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特許7508555超伝導ケーブル用のケーブルジョイントおよび関連技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】超伝導ケーブル用のケーブルジョイントおよび関連技術
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/68 20060101AFI20240624BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240624BHJP
   H02G 15/34 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H01R4/68
H01R43/00 Z
H02G15/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022533433
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 US2020062793
(87)【国際公開番号】W WO2021113291
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】62/944,627
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/032,281
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】521259219
【氏名又は名称】コモンウェルス・フュージョン・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ハートウィグ,ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ソルボム,ブランドン・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】アービー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ビエイラ,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】サラザー,エリカ
(72)【発明者】
【氏名】フライ,ビンセント
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109148074(CN,A)
【文献】国際公開第2015/129272(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107104293(CN,A)
【文献】国際公開第2018/181561(WO,A1)
【文献】特開平4-39875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のマウンティング領域および第2のマウンティング領域を備える伝導性部材と、
第1の導体を前記第1のマウンティング領域へとおよび第2の導体を前記第2のマウンティング領域へと押圧する押圧構造体であって、前記第1の導体が前記第1のマウンティング領域内に高温超伝導テープ積層体を含前記第1の導体は、フォーマのそれぞれのチャネル内に配置された複数の高温超伝導(HTS)テープを具備する、押圧構造体と、
前記第1の導体と前記伝導性部材との間に展性のある金属と、
を具備する、ジョイント。
【請求項2】
前記押圧構造体がクランプを備える、請求項1に記載のジョイント。
【請求項3】
前記第2の導体が、高温超伝導テープ積層体を含む、請求項1または2に記載のジョイント。
【請求項4】
前記展性のある金属がインジウムを含む、請求項1から3のいずれかに記載のジョイント。
【請求項5】
前記第1の導体がインナージャケットを備える、請求項1から4のいずれかに記載のジョイント。
【請求項6】
前記インナージャケット上をメッキした導体をさらに備える、請求項5に記載のジョイント。
【請求項7】
前記第1のマウンティング領域が、前記第1の導体の形状に一致するように成形される、請求項1から6のいずれかに記載のジョイント。
【請求項8】
前記伝導性部材がダブルサドル形状を有する、請求項1から7のいずれかに記載のジョイント。
【請求項9】
前記第1のマウンティング領域が前記伝導性部材内に凹部を備え、前記高温超伝導テープ積層体が前記凹部内部にある、請求項1から8のいずれかに記載のジョイント。
【請求項10】
(a)伝導性部材のマウンティング領域への挿入のために高温超伝導(HTS)ケーブルを準備するステップであって、前記HTSケーブルは、フォーマのそれぞれのチャネル内に配置された複数の高温超伝導(HTS)テープを具備する、ステップと、
(b)前記伝導性部材の前記マウンティング領域へと前記準備した超伝導ケーブルを挿入するステップと、
(c)前記伝導性部材マウンティング領域の表面に展性のある導電性材料を配置するステップと、
(c)前記マウンティング領域の表面に配置された前記展性のある導電性材料が前記準備された超伝導ケーブルの表面と前記マウンティング領域の前記表面との間に界面層を形成するように前記準備されたHTSケーブルに力を加えるステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記伝導性部材マウンティング領域の表面に展性のある導電性材料を配置するステップで、前記方法が、前記伝導性部材の前記マウンティング領域に金属を設置するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記伝導性部材の長さを選択するステップと、
前記伝導性部材内に少なくとも2つのマウンティング領域を形成するステップであって、前記マウンティング領域が前記超伝導ケーブルを受け入れるように選択された形状を有する、少なくとも2つのマウンティング領域を形成するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記超伝導ケーブルが円形の断面形状を有し、伝導性部材サドル内に少なくとも2つのマウンティング領域を形成するステップが、前記超伝導ケーブルの半径に実質的に合うように選択された半径を有する2つのマウンティング領域を形成するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記超伝導ケーブルが、インナー伝導性ジャケットおよびアウター伝導性ジャケットを有し、前記超伝導ケーブルを準備するステップが、
(a1)前記インナージャケットを露出させるために前記伝導性部材の前記マウンティング領域の長さに対応する長さを有する前記アウタージャケットの一部分を取り除くステップと、
(a2)前記伝導性部材の前記マウンティング領域と接触する前記露出したインナージャケットの部分をクリーニングするステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]高温超伝導(HTS)ケーブルでの使用のためのケーブルジョイントは、ケーブル内部またはジョイント領域内部のHTSテープ間接続を利用できる。このような手法を用いると、ケーブル内部の各々のHTSテープは、1つのHTSテープをもう1つに接合するように隣接するHTSテープ上へと特別に準備され(例えば、測定される、切断される、はんだ付けされるまたは押し付けられる、等)なければならない。各々のテープ対がジョイント領域内部での一様な電流分布を保証するために同一の接触抵抗を有することを慎重に保証するための挑戦が行われた。これらのプロセスは、極端に遅く、長たらしく、複雑で、そして間違いを起こしやすい。したがって、このようなプロセスは、大規模な研究または産業規模で要求されるHTSケーブルの高スループット製造には拡大されない。
