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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】日除け具
(51)【国際特許分類】
   A45B 11/02 20060101AFI20240624BHJP
   A45B 11/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A45B11/02
A45B11/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021039152
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022138968
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】523375696
【氏名又は名称】櫻井 康成
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康成
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/172926(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02390529(GB,A)
【文献】特開平10-234442(JP,A)
【文献】特開2019-042135(JP,A)
【文献】特開2020-078372(JP,A)
【文献】登録実用新案第3214702(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0296938(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0329834(US,A1)
【文献】米国特許第04170242(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1372689(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 1/00-25/30
A42B 1/04
B62J17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着者の頭上を覆うように形成された天部と、同被装着者の背中に沿うように前記天部に対し交差状に接続された背部とを備え、
前記天部と前記背部は、非通気性の可撓性材料により一体的に構成され、
前記天部及び前記背部の内部には、これら二つの部位に跨って連続し密閉された気体室が設けられ、
前記気体室と外部を仕切る壁部には、開閉可能な通気口が設けられ、
前記通気口により前記気体室に気体が注入されることで、前記天部と前記背部が前記交差状の位置関係を保持するようにし
前記天部は、前後方向へ延設された中空パイプ状の天部フレームを備え、
前記背部は、前記天部フレームの後端側に接続されて下方へ延設された中空パイプ状の背部フレームを備え、
前記天部フレーム及び前記背部フレームは、被装着者の頭部を間に置くように左右に二つ設けられ、これら左右の天部フレーム及び背部フレームの間には、少なくとも被装着者の頭上を覆うようにシート部が張設され、
前記天部フレームと前記背部フレームの間に支承フレームが設けられ、前記支承フレームは、一端部を前記天部フレームにおける前記背部フレームとの接続箇所よりも前方側に接続するとともに、他端部を前記背部フレームにおける前記天部フレームとの接続箇所よりも下方側に接続しており、
前記天部フレーム、前記背部フレーム及び前記支承フレームの内部は、連通して前記気体室を構成し、
前記支承フレームが、被装着者の肩に載るように形成されていることを特徴とする日除け具。
【請求項2】
前記シート部が、着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項記載の日除け具。
【請求項3】
左側の前記天部フレーム及び前記背部フレームと、右側の前記天部フレーム及び前記背部フレームとの間に接続された接続フレームを備え、
前記天部フレーム、前記背部フレーム及び前記接続フレームの内部が連通して前記気体室を構成することを特徴とする請求項1又は2記載の日除け具。
【請求項4】
