(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】デジタル化された芳香を創作するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240624BHJP
【FI】
G06Q30/0601
(21)【出願番号】P 2021524169
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019080072
(87)【国際公開番号】W WO2020094556
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シヴァガミナタン,ラフール カールティック
(72)【発明者】
【氏名】クロンシュタイン,アダム エリ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,ジョゼフ アンドルー
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ヨン ホワ
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0253338(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0169288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離れた場所にいるユーザー間の芳香創作のためのリアルタイム対話型連携システムであって、
離れた場所にいるユーザーに芳香創作セッションにおいて同じ芳香プロファイルを体験させるために、
少なくとも1つの芳香物質の調合により所望の芳香を創作するために個人の鼻腔に少なくとも1つの芳香物質を届けるように適合された異なる場所にあ
る芳香調合デバイス、
それぞれの芳香調合デバイスに挿入された複数の芳香物質含有カートリッジを含むラックであって、前記ラックが前記芳香物質含有カートリッジと前記芳香調合デバイスとの間のデータ通信のための通信手段を含む前記ラック、および、
前記芳香調合デバイスによって芳香物質をブレンドするためおよびリアルタイムの芳香創作セッションを記録するためのコンピュータアプリケーションを格納する、インターネットを介して互いにネットワーク接続され異なる場所にある複数のウェブ対応デバイスと、
芳香創作セッションに関連する情報を格納するクラウドサーバを含み、
前記ウェブ対応デバイスは、前記クラウドサーバ、および、前記芳香調合デバイスと通信可能であり、
前記システムが、芳香創作セッションの間、ユーザーにリアルタイムで芳香を共有し、共同し、さらに、対話することを可能に
し、
前記芳香創作セッションの記録は、離れた場所にいるユーザーに多感覚的次元における芳香創作のプロセスをキャプチャし再生可能とする、
前記システム。
【請求項2】
前記芳香調合デバイスがディスプレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ディスプレイがタッチスクリーンである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ウェブ対応デバイスがマイクロフォンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記通信手段が短距離通信リーダを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記通信手段が近距離無線通信(NFC)インタフェースを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記クラウドサーバ上の前記情報が、各カートリッジの芳香物質情報を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記芳香物質情報が、セキュリティコード、成分情報、日付およびタイムスタンプ、有効期限、カートリッジを通る空気流、および、カートリッジの使用期間からなる群から選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の芳香物質含有カートリッジを含むラックが少なくとも10個のカートリッジを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の芳香物質含有カートリッジを含むラックが少なくとも15個のカートリッジを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、
キャリアガス流の供給源、キャリアガス流を受け複数のチャネルを通りその通過を調節する調節手段、調節手段の下流の各チャネルに関連付けられている複数の芳香物質含有カートリッジ、および、個人の鼻腔に少なくとも1つの芳香物質を届けるように適合された散布手段を含む芳香調合デバイス、