【0002】
[0002]日本の核融合科学研究所により青写真を描かれた100kA級ケーブル用の1つのジョイントの概念は、間にインジウム膜をともなって2つの底部部分全体を締め付けられる上部片を有するジョイントの両側に対するHTSテープの段々状の(または階段)構成を利用する。これらのジョイントが低磁場で低抵抗を実証したとはいえ、これらのジョイントは非常に長く(いくつかのケースでは、ほぼ一(1)メートル)そして階段の幾何学的形状は複雑である。加えて、インジウム膜が裸のHTSテープに一旦押し付けられると、このような構造を引き離すことは困難であり、したがって、テープと一緒に押し付けることにより形成したジョイントを開く(または「取り外す」または「解放する」)ことを困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]記載したものは、超伝導体または常伝導体(すなわち、非超伝導体)であってもよい少なくとも1つの他の導体に超伝導ケーブルを結合するまたは接合するための構造および関連する技術である。実施形態では、超伝導ケーブルは、高温超伝導(HTS)ケーブルであってもよい。記載した構造体および技術は、「ケーブルジョイント」(またはより簡単に「ジョイント」)の一部としておよび/または形成するために利用されることがある。記載したジョイント実施形態は、限定しないが:超伝導ケーブルを取り外すまたは再マウントする能力;同じ用途または類似の用途に対して従来のジョイント長さよりも短いジョイント長さ;先行技術の手法と比較して簡単な製造可能性;先行技術の手法と比較して低コスト;先行技術の手法と比較して高い信頼性;および先行技術の手法と比較して高い堅固さを含め超伝導ケーブルを結合するための先行技術のジョイントよりも1つまたは複数の利点を提供できる。
【0004】
[0004]完全なケーブルジョイントは、伝導性接合部材(または「接合部材」もしくは「伝導性部材」)および超伝導ケーブルを接合部材にしっかりと固定するための手段を備える。実施形態では、しっかりと固定するための手段は、クランプ構造体(例えば、超伝導ケーブルおよび接合手段にボルト締めされたまたはそうでなければ結合されたクランプ)として提供されることがある。
【0005】
[0005]実施形態では、本明細書において説明する概念に従って提供される構造体は、1つの超伝導ケーブルをもう1つのケーブル(これは超伝導ケーブルであってもなくてもよい)に結合するために、したがってケーブル間ジョイントを形成するために使用されることがある。実施形態では、HTSケーブル同士の間のケーブル間ジョイント(また、本明細書では「ケーブルジョイント」またはより簡単に「ジョイント」とも呼ばれる)は、伝導性部材のマウンティング領域にHTSケーブルを配置することによって実現されることがある。実施形態では、HTSケーブルは、伝導性部材の対向する側に位置するマウンティング領域に配置される。実施形態では、丸く銅被覆したHTSケーブル同士の間のケーブル間ジョイントは、伝導性部材の形態はめ合いマウンティング領域(すなわち、銅被覆したHTSケーブルの形状に合うように選択された形状を有するマウンティング領域)の両側にHTSケーブルを押圧することによって実現される。この手法を用いて、ほんのわずかな非常に簡単で限られた処理ステップだけが、超伝導ケーブルの製造の後でジョイントを製作するために必要とされる。完全なジョイントは、伝導性部材のマウンティング領域に超伝導ケーブルをしっかりと固定するための手段を含む。実施形態では、上記手段は、接合されるべきケーブルおよび伝導性部材に対してボルト締めされたまたはそうでなければしっかりと固定されたクランプであってもよい。
【0006】
[0006]実施形態では、展性のある伝導性材料が、伝導性部材マウンティング領域の表面上に配置されることがあり、そしてケーブルが、1つまたは複数のクランプを介してマウンティング領域に押圧される。実施形態では、伝導性材料が、インジウムワイヤとして与えられることがある。実施形態では、クランプは、伝導性部材の外部であってもよい。接合されるべき超伝導ケーブルがHTSテープまたはHTSテープ積層体を含む実施形態では、元々のケーブル製造プロセスを超えるHTSテープまたはHTSテープ積層体の準備は、ほんのわずかしか要求されない、またはいくつかの事例では要求されない。ケーブルは、クランプを緩めることまたは取り除くことによって取り外されることがある。伝導性部材を再使用するために、伝導性部材は、(例えば、ブラシを用いてこすることによって、例えば、クリーニングされる)または他の機械的技術、またはクリーニング流体もしくはペーストの塗布によって、またはクリーニング流体/ペーストと機械的クリーニングとの組み合わせによって取り除かれることがある。したがって、この手法を用いて、ケーブルジョイントは、少しの量の労力と道具立てで完全に取り外し可能であり再使用可能である。このような取り外し可能で再マウント可能なジョイントの使用は、完全に取り外し可能である現実的なHTS磁石の設計および製造を可能にする。
【0007】
[0007]実施形態では、ジョイント準備プロセスは、下記のようであってもよい:(a)用途の必要条件に基づいてジョイント長さを決定するステップ;(b)少なくとも2つのマウンティング領域を有する伝導性部材を製作するステップであって、上記マウンティング領域の各々が導体を受け入れるように選択されそしてジョイント長さに等しい長さを有する形状を有するステップ。2つの丸いHTSケーブル(すなわち、円形の断面を有するHTSケーブル)が接合される実施形態では、伝導性部材は、HTSケーブルの伝導性ケーブルジャケットを受け入れるための半径を有するマウンティング領域をともなういわゆるダブルサドル形状を有するように与えられることがある。プロセスは、(c)伝導性部材のマウンティング領域と接触するケーブルの部分から汚染物(例えば、酸化物およびすべての他の汚染物)を除去するステップを任意選択で含むことがある。このことは、例えば、研磨剤を用いてケーブルの一部分をこすること(例えば、研磨すること)(例えば、ジャケットを研磨すること)によって、または伝導性部材のマウンティング領域と接触するケーブルの一部分をラップ仕上げすることによって実現されることがある。このことは、伝導性部材のマウンティング領域と接触するケーブルの上記部分を清浄にし、そしてまた、ケーブルとマウンティング領域の表面との間の界面からの小さな大きさの(そして理想的には最小の)抵抗を確実にするために表面エリア接触を大きくする(理想的には最大にする)。プロセスは、(d)超伝導ケーブルのジャケットおよび伝導性部材内部の対応するマウンティング領域をメッキするステップをさらに任意選択で含むことができる。プロセスは、(e)電気抵抗を減少させるために(そして理想的には最小にするために)ケーブル表面とマウンティング領域表面との間の電気的接触のための表面積を大きくするために(そして理想的には最大にするために)伝導性部材のマウンティング領域へと展性のある伝導性材料(例えば、インジウム)を配置するステップもまた任意選択で含むことができる。その他の点で実行不可能でない限り、上記の要素(a)~(c)は、任意の都合の良い順番で実行されてもよいことに留意すべきである。
【0008】
[0008]実施形態では、ケーブルは、展性のある伝導性材料がマウンティングエリアの表面とHTSケーブルの表面との間に配置された連続しそして切れ目のない層を形成することを確実にするために、したがってHTSケーブルと伝導性部材との間の電気的および機械的接触を確実にするために十分な圧力で伝導性部材のマウンティング領域へと押圧されるまたはそうでなければ配置されることがある。このことは、HTSケーブルを伝導性部材のマウンティング領域に保持するためにまたはそうでなければしっかりと固定するための任意のクランピング手段または任意のボルト締め構造体を含め任意の手段を使用して実現されることがある。実施形態では、2つのHTSケーブルは、ケーブルとダブルサドルとの間の機械的および電気的接触を確実にするために十分な圧力を与えることが可能なボルト締め構造体を使用して、伝導性ダブルサドルへと押圧されることがある。実施形態では、ケーブル部分とマウンティング領域との間にプレスばめまたは締まりばめが使用されることがある。
