(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20240624BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20240624BHJP
F16L 59/065 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F25D23/06 U
F25D23/06 W
F25D23/06 E
F16L59/02
F16L59/065
(21)【出願番号】P 2023102798
(22)【出願日】2023-06-22
(62)【分割の表示】P 2019000857の分割
【原出願日】2019-01-07
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松永 健吾
(72)【発明者】
【氏名】元井 啓順
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-340415(JP,A)
【文献】特開2018-194166(JP,A)
【文献】特開2013-185713(JP,A)
【文献】特開2004-340420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0202701(US,A1)
【文献】特開2016-047979(JP,A)
【文献】特開2018-204725(JP,A)
【文献】特開2001-174140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F25D 23/08
F25D 11/02
F25D 21/14
F16L 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の内面の少なくとも一部を形成した内面部材と、
前記冷蔵庫の外面の少なくとも一部を形成した外面部材と、
前記外面部材の先端部の少なくとも一部である第1先端部と、前記内面部材の先端部の少なくとも一部である第2先端部と、が接続された接続構造と、
エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱部材と、
を備え
、
前記外面部材と前記内面部材との間に、内部が減圧された真空断熱材を有し、
前記断熱部材は、前記真空断熱材の端部に配置されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記断熱部材
を覆う被覆部材は、前記接続構造と接触するように配置されている、
請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記断熱部材と前記真空断熱材とは、気密性を有する外装体の中であって区切られた部分に設けられている、
請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
冷気が挿通するダクト部品と、
前記ダクト部品の内壁部に沿って配置され、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む別の断熱部材と、
を備えた、
請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記内壁部は、複数の凸部を有し、
前記別の断熱部材は、前記複数の凸部に沿って変形して取り付けられている、
請求項
4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材を有した冷蔵庫が知られている。ところで、冷蔵庫は、さらなる断熱性の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、断熱性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫の内面の少なくとも一部を形成した内面部材と、前記冷蔵庫の外面の少なくとも一部を形成した外面部材と、前記外面部材の先端部の少なくとも一部である第1先端部と、前記内面部材の先端部の少なくとも一部である第2先端部と、が接続された接続構造と、前記接続構造付近に配置され、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1中に示された冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
【
図4】
図3中に示された上壁の一部領域を拡大して示す断面図。
【
図5】第1の実施形態の筐体の上壁の後端部を拡大して示す断面図。
【
図6】第1の実施形態の回路収容部品を分解して示す斜視図。
【
図7】
図5中に示された冷蔵庫1のF7-F7線に沿う断面図。
【
図8】第1の実施形態の断熱部材および外壁部を示す正面図。
【
図9】
図7中に示された冷蔵庫のF9線で囲まれた領域を拡大して示す断面図。
【
図10】第1の実施形態の筐体の下壁を示す断面図。
【
図11】
図2中に示された冷蔵庫1のF11-F11線に沿う断面図。
【
図12】
図11中に示された左側壁のF12線に囲まれた領域を拡大して示す断面図。
【
図14】第1の実施形態の冷蔵庫を正面から見た断面図。
【
図16】第1の実施形態の第1ダクト部品の裏面を示す断面図。
【
図17】第1の実施形態の第1ダクト部品および断熱部材を示す断面図。
【
図18】第1の実施形態の第1除霜水受けおよび排水管部を示す断面図。
【
図19】第1の実施形態の第1除霜水受けおよび断熱部材を示す下面図。
【
図20】第2の実施形態の冷蔵庫の後壁を示す断面図。
【
図21】第3の実施形態の冷蔵庫の左側壁を示す断面図。
【
図22】第3の実施形態の真空断熱材を示す断面図。
【
図23】第4の実施形態の断熱部材および外壁部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。
【0008】
本明細書において「XXとYYとの間にZZが挟まれる」とは、ZZがXXおよびYYに接する場合に限定されず、ZZとXXとの間と、ZZとYYとの間の少なくとも一方に別の部材が介在する場合も含む。本明細書において「接する」とは、厳密な意味で直接接する場合に限定されず、接着剤や接着テープなどの接着層が間に存在する場合も含む。
【0009】
(第1の実施形態)
[1.冷蔵庫の全体構成]
図1から
図19を参照し、第1の実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。
図1および
図2に示すように、冷蔵庫1は、例えば、筐体10、複数の扉11、複数の棚12、複数の容器13、流路形成部品14、第1および第2の冷却ユニット15,16、圧縮機17、蒸発皿18、および電源回路基板19を有する。
【0011】
筐体10は、上壁21、下壁22、左右の側壁23,24、および後壁25を有する。上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左右の側壁23,24は、下壁22の左右の端部から上方に起立し、上壁21の左右の端部に繋がっている。後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がっている。上壁21、下壁22、左右の側壁23,24、および後壁25の各々またはそれらの組み合わせは、それぞれ「断熱壁」の一例である。なお、筐体10の構成については、詳しく後述する。
【0012】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室27が設けられている。複数の貯蔵室27は、例えば、冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置され、冷蔵室27Aの下方に野菜室27Bが配置され、野菜室27Bの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置されている。ただし、貯蔵室27の配置は、上記例に限定されず、例えば野菜室27Bと主冷凍室27Eの配置が逆でもよい。筐体10は、各貯蔵室27の前面側に、各貯蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0013】
筐体10は、第1および第2の仕切部28,29を有する。第1および第2の仕切部28,29は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間を仕切っている。例えば、第1仕切部28は、冷蔵室27Aの底壁を形成するとともに、野菜室27Bの天井壁を形成している。一方で、第2仕切部29は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置し、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間を仕切っている。例えば、第2仕切部29は、野菜室27Bの底壁を形成するとともに、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの天井壁を形成している。
【0014】
複数の貯蔵室27の開口は、複数の扉11によって開閉可能に閉じられている。複数の扉11は、例えば、冷蔵室27Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉11Aa,11Ab、野菜室27Bの開口を閉じる野菜室扉11B、製氷室27Cの開口を閉じる製氷室扉11C、小冷凍室27Dの開口を閉じる小冷凍室扉11D、および主冷凍室27Eの開口を閉じる主冷凍室扉11Eを含む。
【0015】
複数の棚12は、冷蔵室27Aに設けられている。
複数の容器13は、冷蔵室27Aに設けられた冷蔵室容器13A(例えばチルド室容器)、野菜室27Bに設けられた第1および第2の野菜室容器13Ba,13Bb、製氷室27Cに設けられた製氷室容器(不図示)、小冷凍室27Dに設けられた小冷凍室容器13D、および主冷凍室27Eに設けられた第1および第2の主冷凍室容器13Ea,13Ebを含む。
【0016】
流路形成部品14は、筐体10内に配置されている。流路形成部品14は、第1ダクト部品31、第2ダクト部品32、および戻り流路カバー33を含む。
【0017】
