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特許7508741発光装置、発光方法、光検出装置、スペクトル検出方法及び発光補正方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】発光装置、発光方法、光検出装置、スペクトル検出方法及び発光補正方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20240625BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20240625BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20240625BHJP
   G01J 3/433 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L33/48
G01J3/02 C
G01J3/10
G01J3/433
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022576109
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 IB2021054240
(87)【国際公開番号】W WO2021255545
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】109120982
(32)【優先日】2020-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522478684
【氏名又は名称】メガ クリスタル バイオテクノロジー シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEGA CRYSTAL BIOTECHNOLOGY SINGAPORE PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】531A Upper Cross Street, #03-108 Honglim Complex, Singapore 051531, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】丁▲逸▼聖
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼育宗
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003008(WO,A1)
【文献】特開2008-282936(JP,A)
【文献】特開2006-017689(JP,A)
【文献】特表2005-502895(JP,A)
【文献】特開2000-047697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源制御装置(11)と、発光装置(12)と、光検出器(13)と、コンピューター(14)と、を少なくとも含んで構成される光検出装置であって、
前記光源制御装置は前記発光装置に電気的に接続され、前記光検出器は前記コンピューターに電気的に接続され、前記光検出器は前記発光装置から発射された光線(L)を受光し、且つ前記光線は前記発光装置と前記光検出器との間の進行経路に光路(R)を形成し、
前記発光装置は、少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を有し、
隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳して前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が重畳せず、
複数の前記発光素子は放射される光線が発光強度を有するようにそれぞれ電流密度を供給され、
複数の前記発光素子に電流密度をそれぞれ供給することで放射される光線が発光強度を有し、初期スペクトルエネルギー分布曲線を測定し、複数の前記電流密度は互いに異なり、或いは複数の前記電流密度は部分的に異なる、初期スペクトルエネルギー分布曲線取得ステップ(S021)と、
複数の前記発光強度中から特定の数値及び対応する前記発光素子を選択し、未選択の前記発光素子が対応する前記電流密度を増強または減弱させ、未選択の前記発光素子が対応する前記発光強度を、選択された前記発光素子が対応する前記発光強度と同じにするか接近させる電流密度調整ステップ(S022)と、を実行する、
光検出装置。
【請求項2】
隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記発光素子は発光ダイオード、垂直共振器型面発光レーザーまたはレーザーダイオードであることを特徴とする、
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
複数の前記発光素子は明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈し、複数の前記明滅周波数は互いに同じであるか、互いに異なっていてもよく、或いは、複数の前記明滅周波数は部分的に同じであるか、部分的に異なっていてもよいことを特徴とする、
請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
複数の前記発光素子は少なくとも4つの前記発光素子であり、且つ4つの前記発光素子が対応する4つの前記明滅周波数は互いに完全に異なるか、または少なくとも部分的に互いに同じであるか選択可能であることを特徴とする、
請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲であることを特徴とする、
請求項4に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であることを特徴とする、
請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であることを特徴とする、
請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm乃至80nmの間の範囲であることを特徴とする、
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は5nm乃至80nmの間の範囲であることを特徴とする、
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項11】
各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は15nm乃至50nmの間の範囲であることを特徴とする、
請求項10に記載の光検出装置。
【請求項12】
各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は15nm乃至40nmの間の範囲であることを特徴とする、
請求項11に記載の光検出装置。
【請求項13】
数学的分析モジュール(M)は前記光検出器(13)または前記コンピューター(14)に設置され、前記数学的分析モジュール(M)は前記光検出器(13)に電気的に接続または信号が接続され、或いは前記数学的分析モジュール(M)は前記コンピューター(14)に電気的に接続または信号が接続され、前記前記数学的分析モジュール(M)はソフトウェアまたはハードウェア形態を呈し、前記光検出器(13)が受信した信号は前記数学的分析モジュール(M)に伝送され、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間において、前記光検出器(13)が受信した信号は被検体スペクトル信号と背景ノイズとが結合され、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間において、前記光検出器(13)が受信した信号は前記背景ノイズであり、前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズが被検体ドメイン信号を構成し、前記数学的分析モジュール(M)は前記被検体ドメイン信号を被検体周波数ドメイン信号に変換するドメイン/周波数ドメイン変換ユニット(M1)を備えていることを特徴とする、
請求項に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記ドメイン/周波数ドメイン変換ユニット(M1)は前記被検体ドメイン信号を前記被検体周波数ドメイン信号にフーリエ変換するためのフーリエ変換ユニットであることを特徴とする、
請求項13に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を含み、前記数学的分析モジュール(M)は前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留し、前記数学的分析モジュール(M)は保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号に変換する周波数ドメイン/ドメイン変換ユニット(M2)を備えていることを特徴とする、
請求項13に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記周波数ドメイン/ドメイン変換ユニット(M2)は前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号にフーリエ逆変換するフーリエ逆変換ユニットであることを特徴とする、
請求項15に記載の光検出装置。
【請求項17】
被検体(A)は前記光路(R)に配置され、前記発光装置(12)は前記被検体(A)に対して回転することを特徴とする、
