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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20240624BHJP
   H04N 25/779 20230101ALI20240624BHJP
   H04N 25/701 20230101ALI20240624BHJP
【FI】
H04N1/028 A
H04N25/779
H04N25/701
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021038316
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138434
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏木 実
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-152952(JP,A)
【文献】特開2009-130799(JP,A)
【文献】特開平08-008701(JP,A)
【文献】特許第3620440(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/119243(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/028
H04N 25/779
H04N 25/701
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数の画素が直線状に配列された画素部と、
前記複数の画素に対応する複数の転送ブロックを備えるアナログシフトレジスタと、
イミングジェネレータと、
前記タイミングジェネレータに接続される信号線上に直列に接続された複数の遅延素子と、
前記信号線上における前記複数の遅延素子の間の複数の分岐ノードに一端がそれぞれ接続され、前記複数の転送ブロックに他端がそれぞれ接続される複数のクロックドライバと、
備え、
前記画素部の前記複数の画素が、入射光を光電変換して信号電荷を発生し蓄積し、
前記タイミングジェネレータが、前記信号線にパルス信号を出力し、
前記複数の遅延素子が、受信する前記パルス信号を同一の遅延量だけそれぞれ遅延することで、前記複数の分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量をそれぞれ異ならせ、
前記複数のクロックドライバが、接続される分岐ノードから前記パルス信号をそれぞれ受信し、受信する前記パルス信号が経由した前記遅延素子の数に応じて、位相がそれぞれ異なる複数の駆動信号を生成し
前記複数の転送ブロックに前記複数の駆動信号がそれぞれ印加されることで、前記アナログシフトレジスタが、前記画素部から受けた前記信号電荷を一方向に転送する、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記信号線上における前記タイミングジェネレータに最も近い前記遅延素子は、前記一方向の上流側に配置され、
前記複数の分岐ノードの内の、前記上流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量は、前記一方向の下流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量よりも小さい、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記複数のクロックドライバの内の、
最も前記上流側にあるクロックドライバは、前記タイミングジェネレータと、最も前記上流側にある遅延素子と、の間の分岐ノードに接続され、
最も前記下流側にあるクロックドライバは、最も前記下流側にある遅延素子と、前記複数の転送ブロックの内の最も前記下流側にある転送ブロックと、の間に接続される、
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記信号線上における前記タイミングジェネレータに最も近い前記遅延素子は、前記一方向の下流側に配置され、
前記複数の分岐ノードの内の、前記下流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量は、前記一方向の上流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量よりも小さい、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記複数のクロックドライバの内の、
最も前記下流側にあるクロックドライバは、前記タイミングジェネレータと、最も前記下流側にある遅延素子と、の間の分岐ノードに接続され、
最も前記上流側にあるクロックドライバは、最も前記上流側にある遅延素子と、前記複数の転送ブロックの内の最も前記上流側にある転送ブロックと、の間に接続される、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記同一の遅延量は、1画素信号期間を、前記複数の転送ブロックの数で割った時間に相当する量である、
請求項1~5の何れか一項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
複数の画素が直線状に配列された画素部と、前記複数の画素に対応する複数の転送ブロックを備えるアナログシフトレジスタと、タイミングジェネレータと、前記タイミングジェネレータに接続される信号線上に直列に接続された複数の遅延素子と、前記信号線上における前記複数の遅延素子の間の複数の分岐ノードに一端がそれぞれ接続され、前記複数の転送ブロックに他端がそれぞれ接続される複数のクロックドライバと、を備える固体撮像装置の駆動方法であって、
