IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インクの特許一覧

特許7508590ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ
<>
  • 特許-ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ 図1
  • 特許-ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ 図2
  • 特許-ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ 図3
  • 特許-ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ 図4
  • 特許-ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ネットワーク検知アーキテクチャにおける物理層セキュリティ
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/071 20130101AFI20240624BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20240624BHJP
   H04B 10/27 20130101ALI20240624BHJP
【FI】
H04B10/071
H04J14/02
H04B10/27
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022570269
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021032362
(87)【国際公開番号】W WO2021236426
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】63/026,214
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/320,187
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ミン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-113413(JP,A)
【文献】特開2011-024095(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189192(WO,A1)
【文献】特開平02-141641(JP,A)
【文献】特開2006-211639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0045389(US,A1)
【文献】特開2013-046162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/071
H04J 14/02
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理層セキュリティを提供する分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムの構成であって、
1つまたは複数の光ネットワークユニット(ONU)と光通信し、前記DFOSのインタロゲータパルスおよび後方散乱信号と同時に光通信トラフィックを搬送する光センシングファイバと、
光パルスを生成し、該光パルスを前記光センシングファイバに導入し、前記光センシングファイバから後方散乱信号を受信する光インタロゲータユニットと、
前記光センシングファイバ上の前記光インタロゲータユニットと前記1つまたは複数のONUのうちの特定の1つとの間に挿入された光学フィルタと、
前記光インタロゲータユニットが受信した前記後方散乱信号からセンシング情報を決定する解析装置とを有し、
前記光学フィルタは、前記インタロゲータパルスの特定の所定の波長のみが前記特定の1つのONUに到達することを可能にするように構成され、
前記光インタロゲータユニットは、
前記インタロゲータパルスに対応する前記後方散乱信号を受信/検出/分析し、
前記光センシングファイバに導入する、前記1つまたは複数のONUのうちの特定の1つに関連付けられた所望の波長を示す前記インタロゲータパルスを生成する波長可変レーザと、
前記1つまたは複数のONUのうちの特定の1つに関連付けられた前記波長の前記後方散乱信号のみをフィルタリングするように構成された波長可変フィルタとを有するDFOSシステム。
【請求項2】
請求項に記載のDFOSシステムにおいて、さらに、
前記波長可変フィルタの中心周波数が前記波長可変レーザの中心周波数と整合するように、前記波長可変フィルタを調整するように構成されたコントローラを有するDFOSシステム。
【請求項3】
請求項に記載のDFOSシステムにおいて、
前記波長可変フィルタの前記中心周波数および前記波長可変レーザの前記中心周波数は、前記1つまたは複数のONUのうちの特定の1つに関連付けられる、DFOSシステム。
【請求項4】
請求項に記載のDFOSシステムにおいて、さらに、
コヒーレント検出器を有するDFOSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光ネットワーキングに関する。より詳細には、本発明は、物理層セキュリティを提供するために光通信ネットワーク上で同時に動作する分散型光ファイバセンシング(DFOS)に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、数百万マイルの光ファイバケーブルが通信システムの一部として設置されている。過去30年間だけで、通信事業者は、例えば、インターネットトラフィックを含む通信をサポートするために、大規模な光ファイバインフラストラクチャを構築してきた。
