(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 1/50 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
F16K1/50
(21)【出願番号】P 2021069954
(22)【出願日】2021-04-16
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板原 光克
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-79026(JP,A)
【文献】特開2019-199926(JP,A)
【文献】特開2021-14847(JP,A)
【文献】特開2017-194120(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018126159(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空であるとともに開口部を有する第1弁体と、
第1弁体の内部に配置されているとともに第1弁体に対して相対移動可能であり、第1弁体の開口部から突出している突出部を有する第2弁体と、
第1弁体を収容しているとともに開口部を有する弁室と、
弁室の開口部の周囲に設けられており、第1弁体が接触する第1弁座と、
第1弁体の開口部の周囲に設けられており、第2弁体が接触する第2弁座と、
第2弁体を第2弁座に付勢するスプリングと、
第2弁体の突出部に接触し、第2弁体が第2弁座から離反するように第2弁体に力を加えるピストンと、
第1弁体に固定されており、第1弁体に対する第2弁体の軸方向の移動量を規制する移動量規制部材と、
第1弁体が第2弁体に対して回転することを規制する回転規制部材と、
を備えているバルブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ装置であって、
第2弁体の移動量規制部材側に、第2弁体の軸方向に窪んだ凹部が設けられており、
移動量規制部材に、第2弁体に向けて突出しているとともに、第2弁体が移動量規制部材に接触したときに、前記凹部内に侵入している凸部が設けられており、
前記凹部と前記凸部によって、回転規制部材が構成されるバルブ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブ装置であって、
前記凸部が、第2弁体を付勢するスプリングの外側に位置しているバルブ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブ装置であって、
移動量規制部材がリング状であり、
2個の前記凸部が、移動量規制部材の中心に対して対称の位置に設けられているバルブ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のバルブ装置であって、
弁室内に、第1弁体を第1弁座に付勢する第2のスプリングが設けられており、
第2のスプリングが、回転規制部材を構成しているバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にバルブ装置が開示されている。特許文献1のバルブ装置は、弁室の開口部を、スプリングで付勢された弁体が塞いでいる。また、特許文献1のバルブ装置は、流路下流(バルブ装置より下流)の圧力減少に伴って弁体を開口部(開口部に設けられている弁座)から離反させるピストンを備えている。すなわち、ピストンが、流路下流の圧力減少に伴ってピストンに力を加え、開口部を開口する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバルブ装置は、弁体が弁座から離反することにより、弁体と弁室の隙間を流体が移動し、バルブ装置の下流に流体を供給する。特許文献1のバルブ装置は、弁体と弁座の距離を大きくすることにより流体の供給量を増大させることが可能であるが、その場合でも弁体と弁室の隙間のサイズ(流路サイズ)は変化しないので、供給量の大幅な増大は見込めない。中空の弁体(第1弁体)を用意し、第1弁体の内部にさらに弁体(第2弁体)を配置すれば、流体が通常供給量のとき(大流量が不要の場合)は第2弁体のみ開弁し、流体の供給量を増大させる必要が生じた際にさらに第1弁体を開弁することにより、流体の供給量を増大させることができる。
【0005】
