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  • 特許-仕分けシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】仕分けシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020189874
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078896
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】392013305
【氏名又は名称】キムラユニティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】神谷 春儀
(72)【発明者】
【氏名】廣中 一嘉
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-162609(JP,A)
【文献】特開2010-006609(JP,A)
【文献】特開2010-120764(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108529121(CN,A)
【文献】特開2003-144531(JP,A)
【文献】特開2018-43850(JP,A)
【文献】特開平5-149673(JP,A)
【文献】特開2017-13953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、物品が投入される複数の仕分け箱と、
複数の前記仕分け箱に対応して、それぞれが前記仕分け箱の上方開口を覆うように配置された複数の扉部と、
前記扉部の下方に配置され、前記扉部が閉じている状態で前記扉部を支持する支持部と、
1つの前記扉部に対して少なくとも1つが配置され、前記扉部を独立して開閉させる複数の駆動部と、
前記物品の識別情報を読み取る入力部と、
前記入力部で読み取られた前記識別情報に対応する前記駆動部を作動させる制御部と、
を備え、
前記扉部は、一端部を回転中心として他端部が上下するように構成され、
前記駆動部は、電気モータと、前記電気モータで作動する腕部と、を備え、
前記腕部は、本体部と、前記本体部から延び前記電気モータの駆動軸と接続された接続部と、前記本体部から延び少なくとも前記扉部を開ける際に前記扉部の下面に当接する当接部と、を有し、前記扉部を開けるに際して前記電気モータの駆動力により前記当接部が上方に移動するように構成され、
前記制御部は、前記扉部を開けるに際して、前記扉部を全開状態まで移動させて停止させ、前記扉部を閉じるに際して、前記当接部を下方に移動させ、
前記全開状態は、前記扉部が鉛直方向に対して90度未満の所定角度だけ前記当接部側に傾いた状態である、仕分けシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記扉部を閉じる際に、前記扉部が前記支持部に向かう速度よりも高い速度で、前記当接部を前記支持部に向けて移動させる、請求項1に記載の仕分けシステム。
【請求項3】
前記扉部が閉じた状態で前記扉部と前記支持部とに挟まれるように、前記支持部に取り付けられた緩衝材をさらに備える、請求項1又は2に記載の仕分けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を仕分けるシステムとして、例えば特開2014-162609号公報に記載されている。このシステムは、入力された物品の識別情報に基づいて、対応する開閉扉が開くように構成されている。また、このシステムでは、物品が間口に投入されると、投入個数が積算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-162609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような仕分けシステムにおいて、扉の開閉は、空気の力や電磁力を利用した構成が用いられている。この場合、構成が大掛かりとなり、仕分け箱(間口)の数・レイアウトの変更等が容易ではない。