(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、チェック処理方法およびチェック処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/02 20220101AFI20240624BHJP
H04L 51/04 20220101ALI20240624BHJP
H04L 67/61 20220101ALI20240624BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALI20240624BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H04L51/02
H04L51/04
H04L67/61
G06Q10/0639
G10L15/22 300Z
(21)【出願番号】P 2023136620
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2019202515の分割
【原出願日】2019-11-07
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】エフサステクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 順
(72)【発明者】
【氏名】山野 大偉治
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109815(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085992(WO,A1)
【文献】特開2018-151724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/02
H04L 51/04
H04L 67/61
G06Q 10/0639
G10L 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボットの質問終了時刻と、前記ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する算出部と、
算出された前記回答時間が、前記
回答時間の平均値
未満である第1の時間よりも短い場合、前記チャットボットの質問のシナリオを変更する変更部と、
変更された前記シナリオに基づく質問に対する前記回答時間が、前記平均値
を超える第2の時間よりも短い場合、前記ユーザに対して警告を発する警告部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記シナリオに含まれる質問をシャッフルすることで前記シナリオを変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変更部は、算出された前記回答時間が、複数回連続して前記第1の時間よりも短い場合に、前記シナリオを変更する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記回答は、二択の回答であり、
前記変更部は、前記シナリオに含まれる1つまたは複数の質問を、前記二択の回答について、正答が反転する質問に変更する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記警告部は、算出された前記回答時間がマイナスの値である場合に、前記ユーザに対して警告を発する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
さらに、前記音声チャットの内容を文字起こししてチェックシートを生成する生成部、
を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の時間および前記第2の時間は、前記ユーザの個人ごとの差を表す補正値を用いて補正される、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボットの質問終了時刻と、前記ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出し、
算出された前記回答時間が、前記
回答時間の平均値
未満である第1の時間よりも短い場合、前記チャットボットの質問のシナリオを変更し、
変更された前記シナリオに基づく質問に対する前記回答時間が、前記平均値
を超える第2の時間よりも短い場合、前記ユーザに対して警告を発する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするチェック処理方法。
【請求項9】
ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボットの質問終了時刻と、前記ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出し、
算出された前記回答時間が、前記
回答時間の平均値
未満である第1の時間よりも短い場合、前記チャットボットの質問のシナリオを変更し、
変更された前記シナリオに基づく質問に対する前記回答時間が、前記平均値