【0003】
より最近では、分散型光ファイバセンシングの広い領域で大きな進展がなされており、これは、インフラ監視、石油・ガスの運用および地震検知を含む何れか多くのアプリケーションに適用された場合に、大きな有用性を示している。そのようなDFOSシステムおよび方法は、生の通信トラフィックを搬送する光通信ネットワーク上で動作することが示されている。
【0004】
このような光ネットワークは、単一の通信機能を提供するだけでなく、センシング機能も提供することを考えると、センシングデータ/情報のセキュリティは、通信データと同様に極めて重要であり得る。現在、このようなDFOSデータは、物理層での異なるタイプの攻撃、すなわち、物理的インフラストラクチャ攻撃、妨害、盗聴、傍受に対して脆弱である。
【発明の概要】
【0005】
光ネットワークの物理層上のフィルタリングに基づくセキュリティを含む分散型光ファイバセンシング機能を提供する光ネットワークのためのシステム、方法、および構造を対象とする本開示の態様によって上述の問題は解決される。
【0006】
従来技術とは対照的に、本開示の態様による、システム、方法、および構造は、インタロゲータ内の可変同調機構を採用し、同一光ファイバ設備上の分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムと同時に能動型通信ネットワークの一部として動作する各光ネットワークユニット(ONU)からセンシング情報を抽出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のより完全な理解は、添付図面を参照することによって実現され得る。
【0008】
図1】当技術分野で一般的に知られているような、分散型光ファイバセンシング(DFOS)のための例示的な従来技術の分散型光ファイバセンシングシステムの概略図を示す図である。
【0009】
図2】本開示の態様による、既存のデータ通信ネットワーク-受動光ネットワーク(PON)例-上に付加された例示的なセンシング層の概略図を示す図である。
【0010】
図3】本開示の態様による、ネットワークのための例示的な詳細の概略図を示す図である。
【0011】
図4】本開示の態様による、例示的な局部発振器選択(LO選択)DFOSシステムの概略図を示す図である。
【0012】
図5】本開示の態様による、システム、方法、および構造の高レベルの態様を示す概略ブロック図を示す図である。
【0013】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で実施することができ、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0015】
さらに、本明細書に列挙されるすべての実施例および条件付き言語は、読者が本開示の原理および本発明者によって当該技術分野を促進するために寄与される概念を理解するのを助けるための教育目的のためにのみ意図され、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0016】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態を列挙する本明細書のすべての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図する。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。
【0017】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図は、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことが当業者には諒解されよう。
【0018】
本明細書で明示的に指定されない限り、図面を含む図は、一定の縮尺で描かれていない。
【0019】
いくつかの追加的背景として-および当技術分野で一般的に知られている例示的な分散型光ファイバセンシングシステム(DFOS)の概略図である図1を参照して-我々は、まず、分散型光ファイバセンシング(DFOS)が、温度(分散型温度センシング-DTS)、振動(分散型振動センシング-DVS)、伸張レベルなどの環境条件を検出するための重要で広く使用されている技術であり、それは、今度はインタロゲータに接続される光ファイバケーブルに沿った任意の場所であることに着目することから始める。周知のように、現代のインタロゲータは、ファイバへの入力信号を生成し、反射/散乱され、続いて受信された信号を検出/分析するシステムである。信号を分析し、ファイバの長さ方向に沿って遭遇する環境条件を示す出力を生成する。そのように受信された信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、およびブリリオン後方散乱のようなファイバ内の反射から生じることがある。また、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号にすることもできる。一般性を損なうことなく、以下の説明では、同様のアプローチを転送された信号にも適用することができるが、反射された信号を仮定する。
【0020】
理解されるように、現代のDFOSシステムは、周期的に光パルス(または任意の符号化信号)を生成し、それらを光ファイバに注入するインタロゲータを含む。注入された光パルス信号は、光ファイバに沿って搬送される。
【0021】
ファイバの長さ方向に沿った位置で、信号の小さな部分が反射され、インタロゲータに戻って搬送される。反射された信号は、インタロゲータが検出するために使用する情報、例えば、機械的振動を示すパワーレベル変化を搬送する。
【0022】
