(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】エッジトゥエッジのフォトクロミックソフトコンタクトレンズを設計する方法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20240624BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20240624BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240624BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240624BHJP
G02B 5/23 20060101ALI20240624BHJP
C09K 9/02 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C7/10
G02B1/04
G02B3/08
G02B5/23
C09K9/02 B
(21)【出願番号】P 2021565967
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 IB2020054393
(87)【国際公開番号】W WO2020225795
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-26
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デュイス・ドニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェルリガン・ピエール-イーブス
(72)【発明者】
【氏名】ソノダ・レイラニ・ケアヒ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0053549(US,A1)
【文献】米国特許第06464355(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0265507(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0221674(US,A1)
【文献】特表2010-532496(JP,A)
【文献】実開昭53-093246(JP,U)
【文献】特表2012-523974(JP,A)
【文献】特表2017-524161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
G02C 7/10
G02B 1/04
G02B 3/08
G02B 5/23
C09K 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミック
コンタクトレンズを製造するための方法であって、
視力プロファイルを決定することと、
美容プロファイルを決定することと、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配設された周辺ゾーンと、を含む本
体であって、前記光学ゾーンは屈折構造体を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、
前記視力プロファイルよりも前記美容プロファイルに基づいて最適化された厚さプロファイルを有する、
本体を形成することと、
前記視力プロファイルに基づいて、前記光学ゾーン内に又は前記光学ゾーンに隣接して配設された回折構造体を形成することと、を含み、
前記視力プロファイルは、必要な度数を提供するための前記屈折構造体及び前記回折構造体に少なくとも基づいて定義され、
前記美容プロファイルは、目標透過率レベル(%T)を達成するための、i)前記周辺ゾーンの最大厚さに対する前記光学ゾーンの中心厚さの厚さ比、又は、ii)前記周辺ゾーンの前記最大厚さに対する前記光学ゾーン縁部の厚さの厚さ比のどちらか一方を含み、
前記厚さ比は0.65を超え、1より小さい、方法。
【請求項2】
前記美容プロファイルは、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上における前記フォトクロミック染料の目標量を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記視力プロファイルは屈折力プロファイルを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記視力プロファイルは目標屈折力に関連する、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記目標屈折力は-20D~+20Dである、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記目標屈折力は-12D~+8Dである、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズの後方光学面上に配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズの前方光学面上に配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズの前方光学面又は後方光学面のうちの1つ以上に配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズ内に埋め込まれている、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記フォトクロミック
コンタクトレンズはソフトコンタクトレンズを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
前記厚さ比は0.75を超える、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
