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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】放射線像の読取装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240624BHJP
【FI】
A61B6/00 503K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022033304
(22)【出願日】2022-03-04
(65)【公開番号】P2023128739
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西村 巳貴則
(72)【発明者】
【氏名】杉原 義人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 優輔
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正志
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-320244(JP,A)
【文献】特開平05-323479(JP,A)
【文献】特開昭61-090570(JP,A)
【文献】特表2008-517331(JP,A)
【文献】特開2003-280123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
G03B 42/02-42/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングプレートから放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、
前記イメージングプレートを保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記イメージングプレートに励起光を照射する励起光源と、前記励起光による前記イメージングプレートからの発光光を検出する光検出器とを含む読取部と、
前記保持部に保持された前記イメージングプレートに水平な走査方向に沿って、前記保持部を前記読取部に対して相対的に移動させる走査機構と、
を備え、
前記読取部は、前記走査機構による走査によって、前記走査方向及び前記走査方向に直交する方向に広がる読取領域において前記イメージングプレートからの発光光を検出し、
前記読取領域として、前記走査方向に直交する方向にずれた少なくとも第1読取領域と第2読取領域とを設定可能であり、
前記保持部は、前記イメージングプレートとして、第1イメージングプレートと、前記走査方向に直交する方向における幅が前記第1イメージングプレートの幅よりも大きい第2イメージングプレートとを保持可能であり、
前記走査方向に直交する方向における前記光検出器の検出幅は、前記第1イメージングプレートの幅よりも大きく、前記第2イメージングプレートの幅よりも小さい、放射線像の読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線像の読取装置であって、
前記読取部が、前記光検出器として、第1光検出器と第2光検出器とを含み、
前記第1光検出器と前記第2光検出器とが、前記走査方向に直交する方向においてずれて位置し、前記第1光検出器が前記第1読取領域において前記イメージングプレートを読取り、前記第2光検出器が前記第2読取領域において前記イメージングプレートを読取る、放射線像の読取装置。
【請求項3】
請求項2記載の放射線像の読取装置であって、
前記第1光検出器と前記第2光検出器とが前記走査方向においてずれて位置している、放射線像の読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記読取部は、前記光検出器を前記保持部に対して前記走査方向と直交する方向に相対移動させる領域変更用移動機構を含み、
前記走査機構が、第1走査と第2走査とを実行し、
前記走査機構による前記第1走査時に、前記光検出器が前記保持部に対する相対的な第1位置に位置して前記第1読取領域において前記イメージングプレートを読取り、
前記走査機構による前記第2走査時に、前記光検出器が前記保持部に対する相対的な第2位置であって前記第1位置とは前記走査方向に直交する方向において異なる位置に位置して前記第2読取領域において前記イメージングプレートを読取る、放射線像の読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
1つの光検出器に対して1つの励起光源が一体化されている、放射線像の読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記第1読取領域と前記第2読取領域とが、前記走査方向に直交する方向において部分的に重複している、放射線像の読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記第1読取領域の読取り時において、前記第2読取領域の少なくとも一部を覆う遮蔽部を備える、放射線像の読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放射線像の読取装置であって、
前記遮蔽部の境界線が、前記第1読取領域と前記第2読取領域との重複読取領域に設定される、放射線像の読取装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の放射線像の読取装置であって、
前記第2読取領域の読取り時において、前記第1読取領域の少なくとも一部を覆う追加遮蔽部を備え、
前記追加遮蔽部の境界線が、前記第1読取領域と前記第2読取領域との重複読取領域に設定される、放射線像の読取装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記第1読取領域から読取ったデータに基づく第1画像データと、前記第2読取領域から読取ったデータに基づく第2画像データとを結合した画像データを生成する画像処理部をさらに備える放射線像の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、放射線像の読取装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1の医用画像および第2の医用画像を取得するための第1のイメージングプレートおよび第2のイメージングプレートを含む医用画像撮影アセンブリを開示している。特許文献1における画像読み取り装置は、第1のイメージングプレートおよび第2のイメージングプレートに基づく第1のデジタル画像と第2のデジタル画像の合成像を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-212401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、イメージングプレートとして、複数種のサイズのものが存在する。撮影対象に応じて、用いられるイメージングプレートが適宜選択される。イメージングプレートを用いたデンタルレントゲン撮影において、一般的に、大きいサイズのイメージングプレートよりも、小さいサイズのイメージングプレートの方がよく使われる可能性がある。この分野で従来用いられている一般的な検出器を用いて、大きなサイズのイメージングプレートを走査(スキャン)することについて、課題が多く技術的ハードルが高い、という背景がある。反対に、大きいサイズのイメージングプレートを走査できるような検出器を搭載する場合、装置自体のコストが高くなってしまう。また、高頻度で用いられる(小さいサイズの)イメージングプレートの検出においてはオーバースペックとなってしまう。そこで、小さいサイズのイメージングプレートに応じた検出器を利用して、大きいサイズのイメージングプレートの読取りを行うことができれば、装置の低コスト化に繋がる。ここで述べる、小さいサイズのイメージングプレートと大きいサイズのイメージングプレートとは、従来用いられている一般的な検出器による通常の走査で読取れるサイズと読取れないサイズとのすみ分けを示すための便宜上の表現である。例えば、次のようなものを想定するものとする。小さいサイズのイメージングプレートとは、すなわち、デンタルレントゲン撮影において、一般的に小児の標準撮影などに用いられる「size 0」といわれるイメージングプレート、一般的に小児の咬翼法(バイトウィング法)撮影などに用いられる「size 1」といわれるイメージングプレート、一般的に大人の標準撮影などに用いられる「size 2」といわれるイメージングプレート、一般的に大人の咬翼法(バイトウィング法)撮影などに用いられる「size 3」といわれるイメージングプレートである。また、大きいサイズのイメージングプレートとは、すなわち、デンタルレントゲン撮影において、一般的に小児や大人の咬合法(オクルーザル)撮影などに用いられる「size 3」よりも大きなサイズ表記のイメージングプレートである。
【0005】
特許文献1によると、小さいサイズのイメージングプレートを利用することができる。しかしながら、合成画像には、第1のイメージングプレートおよび第2のイメージングプレートの境界に由来する線が現れてしまう。
【0006】
そこで、本開示は、イメージングプレートの検出器の検出幅よりも大きな幅のイメージングプレートを読取れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、放射線像の読取装置は、イメージングプレートから放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、前記イメージングプレートを保持する保持部と、前記保持部に保持された前記イメージングプレートに励起光を照射する励起光源と、前記励起光による前記イメージングプレートからの発光光を検出する光検出器とを含む読取部と、前記保持部に保持されたイメージングプレートに水平な走査方向に沿って、前記保持部を前記読取部に対して相対的に移動させる走査機構と、を備え、前記読取部は、前記走査機構による走査によって、前記走査方向及び前記走査方向に直交する方向に広がる読取領域において前記イメージングプレートからの発光光を検出し、前記読取領域として、前記走査方向に直交する方向にずれた複数の読取領域を設定可能とされている。
【0008】
また、上記課題を解決するためのプログラムは、放射線像の読取装置を制御するコンピュータに、(a)保持部に保持されたイメージングプレートに対して、走査方向に対して直交する方向にずれた少なくとも第1読取領域と第2読取領域とを含む複数の読取領域を対象とした読取りを行えるように、読取部が前記イメージングプレートに水平な前記走査方向に沿って前記イメージングプレートを走査する処理と、(b)前記第1読取領域から読取ったデータに基づく第1画像データと前記第2読取領域から読取ったデータに基づく第2画像データとを結合した画像データを生成する処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
この放射線像の読取装置によると、イメージングプレートの検出器の検出幅よりも大きな幅のイメージングプレートを読取ることができる。
【0010】
また、このプログラムによると、イメージングプレートの検出器の検出幅よりも大きな幅のイメージングプレートを読取り画像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る読取装置の外観の一例を示す概略斜視図である。
図2】筐体内の構成の一例を示す部分概略図である。
図3図2のIII-III線における概略断面図である。
図4】読取装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
図5】第2イメージングプレートと読取領域との関係を示す説明図である。
図6】第1画像データと第2画像データとを結合して全体画像データを生成する処理を説明する図である。
図7】読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】第1変形例に係る遮蔽部を示す部分概略図である。
図9】第1変形例において第1画像データと第2画像データとを結合して全体画像データを生成する処理を説明する図である。
図10】第2変形例に係る遮蔽部を示す部分概略図である。
図11】第3変形例に係るマークを示す図である。
図12】第4変形例に係る第1検出ユニット及び第2検出ユニットの配置例を示す部分概略図である。
図13】第5変形例に係る読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図14】第6変形例に係る筐体内の構成の一例を示す部分概略図である。
図15】第2実施形態に係る放射線像の読取装置内の構成の一例を示す部分概略図である。
図16】同上の放射線像の読取装置内の構成の一例を示す部分概略図である。
図17】同上の読取装置の動作の一例を示すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る放射線像の読取装置及びプログラムについて説明する。図1は読取装置1の外観の一例を示す概略図である。読取装置1は、放射線像が記録されたイメージングプレート10から当該放射線像を読み取る装置である。読取装置1は、イメージングプレート10に記録された放射線像を検出する装置であるともいえる。
【0013】
イメージングプレート10は、放射線像形成層11を有する平たい形状であり、放射線像を記録する記録媒体である。イメージングプレート10は、例えば、四隅が丸まった略長方形の平たい形状を成している。放射線像形成層11は、照射された放射線のエネルギーを蓄積し、励起光で励起されたときに蓄積されたエネルギーに応じた発光光を発する層である。例えば、放射線像形成層11は、樹脂で形成されたフィルムの一方主面に輝尽性蛍光体を塗布することによって形成される。放射線像形成層11に照射される放射線としては、例えばX線が採用される。X線発生器からのX線が撮影対象物を透過してイメージングプレート10に照射されると、X線の強度に応じたエネルギーが放射線像形成層11に蓄積される。X線の強度は、撮影対象物におけるX線吸収領域の分布に基づいたものであるため、放射線像形成層11に蓄積されたエネルギーの分布は、X線による撮影対象物の放射線像である。このように、イメージングプレート10は、例えばX線による放射線像を潜像として記録する。読取装置1は、放射線像形成層11から放射線像を読み取り、読み取った放射線像(潜像)を表す画像信号(画像データともいう)を生成する。
【0014】
