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特許7508644外科用器具のクランプ部材発射速度を制御するシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】外科用器具のクランプ部材発射速度を制御するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075617
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2020532573の分割
【原出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2023100809
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】15/843,682
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ワージントン・サラ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-520593(JP,A)
【文献】特開2010-253272(JP,A)
【文献】国際公開第2017/139307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
A61B 17/072
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、前記制御回路は、
前記外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、前記エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、
第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で前記モータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、前記クランプ部材は、
前記クランプ部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに、前記エンドエフェクタを前記閉鎖位置に移行させ、
前記クランプ部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動するときに、前記カートリッジから前記複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されている、制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記モータに、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度で前記クランプ部材を駆動させ、
前記モータに、前記第2の位置と前記第3の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度で前記クランプ部材を駆動させるように更に構成されており、
前記第1の速度は、前記第2の速度よりも小さい、外科用器具。
【請求項2】
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンに対して近位に位置している、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンよりも前に位置している、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1のゾーンの長さが、前記エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記外科用器具は、前記エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、前記間隙は前記組織の前記厚さに対応する、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖位置に移行するときに、前記モータの電流を検出するように構成され、前記モータの前記電流は前記組織の前記厚さに対応する、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項7】
外科用器具であって、
モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、前記制御回路は、
前記外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、前記エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、
第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で前記モータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、前記クランプ部材は、
前記クランプ部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに、前記エンドエフェクタを前記閉鎖位置に移行させ、
前記クランプ部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動するときに、前記カートリッジから前記複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されている、制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記モータに、前記第2の位置と前記第3の位置との間の前記クランプ部材の位置に対応する可変速度で前記クランプ部材を駆動させるように更に構成され、前記可変速度は、前記第2の位置に近づくとより遅くなる、外科用器具。
【請求項8】
前記制御回路は、前記エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する期間にわたって、前記モータに前記クランプ部材をより遅い速度で駆動させるように構成されている、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記外科用器具は、前記エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、前記間隙は前記組織の前記厚さに対応する、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖位置に移行するときに、前記モータの電流を検出するように構成され、前記モータの前記電流は前記組織の前記厚さに対応する、請求項8に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、外科用器具に関し、また、様々な状況において組織をステープル留めし、切断するために設計された、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらと共に使用するためのステープルカートリッジに関する。
【0002】
これまでにいくつかのデバイスが製造及び使用されてきたが、本発明者らよりも以前に添付の特許請求の範囲に記載されるデバイスを製造又は使用した者はないものと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、外科用器具は、モータと、モータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、第1の位置と第2の位置との間でモータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、クランプ部材は、クランプ部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタを閉鎖位置に移行させ、クランプ部材が第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタが閉鎖位置に来た後に、カートリッジから複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されており、制御回路は、モータに、第1の位置と第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度でクランプ部材を駆動させ、モータに、第1の位置と第2の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度でクランプ部材を駆動させるように更に構成されており、第1の速度は、第2の速度よりも小さい。
【0004】
別の態様では、外科用器具は、モータと、モータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間でモータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、クランプ部材は、クランプ部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタを閉鎖位置に移行させ、クランプ部材が第2の位置から第3の位置に移動するときに、カートリッジから複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されており、制御回路は、モータに、第1の位置と第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度でクランプ部材を駆動させ、モータに、第2の位置と第3の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度でクランプ部材を駆動させるように更に構成されており、第1の速度は、第2の速度よりも小さい。
【0005】
別の態様では、外科用器具は、モータと、モータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間でモータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、クランプ部材は、クランプ部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタを閉鎖位置に移行させ、クランプ部材が第2の位置から第3の位置に移動するときに、カートリッジから複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されており、制御回路は、モータに、第2の位置と第3の位置との間のクランプ部材の位置に対応する可変速度でクランプ部材を駆動させるように更に構成され、可変速度は、第2の位置に近づくとより遅くなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載する実施形態の様々な特徴は、それらの利点と共に、以下の添付図面と併せて以下の説明によって理解することができる。
図1】電気機械外科用システムの斜視図である。
図2図1の外科用システムの電気機械外科用器具部分の遠位端の斜視図である。
図3図2の電気機械外科用器具の外側シェル機構の分解組立図である。
図4図2の電気機械外科用器具の一部の背面斜視図である。
図5図1の外科用システムのアダプタ及び電気機械外科用器具の一部の部分分解組立図である。
図6図5のアダプタの一部の分解組立図である。
図7】アダプタの関節運動アセンブリの一部の断面斜視図である。
図8図7の関節運動アセンブリの斜視図である。
図9図8の関節運動アセンブリの別の斜視図である。
図10図1の電気機械外科用システムで用いられる装填ユニットの分解組立図である。
図11】別のアダプタの実施形態の斜視図である。
図12図11のアダプタの装填ユニットの一部の側面立面図であり、そのジョーは開放位置にある。
図13】一部を断面図で示す、図11の装填ユニットの一部の別の側面立面図であり、そのジョーは閉鎖位置にある。
図14】一部を断面図で示す、図13の装填ユニットの一部の底面図である。
図15】外管の一部を仮想線で示す、図11の装填ユニットの一部の斜視図である。
図16】外科用器具のモータを制御するための回路の概略図である。
図17】外科用器具のモータを制御するための回路の概略図である。
図18】外科用器具の位置センサの概略図である。
図19】外科用器具のモータ電流を監視するためのプロセスの論理フロー図である。
図20図19に示す論理ごとに実行される様々なクランプ部材ストロークの一対のグラフである。
図21図19に示すロジックごとに実行される様々なクランプ部材ストロークの一対のグラフである。
図22】間隙センサ及びカートリッジ識別センサを含むエンドエフェクタの図である。
図23】ホール効果センサの概略図である。
図24】アダプタの遠位端に部分的に接合されたエンドエフェクタの切欠図である。
図25】アダプタの長手方向軸に沿ってアダプタの遠位端に接合されたエンドエフェクタの断面である。
図26】クランプ部材を発射する初期速度を選択するためのプロセスの論理フロー図である。
図27図26に示す論理ごとに実行される様々なクランプ部材ストロークの一対のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願の出願人は、2017年12月15日に出願され、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる、以下の米国特許出願を所有する。
-米国特許出願公開第15/843,485号、発明の名称「SEALED ADAPTERS FOR USE WITH ELECTROMECHANICAL SURGICAL INSTRUMENTS」、
-米国特許出願公開第15/843,518号、発明の名称「END EFFECTORS WITH POSITIVE JAW OPENING FEATURES FOR USE WITH ADAPTERS FOR ELECTROMECHANICAL SURGICAL INSTRUMENTS」、
-米国特許出願公開第15/843,535号、発明の名称「SURGICAL END EFFECTORS WITH CLAMPING ASSEMBLIES CONFIGURED TO INCREASE JAW APERTURE RANGES」、
-米国特許出願公開第15/843,558号、発明の名称「SURGICAL END EFFECTORS WITH PIVOTAL JAWS CONFIGURED TO TOUCH AT THEIR RESPECTIVE DISTAL ENDS WHEN FULLY CLOSED」、
-米国特許出願公開第15/843,528号、発明の名称「SURGICAL END EFFECTORS WITH JAW STIFFENER ARRANGEMENTS CONFIGURED TO PERMIT MONITORING OF FIRING MEMBER」、
-米国特許出願公開第15/843,567号、発明の名称「ADAPTERS WITH END EFFECTOR POSITION SENSING AND CONTROL ARRANGEMENTS FOR USE IN CONNECTION WITH ELECTROMECHANICAL SURGICAL INSTRUMENTS」、
-米国特許出願公開第15/843,556号、発明の名称「DYNAMIC CLAMPING ASSEMBLIES WITH IMPROVED WEAR CHARACTERISTICS FOR USE IN CONNECTION WITH ELECTROMECHANICAL SURGICAL INSTRUMENTS」、
-米国特許出願公開第15/843,514号、発明の名称「ADAPTERS WITH FIRING STROKE SENSING ARRANGEMENTS FOR USE IN CONNECTION WITH ELECTROMECHANICAL SURGICAL INSTRUMENTS」、
-米国特許出願公開第15/843,501号、「ADAPTERS WITH CONTROL SYSTEMS FOR CONTROLLING MULTIPLE MOTORS OF AN ELECTRICAL MECHANICAL SURGICAL INSTRUMENT」、
-米国特許出願公開第15/843,508号、発明の名称「HANDHELD ELECTROMECHANICAL SURGICAL INSTRUMENTS WITH IMPROVED MOTOR CONTROL ARRANGEMENTS FOR POSITIONING COMPONENTS OF AN ADAPTER COUPLED THERETO」、
-米国特許出願公開第15/843,689号、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS OF CONTROLLING A CLAMPING MEMBER」、及び
-米国特許出願公開第15/843,704号、発明の名称「METHODS OF OPERATING SURGICAL END EFFECTORS」。
【0008】
明細書に記載され、添付の図面に示されるように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。周知の動作、構成要素、及び要素は、本明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため、詳細に記載されていない。読者は、本明細書に記載され図示された実施形態は、非限定的な例であり、したがって本明細書に開示された特定の構造的及び機能的詳細は、代表的及び例示的であり得ることを、理解するであろう。特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、それに対する変形及び変更を行うことができる。
【0009】
用語「備える(comprise)」(「comprises」及び「comprising」など、compriseの任意の語形)、「有する(have)」(「has」及び「having」など、haveの任意の語形)、「含む(include)」(「includes」及び「including」など、includeの任意の語形)、及び「含有する(contain)」(「contains」及び「containing」など、containの任意の語形)は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、若しくは「含有する」外科用システム、デバイス、又は装置は、それらの1つ以上の要素を有するが、それらの1つ以上のみを有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「備える」、「有する」、「含む」、若しくは「含有する」、システム、デバイス、又は装置の要素は、それら1つ以上の特徴を有するが、それら1つ以上の特徴のみを有することに限定されない。
