4及び
図5に最もよく示されるように、測定モジュール128は、概して、ハウジング130、ガイドブッシュ132、測定プローブ134(すなわち、プローブ又は測定挿管)、及びセンサアセンブリ、ここでは、トランスデューサアセンブリ136を備えている。ハウジング130は、外科器具62に離脱可能に取り付け可能であり、概して、測定モジュール128の種々の構成部品を支持するようになっている。図示されるハウジング130は、互いに連結されるか又は互いに取り付けられる1対のハウジング構成部品138として形成され、測定モジュール128の洗浄又は点検を容易にするために分解されるように構成されている。測定モジュールは、外科器具の一体構成部品として形成されてもよいことを理解されたい。
【0024】
図示される構成では、ハウジング構成部品138及びガイドブッシュ132は、互いに相補的に形作られた特徴部を備えており、特徴部は、例えば、ハウジング構成部品138内に形成されたウエブ又はリブ内に嵌合するガイドブッシュ132に形成された(詳細に示されない)ノッチを介して、ハウジング構成部品138及びガイドブッシュ132間の相対的な軸方向移動及び回転移動を阻止するように配置されている。ガイドブッシュ132は、以下に詳細に説明するようにトランスデューサアセンブリ136と共に用いられる窓142をさらに備えている。
【0025】
測定プローブ134は、ガイドブッシュ132内に配置され、ハンドピースに対して軸AXに沿って平行移動するように支持されている。(
図2に部分的に示される)細長の凹溝143が、測定プローブ134に横断方向に形成され、長手方向に延びている。ここでは具体的に示されないが、細長の凹溝143は、移動停止要素を受け入れるように形作られかつ配置されている。移動停止要素は、ハウジング130によって支持され、同じようにガイドブッシュ132の側部に横断方向に形成された開口を貫通している。この構成は、測定プローブ134が軸方向においてガイドブッシュ132に対して前進又は後退し得る範囲を制限すると共に、測定プローブ134が軸AXを中心として回転するのを妨ぐように機能する。しかしながら、測定モジュール128は、本開示の範囲から逸脱することなく他の方法によって測定プローブ134の移動を制限又は阻止するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0026】
図示されるように、測定プローブ134は、トランスデューサアセンブリ136の歯車146と螺合して配置されたラック歯144をさらに備えている。
図5に示されるように、ガイドブッシュ132の窓142は、ラック歯144と歯車146との螺合を容易にするためにトランスデューサアセンブリ136に隣接して配置されている。歯車146は、共通歯車軸CAXに沿って延びるシャフト部分147を備えている。歯車146自体は、プローブ134がハウジング130に対して軸AXに沿って移動するにつれて、共通歯車軸CAXを中心として360°以上回転可能である。
【0027】
トランスデューサアセンブリ136は、軸AXに沿ったハウジング130に対する測定プローブ134の位置の変化を表す電気信号を生成するために、測定プローブ134の軸方向移動によって生じる歯車146の回転に応動するようになっている。従って、トランスデューサアセンブリ136は、外科器具62に増強された機能性をもたらすことができることを理解されたい。例を挙げると、いくつかの構成では、トランスデューサアセンブリ136は、制御器78と連通するように配置されている。制御器78は、例えば、処置対象物内への特定の穿孔深さにおいてドリルビット66の回転を緩めるために、測定プローブ134の移動に基づきモータ84の駆動を中断又は調整するように構成されるとよい。また、トランスデューサアセンブリ136は、外科医に測定プローブ134の移動に関する情報をもたらすために、例えば、実時間穿孔深さ、記録された履歴上の最大穿孔深さ等を表示するために、出力装置148、例えば、表示画面、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)等と連通するように配置されるとよく、他の構成もまた考えられる。
【0028】
制御器78は、ここに記載される機能を実行するために、命令を処理するための又はメモリに記憶されたアルゴリズムを処理するための1つ又は複数のマイクロプロセッサを備えている。代替的又は追加的に、制御器78は、ここに記載される機能を実行することができる1つ又は複数のマイクロコントローラ、サブコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、システム・オン・チップ、ディスクリート回路、及び/又は他の適切なハードウエア、ソフトウエア、又はファームウエアを備えていてもよい。制御器78は、
図5に示されるようにハンドピース本体74内又は外科医システム60内の他の場所に搭載されてもよいし、又は遠隔設置されてもよい。メモリは、データ及びコンピュータ可読命令の貯蔵に適するどのようなメモリであってもよい。例えば、メモリの例として、ローカルメモリ、外部メモリ、又はランダムアクセスメモリ(RAM)、非揮発性RAM(NVRAM)、又はフラッシュメモリとして具体化されるクラウドベースメモリ、又は任意の他の適切な形式のメモリが挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、制御器78は、時間経過を管理するために内部クロックを備えている。一実施形態では、内部クロックは、マイクロコントローラ・クロックである。マイクロコントローラ・クロックは、水晶共振器、セラミック共振器、抵抗器、キャパシタ(RC)発振器、又はシリコン発振器から構成されているとよい。ここに開示されるもの以外の内部クロックの例も十分に考えられる。内部クロックは、ハードウエア又はソフトウエアのいずれか又は両方によって実動されるとよい。いくつかの実施形態では、メモリ、マイクロプロセッサ、及びマイクロコントローラ・クロックは、協働して予め決められたタイミングパラメータに合わせて種々の構成部品に信号を送信し、該構成部品を操作するようになっている。
【0030】
ここに記載の実施形態では、
図6-
図8に最もよく示されるように、トランスデューサアセンブリ136は、少なくとも2つの回転センサ機器を備えている。これらの回転センサ機器は、ここでは、ハウジング部品138内に互いに近接して配置された1対のポテンショメータ500,501として示されている。次の説明を簡単にするために、以下、1対のポテンショメータ500,501について説明する。
【0031】
図7-
図8に最もよく示されるように、同一であってもよいし又は異なっていてもよいポテンショメータ500,501のそれぞれは、回転可能なポテンショメータであり、本体部分502と、本体部分502内に配置されたロータ部分507とを備えている。ポテンショメータ500,501のそれぞれのロータ部分507は、シャフト部分147を介して歯車146に連結され、これによって、歯車146が共通歯車軸CAXを中心として回転するのに合わせて回転可能である。本体部分502は、ハウジング部分138に固定して連結され、これによって、ロータ部分507が回転するときに回転しない。本体部分502は、いくつかの実施形態では、ハウジング部分138と一体である。特に、ポテンショメータ500,501のロータ部分507は、歯車146が回転するのに合わせて共通歯車軸CACを中心として360°回転可能である。換言すると、ポテンショメータ500,501は、本体部分502に対するロータ部分507の回転を360°未満に制限するストッパ(すなわち、停止部材)を備えない形式のものである。さらに換言すると、ロータ部分507は、歯車146と一緒に自在に回転する。