各カートリッジ用のリザーバ、ここで、各リザーバは、芳香物質、および、前記リザーバへのキャリアガスの流入と前記リザーバからの芳香物質含有キャリアガスの流出を可能にする入口および出口チャネルを含み、および、
前記カートリッジに関連付けられた情報で構成された近距離無線通信(NFC)タグ、ここで、前記カートリッジは近距離無線通信(NFC)を使用して前記芳香調合デバイスと通信する、
を含む、前記システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、請求項11記載のカートリッジに関連する前記情報が所定の識別子である、前記システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、請求項12記載の所定の識別子がセキュリティコードである、前記システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、請求項11記載のカートリッジに関連する前記情報が、前記カートリッジの1つ以上の動作パラメータを含むデータである、前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、芳香創作のためのリアルタイム対話型連携システムに関する。より具体的には、本開示は、芳香をデジタル化するためのリアルタイム対話型システムに関する。さらにより具体的には、本開示は、芳香創作の多感覚プロセスを記録または捕捉するための技術、方法、システム、および、メカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の芳香創作および提示は、通常、香水瓶、被験者、および/または、嗅覚計を使用して実行されてきた。しかしながら、企業がよりグローバル化し、作業スケジュールがより柔軟になるにつれ、芳香調合デバイスを使用してプロジェクトで共同で作業するフレーバリストと調香師は、必ずしも互いに同じ場所に、または、芳香調合デバイスと同じ場所にいるとは限らない。グローバルな顧客と協力することの複雑さに加えて、創作セッションや消費者調査をスケジュールすることが、ますます困難になる。
【0003】
従って、芳香を創作する際、近距離無線通信デバイスおよびインターネットを使用して、芳香をデジタル化し、共有し、共同し、リアルタイムで対話する機能が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、芳香創作のためのリアルタイム対話型連携システムが提供される。このシステムは、消費者の鼻腔に少なくとも1つの芳香物質を届けるように適合された芳香調合デバイス、カートリッジと芳香調合デバイスとの間のデータ通信のための通信手段を含む複数の芳香物質含有カートリッジ、コンピュータアプリケーションを格納するウェブ対応デバイス、および、芳香創作セッションに関連する情報を格納するクラウドサーバを含む。ウェブ対応デバイスは、クラウドサーバ、および、芳香調合デバイスと通信可能である。
【0005】
別の実施形態においては、芳香調合デバイスと共に使用する複数の芳香物質含有カートリッジが提供される。複数のカートリッジは、各カートリッジ用のリザーバを含み、各リザーバは、芳香物質、および、リザーバへのキャリアガスの流入とリザーバからの芳香物質含有キャリアガスの流出を可能にする入口および出口チャネルを含み、複数のカートリッジは更に、カートリッジに関連付けられた情報で構成された近距離無線通信(NFC)タグを含む。カートリッジは、NFCを使用して芳香調合デバイスと通信する。
【0006】
具体的な実施形態の、これらおよび他の特徴、態様、および利点は、本開示を読むことから当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面に記載された実施形態は、本質的に例示的なものであり、特許請求項により定義された発明を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細説明は、以下の図面と併せて読むと理解可能であり、ここで、同様の構造は、同様の参照番号で示される。
【0008】
【
図1】本明細書に示し説明する実施形態による、芳香創作のためのリアルタイム対話型連携システムを示す。
【0009】
【
図2a】本明細書に示し説明する実施形態による、支持体内に複数のカートリッジを含む支持体の概略斜視図を示す。
【0010】
【
図2b】本明細書に示し説明する実施形態による、支持体内に複数のカートリッジを含む支持体の概略斜視図を示す。
【0011】
【
図3】本明細書に示し説明する実施形態による、芳香創作のためのリアルタイム対話型連携システムの記録セッション機能を示す。
【0012】
