(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】吸収体の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61F13/15 321
(21)【出願番号】P 2022088226
(22)【出願日】2022-05-31
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2021101347
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木崎 康泰
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-112347(JP,A)
【文献】特表2002-509764(JP,A)
【文献】特開2011-200566(JP,A)
【文献】特開2008-154774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトの内外を連通するポリマー供給管を介して該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給し、繊維材料を含んだ状態で該ダクトの内部を一方向に流れる空気流に合流させ、該空気流に載せて搬送した該繊維材料及び該吸水性ポリマーを、所定の搬送方向に搬送中の集積部に集積させる工程を有する、吸収体の製造方法であって、
前記吸水性ポリマーの前記ダクトの内部への供給方向が、該吸水性ポリマーの合流位置での前記繊維材料の搬送方向に対して角度を有するように、該吸水性ポリマーを、前記ポリマー供給管の内部を該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流に載せて前記合流位置まで搬送
し、
前記ダクトの内部を負圧にし、内外の気圧差によって前記ポリマー供給管の内部にバキュームエアを生じさせるとともに、該バキュームエアに該ポリマー供給管の軸方向周りの旋回力を付与することで前記旋回空気流を生じさせる、吸収体の製造方法。
【請求項2】
前記旋回空気流は、前記ポリマー供給管から排出された後、その流れ方向に回転半径が漸次増加する、請求項1に記載の吸収体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリマー供給管に圧縮空気を供給することで前記旋回空気流を生じさせる、請求項1又は2に記載の吸収体の製造方法。
【請求項4】
前記圧縮空気は、前記ポリマー供給管に配置された一又は複数の空気供給管を介して該ポリマー供給管の内部に供給される、請求項3に記載の吸収体の製造方法。
【請求項5】
前記圧縮空気の供給流量は、前記空気供給管において調整される、請求項4に記載の吸収体の製造方法。
【請求項6】
前記圧縮空気の供給圧力は、前記空気供給管において調整される、請求項4に記載の吸収体の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮空気の供給圧力は0.001MPa以上である、請求項3に記載の吸収体の製造方法。
【請求項8】
前記吸収体は、前記集積部の搬送方向と直交する方向の長さが一定ではない、請求項1又は2に記載の吸収体の製造方法。
【請求項9】
外面に集積部を有し、該集積部を所定の搬送方向に搬送可能な集積装置と、該搬送方向に搬送中の該集積部に、内部に生じた空気流に載せて繊維材料及び吸水性ポリマーを供給するダクトと、該ダクトに該繊維材料を供給する繊維材料供給装置とを備えた吸収体の製造装置であって、
前記ダクトに、該ダクトの周壁を貫通して該ダクトの内外を連通し、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管が設けられており、
前記ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構を備え、
前記旋回空気流発生機構により、前記ポリマー供給管の内部に、該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流を発生させ、該ポリマー供給管に供給された前記吸水性ポリマーを該旋回空気流に載せて前記ダクトの内部に供給し、前記繊維材料を含んだ前記空気流に合流させるようになされて
おり、
前記集積装置による吸引によって前記ポリマー供給管の内部にバキュームエアを生じさせるとともに、該バキュームエアに該ポリマー供給管の軸方向周りの旋回力を付与することで前記旋回空気流を生じさせる、吸収体の製造装置。
【請求項10】
前記ポリマー供給管に一又は複数の空気供給管が接続されており、該空気供給管を介して該ポリマー供給管の内部に圧縮空気を供給することで前記旋回空気流を生じさせる、請求項
9に記載の吸収体の製造装置。
【請求項11】
複数の前記空気供給管は、前記ポリマー供給管の軸方向周りに等間隔に配置されている、請求項
10に記載の吸収体の製造装置。
【請求項12】
前記空気供給管は、前記圧縮空気の調整機構を備える、請求項
10又は
11に記載の吸収体の製造装置。
【請求項13】
前記ポリマー供給管の内部における前記バキュームエアの流路に、該バキュームエアに前記旋回力を付与し得る立体構造が設けられており、該バキュームエアが該立体構造を通過することで前記旋回空気流が生じるようになされている、請求項
9に記載の吸収体の製造装置。
【請求項14】
前記ポリマー供給管の内部における前記バキュームエアの流路が螺旋状であり、該バキュームエアが該螺旋状の流路を通過することで前記旋回空気流が生じるようになされている、請求項
9に記載の吸収体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料及び吸水性ポリマーを含む吸収体の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる吸収体として従来、パルプ繊維などの繊維材料と粒子状の吸水性ポリマーとを含むものが汎用されている。斯かる構成の吸収体の製造方法として、外周面に吸収体材料の集積部を有する回転ドラムと、該回転ドラムの外周面に空気流に載せて吸収体材料を搬送するダクトと、該ダクト内に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管とを備えた製造装置を用いる方法が知られている。特許文献1には、斯かる吸収体の製造方法の改良技術として、圧縮空気の噴射により、前記ポリマー供給管中の吸水性ポリマーを加速し、所定位置に設けられた分散プレートに衝突させ、その衝突により分散した吸水性ポリマーを前記空気流中に導入することが記載されている。特許文献1に記載の吸収体の製造方法によれば、吸収体製造時の流れ方向(以下、「MD」とも言う。MDはMachine Directionの略称である。)と直交する方向(以下、「CD」とも言う。CDはCross machine Directionの略称である。)において、吸水性ポリマーを均一に分散させることができるとされている。
【0003】
また従来、各種粉体を旋回流に載せて搬送することが行われている。例えば特許文献2には、コンクリート等の研削対象物に対して高圧液体と粉体状の研削材とからなる複合噴流を噴射して対象物を研削するための複合噴流式の噴射ノズル装置において、該複合噴流として、該研削材を含む圧力気体の旋回流を含むものを用いることで、研削効率が向上し得ることが記載されている。また特許文献3には、粉体中に含まれる粉体凝集物の含有率を低減することができ、トナーの製造に有用な粉体分散装置として、粉体分散容器内に、該粉体分散容器内の気体の旋回流を形成する旋回流形成手段が設けられたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-112347号公報
【文献】特開2020-19089号公報
