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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C13/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021170756
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2023061017
(43)【公開日】2023-05-01
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 ひかる
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-175859(JP,A)
【文献】特表2016-521661(JP,A)
【文献】特開2017-81306(JP,A)
【文献】特開2011-105231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール面に装飾領域が設けられ、前記装飾領域に第1基準面と前記第1基準面から突出する複数の突起が設けられた空気入りタイヤにおいて、
前記突起は、第1方向へ延びる稜線と、前記稜線を中心とする第2方向の両側において前記稜線から前記第1基準面まで前記第1基準面に対して傾斜しつつ広がる斜面とを有し、
前記稜線の長さが前記突起の前記第2方向への長さより短く、
複数の前記突起が前記第2方向へ接触しつつ連なった突起列が複数形成され、
隣接する前記突起列において前記突起の位置が前記第2方向へずれていることを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
1本の前記稜線に対する2つの前記斜面の前記第1基準面に垂直な方向に対する傾斜角度が同じである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第2方向がタイヤ周方向である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第2方向がタイヤ径方向である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1基準面がその周囲の第2基準面に対して凹となって低くなり、
前記稜線が前記第2基準面より高い、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記稜線の両端の前記第1基準面からの高さが同じである、請求項1~5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記稜線の両端の前記第1基準面からの高さが異なる、請求項1~5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、サイドウォール面に模様が設けられた空気入りタイヤが知られている。従来の模様の多くは、直線状に延びる多数の凸条が等間隔に並んだものである。このような模様はサイドウォール面のデザイン性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-175707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、美しい模様の提案は頻繁になされているが、今までにない視覚効果を生じさせるような画期的な模様はあまり提案されていない。
【0005】
そこで本発明は、新たな視覚効果の生じる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気入りタイヤは、サイドウォール面に装飾領域が設けられ、前記装飾領域に第1基準面と前記第1基準面から突出する複数の突起が設けられた空気入りタイヤにおいて、前記突起は、第1方向へ延びる稜線と、前記稜線を中心とする第2方向の両側において前記稜線から前記第1基準面まで前記第1基準面に対して傾斜しつつ広がる斜面とを有し、前記稜線の長さが前記突起の前記第2方向への長さより短く、複数の前記突起が前記第2方向へ接触しつつ連なった突起列が複数形成され、隣接する突起列において前記突起の位置が前記第2方向へずれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の空気入りタイヤでは、複数の前記斜面での光の反射により新たな視覚効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】空気入りタイヤの軸方向の半断面図。