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項18】
複数の前記発光素子は公転回転軸心を中心に公転することを特徴とする、
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項19】
前記発光装置(12)は回転装置(15)に接続され、前記回転装置(15)は前記公転回転軸心を中心に公転するように複数の前記発光素子を駆動することを特徴とする、
請求項18に記載の光検出装置。
【請求項20】
前記回転装置(15)は回転軸(151)を回転するように駆動し、前記回転軸(151)の一端は前記発光装置(12)に接続され、前記回転軸(151)は前記公転回転軸心であることを特徴とする、
請求項19に記載の光検出装置。
【請求項21】
前記回転装置(15)は前記光源制御装置(11)のマイクロコントローラ(111)に電気的に接続され、前記マイクロコントローラ(111)は所定の角度で回転するように前記回転軸(151)を制御することを特徴とする、
請求項20に記載の光検出装置。
【請求項22】
前記被検体(A)は自転回転軸心(A0)を中心に自転することを特徴とする、
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項23】
少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を提供する発光素子の提供ステップ(S01)と、
複数の前記発光素子を発光させる発光ステップ(S02)と、
複数の前記発光素子に電流密度をそれぞれ供給することで放射される光線が発光強度を有し、初期スペクトルエネルギー分布曲線を測定し、複数の前記電流密度は互いに異なり、或いは複数の前記電流密度は部分的に異なる、初期スペクトルエネルギー分布曲線取得ステップ(S021)と、
複数の前記発光強度中から特定の数値及び対応する前記発光素子を選択し、未選択の前記発光素子が対応する前記電流密度を増強または減弱させ、未選択の前記発光素子が対応する前記発光強度を、選択された前記発光素子が対応する前記発光強度と同じにするか接近させる電流密度調整ステップ(S022)と、
被検体スペクトル信号及び背景ノイズを受信し、明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間において受信した信号は前記被検体スペクトル信号と前記背景ノイズとが結合され、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間において受信した信号は前記背景ノイズであり、前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズが被検体ドメイン信号を構成し、前記被検体ドメイン信号を被検体周波数ドメイン信号にフーリエ変換し、前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号に区分され、そして、前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留するフィルタリングステップ(S03)と、をこの順に含むことを特徴とする、
スペクトル検出方法。
【請求項24】
隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳して前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲は重畳せず、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下であることを特徴とする、
請求項23に記載のスペクトル検出方法。
【請求項25】
複数の前記発光素子が明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御し、前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であることを特徴とする、
請求項23に記載のスペクトル検出方法。
【請求項26】
前記スペクトル検出方法は、前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号にフーリエ逆変換する逆変換ステップ(S04)を更に含むことを特徴とする、
請求項23に記載のスペクトル検出方法。
【請求項27】
少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を提供し、複数の前記発光素子は発光強度それぞれを有し、各前記発光素子の前記発光強度または相対的強度と接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図を取得し、各前記発光素子の順方向バイアスと前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図も取得する補正関係取得ステップ(P01)と、
前記発光素子が点滅する時間区間において、前記発光素子の前記順方向バイアスを同時に測定する順方向バイアス測定ステップ(P02)と、
測定した前記順方向バイアスを前述の前記発光素子の順方向バイアスと前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図と比較し、前記接触面温度に換算し、そして、換算した前記接触面温度を前述の前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図と比較し、前記発光強度または相対的強度に換算し、続いて、換算した前記発光強度または相対的強度と、前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図中の特定の接触面温度下での発光強度または相対的強度を比較して比例関係を取得する比例関係取得ステップ(P03)と、
初期スペクトルエネルギー分布曲線中の前記発光素子が対応する前記波長範囲の前記発光強度に前記比例関係を乗算し、前記発光強度の補正を達成し、或いは、測定した前記発光素子が対応する前記波長範囲のスペクトル信号に前記比例関係を乗算し、スペクトル信号の補正を達成する補正完了ステップ(P04)と、をこの順に含むことを特徴とする、
請求項23に記載のスペクトル検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光ダイオードが放射する光の波長範囲、隣接する発光ピーク値波長(light emission peak wavelength)の差異範囲、波長の半値全幅(Full-Width at Half-Maximum、FWHM)の範囲、及び明滅周波数(lighting frequency)を選択可能な発光装置、発光方法、光検出装置、スペクトル検出方法及び発光補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分光器は物体を透過する透過光または物体表面の反射光を測定するために用いられている。従来の分光器(spectrophotometer、または分光光度計ともいう)は通常光源及びモノクロメーター(monochromator)を備え、光源にはハロゲンガスを充填したタングステンフィラメント電球(ハロゲンタングステンランプ)を採用し、約320nm~2500nmの発射スペクトルのVis-near IR(可視光-近赤外光)を連続スペクトルとする光を発生させ、そして、プリズム(prism)または回折格子(grating)で構成されたモノクロメーターが特定の波長の単色光を選択してサンプル(または、被検体という)の光の吸収或いは反射を測定することも含む。当然ながら、設定した波長範囲内で連続的にスキャンし、サンプルのスペクトルの吸収或いは反射を分析する。然しながら、中国発明特許授権公告第CN101236107B号の前記タングステンフィラメント電球には多くの問題がある以外、タングステンフィラメント電球は発熱量が多く、且つ高温になるために、タングステンフィラメント電球を光源として、例えば、農産物、食品、医薬品、石油化学製品の有機製品を検出する場合、高温が有機サンプルを変質させ、検出結果に重大な影響を及ぼした。前述の第CN101236107B号特許に公開されている技術も本発明に引用する。
【0003】
前述の第CN101236107B号特許には複数の発光ダイオード(Light-emitting diode、LED)を分光器とする光源が公開されており、各LEDは異なる波長範囲の単色スペクトルを発射し、前述の複数のLEDを組み合わせて連続スペクトルを形成する以外、設計に更に基づいてある波長範囲の単色光のみが必要な場合、前記波長範囲が対応するLEDのみを点滅するだけでよく、よって、複数のLEDを同時に点滅して連続スペクトルを合成し、スキャンが必要な波長範囲に基づいて対応するLEDを順に点滅する。しかしながら、前述の第CN101236107B号特許は複数のLEDの発射光線をモノクロメーターの入射スリットに集光するため、モノクロメーターが高価でシステムが複雑であるという問題を解決できなかった。中国実用新案授権公告第CN205388567U号には複数のLED及び光ファイバーの組み合わせを使用してモノクロメーターを使用しないものが公開されており、また、全反射鏡を使用して測定光路長を増加し、サンプルの検出効率を高めている。前述の第CN205388567U号特許に公開されている技術も本発明に引用する。また、中国発明特許公開第CN109932335A号にも類似する技術が公開されている。
【0004】