【0032】
本体部分502は、抵抗要素505に接続された1対の端子部分503,504を備えている。第1の端子部分503は、電源、例えば、バッテリ76に接続(すなわち、電気接続)され、電源から第1の基準信号(すなわち、所定の電圧)を受け入れる。第2の端子部分504は、第2の基準信号に接続されている。いくつかの実施形態では、第2の基準信号は、グラウンド(接地)である。端子部分503,504,506のそれぞれから延びる導体(例えば、フレックス回路)を収容する空洞として機能する本体部分502の内部通路(図示せず)が設けられている。また、本体部分502は、制御器78に接続(すなわち、電気接続)された第3の端子部分506も備えている。
【0033】
ポテンショメータ500,501のそれぞれのロータ部分507は、ワイパーアーム508も備えている。ワイパーアーム508は、共通歯車軸CAXから半径方向外方に延び、その半径方向外端部512は、抵抗要素505に接続(すなわち、接触又は電気接続)されるように構成されるか、又は本体部分502に対する共通歯車軸CAXを中心とするワイパーアーム508の相対的な回転位置決めに依存して、間隙511に沿って位置するように構成されている。ワイパーアーム508の他の部分、ここでは共通歯車軸CAXに対応する点で終端する半径方向内端部513として示される部分は、第3の端子部分506に接続(すなわち、電気接続)されている。歯車146は、シャフト部分147を介してそれぞれのロータ部分507のそれぞれに接続されている。従って、共通歯車軸CAXを中心とする歯車146の回転によって、共通歯車軸CAX及びそれぞれの静止本体部分502を中心とするポテンショメータ500,501のワイパーアーム508の同様の回転が生じることになる。
【0034】
抵抗要素505は、1対の端子部分503,504間に円弧長さALを画定する円弧状に形作られ、端子部分503,504間において本体部分502の表面に沿って配置されている。間隙511が、第2の端子部分504と第1の端子部分503との間において本体部分502の一部に沿って延び、抵抗要素505を備えない追加的な円弧長さAALを画定している。
【0035】
前述したように、半径方向内端部513から半径方向外端部512までのワイパーアーム508の半径(r)に対応するワイパーアーム508の長さは、ワイパーアーム508の半径方向外端部512が抵抗要素505に接続されるか又は間隙511に沿って位置するように構成され、これによって、ワイパーアーム508が共通歯車軸CAXを中心として360°回転すると、抵抗要素502の円弧長さAL及び間隙511の追加的な円弧長さAALは、ワイパーアーム508の半径方向外端部512によって画定される円弧に対応することになる。円弧長さAL及び追加的な円弧長さAALの合計に対応するこの円弧の全円弧長さは、2πrと等しい。但し、rは、半径方向外端部512から回転中心CAXまでのワイパーアーム508の半径長さとして定義される。
【0036】
いくつかの実施形態では、前述したように全円弧長さが2πrに等しい場合、抵抗要素505の円弧要素ALは、(歯車146の単一回転によるワイパーアーム508の360°の回転における330°以下に対応する)11πr/6以下であり、間隙511に対応する円弧長さAALは、(歯車146の単一回転によるワイパーアーム508の360°の回転における残り、すなわち、30°以上から360°未満に対応する)πr/6以上から2πr未満である。
【0037】
ポテンショメータ500,501の一方又は両方のワイパーアーム508が抵抗要素505に接触して位置すると、出力信号がワイパーアーム508から生成され、制御器78に送信される。この出力信号は、抵抗要素505の円弧長さALに沿ったワイパーアーム508の相対的な位置決めに対応し、第1の端子部分503から抵抗要素によって受信された第1の基準信号に関して換算される。ワイパーアーム508及び第3の端子部分506を通って制御器78によって受信される第1の基準信号の大きさは、当業者にとって明らかなように、ワイパーアーム508が第1の端子部分103の近くに位置するときに強く、ワイパーアーム508が第2の端子部分504に近い位置に回転されるにつれて徐々に弱くなる。逆に、ポテンショメータ500,501の1つのワイパーアーム508が間隙511内に位置するとき、中断信号がワイパーアーム508から生成されて制御器78に送信されるか又はどのような信号も生成されない(この間隙内の位置は、高オーミック抵抗に対応する浮遊位置として知られている)。制御器78によって受信された1つ又は複数の出力信号又は中断信号は、以下にさらに説明するように、制御器78内に記憶されたアルゴリズムによって解釈され、ハウジング130に対するプローブ100の相対的な位置を決定し、次いで、この情報を用いてドリルビットによって形成された処置対象物、例えば、組織又は骨の穿孔の相対的な深さを決定することになる。
【0038】
また、
図6-
図8に示されるように、対のポテンショメータ500,501は、これらのポテンショメータ500,501の少なくとも1つのワイパアーム508がこれらのポテンショメータ500,501のそれぞれのワイパーアーム508の相対的な回転位置決めに関わらず常にその該当する抵抗要素505に接触するように、z方向において互いに隣接して重ね合わされている。従って、常に、抵抗要素505に接触するワイパーアーム508を介して生成された少なくとも1つの出力信号が制御器78によって受信され、この出力信号を用いて、以下に詳細に説明するように、ドリルビットによって形成された処置対象物の穿孔の相対深さを決定することができる。
【0039】
これを達成するために、
図7及び
図8に示されるように、z方向から見たとき、一方のポテンショメータ500の本体部分502は、他方のポテンショメータ501の本体部分502に対して、第2のポテンショメータ501の抵抗要素505が少なくとも第1のポテンショメータ500の間隙511の全体に沿って並ぶように、共通歯車軸CAXを中心として回転方向に位置ずれしている。2つの抵抗要素505のこの回転方向の位置ずれは、
図7及び
図8に示されるように、z方向において、これらの抵抗要素505の相対的な配置を共通歯車軸CAXを中心として360°回転する歯車146の周辺に付された基準点146aと比較することによって、確認される。
【0040】
第1のポテンショメータ500の本体部分502に対する共通歯車軸CAXを中心とする第2のポテンショメータ501の本体部分502の回転は、
図7及び
図8に示されるように、デカルト座標系における回転角度によって規定されるとよい。具体的には、
図7A-
図7Cにおいて、デカルト座標系のx軸は、左右軸として示され、デカルト座標系のy軸は、上下軸として示され、z軸は、紙面の表から裏に向かう軸であるとよい。上位置は、0°で示され、下位置は、180°で示され、右位置及び左位置は、それぞれ、90°及び270°で示されている。例を挙げると、
図7A-
図7Cに示されるように、第1のポテンショメータ500の本体部分502を第2のポテンショメータ501の本体部分502に対して共通歯車軸CAXを中心として180°回転させ(又はこの逆に回転させ)、該本体部分502をこの姿勢に固定すると、その結果として、それぞれのポテンショメータ500,501の端子部分503,504,506は、互いに対して回転方向に180°位置ずれする(
図7A-
図7Cに示されるように、ポテンショメータ500の端子部分503,504,506は、180°の位置にあり、ポテンショメータ501の端子部分503,504,506は、0°の位置にある)。第2の例では、