図面に記載された実施形態は、本質的に例示的なものであり、特許請求項により定義された開示を限定することを意図するものではない。さらに、図面および開示の個々の特徴は、詳細な説明を以って、より完全に明らかになり、理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の文章により、本開示の数多くの様々な実施形態の幅広い説明を述べる。説明は例示としてのみ解釈すべきであり、すべての可能な実施形態を説明することは不可能でなくとも非現実的であるため、すべての可能な実施形態を説明するわけではない。本明細書に記載の任意の特徴、特性、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論は削除可能であり、本明細書に記載の任意の他の特徴、特性、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論と、全体または部分的に組み合わせ、または、置換することも可能であることは理解されよう。現在の技術、または、この特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、数多くの代替実施形態を実施可能であろうが、それは依然として本特許請求の範囲内である。本明細書で引用されたすべての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
本開示により、ユーザ間での芳香創作セッションを共有するための、リアルタイム対話型連携システム10の様々な実施形態を説明する。システム10により、ユーザがリアルタイムで共有し、共同し、さらに、対話することが可能になる。ユーザは、たとえば会議室や研究室などの同じ場所に物理的に共存する場合もあれば、離れた場所に所在する場合もある。一実施形態においては、このようなシステム10は、芳香調合デバイス20、複数の芳香物質含有カートリッジ30、コンピュータアルゴリズムを格納するウェブ対応デバイス40、および、セッション情報を格納するクラウドサーバ50を含む。
【0015】
図1を参照すると、本図は、本開示の一実施形態による、近距離無線通信(NFC)インタフェースにより、芳香調合デバイス20が、芳香物質含有カートリッジ30に取り付けられたNFCステッカ35およびウェブ対応デバイス40と通信することが可能になることを示す図である。一実施形態では、ウェブ対応デバイス40はまた、インターネットを介し、クラウドサーバ50と通信可能である。
【0016】
一実施形態においては、芳香調合デバイス20は、キャリアガス流の供給源、キャリアガス流を受け複数のチャネルを通りその通過を調節する調節手段、調節手段の下流の各チャネルに関連付けられている複数の芳香物質含有カートリッジ30、および、消費者の鼻腔に少なくとも1つの芳香物質を届けるように適合された散布手段を含み得る(すべての要素を示すわけではない)。一実施形態においては、芳香調合デバイス20は、嗅覚計デバイス(サンプルの蒸気圧により存在する気相、または、液体または固体の形態での一部を正確に分けることができる機器)、例えば、Givaudanが開発および所有している、Virtual Aroma Synthesizer(登録商標)デバイスまたはMiniVA(トレードマーク)デバイスであり得る。
【0017】
キャリアガスの供給源は、任意の適切なガス源でよい。たとえば、キャリアガスは空気または窒素で、供給源はコンプレッサであり得る。あるいは、供給源は、ガスの加圧シリンダであり得る。ガス流は調整手段により運ばれる。調整手段は、典型的には、芳香物質を含むカートリッジ30にガスを運ぶように適合された複数のチャネルを含むデバイスであり、チャネルごとに1つのカートリッジである。チャネルを開閉し、これらの開および閉を所定時間維持することにより、調節手段は、どの芳香物質を、また、それのどれだけの量を、いつ運ぶかを決定し、それにより、ユーザによって知覚される芳香の性質を変更することができる。
【0018】
調整手段の操作は、例えば、調整デバイスに有線接続された、または、無線で操作するコンピュータによって遠隔で行い得る。一実施形態においては、芳香調合デバイス20は、短距離通信用の短距離通信リーダを含む。短距離通信の非限定的な例としては、ブルートゥース、無線周波数識別(RFID)、赤外線データ協会(IrDA)、超広帯域(TJWB)、ZigBee、または、任意の数の他の無線通信プロトコルまたはインタフェースが含まれる。一実施形態では、芳香調合デバイスは、NFCインタフェースを含む。NFCインタフェースの範囲は、約4インチから約8インチであり得る。NFCインタフェースとの近距離通信は、磁界誘導60を介して行われ得て、NFCインタフェースが他のNFCデバイスと通信すること、または、以下にさらに詳細に説明する通り、複数のカートリッジ30上に配置されたNFCステッカ35から情報を取得することが可能になる。
【0019】
別の実施形態によれば、芳香調合デバイス20は、ディスプレイ25を有し得る。ディスプレイは、ユーザが芳香調合デバイス20と対話し得るタッチスクリーンとして機能し得る。
【0020】
