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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 95/00 20060101AFI20240624BHJP
   D06F 33/50 20200101ALI20240624BHJP
【FI】
D06F95/00
D06F33/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021065559
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161047
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅樹
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-099437(JP,A)
【文献】特開2020-162625(JP,A)
【文献】特開平11-319396(JP,A)
【文献】特開昭58-090290(JP,A)
【文献】特開2020-140508(JP,A)
【文献】特開2018-106633(JP,A)
【文献】特開2019-165863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F33/00-34/34
D06F95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用料金に応じて決まる課金時間で、乾燥室に収容された衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する衣類処理装置であって、
前記乾燥運転の実行中に、前記乾燥室内の前記衣類の乾燥状態を測定する乾燥状態測定部と、
前記乾燥状態測定部が測定した前記乾燥状態に基づいて、前記衣類の乾燥を完了するまでに必要な残り必要時間を算出する第1算出部と、
前記第1算出部が算出した前記残り必要時間が前記課金時間の残り時間よりも長いか否かを判定する判定部と、
前記残り必要時間が前記課金時間の前記残り時間よりも長いと前記判定部が判定した場合に、前記判定部の判定結果に基づく助言情報を報知する報知部と、を備えていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
前記乾燥運転は、前記乾燥室に加熱した空気を導入して前記衣類を乾燥させる暖気乾燥工程と、
前記暖気乾燥工程後に、前記乾燥室に加熱していない空気を導入して前記衣類を冷却する仕上げ工程と、を有し、
前記乾燥状態測定部、前記第1算出部、前記判定部及び前記報知部のそれぞれの処理を前記暖気乾燥工程の途中で実行する請求項1記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記残り必要時間が前記課金時間の前記残り時間よりも長いと前記判定部が判定した場合に、前記残り時間を前記残り必要時間以上に変更するために必要な追加料金を算出する第2算出部を備え、
前記報知部は、前記第2算出部が算出した前記追加料金も報知する請求項1又は2記載の衣類処理装置。
【請求項4】
ネットワークと通信するネットワーク通信部を備え、
前記利用料金の徴収対象に係る情報端末に対し、前記ネットワーク通信部を経由して前記助言情報及び前記追加料金を送信し、
前記情報端末は、受信した前記助言情報及び前記追加料金を報知する請求項3記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記情報端末が前記追加料金についてキャッシュレス決済を実行した旨の決済情報を前記ネットワーク通信部を経由して受信した場合、前記追加料金に応じた時間を前記残り時間に加算する請求項4記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記利用料金及び前記追加料金を徴収する徴収手段を備え、
前記徴収手段が前記追加料金を徴収した場合、前記追加料金に応じた時間を前記残り時間に加算する請求項3乃至5のいずれか1項記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な衣類処理装置は、ユーザがコイン投入等した利用料金に応じて決まる課金時間で、乾燥室に収容された衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する。
【0003】
ここで、ユーザは、衣類の乾燥を完了するために必要な時間を正確に予測することが難しい。このため、この衣類処理装置では、衣類の乾燥が完了していない状態で利用料金が不足して課金時間が満了し、ユーザの意に反して乾燥運転が終了しまうおそれがあることから、ユーザの利便性の向上を実現することが難しい。
【0004】
この点、特許文献1に開示されたコインランドリーは、ランドリー機器の乾燥室に収容された衣類を乾燥させる乾燥運転を実行し、乾燥運転の終了後に、乾燥運転が開始されてから終了するまでの運転時間に基づいて利用料金を算出して事後に決済することで、衣類の乾燥が完了していない状態で乾燥運転が終了しまうことを抑制している。
【0005】
また、このコインランドリーは、過大な利用料金を請求しないための最大運転時間を設定可能であり、最大運転時間が経過したときには、衣類の乾燥が完了しているか否かにかかわらず、乾燥運転を終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-99437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載のコインランドリーでは、衣類の乾燥が完了していない状態で最大運転時間が経過し、ユーザの意に反して乾燥運転を終了した場合、ユーザが乾燥室から衣類を取り出すときに、衣類の乾燥が完了していないことを認識することになる。
【0008】