図8に示されるように、第1のポテンショメータ500を第2のポテンショメータ501に対して共通歯車軸CAXを中心として反時計方向に90°回転させ、本体部分502をこの姿勢に固定すると、その結果として、それぞれのポテンショメータの端子部分503,504,506は、互いに対して回転方向に90°位置ずれする(
図8に示されるように、ポテンショメータ500の端子部分503,504,506は、0°の位置にあり、ポテンショメータ501の端子部分503,504,506は、90°の位置にある)。共通歯車軸CAXを中心とするポテンショメータ500,501の互いに対する他の回転方向の位置ずれも、その位置ずれがポテンショメータ500,501の少なくとも1つのワイパアーム508がその抵抗要素505に接触することを確実にするのに十分である限り、考えられることを理解されたい。いくつかの実施形態では、端子部分503,504間の間隙511は、回転方向の位置ずれの約30°に対応するので、回転方向の位置ずれは、互いに対して30°から330°の間の任意の角度、例えば、45°,60°,75°,105°,120°,150°,210°,270°等であるとよい。
【0041】
対のポテンショメータ500,501の抵抗要素505の回転方向の位置ずれを比較するために、基準点146aが歯車146の相対位置に付されている。説明及び図示を簡単にするために、
図7Aに示されるように、基準点146aは、z方向から見たときに第1のポテンショメータ500上の抵抗要素505と第1の端子部分503との交点に対応する歯車146上の位置に付されている。例示的に説明するために、歯車146は、第1の円弧領域146bと第2の円弧領域146cとに区分けされ、これらの領域146b,146cは、合計すると、360°の回転(すなわち、歯車146の完全な一回転)に対応する。第1の円弧領域146bは、z方向から見たときに第1のポテンショメータ500の抵抗要素505の円弧長さALに対応し、第2の円弧領域146cは、z方向から見たときに第1のポテンショメータの間隙511に関連付けられた追加的な円弧長さAALに対応する。静止基準領域である第1及び第2の円弧領域146b,146cは、歯車146及び基準点146aが共通軸CAXを中心として回転するときに回転せず、第1のポテンショメータ500の抵抗要素505の静止円弧長さAL及び間隙511の追加的円弧長さAALとの固定された等位関係を維持している。
【0042】
歯車146が第1の回転方向において共通歯車軸CAXを中心として回転すると、これに応じて、基準点146aが、歯車146の一回転ごとに共通歯車軸CAXを中心とする角回転経路AR(すなわち、円弧回転経路)に沿って第1の円弧領域146b及び第2の円弧領域146cを通って回転する。従って、歯車146が共通歯車軸CAXを中心として第1の回転方向に360°回転すると、歯車146の第1の回転方向における相対的な回転量に依存して、基準点146aは、常に第1の円弧領域146b又は第2の円弧領域146cのいずれかに位置する。
【0043】
図7Aを最初に参照すると、歯車146は、第1のポテンショメータ500のワイパーアーム508が抵抗要素505と端子部分503との交点に位置するように、位置決めされている。同時に、第2のポテンショメータ501のワイパーアーム508は、抵抗要素505上の第1及び第2の端子部分503,504間の点に位置決めされている。この位置において、基準点146aは、歯車146の第1の円弧領域146b内にあり、両方のワイパーアーム508は、それぞれの抵抗要素505への電気接続によって、出力信号を第3の端子部分506を通して制御器78に対して生成する。しかしながら、(ポテンショメータ500,501のそれぞれにおける第1の端子部分503を通って供給される第1の基準信号が同じであると仮定すると)、それぞれの出力信号の大きさは、ポテンショメータ500,501の第1及び第2の端子部分503,504に対するそれぞれのワイパーアーム508の位置決めに起因して、互いに異なる。
【0044】
図7Bにおいて、歯車146は、第1のポテンショメータ500のワイパーアーム508が抵抗要素505と第2の端子部分504との交点に位置決めされるように、かつ第2のポテンショメータのワイパーアーム508が
図7Aにおけるよりも第1の端子部分503の近くに位置決めされるように、回転されている。この位置では、基準点146aは、依然として歯車146の第1の円弧領域146b内にある(但し、この位置は、
図7Aの位置と異なる相対位置である)。この場合、両方のワイパーアーム508は、それぞれの抵抗要素への電気接続によって、出力信号を第3の端子部分506を通して制御器78に対して生成する。しかしながら、それぞれの出力信号の大きさは、
図7Aにおけるそれぞれの出力信号の大きさと異なっている。
【0045】
図7Cにおいて、歯車146は、第1のポテンショメータ500のワイパーアーム508が間隙511内に位置決めされるように及び第2のポテンショメータ501のワイパーアーム508が第1及び第2の端子部分503,504間の中央に近い位置において抵抗要素505に沿うように、回転されている。この位置において、基準点146aは、歯車146の第2の円弧領域146c内にあり、第2のポテンショメータ501のワイパーアーム508のみが出力信号を第3の端子部分506を通して制御器78に対して生成する。しかしながら、それぞれの出力信号の大きさは、
図7A及び
図7Bにおけるそれぞれの出力信号の大きさと異なっている。さらに、第1のポテンショメータ500の出力信号は、中断されている。なぜならば、ワイパーアーム508と抵抗要素5050との間に電気接触が存在せず、その結果、高い抵抗(メガオーム抵抗)をもたらすオープン浮遊状態を生じているからである。従って、制御器78は、第2のポテンショメータ501からの出力信号のみを受信し、(第1のポテンショメータ500からどのような信号も受信しないか又は中断信号を受信する)。
【0046】
図示されないが、歯車146が第2のポテンショメータ501のワイパーアーム508が間隙511内(すなわち、
図7A-
図7Cの紙面に沿って端子部分503,504間)に位置するように回転すると、第1のポテンショメータ500のワイパーアーム508は、抵抗要素505に沿って第1及び第2の端子部分503,504間の略中央に位置し、基準点146aは、第1の円弧領域146b内に位置する。この場合、第2のポテンショメータ501の出力信号は中断される。なぜならば、ワイパーアーム508と抵抗要素505との間に電気接触が存在しないからである。従って、制御器78は、第1の端子部分503を通して供給される第1の基準信号の略半分の出力信号のみを第1のポテンショメータ500から受信し、(第2のポテンショメータ501からどのような信号も受信しないか又は中断信号を受信する)。
【0047】
図7A-
図7Cに示されるように、歯車146が360°回転するときに基準点146aがどの位置にあっても、それぞれのポテンショメータ500,501におけるワイパーアーム508の少なくとも1つは、その該当する抵抗要素505に電気接続される。従って、基準点がどの位置にあっても、該当する出力信号が生成され、制御器78に送信され、この出力信号を用いて、以下にさらに詳細に説明するように、ドリルビットによって形成された処置対象物の穿孔の相対深さを決定することができる。
【0048】
さらに、
図7A-
図7Cは、基準点146aが第1の円弧領域146b内にあるとき、第1の円弧領域146b内のその相対位置に関わらず、第1のポテンショメータ500のワイパーアーム508がその該当する抵抗要素505と電気接触することを裏付けている。また、
図7A-