所望の芳香が創作される芳香物質のカートリッジ30は、所望の芳香物質を含み、キャリアガスが当たった時にそれらを放出することができる任意の適切なカートリッジであり得る。1つの特有のタイプとして、芳香物質を含むリザーバを含み、リザーバへのキャリアガスの流入およびリザーバからの芳香物質含有キャリアガスの流出を可能にする入口および出口チャネルを含むカートリッジ30があり、このチャネルは、キャリアガス流が中断された時に、リザーバからカートリッジ外部のヘッドスペースへの芳香物質の漏出を防止する、または実質的に防止するための閉鎖手段として機能するに十分な内径および長さの寸法を有する毛細管により定義される。このようなカートリッジは、米国特許第7,601,297号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。それは小さく非常にスリム(クレジットカードサイズ程度)であり得て、バルブの配置を必要とせず、単にカートリッジから物質を混入するためのキャリアガスの供給、ならびに、これを指示および調整する手段を必要とするに過ぎないという利点がある。このようなカートリッジは、空の時に、簡単に交換可能である。
図2aに、複数のカートリッジ30、つまり、ラックを含む支持体のクレジットカード型設計100を透視図で示す。別の実施形態における、複数のカートリッジ30、つまり、ラックを含む一般的な円筒形の支持体110を
図2bに示す。一実施形態においては、1つのラックには、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれ以上のカートリッジを含む、任意の数の個別のカートリッジが含まれる。いくつかの実施形態においては、カートリッジのラックは、少なくとも5個の個別のカートリッジを、別の実施形態においては少なくとも10個の個別のカートリッジを、別の実施形態においては少なくとも15個の個別のカートリッジを含む。別の実施形態においては、芳香調合デバイスは、1つ以上のカートリッジのラックを、例えば、少なくとも2つまたは3つのカートリッジのラックを含み得て、合計30個または45個の個別のカートリッジが芳香調合デバイス20に搭載される可能性がある。
【0021】
カートリッジからのガス流により混入される芳香物質は、キャリアにより導管を介して散布手段に運ばれる。散布手段の性質は、気相物質を個人の鼻腔に送達することができる任意の散布手段であり得る。例えばそれは、着用可能な小型ノーズピースであり得るし、または、芳香調合デバイスに接続された嗅覚ポートであり得る。
【0022】
それぞれの複数カートリッジ30、または、カートリッジ30のラックは、セキュリティのための、および、カートリッジの1つ以上の動作パラメータに関連するデータを格納するための、所定の識別子で構成される事前プログラムされた一意のNFCステッカまたはタグ35を有する。カートリッジ30のラックが芳香調合デバイス20に挿入され、識別子が検証されると、芳香調合デバイス20が作動する。一実施形態では、NFCステッカ35の検証なくしては、芳香調合デバイス20は動作可能とならない。これにより、認証された有効なカートリッジ30のみが芳香調合デバイス20で使用できることが保証される。別の実施形態では、NFCステッカ35の検証は任意である。
【0023】
一実施形態では、NFCステッカ35に格納され、続いて芳香調合デバイス20により取得されるタイプの情報は、それが取り付けられているカートリッジ30のラックに固有のセキュリティコードまたは識別子を含む。NFCステッカ35に格納される他の情報は、ラックの有効期限および各カートリッジの特定の成分情報(例えば、どの芳香化学物質がカートリッジに装填されているか)、日付およびタイムスタンプ情報、または、データの量が大きすぎる場合は、芳香物質情報を取得するためのクラウドサーバへのリンクを含む。使用中には、例えば、カートリッジ30の空気流量または流速、使用期間、有効期限等の使用情報を含む追加情報が、NFCステッカ35に格納され得る。
【0024】
本開示によれば、システム10はまた、インターネットにアクセスするためにウェブ対応デバイス40を含み得る。本明細書で使用するウェブ対応デバイス40という用語は、1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行することができ、インターネットまたは1つ以上のコンピュータネットワークに接続することもできる任意のポータブルデバイスを指す。ウェブ対応デバイス40には、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)やAndroid(登録商標))、タブレット、ネットブック、GPSデバイス、eリーダ、iPad(登録商標)、スマートTV、および、携帯ゲーム機器(例えば、任天堂DS(登録商標)、ソニーPSP(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態においては、ウェブ対応デバイス40は、クラウドサーバ50および芳香調合デバイス20と通信可能である。
【0025】
