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特許7508627光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/04 20060101AFI20240624BHJP
   G09F 9/305 20060101ALN20240624BHJP
   G09F 13/00 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
G02B6/04 D
G02B6/04 F
G09F9/305
G09F13/00 F
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023045964
(22)【出願日】2023-03-22
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】112104370
(32)【優先日】2023-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513247101
【氏名又は名称】和碩聯合科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林羽倫
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-225286(JP,A)
【文献】特表平10-505923(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0002608(KR,U)
【文献】登録実用新案第3110730(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0030757(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/04
G09F 9/305
G09F13/00 -13/46
E01F 9/00 - 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と、前記先端とは反対側の後端と、前記先端と前記後端を貫通する光ファイバ埋込チャネルと、を有する光ファイバ埋込キャリアと、
前記光ファイバ埋込チャネルをスライド可能に通過する光ファイバ埋込針と、
前記光ファイバ埋込針に結合され、前記光ファイバ埋込針を駆動して前記光ファイバ埋込チャネル内をスライドさせるために使用されるドライバと、
前記光ファイバ埋込キャリアの前記先端と前記後端との間に配置され、複数の光ファイバを収納するために使用され、前記光ファイバ埋込チャネルの延伸経路上に位置する底部開口を有し、少なくとも1つの前記光ファイバが前記底部開口から露出する、少なくとも1つの光ファイバカセットと、
を備える光ファイバ埋込装置。
【請求項2】
前記光ファイバ埋込針は、中空本体と、空気圧弁と、弾性イジェクタと、を備え、前記弾性イジェクタと前記空気圧弁とは、前記中空本体の対向する第1端と第2端にそれぞれ設置され、前記空気圧弁は、前記弾性イジェクタが前記中空本体から前記第1端に突出するように、前記中空本体を通して前記弾性イジェクタを加圧する、
請求項1に記載の光ファイバ埋込装置。
【請求項3】
前記中空本体の前記第1端は、前記光ファイバを前記中空本体に位置決めするに使用される溝を有する、
請求項2に記載の光ファイバ埋込装置。
【請求項4】
前記弾性イジェクタが前記第1端から突出するとき、前記弾性イジェクタの幅は、前記空気圧弁から離れる方向に徐々に縮小する、
請求項2に記載の光ファイバ埋込装置。
【請求項5】
前記光ファイバ埋込キャリアは、前記先端と前記後端との間に位置する少なくとも1つの位置決めスロットをさらに備え、前記少なくとも1つの位置決めスロットは、前記光ファイバ埋込チャネルと連通し、前記光ファイバカセットを着脱可能に設置するために供され、前記光ファイバカセットの前記底部開口は、前記少なくとも1つの位置決めスロット内に位置し、且つ、前記光ファイバ埋込針が前記後端から前記先端にスライドするとき、前記少なくとも1つの位置決めスロットを通過する、
請求項1に記載の光ファイバ埋込装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの位置決めスロットの数は複数であり、前記複数の位置決めスロットは前記光ファイバ埋込チャネルに沿って並設され、前記少なくとも1つの光ファイバカセットの数は複数であり、前記複数の光ファイバカセットはそれぞれ前記複数の位置決めスロットに対応して設置され、且つ、前記複数の光ファイバカセットの幅は、前記後端から前記先端に向けて徐々に縮小する、
請求項5に記載の光ファイバ埋込装置。
【請求項7】