第1ダクト部品31は、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品31は、例えば、野菜室27Bの下端部の後方から冷蔵室27Aの上端部の後方まで延びている。第1ダクト部品31と筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第1ダクト空間D1が形成されている。第1ダクト部品31は、複数の冷気吹出口31aと、冷気戻り口31bとを有する。複数の冷気吹出口31aは、冷蔵室27Aにおいて複数の高さ位置に分かれて設けられている。冷気戻り口31bは、第1ダクト部品31の下端部に設けられ、野菜室27Bの後方に位置する。
【0018】
第2ダクト部品32は、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品32は、例えば、主冷凍室27Eの後方から製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの上端部の後方まで延びている。第2ダクト部品32と筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第2ダクト空間D2が形成されている。第2ダクト部品32は、冷気吹出口32aと、冷気戻り口32bとを有する。冷気吹出口32aは、第2ダクト部品32の上端部に設けられ、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの後方に位置する。冷気戻り口32bは、第2ダクト部品32の下端部に設けられ、主冷凍室27Eの後方に位置する。
【0019】
戻り流路カバー33は、例えば主冷凍室27Eに配置されている。戻り流路カバー33は、筐体10内の後部に設けられている。戻り流路カバー33は、冷蔵庫1の上下方向において、第2ダクト部品32の冷気吹出口32aと冷気戻り口32bとの間の高さに位置した壁部33aを含み、主冷凍室27Eの後方において筐体10内の後部を冷気流路f1と戻り流路f2とに分けている。冷気流路f1は、筐体10の後部において第2ダクト部品32の冷気吹出口32aと連通し、後述する第2冷却器46により冷却されて冷気吹出口32aから吹き出された冷気が通る流路である。例えば、冷気流路f1は、冷気吹出口32aから主冷凍室27Eに向けて冷気が通る流路である。一方で、戻り流路f2は、筐体10の後部において第2ダクト部品32の冷気戻り口32bと連通し、製氷室27C、小冷凍室27D、主冷凍室27Eのうち1つ以上を通過した冷気が第2冷却器46に向けて戻る流路である。戻り流路f2の少なくとも一部は、冷気流路f1の下方に位置する。戻り流路カバー33の上面側と下面側では、互いに反対方向に向けて冷気が流れる。
【0020】
第1冷却ユニット15は、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bを冷却する冷却ユニットである。第1冷却ユニット15は、例えば、第1冷却器41、第1除霜水受け42、および第1ファン43を含む。
【0021】
第1冷却器41は、第1ダクト空間D1に配置されている。第1冷却器41は、例えば、冷蔵室27Aの下端部に対応する高さに配置されている。第1冷却器41は、後述する圧縮機17により圧縮された冷媒が供給され、第1ダクト空間D1を流れる冷気を冷却する。
【0022】
第1除霜水受け42は、第1ダクト空間D1に配置され、第1冷却器41の下方に設けられている。第1除霜水受け42は、第1冷却器41で生じた除霜水(第1冷却器41から滴下する除霜水)を受ける。第1除霜水受け42に受け止められた除霜水は、筐体10の後壁25に設けられた排水管部44を経由して蒸発皿18に導かれる。
【0023】
第1ファン43は、例えば、第1ダクト部品31の冷気戻り口31bに設けられている。第1ファン43が駆動されると、野菜室27Bの空気が冷気戻り口31bから第1ダクト空間D1内に流入する。第1ダクト空間D1内に流入した空気は、第1ダクト空間D1内を上方に向けて流れ、第1冷却器41によって冷却される。第1冷却器41によって冷却された冷気は、複数の冷気吹出口31aから冷蔵室27Aに吹き出される。冷蔵室27Aに吹き出された冷気は、冷蔵室27Aを流れた後、野菜室27Bを経由して、再び冷気戻り口31bに戻る。これにより、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bを流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bの冷却が行われる。
【0024】
一方で、第2冷却ユニット16は、製氷室27C、小冷凍室27D、および野菜室27Bを冷却する冷却ユニットである。第2冷却ユニット16は、例えば、第2冷却器46、第2除霜水受け47、および第2ファン48を含む。
【0025】
第2冷却器46は、第2ダクト空間D2に配置されている。第2冷却器46は、例えば、小冷凍室27Dに対応する高さに配置されている。第2冷却器46は、後述する圧縮機17により圧縮された冷媒が供給され、第2ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。
【0026】
第2除霜水受け47は、第2ダクト空間D2に配置され、第2冷却器46の下方に設けられている。第2除霜水受け47は、第2冷却器46で生じた除霜水(第2冷却器46から滴下する除霜水)を受ける。第2除霜水受け47に受け止められた除霜水は、筐体10の後壁25に設けられた排水管部44を経由して蒸発皿18に導かれる。
【0027】
第2ファン48は、例えば、第2ダクト部品32の冷気戻り口32bに設けられている。第2ファン48が駆動されると、主冷凍室27Eの空気が冷気戻り口32bから第2ダクト空間D2内に流入する。第2ダクト空間D2内に流入した空気は、第2ダクト空間D2内を上方に向けて流れ、第2冷却器46によって冷却される。第2冷却器46によって冷却された冷気は、冷気吹出口32aから製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに流入する。製氷室27Cおよび小冷凍室27Dに流入した冷気は、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dを流れた後、主冷凍室27Eを経由して、再び冷気戻り口32bに戻る。これにより、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27E内流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの冷却が行われる。
【0028】
圧縮機17は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮機17は、貯蔵室27の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機17により圧縮された冷媒ガスは、放熱パイプ101(
図9参照)などを経由して、第1および第2の冷却器41,46に送られる。
【0029】
蒸発皿18は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。蒸発皿18は、例えば圧縮機17が発する熱によって加熱され、第1および第2の除霜水受け42,47から蒸発皿18に導かれた除霜水を蒸発させる。
【0030】
電源回路基板19は、外部電源である商用電源(交流100V)に電気的に接続され、商用電源から供給された電力を、冷蔵庫1に含まれる各電気部品の駆動に適した電圧の直流電力に変換し、変換した電力を冷蔵庫1の各電気部品に供給する。電源回路基板19は、冷蔵庫1のなかでも発熱量が大きな発熱部品の一例である。電源回路基板19は、例えば、筐体10の上壁21に設けられている。本実施形態では、筐体10の上壁21の上面は、下方に向けて窪んだ凹部84を有する。電源回路基板19は、凹部84に配置されている。なお、電源回路基板19の設置構造については、詳しく後述する。
【0031】
[2.筐体の全体構成]
次に、筐体10の構成について説明する。
図2に示すように、筐体10は、例えば、内箱51、外箱52、および断熱部53を有する。
【0032】
内箱51は、筐体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。なお、内箱51は、筐体10の内面の全部を形成してもよく、一部のみを形成してもよい。内箱51は、貯蔵室27(冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27E)に露出する部材である。内箱51は、「内面部材」の一例である。
【0033】
外箱52は、筐体10の外面を形成する部材であり、例えば金属製である。なお、外箱52は、筐体10の外面の全部を形成してもよく、一部のみを形成してもよい。外箱52は、内箱51よりも一回り大きく形成されており、内箱51の外側に配置されている。外箱52は、冷蔵庫1の外部に露出する部材である。内箱51と外箱52との間には、後述する断熱部53が設けられる空間が存在する。外箱52は、「外面部材」の一例である。
【0034】
断熱部53は、内箱51と外箱52との間に設けられ、筐体10の断熱性を高めている。断熱部53は、例えば、真空断熱材(VIP:Vacuum Insulation Panel)61、発泡断熱材62、および複数の断熱部材71~76(断熱部材75,76については
図12を参照)を含む。以下、これらについて説明する。
【0035】
[3.断熱部の各部材の材質]
まず、真空断熱材61、発泡断熱材62、および複数の断熱部材71~76の個々の材質について説明する。
【0036】
真空断熱材61は、例えば、外装体と、外装体に収容された芯材とを含み、外装体の内部が減圧された断熱材である。芯材は、例えば、グラスウールのような繊維素材、または発泡体のような多孔質体である。
【0037】
発泡断熱材62は、例えば、発泡ウレタンのような発泡状の断熱材である。発泡断熱材62は、流動性を有する状態で内箱51と外箱52との間に注入され、内箱51と外箱52との間に注入された後に発泡することで形成されている。
【0038】