を超える第2の時間よりも短い場合、前記ユーザに対して警告を発する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするチェック処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、チェック処理方法およびチェック処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サポートセンタ等におけるサポート業務では、顧客に対してメール等による返信を行うことが行われている。メール等の返信では、メールの内容的な問題、誤配信や添付資料の誤添付といったミスを防止するために、担当者がペアになってチェックを行っている。この様なチェック処理では、担当者の慣れによってチェックが疎かになる場合がある。また、数多くの質問項目を含むアンケートにおいて、質問の位置による回答データの信頼性の低下を抑えるために、質問項目の表示順序を変更することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メール等の返信の際に、担当者がペアになってチェックを行うことに対して、ペアの一人をチャットボットに代替し、音声チャットによるチェックを行うことが考えられる。しかしながら、チャットボットは、例えば担当者が忙しい場合に、質問に対して適当に対応したとしても、回答があればチェックが完了したものと扱ってしまう。このため、担当者が真面目にチェックを行わず、ケアレスミスが発生する場合がある。
【0005】
一つの側面では、チェックの慣れによるケアレスミスを抑制することができる情報処理装置、チェック処理方法およびチェック処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、情報処理装置は、算出部と、変更部と、警告部とを有する。算出部は、ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボットの質問終了時刻と、前記ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する。変更部は、算出された前記回答時間が、前記回答時間の平均値未満である第1の時間よりも短い場合、前記チャットボットの質問のシナリオを変更する。警告部は、変更された前記シナリオに基づく質問に対する前記回答時間が、前記平均値を超える第2の時間よりも短い場合、前記ユーザに対して警告を発する。
【発明の効果】
【0007】
チェックの慣れによるケアレスミスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、チェック項目記憶部の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、回答時間テーブル記憶部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例のチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、チェック処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本願の開示する情報処理装置、チェック処理方法およびチェック処理プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下の実施例は、矛盾しない範囲で適宜組みあわせてもよい。
【実施例】
【0010】
図1は、実施例の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す情報処理装置100では、例えばサポートセンタの担当者であるユーザとの間で音声チャットを行うチャットボットが動作しており、チャットボットがユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付ける。情報処理装置100は、チャットボットの質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する。情報処理装置100は、回答時間の平均値と、第1の閾値と、第2の閾値とを質問ごとに対応付けて記憶する記憶部を参照し、算出された回答時間が、平均値と第1の閾値とに基づく第1の時間よりも短い場合、チャットボットの質問のシナリオを変更する。情報処理装置100は、変更されたシナリオに基づく質問に対する回答時間が、平均値と第2の閾値とに基づく第2の時間よりも短い場合、ユーザに対して警告を発する。これにより、情報処理装置100は、チェックの慣れによるケアレスミスを抑制することができる。
【0011】
図1に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、表示部111と、操作部112と、入出力部113と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、情報処理装置100は、
図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイス等の機能部を有することとしてもかまわない。
【0012】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、図示しないネットワークを介して、他の情報処理装置と有線または無線で接続され、他の情報処理装置との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部110は、例えば、他の情報処理装置からチェック項目データを受信する。通信部110は、受信したチェック項目データを制御部130に出力する。
【0013】
表示部111は、各種情報を表示するための表示デバイスである。表示部111は、例えば、表示デバイスとして液晶ディスプレイ等によって実現される。表示部111は、制御部130から入力された表示画面等の各種画面を表示する。
