(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物の選択
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240624BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240624BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
A61Q5/00
A61Q5/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132237
(22)【出願日】2023-08-15
【審査請求日】2024-01-22
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523044356
【氏名又は名称】ウェラ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コー, エンジェル
(72)【発明者】
【氏名】リー, ホイ ミン
(72)【発明者】
【氏名】タン, チュン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】モリーニ, マックス
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05842441(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0131611(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0065260(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0265244(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0331342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61Q 5/00 -A61Q 5/12
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物を選択するためのコンピュータ実装方法であって、ヒト毛髪の前記クラスは毛髪特性によって制約され、前記方法が、
-ヒト毛髪の前記クラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶するデータベースを取得すること(S10)であって、各化合物に対して、前記データが、
--識別子、
--成分、および
--まとまりやすさスコアおよび目標スコアを含む、ヒト毛髪に適用された場合の前記化合物のパフォーマンススコア
を含む、取得すること(S10)と、
-ユーザ入力から、評価された毛髪特性および毛髪標的特性を取得すること(S20)と、
-前記評価された毛髪特性および前記毛髪標的特性から、少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアを計算すること(S30)であって、前記計算された目標スコアおよび前記計算されたまとまりやすさ目標スコアが、それによりシグネチャを形成する、計算すること(S30)と、
-前記計算された目標スコアおよび前記計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足する化合物に対応する、前記データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子を決定すること(S40)であって、前記充足することは、前記計算された目標スコアと対応する目標スコアとの間の距離関数を最小化することと、前記計算されたまとまりやすさ目標スコアと対応するまとまりやすさスコアとの間のまとまりやすさフィッティング関数を最大化することとを含む、決定すること(S40)と、
-前記ヒト毛髪に適用されるべき前記化合物の前記決定された少なくとも1つの識別子を出力し、前記少なくとも1つの識別子の前記化合物を選択すること(S50)であって、前記毛髪標的特性は、前記選択された化合物を前記ヒト毛髪に適用することによって達成される、出力して選択すること(S50)と
を含
み、
前記方法のステップが、少なくとも1つのコンピュータによって実行される、方法。
【請求項2】
前記評価された毛髪特性および/または前記毛髪標的特性が、ストレートヘア、ウェーブヘア、カーリーヘアもしくは巻き毛などの毛髪タイプ基準、ショート、ミディアムまたはロングなどの毛髪長さ基準、処置なし、カラーリング、パーマもしくはブリーチした毛髪などの毛髪状態基準、健康なもしくはダメージのある毛髪などの毛髪感触基準、ヘアツール使用基準、色保護、修復、つや、滑らかなどの毛髪目標基準、脂性、フケ、乾燥などの頭皮状態基準、皮脂抑制、フケ防止および保湿などの頭皮目標基準、毛髪質感基準、細い、中程度および太いなどの毛髪直径基準、ダメージ度基準ならびに/またはラテン系、白色人種、アフリカ系アメリカ人および/もしくはアジア人などの民族性基準のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記距離関数が、前記計算された目標スコアおよび前記対応する目標スコアを入力として取得し、前記計算された目標スコアと前記対応する目標スコアとの間の距離が減少するにつれて減少する値を出力する関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ヒト毛髪に適用可能な前記化合物が、シャンプー化合物およびヘアコンディショナー化合物のうちの1つ以上を含み、前記距離関数が、
-以下のタイプのシャンプー化合物距離項:
(Cleansing Score
Product-Cleansing Score
Target)
2
+(Shampoo Manageability
Product
-Shampoo Manageability Score_
Target)
2、
-以下のタイプのコンディショナー化合物距離項:
Conditioner Manageability
Product-Conditioner Score
Target、または
-以下のタイプのトリートメント距離項:
Treatment Manageability
Product-Treatment Score
Target、
のうちの1つ以上を含み、式中、
-Cleansing Score
Productが、前記化合物によるクレンジング目標スコアの値を表す変数であり、
-Shampoo Manageability
Productが、前記化合物によるシャンプーまとまりやすさの目標スコアの値を表す変数であり、
-Treatment Manageability
Productが、前記化合物によるトリートメントまとまりやすさの目標スコアの値を表す変数であり、
-Cleansing Score
Targetが、前記評価された毛髪特性から計算されたクレンジング目標スコアの値を表す変数であり、
-Treatment Score
Targetが、前記評価された毛髪特性および前記毛髪標的特性から計算されたトリートメント目標スコアの値を表す変数であり、
-Shampoo ManageabilityScore
Targetが、前記評価された毛髪特性および前記毛髪標的特性から計算されたシャンプーまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数であり、かつ
-Conditioner Manageability
Productが、前記評価された毛髪特性および前記毛髪標的特性から計算されたコンディショナーまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記まとまりやすさフィッティング関数が、以下のタイプの関数:
であり、式中、
-Manageabilityが、Manageability
Product変数とManageability Score変数とを含むベクトルであり、ここで、Manageability
Productが、前記化合物によるまとまりやすさスコアの値を表す変数であり、およびManageability Scoreが、前記評価された毛髪特性および前記毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数であり、かつ
-LSLが第1の変数であり、およびUSLが第2の変数であり、
-LPが、ユーザ入力に依存する下側指数変数であり、およびUPが、ユーザ入力に依存する上側指数変数である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物の決定された少なくとも1つの識別子を出力すること(S50)が、前記計算された目標スコアおよび前記計算されたまとまりやすさスコアを平均することを含み、前記化合物の前記少なくとも1つの識別子が、前記平均に対する目標フィッティング距離に従ってランク付けされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記目標フィッティング距離が、以下のタイプの関数:
を含み、式中、
-Goal
iが、目標スコアを表す値であり、
-Goal Value
Productが、パフォーマンススコアの値を表す変数であり、
-GoalThreshold
iが、0~1の間で変化する、目標優先度の値を表す変数であり、かつ
-Weight
iが、所定の重みである、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物の前記決定された少なくとも1つの識別子を出力すること(S50)が、前記化合物の前記少なくとも1つの識別子をディスプレイエンジンに表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記評価された毛髪特性に対応するクラスのヒト毛髪に前記化合物を適用することをさらに含み、前記化合物が前記出力によって識別され、それにより、前記ユーザ入力から取得された前記毛髪標的特性を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ヒト毛髪に適用可能な前記化合物が、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアオイル、頭皮トニックおよび/またはセラムの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を行うための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータプログラムおよびシステムの分野に関し、より具体的には、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物を選択するための方法、システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪特性を改善するために、いくつかの製品が市場で入手可能である。各製品は、毛髪の1つ以上の特性に合わせて調整された化合物を含有するので、正しい化合物が毛髪に適用された場合にのみ毛髪特性の改善を達成することができる。適用される化合物が効果的であり得るように、毛髪の特性の改善には複数の要因が役割を果たし、例えば、化合物の有効性は、毛髪の太さ、その質感だけでなく、毛髪が成長する頭皮にも依存する場合がある。さらに、化合物の有効性はまた、以前に毛髪に適用された製品に依存する場合があり、すなわち、この化合物が別の化合物の上にまたはそれと共に適用される場合、毛髪特性を改善する際の化合物の有効性が最大化される場合がある。したがって、毛髪の改善は、複数の要因に基づいて選択された正しい化合物の適用に依存する。