複数の断熱部材71~76の各々は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材G(以下では説明の便宜上、「特定断熱材G」と称する)で形成されている。なお「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む」とは、「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルのうち1つ以上を含む」の意味で用いている。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ、低密度構造体(乾燥ゲル)である。「エアロゲル」とは、例えば、ゲル中に含まれる溶媒を超臨界乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「キセロゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を蒸発乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「クライオゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を凍結乾燥により気体に置換した多孔性物質である。
【0039】
なお、エアロゲルのなかには、例えば特定の元素を導入することで、超臨界乾燥を使わずに乾燥させることができるものも存在する。本明細書でいう「エアロゲル」とは、そのようなエアロゲルも含む。すなわち本明細書でいう「エアロゲル」とは、超臨界乾燥を用いて製造されたものに限定されず、「エアロゲル」として流通する各種素材を広く意味する。超臨界乾燥が不要なエアロゲルとしては、例えば、二酸化ケイ素の分子ネットワークにメチル基などの有機鎖が導入された有機-無機ハイブリッドエアロゲルが知られており、PMSQ(CH3SiO1.5)エアロゲルなどがある。ただし、これらはあくまで例示である。
【0040】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、微細な空孔(空隙)を多数持ち、極めて高い空隙率(90%以上、好ましくは95%以上の空隙率)を持つ超低密度の乾燥多孔体である。上記乾燥多孔体の密度は、例えば150mg/cm3以下である。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、例えば、二酸化ケイ素などが数珠状に結合された構造を持ち、ナノメータレベル(例えば100nm以下、好ましくは2nm~50nm)の空隙を多数持つ。このようにナノメータレベルの細孔と格子状構造を持つため、気体分子の平均自由行程を縮小することができ、常圧でも気体分子同士の熱伝導が非常に少なく、熱伝導率が非常に小さいものである。例えば、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、空気の平均自由行程より小さな微細な空隙を持つ。
【0041】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルとしては、ケイ素、アルミニウム、鉄、銅、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウム、イットリウムなどの金属酸化物からなる無機エアロゲル、無機キセロゲル、または無機クライオゲルでもよく、例えば二酸化ケイ素を含むシリカエアロゲル、シリカキセロゲル、またはシリカクライオゲルなどでもよい。これらは、直径10nm~20nmのシリカ(SiO2)微粒子が連なった構造で、数10nmの幅の細孔を持つ。低密度のため固体部分の熱伝導が極めて小さいことに加え、細孔内部の空気の運動が制限されることから、非常に低い熱伝導率(0.012~0.02W(m・K)を示す。さらに、シリカ微粒子や細孔が可視光の波長よりも小さく、可視光を散乱しないため、光透過性が高い。また、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルを構成する素材は、カーボンなどでもよい。
【0042】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、素材を選択することで、任意の性質(例えば弾性や柔軟性)を持たせることができる。例えば、ポリプロピレンを素材とすることで、高い弾性または柔軟性を持たせることができる。
【0043】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ単体で特定断熱材Gを形成してもよい。これに代えて、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ前駆体の状態で別の素材(例えば繊維構造物)が浸漬されることで複合体断熱材である特定断熱材Gを形成してもよい。このような繊維構造物は、乾燥ゲルを補強し、また支持するための補強材ないし支持体として作用するものであり、フレキシブルな複合体断熱材を得るためにフレキシブルな織布、編布、不織布などが用いられ、より好ましくはフェルトまたはブランケット状のものが用いられる。繊維構造物の材質としては、ポリエステル繊維などの有機繊維の他、ガラス繊維などの無機繊維を用いることもできる。
【0044】
上記繊維構造物は、例えば、天然高分子のキトサンである。特定断熱材Gは、疎水化された微細なキトサン繊維の三次元網目構造を含み、超高空隙率(体積の96~97%が空隙)を持つ。疎水化によって、親水性キトサンエアロゲルの均質なナノ構造を維持しつつ、多糖類のナノ繊維からなる材料の課題である耐湿性が高められ撥水性を持つ。
【0045】
特定断熱材Gは、例えば、ポリプロピレン発泡体と、シリカエアロゲル、キセロゲル、クライオゲルから選択される1つとを複合化した断熱材であってもよい。
【0046】
特定断熱材Gの熱伝導率は、真空断熱材61(一般的な真空断熱材の一例)の熱伝導率よりも高いが、発泡断熱材62(一般的な発泡断熱材の一例)の熱伝導率よりも低い。すなわち、特定断熱材Gの断熱性は、真空断熱材61の断熱性には及ばないが、発泡断熱材62の断熱性よりも優れている。特定断熱材Gの熱伝導率は、例えば、0.010W/m・K~0.015W/m・Kである。真空断熱材61の熱伝導率は、例えば、0.003W/m・K~0.005W/m・Kである。発泡断熱材62の熱伝導率は、例えば、0.020W/m・K~0.022W/m・Kである。なお、これら数値はあくまで例示である。
【0047】
特定断熱材Gが柔軟性を有する場合、特定断熱材Gの柔軟性(曲げやすさ)は、例えば、真空断熱材61の柔軟性よりも高く、発泡断熱材62の柔軟性よりも高い。また、特定断熱材Gが弾性を有する場合、特定断熱材Gの弾性は、例えば、真空断熱材61の弾性(実質的にゼロに近い)よりも高く、発泡断熱材62の弾性(実質的にゼロに近い)よりも高い。
【0048】
[4.断熱部の各部材の配置]
次に、真空断熱材61、発泡断熱材62、および複数の断熱部材71~76の配置について説明する。なお以下に説明する各壁部の構成は、別の壁部に適用されてもよい。すなわち、上壁21に関する構成として説明する構成は、下壁22や左右の側壁23,24、後壁25に適用されてもよい。後述する下壁22や左右の側壁23,24、後壁25の構成についても同様である。
【0049】
[4.1 筐体の上壁]
まず、筐体10の上壁21について説明する。上壁21は、例えば、真空断熱材61、発泡断熱材62、および断熱部材71を含む。断熱部材71は、「第1断熱部材」の一例である。
【0050】
図3は、筐体10の上壁21を示す断面図である。内箱51は、筐体10の上壁21に含まれる第1内壁部81a、第2内壁部81b、および傾斜内壁部(第3内壁部)81cを有する。第1内壁部81aは、筐体10の前端から後方に向けて略水平に延びている。第2内壁部81bは、第1内壁部81aよりも後方に位置し、略水平に延びている。第2内壁部81bは、第1内壁部81aよりも低い高さに位置する。第2内壁部81bは、後述する外箱52の凹部84の下方に位置する部分を含む。傾斜内壁部81cは、第1内壁部81aと第2内壁部81bとの間に設けられ、水平方向に対して斜めに傾斜している。傾斜内壁部81cは、第1内壁部81aの後端と第2内壁部81bの前端とを繋いでいる。第1内壁部81aと傾斜内壁部81cとの間には第1角部81dが設けられている。第2内壁部81bと傾斜内壁部81cとの間には第2角部81eが設けられている。内箱51は、第2内壁部81bと傾斜内壁部81cとにより、第1内壁部81aに対して下方に窪んだ凹部82を形成している。また、内箱51は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち断熱部53)に面した壁面S1を有する。壁面S1は、第1内壁部81a、第2内壁部81b、および傾斜内壁部81cに亘り、第1内壁部81a、第2内壁部81b、および傾斜内壁部81cを反映した壁面形状を有する。すなわち、壁面S1は、上述した凹部82を含む壁面形状を有する。
【0051】
外箱52は、筐体10の上壁21に含まれる第1外壁部83a、第2外壁部83b、および傾斜外壁部(第3外壁部)83cを有する。第1外壁部83aは、筐体10の前端から後方に向けて略水平に延びている。第1外壁部83aは、第1内壁部81aよりも後方まで延びている。第2外壁部83bは、第1外壁部83aよりも後方に位置し、略水平に延びている。第2外壁部83bは、第1外壁部83aよりも低い高さに位置する。傾斜外壁部83cは、第1外壁部83aと第2外壁部83bとの間に設けられ、水平方向に対して斜めに傾斜している。傾斜外壁部83cは、第1外壁部83aの後端と第2外壁部83bの前端とを繋いでいる。外箱52には、第2外壁部83bと傾斜外壁部83cとにより、第1外壁部83aに対して下方に窪んで電源回路基板19が配置される凹部84が形成されている。外箱52は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち断熱部53)に面した壁面S2を有する。壁面S2は、第1外壁部83a、第2外壁部83b、および傾斜外壁部83cに亘り、第1外壁部83a、第2外壁部83b、および傾斜外壁部83cを反映した壁面形状を有する。
【0052】
真空断熱材61は、内箱51と外箱52との間に配置されている。真空断熱材61は、外箱52の第1外壁部83aの壁面S2に沿って配置されている。真空断熱材61は、例えば接着剤または接着テープである接着層h(
図4参照)によって外箱52の第1外壁部83aの壁面S2に固定され、外箱52の第1外壁部83aの壁面S2に接している。これに代えて、真空断熱材61は、不図示の締結部材または支持構造により外箱52に固定されてもよい。本実施形態では、真空断熱材61の前後方向の長さL1は、第1外壁部83aの前後方向の長さL2よりも短く、第1内壁部81aの前後方向の長さL3よりも長い。真空断熱材61は、第1外壁部83aに取り付けられている。
【0053】
断熱部材71は、内箱51と外箱52との間に配置されている。本実施形態では、断熱部材71の少なくとも一部は、真空断熱材61と内箱51との間に配置されている。断熱部材71は、内箱51の壁面S1に沿って配置されている。断熱部材71は、例えば接着層hによって内箱51の壁面S1に固定され、内箱51の壁面S1に接している。