前記厚さ比は0.85を超える、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
前記回折構造体は、前記光学ゾーンの周辺に隣接して配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項15】
前記回折構造体は、前記周辺ゾーンに隣接して配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記回折構造体は、前記光学ゾーンの外周の周りに配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
前記回折構造体は、前記光学ゾーンの少なくとも一部分の周りに周囲方向に配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項18】
前記回折構造体は、前記光学ゾーンの中心から所定の半径で前記光学ゾーンの周りに周囲方向に配設されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項19】
前記回折構造体は、入射光の光回折を呈するように構成され
ている、請求項
1に記載の方法。
【請求項20】
フォトクロミック
コンタクトレンズ
を製造するための方法であって、
視力プロファイルを決定することと、
美容プロファイルを決定することと、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配設された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーンは屈折構造体を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含
み、
前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、厚さプロファイルを有する本体
を形成することと、
前記光学ゾーン内に又は前記光学ゾーンに隣接して配設された回折構造体
を形成することと、、
前記美容プロファイルは、目標透過率レベル(%T)を達成するための、i)前記周辺ゾーンの最大厚さに対する前記光学ゾーンの中心厚さの厚さ比、又は、ii)前記周辺ゾーンの前記最大厚さに対する前記光学ゾーン縁部の厚さの厚さ比のどちらか一方を含み、
前記視力プロファイルは、
必要な度数を提供するための、前記回折構造体に
少なくとも基づいて定義され、
前記美容プロファイルは、
さらに、前記目標透過率レベル(%T)を達成するための、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上における前記フォトクロミック染料の目標量を含
み、
前記厚さ比は0.65を超え、1より小さい、方法。
【請求項21】
前記厚さプロファイルは、前記視力プロファイルよりも前記美容プロファイルに基づいて最適化されている、請求項
20に記載の
方法。
【請求項22】
前記視力プロファイルは屈折力プロファイルを含む、請求項
20に記載の
方法。
【請求項23】
前記視力プロファイルは、少なくとも前記屈折構造体及び前記回折構造体に基づいて定義されている、請求項
20に記載の
方法。
【請求項24】
前記視力プロファイルは目標屈折力に関連する、請求項
20に記載の
方法。
【請求項25】
前記目標屈折力は-20D~+20Dである、請求項
24に記載の
方法。
【請求項26】
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズの後方光学面及び前方光学面のうちの1つ以上に配設されている、請求項
20に記載の
方法。
【請求項27】
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズ内に埋め込まれている、請求項
20に記載の
方法。
【請求項28】
前記フォトクロミック
コンタクトレンズはソフトコンタクトレンズを含む、請求項
20に記載の
方法。
【請求項29】
フォトクロミック
コンタクトレンズ
を製造するための方法であって、
視力プロファイルを決定することと、
美容プロファイルを決定することと、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配設された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーンは屈折構造体を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含
み、
前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、厚さプロファイルを有する、本体
を形成することと、
前記光学ゾーン内に又は前記光学ゾーンに隣接して配設された回折構造体
を形成することと、
前記美容プロファイルは、目標透過率レベル(%T)を達成するための、i)前記周辺ゾーンの最大厚さに対する前記光学ゾーンの中心厚さの厚さ比、又は、ii)前記周辺ゾーンの前記最大厚さに対する前記光学ゾーン縁部の厚さの厚さ比のどちらか一方を含み、
前記視力プロファイルは、
必要な度数を提供するための、前記回折構造体に
少なくとも基づいて定義され、
前記回折構造体は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズの後方光学面又は前方光学面のうちの1つ以上に配設さ
れ、
前記厚さ比は0.65を超え、1より小さい、方法。
【請求項30】
前記厚さプロファイルは、前記視力プロファイルよりも前記美容プロファイルに基づいて最適化されている、請求項
29に記載の
方法。
【請求項31】
前記美容プロファイルは、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上における前記フォトクロミック染料の目標量を含む、請求項
29に記載の
方法。
【請求項32】