本例では、例えば、人の口の中に入れられた状態でイメージングプレート10に放射線が照射される。したがって、イメージングプレート10は、人の口の中に入るようなサイズとなっている。そして、イメージングプレート10の放射線像形成層11には、例えば、歯牙の放射線像が記録される。なお、イメージングプレート10の用途はこれに限られない。
【0015】
以後、イメージングプレート10において、放射線像形成層11側の主面を前面と呼ぶことがある。また、イメージングプレート10において、前面とは反対側の主面を裏面と呼ぶことがある。
【0016】
図1に示されるように、読取装置1は例えば筐体2を備える。筐体2内には、イメージングプレート10から放射線像を読み取る構成が収容されている。当該構成については後述する。
【0017】
筐体2には、挿入口2a及び取出口2bが設けられている。挿入口2aは、例えば筐体2の上面に設けられている。読取装置1のユーザは、挿入口2aからイメージングプレート10を筐体2内に入れることができる。筐体2内においてイメージングプレート10から放射線像が読み取られる。取出口2bは、例えば、筐体2の一側面のうちの下側部分に設けられる。放射線像が読み取られた後のイメージングプレート10(読取り済みイメージングプレート10ともいう)は取出口2bに排出される。読取装置1のユーザは、取出口2bを通じて、読取り済みイメージングプレート10を回収することができる。
【0018】
読取装置1は、イメージングプレート10から放射線像を読み出した後に、イメージングプレート10から放射線像を消去してもよい。取出口2bには、例えば、放射線像が消去されたイメージングプレート10が排出されてもよい。
【0019】
筐体2には、例えば、ユーザからの操作を受け付ける操作部4が設けられている。操作部4は、例えば複数の操作ボタン4aを備える。各操作ボタン4aは、例えばハードウェアボタンである。複数の操作ボタン4aには、例えば、電源ボタン及び読取りの開始を指示するためのスタートボタン等が含まれる。操作部4は、押圧スイッチに限らず例えば、ユーザのタッチ操作を検出するタッチセンサを備えてもよい。なお、操作ボタンは単数であってもあるいは読取装置1の機能に応じて3つ以上設けられてもよい。
【0020】
筐体2には、例えば、表示部3が設けられている。表示部3は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機EL(electro-luminescence)表示パネルにより構成される。表示部3は、例えば、文字、記号、図形及び画像などの各種情報を表示することが可能である。表示部3は、イメージングプレート10から読み取られた放射線像(言い換えれば、検出された放射線像)を表示してもよい。表示部3には、イメージングプレート10の読取り開始後に読取り終了までの残り時間等の読取り進捗状況に関する情報が表示されてもよい。表示部3に、読取装置1に対する誤操作等に対する警告、注意、あるいはエラー情報が表示されてもよい。適宜の設計が可能である。
【0021】
操作部4がタッチセンサを備える場合、当該タッチセンサと表示部3とで、表示機能及びタッチ検出機能を有するタッチパネルディスプレイが構成されてもよい。この場合、複数の操作ボタン4aの少なくとも一つが、タッチパネルディスプレイに表示されるソフトウェアボタンに置き換えられてもよいし、操作部4は複数の操作ボタン4aを備えなくてもよい。また、読取装置1は表示部3を備えなくてもよい。
【0022】
筐体2には、例えば、イメージングプレート10を収容可能なプレート収容ケース6及び7が設けられている。プレート収容ケース6及び7は、例えば筐体2の上面に設けられている。プレート収容ケース6は仕切り付きのケースであり、プレート収容ケース7は蓋付きのケースである。読取装置1はプレート収容ケース6及び7の少なくとも一方を備えなくてもよい。あるいは、収容ケースは別体の構成であってもよい。
【0023】
筐体2からは、その外側に向かって、ACアダプタ5のケーブル5aが延びている。読取装置1の各部品には、ACアダプタ5から電力が供給される。読取装置1は、ACアダプタ5だけではなく、読取装置1の各部品に電力を供給するバッテリを備えてもよい。あるいは、読取装置1は、ACアダプタ5の代わりにバッテリを備えてもよい。
【0024】
<筐体内の機構の一例について>
図2は筐体2内の構成の一例を示す部分概略図である。図3図2のIII-III線における概略断面図である。図4は読取装置1が備える制御部80の構成の一例を主に示すブロック図である。後述するように、イメージングプレート10を保持する保持部20は、筐体2内において、所定方向SC1に沿って移動することが可能である。所定方向SC1は、走査機構50による走査方向SC1である。なお、図3及び下記の部分概略図において、説明の便宜上、読取装置1の一部が示されている。
【0025】
図2から図4に示されるように、読取装置1は、例えば、保持部20、励起光源32及び光検出器40を含む読取部30、駆動部52及び一対のガイド部60を含む走査機構50、制御部80及びインタフェース部95を備える。これらの構成は筐体2内に設けられている。
【0026】
<制御部について>
制御部80は、読取装置1の動作を統合的に管理することが可能であり、制御回路ともいえる。制御部80は、例えば、表示部3、保持部20、読取部30、駆動部52及びインタフェース部95を制御することができる。また、制御部80は、操作部4が受け付けたユーザ操作に応じた処理を行うことができる。
【0027】
制御部80は、例えば、少なくとも一つのプロセッサ80aと、記憶部80bとを備えるコンピュータ装置によって構成される。制御部80が備える少なくとも一つのプロセッサ80aには、CPU(Central Processing Unit)が含まれてもよいし、CPU以外のプロセッサが含まれてもよい。制御部80では、少なくとも一つのプロセッサ80aが記憶部80b(記憶回路ともいう)内のプログラム80bpを実行することによって、以下に説明する各種機能が実現される。
【0028】
制御部80では、少なくとも一つのプロセッサ80aが記憶部80b内のプログラム80bpを実行することによって、機能ブロックとして、例えば、画像処理部81、表示制御部82、駆動制御部83、保持制御部84、検出制御部85及び発光制御部86が形成される。
【0029】
画像処理部81は、例えば、光検出器40から出力される後述の画像信号に対して画像処理を行うことができる。表示制御部82は表示部3の表示を制御することができる。駆動制御部83は駆動部52を制御することができる。保持制御部84は保持部20を制御することができる。検出制御部85は光検出器40を制御することができる。発光制御部86は励起光源32を制御することができる。
【0030】
なお、制御部80の一部の機能あるいは制御部80のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェア(言い換えればプログラム)が不要なハードウェア回路で実現されてもよい。例えば、画像処理部81の一部の機能あるいは画像処理部81のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。画像処理部81は、他の構成とは独立した画像処理回路であってもよい。また、表示制御部82の一部の機能あるいは表示制御部82のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。表示制御部82は、他の構成とは独立した表示制御回路であってもよい。また、駆動制御部83の一部の機能あるいは駆動制御部83のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。駆動制御部83は、他の構成とは独立した駆動制御回路であってもよい。また、保持制御部84の一部の機能あるいは保持制御部84のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。保持制御部84は、他の構成とは独立した表示制御回路であってもよい。
【0031】
また、検出制御部85の一部の機能あるいは検出制御部85のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。検出制御部85は、他の構成とは独立した検出制御回路であってもよい。また、発光制御部86の一部の機能あるいは発光制御部86のすべての機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。発光制御部86は、他の構成とは独立した発光制御回路であってもよい。例えば、検出制御部85及び発光制御部86の一部又は全部の機能は、読取部30に組込まれていてもよい。
【0032】
<インタフェース部について>
インタフェース部95は、筐体2の外部の装置(以後、外部装置ともいう)と通信することが可能であって、インタフェース回路、通信回路あるいは通信部ともいえる。外部装置には、パーソナルコンピュータが含まれてもよいし、スマートフォン等の携帯電話機が含まれてもよいし、他のコンピュータ装置が含まれてもよい。また、外部装置には、読取装置1に着脱可能なデータ記録媒体(例えば、フラッシュメモリ)が含まれてもよい。インタフェース部95は、外部装置からの信号を受信し、受信した信号を制御部80に入力することができる。また、インタフェース部95は、制御部80からの信号を外部装置に送信することができる。例えば、インタフェース部95は、制御部80の画像処理部81において画像処理が行われた画像信号を外部装置に送信することができる。インタフェース部95は、外部装置と有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。インタフェース部95と外装装置との間の通信は、イーサネットに準拠してもよいし、USB(Universal Serial Bus)に準拠してもよいし、Wi-Fiに準拠してもよいし、他の規格に準拠してもよい。
【0033】
<保持部について>
保持部20は、筐体2の挿入口2aから挿入されたイメージングプレート10を保持する。保持部20は、例えば、イメージングプレート10を支持する支持板21と、支持板21に支持されたイメージングプレート10の位置を固定する固定部22とを備える。
【0034】
支持板21は、イメージングプレート10の裏面を支持する主面21a(支持面21aともいう)と、当該主面21aとは反対側の主面21b(反対面21bともいう)とを備える。固定部22は、例えば、イメージングプレート10の周縁部分に対向する複数の固定部分22a、22bを有する。固定部22は固定部材ともいえる。複数の固定部分22a、22bは、イメージングプレート10の周縁部分を取り囲むように当該周縁部分と対向する。これにより、支持板21に対するイメージングプレート10の位置(つまり相対位置)及び姿勢(つまり相対姿勢)が固定される。本例では、例えば、イメージングプレート10の両長辺のそれぞれに対して2つの固定部分22a又は2つの固定部分22bが対向する。イメージングプレート10の両短辺のそれぞれに対して1つの固定部分22a又は1つの固定部分22bが対向する。
【0035】
各固定部分22a、22bのうちの全部又は一部は、支持板21に支持されたイメージングプレート10に対して接近及び離間可能であってもよい。本例では、イメージングプレート10の1つの長辺に対向する2つの固定部分22aが支持板21に対して一定位置に固定され、他の長辺に対向する2つの固定部分22bが移動可能に支持される。移動可能な固定部分22bの移動方向は、支持板21において一定位置に支持された固定部分22aに対して接近及び離間する方向である。また、本例では、イメージングプレート10の1つの短辺に対向する固定部分22aが支持板21に対して一定位置に固定され、他の短辺に対向する1つの固定部分22bが移動可能に支持される。移動可能な固定部分22bの移動方向は、支持板21において一定位置に支持された固定部分22aに対して接近及び離間する方向である。
【0036】
イメージングプレート10は、移動可能な各固定部分22bが離間位置に存在する状態で、挿入口2aから筐体2内に投入されて、支持板21で支持される。その後、移動可能な固定部分22bが離間位置から接近位置に移動することによって、イメージングプレート10が4方の縁から各固定部分22a、22bによって押え付けられて保持される。この際、イメージングプレート10は、支持板21上において一定位置に固定された固定部分22aを基準として、一定の位置及び姿勢で、保持部20において保持される。
【0037】
本保持部20は、異なる大きさのイメージングプレート10を保持可能に構成される。異なる大きさのイメージングプレート10としては、本例では、第1イメージングプレート10A(図2及び図3において実線で示される)と、第2イメージングプレート10B(図2及び図3において2点鎖線で示される)とが想定される。以下、イメージングプレート10を大きさによって区別する場合、第1イメージングプレート10Aと、第2イメージングプレート10Bとして区別する。なお、本実施例の第1イメージングプレート10Aと第2イメージングプレート10Bは、それぞれ、(0004段落で説明した)小さいサイズのイメージングプレートと大きいサイズのイメージングプレートに相当するものとする。
【0038】
第2イメージングプレート10Bの短辺方向の長さは、第1イメージングプレート10Aの短辺方向の長さよりも大きい。第1イメージングプレート10A及び第2イメージングプレート10Bは、長辺方向を所定方向SC1に沿わせた姿勢で、保持部20に保持される。このため、走査方向である所定方向SC1に直交する方向において、第2イメージングプレート10Bの幅は、第1イメージングプレート10Aの幅よりも大きい。
【0039】
本例では、第2イメージングプレート10Bの長辺方向の長さは、第1イメージングプレート10Aの長辺方向の長さよりも大きい。第2イメージングプレート10Bの長辺方向の長さは、第1イメージングプレート10Aの長辺方向の長さと同じか、長くてもよい。
【0040】
第1イメージングプレート10Aは、例えば、数本の歯牙又は歯列弓の一部の放射線像が記録され得る。第2イメージングプレート10Bには、例えば、歯列弓の広い範囲の放射線像や唾石、嚢胞、腫瘍や骨折部位などの病変部を一部に含む放射線像が記録され得る。
【0041】
本例では、上記したように、1つの長辺に対向する2つの固定部分22b及び1つの短辺に対向する固定部分22bが移動することによって、第1イメージングプレート10A及び第2イメージングプレート10Bの両方を、固定部分22aを基準とする一定位置及び一定姿勢で保持することができる。
【0042】
