(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】搬送台車およびそれを含む搬送システム
(51)【国際特許分類】
B61B 13/02 20060101AFI20240624BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240624BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20240624BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240624BHJP
B66C 11/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B61B13/02 Z
B65G1/00 501C
B65G49/07 L
H01L21/68 A
B66C11/00
(21)【出願番号】P 2022194006
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0176055
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン,トン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ド ボン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ス ウン
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-119099(JP,A)
【文献】特開平11-225402(JP,A)
【文献】特開平09-132323(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1201335(KR,B1)
【文献】実開昭50-115314(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B65G 1/00
B65G 49/07
B66C 11/00
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール装置と、
前記レール装置で移動する搬送台車を含み、
前記レール装置は、
第1傾斜角を有する第1レールと、
前記第1傾斜角より大きい第2傾斜角を有する第2レールと、
前記第1レールと前記第2レールを連結する第1連結レールと、
前記第1連結レールおよび前記第2レールに沿って設置されたラックレールを含み、
前記搬送台車は、
フレームと、
前記フレームと連結され、前記第1レール、前記第1連結レールおよび前記第2レールに沿って移動する走行ホイールと、
前記フレームと連結され、前記ラックレールに沿って移動するピニオンギヤを含
み、
前記第1レールは
走行方向に沿って長く延びる第1レールボディと、
前記第1レールボディの上面に設置され、前記搬送台車の第1ガイドホイールを支持するための第1溝と、
前記第1レールボディの下面に設置され、前記走行ホイールと直接接する第1走行面と、
前記第1レールボディの下面に設置され、前記搬送台車の第2ガイドホイールを支持するための第2溝と、
前記第1レールボディの主面に設置され、前記搬送台車の第3ガイドホイールを支持するための第3溝を含む、搬送システム。
【請求項2】
前記走行ホイールと前記ピニオンギヤは互いに締結され、一つのモータによって駆動される、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記搬送台車は前記第1レールの側面、前記第1連結レールの側面および前記第2レールの側面に沿って移動する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第1レールボディの幅は前記第1レールボディの高さより小さいが、
前記第1レールボディの幅は、前記フレームと対向する主面と、前記主面の反対側に位置する背面の間の距離であり、
前記第1レールボディの高さは、前記上面と前記下面の間の距離である、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第2溝は前記第1走行面から前記第1レールボディに向かって凹状にへこんだ溝を含む、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第1連結レールは、
前記走行方向に沿って長く延びる第2レールボディと、
前記第2レールボディの上面に設置され、前記搬送台車の
前記第1ガイドホイールを支持するための第4溝と、
前記第2レールボディの下面に設置され、前記走行ホイールと直接接する第2走行面を含み、
前記ラックレールは前記第2走行面と並んで設置される、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記第1レールボディの主面には、電源を供給するためのパワーケーブルが設置され、
