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特許7508436せり端末装置、応札方法、プログラム、及びせりシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】せり端末装置、応札方法、プログラム、及びせりシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20240624BHJP
   G06Q 30/08 20120101ALI20240624BHJP
【FI】
G06F3/02 460
G06Q30/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021184716
(22)【出願日】2021-11-12
(65)【公開番号】P2023072275
(43)【公開日】2023-05-24
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】松沼 敬
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-201141(JP,A)
【文献】特開2012-109383(JP,A)
【文献】特開2002-209958(JP,A)
【文献】特表2003-503119(JP,A)
【文献】特開2002-017513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0125330(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02-3/027
H03M 11/00-11/26
G06Q 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置であって、
応札を行う前記購買人によって押下される応札用ボタンを備え、
前記応札用ボタンは、床面近傍または床面に配置される
ことを特徴とするせり端末装置。
【請求項2】
前記床面上に設置される基台及び前記応札用ボタンを備えた応札ユニットを備え、
前記基台は、所定の方向に形成されて前記応札用ボタンが突出する踏込面を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のせり端末装置。
【請求項3】
前記せり会場には前記購買人用の椅子が設けられ、
前記購買人の前記椅子への着座によって押下される着座ボタンを備えている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のせり端末装置。
【請求項4】
前記椅子は、回動する座部を備え、
前記座部は、前記購買人の着座によって横向きの使用状態が維持される一方、前記購買人の離席によって自動的に上下方向に沿う待機状態とされ、
前記着座ボタンは、前記使用状態の前記座部によって押下され、前記使用状態から前記待機状態へ前記座部が回動することで押下が解除される
ことを特徴とする請求項3に記載のせり端末装置。
【請求項5】
前記応札用ボタンは、前記せり会場に設けられる机の天板の下方に配置される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のせり端末装置。
【請求項6】
せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置により実行される応札方法であって、
床面近傍または床面に配置される応札用ボタンにより、前記購買人による応札操作を受け付け、
前記受け付けた応札操作に基づきサーバへ応札を通知する、
ことを特徴とする応札方法。
【請求項7】
せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置が実行するプログラムであって、
床面近傍または床面に配置される応札用ボタンにより、前記購買人による応札を受け付け、
前記受け付けた応札操作に基づきサーバへ応札を通知する、
処理を実行することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置及び、サーバを備えるせりシステムであって、
前記せり端末装置は、
床面近傍または床面に配置される応札用ボタンにより、前記購買人による応札を受け付け、
前記受け付けた応札操作に基づき前記サーバへ応札を通知し、
前記サーバは、
前記せり端末装置から受け付けた応札に基づいて応札対象を応札する
ことを特徴とするせりシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せり端末装置、応札方法、プログラム、及びせりシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
中古車等のオークションでは、せり会場に設置されるせり端末装置を購買人が操作することで応札が行われる(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1のせり端末装置は、台座にケーブルを介して接続されるハンドユニットを備えている。ハンドユニットは、応札用のスイッチを備え、かかるスイッチを押すことによってパソコン等の画面に表示されたせり価格での応札が行われる。