被装着者に着脱可能な着脱具が設けられていることを特徴とする請求項1~何れか1項記載の日除け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被装着者に装着されて被装着者が日射や雨等を受けるのを防ぐ日除け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、人の背中に背負うことが可能な平板状の背負い容器と、前記背負い容器に収納可能に構成される頭上保護部と、前記背負い容器に収納可能に構成される肩保護部と、これら各部間に接続された張架ロープとを備えた背負い式傘携帯セットがる。
そして、特許文献1には、「両手をフリーにした状態で任意の場所に自由に持ち運び携帯して、必要時にも両手をフリーにした状態で展開して日射や雨から身体を保護することが可能な背負い式傘携帯セットを提供できる」という作用効果が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020―78372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、部品点数が多いため被装着者が装着する際に組立方法を即座に理解し難いこと、収納時に張架ロープ等が絡み易く装着時にはこの絡んだ張架ロープ等を解く必要があること等、改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
被装着者の頭上を覆うように形成された天部と、同被装着者の背中に沿うように前記天部に対し交差状に接続された背部とを備え、前記天部と前記背部は、非通気性の可撓性材料により一体的に構成され、前記天部及び前記背部の内部には、これら二つの部位に跨って連続し密閉された気体室が設けられ、前記気体室と外部を仕切る壁部には、開閉可能な通気口が設けられ、前記通気口により前記気体室に気体が注入されることで、前記天部と前記背部が前記交差状の位置関係を保持するようにし、前記天部は、前後方向へ延設された中空パイプ状の天部フレームを備え、前記背部は、前記天部フレームの後端側に接続されて下方へ延設された中空パイプ状の背部フレームを備え、前記天部フレーム及び前記背部フレームは、被装着者の頭部を間に置くように左右に二つ設けられ、これら左右の天部フレーム及び背部フレームの間には、少なくとも被装着者の頭上を覆うようにシート部が張設され、前記天部フレームと前記背部フレームの間に支承フレームが設けられ、前記支承フレームは、一端部を前記天部フレームにおける前記背部フレームとの接続箇所よりも前方側に接続するとともに、他端部を前記背部フレームにおける前記天部フレームとの接続箇所よりも下方側に接続しており、前記天部フレーム、前記背部フレーム及び前記支承フレームの内部は、連通して前記気体室を構成し、前記支承フレームが、被装着者の肩に載るように形成されていることを特徴とする日除け具。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、組立性及び収納性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る日除け具の一例について、使用状態を示す態斜視図である。
図2】同日除け具の正面図である。
図3】同日除け具の側面図である。
図4】同日除け具を斜め後方側から視た斜視図である。なお、長さ調整具及び着脱調整具は省略している。
図5】同日除け具の要部断面図である。なお、長さ調整具及び着脱調整具は省略している。
図6】本発明に係る日除け具の他例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、被装着者の頭上を覆うように形成された天部と、同被装着者の背中に沿うように前記天部に対し交差状に接続された背部とを備え、前記天部と前記背部は、非通気性の可撓性材料により一体的に構成され、前記天部及び前記背部の内部には、これら二つの部位に跨って連続し密閉された気体室が設けられ、前記気体室と外部を仕切る壁部には、開閉可能な通気口が設けられ、前記通気口により前記気体室に気体が注入されることで、前記天部と前記背部が前記交差状の位置関係を保持するようにした(図1図5参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記天部は、前後方向へ延設された中空パイプ状の天部フレームを備え、前記背部は、前記天部フレームの後端側に接続されて下方へ延設された中空パイプ状の背部フレームを備え、前記天部フレーム及び前記背部フレームの内部が連通して前記気体室を構成する(図1図5参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記天部フレーム及び前記背部フレームは、被装着者の頭部を間に置くように左右に二つ設けられ、これら左右の天部フレーム及び背部フレームの間には、少なくとも被装着者の頭上を覆うようにシート部が張設されている(図1図5参照)。