【0009】
[0009]実施形態では、外部ジャケットおよび内部ジャケットを有する1対のHTSケーブルが、接合されることがある。このような実施形態では、HTSケーブルの外部ジャケット部分は、HTSケーブルの内部ジャケットが伝導性部材のマウンティング領域に配置されるように取り除かれる。したがって、HTSケーブルを結合するための先行技術のジョイントとは違って、ケーブルそれ自体の部分(例えば、外部ジャケット内部のケーブル部分)がジョイントの一部分を形成する。クリーニングプロセス以外には、ケーブル構成要素(すなわち、外部ジャケット内部のケーブル部分)の機械的な処理は要求されない。特に、HTS材料(例えば、HTSテープ)を備える超伝導ケーブルのケースでは、HTS材料の処理は、超伝導ケーブルが製造された後には要求されない。
【0010】
[0010]したがって、本明細書において説明するものは、例えば、2つの超伝導ケーブル(例えば、2つのHTSケーブル)同士の間または超伝導ケーブルと通常の導体との間の接続を可能にするジョイントである。例えば、本明細書において説明する概念に従って提供されるジョイントは、2つの超伝導ケーブル同士の間または超伝導導体と電源端子との間の接続を可能にするために使用されることがある。
【0011】
[0011]本明細書において説明する概念に従って提供されるジョイントは、超伝導性および/または通常の導体構造体(例えば、超伝導体および/または通常のケーブル)を「取り外すこと」および「再マウントすること」を可能にする。このような特性は、例えば、再使用可能な試験用治具または磁石の寿命中にHTS磁石を取り外すことが有利であるHTS磁石のケースでは、有用なことがある。
【0012】
[0012]さらにその上、本明細書において説明する概念に従って提供されるジョイントは、同様な用途では従来のジョイントの長さよりも短い長さを有するように設けられることがある。スペースが超伝導用途では制限されることがあるので、ジョイント長さが短いほど、超伝導用途では望ましいことがある。また、本明細書において説明する概念に従って提供されるジョイントは、比較的単純であり、製造することが容易であり、HTSケーブルなどの超伝導ケーブルを接合するための従来のジョイントよりも費用がかからない。
【0013】
[0013]前述の要約は、例示の目的で提供され、限定するものではない。
【0014】
[0014]開示した実施形態を作製し使用する方式およびプロセスが、添付した図面の図を参照することにより認識されることがある。図に図示した構成要素および構造体は必ずしも等尺であることが必要ではなく、本明細書において説明する概念の原理を図説する際に強調が代わりに行われることが認識されるはずである。同じような参照番号は、異なる図の全体を通して対応する部品を示す。さらにその上、実施形態は、例として図示され、そして図における限定ではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0015]ケーブルジョイントにより結合された2つの高温超伝導(HTS)ケーブルの分解立体斜視図である。
図1A】[0016]図1に示した超伝導ケーブルのうちの一方と同じであることも類似していることもあるケーブルの端面図である。
図1B】[0017]いわゆる「合掌」構成で接合部材に結合されたケーブルを有し、図1の導電性接合部材と同じであることも類似していることもある伝導性接合部材の斜視図である。
図1C】[0018]いわゆる「握手」構成で接合部材に結合されたケーブルを有し、図1の伝導性接合部材と同じであることも類似していることもある伝導性接合部材の斜視図である。
図2】[0019]接合部材に結合された2つの超伝導ケーブルを有するケーブルジョイント伝導性接合部材の断面図である。
図2A】[0020]図2の線2A-2Aに沿って取った伝導性接合部材ケーブルジョイントおよび超伝導ケーブルの一部分の拡大した断面図である。
図3】[0021]ケーブルジョイントに結合された1対の超伝導ケーブルの端面図である。
図4】[0022]ケーブルジョイントにマウントするために超伝導ケーブルを準備するためのプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0023]本明細書では具体的なケーブルジョイント構成について参照されることがあるが、多くの変形形態が可能であることが認識される。このような変形形態は、この開示の範囲内になることが理解される。また、本明細書では、特定のタイプの超伝導ケーブル(例えば、特定のタイプの超伝導ケーブル幾何学的形状)の参照がときには行われる。特定の超伝導ケーブル幾何学的形状の参照がときには行われるとはいえ、本明細書において説明するジョイント構造体および技術が任意の幾何学的形状を有するまたは任意の技術から形成される超伝導ケーブルを含め任意のタイプの超伝導ケーブルでの使用を見出すことができることを当業者なら認識するであろう。本明細書において提供される開示を読んだ後で、特定のタイプの超伝導ケーブルまたは特定のタイプの超伝導ケーブル幾何学的形状もしくは構成を収容するために必要な任意の適切なジョイント修正形態をどのように作製するかを当業者なら理解するであろう。
【0017】
[0024]同じような要素がいくつかの図を通して同じような参照呼称を有するように与えられる図1図2Aをここで参照すると、ジョイント8は、本体9(また伝導性接合部材とも呼ばれ、またときには「伝導性部材」または「接合部材」とも呼ばれる)を有し、本体の対向する側に導体マウンティング領域9a、9bを有する。
【0018】
[0025]本明細書では、マウンティング領域9a、9bが、マウンティング領域9a、9bの中央長手方向軸13a、13bが整列された状態で、伝導性部材9の対向する側に示されているが、マウンティング領域9a、9bが図1に図示された位置とは異なる位置に向けられてもよいことを当業者なら認識するであろう。例えば、実施形態では、マウンティング領域9a、9bが対向する側であるが互いにオフセットする(すなわち、中央長手方向軸13a、13bが図1に図示されたようには整列されない)またはマウンティング領域9a、9bが互いに対してある角度(例えば、90度)で設けられてもよい(例えば、マウンティング領域軸が直交してもよい)ような形状を有する伝導性部材9を提供することが、望ましいことがあるまたは必要でさえあり得る。他の変形形態もまた可能である。例えば、マウンティング領域は、伝導性部材の同じ表面上にあってもよい(例えば、マウンティング領域は、伝導性部材の同じ表面上で横並びであってもよい)。伝導性部材9内のマウンティング領域の特定の場所、向きおよび形状が、特定の用途のニーズを満足するように選択される。
【0019】
[0026]このように、実施形態では、ケーブルは、必ずしも軸対称である必要はない。実施形態では、ケーブルは、いずれの方向に軸を向けられてもよい。図1の例示の実施形態では、いわゆる「合掌」構成が示されるが、第2のケーブル(例えば、ケーブル14)に対して一方のケーブル(例えば、ケーブル12)を180度ひっくり返すことは、いわゆる「握手」構成を有するジョイントという結果になる(図1C参照)。要するに、マウンティング領域9a、9bは、各々に対して0度と180度との間のどこかを向いたケーブルを受け入れるために任意の方式で向けられることがある(例えば、各々のケーブルの中央長手方向軸が互いに対して0度と180度との間のどこかに向けられることがある)。さらにその上、マウンティング領域9a、9b(そしてしたがって伝導性部材8)が真直ぐでないケーブルを受け入れるように構成されることがあることが認識される。すなわち、ケーブルおよび伝導性部材9のマウンティング表面は、ケーブルの長さに沿って湾曲した経路または不規則な形状をした経路に従うことがある。