また、動力源の負荷、電力消費、及び製造コストの面でも改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、仕分け箱の数・レイアウトの変更が容易となるとともに、動力源の負荷、電力消費、及び製造コストの面での改善が可能となる仕分けシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の仕分けシステムは、上方が開口し、物品が投入される複数の仕分け箱と、複数の前記仕分け箱に対応して、それぞれが前記仕分け箱の上方開口を覆うように配置された複数の扉部と、前記扉部の下方に配置され、前記扉部が閉じている状態で前記扉部を支持する支持部と、1つの前記扉部に対して少なくとも1つが配置され、前記扉部を独立して開閉させる複数の駆動部と、前記物品の識別情報を読み取る入力部と、前記入力部で読み取られた前記識別情報に対応する前記駆動部を作動させる制御部と、を備え、前記扉部は、一端部を回転中心として他端部が上下するように構成され、前記駆動部は、電気モータと、前記電気モータで作動する腕部と、を備え、前記腕部は、本体部と、前記本体部から延び前記電気モータの駆動軸と接続された接続部と、前記本体部から延び少なくとも前記扉部を開ける際に前記扉部の下面に当接する当接部と、を有し、前記扉部を開けるに際して前記電気モータの駆動力により前記当接部が上方に移動するように構成され、前記制御部は、前記扉部を開けるに際して、前記扉部を全開状態まで移動させて停止させ、前記扉部を閉じるに際して、前記当接部を下方に移動させ、前記全開状態は、前記扉部が鉛直方向に対して90度未満の所定角度だけ前記当接部側に傾いた状態である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各扉部に対する駆動源がそれぞれ独立した電気モータであるため、仕分け箱の数の変更に対しては駆動部の増減により容易に対応することができる。また、各駆動部が独立しているため、駆動部、扉部、及び仕分け箱をセットで移動させることができ、レイアウト変更も容易となる。さらに、汎用の電気モータを利用することで、製造コストの抑制が可能となる。また、扉部は、全開状態で重力により閉じる側に力が加わっている。これにより、扉部を閉じる際、重力を利用でき、電気モータにかかる負荷は軽減される。例えば、扉部を閉じる際、腕部が扉部から離れることで、扉部は腕部に支えられることなく重力により閉じる側(すなわち下方)に移動する。つまり、駆動部の負荷は軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の仕分けシステムの構成図である。
図2】本実施形態の扉部の開閉を説明するための概念図である。
図3】本実施形態の扉部の開閉を説明するための概念図である。
図4】本実施形態の仕分けシステムの斜視図である。
図5】本実施形態の仕分けシステムの斜視図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。説明に用いる各図は概念図である。図1図5に示すように、本実施形態の仕分けシステム1は、筐体10と、複数の仕分け箱2と、複数の扉部3と、支持部4と、複数の駆動部5と、入力部6と、制御部7と、を備えている。なお、図1において、仕分け箱2などの複数の部材については、一部のみに符号を付して他については同形状で表して符号を省略する。また、図5では、駆動部5を表示するために、手動で扉部3が開けられた状態を表している。
【0010】
仕分け箱2は、物品が投入される箱(容器)である。仕分け箱2は、上方が開口した箱である。筐体10は、仕分け箱2を配置するための例えばフレーム状の構造体(フレーム筐体)である。筐体10には、複数の仕分け箱2が上下左右に並んで配置されている。仕分け箱2は、例えば、4つの四角形状の側面と四角形状の底面を有している。なお、仕分け箱2は、例えば有底円筒状であってもよい。
【0011】
複数の扉部3は、複数の仕分け箱2に対応して、それぞれが仕分け箱2の上方開口21を覆うように配置された扉部材(蓋部材ともいえる)である。本実施形態の例では、扉部3は、仕分け箱2に対して1:1で対応している。扉部3は、閉めた状態で仕分け箱2の上方開口21を覆う天井面31と、天井面31の左右の端部に設けられた側面32と、を備えている。本例の側面32は、三角形状に形成されている。
【0012】
扉部3は、一端部3aを回転中心として他端部3bが上下するように構成されている。一端部3aは、作業者から遠い側の端部(以下「奥側」ともいう)であり、他端部3bは、作業者に近い側(以下「手前側」ともいう)の端部である。扉部3の端部は、天井面31の端部ともいえる。
【0013】
天井面31の一端部3aと筐体10の固定部101とは、蝶番8により接続されている。これにより、一端部3aを回転中心として、他端部3bが円弧状に移動可能となっている。つまり、他端部3bは、一端部3aを支点として、円弧状の軌跡で上下移動可能となっている。本例では、2つの蝶番8により扉部3が筐体10に固定されている。