【0004】
ここで、近年流行しているコロナウイルス感染予防対策のため、オークション終了後、せり端末装置の種々の箇所の除菌作業が行われ、特に購買人が手で操作するハンドユニットの除菌が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-128274号公報
【文献】特開2015-201141号公報
【文献】特開2018-181011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のせり端末装置が設置されるせり会場にて除菌作業を行う場合、台座からハンドユニットを着脱して拭き取り等を行う必要があり、作業負担が大きくなっていた。また、せり会場では机と椅子の狭い隙間を通りながら除菌作業を行うので、作業負担が更に大きくなる要因となっていた。特に、せり会場でのせり端末装置の台数が多い場合は、作業が長時間になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、除菌作業の負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置であって、応札を行う前記購買人によって押下される応札用ボタンを備え、前記応札用ボタンは、床面近傍または床面に配置されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置により実行される応札方法であって、床面近傍または床面に配置される応札用ボタンにより、前記購買人による応札操作を受け付け、前記受け付けた応札操作に基づきサーバへ応札を通知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置が実行するプログラムであって、床面近傍または床面に配置される応札用ボタンにより、前記購買人による応札を受け付け、前記受け付けた応札操作に基づきサーバへ応札を通知する、処理を実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、せり会場に設置され、購買人のせり取引に使用されるせり端末装置及び、サーバを備えるせりシステムであって、前記せり端末装置は、床面近傍または床面に配置される応札用ボタンにより、前記購買人による応札を受け付け、前記受け付けた応札操作に基づき前記サーバへ応札を通知し、前記サーバは、前記せり端末装置から受け付けた応札に基づいて応札対象を応札することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、除菌作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態におけるせり端末装置の側面図である。
図2】実施の形態におけるせり端末装置の椅子周りを省略した正面図である。
図3】実施の形態における応札ユニット及び椅子周りの平面図である。
図4】購買人が離席した状態を示す図1と同様の側面図である。
図5図5Aは、変形例における応札ユニットの平面図であり、図5Bは、他の変形例における応札ユニットの平面図である。
図6】実施の形態に係るせり端末装置が使用されるせりシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図7】実施の形態におけるせり端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】実施の形態のせりシステム100により実行されるせり制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態に係るせり端末装置について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、以下の実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0015】
図1は、実施の形態におけるせり端末装置の側面図である。図2は、実施の形態におけるせり端末装置の椅子周りを省略した正面図である。図1及び図2に示すように、せり端末装置10は、購買人Uが使用する机20及び椅子30周りに設置される。せり端末装置10、机20及び椅子30は、せり会場にて左右方向や前後方向に並んで複数設けられ、購買人Uのせり取引に使用される。以下、机20、椅子30、せり端末装置10の順に説明する。
【0016】
机20は、略水平に配置される天板21と、天板21の後端側から垂下する背面板22と、背面板22の前方に配置される幕板23(図2では不図示)とを備えている。天板21は、左右に細長い長方形状とされる。背面板22と幕板23との間には収容空間24が形成される。
【0017】
机20は、一対の側方脚部材26と、中央脚部材27と、連結部材28とを更に備えている。側方脚部材26は、天板21の左右両側に設けられている。中央脚部材27は、天板21の左右方向中央部に設けられる。各脚部材26、27は、床面F上に設置され、天板21、背面板22、及び、幕板23を支持している。連結部材28は、背面板22の後面に連結されて天板21より上方に延出し、後述するタッチパネルディスプレイ12を支持する。