反射された信号は、電気領域に変換され、インタロゲータの内部で処理される。パルス注入時間および時間信号が検出されることに基づいて、インタロゲータは、信号がファイバに沿ったどの位置から来ているかを決定し、それにより、ファイバに沿った各位置の活動を検知することができる。
【0023】
当業者は、レイリー後方散乱に基づくコヒーレント光時間領域反射率測定(OTDR)を用いた分散型音響センシング(DAS)は、音響振動を検出するための良く知られた技術であることを理解し、さらに認識するだろう。
【0024】
図2は、本開示の態様による、既存のデータ通信ネットワーク-受動光ネットワーク(PON)の例-上に付加された例示的なセンシング層の概略図を示す。その図を参照すると、例示的な高度な光センシングシステム(102)が、個々のONUのための遠隔監視を提供する中央オフィス(1.1)内に便宜的に配置された、波長可変DFOSシステム(103)およびA.I.解析装置(104)を含むことが観察され得る。
【0025】
具体的に示されていないが、当業者は、ここで示され説明されているようなセンシングシステムが、ダークファイバ、すなわち、通信または他のトラフィックを搬送しない敷設された光ファイバを使用することによって、PONネットワークなどの既存のネットワークアーキテクチャに容易に統合され得ることを容易に理解し、認識するであろう。
【0026】
典型的には、図示のようなPONシステムは、サービスを各ONUに配信するために、フィーダファイバ(201)、スプリッタ(202)、および分配ファイバ(203)を含む。示されているような例示的な構成では、各ONUに対して異なる周波数帯で動作する光学フィルタ(204)を採用することができる。さらに、サービスプロバイダのみが個々のONUの特定の周波数帯域を知っているため、ONUへの特定の光リンクは一般に安全である。そして、信号盗聴はネットワーク内でまだ起きる可能性があるが、「盗聴者」は使用されている特定のONUの特定の周波数帯域を認識しないため、信号源(ONUからのセンシング信号)は不明である。
【0027】
図3は、本開示の態様による、ネットワークのための例示的な詳細の概略図を示す。図に示される詳細は、本開示の態様によるフィルタリングベースの物理層セキュリティを示す。
【0028】
図に例示的に示されるように、波長可変DFOSシステムが、例示的なセンシングファイバおよび例示的なONUと共に示され、両方がセンシングファイバに光学的に接続される。当業者によって知られ、理解されるように、DFOSシステムインタロゲータは、1つまたは複数の波長でセンシング信号を発し、インタロゲーティング波に対応する後方散乱信号を受信/検出/分析する。前述のように、個々のONUは、ONU特有の波長信号で問い合わせることができる。
【0029】
図示されるように-例示的なDFOSシステム内で-固定周波数を有する分散型帰還レーザ(DFB-LD)の代わりに、波長可変レーザ(TL)を使用して、センシングパルスを生成する。動作中、パルス波長は変更され、DFOSパルス周波数に調整される。TLの波長可変範囲(λ1、λ2...λn)は、光学フィルタまたはファイバブラッググレーティング(FBG)によって提供される使用地(光ネットワーク)の周波数帯に依存する。
【0030】
例えば、10のOUNをカバーする10kmの検知距離に対してDFOSシステムのパルス周波数が20kHzである場合、TLの周波数は20kHzごとにλ1からλ10へ変化する。フィルタ(またはFBG)の事前定義された周波数帯域の後、ONU1およびONU2からのセンシング情報は、それぞれλ1およびλ2の後方散乱信号によって搬送される。
【0031】
DFOS受信では、波長可変フィルタ(TF)が、個々のONUからの信号を選択するために使用される。TFの中心周波数は、コントローラによってTLに整合される。通常の状況では、TLおよびTFは、センシングアプリケーション用のONUのセット全体をカバーするように掃引される。しかしながら、一例としてONUlにおける特別なケースでは、TLおよびTFは、緊密な監視のためにλ1に同調され得る。
【0032】
図4は、本開示の態様による、例示的な局部発振器選択(LO選択)DFOSシステムの概略図を示す。コヒーレント検出により、高度な通信技術がDFOSシステムに適用されることに留意されたい。LO(局部発振器)選択法は、異なるONUからのセンシング信号を選択するために、提案した方式で使用できる。この場合、受信機側の波長可変フィルタを取り外すことができる。
【0033】
図5は、本開示の態様による、システム、方法、および構造の高レベルの態様を示す概略ブロック図を示す。その図に例示的に示されるように、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、波長可変DFOS技術を採用することによって、通信ネットワーク上で動作するDFOSシステムに物理層セキュリティを提供し、光波長可変フィルタは、インタロゲータ波長を、サービスの個々のロケーションに存在し得る個々の光ネットワークユニット(ONU)に整合させるために使用される。あるいは、LO選択技法およびコヒーレント検出を使用することができる。
【0034】
動作上、光スプリッタ、ファイバブラッググレーティングを含むフィルタリング構成要素は、インタロゲータとONUとの間のDFOSセンサネットワーク内に配置される。そのように構成されると、後方散乱信号は、フィルタリング構成要素によって決定される特定のONUに固有の波長である。このONU特異性を考慮すると、DFOSセンシング情報は、個々のONUおよびインタロゲータとそのONUとの間の光経路に特異的である。
【0035】
この時点で、いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者は、本教示がそのように限定されないことを認識するであろう。したがって、この開示は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5