【0054】
本実施形態では、断熱部材71は、第1内壁部81a、傾斜内壁部81c、および第2内壁部81bの略全域に亘る大きさを有する。断熱部材71は、柔軟性(可撓性)を有するシート状に形成されるとともに、凹部82を含む内箱51の壁面形状に沿う形状に変形させられて内箱51の壁面S1に沿って配置されている。すなわち、断熱部材71は、凹部82の内面にも沿って配置されている。
【0055】
詳しく述べると、断熱部材71は、第1内壁部81a、第1角部81d、傾斜内壁部81c、第2角部81e、および第2内壁部81bに連続して沿うように曲げられ、第1内壁部81a、傾斜内壁部81c、および第2内壁部81bにそれぞれ沿って配置されている。例えば、断熱部材71は、例えば接着層hによって第1内壁部81a、傾斜内壁部81c、および第2内壁部81bにそれぞれ固定され、第1内壁部81a、傾斜内壁部81c、および第2内壁部81bにそれぞれ接している。第1内壁部81aは、「第1壁部」の一例である。傾斜内壁部81cは、「第2壁部」の一例である。断熱部材71が柔軟性を有するシート状に形成されていると、事前の形状加工が不要になり、冷蔵庫1の製造性を高めることができる。
【0056】
なお、壁面S1は、凹部82に代えてまたは凹部82に加えて、外箱52の壁面S2に向けて突出した凸部を有してもよい。この場合、断熱部材71は、例えばシート状に形成されるとともに、上記凸部の表面に沿うように変形させられて配置される。
【0057】
また、断熱部材71は、柔軟性を有さずに、ある程度の硬さを有してもよい。この場合、断熱部材71は、例えばプレス加工などで、凹部82(または凸部)を含む内箱51の壁面形状に沿った形状に予め形成された後に内箱51と組み合わされ、内箱51の壁面S1に沿って配置されてもよい。このような構成によれば、組み立て時の位置ずれがしにくく、組立作業性の向上を図ることができる。
【0058】
発泡断熱材62の少なくとも一部は、真空断熱材61と断熱部材71との間に充填されている。真空断熱材61が配置されていない領域では、発泡断熱材62は、外箱52の壁面S2と断熱部材71との間に充填されている。
【0059】
ここで、上壁21の厚さ方向における真空断熱材61と断熱部材71との間の空間は、筐体10の製造時に発泡前の発泡断熱材62が充填されるときに流れる流路となる。本実施形態では、上壁21の厚さ方向における真空断熱材61と断熱部材71との間の距離H1(例えば最小距離)は、上壁21の厚さ方向における内箱51の厚さH2よりも大きく、上壁21の厚さ方向における外箱52の厚さH3よりも大きい。また別の観点で見ると、上壁21の厚さ方向における真空断熱材61と断熱部材71との間の距離H1(例えば最小距離)は、上壁21の厚さ方向における断熱部材71の厚さH4よりも大きい。これらのような構成によれば、真空断熱材61と断熱部材71との間の隙間に発泡断熱材62が流入しやすく、真空断熱材61と断熱部材71との間の隙間や上壁21の他の部分において発泡断熱材62の充填が不十分になることを抑制することができる。
【0060】
次に、断熱部材71の一例をより詳しく説明する。
図4は、
図3中に示された上壁21の一部領域を拡大して示す断面図である。断熱部材71は、例えば、複数のシートSTが積層されることで形成されている。複数のシートSTの各々は、特定断熱材Gで形成されて柔軟性を有する。
【0061】
このような構成によれば、内箱51の壁面S1の壁面形状が複雑な形状であったとしても、内箱51の壁面S1に沿って断熱部材71を配置しやすくなる。また、より高い断熱が必要な部分だけ積層するシートSTの枚数を多くしてもよい。この場合、断熱性の向上と冷蔵庫1の内容積の拡大との両立をさらに図りやすくなる。なお、この構成は、以下に説明する他の断熱部材72,73,74,75,76,77,78,79,89,173の構成として適用されてもよい。
【0062】
[4.2 電源回路部の設置構造]
次に、電源回路基板19の設置構造について説明する。
図5は、筐体10の上壁21の後端部を拡大して示す断面図である。本実施形態では、冷蔵庫1は、回路収容部品85と、カバー86とを有する。回路収容部品85は、上壁21の凹部84に沿う椀状に形成され、上壁21の凹部84に配置されている。回路収容部品85は、不図示の締結部材によって外箱52に固定されている。一方で、カバー86は、回路収容部品85に収容された電源回路基板19を上方から覆う。
【0063】
図6は、回路収容部品85を分解して示す斜視図である。本実施形態では、回路収容部品85は、上トレイ(第1部材)87、下トレイ(第2部材)88、および断熱部材89を含む。
【0064】
上トレイ87は、電源回路基板19よりも一回り大きな凹部r1を含む椀状に形成されている。上トレイ87は、電気絶縁性および難燃性を持つ素材で形成されている。電源回路基板19は、上トレイ87の凹部r1の内部に収容されている。
【0065】
下トレイ88は、トレイ本体部88aと、一対の取っ手88bとを有する。トレイ本体部88aは、上トレイ87よりも一回り大きな凹部r2を含む椀状に形成されている。一対の取っ手88bは、トレイ本体部88aの左右の側方に設けられている。
【0066】
断熱部材89は、上述した特定断熱材Gで形成されている。断熱部材89は、下トレイ88の凹部r2の上面に取り付けられ、上トレイ87と下トレイ88との間に位置する。すなわち、断熱部材89は、電源回路基板19と冷蔵庫1の筐体10との間に位置する。断熱部材89は、例えば、電源回路基板19よりも大きな面積を有する。断熱部材89は、電源回路基板19が発する熱が上トレイ87から下トレイ88に伝わることを抑制する。これにより、電源回路基板19が発する熱が冷蔵室27Aに伝わりにくくなる。
【0067】
なお、断熱部材89は、下トレイ88の凹部r2の上面に取り付けられることに代えて、上トレイ87の凹部r1の上面に取り付けられてもよく、上トレイ87の下面に取り付けられてもよく、下トレイ88の下面に取り付けられてもよく、筐体10の上壁21に取り付けられてもよい。また、上トレイ87と下トレイ88とのうち少なくとも一方が、特定断熱材G、または特定断熱材Gを含む合成樹脂などによって形成されてもよい。
【0068】
[4.3 筐体の後壁]
[4.3.1 後壁の概要]
次に
図5に戻り、筐体10の後壁25について説明する。後壁25は、例えば、断熱部材72(内側の断熱部材)、断熱部材73(外側の断熱部材)、および発泡断熱材62を含む。断熱部材72は、「第2断熱部材」の一例である。断熱部材73は、「第3断熱部材」の一例である。
【0069】
内箱51は、筐体10の後壁25に含まれる内壁部91を含む。内壁部91は、鉛直方向に延びている。内壁部91は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち断熱部53)に面した壁面S3を有する。同様に、外箱52は、筐体10の後壁25に含まれる外壁部92を有する。外壁部92は、鉛直方向に延びている。外壁部92は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち断熱部53)に面した壁面S4を有する。
【0070】
内側の断熱部材72は、内箱51の内壁部91と、外箱52の外壁部92との間に配置されている。断熱部材72は、上述した特定断熱材Gで形成されている。断熱部材72は、内箱51の壁面S3に沿って配置されている。例えば、断熱部材72は、例えば接着層hによって内箱51の壁面S3に固定され、内箱51の壁面S3に接している。
図2では図示していないが、例えば、断熱部材72は、圧縮機17の近くから冷蔵室27Aの上端部近くまで亘るように、後壁25の略全高に亘って設けられている。すなわち、断熱部材72は、第2ダクト部品32の冷気戻り口32bおよび第2ファン48の後方から、第2冷却器46、第1ファン43、および第1冷却器41の後方を通り、第1ダクト部品31の複数の冷気吹出口31aの後方に亘って設けられている。
【0071】
一方で、外側の断熱部材73は、内箱51の内壁部91と、外箱52の外壁部92との間に配置されている。断熱部材73は、上述した特定断熱材Gで形成されている。断熱部材73は、外箱52の壁面S4に沿って配置されている。例えば、断熱部材73は、例えば接着層hによって外箱52の壁面S4に固定され、外箱52の壁面S4に接している。例えば、断熱部材73は、圧縮機17の近くから冷蔵室27Aの上端部近くまで亘るように、後壁25の略全高に亘って設けられている。すなわち、断熱部材73は、第2ダクト部品32の冷気戻り口32bおよび第2ファン48の後方から、第2冷却器46、第1ファン43、および第1冷却器41の後方を通り、第1ダクト部品31の複数の冷気吹出口31aの後方に亘って設けられている。断熱部材73は、冷蔵庫1の前後方向で、発泡断熱材62を間に挟んで断熱部材72と向かい合う。
【0072】
発泡断熱材62は、2つの断熱部材72,73の間に充填されている。別の観点で見ると、発泡断熱材62は、内箱51の内壁部91と、断熱部材73(外側の断熱部材)との間に充填されている。また別の観点で見ると、発泡断熱材62は、断熱部材72(内側の断熱部材)と、外箱52の外壁部92との間に充填されている。
【0073】
[4.3.2 内側の断熱部材に関する構成(1)]
次に、内側の断熱部材72に関する構成について説明する。
ここで、後壁25の内壁部91の壁面S3は、上壁21の第2内壁部81bの壁面S1とは異なる方向に延びている。上壁21の第2内壁部81bの壁面S1と後壁25の内壁部91の壁面S3との間には、角部c1が設けられている。上壁21の第2内壁部81bの壁面S1は、「第1壁面」の一例である。後壁25の内壁部91の壁面S3は、「第2壁面」の一例である。なお本明細書でいう「角部」は、直角の角部に限らず、鈍角の角部でもよく、鋭角の角部でもよい。また「角部」は、角部c1のように傾斜面(C面)を有してもよい。
【0074】
上壁21の断熱部材71は、上壁21の第2内壁部81bの壁面S1に沿って配置されるとともに、角部c1に位置した端部71aを有する。本明細書でいう「断熱部材の端部が角部に位置する」とは、冷蔵庫1の上下方向または前後方向で見た場合に、断熱部材の端部が角部に重なるか、断熱部材の端部が角部の近傍に位置することを意味する。
【0075】