前記フレームの内側面には前記パワーケーブルで供給する電源の伝達を無線方式で受けるためのピックアップユニットが設置される、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記ラックレールは前記第1レールには設置されない、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記第2傾斜角より小さい第3傾斜角を有する第3レールと、
前記第2レールと前記第3レールを連結する第2連結レールをさらに含み、
前記ラックレールは前記第2連結レールに沿ってさらに設置され、前記第3レールには設置されない、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記搬送台車は前記フレームに設置され、搬送物を支持するハンドユニットをさらに含み、
前記搬送台車が前記第1レール、前記第1連結レールおよび前記第2レールに沿って移動する間、前記ハンドユニットは前記フレームとの相対的位置を調節して水平を維持する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記フレームと前記ハンドユニットの間にクロスローラーベアリングが配置され、前記ハンドユニットは前記クロスローラーベアリングの動作によって水平を維持する、請求項
10に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記第1レールは前記搬送台車を水平方向に移動するためのレールであり、前記第2レールは前記搬送台車を垂直方向に移動するためのレールである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記第1連結レールは仮想の円弧に沿って曲がる、請求項
12に記載の搬送システム。
【請求項14】
水平に延びる第1レールと、前記第1レールに連結されて傾斜角が増加する第1連結レールと、前記第1連結レールと連結されて垂直に延びる第2レールと、前記第2レールと連結されて傾斜角が減少する第2連結レールと、前記第2連結レールと連結されて水平に延びる第3レールを含むレール装置と、
前記第1レールの側面、前記第1連結レールの側面、前記第2レールの側面、前記第2連結レールの側面および前記第3レールの側面に沿って移動する搬送台車を含み、
前記レール装置は前記第1連結レール、前記第2レールおよび前記第2連結レールに設置され、前記第1レールおよび前記第3レールには設置されていないラックレールをさらに含み、
前記搬送台車は走行ホイールとピニオンギヤを含み、
前記搬送台車が前記第1レールを移動する時には、前記走行ホイールが使用され、
前記搬送台車が前記第1連結レール、前記第2レールおよび前記第2連結レールに乗るときには、前記走行ホイールおよび前記ピニオンギヤが使用され、
前記搬送台車が前記第3レールを移動する時には、前記走行ホイールが使用され
、
前記第1レールは
走行方向に沿って長く延びる第1レールボディと、
前記第1レールボディの上面に設置され、前記搬送台車の第1ガイドホイールを支持するための第1溝と、
前記第1レールボディの下面に設置され、前記走行ホイールと直接接する第1走行面と、
前記第1レールボディの下面に設置され、前記搬送台車の第2ガイドホイールを支持するための第2溝と、
前記第1レールボディの主面に設置され、前記搬送台車の第3ガイドホイールを支持するための第3溝を含む、搬送システム。
【請求項15】
前記走行ホイールと前記ピニオンギヤは互いに締結され、一つのモータによって駆動される、請求項
14に記載の搬送システム。
【請求項16】
前記搬送台車は、
前記走行ホイールと前記ピニオンギヤが設置されたフレームと、
前記フレームに設置され、搬送物を支持するハンドユニットをさらに含み、
前記搬送台車が前記第1レール、前記第1連結レール、前記第2レール、前記第2連結レールおよび前記第3レールに沿って移動する間、前記ハンドユニットは前記フレームとの相対的位置を調節して水平を維持する、請求項
14に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記レール装置は、
前記第3レールと連結され、前記第3レールと同じ平面上に配置されてU字形状の第3連結レールと、
前記第3連結レールと連結されて水平に延びる第4レールを含み、
前記搬送台車は前記第3レールの側面、前記第3連結レールの側面および前記第4レールの側面に沿って移動する、請求項
14に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送台車およびそれを含む搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工場内では、搬送物(例えば、FOUP (Front Opening Universal Pod)、FOSB(Front Opening Shipping Box))が自動搬送システムによって移動する。自動搬送システムは例えば、OHT(overhead hoist transport)、OHS(overhead shuttle)などを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、搬送物を層間移動するために、タワーリフタ(tower lifter)を用いる。しかし、OHTのような搬送台車で搬送物をタワーリフタに移さなければならず、搬送物をタワーリフタに積載する前に待機する時間などが発生する。したがって、タワーリフタ区域には多くの搬送物が密集する。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、搬送物の層間移動を円滑にするための搬送システムを提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記搬送システムに使用される搬送台車を提供することにある。