そして、ユーザがその衣類の乾燥を完了させるために乾燥運転を再開しても、時間の経過によって温度が低下した衣類を昇温させるために時間がかかってしまう。その結果、このコインランドリーでは、ユーザの利便性の向上を実現することが難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、衣類の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを抑制でき、ユーザの利便性の向上を実現できる衣類処理装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の衣類処理装置は、利用料金に応じて決まる課金時間で、乾燥室に収容された衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する衣類処理装置であって、
前記乾燥運転の実行中に、前記乾燥室内の前記衣類の乾燥状態を測定する乾燥状態測定部と、
前記乾燥状態測定部が測定した前記乾燥状態に基づいて、前記衣類の乾燥を完了するまでに必要な残り必要時間を算出する第1算出部と、
前記第1算出部が算出した前記残り必要時間が前記課金時間の残り時間よりも長いか否かを判定する判定部と、
前記残り必要時間が前記課金時間の前記残り時間よりも長いと前記判定部が判定した場合に、前記判定部の判定結果に基づく助言情報を報知する報知部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の衣類処理装置は、乾燥運転の実行中に、残り必要時間が課金時間の残り時間よりも長いと判定部が判定した場合に、すなわち、衣類の乾燥が完了していない状態で乾燥運転を終了することが予想される場合に、報知部により、判定部の判定結果に基づく助言情報を報知する。
【0012】
助言情報の具体例を挙げると、報知部は、「衣類の乾燥を完了するためには課金時間の残り時間が不足します」、「乾燥完了までの利用料金が足りません」、「利用料金を追加してください」等のメッセージ等を表示又は発音によって報知する。
【0013】
このため、ユーザは、衣類の乾燥を完了させることを希望する場合、乾燥運転の実行中に利用料金を追加して乾燥運転を延長することで、衣類の乾燥を完了させることができる。また、この衣類乾燥機は、乾燥運転が終了した後に乾燥運転を再開して衣類の乾燥を完了させる場合と比較して、温度が低下した衣類を昇温させる時間を省くことができる。
【0014】
したがって、本発明の衣類処理装置は、衣類の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを抑制でき、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【0015】
乾燥運転は、乾燥室に加熱した空気を導入して衣類を乾燥させる暖気乾燥工程と、暖気乾燥工程後に、乾燥室に加熱していない空気を導入して衣類を冷却する仕上げ工程と、を有していることが望ましい。そして、本発明の衣類処理装置は、乾燥状態測定部、第1算出部、判定部及び報知部のそれぞれの処理を暖気乾燥工程の途中で実行することが望ましい。
【0016】
この場合、仕上げ工程によって衣類の温度が低下する前に、ユーザが利用料金を追加して暖気乾燥工程を延長できるので、温度が低下した衣類を昇温させる時間を確実性高く省くことができる。
【0017】
本発明の衣類処理装置は、残り必要時間が課金時間の残り時間よりも長いと判定部が判定した場合に、残り時間を残り必要時間以上に変更するために必要な追加料金を算出する第2算出部を備えていることが望ましい。そして、報知部は、第2算出部が算出した追加料金も報知することが望ましい。
【0018】
この場合、ユーザは、報知された追加料金に従って、衣類の乾燥を完了させるための利用料金の追加を迷うことなく容易に実行できる。その結果、この衣類乾燥機は、ユーザの利便性の向上を一層実現できる。
【0019】
本発明の衣類処理装置は、ネットワークと通信するネットワーク通信部を備え、利用料金の徴収対象に係る情報端末に対し、ネットワーク通信部を経由して助言情報及び追加料金を送信することが望ましい。そして、情報端末は、受信した助言情報及び追加料金を報知することが望ましい。
【0020】
この場合、衣類処理装置から離れたところにいるユーザに対して、そのユーザが所持するスマートフォン等の情報端末を経由して、助言情報及び追加料金を報知できる。このため、ユーザは、衣類の乾燥を完了させることを希望する場合、衣類処理装置の設置場所に向かう等の対応を迅速に実行できる。その結果、この衣類処理装置は、衣類の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを確実性高く抑制できる。
【0021】
本発明の衣類処理装置は、情報端末が追加料金についてキャッシュレス決済を実行した旨の決済情報をネットワーク通信部を経由して受信した場合、追加料金に応じた時間を残り時間に加算することが望ましい。
【0022】
この場合、ユーザは、衣類処理装置から離れたところでキャッシュレス決済することにより、乾燥運転を容易に延長できる。その結果、この衣類処理装置は、衣類の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを一層確実性高く抑制できる。
【0023】
本発明の衣類処理装置は、利用料金及び追加料金を徴収する徴収手段を備えていることが望ましい。そして、この衣類処理装置は、徴収手段が追加料金を徴収した場合、追加料金に応じた時間を残り時間に加算することが望ましい。
【0024】
この場合、ユーザが追加料金を徴収手段に徴収させることにより、乾燥運転を容易に延長できる。その結果、この衣類処理装置は、衣類の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを一層確実性高く抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の衣類処理装置によれば、衣類の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを抑制でき、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施例の衣類乾燥機、ネットワーク及びスマートフォンを示す模式図である。
