(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】マウスガード
(51)【国際特許分類】
A61F 5/56 20060101AFI20240624BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61F5/56
A61C19/00 M
(21)【出願番号】P 2022580089
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 AU2021050620
(87)【国際公開番号】W WO2021258129
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】522497515
【氏名又は名称】ピースフルスリープ・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ヌグエン
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-095218(JP,A)
【文献】特開平02-001261(JP,A)
【文献】特開2018-183246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/56
A61C 7/08,19/00
A61M 16/06
A63B 71/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の歯を歯ぎしりから保護するためのマウスガードであって、
(a)前記装着者の第1の歯列の少なくとも一部を受け入れるように構成されたキャビティと、
(b)前記装着者の第2の歯列に向かって延びるガイドであって、使用中、前記装着者が歯を合わせると、上下の顎の前歯の位置が互いに実質的に合うように、前記第2の歯列の顎を案内するように構成され
、空気が流れることが可能な開口部を備えるガイドと、
(c)使用中、前記装着者が歯を合わせると、前記第2の歯列の前歯に当接するように構成された、前記ガイドの基部における噛みつき領域と
を備えるマウスガード。
【請求項2】
前記噛みつき領域は、使用中、前記装着者が前記噛みつき領域を噛むと、前記噛みつき領域が前記上下の顎の前歯を互いに一定距離に維持するように、前記キャビティから離間している、請求項1に記載のマウスガード。
【請求項3】
装着者の上の歯列を少なくとも部分的に覆って装着されるように構成され、前記ガイドは、前記装着者の下の歯列に向かって後方および下方に延びる傾斜面を備え、それによって、使用中、前記装着者が歯列を合わせようとすると、前記装着者の下の歯列の前歯は、前記ガイドの下端に接触し、前記装着者の上の歯列の前歯と実質的に位置が合うとともに当該上の歯列の前歯と離間するように前方に案内される、請求項1または2に記載のマウスガード。
【請求項4】
外側シェル部分と、前記外側シェル部分に固定可能である成形可能な内側部分とを備え、前記成形可能な内側部分は、前記装着者の歯に沿って変形するように構成された前記キャビティを備える、請求項1乃至
3のうちいずれか1項に記載のマウスガード。
【請求項5】
前記噛みつき領域は、
(a)前記キャビティと前記ガイドとの間に配置された少なくとも部分的に中空の段であって、1または複数の開口部を備える段と、
(b)前記内側部分から下方に延び、前記中空の段に挿入可能であり、前記装着者の歯に当接するための前記噛みつき領域の表面を画定するために前記段の1または複数の開口部を通って滲出可能である、全体的に柔軟な足部と
を備える、請求項
4に記載のマウスガード。
【請求項6】
前記マウスガード内で前記装着者の歯を位置決めするように構成された1または複数の溝またはリッジを更に備える、請求項1乃至
5のうちいずれか1項に記載のマウスガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ぎしりを防ぐためのマウスガードに関する。本発明の実施形態において、マウスガードは、たとえば顎関節機能障害やいびきなどの他の問題に対処し、その重症度を軽減することもできる。
【背景技術】
【0002】