【0003】
毛髪に適用可能な製品(シャンプーなど)を選択するためのシステムおよび方法が公知であるが、これらは通常、ユーザの選択のみを考慮に入れる。これは、ユーザにバイアスをもたらし、製品の選択に影響を及ぼす。実際、一方では、選択された製品がヒト毛髪に適用された場合に所望の結果をもたらし得るという保証はない。他方では、ユーザ選択に対応する製品は、例えば在庫が限られている場合、データベース上に存在しない場合がある。
【0004】
この文脈内で、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物を選択するための改善された方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
したがって、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物を選択するためのコンピュータ実装方法が提供される。ヒト毛髪のクラスは、毛髪特性によって制約される。
【0006】
本方法は、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶するデータベースを取得することを含む。各化合物に対して、データは、識別子、成分、およびヒト毛髪にされた場合の化合物のパフォーマンススコアを含む。パフォーマンススコアは、まとまりやすさ(manageability)スコアおよび目標スコアを含む。
【0007】
本方法はまた、ユーザ入力から、評価された毛髪特性および毛髪標的特性を取得することを含む。
【0008】
本方法はまた、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から、少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアを計算することを含む。計算された目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアは、それによってシグネチャを形成する。
【0009】
本方法はまた、計算された目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足する化合物に対応する、データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子を決定することを含む。充足することは、計算された目標スコアと対応する目標スコアとの間の距離関数を最小化することと、計算されたまとまりやすさ目標スコアと対応するまとまりやすさスコアとの間のまとまりやすさフィッティング(fit-to-manageability)関数を最大化することとを含む。
【0010】
本方法はまた、ヒト毛髪に適用されるべき化合物の決定された少なくとも1つの識別子を出力することと、少なくとも1つの識別子の化合物を選択することとを含み、選択された化合物をヒト毛髪に適用することによって毛髪標的特性を達成する。
【0011】
本方法は、以下のうちの1つ以上を含むことができる:
-評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性は、ストレートヘア、ウェーブヘア、カーリーヘアもしくは巻き毛などの毛髪タイプ基準、ショート、ミディアムもしくはロングなどの毛髪長さ基準、処置なし、カラーリング、パーマもしくはブリーチした毛髪などの毛髪状態基準、健康なもしくはダメージのある毛髪などの毛髪感触基準、ヘアツール使用基準、色保護、修復、つや(shine)、滑らかなどの毛髪目標基準、脂性、フケ、乾燥などの頭皮状態基準、皮脂抑制、フケ防止および保湿などの頭皮目標基準、毛髪質感基準、細い、中程度および太いなどの毛髪直径基準、ダメージ度基準ならびに/またはラテン系、白色人種、アフリカ系アメリカ人および/もしくはアジア人などの民族性基準のうちの1つ以上を含み、
-距離関数は、計算された目標スコアおよび対応する目標スコアを入力として取得し、計算された目標スコアと対応する目標スコアとの間の距離が減少するにつれて減少する値を出力する関数であり、
-ヒト毛髪に適用可能な化合物は、シャンプー化合物およびヘアコンディショナー化合物のうちの1つ以上を含み、距離関数は、以下:
・以下のタイプのシャンプー化合物距離項:
(Cleansing Score
Product-Cleansing Score
Target)
2
+(Shampoo Manageability
Product
-Shampoo Manageability Score
Target)
2、
・以下のタイプのコンディショナー化合物距離項:
Conditioner Manageability
Product
-Conditioner Score
Target、または
・以下のタイプのトリートメント距離項:
Treatment Manageability
Product-Treatment Score
Target、
のうちの1つ以上を含み、式中、
・Cleansing Score
Productは、その化合物によるクレンジング目標スコアの値を表す変数であり、
・Shampoo Manageability
Productは、その化合物によるシャンプーまとまりやすさの目標スコアの値を表す変数であり、
・Treatment Manageability
Productは、その化合物によるトリートメントまとまりやすさの目標スコアの値を表す変数であり、
・Cleansing Score
Targetは、評価された毛髪特性から計算されたクレンジング目標スコアの値を表す変数であり、
・Treatment Score
Targetは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたトリートメント目標スコアの値を表す変数であり、
・Shampoo Manageability Score
Targetは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたシャンプーまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数であり、かつ
・Conditioner Manageability
Productは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたコンディショナーまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数であり、
-まとまりやすさフィッティング関数は、以下のタイプの関数:
であり、式中、
・Manageabilityは、Manageability
Product変数およびManageability Score変数を含むベクトルであり、ここで、Manageability
Productは、その化合物によるまとまりやすさスコアの値を表す変数であり、Manageability Scoreは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数であり、かつ
・LSLは第1の変数であり、USLは第2の変数であり、
・LPは、ユーザ入力に依存する下側指数変数であり、UPは、ユーザ入力に依存する上側指数変数であり、
-その化合物の決定された少なくとも1つの識別子を出力することは、計算された目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを平均することを含み、その化合物の少なくとも1つの識別子は、平均に対する目標フィッティング(fit-to-goal)距離に従ってランク付けされ、
-目標フィッティング距離は、以下のタイプの関数:
Fit to goal=ΣWeight
i×Goal
i
を含み、式中、
式中、
・Goal
iは、目標スコアを表す値であり、
・Goal Value
Productは、パフォーマンススコアの値を表す変数であり、
・GoalThreshold
iは、0~1の間で変化する目標優先度の値を表す変数であり、
・Weight
iは、所定の重みであり、
-その化合物の決定された少なくとも1つの識別子を出力することは、その化合物の少なくとも1つの識別子をディスプレイエンジンに表示することをさらに含み、
-評価された毛髪特性に対応するクラスのヒト毛髪にその化合物を適用することをさらに含み、化合物は出力によって識別され、それにより、ユーザ入力から取得された毛髪標的特性を達成し、かつ
-ヒト毛髪に適用可能な化合物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアオイル、頭皮トニックおよび/またはセラムの1つ以上を含む。
【0012】
本方法を行うための命令を含むコンピュータプログラムがさらに提供される。
【0013】
コンピュータプログラムを記録したコンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。
【0014】
メモリと表示装置とに接続されたプロセッサを備えるシステムがさらに提供され、メモリはコンピュータプログラムを記録している。
【0015】
プロセッサは、ディスプレイ装置と共に動作して、
-入力インターフェース画面のセットを表示し、
-表示された入力インターフェース画面ごとに、少なくとも1つの毛髪特性または毛髪標的特性を設定する値をユーザが入力するし、かつ
-ヒト毛髪に適用される化合物の出力された少なくとも1つの識別子を表示する。
【0016】
システムは、ユーザのヒト毛髪の画像をキャプチャするように構成されたカメラをさらに備えることができ、処理ユニットは、キャプチャされた画像から毛髪特性を評価するようにさらに構成される。
【0017】
ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物を選択するためのコンピュータ実装方法も提供される。ヒト毛髪のクラスは、毛髪特性によって制約される。本方法は、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶するデータベースを取得することを含む。各化合物に対して、データは、識別子、成分、およびヒト毛髪に適用された場合の化合物のパフォーマンススコアを含む。パフォーマンススコアは、まとまりやすさスコアおよび目標スコアを含む。本方法はまた、ユーザ入力から、評価された毛髪特性および毛髪標的特性を取得することを含む。本方法はまた、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から、少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアを計算することを含む。計算された目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアは、それによってシグネチャを形成する。本方法はまた、計算された目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足する化合物に対応する、データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子を決定することを含む。充足することは、計算された目標スコアと対応する目標スコアとの間の距離関数を最小化することと、計算されたまとまりやすさ目標スコアと対応するまとまりやすさスコアとの間のまとまりやすさフィッティング関数を最大化することとを含む。本方法はまた、ヒト毛髪に適用される化合物の、決定された少なくとも1つの識別子を出力することを含む。