【0010】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0011】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科手技を行うための、様々な例示的なデバイス及び方法が提供される。しかしながら、本明細書に開示される様々な方法及びデバイスが、例えば切開外科手技と関連するものを含む、多くの外科手技及び用途で使用され得ることが、読者には容易に理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めることで、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、もとからある開口部を通じて、組織に形成された切開部又は穿刺孔を通じてなど、任意の方法で体内に挿入され得ることを更に理解するであろう。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接挿入することもでき、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを進めることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することもできる。
【0012】
外科用ステープル留めシステムは、シャフトと、シャフトから延在するエンドエフェクタとを備えることができる。エンドエフェクタは第1の顎部及び第2の顎部を備える。第1のジョーは、ステープルカートリッジを備える。ステープルカートリッジは、第1のジョーへと挿入可能であり、且つ第1のジョーから取り外し可能であるが、ステープルカートリッジが第1のジョーから取り外し可能でない、又は第1のジョーから少なくとも容易に交換可能ではない、その他の実施形態が想到される。第2のジョーは、ステープルカートリッジから排出されたステープルを変形させるように構成されたアンビルを備える。第2のジョーは、閉鎖軸の周囲にて、第1のジョーに対して枢動可能であるが、第1のジョーが第2のジョーに対して枢動可能である、その他の実施形態が想定される。外科用ステープル留めシステムは、エンドエフェクタをシャフトに対して回転させる、すなわち関節運動させることができるように構成された関節接合部を更に備える。エンドエフェクタは、関節接合部を通って延在する関節運動軸を中心にして回転可能である。関節継手を含まない他の実施形態も想到される。
【0013】
ステープルカートリッジは、カートリッジ本体を備える。カートリッジ本体は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延在するデッキ部とを含む。使用中、ステープルカートリッジは、ステープル留めされる組織の第1の側に位置付けられ、アンビルは、組織の第2の側に位置付けられる。アンビルは、ステープルカートリッジに向かって移動させられて、デッキ部に対して組織を圧縮及びクランプする。続いて、カートリッジ本体内に取り外し可能に格納されたステープルを、組織内に配備することができる。カートリッジ本体は、その内部に画定されたステープルキャビティを含み、ステープルは、ステープルキャビティ内に取り外し可能に格納される。ステープルキャビティは、6つの長手方向列に配置されている。3つの列のステープルキャビティは、長手方向スロットの第1の側に位置付けられ、3つの列のステープルキャビティは、長手方向スロットの第2の側に位置付けられている。ステープルキャビティ及びステープルの他の配置も可能であり得る。
【0014】
ステープルは、カートリッジ本体内のステープル駆動部によって支持される。駆動部は、第1の、すなわち未発射位置と、ステープルキャビティからステープルを排出する、第2の、すなわち発射位置との間で移動可能である。駆動部は、カートリッジ本体の底部周辺に延在する保持具によってカートリッジ本体内に保持され、また、カートリッジ本体を把持し、保持具をカートリッジ本体に対して保持するように構成された、弾性部材を含む。駆動部は、スレッドによってそれらの未発射位置とそれらの発射位置との間で移動可能である。スレッドは、近位端に隣接した近位位置と、遠位端に隣接した遠位位置との間で移動可能である。スレッドは、駆動部の下を摺動し、駆動部を持ち上げるように構成された複数の傾斜面を備え、ステープルがその上に支持され、アンビルに向かう。
【0015】
上記に加えて、スレッドは発射部材によって遠位に移動される。発射部材は、スレッドに接触し、スレッドを遠位端に向かって押し出すように構成されている。カートリッジ本体内に画定された長手方向スロットは、発射部材を受け入れるように構成されている。アンビルは、発射部材を受け入れるように構成されたスロットも含む。発射部材は、第1のジョーに係合する第1のカムと、第2のジョーに係合する第2のカムとを更に備える。発射部材を遠位に前進させる際、第1のカム及び第2のカムは、ステープルカートリッジのデッキ部とアンビルとの間の距離、すなわち組織隙間を制御することができる。発射部材はまた、ステープルカートリッジとアンビルとの中間に捕捉された組織を切除するように構成されたナイフも備える。ステープルがナイフよりも前方に排出されるように、ナイフが傾斜面に対して少なくとも部分的に近位側に位置付けられることが望ましい。
【0016】
図1は、種々の異なる外科手術を実施するために使用され得る、モータ駆動(電気機械)外科用システム1を示す。この図に示すように、外科用システム1の一例は、電動手持ち式電気機械外科用器具によって作動し、操作するためにそれぞれ構成された、複数の異なる外科用ツール器具(本明細書では「アダプタ」と称する)を選択的に取り付けるために構成された、電動手持ち式電気機械外科用器具100を含む。図1に示すように、手持ち式外科用器具100は、アダプタ200と選択的に接続するために構成され、次いで、アダプタ200は、単回使用装填ユニット(「SULU」)、つまり使い捨て装填ユニット(「DLU」)、又は複数回使用装填ユニット(「MUU」)を備えるエンドエフェクタと選択的に接続するために構成されている。別の外科用システムの実施形態では、様々な形態のアダプタ200は、ロボット制御又は自動外科用システムのツール駆動アセンブリと共に効果的に使用され得る。例えば、本明細書で開示する外科用ツールアセンブリは、種々のロボットシステム、器具、構成要素及び方法、例えば、限定されないが、参照によって全体内容が本明細書に組み込まれる米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されるものと共に使用されてもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、外科用器具100は、パワーパック101と、パワーパック101を選択的に受容し、実質的に包み込むように構成されている外側シェルハウジング10と、を含む。パワーパック101はまた、本明細書ではハンドルアセンブリ101と称されてよい。例えば、外科用器具100の一形態は、国際公開第2016/057225 A1号、国際出願第PCT/US2015/051837号、発明の名称「HANDHELD ELECTROMECHANICAL SURGICAL SYSTEM」に開示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。外科用器具100の様々な特徴は、本明細書に開示する本発明の様々な特徴を理解するために必要なものを超えて開示せず、更なる詳細は、国際公開第2016/057225号及び参照により本明細書に組み込まれる他の参考文献から収集され得ることを理解されたい。
【0018】
図3に示すように、外側シェルハウジング10は、遠位半部10aと近位半部10bとを含み、近位半部10bは、遠位半部10a及び近位半部10bの上縁部に沿って位置するヒンジ16によって遠位半部10aに枢動可能に接続されている。接合されると、遠位半部10a及び近位半部10bは、内部にパワーパック101が選択的に位置する、シェル空洞10cを画定する。遠位半部10a及び近位半部10bのそれぞれは、それぞれの上側シェル部分12a、12bと、それぞれの下側シェル部分14a、14bと、を含む。下側シェル部分14a、14bは、下側シェル部分14a、14bを互いに選択的に固定し、シェルハウジング10を閉鎖状態に維持するためのスナップ閉鎖機構18を画定する。シェルハウジング10の遠位半部10aは、アダプタ200の対応する駆動連結アセンブリ210を受け入れるように構成されている接続部分20を画定する(図5を参照)。具体的には、シェルハウジング10の遠位半部10aは、アダプタ200が外科用器具100に嵌合されたときにアダプタ200の駆動連結アセンブリ210の一部を受容する凹部を有する。
【0019】
遠位半部10aの接続部分20は、図5に示すように、その内側表面から半径方向内向きに突出する、一対の軸方向に延在するガイドレール21a、21bを画定する。ガイドレール21a、21bは、アダプタ200が外科用器具100に嵌合されたときに、アダプタ200を外科用器具100に対して回転方向に方向付けることを支援する。遠位半部10aの接続部分20は、その遠位側に面する表面に形成され、共通の平面に、又は互いに一致して配置された3つの開口部22a、22b、22cを画定する。遠位半部10aの接続部分20はまた、その遠位側に面する表面に形成された細長いスロット24を画定する。遠位半部10aの接続部分20は、その表面に形成された雌型接続機構26(図2を参照)を更に画定する。雌型接続機構26は、アダプタ200の雄型接続機構と選択的に係合する。
【0020】
シェルハウジング10の遠位半部10aは、遠位側に面するトグル制御ボタン30を支持する。トグル制御ボタン30は、対応する力、つまり押圧力を加えると、左右方向、上下方向に作動することができる。シェルハウジング10の遠位半部10aは、右側の対の制御ボタン32a、32b(図3を参照)及び左側の対の制御ボタン34a、34b(図2を参照)を支持する。右側制御ボタン32a、32b及び左側制御ボタン34a、34bは、対応する力、つまり押圧力を加えると作動することができる。シェルハウジング10の近位半部10bは、右側制御ボタン36a(図3を参照)及び左側制御ボタン36b(図2を参照)を支持する。右側制御ボタン36a及び左側制御ボタン36bは、対応する力、つまり押圧力を加えると作動することができる。
【0021】
シェルハウジング10は、遠位半部10a内に選択的に支持された滅菌隔壁アセンブリ60を含む。具体的には、滅菌隔壁アセンブリ60は、遠位半部10aの接続部分20の後方、かつシェルハウジング10のシェル空洞10c内に配設される。隔壁アセンブリ60は、3つの連結シャフト64a、64b、64cを回転可能に支持する隔壁62を含む(図3及び図5を参照)。各連結シャフト64a、64b、64cは、隔壁62の対向する側面から延在し、トリローブ横断面プロファイルを有する。各連結シャフト64a、64b、64cは、滅菌隔壁アセンブリ60がシェルハウジング10のシェル空洞10c内に配設されるとき、遠位半部10aの接続部分20のそれぞれの開口部22a、22b、22cを通って延在する。隔壁アセンブリ60は、隔壁62上に支持された電気パススルーコネクタ66を更に含む。パススルーコネクタ66は、隔壁62の対向する側面から延在する。パススルーコネクタ66は、隔壁62全体に電気的接続を拡大するためにそれぞれ電気導管を含む複数の接触経路を画定する。隔壁アセンブリ60が、シェルハウジング10のシェル空洞10c内に配設されているとき、連結シャフト64a、64b、64cの遠位端及びパススルーコネクタ66の遠位端は、シェルハウジング10の遠位半部10aの接続部分20内に配設されるか、又は位置し、電気的及び/又は機械的にアダプタ200のそれぞれの対応する機構に係合するように構成されている。
【0022】
図3及び図4を参照すると、パワーパック、つまりハンドルアセンブリ101は、下側ハウジング部分104と、下側ハウジング部分104から延在する、及び/又は下側ハウジング部分104上に支持された上側ハウジング部分108と、を有する内側ハンドルハウジング110を含む。下側ハウジング部分104及び上側ハウジング部分108は、遠位半部110aと、複数の締結具によって遠位半部110aに接続可能な近位半部110bとに分割される。接合されると、遠位半部110a及び近位半部110bは、パワーパックコアアセンブリ106が中に位置する内側ハウジング空洞110cを有する内側ハンドルハウジング110を画定する。パワーパックコアアセンブリ106は、外科用器具100の種々の動作を制御するように構成されている。
【0023】
内側ハンドルハウジング110の遠位半部110aは、シェルハウジング10の遠位トグル制御ボタン30と動作可能に位置合わせされた遠位トグル制御インターフェース130を支持する。使用中、パワーパック101がシェルハウジング10内に配設されると、トグル制御ボタン30の作動によってトグル制御インターフェース130に力が及ぼされる。内側ハンドルハウジング110の遠位半部110aはまた、右側の対の制御インターフェース(図示せず)、及び左側の対の制御インターフェース132a、132bを支持する。使用中に、パワーパック101がシェルハウジング10内に配設されると、シェルハウジング10の遠位半部10aの右側の対の制御ボタン又は左側の対の制御ボタンのうちの1つの作動によって、内側ハンドルハウジング110の遠位半部110aの右側の対の制御インターフェース132a、132b、又は左側の対の制御インターフェース132a、132bのそれぞれ1つに力が及ぼされる。
【0024】
図1図5を参照すると、内側ハンドルハウジング110は、パワーパックコアアセンブリ106が位置するハウジングを提供する。パワーパックコアアセンブリ106は、電池回路140と、コントローラ回路基板142と、外科用器具100の電気部品のいずれかに電力を供給するように構成された充電式電池144と、を含む。コントローラ回路基板142は、モータコントローラ回路基板142aと、メインコントローラ回路基板142bと、モータコントローラ回路基板142aとメインコントローラ回路基板142bとを相互接続する第1のリボンケーブル142cと、を含む。パワーパックコアアセンブリ106は、メインコントローラ回路基板142b上に支持されたディスプレイ画面146を更に含む。ディスプレイ画面146は、内側ハンドルハウジング110の近位半部110bに設けられたクリアな窓、つまり透明窓110d(図3を参照)を通して視認可能である。内側ハンドルハウジング110の少なくとも一部分は、透明な剛性プラスチックなどで製作され得ることが企図される。シェルハウジング10は、内部に形成された窓(ディスプレイ画面146と、及び内側ハンドルハウジング110の近位半部110bの窓110dと視覚的に位置合わせされている)を含み得ること、及び/又はシェルハウジング10は透明な硬質プラスチックなどで製作され得ることのいずれかが更に企図される。
【0025】
パワーパックコアアセンブリ106は、モータブラケット148によって支持され、それぞれコントローラ回路基板142及び電池144に電気的に接続される、第1のモータ152、第2のモータ154、及び第3のモータ156を更に含む。モータ152、154、156は、モータコントローラ回路基板142aとメインコントローラ回路基板142bとの間に配設される。各モータ152、154、156は、そこから延在するそれぞれのモータシャフト152a、154a、156aを含む。各モータシャフト152a、154a、156aは、回転力、つまりトルクを伝達するためにトリローブ横断面プロファイルを有する。各モータ152、154、156は、それぞれのモータコントローラによって制御される。外科用器具100の様々な動作を実行するために、それぞれのモータ152、154、156によるモータシャフト152a、154a、156aの回転は、アダプタ200のシャフト及び/又はギア部品を駆動させるように機能する。特に、パワーパックコアアセンブリ106のモータ152、154、156は、アダプタ200のシャフト及び/又はギア部品を駆動させるように構成されている。
【0026】
図1及び図5に示すように、外科用器具100は、アダプタ200と選択的に接続されるために構成され、次いで、アダプタ200は、エンドエフェクタ500と選択的に接続されるために構成されている。アダプタ200は、外側ノブハウジング202と、ノブハウジング202の遠位端から延出する外管206と、を含む。ノブハウジング202及び外管206は、アダプタアセンブリ200の構成要素を収容するように構成され、寸法決めされる。外管206は内視鏡を挿入するために寸法決めされており、具体的には、外管は、典型的なトロカールポート、カニューレなどを通過可能である。ノブハウジング202は、トロカールポート、カニューレなどに入らないように寸法決めされる。ノブハウジング202は、外科用器具100の外側シェルハウジング10の接続部分20に接続するように構成され、適合される。
【0027】
アダプタ200は、外科用器具100の第1の連結シャフト64a又は第2の連結シャフト64bのいずれかの回転を、図10に示すように、また以下でより詳細に説明するように、駆動アセンブリ540及びエンドエフェクタ500の関節運動リンク560を動作させるのに有用な軸方向並進に変換するように構成されている。図6に示すように、アダプタ200は、第1の回転可能な近位駆動シャフト212、第2の回転可能な近位駆動シャフト214、及び第3の回転可能な近位側駆動シャフト216を内部に回転可能に支持する、近位内側ハウジングアセンブリ204を含む。各近位駆動シャフト212、214、216は、外科用器具100のそれぞれの連結シャフト64a、64b、及び64cから回転力を受ける回転受容部材として機能する。加えて、アダプタ200の駆動連結アセンブリ210はまた、共通の平面に、又は互いに一致して配置された第1のコネクタスリーブ218、第2のコネクタスリーブ220、及び第3のコネクタスリーブ222をそれぞれ回転可能に支持するように構成されている。各コネクタスリーブ218、220、222は、上述のように、外科用器具100のそれぞれの第1の連結シャフト64a、第2の連結シャフト64b、及び第3の連結シャフト64cと嵌合するように構成されている。各コネクタスリーブ218、220、222は、アダプタ200のそれぞれの第1の近位駆動シャフト212、第2の近位駆動シャフト214、及び第3の近位側駆動シャフト216の近位端と嵌合するように更に構成されている。