第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面を貫通する複数の貫通孔を有するワークピースを提供することと、
光ファイバ埋込針を光ファイバ埋込キャリアに取り付けることと、
前記光ファイバ埋込キャリアに取り付けられた前記光ファイバ埋込針を前記ワークピースの前記第1の表面に対向させ、前記複数の貫通孔のうちの1つと位置決めすることと、
複数の光ファイバを有する光ファイバカセットを前記光ファイバ埋込キャリアまで移動し、且つ、前記光ファイバカセットのうちの少なくとも1本の前記光ファイバは、前記光ファイバ埋込針が前記貫通孔へ向けてスライドする経路上に位置し、
前記経路に沿って前記光ファイバ埋込針を前記貫通孔までスライドさせて、前記光ファイバを前記光ファイバカセットから前記貫通孔に通し、ここで、前記光ファイバの一部が前記第2の表面から突出することと、
前記光ファイバが前記第2の表面と同一平面上にある端面を形成するように、前記光ファイバの前記第2の表面から突出する一部が除去される、
光ファイバモジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光ファイバモジュールの製造方法であって、
前記光ファイバ埋込針は、弾性イジェクタを備え、前記製造方法は、
前記光ファイバ埋込針が前記貫通孔に接近する前に、前記弾性イジェクタを収縮状態に維持することと、
前記光ファイバ埋込針が前記貫通孔に接近したとき、前記弾性イジェクタが突出状態に切り替わり、前記貫通孔から前記光ファイバの前記一部を突き出して前記第2の表面から突出させることと、
をさらに備える、
請求項7に記載の光ファイバモジュールの製造方法。
【請求項9】
前記貫通孔から前記光ファイバ埋込針が取り外され、前記光ファイバカセットから分離されると、前記光ファイバカセット内の前記複数の光ファイバは、前記光ファイバ埋込針が前記貫通孔へ向けてスライドする前記経路に自動的に落下すること、
をさらに備える、
請求項7に記載の光ファイバモジュールの製造方法。
【請求項10】
前記光ファイバ埋込針が前記光ファイバカセットから前記貫通孔までスライドするストロークは、前記光ファイバカセットの幅の2分の1より大きい、
請求項7に記載の光ファイバモジュールの製造方法。
【請求項11】
少なくとも1つの貫通孔を備えるワークピースと、
光ファイバ埋込装置であって、
先端と、前記先端とは反対側の後端と、前記先端と前記後端を貫通する光ファイバ埋込チャネルと、を有する光ファイバ埋込キャリアと、
前記光ファイバ埋込チャネルをスライド可能に通過し、前記ワークピースの一側で前記ワークピースの前記少なくとも1つの貫通孔を位置決めする光ファイバ埋込針と、
前記光ファイバ埋込針に結合され、前記光ファイバ埋込針を駆動して前記光ファイバ埋込チャネル内をスライドさせるために使用されるドライバと、
前記光ファイバ埋込キャリアの前記先端と前記後端との間に配置され、複数の光ファイバを収納するために使用され、前記光ファイバ埋込チャネルの延伸経路上に位置する底部開口を有し、少なくとも1つの前記光ファイバが前記底部開口から露出し、前記光ファイバ埋込針は、前記ドライバにより前記後端から前記先端へスライドし、前記光ファイバを前記底部開口から前記貫通孔に通す、少なくとも1つの光ファイバカセットと、
を備える光ファイバ埋込装置と、
を備える、ファイバ埋込システム。
【請求項12】
前記光ファイバ埋込針は、中空本体と、空気圧弁と、弾性イジェクタと、を備え、前記弾性イジェクタと前記空気圧弁は、前記中空本体の対向する第1端と第2端にそれぞれ配置され、
前記空気圧弁は、前記弾性イジェクタが前記中空本体から前記第1端に突出するように、前記中空本体を介して前記弾性イジェクタを加圧し、前記光ファイバの一部は前記貫通孔を通って前記ワークピースの他側へ突出する、
請求項11に記載の光ファイバ埋込システム。
【請求項13】
前記光ファイバ埋込針が前記光ファイバカセットから前記貫通孔までスライドするストロークは、前記光ファイバカセットの幅の2分の1より大きい、
請求項11に記載の光ファイバ埋込システム。
【請求項14】
前記光ファイバ埋込装置は、前記ワークピースの他側に配置されたカッターをさらに備え、前記カッターは、前記光ファイバと前記ワークピースの前記他側が同一平面を形成するように、前記光ファイバが前記ワークピースの前記他側から突出する一部を除去する、