前述の3つの特許は従来の分光器の光源の発熱及びモノクロメーターが高いという問題を改善しているが、然しながら、前述の3番目の特許ではLEDアレイを光源とする分光器(spectroscopy)の波長の解像度(通常は10nm超)が従来のハロゲンタングステンランプ及びモノクロメーターを使用する分光器の波長の解像度(通常は1nm)よりも低く、LEDアレイを光源とする前述の3つの特許はサンプルのスペクトログラムを正確に解析できるか疑念があった。前述の3つの特許の他の問題は、SN比(信号ノイズ比または信号雑音比とも言い、Signal-to-noise ratio、SNR、S/N、SN比とも表す)を高める事ができず、前述の3つの特許のLEDアレイはハロゲンタングステンランプを代替して光源とするのみであり、また、光源の他の操作方式も改変することができず、よって、明らかに光源端に起因するSNRを改善することができず、前述の3つの特許はSNRを更に高める事ができなかった。前述の3つの特許には更に問題が存在し、複数のLEDを配列する方式または所定の方式で配列し、平面上にLEDアレイを構成しているため、被検体の表面を前記平面に平行させなければ測定の正確性を保障できないという制限があった。然しながら、実際の被検体の表面は通常前記平面と平行を保持するのが難しく、例えば、被検体の表面が僅かに湾曲する曲面であったり、何らかの原因により、被検体を配置する際に被検体の表面が前記平面と平行を保持できなくなり、被検体全体の表面の組成や内部の組成が誤判定された。被検体の表面を前記平面と平行に保持しても、被検体の表面の組成や内部の組成が被検体の各領域で不均一になると、被検体の表面の反射スペクトルまたは被検体を透過する吸収スペクトルを1回測定した測定結果が、被検体全体の表面の組成または内部の組成を誤判定してしまった。前述の3つの特許はLEDの放熱問題により発光強度の補正が必要になる問題も考慮していない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な目的は、異なる波長範囲を互いに発射する複数のLEDで構成された回転型発光装置及び前記発光装置で構成された光検出装置を提供する。本発明の光検出装置はサンプルの解析結果が従来のハロゲンタングステンランプ分光器の高解像度の結果に迫り、且つサンプル検出結果のスペクトログラム中のSN比を高め、発光強度を補正し、且つ1回測定するのみで被検体の表面の反射スペクトルまたは被検体を透過する吸収スペクトルの精確な測定結果を得られる。
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る発光装置は、少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を少なくとも備えている。隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳して前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が重畳しない。複数の前記発光素子は放射する光線が発光強度を有するように電流密度をそれぞれ供給する。複数の前記電流密度は互いに異なるか、または複数の前記電流密度は部分的に異なる。
【0007】
本発明の実施例において、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下である。
【0008】
本発明の実施例において、前記発光素子は発光ダイオード、垂直共振器型面発光レーザーまたはレーザーダイオードである。
【0009】
本発明の実施例において、複数の前記発光素子は明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈し、複数の前記明滅周波数は互いに同じであるか、互いに異なっていてもよく、或いは、複数の前記明滅周波数は部分的に同じであるか、部分的に異なっていてもよい。
【0010】
本発明の実施例において、複数の前記発光素子は少なくとも4つの前記発光素子であり、且つ4つの前記発光素子が対応する4つの前記明滅周波数は互いに完全に異なるか、または少なくとも部分的に互いに同じであるか選択可能である。
【0011】
本発明の実施例において、前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲である。
【0012】
本発明の実施例において、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲である。
【0013】
本発明の実施例において、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲である。
【0014】
本発明の実施例において、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm乃至80nmの間の範囲である。
【0015】
本発明の実施例において、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は5nm乃至80nmの間の範囲である。
【0016】
本発明の実施例において、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は15nm乃至50nmの間の範囲である。
【0017】
本発明の実施例において、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は15nm乃至40nmの間の範囲である。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明はさらに、光源制御装置、発光装置、光検出器及びコンピューターを少なくとも含む光検出装置を提供する。前記光源制御装置は前記発光装置に電気的に接続され、前記光検出器は前記コンピューターに電気的に接続され、前記光検出器は前記発光装置から発射された光線を受光し、且つ前記光線は前記発光装置と前記光検出器との間の進行経路に光路を形成する。発光装置は少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を少なくとも備えている。隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳することで前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲は重畳しない。隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下である。複数の前記発光素子は明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈し、複数の前記発光素子は少なくとも4つの前記発光素子であり、且つ4つの前記発光素子が対応する4つの前記明滅周波数は互いに完全に異なるか、または少なくとも部分的に互いに同じであるか選択可能である。
【0019】
本発明の実施例において、数学的分析モジュールは前記光検出器または前記コンピューターに設置され、前記数学的分析モジュールは前記光検出器に電気的に接続または信号が接続され、或いは前記数学的分析モジュールは前記コンピューターに電気的に接続または信号が接続され、前記数学的分析モジュールはソフトウェアまたはハードウェア形態を呈し、前記光検出器が受信した信号は前記数学的分析モジュールに伝送される。前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間において、前記光検出器が受信した信号は被検体スペクトル信号と背景ノイズとが結合されている。前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間において、前記光検出器が受信した信号は前記背景ノイズである。前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズが被検体ドメイン信号を構成し、前記数学的分析モジュールは前記被検体ドメイン信号を被検体周波数ドメイン信号に変換するドメイン/周波数ドメイン変換ユニットを備えている。
【0020】
本発明の実施例において、前記ドメイン/周波数ドメイン変換ユニットは前記被検体ドメイン信号を前記被検体周波数ドメイン信号にフーリエ変換するためのフーリエ変換ユニットである。
【0021】
本発明の実施例において、前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を含み、前記数学的分析モジュールは前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留し、前記数学的分析モジュールは前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号に変換するための周波数ドメイン/ドメイン変換ユニットを備えている。
【0022】
本発明の実施例において、前記周波数ドメイン/ドメイン変換ユニットは前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号にフーリエ逆変換可能なフーリエ逆変換ユニットである。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明はさらに、光源制御装置、発光装置、1つまたは複数の光検出器及びコンピューターを少なくとも含む光検出装置を提供する。前記光源制御装置は前記発光装置に電気的に接続され、前記光検出器は前記コンピューターに電気的に接続され、前記光検出器は前記発光装置から発射された光線を受光し、且つ前記光線は前記発光装置と前記光検出器との間の進行経路に光路を形成する。前記発光装置は少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を備えている。被検体は前記光路に配置され、前記発光装置は前記被検体能に対し回転可能である。
【0024】
本発明の実施例において、複数の前記発光素子は公転回転軸心を中心に公転する。