図2図2は、衣類乾燥機が実行する乾燥運転プログラムのフローチャートである。
図3図3は、衣類乾燥機が実行する乾燥運転プログラムのフローチャートである。
図4図4は、衣類乾燥機が実行する乾燥運転プログラムのフローチャートである。
図5図5は、スマートフォンが実行する乾燥運転補助プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0028】
(実施例)
図1に示すように、実施例の衣類乾燥機1は、本発明の衣類処理装置の具体的態様の一例である。衣類乾燥機1は、コインランドリー施設L1に備え付けられている。
【0029】
コインランドリー施設L1には、図示しない洗濯機が備え付けられている。洗濯機は、ユーザが利用料金をコイン投入等することで、衣類を洗濯する洗濯運転を実行する。衣類乾燥機1は、洗濯が終わった衣類C1を乾燥させるために使用される。
【0030】
<衣類乾燥機の構成>
衣類乾燥機1は、周知の構成であるので説明及び図示は簡略するが、筐体3、扉7及び回転ドラム5を備えている。
【0031】
筐体3は略箱状体である。筐体3の前面側は、図1の紙面手前側である。筐体3の後面側は、図1の紙面奥側である。筐体3は、その前面に衣類投入口3Hを有している。
【0032】
扉7は、筐体3の前面に揺動可能に支持されている。扉7は、図1に示すように閉じた状態では、衣類投入口3Hを閉鎖している。図示は省略するが、扉7は、前向きに引かれて揺動することにより、衣類投入口3Hを開放する。
【0033】
回転ドラム5は、筐体3内において、前後方向に延びる回転軸心X1周りに回転可能に支持されている。回転ドラム5は、回転軸心X1を中心とする略円筒形状部分と、その略円筒形状部分の後端に接続する略円盤形状部分と、を有している。
【0034】
回転ドラム5は、その内壁面によって、衣類C1を収容する乾燥室5Aを区画している。乾燥室5Aは、衣類投入口3Hに連通している。ユーザは扉7を開いて、乾燥させる衣類C1を乾燥室5Aに投入したり、乾燥が完了した衣類C1を乾燥室5Aから取り出すことができる。
【0035】
また、衣類乾燥機1は、駆動モータ5Mと、図示しない送風ファン、給気経路及び排気経路とを備えている。
【0036】
駆動モータ5Mは筐体3内に位置し、作動することにより駆動力を発生させる。回転ドラム5は、駆動モータ5Mの駆動力が図示しないプーリ&ベルトを経由して伝達されることにより、回転軸心X1周りに低速で回転する。回転ドラム5の回転は、乾燥室5Aに収容された衣類C1を定位置に止めることなく常に動かすために行われる。
【0037】
送風ファンは、回転ドラム5の略円盤形状部分と筐体3の後面との間に位置し、回転軸心X1周りに回転ドラム5とは独立して回転可能に支持されている。給気経路は、筐体3の底壁に貫設された給気口から上向きに延びて乾燥室5Aに至る経路である。排気経路は、回転ドラム5の略円盤形状部分と筐体3の後面との間で送風ファンを囲み、上向きに延びて筐体3の上壁に貫設された排気口に至る経路である。
【0038】
送風ファンは、駆動モータ5Mの駆動力が図示しない別のプーリ&ベルトを経由して伝達されることにより、回転軸心X1周りに回転ドラム5よりも高速で回転する。
【0039】
つまり、駆動モータ5Mが作動すると、回転ドラム5が回転を開始するとともに、送風ファンが送風を開始する。その一方、駆動モータ5Mが停止すると、回転ドラム5が回転を停止するとともに、送風ファンが送風を停止する。
【0040】
送風ファンの送風により、筐体3の外部の空気が給気経路を経由して乾燥室5A内に供給され、乾燥室5A内で流通した後、排気経路を経由して筐体3の外部に排気される。
【0041】
さらに、衣類乾燥機1は、加熱源8を備えている。加熱源8は、筐体3内において給気経路の途中に位置している。加熱源8は、例えば、ガスバーナの燃焼や電気ヒータの発熱等によって、給気経路を通過する空気を加熱することが可能である。
【0042】
送風ファンが送風しているときに、加熱源8が作動して給気経路を通過する空気を加熱することにより、乾燥室5Aに加熱した空気が導入される。その一方、送風ファンが送風しているときに、加熱源8が不作動となることにより、乾燥室5Aに加熱していない空気が導入される。
【0043】
また、衣類乾燥機1は、制御部10及び操作パネル16を備えている。
【0044】
制御部10は、図示しないCPU、ROM、RAM及びインターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。
【0045】
制御部10は、記憶部10Mを有している。記憶部10Mは、衣類乾燥機1の各種動作を実行するためのプログラム、例えば、図2図4に示す乾燥運転プログラムを記憶している。また、記憶部10Mは、各種の設定情報やデータテーブル、例えば、後述するように、図2に示すステップS111において衣類C1の乾燥を完了するまでに必要な残り必要時間TN1を算出するための残り必要時間算出用データテーブルを記憶している。
【0046】
後で詳しく説明するが、制御部10は、衣類乾燥機1の電源が投入されている間、図2図4に示す乾燥運転プログラムによって、乾燥室5Aに収容された衣類C1を乾燥させる乾燥運転を実行する。
【0047】
本実施例では、乾燥運転は、暖気乾燥工程及び仕上げ工程を有している。
【0048】
暖気乾燥工程は、乾燥室5Aに加熱した空気を導入して衣類C1を乾燥させる工程である。暖気乾燥工程では、回転ドラム5が回転するとともに送風ファンが送風する状態で、加熱源8が作動して給気経路を通過する空気を加熱する。
【0049】