図2】サイドウォール面の装飾領域をタイヤ軸方向から見た図。
図3】模様の一部の斜視図。
図4】模様のタイヤ周方向の断面図。
図5】模様を第1基準面に垂直な方向から見た図。
図6】変更例の突起の斜視図。稜線の両端の高さが異なる例を示す図。
図7】変更例の模様のタイヤ周方向の断面図。突起の稜線が第2基準面より低い例を示す図。
図8】変更例の模様のタイヤ周方向の断面図。第1基準面が第2基準面より高い例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に実施形態の空気入りタイヤ1の断面構造が示されている。なお図1に示されているのはタイヤ軸方向の半分のみであり、実際の空気入りタイヤ1は中心線Cに対してほぼ左右対称になっている。タイヤ軸方向を図1に矢印Aで示し、タイヤ径方向を図1及び図2に矢印Bで示す。
【0010】
空気入りタイヤ1では、タイヤ軸方向両側にビード部9が設けられている。ビード部9は、円形に巻かれた鋼線からなるビードコアと、ビードコアの径方向外側に設けられたゴム製のビードフィラーとからなる。
【0011】
タイヤ軸方向両側のビード部9には1枚又は2枚のカーカスプライ2が架け渡されている。カーカスプライ2はタイヤ周方向に直交する方向に並べられた多数のプライコードがゴムで被覆されたシート状の部材である。カーカスプライ2は、タイヤ軸方向両側のビード部9の間で空気入りタイヤ1の骨格形状を形成するとともに、ビード部9の周りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返され巻き上げられることによりビード部9を包んでいる。また、カーカスプライ2の折り返し部分2aのタイヤ軸方向外側の場所には、ラバーチェーファー3が設けられている。
【0012】
また、カーカスプライ2のタイヤ径方向外側には1枚又は複数枚のベルト4が設けられ、ベルト4のタイヤ径方向外側にはベルト補強層5が設けられている。ベルト4はスチール製の多数のコードがゴムで被覆されて出来た部材である。ベルト補強層5は有機繊維製の多数のコードがゴムで被覆されて出来た部材である。ベルト補強層5のタイヤ径方向外側にはトレッドゴム6が設けられている。トレッドゴム6には多数の溝が設けられてトレッドパターンが形成されている。
【0013】
また、カーカスプライ2のタイヤ軸方向両側にはサイドウォールゴム7が設けられている。トレッドゴム6とサイドウォールゴム7とはバットレスにおいて重なっているが、トレッドゴム6とサイドウォールゴム7のいずれがタイヤ表面側に重なっていても良い。サイドウォールゴム7のタイヤ径方向内側の部分はビード部9の近くにまで延びており、ラバーチェーファー3の一部に被さっている。
【0014】
サイドウォールゴム7とラバーチェーファー3とのタイヤ表面における境界には、高さ1mm程度の小突起であるリムライン8が形成されている。リムライン8はタイヤ周方向に1周している。なお、リムライン8の代わりに、リムライン8と同じ場所において断面が略三角形になるように突出したリムプロテクターが設けられても良い。タイヤ径方向に、リムライン8又はリムプロテクターからトレッド端までの範囲をサイドウォール面10とする。ここでトレッド端とは、空気入りタイヤ1が路面に接地したときの、トレッドゴム6の接地面のタイヤ軸方向端のことである。
【0015】
また、カーカスプライ2の内側には空気の透過性の低いゴムからなるシート状のインナーライナーが貼り付けられている。これらの部材の他にも、タイヤの機能上の必要に応じて、ベルト下パッドやチェーハー等の部材が設けられている。
【0016】
図1及び図2のように、タイヤ軸方向両側のサイドウォール面10の少なくとも一方に、装飾領域11が設けられている。装飾領域11は、タイヤ回転軸を中心とする円環の形である。装飾領域11は、小径の円形の内径側線12と、大径の円形の外径側線13とに挟まれた、一定幅の領域である。内径側線12及び外径側線13は、タイヤ表面に凹、凸又は段差によって形成された線であっても良いし、実際には存在しない仮想的な線であっても良い。
【0017】
装飾領域11のタイヤ径方向の場所は、空気入りタイヤ1の最大幅の位置よりもタイヤ径方向外側の場所であっても良いし、空気入りタイヤ1の最大幅の位置を含む場所であっても良い。ここで、空気入りタイヤ1の最大幅の位置とは、タイヤ軸方向一方のサイドウォール面10の表面からタイヤ軸方向他方のサイドウォール面10の表面までのタイヤ軸方向の長さが一番長い位置のことである。
【0018】