前記画素部の前記複数の画素が、入射光を光電変換して信号電荷を発生し蓄積し、
前記タイミングジェネレータが、前記信号線にパルス信号を出力し、
前記複数の遅延素子が、受信する前記パルス信号を同一の遅延量だけそれぞれ遅延することで、前記複数の分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量をそれぞれ異ならせ、
前記複数のクロックドライバが、接続される分岐ノードから前記パルス信号をそれぞれ受信し、受信する前記パルス信号が経由した前記遅延素子の数に応じて、位相がそれぞれ異なる複数の駆動信号を生成し、
前記複数の転送ブロックに前記複数の駆動信号がそれぞれ印加されることで、前記アナログシフトレジスタが、前記画素部から受けた前記信号電荷を一方向に転送する、
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項8】
前記信号線上における前記タイミングジェネレータに最も近い前記遅延素子は、前記一方向の上流側に配置され、
前記複数の分岐ノードの内の、前記上流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量は、前記一方向の下流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量よりも小さい、
請求項7に記載の固体撮像装置の駆動方法。
【請求項9】
前記複数のクロックドライバの内の、
最も前記上流側にあるクロックドライバは、前記タイミングジェネレータと、最も前記上流側にある遅延素子と、の間の分岐ノードに接続され、
最も前記下流側にあるクロックドライバは、最も前記下流側にある遅延素子と、前記複数の転送ブロックの内の最も前記下流側にある転送ブロックと、の間に接続される、
請求項8に記載の固体撮像装置の駆動方法。
【請求項10】
前記信号線上における前記タイミングジェネレータに最も近い前記遅延素子は、前記一方向の下流側に配置され、
前記複数の分岐ノードの内の、前記下流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量は、前記一方向の上流側にある分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量よりも小さい、
請求項7に記載の固体撮像装置の駆動方法。
【請求項11】
前記複数のクロックドライバの内の、
最も前記下流側にあるクロックドライバは、前記タイミングジェネレータと、最も前記下流側にある遅延素子と、の間の分岐ノードに接続され、
最も前記上流側にあるクロックドライバは、最も前記上流側にある遅延素子と、前記複数の転送ブロックの内の最も前記上流側にある転送ブロックと、の間に接続される、
請求項10に記載の固体撮像装置の駆動方法。
【請求項12】
前記同一の遅延量は、1画素信号期間を、前記複数の転送ブロックの数で割った時間に相当する量である、
請求項7~11の何れか一項に記載の固体撮像装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置には、複数の画素を直線状に配列したリニアイメージセンサがある。リニアイメージセンサは、例えば複写機、ファクシミリ、イメージスキャナなどの画像読み取り装置に使用されている。
【0003】
固体撮像装置は、画素により入射光を光電変換して、信号電荷を生成する。生成された信号電荷は、例えばCCD(Charge Coupled Device)として構成されたアナログシフトレジスタにより転送され、アナログシフトレジスタの端部に設けられた出力部から、信号電荷量に応じたアナログの出力信号として出力される。固体撮像装置から出力された出力信号は、画像読み取り装置が備えるAFE(Analog Front End)等の信号処理IC(Integrated Circuit)によって、デジタル信号へ変換される。
【0004】
アナログシフトレジスタは、タイミングジェネレータが発生したパルス信号に基づきクロックドライバが生成した駆動信号により駆動される。このとき、画像読み取り装置をコストダウンしてかつ扱い易くするために、半導体チップとして構成された固体撮像装置に、タイミングジェネレータおよびクロックドライバを内蔵することがある。
【0005】
アナログシフトレジスタには、CCDを駆動するための多数の電極が設けられている。CCDは、電極の電位をハイレベルとローレベルに交互に変化させることで、電極下のポテンシャルを変化させ、信号電荷を転送する。電極に供給される電流量は、電位がハイレベルまたはローレベルに維持されているときは小さく、ハイレベルからローレベル、またはローレベルからハイレベルに遷移するときは大きくなる。従って、クロックドライバからアナログシフトレジスタの全ての電極に供給される電流の総量は大きく変動する。このため、クロックドライバを固体撮像装置に内蔵する構成では、CCD駆動時のクロックドライバの電流変動により、出力部から出力される出力信号にノイズが発生することがある。
【0006】