後壁25の断熱部材72は、後壁25の内壁部91の壁面S3に沿って配置されるとともに、角部c1に位置した端部72aを有する。後壁25の断熱部材72の端部72aは、角部c1において、上壁21の断熱部材71の端部71aに突き合わされている。すなわち、後壁25の断熱部材72の端部72aは、上壁21の断熱部材71の端部71aに接している。これにより、上壁21の断熱部材71と後壁25の断熱部材72とにより、ひと繋がりの大きな断熱層が形成されている。このような構成によれば、断熱性をさらに高めることができる。
【0076】
[4.3.3 内側の断熱部材に関する構成(2)]
次に、別の観点での断熱部材72に関する構成について説明する。
図7は、
図5中に示された冷蔵庫1のF7-F7線に沿う断面図である。本実施形態では、後壁25の内壁部91は、後方に向けて窪む凹部95を有する。凹部95は、第1ダクト部品31の背後に位置する。上述した第1ダクト空間D1は、第1ダクト部品31と後壁25の凹部95との間に形成される。このような構成によれば、冷蔵庫1の前後方向における第1ダクト部品31の厚さを薄くすることができ、冷蔵庫1の内容積の拡大を図ることができる。
【0077】
詳しく述べると、内壁部91は、第1部分91a、第2部分91b、第3部分91c、第4部分91d、および第5部分91eを有する。
【0078】
第1部分91aおよび第5部分91eは、冷蔵庫1の左右方向(横幅方向)に延びており、第1から第5の部分91a,91b,91c,91d,91eのなかで最も前側に位置する。第1部分91aおよび第5部分91eは、第3部分91cの左右に分かれて位置する。第3部分91cは、冷蔵庫1の左右方向に延びており、第1部分91aおよび第5部分91eと比べて、外壁部92の近くに位置する。
【0079】
第2部分91bは、例えば冷蔵庫1の左右方向に対して傾斜して延びており、第1部分91aの右端と第3部分91cの左端と間を繋いでいる。第4部分91dは、例えば冷蔵庫1の左右方向に対して傾斜して延びており、第5部分91eの左端と第3部分91cの右端と間を繋いでいる。
【0080】
断熱部材72は、柔軟性を有するシート状に形成されるとともに、凹部95に形状に合わせて変形させられて内壁部91に沿って配置されている。本実施形態では、断熱部材72は、第1部分91a、第2部分91b、第3部分91c、第4部分91d、および第5部分91eに連続して沿うように曲げられ、第1から第5の部分91a,91b,91c,91d,91eにそれぞれ沿って配置されている。断熱部材72は、例えば接着層hによって第1から第5の部分91a,91b,91c,91d,91eにそれぞれ固定され、第1から第5の部分91a,91b,91c,91d,91eにそれぞれ接している。
【0081】
[4.3.4 外側の断熱部材に関する構成(1)]
次に、外側の断熱部材73に関する構成について説明する。
図8は、断熱部材73および外壁部92を示す正面図である。外壁部92は、発泡前の発泡断熱材62が注入される複数の注入口92aを有する。発泡断熱材62は、注入口92aを通じて内箱51と外箱52との間の空間に注入され、内箱51と外箱52との間の空間で発泡される。複数の注入口92aは、例えば、外壁部92の左右の端部に配置されている。注入口92aは、発泡断熱材62が注入された後は、蓋92bが取り付けられて塞がれている。
【0082】
本実施形態では、断熱部材73は、外壁部92の大部分を覆う矩形状に形成されるとともに、外壁部92の複数の注入口92aを避ける切欠き部(または穴部)73aを有する。言い換えると、断熱部材73は、切欠き部(または穴部)73aが設けられることで、注入口92aの位置を気にせず大きく形成することができる。例えば、断熱部材73は、左方の注入口92aの少なくとも一部よりも左側へ張り出した第1張出部73bと、右方の注入口92aの少なくとも一部よりも右側へ張り出した第2張出部73cとを有し、比較的大きな外形を有する。このような形状は、真空断熱材では製造困難である。
【0083】
[4.3.5 外側の断熱部材に関する構成(2)]
次に、別の観点での断熱部材73に関する構成について説明する。
図9は、
図7中に示された冷蔵庫1のF9線で囲まれた領域を拡大して示す断面図である。本実施形態では、冷蔵庫1は、後壁25の外壁部92に沿って配置された放熱パイプ101を含む。放熱パイプ101は、圧縮機17で圧縮された冷媒が供給され、冷媒の熱が放出される部品である。放熱パイプ101は、「放熱用部材」の一例である。
【0084】
本実施形態では、断熱部材73は、上記特定断熱材Gで形成されて、弾性を有する。断熱部材73は、放熱パイプ101に対して後壁25の外壁部92とは反対側に位置し、発泡断熱材62と放熱パイプ101との間に位置する。断熱部材73は、放熱パイプ101に接している。
【0085】
断熱部材73は、例えば発泡断熱材62の発泡時に発泡断熱材62と放熱パイプ101との間に挟まれて、発泡断熱材62と放熱パイプ101との間で圧縮されている。断熱部材73は、圧縮による弾性力を放熱パイプ101に作用させ、放熱パイプ101を後壁25の外壁部92に向けて押圧する。これにより、放熱パイプ101が後壁25の外壁部92に当接し、放熱パイプ101と後壁25の外壁部92との熱接続性が向上する。その結果、放熱パイプ101の熱が後壁25の外壁部92に伝わりやすくなり、放熱パイプ101の放熱性が向上する。
【0086】
より詳しく述べると、本実施形態では、断熱部材73は、例えば、本体部105と、金属部106とを含む。本体部105は、上述した特定断熱材Gで形成されて、弾性を有する。金属部106は、本体部105の少なくとも一部の表面に設けられている。本実施形態では、金属部106は、本体部105のなかで放熱パイプ101および後壁25の外壁部92に面する表面に設けられている。言い換えると、金属部106は、本体部105と、放熱パイプ101および後壁25の外壁部92との間に位置する。金属部106は、薄い金属層(例えば金属箔)であり柔軟性(可撓性)を有する。金属部106は、本体部105の弾性変形に追従して変形可能である。
【0087】
金属部106は、第1部分106aと、第2部分106bとを有する。第1部分106aは、後壁25の厚さ方向で、放熱パイプ101に面する。第2部分106bは、後壁25の厚さ方向で、放熱パイプ101を外れて位置し、後壁25の外壁部92に面する。本体部105は、金属部106の第1部分106aおよび第2部分106bと、発泡断熱材62との間に挟まれて圧縮されている。
【0088】
断熱部材73は、本体部105の圧縮による弾性力を金属部106の第1部分106aに作用させ、金属部106の第1部分106aを放熱パイプ101に向けて押圧する。例えば、金属部106の第1部分106aは、放熱パイプ101の外周面の一部を包み込むように変形し、放熱パイプ101の外周面に当接する。これにより、金属部106と放熱パイプ101との熱接続性が向上する。
【0089】
同様に、断熱部材73は、本体部105の圧縮による弾性力を金属部106の第2部分106bに作用させ、金属部106の第2部分106bを後壁25の外壁部92に向けて押圧する。これにより、金属部106が後壁25の外壁部92に当接し、金属部106と後壁25の外壁部92との熱接続性が向上する。その結果、金属部106を介して、放熱パイプ101と後壁25の外壁部92とがより強固に熱的に接続され、放熱パイプ101の熱の一部が金属部106を経由して後壁25の外壁部92に伝わる。これにより、放熱パイプ101の放熱性をさらに高めることができる。なお、放熱パイプ101と後壁25の外壁部92、金属部106の第1部分106aと放熱パイプ101、および金属部106の第2部分106bと後壁25の外壁部92は、互い直接に接することに代えて、熱伝導性が良好な部材を間に介在させて間接的に接してもよい。
【0090】
[4.4 筐体の下壁]
[4.4.1 下壁の概要]
次に
図10を参照し、筐体10の下壁22について説明する。下壁22は、例えば、断熱部材74を含む。
【0091】
図10は、筐体10の下壁22を示す断面図である。外箱52は、筐体10の下壁22に含まれる第1外壁部111a、第2外壁部111b、および傾斜外壁部(第3外壁部)111cを有する。第1外壁部111aは、筐体10の前端から後方に向けて略水平に延びている。第2外壁部111bは、第1外壁部111aよりも後方に位置し、略水平に延びている。第2外壁部111bは、第1外壁部111aよりも高い高さに位置する。第2外壁部111bの少なくとも一部は、圧縮機17および蒸発皿18の上方に位置する。傾斜外壁部111cは、第1外壁部111aと第2外壁部111bとの間に設けられ、水平方向に対して斜めに傾斜している。傾斜外壁部111cは、第1外壁部111aの後端と第2外壁部111bの前端とを繋いでいる。外箱52は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち断熱部53)に面した壁面S5を有する。壁面S5は、第1外壁部111a、第2外壁部111b、および傾斜外壁部111cに亘り、第1外壁部111a、第2外壁部111b、および傾斜外壁部111cを反映した壁面形状を有する。
【0092】
断熱部材74は、内箱51と外箱52との間に配置されている。断熱部材74は、上述した特定断熱材Gで形成され、柔軟性を有する。断熱部材74は、外箱52の壁面S5に沿って配置されている。例えば、断熱部材74は、例えば接着層hによって外箱52の壁面S5に固定され、外箱52の壁面S5に接している。本実施形態では、断熱部材74は、第1外壁部111a、傾斜外壁部111c、および第2外壁部111bの略全域に亘る大きさを有する。断熱部材74は、柔軟性を有するシート状に形成されるとともに、外箱52の壁面形状に沿う形状に変形させられて外箱52の壁面S5に沿って配置されている。本実施形態では、断熱部材74と内箱51との間には、発泡断熱材62が充填されている。
【0093】
[4.4.2 断熱部材に関する構成(1)]
次に、断熱部材74に関する構成について説明する。
ここで、下壁22の第2外壁部111bの壁面S5は、後壁25の外壁部92の壁面S4とは異なる方向に延びている。下壁22の第2外壁部111bの壁面S5と後壁25の外壁部92の壁面S4との間には、角部c2が設けられている。後壁25の外壁部92の壁面S4は、「第1壁面」の別の一例である。下壁22の第2外壁部111bの壁面S5は、「第2壁面」の別の一例である。
【0094】
後壁25の断熱部材73は、後壁25の外壁部92の壁面S4に沿って配置されるとともに、角部c2に位置した端部73eを有する。下壁22の断熱部材74は、下壁22の第2外壁部111bの壁面S5に沿って配置されるとともに、角部c2に位置した端部74aを有する。下壁22の断熱部材74の端部74aは、角部c2において、後壁25の断熱部材73の端部73eに突き合わされている。すなわち、下壁22の断熱部材74の端部74aは、後壁25の断熱部材73の端部73eと接している。これにより、下壁22の断熱部材74と後壁25の断熱部材73とにより、ひと繋がりの大きな断熱層が形成されている。このような構成によれば、断熱性をさらに高めることができる。