【0014】
操作部112は、情報処理装置100のユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。操作部112は、例えば、入力デバイスとして、キーボードやマウス等によって実現される。操作部112は、ユーザによって入力された操作を操作情報として制御部130に出力する。なお、操作部112は、入力デバイスとして、タッチパネル等によって実現されるようにしてもよく、表示部111の表示デバイスと、操作部112の入力デバイスとは、一体化されるようにしてもよい。
【0015】
入出力部113は、マイク端子およびヘッドホン端子を有し、情報処理装置100のユーザが装着するヘッドセットが接続される。入出力部113は、ユーザのヘッドセットから入力される音声信号を音声データに変換して制御部130に出力する。また、入出力部113は、制御部130から入力される音声データを音声信号に変換してユーザのヘッドセットに出力する。なお、ヘッドセットを有しないシステムにおいては、マイクとスピーカで代替することも可能である。
【0016】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、チェック項目記憶部121と、回答時間テーブル記憶部122とを有する。また、記憶部120は、制御部130での処理に用いる情報を記憶する。
【0017】
チェック項目記憶部121は、例えば、メール送信時のチェックリストにおけるチェック項目を記憶する。
図2は、チェック項目記憶部の一例を示す図である。
図2に示すように、チェック項目記憶部121は、「質問No.」、「チェック項目」、「回答」といった項目を有する。また、「回答」は、さらに「Yes」、「No」といった項目を有する。
【0018】
「質問No.」は、チェックリストの質問、つまりチェック項目を識別する識別子である。「チェック項目」は、チェックリストの質問の内容を示す情報である。「回答」欄の「Yes」は、当該チェック項目に対するユーザの回答がYesである場合における、次の質問No.を示す情報である。「回答」欄の「No」は、当該チェック項目に対するユーザの回答がNoである場合における、次の質問No.を示す情報である。例えば、質問No.「2」のチェック項目「ドメインとお客様名が一致するか?」というチャットボットの質問に対し、ユーザが「Yes」と回答した場合、質問No.「3」に移行する。一方、当該質問に対し、ユーザが「No」と回答した場合、質問No.「2-1」に移行する。つまり、「回答」欄の「Yes」、「No」は、ユーザに回答に応じた次の質問を示す情報である。また、「回答」欄は、質問がシャッフルされた場合、変更後の順番に更新される。なお、当初のシナリオと変更後のシナリオとで、異なる「回答」欄を設けるようにしてもよい。また、「回答」欄は、質問に対して該当なしの場合の項目を有してもよい。
【0019】
図1の説明に戻って、回答時間テーブル記憶部122は、質問ごとの回答時間の平均値と、2種類の閾値とを対応付けて記憶する。
図3は、回答時間テーブル記憶部の一例を示す図である。
図3に示すように、回答時間テーブル記憶部122は、「質問No.」、「回答時間の平均値」、「通常時の閾値」、「変更時の閾値」といった項目を有する。
【0020】
「質問No.」は、チェックリストの質問、つまりチェック項目を識別する識別子である。「回答時間の平均値」は、質問ごとの過去の回答時間の平均値を秒単位で表す情報である。「通常時の閾値」は、チャットボットの質問のシナリオが通常の順番である場合において、回答時間が短い場合を検出するための閾値であり、回答時間の平均値に対するオフセット値を秒単位で表す情報である。「変更時の閾値」は、チャットボットの質問のシナリオがシャッフルされた時の順番である場合において、回答時間が短い場合を検出するための閾値であり、回答時間の平均値に対するオフセット値を秒単位で表す情報である。例えば、質問No.「1」では、通常時の回答時間が短い場合の検出基準である第1の時間を、回答時間の平均値+通常時の閾値=5秒+(-1秒)=4秒とする。また、質問No.「1」では、変更時の回答時間が短い場合の検出基準である第2の時間を、回答時間の平均値+変更時の閾値=5秒+1秒=6秒とする。なお、「通常時の閾値」および「変更時の閾値」は、第1の時間および第2の時間を閾値として記憶するようにしてもよい。また、第1の時間および第2の時間は、ユーザの個人ごとの差を表す補正値αを用いて補正するようにしてもよい。
【0021】
図1の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。
【0022】
制御部130は、チャットボット131と、算出部132と、変更部133と、警告部134と、生成部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0023】
チャットボット131は、ユーザとの間で音声チャットを行い、チャットボットの質問に対して、ユーザが回答を行う形式でチェックリストをチェックするものである。チャットボット131は、チェック項目記憶部121を参照し、通常時には質問のシナリオに従って、質問No.「1」から順番に質問を行い、ユーザの回答に応じて次の質問に移行する。また、チャットボット131は、質問のシナリオが変更されて質問(チェック項目)がシャッフルされた場合、チェック項目記憶部121の変更後の順番を記憶する回答欄を参照し、変更後のシナリオの順番に従って質問を行う。チャットボット131は、音声チャットの音声データを算出部132および生成部135に出力する。また、チャットボット131は、シナリオが変更された場合、変更後の質問および回答を警告部134に出力する。