【0006】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための本発明の搬送システムの一面(aspect)は、レール装置と、前記レール装置で移動する搬送台車を含み、前記レール装置は第1傾斜角を有する第1レールと、前記第1傾斜角より大きい第2傾斜角を有する第2レールと、前記第1レールと前記第2レールを連結する第1連結レールと、前記第1連結レールおよび前記第2レールに沿って設置されたラックレールを含み、前記搬送台車はフレームと、前記フレームと連結され、前記第1レール、前記第1連結レールおよび前記第2レールに沿って移動する走行ホイールと、前記フレームと連結され、前記ラックレールに沿って移動するピニオンギヤを含む。
【0008】
前記課題を達成するための本発明の搬送システムの他の面は、水平に延びる第1レールと、前記第1レールと連結されて傾斜角が増加する第1連結レールと、前記第1連結レールと連結されて垂直に延びる第2レールと、前記第2レールと連結されて傾斜角が減少する第2連結レールと、前記第2連結レールと連結されて水平に延びる第3レールを含むレール装置と、前記第1レールの側面、前記第1連結レールの側面、前記第2レールの側面、前記第2連結レールの側面および前記第3レールの側面に沿って移動する搬送台車を含み、前記レール装置は前記第1連結レール、前記第2レールおよび前記第2連結レールに設置され、前記第1レールおよび前記第3レールには設置されていないラックレールをさらに含み、前記搬送台車は走行ホイールとピニオンギヤを含み、前記搬送台車が前記第1レールを移動する時には、前記走行ホイールが使用され、前記搬送台車が前記第1連結レール、前記第2レールおよび前記第2連結レールに乗るときには、前記走行ホイールおよび前記ピニオンギヤが使用され、前記搬送台車が前記第3レールを移動する時には、前記走行ホイールが使用される。
【0009】
前記他の課題を達成するための本発明の搬送台車の一面は、外側面、内側面、上面および下面を含むフレームと、前記フレームの外側面に設置され、搬送物を支持するハンドユニットと、前記ハンドユニットと連結され、前記ハンドユニットの水平を維持するクロスローラーベアリングと、前記フレームの内側面に設置され、レール装置から電源の提供を受けるためのピックアップユニットと、前記フレームの上面で、前記レール装置に向かって突出した第1サブフレームと、前記第1サブフレームの底面に設置された第1ガイドホイールと、前記フレームの下面で、前記レール装置に向かって突出した第2サブフレームと、前記第2サブフレームの上面に設置された第2ガイドホイールと、前記第2サブフレームに設置された走行ホイールとピニオンギヤを含む。
【0010】
その他実施形態の具体的な内容は詳細な説明および図面に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による搬送システムを説明するための概念図である。
【
図2】
図1のA-Aに沿って切断した断面図である。
【
図3】
図1のB-Bに沿って切断した断面図である。
【
図4】
図3に示すラックレールとピニオンギヤの間の関係を説明するための図である。
【
図5】
図1の第1レール、第2レールおよび第1連結レールを説明するための図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による搬送システムを説明するための概念図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態で使用される搬送台車を説明するための図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態で使用される搬送台車を説明するための図である。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態で使用される搬送台車を説明するための図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による搬送システムを説明するための斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施形態による搬送システムを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指すものとする。