また、図1では装飾領域11はトレッドゴム6とサイドウォールゴム7との界面がタイヤ表面に現れている場所を含む形で設けられている。このように、装飾領域11は、サイドウォール面10の表面に段差が現れやすい場所を含む形で設けられていても良い。サイドウォール面10の表面に段差が現れやすい場所とは、典型的にはタイヤ構成部材の端の場所である。そのような典型的な場所として、上記のようにトレッドゴム6とサイドウォールゴム7との界面がタイヤ表面に現れている場所の他に、例えばカーカスプライ2の巻き上げ端2b(カーカスプライ2の折り返し部分2aの端)のタイヤ軸方向の場所等がある。
【0019】
図2に示されるように、円環状の装飾領域11の対向する2箇所にはラベリング15が設けられている。ラベリング15は複数の文字16がタイヤ周方向に並ぶことによって形成されている。これら複数の文字16によって、製造者名、商品名、ブランド等のいずれかが表示されている。それぞれの文字16は凹又は凸の線によって縁取られて形成されている。
【0020】
また、2つのラベリング15に挟まれた場所には、模様14が設けられている。模様14は所定の図形からなるものである。図4に示されるように、模様14の周囲のタイヤ表面を第2基準面22とすると、模様14は第2基準面22に対して凹となった第1基準面21に設けられている。模様14の輪郭17は第1基準面21と第2基準面22との段差によって形成されている。
【0021】
模様14を形成する輪郭17の内側には第1基準面21から突出する複数の突起30が設けられている。図3図5に示されるように、突起30は、第1方向へ延びる稜線31と、稜線31から第2方向の両側に広がる2つの斜面32と、稜線31の延長方向の両端から第1基準面21に垂直に下りる2つの側面33とによって形成されている。本実施形態において、第1方向と第2方向とは直交しているものとする。図3及び図5に、第1方向を矢印Cで、第2方向を矢印Dでそれぞれ示す。なお、図5において、1つ1つの突起30は実線で縁取られて描かれ、稜線31は破線で描かれている。
【0022】
稜線31は第1方向Cへ延びる直線である。稜線31は第1基準面21からの高さが一定である。そのため、稜線31の両端の第1基準面21からの高さは同じである。稜線31は、突起30の中で第1基準面21から最も高く突出した部分であり、図4に示されるように第2基準面22よりも高い位置にある。
【0023】
斜面32は、稜線31から第1基準面21まで、第1基準面21に対して傾斜しつつ延びている。稜線31の両側の2つの斜面32は、第1基準面21に垂直な方向に対する傾斜角度θ(図4参照)が同じである。従って、突起30は第1方向Cから見ると二等辺三角形になっている。2つの斜面32の開き角度(すなわち2×θ)は、30°以上150°以下であることが好ましく、90°以上150°以下であることがより好ましい。
【0024】
斜面32は稜線31を一辺とする長方形である。斜面32における稜線31と対向する線は、斜面32と第1基準面21との交線である。斜面32と第1基準面21との交線は突起30の第2方向端34である。
【0025】
側面33は稜線31の端を頂点とする二等辺三角形の面である。側面33と斜面32との交線35(図3参照)が前記二等辺三角形の2つの等辺であり、側面33と第1基準面21との交線36が前記二等辺三角形の底辺である。
【0026】
稜線31の長さは突起30の第2方向Dの長さよりも短い。ただし、突起30の第2方向Dの長さは、稜線31の長さの30倍以下であることが好ましく、20倍以下であることがより好ましい。ここで、突起30の第2方向Dの長さは、側面33と第1基準面21との交線36の長さでもある。稜線31の長さは例えば0.8mm以上1.2mm以下である。また、突起30の高さ(すなわち、第1基準面21から稜線31までの、第1基準面21に垂直な方向への長さ)は例えば0.1mm以上1.5mm以下である。
【0027】
模様14の輪郭17の内側には、多数の(例えば50個以上の)このような突起30が隙間なく並べられている。これらの突起30は、第1方向Cがタイヤ径方向となり、第2方向Dがタイヤ周方向となるように配置されている。
【0028】
複数の突起30が第2方向Dであるタイヤ周方向へ連なって突起列23を形成している。突起列23において、隣り合う突起30同士は接触している。詳細には、第2方向Dに隣り合う2つの突起30の第2方向端34同士が一致している。第2方向Dに隣り合う2つの突起30の境界(すなわち第2方向端34)は第1基準面21上にある。
【0029】
模様14には複数の突起列23が平行に並べて設けられている。隣接する突起列23の間に隙間はなく、隣接する一方の突起列23の突起30と他方の突起列23の突起30とは接触している。
【0030】