【文献】特開2007-187736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、CDにおいて吸水性ポリマーが均一に分散した吸収体を製造できるものの、吸収体に要求される諸特性のレベルが近年高まっており、これに伴い、吸収体のCDにおいて吸水性ポリマーをより高いレベルで均一分散させ得る技術が要望されている。また従来技術は、製造目的物である吸収体の平面視形状が長方形のような、CDの長さがMDの全長にわたって一定である場合は、該吸収体のCDにおける吸水性ポリマーの均一分散性は良好である場合が多いものの、CDの長さがMDの全長にわたって一定でない場合は改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題は、吸収体製造時の流れ方向(MD)に直交する方向(CD)に吸水性ポリマーを均一に分散させることができる技術を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ダクトの内外を連通するポリマー供給管を介して該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給し、繊維材料を含んだ状態で該ダクトの内部を一方向に流れる空気流に合流させ、該空気流に載せて搬送した該繊維材料及び該吸水性ポリマーを、所定の搬送方向に搬送中の集積部に集積させる工程を有する、吸収体の製造方法である。
本発明の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記吸水性ポリマーの前記ダクトの内部への供給方向を、該供給方向が該吸水性ポリマーの合流位置での前記繊維材料の搬送方向に対して角度を有するように調整する。
本発明の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記吸水性ポリマーを、前記ポリマー供給管の内部を該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流に載せて前記合流位置まで搬送する。
【0008】
また本発明は、外面に集積部を有し、該集積部を所定の搬送方向に搬送可能な集積装置と、該搬送方向に搬送中の該集積部に、内部に生じた空気流に載せて繊維材料及び吸水性ポリマーを供給するダクトと、該ダクトに該繊維材料を供給する繊維材料供給装置とを備えた吸収体の製造装置である。
本発明の吸収体の製造装置の一実施形態では、前記ダクトに、該ダクトの周壁を貫通して該ダクトの内外を連通し、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管が設けられている。
本発明の吸収体の製造装置の一実施形態では、前記ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構を備えている。
本発明の吸収体の製造装置の一実施形態では、前記旋回空気流発生機構により、前記ポリマー供給管の内部に、該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流を発生させ、該ポリマー供給管に供給された前記吸水性ポリマーを該旋回空気流に載せて前記ダクトの内部に供給し、前記繊維材料を含んだ前記空気流に合流させるようになされている。
【0009】
また本発明は、ダクトの内外を連通するポリマー供給管を介して該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給し、繊維材料を含んだ状態で該ダクトの内部を一方向に流れる空気流に合流させ、該空気流に載せて搬送した該繊維材料及び該吸水性ポリマーを、所定の搬送方向に搬送中の集積部に集積させる工程を有する、吸収体の製造方法で用いられる、該ポリマー供給管による吸水性ポリマーの供給方法である。
本発明の吸水性ポリマーの供給方法の一実施形態では、前記吸水性ポリマーの前記ダクトの内部への供給方向を、該吸水性ポリマーの合流位置での前記繊維材料の搬送方向に対して角度を有するように調整する。
本発明の吸水性ポリマーの供給方法の一実施形態では、前記吸水性ポリマーを、前記ポリマー供給管の内部を該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流に載せて前記合流位置まで搬送する。
【0010】
また本発明は、外面に集積部を有し、該集積部を所定の搬送方向に搬送可能な集積装置と、該搬送方向に搬送中の該集積部に、内部に生じた空気流に載せて繊維材料を供給するダクトと、該ダクトに該繊維材料を供給する繊維材料供給装置とを備えた吸収体の製造装置において、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するために用いられる、吸水性ポリマーの供給装置である。
本発明の吸水性ポリマーの供給装置の一実施形態では、前記ダクトの周壁を貫通して該ダクトの内外を連通し、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管と、該ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構とを備える。
本発明の吸水性ポリマーの供給装置の一実施形態では、前記旋回空気流発生機構により、前記ポリマー供給管の内部に、該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流を発生させ、該ポリマー供給管に供給された前記吸水性ポリマーを該旋回空気流に載せて前記ダクトの内部に供給し、前記繊維材料を含んだ前記空気流に合流させる。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、CDに吸水性ポリマーが均一に分散し、液吸収性に優れた吸収体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、それぞれ、本発明によって製造される吸収体の一実施形態の模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の吸収体の製造装置の一実施形態の概略構成図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す製造装置におけるポリマー供給管の下端部及びその周辺部の空気流の流れ方向且つ鉛直方向に沿う模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す製造装置におけるポリマー供給管の模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、吸水性ポリマーを搬送する空気流がポリマー供給管の内部を通ってダクトの内部に排出される様子を模式的に示す
図3相当図であり、
図5(a)は、本発明に係る旋回空気流の一例を示す図、
図5(b)は、非旋回空気流を示す図である。
【
図6】
図6は、吸水性ポリマーを搬送する空気流がポリマー供給管の内部を通ってダクトの内部に排出され、ダクトの内部を一方向(
図6の右側から左側に向かう方向)に流れる空気流と合流する様子を示す図面代用写真であり、
図6(a)は、吸水性ポリマーを搬送する空気流が本発明に係る旋回空気流の場合、
図6(b)は、吸水性ポリマーを搬送する空気流が非旋回空気流の場合である。
【
図7】
図7(a)は、本発明に係るポリマー供給管の一実施形態の軸方向に沿う模式的な断面図、
図7(b)は、
図7(a)のI-I線断面図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明に係るポリマー供給管の他の実施形態の軸方向に沿う模式的な断面図、
図8(b)は、
図8(a)のII-II線断面図である。
【
図9】
図9(a)~
図9(c)は、それぞれ、本発明に係るポリマー供給管の更に他の実施形態の模式的な斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の実施例によって製造された吸収体の肌対向面側の図面代用写真、
図10(b)は、比較例によって製造された吸収体の図面代用写真である。
【
図11】
図11は、本発明者が行った評価試験2の結果を示すもので、ポリマー供給管に配置された空気供給管の数と圧縮空気の供給流量及び旋回空気流の拡がり角度との関係を示す図面代用グラフである。
【
図12】
図12は、本発明者が行った評価試験2の結果を示すもので、ポリマー供給管に配置された空気供給管の数と圧縮空気の供給流量及び供給圧力との関係を示す図面代用グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0014】
本発明によって製造される吸収体は、体液をはじめとする水性液を吸収し得るものである。吸収体の用途は特に限定されないが、吸収性物品の吸収体として特に好適である。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。