仕上げ工程は、暖気乾燥工程後に、乾燥室5Aに加熱していない空気を導入して衣類C1を冷却する工程である。仕上げ工程では、回転ドラム5が回転するとともに送風ファンが送風する状態で、加熱源8が不作動となって給気経路を通過する空気を加熱しない。
【0050】
図1に示すように、操作パネル16は、入力部16A及び表示部16Bを有している。入力部16Aは、電源ボタン、乾燥運転等の開始を指示するためのスタートボタン、数値入力や各種のモードの選択を行うボタン等の複数のボタンを有している。ユーザが入力部16Aに対して行う各種の操作は、制御部10に伝達されて乾燥運転等の制御に反映される。
【0051】
表示部16Bは、液晶ディスプレイ等である。表示部16Bは、制御部10に制御されて、衣類乾燥機1の運転状況に関する各種の情報やエラーメッセージ等を表示する。
【0052】
さらに、衣類乾燥機1は、扉閉検知センサ7S及び乾燥状態測定部15を備えている。
【0053】
扉閉検知センサ7Sは、例えば、筐体3の前面における衣類投入口3Hの周縁に配置されたマイクロスイッチや近接センサ等である。扉閉検知センサ7Sは、扉7が閉状態か否かを検知し、検知結果を制御部10に伝達する。
【0054】
乾燥状態測定部15は、乾燥運転の実行中に、乾燥室5A内の衣類C1の乾燥状態を測定する。その測定方法としては様々な方法があるが、本実施例では、乾燥状態測定部15は、図示しない電極センサ及び排気温度センサを有している。
【0055】
電極センサは、乾燥室5A内における筐体3の前面側であって衣類投入口3Hよりも下方の位置に配置されている。電極センサは、乾燥室5A内で回転ドラム5の回転によって常に動く衣類C1に接触可能な2つの電極を有している。
【0056】
電極センサは、濡れた衣類C1に接触することにより両電極間で通電してオンとなり、検知結果を制御部10に伝達する。制御部10は、電極センサが単位時間当たりにオンとなる回数を衣類C1の濡れ具合を示す指標として利用する。
【0057】
例えば、制御部10は、過去50秒間、0.5秒毎の電極センサの検知においてオンとなった回数が閾値以下の場合(例えば、100回の検知のうちでオンが5回以下の場合)、衣類C1が半乾きであると判定する。
【0058】
排気温度センサは、排気経路における排気口に向けて上向きに延びる部分に配置されている。排気温度センサは、乾燥室5Aから排気される空気の温度を測定し、検知結果を制御部10に伝達する。
【0059】
排気温度センサが検知する温度は、衣類が濡れた状態から乾燥が進むにつれて上昇し、衣類の乾燥が完了に近くなると高温で安定する傾向となる。
【0060】
また、衣類乾燥機1は、徴収手段18及び報知部17を備えている。
【0061】
徴収手段18は、ユーザがコイン投入口18Aに所望の金額に相当する枚数のコインを投入することによって、衣類乾燥機1に乾燥運転を実行させるための利用料金を徴収し、徴収した金額を制御部10に伝達する。
【0062】
制御部10は、後述するように、図2に示すステップS103において、徴収手段18が徴収した利用料金に応じて決まる課金時間T1を算出する。本実施例では、課金時間T1は、徴収手段18が徴収した利用料金に単位金額当たりの単位時間を掛けることで算出される。
【0063】
本実施例では、課金時間T1は、乾燥運転のうちの暖気乾燥工程の開始から終了までの時間であり、仕上げ工程は課金対象としていない。
【0064】
また、徴収手段18は、後述するように、暖気乾燥工程の実行中にユーザがコイン投入口18Aに所望の金額に相当する枚数のコインを投入することによって、追加料金を徴収することも可能である。
【0065】
なお、徴収手段18は、図示しないプリペイドカード徴収手段を備えることによって、プリペイドカードから利用料金及び追加料金を徴収してもよい。
【0066】
図1に示すように、報知部17は、徴収手段18の近傍に配置された表示パネルである。報知部17は、徴収手段18が徴収した利用料金を表示したり、その利用料金に応じて決まる課金時間T1を表示したり、乾燥運転の開始からの経過時間を表示したりする。また、報知部17は、課金時間T1の残り時間T1R、すなわち、徴収した利用料金の未消費分によって暖気乾燥工程を継続できる残り時間を表示したりする。
【0067】
また、報知部17は、乾燥運転の実行中に、後述するように、図3に示すステップS116、S117において、助言情報及び追加料金を表示パネルに表示することで報知する。なお、報知部17は、表示パネルに表示するメッセージと同様の内容の音声メッセージをスピーカから発音することで助言情報及び追加料金を報知することもできる。
【0068】
さらに、衣類乾燥機1は、図1に示すように、ネットワーク通信部19を備えている。コインランドリー施設L1内には、ネットワークインターフェースL1Nが設置されている。制御部10は、ネットワーク通信部19によって、ネットワークインターフェースL1Nを経由して、インターネット等のネットワークNW1と通信することが可能である。
【0069】
また、制御部10は、ネットワーク通信部19によって、ネットワークNW1を経由して、コインランドリー施設L1を利用するユーザが携帯するスマートフォン9と通信することが可能である。スマートフォン9は、本発明の「利用料金の徴収対象に係る情報端末」の一例である。
【0070】
<スマートフォンの構成>
スマートフォン9は、端末制御部90、タッチパネル96及びキャッシュレス決済手段98を有している。
【0071】
端末制御部90は、図示しないCPU、ROM、RAM及びインターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであって、スマートフォン9の動作に関する制御処理を実行する。
【0072】
また、端末制御部90は、図示しない通信用インターフェース回路により、携帯電話の周波数帯を用いて通話を実行したり、ネットワークNW1、ネットワークインターフェースL1N及びネットワーク通信部19を経由して、衣類乾燥機1の制御部10と通信したりすることが可能である。
【0073】