【0024】
算出部132は、チャットボット131から入力された音声データに基づいて、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とを検出する。算出部132は、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻との差分を算出することで、回答時間を算出する。算出部132は、算出した回答時間を変更部133および警告部134に出力する。また、算出部132は、算出した回答時間を履歴として記憶部120に記憶する。
【0025】
変更部133は、質問ごとに回答時間テーブル記憶部122を参照し、回答時間の平均値および通常時の閾値に基づいて、通常時の回答時間が短い場合の検出基準である第1の時間を算出する。変更部133は、算出部132から回答時間が入力されると、入力された回答時間、つまり今回の回答時間が第1の時間よりも短いか否かを判定する。変更部133は、今回の回答時間が第1の時間以上であると判定した場合、記憶部120に記憶された図示しない過去の回答時間を参照し、質問ごとの回答時間の平均値を算出する。変更部133は、回答時間テーブル記憶部122の対応する質問No.における回答時間の平均値を、算出した平均値で更新する。
【0026】
一方、変更部133は、今回の回答時間が第1の時間よりも短いと判定した場合、カウンタkの値をインクリメントする。なお、カウンタkは、チェック処理の開始時に「0」に初期化される。変更部133は、カウンタkの値が予め設定した閾値j以上であるか否かを判定する。ここで、閾値jは、回答時間が第1の時間よりも短い場合が所定回数検出されたことを判定するための値であり、例えば「3」や「4」とすることができる。
【0027】
変更部133は、カウンタkの値が閾値j未満であると判定した場合、記憶部120に記憶された図示しない過去の回答時間を参照し、質問ごとの回答時間の平均値を算出する。変更部133は、回答時間テーブル記憶部122の対応する質問No.における回答時間の平均値を、算出した平均値で更新する。なお、第1の時間よりも短い回答時間について、平均値を算出する母集団に含めたくない場合には、カウンタkの値が閾値j未満であると判定した場合の平均値の更新は行わなくてよい。
【0028】
一方、変更部133は、カウンタkの値が閾値j以上であると判定した場合、質問をシャッフル、つまりチェック項目をシャッフルして順番を変更する。つまり、変更部133は、質問のシナリオを変更する。なお、質問をシャッフルしたことは、ユーザには通知せず、質問のペースは通常通りとする。変更部133は、チェック項目記憶部121の回答欄を変更後の順番で更新する。また、変更部133は、残りの質問のうち1つまたは複数の質問について、正答を反転した質問に変更するようにしてもよい。つまり、変更部133は、回答を「No」とするべき質問をシャッフル後の早い段階に不規則に混ぜる。これは、適当な回答を行っていることを早めにユーザに自覚させるためである。変更部133は、質問の順番を変更すると、チャットボット131に次の質問に進むように指示する。
【0029】
すなわち、情報処理装置100では、ユーザの応答速度が上がると、チェックが甘くなっていると疑い、質問の順序をコッソリ入れ替えたり、正答を反転した質問に変更する。すると、ユーザが真面目にチェックしている場合、いつもの感覚と異なるので、慎重になり応答速度が遅くなるが、適当にチェックしていると応答速度が早いままとなるので、情報処理装置100は、チェックが甘くなっていることを判定することができる。
【0030】
警告部134は、チャットボット131から変更後の質問および回答が入力され、算出部132から回答時間が入力されると、正答を反転した質問を誤答したか否かを判定する。警告部134は、正答を反転した質問を誤答していないと判定した場合、今回の回答時間が第2の時間未満であるか否かを判定する。なお、第2の時間は、変更時の回答時間が短い場合の検出基準である。警告部134は、正答を反転した質問を誤答したと判定した場合、または、今回の回答時間が第2の時間未満であると判定した場合、ユーザに対して、例えば音声により警告を発する。また、警告部134は、入力された回答時間がマイナスの値である場合にも、同様に警告を発する。警告は、他にも表示部111に「回答は本当ですか?再度内容の確認を行ってください。」といった警告メッセージの表示を行うようにしてもよい。なお、警告部134は、正答を反転した質問を誤答したと判定した場合、数回前のチェックも適当になっている可能性があるので、質問を遡って再度チェックを行うようにチャットボット131に指示してもよい。
【0031】
警告部134は、今回の回答時間が第2の時間以上であると判定した場合、または、警告を発した場合、カウンタkの値を初期化する。なお、今回の回答時間が第2の時間以上である場合とは、順番が変更されたことに対し、ユーザが真剣にチェックを行っている場合である。警告部134は、カウンタkの値を初期化すると、全問のチェックが完了したか否かを判定する。警告部134は、全問のチェックが完了していないと判定した場合、記憶部120に記憶された図示しない過去の回答時間を参照し、質問ごとの回答時間の平均値を算出する。警告部134は、回答時間テーブル記憶部122の対応する質問No.における回答時間の平均値を、算出した平均値で更新する。警告部134は、全問のチェックが完了したと判定した場合、チェック処理を終了する。
【0032】