【0013】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図面に示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用される。空間的に相対的な用語は図面に示されている方向に加えて使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上(above)」に置かれ得る。したがって、例示的な用語の「下」は下と上の方向をすべて含むことができる。素子は他の方向に配向されてもよく、そのため空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0014】
第1、第2などが多様な素子、構成要素および/またはセクションを叙述するために使われるが、これらの素子、構成要素および/またはセクションはこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために使用する。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであり得るのはもちろんである。
【0015】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明し、添付図面を参照して説明するにあたり図面符号に関係なく同一であるかまたは対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに係る重複する説明は省略する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による搬送システムを説明するための概念図である。
図2は
図1のA-Aに沿って切断した断面図である。
図3は
図1のB-Bに沿って切断した断面図である。
図4は
図3に示すラックレールとピニオンギヤの間の関係を説明するための図である。
図5は
図1の第1レール、第2レールおよび第1連結レールを説明するための図である。
【0017】
まず、
図1を参照すると、本発明の一実施形態による搬送システムは、レール装置100および搬送台車200を含む。
【0018】
レール装置100は第1レール110、第1連結レール115、第2レール120、ラックレール115a,120aを含む。
【0019】
第1レール110、第1連結レール115および第2レール120は物理的に連結されることができる。
【0020】
図1および
図5に図示するように、第1レール110は第1方向DR1(例えば、X方向)に延びる。第1レール110は第1傾斜角θ1を有する。
図5では第1傾斜角θ1が0°(すなわち、水平である場合)の場合を図示したので、θ1を図示しない。
【0021】
第2レール120は第2方向DR2(例えば、y方向)に延びる。第2レール120は第1傾斜角θ1より大きい第2傾斜角θ2を有する。
図5では第2傾斜角θ2が90°(すなわち、垂直である場合)の場合を図示したが、これに限定されない。
【0022】
互いに異なる傾斜角を有する第1レール110と第2レール120を連結するために、第1連結レール115の傾斜角θ31,θ32は第1傾斜角θ1から第2傾斜角θ2まで少しずつ増加し得る。
【0023】
言い換えると、第1連結レール115は第2レール120に向かって曲がる曲線レールであって、例えば、半径Rを有する仮想の円弧に沿って曲がる形態であり得る。図示するように、第1連結レール115の第1位置での傾斜角はθ31であり、第2位置での傾斜角はθ31より大きいθ32であり得る。
【0024】
または、第1連結レール115は多数の短い直線レールが連結された形態であり得る。多数の短い直線レールそれぞれは互いに異なる傾斜角を有することができる。例えば、第1連結レール115は傾斜角5°ずつ増加する多数の短い直線レールが連結された形態であり得る。すなわち、第1連結レール115は傾斜角5°の短い直線レール、傾斜角10°の短い直線レール、傾斜角15°の短い直線レール、…、傾斜角85°の短い直線レールが順次連結された形態であり得る。
【0025】
一方、
図1では例示的に第1レール110の第1傾斜角θ1は0°であり、第2レール120の第2傾斜角θ2は90°である場合を説明したが、これに限定されない。例えば、第1レール110の第1傾斜角θ1は0°以上10°以下であり、第2レール120の第2傾斜角θ2は45°以上90°以下であり得る。例えば、第1レール110の第1傾斜角θ1は8°であり、第2レール120の第2傾斜角θ2は90°であり得る。
【0026】
第1連結レール115は短い区間を介して第1レール110と第2レール120を連結するためのものであり、第1連結レール115の長さは第1レール110の長さより短くてもよい。
【0027】
再び
図1を参照すると、ラックレール115a,120aは第1連結レール115と第2レール120に沿って設置されることができる。ラックレール115a,120aは第1レール110には設置されない。
【0028】
第1レール110の第1傾斜角θ1は非常に小さいので(例えば、0°以上10°以下)、搬送台車200は困難なく第1レール110を移動することができる。搬送台車200の走行ホイール(