【0028】
アダプタ200の駆動連結アセンブリ210はまた、それぞれ第1のコネクタスリーブ218、第2のコネクタスリーブ220、及び第3のコネクタスリーブ222の遠位側に配設された第1の付勢部材224、第2の付勢部材226、及び第3の付勢部材228を含む。各付勢部材224、226、及び228は、それぞれの第1の回転可能な近位駆動シャフト212、第2の回転可能な近位駆動シャフト214、及び第3の回転可能な近位側駆動シャフト216の周りに配設される。アダプタ200が外科用器具100に接続されるときに、コネクタスリーブ218、222及び220が外科用器具100のそれぞれの駆動回転連結シャフト64a、64b、及び64cの遠位端と係合した状態を維持するのを支援するために、付勢部材224、226、及び228は、それぞれのコネクタスリーブ218、222、及び220に作用する。
【0029】
また、図示の構成では、アダプタ200は、それぞれ内側ハウジングアセンブリ204及び外管206内に配設される第1の駆動変換アセンブリ240、第2の駆動変換アセンブリ250、及び第3の駆動変換アセンブリ260を含む。各駆動変換アセンブリ240、250、260は、外科用器具100の第1の連結シャフト64a、第2の連結シャフト64b、及び第3の連結シャフト64cの回転を、アダプタ200の関節運動駆動体、つまり関節運動バー258の軸方向並進に伝達若しくは変換して、エンドエフェクタ500の関節運動を生じさせる、アダプタ200のリングギア266の回転に伝達若しくは変換して、アダプタ200の回転を生じさせる、又はアダプタ200の遠位駆動部材248の軸方向並進に伝達若しくは変換して、エンドエフェクタ500の閉鎖、開放、及び発射を生じさせるように構成され、適合される。
【0030】
更に図6を参照すると、第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240は、上述したように、内側ハウジングアセンブリ204内で回転可能に支持される、第1の回転可能な近位駆動シャフト212を含む。第1の回転可能な近位駆動シャフト212は、外科用器具100のそれぞれの第1の連結シャフト64aに接続される第1のコネクタスリーブ218と接続するために構成された、非円形又は成形した近位端部分を含む。第1の回転可能な近位駆動シャフト212は、ねじ付き遠位端部分212bを含む。第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240は、第1の回転可能な近位駆動シャフト212のねじ付き遠位端部分212bに螺合し、外管206内に摺動可能に配設される駆動連結ナット244を更に含む。駆動連結ナット244は、第1の回転可能な近位駆動シャフト212が回転するときに回転を阻止するように、外管206の近位コア管部分内に摺動可能にキー止めされる。このようにして、第1の回転可能な近位側駆動シャフト212が回転すると、駆動連結ナット244は、第1の回転可能な近位側駆動シャフト212のねじ付き遠位端部分212bに沿って、次いで外管206を通って、及び/又は外管206に沿って並進する。
【0031】
第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240は、駆動連結ナット244と機械的に係合される遠位駆動部材248を更に含み、その結果、駆動連結ナット244の軸方向移動は、遠位駆動部材248の対応する軸方向運動量をもたらす。遠位駆動部材248の遠位端部分は、エンドエフェクタ500(図10)の駆動アセンブリ540の係合部材546と選択的に係合するように構成され、寸法決めされた接続部材247を支持する。駆動連結ナット244及び/又は遠位駆動部材248は、エンドエフェクタ500の構成要素に対する力伝達部材として機能する。動作中、外科用器具100の第1の連結シャフト64aの回転の結果として、第1の回転可能な近位駆動シャフト212が回転すると、駆動連結ナット244は、第1の回転可能な近位駆動シャフト212に沿って軸方向に並進する。駆動連結ナット244が第1の回転可能な近位駆動シャフト212に沿って軸方向に並進すると、遠位駆動部材248は、外管206に対して軸方向に並進する。遠位駆動部材248が軸方向に並進して、接続部材247がそこに接続し、エンドエフェクタ500(図10)の駆動アセンブリ540に取り付けられた中空駆動部材548と係合すると、遠位駆動部材248は、エンドエフェクタ500の駆動アセンブリ540の同時軸方向並進を引き起こし、エンドエフェクタ500のツールアセンブリ部分600の閉鎖及びツールアセンブリ内の様々な構成要素の発射を生じさせる。
【0032】
更に図6を参照すると、アダプタ200の第2の駆動変換アセンブリ250は、内側ハウジングアセンブリ204内に回転可能に支持される第2の近位駆動シャフト214を含む。第2の回転可能な近位駆動シャフト214は、外科用器具100の第2の連結シャフト64cと接続するために構成された、非円形又は成形した近位端部分を含む。第2の回転可能な近位側駆動シャフト214は、関節運動軸受アセンブリ252の関節運動軸受ハウジング253に螺合するように構成されたねじ付き遠位端部分214aを更に含む。図6図9を参照すると、関節運動軸受ハウジング253は、外輪259に対して独立して回転可能な内輪257を有する、関節運動軸受255を支持する。関節運動軸受ハウジング253は、非円形の外側プロファイル、例えば、涙滴形状を有し、これは、内側ハウジングハブ204aの相補的な穴(図示せず)内に摺動可能かつ非回転可能に配設される。アダプタ200の第2の駆動変換アセンブリ250は、関節運動軸受255の内輪257に固定される近位部分を有する関節運動バー258を更に含む。関節運動バー258の遠位部分は、エンドエフェクタ500の関節運動リンク560のフック562(図10)を受け入れるように構成されたスロット258aを内部に含む。関節運動バー258は、エンドエフェクタ500の構成要素に対する力伝達部材として機能する。図示の構成では、国際公開第2016/057225 A1号に更に記載されるように、関節運動軸受アセンブリ252は、回転可能かつ長手方向に並進可能であり、第1のジョー部材610及び第2のジョー部材700が近接位置にあるとき、及び/又はジョー部材610、700が関節運動しているときに、エンドエフェクタ500の自由な、制限のない回転運動を可能にするように構成されている。
【0033】
動作中、第2の近位側駆動シャフト214が回転されると、関節運動軸受アセンブリ252は、第2の近位側駆動シャフト214のねじ付き遠位端部分214aに沿って軸方向に並進し、次いで、関節運動バー258を外管206に対して軸方向に並進させる。関節運動バー258が軸方向に並進すると、関節運動バー258は、エンドエフェクタ500の関節運動リンク560に連結されているため、エンドエフェクタ500の関節運動リンク560を同時軸方向並進させ、ツールアセンブリ600の関節運動を生じさせる。関節運動バー258は、関節運動軸受253の内輪257に固定され、したがって、関節運動軸受253の外輪259に対して長手方向軸を中心に自由に回転する。
【0034】
図6に示すように、アダプタ200は、内側ハウジングアセンブリ204内に支持される第3の駆動変換アセンブリ260を含む。第3の駆動変換アセンブリ260は、外側ノブハウジング202内に固定的に支持され、外側ノブハウジング202に接続される回転リングギア266を含む。リングギア266は、ギア歯266aの内側配列を画定し、直径方向に対向する、半径方向に延在する一対の突出部266bを含む。突出部266bは、リングギア266の回転が外側ノブハウジング202の回転をもたらし、逆もまた同様になるように、外側ノブハウジング202内に画定された凹部内に配設されるように構成されている。第3の駆動変換アセンブリ260は、上述したように、内側ハウジングアセンブリ204内に回転可能に支持される、第3の回転可能な近位駆動シャフト216を更に含む。第3の回転可能な近位駆動シャフト216は、第3のコネクタ220と接続するために構成された、非円形又は成形した近位端部分を含む。第3の回転可能な近位駆動シャフト216は、その遠位端にキー止めされたスパーギア216を含む。逆転スパーギア264は、第3の回転可能な近位駆動シャフト216のスパーギア216aをリングギア266のギア歯266aに相互係合させる。動作中、第3の回転可能な近位駆動シャフト216が回転すると、外科用器具100の第3の連結シャフト64bが回転することにより、第3の回転可能な近位駆動シャフト216のスパーギア216aは逆転ギア264に係合して、逆転ギア264を回転させる。逆転ギア264が回転すると、リングギア266も回転し、それによって外側ノブハウジング202を回転させる。外側ノブハウジング202の回転は、アダプタ200の長手方向軸を中心に外管206を回転させる。外管206が回転すると、アダプタ200の遠位端部分に接続されているエンドエフェクタ500もまた、アダプタ200の長手方向軸を中心に回転する。
【0035】
アダプタ200は、アダプタ200の駆動連結アセンブリ210から突出するステム273(図6)上に支持される着脱ボタン272(図5)を更に含む。着脱ボタン272は、ステム273内又はその周囲に配設される付勢部材(図示せず)によって、非作動状態へと付勢される。ボタン272は、外科用器具100の接続部分20の対応するリップ又はレッジの後ろにスナップ嵌めするように構成されているリップ又はレッジを含む。国際公開第2016/057225 A1号にも記載されるように、アダプタ200は、遠位駆動部材248の軸方向位置を固定するためのロック機構280を更に含んでよい。図21に見られるように、例えば、ロック機構280は、外側ノブハウジング202上に摺動可能に支持されるボタン282を含む。ロックボタン282は、外管206を通って長手方向に延在する作動バー(図示せず)に接続される。作動バーは、ロックボタン282の移動に応じて移動する。動作中、遠位駆動部材248の位置及び/又は向きをロックするために、ユーザーは、ロックボタン282を遠位位置から近位位置に移動させ、それによってロックアウト(図示せず)を近位方向に移動させて、ロックアウトの遠位面がカム部材288と接触しなくなり、これによってカム部材288が遠位駆動部材248の凹部249に対してカム作用するようになる。このようにして、遠位駆動部材248は、遠位及び/又は近位方向の動きを阻止する。ロックボタン282が近位位置から遠位位置に移動すると、作動バーの遠位端は、付勢部材(図示せず)の付勢力に対抗してロックアウト(図示せず)へと遠位方向に移動して、カム部材288を凹部249から押し出すことによって、遠位駆動部材248の制限のない軸方向並進及び半径方向移動を可能にする。
【0036】
再び図6に戻ると、アダプタ200は、外側ノブハウジング202及び内側ハウジングアセンブリ204上、並びにこれらの内部に支持される電気アセンブリ290を含む。電気アセンブリ290は、外科用器具100のシェルハウジング10のプレートアセンブリのパススルーコネクタに電気的に接続するために、回路基板294上に支持される複数の電気節点ブレード292を含む。電気アセンブリ290は、較正及び通信情報(すなわち、ライフサイクル情報、システム情報、力情報)が、外科用器具100のパワーパックコアアセンブリ106の電気レセプタクル部分を介して外科用器具100の回路基板に伝達できるようにするのに役立つ。電気アセンブリ290は、回路基板294に電気的に接続されるひずみゲージ296を更に含む。ひずみゲージ296は、内側ハウジングアセンブリ204内に取り付けられて、それに対するひずみゲージ296の回転を制限する。第1の回転可能な近位駆動シャフト212は、ひずみゲージ296を通って延在し、ひずみゲージ296が、第1の回転可能な近位側駆動シャフト212によって示される発射/クランプ荷重に閉ループフィードバックを提供できるようにする。電気アセンブリ290はまた、外管206の駆動連結ナット244に沿って回転不能かつ摺動可能に配設されたスリップリング298を含む。スリップリング298は、回路基板294と電気的に接続しており、スリップリング298と、アダプタ200内の少なくとも別の電気部品との電気接点を依然として維持し、他の電気部品が第1の回転可能な近位駆動シャフト212及び駆動連結ナット244を中心に回転できるようにさせつつ、第1の回転可能な近位駆動シャフト212の回転及び駆動連結ナット244の軸方向並進を可能にするように機能する。
【0037】
更に図6を参照すると、内側ハウジングアセンブリ204は、実質的に円形の外側プロファイルを画定する遠位側に方向付けられた環状壁207を有するハブ205を含む。ハブ205は、内部に関節運動軸受アセンブリ252を摺動可能に受容するように成形され、寸法決めされた、実質的に涙滴形状の内側凹部又はボアを含む。内側ハウジングアセンブリ204は、ハブ204aの遠位側に方向付けられた環状壁207の遠位面に固定されるリングプレート254を更に含む。リングプレート254は、第2の近位側駆動シャフト214と位置合わせされ、その遠位端を回転可能に受容するようにサイズ決めされ、内部に形成された開口部254aを画定する。このようにして、第2の近位側駆動シャフト214の遠位端は支持され、第2の近位側駆動シャフト214が回転して関節運動軸受アセンブリ252を軸方向に並進させるときに、第2の近位側駆動シャフト214の長手方向回転軸から離れて半径方向に移動しないようにする。
【0038】
図10を参照すると、一例では、エンドエフェクタ500は、単回使用のために構成されてよく(「使い捨て装填ユニット、DLU」)、米国特許出願公開第2010/0301097号、発明の名称「LOADING UNIT HAVING DRIVE ASSEMBLY LOCKING MECHANISM」、同第2012/0217284号、発明の名称「LOCKING MECHANISM FOR USE WITH LOADING UNITS」、及び同第2015/0374371号、発明の名称「ADAPTER ASSEMBLIES FOR INTERCONNECTING SURGICAL LOADING UNITS AND HANDLE ASSEMBLIES」に開示されているDLUと同様であってよく、かかる参考文献のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。エンドエフェクタ500は、米国特許出願公開第2017/0095250号、発明の名称「MULTI-USE LOADING UNIT」に開示されているエンドエフェクタなどの複数回使用(MULU)のために構成され得ることも企図され、この開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
図示の外科用器具100はステープルを発射するが、クリップ及び2部締結具など任意の他の好適な締結具を発射するように適合されてよい。図示の構成では、エンドエフェクタ500は装填ユニット510を備える。装填ユニット510は、近位本体部分520と、ツールアセンブリ600と、を備える。ツールアセンブリ600は、アンビルアセンブリ612を備える第1のジョー部材610と、カートリッジアセンブリ701を備える第2のジョー部材700とを含む、一対のジョー部材を含む。一方のジョー部材は他方に対して枢動可能であり、ジョー部材間で組織をクランプできるようにする。カートリッジアセンブリ701は、アンビルアセンブリ612に対して移動可能であり、開放位置、つまりクランプ解除位置と、閉鎖位置、つまり近接位置との間で移動可能である。しかしながら、アンビルアセンブリ612、又はカートリッジアセンブリ701及びアンビルアセンブリ612の両方は、移動可能であり得る。
【0040】
カートリッジアセンブリ701は、カートリッジ本体702を有し、場合によっては、スナップ嵌め接続、戻り止め、ラッチ、又は別のタイプの接続によってチャネル720に取り付けられる支持プレート710を有する。カートリッジアセンブリ701は、組織接触面708内の開口部として構成されている、複数の横方向に離間したステープル保持スロット706内で移動可能に支持される締結具、又はステープル704を含む。各スロット706は、内部に締結具又はステープルを受容するように構成されている。カートリッジ本体702はまた、ステープルプッシャ709を収容し、底部で(すなわち、組織接触表面から離れて)開口して、作動スレッド712がそこを長手方向に通過できるようにする、複数のカムウェッジスロットを画定する。カートリッジアセンブリ701は、ステープルがカートリッジ本体702から発射された後にチャネル720から取り外し可能である。別の取り外し可能なカートリッジアセンブリがチャネル720上に装填されることができ、したがって、外科用器具100は、再び作動させられて、追加の締結具又はステープルを発射することができる。カートリッジアセンブリに関する更なる詳細は、例えば、米国特許出願公開第2017/0095250号、並びに参照により本明細書に組み込まれている様々な他の参照文献に見出すことができる。
【0041】
カートリッジアセンブリ701は、アンビルアセンブリ612に対して枢動可能であり、開放位置、つまりクランプ解除位置と、閉鎖位置、つまりクランプ位置との間で移動可能であり、トロカロールのカニューレを通って挿入される。近位本体部分520は、少なくとも駆動アセンブリ540と、関節運動リンク560と、を含む。ある構成では、駆動アセンブリ540は、遠位端544と、近位係合部546と、を有する可撓性駆動ビーム542を含む。係合部546の近位端は、直径方向に対向する、内向きに延在するフィンガー547を含み、これは中空の駆動部材548に係合して駆動部材548をビーム542の近位端にしっかり固定する。駆動部材548は、エンドエフェクタ500がアダプタ200の遠位端に取り付けられると、アダプタ200の第1の駆動変換アセンブリ240の駆動管246の接続部材247を受容する近位ポートホールを画定する。
【0042】
エンドエフェクタ500は、外側ハウジング532と、外側ハウジング532内に配設された内側ハウジング534と、を備えるハウジングアセンブリ530を更に含む。第1及び第2のラグ536はそれぞれ、外側ハウジング532の近位端533の外面に配設され、国際公開第2016/057225 A1号に更に詳細に記載されているように、アダプタ200の遠位端に動作可能に係合するように構成されている。
【0043】
図10を参照すると、例えば、アンビルアセンブリ612は、アンビルカバー630と、複数のステープル形成凹部を含むアンビルプレート620と、を含む。アンビルプレート620は、アンビルカバー630の下側に固定される。ツールアセンブリ600が近接位置にあるとき、ステープル形成凹部は、カートリッジアセンブリ701のステープル受容スロットと並置されて位置付けられる。