しかしながら、第1弁体と第2弁体を用いる場合、スプリングを用いて第2弁体を弁室の開口部に付勢することにより、第2弁体が第1弁体の開口部を塞ぐとともに、第1弁体が弁室の開口部を塞ぐ形態となる。この場合、バルブ装置が開弁しているとき(流体を供給しているとき)に。第2弁体はスプリングの押圧力によって回転が規制されるが、第1弁体は回転してしまうことが起こり得る。第1弁体が回転すると、バルブ装置が閉弁したときに、第1弁体と開口部(開口部に設けられている弁座)の位置関係が変動することが起こり得る。第1弁体と開口部の位置関係が変動すると、バルブ装置のシール性が変化する。その結果、バルブ装置に「漏れ」が生じることが起こり得る。本明細書は、バルブ装置のシール性を改善する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する第1技術は、バルブ装置であり、第1弁体と、第2弁体と、弁室と、第1弁座と、第2弁座と、スプリングと、ピストンと、移動量規制部材と、回転規制部材を備えている。第1弁体は、中空であるとともに開口部を有してよい。第2弁体は、第1弁体の内部に配置されているとともに第1弁体に対して相対移動可能であり、第1弁体の開口部から突出している突出部を有していてよい。弁室は、第1弁体を収容しているとともに開口部を有していてよい。第1弁座は、弁室の開口部の周囲に設けられており、第1弁体が接触してよい。第2弁座は、第1弁体の開口部の周囲に設けられており、第2弁体が接触してよい。スプリングは、第2弁体を第2弁座に付勢してよい。ピストンは、第2弁体の突出部に接触し、第2弁体が第2弁座から離反するように第2弁体に力を加えてよい。移動量規制部材は、第1弁体に固定されており、第1弁体に対する第2弁体の軸方向の移動量を規制してよい。回転規制部材は、第1弁体が第2弁体に対して回転することを規制してよい。
【0007】
本明細書で開示する第2技術は、上記第1技術のバルブ装置であって、第2弁体の移動量規制部材側に、第2弁体の軸方向に窪んだ凹部が設けられていてよい。また、移動量規制部材に、第2弁体に向けて突出しているとともに、第2弁体が移動量規制部材に接触したときに、上記凹部内に侵入している凸部が設けられていてよい。このバルブ装置では、上記凹部と上記凸部によって、回転規制部材が構成されてよい。
【0008】
本明細書で開示する第3技術は、上記第2技術のバルブ装置であって、上記凸部が、第2弁体を付勢するスプリングの外側に位置していてよい。
【0009】
本明細書で開示する第4技術は、上記第3技術のバルブ装置であって、移動量規制部材がリング状であり、2個の上記凸部が、移動量規制部材の中心に対して対称の位置に設けられていてよい。
【0010】
本明細書で開示する第5技術は、上記第1から第4技術のいずれかのバルブ装置であって、弁室内に、第1弁体を第1弁座に付勢する第2のスプリングが設けられており、第2のスプリングが、回転規制部材を構成していてよい。
【発明の効果】
【0011】
第1技術によると、バルブ装置の作動中(流体を供給している間)、第1弁体が回転することを抑制することができる。第1弁体の回転を抑制することにより、第1弁体が第1弁座に着座した際、第1弁体のシール位置(第1弁体と第1弁座の相対位置)が変動することが抑制される。
【0012】
第2技術によると、第1弁体の回転動作を、凹部と凸部が接触することによって規制することができる。なお、本明細書で開示するバルブ装置では、ピストンが第2弁体に力を加えて第2弁座(第1弁体の開口部の周囲)から離反させた後、第2弁体が移動量規制部材に接触することによって第1弁体が第1弁座(弁室の開口部の周囲)から離反する。すなわち、第1弁体と第2弁体を有するバルブ装置では、移動量規制部材は必須の部材である。第2技術では、第2弁体に回転規制部材の一部の機能を形成し、移動量規制部材に回転規制部材の一部の機能を形成することにより、部品数が増大することを抑制することができる。
【0013】
第3技術によると、移動量規制部材(回転規制部材)の中央部分に、流体の流路を広く確保することができる。換言すると、移動量規制部材が、バルブ装置内の流路を制限することを抑制することができる。
【0014】
第4技術によると、移動量規制部材に形成する凸部の数が増大することを抑制することができるとともに、第1弁体が回転することをより確実に規制する(回転規制部材としての機能を十分に発揮)することができる。
【0015】
第5技術によると、第2のスプリングによって、第2弁体から独立して、第1弁体自体の回転を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1の破線IIで囲った部分の拡大図を示す。
【
図3】第1実施例のバルブ装置が作動しているときの状態を示す。
【
図4】第1実施例のバルブ装置が作動しているときの状態を示す。
【
図7】第2実施例のバルブ装置の要部断面図を示す。
【
図8】第3実施例のバルブ装置の要部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