歯ぎしりは、多くの場合は意図せず、典型的には睡眠中に歯を擦り合わせる行為を指す。歯ぎしりは、顎を噛み合わせて上下の歯を前後に動かす無意識の行動である。この歯の摺り合わせにより、様々な問題の中でも特に、筋肉痛、関節機能障害、頭痛、歯の損傷などが引き起こされ得る。歯の擦り合わせがもたらす問題に対処するために、マウスガードが開発されている。
【0003】
しかし、既存の市販のマウスガードはサイズが合わないことが多く、一方、カスタマイズされたマウスガードには、歯科医師または他の技術者や医師によるサービスが必要であり、費用がかかる。費用に加えて、それらは一般に嵩張りやすく、発語や呼吸の能力を損なうことがあり、特にいびきをかく傾向のある人や睡眠時無呼吸症候群を患っている人の場合、呼吸能力は睡眠中に特に重要である。また、いびきをかく傾向のある人は、いびきに抗うための口腔内インサートを既に装着している場合があるが、これによって歯ぎしりに関連する問題は軽減されない。
【0004】
既存のマウスガードは、単純に、装着者が自身の歯ではなくマウスガードを噛み、歯を擦り付けることを可能にする。既存のマウスガードは、装着者の顎(複数も可)の位置を正しく戻したり、実質的に変えたりするものではないので、装着者は、歯と歯を直接接触させることはないが、顎を強く噛み合わせることはでき、その結果、頭痛や長期の筋肉痛および関節機能障害が引き起こされ得る。また、装着者は、(自身の歯ではなく)マウスガードに対し歯を擦り付けているため、これらのマウスガードは最終的には摩耗し、交換が必要になり得る。
【0005】
上記に対処し、および/または少なくとも有用な代替案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によると、装着者の歯を歯ぎしりから保護するためのマウスガードが提供され、このマウスガードは、
(a)装着者の第1の歯列の少なくとも一部を受け入れるように構成されたキャビティと、
(b)装着者の第2の歯列に向かって延びるガイドであって、使用中、装着者が歯を合わせると、上下の顎の前歯の位置が互いに実質的に合うように、第2の歯列の顎を案内するように構成されたガイドと、
(c)使用中、装着者が歯を合わせると、第2の歯列の前歯に当接するように構成された、ガイドの基部における噛みつき領域と
を備える。
【0007】
マウスガードの実施形態において、噛みつき領域は、使用中、装着者が噛みつき領域を噛むと、噛みつき領域が上下の顎の前歯を互いに一定距離に維持するように、キャビティから離間している。
【0008】
マウスガードの実施形態において、マウスガードは、装着者の上の歯列を少なくとも部分的に覆って装着されるように構成され、ガイドは、装着者の下の歯列に向かって後方および下方に延びる傾斜面を備え、それによって、使用中、装着者が歯列を合わせようとすると、装着者の下の歯列の前歯は、ガイドの下端に接触し、装着者の上の歯列の前歯と実質的に位置が合うとともに当該上の歯列の前歯と離間するように前方に案内される。
【0009】
マウスガードの実施形態において、ガイドは、空気が流れることが可能な開口部を備える。
【0010】
マウスガードの実施形態において、マウスガードは、外側シェル部分と、外側シェル部分に固定可能である成形可能な内側部分とを備え、成形可能な内側部分は、装着者の歯に沿って変形するように構成された上記キャビティを備える。
【0011】
マウスガードの実施形態において、噛みつき領域は、
(a)キャビティとガイドとの間に配置された少なくとも部分的に中空の段であって、1または複数の開口部を備える段と、
内側部分から下方に延び、中空段に挿入可能であり、装着者の歯に当接するための噛みつき領域の表面を画定するために段の1または複数の開口部を通って滲出可能である、全体的に柔軟な足部と
を備える。
【0012】
マウスガードの実施形態において、マウスガードは、マウスガード内で装着者の歯を位置決めするように構成された1または複数の溝またはリッジを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施形態は、以下、添付図面を参照して、単に例として説明される。
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るマウスガードの側面斜視図である。
【