そして、隣接する突起列23において稜線31の位置が第2方向Dへずれている。ずれの距離は突起列23の半ピッチ(すなわち1ピッチの半分)である。ここで、突起列23の1ピッチは、1つの突起30の第2方向Dの長さと一致する。全ての隣接する突起列23間において、第2方向Dへのずれの距離が同じである。このように突起列23がずれているため、図5に示されるように、第1方向Cへは、突起30の稜線31と、突起30の第2方向端34とが、直線上に交互に配置されている。このような稜線31と第2方向端34とが交互に配置された列が、模様14に複数形成されている。
【0031】
このような突起30は、空気入りタイヤ1の加硫成型時に金型によって形成することができる。加硫成型に使用される金型の成型面には、突起30の形に対応する凹凸が形成されている。そのような凹凸は、切削加工又はレーザ加工によって形成することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤ1では、装飾領域11に設けられた突起30が、第1方向Cへ延びる稜線31と、稜線31の第2方向両側において稜線31から第1基準面21まで傾斜しつつ広がる斜面32とを有している。ここで、稜線31の長さは突起30の第2方向Dへの長さより短い。そして、複数の突起30が第2方向Dへ接触しつつ連なった突起列23が複数列形成され、隣接する突起列23において突起30の稜線31の位置が第2方向Dへずれている。
【0033】
この構成により、面積の小さい複数の斜面32が隙間なく設けられることとなり、それぞれの斜面32で光が反射することとなる。そのように複数の斜面32で光が反射するため、装飾領域11の模様14が光って見え、かつ立体的に見える。そのことにより、装飾領域11の模様14が視認性に優れかつ美しいものとなる。また、人が稜線31を挟んだ2つの斜面32の一方から突起30を見ると、その一方の斜面32が光って見え、他方の斜面32が暗く見える。そして模様14の中に多数の突起30があるため、模様14の中に明暗からなる微細模様が見え、模様14が美しいものとなる。このように、複数の斜面32での光の反射により新たな視覚効果が生じる。
【0034】
また、空気入りタイヤ1のインフレートが行われると、サイドウォール面10に、タイヤ径方向に延びる筋状の凹みが発生することがある。しかし、装飾領域11の模様14に複数の突起30が設けられていることにより、そのような凹みが目立たなくなる。
【0035】
このような凹みは空気入りタイヤ1の最大幅の位置よりもタイヤ径方向外側において目立つため、装飾領域11が前記の最大幅の位置よりもタイヤ径方向外側に配置されていれば、凹みを目立たなくする効果が顕著になる。また、装飾領域11がタイヤ構成部材の端の場所に設けられていれば、その端に起因してサイドウォール面10の表面に現れる段差を目立たなくする効果が得られる。
【0036】
また、1本の稜線31に対する2つの斜面32の第1基準面21に垂直な方向に対する傾斜角度θが同じであるため、人が模様14を突起30の2つの斜面32のどちら側から見ても、光と影からなるグラデーションが同様に見える。
【0037】
また、突起30の第2方向Dがタイヤ周方向であることにより、空気入りタイヤ1が回転したときに独特の視覚効果が生じる。
【0038】
また、第1基準面21がその周囲の第2基準面22に対して凹となって低くなり、その第1基準面21に突起30が設けられている。しかし、突起30の稜線31は第2基準面22より高くなっている。この構成により、突起30の稜線31近くの部分には光がよく当たって強い反射が生じ、突起30の第1基準面21近くの部分には光があまり当たらず弱い反射しか生じない。そのため、突起30の稜線31近くの部分は明るく、突起30の第1基準面21近くの部分は暗く見え、その明暗のコントラストがはっきりするという視覚効果が生じる。
【0039】
また、突起30の稜線31の両端の第1基準面21からの高さが同じであるため、突起30を形成するための金型が製造しやすい。
【0040】
また、突起30の2つの斜面32の開き角度が30°以上であれば、加硫成型時に使用される金型における突起30を形成するための凹凸が深くなり過ぎない。そのため、加硫成型時に、金型の前記凹凸における空気の流れが良くなり、金型内部に空気溜りが生じにくく、空気入りタイヤ1に欠陥が生じにくい。突起30の2つの斜面32の開き角度が90°以上であれば、この効果がより顕著になる。また、2つの斜面32の開き角度が150°以下であれば、突起30の高さがある程度確保されるため、突起30が存在することによる効果がより顕著になる。
【0041】
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲は以上の実施形態に限定されない。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか2つ以上を矛盾の生じない範囲で組み合わせて適用しても良い。