前記視力プロファイルは屈折力プロファイルを含む、請求項
29に記載の
方法。
【請求項33】
前記視力プロファイルは、少なくとも前記屈折構造体及び前記回折構造体に基づいて定義されている、請求項
29に記載の
方法。
【請求項34】
前記視力プロファイルは目標屈折力に関連する、請求項
29に記載の
方法。
【請求項35】
前記目標屈折力は-20D~+20Dである、請求項
34に記載の
方法。
【請求項36】
前記回折構造体の少なくとも一部は、前記フォトクロミック
コンタクトレンズ内に埋め込まれている、請求項
29に記載の
方法。
【請求項37】
前記フォトクロミック
コンタクトレンズはソフトコンタクトレンズを含む、請求項
29に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンタクトレンズを含む装着型レンズ、インレー及びアンレーを含む移植可能なレンズ、並びに光学部品を備える任意の他のタイプのデバイスなどの眼科用デバイス、より具体的には、エッジトゥエッジのフォトクロミック眼科用デバイスを設計するための眼科用デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトコンタクトレンズは、主に視力障害を矯正するように設計されているが、取り扱い(レンズ装着及び取り外しのため)、快適性、フィット、又は設計プロセス中に考慮を必要とした任意の他の態様など、レンズの他の態様も設計プロセス中に考慮される。有色レンズなどの標準的な美容レンズは、角膜領域の美容増進を提供する。一般に、印刷パターン及び/又は有色領域は、レンズの縁部まで到達しないため、眼の強膜領域に視覚的に影響を与えない。
【0003】
本開示では、ソフトコンタクトレンズは、フォトクロミック染料材料を含むモノマー混合物を含んでもよく、又はフォトクロミック染料材料を含むモノマー混合物から形成されてもよい。一態様では、フォトクロミック染料がレンズ材料モノマーと十分に混合されると、フォトクロミック領域は、レンズの表面全体を覆い、眼の角膜領域だけでなく強膜にも影響を及ぼすことがある。レンズが眼上にあり、フォトクロミック染料が活性化されると、レンズの外側領域は暗くなり得る(例えば、光透過率T%の低下及び観察者に対するより暗い外観を示す)。レンズの周辺の厚さ及びフォトクロミック染料の量が正しく選択されない場合、レンズエッジから強膜の変わり目は、少なくともその領域の暗さの急激な変化に起因して、着用者に対して美容的に魅力的に見えない。更に、コンタクトレンズによって提供される視力矯正は、通常、光学領域内の屈折力を調節することによって得られる。屈折力補正が大きいレンズの場合、その光学領域に大きな厚さの変動が存在する。高プラスレンズ(例えば、+6.00D超)は、厚い中央光学領域を有し、一方、高マイナスレンズ(例えば、-6.00D未満)は厚い周辺光学領域を有することになる。一例として、高プラスレンズは、領域の縁部に向かって薄化する厚い中央光学領域を有し、一方、高マイナスレンズは、領域の縁部に向かって厚くなる薄い中央光学領域を有する。光学ゾーンの中心又は縁部のいずれかの最小厚さは、主として材料弾性率によって決定される。光学ゾーンにおける厚さの変動は、光学ゾーンの直径の選択によっても決定される。光学ゾーン内のそれらの厚さの著しい変動はまた、レンズの美容様に影響を及ぼすであろう。
【0004】
改善が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、フォトクロミック染料が活性化されると、レンズ厚さプロファイルが色変化及び眼上のレンズの態様を最適化するように設計されている眼用レンズ及び方法に関する。本開示は、エッジトゥエッジのフォトクロミック材料を有するソフトコンタクトレンズに関し、レンズの光学領域及び周辺領域は、眼に目的の美容効果を与えるように設計されている。
【0006】
瞳孔領域内のフォトクロミック効果は、その開口部にわたって一定のままでなければならない。フォトクロミック効果と呼ばれるものは、染料が活性化されたときに通過する光の割合を表す%Tとして記載される、眼に透過される光の量である。これは、領域に沿った半径方向厚さが一定又は実質的に一定のままであるように、前面の曲率を後面から一定の量オフセットすることによって得ることができる。半径方向厚さは、レンズの後面に垂直な方向で計算されたレンズの厚さである。この設定は、使用されるレンズの領域とは独立して、同じ量の%Tを提供する。屈折力の手段によって得られる視力矯正は、屈折の規則(スネルの屈折の法則)に基づいて、レンズの前面及び後面は、特定の屈折力を提供するために異なる曲率を有する必要があるため、このアプローチによって達成することができない。
【0007】
周辺領域におけるフォトクロミック効果は、内側領域と大きく異ならないことが望ましい場合がある。周辺領域が光学領域よりもはるかに厚い場合、周辺部ははるかに暗く見え、着用者に美観的に魅力的ではないだろう。このような状態は、
図1に示すように、高マイナス度数のレンズで生じることになり、ここで中心厚さは最小で、周辺厚さは最大であり、最大厚差をもたらす。同様に、高プラス度数を有するレンズについては、
図2に示すように、光学ゾーンのエッジと周辺領域との間に大きな厚差が生じる。
【0008】
ソフトコンタクトレンズを設計する当業者であれば、コンタクトレンズをその幾何学的中心からその縁部まで一定の厚さで設計することは困難ではない(
図3)。このようなレンズは、完全な美容効果を提供するが、それ以上のものがなければ適切な視力矯正を提供することはできない。
【0009】
本開示では、視力矯正(例えば、目標視力プロファイルに従う)は、光学ゾーン内の所与の厚さプロファイルに対して視力矯正が設計される回折光学アプローチを使用して得ることができる。厚さプロファイルは、レンズの光学的態様のためではなく、美容、快適性、取り扱い、及びフィット感の目的のための機械的態様及び幾何学的態様のために最適化されてもよい。より具体的には、レンズの美容的態様又は美容プロファイルは、活性化されると特定のレベルの%T及び暗さをもたらす、目標レンズ厚さ又はフォトクロミック染料の割合、あるいはその両方を含んでもよい。他の特性又は性能メトリックが、美容プロファイルに含まれてもよい。