図2の220を参照)が第1レール110上で回転して、搬送台車200は第1レール110に沿って移動することができる。
【0029】
しかし、第2レール120の第2傾斜角θ2は非常に大きいので(例えば、45°以上90°以下)、搬送台車200は第2レール120に直接乗ることはできない。したがって、第1連結レール115と第2レール120にはラックレール115a,120aが設置され、搬送台車200にはピニオンギヤ(
図3の230を参照)が設置される。ピニオンギヤ230がラックレール115a,120a上で回転および締結することにより、搬送台車200は高い傾斜角を有する第2レール120に乗ることができる。
【0030】
一方、搬送台車200は第1レール110の側面、第1連結レール115の側面および第2レール120の側面に沿って移動する。
【0031】
搬送台車200のフレームには搬送物を支持するハンドユニット210が設置される。
図1に図示するように、搬送台車200が第1レール110、第1連結レール115および第2レール120に沿って移動する間、ハンドユニット210はフレームとの相対的位置を調節して水平を維持する。すなわち、ハンドユニット210は搬送台車200の位置と関係なく、重力方向に下の方に向かう。このようにハンドユニット210を調節することによって、搬送台車200の第1連結レール115および第2レール120に沿って移動しても搬送物がハンドユニット210から離脱することを防止することができる。
【0032】
ここで
図2を参照して、搬送台車200が第1レール110に沿って移動することを説明する。
【0033】
搬送台車200は第1レール110の側面(例えば、z方向)に位置する。
【0034】
搬送台車200はフレーム290、ハンドユニット210、クロスローラーベアリング215、多数のガイドホイール271、272、273、走行ホイール220、ピニオンギヤ230を含む。
【0035】
フレーム290は外側面、内側面、上面および下面を含む。搬送台車200の進行方向をX方向というとき、フレーム290の外側面および内側面はz方向に配置され、フレーム290の上面と下面はy方向に配置されることができる。
【0036】
フレーム290の内側面は、第1レール110の側面(または主面(main surface))と対向する。
【0037】
フレーム290の外側面には、ハンドユニット210が設置される。ハンドユニット210は搬送物をピックアップして支持する役割をし、搬送物は例えば、多数の基板が積載されたコンテナ(例えば、FOUP(Front Opening Universal Pod))、FOSB(Front Opening Shipping Box)であり得るが、これに限定されない。
【0038】
フレーム290の外側面とハンドユニット210の間にはクロスローラーベアリング215が配置される。クロスローラーベアリング215は内輪と外輪の間の多数のローラが配列されたコンパクト型ベアリングである。クロスローラーベアリング215はローラ表面が先接触であるので、ベアリングの荷重による弾性変位が非常に小さくラジアル荷重、軸方向荷重、モーメントなど複合的な荷重を同時に受けることができる。前述したように、搬送台車200が移動する間、クロスローラーベアリング215の動作によってハンドユニット210の水平が維持される。すなわち、ハンドユニット210は搬送台車200の位置と関係なく、重力方向に下方に向かう。
【0039】
一方、第1サブフレーム291はフレーム290の上面で、前記レール装置110に向かって突出するように形成される。第1サブフレーム291の底面には第1ガイドホイール271が設置される。
【0040】
第2サブフレーム292はフレーム290の下面で、前記レール装置110に向かって突出するように形成される。選択的に、第2サブフレーム292の上面には第2ガイドホイール272が設置される。
【0041】
また、選択的に、フレーム290の内側面には、第3ガイドホイール273が設置されることができる。
【0042】
第1ガイドホイール271、第2ガイドホイール272および第3ガイドホイール273は、搬送台車200と第1レール110の間の位置/間隔を調節し、正確な位置で搬送台車200が第1レール110に沿って移動できるようにする。
【0043】
また、第2サブフレーム292には走行ホイール220とピニオンギヤ230が設置されることができる。図示するように、走行ホイール220とピニオンギヤ230は互いに締結され、走行ホイール220とピニオンギヤ230は一つのモータによって駆動される。したがって、走行ホイール220の回転数とピニオンギヤ230の回転数は同一であり得る。すなわち、ピニオンギヤ230が1回転する間、走行ホイール220も1回転する。
【0044】
一方、第1レール110は搬送台車200の走行方向(すなわち、X方向)に沿って長く延びたレールボディ190を含む。
【0045】
レールボディ190は主面(main surface)、背面、上面、下面を含む。搬送台車200の進行方向をX方向というとき、レールボディ190の主面および背面はz方向に配置され、レールボディ190の上面と下面はy方向に配置されることができる。