【0042】
<変更例1>
突起30の配置の向きは上記実施形態の向きに限定されない。例えば、稜線31の延びる方向である第1方向Cがタイヤ周方向で、それと直交する第2方向Dがタイヤ径方向であっても良い。第1方向Cがタイヤ周方向となるよう突起30が配置されることにより、模様14の見え方が上記実施形態のときとは異なったものとなる。
【0043】
また、模様14の中に、第1方向Cがタイヤ径方向となった突起30が集まった領域と、第1方向Cがタイヤ周方向となった突起30が集まった領域とが形成されても良い。また、模様14において、第1方向Cがタイヤ径方向となった突起30と第1方向Cがタイヤ周方向となった突起30とが混在していても良い。
【0044】
<変更例2>
図6に示されるように、突起130の稜線131の2つの端131a、131bの第1基準面21からの高さが異なっても良い。このような突起130は稜線131の延びる方向である第1方向Cがタイヤ径方向になるように配置されることが好ましい。この好ましい配置において、高い方の端131aと低い方の端131bのどちらがタイヤ径方向内側でどちらがタイヤ径方向外側であっても良い。
【0045】
稜線131の両側の2つの斜面132は、第1基準面21に垂直な方向に対する傾斜角度が同じである。また、図6の場合、突起130の2つの斜面132の開き角度は、高い方の端131aの方と低い方の端131bの方とで異なり、高い方の端131aを頂点とする開き角度が、低い方の端131bを頂点とする開き角度より大きい。具体的数値としては、高い方の端131aを頂点とする開き角度が40°以上160°以下で、低い方の端131bを頂点とする開き角度が30°以上150°以下であることが好ましい。
【0046】
なお、上記とは逆に、高い方の端131aを頂点とする開き角度が、低い方の端131bを頂点とする開き角度より小さくても良い。また、高い方の端131aを頂点とする開き角度と、低い方の端131bを頂点とする開き角度とが同じでも良い。
【0047】
この変更例のように稜線131の2つの端131a、131bの第1基準面21からの高さが異なることにより、模様14が、上記実施形態のように稜線31の両端の第1基準面21からの高さが同じ場合とは異なった美しい見え方となる。
【0048】
<変更例3>
図7に示されるように、第1基準面21がその周囲の第2基準面22に対して凹となっている場合において、突起30の最も高い位置にある稜線31が第2基準面22よりも低い位置にあっても良い。この変更例の場合、突起30が第2基準面22に守られるため、突起30の破損を防ぐことができる。
【0049】
<変更例4>
図8に示されるように、第1基準面21がその周囲の第2基準面22に対して凸となっており、その第1基準面21に突起30が設けられても良い。この変更例の場合、突起30の斜面32に光がよく当たるため、突起30がより輝いて見える。
【0050】
<変更例5>
装飾領域11に設けられる模様は図2のものに限定されない。また、模様14の代わりに標章(例えば文字、記号、又は図形からなるもの)等が設けられ、その標章等の輪郭の内側に複数の突起30が設けられても良い。
【0051】
また、模様14の輪郭17(又は標章等の輪郭)の内側には突起30がなく、輪郭の外側に複数の突起30が設けられても良い。その場合、複数の突起30が設けられた領域の中に、突起30のない領域として模様14(又は標章等)が設けられることになる。
【0052】
<変更例6>
隣接する突起列23の第2方向Dへのずれの距離は、突起列23の半ピッチに限定されず、2/3ピッチ等でも良い。全ての隣接する突起列23間のずれの距離は同じであることが好ましい。
【0053】
<変更例7>
1つの突起30の2つの斜面32の第1基準面21に垂直な方向に対する傾斜角度θは同一でなくても良い。
【符号の説明】
【0054】
C…中心線、1…空気入りタイヤ、2…カーカスプライ、2a…折り返し部分、2b…巻き上げ端、3…ラバーチェーファー、4…ベルト、5…ベルト補強層、6…トレッドゴム、7…サイドウォールゴム、8…リムライン、9…ビード部、10…サイドウォール面、11…装飾領域、12…内径側線、13…外径側線、14…模様、15…ラベリング、16…文字、17…輪郭、21…第1基準面、22…第2基準面、23…突起列、30…突起、31…稜線、32…斜面、33…側面、34…第2方向端、35…交線、36…交線、130…突起、131…稜線、131a…端、131b…端、132…斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8