【0044】
ツールアセンブリ600は、上側取り付け部810と、下側取り付け部812と、を備える取り付けアセンブリ800を含む。取り付けテール部632は、アンビルカバー630の近位端631から近位に突出する。中央に配置された枢動部材814は、連結部材820内に形成される開口部822を通って、上側取り付け部810及び下部取り付け部812からそれぞれ延在する。少なくとも1つの構成では、上側取り付け部810のピボット部材814はまた、取り付けテール部632内の開口部634を通って延在する。連結部材820はそれぞれ、外側ハウジング532及び内側ハウジング534の遠位端に形成された対応する溝内に受容されるように構成されている、連動近位部分824を含む。エンドエフェクタ500の近位本体部分520は、フック付き近位端562を有する関節運動リンク560を含む。関節運動リンク560は、内側ハウジング内に摺動可能に設置されるように寸法決めされる。一対のHブロックアセンブリ830は、外側ハウジング532の遠位端に隣接し、軸方向駆動アセンブリ540の遠位端544に隣接して位置付けられて、外科用ステープル留め装置10の関節運動及び発射中に可撓性駆動ビーム542が外向きに座屈したり、膨張したりしないようにする。各Hブロックアセンブリ830は、外側ハウジング532の遠位端にしっかり固定された近位端と、取り付けアセンブリ800にしっかり固定された遠位端と、を含む、可撓体832を含む。ある構成では、関節運動リンクの遠位端564は、右Hブロックアセンブリ830に枢動可能にピン留めされる。関節運動リンク560の軸方向移動により、ツールアセンブリは、本体部520に対して関節運動させられる。
【0045】
図11図15は、以下に述べる相違点を除いて、上述のアダプタ200と実質的に同一であるアダプタ200’を図示する。図11に見られるように、アダプタ200’は、第1の直径「FD」を有し、外側ノブハウジング202内に取り付けられる近位端部分910を有する外管206を含む。近位端部分910は、例えば国際公開第2016/057225 A1号に更に詳細に記載されている方法で、内側ハウジングアセンブリ204に連結されてよく、ないしは別の方法で内部に支持されてよい。近位端部分910は、第2の直径「SD」を有する中央管部分912から近位に延在する。図示した実施形態では、エンドエフェクタ500は、シャフトアセンブリ203又は外管206の遠位端914に連結される。外管206は、図11に見られるように、近位端部分910と遠位端914との間に延在する長手方向軸LAを画定する。図10及び図11に見られるように、エンドエフェクタ500の近位本体部分520の外側スリーブ570は、遠位端部分572と、近位端部分574と、を有する。近位端部分574は、中央管部分912の第2の直径SDにほぼ等しい直径SD’を有する。遠位端部分572は、第3の直径「TD」を有する。ある構成では、FD及びTDは、SDとほぼ等しく、SDよりも大きい。FD及びTDは等しくないが、それぞれがSDよりも大きい他の構成が企図される。しかしながら、ほとんどの場合、FD及びTDは、典型的なトロカールポート、カニューレなどを通して内視鏡が挿入されるように寸法決めされることが好ましい。少なくとも1つの構成(図11)では、外側スリーブ570は、アダプタ200’の様々な駆動及び関節運動構成要素を効果的に収容しつつ、患者内での改善されたアクセスを容易にするために、平坦又は波型の側部576で形成される。加えて、中央管部分912の直径を低減することにより、アダプタ200’に、胸部肋骨間での改善されたアクセスがもたらされ得る。
【0046】
少なくとも1つの構成では、機械加工され得る又は板金で作製され得るチャネル720は、アンビルカバー630内の一対の対応する孔636と位置合わせされて、対応するピン又はボス638(図12)を受容するように構成されている、一対の近位孔722(図10)を含んで、アンビルアセンブリ612とカートリッジアセンブリ701との枢動関係を容易にする。図示の例では、動的クランプアセンブリ550は、可撓性駆動ビーム542の遠位端544に取り付けられる、又はそこに形成される。動的クランプアセンブリ550は垂直本体部分552を含み、その上に形成された、又はそれに取り付けられた組織切断面554を有する。例えば図10を参照されたい。アンビル係合機構556は、本体部分552の一端に形成され、本体部分552の各外側から突出するアンビル係合タブ557を備える。同様に、チャネル係合機構558は、本体部分552の他端に形成され、本体部分552の各側部から突出するチャネル係合タブ559を備える。図15を参照されたい。
【0047】
上記のように、アンビルアセンブリ612はアンビルプレート620を含む。アンビルプレート620は、動的クランプアセンブリ550が発射プロセス中に軸方向に前進するときに、動的クランプアセンブリ550の本体部分552を収容するように構成されている細長いスロット622を含む。細長いスロット622は、細長いスロット622の各外側部に沿って延在する2つのアンビルプレートレッジ624の間に画定される。図10を参照されたい。動的クランプアセンブリ550が遠位に前進すると、アンビル係合タブ557はアンビルプレートレッジ624に摺動可能に係合して、アンビルアセンブリ612を標的組織上にクランプ状態で保持する。同様に、発射動作中、動的クランプアセンブリ550の本体部分552は、チャネル720内の中央スロットを通って延在し、チャネル係合タブ559は、中央チャネルスロットの各側部に沿って延在するチャネルレッジ725に摺動可能に係合して、標的組織上でカートリッジアセンブリ701をクランプ状態に保持する。
【0048】
図13及び図15を参照すると、チャネル720は一般に730と示されるドッキング領域を画定し、この領域は、本明細書では未発射位置又は開始位置と呼ばれる最近位位置にあるときに動的クランプアセンブリ550を収容するように構成されている。具体的には、ドッキング領域730は、動的クランプアセンブリ550上のチャネル係合タブ559間に隙間を設けて、カートリッジアセンブリ701が完全開放位置へと枢動できるようにする、平面ドッキング面732によって部分的に画定される。傾斜面、又はカム面726は、ドッキング面732のそれぞれの遠位端から延在する。傾斜面726は、アンビルアセンブリ612及びカートリッジアセンブリ701を互いに対して移動させるために、動的クランプアセンブリ550によって係合される。他の実施形態では、類似のカム面がアンビルアセンブリ612上に設けられ得る。傾斜面726はまた、チャネル720と支持プレート620及び/又はカートリッジ本体702との位置合わせ及び/又は係合を容易にし得ることが想定される。駆動アセンブリ540が遠位に前進(発射)すると、動的クランプアセンブリ550上のチャネル係合タブ559は、対応する傾斜面726に係合して、カートリッジアセンブリ701に閉鎖運動を適用し、したがってカートリッジアセンブリ701及びアンビルアセンブリ612を閉鎖する。動的クランプアセンブリ550の更なる遠位並進は、カートリッジ本体702を通って作動スレッド712を遠位方向に移動させ、これによって作動スレッド712のカムウェッジ713がステープルプッシャ709に連続的に係合して、ステープル保持スロット706内でステープルプッシャ709を垂直方向に移動させ、アンビルプレート620のステープル形成凹部内へとステープル704を排出する。ステープル704が保持スロット706から(組織内へと)排出された後、動的クランプアセンブリ550の切断縁部554は、動的クランプアセンブリ550の垂直本体部分552上の組織切断縁部554がカートリッジ本体702の中央スロット703を通って遠位方向に移動する際に、ステープル留めされた組織を切断する。ステープル704がカートリッジ本体702から排出された後に、ユーザーが同じ器具10を使用して追加のステープル704(又は別のタイプの締結具若しくはナイフ)を発射することを望む場合、ユーザーは、アダプタ200’から装填ユニット510を取り外し、それを別の新たな、つまり未使用の装填ユニットと交換することができる。代替的な構成では、使用者は、使用済みカートリッジ本体702を単純に取り外し、新たな未使用の、つまり未発射のカートリッジ本体702と交換することができる。
【0049】
外科用器具100は、外科用器具100の動作に関連する様々な状態及び/又はパラメータを検出するためのセンサアセンブリを含み得る。制御回路又はプロセッサは、これらの検知された状態及び/又はパラメータを監視し、その後、外科用器具100の動作を適宜制御することができる。例えば、外科用器具100は、クランプ部材550(図10)が並進する速度を制御するために、第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240(図6)を駆動するモータによって引き込まれた電流を監視することができる。別の例として、外科用器具100は、その後にクランプ部材550が駆動される速度を制御するために、エンドエフェクタ500がクランプされたときに、ジョー部材又はアンビルプレート620(図10)とカートリッジ本体702(図10)との間隙又は距離を監視することができる。制御回路又はプロセッサによって実行される対応する論理を有するこれら及び他のセンサアセンブリについて、センサアセンブリと併せて以下に説明する。
【0050】
図16及び図17は、本開示の様々な態様による、外科用器具のモータ2010を制御するための回路2000の概略図を示す。図示の態様では、回路2000は、スイッチ2002と、第1のリミットスイッチ2004(例えば、常開スイッチ)と、第2のリミットスイッチ2006(例えば、常閉スイッチ)と、電源2008と、モータ2010(例えば、第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240を駆動するように構成されているモータ)と、を含む。回路2002は、第1のリレー2012(例えば、単極双投リレー)と、第2のリレー2014(例えば、単極単投リレー)と、第3のリレー2016(例えば、双極双投リレー)と、電流センサ2018と、電流検出モジュール2030と、を更に含むことができる。一態様では、回路2000は、モータ2010を通る電流を検知し、次いで電流を適宜制御するように構成されているモータ制御回路2028を含むことができる。図16に示す態様では、第2のリレー2014、電流センサ2018、位置センサ2020、及び電流検出モジュール2030は、集合的にモータ制御回路2028を形成する。図17に示す態様では、第2のリレー2014、電流センサ2018、位置センサ2020、及びコントローラ2034は、集合的にモータ制御回路2028を形成する。後述するように、モータ制御回路2028は、検知された電流に基づいて電流を遮断することによってモータ2010への電流を制御し、したがって、特定の条件が発生するとモータ2010を停止させる。
【0051】
スイッチ2002は、外科用器具100の操作者がクランプ部材550の発射を開始してエンドエフェクタ500をクランプし、組織を切断及び/又はステープル留めすると起動する。第1のリミットスイッチ2004は、エンドエフェクタ500の切断/ステープル留め動作がまだ完了していないときに開のままでいるように構成されている。第1のリミットスイッチ2004が開放されると、第1のリレー2012のコイル2022の通電が停止され、したがって、リレー2012の常閉接点を介して電源2008と第2のリレー2014との間に導電路を形成する。第2のリレー2014のコイル2026は、後述するように、電流検出モジュール2030及び位置センサ2020によって制御される。第2のリレー2014のコイル2026及び第1のリレー2022のコイル2022の通電が停止されると、電源2008と第3のリレー2016の常閉接点との間に導電経路が形成される。第3のリレー2016は、スイッチ2004、2006の状態に基づいてモータ2010の回転方向を制御する。第1のリミットスイッチ2004は開であり、第2のリミットスイッチ2006は閉である(クランプ部材550がまだ完全に遠位に配置されていないことを示す)とき、第3のリレー2016のコイル2024の通電は停止される。したがって、コイル2022、2024、2026の通電が集合的に停止されると、電源2008からの電流は、第3のリレー2016の常閉接点を介してモータ2010を通って流れ、モータ2010の正回転を引き起こし、次いでモータ2010によってクランプ部材550を遠位方向に駆動させて、エンドエフェクタ500をクランプし、組織を切断及び/又はステープル留めする。
【0052】
クランプ部材550が完全に遠位に前進するとき、第1のリミットスイッチ2004は閉じるように構成されている。第1のリミットスイッチ2004が閉じると、第1のリレー2012のコイル2022が通電され、第3のリレー2016のコイル2024は、リレー2012の常開接点を介して通電される。したがって、現在の電流は、リレー2012、2016の常開接点を介してモータ2010に流れ、それによってモータ2010の回転を逆転させて、次いで、クランプ部材550がその遠位位置から後退し、第1のリミットスイッチ2004を開く。第2のリミットスイッチ2004は、クランプ部材550が完全に後退したときに開くように構成されている。リレー2012のコイル2022は、第2のリミットスイッチ2006が開くまで通電したままであり、クランプ部材550の完全な後退を示す。
【0053】
その正回転中にモータ2010を通る電流の大きさは、モータ2010によって遠位に駆動されるときにクランプ部材550に加えられる力を示す。ステープルカートリッジ702がエンドエフェクタ500内に装填されていない場合、不適切なステープルカートリッジ702がエンドエフェクタ500に装填されている場合、又は組織の切断及び/若しくはステープル留めの際に、クランプ部材550が組織から予想外に高い抵抗を経験した場合、クランプ部材550に及ぼされる抵抗力は、モータトルクの増加を引き起こし、それによってモータ電流が増加する。モータ電流が閾値を超える場合、モータ制御回路2028は、モータ2010に対する電流を遮断してモータを停止させ、したがってクランプ部材550の前進を休止させることができる。したがって、モータ2010を通る電流を検知することによって、モータ制御回路2028は、クランプ部材550の配置の正常な動作閾値と潜在的なエラー状態とを区別することができる。
【0054】
電流センサ2018は、正回転中にモータ2010に電流を伝導する回路2000の経路に連結されてよい。電流センサ2018は、検知されたモータ電流を表す信号(例えば、電圧信号)を生成するのに好適な任意の電流検知デバイス(例えば、シャント抵抗器、ホール効果電流変換器など)であってよい。生成された信号は、電流検出モジュール2030に入力されて、その内部で処理されてよい。図16に示す態様によれば、電流検出モジュール2030は、閾値及び電流センサ2018の信号を受信し、受信した信号の比較に基づいて個別の出力を生成するためのコンパレータ回路2032を介して、電流センサ2018によって生成された信号を閾値信号(例えば、閾値電圧信号)と比較するために構成されてよい。いくつかの態様では、閾値信号の値は、切断及びステープル留め動作中に、クランプ部材550が最初に配置されるときに(例えば、その遠位方向の移動の最初の期間又は長さにわたって)、電流センサ2018によって生成されたピーク信号を測定することによって、経験的に事前に決定され得る。他の態様では、閾値信号の値は、一例では、メモリから取得することができる所定の値であり得る。
【0055】
いくつかの態様では、検知されたモータ電流と閾値との比較を、クランプ部材550の発射ストロークに沿った特定の位置又は位置の範囲に制限することが望ましい場合がある。これらの態様では、モータ制御回路2028は、クランプ部材550(又は代替的に、図16及び図17に示すモータ2010が第2又は第3の力/回転伝達/変換アセンブリ250、260を駆動する態様では、第2又は第3の力/回転伝達/変換アセンブリ250、260の構成要素)の位置を示す信号を生成するように構成されている位置センサ2020を更に含む。位置センサ2020は、例えば、図18に示し、以下で更に詳述する位置検知アセンブリを含むことができる。位置センサ2020は、コンパレータ回路2032(又は図17に示す態様のマイクロコントローラ2034)と直列に接続されて、クランプ部材550の位置に基づいた比較を制限する。したがって、電流センサ2018によって生成された信号が閾値信号を超え(クランプ部材550が予想外に高い抵抗に遭遇したことを示す)、クランプ部材550は、位置センサ2020によって決定されたように特定のゾーン内にある場合、第2のリレー2014のコイル2026が通電されることになる。これにより、第2のリレー2014の常閉スイッチが開き、それによってモータ2010への電流の流れが遮断され、クランプ部材550の前進は休止する。このようにして、クランプ部材550の位置が位置センサ2020を作動させる位置にないときに閾値信号を超えた場合、モータ制御回路2038は、比較の結果にかかわらずモータ2010を停止させない。他の態様では、モータ制御回路2038は、クランプ部材550の発射ストローク全体に沿ってモータ電流を監視するように構成されている。これらの態様では、モータ制御回路2038には、位置センサ2020が不在であり(又は位置センサ2020は停止している)、コンパレータ回路2032(又はマイクロコントローラ2034)の出力は、第2のリレー2014に直接供給される。したがって、電流センサ2018によって生成された信号が、クランプ部材550の発射ストロークに沿った任意の点で閾値信号を超える場合、モータ2010への電流の流れは、上述の方法で中断される。
【0056】