【0020】
[0027]マウンティング領域9a、9bは、(図1ではマウンティング領域10aだけが見える状態の)随伴するマウンティング表面10a、10bを有する。この例示の実施形態では、マウンティング領域9a、9bは、伝導性部材9内にC字形空洞またはC字形領域として設けられ、したがっていわゆる「ダブルサドル」形状を有するジョイント8を提供する。したがって、伝導性部材9は「サドル部材」または「サドル片」とときには呼ばれる。
【0021】
[0028]マウンティング領域9a、9bの少なくとも特有の断面形状、長さ、および構成(例えば、マウンティング領域長さに沿った経路)は、伝導性部材9がやり取りしようとする導体(例えば、導体12、14)の形状と合うように選択される。したがって、この例では、伝導性部材9のマウンティング領域9a、9bが真直ぐ(すなわち、伝導性部材の長さに沿って真直ぐな経路)であり、一般に円形または半円形の断面形状を有する真直ぐな導体12、14(すなわち、真直ぐな経路長を有する導体)とやり取りするものである一方で、マウンティング領域9a、9bが導体の断面形状および経路長形状に実質的に合うように選択された任意の規則的なまたは任意の不規則な幾何学的形状を有するように設けられることがある(例えば、湾曲したマウンティング領域が湾曲した経路長を有する導体を受け入れるために使用されることがある)ことを認識すべきである。
【0022】
[0029]例えば、マウンティング領域9a、9bは、長方形断面形状、正方形断面形状、楕円形断面形状または多面断面形状を有するように設けられることがある。他の幾何学的形状もまた可能である。また、各々のマウンティング領域が必ずしも同じ断面形状を有するように設けられる必要がない(すなわち、各々のマウンティング領域が、例えば異なる断面形状を有するケーブルを接合するように異なる断面形状を有するように設けられることがある)ことを認識すべきである。例えば、1つのマウンティング領域が(図1図1Aに示したもののようなケーブルを受け入れるために)図1に示したようなC字形マウンティング表面を有することがあり、一方で第2のマウンティング領域が平坦な表面を有する導体(例えば、長方形断面形状を有するバスバーなど)を受け入れるように平坦なマウンティング表面を有することがある。
【0023】
[0030]実施形態では、サドル部材9が導電性材料から全体としてまたは部分的に形成されることがある。例えば、サドル部材9は銅から構成されることがある。使用されることがある伝導性材料の1つの種類は、無酸素高伝導(OFHC)銅を含む。サドル部材9は、例えば、例として1つの具体的な合金の名前を挙げるとC101銅などの高伝導銅から構成されることがある。C101銅の電気的特性および機械的/構造的特性と同じであるまたは類似する電気的特性および機械的/構造的特性を有する他の材料は、当然のことながら、限定されないが、合金にした銅(例えば、青銅、銀をドープした銅、等)を含めさらに使用されることがある。(他の銅合金を含め)他の合金が、当然のことながら、さらに使用されていることがある。いくつかの用途では、材料強度と材料伝導率との間のトレードオフが、材料を選択する際に行われることがある。例えば、いくつかの用途では、伝導率を犠牲にするがより高い強度を与える材料(例えば、銅合金)を選択することが望ましいことがあり、一方で他の用途では、強度を犠牲にするがより高い伝導率を与える材料を選択することが望ましいことがある。本明細書において提供された開示を読んだ後で、特定の用途のために伝導性部材9を提供する特定の(1つまたは複数の)材料をどのように選択するかを、当業者なら理解するであろう。
【0024】
[0031]ケーブルの表面および/またはマウンティング表面は、そこに欠陥を有する(すなわち、窪みまたはとがった先を有する)ことがあり、したがって粗いと言われることがある。このような欠陥は、ケーブルの表面とマウンティング領域との間の接触を妨げることがあるまたは接触の表面積の大きさを減少させることがある。マウンティング領域9a、9bのマウンティング表面10a、10b上に配置されたものは、展性のある伝導性材料11である。導体(例えば、ケーブル)がマウンティング領域に配置されると、展性のある伝導性材料11は、欠陥を埋めるようにまたはそうでなければ除去するように変形して、導体とマウンティング領域との間に連続する表面を形成する。この手法は、導体とマウンティング領域との間の接触している表面積の大きさを増加させる。表面積のこのような増加は、導体とマウンティング領域の電導度の付随する増加という結果をもたらす。
【0025】
[0032]この例の実施形態では、伝導性材料11は、図1では参照番号11により示されたようなマウンティング表面内に配置されたストリップまたはラインとして構成された導電性金属から構成される。実施形態では、実質的に不純物が入っていないインジウムワイヤは、マウンティング領域にケーブルの挿入でワイヤが伝導性層を形成するために変形され得るように選択されたワイヤ同士の間の間隔でマウンティング表面上に設置されるまたはそうでなければ配置されることがある。伝導性材料がマウンティング領域9a、9bの内部で任意の向きに(すなわち、縦にまたは横にまたは任意の角度で)設置されることがあることに留意すべきである。
【0026】
[0033]実施形態では、約0.79mm(0.031”)の直径を有するインジウムワイヤが約4mm~10mmの範囲内の中心間間隔で使用されることがある。
【0027】
[0034]実施形態では、ワイヤは、各々の導体に巻き付けられることがあり、次いでマウンティング領域9a、9bに設置される。実施形態では、ワイヤはインナージャケット(例えば、ケーブル12、14のインナージャケット20)に巻き付けられることがある。マウンティング領域9a、9bにそれぞれの導体の設置において、伝導性材料は、導電性層(そして理想的には実質的に一様な厚さを有する連続した伝導性層)を形成するように変形する。実施形態では、インジウムワイヤは、ケーブルの周りに4mmピッチで渦巻き状に巻き付けられることがある。この技術は、組み立て中にインジウムを保持するまたはそうでなければしっかりと固定し、そして余分なインジウム(すなわち導体とマウンティング表面10a、10bとの間に配置されないインジウムの余分な部分)が取り除かれる。インジウムのこの量は、適正に押圧されたときに、約~0.13mm(~0.005”)の厚さを有する層(またはシート)という結果になる。このような技術は、マウンティング領域内部に展性のある伝導性材料(例えば、インジウム)を配置するためおよび実質的に一様な厚さを有する界面層を得るための矛盾のない方法という結果になる。
【0028】
[0035]実施形態では、伝導性材料11は、柔らかい金属として与えられることがある。例えば、室温(例えば、約12.8℃(約55F)から約32.2℃(約90F)の範囲内の温度)で展性のある特性を有する金属が使用されることがある。ここでの目的は、「柔らかい金属」が処理され、成形され、そして次いで2つの表面(すなわち、接合されるべき導体の表面とマウンティング表面10a、10b)との間でぴったりと潰されて、好ましくは熱処理プロセスを用いずに、連続した表面を形成することが可能であるはずであることである。以下に与えられる記述から明らかになるであろう理由のために、導体(例えば、ケーブル12、14)がマウンティング領域10a、10bのうちのそれぞれ一方に配置されるときに、伝導性材料11が導体(例えば、HTSケーブル)の表面とマウンティング領域の表面との間に配置されるように、伝導性材料11は、マウンティング表面10a、10b上に(または導体12、14上に)配置される。本明細書において使用するように、「HTS材料」または「HTS超伝導体」という句は、自己場で30Kよりも高い臨界温度を有する超伝導材料を呼ぶ。