移動可能な2つの固定部分22b及び1つの固定部分22bは、例えば、保持制御部84による制御によって、イメージングプレート10の縁に向けて接近可能な接近位置と、当該縁から離れる離間位置との間で移動駆動されてもよい。固定部分22bの移動駆動は、例えば、モータと、ねじ軸部とネットとを含むボールねじ機構とを組合わせた機構によってなされてもよい。
【0043】
固定部分22bが保持制御部84による制御によって移動駆動されることは必須ではない。例えば、イメージングプレート10をセットする位置で保持部20が筐体2から露出するように構成され、利用者が人手で固定部分22bを動かして保持部20にイメージングプレート10をセットしてもよい。あるいは、機械的な機構によって、駆動制御部83による制御によって駆動された駆動部52の動力を利用して固定部分22bを動かして保持部20にイメージングプレート10をセットすることも可能となる。このような場合、保持制御部84を有することは必須ではなくなる。また、可動な固定部分22bが存在することは必須ではない。上記挿入口2aから筐体2内に投入されたイメージングプレート10が、重力及び当該重力を利用したガイド部材によって、保持部20における2方向の固定部分22aに接するように案内されてもよい。
【0044】
保持部20は、上記例に限定されず、各種保持のための構成を採用可能である。例えば、保持部20は、イメージングプレートを空気圧等によって吸着保持してもよい。
【0045】
<走査機構について>
走査機構50は、保持部20に保持されたイメージングプレート10に水平な走査方向である所定方向SC1に沿って、保持部20を、読取部30に対して相対的に移動させる。本実施形態では、走査機構50は、駆動部52と一対のガイド部60とを含む。
【0046】
駆動部52は、駆動制御部83による制御によって、保持部20を所定方向SC1に沿って移動駆動することが可能である。これにより、保持部20で保持されたイメージングプレート10も所定方向SC1に沿って移動することができる。駆動部52は、保持部20を通じてイメージングプレート10を所定方向SC1に沿って移動させることが可能であるともいえる。
【0047】
一対のガイド部60は、保持部20の支持板21の反対面21b側において所定方向SC1に沿って延在している。一対のガイド部60は、長尺棒状に形成されている。支持板21の反対面21b側に一対のガイド部60がその長手方向に沿って移動可能に挿通されたガイド孔が形成されている。これにより、一対のガイド部60は、保持部20の所定方向SC1に沿った移動を案内することが可能である。なお、ガイド部60の構成はこの限りではない。例えば、ガイド部は、支持板21の縁をガイドするレールであってもよい。
【0048】
駆動部52は、例えば、モータ51a、ねじ軸部51b及びナット部51cを有するボールねじ機構で構成されている。モータ51aは、駆動制御部83によって制御される。ねじ軸部51bは、周囲にねじ溝が形成された棒状部材である。ねじ軸部51bは、所定方向SC1に沿って延びており、モータ51aによって回転させられる。ナット部51cは、保持部20に固定されている。ナット部51cは、例えば、保持部20の支持板21の反対面21bに固定されている。ねじ軸部51bはナット部51cに螺合している。モータ51aの正転方向または逆転方向の回転に応じて、ねじ軸部51bが正転方向または逆転方向に回転する。保持部20は、一対のガイド部60による案内下、ねじ軸部51bの正転方向の回転に応じて、所定方向SC1に沿って一方側に移動する。また、保持部20は、ねじ軸部51bの逆転方向の回転に応じて、所定方向SC1に沿って他方側に移動する。
【0049】
駆動部52は、イメージングプレート10がセットされる位置から、イメージングプレート10からの放射線像の読取りを開始する読取開始位置に、イメージングプレート10を保持した保持部20を移動させることができる。また、駆動部52は、イメージングプレート10からの放射線像の読取りが終了すると、イメージングプレート10を排出する位置に、イメージングプレート10を保持した保持部20を移動させることができる。図2及び図3には、イメージングプレート10からの放射線像の読取りが行われる様子が示されている。
【0050】
走査機構の構成は上記例に限られない。例えば、走査機構は、保持部20を移動させるリニアモータであってもよい。また、保持部20が筐体内において一定位置に支持されている場合において、走査機構は、保持部20の代りに読取部30を所定方向SC1に沿って移動させる構成であってもよい。
【0051】
なお、制御部80は、走査機構50におけるモータ51aの回転方向及び回転量に応じた信号が入力されることによって、走査方向SC1における読取部30の位置を把握可能である。モータ51aの回転方向及び回転量に応じた信号は、例えば、モータ51aに組込まれたエンコーダからの出力であってもよい。
【0052】
<読取部について>
読取部30は、励起光源32と光検出器40とを含む。本例では、読取部30は、1つの光検出器40に対して1つの励起光源32が一体化された検出ユニット31を含む。例えば、1つの励起光源32と1つの光検出器40とが、1つのケース31c内に収容された状態で、当該ケース31c内において一定位置及び一定姿勢で固定されることで、ユニット化されている。ケース31cに対する励起光源32と光検出器40との固定は、ねじ止、接着剤固定等によってなされてもよい。なお、励起光源32と光検出器40とが一体化されることは必須ではない。また、励起光源32と光検出器40の位置関係はこの形態に限られず、励起光源と光検出器の位置が逆であってもよい。また、第1検出ユニット31Aまたは第2検出ユニット31Bの片方だけ、前記のような逆の構成であってもよい。
【0053】
励起光源32は、保持部20に保持されたイメージングプレート10に対して、放射線像形成層11を励起させるための励起光L1を照射することが可能である。励起光源32は保持部20の支持面21aに向けて励起光L1を出射する。励起光源32は、励起光L1をイメージングプレート10上で一方向(ライン走査方向SC2ともいう)に走査することが可能である。ライン走査方向SC2は、所定方向SC1に対して垂直な方向である。つまり、ライン走査方向SC2は、保持部20の移動方向に対して、例えば本実施例のように垂直な方向である。ライン走査方向SC2は、走査方向SC1に対して斜めであってもよい。ライン走査方向SC2は主走査方向であり、走査機構50による走査方向である所定方向SC1は副走査方向であると把握されてもよい。
【0054】
励起光L1は例えば可視光のレーザ光である。励起光L1は、例えば、赤色レーザ光であってもよいし、他の色のレーザ光であってもよい。放射線像形成層11に励起光L1が照射されると、放射線像形成層11に蓄積されたエネルギーの分布に応じて放射線像形成層11が発光し、放射線像形成層11から発光光L2が発せられる。発光光L2は、輝尽光とも呼ばれ、例えば青色の可視光である。光検出器40は、イメージングプレート10からの発光光L2を検出し、検出した発光光L2の強度に応じた電気信号を出力する。
【0055】
励起光源32は、例えば、励起光L1を生成して出力するレーザ発生部と、励起光L1をイメージングプレート10上でライン走査方向SC2に走査する走査部とを有する。レーザ発生部は、例えば半導体レーザであって、発光制御部86によって制御される。レーザ発生部は、レーザダイオードであってもよいし、他の半導体レーザであってもよい。走査部は、例えば、レーザ発生部からの励起光L1を、イメージングプレート10の放射線像形成層11に向けて反射するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーである。MEMSミラーは、発光制御部86による制御によって、放射線像形成層11上での励起光L1の照射点がライン走査方向SC2に沿って移動するように励起光L1の反射角度を変化させる。なお、ミラーの構成は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーの代わりに、ガルバノミラーやポリゴンミラー等を用いることもできる。ミラーの構成によっては、ここまでの説明には含まれないレンズ系の構成が別途必須となることがあるが、適宜の組み合わせにより本発明に利用できる。
【0056】
光検出器40は、イメージングプレート10からの発光光L2(図3参照)が入射する光学フィルタ42と、光学フィルタ42から出射される発光光L2を検出するセンサ41とを備える。センサ41は検出制御部85によって制御される。光学フィルタ42は、センサ41での発光光L2の検出面に対向するように配置されている。光学フィルタ42の発光光L2に対する透過率(発光光透過率ともいう)は高くなっている。したがって、光学フィルタ42は、イメージングプレート10からの発光光L2を十分に透過させてセンサ41に出射する。一方で、光学フィルタ42の励起光L1に対する透過率(励起光透過率ともいう)は、発光光透過率よりも低くなっている。よって、光学フィルタ42は、センサ41に向かう、イメージングプレート10での励起光L1の反射光を減衰させる。本開示では、反射光には散乱光が含まれる。以後、単に反射光と言えば、励起光L1の反射光を意味する。光学フィルタ42は省略されてもよい。
【0057】
センサ41は、光学フィルタ42を透過した発光光L2を検出し、検出した発光光L2の強度に応じた電気信号を出力することが可能である。センサ41は、例えば、複数のフォトダイオードで構成されてもよいし、光電子増倍管で構成されてもよい。
【0058】
読取装置1において、イメージングプレート10から放射線像が読み取られる処理(読取処理ともいう)が行われる場合、イメージングプレート10を保持した保持部20は、走査機構50によって読取開始位置に搬送される。そして、読取部30は読取処理を開始する。読取処理では、励起光源32が、発光制御部86による制御によって、励起光L1をイメージングプレート10上でライン走査方向SC2に走査する処理(ライン走査方向スキャンともいう)を繰り返し実行する。一方で、読取処理において、走査機構50は、イメージングプレート10を保持した保持部20を、所定方向SC1に沿った走査方向SC1に沿って移動させる。走査方向SC1はライン走査方向SC2に垂直な方向である。保持部20が走査方向SC1に移動している間に、ライン走査方向スキャンが繰り返し実行されることにより、イメージングプレート10の放射線像形成層11に対して励起光L1がラスタスキャンされる。これにより、読取処理では、放射線像形成層11の全領域にわたって励起光L1が順次照射されて、放射線像形成層11の全領域が励起光L1で走査される。放射線像形成層11に対して励起光L1がラスタスキャンされる間、読取部30のセンサ41が、ラスタスキャンに応じて放射線像形成層11が順次発する発光光L2を検出することによって、放射線像形成層11から放射線像が読み取られる。センサ41は、励起光L1のラスタスキャン中の発光光L2の検出結果として、読み取られた放射線像(潜像)(言い換えれば、検出された放射線像)を表す画像信号を検出制御部85に出力する。この画像信号には、読み取られた放射線像(潜像)を表す複数の画素の輝度値(言い換えれば画素値)が含まれる。センサ41は、例えば、グレースケールの画像信号を出力する。以後、光検出器40で読み取られた放射線像を検出放射線像と呼ぶことがある。
【0059】
このようにして、読取部30は走査機構50による走査によって、走査方向SC1及び当該走査方向SC1に直交するライン走査方向SC2に拡がる読取領域において、イメージングプレート10から発光光を検出することができる。
【0060】
本例では、イメージングプレート10が保持部20で適切に保持されている状態では、図2に示されるように、イメージングプレート10の短手方向がライン走査方向SC2と平行を成し、イメージングプレート10の長手方向が走査方向SC1と平行を成す。
【0061】
本例では、センサ41は、例えば、検出した光の強度が大きいほど、値の大きい輝度値を出力する。イメージングプレート10の放射線像形成層11では、放射線の照射強度が大きく蓄積エネルギーが大きい部分ほど、当該部分からの発光光L2の強度は大きい。したがって、放射線像形成層11において蓄積エネルギーが大きい部分からの発光光L2の検出に基づく像についてセンサ41が出力する輝度値は大きくなる。
【0062】
例えば、放射線像形成層11に歯牙の放射線像が記録される場合を考える。この場合、放射線像形成層11において歯牙の放射線像が記録されている部分、つまり、歯牙を透過した放射線が照射された部分からの発光光L2の強度は比較的小さい。よって、検出放射線像のうち歯牙が写る部分についてのセンサ41からの輝度値は比較的小さい。一方で、放射線像形成層11において放射線が直接照射された部分(直接照射部分ともいう)からの発光光L2の強度は比較的大きい。よって、検出放射線像のうち、放射線像形成層11の直接照射部分に相当する像についてセンサ41から出力される輝度値は比較的大きい。
【0063】
本例において、光学フィルタ42は、励起光L1を減衰させるものの、励起光L1をある程度は透過させてもよい。この場合、センサ41は、イメージングプレート10が発する発光光L2だけではなく、イメージングプレート10での励起光L1の反射光もある程度検出する。よって、センサ41から出力される検出放射線像の輝度値には、検出された発光光L2の強度に応じた輝度値(発光光対応輝度値ともいう)と、検出された反射光に応じた輝度値(反射光対応輝度値ともいう)とが含まれる。発光光対応輝度値は、例えば、反射光対応輝度値の10倍以上の値となっている。よって、光検出器40から出力される画像信号に基づく検出放射線像は、反射光の影響をあまり受けておらず、イメージングプレート10に記録されている放射線像を適切に表している。
【0064】
<読取領域について>
上記読取部30における1つの検出ユニット31に着目すると、ライン走査方向SC2において、励起光源32が走査する範囲と、光検出器40が発光光L2を検出可能な範囲との重複範囲が、ライン走査方向SC2における光検出器40の検出幅である。この検出幅が、ライン走査方向SC2におけるイメージングプレート10の幅よりも大きければ、1つの検出ユニット31は1回の走査によって、当該イメージングプレート10の全体を読取ることができる。しかしながら、光検出器40の検出幅がライン走査方向SC2におけるイメージングプレート10の幅よりも小さければ、1つの検出ユニット31は1回の走査によって、当該イメージングプレート10の全体を読取ることができない。これより、1つの検出ユニット31における光検出器40の検出幅よりも大きいイメージングプレート10を読取るための構成について説明する。
【0065】