請求項11に記載の光ファイバ埋込システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの応用に関し、特に、光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム、及び光ファイバモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、ユーザの視覚的な五感体験を満足させるために、光の伝導に用いることができ、車両、航空機、又はその他のキャリアの内部又は外部に光ファイバモジュールを配置して、豊かな視覚効果を提示することができる。一般的に、光ファイバモジュールの製造では、まず光ファイバを埋め込むための孔をワークピースに機械的ドリル又はレーザードリル等の技術で形成する必要がある。次に、手動で光ファイバを通し、コロイドを孔に注入して光ファイバを孔に固定する。その後、手動でワークピースから突出した光ファイバの末端を手動で切断する。光ファイバモジュールの製造には多くの人手が必要なため、生産効率が低下するだけでなく、生産コストも相当に高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、生産効率を改善し、生産コストを削減するのに貢献する、光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、光ファイバ埋込装置を提示する。光ファイバ埋込装置は、光ファイバ埋込キャリアと、ドライバと、光ファイバ埋込針と、少なくとも1つの光ファイバカセットと、を備える。光ファイバ埋込キャリアは、先端と、先端と反対側の後端と、先端と後端を貫通する光ファイバ埋込チャネルと、を有する。光ファイバ埋込針は、光ファイバ埋込チャネルをスライド可能に通過し、ドライバに連結される。ドライバは、光ファイバ埋込針を駆動して光ファイバ埋込チャネル内でスライドさせるために使用される。光ファイバカセットは、光ファイバ埋込キャリアの先端と後端との間に配置され、複数の光ファイバを収納するために使用される。ファイバボックスは、ファイバ埋込チャネルの延伸経路上に底部開口を有し、少なくとも1本の光ファイバが底部開口から露出する。
【0005】
本発明は、以下の工程を備える光ファイバモジュールの製造方法を提案する。第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面を貫通する複数の貫通孔と、を有するワークピースを提供することと、光ファイバ埋込キャリアに光ファイバ埋込針を取り付けることと、光ファイバ埋込キャリアに取り付けられた光ファイバ埋込針をワークピースの第1の表面に対向させ、複数の貫通孔のうちの1つに位置合わせすることと、複数の光ファイバを有する光ファイバカセットを光ファイバ埋込キャリアに移動して、光ファイバ埋込針が貫通孔に向けてスライドする経路上に光ファイバカセットのうちの少なくとも1本の光ファイバが位置するようにすることと、光ファイバ埋込針を貫通孔に沿ってスライドさせ、光ファイバを光ファイバカセットから貫通孔に通すことであって、光ファイバの一部は第2の表面から突出することと、光ファイバが第2の表面と同一平面上にある端面を形成するように、光ファイバのうち第2の表面から突出する部分を除去することと、を備える。
【0006】
本発明は、光ファイバ埋込システムを提案する。光ファイバ埋込システムは、ワークピース及び光ファイバ埋込装置を備える。ワークピースは、少なくとも1つの貫通孔を備える。光ファイバ埋込装置は、光ファイバ埋込キャリアと、ドライバと、光ファイバ埋込針と、少なくとも1つの光ファイバカセットと、を備える。光ファイバ埋込キャリアは、先端と、先端とは反対側の後端と、先端と後端を貫通する光ファイバ埋込チャネルと、を有する。光ファイバ埋込針は、光ファイバ埋込チャネルをスライド可能に通過し、ワークピースの一側でワークピースの少なくとも1つの貫通孔を位置決めするために適している。ドライバは、光ファイバ埋込針に結合され、光ファイバ埋込針を駆動して光ファイバ埋込チャネル内でスライドさせるために使用される。光ファイバカセットは、光ファイバ埋込キャリアの先端と後端との間に配置され、複数の光ファイバを収納するために使用される。光ファイバカセットは、ファイバ埋込チャネルの延伸経路上に底部開口を有し、少なくとも1本の光ファイバが底部開口から露出する。光ファイバ埋込針は、ドライバで後端から先端にスライドさせ、光ファイバを底部開口から貫通孔に通すのに適している。
【発明の効果】
【0007】
以上に基づいて、本発明で提示される光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法は、手動のファイバ埋込工程を自動化されたファイバ埋込工程に置き換え、生産効率の向上に貢献するだけでなく、生産コストを削減するために必要な人員を大幅に削減することもできる。
【0008】
上述した本発明の特徴及び利点を理解できるようにするために、図面を伴う実施形態を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る光ファイバ埋込装置の概略図である。
図2A図1の光ファイバ埋込装置的概略上面図である。
図2B図1の光ファイバ埋込装置の概略側面図である。