吸収性物品は、典型的には、吸収体と、該吸収体よりも着用者の肌から近い側に配される液透過性の表面シートと、該吸収体よりも着用者の肌から遠い側に配される液難透過性ないし不透過性の裏面シートとを含んで構成されている。
【0015】
図1には、本発明によって製造される吸収体の一実施形態である吸収体10A,10Bが示されている。以下、両吸収体10A,10Bを総称して「吸収体10」とも言う。吸収体10についての説明は特に断らない限り、両吸収体10A,10Bに適用される。吸収体10は、吸収性物品用のものであり、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。
縦方向Xは、後述する吸収体10の製造時における流れ方向又は機械方向すなわちMD(Machine Direction)に一致し、横方向Yは、MDと直交する方向であるCD(Cross machine Direction)に一致する。MDは、後述するドラム周方向X、より具体的には回転ドラム4の回転方向R(
図2参照)に一致し、CDは、回転ドラム4の軸方向に一致する。
吸収体10Bは、平面視略長方形形状をなし、横方向Yの長さ(幅)が、縦方向Xの全長にわたって一定であるのに対し、吸収体10Aは幅が一定ではない。吸収体10Aは、縦方向Xの一端側が相対的に幅の広い幅広部11、縦方向Xの他端側が相対的に幅の狭い幅狭部12となっており、また、幅広部11における縦方向Xの端部側は、縦方向Xの全長にわたって幅が一定の幅一定部11A、幅広部11における幅狭部12寄りの部分は、縦方向Xの内方から外方に向かって幅が漸次増加する幅変化部11Bとなっている。
【0016】
吸収体10は、繊維材料及び吸水性ポリマーを含有する。
繊維材料の種類は特に制限されず、熱可塑性樹脂等の合成樹脂からなる疎水性繊維を用いることもできるが、典型的には、親水性繊維が用いられる。親水性繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
吸水性ポリマーは、典型的には、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を主体とする。吸水性ポリマーは、典型的には、常温常圧で粉体である。吸水性ポリマーの粒子の形状は特に制限されず、球状、繊維状、不定形状等であり得る。
【0017】
図2には、本発明の吸収体の製造装置の一実施形態である製造装置1が示されている。製造装置1は、外面に集積部40を有し、集積部40をMDに搬送可能な集積装置2と、MDに搬送中の集積部40に、内部に生じた空気流に載せて繊維材料及び吸水性ポリマーを飛散状態で供給するダクト5と、ダクト5に繊維材料を供給する繊維材料供給装置6とを備える。なお図中、符号Pは、吸水性ポリマーを示し、符号AFで示す矢印は、前記空気流(バキュームエア)の流れる方向を示す。
【0018】
本実施形態では集積装置2は、金属製の剛体からなる固定ドラム3と、固定ドラム3の外周部の周りを回転可能に設けられ、吸収体材料(繊維材料及び吸水性ポリマー)が集積される集積部40がドラム周方向Xに複数間欠配置された回転ドラム4とを備える。製造装置1は、回転ドラム4を方向Rに回転させて集積部40をドラム周方向Xに搬送させつつ、固定ドラム3側からの吸引によってダクト5の内部に生じた空気流に載って搬送された吸収体材料を、ドラム周方向Xの所定の積繊領域41にて集積部40に積繊させて積繊体を製造する。こうして集積部40内に製造された積繊体は、吸収体材料として繊維材料及び吸水性ポリマーを含む吸収体10である。
【0019】
本実施形態では製造装置1は、集積部40から排出された吸収体10を搬送する搬送機構9を備えている。搬送機構9は、集積装置2の下方に配され、集積部40から排出された吸収体10を搬送面上に吸引しつつ搬送するバキュームコンベア(図示せず)を備えている。固定ドラム3の内部には、ブロー発生機構(図示せず)が配されており、該ブロー発生機構による固定ドラム3の内部側から回転ドラム4側への空気の吹きつけにより、集積部40から吸収体10が排出され、前記バキュームコンベアの搬送面上に転写されるようになされている。また本実施形態では、前記バキュームコンベアの搬送面上に、吸収体10の外面を被覆するコアラップシートなどとも呼ばれるシート材13が予め配されており、集積部40から排出された吸収体10はシート材13上に転写され、シート材13ごと搬送される。シート材13は、前記バキュームコンベアによる搬送途中で、吸収体10の全体を被覆するように折り曲げられる。
【0020】
固定ドラム3は円筒状をなし、その円筒状の固定ドラム3の軸方向両端の開口部は、側壁(図示せず)及びフェルト等のシール材(図示せず)よって気密に封鎖されている。固定ドラム3の内部は、隔壁31によって周方向に複数(
図2では4つ)に区分され、各該区分に対応した複数の空間A~Dが形成されている。固定ドラム3には、その内部を減圧する減圧機構(図示せず)が接続されている。前記減圧機構は、前記側壁に接続された排気管(図示せず)と該排気管に接続された排気ファン(図示せず)とを含んで構成されている。前記減圧機構を作動させることで、固定ドラム3内の複数の空間A~Dのうちの任意のものを負圧に維持される。固定ドラム3は、隔壁31によって仕切られた複数の空間A~Dの負圧(吸引力)をそれぞれ独立に調整可能になされている。固定ドラム3は回転しない。
【0021】
回転ドラム4は、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力を受けて、水平な回転軸を回転中心として、固定ドラム3の外周部周りを図中符号Rで示す方向に回転する。製造装置1の外面を形成する回転ドラム4の外周部には、複数の集積部40がドラム周方向Xに間欠配置されている。回転ドラム4の回転方向Rは、集積部40のMDである。集積部40は凹状に窪んだ凹部であり、吸収体材料を集積可能になされている。集積部40の形状は、製造目的物である吸収体の用途等に応じて決定される。すなわち、吸収体の必要な部位に凸部や凹部が作られるように、集積部40の平面視形状、凹部の深さ等が決定される。集積部40の底面部は、空気流が通過可能な多数の吸引孔を有する通気性部材から形成されており、通気性を有している。なお、回転ドラム4の外周部における、ドラム周方向Xに隣り合う2個の集積部40,40どうしの間は、非通気性の部材から形成された非集積部であるところ、該非集積部は、空気流の通過が不可能であり、また、吸収体材料が集積可能な凹部を有していない。
【0022】
回転ドラム4は固定ドラム3の外周部の周りを、空間Aに対応する領域、空間Bに対応する領域、空間Cに対応する領域、空間Dに対応する領域の順に移動する。「空間Aに対応する領域」とは、固定ドラム3の空間Aを固定ドラム3の半径方向(ドラム軸方向と直交する方向)の外方に仮想的に延長した場合のその延長部分と重複する領域を指す。「空間Bに対応する領域」、「空間Cに対応する領域」及び「空間Dに対応する領域」については、前記の「空間Aに対応する領域」の説明において「空間A」を「空間B」、「空間C」又は「空間D」に置換したものが適用される。本実施形態では、空間Aに対応する領域のみが、吸収体材料が集積部40内に積繊される積繊領域41であり、吸収体材料の積繊を可能にするため、空間Aは負圧に維持される。また本実施形態では、空間Bに対応する領域は積繊領域41ではないが、空間Aに対応する領域で積繊された吸収体をそのまま集積部40内に保持しつつ搬送する領域であり、これを可能にするため、空間Bも負圧に維持される。一方、空間C及びDに対応する領域は、集積部40内の吸収体の転写位置及びその前後を含む領域であるので、典型的には、空間C及びDは圧力ゼロ又は陽圧とされる。
【0023】
前記減圧機構を作動させ固定ドラム3の空間Aを負圧に維持した状態で、回転ドラム4を方向Rに回転させると、回転ドラム4の外周部の集積部40が、積繊領域41(空間Aに対応する領域)を通過している間に、集積部40の底面を形成する通気性部材に空間Aの負圧が作用し、該通気性部材が有する多数の吸引孔を通じた空気の吸引が行われる。この吸引孔を通じた吸引により、積繊領域41に接続されたダクト5の内部に、積繊領域41に向かう空気流(バキュームエア)が生じ、この空気流に載った吸収体材料(繊維材料及び吸水性ポリマー)が積繊領域41を搬送中の集積部40内に集積される。
【0024】