【0014】
支持部4は、扉部3の下方に配置され、扉部3が閉じている状態で扉部3を支持する部材である。支持部4は、仕分け箱2と扉部3との間に位置するように、筐体10に設けられている。支持部4は、筐体10の一部ともいえる。支持部4は、左右に並んだ複数の仕分け箱2の上方に配置された、左右に延びる棒状部材である。支持部4が扉部3(側面32)と当接し扉部3を支持することで、扉部3が閉じた状態で維持される。支持部4は、扉部3の閉じた位置の位置決めをするともいえる。
【0015】
本例において、支持部4のうち扉部3が閉じた状態で扉部3に当接する部分には、緩衝材9が配置されている。つまり、緩衝材9は、扉部3が閉じた状態で扉部3と支持部4とに挟まれるように、支持部4に取り付けられている。緩衝材9は、支持部4のうち扉部3の側面32に対応する部分に配置されたクッション材(例えばウレタン、スポンジ)である。緩衝材9は、ゴムなどの弾性部材であってもよい。本例において、緩衝材9(支持部4の両端部に設けられた緩衝材9を除く)は、図4及び図5に示すように、隣り合う扉部3で兼用となるように(すなわち2つの側面32に対して1つの緩衝材9)配置されている。
【0016】
駆動部5は、1つの扉部3に対して少なくとも1つが配置され、扉部3を独立して開閉させる駆動装置である。詳細に、駆動部5は、電気モータ51と、電気モータ51の駆動に連動する腕部52と、を備えている。電気モータ51は、筐体10に固定されている。電気モータ51は、例えば汎用の小型サーボモータである。
【0017】
腕部52は、本体部520と、接続部521と、当接部522と、を備えている。接続部521は、本体部520から延び、電気モータ51の駆動軸511と接続(固定)された部分である。当接部522は、本体部520から延び、少なくとも扉部3を開ける際に扉部3(天井面31)の下面3cに当接する部分である。腕部52は、電気モータ51の駆動力により当接部522が上方に移動するように構成されている。
【0018】
本例の腕部52は、扉部3が閉じた状態において、接続部521は本体部520から奥側に延び、当接部522は本体部520から上方に延びている。本例の腕部52は、板状部材であって、L字状に形成されている。本体部520は、角部ともいえる。腕部52は、例えばアクリル板で構成可能である。本体部520は、扉部3が閉じた状態で支持部4に当接している。本例の当接部522は、扉部3が閉じた状態で、扉部3の下面3cから離間しているが、当接していてもよい。なお、図4において、実線の腕部52の位置は扉部3が開いた状態の位置であり、破線の腕部52の位置は扉部3が閉じた状態の位置である。
【0019】
入力部6は、物品の識別情報を読み取る装置である。入力部6は、例えばコードリーダー又はスキャナである。入力部6は、読み取った情報を制御部7に送信する。入力部6は、作業者の識別情報も読み取り可能である。なお、仕分けシステム1は、識別情報や仕分け箱2に入れられた物品の数情報などを表示する表示部1aを備えている。表示部1aは、例えばディスプレイやタブレット端末であって、制御部7の指示に基づいて、各種情報を表示する。
【0020】
制御部7は、入力部6で読み取られた識別情報に対応する駆動部5を作動させる制御装置である。つまり、制御部7は、物品の識別情報に応じた電気モータ51を駆動させ、識別情報に応じた扉部3を開かせる。制御部7は、扉部3を開けるに際して、扉部3を全開状態まで移動させて停止させる。当該全開状態は、扉部3が鉛直方向に対して90度未満の所定角度だけ腕部52の当接部522側に傾いた状態である。つまり、扉部3の全開状態は、扉部3の一端部3aが他端部3bより下方にあり、且つ一端部3aの回転軸を含み且つ鉛直方向に延びる仮想平面Vに対して天井面31が所定角度傾いている状態である。本例において、電気モータ51は、制御部7の開指令に基づいて、扉部3が閉じた位置から、天井面31が仮想平面Vから所定微小角度(例えば0<傾き角度≦10度)だけ手前側に傾く位置まで、腕部52を回転させる。制御部7は、全開状態で腕部52を停止させる。制御部7は、扉部3を閉じるに際して、電気モータ51を制御して当接部522を下方に移動させる。
【0021】
制御部7は、電子部品及び回路を備える基板を複数備えている。より詳細に、制御部7は、統合基板71、電気モータ51に1:1で対応するモータ制御基板72と、を備えている。統合基板71には、複数のモータ制御基板72が例えば有線で通信可能に接続されている。統合基板71は、入力部6から受信した識別情報に基づいて、識別情報に対応するモータ制御基板72に開指示を出す。開指示を受けたモータ制御基板72は、電気モータ51を作動させ、駆動軸を所定角度回転させた位置で維持する。これにより、識別情報に応じた扉部3が開く。なお、モータ制御基板72は、電気モータ51付近の筐体10に固定されたケース72a内に配置されている。