図2C】本発明の一実施形態に係る光ファイバモジュールの製造側の概略フロー図である。
図3A図2Aの光ファイバ埋込装置のI-I断面線に沿った概略断面図である。
図3B図3Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。
図3C図3Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。
図3D図3Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。
図4A図2Bの光ファイバ埋込装置のJ-J断面線に沿った概略断面図である。
図4B図4Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。
図4C図4Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。
図5】ワークピース上の光ファイバの突出部分を除去する概略断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る光ファイバモジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る光ファイバ埋込装置の概略図である。図2Aは、図1の光ファイバ埋込装置の概略上面図である。図2Bは、図1の光ファイバ埋込装置の概略側面図である。図2Cは、本発明の一実施形態に係る光ファイバモジュールの製造側の概略フロー図である。図1図2A、及び図2Bを参照すると、本実施形態では、光ファイバ埋込システムは、光ファイバ埋込装置100及びワークピース10を備える。光ファイバ埋込装置100は、光ファイバをワークピース10に埋め込む自動ファイバ埋込工程に適用することができる。詳細には、光ファイバ埋込装置100は、光ファイバ埋込キャリア110と、ドライバ120と、光ファイバ埋込針130と、少なくとも1つの光ファイバカセットと、を備え、光ファイバ埋込針130は、光ファイバ埋込キャリア110を貫通し、ドライバ120は光ファイバ埋込針130に連結される。ドライバ120は、リニアモータ、リニアスライドレール、又は他の線性ドライバであって良く、光ファイバ埋込針130を駆動して光ファイバ埋込キャリア110上をスライドさせるために使用される。一方、光ファイバカセットの数は1つでも複数でも良く、本実施形態では5つの光ファイバカセット140a~140eを例に挙げる。
【0011】
図3Aは、図2Aの光ファイバ埋込装置のI-I断面線に沿った概略断面図である。図2A図2B及び図3Aを参照すると、光ファイバカセット140a~140eは、光ファイバ埋込キャリア110の上方に配置され、光ファイバ埋込キャリア110は、先端111と、先端111とは反対側の後端112と、先端111と後端112を貫通する光ファイバ埋込チャネル113と、を有し、光ファイバ埋込装置100の稼働時には、光ファイバカセット140a~140eのいずれかを選択して、先端111と後端112との間に配置することができる。
【0012】
さらに、光ファイバ埋込キャリア110は、先端111と後端112との間に位置する少なくとも1つの位置決めスロットをさらに備え、位置決めスロットは光ファイバ埋込チャネル113と連通する。詳細には、位置決めスロットの数は1つでも複数でも良く、光ファイバカセットを挿入するために供する。本実施形態では、光ファイバカセット140a~140eに対応して設置される5つの位置決めスロット114a~114eを例とし、且つ、位置決めスロット114a~114eは、光ファイバ埋込チャネル113に沿って後端112から後端112まで並設され、光ファイバカセット140a~140eをそれぞれ着脱可能に挿入するために用いられる。
【0013】
図2A及び図2Bに示すように、光ファイバカセット140a~140eは、それぞれ位置決めスロット114a~114e内に対応して配置され、後端112から先端111まで順に配置され、埋め込むファイバの長さの必要に応じて設計され、光ファイバカセット140a~140eの幅は、後端112から先端111にかけて徐々に縮小する。また、光ファイバカセット140a~140eにはいずれも複数の光ファイバが収納されており、光ファイバカセット140a~140eの幅設計に対応しており、光ファイバカセット140a内の光ファイバの長さは、光ファイバカセット140b内の光ファイバの長さよりも長く、且つ、光ファイバカセット140b内の光ファイバの長さは、光ファイバカセット140c内の光ファイバの長さよりも長く、以下同様に減少する。
【0014】
本実施形態の自動化ファイバ埋込工程は、ワークピース10上の埋込位置及び埋め込むファイバの長さの必要に応じて、光ファイバカセット140a~140eから1つを選択し、対応する位置決めスロットに挿入して、埋込工程を実行することができ、生産効率を改善するだけでなく、生産コストを削減するために必要な人員を大幅に削減することもできる。