ダクト5は、上壁51、下壁52及び左右の側壁(図示せず)を含む周壁を有する断面矩形の筒状をなし、該周壁に囲まれたダクト5の内部空間は、空気流の流路として機能する。ダクト5における集積装置2側とは反対側の端部付近には繊維材料供給装置6が配置されている。ダクト5は、集積装置2と繊維材料供給装置6との間にわたって延在している。ダクト5の延在方向の両端は開口しており、その一端側の開口部は、集積装置2の回転ドラム4の一部を覆い、他端側の開口部は、繊維材料供給装置6が有する繊維材料の排出口に接続されている。
【0025】
繊維材料供給装置6は、パルプシート等のシート状の繊維材料である繊維シート61を粉砕し、繊維材料(図示せず)としてダクト5の内部に供給する。繊維材料供給装置6は、原反60から引き出された繊維シート61を送り出すフィーダー62と、繊維シート61を解繊してパルプ繊維等の繊維材料を得る解繊機63とを備える。解繊機63は、ケーシング64と、ケーシング64内に配され、繊維シート61を繊維状に解繊する回転刃65とを備える。繊維材料供給装置6では、繊維シート61がフィーダー62により解繊機63内に導入され、解繊機63により解繊されて得た繊維材料がダクト5の内部に供給されるようになされている。
【0026】
ダクト5には、ダクト5の周壁、より具体的には上壁51を貫通してダクト5の内外を連通し、ダクト5の内部に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管7が設けられている。ポリマー供給管7の軸方向、すなわち
図3に示すように、ポリマー供給管7の中心軸線CLの延びる方向は、ダクト5の周壁、より具体的には、ポリマー供給管7が配置されているダクト5の上壁51と交差している。図示の形態では、ポリマー供給管7はダクト5の上壁51と直交せずに交差しているが、本発明では、ポリマー供給管7は上壁51と平行でなければよく、上壁51と直交していてもよい。なお、
図3中、符号Fは、繊維材料を示す。
【0027】
ポリマー供給管7は、内部に吸水性ポリマーの流路70を有し、流路70の一端(本実施形態では上端)が、吸水性ポリマーが外部から供給されるポリマー導入口71、流路70の他端(本実施形態では下端)が、吸水性ポリマーを外部に排出するポリマー排出口72となっている。ポリマー供給管7の形状は、後述するように内部に空気旋回流を発生可能であることを条件として特に制限されないが、典型的には、軸方向と直交する方向に沿う断面が円形の筒状体を含む。本実施形態ではポリマー供給管7は、
図2及び
図4に示すように、ポリマー導入口71を有する上部が、下方(ダクト5側)に向かうに従って内径が漸次減少するテーパー状をなし、その他の部分が前記筒状体からなる。また、ポリマー排出口72を含む、ポリマー供給管7の下端部は、
図3に示すように、ダクト5の上壁51を貫通してダクト5の内部(空気流の流路)に位置している。斯かるダクト5におけるポリマー排出口72の位置は、繊維材料の供給源である繊維材料供給装置6よりも集積装置2に近い位置である。したがって本実施形態では、ダクト5の内部において、吸水性ポリマーは、繊維材料よりも空気流の流れる方向AFの下流側から供給される。
【0028】
本実施形態では製造装置1は、
図2に示すように、ポリマー供給管7に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給機構8を備える。ポリマー供給機構8としては、所定量の吸水性ポリマーを安定的に連続してポリマー供給管7に供給し得るものであればよく、その構成は特に制限されない。本実施形態ではポリマー供給機構8は、吸水性ポリマーを収容するタンク81と、タンク81の下部に設置されたスクリューフィーダーユニット82とを備える。スクリューフィーダーユニット82は、スクリューガイド83と、スクリューガイド83内に収容されるスクリュー84とを備えている。スクリューガイド83は、上面に吸水性ポリマーの供給口83aを有するとともに、スクリュー84が有するスクリュー軸の延びる方向の一端に吸水性ポリマーの排出口83bを有している。前記スクリュー軸は、スクリューガイド83の供給口83aとは反対側の端に隣接して配置されたモータ等の駆動源85に直結されており、駆動源85を駆動させることでスクリュー84を回転させることができる。このような構成のポリマー供給機構8では、タンク81内の吸水性ポリマーが供給口83aを介してスクリューガイド83内に供給され、更にスクリュー84の回転動作により排出口83bから連続的に排出される。排出口83bから連続的に排出された吸水性ポリマーは、自重により鉛直方向に連続落下し、ポリマー供給管7の上端のポリマー導入口71を介して流路70に入る。このように、落下する吸水性ポリマーを、その落下開始位置よりも下方に位置するポリマー導入口71を介してポリマー供給管7の内部に供給することで、ポリマー導入口71を通過した吸水性ポリマーの落下速度がポリマー導入口71の通過前に比べて減速するので、後述の空気旋回流を利用した吸水性ポリマーのダクト5への供給が一層実現しやすくなる。
【0029】
製造装置1の主たる特徴の1つとして、
図2及び
図3に示すように、ポリマー供給管7の内部に、その軸方向周りに旋回する旋回空気流SFを発生させ、ポリマー供給管7に供給された吸水性ポリマーを旋回空気流SFに載せてダクト5の内部に供給し、繊維材料を含んだ空気流に合流させるようになされている点が挙げられる。製造装置1は、斯かる吸水性ポリマーの供給方法を実施する手段として、ポリマー供給管7の内部に旋回空気流SFを発生させる旋回空気流発生機構を備えている。
【0030】
ここで、製造装置1では前述したとおり
図3に示すように、ポリマー供給管7の軸方向(中心軸線CLの延びる方向)は、ダクト5の周壁、より具体的には上壁51と交差しているところ、「ポリマー供給管7の軸方向=吸水性ポリマーのダクト5の内部への供給方向PD」であるので、吸水性ポリマーの供給方向PDはダクト5の上壁51と交差している。また、ダクト5の内部において繊維材料及び吸水性ポリマーを集積装置2に搬送する空気流は、ダクト5の周壁に沿って流れるところ、繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置、具体的には、ポリマー供給管7のポリマー排出口72及びその近傍における空気流の流れる方向AFは、該合流位置の近傍に位置するダクト5の上壁51の延びる方向と平行である。したがって製造装置1では、吸水性ポリマーの供給方向PDは、該吸水性ポリマーの繊維材料との合流位置での該繊維材料の搬送方向FDに対して所定の角度θ(
図3参照)を有しており、つまり、両方向PD,FDは互いに平行ではない。このように両方向PD,FDが交差する状態で、前記のように、ポリマー供給管7の内部に旋回空気流SFを発生させ、吸水性ポリマーを旋回空気流SFに載せて、繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置まで搬送することにより、その繊維材料と合流後の吸水性ポリマーは、ダクト5の内部において集積部40のCDにおいて均一に分布するようになり、その結果、集積部40に形成される吸収体10は、CDに吸水性ポリマーが均一に分散したものとなる。
【0031】
ポリマー供給管7の内部に発生させる旋回空気流SFは、吸水性ポリマーの供給方向PDの速度成分を有し、且つポリマー供給管7の軸方向周りに旋回するものであればよく、旋回方向は特に制限されない。また、旋回空気流SFは、流れ方向に回転半径が一定のものでもよく、あるいは流れ方向に回転半径が漸次縮小するものでもよいが、CDにおける吸水性ポリマーの均一分散性を一層向上させる観点から、
図5(a)に示すように、流れ方向に回転半径が漸次増加するものが好ましい。すなわち旋回空気流SFは、ポリマー供給管7から排出された後、その流れ方向に回転半径が漸次増加することが好ましい。
なお、ポリマー供給管7の流路70の直径が
図3に示す如くに一定である場合は、旋回空気流SF自体が、流れ方向に回転半径が漸次変化(増加又は減少)するものであっても、流路70の内部では該旋回空気流SFの回転半径はその流れ方向に一定である。この場合、旋回空気流SFは、ポリマー供給管7から排出された後、その流れ方向に回転半径が漸次変化する。
【0032】