【0025】
本発明の実施例において、前記発光装置は回転装置に接続され、前記回転装置は前記公転回転軸心を中心に公転するように複数の前記発光素子を駆動する。
【0026】
本発明の実施例において、前記回転装置は回転軸を回転するように駆動し、前記回転軸の一端は前記発光装置に接続され、前記回転軸は前記公転回転軸心である。
【0027】
本発明の実施例において、前記回転装置は前記光源制御装置のマイクロコントローラに電気的に接続され、前記マイクロコントローラは前記回転軸を所定の角度で回転するように制御する。
【0028】
本発明の実施例において、前記被検体は自転回転軸心を中心に自転する。
【0029】
本発明はさらに、発光方法を提供する。以下のステップを順に含む。少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を提供し、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳することで前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲は重畳せず、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下である発光素子の提供ステップ。複数の前記発光素子が明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御し、前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲である発光ステップ。
【0030】
本発明はさらに、発光方法を提供する。以下のステップを順に含む。少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を提供する発光素子の提供ステップ。複数の前記発光素子を発光させる発光ステップ。複数の前記発光素子が電流密度をそれぞれ供給することで放射される光線が発光強度を有し、同じ電流密度で複数の前記発光素子にそれぞれ提供し、初期スペクトルエネルギー分布曲線を測定する初期スペクトルエネルギー分布曲線取得ステップ。複数の前記発光強度中から特定の数値及び対応する前記発光素子を選択し、未選択の前記発光素子が対応する前記電流密度を増強または減弱させ、未選択の前記発光素子が対応する前記発光強度を、選択された前記発光素子が対応する前記発光強度と同じにするか接近させる電流密度調整ステップ。
【0031】
本発明の実施例において、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳することで前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲は重畳しない。隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下である。
【0032】
本発明の実施例において、複数の前記発光素子が明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御し、前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲である。
【0033】
本発明はさらに、前述発光方法を含むスペクトル検出方法を提供する。前記スペクトル検出方法は、被検体スペクトル信号及び背景ノイズを受信し、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間において受信した信号は前記被検体スペクトル信号と前記背景ノイズとが結合され、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間において受信した信号は前記背景ノイズであり、前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズが被検体ドメイン信号を構成し、前記被検体ドメイン信号を被検体周波数ドメイン信号にフーリエ変換し、前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号に区分し、そして、前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留するフィルタリングステップを更に含む。
【0034】
本発明の実施例において、前記スペクトル検出方法は逆変換ステップを更に含み、前記逆変換ステップでは前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号にフーリエ逆変換する。
【0035】
本発明はさらに発光補正方法を提供する。以下のステップを順に含む。少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を提供し、複数の前記発光素子は発光強度それぞれを有し、各前記発光素子の前記発光強度または相対的強度と接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図を取得し、各前記発光素子の順方向バイアスと前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図も取得する補正関係取得ステップ。前記発光素子が点滅する時間区間において、前記発光素子の前記順方向バイアスを同時に測定する順方向バイアス測定ステップ。測定した前記順方向バイアスを前述の前記発光素子の順方向バイアスと前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図と比較し、前記接触面温度に換算し、そして、換算した前記接触面温度を前述の前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図と比較し、前記発光強度または相対的強度に換算し、続いて、換算した前記発光強度または相対的強度と、前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図中の特定の接触面温度下での発光強度または相対的強度を比較して比例関係を取得する比例関係取得ステップ。前述の前記初期スペクトルエネルギー分布曲線中の前記発光素子が対応する前記波長範囲の前記発光強度に前記比例関係を乗算し、前記発光強度の補正を達成し、或いは、測定した前記発光素子が対応する前記波長範囲のスペクトル信号に前記比例関係を乗算し、スペクトル信号の補正を達成する補正完了ステップ。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施例に係る発光装置と光検出装置を示す概略構成図(一)である。
図2】本発明の第1実施例に係る発光ダイオードを示す発光スペクトルである。
図3】本発明の第2実施例に係る発光ダイオードを示す発光スペクトルである。
図4】本発明の第3実施例に係る発光ダイオードを示す発光スペクトルである。
図5A】本発明の一実施例に係る発光装置と光検出装置を示す概略構成図(二)である。
図5B】本発明の一実施例に係る発光装置と光検出装置を示す概略構成図(三)である。
図6A】本発明の光検出装置によって測定される被検体を示すドメイン信号図である。
図6B】本発明の光検出装置により被検体のドメイン信号をフーリエ変換した後を示す被検体の周波数ドメイン信号図である。
図6C】本発明の光検出装置によりフィルター効果を介した後に残された被検体のスペクトル信号の周波数ドメイン信号に対してフーリエ逆変換を行った後のフィルター後被検体のドメイン信号図である。
図7A】比較例1に従来の分光計で測定された酸化亜鉛及び酸化亜鉛混合酸化鉄を示す反射スペクトルである。
図7B】応用例1に本発明の光検出装置で測定された酸化亜鉛及び酸化亜鉛混合酸化鉄を示す反射スペクトルである。
図7C】応用例2に本発明の光検出装置で測定された酸化亜鉛及び酸化亜鉛混合酸化鉄を示す反射スペクトルである。
図7D】応用例3に本発明の光検出装置で測定された酸化亜鉛及び酸化亜鉛混合酸化鉄を示す反射スペクトルである。
図8】本発明の一実施例に係る発光方法のステップを示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施例に係るスペクトル検出方法のステップを示すフローチャートである。
図10A】本発明の光検出装置において、電流制御装置を含む一実施例を示す概略図である。
図10B】本発明の他の発光方法とスペクトル検出方法のステップを示すフローチャートである。
図10C】本発明の発光装置の初期スペクトルエネルギー分布曲線である。
図10D】本発明が第1の電流密度が調整された後のスペクトルエネルギー分布曲線である。
図10E】本発明が他の電流密度が調整された後のスペクトルエネルギー分布曲線である。
図11A】本発明の発光補正方法、発光方法及びスペクトル検出方法を示すステップフローチャートである。
図11B】本発明の第4発光ダイオードの相対強度及び接合温度の関係を示す図である。
図11C】本発明の第4発光ダイオードの順方向バイアス及び接合温度の関係を示す図である。
図12A】本発明の第1発光ダイオードと第1領域により形成された第1相対位置を示す概略図である。
図12B】本発明の第1発光ダイオードと第1領域により形成された第2相対位置を示す概略図である。
図12C】本発明の被検体が自転回転軸心を中心に自転する一実施例を示す概略図である。
図12D】本発明の被検体の表面を前記発光素子12と平行を保持できない一実施例を示す概略図(一)である。