図2(a)】
図1のマウスガードの内側構成要素の正面斜視図である。
【
図2(b)】
図1のマウスガードの外側構成要素の正面斜視図である。
【
図3(a)】
図2(b)の外側構成要素の上面図である。
【
図3(b)】
図2(a)の内側構成要素の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るマウスガード2が
図1に示される。マウスガード2は、装着者の歯を歯ぎしりから保護するように構成される。図示される実施形態において、マウスガード2は、装着者の上の歯列に適合するように構成され、装着者の下顎を、両顎の前歯が互いに位置を合わせつつ離間した位置に案内する傾斜面を提供する、下方に延びるガイド6を備える。特に、自然に口を閉じて歯を合わせた場合の人間の下顎の位置と比較して、マウスガード2の装着中にユーザが歯を合わせようとした時、下顎は、下顎の前歯が上顎の前歯と実質的に位置が合いつつも離間しているように、下方および前方に案内される。装着者の下顎をこの位置に置くことが、歯ぎしりおよびそれに起因する問題に抗うために役立ち、いびきおよび/または顎関節機能障害(TMD)の軽減や解消にも役立ち得る。
【0016】
本発明の好適な実施形態において、マウスガード2は、2つの構成要素8、10から形成され、各々がそれぞれ
図2(a)および
図2(b)に示される。
図2(a)は、マウスガード2の第1または内側の構成要素8を示す。内側構成要素8は、装着者の歯を受け入れるための表面を備える。図示される実施形態において、この表面は、下側平面壁18によって相互接続された湾曲した対向側壁12(
図3(b)を参照)によって形成されたU字形チャネル4(
図4(a)を参照)の一部である。
【0017】
断面図から、チャネル4は、略U字形である。平面図から、内側構成要素8もまた略U字形である。当然、最終的に歯を受け入れる表面は、U字形チャネル4の一部である必要はない。たとえば、内側構成要素8は、L字形またはフック形状の断面を有してよく、この場合、歯が噛みつく表面は、L字形またはフック形状の断面の短辺によって画定され得る。
【0018】
内側構成要素8(特に装着者の歯を受け入れるチャネル部4)の大部分ではなくとも少なくとも一部は、成形可能なパテ状の材料で形成され得る。たとえば、成形可能な材料は、EVA(エチレンビニルアセテート)であってよい。したがって内側構成要素8は、装着者の上歯および/または歯茎に適合するように形作られることが可能である。たとえば、内側構成要素8は、内側構成要素8が成形可能になるように温水または熱水に浸漬され、装着者は、内側構成要素8が冷えて硬化した時にユーザの上歯および/または歯茎の型を保持するように、内側構成要素8のチャネル4に噛みついて上歯に優しく押し付けることができる。
【0019】
マウスガード2の第2または外側の構成要素10は、
図2(b)に示すように、比較的剛性の高い外側シェル10を備える。また外側構成要素10は、下側平面壁17によって相互接続された湾曲した対向側壁16によって形成されたU字形チャネル14(
図3(a)を参照)も備える。外側構成要素10のチャネル14は、
図2(a)の内側構成要素8を受け入れるように構成される。図示される例において、
図2(a)の内側構成要素は、下降して、
図2(b)の外側シェル構成要素10に挿入され得る。
【0020】
各構成要素8、10には、内側成形可能構成要素8が外側シェル構成要素10に固定された状態を維持することを可能にする連結構造が設けられ得る。たとえば、図において、内側構成要素8のU字形チャネル4の下側平面18には、弾性突起20が設けられ、外側シェル構成要素10のチャネル14の内部には、内側構成要素8のそれぞれの突起20を受け入れるように構成された相補的な貫通孔22が設けられる。このように、相補的な突起20および凹部22は、マウスガード2の内側構成要素8と外側構成要素10との間の堅固な機械的連結を可能にする。
【0021】
突起20は、2つの構成要素8、10間の連結を可能にするための任意の適当な形状であってよい。たとえば突起20は、円筒形、長方形、および/または下側外方に先細りした形状を有してよい。相補的な貫通孔22は、突起20と締り嵌めを形成してよい。
【0022】