図5(a)に示す形態では、旋回空気流SFは、ポリマー供給管7の下端のポリマー排出口72から排出された後に、その流れ方向に従って回転半径が漸次増加しており、旋回空気流SFの拡がり角度θ1は0度超である。拡がり角度θ1は、旋回空気流SFの如き、ポリマー供給管の内部を通って吸水性ポリマーを搬送する空気流(以下、「ポリマー搬送空気流」とも言う。)が排出されるダクト5の内部が無風状態(方向AFに流れる空気流が存在しない状態)での、ポリマー搬送空気流の側面視における2本の輪郭線L1,L1のなす角度である。輪郭線L1は、ポリマー搬送空気流の流れ方向(吸水性ポリマーの供給方向PD)に延びる稜線(ポリマー搬送空気流の半径方向の一方の最外方点を結ぶ直線)である。一方、
図5(b)に示すように、ポリマー搬送空気流が旋回せずに一方向に直進する非旋回空気流NSFである場合、非旋回空気流NSFの2本の輪郭線L1,L1は実質的に互いに平行であり、非旋回空気流NSFの拡がり角度は実質的に0度である。
【0033】
図6は、ポリマー搬送空気流がポリマー供給管の内部を通ってダクトの内部に排出され、ダクトの内部を一方向(
図6の右側から左側に向かう方向)に流れる別の空気流(以下、「繊維搬送空気流」とも言う。)と合流する様子を示す図面代用写真であり、
図6(a)は、ポリマー搬送空気流が本発明に係る旋回空気流の場合、
図6(b)は、ポリマー搬送空気流が非旋回空気流の場合である。
図6(a)及び
図6(b)それぞれにおいて右側から左側に向けて斜め下方に延びる白色部分が、ポリマー搬送空気流である。
図6(a)は、製造装置1と同様の構成を有する吸収体製造装置を用いて本発明の吸収体の製造方法(吸水性ポリマーの供給方法)を実施した際のもので、
図6(a)の白色部分であるポリマー搬送空気流は、ダクトの内部が無風状態(繊維搬送空気流が無い状態)であれば、
図5(a)に示す旋回空気流SFのように、その拡がり角度は0度超となる。一方
図6(b)は、旋回空気流発生機構を備えていない点以外は製造装置1と同様の構成を有する吸収体製造装置を用いて吸収体を製造した際のもので、
図6(b)の白色部分であるポリマー搬送空気流は、ダクトの内部が無風状態(繊維搬送空気流が無い状態)であれば、
図5(b)に示す非旋回空気流NSFのように、その拡がり角度は実質的に0度となる。
図6(a)の方が
図6(b)に比べて白色部分すなわちポリマー搬送空気流の拡がりの程度が大きく、吸水性ポリマーがより拡散していることがわかる。
【0034】
CDにおける吸水性ポリマーの均一分散性を向上させて本発明の所定の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、旋回空気流の拡がり角度(ポリマー搬送空気流が排出されるダクトの内部が無風状態での、該ポリマー搬送空気流の側面視における2本の輪郭線のなす角度。
図5(a)の符号θ1で示す角度。)は、好ましくは5度以上、より好ましくは10度以上である。旋回空気流の拡がり角度の上限は特に制限されないが、旋回空気流の制御と効果とのバランスの観点から、好ましくは45度以下、より好ましくは30度以下である。
【0035】
旋回空気流の拡がり角度は、以下の方法で測定する。測定対象の旋回空気流(ポリマー搬送空気流)が排出されるダクトの内部を無風状態として、該ダクトの内部にポリマー供給管を介して旋回空気流を排出し、その排出された旋回空気流の動画をカメラ等の撮影装置を用いて撮影して、
図5(a)に示す如き側面視の画像を取得し、該画像に基づき、旋回空気流の2本の輪郭線(
図5において符号L1で示す直線に相当する線)を決定するとともに、その2本の輪郭線のなす角度を測定する。1種類の測定対象につき、前記の側面視の画像を5つ取得して、各画像における旋回空気流の拡がり角度を測定し、それら5つの測定値の算術平均値を、当該測定対象の拡がり角度とする。
【0036】
本発明では、ポリマー供給管7の内部に旋回空気流SFを発生させる方法は特に制限されない。旋回空気流SFの発生方法としては、1)ポリマー供給管7の内部に圧縮空気を供給することで旋回空気流SFを発生させる方法と、2)ポリマー供給管7の内部に圧縮空気を供給せずに、ダクト5の内部を負圧にし、内外の気圧差によってポリマー供給管7の内部にバキュームエアを生じさせるとともに、該バキュームエアにポリマー供給管7の軸方向周りに回転する作用(該軸方向周りの旋回力)を付与することで旋回空気流SFを生じさせる方法とが挙げられる。本実施形態の製造装置1が備えるポリマー供給管7は、前記1)の方法によって旋回空気流SFを発生させるもので、ポリマー供給管7の内部に圧縮空気を供給する空気供給管73を備える。
【0037】
図7には、前記1)の方法に対応したポリマー供給管7A、
図8には、前記2)の方法に対応したポリマー供給管7Bが示されている。製造装置1では、前述のポリマー供給管7に代えて、ポリマー供給管7A又は7Bを採用することができる。ポリマー供給管7A,7Bについては、ポリマー供給管7と異なる構成を説明し、同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。ポリマー供給管7A,7Bについて特に説明しない構成は、前述のポリマー供給管7についての説明が適宜適用される。
【0038】
図7に示すように、ポリマー供給管7Aには空気供給管73が接続されており、空気供給管73を介してポリマー供給管7Aの内部(吸水性ポリマーの流路70)に圧縮空気を供給することで旋回空気流SFを生じさせる。空気供給管73は、典型的には、その先端に噴射ノズルを備え、該噴射ノズルは、ポリマー供給管7Aの周壁を厚み方向に貫通する開口に接続されている。また、空気供給管73は、電磁弁を備えた圧縮空気のタンク(図示せず)に接続されており、該電磁弁の開閉の制御により、圧縮空気の噴射を制御可能になされている。前記圧縮空気のタンクには、コンプレッサーが接続されており、該タンク内の圧力が、常時、所定の範囲の圧力に維持されるようになされている。
【0039】
前記の空気供給管73をはじめとする圧縮空気供給手段(例えば、電磁弁、圧縮空気のタンク、コンプレッサー、流量計、圧力計等)は、ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構の一部又は全部であり得る。
【0040】
前記1)の方法において、圧縮空気は、ポリマー供給管に配置された一又は複数の空気供給管を介して該ポリマー供給管の内部に供給される。すなわち本発明では、ポリマー供給管に接続される空気供給管の数は特に制限されず、1つでもよく、あるいは
図7に示すポリマー供給管7Aのように複数でもよい。ポリマー供給管7Aでは、圧縮空気は、ポリマー供給管7Aの軸方向周りに等間隔に配置された複数(具体的には4つ)の空気供給管73を介してポリマー供給管7Aの内部に供給される。ポリマー供給管に接続される空気供給管の数が複数の場合、その複数の空気供給管が、
図7に示すように、ポリマー供給管の軸方向周りに等間隔に配置されていると、ポリマー供給管の内部に旋回空気流を確実に発生させることができるため好ましい。
【0041】
本発明者らの知見によれば、ポリマー供給管に配置される空気供給管の数が少ないほど、旋回空気流の拡がり角度が大きくなる傾向がある(
図11参照)。したがって前記1)の方法においては、圧縮空気は、ポリマー供給管に配置された一の空気供給管を介して該ポリマー供給管の内部に供給されることがより好ましい。
【0042】
前記1)の方法で旋回空気流を発生させる上で重要な要素の1つとして、圧縮空気のポリマー供給管への供給流量が挙げられる。本発明者らの知見によれば、斯かる供給流量が一定値以上であると、前述した旋回空気流の拡がり角度が大きくなるため、本発明の所定の効果が一層確実に奏され得る。圧縮空気のポリマー供給管への供給流量の総和は、好ましくは50L/min以上、より好ましくは100L/min以上、更に好ましくは150L/min以上である。ここで言う「供給流量の総和」とは、ポリマー供給管に接続される空気供給管の数が1つの場合は、その1つの空気供給管の供給量を指し、ポリマー供給管に接続される空気供給管の数が複数の場合は、複数の空気供給管それぞれの供給量の総和を指す。例えば
図7に示す形態では、ポリマー供給管7Aに接続される空気供給管の数は4つであるので、その4つの空気供給管73それぞれの圧縮空気の供給量の総和が50L/min以上であることが好ましい。一方、圧縮空気のポリマー供給管への供給流量の総和の上限は特に制限されないが、斯かる供給流量が多すぎると効果が頭打ちとなる傾向があるので、必要十分な供給流量で最大限の効果を得る観点から、好ましくは300L/min以下、より好ましくは250L/min以下である。