出力信号には、ノイズが重畳しているノイズ期間と、ノイズがほぼ重畳していない平坦期間とがあり、信号処理ICはA/D変換などの信号処理を平坦期間に行うことが望ましい。しかし、クロックドライバの電流変動が大きいと、信号処理ICが処理を行うのに必要な平坦期間が十分に確保できなくなる。特に、固体撮像装置を高速に動作させるために、タイミングジェネレータが発生するパルス信号のクロック数を上げる場合には、平坦期間がより短くなってしまう。その結果、信号処理ICは、ノイズ期間の出力信号も処理に用いることになり、本来の信号値とは異なるデジタル値にA/D変換され、結果的に画質が劣化することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-199507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、実施形態は、アナログシフトレジスタを駆動するクロックドライバを内蔵しても、出力信号の波形が劣化するのを軽減できる固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の固体撮像装置は、複数の画素が直線状に配列された画素部と、前記複数の画素に対応する複数の転送ブロックを備えるアナログシフトレジスタと、タイミングジェネレータと、前記タイミングジェネレータに接続される信号線上に直列に接続された複数の遅延素子と、前記信号線上における前記複数の遅延素子の間の複数の分岐ノードに一端がそれぞれ接続され、前記複数の転送ブロックに他端がそれぞれ接続される複数のクロックドライバと、を備え、前記画素部の前記複数の画素が、入射光を光電変換して信号電荷を発生し蓄積し、前記タイミングジェネレータが、前記信号線にパルス信号を出力し、前記複数の遅延素子が、受信する前記パルス信号を同一の遅延量だけそれぞれ遅延することで、前記複数の分岐ノードにおける前記パルス信号の遅延量をそれぞれ異ならせ、前記複数のクロックドライバが、接続される分岐ノードから前記パルス信号をそれぞれ受信し、受信する前記パルス信号が経由した前記遅延素子の数に応じて、位相がそれぞれ異なる複数の駆動信号を生成し、前記複数の転送ブロックに前記複数の駆動信号がそれぞれ印加されることで、前記アナログシフトレジスタが、前記画素部から受けた前記信号電荷を一方向に転送する
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係わる固体撮像装置のアナログシフトレジスタの模式的な断面図である。
図3】第1~第5の実施形態に係わる固体撮像装置のアナログシフトレジスタの駆動動作を示すタイミングチャートである。
図4】第2の実施形態に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図5】第3の実施形態に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図6】第4の実施形態に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図7】第5の実施形態に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図8】第1の比較例に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図9】第1の比較例に係わる固体撮像装置のアナログシフトレジスタの模式的な断面図である。
図10】第1および第2の比較例に係わる固体撮像装置のアナログシフトレジスタの駆動動作を示すタイミングチャートである。
図11】第2の比較例に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
図12】第2の比較例に係わる固体撮像装置のアナログシフトレジスタの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
【0012】
図1は、本実施形態に係わる固体撮像装置の概略の構成を示す図である。
【0013】
固体撮像装置1は、例えば1枚の半導体基板18(図2参照)上に構成されたリニアイメージセンサであり、画素部11と、シフトゲート12と、アナログシフトレジスタ13と、出力部14と、タイミングジェネレータ15と、クロックドライバ16と、遅延素子17とを備えている。
【0014】
画素部11は、入射光を光電変換して信号電荷を発生し蓄積する複数の画素11aが、直線状に配列されている。
【0015】
シフトゲート12は、画素部11からアナログシフトレジスタ13へ信号電荷を転送する。シフトゲート12は、複数の画素11aに対応する複数のシフトゲート電極12aを備え、複数のシフトゲート電極12aのそれぞれに電圧を印加することで、複数の画素11aに蓄積された信号電荷をアナログシフトレジスタ13の複数の転送ブロック13-1~13-nへそれぞれ転送する。ここで、nは正の整数である。画素部11の各画素11aが信号電荷の蓄積を開始した後に、シフトゲート電極12aに電圧を印加するタイミングを制御することで、画素11aによる信号電荷の蓄積時間が制御される。
【0016】
アナログシフトレジスタ13は、複数の画素11aに対応する複数の転送ブロック13-1~13-nを備え、複数の転送ブロック13-1~13-nに複数の駆動信号がそれぞれ印加されることで、シフトゲート12を介して画素部11から受けた信号電荷のそれぞれを一方向に転送する。
【0017】
出力部14は、アナログシフトレジスタ13の一方向の端部に設けられ、アナログシフトレジスタ13により転送された信号電荷を、信号電荷量に応じたアナログの出力信号OS(図3参照)に変換する。具体的に、出力部14は、転送ブロック13-nに隣接する部分に設けられている。従って、信号電荷が転送される一方向における、上流側に転送ブロック13-1が位置し、下流側に転送ブロック13-nが位置する。出力部14で変換されたアナログの出力信号OSは、固体撮像装置1から出力され、例えば固体撮像装置1の外部に設けられた信号処理回路によりA/D変換されて、デジタル信号処理が行われる。
【0018】
タイミングジェネレータ15は、パルス信号を出力する。