【0010】
本開示によれば、レンズの機械的特性及び幾何学的特性と組み合わせてレンズ材料特性によって既定されるレンズの快適性、取り扱い、及びフィット感の態様は、視力矯正とは独立して最適化又はカスタマイズすることができる。レンズ材料の機械的特性は、レンズ材料を形成するベースモノマーに添加されるフォトクロミック材料の量に依存してもよい。視力矯正は、レンズの機械的態様から分離(例えば、完全に解離、独立)することができるため、眼に対して、特に、活性化されたときにフォトクロミック染料が着用者にとってより視覚的に明らかであり得る強膜の一部を覆うレンズの周辺領域に対して最良の視覚効果を得るために、幾何学的形状を美容的に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上述及びその他の特徴と利点は、添付図面に例証されるような、本開示の好ましい実施形態の以下のより詳しい記載から明白となるであろう。
【
図1】中央光学ゾーンの最も厚い領域がその中心にある、高マイナスレンズの断面図である。
【
図2】中央光学ゾーンの最も厚い領域がその縁部にある、高プラス度数レンズの断面図である。
【
図3】半径方向厚さが中心から縁部まで一定のままであるレンズの断面図である。
【
図4A】-12.0D~+8.00Dの範囲の複数のSKUについて単焦点型コンタクトレンズの半径方向周辺厚さの例を示す。
【
図4B】-12.0D~+8.00Dの範囲の複数のSKUについて単焦点型コンタクトレンズの半径方向周辺厚さの例を示す。
【
図6A】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズと、活性化されたフォトクロミック染料を4%含有するソフトコンタクトレンズの例を示す。
【
図6B】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズと、活性化されたフォトクロミック染料を4%含有するソフトコンタクトレンズの例を示す。
【
図7】活性化されたフォトクロミック染料を4%含有するソフトコンタクトレンズの例である。
【
図8】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズの例である。
【
図9】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズの例である。
【
図10】中央光学ゾーン及び周辺領域の厚さプロファイルが、フォトクロミック染料が活性化されたときに眼上のレンズの美容的態様を最適化するように設計されているレンズの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示において、コンタクトレンズは、前面又は表面度数、後面又はベースカーブ、及びエッジを備え得る。レンズの前面及び後面は、少なくとも3つの領域によって説明され、この3つの領域は、視力矯正が得られる内側領域、眼の上のレンズの機械的安定性を提供するレンズの外側周辺部、及び内側領域と外側領域との間にあり、不連続部分が生じないように2つの前述の領域を滑らかに融合するために使用される中間領域である。
【0013】
「光学ゾーン」は、レンズの実質的に中心部分として定義され、これは装着者の屈折異常及び/又は老眼のための視力矯正を含む。「屈折異常」は、一般的に遠距離での、良好な視力をもたらすのに必要とされる屈折力として定義される。これには、近視又は遠視が含まれることが分かる。老眼は、正の光学度数を光学ゾーンの一部分に代数的に加えて着用者の近方視力条件を修正することによって矯正される。これらの屈折力は、屈折手段若しくは回折手段、又はその両方によって作られ得るということが認識されている。
【0014】
周辺ゾーンは、セントレーション及び配向を含めて、眼の上におけるレンズの安定化をもたらし得る。レンズのその領域はまた、装着の容易さ及び取り外しの容易さ、快適性及びフィット性に関連する取り扱いなどの機械的特性も提供する。眼上のレンズの気密度が、過度の動きをもたらし得るルーズフィット又は十分な動きをもたらさないことがあるタイトフィットのいずれかを決める。配向安定性は、光学ゾーンが乱視矯正及び/又は高次収差矯正などの非回転対称性の特性を含むとき望ましい場合がある。中間ゾーンは、光学ゾーン及び周辺ゾーンが正接曲線で一体となるようにすることができる。光学ゾーンと周辺ゾーンの両方は独立して設計されてもよいが、それらの設計は、特定の要件が必要となるときには、強く関連することに留意することが重要である。例えば、乱視用の光学ゾーンを有するトーリックレンズの設計は、眼上の所定の配向にレンズを維持するための特定の周辺ゾーンを必要とする場合がある。
【0015】
フォトクロミック効果は、レンズの内側領域及び外側領域にわたって一定の厚さで美容用として得られてもよい。このことは、視力矯正が通常、レンズの前面の曲率の変化に適応するように、レンズの中心又は光学ゾーンのエッジのいずれかでの厚さ変化を必要とする屈折力によって得られるので、レンズの内側領域において達成することができない。
【0016】
図4A~4Bは、単焦点ソフトコンタクトレンズの-12.0D~8.00Dの範囲のSKUのレンズ半径方向厚さの典型的な例を示す。中心厚さ(CT)は、レンズ材料の屈折率、光学ゾーン直径の選択、及びレンズ材料の機械的特性によって決定される最小厚さ及び最大厚さ値を有する全SKU範囲にわたって0.70mm~0.270mmで変化し得る。最大周辺厚さ(PT)は、CT用と同じレンズ材料及びレンズ設計選択に基づいて変化してもよい。
【0017】