図7Cは、基準点146aが第2の円弧領域146c内にあるとき、第2の円弧領域146c内のその相対位置に関わらず、第2のポテンショメータ501のワイパーアーム508がその該当する抵抗要素505と電気接触することを裏付けている。換言すれば、
図7A-
図7Cの構成では、1対のポテンショメータ500,501における少なくとも1つのワイパーアーム508は、基準点146aが第1の円弧領域146b又は第2の円弧領域146cのいずれに位置しているかに関わらず、常にその該当する抵抗要素505と接触する。
【0049】
図8において、第2のポテンショメータ501の本体部分502は、第1のポテンショメータ500の本体部分502に対して(
図7A-
図7Cにおける180°と違って)90°回転している。
図7A-
図7Cの構成と同様、第1のポテンショメータ500に対する第2のポテンショメータ501の回転量は、第2のポテンショメータ501の間隙511が第1のポテンショメータ500の間隙511と真っすぐに並ばないことを確実にするのに十分である。
【0050】
従って、ここに記載される実施形態に示されるように、それぞれの抵抗要素505を回転方向に位置ずれさせるこの重合せ効果を達成するために、ポテンショメータ500,501は、ハウジング部分138に連結されたそれらの本体部分502が第2のポテンショメータ501の間隙511が第1のポテンショメータ500の間隙511と真っすぐに並ばないことを確実にするのに十分回転方向に位置ずれするように、歯車シャフト147に連結されている。換言すれば、もし第1及び第2のポテンショメータ500,501のそれぞれの抵抗要素505の円弧長さALが11πr/6(従って、間隙511がπr/6)ならば、共通歯車軸CAXを中心とする(πr/6から11πr/6の範囲に関連する)30°から330°の範囲内における第2のポテンショメータ501の本体部分502の回転位置決めよって、第1及び第2のポテンショメータ500,501のそれぞれの間隙511がz方向から見たときに互いに重ならないことが確実になる。
【0051】
換言すれば、
図7及び
図8は、互いに180°及び90°回転方向に位置ずれした対のポテンショメータ500,501のそれぞれの本体部分502を示しているが、ポテンショメータ500,501の他の回転方向における位置ずれも考えられる。具体的には、対のポテンショメータ500,501のそれぞれの本体部分502を共通歯車軸CAXを中心として30°から330°の範囲内の任意の角度だけ位置ずれさせ、それぞれの本体部分502をこの姿勢に固定することによって、歯車146の基準点146aにおける全ての相対位置にて(互いに連携して回転する)ワイパーアーム508の少なくとも1つがその該当する抵抗要素505に接触することが確実になる。換言すれば、
図7及び
図8に示される2つの実施形態によって代表される前述の対になった2つのポテンショメータ500,501を用いることによって、対のポテンショメータ500,501の少なくとも1つは、ポテンショメータ500,501のワイパーアーム508の回転位置決めに関わらず、常に非浮遊状態にあり、これによって、以下に示す方法によって穿孔深さを決定するために制御器78によって用いられる有効測定値をもたらすことが可能である。もちろん、3つ以上のポテンショメータをこのように用いることも可能である。
【0052】
次に、
図9及び
図10を参照すると、前述したようにドリル装置60のドリルビット66によって形成された処置対象物の穿孔深さを決定する方法も提供される。概して、
図9に示されるように、穿孔深さを決定するための論理700は、3つの基本ステップを含んでいる。最初、ステップ702において、ドリル装置60が処置対象物に対して位置決めされる。具体的には、ドリル装置60は、ドリルビット66の遠位端部180の切削チップ部分79が処置対象物に対して配置されるように、位置決めされる。次に、ステップ704において、ドリル装置60が作動され、ドリルビット66の切削チップ部分70を処置対象物内に前進させ、穿孔深さを有する孔又は穴を形成する。ステップ704の一部として、制御器78は、電源に指示し、(典型的には基準電圧の形態にある)第1の基準信号を第1の端子部分503を通してポテンショメータ500,501のそれぞれにおける抵抗要素505のそれぞれに送信させる。最終的に、ステップ706において、ステップ704中にハウジングに対するプローブの全移動量を決定することによって、穿孔深さが制御器78によって決定される。ステップ706の決定は、ドリル装置60による穿孔の終了後に行われてもよいし、又は穿孔中の任意の時点で行われてもよく、後者の場合、瞬間的な穿孔深さが決定され、連続的に更新されることになる。
【0053】
図10では、ステップ706の論理の細部についてさらに詳細に説明する。最初、ステップ708において、制御器78は、場合によっては、ドリル装置60を作動させる前記ステップの前に、歯車146の基準点146aの初期の又は第1の回転位置を決定する。具体的には、歯車146の基準点146aの初期の回転位置は、ステップ704においてドリル装置60が作動される前に、ステップ702においてドリル装置60が処置対象物に対して位置決めされたときに、少なくとも2つのワイパーアーム508のそれぞれにおける位置決めに基づいて決定される。この位置において、各初期信号が少なくとも2つのワイパーアーム508のうち少なくとも1つから生成される。各信号は、抵抗要素505上へのワイパーアーム508の位置決めに対応し、送給された第1の基準信号の関数として換算される。制御器78は、各初期信号を受信し、受信した各初期信号に基づき、歯車146の基準点146aの初期位置を決定する。基準点の初期位置の決定を助長するために、制御器78のメモリは、歯車146の大きさに関して記憶された情報を含むと共に、受信した初期入力信号の大きさを解釈して受信した初期入力信号の大きさに対応する歯車146の基準点146aの相対位置を識別することができる予め記憶されたアルゴリズムを含んでいる。
【0054】
ステップ710において、制御器78は、ドリル装置を作動させる前記ステップ中又は後に、少なくとも2つのポテンショメータ500,501によって、共通歯車軸CAXを中心とする単一の回転方向における歯車146の全回転の数を決定する。
【0055】
さらに具体的には、制御器78は、ステップ710中にポテンショメータ500,501の一方又は両方のワイパーアーム508から生成された明らかに別の中断信号の数を決定する。各中断信号は、歯車146が単一の回転方向に回転し、歯車146の基準点146aが第2の円弧領域146c内に入り、これによって、ポテンショメータ500,501の該当する一方又は両方(典型的には、第1のポテンショメータ500)のワイパーアーム508が間隙511内に位置したときに生じる。歯車146が単一の回転方向においてさらに回転し、ワイパーアーム508が、共通歯車軸CAXを中心とするして回転する方向に依存して、第1の端子部分503又は第2の端子部分504に対応する位置において抵抗要素505と接触し始めるときに、該中断信号が終了する。
【0056】
ステップ712において、ステップ704の後又はステップ704中の任意の時点において、制御器78は、歯車146の基準点146aの最終の又は第2の回転位置を決定する。具体的には、歯車146の基準点146aにおける最終の回転位置は、ドリル装置の作動が終了した後における少なくとも2つのワイパーアーム508のそれぞれにおける位置決めに依存して決定される。この位置において、最終の又は第2の各信号が、少なくとも2つのワイパーアーム508のうち少なくとも1つによって生成される。各信号は、抵抗要素505上のワイパーアームの位置決めに対応し、送信された第1の基準信号の関数として換算される。制御器78は、最終の又は第2の信号を受信し、制御器78のメモリ内に記憶されたアルゴリズムを利用し、受信した最終の又は第2の信号に基づき、歯車146の基準点146aの最終位置を決定する。