ウェブ対応デバイス40は、少なくとも1つの中央処理装置(CPU)を含み得る。このCPUは、オペレーティングシステムを実行する様々なアプリケーションを実行する、および/または、本書で説明する1つ以上の手法の処理を提供するための処理機能を提供し得る。アプリケーションには、例えば、芳香物質をブレンドするためのソフトウェアが含まれ得る。このようなソフトウェアの例としては、オハイオ州シンシナティのGivaudan Flavours Corporationにより開発されたAroma Composer(トレードマーク)がある。Aroma Composer(トレードマーク)ソフトウェアは、消費者による評価のために嗅覚ポートに届けられる成分サンプルまたは芳香物質の割合と強度を制御する。別の実施形態では、消費者から収集したデータを分析するために、データサイエンスおよび予測分析を使用するソフトウェアが含まれる。このようなソフトウェアの例としては、オハイオ州シンシナティのGivaudan Flavours Corporationにより開発されたATOM(トレードマーク)ソフトウェアがある。
【0026】
メインメモリは、データおよび実行可能コードを格納するCPUに通信可能に結合され得る。メインメモリは、RAMなどの揮発性メモリが代表的であり得るが、読み取り専用メモリ(ROM)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリも含み得る。CPUの動作に関連するデータをバッファリングまたはキャッシュする際に、メインメモリは、ウェブ対応デバイス40上で実行されているアプリケーションに関連するデータを格納し得る。
【0027】
ウェブ対応デバイス40はまた、不揮発性ストレージを含み得る。不揮発性ストレージとしては、ハードディスクドライブなどの適切な不揮発性ストレージ媒体、または、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが代表的である。不揮発性ストレージは長期保存に適しているため、データファイルを保存し得る。
【0028】
ネットワークの接続性のために、1つ以上のネットワークインタフェースがウェブ対応デバイス上に存在し得る。ネットワークインタフェースは、電話ネットワークまたはコンピュータネットワーク(たとえば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/または、セルラネットワークなどのワイヤレスネットワーク、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)標準の802.11a/bまたはg、または他のそのようなワイヤレスローカルエリアネットワーク標準に準拠したWi‐Fiネットワーク、または、IEEE標準802.16または他のそのようなワイヤレスブロードバンド標準に準拠したWiMaxネットワーク)を含むがこれらに限定されない任意のネットワークであり得る。別の実施形態では、ウェブ対応デバイス40には、オーディオをキャプチャするためのブルートゥース通信インタフェース70およびマイクロフォンが含まれる。
【0029】
本開示によれば、システム10はまた、芳香創作セッションに関連する情報(例えば、芳香物質の固有情報)を格納するためのクラウドサーバ50を含み得る。クラウドサーバ50は、インターネット80を介するクラウドコンピューティングプラットフォームを通じて、構築、ホスト、配信される論理サーバである。クラウドサーバ50は、一般的なサーバと同様の性能と機能を備え発揮するが、クラウドサービスプロバイダからリモートでアクセスされる。すなわち、クラウドサーバ50は、専用サーバと同様のレベルの性能、セキュリティ、および、制御を提供するように構成可能である。ただし、ユーザだけが使用する物理的ハードウェア上でホストされるのではなく、クラウドホスティングプロバイダにより管理される共有の「仮想化」環境に存在する。一実施形態においては、クラウドサーバ50は、メモリおよびプロセッサを含む。プロセッサがNFCステッカ35を更新するのに対し、メモリは、例えば、成分情報およびセッション情報などの情報を格納する。
【0030】
一実施形態では、ウェブ対応デバイス40とクラウドサーバ50との間の通信、および、ウェブ対応デバイス40と芳香調合デバイス20との間の通信により、ユーザが重要な学習内容を共有するためのプラットフォームが可能になる。さらに、この通信により、独自の記録セッション機能が可能となり、ユーザが多感覚的次元(香り、音声、画面のキャプチャ)で芳香物質創作のプロセスをキャプチャし再生可能となる。例えば、この機能を使用して、フレーバリストにより創作された芳香物質の案、顧客の反応およびフィードバック220、顧客からの入力情報とフィードバックに応じてフレーバリストにより為された芳香物質へのリアルタイムの変更を記録し、創作プロセス中に重要な芳香物質をブックマークして、ユーザがセッションの再生中にその特定の時点にジャンプできるようになる。別の実施形態においては、リアルタイム対話型連携システム10は、インターネット80を介して、複数の芳香調合デバイス20および複数のウェブ対応デバイス40(互いにネットワーク接続され異なる場所にある)を含み得る。これにより、離れた場所にいるユーザが、例えば創作セッションや作業セッションにおいて同じ芳香プロファイルを体験できる。