【0046】
ここで、レールボディ190の幅Wはレールボディ190の高さHより小さい。レールボディ190の幅Wは、フレーム290と対向する主面と、主面の反対側に位置する背面の間の距離を意味する。レールボディ190の高さHは、上面と下面の間の距離を意味する。図示するように、レールボディ190の高さHは幅Wに比べて2倍以上であり得る。レールボディ190の断面(すなわち、yz平面による断面)は主面-背面方向(z方向)に狭く、上面-下面方向(y方向)に長い形状である。搬送台車200のハンドユニット210はレールボディ190の主面(すなわち、側面)の側に位置する。
【0047】
レールボディ190の主面は、フレーム290の内側面と対向する。
【0048】
レールボディ190の上面(例えば、y方向の一側面)には第1溝191が形成され、下面(例えば、y方向の他側面)には第2溝192が形成される。また、下面には第1走行面199が設置される。
【0049】
レールボディ190の第1溝191は、搬送台車200の第1ガイドホイール271を支持およびガイドする。レールボディ190の第2溝192は、搬送台車200の第2ガイドホイール272を支持およびガイドする。
【0050】
第1走行面199は第2溝192を定義する側壁の少なくとも一つであり得る。
図2では、第2溝192を定義する側壁の右側に位置する側壁に、第1走行面199が形成された場合を図示した。言い換えると、第2溝192は第1走行面199からレールボディ190に向かって凹状にへこんだ溝を含むことができる。第1走行面199は、搬送台車200の走行ホイール220と直接接する。走行ホイール220は第1走行面199に沿って回転しながら、搬送台車200を走行方向(すなわち、X方向)に移動させる。
【0051】
追加的に、レールボディ190の主面には、互いに離隔した第3溝193と第4溝194が設置されることができる。第3溝193と第4溝194は搬送台車200の第3ガイドホイール273を支持およびガイドするためのものである。例えば、低層(例えば、1層)で第3ガイドホイール273は主面の下方にある第3溝193に沿って移動するが、搬送台車200が第2レール120に沿って上層(例えば、3層)に移動した後には、第3ガイドホイール273が主面の上側にある第4溝194に沿って移動するようになる(
図6を参照)。
【0052】
また、レールボディ190の主面には、第3溝193と第4溝194の間には空間195が存在する。この空間195には外部の電源供給部300から電源を提供するパワーケーブル160が位置する。搬送台車200の内側面にはピックアップユニット260が設置され、ピックアップユニット260は無線方式でパワーケーブル160から電源の伝達を受ける。このように伝達された電源を用いてモータ(図示せず)は走行ホイール220およびピニオンギヤ230を駆動させる。
【0053】
ここで、
図3を参照して、搬送台車200が第1連結レール115に沿って移動することを説明する。
【0054】
搬送台車200は連続的に第1レール110から第1連結レール115に移るので、
図2で説明した第1レール110の断面と
図3で説明した第1連結レール115の断面は実質的に同一である。
【0055】
第1連結レール115のレールボディ1905は第1レール110のレールボディ190と連結される。第1連結レール115の多数の溝1915,1925,1935,1945,1955は、第1レール110の多数の溝191,192,193,194,195と連結される。第1連結レール115のパワーケーブル1605も第1レール110のパワーケーブル160と連結される。
【0056】
ただし、ラックレール115aが第1レール110には設置されないが、第1連結レール115に沿って設置される。走行台車200の走行ホイール220とピニオンギヤ230が互いに締結されているので、ラックレール115aは走行面1995と並んで設置される。ピニオンギヤ230がラックレール115a上で回転し、走行ホイール220は走行面1995上で回転する。
【0057】
ピニオンギヤ230とラックレール115aの締結によって、搬送台車200は安定的に第1連結レール115に沿って上に上がることができる。
【0058】
前述したように、走行ホイール220およびピニオンギヤ230は一つのモータ(図示せず)によって駆動されることができる。このようなモータはブレーキモータであり得る。ブレーキモータは内部にブレーキが設置されているので、搬送台車200が第1連結レール115または第2レール120に沿って上がっていく途中に電源供給が中止されても、搬送台車200が第1連結レール115または第2レール120から落ちない。すなわち、事故を予防することができる。
【0059】
別に断面を図示していないが、第1連結レール115の断面と第2レール120の断面は互いに同一である。
【0060】
再び