【0095】
[4.4.3 断熱部材に関する構成(2)]
次に、別の観点での断熱部材74に関する構成について説明する。
図10に示すように、筐体10の後壁25と蒸発皿18との間には、除霜水受け42,47で受けた除霜水を蒸発皿18に導く排水管部44が延びている。排水管部44は、例えば、排水パイプまたは排水ホースである。
【0096】
下壁22の断熱部材74は、排水管部44が通される挿通部74hを有する。挿通部74hは、例えば、断熱部材74を厚さ方向に貫通する穴部であるが、断熱部材74の外縁から切り欠かれた切欠き部でもよい。断熱部材74は、挿通部74hを有することで、排水管部44を気にしない大きさや形状に形成することができる。例えば、断熱部材74は、排水管部44の前側、後側、左側、および右側に配置された部分を含み、圧縮機17と筐体10の内部との間を断熱している。このような構成によれば、圧縮機17の熱が筐体10の内部に伝わりにくくなるとともに、下壁22の表面に結露が生じることを抑制することができる。
【0097】
例えば、断熱部材74は、穴部である挿通部74hと、挿通部74hと断熱部材74の外縁とを繋ぐスリットSLを有する。スリットSLは、後述する断熱部材78のスリットSL(
図19参照)と略同じである。例えば、スリットSLの隙間の幅Wは、排水管部44の幅(例えば直径)よりも細い。排水管部44は、スリットSLの周囲を変形(例えば弾性変形)させながらスリットSLに通されることで、挿通部74hに位置させることができる。このような構成によれば、排水管部44に邪魔されずに大きな断熱層を設けることができる。
【0098】
[4.5 筐体の左右の側壁]
[4.5.1 左右の側壁の概要]
次に、筐体10の左右の側壁23,24について説明する。なお、左右の側壁23,24は、互いに略同じ構成を有する。このため以下では、代表して左側壁23について説明する。
【0099】
図11は、
図2中に示された冷蔵庫1のF11-F11線に沿う断面図である。左側壁23は、前端部23aを有する。前端部23aは、例えば左冷蔵室扉11Aaに面する。
【0100】
図12は、
図11中に示された左側壁23のF12線に囲まれた領域を拡大して示す断面図である。
図13は、
図12中に示された構造を分解して示す断面図である。
図12および
図13に示すように、左側壁23の前端部23aには、内箱51と外箱52とが接続される接続構造120が設けられている。接続構造120は、例えば、外箱52の先端部に設けられた第1接続部121と、内箱51の先端部に設けられた第2接続部122とを含む。
【0101】
詳しく述べると、第1接続部121は、第1部分121a、第2部分121b、第3部分121c、および第4部分121dを有する。第1部分121aは、冷蔵庫1の前後方向に延びている。第2部分121bは、第1部分121aの前端から冷蔵庫1の右方に向けて折り曲げられている。第2部分121bは、左側壁23の最も前側に位置し、左側壁23の前面の一部を形成している。第3部分121cは、第2部分121bの先端から後方、且つ、冷蔵庫1の外側を向けて折り返され、左側壁23の内部に延びている。第4部分121dは、第3部分121cの先端から後方、且つ、冷蔵庫1の内側に向けて折り曲げられ、左側壁23の内部に延びている。これら第3部分121cと第4部分121dとにより、第2接続部122が係合する凹部123が形成されている。
【0102】
一方で、第2接続部122は、第1部分122a、第2部分122b、第3部分122c、および第4部分122dを有する。第2部分122bは、冷蔵庫1の前後方向に延びている。第2部分122bは、第1部分122aの前端から冷蔵庫1の左方に向けて折り曲げられている。第2部分122bは、左側壁23の最も前側に位置し、左側壁23の前面の一部を形成している。第3部分122cは、第2部分122bの先端から後方、且つ、冷蔵庫1の内側を向けて折り曲げられ、左側壁23の内部に延びている。第4部分122dは、第3部分122cの先端から前方、且つ、冷蔵庫1の外側に向けて折り曲げられ、左側壁23の内部に延びている。これら第3部分122cと第4部分122dとにより、第1接続部121の凹部123に係合する係合部124が形成されている。
【0103】
ここで、内箱51と外箱52との間には、発泡断熱材62が充填される。ただし、例えば、第1接続部121の第2部分121bと第3部分121cとの間や、第1接続部121の第3部分121cと第2接続部122の第3および第4の部分122c,122dとの間には、発泡断熱材62が充填されにくい。このため、左側壁23の先端部の断熱性は高くなりにくい。
【0104】
[4.5.2 断熱部材に関する構成]
本実施形態では、左側壁23は、断熱部材75,76を有する。断熱部材75,76は、内箱51と外箱52との間に設けられている。断熱部材75,76の各々は、上述した特定断熱材Gで形成されている。
【0105】
詳しく述べると、外箱52は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち、発泡断熱材62が充填される領域、断熱部53)に面した壁面S6を有する。断熱部材75は、外箱52の壁面S6に沿って配置されている。本実施形態では、断熱部材75は、例えば接着層hによって第1接続部121の第1から第4の部分121a,121b,121c,121dにそれぞれ固定され、第1から第4の部分121a,121b,121c,121dにそれぞれ接している。例えば、第1接続部121は、製造途中の平らな状態で断熱部材75が固定され、その後、プレス加工などによって断熱部材75とともに曲げられることで、上述した第1から第4の部分121a,121b,121c,121dが形成されている。
【0106】
同様に、内箱51は、内箱51と外箱52との間に領域(すなわち、発泡断熱材62が充填される領域、断熱部53)に面した壁面S7を有する。断熱部材76は、内箱51の壁面S7に沿って配置されている。本実施形態では、断熱部材76は、例えば接着層hによって第2接続部122の第1から第4の部分122a,122b,122c,122dにそれぞれ固定され、第1から第4の部分122a,122b,122c,122dにそれぞれ接している。
【0107】
本実施形態では、冷蔵庫1の前後方向において、第1接続部121に取り付けられた断熱部材75と、第2接続部122に取り付けられた断熱部材76とが少なくとも一部同士互いに重なっている。これにより、左側壁23の先端部の断熱性が高められている。なお、断熱部材75,76のいずれか一方のみが設けられた場合でも、左側壁23の先端部の断熱性をある程度向上させることができる。
【0108】
[5.筐体内の部品の断熱構造]
次に、筐体10内に配置される部品の断熱構造について説明する。
【0109】
[5.1 第1ダクト部品]
[5.1.1 第1ダクト部品に関する構成(1)]
図14は、冷蔵庫1を正面から見た断面図である。第1ダクト部品31は、前壁部131と、左右の側壁部132,133とを有する。前壁部131は、冷蔵庫1の後壁25の内壁部91との間に第1ダクト空間D1を空け、冷蔵庫1の左右方向に延びている。左側壁部132は、前壁部131の左端から冷蔵庫1の後壁25の内壁部91に向けて延びており、後壁25の内壁部91に接続されている。右側壁部133は、前壁部131の右端から冷蔵庫1の後壁25の内壁部91に向けて延びており、後壁25の内壁部91に接続されている。第1ダクト部品31は、第1ダクト空間D1に面する裏面S8(
図7参照)を有する。裏面S8は、前壁部131および左右の側壁部132,133に亘る。
【0110】
別の観点で見ると、第1ダクト部品31は、第1領域135と、第1領域135の下方に位置した第2領域136とを有する。第1領域135は、例えば冷蔵室27Aの後方に位置する。第1領域135は、複数の冷気吹出口31aを有する。第1領域135は、冷蔵庫1の左右方向の横幅が後述する第2領域136と比べて細い。第2領域136は、例えば野菜室27Bの後方および冷蔵室27Aの下端部の後方に位置する。第2領域136は、冷気戻り口31bが開口するとともに、第1冷却器41、第1除霜水受け42、および第1ファン43を収容している。第2領域136の上端部の外形は、第1領域135に近付くに従い横幅が徐々に小さくなる円弧部136aを有する。
【0111】
第1ダクト部品31の裏面S8には、断熱部材77が取り付けられている(
図2参照)。断熱部材77は、上述した特定断熱材Gで形成されている。断熱部材77は、例えば、シート状に形成されて、柔軟性を有する。断熱部材77は、第1ダクト部品31の略全高に亘って設けられている。すなわち、断熱部材77は、第1ダクト部品31の冷気戻り口31bおよび第1ファン43よりも下方から第1冷却器41の前方を通り、第1ダクト部品31の複数の冷気吹出口31aよりも上方まで亘って設けられている。
【0112】
図15は、第1ダクト部品31に取り付け前の断熱部材77を示す正面図である。断熱部材77は、中央部141、左側部142、および右側部143を有する。中央部141は、第1ダクト部品31の前壁部131に対応した形状を有する。中央部141は、第1ダクト部品31の冷気吹出口31aおよび冷気戻り口31bにそれぞれ対応した開口部141a,141bを有する。左側部142は、中央部141から左方に張り出しており、第1ダクト部品31の左側壁部132に対応した形状を有する。右側部143は、中央部141から右方に張り出しており、第1ダクト部品31の右側壁部133に対応した形状を有する。
【0113】
断熱部材77は、中央部141、左側部142、および右側部143を含む1枚の平面状のシートとして形成されている。断熱部材77は、左側部142および右側部143を中央部141に対して曲げながら第1ダクト部品31の裏面S8に取り付けられる。すなわち、例えば接着層hによって、断熱部材77の中央部141が第1ダクト部品31の前壁部131の裏面S8に取り付けられ、断熱部材77の左側部142が第1ダクト部品31の左側壁部132の裏面S8に取り付けられ、断熱部材77の右側部143が第1ダクト部品31の右側壁部132の裏面S8に取り付けられている。
【0114】