【0011】
第四の特徴として、前記シート部が、着脱可能に設けられている(図3図4参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記天部フレームと前記背部フレームの間に支承フレームが設けられ、前記支承フレームは、一端部を前記天部フレームにおける前記背部フレームとの接続箇所よりも前方側に接続するとともに、他端部を前記背部フレームにおける前記天部フレームとの接続箇所よりも下方側に接続しており、前記天部フレーム、前記背部フレーム及び前記支承フレームの内部は、連通して前記気体室を構成する(図1図5参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記支承フレームが、被装着者の肩に載るように形成されている(図1参照)。
【0014】
第七の特徴として、左側の前記天部フレーム及び前記背部フレームと、右側の前記天部フレーム及び前記背部フレームとの間に接続された接続フレームを備え、前記天部フレーム、前記背部フレーム及び前記接続フレームの内部が連通して前記気体室を構成する(図1図5参照)。
【0015】
第八の特徴として、被装着者に着脱可能な着脱具が設けられている(図1参照)。
【0016】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
この日除け具1は、被装着者Mの頭上を前後方向へわたって覆うように形成された天部Aと、同被装着者Mの背中に沿うように天部Aに対し交差状に接続されて下方へ延設された背部Bとを備え、内部の気体室Cに空気等の気体が注入されることで、天部Aと背部Bが略直角の位置関係を保持する(図1図5参照)。
【0017】
天部A及び背部Bは、非通気性かつ可撓性の材料により一体的に構成され、その内部に、これら二つの部位(天部Aと背部B)に跨って密閉された気体室C(図5参照)を有する。
前記材料は、軟質合成樹脂材料やゴム材料等からなる非通気性かつ可撓性のシート材(例えば、ポリウレタンや、軟質塩化ビニール、クロロプレンゴム等からなるシート材)、あるいは、前記材料に布やその他の可撓性シートを積層してなるシート材等とすればよい。
【0018】
天部A及び背部Bは、前後方向へ延設された左右二つの天部フレーム10,10と、これら天部フレーム10,10の後端側にそれぞれ接続されて下方へ延設された左右の背部フレーム20,20と、右側の天部フレーム10及び背部フレーム20と、左側の天部フレーム10及び背部フレーム20との間に接続された接続フレーム30,40,80と、左右の天部フレーム10及び背部フレーム20にそれぞれ設けられた支承フレーム50,50と、少なくとも被装着者Mの頭上を覆うように張設されたシート部60と、被装着者Mに着脱可能な着脱具70とを具備する。
【0019】
天部フレーム10,10、背部フレーム20,20、接続フレーム30,40,80、支承フレーム50,50は、それぞれ中空パイプ状(別表現すれば筒状)に形成され、これらの内部が連通して密閉された単一の気体室Cを構成する。
【0020】
天部フレーム10は、被装着者Mの頭部を間に置くように間隔を置いて、左右両側に二つ設けられる。
これら左右の天部フレーム10,10は、略平行しており、被装着者Mに装着された状態で、前端側が被装着者Mよりも前方へ突出する。
各天部フレーム10は、前後方向へ略直線状に連続する略円筒状に形成され、その内部が、気体室Cの一部になっている。
各背部フレーム20は、上下方向へ略直線状に連続する略円筒状に形成され、その内部が、気体室Cの一部になっている。
【0021】
接続フレーム30は、左右の天部フレーム10,10の前端部間にわたって連続する略円筒状に形成され、その内部が、気体室Cの一部になっている。
【0022】
接続フレーム40は、左右の背部フレーム20,20の下端部間にわたって連続する略円筒状に形成され、その内部が、気体室Cの一部になっている。
【0023】
接続フレーム80は、左側の天部フレーム10と背部フレーム20の交差部分と、右側の天部フレーム10と背部フレーム20の交差部分とにわたって連続する略円筒状に形成され、その内部が、気体室Cの一部になっている。
【0024】