当然、2つの構成要素8、10を固定する他の形態は、本特許明細書の範囲内である。たとえば、2つの構成要素8、10を結合させるために接着剤が塗布され得る。あるいは、相補的な溝およびリッジのシステムによって2つの構成要素8、10を互いに係合させることも可能である。
【0023】
マウスガード2の2つの構成要素8、10は、互いの係合状態を導き固定するために役立つ追加の特徴を有してもよい。図示される実施形態において、U字形チャネル4、14の後側アームの各々の内側および外側は、互いに係合するように構成された相補的な傾斜面24a、24b、26a、26bを備えてよい。たとえば、
図2(a)を参照すると、第1の構成要素8の後端の外側は、傾斜面24aを備え、
図2(b)を参照すると、第2の構成要素10の後端の外側は、
図1に示すように傾斜面24aと係合するように構成された相補的な傾斜面24bを備える。同様に、第1の構成要素8の後端の内側は、第2の構成要素10の後端の内側にある相補的な傾斜面26bと係合するように構成された傾斜面26aを備える(
図1、
図2(a)、および
図3(a)を参照)。
【0024】
マウスガード2の特定の実施形態において、2つの構成要素8、10は、互いに分離できないように構成され得る。しかし他の実施形態において、マウスガード2は、2つの構成要素8、10が互いに分離可能であるように構成することができ、これは、装着者が自身のマウスガード2の特定の特性の変更を所望する場合に有利である。たとえば、装着者は、特定の色やデザインのシェル10を使用することを望む場合があり、あるいは、特定の案配に関連する内側構成要素8を使用することを望む場合もある。
【0025】
内側成形可能構成要素8は、マウスガード2が装着者の歯に快適にフィットすることを可能にする役割を果たす。内側構成要素8は、外側シェル構成要素10内に確実に収まることにより、それ自体が歯ぎしりから保護される。特に、装着時(たとえば睡眠中)、マウスガード2は、以下で説明するように、装着者の4つの最前歯が互いに実質的に整列するように装着者の下顎を下方および前方に案内する。
【0026】
外側シェル構成要素10は、装着者の下顎を案内するためのガイド6を備える。ガイド6は、装着者の視点から後方に傾斜する、下方に延びる突出部材を備える。ガイド6は、装着者が歯を合わせると装着者の下顎を下方および前方にもたらすのを助ける傾斜面28を提供する。特に、装着者の歯列が離れている時、擦り合わせは起こらないが、装着者が口を閉じ、下歯を上歯の方に持ち上げると、下顎の最前歯が最初にガイド6の下端および/または外面30に接触する。装着者が口を閉じ続け、ガイド6の湾曲面28に沿って歯を動かすと、傾斜面28が下前歯を案内することによって下顎を下方および前方に案内する。このように、装着者が顎を動かして歯を噛み合わせようとしても、マウスガード2は、下顎の前歯が上顎の前歯と実質的に整列するように下顎を下方および前方にもたらすように作用する。この位置において、マウスガードは、咀嚼筋を閉じることによる過度の筋肉収縮を妨げ、または防ぎ、その結果、歯ぎしりに起因する頭痛、顎関節機能障害、および他の関連する問題の可能性を低減する。
【0027】
図示される実施形態において、ガイド6は、装着者の下前歯の湾曲した配置に一致するように構成された湾曲形状を有する。よって、装着者が口を閉じると、ガイド6の湾曲形状もまた、装着者の下顎を中心に合わせるために役立つ。
【0028】
装着者の顎を下方に維持することを支援するために、マウスガード2には、外側シェル構成要素10の中央前部領域から下方に延びる、隆起した噛みつき可能な表面、プラットフォーム、または段32が設けられ得る。そうすると、装着者が歯を噛み合わせようとしても、ガイド6によって下顎が前方に動くことに加えて、プラットフォーム32が装着者の上下の顎の前歯を互いに一定の距離に保つことにより、装着者の下顎は下がった位置に保持される。これは、装着者の気道を大きく開くことにより、いびきの傾向を緩和または解消するために役立つという利点を有する。この顎の整復は、装着者の舌を下方および前方にもたらすのを助け、それによって装着者の気道が開いた状態に維持され、いびきの軽減に役立つことができる。
【0029】
段32の噛みつき可能な表面34(
図1および