【0018】
図3は、実施の形態における応札ユニット及び椅子周りの平面図である。購買人U用となる椅子30は、1台の机20に対し、左右に並んで2台設けられる。椅子30は、座部31と、座部31の後方に設けられる背もたれ32と、座部31及び背もたれ32の左右両側に設けられた肘掛け33とを備えている。
【0019】
図4は、購買人が離席した状態を示す図1と同様の側面図である。椅子30は、いわゆる跳ね上げタイプの椅子とされ、座部31が回動可能に設けられている。具体的には、座部31は、図1に示すように、購買人Uの着座によって横向きで水平方向に沿う使用状態が維持される。この一方、座部31は、購買人Uが座部31から離れて離席すると、不図示の戻り機構によって使用状態から自動的に回動し、図4に示すように上下方向に沿う待機状態とされる。
【0020】
図2に示すように、せり端末装置10は、1台の机20に対し、椅子30と同様に左右に並んで2台設けられる。せり端末装置10は、コントローラ11、タッチパネルディスプレイ12及びカード認証部13を備えている。
【0021】
コントローラ11は、背面板22と幕板23との間の収容空間24に配置される(図1参照)。コントローラ11は、せり端末装置10全体を統括的に制御するプロセッサ、プロセッサで実行されるプログラムが格納されたメモリを有するパーソナルコンピュータ等によって構成される。
【0022】
タッチパネルディスプレイ12は、天板21の後部にて天板21より上方に連結部材28(図2では不図示、図1参照)を介して支持される。タッチパネルディスプレイ12は、せり情報を画面に表示するディスプレイ(LCDモニタ)と、各種操作を入力するタッチパネルとを一体とした構成を例示できる。なお、後述するスマートフォン40等によって代替できる場合には、タッチパネルディスプレイ12におけるタッチパネルの構成は省略してもよい。
【0023】
カード認証部13は、天板21上のタッチパネルディスプレイ12に隣り合う位置に設けられる。カード認証部13は、かざされたICカードと非接触で通信して、ICカードに記憶されたデータを読取り、読取ったデータをコントローラ11に出力する。
【0024】
図1及び図3に示すように、せり端末装置10は、応札ユニット15及び着座検出用ユニット16を更に備えている。
【0025】
応札ユニット15は、床面Fに配置される。応札ユニット15は、机20の天板21の下方に配置され、その前後方向の位置は、本実施の形態では側方脚部材26に重なるように配置される。
【0026】
応札ユニット15は、床面F上に設置される基台15aと、基台15aの上方に設けられた2つの応札用ボタン15bとを備えている。
【0027】
基台15aは、ボックス状に形成され、上面が床面Fに対して傾斜する上面を有している。かかる基台15aの上面は、購買人Uの足裏が当接する踏込面15cとされる。踏込面15cは、椅子30から離れるに従って、言い換えると、後方に向かうに従って上昇する斜め上向きに形成されている。基台15aの左右幅は、椅子30の座部31の左右幅と概ね同一に形成される。
【0028】
応札用ボタン15bは、踏込面15cから上向きに突出して設けられている。基台15aの踏込面15cは床面Fより若干上方に位置するので、応札用ボタン15bも床面Fより若干上方、言い換えると、応札用ボタン15bは床面Fの近傍位置に配置される。
【0029】
応札用ボタン15bは、椅子30に着座した購買人Uが応札を行う際、購買人Uの足裏によって押圧されて押下される。これにより、応札用ボタン15bの突出高さが低くなるよう変位し、応札ユニット15からコントローラ11へ応札の入力信号が出力される。また、応札用ボタン15bは、購買人Uの足裏による押圧が解除されることで、元の突出高さに復帰される。
【0030】
ここで、応札に用いる応札用ボタン15bは、機能別に構成することができ、例えば、2つの応札用ボタン15bの一方を応札ボタン15b1、他方を切替ボタン15b2として構成することができる。応札ボタン15b1及び切替ボタン15b2の位置は、踏込面15cにて前後方向及び上下方向にて略同一とされ、左右方向に所定間隔を隔てた配置となっている。応札ボタン15b1は、出品物の応札の際に購買人Uによって押下される。切替ボタン15b2は、タッチパネルディスプレイ12に表示される出品物の切り替えの際に購買人Uによって押下される。なお、図面においては、踏込面15cにて右側に応札ボタン15b1、左側に切替ボタン15b2を配設したが、左右の位置を逆にしてもよい。
【0031】
着座検出用ユニット16は、床面Fにて椅子30における座部31の下方に配置される。着座検出用ユニット16は、床面F上に設置されるボックス部16aと、ボックス部16aの上面から上向きに突出する着座ボタン16bとを備えている。
【0032】
ボックス部16aは、略直方体状に形成され、上面の高さ位置が図1に示す使用状態の座部31の下面と同一、または、該下面より若干低く設定されている。ここで、座部31の下面は、着座ボタン16bの押圧面31aとされる。
【0033】
着座ボタン16bは、椅子30に購買人Uが着座(着席)した際、使用状態の座部31の押圧面31aによって押圧されて押下される。これにより、着座ボタン16bの突出高さが低くなり、着座検出用ユニット16からコントローラ11へ着座の検出信号が出力される。