図1から
図6を参照し、バルブ装置100について説明する。バルブ装置100は、例えば燃料電池システムを備えた車両に搭載され、燃料電池に水素を供給する水素ガス配管に配置される。バルブ装置100は、燃料電池に水素を供給する必要がある場合に作動して水素ガス配管を開き、燃料電池に水素を供給する必要がない場合に停止して水素ガス配管を閉じる。
【0018】
図1に示すように、バルブ装置100は、ハウジング38と、第1弁体8と、第2弁体12と、ピストン34を備えている。弁体8,12とピストン34は、共通のハウジング38内に収容されている。第1弁体8及びピストン34は、ハウジング38内を、弁室4、ピストン室42、水素ガス流通路44に区画している。弁室4は、水素ガス流入孔2と水素ガス流出孔16を備えている。水素ガス流出孔16は、弁室4の開口部の一例である。水素ガス流入孔2は、配管60を介して、水素ボンベ(図示省略)に接続されている。水素ガス流入孔2には、スペーサ24が固定されている。スペーサ24は、リング状であり、外周が弁室4に接触し(固定され)、中央部分に開口26が設けられている。
【0019】
第2弁体12は、第1弁体8の内部に配置されている。すなわち、第1弁体8は、中空である。水素ガス流出孔16の周囲に第1弁座(シール材)14が設けられている。第1弁座14には、第1弁体8が接触(着座)する。第1弁体8は、弁室4内に配置されている。第1弁体8は開口部を有し、開口部の周囲が第2弁座8aを構成している。第2弁座8aには、第2弁体12が接触(着座)する。水素ガス流出孔16は、第1弁体8が第1弁座14に接触し、第2弁体12が第2弁座8aに接触することによって塞がれる。また、第2弁体12の先端部18は、第1弁体8の開口部より小サイズであり、水素ガス流通路44内に突出している。先端部18は、第2弁体の突出部の一例である。先端部18は、ピストン34の先端部46に接触する。第2弁体12は、コイルスプリング6によって第2弁座8aに付勢されている。コイルスプリング6は、一端が第2弁体12に接触し、他端がスペーサ24に接触している。また、第1弁体8は、第2弁体12によって(コイルスプリング6によって間接的に)第1弁座14に付勢されている。
【0020】
第1弁体8と第2弁体12は固定されておらず、第1弁体8と第2弁体12は相対移動可能である。すなわち、第2弁体12は、第1弁体8に対して軸方向に移動することができる。しかしながら、第1弁体8には、第1弁体8に対する第2弁体12の軸方向の移動量を規制するリング部材5が固定されている。リング部材5は、移動量規制部材の一例である。リング部材5によって、第1弁体8に対する第2弁体12の軸方向の移動量が規制される。すなわち、第2弁体12がリング部材5に接触した状態では、第1弁体8と第2弁体12は、共に軸方向に移動する。リング部材5の一部には凸部が設けられており、第2弁体の一部には凹部が設けられている。凸部及び凹部の詳細については後述する。なお、第1弁体と弁室4の壁面(ハウジング38の内壁)の間には隙間22が設けられており、第2弁体と第1弁体8の内壁面の間には隙間20が設けられている。
【0021】
ピストン室42は、ハウジング38とプレート40とピストン34によって画定されている。プレート40は、ハウジング38に固定されている。ピストン34は、ハウジング38内に配置されている。ピストン34は、ハウジング38に固定されておらず、コイルスプリング36によってプレート40に支持されている。すなわち、コイルスプリング36は、ハウジング38とピストン34に接触している。ピストン34とハウジング38の間にはピストンシール(Oリング)32が配置されている。ピストン34は、ピストン室42と水素ガス流通路44を区画している。ピストン室42内は、大気圧に維持されている。ピストン34は、ピストン室42と水素ガス流通路44の圧力差に応じて、ハウジング38内で移動する(ハウジング38に対して摺動する)。ピストン34は、ハウジング38内において、コイルスプリング36の圧縮又は伸張力と、ピストン室42と水素ガス流通路44の圧力差とがバランスする場所に位置する。具体的には、水素ガス流通路44の圧力が上昇するとピストン34は後退(ピストン室42内空間が小さくなるように移動)し、水素ガス流通路44の圧力が低下するとピストン34は前進(ピストン室42内空間が大きくなるように移動)する。
【0022】
(バルブ装置100の動作)
図2から
図4を参照し、バルブ装置100の動作を説明する。例えば、燃料電池に水素ガスが供給されていない状態等、水素ガス流通路44内の圧力が比較的高い場合、ピストン34は、後退位置でバランスする(