【0057】
ステップ714において、制御器78は、ステップ710の前記決定された初期の回転位置又は第1の回転位置と、ステップ712の前記決定された最終の回転位置又は第2の回転位置との間における歯車146の基準点146aにおける回転位置の変化を決定する。さらに具体的には、制御器78は、受信した初期の信号又は第1の信号と受信した最終の信号又は第2の信号とを比較し、制御器78のメモリ内に記憶されたアルゴリズムを用いて、比較された信号に基づき位置の変化を計算する。
【0058】
最終的に、ステップ716において、制御器78は、ステップ712中に生じた歯車146の決定された全回転の数及び決定されたステップ714における歯車146の基準点146aの決定された回転位置の変化から、穿孔深さを決定する。さらに具体的には、制御器78は、メモリ内に記憶されたアルゴリズムを利用し、決定された中断信号の数及び歯車146の基準点146aの決定された回転位置の変化に基づき、ハウジング130に対するプローブ100の相対的な移動量を計算し、決定された相対的な移動量に基づき穿孔深さをさらに計算する。ステップ716の一部として、制御器78は、出力信号をディスプレイ148に送信し、ドリル装置60のオペレータによって見える穿孔深さに対応する測定値をディスプレイ148上に表示するとよい。
【0059】
図10における論理700のステップのそれぞれにおいて、制御器78は、任意の単一の受信した初期信号及び任意の単一の受信した最終信号に基づき、又は両方の受信した初期信号又は両方の受信した最終信号に基づき(すなわち、ワイパーアーム508の両方が基準点146aの初期位置及び最終位置に対応するそれぞれの抵抗要素505に接触したとき、受信した組み合わせ初期信号又は受信した組み合わせ最終信号に基づき)、歯車146の基準点146aの初期の又は第1の位置及び最終の又は第2の位置を決定し、これによって、歯車146の基準点146aの初期位置及び最終位置を決定するように構成されてもよい。
【0060】
さらなる実施形態では、制御器78は、ステップ710中にポテンショメータ500,501のそれぞれから受信した生成信号を連続的に処理し、歯車146の基準点146の位置を連続的に決定するように構成されている。これに関して、制御器78は、ポテンショメータ500又は501の1つから受信した信号を当初の信号として利用し、歯車146の基準点146aの相対位置を連続的に決定し、当初の信号が中断状態にあるとき(すなわち、ポテンショメータ500又は511の該当する1つのワイパーアーム508が間隙511内に位置したとき)、ポテンショメータ500又は501の第2のものから受信した信号のみを利用するとよい。
【0061】
さらに、制御器78は、ポテンショメータ500又は501の1つから受信した中断信号の数に基づき歯車146の全回転の数を決定するように構成されてもよいし、又はポテンショメータ500,501の両方から受信した中断信号の数に基づき歯車146の全回転の数を決定するように構成されてもよい。
【0062】
さらなる実施形態では、
図7及び
図8に示されるようなz方向に重ね合わされた1対のポテンショメータ500,501を有する構成と対照的に、ポテンショメータ500,501は、x方向において左右に配置されてもよい。この場合、例えば、追加的な(図示されない)歯車が歯車146に螺合されるとよい。次いで、追加的な歯車の歯車シャフトが第2のポテンショメータ501のロータ部分307に連結されるとよい。歯車146の回転によって追加的な歯車が回転し、第1及び第2のポテンショメータ500,501の両方のワイパーアーム508が前述したように回転する。前述した
図7及び
図8の実施形態と同様の方法によって、第2のポテンショメータ501の本体部分502を位置決めすることによって、両方のワイパーアーム508の少なくとも1つが、常にその該当する抵抗要素505と接触する。
【0063】
本明細書に記載される外科用システム60は、単一ポテンショメータを利用する外科用ドリル装置の欠点に対処しながら、ドリル装置のドリルビット66によって形成された処置対象物の穿孔深さを正確に測定する方法を提供する。具体的には、ワイパーアームの少なくとも1つが歯車の基準点の位置に関わらずその該当する抵抗要素と接触するように構成された少なくとも2つのポテンショメータを利用することによって、浮遊状態を回避することができる。さらにまた、少なくとも1つの追加的なポテンショメータを組み入れることによって、歯車の直径を増大させることなく、歯車及び連結された単一回転ポテンショメータがワイパーアームが間隙内に位置するように回転しないことを確実なものとすることが可能になる。これは、ドリル装置に対する望ましくない大きさ及びドリル加工中の外科医の視野を妨げる可能性に関する単一ポテンショメータを有する外科用ドリル装置のさらなる欠点を解消することになる。
【0064】
本明細書に記載されるシステムは、非外科用途、例えば、組織以外の加工対象物、例えば、木材、金属、又はプラスチックの穿孔に用いられてもよいことを理解されたい。加えて、このシステムは、ドリルビット以外のエンドエフェクタと共に用いられてもよいことを理解されたい。
【0065】
以上、いくつかの構成について検討してきた。しかしながら、本明細書において検討した構成は、排他的であることを意図するものではなく、又は開示内容をどのような特定の形態に制限することも意図するものでもない。他の具体的な構成も考えられる。例えば、本明細書において、トランスデューサアセンブリにおける少なくとも2つのポテンショメータの使用に関して、ポテンショメータの第1のものが歯車の第2の円弧領域内の基準点を検出することができず、第2のポテンショメータが第2の円弧領域内の基準点を検出する構成が記載されているが、1対のポテンショメータ以外の追加的なポテンショメータを利用し、少なくとも1つのポテンショメータが第1及び第2の円弧領域内の全ての位置において歯車の基準点の回転位置を検出することができるようになっていてもよい。さらに、前述の複数のポテンショメータ又は回転センサ機器は、代表的に同一形式であるが、異なる形式又は異なる寸法の複数のポテンショメータ又は回転センサ機器が利用されてもよい。さらにまた、外科用ドリル装置に配置される他の形式のセンサ機器、例えば、測定精度を高めることができるホールセンサ等が、本明細書に記載される回転センサと連携して利用されてもよい。さらにまた、別々の歯車が独立してプローブに連結されることも考えられる。この場合、別々の歯車のそれぞれが1つ以上のポテンショメータに連結され、前述の回転センサ機器の構成に従って穿孔深さ及びハウジングに対する各プローブ位置の正確な測定を確実なものとするように構成されることも考えられる。さらにまた、前述のトランスデューサアセンブリの構成は、取り外し可能な測定モジュールに関して具体的に示されているが、歯車及びセンサ機器を備えるトランスデューサアセンブリが外科用ドリル装置の取り外し不能な部分に設けられることも考えられる。
【0066】
用いられてきた専門用語は、制限するためではなくむしろ説明するためであることが意図されている。上記の示唆に照らして多くの修正及び変更が可能であり、本開示は、具体的に記載される以外の方法によって実施されてもよい。
【0067】