例えば、ライン走査方向SC2において、検出ユニット31における光検出器40の検出幅は、第1イメージングプレート10Aの幅と同じか当該幅よりも大きいとする。また、例えば、ライン走査方向SC2において、検出ユニット31における光検出器40の検出幅は、第2イメージングプレート10Bの幅よりも小さいとする。なお、ライン走査方向SC2において、検出ユニット31における光検出器40の検出幅よりも小さい幅を有する第1イメージングプレート10Aとして、複数のサイズが設定されることがあり得る。また、ライン走査方向SC2において、検出ユニット31における光検出器40の検出幅よりも大きい幅を有する第2イメージングプレート10Bとして、複数のサイズが設定されることがあり得る。
【0066】
図5は第2イメージングプレート10Bと種々の読取領域R、R1、R2との関係を示す説明図である。図5において説明の便宜上第2イメージングプレート10Bにおける潜像Iが図示されている。
【0067】
第2イメージングプレート10Bを読取るのに適した全体読取領域Rは、当該第2イメージングプレート10Bを包含する領域と同じか当該領域よりも大きい。このため、ライン走査方向SC2において、全体読取領域Rの幅Waは、第2イメージングプレート10Bの幅Wipと同じか当該幅よりも大きい。
【0068】
一方、上記したように、1つの検出ユニット31における光検出器40の検出幅W1、W2は、上記幅Waよりも小さい。このため、全体読取領域Rを、1つの検出ユニット31によって1回の走査によって読取りを行うことはできない。
【0069】
そこで、本読取部30において、読取領域として、走査方向SC1に直交するライン走査方向SC2にずれた少なくとも第1読取領域R1と第2読取領域R2とを含む複数の読取領域を設定可能に構成する。本例では、全体読取領域Rの各部が、第1読取領域R1と第2読取領域R2とのいずれか又は両方に属するように、各読取領域R1、R2が設定される。この場合において、第1読取領域R1と第2読取領域R2とは部分的に重複していてもよいし、重複していなくてもよい。また、ライン走査方向SC2において、第1読取領域R1の幅W1と第2読取領域R2の幅W2とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。本例では、読取領域R1、R2が走査方向SC1に直交するライン走査方向SC2において部分的に重複する例が説明される。第1読取領域R1と第2読取領域R2とは部分的に重複する場合には、部分的な重複読取領域RRが全体読取領域Rにおいてライン走査方向SC2の幅方向中間に設定される。これにより、全体読取領域Rの幅Waよりも小さい検出幅W1、W2を有する検出ユニット31によって、全体読取領域Rの読取りを行えるようになる。なお、本発明における読取領域の設定は、第1読取領域と第2読取領域との2領域の実施例に限定されるわけではなく、第1読取領域と第2読取領域とを含む(3領域以上の)複数の読取領域が設定される構成であってもよい。例えば、イメージングプレートの読取りに用いられる一般的なセンサ(光検出器)よりもさらに小さなセンサを搭載し、その小さなセンサで3領域以上の読取領域を設定したイメージングプレートの読取りを行えるようにすれば、装置の更なるコストダウンや軽量化を実現できる可能性がある。なお、3領域以上の読取領域を設定する構成の場合、放射線像の読取装置における、第1読取領域や第2読取領域に対する各部の操作・作動内容や領域の設定は、基本的には第3読取領域以降の読取領域にも同様に適用されるものとする。
【0070】
読取部30による読取領域として、ライン走査方向SC2にずれた少なくとも第1読取領域R1と第2読取領域R2とを含む複数の読取領域を設定可能にするための構成としては、各種構成が想定され得る。例えば、読取部30が、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとを含む複数の検出ユニット31を備える構成とし、各検出ユニットが別々の読取領域を読取る構成が考えられる。また、例えば、1つの検出ユニットが走査方向SC1に交差する方向に相対的に移動することによって、当該1つの検出ユニットが順次別々の読取領域を読取る構成が考えられる。以下の説明において、必要に応じて、複数の検出ユニット31は、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとに区別されることがある。
【0071】
前者の例が本実施形態において説明され、後者の例が第2実施形態において説明される。
【0072】
<読取部が備える複数の検出ユニットについて>
図2図3及び図4に示すように、読取部30は、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとを備える。上記したように、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとは、それぞれ励起光源32と光検出器40とを含む。以下、必要に応じて、第1検出ユニット31Aにおける光検出器40A、第2検出ユニット31Bにおける光検出器40Bとして区別されることがある。
【0073】
第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとが、走査方向SC1に直交するライン走査方向SC2においてずれて位置しており、もって、第1光検出器40Aと第2光検出器40Bも当該ライン走査方向SC2においてずれて位置している。より具体的には、第1光検出器40Aは、保持部20において保持される第2イメージングプレート10Bに対して、ライン走査方向SC2の一方側に片寄って位置する。第2光検出器40Bは、保持部20において保持される第2イメージングプレート10Bに対して、ライン走査方向SC2の他方側に片寄って位置する。ライン走査方向SC2において、第1光検出器40Aと第2光検出器40Bとは、前記第2イメージングプレート10Bの中間部で部分的に重複している。そして、第1光検出器40Aが第1読取領域R1において第2イメージングプレート10Bを読取り、第2光検出器40Bが第2読取領域R2において第2イメージングプレート10Bを読取ることができる(読取領域R1、R2については図5参照)。
【0074】
また、本実施形態では、第1光検出器40Aと第2光検出器40Bとは、走査方向SC1においてずれて位置している。本実施形態では、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとが走査方向SC1において排他的にずれて位置している。これにより、走査方向SC1に沿って見て、第1光検出器40Aのうち第2光検出器40B寄りの部分と、第2光検出器40Bのうち第1光検出器40A寄りの部分とを重なるように配置することができる。これにより、上記のように、ライン走査方向SC2において部分的に重複した第1読取領域R1と第2読取領域R2とを設定できる。第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとは、例えば、筐体2内において一定位置に固定されたフレーム2Fにねじ止する構造や検出ユニットのフレームに篏合固定する構造等各種従来構造を含む各種固定構造によって固定される。
【0075】
<画像処理部について>
制御部80の画像処理部81は、検出制御部85を通じて、第1光検出器40Aのセンサ41及び第2光検出器40Bのセンサ41から出力される画像信号を受け取る。画像処理部81は、各センサ41からの画像信号に含まれる複数の輝度値のそれぞれに対して画素位置情報を対応付ける。ある輝度値に対応付けられる画素位置情報とは、取得像において、当該ある輝度値を有する画素の位置(画素位置ともいう)を示す情報である。
【0076】
図6は第1読取領域R1に応じた第1画像データDR1と第2読取領域R2に応じた第2画像データDR2とを結合して全体読取領域R(図5参照)に応じた全体画像データDRを生成する処理を説明する図である。
【0077】
読取処理では、走査機構50は、ライン走査方向スキャンの繰り返しに合わせて保持部20を走査方向SC1に沿って移動させる。具体的には、第1検出ユニット31Aによる読取り中において、ライン走査方向スキャンが所定回数実行される間に、第1読取領域R1の全領域が励起光L1で照射されるように、走査機構50は保持部20を走査方向SC1に沿って移動させる。そして、センサ41は、第1読取領域R1での励起光L1の照射位置に応じた輝度値を、励起光L1のラスタスキャンに応じて順次出力する。読取処理では、読取装置1がこのように動作することから、第2イメージングプレート10Bにおける第1読取領域R1と、第1光検出器40Aによる検出範囲と、1回のライン走査方向スキャンにかかる時間と、ライン走査方向スキャンの繰り返し周期と、読取処理でのライン走査方向スキャンの実行回数とが分かれば、センサ41が或るタイミングで出力する輝度値が、取得全体像のどの位置の画素の輝度値であるのかが分かる。画像処理部81は、当該各情報に基づいて、センサ41からの画像信号に含まれる複数の輝度値のそれぞれに対して画素位置情報を対応付ける。これにより、第1読取領域R1から読取ったデータに基づく第1画像データDR1が得られる。なお、検出制御部85が、センサ41からの画像信号に含まれる複数の輝度値のそれぞれに対して画素位置情報を対応付けてもよい。
【0078】
第2検出ユニット31Bによる読取り中においても、上記と同様に、センサ41からの画像信号に含まれる複数の輝度値のそれぞれに対して画素位置情報を対応付ける。これにより、第2読取領域R2から読取ったデータに基づく第2画像データDR2が得られる。
【0079】
また、画像処理部81は、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合した全体画像データDRを生成する。第1画像データDR1と第2画像データDR2との結合処理は、周知の画像結合処理を含む各種処理によってなされ得る。
【0080】
例えば、第1画像データDR1と第2画像データDR2とは部分的な重複読取領域RRを有している。そこで、第1画像データDR1と第2画像データDR2とのそれぞれの特徴点抽出処理、各特徴点の比較に基づく第1画像データDR1と第2画像データDR2との対応領域の判定処理を経て、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合してもよい。
【0081】
また、本装置1における第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとの相対的な位置関係は既知情報とすることができる。また、保持部20によって保持された第2イメージングプレート10Bは、一定の経路を移動するため、当該第2イメージングプレート10Bを、第1検出ユニット31A及び第2検出ユニット31Bが読取る位置関係も、常に一定であると考えることができる。このため、第1検出ユニット31Aの第1光検出器40Aが検出した第1画像データDR1と、第2検出ユニット31Bの光検出器40Bが検出した第2画像データDR2との相互位置関係は一定であると考えることができる。そこで、第1画像データDR1における既定の基準位置と第2画像データDR2における既定の基準位置とを一致させるように、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合してもよい。すなわち、得ようとしている全体画像データDRにおける各画素位置情報を利用して第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合させる構成であってもよい。
【0082】
第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合する際において、重複読取領域RRを通過する境界線(不図示)を基準として、第1画像データDR1と第2画像データDR2との境界線外の領域を削除した後、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合してもよい。境界線は、重複読取領域RRと推定される領域のいずれの箇所を通過する線であってもよい。
【0083】
境界線は、重複読取領域RRのうち第1読取領域R1の外縁又は当該外縁に近い領域に設定されてもよい(図5のB1参照)。すなわち、イメージングプレート10に励起光が照射されると、輝尽性蛍光体に蓄積されたエネルギーが放出される。重複読取領域RRに対しては、第1検出ユニット31Aからの励起光が照射された後、さらに、第2検出ユニット31Bからの励起光が照射される。このため、重複読取領域RRにおける画素に関しては、第2検出ユニット31Bの第2光検出器40Bによる輝度値は、第1検出ユニット31Aの第1光検出器40Aによる輝度値よりも小さくなることが考えられる。そこで、境界線を第1読取領域R1の外縁又は当該外縁に近い領域に設定することで、重複読取領域RRにおいてなるべく第1画像データDR1に基づく画像とすることができ、重複読取領域RRにおいて鮮明な画像を得やすい。
【0084】
第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合する際において、重複読取領域RRにおいては、第1画像データDR1の重複読取領域RRと第2画像データDR2の重複読取領域RRとを、それぞれに重み付けして重ね合せてもよい。この場合において、上記したように、第1画像データDR1の重複読取領域RRにおけるデータの方がより潜像に応じたデータを保持していることから、第1画像データDR1の重複読取領域RRの重みを第2画像データDR2の重複読取領域RRの重みよりも大きく設定してもよい。
【0085】
境界線は、重複読取領域RRのうち第1読取領域R1の外縁の内側かつ第2読取領域R2の外縁の内側に設定されてもよい(図5の範囲B2参照)。すなわち、第1検出ユニット31Aにおいて、励起光源32からの光はMEMSミラーによって反射されて、第1読取領域R1に入射する。MEMSミラーによる励起光L1の照射点の始点又は終点は第1読取領域R1の外縁に沿うように設定されるが、当該照射点の始点又は終点の位置精度には一定の限界がある可能性がある。このため、第1読取領域R1の境界において十分な励起光が照射されない状態等が生じ得、第1画像データDR1のうち前記境界に該当する輝度値が潜像に応じた値とならずばらついている可能性がある。第2検出ユニット31Bについても同様の状況が生じ得る。そこで、境界線を、重複読取領域RRのうち第1読取領域R1の外縁の内側かつ第2読取領域R2の外縁の内側に設定することで、重複読取領域RRの境界においても、潜像に応じた画像を得やすい。
【0086】