図12E】本発明の被検体の表面を前記発光素子12と平行を保持できない一実施例を示す概略図(二)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の技術的特徴、内容、利点及び実現する技術的効果についての理解を促すため、本発明は添付図面と併せ、実施例により表現しつつ以下に詳細に説明する。使用する添付図面の主旨は明細書を図示して補助するために用いるのみであり、本発明の実施後の実際の比率及び正確な配置を示すものではない。よって、添付図面の比率及び配置関係に従って本発明が実際に実施する特許請求の範囲を制限するものではない。
【0038】
まず、図1の第1実施例を参照すると、 本発明に係る発光装置12は、前記光検出装置1は光源制御装置11と、前記発光装置12と、1つまたは複数の光検出器13と、コンピューター14と、を含んで構成される光検出装置1に適用される。前記光源制御装置11は前記発光装置12及び外部電源(図示省略)にそれぞれ電気的に接続され、前記光検出器13は前記コンピューター14に電気的に接続され、前記光検出器13は前記発光装置12から発射された光線Lを受光し、且つ前記光線Lは前記発光装置12と前記光検出器13との間の進行経路に光路Rを形成する。前記光検出器13は、例えば、光電子増倍管(photomultiplier)、光導電検出器(photoconducting detector)、シリコンボロメータ(Si bolometer)でもよい。被検体Aは前記光路Rに配置され、前記光路Rは前記被検体Aを透過するか、前記光路Rは前記被検体Aの表面に反射を形成する。図1の例では、前記光路Rが前記被検体Aを透過するものを例とし、前記被検体Aの吸収スペクトルを測定する。また、前記光路Rが前記被検体Aの表面に反射を形成する実施方式において、前記被検体Aの反射スペクトルを測定する(図12E)。前記光検出器13は光線Lを被検体スペクトル信号に変換すると共に前記被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送し、前記コンピューター14は前記被検体スペクトル信号を変換した後に被検体スペクトログラムを形成する。前記コンピューター14は例えば、パソコン、ノートパソコン、或いはコンピューターサーバでもよい。
【0039】
前記発光装置12は、少なくとも1つの発光ピーク値波長(light emission peak wavelength)及び少なくとも1つの波長範囲を有する光を各々放射する複数の発光素子を少なくとも備え、前記発光ピーク値波長または前記波長範囲は300nm乃至2500nmの間の範囲である。前記発光素子は発光ダイオード、垂直共振器型面発光レーザー(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser、VCSEL)、或いはレーザーダイオード(Laser Diode、LD)でもよい。以下、実施例の前記発光素子は発光ダイオードを例とし、これは説明を利便にするのみであり、本発明の例を発光ダイオードに制限するものではなく、且つこの技術を熟知する者ならば当然前記発光素子の実施方式も熟知している。発光ダイオード、垂直共振器型面発光レーザー、またはレーザーダイオードは本発明において相互に交換可能であり、本発明の実際の実施には影響を与えない。図1の実施例では、前記発光装置12は3つの発光ダイオードを備え、それぞれ第1波長範囲を有している第1光線を放射する第1発光ダイオード121、第2波長範囲を有している第2光線を放射する第2発光ダイオード122、及び第3波長範囲を有している第3光線を放射する第3発光ダイオード123である。前記第1光線は前記第1波長範囲内に第1発光ピーク値波長を有し、前記第2光線は前記第2波長範囲内に第2発光ピーク値波長を有し、前記第3光線は前記第3波長範囲内に第3発光ピーク値波長を有している。前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122及び前記第3発光ダイオード123は前記発光装置12の回路基板120に電気的に接続され、前記回路基板120は前記光源制御装置11に電気的に接続されている。換言すれば、前記光源制御装置11は前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122及び前記第3発光ダイオード123に電気的に接続され、且つ前記光源制御装置11が前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122及び前記第3発光ダイオード123のオンとオフ(明滅、通電の有無)をそれぞれ制御可能である。即ち、前記光源制御装置11は複数の前記発光ダイオードのオンとオフ(明滅)をそれぞれ制御可能である。好ましくは、前記光源制御装置11は前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122及び前記第3発光ダイオード123をそれぞれ連続的に発光させるか非連続で発光させるようにそれぞれ制御可能であり、即ち、前記光源制御装置11は複数の前記発光ダイオードをそれぞれ連続的に発光させるか非連続で発光させるようにそれぞれ制御可能である。好ましくは、前記光源制御装置11は前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122及び前記第3発光ダイオード123を明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御可能であり、即ち、前記光源制御装置11は複数の前記発光ダイオードを明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御可能であり、複数の前記明滅周波数は互いに同じであるか互いに異なり、或いは、複数の前記明滅周波数は部分的に同じであるか部分的に異なってもよい。例えば、前記光源制御装置11は前記外部電源に電気的に接続されているマイクロコントローラ(Microcontroller Unit)111及び前記マイクロコントローラ111に電気的に接続されているクロックジェネレータ(clock generator)112を含み、前記クロックジェネレータ112が前記明滅周波数を発生させた後に前記明滅周波数の信号を前記マイクロコントローラ111に伝送し、前記マイクロコントローラ111が前記明滅周波数に基づいて前記マイクロコントローラ111にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記発光ダイオードをオンまたはオフにする(例えば、前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122及び前記第3発光ダイオード123)。ちなみに、前記クロックジェネレータ112は前記マイクロコントローラ111内に統合されて前記明滅周波数を発生させるクロックジェネレータモジュールでもよく、前記クロックジェネレータモジュールはソフトウェアまたはハードウェア形態でもよく、よって、前記マイクロコントローラ111の外部に前記クロックジェネレータ112を別途設置する必要はない。ここで説明すべき点は、当然ながら、上述の前記光源制御装置11の技術的特徴に基づいて、実際の需要に応じて同時に複数の前記発光ダイオードをオンまたはオフにしてもよく、或いは選択的に1つまたは部分的な前記発光ダイオードのみをオンまたはオフにしてもよく、もしくは複数の前記発光ダイオードを順にオンまたはオフにしてもよく、または上述の方式の何れか1種類の方式により前記明滅周波数方式でオンまたはオフにしてもよい。好ましくは、同時に複数の前記発光ダイオードを作動(発光)させ、且つ対応する複数の前記明滅周波数が互いに異なる。好ましくは、同時に少なくとも4つの前記発光ダイオードを作動させ、且つ4つの前記発光ダイオードが対応する4つの前記明滅周波数が互いに完全に異なるか少なくとも部分的に互いに同じになるように選択可能である。
【0040】
図2も併せて参照し、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光ダイオードの前記複数の波長範囲が部分的に重畳することで前記複数の発光ダイオード中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、前記連続波長範囲は300nm乃至2500nmの間の範囲である。図2では、合計3つの発光ピーク値波長及び対応する波長範囲を有し、それぞれ前記第1光線の前記第1発光ピーク値波長(734nm)が対応する前記第1波長範囲、前記第2光線の前記第2発光ピーク値波長(810nm)が対応する前記第2波長範囲、及び前記第3光線の前記第3発光ピーク値波長(882nm)が対応する前記第3波長範囲である。前記第1発光ピーク値波長及び前記第2発光ピーク値波長は隣接する2つの発光ピーク値波長であり、同様に前記第2発光ピーク値波長及び前記第3発光ピーク値波長も隣接する2つの発光ピーク値波長である。前記第1発光ピーク値波長が対応する前記第1波長範囲は660nm乃至780nmの間の範囲であり、前記第2光線の前記第2発光ピーク値波長が対応する前記第2波長範囲は710nm乃至850nmの間の範囲であり、前記第1波長範囲及び前記第2波長範囲は710nm乃至780nmの間で部分的に重畳するため、前記第1波長範囲及び前記第2波長範囲が共同で660nm乃至850nmの間の範囲の前記連続波長範囲を形成する。同様に、前記第2発光ピーク値波長が対応する前記第2波長範囲は710nm乃至850nmの間の範囲であり、前記第3光線の前記第3発光ピーク値波長が対応する前記第3波長範囲は780nm乃至940nmの間の範囲であり、前記第2波長範囲及び前記第3波長範囲は780nm乃至850nmの間で部分的に重畳するため、前記第2波長範囲及び前記第3波長範囲が共同で710nm乃至940nmの間の範囲の前記連続波長範囲を形成する。本発明では、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光ダイオードの前記複数の波長範囲の重畳部分は、重畳が少ない程好ましい。当然ながら、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光ダイオードの前記複数の波長範囲は重畳しなくともよく、これについては後述する。