タッチパネル96は、文字や画像等の各種情報を表示するとともに、ユーザがタッチパネル96に触れて行う操作により、各種の入力を受ける。
【0074】
スマートフォン9を使用するユーザが衣類乾燥機1を利用するための専用アプリケーションプログラム、例えば図5に示す乾燥運転補助プログラムを実行することにより、タッチパネル96は、衣類乾燥機1の制御部10との通信内容に基づいて、ユーザが利用する衣類乾燥機1に関する各種の情報を表示することができる。
【0075】
図1に示すように、キャッシュレス決済手段98は、ネットワークNW1を介して銀行、信販会社、決済代行会社等とセキュリティを確保した通信を行い、現金なしで決済を行う。例えば、キャッシュレス決済手段98の具体的手段は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済(「QRコード」は登録商標)等である。キャッシュレス決済手段98の決済方式は、前払い、後払い、即時払い等である。
【0076】
本実施例では、衣類乾燥機1を利用するユーザがコインランドリー施設L1から離れた場所でスマートフォン9を使用し、図5に示す乾燥運転補助プログラムを実行することで、後述するように、図5に示すステップS205において、追加料金をキャッシュレス決済することが可能である。
【0077】
<乾燥運転プログラム>
コインランドリー施設L1において、衣類乾燥機1の電源が投入されると、制御部10は、図2図4に示す乾燥運転プログラムを開始する。
【0078】
初めに、制御部10は、図2に示すステップS101において、利用料金の徴収が完了したか否かを判断する。コインランドリー施設L1に来場したユーザは、乾燥させようとする衣類C1を衣類乾燥機1の乾燥室5Aに投入した後、利用料金の前払いとして徴収手段18のコイン投入口18Aに所望の金額に相当する枚数のコインを投入する。こうして、利用料金の徴収を完了した徴収手段18は、利用料金の徴収完了と、徴収した金額とを制御部10に伝達する。すると、制御部10は、ステップS101において「Yes」になったと判断し、ステップS102に移行する。
【0079】
その一方、制御部10は、ステップS101において徴収手段18から利用料金の徴収完了が伝達されない間は、ステップS101を繰り返す。
【0080】
ステップS101からステップS102に移行すると、制御部10は、扉7が閉状態であるか否かを判断する。
【0081】
扉7が閉状態であることを扉閉検知センサ7Sが検知した場合、ステップS102において「Yes」となるので、制御部10は、ユーザが乾燥運転を開始するための準備作業を完了したと判断し、ステップS103に移行する。
【0082】
その一方、制御部10は、ステップS102において扉7が閉状態であることを扉閉検知センサ7Sが検知しない間は、ステップS102を繰り返す。
【0083】
ステップS102からステップS103に移行すると、制御部10は、徴収手段18が徴収した利用料金に単位金額当たりの単位時間を掛けることで、課金時間T1を算出する。
【0084】
具体例としては、制御部10は、徴収手段18のコイン投入口18Aに投入された100円硬貨の枚数から徴収した利用料金を算出し、その利用料金に、例えば100円当たり8~10分の単位時間を掛けることで、課金時間T1を算出する。課金時間T1は、暖気乾燥工程を開始してから延長なく利用料金を全て消費して暖気乾燥工程を終了するまでの時間である。
【0085】
次に、制御部10は、ステップS104に移行して乾燥運転を開始し、駆動モータ5Mを作動させる。これにより、回転ドラム5が回転を開始するとともに、送風ファンが送風を開始する。
【0086】
次に、制御部10は、ステップS105に移行して加熱源8を作動させる。これにより、給気経路を通過する空気が加熱源8によって加熱され、乾燥室5Aに加熱した空気が導入される。つまり、制御部10は、ステップS105において、暖気乾燥工程を開始する。
【0087】
次に、制御部10は、ステップS106に移行して課金時間T1の計時を開始する。具体的には、制御部10は、課金時間T1の残り時間T1Rについて、「T1R=T1」から「T1R=0」となるまでカウントダウンする。そして、制御部10は、ステップS107に移行する。
【0088】
なお、ユーザは、乾燥運転の開始後、課金時間T1を考慮して乾燥運転の終了時刻を予測し、その終了時刻が到来するまでの間、コインランドリー施設L1内で待機する代わりに、コインランドリー施設L1から離れた場所に移動する場合がある。
【0089】
この場合、ユーザは、携帯するスマートフォン9を操作して図5に示す乾燥運転補助プログラムを実行させることで、衣類乾燥機1の制御部10からスマートフォン9に送信される情報をタッチパネル96の表示によって確認可能となっている。図5に示す乾燥運転補助プログラムの処理内容については後述する。
【0090】
図1に示すステップS106からステップS107に移行すると、制御部10は、乾燥状態測定部15による乾燥状態の測定を開始する。乾燥状態測定部15の測定は、少なくともステップS111を終了するまで継続される。本実施例では、乾燥状態測定部15の測定は、図3に示すステップS126まで継続され、暖気乾燥工程が終わるまでの乾燥状態の推移を制御部10が把握するために利用される。
【0091】
次に、制御部10はステップS108に移行し、課金時間T1の残り時間T1Rがゼロになったか否かを判断する。ステップS108において「Yes」の場合、制御部10は、図3に示すステップS126に移行して加熱源8の加熱を終了し、暖気乾燥工程を終了する。その後、制御部10は、図4に示すステップS131に移行し、仕上げ工程を開始する。ステップS131以降の処理内容については後述する。
【0092】
遡って、図2に示すステップS108において「No」の場合、制御部10はステップS109に移行し、衣類C1の乾燥を完了するまでに必要な残り必要時間TN1を算出するための条件を満足しているか否かを判断する。
【0093】