【0029】
[0036]実施形態では、マウンティング領域のマウンティング表面上に実質的に一様な金属層(そして理想的には極めて一様な金属層)を形成するように変形できる金属が好まれる。このような実質的に一様な変形および得られる層は、マウンティング領域に配置された導体の表面とマウンティング領域の表面との間の実質的に一様な接触という結果をもたらす。しかしながら、実施形態では、全ジョイント抵抗が厚さまたは層に直接的に大きく依存しないので、実質的に一様な層厚さは必ずしも必然的に必要ではないことを認識すべきである。しかしながら、ワイヤ(例えば、インジウムワイヤ)のすべてが変形したワイヤ同士の間にギャップがないという結果になる方式で変形する(すなわち、ワイヤ変形の後で、得られる金属が切れ目なくそして全体のマウンティング表面を理想的には覆うはずである)ことが望ましい。したがって、導体の表面とマウンティング表面10a、10bとの間の大きな(そして理想的には最大の)接触面積および低い酸化を保証するためにプロセスの終わりに伝導性材料(例えば、インジウム)の連続し切れ目のないシートまたは界面層(例えば、図2Aの界面層15)を有することが望ましい。
【0030】
[0037]伝導性材料を変形させるために使用する圧力の特有の大きさは、限定しないが、接合しようとする導体のサイズ(例えば、直径、断面積、等...)および構成に加えてケーブル、サドル部材および伝導性材料が形成される材料を含め様々な要因に依存する。
【0031】
[0038]さらにその上、伝導性金属11は、任意の形状を有するように形成されることがある。例えば、伝導性金属11は、図1に示したような1つまたは複数のワイヤとして与えられることがある。ワイヤは、限定しないが、楕円形、円形、長方形、正方形、三角形または任意の他の断面形状を含め任意の規則的な断面形状または任意の不規則な断面形状を有するように形成されることがある。あるいは、伝導性金属11は、伝導性ペーストまたは伝導性液体金属の形態で(またはタイプとして)与えられることがある。使用する伝導性金属11の特有のタイプおよび形状は、実質的に切れ目がなく実質的に連続するコンタクト層が導体(例えば、ケーブル12、14のうちの一方)とマウンティング表面との間に存在するように選択される。
【0032】
[0039]実施形態では、金属11は、インジウムとして与えられることがある。実施形態では、金属11は、インジウムワイヤとして与えられることがある。インジウムが室温で柔らかい金属であるので、金属11は、HTS導体の表面とサドル部材9の表面10a、10bとの間に実質的に一様でしたがって低抵抗のコンタクト層を形成するように変形する。
【0033】
[0040](図2Aにおける層15などの)このようなコンタクト層を可能にするように変形する金属は、ケーブルとサドル部材9との間に低抵抗経路(例えば、ナノ-オームの程度の抵抗を有する経路)を結果としてもたらす。原理的に、ジョイントの抵抗は、電流が流れることができる利用可能な面積とともにほぼ比例して減少するであろう。したがって、接合しようとする導体と接触するマウンティング領域表面積のできるだけ多くを覆うことが望ましい。理想的には、一旦、接合しようとするケーブルがマウンティング領域に配置されると、界面層15がマウンティング領域の全表面エリアを覆う。
【0034】
[0041]実施形態では、伝導性金属11は、伝導性部材(例えば、サドル部材)のマウンティング表面よりはむしろケーブルのマウンティング表面を覆って配置されるまたは付けられる(または塗られる)ことがある。実施形態では、伝導性金属11は、ケーブルのマウンティング表面および伝導性部材(例えば、サドル部材)のマウンティング表面の両方の一部分を覆って配置されるまたは付けられる(または塗られる)ことがある。実施形態では、伝導性界面層を形成する金属の変形特性を促進させるまたは容易にするためにケーブルおよび/またはマウンティング表面を加熱する必要があることがある。
【0035】
[0042]この例の実施形態では、(全体として円形または半円形の断面形状を各々が有する)1対の超伝導ケーブル12、14が、マウンティング表面10a、10bのうちのそれぞれの1つに配置される。したがって、この例では、ジョイント8は、2つの超伝導ケーブル12、14の間に配置される。
【0036】
[0043]図1の例の実施形態では、超伝導ケーブル12、14は、高温超伝導(HTS)ケーブルに対応することがある。
【0037】
[0044]図1Aにおそらく最も明瞭に見られるように、そしてケーブル14の代表としてケーブル12を取ると、ケーブル12は、フォーマ16内に設けられたチャネル内に配置されたHTSテープ18a~18dを有するフォーマ16を含む。HTSテープ18a~18dは、はんだ19a~19dを介してそれ自体のそれぞれのチャネル内に保持される。インナージャケット20(例えば、銅ジャケット)がフォーマおよびHTテープの周りに配置され、そしてメッキ22(例えば、銀メッキ)がインナージャケット20を覆って配置されることがある。インナージャケット20の全体の表面がメッキされることがあるとはいえ、実施形態では、マウンティング領域に配置されるインナージャケット20の表面部分だけがメッキされる必要がある。したがって、図1に図示したように、インナージャケット20の表面の約1/2だけがマウンティング表面と接触するので、インナージャケット20の表面の約半分だけが、覆って配置されたメッキ22を有する。アウタージャケット24(例えば、スチールまたはステンレススチールジャケット)がインナージャケット20の周りに配置される。
【0038】
[0045]この例の実施形態では、ケーブル12は、1つまたは複数のジャケットによって囲まれた導電性(例えば、銅)フォーマ内に多数のチャネルを有する。各々のチャネルは、HTSテープ積層体を有し、そして金属(例えば、はんだ)で満たされる。ケーブル12はまた、任意選択の冷却チャネル29も含む。
【0039】
[0046]図1Aに示したように、例示のチャネルの幅はWであり、フォーマの直径はDであり、インナージャケットの直径はDであり、そしてアウタージャケットの直径はDである。実施形態では、インナージャケットは、銅から構成されることがあり、アウタージャケットは、ステンレススチールから構成されることがある。しかしながら、ジャケットおよびフォーマ用に他の好適な材料が使用されてもよいので、これは単に例である。
【0040】
[0047]実施形態では、超伝導ケーブル12、14(これはHTSテープ積層体を含むことがある)は、柔らかい金属11が超伝導ケーブル12、14の表面とサドル部材9のマウンティング表面10a、10bとの間に配置されるようにサドル部材9へと押し付けられる。したがって、実施形態では、導体12、14は、間にインジウムをともなってマウンティング領域9a、9bのうちのそれぞれの一方に押し付けられるまたはそうでなければ配置されるHTSケーブルとして与えられることがある。
【0041】
[0048]このような実施形態では、HTSケーブル12、14は、マウンティング領域9a、9bにケーブルを結合することに先立って好ましくは準備される。実施形態では、このような準備は、下にあるインナージャケット20をむき出しにするためにアウタージャケット24の一部分を取り除くことを含む。インナージャケット20の表面は、コンタクト領域9a、9bへの導体の挿入に先立って準備される。実施形態では、このようなインナージャケットの準備は、露出したインナージャケット導体をクリーニングすることを含む。このようなクリーニングは、機械的な技術または化学的な技術を介して成し遂げられることがある。例えば、クリーニングは、汚染物(酸化物を含む)を取り除くため、したがって伝導性を向上させるためにラップ仕上げまたは非常に細かな研磨を通して成し遂げられることがある(すなわち、HTSケーブル銅インナージャケット20の表面が、伝導性を向上させるために、ラップ仕上げ、研磨、または他の機械的な技術および/もしくは化学的な技術によって準備されることがある)。