【0034】
また、購買人Uが椅子30から離席し、座部31が使用状態から待機状態(図4参照)へ回動することで、着座ボタン16bから座部31の押圧面31aが離れて着座ボタン16bを押下した状態が解除される。これにより、着座ボタン16bは元の突出高さに復帰され、着座検出用ユニット16からコントローラ11へ出力していた着座の検出信号が停止される。なお、着座ボタン16bを押下した状態が解除されることで、着座検出用ユニット16から離席(着座の解除)の検出信号が出力されるようにしてもよい。
【0035】
図3では、左側の椅子30の座部31が使用状態、右側の椅子30の座部31が待機状態となっている。図3に示すように、椅子30を上方から見た状態で、着座検出用ユニット16は、使用状態だけでなく待機状態の座部31からもはみ出さずに収まる位置及び大きさに設けられる。
【0036】
応札ユニット15及び着座検出用ユニット16は、信号を送信するためのケーブル17、18を介してコントローラ11に接続される。
【0037】
机20の天板21の上に載置される符号「40」で示す装置はスマートフォン40であり、購買人Uが使用、携帯するものを利用することができる。
【0038】
ここで、従来のせり端末装置としては、机の天板の下面にホルダを介して着脱自在にグリップを設け、かかるグリップに応札ボタンを設けた構成が知られている。このような構成では、購買人がグリップを手で持って応札ボタンを操作するので、近時の感染症予防対策において、手が触れたグリップや応札ボタンを除菌する作業が大きな負担となっていた。特に、せり会場では、せり端末装置の台数が多数となり、椅子と机の間も狭いので(図4参照)、除菌作業に多大な労力を強いられていた。
【0039】
一方、上記実施の形態によれば、応札用ボタン15bが床面Fの近傍に配置されるので、購買人Uが応札用ボタン15bを足で押下して応札を行うことができる。これにより、せり取引での応札のために手で操作する必要をなくし、せり端末装置10にて手が触れる箇所を減らしたりなくしたりすることができる。この結果、手で触れた箇所に対する除菌作業の負担を軽減したり、除菌作業を省略したりすることができる。特に、せり端末装置10の台数が多数の場合や、椅子30と机20の間が狭い場合に、作業者の労力軽減をより一層図ることができる。
【0040】
更に、上記実施の形態によれば、従来のせり端末装置のホルダやグリップをなくすことができ、カールコードと称されるケーブルも不要となって短いケーブル17、18で接続できるので、構成の簡略化、コストダウンを図ることができる。
【0041】
また、応札用ボタン15bが突出する踏込面15cが斜め上向きに形成されるので、購買人Uが椅子30に着座した姿勢でも、応札用ボタン15bを押下し易くすることができる。
【0042】
更に、応札用ボタン15bを足裏操作で押下できるだけでなく、机20の天板21の下方に応札用ボタン15bが配置されるので、手で操作する従来の応札ボタンに比べ、応札状況を他社に悟られ難くすることができる。
【0043】
また、購買人Uの椅子30への着座によって押下される着座ボタン16bを有するので、購買人Uが特に操作等を行わなくても、コントローラ11に対して着席状況(離席状況)の信号を出力することができる。更に、回動する座部31の位置に応じて着座ボタン16bの押下と押下の解除が行われるので、着座ボタン16bを操作する機構として座部31を利用し、部品点数の削減を通じて構成の簡略化を図ることができる。しかも、座部31は、使用状態の位置にて強固に位置決めされるので、使用状態の押圧面31aの位置が安定し、ひいては、着座ボタン16bによる着座の検出を安定して行うことができる。
【0044】
図6は、実施の形態に係るせり端末装置が使用されるせりシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【0045】
実施の形態に係るせりシステム100は、サーバ200と、n台のせり端末装置300-1~300-n(nは、1以上の整数)と、を備える。n台のせり端末装置300-1~300-nを特に区別して説明しない場合には、以下「せり端末装置300」と呼ぶ。せり端末装置300は、上記せり端末装置10に対応する構成とされる。
【0046】
せりシステム100は、図6に図示していない他の構成を含んでいてもよい。せりシステム100は、m台のスマートフォン400-1~400~m(mは、1以上の整数)が併せて利用される。m台のスマートフォン400-1~400~mを特に区別して説明しない場合には、以下「スマートフォン400」と呼ぶ。スマートフォン400は、上記スマートフォン40に対応する構成とされる。
【0047】
サーバ200と、せり端末装置300とは、イーサネット(登録商標)やインターネットなどのネットワークNを通じて相互に通信可能に接続されている。ネットワークNは、有線又は無線により構成される。サーバ200と、スマートフォン400とは、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信より相互に通信可能に接続されている。
【0048】