【0015】
以下では、光ファイバカセット140aを位置決めスロット114aに挿入する例について説明する。
【0016】
図3B~3Dは、図3Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。図4Aは、断面線J-Jに沿った図2Bの光ファイバ埋込装置の概略断面図である。図4B及び4Cは、図4Aの光ファイバ埋込装置のファイバ埋込工程中の概略断面図である。図2C図3A、及び図4Aに示されるように、工程101において、第1の表面11と、第1の表面11とは反対側の第2の表面12とを有するワークピース10が提供され、機械的ドリル又はレーザードリル等の技術によって、ワークピース10上に第1の表面11と第2の表面12を貫通する複数の貫通孔13を形成し、光ファイバの埋め込みに供する。
【0017】
次に、工程102において、光ファイバ埋込針130を光ファイバ埋込キャリア110に取り付ける。光ファイバ埋込針130は、後端112から光ファイバ埋込チャネル113に挿入され、光ファイバ埋込チャネル113内を往復スライドするのに適している。光ファイバ埋込工程を実行する前に、その後、複数の貫通孔13に埋め込まれた複数の光ファイバをワークピース10に接着固定できるよう、自動接着剤ディスペンサによって複数の貫通孔13に接着剤14が注入される。接着剤14の注入が完了した後、工程103が実行され、光ファイバ埋込キャリア110の先端111がワークピース10の第1の表面11の近くに移動され、光ファイバ埋込チャネル113が埋め込み予定の1つの貫通孔13と位置決めされる。したがって、光ファイバ埋込針130はワークピース10の第1の表面11に対向し、埋め込み予定の貫通孔13に位置合わせされる。
【0018】
図3A図3C又は図4A図4Cに示されるように、光ファイバ埋込チャネル113は、光ファイバ埋込針130が貫通孔13に向けてスライドする経路として利用される。光ファイバ埋込針130が貫通孔13に向けてスライドする過程において、光ファイバ埋込針130は、位置決めスロット114aから114eを順にスライドして通過する。一方、光ファイバカセット140a内の複数の光ファイバ20は、下から上に1本ずつ積層されており、ここで、光ファイバカセット140aは、底部開口141を有し、且つ、少なくとも1本の光ファイバ20は底部開口141から露出される。特に説明しておくべき点として、底部開口141から露出する光ファイバの数は、複数の光ファイバ20であっても良く、これにより、この光ファイバ埋込装置100の光ファイバ埋込針130は、一度に複数の光ファイバ20を埋め込み、複数の光ファイバ20からなる光ファイバ束を形成することができる。
【0019】
図2C図3A及び図3Bに示されるように、又は、図2C図4A及び図4Bに示されるように、工程104において、複数の光ファイバ20を有する光ファイバカセット140aを光ファイバ埋込キャリア110に移動する。光ファイバカセット140aが位置決めスロット114aに挿入されると、光ファイバカセット140aは光ファイバ埋込針130とワークピース10の第1の表面11との間に位置し、且つ、光ファイバカセット140aの底部開口141は位置決めスロット114a内に位置し、光ファイバ埋込チャネル113が先端111へ向けて延伸する経路上にも位置する。位置決めスロット114aは光ファイバ埋込チャネル113に連通するので、底部開口141から露出した光ファイバ20は、光ファイバ埋込針130が貫通孔13へ向けてスライドする経路(すなわち、光ファイバ埋込チャネル113)上に位置する。
【0020】
次に、工程105において、ドライバ120は、光ファイバ埋込針130を駆動して、位置決めスロット114aを通ってスライドし、先端111及び貫通孔13へ向けてスライドする。光ファイバ埋込針130が位置決めスロット114aをスライドして通過すると、光ファイバ埋込針130も光ファイバカセット140aの底部開口141をスライドして通過し、光ファイバカセット140aの底部開口141から光ファイバ20を引き出し、貫通孔13へ向けて押し出す。最後に、光ファイバ埋込針130は貫通孔13を貫通し、光ファイバ20を貫通孔13に通す。貫通孔13を通過した光ファイバ20は、接着剤14を介してワークピース10に接着固定されても良く、且つ、光ファイバ20の一部21はワークピース10の第2の表面12から突出しても良い。
【0021】