ここで、ステップS109において「条件を満足する」とは、本実施例では、過去50秒間、0.5秒毎に乾燥状態測定部15の電極センサが行う検知においてオンとなった回数が閾値以下となって(例えば、100回の検知のうちでオンが5回以下となって)、衣類C1が半乾きであると制御部10が判定したときである。
【0094】
ステップS109において「No」の場合、制御部10は、ステップS108に戻って、ステップS108、S109を繰り返す。
【0095】
ステップS108において「Yes」となることは、ステップS111に移行して残り必要時間TN1を精度良く算出するには衣類C1の濡れ具合が高すぎるため、ステップS111に移行できずに利用料金を全て消費したことを意味する。
【0096】
その一方、ステップS109において「Yes」の場合、制御部10はステップS111に移行し、残り必要時間TN1を算出する。ステップS111は、本発明の「第1算出部」の一例である。
【0097】
残り必要時間TN1の算出方法としては様々な方法があるが、本実施例では、制御部10は、乾燥状態測定部15が測定した乾燥状態、すなわち、電極センサが検知した衣類C1の濡れ具合と、排気温度センサが検知した排気温度と、に基づき、それらを記憶部10Mに記憶された残り必要時間算出用データテーブルと参照して算出する。
【0098】
残り必要時間算出用データテーブルは、様々な条件下で乾燥運転を実行しながら、濡れ具合、排気温度、乾燥を完了するまでの時間等の推移を測定し、それらの採取データに基づいて作成される。例えば、排気温度が低い程、残り必要時間TN1が長くなる傾向となる。
【0099】
次に、制御部10は、ステップS112に移行し、ステップS111において算出した残り必要時間TN1が課金時間T1の残り時間T1Rよりも長いか否かを判定する。ステップS112は、本発明の「判定部」の一例である。
【0100】
ステップS112において「No」の場合、制御部10は、現時点で未消費の利用料金を今後消費することにより、衣類C1の乾燥が完了した状態で暖気乾燥工程を終了できると判断する。そして、制御部10は、ステップS113に移行し、課金時間T1の残り時間T1RがゼロになるまでステップS113を繰り返す。そして、ステップS113において「Yes」になると、制御部10は、図3に示すステップS126に移行して加熱源8の加熱を終了し、暖気乾燥工程を終了する。その後、制御部10は、図4に示すステップS131に移行し、仕上げ工程を開始する。ステップS131以降の処理内容については後述する。
【0101】
遡って、図2に示すステップS112において「Yes」の場合、制御部10は、現時点で未消費の利用料金が不足しており、衣類C1の乾燥が完了していない状態で乾燥運転を終了する可能性が高いと判断し、図3に示すステップS115に移行する。
【0102】
制御部10はステップS115に移行すると、残り時間T1Rを残り必要時間TN1以上に変更するために必要な追加料金を算出する。ステップS115は、本発明の「第2算出部」の一例である。
【0103】
本実施例では、制御部10は、残り必要時間TN1と残り時間T1Rとの差を単位金額当たりの単位時間(例えば100円当たり8~10分の単位時間)で除することで、追加料金を算出する。
【0104】
次に、制御部10はステップS116に移行し、報知部17により、ステップS112の判定結果に基づく助言情報を報知する。具体的には、報知部17は、「衣類の乾燥を完了するためには暖気乾燥工程の残り時間が不足します」、「乾燥完了までの利用料金が足りません」、「利用料金を追加してください」等のメッセージを表示パネルに表示することによって報知する。
【0105】
次に、制御部10はステップS117に移行し、報知部17により、ステップS115において算出した追加料金を報知する。具体的には、報知部17は、「衣類の乾燥を完了するために必要な追加料金は、***円です」等のメッセージを表示パネルに表示することによって報知する。その後、制御部10は、ステップS118に移行する。
【0106】
ユーザは、コインランドリー施設L1内で待機している場合、報知部17が報知する助言情報及び追加料金を容易に認識できる。そして、ユーザは、衣類C1の乾燥を完了させることを希望する場合、暖気乾燥工程の実行中に追加料金を徴収手段18のコイン投入口18Aに投入することができる。
【0107】
ステップS117からステップS118に移行すると、制御部10は、ネットワーク通信部19によって、ネットワークNW1を経由して、コインランドリー施設L1を利用するユーザが携帯するスマートフォン9に、助言情報及び追加料金を送信する。その後、制御部10は、ステップS121に移行する。
【0108】
ユーザがコインランドリー施設L1から離れた場所に移動し、スマートフォン9を操作して図5に示す乾燥運転補助プログラムを実行させている場合、端末制御部90は、ステップS201において、衣類乾燥機1の制御部10から助言情報及び追加料金を受信したか否かを判断する。
【0109】
ステップS201において「Yes」の場合、端末制御部90は、ステップS202に移行する。その一方、ステップS201において「No」の場合、端末制御部90は、ステップS201を繰り返す。
【0110】
端末制御部90はステップS202に移行すると、タッチパネル96により、ステップS112の判定結果に基づく助言情報を報知する。具体的には、タッチパネル96は、「衣類の乾燥を完了するためには暖気乾燥工程の残り時間が不足します」、「乾燥完了までの利用料金が足りません」、「利用料金を追加してください」等のメッセージを表示することによって報知する。
【0111】
次に、端末制御部90はステップS203に移行し、タッチパネル96により、ステップS115において算出した追加料金を報知する。具体的には、タッチパネル96は、「衣類の乾燥を完了するために必要な追加料金は、***円です」等のメッセージを表示することによって報知する。
【0112】