接続フレーム40の周壁部には、開閉可能な複数(図示例によれば二つ)の通気口41a,41bが、接続フレーム40の延設方向に間隔を置いて設けられる。一方の通気口41aは通気用の通気口であり、他方の通気口41bは排出用の通気口である。
これら通気口41a,41bは、例えば浮き袋やゴムボート等に用いられる周知の構成とすればよい。注入用の通気口41aは、気体注入路となる筒体や、前記気体注入路を注入方向にのみ開放する弁体、前記筒体の開口を開閉する着脱可能なキャップ等からなる。また、排出用の通気口41bは、注入用の通気口41aから弁体を省いた構造である。
これら通気口41a,41bは、図4に示す好ましい一例によれば、被装着者Mに干渉しないように、接続フレーム40から外向きに突出している。
なお、これら通気口41a,41bは、気体室Cと外部を仕切る壁部に設ければよく、他例としては、天部フレーム10や、背部フレーム20、接続フレーム30,40,80、支承フレーム50等、図示例以外の部分に設けることも可能である。
【0025】
各支承フレーム50は、天部フレーム10と背部フレーム20の内角側に位置し、一端部を天部フレーム10における背部フレーム20との接続箇所よりも前方側に接続するとともに、他端部を背部フレーム20における天部フレーム10との接続箇所よりも下方側に接続して、これら一端部と他端部の間にわたって略円筒形状の断面を連続しており、その内部が、気体室Cの一部になっている。
【0026】
この支承フレーム50と天部フレーム10との交差部分の表面や、及び支承フレーム50と背部フレーム20との交差部分の表面には、必要に応じて補強シート50bが、接着剤等を介して貼り付けられる。
補強シート50bの材質は、天部フレーム10等を構成するシート材と同様のものとすればよい。
【0027】
この支承フレーム50は、前記一端部から前記他端部へ向かう湾曲状に形成された支え部51と、この支え部51の前記他端部寄りで後方へ向かう肩載せ部52とを有する。
肩載せ部52は、被装着者Mの肩に載せて掛けられるように、略水平状に形成される。
【0028】
シート部60は、接続フレーム30、天部フレーム10,10、及び背部フレーム20,20上半部にわたって張設された可撓性の不透明シートである。このシート部60は、天部フレーム10,10及び背部フレーム20,20に対し、着脱部材61により複数箇所で着脱可能に固定されている。
【0029】
このシート部60の材質は、光の通過を阻む有色の可撓性のシートであればよく、例えば、布シートや、合成樹脂シート、これらを適宜に重ね合わせたり複合したりしたもの等とすればよい。
本実施の形態の一例では、シート部60として、日除け及び雨除けになるように、孔等の貫通部の無い有色で防水性を有する可撓性シートを用いている。
【0030】
また、着脱部材61は、例えば、一般的なホックやボタン、面ファスナー、磁石等とすればよく、シート部60と上記フレームとの間に設けられる。
【0031】
また、日除け具1を被装着者Mに装着するための着脱具70は、可撓性長尺部材70a、長さ調整具71a、着脱調整具72a等によって構成される。
【0032】
可撓性長尺部材70aは、図示例によれば長尺帯状(あるいは紐状)の部材によって、被装着者Mの両方の肩に掛けられる左右の肩掛け部71,71と、被装着者Mの胴部分に巻かれる胴巻き部72とを有する一体状に構成される。
この可撓性長尺部材70aの材質は、引張強度や、折り畳んだ際の収納性等を考慮して適宜に選定すればよい。
【0033】
各肩掛け部71は、一端側を支え部51に止着するとともに、他端側を胴巻き部72に端部側に接続している(図2参照)。
この肩掛け部71の延設方向の途中部分には、長さ調整具71aが設けられる。
【0034】
胴巻き部72は、左右方向へわたって帯状に延設され、その一端側と他端側が、それぞれ、左右の背部フレーム20,20の下端側に止着されている。
この胴巻き部72の延設方向の途中には、この胴巻き部72を分離可能であって且つ長さ調整可能にする着脱調整具72aが設けられる。
長さ調整具71aや着脱調整具72aは、例えば、バックル等と呼称される部品や、面ファスナー、磁石等の周知構造を適用すればよい。
【0035】
次に、上記構成の日除け具1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
この日除け具1は、気体室Cに気体が注入されていない状態では、可撓性の略平坦状物であり、自由に折畳むことが可能である。
【0036】