サーバ200は、せりシステム100で行われるせり業務を統括的に制御する。例えば、サーバ200は、購買人U(図1参照)の要求に応じて参加者に対して購買人Uが提供を要求した出品物に関する情報をせり端末装置300を通じて提供する。また、サーバ200は、せり端末装置300を通じて出品物に対する購買人Uからの応札の受付け、出品物の価格の更新、および落札者の決定等を行い、せりの進行を制御する。
【0049】
スマートフォン400は、せりに参加する購買人Uの携帯端末であり、会場アプリと呼ばれるアプリケーションソフトがインストールされている。この会場アプリは、会員IDおよびパスワードに対応し、せりに参加する資格を有する購買人U(会員)であることを認証する認証識別子(以下、認証IDという)の情報をサーバ200から受け取ることができる。このとき、会場アプリが受け取った認証IDは、スマートフォン400のディスプレイに認証画面としてQRコード(登録商標)の形態で表示される。その認証画面を読み取ることによりログオン処理が行われ、せり端末装置300でのログオン操作を省略することもできる。
【0050】
せり端末装置300-1~300-nは、せりに参加する会員(参加者)が応札操作を行う装置である。せり端末装置300-1~300-nは、せり会場に配置される。せり端末装置300-1~300-nは、各購買人Uに提供されるので、せり会場に複数配置されている。以下、代表してせり端末装置300を用いて説明する。
【0051】
次にせり端末装置300のハードウェア構成について説明する。図7は、実施の形態におけるせり端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0052】
せり端末装置300は、制御部75、タッチパネルディスプレイ12、カード認証部13及び、応札ユニット15を有する。タッチパネルディスプレイ12は、ディスプレイ12a及び、タッチパネル12bを有する。せり端末は、図7に示していない他の構成要素を含んでいてもよい。
【0053】
制御部75は、プロセッサ75aによって装置全体が制御され、コントローラ11(図1参照)に含まれる。プロセッサ75aには、バス75gを介してRAM(Random Access Memory)75bと複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ75aは、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ75aは、たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ75aは、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0054】
RAM75bは、せり端末装置300の主記憶装置として使用される。RAM75bには、プロセッサ75aに実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM75bには、プロセッサ75aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0055】
バス75gに接続されている周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)75c、グラフィック処理装置75d、入出力インタフェース75eおよびネットワークインタフェース75fがある。
【0056】
HDD75cは、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書込みおよび読出しを行う。HDD75cは、せり端末装置300の補助記憶装置として使用される。HDD75cには、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、補助記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0057】
グラフィック処理装置75dには、ディスプレイ12aが接続されている。グラフィック処理装置75dは、プロセッサ75aからの命令に従って、画像をディスプレイ12aの画面に表示させる。ディスプレイ12aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。なお、ディスプレイ12aは、後述するタッチパネル12bとともにタッチパネルディスプレイ12を構成する。
【0058】
入出力インタフェース75eには、タッチパネル12b、カード認証部13、応札ユニット15及び、着座検出用ユニット16が接続されている。入出力インタフェース75eは、タッチパネル12b、カード認証部13、応札ユニット15及び、着座検出用ユニット16から送られてくる信号をプロセッサ75aに送信する。
【0059】
なお、タッチパネル12bは、操作用のデバイスの一例であり、キーボードや他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、マウス、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0060】