図4(b)を参照)は、装着者が歯を強く噛み合わせようとした場合、装着者の下前歯を受け入れ、または下前歯に当接するように構成される。この領域34は、噛みつくことで装着者の歯が損傷しないように柔らかい材料で形成され得る。図示される実施形態において、噛みつき可能な領域は、傾斜ガイド6の基部36に設けられた平面34の形態である。たとえば、
図2(b)を参照すると、外側構成要素10には、柔軟な噛みつき可能材料34を保持するための円形開口部38および/またはスロット40が設けられ得る。
【0030】
図3(a)は、外側シェル構成要素10の上面図を示す。下方に延びる段32の内部42は実質的に中空であり、内側構成要素8の中央前部領域に形成された相補的な突出足部44を受け入れるように構成される。足部44は、上方から段32の中空42に直接差し込まれることにより、2つの構成要素8、10の更なる連結をもたらし得る。
【0031】
本発明の実施形態において、たとえば突出足部44などの内側構成要素8の前部中央領域は、段32の中空42に堅固に押し込むことができる柔軟または成形可能なパテ状の材料で形成された平面領域46を備えてよい。圧力が加えられると、柔軟性材料46は、外側構成要素10の開口部38およびスロット40を通って滲出し、その後、
図1に示すように、柔らかい噛みつき可能平面34を形成するために成形され得る。
【0032】
マウスガード2の実施形態において、ガイド6には、中央貫通孔または開口部48も設けられ、これを通って装着者の口内への空気の流入が可能である。よって、装着者の口がほぼ閉じていて下前歯が噛みつき可能なプラットフォーム領域34に接している場合でも、空気はガイド6の開口部48を通って妨げられることなく移動できるので、マウスガード2またはガイド6によって呼吸が妨げられることはない。
【0033】
マウスガード2の実施形態において、マウスガード2の上側中央部は、装着者の上唇小帯のための場所を空けるために、わずかに湾曲した窪み50を有して形成され得る。図示される実施形態において、マウスガード2の内側構成要素8および外側構成要素10の両方の中央前部領域に溝50が形成される。
【0034】
上記実施形態の多数の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかである。たとえば、マウスガード2は、装着者の要望に合うように任意の範囲のサイズ、幅、および長さであってよい。
【0035】
マウスガード2の実施形態において、ガイド6の位置および/または延長は調節可能であってよい。たとえば、ガイド6は、外側構成要素10に調節可能かつ移動可能に固定され、または取り付けられ得る。したがって、装着者の視点から、ガイド6は、装着者の顎の構成により良く適合するように前方または後方に動かされ得る。ガイド6は、装着者の顎により良く適合するように前方または後方に傾けることができるように、角度が調節可能であるように構成されてもよい。
【0036】
ガイド6および/またはプラットフォーム32が下方に突出する範囲もまた調節され得ることが想定される。たとえば、ガイド6および/またはプラットフォーム32は、プラットフォーム32に噛みつく時の装着者の前歯の間隔を大きくするために、装着者の下顎の方向に下方に延長または調節され得る。
【0037】
また、マウスガード2は、下歯に装着され得ることも想定され、その場合、ガイド6は上方に延びるが、装着者が歯を閉じ合わせる時に下顎を下方および前方にもたらすように上歯に当接する。
【0038】
マウスガード2が噛みつき可能なプラットフォーム領域32を有する必要はなく、ガイド6が空気流開口部48を有する必要はない。ガイド6自体が湾曲形状を有する必要はなく、代わりに、単に装着者の視点から後方に角度の付いた比較的平坦なタブ状の突起であってもよい。
【0039】
特定の実施形態において、マウスガード2は、必ずしも2つの個別の構成要素8、10を必要とするわけではない。たとえば、外側構成要素10を装着することによって歯ぎしりからの保護が可能であり、顎関節機能障害やいびきなどの問題の緩和に役立つ場合がある。そのような実施形態において、マウスガード2のチャネル14は、装着者の歯および歯茎に対してより快適であるように比較的柔らかい材料で形成され得る。
【0040】