【0043】
圧縮空気の供給流量は、旋回空気流を確実に発生させる観点から、空気供給管において調整されることが好ましい。すなわち、ポリマー供給管に接続される空気供給管の数が1つの場合は、その1つの空気供給管において圧縮空気の供給流量が調整されることが好ましい。また、
図7に示す形態のように、ポリマー供給管に接続される空気供給管の数が複数の場合は、その複数の空気供給管それぞれにおいて圧縮空気の供給流量が調整されることが好ましい。
【0044】
前記1)の方法で旋回空気流を発生させる上で重要な要素の他の1つとして、圧縮空気のポリマー供給管への供給圧力が挙げられる。圧縮空気の供給圧力は特に制限されないが、ポリマー供給管の内部に旋回空気流を確実に発生させる観点、及び旋回空気流の拡がり角度を大きくする観点から、好ましくは0.001MPa以上、より好ましくは0.005MPa以上、更に好ましくは0.01MPa以上である。圧縮空気の供給圧力の上限については、好ましくは0.08MPa以下、より好ましくは0.06MPa以下である。
図7に示す形態のように、ポリマー供給管に複数の空気供給管が接続されている場合は、その複数の空気供給管それぞれに対応する圧縮空気の供給圧力が前記特定範囲にあることが好ましい。
【0045】
圧縮空気の供給圧力は、旋回空気流を確実に発生させる観点から、空気供給管において調整されることが好ましい。すなわち、ポリマー供給管に接続される空気供給管の数が1つの場合は、その1つの空気供給管において圧縮空気の供給圧力が調整されることが好ましい。また、
図7に示す形態のように、ポリマー供給管に複数の空気供給管が接続されている場合は、その複数の空気供給管それぞれにおいて圧縮空気の供給圧力が調整されることが好ましい。
【0046】
前述したように空気供給管において圧縮空気の供給流量及び/又は供給圧力を調整することを可能にするため、本発明の吸収体の製造装置の好ましい実施形態においては、空気供給管は、圧縮空気の調整機構を備える。製造装置1は、複数の空気供給管73に個別に対応する圧縮空気の調整機構(図示せず)を備えることが好ましい。前記圧縮空気の調整機構としては公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、電源ON/OFFスイッチ、減圧弁、流量計、圧力計からなる群から選択される1種以上を備えたものを例示できる。
【0047】
ポリマー供給管7Bは、
図8に示すように、内外の気圧差によってポリマー供給管7Bの内部に生じたバキュームエアVAに、ポリマー供給管7Bの軸方向(中心軸線CL)周りの旋回力を付与することで、バキュームエアVAを旋回空気流SFに変化させるようになされている。バキュームエアVAは、前述したとおり、集積装置2が備える固定ドラム3による吸引によってダクト5の内部が負圧になることで生じるもので、ダクト5の内部では、吸収体材料(繊維材料及び吸水性ポリマー)を集積装置2の集積部40に搬送する空気流として機能する。ダクト5の内部とポリマー供給管7Bの内部とは連通しており、また、ポリマー供給管7Bには、外部から空気を取り込み可能な空気吸引口74が設けられているので、集積装置2による吸引によってダクト5の内部にバキュームエアVAが生じると、ポリマー供給管7Bの内部が負圧となり、ポリマー供給管7Bの外部の空気が空気吸引口74を介して内部に取り込まれ、ダクト5側に向かう空気流となる。そして、ポリマー供給管7Bの内部におけるバキュームエアVAの流路75には、バキュームエアVAにポリマー供給管7Bの軸方向周りの旋回力を付与し得る立体構造76が設けられており、バキュームエアVAが立体構造76を通過することで旋回空気流SFが生じるようになされている。
【0048】
立体構造76としては、空気流(バキュームエア)に前記旋回力を付与し得るものであればよく、その形状は特に制限されない。ポリマー供給管7Bにおける立体構造76は、
図8(b)に示すように、ポリマー供給管7Bの内面からポリマー供給管7Bの軸方向と交差する方向に突出する複数のフィン77を含んで構成されている。より具体的には、
図8(a)に示すように、ポリマー供給管7Bの半径方向の中央部に吸水性ポリマーの流路70が配置されているとともに、該流路70を包囲するようにバキュームエアVAのリング状の流路75が配置されているところ、該流路75に、複数のフィン77がポリマー供給管7Bの周方向に間欠配置されている。バキュームエアVAは、このフィン77が設けられたリング状の流路75を通過することで、ポリマー供給管7Bの軸方向周りの旋回力を付与され、旋回空気流SFとなる。
【0049】
前記2)の方法に対応したポリマー供給管7の別の形態として、ポリマー供給管の内部におけるバキュームエアの流路が螺旋状であり、該バキュームエアが該螺旋状の流路を通過することで旋回空気流SFが生じるようになされている形態が挙げられる。
【0050】
前記の空気吸引口74、バキュームエアの流路(例えば前記螺旋状の流路)75、立体構造76(フィン77)は、ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構の一部又は全部であり得る。
【0051】
旋回空気流SFを用いた吸水性ポリマーの搬送による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、製造装置1の各部の位置、寸法等は以下のように設定することが好ましい。
繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置(ポリマー供給管7のポリマー排出口72の位置)における、吸水性ポリマーの供給方向PDと繊維材料の搬送方向FDとのなす角度のうち鋭角側の角度θ(
図3参照)は、好ましくは10度以上、より好ましくは20度以上、そして、好ましくは90度以下、より好ましくは80度以下である。
繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置(ポリマー供給管7のポリマー排出口72の位置)と、ポリマー供給管7が配置されたダクト5の周壁(上壁51)との離間距離h(
図3参照)は、好ましくは0mm以上、より好ましくは20mm以上、そして、好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下である。
繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置(ポリマー供給管7のポリマー排出口72の位置)と、ダクト5における空気流(バキュームエア)の流れる方向の上流側の端(繊維材料供給装置6の配置位置)との離間距離は、好ましくは1000mm以上、より好ましくは1200mm以上、そして、好ましくは2000mm以下、より好ましくは1800mm以下である。
ポリマー供給管7における吸水性ポリマーの流路70の内径は、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上、そして、好ましくは100mm以下、より好ましくは90mm以下である。
【0052】
以上のような構成の製造装置1を用いた吸収体10の製造方法は、
図2及び
図3に示すように、ダクト5の内外を連通するポリマー供給管7(7A,7B)を介してダクト5の内部に吸水性ポリマーPを供給し、繊維材料Fを含んだ状態でダクト5の内部を一方向AFに流れる空気流(バキュームエア、繊維搬送空気流)に合流させ、該空気流に載せて搬送した繊維材料F及び吸水性ポリマーPを、所定の搬送方向MD(回転ドラム4の回転方向R)に搬送中の集積部40に集積させる工程を有する。
そして、製造装置1を用いた吸収体10の製造方法では、
図3に示すように、吸水性ポリマーPのダクト5の内部への供給方向PDが、吸水性ポリマーPの合流位置(ポリマー供給管7のポリマー排出口72及びその近傍)での繊維材料Fの搬送方向FDに対して所定の角度θを有するように、吸水性ポリマーPを、ポリマー供給管7の内部をその軸方向(中心軸線CL)周りに旋回する旋回空気流SFに載せて前記合流位置まで搬送する。
このような吸収体10の製造方法によれば、製造目的物である吸収体が、
図1(b)に示す吸収体10Bの如き、CD(横方向Y)の長さが一定の吸収体の場合は勿論のこと、従来技術ではCDに吸水性ポリマーを均一に分散させることが比較的困難であった、