【0042】
[0049]一旦クリーニングされると、インナージャケットは、任意選択でメッキされることがある。実施形態では、インナージャケットの表面は、任意選択で銀メッキされることがある。同様に、マウンティング表面10a、10bもまた、メッキされることがある。金属11の使用とともにクリーニングプロセスおよびメッキプロセスは、導体12、18とジョイント8との間の接触表面積を大きくする(そして理想的には最大にする)ことおよび高い電導率に役立つ。したがって、インナージャケット22のメッキした表面20は金属11に押し当てて配置され、金属11は順にマウンティング表面10a、10bに押し当てて配置される。
【0043】
[0050]重要なことは、本明細書において説明した構造および技術を使用すると、ジョイントは、簡単に取り外され、インジウムが剥がされ、そしてジョイントを再使用するために再び取り付けられることがある。さらにその上、説明した概念、構造および技術に従って提供されるジョイントは、従来のHTSジョイントに対して1つまたは複数の利点を有することができ、限定しないが:先行技術の手法に対する信頼性の向上(例えば、約25個のジョイントが製造され、試験され故障はゼロであった):先行技術の手法に対する堅固さの向上(本明細書において説明した概念に従って提供されるジョイントは、例えば、機械的サイクルおよび熱サイクルの結果として磁石における通常の「衰耗」に対して持ちこたえる):同じ用途または類似の用途に関して従来のジョイント長さよりも短いジョイント長さ:従来の手法に対して複雑でない製造性:および従来の先行技術の手法に対して低コスト、を含む。
【0044】
[0051]したがって、例示的に、HTS導体12、14は、間にインジウム11をともなって伝導性サドル部材9へと押し付けられる。インジウムが室温で柔らかい金属であるので、インジウムは界面層、そしてしたがってHTS導体とサドルとの間の低抵抗コンタクトを確立するように変形する。ラップ仕上げ、銀メッキ、およびインジウムは、大きく一様な表面エリアおよび高い導電性を確実にする。
【0045】
[0052]図1Cは、いわゆる「握手」構成で伝導性部材9に結合されたHTSケーブル12、14を有する伝導性部材9の斜視図である。
【0046】
[0053]図3をここで参照して、図3では図1図2Aの同じような要素が同じような参照呼称を有するように与えられる。ケーブルジョイント36は、伝導性部材9および接合手段を備える。伝導性部材9は、ダブルサドル形状を有するようにここでは示される(そしてしたがってダブルサドル部材と呼ばれることがある)。2つのHTS導体12、14は、接合手段を介してダブルサドル部材のマウンティング領域に結合される。冷却導管32、34は、それぞれのケーブル12、14の冷却チャネル29(図1図1A)へ冷却剤を供給する。
【0047】
[0054]この例示の実施形態では、接合手段は、クランピング構造体を形成するためにナット41およびボルト42の配置を介してサドル部材9およびケーブル12、14の周りをしっかりと固定するまたはそうでなければ結合する1対のブラケット38、40を含む接合構造体として与えられる。実施形態では、他の接合構造体が当然使用されることがある。例えば、ブラケット内のねじ穴に結合するねじが使用されることがある。あるいは、接合手段はばねタイプの構造体を含むことができる。あるいはさらに、実施形態では、恒久接合手段(例えば、溶接構造体)が使用されることがある。
【0048】
[0055]実施形態では、ブラケット38、40が、ステンレススチールブラケットとして与えられることがある。2つのHTSケーブルが伝導性ダブルサドルへと押圧される実施形態では、ケーブルとダブルサドル構造体との間の機械的な接触を確実にするために40MPaまでの圧力を与えることができる任意のクランピング構造体または保持構造体が使用されることがある。接合手段が実装される固有の方式は、接合手段が伝導性部材9にケーブル12、14をしっかりと保持するために十分な力を与える限り重要ではない。
【0049】
[0056]図4をここで参照すると、図1および図3とともに上に説明したケーブルジョイントと同じであっても類似していてもよいケーブルジョイントを介して超伝導ケーブルをもう1つの導体に接合するためのプロセスは、ジョイント長さ32を選択することまたはそうでなければ決定することにより始まることがある。ジョイント長さの選択または決定は、限定されないが、適用の必要条件(例えば、利用可能な物理的スペース)、およびケーブル設計を含め、様々な要因に基づくことがある。例えば、図1および図1Aに示したタイプと同じであるまたは類似するタイプのツイストケーブル構成は、非ツイストケーブル構成により要求されるジョイント長さとは異なるジョイント長さを必要とすることがある。
【0050】
[0057]一般に、ジョイントが長いほど、ジョイントの抵抗は小さい。また、ジョイントが長いほど、必要とされる冷却は少なくそしてジョイントの温度安定性は大きい。したがって、実際のシステムでは、理想的なジョイント長さとジョイントが使用されるであろう特定の用途により必要とされるジョイント長さについての制約(例えば、回避することが困難であるはずのまたはある用途では回避できない物理的および幾何学上の機械的制約)との間で、トレードオフがときには行われなければならない。
【0051】
[0058]ツイストHTSケーブルが使用される(例えば、図1図1Aに示したような)実施形態では、(可能であれば)上記ジョイント長さは、電流再配分の理由で整数のツイストピッチを収容することが望ましいが、厳密には要求されない。ジョイント内部の電流密度がジョイントの抵抗のために発生する熱を内部から取り除くために利用可能な冷却能力を超える場合には、ある者はより長いジョイントを望むはずであろう。
【0052】
[0059]一旦、ジョイント長さが決定されるとまたはそうでなければ選択されると、プロセスは、決定したジョイント長さを有しそして適切に成形された導体マウンティング領域34を有する伝導性部材(例えば、図1では伝導性部材9)を製作すること含む。実施形態では、伝導性部材は、ダブルサドル形状を有する(すなわち、伝導性部材の対向する側にマウンティング領域を有するようにそして円形の断面形状を有するケーブルを受け入れるように成形される)ように設けられることがある。例えば、ジョイントが2つの丸いケーブルを結合する実施形態では、マウンティング領域は、このようなケーブルにぴったりと合う半径を有するように設けられる。
【0053】
[0060]ケーブルがアウタージャケットおよびインナージャケットの両方を有するHTSケーブルとして設けられる実施形態では、各々のマウンティング領域の半径は、マウンティング領域に配置されるインナージャケットまたはアウタージャケットのうちの一方の表面を受け入れるように選択される。例えば、インナージャケットがマウンティング領域に配置されるようにケーブルのアウタージャケットの一部分が取り除かれ場合には、マウンティング領域半径は、インナージャケットの半径に実質的に合うように選択される。
【0054】
[0061]他方で、アウタージャケットがマウンティング領域に配置される場合には、マウンティング領域半径は、アウタージャケットの半径に実質的に合うように選択される。
【0055】