生成された全体画像データDRは、例えば、複数の輝度値のそれぞれに対して全体読取領域Rにおける画素位置情報を対応付けたデータである。画像処理部81は、生成された全体画像データDRを表示制御部82に出力する。表示制御部82は、例えば、全体読取領域Rに応じた画像データに基づいて、第1読取領域R1及び第2読取領域R2を含む全体読取領域Rの検出放射線像を表示部3に表示させる。また、表示部3には、結合前の状態である第1読取領域R1の第1画像データDR1と第2読取領域R2の第2画像データDR2とを、それぞれ表示させてもよいし、あるいは第1画像データDR1のみ、第2画像データDR2のみを、表示させてもよい。
【0087】
画像処理部81が行う画像処理には輝度反転処理が含まれてもよい。輝度反転処理とは、輝度反転処理が行われる前の画像信号の各輝度値に対して、当該輝度値が大きいほど小さくなるような変換を行う処理である。ここで、輝度値が取り得る範囲の最大値を輝度最大値と呼ぶ。例えば、輝度反転処理が行われる前の画像信号に含まれるある輝度値を、輝度最大値から差し引いて得られる値が、変換後の当該ある輝度値となる。画像信号に対して輝度反転処理が行われることによって、画像処理後の画像信号では、画像処理前の画像信号とは異なり、イメージングプレート10において蓄積エネルギーが小さい部分からの発光光L2の検出に基づく放射線像の輝度値は大きくなり、イメージングプレート10において蓄積エネルギーが大きい部分からの発光光L2の検出に基づく放射線像の輝度値は小さくなる。また、画像処理後の画像信号では、未露光領域像の輝度値及びイメージングプレート外側領域像の輝度値は、検出放射線像の輝度値よりも大きくなる。上記輝度反転処理は、第1画像データDR1及び第2画像データDR2に対して行われてもよいし、全体画像データDRに対して行われてもよい。
【0088】
なお、画像処理部81が行う画像処理には、輝度反転処理が含まれなくてもよいし、輝度反転処理以外の処理が含まれてもよい。画像処理には、輝度反転処理以外の処理として、例えば、オフセット補正及び対数変換の少なくとも一方が含まれてもよい。
【0089】
なお、第1イメージングプレート10Aを対象とする場合、第2検出ユニット31Bによる読取処理及び上記結合処理が省略されるとよい。
【0090】
<読取装置の動作の一例>
図7は読取装置1の動作の一例を示すフローチャートを示す図である。本動作は、例えば、上記プログラム80bpに記述された処理手順に従ってプロセッサ80aが演算を実行することによって実現される。筐体2の挿入口2aから挿入された第2イメージングプレート10Bが保持部20で保持され、操作部4に含まれるスタートボタンが操作されると、図7のステップS1が実行される。スタートボタンの操作は、図7に示される一連の処理の開始指示操作であるともいえる。なお、ステップS1の実行は、スタートボタンの操作をトリガとする手動開始の構成とせずに、例えば第2イメージングプレート10Bが保持部20に一定の位置及び姿勢で保持された状態をセンサ等で検出しその検出信号をトリガとする自動開始の構成であってもよい。
【0091】
ステップS1では、走査機構50が、駆動制御部83による制御によって、保持部20を読取開始位置に移動させる。
【0092】
次にステップS2において、第1読取処理を実行する。すなわち、走査機構50は、保持部20を読取開始位置から走査方向SC1に沿ってさらに移動させる第1走査を実行する。これにより、第2イメージングプレート10Bの第1読取領域R1が走査方向SC1に沿って第1検出ユニット31Aにおける第1光検出器40Aの下方を通過する(図2の矢符SC1a参照)。この第1走査時に、第1検出ユニット31Aにおける第1光検出器40Aが第1読取領域R1において第2イメージングプレート10Bを読取る。これにより、第1画像データDR1が得られる。
【0093】
次ステップS3において、第2読取処理を実行する。ここでは、走査機構50は、第2イメージングプレート10Bが読取部30を通過するまで保持部20を移動させた後、走査方向SC1に沿って逆方向に保持部20を移動させる。つまり、走査機構50は、保持部20を上記第1走査とは逆方向に移動させる第2走査を実行する。これにより、第2イメージングプレート10Bの第2読取領域R2が走査方向SC1に沿って第1走査とは逆向けに第2検出ユニット31Bにおける第2光検出器40Bの下方を通過する(図2の矢符SC1b参照)。この第2走査時に、第2検出ユニット31Bにおける第2光検出器40Bが第2読取領域R2においてイメージングプレート10を読取る。これにより、第2画像データDR2が得られる。
【0094】
本ステップS2及びステップS3によると、保持部20を1回往復移動させることになる。これにより、迅速な読取処理が可能となる。なお、第2走査は、上記第1走査後、保持部20を走査方向SC1に沿って復路方向に移動させ、その後、保持部20を第1走査と同じ往路向きに移動させることによって行われてもよい。この場合、第1読取処理と第2読取処理とで、第1検出ユニット31A及び第2検出ユニット31Bに対する第2イメージングプレート10Bの移動の向きが同じになるので、第1画像データDR1と第2画像データDR2の読取条件が共通化される。これにより、結合された全体画像データDRの画質が全体的に統一され、画質がよくなることが期待される。
【0095】
ステップS2及びステップS3によって、保持部20保持された第2イメージングプレート10Bに対して、走査方向SC1に対して直交する方向にずれた第1読取領域R1と第2読取領域R2とを含む複数の読取領域を対象とした読取りを行えるように、読取部30が第2イメージングプレート10Bに水平な走査方向SC1に沿って当該第2イメージングプレート10Bを全体読取領域Rにわたり走査する処理がなされる。
【0096】
次ステップS4において、走査機構50は、保持部20を排出位置に移動させる。この後、ステップS5において、固定部分22bを移動させて保持部20による第2イメージングプレート10Bの保持を解除する。これにより、保持部20上の第2イメージングプレート10Bが筐体2の取出口2bに排出される。なお、排出に係るステップS4、S5の処理は、結合処理(後述のS6)又は表示処理(後述のS7)の後になされてもよい。
【0097】
次ステップS6において、制御部80は、画像処理部81による制御によって、第1読取領域R1から読取ったデータに基づく第1画像データDR1と、第2読取領域R2から読取ったデータに基づく第2画像データDR2とを結合した全体画像データDRを生成する。
【0098】
そしてステップS7において、表示部3は、表示制御部82による制御によって、全体画像データDRに基づいて、全体読取領域Rに応じた全体像を表示する。なお、表示部3における全体画像データDRの表示は任意である。全体画像データDRは、記憶部に記憶されてもよい。記憶部は、フラッシュメモリ、光学記録媒体等の可搬性の記録媒体であってもよい。全体画像データDRは、有線通信又は無線通信によって外部のコンピュータに伝送されてもよい。全体画像データDRは、外部のコンピュータに備えられたモニタ等の外部表示装置に表示されてもよい。
【0099】
なお、第1イメージングプレート10Aを対象とする場合には、上記ステップS3及びステップS6を省略し、ステップS2において取得された第1画像データDR1に基づく画像が当該第1イメージングプレート10Aを読取った画像データとして取扱われるとよい。
【0100】
<効果等>
以上のように構成された読取装置1によると、読取領域として、走査方向SC1に直交する方向にずれた少なくとも第1読取領域R1と第2読取領域R2とを含む複数の読取領域が設定されるため、光検出器40A、40Bの検出幅よりも大きな幅の第2イメージングプレート10Bを読取ることができる。
【0101】
また、大きな幅の第2イメージングプレート10Bを読取るために、当該第2イメージングプレート10Bの幅よりも小さな検出幅を有する第1検出ユニット31A、第2検出ユニット31Bを用いることができる。第1検出ユニット31A及び第2検出ユニット31Bの価格は、検出幅に応じて高額となる傾向がある。このため、小さな検出幅を有する第1検出ユニット31A、第2検出ユニット31Bを組合わせて、大きい幅の第2イメージングプレート10Bを読取る構成とすることで、大きい幅の第2イメージングプレート10Bに応じた検出ユニットを1つ用いて1回で読取りを行う構成と比較して、装置コストを安価にできる可能性がある。
【0102】
また、先行技術のように、小さいサイズのイメージングプレートを利用すると、合成画像には、第1のイメージングプレートおよび第2のイメージングプレートの境界に由来する線が現れてしまうことが起こる。本実施形態では、1つの第2イメージングプレート10Bによって撮像を行うことができるため、全体画像において、イメージングプレートの重ね合せ境界に由来する線が現れない。とはいえ、小さいサイズのイメージングプレートを複数枚用いて第2イメージングプレート10Bのような大きいサイズのイメージングプレートに相当する画像を撮るという従来の撮影方式であっても、本発明の読取装置1を利用した読取処理を行うことは可能である。
【0103】
また、第1イメージングプレート10Aについては、1つの読取領域について、1つの検出ユニット31によって読取りを行うことができる。また、第2イメージングプレート10Bについては、複数の読取領域R1、R2に対する複数回の読取処理によって、第2イメージングプレート10Bの全体読取領域Rの読取りを行える。このため、装置1による読取サイズを多様にすることができる。
【0104】
また、本実施形態では、第1検出ユニット31Aの第1光検出器40Aと第2検出ユニット31Bの第2光検出器40Bとがライン走査方向SC2にずれて位置するため、検出ユニットをライン走査方向SC2に移動させることなく、第1読取領域R1及び第2読取領域R2の読取りを行える。これにより、装置1における駆動機構及び駆動制御を少なくできる。
【0105】
また、第1走査時に第1読取領域R1を読取り、第1走査とは別の時間に行われる第2走査時に第2読取領域R2を読取る。このため、第1読取領域R1を読取る際の励起光及び当該励起光による発光光が、第2読取領域R2を読取る際の検出値に影響を与え難い。逆に、第2読取領域R2を読取る際の励起光及び当該励起光による発光光が、第1読取領域R1を読取る際の検出値に影響を与え難い。このため、読取り時の影響が相互に及し難くなり、第2イメージングプレート10Bをより正確に読取ることができる。例えば、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとの距離が近く、一方の励起光又は発光光が他方の検出に影響を与えるような場合に、効果的な構成である。
【0106】
また、1つの第1光検出器40A(又は第2光検出器40B)に対して励起光源32が一体化されて第1検出ユニット31A(又は第2検出ユニット31B)とされているため、第1光検出器40A(又は第2光検出器40B)と励起光源32とを一体的に容易に取扱うことができる。
【0107】
また、第1読取領域R1と第2読取領域R2とが、走査方向SC1において部分的に重複しているため、第1読取領域R1の読取りに基づく画像と、第2読取領域R2の読取りに基づく画像との間に、隙間が生じ難い。また、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合する際において、重複読取領域RRのデータを対応位置の判断データとして用いることができる。この場合、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを正確な位置関係で結合することができる。
【0108】
また、第1読取領域R1から読取ったデータに基づく第1画像データDR1と第2読取領域R2から読取ったデータに基づく第2画像データDR2とを結合した全体画像データDRを生成するため、第2イメージングプレート10Bから読取った画像データを、1つの画像として、診断、観察等のために提供することができる。
【0109】
なお、第1読取領域R1から読取ったデータに基づく第1画像データDR1と第2読取領域R2から読取ったデータに基づく第2画像データDR2とが結合されることは必須ではなく、別々の画像データとして提供されてもよい。
【0110】
以下、第1実施形態を前提とする各種変形例について説明する。
【0111】
<変形例>
図8は第1変形例に係る遮蔽部110、112を示す部分概略図である。図8では図2に示す部分概略図において遮蔽部110及び追加遮蔽部112が付加されている。図9は本第1変形例において第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合して全体読取領域R(図5参照)に応じた全体画像データDRを生成する処理を説明する図である。
【0112】
遮蔽部110は、第1読取領域R1の読取時において、第2読取領域R2の少なくとも一部を覆う。例えば、遮蔽部110は、不透明な樹脂板、金属板等により形成された、遮光板である。遮蔽部110の周囲のうちの少なくとも一部は、走査方向SC1に沿って延びる直線状縁110aに形成されている。本実施形態では、遮蔽部110は四角い板状に形成されている。遮蔽部110は、例えば、第1検出ユニット31Aのうち保持部20を向く側の面にねじ止、接着剤等によって固定されている。遮蔽部110は、例えば、第1検出ユニット31Aにおける励起光の出射位置よりも第2イメージングプレート10Bに近い位置に配置される。遮蔽部110は、保持部20によって保持される第2イメージングプレート10Bに対して水平姿勢に保たれる。ライン走査方向SC2において、遮蔽部110の幅は、第2読取領域R2の幅と同じか当該幅よりも大きい。遮蔽部110は、第2読取領域R2のうち第1検出ユニット31Aからの励起光が照射される(散乱等に起因する光の漏れに起因する照射を含む)領域を覆っているとよい。例えば、走査方向SC1において、遮蔽部110は少なくとも第1光検出器40Aが設けられる位置において第2読取領域R2を覆っている。直線状縁110aは、重複読取領域RRを通過するように設定されてもよい。また例えば、直線状縁110aは、重複読取領域RRであって第1読取領域R1の外縁及び第2読取領域R2の外縁の内側に設定されてもよい。すなわち、遮蔽部110の幅が第2読取領域R2の幅と同じか当該幅よりも大きいという構成は好ましくはあるが必須ではない。第1検出ユニット31Aによる励起光の照射領域において、その照射領域を、直線状の線を境にして区切り部分的に制限できる構成であればよい。
【0113】
保持部20が第1検出ユニット31Aに対向する位置を通過する際に、遮蔽部110が保持部20における固定部分22a、22b等に干渉しない範囲で、遮蔽部110はなるべく保持部20に近い位置に固定されているとよい。
【0114】