用語「include」、「includes」、及び「including」(含む、有する)は、用語「comprise」、「comprises」、及び「comprising」(備える)と同じ意味を有することをさらに理解されたい。また、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」等の用語は、本明細書では明瞭さ及び一貫性を非制限的に例示する目的からいくつかの構造的特徴部及び構成部品を識別するために用いられることを理解されたい。
【0068】
本開示は、独立請求項において定義されることが意図され、具体的な特徴は、従属請求項に開示され、1つの独立請求項に従属する請求項の主題は、他の独立請求項と関連して実施されてもよい。
【0069】
また、本開示は、以下の条項を含んでおり、独立条項に開示される具体的な特徴は、上記の構成及び図面を参照して詳細に記載されたのと同じように具体的に実施されるとよい。
【0070】
[条項I]
外科器具に離脱可能に取り付けられるように構成された測定モジュールであって、
ハウジングと、
測定挿管と、
前記測定挿管に連結されて前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車を備えるトランスデューサアセンブリであって、前記歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が、第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域が、前記第2の円弧領域から離れている、トランスデューサアセンブリと、
少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれが前記歯車に連結されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータは、前記第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータは、少なくとも前記第2の円弧領域内の基準点における前記回転位置を検出するように構成され、前記第1の回転センサは、前記第2の円弧領域内の基準点を検出することができないようになっている、測定モジュール。
[条項II]
外科器具に離脱可能に取り付けられるように構成された測定モジュールであって、
ハウジングと、
測定挿管と、
トランスデューサアセンブリであって、
前記測定挿管に連結され、前記ハウジングに対する前記測定挿管の移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域が前記第2の円弧領域から離れている、歯車と、
少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つの回転センサ機器のそれぞれが、前記歯車に対して回転可能に固定されている、トランスデューサと
を備え、
第1の回転センサ機器が、前記第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、第2のセンサ機器は、前記第2の円弧領域内の基準点における前記回転位置を検出するように構成され、前記第1の回転センサ機器が、前記第2の円弧領域内の基準点を検出することができないようになっており、前記少なくとも2つの回転センサ機器が、それぞれ、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれにおける前記基準点の検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている、トランスデューサアセンブリと、
独立して生成された複数の前記出力信号のそれぞれを受信し、前記独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、ドリルビットによって形成された組織の穿孔の深さを決定するように構成されている制御器と
を備えている測定モジュール。
[条項III]
プローブ及びハウジングを有する外科用工具と共に用いられるトランスデューサアセンブリであって、
前記プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域が前記第2の円弧領域から離れている、歯車と、
少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれが前記歯車に連結されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータは、前記第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータは、少なくとも前記第2の円弧領域内の基準点における前記回転位置を検出するように構成され、前記第1のポテンショメータが、前記第2の円弧領域内の基準点を検出することができないようになっている、トランスデューサアセンブリ。
【0071】
[実施形態例1]
ドリルビットを作動させるように構成される外科用ドリル装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに移動可能に取り付けられたプローブであって、処置対象物に対応して配置されるように構成されたプローブと、
トランスデューサアセンブリであって、
前記プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域が前記第2の円弧領域から離れている、歯車と、
少なくとも2つのポテンショメータから構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれが前記歯車に連結されている、トランスデューサと
を備え、
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第1のポテンショメータが、前記第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち第2のポテンショメータが、少なくとも前記第2の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、前記第1のポテンショメータが、前記第2の円弧領域内の基準点を検出できないようになっている、トランスデューサアセンブリと
を備えている外科用ドリル装置。
[実施形態例2]
前記少なくとも2つのポテンショメータが、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれにおける前記基準点の検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている、実施形態例1に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例3]
前記ポテンショメータのそれぞれに連結された制御器をさらに備え、
前記制御器は、独立して生成された複数の前記出力信号のそれぞれを受信し、前記独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するように構成されている、実施形態例2に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例4]
ディスプレイをさらに備え、
前記制御器が、前記決定された穿孔深さに対応する穿孔深さ信号であって、前記ディスプレイによって受信される穿孔深さ信号を生成するように構成され、
前記穿孔深さ信号は、ユーザーが見ることができるように前記ディスプレイ上に表示される、実施形態例3に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例5]
前記少なくとも2つのポテンショメータのそれぞれは、