図17に示す態様によると、モータ制御回路2028は、上述の電流検出モジュール2030の代わりに、プロセッサベースのマイクロコントローラ2034を含むことができる。明確にするために示していないが、マイクロコントローラ2034は、例えば、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)ユニット、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)ユニット、割り込みコントローラユニット、タイマーユニット、アナログデジタル変換(ADC)及びデジタル-アナログ変換(DAC)ユニット、並びにデジタル信号及びアナログ信号を送受信するための多数の汎用入力/出力(I/O)ポートを含んでよい。一例では、マイクロコントローラ2034は、Allegro Microsystems,Inc.のA3930/31Kモータドライバを備えるモータコントローラを含む。A3930/31Kモータドライバは、モータ152、154、156(図4)などNチャネル外部電力MOSFETを有する3相ブラシレスDC(BLDC)モータを制御するように設計されている。モータコントローラのそれぞれは、メインコントローラ回路基板142b(図4)に配設されたメインコントローラに連結される。メインコントローラはまた、メインコントローラ回路基板142b(図4)にも配設されるメモリに連結される。一例では、メインコントローラは、1024キロバイトの内部フラッシュメモリを含むFreescale Semiconductor(Inc.)のARM Cortex M4プロセッサを備える。メインコントローラは、制御論理信号を提供するFPGAを介してモータコントローラと通信する。次いで、モータコントローラの制御論理は、固定周波数パルス幅変調(PWM)を使用して、対応する通電信号をそれぞれのモータ152、154、156に出力する。
【0057】
電流センサ2018及び位置センサ2020は、マイクロコントローラ2034のアナログ入力及びデジタル入力にそれぞれ接続されてよく、第2のリレー2014のコイル2026は、マイクロコントローラ2034のデジタル出力に接続されてよい。位置センサ2020の出力がアナログ信号である態様では、位置センサ2020は、代わりにアナログ入力に接続され得ることが理解されるであろう。更に、回路2000はリレー2012、2014、2016を含むが、他の態様では、リレースイッチ機能は、ソリッドステートスイッチ素子、ソフトウェア、及びこれらの組み合わせを使用して再現され得ることが理解されるであろう。特定の態様では、例えば、マイクロコントローラ2034に記憶され、実行される命令は、マイクロコントローラ2034のソリッドステート切替出力を制御するために使用されてよい。かかる態様では、スイッチ2004、2006は、マイクロコントローラ2034のデジタル入力に接続されてよい。
【0058】
図18は、本開示の一態様による、外科用器具100の位置センサ2102の概略図を示す。位置センサ2102は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてよい。位置センサ2102は、コントローラ2104と連係して絶対位置決めシステム2100を設けている。位置センサ2102は、低電圧低電力の構成要素であり、外科用器具100の構成要素に連結されている磁石の上方に位置する位置センサ2102の領域2120に、4つのホール効果素子2106A、2106B、2106C、2106Dを含む。磁石は、例えば、第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240を駆動するモータの駆動シャフト、第1の力/回転伝達/変換アセンブリ240の近位駆動シャフト212、又はクランプ部材550の並進時にクランプ部材550によって回転可能に駆動されるギアアセンブリに連結され得る。換言すれば、磁石は、ホール効果素子2106A、2106B、2106C、2106Dに対する磁石の角度位置が、例えばクランプ部材550の長手方向位置に対応するように、外科用器具100の構成要素に連結され得る。高解像度ADC2108及びスマート電力管理コントローラ2112もまた、チップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズムとしても知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ2110が設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、SPIインターフェース2114など標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ2104に伝送される。位置センサ2102は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ2102は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップあってよい。
【0059】
ホール効果素子2106A、2106B、2106C、2106Dは、回転磁石(図示なし)の上方に直接位置する。ホール効果は周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明しないが、一般に、ホール効果は、電気導体に流れる電流と、その電流に垂直な磁場に直交して、電気導体にかかる電位差(ホール電圧)を発生させる。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ2102において、ホール効果素子2106A、2106B、2106C、2106Dは、磁石1202の絶対位置を、磁石1202の1回転にわたる角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ2110によって計算され、レジスタ又はメモリ内にAS5055位置センサ2102のオンボードで記憶される。1回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば電源投入時に、又はコントローラ2104によって要求されたときに、コントローラ2104に与えられる。
【0060】
AS5055位置センサ2102は、コントローラ2104に接続されているときは、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一の電源を使用する単純な用途には、6本のワイヤ、すなわち電力用に2本のワイヤ、及びコントローラ2104とのSPIインターフェース2114用に4本のワイヤ2116が必要とされる。割り込みをコントローラ2104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ2102は、1回の角度測定を含む全ての電源投入シーケンスを実施する。このサイクルの完了は、INT出力2118として示され、角度値は、内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ2102は一時停止してスリープモードに移る。コントローラ2104は、SPIインターフェース2114を介してAS5055位置センサ2102から角度値を読み取ることによって、INT出力2118におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ2104によって読み取られると、INT出力2118が再びクリアされる。また、コントローラ2104によるSPIインターフェース2114によって「角度読み取り」コマンドを位置センサ2102に送信すると、チップが自動的に電源投入され、別の角度測定が開始される。コントローラ2104が角度値の読み取りを完了すると、直ちに、INT出力2118がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力2118及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0061】
AS5055位置センサ2102の測定原理により、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(~600μs)実施される。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ2102は一時停止して電源オフ状態に移行する。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ2104内でいくつかの角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0062】
図19は、本開示の一態様による外科用器具100のモータ電流を監視するためのプロセス2200の論理フロー図を示す。プロセス2200の以下の説明では、プロセス2200によって利用される様々なセンサアセンブリを示す図16図18及びプロセス2200に従って実行されるクランプ部材550の様々な発射ストロークを示す図20図21を参照するべきである。本明細書に記載するプロセス2200は、図16図17に示す制御回路を含むコントローラ、図18のマイクロコントローラ2104、又は外科用器具100のメモリに記憶された論理及び/若しくは命令を実行している別の制御回路及び/若しくはプロセッサによって実行され得る。エンドエフェクタ500のクランプ及び切断/ステープル留め動作が開始される(2202)と、プロセス2200の実行が開始される。
【0063】
したがって、コントローラによって実行されるプロセス2200は、クランプ部材550が動作可能に接続されるモータ2010に通電することによって、クランプ部材550を第1の位置、つまり近位位置から前進させる(2204)。第1の位置、つまり近位位置と第2の位置、つまり遠位位置との間でのクランプ部材550の前進は、ストローク又は発射ストロークと称され得る。クランプ部材550の完全ストロークの過程において、クランプ部材550はエンドエフェクタ500をクランプし、次いでそれによって保持された組織を切断及び/又はステープル留めする。クランプ部材550のストロークは、例えば、図20図21に示すように、クランプ部材550が前進した距離又は時間にx軸が対応するグラフとして表すことができる。クランプ部材550によって生じる動作は、クランプ部材550のストローク内に画定された位置又はゾーンに対応し得る。例えば、ストローク中には、クランプ部材550がエンドエフェクタ500を閉鎖し、その後組織を切断及び/又はステープル留めする位置が存在し得る。別の例として、クランプ部材550のストローク中には、クランプ部材550がこれ以上ステープルを排出しない、又は組織を切断しない位置が存在し得る。コントローラはまた、クランプ部材550の位置に従って様々な動作を行うことができる。例えば、クランプ部材550の駆動速度がコントローラによって制御又は変更される位置が存在し得る。これらの位置又はゾーンは、クランプ部材が位置する実際の物理位置、又はクランプ部材のストローク内の相対位置を指し得る。位置又はゾーンは、図20に示すように、クランプ部材550のストローク中の時間として表され得る。
【0064】
クランプ部材550が前進する(2204)と、コントローラは、例えば電流センサ2018を介してモータ電流を検出する(2206)。次いで、コントローラは、クランプ部材550が閉鎖終了位置にあるかどうかを判定する(2208)。一例では、コントローラは、位置センサ2102を介してクランプ部材が閉鎖終了位置にあるかどうかを判定することができる(2208)。閉鎖終了位置は、クランプ部材550がエンドエフェクタ500を閉鎖した後の、クランプ部材550の発射ストローク中の場所に対応し、その後、クランプ部材550が引き続き遠位に前進するときに、組織の切断及び/又はステープルの発射を行う。いくつかの態様では、コントローラは、メモリから閉鎖終了位置を取得し、次いで、記憶された閉鎖終了位置をクランプ部材550の検出された位置と比較して、検出された位置が記憶された閉鎖終了位置と一致するか又はそれを超えるかどうかを判定することができる。他の態様では、コントローラは、例えば、モータ電流のピークを監視することによって閉鎖終了位置を特定することができる。クランプ部材550が閉鎖終了位置にない場合、プロセス2200は、「いいえ」分岐に沿って進み、コントローラは、引き続きモータ2010にクランプ部材550を前進させる(2204)。プロセス2200は、クランプ部材550が閉鎖終了位置に位置するまで、このループを継続する。
【0065】
クランプ部材550が閉鎖終了位置又はそれを超えて位置するとコントローラが判定した(2208)場合、プロセス2200は、「はい」分岐に沿って進み、コントローラは、閉鎖終了位置におけるモータ電流の値に従って、モータ2010によってクランプ部材550が駆動される目標発射速度を選択する(2210)。エンドエフェクタ500を閉鎖するために必要なモータ電流のレベルは、クランプされた組織の様々な特性を示すことができる。例えば、組織をクランプするためにクランプ部材550によって加えられる力は組織の厚さに比例するため、閉鎖終了位置におけるモータ電流の値は、クランプされた組織の厚さに対応し得る。クランプ部材550によって加えられる力又はモータ2010によって加えられるトルクは、モータ2010によって引き込まれる電流に比例するため、閉鎖終了位置におけるモータ電流のレベルは、クランプされた組織の厚さに対応する。クランプされた組織の厚さに従ってクランプ部材550が駆動される目標発射速度を設定することが望ましい場合があるが、これは、クランプ部材550に、速すぎる速度で厚い組織を通って前進させると、不適切なステープル形成を引き起こし、モータ2010でのひずみを増加させ得るためである。別の例として、クランプ部材550によって駆動される切断面554に及ぼされる物理的抵抗は、異なる組織タイプによって変化し得るため、モータ電流のレベルはまた、クランプされた組織(例えば、肺組織、胃腸組織、又は心臓組織)の解剖学的タイプに対応し得る。いくつかの態様では、コントローラは、閉鎖終了位置におけるモータ電流の検知値をモータ電流値の範囲と比較し、次いで、検知されたモータ電流が1つ以上の閾値を超えたか、又は範囲の1つ以上のゾーン内に収まるかどうかを判定することができる。コントローラは、次いで、クランプ部材550の目標発射速度を特定値として選択する(2210)か、又は、検知されたモータ電流が範囲内に収まる場所に対応する値の範囲を含む目標発射速度に対する許容閾値を設定することができる。
【0066】
目標発射速度を選択した(2210)後、コントローラは、次いで、クランプ部材550を初期速度で前進させる(2212)。初期速度、及び初期速度でクランプ部材550が前進する期間又は距離は、コントローラによってメモリから取得された設定値、又は組織厚さの関数としてコントローラによって特定される計算値であり得る。いくつかの態様では、コントローラはプロセス2200のこの工程を欠いており、代わりに、クランプ部材550を特定された目標速度で前進させる。初期速度は、目標発射速度よりも小さい値であり得る。換言すれば、コントローラは、最初にモータ2010に、発射ストロークの後続の部分又はゾーンと比較して、発射ストライクの第1のゾーン又は部分においてより低速でクランプ部材550を前進させることができる。いくつかの態様では、初期速度の値はゼロ又はほぼゼロであり得る。エンドエフェクタ500においてクランプされた組織から流体を排出できるようにするために、最初により低速でクランプ部材550を前進させる(2212)ことが望ましい場合がある。エンドエフェクタ500によって組織に加えられる機械力により、クランプされた組織から流体が排出される。一態様では、クランプ部材550が初期速度で前進する期間又は距離は、クランプされた組織の厚さに従って異なり得る。
【0067】
閉鎖終了位置の直後のクランプ部材550の発射ストロークの一部の間、コントローラは、モータ電流が最大、つまりロックアウト閾値を超えているかどうかを更に判定する(2214)。コントローラは、メモリからロックアウト閾値を取得することができる。検知されたモータ電流がロックアウト閾値を超えていることは、クランプ部材550が、閉鎖終了位置から遠位方向に前進していないことを示す。クランプ部材550は、エンドエフェクタ500がステープルカートリッジアセンブリ700を欠いているなど様々な理由で、閉鎖終了位置の直後にその発射ストロークの一部において、遠位方向への前進が阻止されることがある。モータ電流がロックアウト閾値を超える場合、プロセス2200は、モータ2010でのひずみを低減するために、「はい」分岐に沿って進み、停止する(2216)。コントローラはその後、外科用器具100に操作者に対する警告を表示させるか、又は他のかかる動作を行うことができる。
【0068】
モータ電流がロックアウト閾値を超えない場合、プロセス2200は「いいえ」分岐に沿って進み、コントローラは、次いで、速度が目標速度値に到達するまで、又は目標速度範囲(組織厚さの関数である)内に入るまで、増加した速度でクランプ部材550を前進させる(2218)。いくつかの態様では、コントローラがモータ2010にクランプ部材550を駆動させて、クランプ部材550の速度を増加させる比率は、設定された速度、つまり所定の速度である。他の態様では、クランプ部材550の速度が増加する比率は、組織厚さなどの1つ以上のパラメータの関数である。換言すれば、コントローラは、クランプ部材550の速度をより厚い組織に対してよりゆっくり増加させるか、又はより薄い組織に対してより迅速に増加させるように構成され得る。
【0069】
クランプ部材550が遠位に前進する(すなわち、発射される)と、コントローラは、モータ電流を検出する(2220)。コントローラは、それに応じて、検知されたモータ電流が閾値を超えるかどうかを判定する(2222)。一例では、閾値は、検出された(2220)モータ電流と比較するために、コントローラによってメモリから取得され得る。この閾値は、上記のロックアウト閾値と同一であり得る、又は異なり得る。更に、閾値は、例えば、組織厚に対応し得る。いくつかの態様では、モータ電流が特定された閾値を超えたとコントローラが判定した(2222)場合、プロセス2200は、「はい」分岐に沿って進み、コントローラは、クランプ部材550の発射速度を低下させる(2224)。他の態様では、モータ電流が特定された閾値を超えたとコントローラが判定した(2222)場合、プロセス2200は、「はい」分岐に沿って進み、コントローラは、発射ストローク中の現在の位置においてクランプ部材550を休止させる(2224)。クランプ部材550の発射速度が低下する、又は休止する(2224)と、モータ2010が受けるトルクが低下する(クランプ部材550を休止する場合にはゼロまで)。特定期間の後、又はクランプ部材550が特定の距離前進した後(クランプ部材550が休止ではなく、減速の場合)、プロセス2200はループバックし、コントローラは再びクランプ部材550を前進させる(2218)。コントローラがクランプ部材550の速度増加を開始するまでの経過時間又は距離は、設定値であってよく、又は組織パラメータ(例えば、組織厚)の関数であってよい。
【0070】