【0019】
クロックドライバ16は、複数設けられており、タイミングジェネレータ15から出力されたパルス信号に基づき、アナログシフトレジスタ13を駆動するための複数の駆動信号をそれぞれ生成する。本実施形態では、アナログシフトレジスタ13を、第1の駆動信号CK1と第2の駆動信号CK2とにより駆動するようになっており、i=1~nとすると、転送ブロック13-iに対して、第1の駆動信号CK1-iを印加するためのクロックドライバ16a-iと、第2の駆動信号CK2-iを印加するためのクロックドライバ16b-iと、がそれぞれ設けられている。
【0020】
図2は、本実施形態に係わる固体撮像装置1のアナログシフトレジスタ13の模式的な断面図である。
【0021】
半導体基板18の表面付近に、チャネル19が形成されている。チャネル19上には、図示しない絶縁体層を介して、複数の転送ゲート電極25が形成されている。図2の例では、1つの転送ブロックに対して4つの転送ゲート電極25が形成されている。具体的に、転送ブロック13-iに対しては、転送ゲート電極25-ia1,25-ia2,25-ib1,25-ib2が形成されている(図面が煩雑になるのを避けるために、図2にはi=1の符号例を示す)。
【0022】
これら4つの転送ゲート電極25の内の、転送ゲート電極25-ia1,25-ia2にはクロックドライバ16a-iが接続されて第1の駆動信号CK1-iが供給され、転送ゲート電極25-ib1,25-ib2にはクロックドライバ16b-iが接続されて第2の駆動信号CK2-iが供給される。
【0023】
図2に示すように、クロックドライバ16a-iの出力信号ラインとクロックドライバ16a-(i+1)の出力信号ラインは分断されて接続されておらず、クロックドライバ16b-iの出力信号ラインとクロックドライバ16b-(i+1)の出力信号ラインは分断されて接続されていない。このため、転送ブロック13-iの番号「i」とは異なる番号「j」の駆動信号CK1-j,CK2-jは、転送ブロック13-iへ供給されない。
【0024】
図3は、本実施形態および後述する第2~第5実施形態に係わる固体撮像装置1,1A~1Dのアナログシフトレジスタ13の駆動動作を示すタイミングチャートである。
【0025】
第1の駆動信号CK1-iおよび第2の駆動信号CK2-iは、それぞれ、ハイレベル(H)とローレベル(L)とを交番に繰り返すパルス信号であり、かつ第1の駆動信号CK1-iと第2の駆動信号CK2-iとは例えば逆位相の信号となっている。この場合、第1の駆動信号CK1-iがハイレベル(H)であれば第2の駆動信号CK2-iはローレベル(L)となり、第1の駆動信号CK1-iがローレベル(L)であれば第2の駆動信号CK2-iはハイレベル(H)となる。
【0026】
駆動信号CK1-i,CK2-iのハイレベル(H)とローレベル(L)が変化することで、各転送ゲート電極25-ia1,25-ia2,25-ib1,25-ib2下のチャンネル領域のポテンシャルが変化し、信号電荷のキャリアである例えば電子が、一方向に隣接するチャンネル領域へ順次転送される。
【0027】
遅延素子17は、タイミングジェネレータ15から出力されたパルス信号を遅延時間Tdiff(図3参照)だけ遅延することで、パルス信号の位相を調整する。遅延素子17は、複数の遅延素子17a-1~17a-n、および複数の遅延素子17b-1~17b-nを備えている。遅延素子17は、例えば、電気抵抗および電気容量の組み合わせにより信号を遅延する素子である。ただし、遅延素子17として、その他の構成を採用しても構わない。
【0028】
本実施形態においては、クロックドライバ16a-iは、信号線21を経由してタイミングジェネレータ15と接続され、クロックドライバ16b-iは、信号線22を経由してタイミングジェネレータ15と接続されている。タイミングジェネレータ15は、パルス信号を、信号線21,22へそれぞれ出力する。さらに、本実施形態では、複数のクロックドライバ16a-i(i=1~n)はタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線21に接続され、複数のクロックドライバ16b-i(i=1~n)はタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線22に接続されている。
【0029】
そして、第1の遅延素子17a-1は、信号線21からクロックドライバ16a-1へ向かう分岐ノードと、タイミングジェネレータ15と、の間に配置されている。その他の遅延素子17a-i(i=2~n)は、信号線21からクロックドライバ16a-(i-1)へ向かう分岐ノードと、信号線21からクロックドライバ16a-iへ向かう分岐ノードと、の間に配置されている。すなわち、複数の遅延素子17a-1~17a-nは、タイミングジェネレータ15と直列になるように、信号線21上に接続されている。
【0030】
同様に、第1の遅延素子17b-1は、信号線22からクロックドライバ16b-1へ向かう分岐ノードと、タイミングジェネレータ15と、の間に配置されている。その他の遅延素子17b-i(i=2~n)は、信号線22からクロックドライバ16b-(i-1)へ向かう分岐ノードと、信号線22からクロックドライバ16b-iへ向かう分岐ノードと、の間に配置されている。すなわち、複数の遅延素子17b-1~17b-nは、タイミングジェネレータ15と直列になるように、信号線22上に接続されている。
【0031】