【0041】
隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、好ましくは、1nm乃至80nmの間の範囲であり、好ましくは、5nm乃至80nmの間の範囲である。図2の例では、隣接する前記第1発光ピーク値波長(734nm)及び前記第2発光ピーク値波長(810nm)の相互の差は76nmであり、隣接する前記第2発光ピーク値波長(810nm)及び前記第3発光ピーク値波長(882nm)の相互の差は72nmである。特に説明のない限り、本発明及び特許請求の範囲に記載の数値範囲の限定はエンド値を含み、例えば、前述の隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は5nm乃至80nmの間の範囲であり、5nm以上且つ80nm以下であることを指す。
【0042】
図3の第2実施例を併せて参照し、第2実施例は第1実施例から派生した実施例である。このため、第2実施例の第1実施例と同じ点については説明を繰り返さない。第2実施例の第1実施例との相違点は、第2実施例の前記発光装置12が5つの発光ダイオードを備え、それぞれ前記第1発光ダイオード121を有して放射し、第4波長範囲を有する第4光線を放射する第4発光ダイオード1211、前記第2発光ダイオード122、第5波長範囲を有する第5光線を放射する第5発光ダイオード1221、及び前記第3発光ダイオード123である。前記第4光線は前記第4波長範囲内に第4発光ピーク値波長(772nm)を有し、前記第5光線は前記第5波長範囲内に第5発光ピーク値波長(854nm)を有している。図3の例では、発光ピーク値波長は短い方から長い方にかけて順に前記第1発光ピーク値波長(734nm)、前記第4発光ピーク値波長(772nm)、前記第2発光ピーク値波長(810nm)、前記第5発光ピーク値波長(854nm)及び前記第3発光ピーク値波長(882nm)となっている。隣接する前記第1発光ピーク値波長(734nm)及び前記第4発光ピーク値波長(772nm)の相互の差は38nmであり、隣接する前記第4発光ピーク値波長(772nm)及び前記第2発光ピーク値波長(810nm)の相互の差は38nmであり、隣接する前記第2発光ピーク値波長(810nm)及び前記第5発光ピーク値波長(854nm)の相互の差は44nmであり、隣接する前記第5発光ピーク値波長(854nm)及び前記第3発光ピーク値波長(882nm)の相互の差は28nmである。
【0043】
図4の第3実施例を併せて参照し、第3実施例は第1実施例及び第2実施例から派生した実施例であるため、第3実施例の第1実施例及び第2実施例と同じ点については説明を繰り返さない。第3実施例の第1実施例との相違点は、第2実施例の前記発光装置12は12個の発光ダイオードを備え、図4の例では、12個の発光ダイオードの発光ピーク値波長は短い方から長い方にかけて順に734nm(前記第1発光ピーク値波長)、747nm、760nm、772nm(前記第4発光ピーク値波長)、785nm、798nm、810nm(前記第2発光ピーク値波長)、824nm、839nm、854nm(前記第5発光ピーク値波長)、867nm及び882nm(前記第3発光ピーク値波長)となっている。前記12個の発光ダイオードの発光ピーク値波長において、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は順にそれぞれ13nm、13nm、12nm、13nm、13nm、12nm、14nm、15nm、15nm、13nm及び15nmとなっている。第1実施例、第2実施例及び第3実施例の前記発光素子をレーザーダイオードに変更した場合、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上でもよく、例えば、1nmである。
【0044】
複数の前記発光ピーク値波長のうちの少なくとも一部分の前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下である。好ましくは、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下であり、例えば、前述の第1実施例、第2実施例及び第3実施例における発光ピーク値波長は短い方から長い方にかけて順に734nm(前記第1発光ピーク値波長)、747nm、760nm、772nm(前記第4発光ピーク値波長)、785nm、798nm、810nm(前記第2発光ピーク値波長)、824nm、839nm、854nm(前記第5発光ピーク値波長)、867nm及び882nm(前記第3発光ピーク値波長)となっており、前記第1光線の前記第1発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅、前記第2光線の前記第2発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅、前記第3光線の前記第3発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅、前記第4光線の前記第4発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅、及び前記第5光線の前記第5発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下であり、好ましくは、15nm乃至50nmの間の範囲であり、好ましくは、15nm乃至40nmの間の範囲である。未説明の747nm、760nm、785nm、798nm、824nm、839nm及び867nmの発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅(図4参照)も0nm超且つ60nm以下であり、好ましくは、15nm乃至50nmの間の範囲であり、好ましくは、15nm乃至40nmの間の範囲である。本発明の実験操作において、前述の第1実施例、第2実施例及び第3実施例における発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は55nmである。前記発光素子がレーザーダイオードである場合、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下であり、例えば、1nmである。
【0045】
前述の隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光ダイオードの前記複数の波長範囲は重畳せずともよく、例えば、前述の第1実施例、第2実施例及び第3実施例における各発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅が15nmである場合、各発光ピーク値波長が対応する前記波長範囲の幅(即ち、前記波長範囲の最大値と最小値との差)は40nmであり、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は80nmとなる。また、例えば、前記発光素子がレーザーダイオードである場合、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は1nmであり、前記波長範囲の幅は4nmであり、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は5nmとなり、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子(レーザーダイオード)の前記複数の波長範囲は重畳しない。
【0046】
好ましくは、第1実施例、第2実施例及び第3実施例において前記分光器1を操作して前記被検体Aを検出し、前記被検体スペクトログラムを発生させる場合、前述の前記光源制御装置11は複数の前記発光ダイオードが前記明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御可能であり、複数の前記明滅周波数は互いに同じであるか互いに異なってもよく、或いは複数の前記明滅周波数は部分的に同じであるか部分的に異なってもよい。前述の前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記明滅周波数の周期は前記発光ダイオードを継続的に1回作動(点滅)させる時間区間と前記発光ダイオードを停止(消灯)させる時間区間との和を指し、前記明滅周波数の周期は前記明滅周波数の逆数である。換言すれば、前記明滅周波数の周期は複数の前記発光ダイオードが連続的に点滅する点滅時間区間と間断なく即連続的に消灯する消灯時間区間との和であると理解でき、前記点滅時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記消灯時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲である。好ましくは、前記明滅周波数は0.5回/秒乃至50000回/秒の間の範囲である。好ましくは、前記明滅周波数は5回/秒乃至50000回/秒の間の範囲である。複数の前記発光ダイオードが非連続発光を呈する態様は前記発光ダイオードが放射する光の熱エネルギーが前記被検体Aに与える影響を大幅に低下させ、有機体を含む前記被検体Aが変質するのを回避する。よって、特に熱エネルギーに対し敏感な前記被検体Aに適合し、更に前記発光ダイオードが放射する前記波長範囲に適合する光は近赤外光である。数学的分析モジュールMは前記光検出器13(図5A参照)または前記コンピューター14に設置され(図5B参照)、前記数学的分析モジュールMは前記光検出器13(図5A参照)に電気的に接続または信号が接続され、或いは前記数学的分析モジュールMは前記コンピューター14(図5B参照)に電気的に接続または信号が接続され、前記数学的分析モジュールMはソフトウェアまたはハードウェア形態でもよい。前記光検出器13が受信した信号は前記数学的分析モジュールMに伝送される。前記分光器1を操作して前記被検体Aを検出して前記被検体スペクトログラムを発生させる場合、複数の前記発光ダイオードは同じ前記明滅周波数により同時にオンとオフにすることができ、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間において前記光検出器13が受信した信号は前記被検体スペクトル信号と背景ノイズ(または背景雑音という)とが結合され、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間において前記光検出器13が受信した信号は前記背景ノイズである。