レンズの機械的構成要素は、美容効果を最良に提供するように設計されてもよい。目標のフォトクロミック効果(例えば、美容プロファイルに基づく)は、レンズの内側領域及び外側領域にわたって一定の厚さで美容用として得られてもよい。例えば、中心厚さは、モノマー混合物中に存在するフォトクロミック染料の量によって決定される所望の暗さに基づいて調整することができる。低濃度(例えば、1.00%未満の濃度)のフォトクロミック染料では、より大きな濃度のフォトクロミック染料で得られる同じ量の暗さを達成するために、より大きな中心厚さが必要とされる場合がある。中心厚さはまた、異なるレベルの暗さにもつながり得る、所望の量の%Tに基づいて調整することもできる。
【0018】
ソフトコンタクトレンズを設計する当業者であれば、より厚い周辺領域がより良好な取り扱い性能を提供することが知られている。周辺領域の厚さは、材料の剛性に依存してもよい。より硬いレンズ材料は、柔らかい材料より、同じ取り扱い性能を達成するのに必要な周辺部における厚さが少ない。光学ゾーンのエッジと周辺部の内側領域との間の厚さの差は、中間領域を通して管理され、その目的は、両方の領域を滑らかな状態で融合することである。フォトクロミックレンズでは、レンズの周辺領域がレンズの内側領域よりも厚く、取り扱いを維持し、依然として通常のレンズよりも良好な美容効果を提供するように、周辺厚さに対して妥協が必要とされる場合がある。
【0019】
レンズの反転、レンズの折り畳み、FEAモデリングによって通常評価されるレンズラッピングなどの他の基準もまた、レンズの設計プロセス中に考慮され得る。レンズの機械的性能に関連するこのような基準はまた、美容効果を最適化するプロセス中に含まれ、所望のレンズ性能に従って調整され得る。
【0020】
視力矯正構成要素(例えば、視力プロファイルに基づく)は、レンズの内側領域の選択された厚さプロファイルに基づいて設計されてもよい。ソフトコンタクトレンズを設計する当業者であれば、内側領域を複数レベルの厚さに最適化できることを十分に理解する。本開示のこの第2の工程は、本開示の第1の工程と並行して実行され得ることに留意されたい。
【0021】
回折光学ゾーンは、表面形状から独立したレンズの表面に屈折力を生成することができるため、回折アプローチを使用することに利点がある。更に、レンズ度数は、全体的に必要な度数を提供することができる屈折力と回折力との組み合わせとすることができる。回折レンズ表面は、
図5A及び5Bに示される平面及び断面表面プロファイルに示される一般的な特性を有する。これは、段差によって分離された多くの小さなゾーンからなる。図では段差が誇張されており、通常、段差の高さはわずか数ミクロンである。この構造は、下にあるベースカーブ上に追加される。リングに対応する各ゾーンは、ほぼ同じ表面積を有し、幅は、リングが幾何学的中心から遠くに位置するほど減少する。中央からi番目のゾーン境界の半径方向距離r
iを与える一般的な簡略式は、
【0022】
【数1】
であり、式中、Pは、設計波長ωにおけるジオプターの回折力である。単位の便利な使用法は、ミクロンの波長(例えば、0.543)とジオプターの度数とを配置して、mmで半径を出すことである。
【0023】
回折レンズについて考える1つの方法は、光波が周期的であり、波長ごとに繰り返されることに留意することである。ゾーン境界は、典型的には、所望の画像点への光路が波長によって増加する場所に配置される。これは、個々の波を特定するために、表面全体に広がる光を見ると考えることができる。標準的な単焦点回折レンズの場合、1波長だけ光を遅延させるために、物理的な段差の高さが段差位置に配置される。段差間の領域は、光を所望の画像位置に本質的に集束させもする放物線面である。設計波長では、原則として、全ての光が正確に集束され、全ての光が集光する光線追跡の概念は、光の波面の概念と一致する。
【0024】
回折構造体は、レンズ表面の一方に物理的なマイクロレリーフとして実装されてもよく、これはおそらく、約1.336の屈折率を有する涙膜と接触する。代替案は、レンズ自体内の異なる材料の2つの表面の交差部に物理的プロファイルを作成することであろう。各段差の高さは以下によって与えられる。
【0025】
【数2】
式中、n
2及びn
1は、2つの材料の屈折率値である。例えば、1.42及び1.336の指数値を使用すると、物理的段差の高さは、0.543μmの波長に対して約6.5ミクロンになる。
【0026】
所与の回折レンズ直径のゾーンの数は、式1によって与えられ、これは以下のように再編成できる。
【0027】
【0028】
8.5mmの回折直径及び4.0Dの屈折力の場合、これは66ゾーンとなり、それぞれ6.5ミクロンの境界に段差を有する。
【0029】
外側ゾーンの幅もまた、以下の表1に示される。これは、ゾーンのかなりの部分を妨げないように、段差をどの程度正確に製造する必要があるかの指標を与える。直径8.5mmの4.0Dの場合、32ミクロンの外側ゾーン幅は、段差の高さの約1/5である。
【0030】
【0031】
ソフトコンタクトレンズを設計する当業者にとって、詳細に記載されていない光学性能をもたらす回折面を設計する際の他の重要な態様が存在する。これらは、軸上色収差、回折効率、及び段差からの散乱を含んでもよい。
【0032】
回折面は、レンズの前面又はレンズの後面に配置することができる。回折面は、涙膜によって常に覆われていなければならず、涙膜表面は、回折構造体からのパターンを伴わずに連続していなければならない。回折面は、好ましくはレンズの後面に配置することができる。回折力はまた、高レンズパワーのゾーン高さを最小化するために、両方の表面間で分割され得る。別の解決策は、レンズの内側に回折面を埋め込むことである。
【0033】
屈折力ベースのソフトコンタクトレンズでは、光学ゾーン直径は、厚さの制約により、SKU範囲にわたって変化する。平坦な前面曲率を必要とする高マイナスレンズ(例えば、-6.00D未満)は、光学ゾーンのエッジにおいて大きな厚さに起因して、低度数レンズよりも小さい光学ゾーン直径を有する。その位置での厚さを制御するために、光学ゾーン直径は、厚さが最大周辺厚さとほぼ同じ大きさであるように低減される(