【0018】
ここで、添付の図面を参照して、非限定的な例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】方法の一例のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1のフローチャートを参照すると、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物を選択するためのコンピュータ実装方法が提案され、ヒト毛髪のクラスは毛髪特性によって制約される。本方法は、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶するデータベースを取得することS10を含む。
【0021】
各化合物に対して、データは、識別子、成分、およびヒト毛髪に適用された場合の化合物のパフォーマンススコアを含む。パフォーマンススコアは、まとまりやすさスコアおよび目標スコアを含む。
【0022】
本方法はまた、ユーザ入力から、評価された毛髪特性および毛髪標的特性を取得することS20を含む。
【0023】
本方法はまた、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から、少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアを計算することS30を含む。計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアは、それによってシグネチャを形成する。
【0024】
本方法はまた、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足する化合物に対応する、データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子を決定することS40を含む。充足することは、計算された少なくとも1つの目標スコアと対応する目標スコアとの間の距離関数を最小化することと、計算されたまとまりやすさ目標スコアと対応するまとまりやすさスコアとの間のまとまりやすさフィッティング関数を最大化することとを含む。
【0025】
本方法はまた、ヒト毛髪に適用される化合物の、決定された少なくとも1つの識別子を出力することS50を含む。
【0026】
したがって、本方法は、その毛髪特性によって制約されるようなヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物の選択を改善する。実際、評価された毛髪特性および毛髪標的特性からの少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアの計算S30のおかげで、本方法は、毛髪特性を改善するための客観的指標を取得する。次に、本方法は、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足する化合物に対応する、したがって、毛髪の適用時に毛髪の特性を最も改善するとデータベースで参照される化合物に対応する、データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子を決定する。
【0027】
さらに、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶する現在のデータベースは、リソースが限られている可能性がある。例えば、データベースは、毛髪の特性を比較的改善し得るが、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足するための(正確または実質的に正確な)一致ではない1つ以上の化合物を含有してもよい。充足することは、距離関数を最小化し、まとまりやすさフィッティング関数を最大化することを含むため、本方法は、利用可能な(例えば、限られた)データに基づいて毛髪の特性を最も改善する少なくとも1つの識別子を依然として提供することができる。
【0028】
本方法は、コンピュータ実装される。これは、本方法のステップ(または実質的にすべてのステップ)が、少なくとも1つのコンピュータ、または同様の任意のシステムによって実行されることを意味する。したがって、本方法のステップは、コンピュータによって、場合によっては完全に自動的に、または半自動的に行われる。例では、本方法のステップの少なくともいくつかのトリガは、ユーザとコンピュータとの対話によって行われてもよい。要求されるユーザとコンピュータとの対話のレベルは、予測される自動化のレベルに依存し、ユーザの希望を実施する必要性とのバランスをとることができる。例では、このレベルはユーザ定義および/または事前定義することができる。
【0029】
ヒト毛髪のクラスは、1つ以上の毛髪特性を有するヒト毛髪のカテゴリである。毛髪特性は、長さ、色、質感または感触などのヒト毛髪の任意の化学的または物理的特性であってもよい。ヒト毛髪のクラスは、クラスの毛髪特性によって制約され、したがって、クラスに属する毛髪は、その制約によってクラスの他の毛髪から(例えば、視覚的に、または触覚によって、または化学的にさえ)識別されてもよい。例えば、ヒト毛髪のクラスは、ストレートのヒト毛髪のクラスであってもよく、別のクラスは、カーリーヘアのヒト毛髪のクラスであってもよい。
【0030】
クラスは、2つ以上の毛髪特性を含んでもよく、毛髪特性に応じたサブクラスを含んでもよい。例えば、ストレートでヒト毛髪の集合を、ストレートで黒色のヒト毛髪とストレートなブロンドのヒト毛髪に分解してもよい。クラスは、任意の所定の方法で設定されてもよい。
【0031】
ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物は、クラスの毛髪および/または頭皮の少なくとも一部と相互作用するように製造された任意の物質、例えば感触、質感、外観および衛生などの特性を調整する物質である。
【0032】
ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアオイル、頭皮トニックおよび/またはセラムの1つ以上を含んでもよい。ヘアコンディショナーは、まとまりやすさ、すなわち、そのクラスの毛髪の感触、質感および/または外観を改善するために使用される化合物であってもよい。シャンプーは、界面活性剤を使用してクラスの毛髪および/もしくは頭皮表面から汚れ、皮脂、汗、死んだ皮膚片などを除去し、ならびに/または頭皮および/もしくは毛髪を清潔な表面に復元するために使用される化合物であってもよい。頭皮トニックは、ヒト頭部の頭皮を治療するために使用される化合物であってもよい。セラムは、頭皮の健康を高め、健康な発毛をサポートし、毛髪密度を改善し、またはフケなどの頭皮の障害を治療するためにヒト毛髪に適用可能な化合物であってもよい。
【0033】
データベースを取得することは、データベースを検索するための任意の種類の処理を意味する。取得することは、不揮発性メモリからデータベースを検索することを含むことができ、データベースは、例えばインターネット接続を介して、遠隔システムから取得することができる。取得されたデータベースは、異なる時間に、異なる場所で、異なるシステムで、および/または異なる人もしくは事業体によって形成されていてもよい。
【0034】
データベースは、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶し、データベースは、典型的には、多くのクラスのヒト毛髪に適用可能な化合物に関するデータを記憶する。「関する(relative)」とは、データが、化合物の化学的または物理的特性の少なくとも1つの記述子をコードすることを意味する。各化合物に対して、データは、識別子、成分、およびヒト毛髪に適用された場合の化合物のパフォーマンススコアを含む。
【0035】
データベースは、リソースが限られている場合がある。すなわち、データベースは、予想されるよりも著しく少ない数のデータフィールドを含む場合がある。例えば、データベースは、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に対して一定量のデータ(例えば、10000以上の化合物)を含むと予想される場合がある。しかしながら、リソースが限られているデータベースは、著しく少ない数のデータフィールド(例えば、1000以下)を含む場合がある。
【0036】
「識別子」とは、化合物に関するデータを、異なる化合物に関する他のデータから識別するための固有の名称を意味する。
【0037】
「成分」は、化合物に含有される少なくとも1つの成分を記述したデータ(例えば、文字列)である。
【0038】
「パフォーマンススコア」(値のセット、例えば数値)は、対応するクラスの毛髪の少なくとも1つの毛髪特性を調整するための化合物の能力の指標を提供する。パフォーマンススコアは、まとまりやすさスコアおよび目標スコアを含む。まとまりやすさスコアは、ヒト毛髪のクラスのまとまりやすさを改善するための化合物の成分の少なくとも1つの成分の能力を示すデータ(値、例えば数値)である。目標スコアは、ヒト毛髪のクラスの所定の標的の目標を改善するための化合物の成分の少なくとも1つの成分の能力を示すデータ(値、例えば数値)である。所定の目標は、例えば化学的テストベッドから取得されるような化合物の評価の結果として、任意の方法で予め決定されてもよい。
【0039】
本方法は、S20において、ユーザ入力から、評価された毛髪特性および毛髪標的特性を取得する。「評価された」とは、ヒト毛髪の毛髪特性および毛髪標的特性がユーザ入力から決定されることを意味する。言い換えると、毛髪特性は、ユーザから提供されるデータに依存する。毛髪標的特性は、これらに限定されないが、所望の色、質感、または感触などの、ヒト毛髪の任意の所望の化学的または物理的特性であってもよい。
【0040】
ユーザ入力は、ユーザによって提供される任意の種類のデータである。したがって、ユーザ入力は、完全に自動化されてもよく、または少なくともいくつかのユーザ対話を含んでもよい。例えば、本方法は、ユーザからデータを手動でまたは少なくとも部分的に自動的に(例えば、完全に自動的に)検索するために、異なるインターフェース周辺装置を使用することができる。したがって、ユーザ入力は、テキスト入力、画像入力、またはビデオ入力のうちの1つ以上を含むことができる。
【0041】
例えば、ユーザによるテキスト入力は、所定の基準のセットと比較されてもよく、本方法は、テキスト入力とセットの1つの基準との間の対応(例えば、文字一致)によって、毛髪特性の充足度を決定することができる(毛髪標的特性についても同様)。
【0042】
本方法は、S20において、グラフィカルユーザインターフェースを介してユーザ入力を取得することができ、グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザ入力インターフェース画面を表示することができる。ユーザ入力インターフェース画面は、ユーザがシステムと対話することを可能にする。例えば、ユーザ入力インターフェース画面は、評価された毛髪特性および毛髪標的特性をユーザがテキスト情報の形態で入力することができるようにテキストフィールドを備えてもよい。追加的または代替的に、ユーザ入力インターフェース画面はまた、評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性の所定のセットを表示することができ、ユーザはその所定のセットから選択して、評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性を入力することができる。追加的または代替的に、ユーザ入力インターフェース画面はまた、ユーザからの画像、例えばヒト毛髪の画像をキャプチャすることを可能にしてもよい。追加的または代替的に、ユーザ入力インターフェース画面は、1つ以上のアイコンを表示してもよく、各アイコンは、それぞれのユーザ入力を所定の毛髪標的特性にマッピングする。追加的または代替的に、ユーザ入力インターフェース画面は、1つ以上の画像を表示してもよく、各画像は、それぞれのユーザ入力を所定の毛髪標的特性にマッピングする。本方法は、画像からの評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性の決定を可能にするように、任意の種類のデータ変換を行うことができる。