図2)。そのため、第1弁体8及び第2弁体12は、コイルスプリング6の付勢力によって、水素ガス流出孔16を塞いでいる。弁体8,12が水素ガス流出孔16を塞いでいるときは、水素ガス流通路44に水素ガスが供給されない。
【0023】
燃料電池への水素ガスの供給が開始されると、水素ガス流通路44内の圧力が低下する。水素ガス流通路44内の圧力が低下すると、ピストン34は、ピストン室42と水素ガス流通路44の圧力差に応じて前進する(
図3)。その結果、ピストン34が第2弁体12に力を加え、第2弁体12を第2弁座8aから離反させる。第1弁体8と第2弁体12の間に隙間が生じ、弁室4と水素ガス流通路44が連通する(バルブ装置100が作動する)。その結果、矢印3に示すように、水素ガスが配管60から水素ガス流通路44に流通する。水素ガス流入孔2に流入した水素ガスは、スペーサ24の開口26を通過し、第1弁体8と第2弁体12の隙間20を通じて水素ガス流出孔16に移動する。
【0024】
水素ガス流通路44内の圧力がさらに低下、すなわち、燃料電池へ供給する水素ガスの必要量がさらに増大すると、ピストン34はさらに前進し、第2弁体12がリング部材5に接触し、第1弁体8が第2弁体12と共に軸方向に移動する(
図4)。その結果、第1弁体8が第1弁座14から離反し、第1弁体8と第1弁座14の間に隙間が生じる。その結果、水素ガスは、第1弁体8と第2弁体12の隙間20に加え、第1弁体8と弁室4の壁面の間の隙間22を通じて水素ガス流出孔16に移動することができる。すなわち、第1弁体8が第1弁座14から離反することにより、バルブ装置100の流路面積が増大する。
【0025】
(回転規制部材)
図5及び
図6を参照し、第2弁体12及びリング部材5について詳細に説明する。
図5は第2弁体12のリング部材5側の端部の斜視図を示しており、
図6はリング部材5の斜視図を示している。
図5に示すように、第2弁体12に、端面12eから軸方向に窪んだ凹部12aが設けられている。2個の凹部12aが、第2弁体12の中心12cに対して対称の位置に設けられている。また、
図6に示すように、リング部材5には、リング表面5sから突出している凸部5aが設けられている。2個の凸部5aが、リング部材5の中心5cに対して対称の位置に設けられている。
【0026】
リング部材5は、第1弁体8の端部(スペーサ24側の端部)に固定されている。より具体的には、リング部材5は、第1弁体8のスペーサ24側端部から第1弁体8の内面に圧入されている。リング部材5の凸部5aは、バルブ装置100が作動していない状態では、先端部分が凹部12a内に位置している(
図2も参照)。そして、凸部5aは、バルブ装置100が作動を開始し(
図3)、第1弁体8と第2弁体12が共に移動を開始しても(
図4)、凹部12a内に位置している。そのため、第1弁体8が第2弁体12に対して回転することが規制される。凸部5a及び凹部12aは、第1弁体8が第2弁体12に対して回転することを規制する回転規制部材として機能する。なお、第2弁体12は、コイルスプリング36の付勢力によって回転が規制される。そのため、第1弁体8が第2弁体12に対する第1弁体8の回転を規制すれば、バルブ装置100の作動中に第1弁体8が回転することを規制することができる。
【0027】
なお、
図1から
図4は、凸部5a及び凹部12aの関係と、凸部5a及び凹部12aが設けられていない部分の第2弁体12とリング部材5の関係が明確になるように、凸部5a及び凹部12aが設けられている部分と、凸部5a及び凹部12aが設けられていない部分の断面を示している。バルブ装置100が作動していない状態(
図2)において、第2弁体12の端面12eとリング部材5のリング表面5sの距離は、凸部5aのリング表面5sからの突出高さより短い。そのため、バルブ装置100が作動していない状態であっても、凸部5aは凹部12a内に位置している。凹部12a内に常に凸部5aが存在するため、バルブ装置100の状態(停止中または作動中)に依らず、第1弁体8の回転を規制することができる。
【0028】
また、凸部5aのリング表面5sからの突出高さは、凹部12aの深さ(第2弁体12の端面12eから凹部12aの底面までの距離)より短い。そのため、バルブ装置100が作動し、凸部5aが凹部12aの深部まで侵入しても、凸部5aの先端は凹部12aの底面に接触しない。すなわち、第1弁体8がリング部材5(リング表面5s)に接触しても、凸部5aの先端は凹部12aの底面に接触しない(
図4を参照)。そのため、第2弁体12及びリング部材5に凸部5a及び凹部12aを形成しても、移動量規制部材としてのリング部材5の機能が損なわれることはない。
【0029】
(バルブ装置100の利点)
【0030】