ネットワークインタフェース75fは、ネットワークNに接続されている。ネットワークインタフェース75fは、ネットワークNを介して、サーバ200、スマートフォン400、他の装置又は、通信機器との間でデータのやり取りを行う。
【0061】
カード認証部13は、会員の認証用のデータを会員カードから取得する装置である。カード認証部13は、会員カードを読み取って、会員カードに記録された会員を特定可能な識別情報(たとえば、会員番号)を取得する。会員カードは、例えばICカード(Integrated Circuit Card)により構成される。
【0062】
応札ユニット15は、応札に用いる応札用ボタン15b備え、応札用ボタン15bを介して参加者から応札を受付ける(図1参照)。応札用ボタン15bは、複数備えていてもよい。また、複数の応札用ボタン15bは、機能別に構成されていてもよい。例えば、応札用ボタン15bは、応札ボタン15b1及び、切替ボタン15b2により構成される。応札ボタン15b1は、タッチパネルディスプレイ12に表示されている応札対象を応札する旨をサーバ200へ通知する機能に対応する。応札ボタン15b1が押下された場合には、プロセッサ75aは、タッチパネルディスプレイ12に表示されている応札対象を応札する旨をサーバ200へ通知する。切替ボタン15b2は、タッチパネルディスプレイ12に表示されている応札対象を切り替える旨をサーバ200へ通知する機能に対応する。切替ボタン15b2が押下された場合には、プロセッサ75aは、タッチパネルディスプレイ12に表示されている応札対象を切り替える旨をサーバ200へ通知する。応札用ボタン15bは、その他の機能に対応するボタンにより構成されていてもよい。
【0063】
着座検出用ユニット16は、床面Fにて椅子30における座部31の下方に設けられ、着座ボタン16bを介して購買人Uの着座を検出する(図1参照)。着座検出用ユニット16は、着座ボタン16bの押下及び押下の解除に基づき購買人Uの着席(着座)又は離席を検出する。着座検出用ユニット16は、検出した着席又は離席の情報をプロセッサ75aへ通知する。
【0064】
以上のようなハードウェア構成によって、実施の形態のせり端末装置300の処理機能を実現することができる。
【0065】
図8は、実施の形態のせりシステム100により実行されるせり制御処理の一例を示すフローチャートである。開始前はせり端末装置300はログオフ状態である。ログオフ状態では、プロセッサ75aは、「着席後、ICカードをカード認証部13にかざして下さい」というようなガイダンスをタッチパネルディスプレイ12に表示する。
【0066】
プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16(着座ボタン16bの押下状態)により着席を検出したか否かを判断する(ステップS101)。着座ボタン16bが押下され、着座検出用ユニット16により購買人Uの椅子30への着席を検出(ステップS101:YES)すると、着座検出用ユニット16がONとなる。
【0067】
着座検出用ユニット16によって購買人Uが椅子30へ着席したと判断すると(ステップS101:YES)、プロセッサ75aは、ICカードの認証を受け付ける(ステップS102)。プロセッサ75aは、購買人UがかざしたICカードで認証がOKであるかを判断し、プロセッサ75aはかざされたICカードから読取ったデータをサーバ200に送信して照合する。サーバ200は、せり端末装置300から送信されたデータを会員データベースと照合して、登録された会員であれば、せり端末装置300に認証OKを送信する。
【0068】
プロセッサ75aは、購買人UがかざしたICカードの認証がOKであると判断すると、ログオン(利用開始を許可)する(ステップS103)。
【0069】
一方、プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により購買人Uの着席が検出されるまでは(ステップS101:NO)、ICカードの認証を許可しない。すなわち、プロセッサ75aは、購買人Uの着座が検出されるまで、ステップS101の処理をループする。
【0070】
プロセッサ75aは、ログオン後、せり画面をタッチパネルディスプレイ12に表示し(ステップS104)、応札ユニット15の動作を開始し応札操作を許可する(ステップS105)。
【0071】
応札操作が許可されたことで、購買人Uは、現に座っているせり端末装置300において、出品物を閲覧して、応札することが可能になる。
【0072】
プロセッサ75aは、応札ユニット15の応札用ボタン15bのうち応札ボタン15b1が押下されたか否かを判定する(ステップS106)。応札ユニット15の応札ボタン15b1が押下された場合(ステップS106:YES)には、プロセッサ75aは、タッチパネルディスプレイ12のせり画面に表示されている応札対象を応札する旨をサーバ200へ通知する(ステップS107)。応札ユニット15の応札ボタン15b1が押下されていない場合(ステップS106:NO)には、処理はステップS108へ進む。
【0073】