図4A及び図4Bに示されるように、光ファイバ埋込針130が光ファイバカセット140aから光ファイバ20を完全に引き出すことができることを確保するために、光ファイバ埋込針130が位置決めスロット114a又は光ファイバカセット140aから貫通孔13までスライドするストロークSは、光ファイバカセット140aの幅Wの2分の1よりも大きい。図2A図2B図4A図4Bに示されるように、光ファイバ埋込キャリア110上の光ファイバカセット挿入位置、又は光ファイバカセットが位置する位置決めスロットが先端111に近いほど、光ファイバカセットの幅はより狭くなり、且つ、光ファイバカセット内の光ファイバの長さが短いほど、それに対応して、光ファイバを貫通孔13へ向けてスライドさせる光ファイバ埋込針130の始点は、先端111に近くなり、且つ、光ファイバ埋込針130が光ファイバカセット又は位置決めスロットから貫通孔13までスライドするストロークは短くなる。
【0022】
図3C及び図3Dに示されるように、光ファイバ20が貫通孔13を貫通した後、光ファイバ埋込針130は後端112に向けてスライドし、位置決めスロット114e~114aを順次スライドして通過し、光ファイバカセット140aと分離して、次のファイバ埋込工程を実行するため、光ファイバカセット140a内のその他の光ファイバ20は、光ファイバ埋込針130が貫通孔13へ向けてスライドする経路(すなわち、光ファイバ埋込チャネル113)上へ自動的に落下し、底部開口141から露出する。
【0023】
図3Aに示されるように、光ファイバ埋込針130は、中空本体131と、空気圧弁132と、弾性イジェクタ133と、を備え、弾性イジェクタ133及び空気圧弁132は、中空本体131の反対側の第1端131a及び第2端131bにそれぞれ配置される。中空本体131は中空円柱体であって良く、且つ、弾性イジェクタ133はシリコーン、ゴム又は他の弾性材料で構成することができる。図3A及び図3Bに示されるように、空気圧弁132は、中空本体131を介して弾性イジェクタ133を加圧又は膨張させ、弾性イジェクタ133を収縮状態から突出状態に移行し、中空本体131から第1端131aを突出するのに適している。これに対して、空気圧弁132はまた、中空本体131を通して弾性イジェクタ133を減圧又は排気し、弾性イジェクタ133を、図3B及び図3Cに示されるように、突出状態から収縮状態に戻すのに適している。
【0024】
図3Aに示されるように、中空本体131の第1端131aは、溝131cを有し、第1端131aが移動して貫通孔13に接近する前は、弾性イジェクタ133は収縮状態を維持し、例えば、中空本体131内に収納されて第2端131bへ向けて突出して延伸し、且つ、溝131cは光ファイバ20を中空本体131内に位置決めするために使用することができる。第1端131aが光ファイバ埋込チャネル113内で貫通孔13へ向けて移動するとき、弾性イジェクタ133は収縮状態を維持したままであり、光ファイバ20は溝131c内に位置決めされ、光ファイバ20が貫通孔13へ送られる途中で光ファイバ埋込針130から脱離するのを防止する。つまり、光ファイバ埋込針130が貫通孔13に到達又は接近する前は、空気圧弁132が弾性イジェクタ133を加圧又は膨張させないため、弾性イジェクタ133は収縮状態を維持したままであり、中空本体131の第1端131a上の溝131cは、光ファイバ20の位置決めを可能にする。
【0025】
図3Bに示されるように、中空本体131の第1端131aが貫通孔13に到達又は接近すると、空気圧弁132が弾性イジェクタ133を即座に加圧又は膨張させ、弾性イジェクタ133が突出状態に迅速に移行する。このとき、弾性イジェクタ133は、第1端131aから貫通孔13へ向けて突出して延伸し、貫通孔13を通過する。弾性イジェクタ133が突出状態に移行する間、弾性イジェクタ133は、光ファイバ20の一部21を溝131cから突き出して、貫通孔13へ向けて押し、光ファイバ20の一部21が貫通孔13を通過して第2の表面12から突出するようにし、光ファイバ20と接着剤14との間の接合度を強化する。一方で、弾性イジェクタ133に接着剤14が付着するのを防止するために、図4Bに示されるように、突出状態にある弾性イジェクタ133の幅は、空気圧弁132から離れる方向Dに縮小に減少する。
【0026】
図3C図3D、及び図4Cに示されるように、ファイバ埋込工程が完了した後、空気圧弁132は、弾性イジェクタ133を直ちに減圧又は排気し、弾性イジェクタ133が突出状態から収縮状態に迅速に戻り、中空本体131内に収納されて、貫通孔13の外へ移動する。具体的には、弾性イジェクタ133を突出状態に迅速に切り替え、その後収縮状態に戻すことによって、弾性イジェクタ133に接着剤14が付着する可能性を低減し、次のファイバ埋込工程の実行を容易にするのに貢献する。
【0027】