【0043】
評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性は、これらに限定されないが、ストレートヘア、ウェーブヘア、カーリーヘアもしくは巻き毛などの毛髪タイプ基準、ショート、ミディアムもしくはロングヘアなどの毛髪長さ基準、処置なし、カラーリング、パーマもしくはブリーチした毛髪などの毛髪状態基準、健康なもしくはダメージのある毛髪などの毛髪感触基準、ヘアツール使用基準、色保護、修復、つや、滑らかなどの毛髪目標基準、脂性、フケ、乾燥などの頭皮状態基準、皮脂抑制、フケ防止および保湿などの頭皮目標基準、毛髪質感基準、細い、中程度および太いなどの毛髪直径基準、例えば細いについては50マイクロメートル~70マイクロメートルの範囲、中程度については70マイクロメートル~90マイクロメートルの範囲、および太いについては90マイクロメートル~120マイクロメートルの範囲、ダメージ度基準ならびに/またはラテン系、白色人種、アフリカ系アメリカ人および/もしくはアジア人などの民族性基準のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0044】
評価された毛髪特性は、対応する毛髪標的特性を有することができる。例えば、評価された毛髪特性は毛髪状態基準を含むことができ、評価された毛髪標的特性はまた、毛髪状態基準(区別のために「毛髪状態基準目標」とも呼ばれる)を含むことができる。
【0045】
評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性は、互いに相関していてもよい。言い換えると、毛髪タイプ基準は、別の毛髪タイプ基準に依存する場合がある。例えば、毛髪直径基準は、民族性基準に依存する場合がある。
【0046】
本方法は、S30において、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から、少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアを計算する。
【0047】
目標スコアは、(ユーザ入力から取得される)それぞれの毛髪標的特性または所定の毛髪標的の目標に対する、評価された毛髪特性の充足度を決定する値(例えば、数値)である。目標は、少なくとも1つの化合物がもたらすことのできる毛髪の利益を指すことができる。
【0048】
例えば、化合物はそれぞれ、異なる程度の毛髪の利益を有することができ、例えば、コンディショナーは、シャンプーよりも高い程度のコンディショニングを提供することができる。
【0049】
例では、本方法は、ユーザ入力インターフェースを介して表示された質問を介して、ユーザ入力S20から目標スコアを取得することができる。例えば、それぞれのユーザインターフェースに表示される1つの質問は、ユーザの毛髪目標を求めることができ、使用およびその順序によって与えられる選択肢を使用して、データベース内の各製品がその目標の組み合わせにどれだけ適しているかを決定することができる。目標は、任意の方法で予め決定されてもよい。例えば、目標は、毛髪状態基準(評価された毛髪特性に含まれる)と毛髪状態基準目標(評価された毛髪標的特性に含まれる)との間の充足度として定義される毛髪水分目標スコアであってもよい。例えば、毛髪標的の目標は、毛髪の滑らかさまたは色保護を改善することを含むことができ、そこから評価された毛髪特性が取得される。
【0050】
まとまりやすさ目標スコアは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性に基づいて、毛髪のどの程度のコンディショニング(これから評価された毛髪特性が取得される)が要求されるかを考慮する値(例えば、数値)である。言い換えると、まとまりやすさ目標スコアは、毛髪の感触、質感、および/または外観をどのように改善すべきかの指標を提供する。
【0051】
少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアは、クレンジング、シャンプーまとまりやすさ、コンディショナーまとまりやすさ基準などの所定の基準のセットに基づいて、本方法によって計算されてもよい。基準は、任意の方法で、例えば、テストベッド試験の結果として設定されてもよい。少なくとも1つの目標スコアは、クレンジングスコア、クレンジング目標スコアおよびトリートメントスコアのうちの1つ以上を含んでもよい。まとまりやすさ目標スコアは、トリートメントまとまりやすさの目標スコア、シャンプーまとまりやすさスコアおよび/またはコンディショナーまとまりやすさスコアの1つ以上を含んでもよい。
【0052】
計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさスコアは、それによってシグネチャを形成する。「シグネチャ」とは、計算された少なくとも1つの目標および計算されたまとまりやすさスコアが、評価された毛髪特性がクラスのヒト毛髪を表す程度、および所定の毛髪標的の目標が充足される程度を識別することを意味する。計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさは、シグネチャを形成し、すなわち、シグネチャは、少なくとも1つの目標スコアの値およびまとまりやすさスコアの値の両方から取得される値である。例えば、シグネチャの計算は、少なくとも1つの目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアの値からハッシュを計算することによって、またはルックアップテーブルからハッシュを取得することによって行われてもよい。
【0053】
次いで、本方法は、S40において、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足する化合物に対応する、データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子を決定する。すなわち、本方法は、データベースをトラバースして、充足によって決定されるように、ヒト毛髪のクラスに適用可能な少なくとも1つの化合物に関するデータを検索する。本方法は、任意の手段によって、例えば、シグネチャを含むクエリをデータベースに行うことによって、決定S40を行うことができる。
【0054】
充足することは、計算された少なくとも1つの目標スコア(ユーザ入力S20から取得された評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算される)と、データベース内の所与の化合物に関するデータに含まれる対応する少なくとも1つの目標スコアとの間の距離関数を最小化することを含む。距離関数は、(評価された毛髪特性および毛髪標的特性から)計算された少なくとも1つの目標スコアおよび対応する目標スコア(データベース内の化合物に関するデータに含まれる)を入力として取得し、2つのスコア間の距離を出力する任意の数学関数であってもよい。
【0055】
さらに、充足することは、計算されたまとまりやすさ目標スコアと対応するまとまりやすさスコアとの間のまとまりやすさフィッティング関数を最大化することを含む。まとまりやすさフィッティング関数は、計算されたまとまりやすさ目標スコアおよび対応するまとまりやすさスコアを取得し、計算されたまとまりやすさ目標スコアと(データベースに含まれる)対応するまとまりやすさスコアとの間のフィッティングを出力する関数であってもよい。言い換えると、まとまりやすさフィッティング関数は、データベースをトラバースするときに、(評価された毛髪特性および毛髪標的特性からの)計算されたまとまりやすさ目標スコアと化合物の対応するまとまりやすさスコアとの間の一致を測定する。
【0056】
本方法は、S50において、ヒト毛髪に適用される化合物の、決定された少なくとも1つの識別子を出力する。本方法は、例えば、少なくとも1つの識別子を読み取り可能なフォーマットに設定する、少なくとも1つの識別子を記憶する、および/または決定された少なくとも1つの識別子を別のシステムに送信するなど、任意の種類の処理によって出力S50を行うことができる。
【0057】
したがって、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物の選択が改善される。実際、ユーザには、クラスのヒト毛髪に適用されると、クラスの毛髪が目標特性およびまとまりやすさ特性に従って改善されるという結果をもたらす客観的指標(化合物の少なくとも1つの識別子)が提供される。この客観的指標は、化合物が誤って選択された場合、例えば、ユーザがヒト毛髪のクラスに適用されるように適合されていない化合物を選択した場合に、毛髪を妨害またはダメージを与える可能性があるユーザのバイアスを回避する。
【0058】
さらに、本方法は、データベースのリソースが限られている場合でも、改善された選択を検索することができる。実際、S40で決定された少なくとも1つの識別子は、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを充足するので、本方法は、距離関数およびまとまりやすさフィッティング関数から検索された付随情報を活用して、リソースが限られたデータベースで利用可能な限られたデータの中から、データベースの記憶されたデータの最良の選択を決定する。これは、本方法が、記憶された化合物に関するデータに最も近い距離を有することに依存するだけでなく、まとまりやすさおよび記憶された化合物の標的を考慮して選択を取得するという事実にも依存するためである。したがって、クラスの毛髪に最良の選択であり得る化合物に対応する識別子が欠落していても、本方法は、クラスのヒト毛髪に化合物を適用するときに毛髪標的特性を取得するために最良の近似を提供する少なくとも1つの識別子を依然として取得することができる。したがって、データベース上の決定は、欠落データに対してより堅牢である。
【0059】
本方法は、出力によって識別された化合物の評価された毛髪特性に対応するクラスのヒト毛髪に化合物を適用することを含んでもよい。「適用する」とは、化合物をクラスのヒト毛髪と接触させることができることを意味する。適用は、方法によって任意の方法で、例えば手動で、および/またはある程度の自動化で、例えば完全に自動的に行われてもよい。これにより、適用により、ユーザ入力から取得された毛髪標的特性を達成することができる。したがって、化合物の適用により、クラスの毛髪特性は毛髪標的特性を達成し、それによって毛髪の毛髪特性を改善する。
【0060】
例えば、ヘアコンディショナーを含む少なくとも1つの化合物を適用することにより、毛髪の束間の摩擦の低減が達成される。したがって、本方法は、毛髪のより滑らかなブラッシングまたはコーミングを可能にし、そうでなければ、例えば過剰な力を加えることによる望ましくない毛髪の除去によって頭皮にダメージを引き起こす可能性があり、または毛髪にダメージを与えて切れ毛を引き起こす可能性がある。また、コンディショナーの適用により、毛髪のつやを改善して光沢感を与えたり、毛髪の強さやしなやかさを改善して切れ毛を防止したり、毛髪に適用された染毛剤による毛髪の色の保持時間を長くしたり、毛髪の縮れ具合を低下させて毛髪全体の外観を改善したりするなど、毛髪の特性を改善することができる。