図示される実施形態において、マウスガードのチャネル(たとえばそれぞれ内側および外側構成要素8、10のチャネル4、14)は、実質的に連続した対向壁12、16によって一部が画定される。ただし、これらの壁12、16は連続的である必要はなく、ユーザの歯茎および/または歯と接触するマウスガード2の表面積を小さくするために開口部または切れ目を有してよい。マウスガード2の側壁12、16の高さは、装着者の歯茎と接触し、またはその一部を覆うように延びてよいが、他の実施形態では、側壁12、16は歯茎と全く接触しなくてよい。
【0041】
マウスガード2の特定の実施形態において、内側構成要素8の内面、たとえば対向する側壁12の1つの内面は、内側構成要素8内にユーザが適切に歯を置くことを促す1または複数の溝またはリッジを備えてよい。たとえば、内側構成要素8の中央前部の内面から略垂直でわずかに隆起したリッジが突出してよく、装着者の2本の上前歯間の隙間に位置するように構成される。
【0042】
本明細書および以下に示す特許請求の範囲を通して、文脈上必要でない限り、「備える」(”comprise”)という言葉および”comprises”や”comprising”といったその変形は、記載された整数やステップまたは整数やステップのグループを含むことを示し、他の任意の整数やステップまたは整数やステップのグループを排除するものではないと理解される。
【0043】
本明細書における任意の先行出版物(またはそこから派生した情報)または既知の事項への言及は、その先行出版物(またはそこから派生した情報)や既知の事項が、本明細書に関連する試みの分野における共通した一般知識の一部を形成することを承認し、または認めるもの、あるいは何らかの形で示唆するものと見なされず、見なされてはならない。
本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を以下に付記する。
[1]
装着者の歯を歯ぎしりから保護するためのマウスガードであって、
(a)前記装着者の第1の歯列の少なくとも一部を受け入れるように構成されたキャビティと、
(b)前記装着者の第2の歯列に向かって延びるガイドであって、使用中、前記装着者が歯を合わせると、上下の顎の前歯の位置が互いに実質的に合うように、前記第2の歯列の顎を案内するように構成されたガイドと、
(c)使用中、前記装着者が歯を合わせると、前記第2の歯列の前歯に当接するように構成された、前記ガイドの基部における噛みつき領域と
を備えるマウスガード。
[2]
前記噛みつき領域は、使用中、前記装着者が前記噛みつき領域を噛むと、前記噛みつき領域が前記上下の顎の前歯を互いに一定距離に維持するように、前記キャビティから離間している、[1]に記載のマウスガード。
[3]
装着者の上の歯列を少なくとも部分的に覆って装着されるように構成され、前記ガイドは、前記装着者の下の歯列に向かって後方および下方に延びる傾斜面を備え、それによって、使用中、前記装着者が歯列を合わせようとすると、前記装着者の下の歯列の前歯は、前記ガイドの下端に接触し、前記装着者の上の歯列の前歯と実質的に位置が合うとともに当該上の歯列の前歯と離間するように前方に案内される、[1]または[2]に記載のマウスガード。
[4]
前記ガイドは、空気が流れることが可能な開口部を備える、[1]乃至[3]のうちいずれか1つに記載のマウスガード。
[5]
外側シェル部分と、前記外側シェル部分に固定可能である成形可能な内側部分とを備え、前記成形可能な内側部分は、前記装着者の歯に沿って変形するように構成された前記キャビティを備える、[1]乃至[4]のうちいずれか1つに記載のマウスガード。
[6]
前記噛みつき領域は、
(a)前記キャビティと前記ガイドとの間に配置された少なくとも部分的に中空の段であって、1または複数の開口部を備える段と、
(b)前記内側部分から下方に延び、前記中空の段に挿入可能であり、前記装着者の歯に当接するための前記噛みつき領域の表面を画定するために前記段の1または複数の開口部を通って滲出可能である、全体的に柔軟な足部と
を備える、[5]に記載のマウスガード。
[7]
前記マウスガード内で前記装着者の歯を位置決めするように構成された1または複数の溝またはリッジを更に備える、[1]乃至[6]のうちいずれか1つに記載のマウスガード。