抵抗要素に電気接続された1対の端子部分を有する本体部分であって、前記1対の端子部分のうち一方の端子部分が、第1の基準信号を受信するように構成され、前記1対の端子部分のうち他方の端子部分が、第2の基準信号に接続され、前記抵抗要素が、前記1対の端子部分間の円弧長さを画定する円弧形状を有し、前記1対の端子部分が、追加的な円弧長さを画定する間隙によって互いに離れている、本体部分と、
前記本体部分内に連結されると共に前記歯車に連結されたロータ部分であって、ロータ部分が、前記本体部分の第3の端子部分に電気接続されたワイパーアームを備え、前記歯車の歯車軸を中心とする前記回転方向における回転によって、前記ワイパーアームのそれぞれが前記歯車軸を中心として前記回転方向に回転する、ロータ部分と
を備え、
各抵抗要素の円弧長さに沿った前記少なくとも2つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームのそれぞれの位置決めによって、各出力信号が前記第3の端子部分に生成され、各出力信号が、各抵抗要素の円弧長さに沿ったその相対的な位置決めに対応し、前記受信した第1の基準信号に関して換算され、
前記間隙内への前記少なくとも2つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームのそれぞれの位置決めによって、中断信号が生成され、
前記少なくとも2つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームのうち少なくとも1つワイパーアームは、前記歯車が前記歯車軸を中心として360°回転するときに、前記歯車の基準点における複数の回転位置のうち取り得る回転位置の1つずつに応じて前記円弧長さに沿ってその各抵抗要素に接続するように位置決めされるようになっている、実施形態例1~5のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例6]
各ポテンショメータに連結された制御器をさらに備え、
前記制御器が、前記独立して生成された各出力信号のを受信し、前記独立して生成された各出力信号に基づいて、前記ドリルビットによって形成された組織の前記穿孔の深さを決定するように構成されている、実施形態例5に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例7]
各ポテンショメータにおける前記本体部分上の抵抗要素の円弧長さは、11πr/6以下となっており、
rが、前記少なくとも2つのワイパーアームのそれぞれにおける半径長さとなっている、実施形態例5又は6に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例8]
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち1つのポテンショメータにおける前記本体部分が、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち他の1つのポテンショメータにおける前記本体部分に対して前記歯車軸を中心として0°よりも大きく360°よりも小さな角度にて回転している、実施形態例5~7のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例9]
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち1つのポテンショメータにおける前記本体部分が、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち他の1つのポテンショメータにおける前記本体部分に対して前記歯車軸を中心として30°から330°の範囲内の角度にて回転している、実施形態例5~8のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例10]
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち1つのポテンショメータにおける前記本体部分は、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち他の1つのポテンショメータにおける前記本体部分に対して前記歯車軸を中心として180°回転している、実施形態例5~9のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例11]
前記少なくとも2つのワイパーアームのうち少なくとも2つのポテンショメータが、前記歯車の基準点における複数の回転位置のうち少なくとも1つの回転位置にて各抵抗要素に電気接続されるように位置決めされる、実施形態例5~10のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例12]
前記少なくとも2つのワイパーアームのうち少なくとも2つのポテンショメータが、前記歯車の基準点における複数の回転位置のうち少なくとも1つの回転位置にて各抵抗要素に電気接続されるように位置決めされ、
前記接続された各ワイパーアームが、各出力信号を生成し、各出力信号が、各抵抗要素の円弧長さに沿ったその相対的な位置決めに対応し、前記受信した第1の基準信号に関して換算され、
前記制御器が、前記生成された各出力信号を受信しかつ組み合わせ、前記受信しかつ組み合わせた各出力信号に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するように構成されている、実施形態例6に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例13]
前記接続された各ワイパーアームが、各出力信号を生成し、各出力信号が、各抵抗要素の円弧長さに沿ったその相対的な位置決めに対応し、かつ前記受信した第1の基準信号に対応し、
前記制御器が、前記生成された複数の出力信号を受信し、前記生成された複数の出力信号のうち1つの生成された出力信号を選択し、前記生成された出力信号のうち前記1つの生成された出力信号に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するように構成されている、実施形態例12に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例14]
前記少なくとも2つのポテンショメータのうち1つのポテンショメータにおける前記ワイパーアームがその抵抗要素に接続されるように位置決めされたときに、前記制御器は、前記少なくとも2つのポテンショメータのうち前記1つのポテンショメータから前記生成された対応する出力電圧信号を受信し、前記生成された対応する出力信号に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するように構成されている、実施形態例6に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例15]
前記制御器は、前記歯車軸を中心として前記回転方向に回転する前記歯車における複数の全回転の数を決定するようにさらに構成され、
各全回転は、前記ハウジングに対する前記プローブの所定の移動量に対応し、
前記制御器は、前記生成された対応する各出力信号、前記生成された各中断信号、及び前記決定された複数の全回転の数に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの全移動量を決定するように構成されている、実施形態例3に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例16]