図4A及び4B)。段階的な前面曲率を必要とする高プラスレンズはまた、光学ゾーンの中心で大きな厚さに起因して、低度数レンズよりも小さい光学ゾーン直径を有する。その位置での厚さを制御するために、光学ゾーン直径は、中心厚さが最大周辺厚さとほぼ同じ大きさであるように低減される。
【0034】
光学系は、回折原理に基づいて設計され、ベース表面/担持表面から独立しているため、厚さの制約はもはや存在せず、SKU範囲にわたるSKUが同じOZ直径を有することを可能にする。通常、OZ直径は、これらの厚さの制約のために7.00mm~9.50mmの範囲である。回折型設計の場合、光学ゾーン直径は、高出力SKUのための小さい直径に限定されない。OZ直径は、好ましくは少なくとも最小8.50mm、好ましくは9.00mmに設定される。OZ直径をより小さい値に強制し得る唯一の制約は、回折ゾーンのサイズである。回折面の外側ゾーンの幅は、依然として製造可能であるように十分に広くする必要がある。
【実施例】
【0035】
厚さ比は、最大周辺厚さにわたる中心厚として定義することができる。厚さ比は、第2段落の実施例セクションに導入されている。比率が小さいほど、中心厚さと最大周辺厚さとの間の厚さの不一致が大きくなる。1の比率は、一定の厚さのレンズに対応する。
【0036】
図6A及び
図6Bにおいて、フォトクロミックレンズは、Acuvue2レンズなどのソフトコンタクトレンズの標準的なジオメトリを使用して得られた。そのレンズの処方は、-1.00Dである。第1の実施例(A)と第2の実施例(B)との間で染料の量は、1.0%~4.0%変動する。両方の画像は、染料が活性化されたときのレンズを描写している。各場合において、暗さの差により、光学ゾーンとレンズ周辺部とを識別することは明白である。この例では、レンズ中心厚さは約0.124mmであり、最大周辺厚さは約0.240mmである。CT/PT厚さ比は、約0.51である。
【0037】
第2の実施例(
図7)では、モノマー混合物に添加した1%のフォトクロミック染料を使用して、-1.00Dの度数のフォトクロミックレンズを得た。レンズ中心厚さは約0.080mmであり、最大周辺厚さは約0.203mmである。CT/PT厚さ比は、約0.39である。前述の実施例と同様に、光学ゾーンは、レンズの周辺領域より暗さにおいて明るい。両方の領域は、フォトクロミック染料が活性化されると、互いに非常に異なる。
【0038】
図8では、モノマー混合物に添加した1%のフォトクロミック染料を使用して、-1.00Dの度数のフォトクロミックレンズを得た。レンズ中心厚さは約0.158mmであり、最大周辺厚さは約0.187mmである。CT/PT厚さ比は、約0.85である。別の実施例、
図9では、モノマー混合物に添加した1%のフォトクロミック染料を使用して、-1.00Dの度数のフォトクロミックレンズも得た。レンズ中心厚さは約0.117mmであり、最大周辺厚さは約0.182mmである。CT/PT厚さ比は、約0.64である。したがって、周辺領域を薄化しながら光学区域を厚くすることにより、透過光の量(%T)を減少させながら、レンズ全体にわたって暗さのバランスを達成することができる。好ましい実施形態では、CT/PT厚さ比は、美容用として許容されるレンズを得るために少なくとも0.65より大きくなければならないが、好ましくは0.85より大きい。
図10は、0.85の厚さ比を有するソフトコンタクトレンズの半径方向周辺厚さを示す。より大きな中心厚さは、より良好な取り扱い性能をもたらす、同じ厚さ比に対してより厚い周辺厚さを提供する。
【0039】
実施例では、比はCTから定義され、屈折力としての最大周辺厚さは-1.00Dであった。プラスレンズの場合、厚さ比は、光学ゾーン縁部の厚さ及び最大周辺厚さから定義されるべきである。好ましくは、厚さ比は、光学ゾーン内の最小厚さ及び最大周辺厚さから定義されるべきである。
【0040】
必要に応じて取り扱いを更に改善するために、フォトクロミック染料の量をレンズの周辺領域に徐々に塗布してより大きな周辺厚さを提供すると、より低いアスペクト比を得ることができる。
【0041】
ソフトコンタクトレンズを設計する当業者にとって、最後の実施例の1つに対応する厚さプロファイルを有するレンズに回折成分を追加しても、フォトクロミック染料が活性化されるときにそのレンズの美容特性は変化しないことは明らかである。
【0042】
設計方法
本開示は、フォトクロミック材料を有するソフトコンタクトレンズを設計する方法に関し、レンズの光学領域及び周辺領域は、眼に最良の美容効果を与えるように設計されている。コンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズに一般的に使用される材料のスキンで覆われた剛性代用物を含む。フォトクロミック領域が外側スキン内に構築される場合、又は外側スキンと代用替物との組み合わせから形成される場合、レンズのフォトクロミック領域がレンズの幾何学的中心内に、又はその縁部までのいずれかで画定されるように、反応性フォトクロミック染料材料は、レンズの外側スキンを形成するモノマーの一部(ソフトコンタクトレンズの材料を構成する主モノマーと混合される)、又は代用物を形成する剛性材料の一部、又はその両方であってもよい。
【0043】
代用物の1つの目的は、必要な視力矯正を作り出すための手段として、回折光学系を使用して必要とされる視力矯正を提供することである。本開示の方法を任意のタイプの視力矯正へ適用してもよく、このような視力矯正としては、近視若しくは遠視、乱視、老視などから生じる焦点ぼけなどの低次収差、及び円錐角膜などのような症状から生じる高次収差、又は患者の特定の視覚情報を使用する任意のその他の視力矯正が挙げられるが、これらに限定されない。回折光学系を使用する1つの利点は、代用物の機械的幾何学的形状が、広範囲の視力矯正を提供するために大きく異なる必要がないことである。
【0044】