遮蔽部110が設けられることによって、第1読取領域R1の読取り時において、第1検出ユニット31Aからの励起光が第2読取領域R2に照射され難い。これにより、第2読取領域R2が、読取り前に露光されることが抑制され、第2読取領域R2の読取りを良好に行える。結果、生成画像の精度向上が図られる。
【0115】
また、遮蔽部110の直線状縁110aが重複読取領域RRを通過するように設定されることによって、図9に示すように、直線状縁110aによる境界が、第1画像データDR1においてはっきりとした線となって現れる。これにより、第1読取領域R1から読出した画像のうち第2読取領域R2側の境界縁をはっきりとさせることができる。当該線を基準として、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合することによって、第1検出ユニット31Aの検出幅に準じた境界を基準として結合を行う場合と比較して、精緻で鮮明な画像を得ることができる。
【0116】
追加遮蔽部112は、第2読取領域R2の読取時において、第1読取領域R1の少なくとも一部を覆う。例えば、追加遮蔽部112は、不透明な樹脂板、金属板等により形成された、遮光板である。追加遮蔽部112の周囲のうちの少なくとも一部は、走査方向SC1に沿って延びる直線状縁112aに形成されている。本実施形態では、追加遮蔽部112は四角い板状に形成されている。追加遮蔽部112は、上記遮蔽部110と同様構成によって、第2検出ユニット31Bのうち保持部20を向く側の面にねじ止、接着剤等によって固定されている。追加遮蔽部112は、例えば、第2検出ユニット31Bにおける励起光の出射位置よりも第2イメージングプレート10Bに近い位置に配置される。
【0117】
追加遮蔽部112は、保持部20によって保持される第2イメージングプレート10Bに対して水平姿勢に保たれる。ライン走査方向SC2において、追加遮蔽部112の幅は、第1読取領域R1の幅と同じか当該幅よりも大きい。追加遮蔽部112は、第1読取領域R1のうち第2検出ユニット31Bからの励起光が照射される(散乱等に起因する光の漏れに起因する照射を含む)領域を覆っているとよい。例えば、走査方向SC1において、追加遮蔽部112は少なくとも第2光検出器40Bが設けられる位置において第1読取領域R1を覆っている。直線状縁112aは、直線状縁110aの延長線上において重複読取領域RRを通過するように設定されてもよい。また例えば、直線状縁112aは、重複読取領域RRであって第2読取領域R2の外縁及び第1読取領域R1の外縁の内側に設定されてもよい。すなわち、追加遮蔽部112の幅が第1読取領域R1の幅と同じか当該幅より大きいという構成は好ましくはあるが必須ではない。第2検出ユニット31Bによる励起光の照射領域において、その照射領域を、直線状の線を境にして区切り部分的に制限できる構成であればよい。
【0118】
保持部20が第2検出ユニット31Bに対向する位置を通過する際に、追加遮蔽部112が保持部20における固定部分22a、22b等に干渉しない範囲で、追加遮蔽部112はなるべく保持部20に近い位置に固定されているとよい。
【0119】
追加遮蔽部112が設けられることによって、図9に示すように、直線状縁112aによる境界が、第2画像データDR2においてはっきりとした線となって現れる。これにより、第2読取領域R2から読取った画像のうち第1読取領域R1側の境界縁をはっきりとさせることができる。当該線を基準として、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合することによって、鮮明な画像を得ることができる。特に、直線状縁110aによる境界縁と直線状縁112aによる境界縁とを2つの画像の対応する位置関係を判定して、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合することによって、鮮明な画像を得ることができる。なお、直線状縁110aおよび直線状縁112aの走査方向SC1における延在位置は、両者によって延長線(直線)を成す構成である点が、全体画像データDRの生成において不鮮明や欠損による不良を生じさせない上で、重要な条件となる。
【0120】
図10に示す第2変形例のように、遮蔽部110に対応する遮蔽部120は、保持部20に設けられていてもよい。
【0121】
図10に示す例では、方形板状の遮蔽部120が保持部20のうち第2イメージングプレート10Bを覆う位置に設けられる。遮蔽部120の2つの対辺は、互いに平行な直線状縁120a、120bである。
【0122】
遮蔽部120は、移動機構126によって保持部20において移動可能に支持されていてもよい。移動機構126としては、上記走査機構50と同様に、モータ127aと、ねじ軸部127bとナットとを含むボールねじ機構とを組合わせた機構と、遮蔽部120を移動可能に支持するガイド部128とを含む機構によってなされてもよい。
【0123】
上記移動機構126によって、遮蔽部120は、第1読取領域R1を覆う第1遮蔽位置(図10において実線で示される位置)と、第2読取領域R2を覆う第2遮蔽位置(図10において二点鎖線で示される位置)との間で移動可能に支持されているとよい(矢符Q参照)。第1遮蔽位置では、直線状縁120aが重複読取領域RRを通過する位置に配置されるとよい。第2遮蔽位置では、直線状縁120bが、第1遮蔽位置における直線状縁120aと同じ位置に配置されるとよい。
【0124】
本第2変形例では、第1検出ユニット31Aによる第1読取領域R1の読取り時には、移動機構126による移動によって遮蔽部120を第2遮蔽位置に移動させ、第2検出ユニット31Bによる第2読取領域R2の読取り時には、移動機構126による移動によって遮蔽部120を第1遮蔽位置に移動させる。これにより、第2遮蔽位置に位置する遮蔽部120が第2領域を覆う遮蔽部としての役割を有し、第1遮蔽位置に位置する遮蔽部120が第1領域を覆う追加遮蔽部としての役割を果すことができる。
【0125】
このため、本第2変形例によっても、上記第1変形例と同様の効果を得ることができる。
【0126】
なお、本第2変形例において、第2検出ユニット31Bによる第2読取領域R2の読取り時に、遮蔽部120を第1遮蔽位置に位置することは必須ではなく、例えば、第2イメージングプレート10Bを覆わない位置に移動機構126で退避移動していてもよい。
【0127】
図11に示す第3変形例のように、第2イメージングプレート10Bのうち第1読取領域R1に属する領域と、第2読取領域R2に属する領域とのそれぞれに、読取部30によって読取り可能なマーク130が形成されていてもよい。図11では、第1読取領域R1及び第2読取領域R2の両方に属する重複読取領域RRにマーク130が形成されている。
【0128】
マーク130は、画像データDR1、DR2に写り込む異物、画像ノイズ等から区別され、画像データDR1、DR2におけるマーク130が写り込んだ座標を特定し得るマークであれば、どのようなマークであってもよい。マーク130は、例えば、文字、記号、幾何学的形状等であってもよい。図11では、マーク130は、例えば、2つの短い線が縦横にクロスした幾何学的形状である。
【0129】
マーク130の数は任意である。マーク130は1つであってもよいし、複数であってもよい。図11では、重複読取領域RRにおける一端寄りの位置及び他端寄りの位置にマーク130が設けられている。尤も、マーク130は被写体画像に影響が少ない位置に形成されることが好ましい。
【0130】
マーク130は、読取部30によって読取り可能であれば、如何なる構成によって付されたマークであってもよい。例えば、第2イメージングプレート10Bにおける放射線像形成層11が、マーク130に対応する領域を避けて形成されることによって、当該マーク130が形成されてもよい。放射線像形成層11が部分的に除去されることによってマーク130が形成されてもよい。また、第2イメージングプレート10Bに形成された放射線像形成層11の表面を覆うように、励起光又は発光光の少なくとも一方を遮蔽する遮光膜が形成されることによって、マーク130が形成されてもよい。これにより、読取部30が励起光による発光光を検出する際に、マーク130の位置に対応する位置の輝度値が小さくなる。当該輝度値の小さい領域がマーク130の存在領域として、第1画像データDR1及び第2画像データDR2に反映される。マーク130は、塗料等によって形成されてもよい。
【0131】
画像処理部81は、第1画像データDR1及び第2画像データDR2に対して、画像マッチング処理等を行って、第1画像データDR1におけるマーク130の位置及び第2画像データDR2におけるマーク130の位置を認識することができる。そして、画像処理部81は、第1画像データDR1におけるマーク130の位置と、第2画像データDR2におけるマーク130の位置とを一致させるように、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合することができる。
【0132】
マーク130が重複読取領域RRに付されていることは必須ではない。この場合であっても、例えば、第2イメージングプレート10Bの第1読取領域R1におけるマーク130の位置と、第2読取領域R2におけるマーク130の位置との関係が既知であれば、第1画像データDR1において認識されたマーク130の位置と第2画像データDR2において認識されたマーク130の位置とが既知の位置関係となるように、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合すればよい。
【0133】
この第3変形例によると、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合する際の正確性が向上する。
【0134】
上記第1実施形態では、第1検出ユニット31Aと第2検出ユニット31Bとが走査方向SC1において異なる位置に配置される例が説明された。しかしながら、図12に示す第4変形例のように、第1検出ユニット31Aに対応する第1検出ユニット141Aと第2検出ユニット31Bに対応する第2検出ユニット141Bとが、走査方向SC1において同じ位置に配置されてもよい。この場合、ライン走査方向SC2において、第1検出ユニット141Aによる検出範囲と第2検出ユニット141Bによる検出範囲との隙間はなるべく小さいことが好ましい。重複読取領域RRを設定しない構成でもよい。第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合する際、第1検出ユニット141Aによる検出範囲と第2検出ユニット141Bによる検出範囲との隙間については、当該隙間の周辺画像データに基づいて画像補完処理を行ってもよい。
【0135】
上記第1実施形態では、走査機構50による第1走査によって第1読取領域R1の読取りを実行し、走査機構50による第2走査によって第2読取領域R2の読取りを実行する例が説明された。しかしながら、図13に示す第5変形例のように、走査機構50による1回の走査によって、第1読取領域R1の読取り及び第2読取領域R2の読取りが実行されてもよい。1回の走査によって第1読取処理と第2読取処理とが行われるとは、1回の走査を行う期間において、第1読取処理と第2読取処理とが行われることを意味する。
【0136】
すなわち、読取装置1の動作は、図13に示すように、図7に示すフローチャートにおけるステップS2及びステップS3の代りに、ステップS12が実行される。ステップS12では、走査機構50は、保持部20を読取開始位置から走査方向SC1に沿ってさらに移動させる1回の走査を実行する。これにより、第2イメージングプレート10Bが第1検出ユニット141Aにおける第1光検出器40Aの下方を通過する際に、第1光検出器40Aが第1読取領域R1を読取る第1読取処理を実行する。第2イメージングプレート10Bが第2検出ユニット141Bにおける第2光検出器40Bの下方を通過する際に、第2光検出器40Bが第2読取領域R2を読取る第2読取処理を実行する。第1読取処理と第2読取処理との実行タイミングの差は、走査方向SC1における第1光検出器40Aと第2光検出器40Bとの位置の違いに依存する。第4変形例のように、第1検出ユニット141Aの第1光検出器40Aと第2検出ユニット141Bの第2光検出器40Bとが、走査方向SC1において同じ位置に配置されている場合、第1読取処理と第2読取処理とは同じタイミングで実行される。
【0137】
この場合において、上記したように、第1光検出器40Aと第2光検出器40Bとが走査方向SC1においてずれて位置していれば、第1光検出器40Aと第2光検出器40Bとが相互の影響を抑制しつつ読取りを行える。また、ライン走査方向SC2において、第1光検出器40Aによる読取可能領域と第2光検出器40Bによる読取可能領域とを一部重複して設定し易い。このような構成では、第1読取処理と第2読取処理とはタイムラグを生じつつ実行される。すなわち、例えば第1読取処理の開始後に所定時間遅れて第2読取処理が開始されることになる。
【0138】
本第5変形例によると、より迅速な読取処理が可能となる。
【0139】
第6変形例では、図14に示すように、第1検出ユニット31Aに対応する第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット31Bに対応する第2検出ユニット151Bとが、それぞれユニット走査機構159によって別々に移動可能に構成される。本第6変形例に示す構成によっても、第5変形例と同様に1回の走査によって第1読取処理と第2読取処理とを行うことができる。ユニット走査機構159は、ガイド部158と、ボールねじ機構157とを含む。ガイド部158は、ガイドレール等である。第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bとは、別々にガイド部158によって走査方向SC1に沿って移動可能に支持される。ボールねじ機構157は、第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bとのそれぞれに対応して設けられる。走査機構50における駆動部52と同様に、モータ157aと、ねじ軸部157bとナット(不図示)とを含む。モータ157aによってねじ軸部157bが正転方向又は逆転方向に回転駆動される。ねじ軸部157bが走査方向SC1に沿って延びており、ねじ軸部157bとナットが螺合している。ナットが第1検出ユニット151A又は第2検出ユニット151Bに固定されている。ユニット走査機構159の駆動によって、第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bとは、走査方向SC1に沿ってすれ違い可能なように、走査方向SC1に沿って見て互いに異なる領域に位置するように設けられる。そして、保持部20を所定位置に停止させた状態で、第1検出ユニット151Aを走査方向SC1に沿って一方側に移動させると共に(矢符P1参照)、第2検出ユニット151Bを走査方向SC1に沿って他方側に移動させる(矢符P2参照)。これにより、走査機構によって第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bとを互いに異なる方向に移動させる1回の走査によって、第1読取処理と第2読取処理とを実行することができる。(図14では第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bがすれ違う際の状態を描写している。)