生成部135は、チャットボット131から音声データが入力されると、音声データから文字起こしを行って、チェック内容が反映されたチェック済チェックシートを生成する。生成部135は、生成したチェック済チェックシートを記憶部120に記憶する。なお、生成部135は、チェック項目の内容について、チェック項目記憶部121を参照して取得するようにしてもよい。また、生成部135は、チェック済チェックシートを図示しない印刷装置を用いて印刷するようにしてもよい。
【0033】
次に、実施例の情報処理装置の動作について説明する。
図4は、実施例のチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【0034】
チャットボット131が、ユーザとの間で音声チャットによるチェックを開始すると、変更部133は、カウンタk=0に初期化する(ステップS1)。
【0035】
チャットボット131は、チェック項目記憶部121を参照し、音声チャットにより質問を行い、ユーザから質問に対する回答を受け付ける。チャットボット131は、音声チャットの音声データを算出部132に出力する。算出部132は、チャットボット131から入力された音声データに基づいて、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とを検出する(ステップS2)。
【0036】
算出部132は、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する(ステップS3)。算出部132は、算出した回答時間を変更部133および警告部134に出力する。
【0037】
変更部133は、算出部132から回答時間が入力されると、入力された今回の回答時間が第1の時間よりも短いか否かを判定する(ステップS4)。変更部133は、今回の回答時間が第1の時間以上であると判定した場合(ステップS4:No)、質問ごとの回答時間の平均値を算出する(ステップS5)。変更部133は、回答時間テーブル記憶部122の対応する回答時間の平均値を、算出した平均値で更新し、ステップS2に戻る。
【0038】
一方、変更部133は、今回の回答時間が第1の時間よりも短いと判定した場合(ステップS4:Yes)、カウンタkの値をインクリメントする(ステップS6)。変更部133は、カウンタkの値が予め設定した閾値j以上であるか否かを判定する(ステップS7)。変更部133は、カウンタkの値が閾値j未満であると判定した場合(ステップS7:No)、ステップS5に進む。
【0039】
一方、変更部133は、カウンタkの値が閾値j以上であると判定した場合(ステップS7:Yes)、質問をシャッフルして順番を変更する(ステップS8)。変更部133は、質問の順番を変更すると、チャットボット131に次の質問に進むように指示する。
【0040】
チャットボット131は、変更されたシナリオに基づいて、次の質問を行い、ユーザから質問に対する回答を受け付ける。チャットボット131は、音声チャットの音声データを算出部132に出力する。算出部132は、チャットボット131から入力された音声データに基づいて、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とを検出する(ステップS9)。また、チャットボット131は、シナリオ変更後の質問および回答を警告部134に出力する。
【0041】
算出部132は、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する(ステップS10)。算出部132は、算出した回答時間を変更部133および警告部134に出力する。
【0042】
警告部134は、チャットボット131からシナリオ変更後の質問および回答が入力され、算出部132から回答時間が入力されると、正答を反転した質問を誤答したか否かを判定する(ステップS11)。警告部134は、正答を反転した質問を誤答していないと判定した場合(ステップS11:No)、今回の回答時間が第2の時間未満であるか否かを判定する(ステップS12)。警告部134は、正答を反転した質問を誤答したと判定した場合(ステップS11:Yes)、または、今回の回答時間が第2の時間未満であると判定した場合(ステップS12:Yes)、ユーザに対して警告を発し(ステップS13)、ステップS14に進む。
【0043】
警告部134は、今回の回答時間が第2の時間以上であると判定した場合(ステップS12:No)、または、警告を発した場合(ステップS13)、カウンタk=0とする(ステップS14)。警告部134は、全問のチェックが完了したか否かを判定する(ステップS15)。警告部134は、全問のチェックが完了していないと判定した場合(ステップS15:No)、ステップS5に進む。
【0044】
警告部134は、全問のチェックが完了したと判定した場合(ステップS15:Yes)、チェック処理を終了する。これにより、情報処理装置100は、チェックの慣れによるケアレスミスを抑制することができる。また、ユーザ(担当者)がペアで行うダブルチェックを省略することができる。さらに、ユーザがチェックを行う際に、チェック精度を向上させることができる。
【0045】
このように、情報処理装置100は、ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する。また、情報処理装置100は、回答時間の平均値と、第1の閾値と、第2の閾値とを質問ごとに対応付けて記憶する回答時間テーブル記憶部122を参照し、算出された回答時間が、平均値と第1の閾値とに基づく第1の時間よりも短い場合、チャットボット131の質問のシナリオを変更する。また、情報処理装置100は、変更されたシナリオに基づく質問に対する回答時間が、平均値と第2の閾値とに基づく第2の時間よりも短い場合、ユーザに対して警告を発する。その結果、チェックの慣れによるケアレスミスを抑制することができる。すなわち、ユーザが適当に、つまり考えずに回答している場合に警告することができる。