ソフトコンタクトレンズは、主に視力障害を矯正するように設計されているが、取り扱い(レンズ装着及び取り外しのため)、快適性、フィット、又は設計プロセス中に考慮を必要とした任意の他の態様など、レンズの他の態様も設計プロセス中に考慮される。有色レンズなどの標準的な美容レンズは、角膜領域の美容増進を提供する。一般に、印刷パターン及び/又は有色領域は、レンズの縁部まで到達しないため、眼の強膜領域に視覚的に影響を与えない。
【0045】
本開示では、フォトクロミック領域は、レンズの表面全体を覆い、眼の角膜領域だけでなく強膜にも影響を及ぼすことがある。レンズが眼上にあり、フォトクロミック染料が活性化されると、レンズの外側領域もおそらく暗くなる。レンズの周辺の厚さ及びフォトクロミック染料の量が正しく選択されない場合、レンズエッジから強膜の変わり目は、その領域の暗さの急激な変化に起因して、着用者に対して美容的に魅力的に見えない。提案された設計は、フォトクロミック染料が活性化されると、周辺厚さが色変化及び眼上のレンズの態様を最適化するように設計されている視覚効果に対する解決策を提供する。
【0046】
レンズの視力矯正の態様は代理物から提供され、取り扱い、快適性、フィット感、又は設計プロセス中に考慮を必要とする任意の他の態様などのレンズの残りの態様は外側スキンから提供されるため、機械的性能及び光学性能は独立して制御され、コンタクトレンズに複数の利点を提供する。固有のソフトスカートは、取り扱い、フィット感、快適性などの特定のニーズに合わせて設計することができ、又は完全なSKU範囲にわたって同一に設計することができ、これにより以下が提供される。
-SKU範囲にわたって同じ又は実質的に同じ取り扱い性能
-完全SKU範囲にわたって同じ又は実質的に同じフィット感
-完全SKU範囲にわたって同じ又は実質的に同じ快適性能
【0047】
回折光学系は、代理物の前面、代理物の裏面、又は両方の組み合わせのいずれかに適用することができる。
【0048】
以下は、異なるフォトクロミック効果を得るために両方の構成要素をどのように組み合わせることができるかについての例である。
-代理物が、レンズの中央領域にだけ画定されたフォトクロミック領域のみを提供する特定の場合。
-外側スキンが、レンズの縁部から縁部に画定されるフォトクロミック領域のみを提供する、別の特定の場合。
-代理物及び外側スキンが、レンズの縁部から縁部に画定されるフォトクロミック領域を提供する、別の特定の場合。この特定の場合では、フォトクロミック染料の効果(暗さのレベル)は、両方の領域において同一であっても異なっていてもよい。
【0049】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更がそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配設された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーンは屈折構造体を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体と、
前記光学ゾーン内に又は前記光学ゾーンに隣接して配設された回折構造体と、を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に関連付けられた美容プロファイルに基づいて構成されている厚さプロファイルを有し、
前記眼用レンズに関連する視力プロファイルは、少なくとも前記回折構造体に基づいて定義されている、フォトクロミック眼用レンズ。
(2) 前記厚さプロファイルは、前記視力プロファイルよりも前記美容プロファイルに基づいて最適化されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(3) 前記美容プロファイルは、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上における前記フォトクロミック染料の目標量を含む、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(4) 前記視力プロファイルは屈折力プロファイルを含む、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(5) 前記視力プロファイルは、少なくとも前記屈折構造体及び前記回折構造体に基づいて定義されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0051】
(6) 前記視力プロファイルは目標屈折力に関連する、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(7) 前記目標屈折力は-20D~+20Dである、実施態様6に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(8) 前記目標屈折力は-12D~+8Dである、実施態様6に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(9) 前記回折構造体は、前記フォトクロミック眼用レンズの後方光学面上に配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(10) 前記回折構造体は、前記フォトクロミック眼用レンズの前方光学面上に配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0052】
(11) 前記回折構造体は、前記フォトクロミック眼用レンズの前方光学面又は後方光学面のうちの1つ以上に配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(12) 前記回折は、前記フォトクロミック眼用レンズ内に埋め込まれている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(13) フォトクロミック眼用レンズはソフトコンタクトレンズを含む、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(14) 厚さ比は0.65を超える、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(15) 厚さ比は0.75を超える、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0053】