図1(a)に示す吸収体10Aの如き、CD(横方向Y)の長さが一定ではない吸収体の場合でも、CDに吸水性ポリマーを均一に分散し液吸収性に優れた吸収体を製造することができる。
【0053】
特許文献1に記載された発明も、本発明と同様に、CDに吸水性ポリマーが均一に分散した吸収体を製造し得るものであるが、その実現手段として、加速させた吸水性ポリマーをポリマー供給管の一部(分散プレート)に衝突させてから繊維搬送空気流中に導入する方法を採用している点で、そのような方法を採用していない本発明と相違する。吸水性ポリマー粒子を加速させた状態でポリマー供給管等の物体に衝突させると、吸水性ポリマー粒子が破損することが懸念されるが、本発明では斯かる懸念が払拭されている。
【0054】
本発明には、吸水性ポリマーの供給方法及び供給装置の発明が包含される。本発明の吸水性ポリマーの供給方法及び供給装置については、前述した本発明の吸収体の製造方法及び製造装置についての説明が適宜適用される。
【0055】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、ポリマー供給管7の内部に旋回空気流SFを発生させるために、前記1)の方法と前記2)の方法とを適宜組み合わせてもよい。具体的には例えば、ポリマー供給管7の内部に空気供給管73を介して圧縮空気を供給するとともに、ポリマー供給管7の内部に設けられた旋回力付与手段により、該圧縮空気にポリマー供給管7の軸方向周りの旋回力を付与してもよい。前記旋回力付与手段としては、前述の立体構造76(
図8(b)参照))を用いてもよく、あるいは圧縮空気の流路を螺旋状に形成してもよい。
ポリマー供給管7は、ダクト5に向けて段階的又は連続的に内径が増加又は減少してもよい。
ポリマー供給管7に接続される複数の空気供給管73に個別に対応する圧縮空気の圧力は、全て同じでもよく、異なる圧力でもよい。また、複数の空気供給管73は、1か所において半径方向に多列に配置されていてもよい。
【0056】
前述したとおり、本発明ではポリマー供給管に接続される空気供給管の数は特に制限されない。
図9(a)に示すポリマー供給管7A1では空気供給管73の数は1つ、
図9(b)に示すポリマー供給管7A2では空気供給管73の数は2つである。
また、前記のポリマー供給管7,7A,7A1,7A2は何れも、空気供給管73の軸方向(圧縮空気の供給方向)が吸水性ポリマーPの供給方向PDに対して直交するように配置されていたが、空気供給管73の配置方法は特に制限されず、供給方向PDに対して直交せずに交差するように配置されていてもよい。例えば、
図9(c)に示すポリマー供給管7A3には4つの空気供給管73が配置されているところ、これら4つの空気供給管73はそれぞれ、圧縮空気の供給方向の上流側端(ポリマー供給管7A3に対して非接続の自由端)が、その反対側の下流側端(ポリマー供給管7A3との固定端)よりも上方に位置するように配置されており、供給方向PDに対して直交せずに交差するように配置されている。本発明者らの知見によれば、ポリマー供給管7A3は、圧縮空気の供給速度が高いため、吸水性ポリマーの供給性という点では、前記のポリマー供給管7等に比べて有利となり得るものの、旋回空気流を安定的に発生させるという点ではポリマー供給管7等に比べて劣る。
【0057】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
ダクトの内外を連通するポリマー供給管を介して該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給し、繊維材料を含んだ状態で該ダクトの内部を一方向に流れる空気流に合流させ、該空気流に載せて搬送した該繊維材料及び該吸水性ポリマーを、所定の搬送方向に搬送中の集積部に集積させる工程を有する、吸収体の製造方法であって、
前記吸水性ポリマーの前記ダクトの内部への供給方向が、該吸水性ポリマーの合流位置での前記繊維材料の搬送方向に対して角度を有するように、該吸水性ポリマーを、前記ポリマー供給管の内部を該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流に載せて前記合流位置まで搬送する、吸収体の製造方法。
<2>
前記旋回空気流は、前記ポリマー供給管から排出された後、その流れ方向に回転半径が漸次増加する、前記<1>に記載の吸収体の製造方法。
<3>
前記ポリマー供給管に圧縮空気を供給することで前記旋回空気流を生じさせる、前記<1>又は<2>に記載の吸収体の製造方法。
<4>
前記圧縮空気は、前記ポリマー供給管に配置された一又は複数の空気供給管を介して該ポリマー供給管の内部に供給される、前記<3>に記載の吸収体の製造方法。
<5>
前記圧縮空気の供給流量は、前記空気供給管において調整される、前記<4>に記載の吸収体の製造方法。
<6>
前記圧縮空気の供給圧力は、前記空気供給管において調整される、前記<4>に記載の吸収体の製造方法。
<7>
前記圧縮空気の供給圧力は0.001MPa以上である、前記<3>~<6>の何れか1項に記載の吸収体の製造方法。
<8>
前記圧縮空気の前記ポリマー供給管への供給流量の総和は50L/min以上である、前記<3>~<7>の何れか1項に記載の吸収体の製造方法。
<9>
前記ダクトの内部を負圧にし、内外の気圧差によって前記ポリマー供給管の内部にバキュームエアを生じさせるとともに、該バキュームエアに該ポリマー供給管の軸方向周りの旋回力を付与することで前記旋回空気流を生じさせる、前記<1>又は<2>に記載の吸収体の製造方法。
<10>
前記吸収体は、前記集積部の搬送方向と直交する方向の長さが一定ではない、前記<1>~<9>の何れか1項に記載の吸収体の製造方法。
<11>
前記ポリマー供給管に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給工程を有し、
前記ポリマー供給工程では、吸水性ポリマーを自重により鉛直方向に連続落下させ、前記ポリマー供給管の上端のポリマー導入口を介して、該ポリマー供給管の内部に供給する、前記<1>~<10>の何れか1項に記載の吸収体の製造方法。
【0058】
<12>
外面に集積部を有し、該集積部を所定の搬送方向に搬送可能な集積装置と、該搬送方向に搬送中の該集積部に、内部に生じた空気流に載せて繊維材料及び吸水性ポリマーを供給するダクトと、該ダクトに該繊維材料を供給する繊維材料供給装置とを備えた吸収体の製造装置であって、
前記ダクトに、該ダクトの周壁を貫通して該ダクトの内外を連通し、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管が設けられており、
前記ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構を備え、
前記旋回空気流発生機構により、前記ポリマー供給管の内部に、該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流を発生させ、該ポリマー供給管に供給された前記吸水性ポリマーを該旋回空気流に載せて前記ダクトの内部に供給し、前記繊維材料を含んだ前記空気流に合流させるようになされている、吸収体の製造装置。
<13>
前記ポリマー供給管に一又は複数の空気供給管が接続されており、該空気供給管を介して該ポリマー供給管の内部に圧縮空気を供給することで前記旋回空気流を生じさせる、前記<12>に記載の吸収体の製造装置。
<14>
複数の前記空気供給管は、前記ポリマー供給管の軸方向周りに等間隔に配置されている、前記<13>に記載の吸収体の製造装置。
<15>
前記空気供給管は、前記圧縮空気の調整機構を備える、前記<13>又は<14>に記載の吸収体の製造装置。
<16>
前記集積装置による吸引によって前記ポリマー供給管の内部にバキュームエアを生じさせるとともに、該バキュームエアに該ポリマー供給管の軸方向周りの旋回力を付与することで前記旋回空気流を生じさせる、前記<12>に記載の吸収体の製造装置。
<17>
前記ポリマー供給管の内部における前記バキュームエアの流路に、該バキュームエアに前記旋回力を付与し得る立体構造が設けられており、該バキュームエアが該立体構造を通過することで前記旋回空気流が生じるようになされている、前記<16>に記載の吸収体の製造装置。
<18>