【0061】
別の例では、シャンプーを含む少なくとも1つの化合物を適用することにより、毛髪の複数の改善が達成される。
【0062】
例えば、シャンプーを適用すると、皮脂腺に由来する皮脂の除去が改善され、頭皮に見られる皮脂腺は連続的に皮脂を生成し、皮脂は頭皮表面に上昇し、頭皮および毛髪に広がる。皮脂は、皮膚および毛髪のようなケラチン物質に対して保護効果および潤滑効果を有する。しかしながら、この皮脂を除去するための頭皮および毛髪の定期的なクレンジングも重要である。毛髪へのシャンプーの適用は、皮脂の正しい除去をもたらす。皮脂は、頭皮表面に見られるリパーゼによって酸化されて脂質過酸化物を形成することがあり、これは毛包の小型化を引き起こし、脱毛をもたらすことが公知である。頻繁でない除去による頭皮上の過剰な皮脂は、フケによる頭皮の剥離の増加をもたらす場合がある。さらに、頭皮上に見られる微生物による皮脂の代謝は、毛髪および頭皮の悪臭につながる可能性がある。最後に、頻繁に除去されないことによる毛髪上の過剰な皮脂は、毛髪が過度に重くなり、平らで見栄えの悪い外観となり、知覚される毛髪の量の損失につながる可能性がある。
【0063】
ヒト毛髪にシャンプーを適用することにより、脱毛、フケ、悪臭、毛髪の不快な外観などの、毛髪および頭皮の頻繁でないクレンジングの問題が最小限に抑えられる。
【0064】
シャンプーは、頭皮および毛髪表面をクレンジングするための界面活性剤および毛髪コンディショニング剤と共に配合されて、毛髪表面を滑らかにするなどの毛髪の利益をもたらし、したがって、クラスの毛髪に適用されたときのまとまりやすさをさらに改善することができる。
【0065】
シャンプーは、クラスの毛髪に適用されたときに知覚される毛髪量の利益をもたらすために、より多くのクレンジング効果およびより少ないコンディショニング効果をもたらすように配合されてもよい。
【0066】
シャンプーはまた、洗浄中に毛髪がよりまとまるように配合されてもよく、それにより、洗髪中のもつれた毛髪による望ましくない抜け毛を防止し、毛髪のクレンジング中に快適で心地よい体験を提供する。
【0067】
シャンプーまたはコンディショナーまたはトリートメントはまた、毛髪に浸透して毛髪繊維に強化効果をもたらすことが公知の化学物質を含有してもよい。銅などの遊離金属イオンは、水中に多く見られる。これらの金属イオンは、染毛剤の化学物質と相互作用して、染毛剤で毛髪をカラーリングしたヒトにおける毛髪の色の損失または変化を引き起こす可能性がある。シャンプーまたはコンディショナーまたはトリートメントはまた、金属イオンをキレート化し、それらが染毛剤と相互作用するのを防ぐ化学物質を含有してもよく、したがって、染毛剤の色をより長期間維持する。
【0068】
さらに、本方法は、評価された毛髪特性(および特性間の依存性)を考慮に入れるので、本方法は、選択された化合物が、その化合物を適用するときにクラスの毛髪の毛髪特性を改善するように適合されることを保証する。
【0069】
一例では、本方法は、少なくとも1つの化合物を選択する際に、毛髪直径基準と民族性基準との間の依存性を考慮に入れることができる。実際、毛髪特性は民族性に依存する。毛髪の直径は、民族性に応じて変化する場合がある。例えば、直径約50~70マイクロメートルの範囲の毛髪は、一般に細い毛髪と考えられており、白色人種およびアフリカ系アメリカ人に典型的である。さらに、直径が約70~90マイクロメートルの範囲の毛髪は、一般に中程度の毛髪と考えられており、アジア人およびラテンアメリカ人に典型的である。別の例では、直径約90~120マイクロメートルの範囲の毛髪は、一般に太い毛髪と考えられ、アジア人に典型的である。
【0070】
別の例では、本方法は、少なくとも1つの化合物を選択する際に、毛髪直径基準と民族性基準との間の依存性を考慮に入れることができる。実際、毛髪のタイプは民族性にも依存する場合がある。例えば、ストレートな毛髪は、アジア人および一部の白色人種に見ることができる。さらに、ウェーブヘアの毛髪は、一部のアジア人、白色人種、およびラテンアメリカ人に見ることができる。カーリーヘア(やや密な巻き毛)の毛髪は、ラテンアメリカ人および一部のアフリカ系アメリカ人に見ることができる。巻き毛(すなわち、密な巻き毛)の毛髪は、ラテンアメリカ人および一部のアフリカ系アメリカ人に見ることができる。縮れた(すなわち、非常に密な巻き毛)の毛髪は、一部のアフリカ系アメリカ人に見ることができる。
【0071】
別の例では、本方法は、毛髪ダメージ基準によって少なくとも1つの化合物を選択するときに、毛髪のダメージの程度を考慮に入れることができる。実際、バージンヘアはダメージを受けておらず、毛髪表面は比較的滑らかである。染毛剤によって化学的に処理された毛髪は、いくらかのダメージを受けている。熱およびパーマなどの化学物質によってさらに処置された毛髪は、さらに多くのダメージを受けている。ダメージの程度はまた、ヘアコンディショニングviの必要性の増加に対応する。その結果、毛髪が必要とするコンディショニングの程度は、異なる毛髪特性のために民族性によって異なる。
【0072】
他の例では、本方法は、毛髪の直径を考慮に入れることができる。例えば、より太い毛髪繊維のために、アジア人の毛髪には、より高いコンディショニングレベルが一般に好ましい。逆に、より細い毛髪繊維のために、白色人種の毛髪には、より低いコンディショニングレベルが一般に好ましい。したがって、毛髪が必要とするコンディショニングの程度は、毛髪の直径に依存する。
【0073】
熱処置または化学処置のいずれかにより大幅にダメージを受けた毛髪の場合、毛髪繊維の表面は、キューティクルのダメージのために粗く摩耗し、マットな外観(光沢の欠如)を有し、水分の欠如のために乾燥したように感じる場合がある。ダメージを受けた毛髪は、手触りが荒く、よりまとまりにくい。
【0074】
毛髪がダメージを受けた毛髪に不適切なまとまりやすさレベルのシャンプーおよび/またはコンディショナーを適用すると、洗浄プロセス中、または毛髪が互いにスムーズに離れることができないコーミング中の引っ張り(tugging and pulling)に起因する不必要な脱毛、および毛髪が乾燥した後の望ましくない毛髪感触が生じる場合があり、それによって毛髪はまとまりにくく、コーミングしにくく、くすんだ外観となり、ざらざらした感触、または毛髪に触れたときの不快な感触を有する場合がある。
【0075】
したがって、本方法は毛髪のダメージの程度を考慮に入れるので、毛髪繊維のつやを修復、強化、改善するのにも役立つ少なくとも1つの化合物を識別して、より良好な全体的な毛髪の健康を達成することも可能である。
【0076】
距離関数についてさらに説明する。
【0077】
距離関数は、計算された少なくとも1つの目標スコアと(データベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子の)対応する目標スコアとの間の距離が減少しない場合には減少しない関数であってもよい。最大化関数は、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび対応する目標スコアを入力として取得することができる。最大化関数は、計算された少なくとも1つの目標スコアと対応する目標スコアとの間の距離が減少するにつれて減少する値を出力することができる。
【0078】
したがって、距離は、計算された少なくとも1つの目標スコアの数値と対応する目標スコアの数値との差の絶対値、または二乗距離であってもよい。これは実装の問題にすぎない。
【0079】
したがって、距離関数は、本方法が、評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性に依存する、計算された少なくとも1つの目標スコアの対応する化合物による充足に検索を集中させることを可能にする。したがって、本方法は、目標要件に関して最良の化合物を提供する。
【0080】
ヒト毛髪に適用可能な化合物がシャンプー化合物の1つ以上を含む場合、距離関数は、式(1)によって定義されるシャンプー化合物距離項を含んでもよい。
(Cleansing ScoreProduct-Cleansing ScoreTarget)2+
(Shampoo ManageabilityProduct-Shampoo ManageabilityTarget)2 (1)
【0081】
Cleansing ScoreProductは、化合物によるクレンジング目標スコアの値を表す変数である。変数は、化合物が頭皮および毛髪にクレンジング効果をどの程度提供することができるかの指標とすることができる。シャンプーの化合物のクレンジングスコアは、当技術分野で公知の試験プロトコール、例えば汚れ分散体測定を使用して評価することができる。
【0082】
Cleansing ScoreTargetは、評価された毛髪特性から計算されたクレンジング目標スコアの値を表す変数である。
【0083】
クレンジング目標スコアの計算のためのユーザ入力の例を示す表Iを参照する。
【0084】
ユーザは、表Iの左端の列に示すように、民族性、毛髪の質感、毛髪の状態、毛髪のタイプ、毛髪の感触、頭皮の状態、快適性因子、およびクレンジングの必要性などの基準に対する8つの異なる入力要件を提供することができる。ユーザは、例えば民族性について「白色人種」などのテキスト入力の形態で、それぞれの入力要件ごとに異なる回答を提供することができる。本方法は、提供された各回答を対応する値にマッピングすることができる。この例では、民族性はまた、最小値Manageability Minおよび最大値(Manageability Max)を設定するまとまりやすさ閾値を含むことができる。
【0085】
本方法は、まとまりやすさルックアップテーブルからまとまりやすさ閾値を取得することができる。以下の表IIは、2つの異なる民族性:白色人種およびアジア人のまとまりやすさルックアップテーブルの例を示す。
【0086】
本方法は、各回答/入力に対するルックアップテーブルからの対応する値に、提供された各回答をマッピングすることができる。以下の表IIIは、頭皮状態のルックアップテーブルを示す。
【0087】
Cleansing ScoreTargetは、以下の式から計算することができる。
Cleansing ScoreTarget=4+Comfort Factor+Cleansing Need=4-0+1=5
【0088】
Shampoo ManageabilityProductは、その化合物によるシャンプーまとまりやすさの目標スコアの値を表す変数である。変数は、化合物が頭皮および毛髪に、毛髪のまとまりやすさという利益をどの程度提供することができるかの指標とすることができる。変数Shampoo ManageabilityProductは、典型的には、当技術分野で公知の試験、例えば毛髪の質感分析の結果として取得される。
【0089】
Shampoo ManageabilityTargetは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたシャンプーまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数である。
【0090】
以下の表IVは、シャンプーまとまりやすさ目標スコアの値の計算のためのユーザ入力を示す。
【0091】
各民族性について、本方法は、例えばルックアップテーブルからシャンプーまとまりやすさの最小値および最大値を取得することができる。表Vは、シャンプーまとまりやすさのルックアップテーブルの一例を示す。