[0062]理想的には、ケーブル外径よりも大きい(しかし非常にわずかに大きいだけである)サドル部材マウンティング領域の内径(例えば、図1のサドル部材マウンティング表面の直径)を有することが、主に電気的および機械的理由で望ましい。例えば、実施形態では、サドル部材マウンティング表面の直径は、(ASME Y14.5-2018によって規定されるような)プレスばめ公差がケーブルとマウンティング表面との間に存在するように選択されることがある。実施形態では、サドル部材マウンティング表面の直径は、(ASME Y14.5-2018によって規定されるような)中間ばめ公差、隙間ばめ公差、または遊びばめ公差がケーブルとマウンティング表面との間に存在するように選択されることがある。このことは、サドル部材がケーブルの周りに何の問題なしに(すなわち、ケーブルがサドルに入ることを妨げられるはずのピンチポイントなしに)はめ合うことを可能にし、次いで押圧クランプが高い一様性の表面間接続でケーブルの周りをサドル部材で包むことを可能にする。これは、(ケーブルへの機械的な損傷を避けるために)ケーブルの表面に可能な限り一様に押圧荷重を上手く分散させる。これはまた、電流が一様に流れることができる面積を大きくすること(そして理想的には最大にすること)によって、電気的な抵抗が可能な限り小さくなることを確実にすることに役立つ(ピンチポイントは受け入れることができない加熱をともなう非常に大きな電流密度を作り出すはずである)。
【0056】
[0063]一旦ケーブルが(例えば、アウタージャケットを取り除くことによって)準備されると、伝導性ダブルサドルと接触するケーブルの上記部分がクリーニングされる。例えば、伝導性サドル36のマウンティング領域に配置される(または接触する)ケーブルの上記部分から(すべての酸化物を含め)汚染物を取り除くためにケーブルがクリーニングされる。これは、例えば、研磨剤を用いてその部分をこすること(例えば、ジャケットを研磨すること)によってまたは伝導性ダブルサドルと接触するケーブルのジャケットの2つの半球体をラップ仕上げすることによって達成されることがある。化学的クリーニングプロセスもまた、上に述べたものなどの機械的クリーニング技術とともにまたは代わりに使用されることもある。この手法は、ケーブルと上記ケーブ部が配置されるサドル部材との間の表面接触を大きくする(理想的には最大にする)。伝導性サドルのマウンティング領域に配置される(または接触する)ケーブルの上記部分は、次いで任意選択でメッキされることがある。同様に、サドル部材内のマウンティング領域の表面10a、10bもまた任意選択でメッキされることがある。
【0057】
[0064]次に、室温で好ましくは変形可能であるまたは展性である伝導性材料が、マウンティング表面36(図1では10a、10b)に配置される。実施形態では、ワイヤ(例えば、インジウムワイヤ)が、マウンティング表面10a、10bに設置されるまたはそうでなければ配置されることがある。実施形態では、連続する長さのインジウムワイヤが、サドル部材のマウンティング表面にインジウムワイヤを付ける目的のために設計されたツールに巻かれる。ツールは、ユーザがツール上に容易にインジウムの平行線の非常に一様なセットを作り出すことを可能にし、そしてまた高い順応性で銅サドルへのインジウムの移動を容易にする。さらにその上、この手法は、インジウムワイヤの取り扱い物の量を減らしそして理想的には最小の取り扱い物という結果をもたらす。これが、(ダブルサドル内径のちょうど外側に接続ループをともなって)図1に示したような一連の平行なインジウムワイヤ線を作り出す。インジウムワイヤの物理的に柔らかい性質に起因して、インジウムは、準備された銅サドル表面に直接付着する。あるいは、インジウムワイヤはまた、選択したピッチでらせん状の経路で各々の導体に巻き付けられることがある。この方法は、組み立て中にインジウムを決まった場所に保ち、追加のツールを必要としない。しかしながら、この手法は、サドル部材に付けられなかったケーブルの半分のインジウムが結果として余分な量になる。
【0058】
[0065]次に、超伝導ケーブルが、伝導性部材に設置される。実施形態では、超伝導ケーブルは、クランプまたは伝導性部材のマウンティング表面に超伝導ケーブルを保持することが可能な任意の構造体などの押圧手段を使用して伝導性ダブルサドルへと押圧されることがある。2つのHTSケーブルが伝導性ダブルサドルへと押圧される実施形態では、ケーブルとダブルサドルとの間の機械的な接触を確実にするために50MPaまでの圧力を与えることができる任意の構造体が、押圧手段として使用されることがある。実施形態では、ケーブルを伝導性部材のマウンティング表面にしっかりと固定するための構造体は、伝導性部材にまたは付近をボルト締めした外部構造体であってもよい。実施形態では、25MPaから50MPaの範囲内の圧力が使用されることがある。ケーブルまたはサドル部材に機械的な損傷をもたらさない圧力を利用することに注意を払うべきである。
【0059】
[0066]ケーブルがマウンティング領域へと押圧されると、展性のある金属は、図1図3とともに上に説明したものなどの界面層(例えば、図2Aにおける界面層15)を形成するように変形する。この手法は、電気抵抗を最小にするためにケーブルとダブルサドルとの間の電気的な伝達のための表面積を大きくし、そして理想的には最大にする。
【0060】
[0067]本明細書において説明したケーブルジョイント設計は、少なくとも部分的に、ケーブル自体がジョイント界面を形成するために単純である。さらにその上、実施形態では、ケーブル12、14(図1)は、最小の変更(すなわち、アウタージャケットの除去)および最小の準備(例えば、サドル部材のマウンティング表面に配置されるケーブルの表面からの汚染物のクリーニング)だけを必要とする。
【0061】
[0068]この手法は、本明細書において説明したケーブル接合手法と比較される相対的に大量の準備および精密な製造時間(例えば、数週間程度)を必要とする他のLSTケーブルおよびHTSケーブルとは非常に対照的である。
【0062】
[0069]説明した実施形態の主な使用は、(a)2つのHTSケーブル同士の間または(b)HTSケーブルと電流リードなどの通常の導体との間の単純で、強く、低抵抗で、取り外し可能な電気的ジョイントを提供することである。さらにその上、ジョイントが取り外し可能であるという理由で、ジョイントはまた、それ自体完全に取り外し可能である磁石を設計する可能性も提供する。したがって、本明細書において説明したジョイント構造体および技術は、限定しないが、磁石の検査、メンテナンス、修理、および交換、ならびに磁石を含むシステム用の革新的な設計部分を含め1つまたは複数の活動の実行を容易にする。
【0063】
[0070]本明細書において説明した実施形態は、超伝導ケーブルを結合するための先行技術のジョイントよりもいくつかの利点を提供する。実施形態では、丸く、銅被覆されたHTSケーブル同士の間のケーブル間ジョイントが、形態はめ合い銅サドルの両側にケーブルを押圧することによって作り出される。この手法を用いると、銅ジャケットを軽く研磨すること(ラップ仕上げすること)、銅ジャケットを銀メッキすること、銅ジャケット上にインジウムワイヤを設置すること、そして次いで外部クランプを介して40MPaまでの圧力で伝導性ダブルサドルの周りのケーブルを押圧することを含め、わずかな単純で限定された処理ステップだけが、ケーブルが製造された後でジョイントを作り出すために要求される。元々のケーブル製造プロセス以上のHTSテープの準備またはHTSテープ積層体の準備は、必要ない。そして、ケーブルジョイントは、最小量の人間の労力と道具立てで完全に取り外し可能でありそして再使用可能である。このことが、実際に完全に取り外し可能であるHTS磁石の現実的な設計および製造への経路を切り開く。
【0064】
[0071]本明細書では特定の材料を参照しているとはいえ、同様の機能的特性および/または構造的特性を有する他の材料が、適切な場合には置き換えられることがあること、およびこれらの教示の範囲から乖離せずに本明細書において記述した概念、技術、および構造の実施形態へとこのような材料をどのようにして選択するかおよびどのように組み込むかを当業者なら理解するはずであることが認識される。
【0065】