前記ポリマー供給管の内部における前記バキュームエアの流路が螺旋状であり、該バキュームエアが該螺旋状の流路を通過することで前記旋回空気流が生じるようになされている、前記<16>に記載の吸収体の製造装置。
<19>
前記ポリマー供給管に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給機構を備え、
前記ポリマー供給機構から連続的に排出された吸水性ポリマーが、自重により鉛直方向に連続落下し、前記ポリマー供給管の上端のポリマー導入口を介して、該ポリマー供給管の内部に供給されるようになされている、前記<12>~<18>の何れか1項に記載の吸収体の製造装置。
<20>
ダクトの内外を連通するポリマー供給管を介して該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給し、繊維材料を含んだ状態で該ダクトの内部を一方向に流れる空気流に合流させ、該空気流に載せて搬送した該繊維材料及び該吸水性ポリマーを、所定の搬送方向に搬送中の集積部に集積させる工程を有する、吸収体の製造方法で用いられる、該ポリマー供給管による吸水性ポリマーの供給方法であって、
前記吸水性ポリマーの前記ダクトの内部への供給方向が、該吸水性ポリマーの合流位置での前記繊維材料の搬送方向に対して角度を有するように、該吸水性ポリマーを、前記ポリマー供給管の内部を該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流に載せて前記合流位置まで搬送する、吸水性ポリマーの供給方法。
<21>
外面に集積部を有し、該集積部を所定の搬送方向に搬送可能な集積装置と、該搬送方向に搬送中の該集積部に、内部に生じた空気流に載せて繊維材料を供給するダクトと、該ダクトに該繊維材料を供給する繊維材料供給装置とを備えた吸収体の製造装置において、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するために用いられる、吸水性ポリマーの供給装置であって、
前記ダクトの周壁を貫通して該ダクトの内外を連通し、該ダクトの内部に吸水性ポリマーを供給するポリマー供給管と、該ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる旋回空気流発生機構とを備え、
前記旋回空気流発生機構により、前記ポリマー供給管の内部に、該ポリマー供給管の軸方向周りに旋回する旋回空気流を発生させ、該ポリマー供給管に供給された前記吸水性ポリマーを該旋回空気流に載せて前記ダクトの内部に供給し、前記繊維材料を含んだ前記空気流に合流させる、吸水性ポリマーの供給装置。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0060】
〔実施例1〕
製造装置1と基本構成が同様の吸収体の製造装置を用い、吸収体材料として木材パルプ及び粒子状の吸水性ポリマーを用いて、平面視形状が吸収体10A(
図1(a)参照)と同形状の吸収体(坪量190g/cm
2)を製造した。ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させる方法として、ポリマー供給管7A(
図7参照)と基本構成が同様のポリマー供給管を用い、ポリマー供給管の内部に複数の空気供給管を介して圧縮空気を供給する方法を採用した。複数の空気供給管それぞれにおける圧縮空気の供給圧力は0.05MPaとした。製造条件の詳細は下記のとおりである。
・ポリマー供給管のポリマー排出口の位置における、吸水性ポリマーの供給方向と繊維材料の搬送方向とのなす角度のうち鋭角側の角度θ(
図3参照):33度
・繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置(前記ポリマー排出口)と、該ポリマー供給管が配置されたダクトの上壁との離間距離h(
図3参照):30mm
・繊維材料と吸水性ポリマーとの合流位置(前記ポリマー排出口)と、ダクトにおける空気流(バキュームエア)の流れる方向の上流側の端(繊維材料供給装置の配置位置)との離間距離:1330mm
【0061】
〔比較例1〕
ポリマー供給管の内部に旋回空気流を発生させず、従来のように、単にポリマー供給管からダクトの内部に吸水性ポリマーを供給した以外は実施例1と同様にして、吸収体10Aと同形状の吸収体(坪量190g/cm2)を製造した。
【0062】
〔評価試験1〕
各実施例及び比較例で製造した吸収体について、吸水性ポリマーのCD(横方向)における分散性を評価した。具体的には、赤色などの適当な色の色材で着色したイオン交換水300ccを、評価対象の吸収体の肌対向面の全体に均等にかけた後、10分放置し、該吸収体中の吸水性ポリマーを着色させた。
図10に、こうして吸水性ポリマーが着色された評価対象の吸収体の肌対向面側の写真を示す。
図10(a)は実施例1の吸収体、
図10(b)は比較例1の吸収体である。
図10の両吸収体の対比から明らかなように、実施例1の吸収体は、比較例1の吸収体に比べて、吸水性ポリマー(写真の吸収体において比較的色の濃い部分)がCDにおいて均一に分布している。このことから、ポリマー供給管の内部に旋回空気流を生じさせ、これに吸水性ポリマーを載せてダクトの内部に搬送することで、集積部の搬送方向と直交する方向の長さが一定ではない吸収体を製造する場合でも、吸水性ポリマーをCDに均一に分散させ得ることが明白である。
【0063】
〔評価試験2〕
ポリマー供給管に配置された空気供給管の数と圧縮空気の供給流量及び供給圧力並びに旋回空気流の拡がり角度との関係を調べるために以下の試験を行った。
製造装置1と基本構成が同様の吸収体の製造装置を用い、ポリマー供給管7A(
図7参照)と基本構成が同様のポリマー供給管(空気供給管の配置数4)から旋回空気流によってダクトの内部に粒子状の吸水性ポリマーを供給した。ただし、前記ダクトの内部は無風状態、すなわち繊維搬送空気流が無い状態とした。旋回空気流発生機構として、空気供給管を含む圧縮空気供給手段を採用し、ポリマー供給管の内部に1つ、2つ又は4つの空気供給管を介して圧縮空気を供給する方法によって旋回空気流を発生させた。2つの空気供給管からポリマー供給管に圧縮空気を供給する場合は、
図7(b)を参照して、ポリマー供給管7Aの相対向する一対の外面を貫通する2つの空気供給管を用いた。吸水性ポリマーのダクトの内部への供給量が2500g/minとなるように、ポリマー供給機構を調整した。圧縮空気の供給流量及び供給圧力(ゲージ圧)は、ポリマー供給管よりも圧縮空気の供給方向の上流側に設けられた流量計又は圧力計(差圧計)によって測定した。ポリマー供給管から排出される旋回空気流の動画を撮影し、その画像に基づき前述した方法で該旋回空気流の拡がり角度を測定した。結果を
図11及び
図12に示す。
【0064】
図11のグラフに示すとおり、拡がり角度が最大値を示したのは空気供給管の数が1つの場合であり、空気供給管の数が4つの場合に拡がり角度は最小となった。また
図11のグラフから、圧縮空気の供給流量(複数の空気供給管を用いた場合は各空気供給管の供給流量の総和)が150L/min以上であると、拡がり角度が安定することがわかる。拡がり角度を適切に制御して本発明の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、圧縮空気の供給流量としては50L/min以上が好ましいと言える。なお、
図11及び
図12のグラフにおける着色部分は、圧縮空気の供給流量が50L/min以上の範囲である。また、
図12のグラフに示すとおり、空気供給管の数が4つで且つ圧縮空気の供給流量が50L/minのときの圧縮空気の供給圧力は1kPa(=0.001MPa)であることから、圧縮空気の供給圧力としては0.001MPa以上が好ましいと言える。
【符号の説明】
【0065】
1 吸収体の製造装置
2 集積装置
3 固定ドラム
4 回転ドラム
40 集積部
5 ダクト
51 上壁(周壁)
52 下壁(周壁)
6 繊維材料供給装置
7,7A,7A1,7A2,7A3,7B ポリマー供給管
70 吸水性ポリマーの流路
71 ポリマー導入口
72 ポリマー排出口
73 空気供給管
74 空気吸引口
75 バキュームエアの流路
76 立体構造
77 フィン
8 ポリマー供給機構
10,10A,10B 吸収体
F 繊維材料
P 吸水性ポリマー
AF 空気流(バキュームエア)の流れる方向
FD 繊維材料の搬送方向
PD 吸水性ポリマーの供給方向
SF 旋回空気流
VA バキュームエア