図示しない電動又は手動のエアーポンプ等により、注入用の通気口41aから気体室C内に気体(例えば、空気)が注入されると、天部フレーム10、背部フレーム20、接続フレーム30,40,80及び支承フレーム50が、それぞれ、断面略円形状に膨れて、背部フレーム20に対し天部フレーム10が略直角状に位置し、使用可能な状態になる(図1図4参照)。そして、この状態は、気体室C内の気体圧により保持される。
【0037】
被装着者Mが、左右の肩掛け部71,71にそれぞれ両腕を通し、天部Aを頭上に配置した状態で背部Bを背中に沿わせ、両支承フレーム50,50の両肩載せ部52,52を両肩に載せ、着脱具70を両腕及び胴体に掛ければ、日除け具1は、被装着者Mに対し一体的に装着される(図1参照)。
【0038】
この装着状態において、被装着者Mは、上方や後方からの日差しをシート部60によって遮ることができる。
また、風により煽られた場合でも、天部フレーム10と背部フレーム20の間が支え部51により支えられているため、天部Aが背部Bに対し上方や下方に曲がるように変形するのを防ぐことができる。
【0039】
また、当該日除け具1を収納する際は、上記と逆の順序で、胴巻き部72及び肩掛け部71を外し、両肩から肩載せ部52,52を引き離して、被装着者Mから日除け具1を分離する。そして、排出用の通気口41bを開放して、気体室Cの気体を外部に排出する。
すると、日除け具1は、元の可撓性の略平坦状物に戻り、自由に折畳めるようになる。
【0040】
なお、シート部60は、着脱部材61の着脱により上記フレームから外すことが可能である。したがって、当該日除け具1の使用中に、部分的にシート部60を上記フレームから外して、通気性を向上することが可能である。また、当該日除け具1を収納する際に、シート部60を上記フレームから外し独立して折畳んだり収納したりすることが可能である。
【0041】
よって、上記構成の日除け具1は、使用時と収納時の何れにおいても軽量であり、しかも、組立性及び収納性が良好である。
【0042】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係る日除け具の他例について説明する。
図6に示す日除け具2は、上記日除け具1に対しその一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、重複する詳細説明は省略する。
【0043】
日除け具2は、上記日除け具1について、左右の支承フレーム50,50の各支え部51を支え部51’に置換し、天部フレーム10及び背部フレーム20の長さを変更し、側部側のシート部62を追加したものである。
【0044】
各支え部51’は、天部フレーム10の延設方向の途中箇所から、背部フレーム20の延設方向の途中箇所へわたって斜めに延設される。この支え部51’の延設方向の途中部分は、開口部50a側へ凹む略凹曲線状に形成される(図6参照)。
この凹曲線状部分は、当該日除け具2が被装着者Mに背負われた際に、被装着者Mの左右方向の視界が支承フレーム50によって阻まれるのを軽減する。
【0045】
この日除け具2では、天部フレーム10における支承フレーム50よりも前側の部分の長さxを、上記日除け具1の同部分の長さよりも短くしている。この長さxは、当該日除け具2が受ける日射角度等に応じて適宜寸法に設定される。
【0046】
また、この日除け具2では、背部フレーム20における支承フレーム50よりも下側の部分の長さyを、上記日除け具1の同部分の長さよりも長くしている。
この長さyは、被装着者Mがリュックサックを背負った状態で当該日除け具2を装着した場合に、接続フレーム40がリュックサックに干渉することのないように設定される。すなわち、前記リュックサックが、接続フレーム40よりも上側で、左右の背部フレーム20,20の間に位置することを想定している。
【0047】
また、シート部62は、上記シート部60と同材質のシートであり、左右の各開口部50aの上部側を覆うとともにその下部側に通気開口を確保しており、天部フレーム10及び背部フレーム20に対し着脱可能に止着される。この止着手段には、上述した着脱部材61を用いればよい。
なお、このシート部62の他例としては、開口部50aの全部を覆う態様や、透明または半透明のシートからなる態様等とすることも可能である。
【0048】
よって、日除け具2によれば、上記日除け具1と略同様の作用効果が得られる上、被装着者Mの視界を広く確保することができ、また側方からの日差しも効果的に遮ることができる。
【0049】
<その他の変形例>