【0047】
図5Aを併せて参照し、これは前記明滅周波数による非連続発光方式で前記分光器1を操作して前記被検体Aを検出し、前記被検体スペクトル信号と前記背景ノイズとを結合し、前記背景ノイズで構成された被検体ドメイン(time domain)信号及び被検体ドメイン信号図である。前記光検出器13が受信した前述の前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズは前記数学的分析モジュールMに伝送され、前記数学的分析モジュールMは前述の前記被検体ドメイン信号を処理して前記背景ノイズを除去し、例えば、前記数学的分析モジュールMは前記被検体ドメイン信号を被検体周波数ドメイン(frequency domain)信号に変換するドメイン/周波数ドメイン変換ユニットM1を備えている(図5A参照)。前記ドメイン/周波数ドメイン変換ユニットM1は前記被検体ドメイン信号を前記被検体周波数ドメイン信号にフーリエ変換(Fourier transform)するためのフーリエ変換ユニットでもよく、変換後の前記被検体周波数ドメイン信号及び被検体周波数ドメイン信号図は図6Bを参照する。前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号に容易に区分できる。図6Bの例では、0Hzにあるピーク値の周波数ドメイン信号または前記明滅周波数未満の周波数ドメイン信号は、前記背景ノイズの周波数ドメイン信号である。図6Bにおいて、0Hzにあるピーク値の周波数ドメイン信号(前記背景ノイズの周波数ドメイン信号)以外、残りのピーク値の信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号である。好ましくは、前記被検体周波数ドメイン信号において、前記明滅周波数以上の周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号である。前記数学的分析モジュールMは前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留し、フィルター効果を達成している。前記数学的分析モジュールMが前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去することで、保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号が完全に前記被検体に属し、前記背景信号を含まず、よって、従来の分光器に比べ、本発明の前記光検出装置1はスペクトル中における前記被検体のSN比が高まるのみならず、本発明の前記光検出装置1は前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去してフィルタリングを行うため、背景ノイズのないスペクトルを達成する。図5A図5Bに戻って、前記光源制御装置11の前記マイクロコントローラ111は前記数学的分析モジュールMに電気的に接続または信号が接続されてもよく、前記明滅周波数、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間、及び前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間を前記数学的分析モジュールMに同期で伝送し、前記マイクロコントローラ111が前記明滅周波数、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間、及び前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間により前記マイクロコントローラ111にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記発光ダイオードをオンまたはオフにすると、前記数学的分析モジュールMが前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間を前記被検体スペクトル信号として対応させ、前記数学的分析モジュールMが前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間を前記背景ノイズとして対応させる。
【0048】
ここで留意すべき点は、複数の前記発光ダイオードが前記明滅周波数による非連続発光を呈する波形は矩形波、正弦波、または負弦波である。
【0049】
また、前記数学的分析モジュールMは前述のフィルター効果により保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を処理し、前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号及びフィルタリング後の被検体ドメイン信号図に変換し、前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号中にはフィルタリング後の被検体スペクトル信号のみが存在し、前記背景ノイズは存在しない。例えば、前記数学的分析モジュールMは前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号に変換する周波数ドメイン/ドメイン変換ユニットM2を備え(図5B参照)、前記周波数ドメイン/ドメイン変換ユニットM2は前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号にフーリエ逆変換(inverse Fourier Transform)するためのフーリエ逆変換ユニットでもよく、変換後の前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号及び前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号図は図6Cを参照する。図6A図6Cとを比較すると明らかなように、図6Cの前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号図中の前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号には前記フィルタリング後の被検体スペクトル信号のみが存在し、且つ矩形波を呈し、前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号図中には如何なる前記背景ノイズも存在しない。換言すれば、図6C中の背景信号は0であり、よって、前記フィルタリング後の被検体スペクトル信号の値から背景信号の値を除算すると、得られたSN比が無限大を呈する。このため、本発明はサンプル(被検体)検出結果のスペクトログラム中のSN比を高め、テストを精確にする効果を達成している。ここで説明すべき点は、前記数学的分析モジュールM、前記ドメイン/周波数ドメイン変換ユニットM1及び前記周波数ドメイン/ドメイン変換ユニットM2はそれぞれソフトウェアまたはハードウェア形態でもよく、或いは上述のソフトウェアまたはハードウェア形態の組み合わせでもよい。前記数学的分析モジュールM、前記ドメイン/周波数ドメイン変換ユニットM1及び前記周波数ドメイン/ドメイン変換ユニットM2は互いに電気的に接続または信号が接続されている。
【0050】
(比較例及び応用例の波長の解像度テスト)
比較例1はOtO Photonics Incが製造しているハロゲンタングステンランプを光源とする回折格子により1nmの波長解像度を取得する型番号SE-2020-050-VNIRの従来の分光器を使用し、表面に酸化亜鉛塗料を塗布した長さ5cm、幅5cm、厚さ0.2のシート状PVC(ポリ塩化ビニル、Polyvinyl Chloride)板及び表面に酸化亜鉛混合酸化鉄塗料を塗布した長さ5cm、幅5cm、厚さ0.2のシート状PVC板の2種類の異なる物質に対し酸化亜鉛塗料及び酸化亜鉛混合酸化鉄塗料の反射スペクトル信号の検出を行った後、取得したスペクトル画像データに基づいて、相似(相違)性処理分析技術により、即ち、スペクトル角度マッチ(Spectral Angle Match またはSpectral Angle Mapping、 略称SAM)処理分析技術により、酸化亜鉛及び酸化亜鉛混合酸化鉄の2種類の異なる物質の相似性を分析し、SAM分析結果は96.00%であった(図7A参照)。
【0051】