なお、1回の走査による第1読取処理と第2読取処理との実行は、保持部20の移動と、第1検出ユニット151A及び第2検出ユニット151Bの一方の移動によっても実現される。
【0140】
なお、第6変形例のように、第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bとを別々のユニット走査機構159によって走査方向SC1に移動させる場合には、第1検出ユニット151Aによる読取り途中に、第2検出ユニット151Bによる読取りが開始される場合も想定される。
【0141】
よって、第1検出ユニットと第2検出ユニットとを備える読取装置においては、読取りタイミングの関係で区別すると、次の3つのパターンが想定される。
【0142】
1つ目は、第1検出ユニットと第2検出ユニットとが同時に読取りを行う場合である。例えば、図12に示す第4変形例の場合と、図14に示す第6変形例において、第1検出ユニット151Aと第2検出ユニット151Bとの各読取りタイミングを同じにした場合が該当する。
【0143】
2つ目は、第1検出ユニットが読取りを開始した後、読取り終了前に、第2検出ユニットが読取りを開始する場合である。例えば、上記第1実施形態の場合と、図14に示す第6変形例において、第1検出ユニット151Aの読取りを開始後、読取り終了前に、第2検出ユニット151Bの読取りを開始する場合が該当する。
【0144】
3つ目は、第1検出ユニットが読取りを開始し、読取り終了後に、第2検出ユニットが読取りを開始する場合である。例えば、上記第1実施形態の場合において、第1検出ユニット31Aにおける読取位置と第2検出ユニット31Bにおける読取位置との距離が、第2イメージングプレート10Bの長辺方向の長さ以上に離れている場合や、前述のような距離で離間していなくても、第1検出ユニット31Aによる読取りが完了した後、第2検出ユニット31Bの読取り開始位置まで保持部20が移動してから第2検出ユニット31Bによる読取りが開始される場合が該当する。また、例えば、図14に示す第6変形例において、第1検出ユニット151Aの読取り終了後に、第2検出ユニット151Bの読取りを開始した場合が該当する。
【0145】
ここで、第1検出ユニット31A及び第2検出ユニット31Bの向きが、励起光源32に対する光検出器40A、40Bの位置によって決るとする。第2検出ユニット31Bの向きが、方向SC1、SC2と平行な平面上において、第1検出ユニット31Aの向きを180度回転させた向きに設定されていてもよい。換言すれば、走査方向SC1において、第1検出ユニット31Aにおける励起光源32と光検出器40Aとの位置関係と、第2検出ユニット31Bにおける励起光源32と光検出器40Bとの位置関係とが逆に設定されていてもよい。
【0146】
この場合、イメージングプレート10を走査する往路で第1検出ユニット31Aにより第1読取処理を行い第1画像データDR1を取得し、復路で第2検出ユニット31Bにより第2読取処理を行い第2画像データDR2を取得することができる。
【0147】
そして、例えば、第1画像データDR1又は第2画像データDR2を半回転させる画像処理を行って、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合して全体画像データDRを得ることができる。
【0148】
この場合、第1読取処理と第2読取処理とで、励起光源32に対する光検出器40A、40Bの位置関係と、イメージングプレート10の移動の向きが同じになるので、第1画像データDR1と第2画像データDR2の読取り条件が共通化される。これにより、結合された全体画像データDRの画質が全体的に統一され、画質がよくなることが期待される。
【0149】
また、条件を共通化した読取りを1往復で実現できるため、迅速な読取り処理が可能となる。
【0150】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る放射線像の読取装置201について説明する。図15及び図16は装置内の構成の一例を示す部分概略図である。なお、本第2実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態との相違を中心に説明する。
【0151】
本第2実施形態に係る読取装置201では、読取部30に対応する読取部230は、1つの検出ユニット231を備える。検出ユニット231は、上記検出ユニット31Aと同様に、励起光源32と光検出器40とを備えるユニットである。
【0152】
この読取装置201は、領域変更用移動機構220を含む。領域変更用移動機構220は、例えば、読取部230を保持部20に対して走査方向SC1と直交するライン走査方向SC2に沿って相対移動させる機構である。
【0153】
例えば、領域変更用移動機構220は、走査機構50と同様に、駆動部222と、ガイド部226とを含む構成であってもよい。ガイド部226は、例えば、ライン走査方向SC2に沿って固定された長尺部材であり、上記検出ユニット231に形成されたガイド孔に挿通された長尺部材である。ガイド部226は、検出ユニット231をガイドするレールであってもよい。駆動部222は、駆動部52と同様に、例えば、モータ222a、ねじ軸部222b及びナット部222cを有するボールねじ機構で構成されていてもよい。モータ222aは、例えば、駆動制御部83によって制御される。ねじ軸部222bは、ライン走査方向SC2に沿って延びており、モータ222aによって回転させられる。ナット部222cは、検出ユニット231に固定されており、ねじ軸部222bに螺合している。モータ222aの正転方向または逆転方向の回転に応じて、ねじ軸部222bが正転方向または逆転方向に回転する。検出ユニット231は、ガイド部226によって案内された状態で、ねじ軸部222bの正転又は逆転方向の回転に応じて、ライン走査方向SC2に沿って移動することができる。
【0154】
例えば、検出ユニット231は、ライン走査方向SC2において、第1位置に位置することができる(図15参照)。また、検出ユニット231は、領域変更用移動機構220の駆動によってライン走査方向SC2に沿って移動することによって、上記第1位置とはライン走査方向SC2において異なる第2位置に位置することができる(図16参照)。第1位置及び第2位置は、保持部20に保持された第2イメージングプレート10Bに対する相対的な位置であり、特に、ライン走査方向SC2における相対的な位置である。第1位置は、ライン走査方向SC2において、検出ユニット231が保持部20によって保持された第2イメージングプレート10Bのうち第1読取領域R1に対向し得る位置である。第2位置は、ライン走査方向SC2において、検出ユニット231が保持部20によって保持された第2イメージングプレート10Bのうち第2読取領域R2に対向し得る位置である。
【0155】
第1実施形態で説明したように、第1読取領域R1と第2読取領域R2とは、ライン走査方向SC2において重複していてもよい。このため、ライン走査方向SC2において、第1位置と第2位置とは一部が重複している。なお、第1読取領域R1と第2読取領域R2とは重複する必要は無い。このため、第1位置に対してライン走査方向SC2に沿った延長上に第2位置が設定されてもよい。この場合、第1位置と第2位置との隙間はなるべく小さい設定にされるとよい。重複読取領域RRを設定しない構成でもよい。
【0156】
図17は読取装置201の動作の一例を示すフローチャートを示す図である。本フローチャートに示すように、図7に示すフローチャートにおけるステップS2とステップS3との間に、ステップS21が実行される。
【0157】
ステップS21では、領域変更用移動機構220は、第1位置に位置する検出ユニット231を、第2位置に移動させる。このため、ステップS21よりも前のステップS2の第1読取処理では、検出ユニット231は、第2イメージングプレート10Bのうち第1読取領域R1を読取ることができる。また、ステップS21よりも後のステップS3の第2読取処理では、検出ユニット231は、第2イメージングプレート10Bのうち第2読取領域R2を読取ることができる。
【0158】
ステップS1、S2、S21、S3の処理を説明すると、次のようになる。なお、ステップS2より前に、検出ユニット231は、初期位置として第1位置に位置しているとする。
【0159】
すなわち、ステップS1では、走査機構50が、駆動制御部83による制御によって、保持部20を読取開始位置に移動させる。
【0160】
次にステップS2において、第1読取処理を実行する。すなわち、走査機構50は、保持部20を読取開始位置から走査方向SC1に沿ってさらに移動させる第1走査を実行する。これにより、第2イメージングプレート10Bの第1読取領域R1が第1位置に位置する検出ユニット231の光検出器40の下方を通過する(図15の矢符P3参照)。この第1走査時に、検出ユニット231における光検出器40が第1読取領域R1において第2イメージングプレート10Bを読取る。これにより、第1画像データDR1が得られる。
【0161】
第2イメージングプレート10Bが検出ユニット231の光検出器40の下方を通り過ぎた後、ステップS21において、領域変更用移動機構220が、検出ユニット231を第2位置に移動させる。
【0162】
この後、ステップS3において、第2読取処理を実行する。ここでは、走査機構50は、第2イメージングプレート10Bが検出ユニット231を通過するまで保持部20を移動させた後、走査方向SC1に沿って第1読取処理の時とは逆方向に保持部20を移動させる。つまり、走査機構50は、保持部20を上記第1走査とは逆方向に移動させる第2走査を実行する。これにより、第2イメージングプレート10Bの第2読取領域R2が第1走査とは逆向けに検出ユニット231における光検出器40の下方を通過することができる(図16の矢符P4参照)。この第2走査時に、検出ユニット231における光検出器40が第2読取領域R2において第2イメージングプレート10Bを読取る。これにより、第2画像データDR2が得られる。
【0163】
上記ステップS2、S21及びステップS3によると、保持部20を1回往復移動させることになる。これにより、迅速な読取処理が可能となる。第2走査は、上記第1走査後、保持部20を復路方向に移動させ、その後、保持部20を第1走査と同じ往路向きに移動させることによって行われてもよい。この場合、第1読取処理と第2読取処理とで、検出ユニット231に対する第2イメージングプレート10Bの移動の向きが同じになるので、第1画像データDR1と第2画像データDR2の読取り条件が共通化される。これにより、結合された全体画像データDRの画質が全体的に統一され、画質がよくなることが期待される。
【0164】
このように、第1画像データDR1及び第2画像データDR2が得られると、第1実施形態で説明したのと同様にステップS4からステップS7の各処理が実行される。
【0165】
なお、第1イメージングプレート10Aを対象とした読取りを行う際には、上記ステップS21,S3,S6の処理を省略すればよい。
【0166】
本第2実施形態によると、複数の検出ユニットを用いることによる効果を除き、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0167】
加えて、1つの検出ユニット231における励起光源32及び光検出器40を用いて、第1読取領域R1と第2読取領域R2とを読取ることができる。検出ユニット231の数を減らすことで、装置201の価格を低減できる。また、単一の検出ユニット231によって第2イメージングプレート10Bの全体読取領域R(図5参照)を読取るようにした場合には、各読取領域を同じ読取特性を有する検出ユニット231によって読取ることができ、同じ条件での読取りが可能となる。
【0168】
また、第1読取領域R1の読取りと第2読取領域R2の読取りとは、排他的なタイミングで実施される。このため、例えば、一方の読取り時に照射される励起光が他方の読取りに影響を与えることが抑制される。なお、この効果は他の実施例のうち同じように排他的タイミングで読取りが実施される条件の例にも当てはまる。
【0169】
ここで、検出ユニット231の向きが、励起光源32に対する光検出器40の位置によって決るとする。検出ユニット231が第1位置から第2位置に移動する際に、検出ユニット231を、方向SC1、SC2と平行な平面上において180度回転させてもよい。これにより、第2位置における検出ユニット231の向きが、方向SC1、SC2と平行な平面上において、第1位置における検出ユニット231の向きに対して180度回転させた向きに設定されるようにしてもよい。換言すれば、走査方向SC1において、第1位置における検出ユニット231における励起光源32と光検出器40との位置関係と、第2位置における検出ユニット231における励起光源32と光検出器40との位置関係とが逆に設定されていてもよい。
【0170】
この場合、イメージングプレート10を走査する往路で第1位置の検出ユニット231により第1読取処理を行い第1画像データDR1を取得し、復路で第2位置の検出ユニット231により第2読取処理を行い第2画像データDR2を取得することができる。
【0171】
そして、例えば、第1画像データDR1又は第2画像データDR2を半回転させる画像処理を行って、第1画像データDR1と第2画像データDR2とを結合して全体画像データDRを得ることができる。
【0172】
この場合、第1読取処理と第2読取処理とで、励起光源32に対する光検出器40の位置関係と、イメージングプレート10の移動の向きが同じになるので、第1画像データDR1と第2画像データDR2の読取り条件が共通化される。これにより、結合された全体画像データDRの画質が全体的に統一され、画質がよくなることが期待される。
【0173】
また、条件を共通化した読取りを1往復で実現できるため、迅速な読取り処理が可能となる。
【0174】
<変形例>
第1実施形態で説明済の各種変形例は、矛盾しない限り、第2実施形態においても適用可能である。