【0046】
また、情報処理装置100は、シナリオに含まれる質問をシャッフルすることでシナリオを変更する。その結果、ユーザが適当に、つまり考えずに回答している場合に警告することができる。
【0047】
また、情報処理装置100は、算出された回答時間が、複数回連続して第1の時間よりも短い場合に、シナリオを変更する。その結果、ユーザが適当に、つまり考えずに回答している場合に警告することができる。
【0048】
また、回答は、二択の回答であり、情報処理装置100は、シナリオに含まれる1つまたは複数の質問を、二択の回答について、正答が反転する質問に変更する。その結果、ユーザが適当に、つまり考えずに回答している場合に警告することができる。
【0049】
また、情報処理装置100は、算出された回答時間がマイナスの値である場合に、ユーザに対して警告を発する。その結果、質問を最後まで聞かずに回答した場合に警告することができる。
【0050】
また、情報処理装置100は、さらに、音声チャットの内容を文字起こししてチェックシートを生成する。その結果、チャットボットによるチェック結果を、チェック済チェックシートとして生成することができる。
【0051】
なお、上記実施例では、音声チャットを用いてチェック処理を行ったが、これに限定されない。例えば、表示画面に質問を表示し、キーボードからの「Y」、「N」といった入力や、マウスやタッチパネルによる選択を受け付けるチェック処理においても適用することができる。
【0052】
また、上記実施例では、情報処理装置100がチャットボットの動作およびチェック処理を行ったが、これに限定されない。例えば、サーバでチャットボットの動作およびチェック処理を行い、ユーザがサーバに対して電話を掛けて音声チャットを行うようにしてもよい。さらに、チャットボットを他のサーバで動作させてもよい。
【0053】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、情報処理装置100の変更部133と警告部134とを統合してもよい。また、図示した各処理は、上記の順番に限定されるものでなく、処理内容を矛盾させない範囲において、同時に実施してもよく、順序を入れ替えて実施してもよい。
【0054】
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0055】
ところで、上記の各実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の各実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図5は、チェック処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、データ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、各種装置と接続するためのインタフェース装置205と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201~208は、バス209に接続される。
【0057】
ハードディスク装置208には、
図1に示したチャットボット131、算出部132、変更部133、警告部134および生成部135の各処理部と同様の機能を有するチェック処理プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、チェック項目記憶部121および回答時間テーブル記憶部122が記憶される。入力装置202は、例えば、コンピュータ200のユーザから操作情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ203は、例えば、コンピュータ200のユーザに対して表示画面等の各種画面を表示する。インタフェース装置205は、例えばヘッドセットや印刷装置等が接続される。通信装置206は、例えば、
図1に示した通信部110と同様の機能を有し図示しないネットワークと接続され、他の情報処理装置と各種情報をやりとりする。
【0058】
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータ200を
図1に示したチャットボット131、算出部132、変更部133、警告部134および生成部135として機能させることができる。
【0059】
なお、上記のチェック処理プログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD-ROMやDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にこのチェック処理プログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらからチェック処理プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100 情報処理装置
110 通信部
111 表示部
112 操作部
113 入出力部
120 記憶部
121 チェック項目記憶部
122 回答時間テーブル記憶部
130 制御部
131 チャットボット
132 算出部
133 変更部
134 警告部
135 生成部