前記制御器は、前記歯車軸を中心として前記回転方向に回転する前記歯車における複数の全回転の数を決定するようにさらに構成され、
各全回転は、前記ハウジングに対する前記プローブの所定の移動量に対応しており、
前記制御器は、前記生成された対応する各出力信号、前記生成された各中断信号、及び前記決定された複数の全回転の数に基づいて、前記ハウジングに対する前記プローブの全移動量を決定するように構成されている、実施形態例6に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例17]
前記ハウジング内に配置された連結アセンブリであって、前記ドリルビットを離脱可能に連結するように構成された連結アセンブリをさらに備えている実施形態例1~16のいずれか一項に記載の外科用ドリル装置。
[実施形態例18]
ドリル装置に取り付けられたドリルビットによって形成された処置対象物の穿孔深さを決定するの方法であって、前記ドリル装置が、
ハウジングと、
前記ハウジングに連結されたプローブと、
前記プローブに連結された歯車と、前記歯車に連結された少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサとを備えるトランスデューサアセンブリと
を備えている、方法において、
前記歯車における第1の回転位置を決定するステップと、
前記決定された第1の回転位置から歯車軸を中心とする単一の回転方向における前記歯車における複数の全回転の数を決定するステップであって、各全回転が、前記ハウジングに対する前記プローブの所定の移動量に対応する、ステップと、
前記歯車における第2の回転位置を決定するステップであって、前記決定された第2の回転位置が、前記決定された第1の回転位置と同じか又は異なっている、ステップと、
前記決定された第1及び第2の回転位置と、前記歯車の前記決定された複数の全回転の数とから前記ハウジングに対する前記プローブの移動量を決定するステップと
を含む方法。
[実施形態例19]
前記ドリル装置はまた、前記トランスデューサアセンブリに連結された制御器を備え、
前記方法は、前記ハウジングに対する前記プローブの前記決定された移動量に対応する穿孔深さ信号を前記制御器によって生成するステップをさらに含む、実施形態例18に記載の方法。
[実施形態例20]
前記ドリル装置はまた、前記制御器に連結されたディスプレイを備え、
前記方法は、前記生成された穿孔深さ信号を前記ディスプレイ上に表示するステップをさらに含む、実施形態例19に記載の方法。
[実施形態例21]
前記少なくとも2つの回転センサ機器のそれぞれが、ポテンショメータから構成され、
複数の前記ポテンショメータのそれぞれが、
抵抗要素に接続された1対の端子部分を有する本体部分であって、前記1対の端子部分のうち一方の端子部分が、第1の基準信号を受信するように構成され、前記1対の端子部分のうち他方の端子部分が、第2の基準信号に接続され、前記抵抗要素が、前記1対の端子部分間の円弧長さを画定する円弧形状を有し、前記1対の端子部分が、追加的な円弧長さを画定する間隙によって互いに離れている、本体部分と、
前記本体部分内に連結されると共に前記歯車に連結されたロータ部分であって、ロータ部分が、第3の端子部分に接続されたワイパーアームを備え、前記歯車の歯車軸を中心とする前記単一の回転方向における回転によって、複数の前記ワイパーアームのそれぞれが前記歯車軸を中心として前記単一の回転方向に回転するようになっている、ロータ部分と
を備え、
各抵抗要素の円弧長さに沿った各ワイパーアームの位置決めによって、各出力信号が前記第3の端子部分に生成され、各出力信号は、各抵抗要素の円弧長さに沿ったその相対的な位置決めに対応し、かつ前記受信した第1の基準信号に対応し、
前記間隙内への各ワイパーアームの位置決めによって、中断信号が生成され、
前記複数のワイパーアームのうち少なくとも1つのワイパーアームは、前記歯車が前記歯車軸を中心として前記第1の回転方向に360°回転するときに、前記歯車における複数の回転位置のうち取り得る回転位置の1つずつに応じて前記円弧長さに沿ってその各抵抗要素に接続するように位置決めされる、実施形態例19又は20に記載の方法。
[実施形態例22]
前記ハウジングに対する前記プローブの全移動量を決定する前記ステップは、
前記1対の端子部分のうち前記一方の端子部分に前記第1の基準信号を供給するステップと、
前記ドリル装置が前記処置対象物に対して位置決めされた後で前記ドリル装置を作動させるステップの前に、前記歯車の初期回転位置に対応する各初期信号を前記少なくとも2つのワイパーアームのそれぞれから生成させるステップと、
前記生成された各初期信号を前記制御器に送信するステップと、
前記ドリル装置を作動させる前記ステップの後、前記歯車の最終回転位置に対応する前記少なくとも2つのワイパーアームのそれぞれにおける最終位置決めを決定するステップと、
前記ドリル装置を作動させる前記ステップの後、前記少なくとも2つのワイパーアームのそれぞれにおける前記決定された最終位置決めに対応する各最終信号を前記少なくとも2つのワイパーアームのそれぞれから生成させるステップと、
前記ドリル装置を作動させる前記ステップ中、前記少なくとも2つのワイパーアームのうち1つのワイパーアームから生成される明らかに別の中断信号の数を決定するステップと、
前記決定された明らかに別の中断信号の数に対応する追加的な信号を生成し、前記制御器に送信するステップと、
前記生成された各初期信号、前記生成された各最終信号、及び前記生成された追加的な信号を前記制御器によって処理するステップと、
前記処理された各初期信号、前記処理された各最終信号、及び前記処理された追加的な信号に対応する穿孔深さ信号を前記制御器によって生成するステップと
を含む実施形態例21に記載の方法。
[実施形態例23]
ドリルビットを作動させるように構成される外科用ドリル装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された連結アセンブリであって、前記ドリルビットを離脱可能に連結するように構成される連結アセンブリと、
前記ハウジングに移動可能に取り付けられるプローブであって、組織に対応して配置されるように構成されたプローブと、
トラスデュ―サアセンブリであって、
前記プローブに連結され、前記ハウジングに対する前記プローブの移動時に歯車軸を中心として360°を超えて回転するように構成された歯車であって、歯車が、前記歯車軸を中心とする角回転経路を有する基準点を有し、前記角回転経路が、第1の円弧領域と第2の円弧領域とに区分けされ、前記第1の円弧領域が前記第2の円弧領域から離れている、歯車と、
少なくとも2つの回転センサ機器から構成されるトランスデューサであって、前記少なくとも2つの回転センサ機器が前記歯車に回転可能に固定されている、トランスデューサと
を備え、
前記第1の回転センサ機器が、前記第1の円弧領域内の基準点における回転位置を検出するように構成され、第2の回転センサ機器が、前記第2の円弧領域内における前記基準点の回転位置を検出するように構成され、前記第1の回転センサ機器が、前記第2の円弧領域内の基準点を検出できないようになっており、前記少なくとも2つの回転センサ機器が、それぞれ、前記第1及び第2の円弧領域のそれぞれの基準点における前記検出された回転位置に対応する出力信号を独立して生成するように構成されている、トランスデューサアセンブリと、
独立して生成された複数の前記出力信号のそれぞれを受信し、前記独立して生成された複数の出力信号のそれぞれに基づいて、前記ドリルビットによって形成された前記組織の穿孔の深さを決定するように構成される制御器と、
を備えている外科用ドリル装置。