上述したように、バルブ装置100は、第1弁体8が回転することを規制する回転規制部材(凸部5a及び凹部12a)を備えている。第1弁体8の回転を規制することにより、第1弁体8と第1弁座14の位置がずれることを抑制することができ、バルブ装置100のシール性(第1弁体8と第1弁座14のシール性)が向上する。その結果、バルブ装置100に「漏れ」が生じることを抑制することができる。また、第2弁体12に凹部12aを形成し、リング部材5(移動量規制部材)に凸部5aを設けることにより、新たな部品を追加することなく、第1弁体8の回転を規制することができる。
【0031】
凸部5aは、コイルスプリング6の外側に設けられている。そのため、リング部材5の開口を広く確保することができ、水素ガスの流路を広く確保することができる。さらに、凸部5aを中心5cの位置に対称に形成し、凹部12aを中心12cの位置に対称に形成することにより、凸部5a及び凹部12aの数を増大させることなく、第1弁体8の回転を確実に規制することができる。なお、凸部5a及び凹部12aの数が増大することを抑制することにより、水素ガスの流れが乱れることを抑制することができる。
【0032】
(第2実施例)
図7を参照し、バルブ装置200について説明する。バルブ装置200はバルブ装置100の変形例であり、バルブ装置100と実質的に同じ構造については、バルブ装置100に付した参照番号と同一の参照番号を付すことにより説明を省略することがある。なお、
図7は、バルブ装置200の一部を示しており、バルブ装置100における
図2に示した部分に相当する。
【0033】
バルブ装置200は、表面の凸部が設けられていないリング部材205が第1弁体8に固定されている。リング部材205は、移動量規制部材の一例である。また、第2弁体212にも凹部が設けられていない。バルブ装置200では、第1弁体8とスペーサ24の間に、コイルスプリング206が配置されている。第1弁体8は、コイルスプリング206によって第1弁座14に付勢されている。コイルスプリング206は、第2のスプリングの一例である。バルブ装置200では、コイルスプリング206の付勢力によって第1弁体8の回転を規制する。すなわち、バルブ装置200は、第2弁体212から独立して、第1弁体9の回転を規制することができる。なお、バルブ装置200は、第1弁体8及び第2弁体212に凹凸加工を行うことなく、第1弁体8の回転を規制することができるという利点が得られる。
【0034】
(第3実施例)
図8を参照し、バルブ装置300について説明する。バルブ装置300はバルブ装置100,200の変形例であり、バルブ装置100,200と実質的に同じ構造については、バルブ装置100,200に付した参照番号と同一の参照番号を付すことにより説明を省略することがある。なお、
図8は、バルブ装置300の一部を示しており、バルブ装置100における
図2に示した部分に相当する。
【0035】
バルブ装置300は、バルブ装置100とバルブ装置200の双方の特徴を備えている。具体的には、バルブ装置300は、凸部5a及び凹部12aによる回転規制構造(回転規制部材)と、コイルスプリング206による回転規制構造(回転規制部材)を備えている。バルブ装置は、第1弁体8が回転することをさらに確実に規制することができる。
【0036】
(他の実施形態) 上記第1及び第3実施例では、第2弁体に凹部が設けられ、移動量規制部材(リング部材)に凸部が設けられているバルブ装置について説明した。しかしながら、第2弁体に凸部を設け、移動量規制部材(リング部材)に凹部を設けてもよい。また、凹部及び凸部の数及び形成位置は、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、凹部及び凸部は、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、凹部及び凸部は、第2弁体及びリング部材の周方向に等間隔に設けられていなくてもよい。すなわち、凹部及び凸部を各々2個設ける場合であっても、凹部及び凸部は、第2弁体及びリング部材の中心に対して対称の位置でなくてもよい。
【0037】
本明細書に開示するバルブ装置の要旨は、第1弁体及び第2弁体が配置されている弁室内に、第1弁体の回転を規制する回転規制部材を設けることである。そのため、移動量規制部材に凸部(回転規制部材の一部)を形成する場合であっても、第2弁体及びリング部材を利用して回転規制部材を構成する場合であっても、例えば、第2弁体の周面に軸方向に伸びる長穴を形成し、その長穴に挿入される挿入部をリング部材に形成してもよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0039】
4:弁室
5:移動量規制部材
5a,12a:回転規制部材
6:スプリング
8:第1弁体
8a:第2弁座
12:第2弁体
14:第1弁座
34:ピストン