上記実施態様によれば、シート部60を天部Aと背部Bの一部に設けたが、他例としては、シート部60を天部Aから背部Bにわたる全面に設けてもよい。
【0050】
また、上記実施態様によれば、シート部60,62として貫通部の無いシートを用いたが、他例としては、通気性を向上するために、シート部60に貫通状の通気部(図示せず)を設けるようにしてもよい、
前記通気部の具体例としては、シート部60,62の一部分に小孔やスリット等の貫通部を形成したり、シート部60,62の一部分又は全部をメッシュ状(言い換えれば、金網状)の生地やシートにより形成したりすればよい。
前記通気部を配設する箇所は、例えば、天部Aや、背部B、側部等とすればよい。前記通気部は、特に夏場の暑さ対策として有効である。
【0051】
また、上記実施態様によれば、肩掛け部71及び胴巻き部72を帯状等の可撓性部材から構成したが、他例としては、これら肩掛け部71と胴巻き部72のうち、その一方又は両方を、上記天部フレーム10や支え部51等と同様に、可撓性材料によって、背部フレーム20及び/又は支え部51に接続されるとともに気体室Cに連通する中空パイプ状に形成することも可能である。
【0052】
また、上記実施態様に付加する構成として、被装着者の顔の前方を覆うように、天部Aに透明材料からなる飛散防止シート(図示せず)を吊り下げるようにしてもよい。
この飛散防止シートは、例えば、軟質塩化ビニール等からなる略矩形状の無色透明又は色付き透明のシートであり、その上端部を接続フレーム30に対し左右方向へわたって止着するとともに下端部を自由垂下させて、被装着者Mの顔面の前方を覆う。
この構成によれば、被装着者Mから発せられる飛沫が前方へ飛散するのを前記飛散防止シートにより阻むことができ、ウィルス感染等の低減に寄与することができる。
【0053】
また、上記実施態様によれば、天部A及び背部Bを可撓性中空パイプと可撓性シートにより構成したが、他例としては、天部A及び背部Bを、上記可撓性シート(シート部60,62)を用いずに、内部に密閉状の気体室Cを有する可撓性中空部材により構成することも可能である。
すなわち、この態様の一例としては、前記天部を略板状の可撓性中空部材により形成し、前記背部を前記天部に対し略直角又は交差状に接続された略板状の可撓性中空部材により形成し、これら天部及び背部内の空間を、これら二つの部位に跨って連続し密閉された気体室とする。この態様によっても、上記日除け具1と略同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
また、上記実施態様によれば、特に生産性に優れた態様として、左右の肩掛け部71,71と胴巻き部72を、一体の可撓性帯状部材から構成したが、他例としては、これら肩掛け部71,71及び胴巻き部72をそれぞれ独立した可撓性帯状部材から構成することも可能である。
【0055】
また、上記実施態様によれば、気体室Cへ空気注入作業が容易であり且つ排気作業も容易に行えるように、弁機構付きの通気口41aと弁機構なしの通気口41bを設けたが、他例としては、何れか一方の通気口41a(又は41b)を省くことも可能である。
【0056】
また、上記実施態様によれば、二種類の通気口41a,41bを略同形状で同じ大きさのものにしたが、他の好ましい一例としては、これら二種類の通気口41a,41bについて、区別し易いように、大きさを異ならせてもよい。この場合、弁機構なしの通気口41bの径方向寸法を、弁機構付きの通気口41aよりも大きくすれば、気体室Cの気体の排出作業をいっそう早めることができる。
なお、他例としては、前記複数種類の通気口について、色を異ならせた態様や、形状を異ならせた態様等とすることも可能である。
【0057】
また、上記実施態様によれば、接続フレーム40を背部フレーム20に対し一体に設けたが、他例としては、接続フレーム40を背部フレーム20に対し着脱可能に設けるようにしてもよい。さらに、他例としては、この接続フレーム40を、可撓性長尺部材70a等と同様の可撓性部材から形成することも可能である。
【0058】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:日除け具
10:天部フレーム
20:背部フレーム
30,40,80:接続フレーム
50:支承フレーム
51:支え部
52:肩載せ部
60:シート部
70:着脱具
41a:通気口(注入用)
41b:通気口(排出用)
A:天部
B:背部
C:気体室
M:被装着者
図1
図2
図3
図4
図5
図6