【0022】
制御部7は、扉部3を開かせる際、例えば略水平方向に延びた全閉状態の天井面31を、電気モータ51の駆動軸を例えば80~90度の回転角度だけ回転させて、全開位置まで移動させる。扉部3が全開すると、扉部3の一端部3a(回転軸)と他端部3bとを含む平面が、一端部3a(回転軸)を含み鉛直方向に延びる仮想平面Vに対して、所定角度(例えば0<所定角度<10度)だけ当接部522側に傾いた状態となる。
【0023】
制御部7は、扉部3を閉じる際に、扉部3が支持部4に向かう速度よりも高い速度で、当接部522を支持部4に向けて移動させる。これにより、扉部3を閉じる際、腕部52が扉部3から離れた状態が維持される。なお、本例の制御部7は、扉部3を開ける際に電気モータ51を正回転させ、扉部3を閉じる際に電気モータ51を逆回転させる。モータ制御基板72の増減や配置変更は、例えば割り当て番号(間口番号)の設定により容易に実行できる。
【0024】
(仕分け作業の例)
作業者は、物品の識別情報(例えばバーコード又はQRコード(登録商標))を入力部6に読み取らせ、対応する扉部3を開かせる。作業者は、開いた扉部3に対応する仕分け箱2に物品を投入する。作業者は、仕分けシステム1に別途設けられた操作ボタン(スイッチ)1bを押すことで、仕分けシステム1に投入完了を通知する。これにより、仕分けシステム1は、表示部1aの投入個数を増やし、扉部3を閉じる。操作ボタン1bは、作業者が作業中に持ち運べるように、例えば無線により制御部7(統合基板71)と通信可能に接続されている。
【0025】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、各扉部3に対する駆動源がそれぞれ独立した電気モータ51であるため、仕分け箱2の数の変更に対しては駆動部5及びモータ制御基板72の増減により容易に対応することができる。また、各駆動部5が独立しているため、駆動部5、モータ制御基板72、扉部3、及び仕分け箱2をセットで移動させることができ、レイアウト変更も容易となる。さらに、汎用の電気モータ51やモータ制御基板72を利用することで、製造コストの抑制が可能となる。また、扉部3は、全開状態で重力により閉じる側に力が加わっている。これにより、扉部3を閉じる際、重力を利用でき、電気モータ51にかかる負荷は軽減される。
【0026】
本実施形態では、扉部3を閉じる際、腕部52の回転速度が扉部3の回転速度よりも高くなり、腕部52と扉部3とが離れるように構成されている。これにより、腕部52が扉部3を支えることなく閉じる方向に移動するため、腕部52に扉部3の重みがかからず、駆動部5の負荷がより軽減される。このように、扉部3を閉じる際、腕部が扉部から離れることで、扉部は腕部に支えられることなく重力により閉じる側(すなわち下方)に移動する。つまり、駆動部5の負荷は軽減される。
【0027】
また、支持部4に緩衝材9が設けられているため、扉部3を閉じる際、扉部3と支持部4との衝突による衝撃が緩和される。特に、本実施形態のように重力のみで扉部3を閉じる場合、扉部3の勢いを制御することができないが、緩衝材9により、閉じた際の両者の衝撃を抑制することができる。これにより、耐久性及び静粛性の向上が可能となる。
【0028】
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、電気モータ51及び腕部52は、1つの扉部3に対して2つ以上配置されてもよい。また、制御部7は、扉部3を閉じる際、扉部3と腕部52とが当接した状態を維持しつつ扉部3を下方に移動させてもよい。また、特に腕部52の回転速度により扉部3と支持部4との衝撃を制御できる場合、緩衝材9の配置を省略してもよい。また、所定角度は、全開状態の扉部3に対して腕部52の支えがなくなった場合に、重力により弁閉状態に向かって扉部3が移動する角度であればよい。ただし、上記実施形態のように所定角度(0<所定角度<90度)が0に近いほど、物品を仕分け箱2に入れやすくなり且つ全開状態の際の腕部52への負荷が減少し、好適である。
【符号の説明】
【0029】
1…仕分けシステム、2…仕分け箱、21…上方開口、3…扉部、4…支持部、5…駆動部、51…電気モータ、511…駆動軸、52…腕部、520…本体部、521…接続部、522…当接部、6…入力部、7…制御部、9…緩衝材。
図1
図2
図3
図4
図5