この際、端末制御部90は、タッチパネル96により「追加料金のキャッシュレス決済を選択しますか?」というメッセージを一緒に表示して、ユーザに追加料金のキャッシュレス決済を選択するか否かの判断を促す。
【0113】
次に、端末制御部90はステップS204に移行し、ユーザが追加料金のキャッシュレス決済を選択したか否かを判断する。ステップS204において「Yes」の場合、端末制御部90はステップS205に移行する。その一方、ステップS204において「No」の場合、端末制御部90は、このプログラムを終了する。
【0114】
ステップS204からステップS205に移行すると、端末制御部90は、キャッシュレス決済手段98により、追加料金のキャッシュレス決済処理を実行する。
【0115】
次に、端末制御部90はステップS206に移行し、ネットワークNW1等を経由して、スマートフォン9が追加料金についてキャッシュレス決済を実行した旨の決済情報を衣類乾燥機1の制御部10に送信した後、このプログラムを終了する。
【0116】
図3に示すように、衣類乾燥機1の制御部10は、ステップS118からステップS121に移行すると、課金時間T1の残り時間T1Rがゼロになったか否かを判断する。ステップS121において「Yes」の場合、制御部10は、ステップS126に移行して加熱源8の加熱を終了し、暖気乾燥工程を終了する。その後、制御部10は、図4に示すステップS131に移行し、仕上げ工程を開始する。ステップS131以降の処理内容については後述する。
【0117】
遡って、図3に示すステップS121において「No」の場合、制御部10はステップS122に移行し、スマートフォン9が追加料金についてキャッシュレス決済を実行した旨の決済情報を受信したか否かを判断する。
【0118】
ステップS122において「No」の場合、制御部10はステップS123に移行する。その一方、ステップS122において「Yes」の場合、制御部10はステップS124に移行する。
【0119】
ステップS122からステップS123に移行すると、制御部10は、徴収手段18が追加料金を徴収したか否かを判断する。
【0120】
ステップS123において「No」の場合、制御部10はステップS121に戻る。その一方、ステップS123において「Yes」の場合、制御部10はステップS124に移行する。
【0121】
ステップS121において「Yes」となることは、ユーザが衣類C1の乾燥を完了させることを希望せず、追加料金を支払わなかったため、延長なく利用料金を全て消費したことを意味する。
【0122】
ステップS122又はステップS123からステップS124に移行すると、制御部10は、キャッシュレス決済手段98によって決済され、又は徴収手段18が徴収した追加料金に対応する時間、すなわち、残り必要時間TN1と残り時間T1Rとの差を課金時間T1の残り時間T1Rに加算する。その結果、暖気乾燥工程が終わるまでに衣類C1の乾燥が完了するように、残り時間T1Rが延長される。
【0123】
次に、制御部10はステップS125に移行し、課金時間T1の残り時間T1RがゼロになるまでステップS125を繰り返す。そして、ステップS125において「Yes」になると、制御部10はステップS126に移行して加熱源8の加熱を終了し、暖気乾燥工程を終了する。
【0124】
その後、制御部10は、図4に示すステップS131に移行し、仕上げ工程を開始する。制御部10は、ステップS131において、記憶部10Mから設定情報を読み出して、仕上げ工程の所要時間を設定する。仕上げ工程の所要時間は、衣類C1がふんわりとした状態のままでユーザが取り出し易い温度に冷却される時間となるように設定される。
【0125】
次に、制御部10はステップS132に移行し、仕上げ工程の計時を開始する。
【0126】
次に、制御部10はステップS133に移行し、仕上げ工程の所要時間が満了するまでステップS133を繰り返す。そして、ステップS133において「Yes」になると、制御部10は、ステップS134に移行して駆動モータ5Mを停止させる。これにより、回転ドラム5が回転を停止するとともに、送風ファンが送風を停止する。そして、制御部10は、このプログラムを終了した後、衣類乾燥機1の電源がオフになるまで、このプログラムを繰り返し実行する。
【0127】
<作用効果>
実施例の衣類乾燥機1の制御部10は、乾燥運転の暖気乾燥工程の実行中に、図2に示すステップS112において、残り必要時間TN1が課金時間T1の残り時間T1Rよりも長いと判定した場合に、すなわち、衣類C1の乾燥が完了していない状態で暖気乾燥工程を終了することが予想される場合に、図3に示すステップS116において、報知部17により、助言情報、具体的には、「衣類の乾燥を完了するためには暖気乾燥工程の残り時間が不足します」、「乾燥完了までの利用料金が足りません」、「利用料金を追加してください」等のメッセージを報知する。
【0128】
このため、ユーザは、衣類C1の乾燥を完了させることを希望する場合、暖気乾燥工程の実行中に利用料金を追加して暖気乾燥工程を延長することで、衣類C1の乾燥を完了させることができる。また、この衣類乾燥機1は、乾燥運転が終了した後に乾燥運転を再開して衣類C1の乾燥を完了させる場合と比較して、温度が低下した衣類C1を昇温させる時間を省くことができる。
【0129】
したがって、実施例の衣類乾燥機1は、衣類C1の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを抑制でき、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【0130】