クランプ部材550が閾値を超えていないとコントローラが判定した(2222)場合、プロセス2200は、「いいえ」分岐に沿って進み、次いで、コントローラは、クランプ部材550が発射終了位置にあるかどうかを判定する(2226)。発射終了位置は、クランプ部材550がその発射ストロークで到達した遠位点に対応し、組織を切断し、及び/又はエンドエフェクタ500からステープルを発射する。クランプ部材550が発射終了位置に到達していない場合、プロセス2200は、「いいえ」分岐に沿って進み、ループバックする。コントローラは、次いで、クランプ部材550を引き続き前進させ(2218)(かつ、適切にその速度を増加させる)、発射ストロークの過程においてモータ電流を検出して(2220)、モータ電流が閾値を超えているかどうかを判定する(2222)。コントローラは、クランプ部材550が発射終了位置に位置すると判定する(2226)まで、このループを継続する。コントローラが、クランプ部材550は発射終了位置に位置すると判定した(2226)場合、プロセス2200は、「はい」分岐に沿って進み、次いで、停止する(2228)。
【0071】
コントローラが実行するように構成されている上記の機能に関する説明を更に提供するために、図20図21に示すいくつかの例示的な発射ストロークに関してプロセス2200を説明する。図20は、第1のグラフ2300及び第2のグラフ2302を示し、これらはそれぞれ、クランプ部材550の第1の発射ストローク2304及び第2の発射ストローク2306を示す。第1のグラフ2300は、モータ電流2303対時間2301を示し、第2のグラフ2302は、クランプ部材550の例示的な発射ストローク2304、2306についてのクランプ部材速度2305対時間2301を示す。時間2301の軸は、「閉鎖」ゾーン、「切断/ステープル留め」ゾーン、及び「停止」ゾーンに区切られ、クランプ部材550がその発射ストロークの対応の各部分においてもたらす動作を示す。組み合わせると、第1のグラフ2300及び第2のグラフ2302は、異なる発射ストローク2304、2306についてのモータ電流2303とクランプ部材速度2305との関係を示し、生じる動作は、図19に示すプロセス2200を実行するコントローラによって行われる。
【0072】
図19に関連して上述したように、プロセス2200を実行するコントローラは、クランプ部材550が閉鎖終了位置2308におけるモータ電流に従って駆動される発射速度を選択する(2210)ように構成され得る。換言すれば、コントローラは、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流によって示されるように、クランプされた組織の厚さに適切である、又はクランプされた組織の厚さに対応するクランプ部材550の発射速度を選択する(2210)ように構成されている。一態様では、コントローラは、閉鎖終了位置2308で検知されたモータ電流が値の範囲内に収まる場所に従って、クランプ部材550の発射速度を選択する。いくつかの態様では、これは、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流が、モータ電流値の範囲内の1つ以上の閾値を上回るかどうかとして表され得る。他の態様では、これは、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流が、モータ電流値の範囲の特定のゾーン又は複数のゾーン内にあるかどうかとして表され得る。
【0073】
図示の態様では、第1の閾値T、第2の閾値T、及び第3の閾値Tが存在し、それぞれ、薄い組織、中間の組織、及び厚い組織に対応するゾーンを画定することができる。換言すれば、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流がT未満である場合、比較的小さいトルクがモータ2010によって組織に加えられて、組織上でエンドエフェクタ500をクランプするため、組織は薄いと考えられ得る。したがって、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流がTを超えるが、T未満である場合、組織は、中間、正常、つまり予想される厚さであると見なすことができる。したがって、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流がTを超えるが、T未満である場合、モータ2010は、高いトルクを加えて組織をクランプする必要があるため、組織は厚いと考えられ得る。閉鎖終了位置2308におけるモータ電流がTを超える場合、組織は、切断及びステープル留めには厚すぎると見なされ得る、又は不適切にクランプされ得る。その場合、プロセス2200は、操作者に対する警告を表示し、及び/又は外科用器具100をロックアウトして、これ以上クランプ部材550を前進させないようにすることができる。しかしながら、3つの閾値T、T、Tの描写は単なる例示であり、プロセス2200は、任意の数の閾値を組み込むことができる。クランプ部材550が駆動される速度は、閉鎖終了位置2308におけるモータ電流によって示される相対的な組織厚に対応するように、コントローラによって実行されるプロセス2200によって選択され得る。図示の態様では、モータ電流がTを超えない場合に選択される第1の速度ゾーンS1、モータ電流がT~Tに収まる場合に選択される第2の速度ゾーンS、並びにモータ電流がT~Tに収まる場合に選択される第3の速度ゾーンSが存在する。第1の速度ゾーンS~第3の速度ゾーンSは、次第に遅くなる速度に対応する。薄い組織は、適切なステープル形成に対してほとんど抵抗を示さず、したがって、ステープル品質を犠牲にすることなく、より迅速に動作を完了することができるため、より高速でクランプ部材550を駆動させてより薄い組織を通過することが望ましい場合がある。逆に、スレッド712(図10)がクランプ部材550によって速すぎる速度で駆動されると、より厚い組織でステープルが適切に形成されないことがあるため、より低速でクランプ部材550を駆動させてより厚い組織を通過することが望ましい場合がある。スレッド712をより低速で駆動することにより、確実にステープルが組織を完全に貫通し、アンビルプレート620(図10)に対して完全に形成されるようにする。
【0074】
第1の発射ストローク2304及び第2の発射ストローク2306は、コントローラが、クランプ部材発射ストロークの過程中にモータ電流が閾値を超えていると判定し(2222)、次いで、クランプ部材550を休止させる(2224)例である。例えば、第1の発射ストローク2304では、閉鎖終了位置2308における閉鎖モータ電流2312は、第2の閾値Tを超えている。したがって、コントローラは、発射ストロークの切断/ステープル留め段階中にクランプ部材550が駆動される目標速度として、最も遅い速度ゾーンSを選択する。第2の発射ストローク2306では、閉鎖終了位置2308における閉鎖モータ電流2319は、第1の閾値Tを超えている。したがって、コントローラは、発射ストロークの切断/ステープル留め段階中にクランプ部材550が駆動される目標速度として、中間の速度ゾーンSを選択する。速度ゾーンS、S、Sは、クランプ部材550がモータ2010によって駆動される速度の上限及び下限許容閾値を設定する。クランプ部材550の速度が、コントローラによって選択される速度ゾーンS、S、Sの上限及び下限を超える場合、コントローラは、モータ2010を制御して、クランプ部材550が駆動される速度を増減する、又はモータ2010に供給される電気エネルギーを調節するなど、様々な動作を取るように構成され得る。換言すれば、速度ゾーンS、S、Sは、クランプ部材550の実際の並進速度が、コントローラに矯正動作を起させることなく変化し得る、許容可能な速度の範囲を表す。目標速度ゾーンS、S、Sは、第2のグラフ2302内の範囲として示しているが、その代わりに、個別の値であってもよいことを理解されたい。一般に、組織厚が均一ではないために発射ストローク中に速度が自然に変化するため、クランプ部材550の前進速度に対して許容範囲を設定することが望ましい場合がある。クランプ部材550は、スレッド712がステープル(互いに離間している)を排出するときに速度が低下する傾向があり、組織切断面554(図10)は、異なる物理的特性を有する、異なるタイプの組織を通って前進し得る。
【0075】
第1の発射ストローク2304の説明を続けると、閉鎖終了位置2308の後に、コントローラは、閉鎖速度2332から、選択された目標速度よりも低い(場合によってはゼロである)初期速度2333へとクランプ部材550の前進速度を低下させる。初期速度2333は、低初期モータ電流2313に対応する。次いで、コントローラは、クランプ部材550の駆動速度を、コントローラによって以前に選択された目標速度範囲S内の目標速度2334まで徐々に増加させる。クランプ部材の速度が増加するにつれて、モータ電流も同様に増加する(2314)。組織切断面554が駆動されて通る際に、クランプ部材550が組織からいかなる異常な抵抗も受けない場合、クランプ部材速度は、発射ストロークを通して停止位置2310まで、目標速度範囲S内に維持される。しかしながら、この例では、その代わりに速度が、その後に低下し始める。速度が低下するにつれて、モータ電流は、ピーク2315に達するまで増加し、最大閾値Tに達する。クランプ部材の速度は低下するものの、同時にモータ電流が増加することは、クランプ部材550によって駆動される組織切断面554が予期されるよりも厚い組織に遭遇している、ないしは別の方法で、モータ2010へのトルクを予想外に増加させるエラーが存在することを示す。予想外に厚い組織に遭遇すると、モータ2010へのトルクが増加し得、クランプ部材の速度は、最大で維持され、この場合は低下する。モータ電流が最大閾値Tを満たす又は超えるとき(ピーク2315にて)、コントローラは、モータ2010に流れる電流を低減又は切断し(2316)、それによってクランプ部材の速度を低下させて(2335)、より低い速度にする、又はいくつかの態様ではゼロにする(すなわち、クランプ部材550は休止する)。一定期間後、コントローラは、モータ2010を再通電し、クランプ部材550の駆動速度を目標速度範囲S内の目標速度2336へと徐々に増加させるために、モータ電流を徐々に増加させる(2317)。モータ電流が最大閾値Tを再度超えない限り、クランプ部材550は、停止位置2310に到達するまで前進し続ける。この時点で、コントローラはモータ電流をゼロに低下させ(2318)、クランプ部材速度は同様にゼロに低下する(2337)。これは、モータ2010の通電が停止されていて、クランプ部材が減速して停止するためである。
【0076】
第1の発射ストローク2304に関して上述した同様の一連の事象は、閉鎖モータ電流2319が閉鎖終了位置2308において第1の閾値Tのみを超えたために、コントローラが目標速度範囲をSとして選択することを除いて、第2の発射ストローク2306に対しても生じる。第1の発射ストローク2304と同様に、閉鎖終了位置2308の後に、コントローラは、閉鎖速度2326から初期速度2327へとクランプ部材550の前進速度を低下させる。次いで、コントローラは、クランプ部材550の駆動速度を、コントローラによって以前に選択された目標速度範囲S内の目標速度2328へと徐々に増加させる。クランプ部材の速度が増加するにつれて、モータ電流も同様に増加する(2321)。第1の発射ストローク3406と同様に、速度は減少し始め、モータ電流は、ピーク2322に達するまで増加し、最大閾値Tに達する。モータ電流が最大閾値Tを満たす又は超えるとき(ピーク2322にて)、コントローラは、モータ2010に流れる電流を低減させ、又は切断し(2323)、それによってクランプ部材の速度を低下させて(2329)、より低い速度にする、又はいくつかの態様ではゼロにする(すなわち、クランプ部材550は休止する)。一定期間後、コントローラは、モータ2010を再通電し、クランプ部材速度を目標速度範囲S内の目標速度2330へと徐々に増加させる(2324)。コントローラがモータを再通電する前の時間遅延は、発射ストローク中に遭遇する異なる条件によって異なり得る。第1のグラフ2300又は第2のグラフ2302のいずれかから分かるように、第1の発射ストローク2304中に電流が切断される期間2316は、第2の発射ストローク2306中に電流が切断される期間2323よりも長い。いくつかの態様では、休止の長さ(又はクランプ部材550がより低い速度又は初期速度で駆動される期間)は、組織厚の関数であり得る。例えば、コントローラは、より厚い組織について、クランプ部材550の前進を休止させることができる。コントローラは、停止位置2338に到達するまでクランプ部材550を前進させ続ける。この時点で、コントローラはモータ電流をゼロに低下させ(2325)、クランプ部材速度は同様にゼロに低下する(2331)。これは、モータ2010の通電が停止されているために、クランプ部材が減速して停止するためである。停止位置2338、2310は異なり得ることにも更に留意されたい。いくつかの態様では、停止位置2338、2310の位置は、エンドエフェクタ500内に存在するカートリッジ本体702の長さに従って異なり得る。他の態様では、停止位置2338、2310の位置は、外科用器具100の操作者によって、最大停止位置よりも短い(すなわち、より近位の)位置に設定され得る。
【0077】
図21は、第3のグラフ2400及び第4のグラフ2402を示し、これらはそれぞれ、クランプ部材550の第3の発射ストローク2404、第4の発射ストローク2406、及び第5の発射ストローク2408を示す。第3のグラフ2400は、モータ電流2403対クランプ部材変位距離2401を示し、第4のグラフ2402は、クランプ部材550の例示的な発射ストローク2404、2406、2408についてクランプ部材速度2405対変位距離2401を示す。変位距離2401の軸は、「閉鎖」ゾーン、「切断/ステープル留め」ゾーン、及び「停止」ゾーンに区切られ、クランプ部材550がその発射ストロークの対応の各部分において駆動する動作を示す。組み合わせると、第3のグラフ2400及び第4のグラフ2402は、異なる発射ストローク2404、2406、2408についてのモータ電流2403とクランプ部材速度2405との関係を示し、生じる動作は、図19に示すプロセス2200を実行するコントローラによって行われる。
【0078】
図19に関連して上述したように、プロセス2200を実行するコントローラは、クランプ部材550が閉鎖終了位置2410におけるモータ電流に従って駆動される発射速度を選択する(2210)ように構成され得る。換言すれば、コントローラは、閉鎖終了位置2410におけるモータ電流によって示されるように、クランプされた組織の厚さに適切である、又はクランプされた組織の厚さに対応するクランプ部材550の発射速度を選択する(2210)ように構成されている。一態様では、コントローラは、閉鎖終了位置2410で検知されたモータ電流が値の範囲内に収まる場所に従って、クランプ部材550の発射速度を選択する。いくつかの態様では、これは、閉鎖終了位置2410におけるモータ電流が、モータ電流値の範囲内の1つ以上の閾値を上回るかどうかとして表され得る。他の態様では、これは、閉鎖終了位置2410におけるモータ電流が、モータ電流値の範囲の特定のゾーン又は複数のゾーン内に収まるかどうかとして表され得る。図示の態様では、モータ電流2403は、第1のゾーンiと、第2のゾーンiと、第3のゾーンiと、を含む。これらのゾーンは、互いに隣接していても、隣接していなくてもよい。しかしながら、モータ電流2403の軸に沿った3つのゾーンi、i、iの描写は単なる例示であり、プロセス2200は、任意の数の閾値を組み込むことができる。
【0079】
図19に関連して上述したように、コントローラによって実行されるプロセス2200は、モータ電流がロックアウト閾値2415を超えているかどうかを判定する(2214)ように構成され得る。第3の発射ストローク2404は、ロックアウト閾値2415を超えたと判定する(2214)、例示的な発射ストロークを表す。第3の発射ストローク2404では、クランプ部材速度がゼロへと急落する(2416)ため、モータ電流は、閉鎖終了位置2410の直後の発射ストローク部分でモータ電流が急増し(2414)、ロックアウト閾値2415に達する、又は超える。換言すれば、モータ電流は、クランプ部材550の対応する動きを最小限に抑えて、又は全く動かさずに急増する。モータ電流がロックアウト閾値2415に達すると、コントローラによって実行されるプロセス2200は停止し(2216)、コントローラは、操作者に対する警告を表示し、及び/又は外科用器具100をロックアウトして、クランプ部材550から発射させないようにすることができる。一例では、閉鎖終了位置2410の直後に第3の発射ストローク2404によって示されるモータ電流のスパイク2414は、カートリッジ702がエンドエフェクタ500内に存在しないこと、又は適切に装填されていないことを示し得る。
【0080】
第4の発射ストローク2406は、コントローラが、クランプ部材ストロークの過程中にモータ電流が閾値を超えていると判定し(2222)、次いで、クランプ部材550の速度を低下させる(2224)例である。第4の発射ストローク2406では、閉鎖モータ電流2418は、iゾーン内に収まる。したがって、コントローラは、目標速度範囲2436としてSを選択する。閉鎖終了位置2410の後に、コントローラはクランプ部材速度を閉鎖速度2432から初期速度2434へと低下させる。次いで、コントローラは、初期速度2434から選択された速度範囲S内の目標速度2436へと変位部材速度を増加させる。初期速度2434は、設定値又は値の範囲であり得ることに留意されたい。モータ電流は、変位部材速度が増加するにつれて、それに応じて増加する(2420)。第4の発射ストローク2406中にクランプ部材550が前進し続けるため、クランプ部材550は、モータ電流が急増する(2422)点に達し、その結果、iゾーンの上限によって画定された閾値を超える。モータ電流の急増2422は、切断面554が、クランプされた組織の予想外に厚い部分を通って駆動されていることを示す。この例では、コントローラが検知されたモータ電流を比較して、変位部材速度を減少させる(2224)か、又はクランプ部材550を休止させるかどうかを判定する(2222)、複数の閾値(電流ゾーンi、i、iの境界によって画定される)が存在する。これは、モータ電流が単一の最大閾値(T)に達した又は超えたときに、コントローラが動作を行う(すなわち、特施例ではクランプ部材550を休止させる)、第1の発射ストローク2304及び第2の発射ストローク2306とは対照的である。モータ電流が閾値を超えると、コントローラは、元の速度範囲Sからより低い範囲Sへとクランプ部材速度を低下させる(2438)。次いで、コントローラは、より低速で(2440)モータ2010にクランプ部材550を前進させる。クランプ部材550がより低い速度範囲Sで前進するため、モータ電流は、i電流ゾーンの下限を超えて急減する(2426)まで、より高い電流範囲iで継続する(2424)。モータ電流の急減2426は、クランプ部材550を目標速度で前進させるのに必要とされる電流が少なくなるため、切断面554は、クランプされた組織のより薄い部分を通って駆動されることを示す。モータ電流がこのより低い境界によって表される閾値に達するか又は上回るとき、コントローラは次いで、モータ2010にクランプ部材速度を増加させて(2442)、より低速の範囲Sから元の速度範囲Sに戻す。第4の発射ストローク2406の残りの部分にわたって、変位部材速度は、クランプ部材550が発射終了位置2412に到達するまで目標速度範囲S内で継続する(2444)(モータ電流は同様に、そのそれぞれの範囲iで継続する(2428))。クランプ部材550が発射終了位置2412に到達すると、コントローラはモータ電流を切断し(2430)、クランプ部材速度は、モータ2010の通電が停止されるため、それに応じてゼロへと低下する(2446)。