【0031】
図3を参照し、システム10がリアルタイムでセッションを記録することを可能にする機能をさらに説明する。一実施形態においては、ウェブ対応デバイス40は、ソフトウェア(例えば、芳香調合デバイス20を制御するAroma Composer(トレードマーク)ソフトウェア)を含む。別の実施形態では、ソフトウェアはまた、ウェブ対応デバイス40内のマイクロフォンを介した音声フィードバックおよびセッションデータ(総称して「セッション記録」)の両方を記録する能力を有する。例えば、オーディオフィードバックは、オーディオまたはデータファイル200(例えば、オーディオファイル)を介して記録および保存され、マウスクリック、流速、時間増分、またはブックマークなどのセッションデータは、一実施形態においては、Java Script Object Notation(JSON)ファイルなどのデータファイルとして保存される。一実施形態では、セッション記録は、何の芳香物質がカートリッジに装填されているかに付いてのいかなる成分固有情報をも含まない。むしろ、芳香物質の固有情報は、セッションファイルを介してクラウドサーバ50に格納され得る。一実施形態においては、各セッション記録は、セッションファイルにリンクされている。
【0032】
現在、NFCステッカ35は、比較的少量のデータ(キロバイトサイズ)しか保持することができない。技術が進歩し、NFCステッカ35が数メガバイトサイズのデータを保持できるようになると、セッションファイルを格納するためのクラウドサーバの必要はなくなる。むしろ、すべてのセッションファイルおよびセッション記録データは、NFCステッカ35に格納可能となるであろう。
【0033】
最も広い意味で、本開示は、芳香のデジタル特性をキャプチャし、それをデジタルで保存し、要求に応じてそれを取得するためのシステム、すなわち、芳香をデジタル化する技術に付いて説明する。デジタル化された形態の芳香は、デジタルで格納され、電子メールおよび他のデジタル手段を介してユーザに送信され、ウェブ対応デバイス40および芳香調合デバイス20を介して再現され得る。例えば、香料または香気配合物が、データとしてクラウドサーバ50に格納され、データが配合組成を分析するためのソフトウェアを有するウェブ対応デバイス40に送信され、次に、ウェブ対応デバイス40は芳香調合デバイス20と通信し、配合組成を芳香プロファイルに変換して対応するカートリッジ30でユーザが匂いを嗅ぐことができる。ユーザまたは消費者が、特定のカートリッジ25を備えた芳香調合デバイス20を使用して芳香プロファイルを確認すると、芳香プロファイルを、クラウドサーバ50に格納可能な配合組成に変換することができる。
【0034】
別の実施形態では、ウェブ対応デバイス40とクラウドサーバ50との間の通信、および、ウェブ対応デバイス40と芳香調合デバイス20との間の通信により、消費者は、プレゼンテーション(例えば、PowerPoint(登録商標))の一部として、写真またはビデオに応じた芳香を体験でき得る。一実施形態においては、リアルタイムの対話型芳香創作セッションの一部として、個人が、ウェブ対応デバイス40を介してプレゼンテーションを提示し得る。本開示により、様々な写真または映像、例えば、1つのスライド上のオレンジの写真および2番目のスライド上のスイカの写真を示しながら、プレゼンテーションがスライドからスライドへと進行する時に、芳香調合デバイス20がスライド上の写真と一致する芳香または混合した芳香を創作し、プレゼンテーションのビューアが匂いを感じるように、システムを構成することができる。
【0035】
本明細書に開示される寸法および値は、記載された詳しい数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。寧ろ、特に明記されない限り、このような各寸法は、記載された値と、その値近傍の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0036】
相互参照、または、関連特許または出願を含む、本明細書に引用するすべての文書は、明示的に除外または他の方法で制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。文書の引用は、それが本明細書に開示または請求された任意の発明に関する先行技術であること、または、それが単独で、または任意の他の参考文献と任意の組み合わせにより、本発明に教える、示唆する、または開示することを認めるものではない。さらに、本書の用語の意味または定義が、参照により組み込まれた文書の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する場合、本書のその用語に割り当てられた意味または定義が優先するものとする。
【0037】
本発明の特定の実施形態を、例示および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。