(16) 厚さ比は0.85を超える、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(17) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの周辺に隣接して配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(18) 前記回折構造体は、前記周辺ゾーンに隣接して配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(19) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの外周の周りに配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(20) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの少なくとも一部分の周りに周囲方向に配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0054】
(21) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの前記中心から所定の半径で前記光学ゾーンの周りに周囲方向に配設されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(22) 前記回折構造体は、入射光の光回折を呈するように構成された機械的特徴部を含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(23) フォトクロミック眼用レンズを製造するための方法であって、
視力プロファイルを決定することと、
目標透過率レベル(%T)に関連付けられた美容プロファイルを決定することと、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配設された周辺ゾーンと、を含む本体を形成することであって、前記光学ゾーンは屈折構造体を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含み、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、前記美容プロファイルに基づいて構成された厚さプロファイルを有する、形成することと、
前記視力プロファイルに基づいて、前記光学ゾーン内に又は前記光学ゾーンに隣接して配設された回折構造体を形成することと、を含む、方法。
(24) 前記厚さプロファイルは、前記視力プロファイルよりも前記美容プロファイルに基づいて最適化される、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記美容プロファイルは、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上における前記フォトクロミック染料の目標量を含む、実施態様23に記載の方法。
【0055】
(26) 前記視力プロファイルは屈折力プロファイルを含む、実施態様23に記載の方法。
(27) 前記視力プロファイルは、少なくとも前記屈折構造体及び前記回折構造体に基づいて定義される、実施態様23に記載の方法。
(28) 前記視力プロファイルは目標屈折力に関連する、実施態様23に記載の方法。
(29) 前記目標屈折力は-20D~+20Dである、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記目標屈折力は-12D~+8Dである、実施態様28に記載の方法。
【0056】
(31) 前記回折構造体は、前記フォトクロミック眼用レンズの後方光学面上に配設されている、実施態様23に記載の方法。
(32) 前記回折構造体は、前記フォトクロミック眼用レンズの前方光学面上に配設されている、実施態様23に記載の方法。
(33) 前記回折構造体は、前記フォトクロミック眼用レンズの前方光学面又は後方光学面のうちの1つ以上に配設されている、実施態様23に記載の方法。
(34) 前記回折は、前記フォトクロミック眼用レンズ内に埋め込まれている、実施態様23に記載の方法。
(35) フォトクロミック眼用レンズはソフトコンタクトレンズを含む、実施態様23に記載の方法。
【0057】
(36) 厚さ比は0.65を超える、実施態様23に記載の方法。
(37) 厚さ比は0.75を超える、実施態様23に記載の方法。
(38) 厚さ比は0.85を超える、実施態様23に記載の方法。
(39) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの周辺に隣接して配設されている、実施態様23に記載の方法。
(40) 前記回折構造体は、前記周辺ゾーンに隣接して配設されている、実施態様23に記載の方法。
【0058】
(41) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの外周の周りに配設されている、実施態様23に記載の方法。
(42) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの少なくとも一部分の周りに周囲方向に配設されている、実施態様23に記載の方法。
(43) 前記回折構造体は、前記光学ゾーンの前記中心から所定の半径で前記光学ゾーンの周りに周囲方向に配設されている、実施態様23に記載の方法。
(44) 前記回折構造体は、入射光の光回折を呈するように構成された機械的特徴部を含む、実施態様23に記載の方法。