この構成により、クロックドライバ16a-iは、遅延素子17a-1~17a-iによって位相調整されたパルス信号に基づき、駆動信号CK1-iを生成する。また、クロックドライバ16b-iは、遅延素子17b-1~17b-iにより位相調整されたパルス信号に基づき、駆動信号CK2-iを生成する。従って、タイミングジェネレータ15との間に配置された遅延素子17の数は、クロックドライバ16a-iがi=1~nの何れであるかに応じて異なり、クロックドライバ16b-iがi=1~nの何れであるかに応じて異なる。この構成を採用することで、駆動信号CK1-iはi=1~nのそれぞれで位相が異なり、駆動信号CK2-iはi=1~nのそれぞれで位相が異なる。
【0032】
ここで図3に示す1画素信号期間をSPとすると、遅延素子17a-1~17a-iのそれぞれがSP/nだけパルス信号を遅延する構成であり、かつ、遅延素子17b-1~17b-iのそれぞれがSP/nだけパルス信号を遅延する構成であることが好ましい。この場合、駆動信号CK1-(i+1)は駆動信号CK1-iよりもSP/nだけ遅延し、駆動信号CK2-(i+1)は駆動信号CK2-iよりもSP/nだけ遅延する。すなわち、隣接する2つの転送ブロック13-i,13-(i+1)に供給される2つの駆動信号CK1,CK2の位相差の値(遅延時間Tdiff)は、SP/nとなる。
【0033】
その結果、駆動信号CK1-iのハイレベル(H)とローレベル(L)が切り替わるタイミングは、iがi=1,2,…,nと変化するにつれてSP/nずつ遅れていく。また、駆動信号CK2-iのハイレベル(H)とローレベル(L)が切り替わるタイミングは、iがi=1,2,…,nと変化するにつれてSP/nずつ遅れていく。従って、駆動信号CK1-1~CK1-nおよび駆動信号CK2-1~CK2-nの電流値の合計ICKのピークが、図3に示すように、時間的に均等に分散して、経時変化が小さくなる。
【0034】
全てのクロックドライバ16に流れる電流の値ICKは、駆動前にI0であったとすると、アナログシフトレジスタ13全体を駆動したときに例えばI1付近の値に上昇する。しかし、それぞれのクロックドライバ16a-i,16b-iの電流値のピークがずれているために、I1付近で小さい振幅で変動するだけであり、大きな電流変動は生じない。
【0035】
ここで、図8は第1の比較例に係わる固体撮像装置101の概略の構成を示す図、図9は第1の比較例に係わる固体撮像装置101のアナログシフトレジスタ113の模式的な断面図、図10は第1および第2の比較例に係わる固体撮像装置101,101Aのアナログシフトレジスタ113の駆動動作を示すタイミングチャートである。
【0036】
図8に示すように、第1の比較例の固体撮像装置101は、半導体基板118(図9参照)上に構成されたリニアイメージセンサであり、画素部111と、シフトゲート112と、アナログシフトレジスタ113と、出力部114と、タイミングジェネレータ115と、クロックドライバ116とを備えている。
【0037】
画素部111に複数の画素が配列され、シフトゲート112が画素部111からアナログシフトレジスタ113へ信号電荷を転送し、アナログシフトレジスタ113が信号電荷を一方向へ転送し、タイミングジェネレータ115がパルス信号を出力するのは上述した実施形態と同様である。
【0038】
図9に示すように、アナログシフトレジスタ113は、半導体基板118に形成されたチャネル119と、チャネル119上に絶縁体層を介して形成された複数の転送ゲート電極125と、を備える。
【0039】
第1の比較例のクロックドライバ116は、信号線121を介してタイミングジェネレータ115と接続されたクロックドライバ116aと、信号線122を介してタイミングジェネレータ115と接続されたクロックドライバ116bと、を有する。クロックドライバ116aは、タイミングジェネレータ115から出力されたパルス信号に基づき、第1の駆動信号CK1を生成する。クロックドライバ116bは、タイミングジェネレータ115から出力されたパルス信号に基づき、第2の駆動信号CK2を生成する。
【0040】
図9に示すように、第1の駆動信号CK1は、複数の転送ゲート電極125の内の、例えば偶数番目の転送ゲート電極125の全てに印加される。第2の駆動信号CK2は、複数の転送ゲート電極125の内の、例えば奇数番目の転送ゲート電極125の全てに印加される。
【0041】
従って、2つのクロックドライバ116a,116bにより生成された第1、第2の駆動信号CK1,CK2が、アナログシフトレジスタ113に設けられた全ての転送ゲート電極125を同時に駆動する。
【0042】
このために、駆動前にはI0であった全てのクロックドライバ116に流れる電流の値ICKは、アナログシフトレジスタ113全体を駆動したときに、第1の駆動信号CK1と第2の駆動信号CK2のハイレベル(H)とローレベル(L)が切り替わるタイミングにおいて、例えば電流ピーク値I2まで急激に上昇する。ここに、第1の比較例の電流ピーク値I2を第1の実施形態の電流ピーク値I1と比較すると、I2≫I1である。
【0043】
また、第1の駆動信号CK1と第2の駆動信号CK2のハイレベル(H)とローレベル(L)が固定されているときは、電流値ICKはI0からほぼ変動しない。
【0044】
このような電流値ICKがI0からI2まで大きく経時変化する電流は、電源、グランド等を通じて出力信号OSに対するノイズとなる。ここで、1画素の信号電荷を転送する1画素信号期間SPにおいて、出力信号OSにノイズが発生する期間をノイズ期間NP、ノイズが発生しない期間を平坦期間FPとする。図10に示すように、出力部114からの出力信号OSにノイズ期間NPが生じると、1画素信号期間SPにおける平坦期間FPは短くなってしまう。
【0045】
特に、固体撮像装置101を高いクロック数で高速に動作させるときは、1画素信号期間SPが短くなるが、クロック数を変えてもノイズ期間NPは一定であるために、1画素信号期間SPが短縮された分だけ平坦期間FPが短くなってしまう。