図5は、ワークピース上の光ファイバの突出部分を除去する概略断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る光ファイバモジュールの概略図である。図2C図4C及び図5に示されるように、光ファイバ埋込装置100は、ワークピース10の第2の表面12に対応して配置されたカッター150をさらに備え、ワークピース10上の全ての貫通孔13に対してファイバ埋込工程を完了した後、工程106を実行し、第2の表面12と同一平面上にある端面22を形成するように、光ファイバ20の第2の表面12から突出した一部21をカッター150(砥石車、他の適切な切削器具又は他の適切な切削器具など)によって除去する。一例では、光ファイバ20の端面22は、照明光、周囲光又は殺菌光を投射するための発光面として使用することができる。一例では、光ファイバ20の端面22は、生理センサ又は他の非接触センサのための光学センサ信号を投射するための信号出力面として使用することができる。一例では、光ファイバ20の端面22は、生理センサ又は他の非接触センサのための光学センサ信号を受信するための信号受信面として使用することができる。
【0028】
図6に示されるように、ワークピース10上の光ファイバ20を束ねて光源モジュール40に接続し、光ファイバモジュール200を形成する。光ファイバ20の導光特性に基づいて、光源モジュール40内の発光素子(LEDなど)の数を大幅に減らすことができ、これは光ファイバモジュール200の生産コストを削減するのに貢献する。また、光ファイバモジュール200は、グラフィックデザイン及び光色の制御を通じて、例えば、雰囲気づくり、情報表示、警告灯表示又はその他の場面に使用し、豊富な視覚効果を提示することができる。
【0029】
以上をまとめ、本発明が提示する光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法は、手動のファイバ埋込工程を自動化されたファイバ埋込工程に置き換え、生産効率の向上に貢献するだけでなく、生産コストを削減するために必要な人員を大幅に削減することもできる。さらに、光ファイバの導光特性に基づいて、光ファイバモジュールに必要な発光素子の数を大幅に削減することができ、光ファイバモジュールの生産コストの削減に貢献する。さらに、弾性イジェクタの設計により、埋め込み過程において、光ファイバ埋込針に接着剤が付着する可能性を大幅に低減することができる。一方、複数の位置決めスロットの位置に応じて、それぞれ異なる幅の光ファイバカセットをあてがうことができ、光ファイバ埋込装置は異なる長さの光ファイバの埋め込みの必要性を満足することができる。
【0030】
以上、実施形態を参照しながら本発明を詳細に説明したが、これらは本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変更及び修正を行うことが可能であることを理解すべきである。したがって、本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の光ファイバ埋込装置、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法は、光ファイバの技術分野に応用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10:ワークピース
11:第1の表面
12:第2の表面
13:貫通孔
14:接着剤
20:光ファイバ
21:一部
22:端面
40:光源モジュール
100:光ファイバ埋込装置
101~106:工程
110:光ファイバ埋込キャリア
111:先端
112:後端
113:光ファイバ埋込チャネル
114a~114e:位置決めスロット
120:ドライバ
130:光ファイバ埋込針
131:中空本体
131a:第1端
131b:第2端
131c:溝
132:空気圧弁
133:弾性イジェクタ
140a~140e:光ファイバカセット
141:底部開口
150:カッター
200:光ファイバモジュール
D:方向
W:幅
S:ストローク
I-I、J-J:断面線
【要約】      (修正有)
【課題】光ファイバ埋込キャリアと、ドライバと、光ファイバ埋込針と、少なくとも1つの光ファイバカセットと、を備える光ファイバ埋込装置を提供する。また、光ファイバ埋込システム及び光ファイバモジュールの製造方法も提示する。
【解決手段】光ファイバ埋込キャリアは、先端と、先端とは反対側の後端と、先端と後端を貫通する光ファイバ埋込チャネルと、を備える。光ファイバ埋込針光ファイバは、埋込チャネルをスライド可能に通過し、ドライバに連結される。ドライバは、光ファイバ埋込針を駆動して光ファイバ埋込チャネル内でスライドさせるために使用される。光ファイバカセットは、光ファイバ埋込キャリアの先端と後端との間に配置され、複数の光ファイバを収納するために使用される。光ファイバカセットは、ファイバ埋込チャネルの延伸経路上に底部開口を有し、少なくとも1本の光ファイバが底部開口から露出する。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6