【0092】
したがって、変数Shampoo Manageability
Targetは、入力に基づいて、以下のタイプの式に従って計算することができる。
【0093】
ここで、変数Max値は、引数内の4つの変数から計算され、変数の最大値である5倍である。ヒト毛髪に適用可能な化合物がコンディショナー化合物の1つ以上を含む場合、距離関数は、式(2)によって定義されるコンディショナー化合物距離項を含んでもよい。
Conditioner ManageabilityTarget-Conditioner ScoreTarget (2)
【0094】
Conditioner ManageabilityTargetは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたコンディショナーまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数である。変数は、化合物が毛髪に毛髪のまとまりやすさという利益をどの程度提供することができるかの指標とすることができる。
【0095】
以下の表VIは、コンディショナーまとまりやすさ目標スコアの値の計算のためのユーザ入力を示す。
【0096】
各民族性について、本方法は、例えばルックアップテーブルからコンディショナーまとまりやすさの最小値および最大値を取得することができる。表VIIは、コンディショナーまとまりやすさのルックアップテーブルの一例を示す。
【0097】
したがって、本方法は、表VIの値から以下の式を計算することができる。
Hair Factor=Hair Texture+Hair Condition+Hair Type+Hair Feel+Hair Tools+Hair Length+Volume Modifier+Conditioning Modifier=1+2+3+4+5+5+0+5=25
【0098】
ヒト毛髪に適用可能な化合物がトリートメント化合物の1つ以上を含む場合、距離関数は、式(3)によって定義されるトリートメント化合物距離項を含んでもよい。
Treatment ManageabilityProduct-Treatment ScoreTarget(3)
【0099】
Treatment ManageabilityProductは、その化合物によるトリートメントまとまりやすさの目標スコアの値を表す変数である。変数は、化合物が毛髪に毛髪のまとまりやすさという利益をどの程度提供することができるかの指標とすることができる。
【0100】
Treatment ScoreTargetは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたトリートメント目標スコアの値を表す変数である。
【0101】
以下の表VIIIは、トリートメント目標スコアの値の計算のためのユーザ入力を示す。
【0102】
各民族性について、本方法は、例えばルックアップテーブルからトリートメントまとまりやすさの最小値および最大値を取得することができる。表IXは、民族性が白色人種およびアジア人の場合のトリートメントまとまりやすさについてのルックアップテーブルの一例を示す。
【0103】
したがって、本方法は、表VIIIの値から以下の式を計算することができる。
Hair Factor=Hair Texture+Hair Condition+Hair Type+Hair Feel+Hair Tools+Hair Length+Volume Modifier+Conditioning Modifier=1+2+3+4+5+5+0+5=25
【0104】
これらの例では、距離関数は、標的と、製品データベースに見られる製品の化合物、例えばシャンプー、コンディショナーおよびトリートメントのそれぞれとの間の距離を計算する。距離関数は重みを持たないが、フィッティングスコアや平均スコアを求める関数は重みを持つ。
【0105】
したがって、本方法は、シャンプー化合物とヘアコンディショナー化合物とを含む化合物の正しい混合物を提供するように、クレンジング、シャンプーまとまりやすさ、トリートメントまとまりやすさ、クレンジング目標、トリートメント目標、シャンプーまとまりやすさ目標スコア、およびコンディショナーまとまりやすさ目標スコアに関する目標を充足する製品を見つけるために、異なる目標の付随情報を考慮に入れる。
【0106】
一例では、ヒト毛髪に適用可能な化合物は、シャンプー化合物およびヘアコンディショナー化合物のうちの1つ以上を含む。距離関数は、各シャンプー化合物について計算された式(1)によって定義されるシャンプー化合物距離項を含み、距離関数は、各コンディショナー化合物について式(2)によって定義されるヘアコンディショナー化合物距離項を含む。
【0107】
別の例では、ヒト毛髪に適用可能な化合物がシャンプー化合物、ヘアコンディショナー化合物、およびトリートメント化合物のうちの1つ以上を含む場合、距離関数は、各シャンプー化合物について計算された式(1)によって定義されるシャンプー化合物距離項を含み、距離関数は、各コンディショナー化合物について式(2)によって定義されるヘアコンディショナー化合物距離項を含み、距離関数は、各トリートメント化合物について式(3)によって定義されるトリートメント化合物距離項を含む。
【0108】
まとまりやすさフィッティング関数についてさらに説明する。
【0109】
まとまりやすさフィッティング関数は、計算されたまとまりやすさがデータベースに記憶された製品の対応するまとまりやすさスコアにフィッティングするようにそのパラメータが変更され得る関数Fit(Manageability)であってもよい。まとまりやすさフィッティング関数は、以下の式(4)によって定義することができる。
式中、
Manageabilityは、Manageability
Product変数およびManageability Score変数を含むベクトル(例えば、多次元、少なくとも二次元)であり、ここで、Manageability
Productは、化合物によるまとまりやすさスコアの値を表す変数であり、Manageability Scoreは、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの値を表す変数である。
【0110】
LSLは第1の変数であり、USLは第2の変数である。
【0111】
LPは、ユーザ入力に依存する下側指数変数であり、UPは、ユーザ入力に依存する上側指数変数である。
【0112】
第1の変数および第2の変数は、それぞれ、仕様下限値および仕様上限値であってもよい。仕様下限値および仕様上限値は、フィッティングの正規化に使用される。
【0113】
LP指数は、化合物によるまとまりやすさスコアの値が、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの値以下である場合に、まとまりやすさフィッティング関数の勾配を定義することができる。UP指数は、化合物によるまとまりやすさスコアの値が、評価された毛髪特性および毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの値より大きい場合に、まとまりやすさフィッティング関数の勾配を定義することができる。したがって、まとまりやすさフィッティング関数は、化合物によるまとまりやすさスコアの値が、評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの値以下である場合、頂点(すなわち、まとまりやすさフィッティング関数の最大値)に対応する値を出力する。
【0114】
これにより、データベースのリソースが限られている場合の化合物の選択が改善される。まとまりやすさフィッティング関数のおかげで、本方法は、データベースに記憶された製品のまとまりやすさスコアに関してデータベースに記憶された化合物の少なくとも1つの識別子の決定に焦点を合わせることができる。これは、構造により、まとまりやすさフィッティング関数が単一の最大値を含むためであり、したがって、評価された毛髪特性および/または毛髪標的特性から計算されたまとまりやすさ目標スコアの充足に関して、化合物のシャープな決定を可能にする。したがって、本方法によって決定された化合物の少なくとも1つの識別子は、(距離関数を単に最小化する代わりに)データベースをトラバースするときにさらなる自由度を有し、したがって、本方法は、適用されたときにクラスの毛髪のまとまりやすさを改善する化合物に対応する化合物の少なくとも1つの識別子を出力することができる。
【0115】
化合物の決定された少なくとも1つの識別子の出力S50は、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアを平均することを含んでもよい。言い換えると、出力は、計算された少なくとも1つの目標スコアおよび計算されたまとまりやすさ目標スコアの平均値からなる値(「平均」と呼ばれる)を決定することができる。化合物の少なくとも1つの識別子は、平均に対する目標フィッティング距離に従ってランク付けされてもよい。言い換えると、本方法は、少なくとも1つの化合物の少なくとも1つの識別子の目標スコアと平均との間の距離(すなわち、目標フィッティング距離)を測定し、目標フィッティング距離に従って少なくとも1つの化合物をランク付けすることができる。慣例により、決定された化合物は、平均に対する目標フィッティング距離として増加するようにランク付けすることができる。例えば、平均に対する最短の目標フィッティング距離を有する決定された化合物は、「1」としてランク付けされてもよく、化合物の他の決定された識別子のランクは、その距離に応じて増加されてもよく、例えば、(少なくとも1つの化合物からの)化合物の2番目に近い、および3番目に近い決定された識別子については「2」および「3」などである。
【0116】
したがって、本方法による出力は、所与の目標に対するその関連性に従って、ヒト毛髪のクラスに適用される化合物を選択するためにユーザを客観的に誘導する選択を提供する。これは、少なくとも1つの化合物の選択をさらに改善する。
【0117】
目標フィッティング関数は、以下の式(5)によって定義することができる。
【0118】
Goaliは、計算された少なくとも1つの目標スコアを表す値である。
【0119】
Goal ValueProductは、データベースに記憶された化合物の対応する識別子に対応するパフォーマンススコアの値を表す変数である。変数はまた、化合物の値のセットをコードすることができ、値のセットは、シャンプーまとまりやすさ、クレンジングスコア、コンディショナーまとまりやすさ、トリートメントまとまりやすさ、および特定の毛髪の利益をもたらす製品の能力を示す各製品の目標値を含む。
【0120】
GoalThresholdiは、目標優先度の値を表す変数である。値は、0~1で変化する非負の数である。目標優先度の値は、任意の方法で予め決定されてもよく、例えば、目標優先度の値は、データベースに記憶されてもよい。
【0121】
Weightiは、所定の重み、すなわち、例えば0~1の非負の数である。
【0122】
所定の重みは、ユーザ入力S20から予め決定されてもよい。所定の重みの値は、フィッティング計算によって影響を受ける目標の選択の順序および数によって影響を受ける可能性があり、例えば、フィッティングのために考慮される必要がある目標が1つしかない場合、所定の重みは1、すなわち、可能な限り最高の値として設定されてもよい。2つの目標がある場合、重みは、例えば第1の目標に対して0.7、第2の目標に対して0.3に設定されてもよく、その結果、合計は1になる。別の例では、3つの目標がある場合、所定の重みは、それぞれ第1、第2、および第3の目標に対して0.5、0.3、0.2などの値を有することができる。慣例により、相対的な重みは、第1の重みが第2の重みよりも大きく、第3の重みに向かうように、例えば、第1の重み>第2の重み>第3の重みになるように設定されてもよい。