【0081】
第5の発射ストローク2408は、クランプ部材550が、厚さの著しいばらつきを有さない、クランプされた組織を通って駆動される、発射ストロークを表す。第5の発射ストローク2408では、閉鎖モータ電流2448は、iゾーン内に収まる。したがって、コントローラは、目標速度範囲2458としてSを選択する。閉鎖終了位置2410の後に、コントローラはクランプ部材速度を閉鎖速度2454から初期速度2456へと減少させる。次いで、コントローラは、初期速度2456から選択速度範囲S内の目標速度2458へと変位部材速度を増加させる。この例では、クランプ部材550は、発射ストローク全体にわたってその速度を目標速度2458内に維持する。モータ電流は、同様に、電流ゾーンiの境界内に維持される(2450)。換言すれば、クランプ部材550は、クランプ部材550が閉鎖終了位置2410から発射終了位置2412へと前進するとき、予測された組織厚(すなわち、閉鎖モータ電流2418によって示される組織厚)と比較して明らかに厚い又は薄い、組織のいずれの部分にも遭遇しない。クランプ部材550が発射終了位置2412に到達すると、コントローラはモータ電流を切断し(2452)、モータ2010の通電が停止されるために、クランプ部材速度をゼロへと低下させる(2460)。
【0082】
図22は、本開示の一態様による、間隙センサ10006と、カートリッジ識別センサ10010と、を含むエンドエフェクタ10000の図を示す。間隙センサ10006は、磁石10008の相対位置を検知することによって、第1のジョー部材10004(すなわち、アンビルアセンブリ610)と第2のジョー部材10006(すなわち、カートリッジアセンブリ700)との間隙、つまり距離を検知するように構成されている。位置センサ10006は、構成要素間の相対距離を検出するように構成された他のセンサの中でもホール効果センサを含むことができる。図23に示す一態様では、位置センサ10006は、ホール素子10100と、増幅器10102と、電源10104と、を備える。ホール素子は、第1の入力端子10108Aと、第2の入力端子10108Bと、を備える。第1の入力端子10108A及び第2の入力端子10108Bは、電源10104から一定の入力電流を受けるように構成されている。磁場が存在しないとき、入力電流は第1の入力端子10108Aに入り、ホール素子10100の両側に対して電位を損失せずに、第2の入力端子10108Bから出る。例えば磁石10008などによって、磁場がホール素子10100に印加されるとき、ホール素子10100を流れる電子の偏向のために、ホール素子10100の両側に電位が形成される。第1の出力端子10108C及び第2の出力端子10108Dは、ホール素子10100の反対側に位置する。第1の出力端子10108C及び第2の出力端子10108Dは、磁場によって生じた電位を増幅器10102に供給する。増幅器10102は、ホール素子10100によって経験された電位を増幅し、出力端子10106に対して増幅した電圧を出力する。したがって、位置センサ10006の出力は、ホール素子10100に対する磁石10008の相対距離に対応する。ジョー部材10006、10008間の距離を検出することは、エンドエフェクタ10000がクランプされたときに把持された組織の厚さにこの距離が相当するため、有益であり得る。したがって、ジョー部材10006、10008間の距離を検知することは、上記のようにモータ電流から組織厚を特定して、エンドエフェクタ10000をクランプする代わりに、又はそれに加えて使用され得る。
【0083】
再び図22を参照すると、カートリッジ識別センサ10010は、エンドエフェクタ10000内に存在するカートリッジ702のタイプ又は識別情報を検知するように構成されている。エンドエフェクタ10000が交換可能なカートリッジ702を有するMULUである一態様では、カートリッジ識別センサ10010は、カートリッジ702から送信された信号(例えば、RF信号)を受信するように構成されている受信機を含む。エンドエフェクタ10000がMULUである別の態様では、カートリッジ識別センサ10010は、カートリッジ702がエンドエフェクタ10000に挿入されたときにカートリッジ702の対応する電気接点に接触するように構成されている電気接点を含む。カートリッジ702が挿入されると、カートリッジ702は、電気的に接続された電気接点を介して信号を送信し、この信号は外科用器具100のコントローラが受信して、カートリッジ702を識別する。
【0084】
エンドエフェクタ10000がSULUである別の態様では、カートリッジ識別センサ10010は、エンドエフェクタ10000がアダプタ200に嵌合された時点を検出するように構成されている。図24図25に示すこの態様では、アダプタ200の末端部10206は、屈曲部分10202をそれぞれ含む、1つ以上の電気接点10200を含む。エンドエフェクタ500は、エンドエフェクタハウジング10201内、又はその上に配設されたメモリを更に含む。メモリは、メモリチップと、メモリチップに電気的に接続された1つ以上の電気接点10204と、を含む。メモリチップは、エンドエフェクタ500に関連する1つ以上のパラメータを記憶するように構成されている。パラメータとしては、エンドエフェクタ500のシリアル番号、エンドエフェクタ500及び/又その内部にあるカートリッジ702のタイプ、エンドエフェクタ500及び/又はその内部にあるカートリッジ702のサイズ、ステープルサイズ、エンドエフェクタ500が発射されたかどうかを識別する情報、エンドエフェクタ500及び/又はその内部にあるカートリッジ702の長さ、エンドエフェクタ500の最大使用数、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。エンドエフェクタ500がアダプタ200に嵌合されると、エンドエフェクタ電気接点10204はアダプタ電気接点10200に係合する。メモリチップは、エンドエフェクタ500とアダプタ200との係合時に、電気接点10200、100204を介して、エンドエフェクタ500の存在及び本明細書に記載のエンドエフェクタ500のパラメータのうちの1つ以上を通信するように構成されている。
【0085】
図26は、本開示の一態様による、クランプ部材550を発射する初期速度を選択するためのプロセス10300の論理フロー図を示す。プロセス10300の以下の説明では、プロセス10300によって利用される様々なセンサアセンブリを示す図22図25及びプロセス10300に従って実行されるクランプ部材550の様々な発射ストロークを示す図27を参照するべきである。本明細書に記載するプロセス10300は、図16図17に示す制御回路を含むコントローラ、図18のマイクロコントローラ2104、又は外科用器具100のメモリに記憶された論理及び/若しくは命令を実行している別の制御回路及び/若しくはプロセッサによって実行され得る。エンドエフェクタ500のクランプ及び切断/ステープル留め動作が開始される(10302)と、プロセス10300の実行が開始される。
【0086】
したがって、コントローラによって実行されるプロセス10300は、クランプ部材550が動作可能に接続されるモータ2010に通電することによって、まずクランプ部材550を前進させる(10304)。次いで、コントローラは、クランプ部材550が閉鎖終了位置にあるかどうかを判定する(10306)。一例では、コントローラは、位置センサ2102(図18)を介してクランプ部材550が閉鎖終了位置にあるかどうかを判定する(10306)ことができる。閉鎖終了位置は、クランプ部材550がエンドエフェクタ500を閉鎖した後の、クランプ部材550の発射ストローク中の場所に対応し、その後、組織の切断及び/又はステープルの発射を行う。いくつかの態様では、コントローラは、メモリから閉鎖終了位置を取得し、次いで、既知の閉鎖終了位置をクランプ部材550の検知された位置と比較する。他の態様では、コントローラは、モータ電流のピークを監視することによって閉鎖終了位置を特定することができる。クランプ部材550が閉鎖終了位置にない場合、プロセス10300は、「いいえ」分岐に沿って進み、コントローラは、引き続きモータ2010にクランプ部材550を前進させる(10304)。プロセス2200は、クランプ部材550が閉鎖終了位置に、又はそれを超えて位置するまで、このループを継続する。
【0087】
クランプ部材550がその発射ストロークにおいて閉鎖終了位置に、又はそれを超えて位置すると判定した(10306)場合、プロセス10300は、「はい」分岐に沿って進み、次いで、アンビルアセンブリ610とカートリッジアセンブリ700との間隙距離を特定する(10308)。一例では、コントローラは、間隙センサ10006を介して間隙距離を特定する(10308)。コントローラは、次いで、カートリッジ702及び/又はエンドエフェクタ500のタイプ又は識別情報を特定する(10310)。一例では、コントローラは、カートリッジ識別センサ10100を介してカートリッジ702のタイプ又は識別情報を特定する(10310)。次いで、カートリッジは、検知されたカートリッジタイプに対して間隙距離が許容可能であるかどうかを判定する(10312)。異なるタイプのカートリッジ702は、異なる許容可能な許容範囲を有する。したがって、あるタイプのカートリッジ702に好適(すなわち、動作許容範囲内)である、アンビルアセンブリ610とカートリッジアセンブリ700との間隙距離は、別のタイプのカートリッジ702には好適ではないことがある。間隙距離が所与のカートリッジタイプに好適ではないとコントローラが判定した場合、プロセス10300は「いいえ」分岐に進み、停止する(10314)。その場合、プロセス10300は、操作者に対する警告を表示し、及び/又は外科用器具100をロックアウトして、クランプ部材550を発射させないようにすることができる。
【0088】
所与のカートリッジタイプに間隙距離が好適であるとコントローラが判定した場合、プロセス10300は「はい」分岐に沿って進み、次に、検知された間隙距離及び検知されたカートリッジタイプに従って、クランプ部材550の目標発射速度を特定する(10316)。一態様では、コントローラは、検知された間隙距離が1つ以上の閾値を超えるか、又は所与のカートリッジタイプに特定の間隙距離の範囲内の1つ以上のゾーンに収まるかどうかに応じて、目標発射速度を選択することができる。換言すれば、異なるカートリッジタイプは、様々な厚さのクランプされた組織に対してクランプ部材550が前進し得る速度に異なる許容範囲を有することができる。各カートリッジタイプにおいて、コントローラは、概して、より厚い組織にはより遅い発射速度、より薄い組織にはより速い発射速度を選択するように構成され得る。しかしながら、所与の厚さの組織が比較的厚い又は比較的薄いと考えられるかどうかは、カートリッジタイプに応じて異なるであろう。適切な目標発射速度を特定した(10316)後、プロセス10300は、停止する(10318)。
【0089】
コントローラが実行するように構成されている上記の機能に関する説明を更に提供するために、図27に示すいくつかの例示的な発射ストロークに関してプロセス10300を説明する。図27は、異なるカートリッジタイプに対応するクランプ部材550のいくつかの発射ストローク10406、10408、10410、10412、10414、10416、10418を示すグラフ10400を示す。グラフ10400では、第1の発射ストローク10406、第2の発射ストローク10408、第5の発射ストローク10414、及び第7の発射ストローク10418は、第1のカートリッジタイプに対応し、第3の発射ストローク10410及び第6の発射ストローク10416は、第2のカートリッジタイプに対応し、第4の発射ストローク10412は第3のカートリッジタイプに対応する。グラフ10400は、エンドエフェクタ500の間隙距離10404対クランプ部材550の変位距離10402を示す。プロセス10300を実行するコントローラによって生じる動作(すなわち、発射速度の特定(10316))は、各発射ストロークのカートリッジタイプの閉鎖終了位置10420における間隙距離10404に依存する。グラフ10400はまた、間隙距離10404軸に沿った様々な閾値x...xを示し、これらの間のゾーンを示す。連続的に増加する閾値x...xは、間隙距離10404の次第に大きくなる値に対応し得る。以下で説明するように、各カートリッジタイプは、必ずしも、図示した閾値x...xの全てを使用する必要はなく、異なるカートリッジタイプは、同一又は異なる閾値x...x及び/又はゾーンを使用し得る。更に、6つの閾値x...xを示しているが、コントローラによって実行されるプロセス10300は、実際には任意の数の閾値及び/又はゾーンを使用することができる。
【0090】
第1のカートリッジタイプでは、閾値x、x、及びxが、コントローラによって選択された発射速度を特定するゾーンを画定する。例えば、閉鎖終了位置10420において、第1の発射ストローク10406は、xを超える位置10407に位置する。x閾値を超えることは、クランプされた組織が厚すぎるために、所与のカートリッジタイプでは切断及びステープル留めできない、又は不適切にクランプされていることに対応する。この場合、コントローラは、操作者に対する警告を表示し、及び/又は外科用器具100をロックアウトして、クランプ部材550を発射させないようにすることができる。第2の発射ストローク10408は、閉鎖終了位置10420においてxとxとの間のゾーン内の位置10409に位置するが、これは、大きい間隙、つまり所与のカートリッジタイプにとっては厚い組織に対応する。したがって、コントローラは、クランプ部材550により低速の発射速度を選択することができる。第5の発射ストローク10414は、閉鎖終了位置10420においてxとxとの間のゾーン内の位置10415に位置するが、これは、中程度の間隙、つまり所与のカートリッジタイプにとっては中程度、正常、若しくは予測される組織厚に対応する。したがって、コントローラは、クランプ部材550に中速の、つまり通常の発射速度を選択することができる。第7の発射ストローク10418は、閉鎖終了位置10420においてxよりも下のゾーン内の位置10419に位置するが、これは、小さい間隙、つまり所与のカートリッジタイプにとって薄い組織に対応する。したがって、コントローラは、クランプ部材550に高速の発射速度を選択することができる。
【0091】
関連閾値は、異なるカートリッジタイプよって異なり得る。第2のカートリッジタイプでは、x閾値は、高速の発射速度及び通常の発射速度を規定するゾーンを示す。例えば、第3の発射ストローク10410は、閉鎖終了位置10420においてxよりも上のゾーン内の位置10411に位置するが、これは、中程度の間隙、つまり所与のカートリッジタイプにとって中程度、正常、若しくは予測される組織厚に対応する。したがって、コントローラは、クランプ部材550に中速の、つまり通常の発射速度を選択することができる。第6の発射ストローク10416は、閉鎖終了位置10420においてxよりも下のゾーン内の位置10417に位置するが、これは、小さい間隙、つまり所与のカートリッジタイプにとって薄い組織に対応する。したがって、コントローラは、クランプ部材550に高速の発射速度を選択することができる。
【0092】
関連閾値はまた、異なるカートリッジタイプ間で共有され得る。第3のカートリッジタイプでは、x閾値は、高速の発射速度及び通常の発射速度を規定するゾーンを示す(第3の発射ストローク10410及び第6の発射ストローク10416の第2のカートリッジタイプと同様に)。例えば、第4の発射ストローク10412は、閉鎖終了位置10420においてxよりも下のゾーン内の位置10413に位置するが、これは、小さい間隙、つまり所与のカートリッジタイプにとって薄い組織に対応する。したがって、コントローラは、クランプ部材550に高速の発射速度を選択するであろう。
【0093】
要するに、コントローラによって実行されるプロセス10300は、アンビルアセンブリ610とカートリッジアセンブリ700との間で検知された間隙距離が、各カートリッジタイプに固有であり得る様々な許容範囲と比較して収まる場所に従って、その発射ストロークの切断/ステープル留め動作中のクランプ部材550に適切な発射速度を選択することができる。したがって、プロセス10300は、クランプ部材550が発射されて、組織を切断及び/又はステープル留めする速度を、クランプされた組織の厚さ及びカートリッジタイプに従ってカスタマイズできるようにする。
【0094】
様々な態様が本明細書で説明されてきたが、それらの態様に対して多くの修正及び変形形態を実施することができる。例えば、種々のタイプのエンドエフェクタが用いられてもよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0095】
全体又は部分的に、参照により本明細書に組み込まれると言及されるいずれの特許、刊行物又はその他の開示物も、組み込まれる内容が既存の定義、記述、又は本開示に記載されているその他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれるものとする。そのようなものであるから、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0096】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0097】