【0046】
出力部114から出力されるアナログの出力信号OSは、固体撮像装置101の外部に設けられた信号処理回路によりA/D変換などの信号処理が行われる。平坦期間FPが、信号処理回路が信号処理を行うのに必要な期間に足りない場合、ノイズ期間NPに出力された出力信号OSも信号処理されることになり、本来の信号値とは異なる値として処理されてしまう。その結果、画質の劣化が生じることがあった。
【0047】
また、図11は第2の比較例に係わる固体撮像装置101Aの概略の構成を示す図、図12は第2の比較例に係わる固体撮像装置101Aのアナログシフトレジスタ113の模式的な断面図である。
【0048】
第2の比較例のクロックドライバ116は、タイミングジェネレータ115に対して、信号線121を介して複数のクロックドライバ116a-1~116a-nが並列に接続され、信号線122を介して複数のクロックドライバ116b-1~116b-nが並列に接続されている。
【0049】
従って、1つのクロックドライバ116a-i,116b-iの電流値は小さいが、全クロックドライバ116a-1~116a-nが同時に第1の駆動信号CK1を生成し、全クロックドライバ116b-1~116b-nが同時に第2の駆動信号CK2を生成するために、全てのクロックドライバ116に流れる電流の値ICKが、アナログシフトレジスタ113全体を駆動したときにほぼ電流ピーク値I2まで上昇するのは第1の比較例と同様である。
【0050】
従って、第2の比較例の構成においても、図10に示したように平坦期間FPが短くなり、本来の信号値とは異なる値として処理されてしまう場合が生じる。
【0051】
これに対して第1の実施形態によれば、図3に示したように、クロックドライバ16の駆動タイミングを分散したことで、電流値ICKのピークがI2よりも小さいI1に低減され、かつ電流値ICKの経時的な変動が抑制される。このために、出力部14からの出力信号OSにノイズ期間NPが基本的に生じることはなく、1画素信号期間SPのほぼ全てが平坦期間FPとなる。従って、アナログシフトレジスタ13を駆動するクロックドライバ16を内蔵した固体撮像装置1において、出力信号OSの波形が劣化するのを軽減できる。これにより、固体撮像装置1の外部に設けられた信号処理回路は、出力信号OSの本来の信号値に応じたデジタル信号値を得られ、画質の劣化を防止できる。また、外部の信号処理回路は、1画素信号期間SPのほぼ全てをA/D変換処理を含む信号処理に使用できるため、時間的な余裕をもって信号処理を行える。
【0052】
また、固体撮像装置1にタイミングジェネレータ15およびクロックドライバ16を内蔵したために、固体撮像装置1の外部にタイミングジェネレータおよびクロックドライバを設ける必要がなくなり、固体撮像装置1を搭載する画像読み取り装置の小型化および低コスト化を実現できる。
【0053】
さらに、固体撮像装置1単体で出力信号OSの波形の劣化が軽減されているために、クロックドライバ16から出力される駆動信号に起因するノイズを低減するための部品等を固体撮像装置1内に組み込む必要がなくなり、固体撮像装置1自体の小型化および低コスト化を実現できる。
(第2の実施形態)
【0054】
図4は、本実施形態に係わる固体撮像装置1Aの概略の構成を示す図である。第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0055】
第1の実施形態では、複数のクロックドライバ16a-1~16a-nはタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線21に接続され、複数のクロックドライバ16b-1~16b-nはタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線22に接続されていた。これに対して、本実施形態では、複数のクロックドライバ16a-1~16a-nは複数の信号線21-1~21-nを介してそれぞれ個別にタイミングジェネレータ15と接続され、複数のクロックドライバ16b-1~16b-nは信号線22-1~22-nを介してそれぞれ個別にタイミングジェネレータ15と接続されている。
【0056】
タイミングジェネレータ15は、信号線21-1~21-nに対してそれぞれ異なる位相のパルス信号を出力し、信号線22-1~22-nに対してそれぞれ異なる位相のパルス信号を出力する。
【0057】
このとき、信号線21-(i+1)に出力されるパルス信号の位相は、信号線21-iに出力されるパルス信号の位相よりもSP/nだけ遅延していることが好ましい。同様に、信号線22-(i+1)に出力されるパルス信号の位相は、信号線22-iに出力されるパルス信号の位相よりもSP/nだけ遅延していることが好ましい。
【0058】
これにより、クロックドライバ16a-1~16a-nは図3に示したような駆動信号CK1-1~CK1-nをそれぞれ発生し、クロックドライバ16b-1~16b-nは図3に示したような駆動信号CK2-1~CK2-nをそれぞれ発生して、転送ブロック13-1~13-nを駆動する。従って、全てのクロックドライバ16に流れる電流の値ICK、および出力信号OSの波形も図3と同様になる。
【0059】
第2の実施形態によれば、タイミングジェネレータ15と複数のクロックドライバ16とを個別の信号線により接続し、タイミングジェネレータ15から複数のクロックドライバ16へ出力するパルス信号の位相をそれぞれ異ならせることによっても、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
(第3の実施形態)
【0060】