[0072]保護を求める概念、システム、デバイス、構造および技術の様々な実施形態が、関係する図面を参照して本明細書において説明される。代替の実施形態が、本明細書において説明した概念、システム、デバイス、構造および技術の範囲から乖離せずに考案され得る。様々な接続関係および位置的な関係(例えば、覆って、下方に、隣接して、等)は、下記の説明においておよび図面において要素同士の間で記述されることに留意されたい。これらの接続関係および/または位置的な関係は、別段明示されない限り、直接的であっても間接的であってもよく、そして説明した概念、システム、デバイス、構造および技術は、この点で限定するものではない。したがって、エンティティ同士の結合は、直接的な結合または間接的な結合のいずれかを呼ぶことができ、そしてエンティティ同士の間の位置的な関係は、直接的な位置的な関係であっても間接的な位置的な関係であってもよい。
【0066】
[0073]間接的な位置的関係の例として、層「B」を覆って層「A」を形成するという本明細書における言及は、層「A」および層「B」の関係する特性および機能が中間の層によって実質的に変化しない限り、1つまたは複数の中間の層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」との間にある状況を含む。下記の定義および略語は、特許請求の範囲および明細書の解釈のために使用されるべきである。本明細書において使用するように、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」もしくは「含有している(containing)」という用語、またはこれらの任意の他の変形形態は、非排他的な包含をカバーするものである。例えば、要素の列挙を含む組成、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素だけに限定される必要はなく、明示的に列挙されていない他の要素またはこのような組成、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0067】
[0074]加えて、「例示的な(exemplary)」という用語は、「例、事例、または例示として働くこと」を意味するように本明細書では使用される。「例示的な」として本明細書において説明されるいずれかの実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈される必要はない。「1つまたは複数の」および「1つまたは複数の」という用語は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4、等を含むように理解される。「複数の」という用語は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5、等を含むように理解される。「接続」という用語は、間接的な「接続」および直接的な「接続」を含むことができる。
【0068】
[0075]「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「ある例の実施形態」、等への明細書における言及は、説明した実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができることを示すが、すべての実施形態は、上記の特定の特徴、構造、または特性を含むことができる。その上、言い回しは、必ずしも同じ実施形態を参照する必要はない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明されるときには、明示的に記載されていようがなかろうが他の実施形態との関係でこのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であると言われる。
【0069】
[0076]以降の説明の目的で、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直に(vertical)」、「水平に(horizontal)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、およびこれらの派生語は、描画図形において向けられたように、説明した構造および方法に関係するはずである。「上に重なって(overlying)」、「頂上に(atop)」、「最上部に(on top)」、「上に設置される(positioned on)」または「頂上に設置される(positioned atop)」という用語は、第1の構造体などの第1の要素が第2の構造体などの第2の要素の上に存在することを意味し、ここでは界面構造体などの介在する要素が、第1の要素と第2の要素との間に存在することがある。「直接接触」という用語は、第1の構造体などの第1の要素と第2の構造体などの第2の要素とが何らかの中間の要素なしに接続されることを意味する。
【0070】
[0077]クレーム要素を修飾するために特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」、等などの順番を表す用語の使用は、それ自体によって、1つのクレーム要素のもう1つに対する何らかの優先順位、手順、もしくは順番または方法の行為が実行される時間的な順番を含まないが、複数のクレーム要素を区別するために、ある種の名前を有する1つのクレーム要素を同じ名前を有する(しかし順序を表す用語の使用のために)もう1つの要素とは区別するために単に符号として使用される。
【0071】
[0078]「ほぼ」および「約」という用語は、いくつかの実施形態では目標値の±20%以内、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内、そしてさらにいくつかの実施形態では目標値の±2%以内を意味するように使用されることがある。「ほぼ」および「約」という用語は、目標値を含むことがある。「実質的に等しい」という用語は、いくつかの実施形態では互いの±20%以内、いくつかの実施形態では互いの±10%以内、いくつかの実施形態では互いの±5%以内、そしてさらにいくつかの実施形態では互いの±2%以内である値を呼ぶために使用されることがある。
【0072】
[0079]「実質的に」という用語は、いくつかの実施形態では相対的な測定値の±20%以内、いくつかの実施形態では±10%以内、いくつかの実施形態では±5%以内、そしてさらにいくつかの実施形態では±2%以内である値を呼ぶために使用されることがある。例えば、第2の方向に「実質的に」垂直である第1の方向は、いくつかの実施形態では第2の方向と90°の角度を作るものの±20%以内、いくつかの実施形態では第2の方向と90°の角度を作るものの±10%以内、いくつかの実施形態では第2の方向と90°の角度を作るものの±5%以内、そしてさらにいくつかの実施形態では第2の方向と90°の角度を作るものの±2%以内である第1の方向を呼ぶことがある。
【0073】
[0080]開示した主題が、構成の詳細におよび下記の説明に記述されたまたは図面に図示された構成要素の配置にその用途において限定されないことを理解されたい。開示した主題は、他の実施形態でおよび様々な方法で実行されそして行われることが可能である。また、本明細書において採用した表現法および用語法は、説明の目的のためであり、限定するように見なされるべきではないことを理解されたい。それはそうとして、この開示が基づく概念が、開示した主題のいくつかの目的を行うための他の構造、方法、およびシステムの設計のための基礎として容易に利用されてもよいことを当業者なら認識するであろう。これゆえ、特許請求の範囲は、等価な構成が開示した主題の思想および範囲から乖離しない限りにおいてこのような等価な構成を含むように見なされるべきである。
【0074】
[0081]開示した主題が、上述の例示的な実施形態において説明されそして図説されてきているとはいえ、本開示が単に例として行われてきていること、および開示した主題の実装形態の詳細における数多くの変更が開示した主題の思想および範囲から乖離せずに行い得ることが理解される。
図1
図1A
図1B
図1C
図2
図2A
図3
図4