【0123】
したがって、特定の関数は、各計算された少なくとも1つの目標スコアの重みを調整し、したがって、本方法は、重み付けされた目標に関して、ランク付けを決定するときに異なる優先順位を作成することができる。これにより、異なる優先順位に従って化合物の客観的選択がさらに改善され、例えば、2つの化合物が毛髪に同じ効果(目標)を引き起こす可能性があるが、最も単純な用途(例えば、毛髪への適用時間が少ない)の化合物を優先することができる。
【0124】
化合物の決定された少なくとも1つの識別子を出力することS50は、その化合物の少なくとも1つの識別子をディスプレイエンジンに表示することをさらに含んでもよい。ディスプレイエンジンは、ディスプレイ装置内でビデオ信号を生成するように適合されたコンピュータ内の任意の処理ユニットであってもよい。したがって、「表示する」とは、本方法が、化合物の少なくとも1つの識別子が表示装置に示され得るように、表示エンジンによって解釈可能な命令を送信し得ることを意味する。
【0125】
本方法はまた、化合物の少なくとも1つの識別子が人間によって読み取り可能であり得るように、任意の種類のデータ変換を行ってもよい。
【0126】
本方法は、そのような選択を行うための客観的指標を提示するので、これは、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物の選択をさらに改善する。これにより、適用が客観的に実現されることが保証される。
【0127】
方法のコンピュータ実装の典型的な例は、この目的のために適合されたシステムを用いて方法を行うことである。システムは、メモリおよび表示装置に接続されたプロセッサを備えることができ、メモリは、方法を行うための命令を含むコンピュータプログラムを記録している。メモリはまた、ヒト毛髪のクラスに適用可能な化合物に関するデータを記憶するデータベースを記憶してもよい。メモリは、そのような記憶に適合された任意のハードウェアであり、場合によってはいくつかの物理的に別個の部品(例えば、プログラム用に1つ、場合によってはデータベース用に1つ)を備える。
【0128】
プロセッサは、表示装置と共に動作して、入力インターフェース画面のセットを表示することができる。
【0129】
表示された入力インターフェース画面ごとに、プロセッサは、少なくとも1つの毛髪特性または毛髪標的特性を設定する値をユーザによって入力することができる。入力インターフェース画面は、任意の方法で、例えば順次(アンケートの形態など)提示することができる。プロセッサはまた、ヒト毛髪に適用されるべき化合物の出力された少なくとも1つの識別子を表示してもよい。
【0130】
図2は、システムの一例を示し、システムはクライアントコンピュータシステムである。
【0131】
本例のクライアントコンピュータは、内部通信BUS1000に接続された中央処理装置(CPU)1010と、同じくBUSに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)1070とを備える。クライアントコンピュータには、BUSに接続されたビデオランダムアクセスメモリ1100に関連付けられたグラフィック処理ユニット(GPU)1110がさらに設けられる。ビデオRAM 1100は、フレームバッファーとしても当技術分野で公知である。大容量記憶装置コントローラ1020は、ハードドライブ1030などの大容量記憶装置へのアクセスを管理する。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に具現化するのに適したマスメモリ装置は、例としてEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置などの半導体メモリ装置、内蔵ハードディスク、およびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリを含む。前述のいずれかは、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補足されるか、またはその中に組み込まれてもよい。ネットワークアダプタ1050は、ネットワーク1060へのアクセスを管理する。クライアントコンピュータはまた、カーソル制御装置、キーボードなどのハプティック装置1090を含むことができる。ユーザがディスプレイ1080上の任意の所望の位置に選択的にカーソルを配置することを可能にするために、クライアントコンピュータにおいてカーソル制御装置が使用される。さらに、カーソル制御装置は、ユーザが各種コマンドを選択したり、制御信号を入力したりすることを可能にする。カーソル制御装置は、システムに制御信号を入力するためのいくつかの信号生成装置を含む。典型的には、カーソル制御装置はマウスであってもよく、マウスのボタンは信号を生成するために使用される。代替的または追加的に、クライアントコンピュータシステムは、感知式パッドおよび/または感知式画面を備えてもよい。
【0132】
コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行可能な命令を含むことができ、命令は、上記のシステムに方法を行わせるための手段を含む。プログラムは、システムのメモリを含む任意のデータ記憶媒体に記録可能であってもよい。プログラムは、例えば、デジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装されてもよい。プログラムは、機器、例えば、プログラマブルプロセッサによる実行のために機械可読記憶装置に有形に具現化された製品として実装されてもよい。方法ステップは、入力データを操作して出力を生成することによって方法の機能を行う命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって行われてもよい。したがって、プロセッサはプログラム可能であり、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置からデータおよび命令を受信し、かつデータ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置にデータおよび命令を送信するように接続することができる。アプリケーションプログラムは、高水準手続き型もしくはオブジェクト指向プログラミング言語で、または必要に応じてアセンブリ言語または機械語で実装されてもよい。いずれの場合でも、言語は、コンパイルされた言語または解釈された言語であってもよい。プログラムは、フルインストールプログラムであってもよいし、アップデートプログラムであってもよい。システムにプログラムを適用すると、いずれの場合も、方法を行うための命令が得られる。代替的に、コンピュータプログラムは、クラウドコンピューティング環境のサーバ上に記憶され実行されてもよく、サーバは、1つ以上のクライアントとネットワークを介して通信している。そのような場合、処理ユニットは、プログラムに含まれる命令を実行し、それによって方法がクラウドコンピューティング環境上で行われる。
【0133】
システムは、カメラをさらに備えることができる。カメラは、ユーザのヒト毛髪の画像をキャプチャするように構成されてもよい。処理ユニットは、キャプチャした画像から毛髪特性を評価するようにさらに構成されてもよい。
【0134】
任意選択的に、ハンドヘルド型毛髪頭皮測定装置を使用して、物理的な毛髪および頭皮からの読み取り値をキャプチャおよび記録し、製品推奨のためにアンケートに直接入力することができる。
【0135】
したがって、システムを使用して、毛髪繊維および頭皮の高倍率画像を取得して、毛髪の太さ、密度、ならびに毛髪のキューティクルの状態および頭皮の状態を決定し、予めコードされた基準データ範囲と一致させて、より高い精度の結果を得るためにユーザアンケートのアプリに直接入力することができる。
【0136】
システムは、集中型システムと通信することができ、そのデータは、ここではキャプチャされたデータに基づいて、それぞれのアンケート回答(例えば、細い、中程度、太い毛髪)に出力するために基準データベースに供給される。
【0137】
本方法はまた、機械学習コンポーネントを組み込むことができる。機械学習コンポーネントは、化合物のユーザフィードバックのデータベースで訓練することができる。ユーザフィードバックは、推奨された製品が毛髪のまとまりやすさを効果的に提供することができた程度、および推奨された製品が選択された目標を効果的に達成することができた程度に関する規定の尺度での評点を含むことができる。機械学習コンポーネントは、方法内の変数を調整することによって推奨アルゴリズムを改善するように構成されてもよい。
【0138】
【0139】
本方法は、9つの入力インターフェース画面を提示する。各入力インターフェース画面は、質問を表示し、また、ユーザ入力としてそれぞれの回答を収集するためのテキストフィールドも表示する。典型的なアンケートは、各質問回答の組み合わせに対応する値と共に、すべての利用可能な製品のリストを収容するデータベースまたはテーブルを有することができる。入力収集プロセスを通じてユーザによって提供された回答は、データベースに照合され、対応する関連値が選択されて加算され、必要に応じて重みが使用される。
【0140】
このテストされた実装形態では、質問は、毛髪がどれだけコンディショニングを必要とするかを客観的に決定するために毛髪特性を収集するために使用される。それぞれの回答には、コンディショニングが必要な程度に応じて増加する数が、コンディショニングの必要性の標的特性として付与される。
【0141】
ユーザ入力に従って値を割り当てて計算するために使用される変数を示す表Xを参照する。
【0142】
テストされた実装形態では、ユーザ入力の結果として取得された評価された毛髪特性は、変数:Hair Type、Hair Length、Hair Condition、Hair Condition、Hair Feel、Hair TextureおよびHair Toolsにコードされる。
【0143】
コンディショニングが必要とされる程度を計算するための数式は、以下によって与えられる。
コンディショニングの必要性(Conditioning Need)
=Hair Type+Hair Length+Hair Condition+Hair Feel+Hair Texture+Hair Tools、
コンディショニングの必要性は、他のスコアを計算するために使用される。毛髪因子目標スコアは、以下のように計算される。
ここで、Conditioning ModifierおよびVolume Modifierは、特定の毛髪目標が選択されるかどうかに依存する。
【0144】
目標スコアおよびまとまりやすさ目標スコアを計算するための方法によって使用される他の数式は、以下のとおりである。
Conditioner Delta=Conditioner Max-Conditioner Min
Treatment Delta=Treatment Max-Treatment Min、
式中、Conditioner Min、Conditioner Max、Treatment Min、Treatment Maxは、(ユーザがインターフェース画面に入力した)民族性に応じて異なる値をとる。
【0145】
MRS Checkおよびコンディショナースコアも以下のように計算される。
MRS Checkは、以下の制約を受ける。