実施例1-制御回路を含むモータを備える、外科用器具であって、制御回路は、モータに連結され、外科用器具に接続可能であるエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出するように構成されている。少なくとも1つの例では、エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている。制御回路はまた、第1の位置と第2の位置との間でモータによって駆動可能であるクランプ部材の位置を検出するように構成されている。クランプ部材は、クランプ部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタを閉鎖位置に移行させ、クランプ部材が第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタが閉鎖位置に来た後に、カートリッジから複数のステープルを配置するように構成されている。制御回路は、モータに、第1の位置と第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度でクランプ部材を駆動させ、モータに、第1の位置と第2の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度でクランプ部材を駆動させるように更に構成されている。少なくとも1つの実施例では、第1の速度は、第2の速度よりも小さい。
【0098】
実施例2-第1のゾーンは、第2のゾーンに対して近位に位置している、実施例1に記載の外科用器具。
【0099】
実施例3-第1のゾーンは、第2のゾーンよりも前に位置している、実施例1に記載の外科用器具。
【0100】
実施例4-第1のゾーンの長さが、エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する、実施例1、2、又は3に記載の外科用器具。
【0101】
実施例5-外科用器具は、エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されているセンサを備える、実施例3に記載の外科用器具。間隙は、組織の厚さに対応する。
【0102】
実施例6-制御回路は、エンドエフェクタが閉鎖位置に移行するときに、モータの電流を検出するように構成され、モータの電流は組織の厚さに対応する、実施例4又は5に記載の外科用器具。
【0103】
実施例7-連結された制御回路を含むモータを備える、外科用器具であって、制御回路は、外科用器具に接続可能であるエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出するように構成されている。少なくとも1つの例では、エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている。制御回路は、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間でモータによって駆動可能であるクランプ部材の位置を検出するように更に構成されている。クランプ部材は、クランプ部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタを閉鎖位置に移行させるように構成されている。クランプ部材は、クランプ部材が第2の位置から第3の位置に移動するときに、カートリッジから複数のステープルを配置するように更に構成されている。制御回路は、モータに、第1の位置と第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度でクランプ部材を駆動させ、モータに、第2の位置と第3の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度でクランプ部材を駆動させるように更に構成されている。少なくとも1つの実施例では、第1の速度は、第2の速度よりも小さい。
【0104】
実施例8-第1のゾーンは、第2のゾーンに対して近位に位置している、実施例7に記載の外科用器具。
【0105】
実施例9-第1のゾーンは、第2のゾーンよりも前に位置している、実施例7に記載の外科用器具。
【0106】
実施例10-第1のゾーンの長さが、エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する、実施例7、8、又は9に記載の外科用器具。
【0107】
実施例11-外科用器具は、エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、間隙は組織の厚さに対応する、実施例10に記載の外科用器具。
【0108】
実施例12-制御回路は、エンドエフェクタが閉鎖位置に移行するときに、モータの電流を検出するように構成され、モータの電流は組織の厚さに対応する、実施例10又は11に記載の外科用器具。
【0109】
実施例13-制御回路を含むモータを備える、外科用器具であって、制御回路は、モータに連結され、外科用器具に接続可能であるエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出するように構成されている。少なくとも1つの例では、エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている。制御回路は、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間でモータによって駆動可能であるクランプ部材の位置を検出するように更に構成されている。クランプ部材は、クランプ部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、エンドエフェクタを閉鎖位置に移行させ、クランプ部材が第2の位置から第3の位置に移動するときに、カートリッジから複数のステープルを配置するように構成されている。制御回路は、モータに、第2の位置と第3の位置との間のクランプ部材の位置に対応する可変速度でクランプ部材を駆動させるように更に構成されている。少なくとも1つの実施例では、可変速度は、第2の位置に近づくとより遅くなる。
【0110】
実施例14-制御回路は、エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する期間にわたって、モータにクランプ部材をより遅い速度で駆動させるように構成されている、実施例13に記載の外科用器具。
【0111】
実施例15-外科用器具は、エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、間隙は組織の厚さに対応する、実施例13又は14に記載の外科用器具。
【0112】
実施例16-制御回路は、エンドエフェクタが閉鎖位置に移行するときに、モータの電流を検出するように構成され、モータの電流は組織の厚さに対応する、実施例13、14又は15に記載の外科用器具。
【0113】
本明細書で説明する外科用器具システムの多くは、電動モータによって駆動されている。本明細書に記載された外科用器具システムは、任意の好適な様態で動作することができる。様々な事例において、本明細書で説明した外科用器具システムは、例えば、手動操作トリガにより動作することができる。特定の例では、本明細書に開示されるモータは、ロボット制御式システムの1つ又は複数の部分を備えることができる。更に、本明細書に開示されるエンドエフェクタ及び/又は工具アセンブリのいずれもロボット手術器具システムと共に利用することができる。例えば、米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在は米国特許第9,072,535号は、ロボット外科用器具システムのいくつかの例をより詳細に開示している。
【0114】
本明細書に記載される外科用器具システムは、ステープルの展開及び変形に関連して説明されてきた。本明細書に記載された実施形態は、これに限定されない。例えば、クランプ又はタックなど、ステープル以外の締結要素を展開する様々な実施形態が想定される。更に、組織を封止するための任意の好適な手段を利用する、様々な実施形態も想到される。例えば、様々な実施形態によるエンドエフェクタは、組織を加熱して封止するように構成された電極を備え得る。また例えば、特定の実施形態によるエンドエフェクタは、組織を封止するために振動エネルギーを加えることができる。
【0115】
特定の実施形態と共に本明細書で様々なデバイスについて説明したが、それらの実施形態に対して修正及び変更が実施されてもよい。特定の特徴、構造又は特性を、1つ又は2つ以上の実施形態で、任意の好適な様態で組み合わせてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に、1つ又は2つ以上のその他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わされてもよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。更に、様々な実施形態に従って、所与の機能(複数可)を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えてもよく、また複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0116】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整には、デバイスの分解工程、それに続くデバイスの特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後のデバイスの再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、再調整の施設及び/又は外科チームは、デバイスを分解することができ、デバイスの特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、デバイスをその後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0117】
本明細書に開示のデバイスは、手術前に処理され得る。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、及び/又は高エネルギー電子などの、容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、β線、γ線、エチレンオキシド、過酸化水素プラズマ、及び/又は水蒸気が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0118】
代表的な設計を有するものとして本発明について記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的原理を使用する本発明のあらゆる変形、使用、又は適合を包含するものとする。
【0119】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、前記制御回路は、
前記外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、前記エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、
第1の位置と第2の位置との間で前記モータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、前記クランプ部材は、
前記クランプ部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに、前記エンドエフェクタを前記閉鎖位置に移行させ、
前記クランプ部材が前記第2の位置に移動するときに、前記エンドエフェクタが前記閉鎖位置に来た後に、前記カートリッジから前記複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されている、制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記モータに、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度で前記クランプ部材を駆動させ、
前記モータに、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度で前記クランプ部材を駆動させるように更に構成されており、
前記第1の速度は、前記第2の速度よりも小さい、外科用器具。
(2) 前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンに対して近位に位置している、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンよりも前に位置している、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記第1のゾーンの長さが、前記エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記外科用器具は、前記エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、前記間隙は前記組織の前記厚さに対応する、実施態様4に記載の外科用器具。
【0120】
(6) 前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖位置に移行するときに、前記モータの電流を検出するように構成され、前記モータの前記電流は前記組織の前記厚さに対応する、実施態様4に記載の外科用器具。
(7) 外科用器具であって、
モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、前記制御回路は、
前記外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、前記エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、
第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で前記モータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、前記クランプ部材は、
前記クランプ部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに、前記エンドエフェクタを前記閉鎖位置に移行させ、
前記クランプ部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動するときに、前記カートリッジから前記複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されている、制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記モータに、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第1のゾーンにおいて第1の速度で前記クランプ部材を駆動させ、
前記モータに、前記第2の位置と前記第3の位置との間の第2のゾーンにおいて第2の速度で前記クランプ部材を駆動させるように更に構成されており、
前記第1の速度は、前記第2の速度よりも小さい、外科用器具。
(8) 前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンに対して近位に位置している、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンよりも前に位置している、実施態様7に記載の外科用器具。
(10) 前記第1のゾーンの長さが、前記エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する、実施態様7に記載の外科用器具。
【0121】
(11) 前記外科用器具は、前記エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、前記間隙は前記組織の前記厚さに対応する、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖位置に移行するときに、前記モータの電流を検出するように構成され、前記モータの前記電流は前記組織の前記厚さに対応する、実施態様10に記載の外科用器具。
(13) 外科用器具であって、
モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、前記制御回路は、
前記外科用器具に接続可能なエンドエフェクタが閉鎖位置にあるかどうかを検出することであって、前記エンドエフェクタは、複数のステープルを支持するカートリッジを受容するように構成されている、ことと、
第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で前記モータによって駆動可能なクランプ部材の位置を検出することであって、前記クランプ部材は、
前記クランプ部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに、前記エンドエフェクタを前記閉鎖位置に移行させ、
前記クランプ部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動するときに、前記カートリッジから前記複数のステープルを配置するように構成されている、ことと、を行うように構成されている、制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記モータに、前記第2の位置と前記第3の位置との間の前記クランプ部材の位置に対応する可変速度で前記クランプ部材を駆動させるように更に構成され、前記可変速度は、前記第2の位置に近づくとより遅くなる、外科用器具。
(14) 前記制御回路は、前記エンドエフェクタにおいて把持された組織の厚さに対応する期間にわたって、前記モータに前記クランプ部材をより遅い速度で駆動させるように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記外科用器具は、前記エンドエフェクタのジョー部材間の間隙を検出するように構成されたセンサを備え、前記間隙は前記組織の前記厚さに対応する、実施態様14に記載の外科用器具。
【0122】
(16) 前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖位置に移行するときに、前記モータの電流を検出するように構成され、前記モータの前記電流は前記組織の前記厚さに対応する、実施態様14に記載の外科用器具。
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