図1を参照して整理すると、搬送台車200はタワーリフトを用いず、第1レール110と連続した第1連結レール115および第2レール120に沿って上層に移動することができる。なぜなら、搬送台車200には走行ホイール220だけでなくピニオンギヤ230を含んでおり、ピニオンギヤ230は第1連結レール115および第2レール120に沿って設置されたラックレール115a,120aと締結されるからである。したがって、タワーリフタとは異なり、搬送物移転時間、待期時間などが必要とされないために、搬送物の層間移動が迅速かつ円滑になる。
【0061】
図6は本発明の他の実施形態による搬送システムを説明するための概念図である。説明の便宜上、
図1ないし
図5を用いて説明した内容と異なる点を中心に説明する。
【0062】
図6を参照すると、レール装置100は第1レール110、第1連結レール115、第2レール120、第2連結レール125、第3レール130、ラックレール115a,120a,125aを含む。
【0063】
低層(例えば、1層)と中層(例えば、2層)の間には層間壁991が設置され、中層と上層(例えば、3層)の間には層間壁992が設置される。
【0064】
第1レール110は低層に、第3レール130は上層に設置される。第1レール110と第3レール130は第1連結レール115、第2レール120および第2連結レール125を介して連結される。第1レール110は第1傾斜角(例えば、0°)を有し、第2レール120は第1傾斜角より大きい第2傾斜角(例えば、90°)を有する。第1連結レール115は第1レール110と第2レール120を連結し、第1連結レール115の傾斜角は第1傾斜角から第2傾斜角まで徐々に増加する。第3レール130は第2傾斜角より小さい第3傾斜角(例えば、0°)を有し、第2連結レール125の傾斜角は第2傾斜角から第3傾斜角まで徐々に減少する。
【0065】
例えば、第1レール110の第1傾斜角は0°以上10°以下であり、第2レール120の第2傾斜角θ2は45°以上90°以下であり得、第3レール130の第3傾斜角は0°以上10°以下であり得る。
【0066】
第2連結レール125は、第1連結レール115と同様に、半径Rを有する仮想の円弧に沿って曲がる形態であり得る。または第2連結レール125は多数の短い直線レールが連結された形態であって、多数の短い直線レールそれぞれは互いに異なる傾斜角を有することができる。
【0067】
第1連結レール115は短い区間を介して第1レール110と第2レール120を連結するためのものであり、第1連結レール115の長さは第1レール110の長さより短くてもよい。同様に、第2連結レール125は短い区間を介して第2レール120と第3レール130を連結するためのものであり、第2連結レール125の長さは第3レール130の長さより短くてもよい。
【0068】
搬送台車200は第1レール110の側面、第1連結レール115の側面、第2レール120の側面、第2連結レール125の側面および第3レール130の側面に沿って移動する。
【0069】
また、ラックレール115a、120a、125aは第1連結レール115、第2レール120および第2連結レール125に沿って設置されることができる。ラックレール115a、120aは第1レール110および第3レール130には設置されない。したがって、搬送台車200が低層から上層に移動するとき、搬送台車200のピニオンギヤはラックレール115a、120a、125aと締結される。
【0070】
一方、搬送台車200が第1レール110に沿って移動する時には、上面Uが層間壁991に向かっている。搬送台車200が第1連結レール115に沿って移動する時には、上面Uが横に傾き始める。搬送台車200が第2レール120に沿って移動する時には、上面Uが完全に傾いて右側に向かっている。搬送台車200が第3レール130に沿って移動する時には、上面Uが層間壁992に向かうようになる。すなわち、低層(例えば、1層)での搬送台車200のフレーム290の方向と、上層(例えば、3層)での搬送台車200のフレーム290の方向は互いに反対となる(すなわち、上下反転)。このようにフレーム290の方向が動いても、ハンドユニット210は水平を維持する。すなわち、ハンドユニット210は重力方向に下方に向かう。
【0071】
図7ないし
図9は本発明のいくつかの実施形態で使用される搬送台車を説明するための図である。
図2を用いて説明した搬送台車を具体的に実現した例である。
図7は搬送台車のフレームの内側面が見える方向に図示した斜視図であり、
図8は搬送台車のフレームの外側面が見える方向に図示した斜視図であり、
図9は搬送台車のハンドユニットの動作を説明するための図である。
【0072】
まず、
図7を参照すると、フレーム290の内側面は、第1レール110の側面(または主面)と対向する。
【0073】
第1サブフレーム291はフレーム290の上面で、レール装置に向かって突出するように形成される。第1サブフレーム291の底面には第1ガイドホイール271が設置される。第1ガイドホイール271は搬送台車200の進行方向に沿って2個設置された場合を示しているが、これに限定されない。
【0074】
第2サブフレーム292はフレーム290の下面で、レール装置に向かって突出するように形成される。選択的に、第2サブフレーム292の上面には第2ガイドホイール272が設置される。第2ガイドホイール272は搬送台車200の進行方向に沿って2個設置された場合を示しているが、これに限定されない。