本実施形態では、断熱部材77の左右の側部142,143は、第1ダクト部品31の第1領域135と第2領域136との境界に対応する部分に、第1切れ込み145を有する。第1切れ込み145は、断熱部材77の外縁から断熱部材77の内側に向けて延びている。第1切れ込み145を設けることで、第1ダクト部品31の第1領域135および第2領域136の横幅の違いに影響されずに断熱部材77が取り付けやすくなる。第1切れ込み145は、例えば、左右の側部142,143の各々の全幅に亘る長さを有する。
【0115】
また、断熱部材77の左右の側部142,143は、第1ダクト部品31の円弧部136aに対応する部分に、1つ以上(例えば複数)の第2切れ込み146を有する。第2切れ込み146は、断熱部材77の外縁から断熱部材77の内側に向けて延びている。第2切れ込み146を設けることで、第1ダクト部品31の円弧部136aの形状に影響されずに断熱部材77が取り付けやすくなる。
【0116】
[5.1.2 第1ダクト部品に関する構成(2)]
次に、別の観点での第1ダクト部品31に関する構成について説明する。
図16は、第1ダクト部品31の裏面S8を示す背面図である。第1ダクト部品31の前壁部131の裏面S8は、複数の凸部151を有する。複数の凸部151は、冷蔵庫1の上下方向に分かれて配置されている。複数の凸部151は、例えば、冷蔵庫1の左右方向に直線状に延びている。複数の凸部151は、例えば、第1ダクト部品31の前壁部131を補強する補強ビード(補強リブ)である。
【0117】
図17は、第1ダクト部品31および断熱部材77を示す断面図である。断熱部材77は、柔軟性を有し、複数の凸部151を含む前壁部131の裏面S8の壁面形状に沿って変形させられて、前壁部131の裏面S8に取り付けられている。すなわち、断熱部材77は、複数の凸部151および複数の凸部151の間の領域のそれぞれに対して、例えば接着層hによって固定されている。
【0118】
なお、断熱部材77は、第1ダクト部品31の裏面S8に取り付けられることに代えて、第1ダクト部品31の前面(貯蔵室27に露出する面)に取り付けられてもよい。また、複数の凸部151は、第1ダクト部品31の裏面S8に代えて、第1ダクト部品31の前面に設けられていてもよい。
【0119】
[5.2 除霜水受け]
次に、第1および第2の除霜水受け42,47に関する構成について説明する。ここで、第1および第2の除霜水受け42,47に関する構成は、互いに略同じである。このため以下では、第1除霜水受け42に関する構成を代表として説明する。
【0120】
図18は、第1除霜水受け42および排水管部44を示す断面図である。第1除霜水受け42は、例えば椀状に形成されている。第1除霜水受け42は、第1冷却器41から滴下した除霜水を排水管部44に向けて導く底部161を有する。例えば、底部161は、排水管部44に連通する穴部161aを有する。
【0121】
本実施形態では、第1除霜水受け42の底部161には、ヒータ162が取り付けられている。ヒータ162は、第1除霜水受け42の底部161を加熱し、第1冷却器41から第1除霜水受け42に滴下した除霜水が第1除霜水受け42で凍ることを抑制する。
【0122】
本実施形態では、第1除霜水受け42の外面には、断熱部材78が取り付けられている。断熱部材78は、上述した特定断熱材Gによって形成され、例えば柔軟性を有する。断熱部材78は、第1ダクト空間D1内を下方から上方に向けて流れる冷気と、第1除霜水受け42との間に位置し、第1ダクト空間D1内を流れる冷気によって第1除霜水受け42が冷やされることを抑制する。断熱部材78は、「第4断熱部材」の一例である。
【0123】
また本実施形態では、断熱部材78は、ヒータ162に対して第1除霜水受け42とは反対側に位置してヒータ162を覆う。これにより、第1ダクト空間D1内を流れる冷気によってヒータ162の温度が下がることを抑制し、ヒータ162の熱によって第1除霜水受け42を効率的に加熱することができる。
【0124】
図19は、第1除霜水受け42および断熱部材78を示す下面図である。断熱部材78は、排水管部44が通される挿通部78aを有する。挿通部78aは、例えば、断熱部材78を厚さ方向に貫通する穴部であるが、断熱部材78の外縁から切りか欠かれた切欠き部でもよい。断熱部材78は、挿通部78aを有することで、排水管部44を気にしない大きさや形状に形成することができる。例えば、断熱部材78は、排水管部44の前側、後側、左側、および右側に配置される部分を含む。
【0125】
例えば、断熱部材78は、穴部である挿通部78aと、挿通部78aと断熱部材78の外縁とを繋ぐスリットSLを有する。例えば、スリットSLの隙間の幅Wは、排水管部44の幅(例えば直径)よりも細い。排水管部44は、スリットSLの周囲を変形(例えば弾性変形)させながらスリットSLに通されることで、挿通部78aに位置することができる。これにより、第1除霜水受け42と排水管部44とが接続された後であっても、第1除霜水受け42の底部161に断熱部材78を容易に取り付けることができる。
【0126】
[5.3 戻り流路カバー]
次に、戻り流路カバー33に関する構成について説明する。
図10に示すように、戻り流路カバー33には、断熱部材79が取り付けられている。断熱部材79は、上述した特定断熱材Gで形成されている。断熱部材79は、例えば、主冷凍室27Eの後方に位置して筐体10の後部を冷気通路f1と戻り流路f2とに仕切る戻り流路カバー33の壁部33aに取り付けられている。言い換えると、断熱部材79は、冷気通路f1と戻り流路f2との間に位置する。
【0127】
ここで、戻り流路f2を流れる冷気は、製氷室27C、小冷凍室27D、主冷凍室27Eなどを通る過程で湿気を吸う場合がる。このため、冷気流路f1を通る冷たい冷気によって戻り流路f2を通る冷気が冷却されると、戻り流路カバー33に結露が生じる可能性がある。そこで本実施形態では、冷気通路f1と戻り流路f2との間に断熱部材79が設けられている。このような構成によれば、冷気流路f1を通る冷気によって戻り流路f2を通る湿気を含む冷気が冷やされにくく、戻り流路カバー33に結露が生じることを抑制することができる。
【0128】
以上のような構成によれば、冷蔵庫1の断熱性の向上を図ることができる。すなわち本実施形態では、冷蔵庫1は、内箱51と外箱52との間に配置された真空断熱材61と、真空断熱材61と内面部材51との間に配置され、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱部材71と、少なくとも一部が真空断熱材61と断熱部材71との間に充填された発泡断熱材62とを含む。このような構成によれば、真空断熱材61と断熱部材71とにより高い断熱性を確保することができるとともに、それらの間に充填された発泡断熱材62よってさらに高い断熱性が確保される。このため、冷蔵庫1の断熱性を向上させることができる。
【0129】
また別の観点によれば、冷蔵庫1は、内箱51と外箱52との間に設けられて内箱51の壁面に沿って配置され、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱部材71を備えている。このような構成によれば、内箱51の形状が複雑な場合であっても、断熱部材71により内箱51の形状に合った断熱層を形成することができる。これにより、冷蔵庫1の断熱性を向上させることができる。
【0130】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の冷蔵庫1は、筐体10の後壁25に真空断熱材61を有した点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0131】
図20は、第2の実施形態の冷蔵庫1の後壁25を示す断面図である。本実施形態では、後壁25は、例えば、断熱部材73、真空断熱材61、および発泡断熱材62を含む。
【0132】
断熱部材73は、第1の実施形態と同様に、外箱52の壁面S4に沿って配置されている。断熱部材73は、例えば接着層hによって外箱52の壁面S4に固定され、外箱52の壁面S4に接している。
【0133】
真空断熱材61は、内箱51の内壁部91と外箱52の外壁部92との間に配置されている。本実施形態では、真空断熱材61の少なくとも一部は、冷蔵庫1の前後方向で、断熱部材73に対して重ねられ、断熱部材73に対して接している。なおこれに代えて、真空断熱材61は、断熱部材73から離れて配置され、真空断熱材61と断熱部材73との間に発泡断熱材62が充填されていてもよい。
【0134】
発泡断熱材62は、内箱51の内壁部91と外箱52の外壁部92との間に配置されている。本実施形態では、発泡断熱材62の少なくとも一部は、真空断熱材61に対して断熱部材73とは反対側に充填されている。本実施形態では、発泡断熱材62は、真空断熱材61と内箱51の内壁部91との間に充填されている。
【0135】
このような構成によれば、真空断熱材61と断熱部材73とにより高い断熱性を確保することができるとともに、真空断熱材61に対して断熱部材73とは反対側に充填された発泡断熱材62よってさらに高い断熱性が確保される。このため、冷蔵庫1の断熱性を向上させることができる。
【0136】
なお、真空断熱材61の少なくとも一部は、外箱52の壁面S4に沿う断熱部材73に代えて、内箱51の壁面S3に沿う断熱部材72(
図7参照)に対して重ねられ、断熱部材72に対して接していてもよい。この場合、発泡断熱材62の少なくとも一部は、真空断熱材61に対して断熱部材72とは反対側に充填されてもよい。すなわち、発泡断熱材62は、真空断熱材61と外箱52の外壁部92との間に充填されてもよい。また、第2の実施形態として説明した構成は、筐体10の後壁25に限らず、上壁21や下壁22、左右の側壁23,24に適用されてもよい。
【0137】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の冷蔵庫1は、一般的な真空断熱材とは異なる真空断熱材170が設けられた点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0138】
図21は、第3の実施形態の冷蔵庫1の左側壁23を示す断面図である。本実施形態では、左側壁23は、真空断熱材170を含む。真空断熱材170は、内箱51と外箱52との間に配置されている。
【0139】
図22は、真空断熱材170を示す断面図である。真空断熱材170は、例えば、外装体171と、芯材172、および断熱部材173を有する。
【0140】