トリートメント目標スコアは以下のように計算される。
a.以下の制約を受ける
【0146】
本方法はまた、ユーザの頭皮の状態を理解するために使用される質問をそれぞれ含む入力インターフェース画面の別のセットを表示することができる。
クレンジング目標スコアを計算するために、以下の式が使用される。
Cleansing Score=4+Comfort Factor+Cleansing Need。
【0147】
本方法はまた、以下の式を介してシャンプーまとまりやすさスコアを計算する。
式中、AおよびBは、民族性に応じて異なる値をとる。
【0148】
最終的なシャンプースコアは、クレンジングスコアおよびシャンプーまとまりやすさスコアから作成される。
【0149】
本方法は、適切な化合物を見つけた後に、ユーザの毛髪の理想的な状態またはユーザが達成したい所望の毛髪標的特性を理解することを可能にするために、ユーザ入力を検索するための入力インターフェース画面の別のセットをさらに表示してもよい。これらの入力インターフェース画面から取得されたユーザ入力には、製品から得ることを望む特性目標を示す文字コードが割り当てられる。
【0150】
図3は、いくつかの化合物の目標スコアを含む表300を示す。化合物310は、7つの化学スコア320~380を含む。
【0151】
距離関数についてさらに説明する。
【0152】
距離関数は、標的と、化合物に関するデータを記憶するデータベースに見られる各製品との間の距離を計算する。これは、シャンプー、コンディショナーおよびトリートメントに対して行うことができる。距離関数は重みを持たない。
【0153】
シャンプーの場合、距離は、以下のタイプの項を含む:
(Cleansing ScoreProduct-Cleansing ScoreTarget)2
+(Shampoo ManageabilityProduct
-Shampoo Manageability Score_Target)2
コンディショナーの場合、距離は、以下のタイプの項を含む。
Conditioner ManageabilityProduct-Conditioner ScoreTarget
トリートメントの場合、距離は、以下のタイプの項を含む:
Treatment ManageabilityProduct-Treatment ScoreTarget
次に、まとまりやすさフィッティング関数についてさらに説明する。
【0154】
ここで、LPは下側指数であり、UPは上側指数であり、LPおよびUPはユーザの回答、例えば民族性および目標選択に応じて変化する変数である。
【0155】
図4を参照すると、まとまりやすさフィッティング関数Fit()による出力400が示されている。
【0156】
まとまりやすさフィッティング関数は、1のピーク値410ならびに減衰率420および430を示す。この値は、まとまりやすさが最良の化合物に相当する。他の値は、LPおよびUP変数と共に急速に減少する。減衰率420は、変数LPの影響を受ける。減衰率430は、変数UPの影響を受ける。
【0157】
本方法は、フィッティングの感度を調整するために、LPおよびUP値を変更することができる。製品のまとまりやすさが3(まとまりやすさフィッティング関数がピークを提示する標的4よりも低い位置にある)である場合、フィッティングスコアは、5(標的4よりも高い位置にある)のスコアと比較して低くなる。
【0158】
これは、プロファイルによっては、まとまりやすさが低いものよりもまとまりやすさが高いものの方が好ましいからである。これは、例えば、ある人がコンディショナーを使用することによってより滑らかな毛髪を得たい状況の場合であり、まとまりやすさが高いものは、まとまりやすさがより低いものよりも良好なコンディショニング効果を与える。しかしながら、過度のコンディショニングは、重さおよびネガティブな毛髪感触をもたらす。
【0159】
逆もまた真であり、例えば、ある人が毛髪に対するボリューム効果を探している状況では、まとまりやすさの高い製品を与えることは、毛髪をより重くし、毛髪のボリュームを抑えることにつながり、例えば、より低いコンディショニングがより高いコンディショニングよりも好ましい。
【0160】
したがって、本方法は、ユーザごとにLPおよびUP変数を調整する自由度を有する。一般に、標的まとまりやすさ値が6の製品が利用できない(fit=1)が、5および7の製品が利用できる場合、通常は5よりも7の方が好ましい。例えば、白色人種がボリューム化目標を積極的に持っている場合(ボリュームのある毛髪を持つことを意図している場合)、コンディショニングが多すぎると毛髪のボリュームが少なくなるため、ボリュームのある毛髪を可能にするために7よりも5を有することがより好ましい。これは、特に白色人種の毛髪に典型的に見られる細い毛髪のためである。民族性がアジア人またはラテンアメリカ人の場合、毛髪はより太く、より多くのコンディショニングが要求される。ボリューム目標が選択された場合でも、7を5よりも好ましいものにする指数が選択される。
【0161】
【0162】
図5は、9つの質問(510~590)をユーザAに提示するインターフェース画面500のスクリーンショットである。
【0163】
図6は、9つの質問(610~690)をユーザBに提示するインターフェース画面600のスクリーンショットである。ユーザAおよびBに提示される質問は、質問8の目標の第1の選択を除いて同じである。例Aでは、第1の目標はよりボリューム(More Volume)であり、例Bでは、第1の目標はより豊かで太い(Fuller Thicker)毛髪である。
【0164】
表XIは、毛髪標的特性を示す。
【0165】
いずれの場合も、Conditioner ManageabilityTargetは3に設定される。これは、3が理想的なコンディショナーまとまりやすさ値で、1.0のまとまりやすさフィッティングを有することを意味する。
【0166】
LPの効果を示すために、ユーザA対ユーザBにおける同じ製品Xのまとまりやすさフィッティング値を考慮する。
【0167】
Conditioner Manageability ScoreTarget(または目標)が3であり、Conditioner Manageability
Productが2であると仮定する。
【0168】
上記の表から、ボリューム目標が選択された場合、LP値の差により、まとまりやすさフィッティングを変更することができる。したがって、Conditioner Manageability ScoreTargetよりもConditioner ManageabilityProductが低い製品は、ユーザBよりもユーザAに適している。
【0169】
Conditioner Manageabiity ScoreTargetが3であり、Conditioner ManageabilityProductが4であると仮定する。
【0170】
表XIIは、コンディショナーまとまりやすさ標的特性を示す。
【0171】
逆に、ボリューム目標が選択された場合、Conditioner Manageability ScoreTargetよりも高いConditioner ManageabilityProductを有する製品は、ユーザAよりもユーザBに適している。
【0172】
図7は、同じ化合物であっても、使用者によってまとまりやすさフィッティング値が異なる例を示す。
【0173】
ユーザAの計算されたまとまりやすさフィッティングを例Aとしてプロットする。ユーザBのプロットを例Bとしてプロットする。標的は3である。ピークは、異なる減衰率を有するが、同じピーク710である。
【0174】
目標フィッティング関数についてさらに説明する。
【0175】
目標フィッティング関数は、化合物が計算された目標スコアを満たす程度を決定する。式のタイプは次のとおりである。
【0176】
Goal ValueProduct は、製品の特性に依存する。例えば、BよりもAの方において、その技術的利益または目標をもたらす機能性成分の濃度が高いため、Color Protection ValueProduct Aは、Color Protection ValueProduct Bよりも高くすることができる。
【0177】
GoalThresholdiは、目標の優先度に依存し、0~1の間で変化し、例えば、ランク1で選択された目標は、ランク3で選択された目標よりも高い目標閾値を有する。言い換えると、GoalThreshold1>GoalThreshold2>GoalThreshold3である。
【0178】
ランク1の目標は、ランク3の目標よりもユーザにとってより重要であり、したがって、その技術的利益をユーザにもたらすことがより重要である。
【0179】
したがって、目標フィッティングがより高い製品は、ユーザのニーズをより満たすことができる。
【0180】
図8を参照すると、目標フィッティング関数が示されている。
【0181】
技術的目標を達成するのに十分なレベルの機能性成分を含有しない(LSLよりも低い)化合物は、0のフィッティング値810を有し、目標閾値よりも高い製品は、1のフィッティング値820を有する。
【0182】
一般に、ほとんどの製品は、複数の技術的利益を達成するように配合されていない。しかし、各目標に重要度順に異なる閾値を割り当てることで、技術的な観点からユーザニーズ全体を満たす製品を見つけることができる。
【0183】
得られた化合物は、合計スコアに従ってランク付けされ、方法は最高スコアの化合物を推奨する。
【0184】
製品パラメータの平均または製品パラメータの加重平均を使用するのではなく、フィッティング関数を使用して目標へのフィッティングを決定することには利点がある。
【0185】
3つの異なる製品の選択された目標の目標値、および計算方法の一般的な例を表XIIに示す。
【0186】
平均は、目標の平均値をとり、最も高い値を見つけ、化合物Aを推奨する。
【0187】
加重平均は、同じ化合物Aを見つけることができる。
【0188】
化合物Cは、化合物AおよびBと比較して3つの目標を達成する能力を有するので、閾値を使用したフィッティング関数により、化合物Cが最もフィッティングすることが分かる。
【0189】
本方法は、目標フィッティング関数およびまとまりやすさフィッティング関数の加重平均に基づいて平均スコアを計算することができる。
【0190】
平均スコア=A×FitGoal+(1-A)×FitManageability、
式中、Aは0~1、より好ましくは0.4~0.6で変化してもよい。
【0191】
したがって、本方法は、様々な製品から、特定のユーザプロファイルおよびニーズに最もよくフィッティングする製品の組み合わせを識別する。
【0192】
本方法は、特定のユーザにとって化合物の最良の組み合わせを取得するための2つの主な領域を識別し、それは毛髪の全体的なまとまりやすさ、ならびに毛髪および/または頭皮にもたらす技術的利点である。これは、化合物が複数の技術的利益をもたらすように作られていないヘアケア化合物である場合に特に関連する。技術的利益の特定の組み合わせは、互いに矛盾または相反する可能性がある。
【0193】
さらに、複数の毛髪のタイプ、異なる民族性、および様々なダメージレベルがあるため、ユーザのプロファイルごとに式を開発することは実用的ではない。
【0194】
このように、本方法は、様々な化合物から、まとまりやすさの必要性を最もよく満たす製品を見つけるために、まとまりやすさフィッティング関数を使用する。
【0195】
技術的利益に関して閾値を使用する目標フィッティング関数を、まとまりやすさのための最良フィッティングを見つけるまとまりやすさフィッティング関数と組み合わせて利用することによって、本方法は、全体的な方法でユーザの所望の目標を最もよく満たす化合物を見つけることができる。