プロセッサ75aは、応札ユニット15の応札用ボタン15bのうち切替ボタン15b2が押下されたか否かを判定する(ステップS108)。応札ユニット15の切替ボタン15b2が押下された場合(ステップS108:YES)には、プロセッサ75aは、タッチパネルディスプレイ12のせり画面に表示されている応札対象を切り替える旨をサーバ200へ通知する(ステップS109)。応札ユニット15の切替ボタン15b2が押下されていない場合(ステップS108:NO)には、処理はステップS110へ進む。
【0074】
プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により離席を検出したか否かを判断する(ステップS110)。着座ボタン16bの押下が解除され、着座検出用ユニット16により購買人Uの椅子30からの離席を検出すると(ステップS110:YES)すると、着座検出用ユニット16がOFFとなる。そして、プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により購買人Uの離席を判断すると、応札操作の受付を停止して、応札操作を不可にし、ログオフ処理を行う(ステップS111)。この処理が終了すると図8に示すせり制御処理は終了となる。
【0075】
上述の実施の形態においては、プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により購買人Uの椅子30からの離席を検出すると(ステップS110:YES)すると、ログオフ処理を行っている(ステップS111)がこの限りではない。例えば、プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により購買人Uの椅子30からの離席を検出すると(ステップS110:YES)、応札ユニット15による応札操作の受付を一時的に中断してもよい。この場合、プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により購買人Uの椅子30への着席を再び検出すると、応札ユニット15による応札操作の受付を再開する。
【0076】
また、プロセッサ75aは、着座検出用ユニット16により購買人Uの椅子30からの離席を検出すると(ステップS110:YES)すると、離席時間が所定時間以内であるかを判断してもよい。所定時間は、例えば、10秒程度である。プロセッサ75aは、離席時間が所定時間を越えたと判断すると、購買人Uが離席したと判断し、応札操作の受付を停止して、応札操作を不可にし、ログオフ処理を行ってもよい。
【0077】
上述の実施の形態においては、せり端末装置300の操作用のデバイスの一例として、タッチパネル12bを挙げているが、スマートフォン400を操作用デバイスとしてもよい。例えば、上述の実施の形態においては、応札ユニット15の切替ボタン15b2が押下された場合(ステップS108:YES)には、プロセッサ75aは、タッチパネルディスプレイ12のせり画面に表示されている応札対象を切り替える旨をサーバ200へ通知(ステップS109)しているがこれに限られない。例えば、スマートフォン400の会員アプリを通じてスマートフォン400のディスプレイに表示された切替ボタンが押下された場合には、スマートフォン400は、タッチパネルディスプレイ12のせり画面に表示されている応札対象を切り替える旨をサーバ200へ通知してもよい。
【0078】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記各実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0079】
例えば、応札用ボタン15bの床面Fからの高さ位置は、購買人Uが足裏で押下できる限りにおいて変更してもよい。例としては、応札ユニット15の基台15aを床面Fに埋設し、応札用ボタン15bが床面Fと同じ高さに配置されるように構成してもよい。
【0080】
また、応札ユニット15にて、基台15aの形状や配置は変更してもよく、応札用ボタン15bを1個や3個以上の複数個に変更してもよい。
【0081】
また、応札ユニット15は、応札ボタン15b1及び切替ボタン15b2の少なくとも一方を複数とした構成としてもよい。かかる構成としては、図5A及び図5Bに示す応札ユニットを例示することができる。図5Aは、変形例における応札ユニットの平面図であり、図5Bは、他の変形例における応札ユニットの平面図である。
【0082】
図5Aの応札ユニット15では、2個の応札ボタン15b1の中央位置に切替ボタン15b2が設けられている。図5Bの応札ユニット15では、2個並ぶ応札ボタン15b1の左側と右側それぞれに切替ボタン15b2が設けられている。ここで、応札用ボタン15bの機能は、上述の機能に限られず、応札を行う際の各種操作用の操作ボタンにする等、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 :せり端末装置
11 :コントローラ
15 :応札ユニット
15a :基台
15b :応札用ボタン
15c :踏込面
16b :着座ボタン
20 :机
21 :天板
30 :椅子
31 :座部
100 :せりシステム
200 :サーバ
300 :せり端末装置
F :床面
U :購買人
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8