図5は、本実施形態に係わる固体撮像装置1Bの概略の構成を示す図である。第3の実施形態では、第1,2の実施形態と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0061】
本実施形態では、複数のクロックドライバ16a-i(i=1~n)は、複数の遅延素子17a-i(i=1~n)とそれぞれ直列に接続され、複数のクロックドライバ16b-i(i=1~n)は、複数の遅延素子17b-i(i=1~n)とそれぞれ直列に接続されている。
【0062】
そして、直列に接続されたクロックドライバ16a-iおよび遅延素子17a-iを1組とすると、n組がタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線21に接続されている。同様に、直列に接続されたクロックドライバ16b-iおよび遅延素子17b-iを1組とすると、n組がタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線22に接続されている。
【0063】
複数の遅延素子17a-1~17a-nは遅延量がそれぞれ異なり、複数の遅延素子17b-1~17b-nは遅延量がそれぞれ異なる。このとき、遅延素子17a-iおよび遅延素子17b-iの遅延量が、(i×SP)/nであると好ましい。
【0064】
これにより、クロックドライバ16a-1~16a-nは図3に示したような駆動信号CK1-1~CK1-nをそれぞれ発生し、クロックドライバ16b-1~16b-nは図3に示したような駆動信号CK2-1~CK2-nをそれぞれ発生して、転送ブロック13-1~13-nを駆動する。従って、全てのクロックドライバ16に流れる電流の値ICK、および出力信号OSの波形も図3と同様になる。
【0065】
第3の実施形態によれば、クロックドライバ16a-iと遅延素子17a-iを直列に接続した組をn組設けて、n組をタイミングジェネレータ15と並列になるように接続し、クロックドライバ16b-iと遅延素子17b-iを直列に接続した組をn組設けて、n組をタイミングジェネレータ15と並列になるように接続した場合でも、番号「i」が異なる複数の遅延素子17の遅延量をそれぞれ異ならせることで、上述した第1および第2の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
(第4の実施形態)
【0066】
図6は、本実施形態に係わる固体撮像装置1Cの概略の構成を示す図である。第4の実施形態では、第1~3の実施形態と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0067】
本実施形態の固体撮像装置1Cは、図5に示した固体撮像装置1Bに対して、タイミングジェネレータ15から出力されたパルス信号の減衰や遅延を補償するために、パルス信号を増幅する中継器20を1つ以上設けた構成となっている。
【0068】
画素部11に複数の画素11aが一方向に配列された固体撮像装置1は、一方向に直交する方向の長さに比べて、一方向の長さが長い。従って、タイミングジェネレータ15から発生されたパルス信号を一方向に伝送する場合、配線の長さ(配線抵抗、寄生容量等)によるパルス信号の減衰および遅延(位相ずれ)を無視できない場合がある。さらに、遅延素子17が、上述したような電気抵抗および電気容量の組み合わせにより信号を遅延する素子である場合、遅延素子17の負荷によりパルス信号が減衰する。また、クロックドライバ16の負荷もパルス信号が減衰し位相ずれが生じる要因となる。そこで、こうしたパルス信号の減衰や遅延を補償するために中継器20を設けている。
【0069】
中継器20は、図6に示す例では、タイミングジェネレータ15と並列になるように信号線21に接続された例えば2つの中継器20a-1,20a-2と、タイミングジェネレータ15と並列になるように信号線22に接続された例えば2つの中継器20b-1,20b-2と、を備えている。
【0070】
中継器20a-1に対して、クロックドライバ16a-iおよび遅延素子17a-iの幾つかの組が並列に接続され、中継器20a-2に対して、クロックドライバ16a-iおよび遅延素子17a-iの他の組が並列に接続される。例えば、nが偶数であって2つの中継器20a-1,20a-2に対してn組を等分に配置する場合、中継器20a-1にi=1~(n/2)の組が接続され、中継器20a-2にi={(n/2)+1}~nの組が接続される。
【0071】
同様に、中継器20b-1に対して、クロックドライバ16b-iおよび遅延素子17b-iの幾つかの組が並列に接続され、中継器20b-2に対して、クロックドライバ16b-iおよび遅延素子17b-iの他の組が並列に接続される。例えば、nが偶数であって2つの中継器20b-1,20b-2に対してn組を等分に配置する場合、中継器20b-1にi=1~(n/2)の組が接続され、中継器20b-2にi={(n/2)+1}~nの組が接続される。
【0072】
なお、タイミングジェネレータ15が、例えば図6に示すように、信号電荷が転送される一方向における上流側の端部に設けられている場合、中継器20a-2は中継器20a-1よりもタイミングジェネレータ15からの距離が遠く、中継器20b-2は中継器20b-1よりもタイミングジェネレータ15からの距離が遠い。従って、距離に応じたパルス信号の減衰率の相違を考慮して、中継器20a-2と中継器20a-1との増幅率を異ならせ、中継器20b-2と中継器20b-1との増幅率を異ならせてもよい。
【0073】
その後、複数の遅延素子17が、中継器20から配分されたパルス信号をそれぞれ異なる遅延量で遅延して位相を調整するのは、第3の実施形態と同様である。
【0074】