【0175】
例えば、読取装置201は、第1実施形態の第1又は第2変形例で説明したように、第1読取領域R1の読取り時において、第2読取領域R2の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部を備えていてもよい。遮蔽部は、第1変形例で説明したように、検出ユニット231に支持される構成であってもよいし、第2変形例で説明したように、保持部20に移動可能に支持される構成であってもよい。
【0176】
また、例えば、読取装置201は、第1実施形態の第1又は第2変形例で説明したように、第2読取領域R2の読取り時において、第1読取領域R1の少なくとも一部を遮蔽する追加遮蔽部を備えていてもよい。遮蔽部は、第1変形例で説明したように、上記遮蔽部とは別に検出ユニット231に支持される構成であってもよい。また、第2変形例で説明したように、保持部20に移動可能に支持される遮蔽部を移動させることによって、追加遮蔽部とした構成であってもよい。
【0177】
また、本第2実施形態において、領域変更用移動機構220が検出ユニット231を移動させる必要は無い。領域変更用移動機構は、検出ユニットを移動させる代りに、保持部20をライン走査方向SC2に沿って移動させてもよい。例えば、走査機構50によってテーブルを走査方向SC1に沿って移動させ、領域変更用移動機構によって当該テーブル上で保持部20をライン走査方向SC2に沿って移動させる構成としてもよい。この場合の領域変更用移動機構としては、例えば、走査機構50と同様に、モータとボールねじ機構とを用いた構成であってもよい。
【0178】
{付記}
上記第1実施形態及び第2実施形態では、主として第2イメージングプレート10Bに第1読取領域R1及び第2読取領域R2が設定される例を中心とした説明がなされた。しかしながら、第2イメージングプレート10Bには、走査方向SC1に直交する方向にずれた複数の読取領域が設定されればよく、当該複数の読取領域が2つである必要は無い。例えば、第2イメージングプレート10Bには、第1読取領域R1及び第2読取領域R2に加え、第3読取領域やそれ以上の領域が設定されてもよい。
【0179】
例えば、第1~第3の読取領域が設定される場合、第1実施形態を前提とすると、3つの検出ユニットがライン走査方向に順次ずれて配置されてもよい。第2実施形態を前提とすると、検出ユニットをライン走査方向に順次ずらしつつ、3回の走査を行ってもよい。
【0180】
第2イメージングプレート10Bに3つ以上の読取領域が設定されれば、検出ユニットの検出幅をより小さくすることができ、結果、個々の検出ユニットの低コスト化を図ることができ、装置全体としてもさらに低コスト化を図れる可能性がある。
【0181】
3つ以上の読取領域が設定される場合、第1実施形態のように複数の読取領域を別々の検出ユニットによって読取りを行う構成と、検出ユニットを移動させて複数の読取領域の読取りを行う構成とが組合わされてもよい。例えば、3つの読取領域が設定される場合において、そのうちの1つの読取領域を1つの検出ユニットで読取りを行い、他の2つの読取領域を1つの検出ユニットを移動させて読取りを行うようにしてもよい。
【0182】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、保持部20が水平方向に移動することを想定した説明がなされた。しかしながら、保持部20は、水平方向に交差する方向に移動してもよい。例えば、保持部20は、鉛直方向に移動してもよいし、水平方向及び鉛直方向の両方に対して斜めの方向に沿って移動してもよい。
【0183】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。保持部20の移動方向、保持部20におけるイメージングプレート10の保持姿勢等、各種方向、姿勢は上記実施例で開示される内容に限られるものではない。例えば、保持部20は、上下方向(鉛直方向)又は上下方向から傾く方向に沿って移動してもよい。例えば、図1のような横型の読取装置1の実施形態に限らず、縦型の読取装置の実施形態であっても、本発明を実施することができる。
【0184】
本明細書及び図面は下記の各態様を開示する。
【0185】
第1の態様は、イメージングプレートから放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、前記イメージングプレートを保持する保持部と、前記保持部に保持された前記イメージングプレートに励起光を照射する励起光源と、前記励起光による前記イメージングプレートからの発光光を検出する光検出器とを含む読取部と、前記保持部に保持された前記イメージングプレートに水平な走査方向に沿って、前記保持部を前記読取部に対して相対的に移動させる走査機構と、を備え、前記読取部は、前記走査機構による走査によって、前記走査方向及び前記走査方向に直交する方向に広がる読取領域において前記イメージングプレートからの発光光を検出し、前記読取領域として、前記走査方向に直交する方向にずれた複数の読取領域を設定可能である、放射線像の読取装置である。
【0186】
この放射線像の読取装置によると、読取領域として、走査方向に直交する方向にずれた複数の読取領域を設定可能であるため、光検出器の検出幅よりも大きな幅のイメージングプレートを読取ることができる。
【0187】
第2の態様は、第1の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記読取領域として、前記走査方向に直交する方向にずれた少なくとも第1読取領域と第2読取領域とを設定可能とされている。これにより、走査方向に直交する方向にずれた少なくとも第1読取領域と第2読取領域とを設定可能であるため、光検出器の検出幅よりも大きな幅のイメージングプレートを読取ることができる。
【0188】
第3の態様は、第2の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記保持部は、前記イメージングプレートとして、第1イメージングプレートと、前記走査方向に直交する方向における幅が前記第1イメージングプレートの幅よりも大きい第2イメージングプレートとを保持可能であり、前記走査方向に直交する方向における前記光検出器の検出幅は、前記第1イメージングプレートの幅よりも大きく、前記第2イメージングプレートの幅よりも小さい。この場合、第1イメージングプレートについては1つの読取領域によって読取りを行うことができる。第1イメージングプレートより大きい第2イメージングプレートについては、複数回の読取領域に対する読取りによって読取りを行うことができる。
【0189】
第4の態様は、第2又は第3の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記読取部が、前記光検出器として、第1光検出器と第2光検出器とを含み、前記第1光検出器と前記第2光検出器とが、前記走査方向に直交する方向においてずれて位置し、前記第1光検出器が前記第1読取領域において前記イメージングプレートを読取り、前記第2光検出器が前記第2読取領域において前記イメージングプレートを読取る。この場合、イメージングプレートの幅よりも小さい検出幅を有する第1光検出器及び第2光検出器によって、イメージングプレートを読取ることができる。
【0190】
また、第5の態様は、第4の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記走査機構が、第1走査と第2走査とを実行し、前記走査機構による前記第1走査時に、前記第1光検出器が前記第1読取領域において前記イメージングプレートを読取り、前記走査機構による前記第2走査時に、前記第2光検出器が前記第2読取領域において前記イメージングプレートを読取る。このように、第1読取領域と第2読取領域とを別々の走査時に読取るため、読取り時の影響が相互に及し難い。
【0191】
第6の態様は、第4の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記走査機構による1回の走査によって、前記第1光検出器が前記第1読取領域において前記イメージングプレートを読取り、かつ、前記第2光検出器が前記第2読取領域において前記イメージングプレートを読取る。これにより、迅速な読取りが可能となる。
【0192】
第7の態様は、第4から第6のいずれか1つの態様に係る放射線の読取装置であって、前記第1光検出器と前記第2光検出器とが前記走査方向においてずれて位置しているものである。これにより、第1光検出器と第2光検出器とが相互に影響を及すことを抑制しつつ読取り易い。
【0193】
第8の態様は、第2の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記読取部は、前記光検出器を前記保持部に対して前記走査方向と直交する方向に相対移動させる領域変更用移動機構を含み、前記走査機構が、第1走査と第2走査とを実行し、前記走査機構による前記第1走査時に、前記光検出器が前記保持部に対する相対的な第1位置に位置して前記第1読取領域において前記イメージングプレートを読取り、前記走査機構による前記第2走査時に、前記光検出器が前記保持部に対する相対的な第2位置であって前記第1位置とは前記走査方向に直交する方向において異なる位置に位置して前記第2読取領域において前記イメージングプレートを読取るものである。
【0194】
この場合、1つの光検出器によって、第1読取領域と第2読取領域とを読取ることができる。センサの数を減らすことで、装置の価格を大幅に低減できる。また、同じ光検出器によって読取りを行う複数の領域については、検出器の個体差を排除した条件での読取りが可能となる。
【0195】
第9の態様は、第2から第8のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、1つの光検出器に対して1つの励起光源が一体化されているものである。これにより、光検出器と励起光源とを一体的に容易に取扱うことができる。
【0196】
第10の態様は、第2から第9のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記第1読取領域と前記第2読取領域とが、前記走査方向に直交する方向において部分的に重複しているものである。これにより、第1読取領域から読取った画像と第2読取領域から読取った画像との間に、隙間が生じ難くなる。
【0197】
第11の態様は、第2から第10のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記第1読取領域の読取り時において、前記第2読取領域の少なくとも一部を覆う遮蔽部を備える。この場合、第1領域の読取り時における励起光が、第2領域に照射され難くなる。これにより、第2領域の読取りを良好に行え、生成画像の精度向上がはかれる。
【0198】
第12の態様は、第11の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記遮蔽部の境界線が、前記第1読取領域と前記第2読取領域との重複読取領域に設定されるものである。これにより、第1読取領域から読取った画像のうち第2読取領域側の縁をはっきりとさせることができる。これにより、複数の画像の結合精度を向上させたり、境界線において潜像に起因しない輝度差が生じ難くしたりして、生成画像の精度向上が図られる。
【0199】
第13の態様は、第11又は第12の放射線像の読取装置であって、前記第2読取領域の読取り時において、前記第1読取領域の少なくとも一部を覆う追加遮蔽部を備え、前記追加遮蔽部の境界線が、前記第1読取領域と前記第2読取領域との重複読取領域に設定されるものである。この場合、第2読取領域から読取った画像のうち第1読取領域側の縁をはっきりとさせることができ、より生成画像の精度向上がはかれる。
【0200】
第14の態様は、第2から第13のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記第1読取領域から読取ったデータに基づく第1画像データと、前記第2読取領域から読取ったデータに基づく第2画像データとを結合した画像データを生成する画像処理部をさらに備える。これにより、読取った画像データを1つの画像として診断、観察等のために提供することができる。
【0201】
第15の態様は、第14の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記イメージングプレートのうち前記第1読取領域に属する領域と前記第2読取領域に属する領域のそれぞれに前記読取部によって読取り可能なマークが形成され、前記画像処理部は、前記マークに基づいて前記第1画像データと前記第2画像データとを結合するものである。これにより、第1画像データと第2画像データとの結合の正確性が向上する。
【0202】
第16の態様は、放射線像の読取装置を制御するコンピュータに、(a)保持部に保持されたイメージングプレートに対して、走査方向に対して直交する方向にずれた少なくとも第1読取領域と第2読取領域とを含む複数の読取領域を対象とした読取りを行えるように、読取部が前記イメージングプレートに水平な前記走査方向に沿って前記イメージングプレートを走査する処理と、(b)前記第1読取領域から読取ったデータに基づく第1画像データと、前記第2読取領域から読取ったデータに基づく第2画像データとを結合した画像データを生成する処理と、を実行させるためのプログラムである。これにより、光検出器の検出幅よりも大きな幅のイメージングプレートを読取ることができる。
【0203】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0204】
1、201 放射線像の読取装置
10 イメージングプレート(10A 第1イメージングプレート、10B 第2イメージングプレート)
20 保持部
30、230 読取部
31、231 検出ユニット(31A、141A、151A 第1検出ユニット、31B、141B、151B 第2検出ユニット)
32 励起光源
40 光検出器(40A 第1光検出器、40B 第2光検出器)
50 走査機構
80 制御部
80a プロセッサ
80b 記憶部
80bp プログラム
110、120 遮蔽部
112 追加遮蔽部
126 移動機構
159 ユニット走査機構
220 領域変更用移動機構
222 駆動部
DR 全体画像データ
DR1 第1画像データ
DR2 第2画像データ
R 全体読取領域
R1 第1読取領域
R2 第2読取領域
RR 重複読取領域
SC1 走査方向(所定方向)
SC2 ライン走査方向
図1
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