外装体171は、例えば一般的な真空断熱材の外装体と同じ素材で形成されている。外装体171は、気密性を有したカバーであり、芯材172および断熱部材173を覆う大きさを有する。外装体171は、第1部分171aと、外装体171の端部である第2部分171bとを有する。外装体171の第1部分171aには、芯材172が収容されている。外装体171の第2部分171bには、断熱部材173が収容されている。外装体171は、少なくとも第1部分171aが減圧されている。本実施形態では、外装体171に芯材172および断熱部材173が収容された後に外装体171の内部が減圧されることで、第1部分171aおよび第2部分171bの両方が減圧されている。
【0141】
芯材172は、一般的な真空断熱材の芯材と同じ素材で形成されている。芯材172は、例えば、グラスウールのような繊維素材、または発泡体のような多孔質体である。例えば、芯材172は、比較的薄く形成された複数の繊維素材または多孔質体が積層されることで形成されている。
【0142】
断熱部材173は、上述した特定断熱材Gで形成されている。断熱部材173は、例えば弾性を有するほうが好ましいが、弾性は有しなくてもよい。
【0143】
本実施形態では、上記のような芯材172および断熱部材173が外装体171に収容された後に、第1部分171aと第2部分171bとの間が溶着などにより気密に閉じられている。言い換えると、第1部分171aと第2部分171bとが気密に区切られている。これにより、万が一に第2部分171bにおいて外装体171が破れたとしても、第1部分171aの気密性(真空度)は確保される。なお、第2部分171bは、真空断熱材170の1つの端部にのみ設けられてもよいが、真空断熱材170の2つ以上の端部に設けられてもよく、真空断熱材170の全周に設けられてもよい。
【0144】
図21に示すように、上記のような構成の真空断熱材170は、第2部分171bを先頭にして、筐体10の左側壁23内に後方から前方に向けて挿入される。ここで、一般的な真空断熱材の場合、真空断熱材を左側壁23に挿入しようとすると、真空断熱材が左側壁23の内部構造(例えば接続構造120)に接触し、外装体が破損する可能性がある。外装体が破損すると、真空断熱材の内部の真空度が低下し、真空断熱材の性能が低下する可能性がある。このため、真空断熱材を奥まで挿入することが難しい。
【0145】
一方で、本実施形態の真空断熱材170は、真空断熱材170の端部に、断熱部材173を有するとともに外装体171が破損しても問題ない第2部分170bが設けられている。これにより、真空断熱材170は、左側壁23の内部構造(例えば接続構造120)に接触することを気にせず、左側壁23の奥(前端部近く)まで挿入することができる。これにより、冷蔵庫1の断熱性の向上を図ることができる。例えば、真空断熱材170は、左側壁23の内部構造(例えば接続構造120)に接している。
【0146】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の冷蔵庫1は、後壁25の断熱部材73が複数の部材に分割されている点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0147】
図23は、筐体10の後壁25の断熱部材73および外壁部92を示す正面図である。本実施形態では、断熱部材73は、外壁部92の壁面S4に沿う方向(例えば冷蔵庫1の上下方向)で複数の部材181a,181b,181cに分割されている。複数の部材181a,181b,181cは、例えば接着層hによって後壁25の外壁部92に個別に取り付けられている。このような構成によれば、断熱部材73を後壁25の外壁部92に取り付ける作業性が向上し、冷蔵庫1の製造性を高めることができる。
【0148】
なお、筐体10の後壁25の内壁部91に沿う断熱部材72は、上記と同様に、内壁部91の壁面S3に沿う方向(例えば冷蔵庫1の上下方向)で複数の部材181a,181b,181cに分割され、それら複数の部材181a,181b,181cが例えば接着層hによって後壁25の内壁部91に個別に取り付けられてもよい。また、第4の実施形態として説明した構成は、筐体10の後壁25に限らず、上壁21や下壁22、左右の側壁23,24、第1ダクト部品31に取り付けられる断熱部材77、戻り流路カバー33に取り付けられる断熱部材79などに適用されてもよい。
【0149】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態の冷蔵庫1は冷却器を1つだけ備える点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0150】
図24は、第5の実施形態の冷蔵庫1を示す断面図である。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置され、冷蔵室27Aの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置され、主冷凍室27Eの下方に野菜室27Bが配置されている。
【0151】
本実施形態の冷蔵庫1は、第1ダクト部品191、第2ダクト部品192、および冷却ユニット193を備えている。
【0152】
第1ダクト部品191は、冷蔵室27Aの後方に配置されている。第1ダクト部品191は、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品191と筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第1ダクト空間D3が形成されている。第1ダクト空間D3は、後述する第2ダクト空間D4と連通している。
【0153】
第2ダクト部品192は、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの後方に配置されている。第2ダクト部品192は、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品192と筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第2ダクト空間D4が形成されている。
【0154】
冷却ユニット193は、例えば、冷却器201、ファン202、第1ダンパ203、および第2ダンパ204を含む。冷却器201は、例えば第2ダクト空間D2内に配置されている。第1ダンパ203は、第2ダクト部品192の冷気吹出口32aに設けられ、冷気吹出口32aを開閉する。第2ダンパ204は、第1ダクト部品191第2ダクト部品192との間に設けられ、第1ダクト空間D3と第2ダクト空間D4との間を開閉する。
【0155】
本実施形態では、後壁25は、例えば、断熱部材72、断熱部材73、および発泡断熱材62を含む。
【0156】
断熱部材72は、内箱51の壁面S3に沿って配置されている。例えば、断熱部材72は、圧縮機17の近くから冷蔵室27Aの上端部近くまで亘るように、後壁25の略全高に亘って設けられている。すなわち、断熱部材72は、冷却器201の後方から、ファン202、第1ダンパ203、および第2ダンパ204の後方を通り、複数の冷気吹出口31aの後方に亘って設けられている。
【0157】
一方で、断熱部材73は、外箱52の壁面S4に沿って配置されている。例えば、断熱部材73は、圧縮機17の近くから冷蔵室27Aの上端部近くまで亘るように、後壁25の略全高に亘って設けられている。すなわち、断熱部材73は、冷却器201の後方から、ファン202、第1ダンパ203、および第2ダンパ204の後方を通り、複数の冷気吹出口31aの後方に亘って設けられている。
【0158】
このような構成によれば、冷蔵庫1の断熱性の向上を図ることができる。
【0159】
以上、いくつかの実施形態について説明した。ただし、実施形態は上記例に限定されない。以上説明した実施形態は互いに組み合わせて実施可能である。
【0160】
ある1つの観点では、第1の実施形態における上壁21において、真空断熱材61が内箱51の壁面S1に沿って配置され、断熱部材71が外箱52の壁面S2に沿って配置されてもよい。すなわち、真空断熱材61が内箱51に取り付けられ、断熱部材71が外箱52に取り付けられてもよい。このような構成でも、真空断熱材61と断熱部材71との間の隙間に発泡断熱材62が流入しやすく、真空断熱材61と断熱部材71との間の隙間や上壁21の他の部分において発泡断熱材62の充填が不十分になることを抑制することができる。この構成では、断熱部材71は、真空断熱材61と、外箱52の外壁部83aとの間に位置する。なおこの構成は、筐体10の上壁21に限らず、下壁22や左右の側壁23,24、後壁25に適用されてもよい。
【0161】
また第1の実施形態の、筐体10の上壁21の断熱部材71に関する構成、電源回路部の設置構造、内側の断熱部材72に関する構成(1)、内側の断熱部材72に関する構成(2)、外側の断熱部材73に関する構成(1)、外側の断熱部材73に関する構成(2)、筐体10の下壁22の断熱部材74に関する構成(1)、筐体10の下壁22の断熱部材74に関する構成(2)、筐体10の側壁23,24の断熱部材75,76に関する構成、第1ダクト部品31に関する構成(1)、第1ダクト部品31に関する構成(2)、除霜水受け42,47に関する構成、および戻り流路カバーに関する構成は、それぞれ単独で実施されてもよい。これらがそれぞれ単独で実施された場合でも、冷蔵庫1における必要箇所の断熱性の向上を図ることができる。
【0162】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、内面部材と外面部材との間に設けられて前記内面部材の壁面に沿って配置され、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱部材を持つ。このような構成によれば、冷蔵庫の断熱性の向上を図ることができる。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0164】
1…冷蔵庫、10…筐体、21…上壁、22…下壁、23…左側壁、24…右側壁、25…後壁、31…第1ダクト部品、32…第2ダクト部品、41…第1冷却器、42…第1除霜水受け、46…第1冷却器、47…第1除霜水受け、51…内箱(内面部材)、52…外箱(外面部材)、61…真空断熱材、62…発泡断熱材、71~79…断熱部材、81a~81c…内壁部、83a~83c…外壁部、91…内壁部、92…外壁部、92a…注入口、73a…切欠き部、101…放熱パイプ(放熱用部材)、105…本体部、106…金属部、162…ヒータ、170…真空断熱材、171…外装体、172…芯材、173…断熱材。