なお、第4の実施形態では、第3の実施形態の構成に対して中継器20を追加する例を説明したが、これに限らず、第1~第3,第5の実施形態の構成に対して中継器20を追加しても構わない。一例を挙げれば、図4に示した第4の実施形態の構成に対して中継器20を追加する場合には、タイミングジェネレータ15と、複数のクロックドライバ16との間に、タイミングジェネレータ15から出力されたパルス信号を中継する中継器20を1つ以上設ければ良い。具体的には、信号線21-1~21-nおよび信号線22-1~22-nのそれぞれに中継器20を設けても良い。
【0075】
第4の実施形態によれば、上述した3の実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、中継器20を設けたために、タイミングジェネレータ15から出力されたパルス信号の、配線の長さ(配線抵抗、寄生容量等)による位相ずれ、およびクロックドライバ16等の負荷による位相ずれを避けられる。
(第5の実施形態)
【0076】
図7は、本実施形態に係わる固体撮像装置1Dの概略の構成を示す図である。第5の実施形態では、第1~4の実施形態と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0077】
本実施形態では、アナログシフトレジスタ13の複数の転送ブロック13-1~13-nは、信号電荷が転送される一方向における、上流側に転送ブロック13-nが位置し、下流側に転送ブロック13-1が位置している。従って、出力部14は、転送ブロック13-1に隣接する部分に設けられている。
【0078】
複数のクロックドライバ16a-i(i=1~n)はタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線21に接続され、複数のクロックドライバ16b-i(i=1~n)はタイミングジェネレータ15と並列になるように信号線22に接続されている。ここで、タイミングジェネレータ15から出力されるパルス信号の上流側にクロックドライバ16a-1,16b-1が配置され、下流側にクロックドライバ16a-n,16b-nが配置される。クロックドライバ16a-i,16b-iは、転送ブロック13-iと接続される。
【0079】
信号線21上における、クロックドライバ16a-(i-1)への分岐ノードと、クロックドライバ16a-iへの分岐ノードとの間に、遅延素子17a-iが配置されている(i=2~n)。信号線22上における、クロックドライバ16b-(i-1)への分岐ノードと、クロックドライバ16b-iへの分岐ノードとの間に、遅延素子17b-iが配置されている(i=2~n)。
【0080】
なお、本実施形態においては、信号線21上におけるクロックドライバ16a-1への分岐ノードとタイミングジェネレータ15との間の遅延素子17a-1と、信号線22上におけるクロックドライバ16b-1への分岐ノードとタイミングジェネレータ15との間の遅延素子17b-1と、を省略している。n個のクロックドライバ16の位相をそれぞれ異ならせることは、(n-1)個の遅延素子17により可能となるために、遅延素子17a-1,17b-1を省略する構成を、他の実施形態に適用しても構わない。
【0081】
また、図7に示す構成例では、タイミングジェネレータ15を固体撮像装置1Dの右側に配置しているために、信号線21および信号線22の配線長が長くなっている。そこで、固体撮像装置1Dの構成上可能であれば、タイミングジェネレータ15を固体撮像装置1Dの左側に配置して、信号線21および信号線22の配線長を短くしてもよい。
【0082】
第1の実施形態の構成では、上流側の転送ブロック13-1から下流側の転送ブロック13-nへ向けて動作タイミングが徐々に遅れていたが、本実施形態の構成では、下流側の転送ブロック13-1から上流側の転送ブロック13-nへ向けて動作タイミングが徐々に遅れる。
【0083】
第5の実施形態によれば、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0084】
また、第1~第4の実施形態において、出力部14から出力信号OSとして最初に出力されるのは、画素11aから転送ブロック13-nへ転送された信号電荷であり、転送ブロック13-nに印加される駆動信号CK1-n,CK2-nの遅延量は、例えばSPである。これに対し、本実施形態において、出力部14から出力信号OSとして最初に出力されるのは、画素11aから転送ブロック13-1へ転送された信号電荷であり、転送ブロック13-1に印加される駆動信号CK1-1,CK2-1の遅延量は、例えば0である。従って、本実施形態では、出力部14からの出力信号OSの出力開始を、第1の実施形態よりも早くできる。
【0085】
加えて、遅延素子17a-1,17b-1を省略したために、出力信号OSの出力開始をより早くし、かつ構成をより簡単にできる。
【0086】
なお、上述した幾つかの実施形態においては、遅延素子17を明示的に設けたが、これに限定されず、配線自体の寄生容量および寄生抵抗による遅延効果を利用するようにしても構わない。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1,1A-1D 固体撮像装置、11 画素部、11a 画素、12 シフトゲート、12a シフトゲート電極、13 アナログシフトレジスタ、13-1~13-n 転送ブロック、14 出力部、15 タイミングジェネレータ、16 クロックドライバ、17 遅延素子、18 半導体基板、19 チャネル、20 中継器、21,22 信号線、25 転送ゲート電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12