【0075】
フレーム290の内側面には、第3ガイドホイール273が設置されることができる。第3ガイドホイール273は搬送台車200の進行方向に沿って2個設置された場合を示しているが、これに限定されない。
【0076】
第2サブフレーム292には走行ホイール220とピニオンギヤ230が設置される。一つのモータ298によって走行ホイール220とピニオンギヤ230が走行される。モータ298は減速機299を介して、駆動力を走行ホイール220とピニオンギヤ230に伝達する。
【0077】
また、フレーム290の内側面にはピックアップユニット260が設置され、ピックアップユニット260はレールに設置されたパワーケーブルから無線方式で電源の伝達を受ける。
【0078】
図8を参照すると、フレーム290の外側面には、ハンドユニット210が設置される。ハンドユニット210は搬送物Fをピックアップして支持する役割をする。フレーム290の外側面とハンドユニット210の間にはクロスローラーベアリング215が配置される。
【0079】
図9を参照すると、ハンドユニット210は多数のプレート219、ベルト211、212、ガイド213、214を含む。
【0080】
多数のプレート219は多層に配置され、搬送物Fを支持してピックアップすることができる。ハンドユニット210の前方カバー210aが開放されると、ベルト211、212およびガイド213、214によって多数のプレート219は上下に移動するか前進/後進することができる。プレート219が前進して搬送物Fをピックアップし後進して元に戻ると、前方カバー210aは再び閉じられる。
【0081】
図10および
図11は本発明のまた他の実施形態による搬送システムを説明するための斜視図である。
図10は
図6を用いて説明した搬送システムを具体的に実現した例である。
図11は
図10で上層に設置された搬送システムを拡大して示す図である。
【0082】
図10および
図11を参照すると、低層(例えば、1層)と中層(例えば、2層)の間には層間壁991が設置され、中層と上層(例えば、3層)の間には層間壁992が設置される。
【0083】
図10および
図11で搬送台車200が低層と上層を往復するための、循環型レール装置が開示される。このようなレール装置は第1レール110、第1連結レール115、第2レール120、第2連結レール125、第3レール130、第3連結レール1131、第4レール1130、第4連結レール1125、第5レール1120、第5連結レール1115、第6レール1110、第6連結レール1111およびラックレールを含む。ラックレールは第1連結レール115、第2レール120、第2連結レール125、第4連結レール1125、第5レール1120、第5連結レール1115に設置される。
【0084】
具体的には、搬送台車200は低層で第1レール110、第1連結レール115、第2レール120、第2連結レール125および第3レール130に乗って、中層を貫通して上層に到達する。
【0085】
上層で、搬送台車200は第3レール130から第3連結レール1131を経て第4レール1130に到達する。第3連結レール1131は第3レール130と連結されて第3レール130と同じ平面上に配置され、U字形状である。搬送台車200は第3連結レール1131を経てUターンすることができる。搬送台車200は第3レール130の側面、第3連結レール1131の側面および第4レール1130の側面に沿って移動する。
【0086】
搬送台車200は第4レール1130上で、ハンドユニット210が搬送物をストッカS1に伝達する。
【0087】
搬送台車200は上層で第4連結レール1125、第5レール1120、第5連結レール1115および第6レール1110に乗って、中層を貫通して低層に到達する。
【0088】
低層で、搬送台車200は第6レール1110上で、ハンドユニット210がストッカS2で搬送物をピックアップする。
【0089】
搬送台車200は第6レール1110から第6連結レール1111を経て第1レール110に到達する。第6連結レール1111は第1レール110および第6レール1110と連結されて第1レール110および第6レール1110と同じ平面上に配置され、U字形状である。搬送台車200は第6連結レール1111を経てUターンすることができる。搬送台車200は第6レール1110の側面、第6連結レール1111の側面および第1レール110の側面に沿って移動する。
【0090】
一方、中層で、垂直レールに該当する第2レール120、第5レール1120を保護するために、保護プレート1122が第2レール120、第5レール1120を囲む。
【0091】
また、低層のストッカS2で搬送物をピックアップして、上昇のストッカS1に搬送物を伝達する場合を説明したが、これに限定されない。すなわち、上層のストッカS1で搬送物をピックアップして、低層のストッカS2に搬送物を伝達することもできる。
【0092】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。