また、この衣類乾燥機1において、乾燥運転は、暖気乾燥工程、すなわち図2に示すステップS105~図3に示すステップS126と、仕上げ工程、すなわち図4に示すステップS131~ステップS134と、を有している。そして、衣類乾燥機1は、暖気乾燥工程の途中で、ステップS107における乾燥状態測定部15による乾燥状態の測定、ステップS111における残り必要時間TN1の算出、ステップS112における残り必要時間TN1が課金時間T1の残り時間T1Rよりも長いか否かの判定、ステップS117における報知部17による助言情報の報知、を実行する。この構成により、この衣類乾燥機1は、仕上げ工程によって衣類C1の温度が低下する前に、ユーザが利用料金を追加して暖気乾燥工程を延長できるので、温度が低下した衣類C1を昇温させる時間を確実性高く省くことができる。
【0131】
さらに、この衣類乾燥機1において、制御部10は、図2に示すステップS112において「Yes」と判定した場合に、図3に示すステップS115に移行し、残り時間T1Rを残り必要時間TN1以上に変更するために必要な追加料金を算出する。そして、制御部10は、ステップS117において、報知部17により追加料金も報知する。この構成により、ユーザは、報知された追加料金に従って、衣類C1の乾燥を完了させるための利用料金の追加を迷うことなく容易に実行できる。その結果、この衣類乾燥機1は、ユーザの利便性の向上を一層実現できる。
【0132】
また、この衣類乾燥機1の制御部10は、図3に示すステップS118において、ネットワーク通信部19等を経由して、ユーザが携帯するスマートフォン9に、助言情報及び追加料金を送信する。そして、スマートフォン9の端末制御部90は、図5に示すステップS202、S203において、タッチパネル96により、受信した助言情報及び追加料金を報知する。この構成により、制御部10は、衣類乾燥機1から離れたところにいるユーザに対して、そのユーザが携帯するスマートフォン9を経由して、助言情報及び追加料金を報知できる。このため、ユーザは、衣類C1の乾燥を完了させることを希望する場合、衣類乾燥機1の設置場所に向かう等の対応を迅速に実行できる。その結果、この衣類乾燥機1は、衣類C1の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを確実性高く抑制できる。
【0133】
さらに、この衣類乾燥機1の制御部10は、図3に示すステップS122において、スマートフォン9が追加料金についてキャッシュレス決済を実行した旨の決済情報をネットワーク通信部19を経由して受信したと判断した場合、ステップS124に移行して、キャッシュレス決済された追加料金に応じた時間、すなわち、残り必要時間TN1と残り時間T1Rとの差を課金時間T1の残り時間T1Rに加算する。この構成により、ユーザは、衣類乾燥機1から離れたところでキャッシュレス決済することにより、暖気乾燥工程を容易に延長できる。その結果、この衣類乾燥機1は、衣類C1の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを一層確実性高く抑制できる。
【0134】
また、この衣類乾燥機1の制御部10は、図3に示すステップS123において、徴収手段18が追加料金を徴収したと判断した場合、ステップS124に移行して、徴収手段18が徴収した追加料金に応じた時間、すなわち、残り必要時間TN1と残り時間T1Rとの差を課金時間T1の残り時間T1Rに加算する。この構成により、ユーザは、追加料金を徴収手段18のコイン投入口18に投入することにより、暖気乾燥工程を容易に延長できる。その結果、この衣類乾燥機1は、衣類C1の乾燥が完了していない状態でユーザの意に反して乾燥運転を終了することを一層確実性高く抑制できる。
【0135】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0136】
実施例では、衣類乾燥機1の乾燥運転が暖気乾燥工程及び仕上げ工程を有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、乾燥運転が仕上げ工程を有しない構成、すなわち、利用料金に応じて決まる課金時間の残り時間がゼロになったときに直ちに乾燥運転を終了し、衣類を自然冷却する構成も本発明に含まれる。
【0137】
実施例では、衣類処理装置が衣類乾燥機1であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、衣類を洗濯する洗濯機能と、衣類を乾燥させる乾燥機能とを備える衣類洗濯乾燥機であって、実施例の衣類乾燥機1と同様の構成を備えた衣類洗濯乾燥機も本発明に含まれる。
【0138】
実施例では、利用料金の徴収対象に係る情報端末がスマートフォン9であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、情報端末は、ユーザの自宅等に設置された据え置き型のパソコンでもよいし、ユーザが携帯可能なタブレット端末でもよい。
【0139】
乾燥状態測定部が測定した乾燥状態に基づいて、乾燥運転の開始から衣類の乾燥を完了するまでに必要な必要時間を算出し、その必要時間が利用料金に応じて決まる課金時間よりも長いか否かを判定する構成と、本発明の請求項1に係る第1算出部及び判定部の構成とは、実質的に同じである。すなわち、前者は「乾燥運転の開始から乾燥状態測定部の測定時点までの時間」+「衣類の乾燥を完了するまでに必要な残り必要時間」>「乾燥運転の開始から乾燥状態測定部の測定時点までの時間」+「課金時間の残り時間」であるか否かを判定し、後者は「衣類の乾燥を完了するまでに必要な残り必要時間」>「課金時間の残り時間」であるか否かを判定する。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は例えば、衣類乾燥機、衣類洗濯乾燥機等の衣類処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0141】
1…衣類処理装置(衣類乾燥機)
T1…課金時間
5A…乾燥室
C1…衣類
15…乾燥状態測定部
TN1…残り必要時間
S111…第1算出部
T1R…課金時間の残り時間
S112…判定部
17…報知部
S115…第2算出部
NW1…ネットワーク
19…ネットワーク通信部
9…情報端末(スマートフォン)
18…徴収手段
図1
図2
図3
図4
図5