応用例1、2及び3はそれぞれ第1実施例、第2実施例及び第3実施例の発光装置及び光検出装置を使用し、明滅周波数は約90.90回/秒であり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間は1msであり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間は10msであり、前述のOtO Photonics Incの同じ型番号SE-2020-050-VNIRの光検出器を使用し、酸化亜鉛塗料を塗布した長さ5cm、幅5cm、厚さ0.2のシート状PVC板及び酸化亜鉛混合酸化鉄塗料を塗布した長さ5cm、幅5cm、厚さ0.2のシート状PVC板の2種類の異なる物質に対し酸化亜鉛塗料及び酸化亜鉛混合酸化鉄塗料の反射スペクトル信号をそれぞれ検出した後、取得したスペクトル画像データに基づいて、SAM処理分析技術を用いて酸化亜鉛及び酸化亜鉛混合酸化鉄の2種類の異なる物質の相似性分析を行い、SAM分析結果はそれぞれ97.69%(図7B参照)、97.48%%(図7C参照)及び96.54%%(図7D参照)であった。全て比較例1の従来の分光器の96.00%に接近し、よって、第1実施例、第2実施例及び第3実施例の発光装置及び光検出装置の波長の解像度の特性は従来の分光器に近い。よって、応用例1、2及び3で使用する第1実施例、第2実施例及び第3実施例の発光装置及び光検出装置は、波長解像度の特性が、従来の分光器の波長解像度の特性を代替可能である。
【0052】
このため、前述の前記発光装置12及び前記光検出装置1に基づいて、図8に示す如く、本発明は発光方法を提供し、以下の発光素子の提供ステップS01及び発光ステップS02を順に含む。
【0053】
<前記発光素子の提供ステップS01>
少なくとも1つの発光ピーク値波長及び少なくとも1つの波長範囲を有している光を各々放射する複数の発光素子を提供する、隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲が部分的に重畳することで前記複数の発光素子中の各々の前記波長範囲より広い連続波長範囲が形成され、或いは隣接する2つの前記発光ピーク値波長が対応する2つの前記発光素子の前記複数の波長範囲は重畳しない。隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm以上であり、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は0nm超且つ60nm以下である。前記発光素子は発光ダイオード、垂直共振器型面発光レーザー、またはレーザーダイオードでもよい。好ましくは、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は1nm乃至80nmの間の範囲であり、好ましくは、隣接する2つの前記発光ピーク値波長の相互の差は5nm乃至80nmの間の範囲である。好ましくは、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は15nm乃至50nmの間の範囲であり、好ましくは、各前記発光ピーク値波長が対応する波長の半値全幅は15nm乃至40nmの間の範囲である。
【0054】
<前記発光ステップS02>
複数の前記発光素子が明滅周波数による非連続発光をそれぞれ呈するようにそれぞれ制御し、前記明滅周波数は0.05回/秒乃至50000回/秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲であり、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止する時間区間は0.00001秒乃至10秒の間の範囲である。好ましくは、前記明滅周波数は0.5回/秒乃至50000回/秒の間の範囲である。好ましくは、前記明滅周波数は5回/秒乃至50000回/秒の間の範囲である。
【0055】
また、前述の前記発光装置12、前記光検出装置1及び前記発光方法に基づいて、図9も併せて参照し、本発明はスペクトル検出方法を提供する。前記発光方法の前記発光素子の提供ステップS01及び前記発光ステップS02を順に含むほか、前記スペクトル検出方法は前記発光ステップS02の後に更に継続してフィルタリングステップS03及び逆変換ステップS04を順に含む。
【0056】
<前記フィルタリングステップS03>
被検体スペクトル信号及び背景ノイズを受信し、前記明滅周波数中で前記発光素子が作動(点滅)する時間区間において受信した信号は前記被検体スペクトル信号と前記背景ノイズとが結合され、前記明滅周波数中で前記発光素子が停止(消灯)する時間区間において受信した信号は前記背景ノイズ(または背景雑音という)であり、前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズが被検体ドメイン(time domain)信号を構成している。前記被検体ドメイン信号を被検体周波数ドメイン信号にフーリエ変換(Fourier transform)し、前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号に区分される。そして、前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留し、フィルター効果を達成している。
【0057】
<前記逆変換ステップS04>
前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号をフィルタリング後の被検体ドメイン信号にフーリエ逆変換(inverse Fourier Transform)する。
【0058】
<SN比テスト>
応用例4は第3実施例の発光装置及び光検出装置を使用し、明滅周波数は約100回/秒であり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間は5msであり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間は5msである。よって、前記明滅周波数の周期は10msであり、前述のOtO Photonics Incの同じ型番号SE-2020-050-VNIRの光検出器を使用し、酸化亜鉛が塗布された長さ5cm、幅5cm、厚さ0.2のシート状PVC板に対し前述の前記スペクトル検出方法に基づいて反射スペクトル信号を検出する。前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズで構成された前記被検体ドメイン信号及び前記被検体ドメイン信号図(図6A参照)によると、複数の前記発光ダイオードは前記明滅周波数による非連続発光を呈する波形が矩形波である。そして、前記被検体ドメイン信号が前記フィルタリングステップS03を経て前記被検体周波数ドメイン信号及び前記被検体周波数ドメイン信号図にフーリエ変換され(図6B参照)、前記被検体周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号及び前記背景ノイズの周波数ドメイン信号に容易に区分され、例えば、前記明滅周波数の周期は10msであり、対応周波数は100Hzである。よって、図6Bの周波数が100Hz以上の周波数ドメイン信号は前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号であり、0Hzにある周波数ドメイン信号または100Hz未満の周波数ドメイン信号は前記背景ノイズの周波数ドメイン信号である。前記フィルタリングステップS03では前記背景ノイズの周波数ドメイン信号を除去すると共に前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を保留する。そして、前記逆変換ステップS04では前述の保留した前記被検体スペクトル信号の周波数ドメイン信号を前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号(図6Cの非連続的な矩形波)及び前記フィルタリング後の被検体ドメイン信号図にフーリエ逆変換する(図6C参照)。明らかに、図6Cには背景信号が出現しておらず(或いは、背景信号は0と見なす)、よって、SN比が無限大を呈し、テストを精確にする効果を達成している。
【0059】
複数の前記発光ダイオードは放射する光線が発光強度を有するように電流密度をそれぞれ供給する。複数の前記電流密度は互いに同じでも互いに異なってもよく、或いは複数の前記電流密度は部分的に同じでも部分的に異なってもよい。また、複数の前記発光強度は互いに同じでも互いに異なってもよく、或いは複数の前記発光強度は部分的に同じでも部分的に異なってもよい。好ましくは、複数の前記電流密度が互いに異なり、或いは複数の前記電流密度は部分的に異なる。SN比を高める更なる他の方式は、図10Aも併せて参照し、前記光源制御装置11が前記マイクロコントローラ111に電気的に接続されている電流制御装置113を更に備え、前記電流制御装置113が前記電流密度を発生させた後に前記電流密度の信号を前記マイクロコントローラ111に伝送し、前記マイクロコントローラ111が前記電流密度の信号に基づいて対応する前記電流密度を前記マイクロコントローラ111にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記発光ダイオードに提供し、例えば、前記第1発光ダイオード121、前記第2発光ダイオード122、前記第3発光ダイオード123、前記第4発光ダイオード1211及び前記第5発光ダイオード1221に提供する。また、例えば、前記第1発光ダイオード121が放射する前記第1光線が第1発光強度を有するように第1電流密度を供給し、前記第2発光ダイオード122が放射する前記第2光線が第2発光強度を有するように第2電流密度を供給し、前記第3発光ダイオード123が放射する前記第3光線が第3発光強度を有するように第3電流密度を供給し、前記第4発光ダイオード1211が放射する前記第4光線が第4発光強度を有するように第4電流密度を供給し、前記第5発光ダイオード1221が放射する前記第5光線が第5発光強度を有するように第5電流密度を供給する。ここで説明すべき点は、前記電流制御装置113が前記マイクロコントローラ111内に統合されて前記電流密度を発生させる電流密度モジュールであってもよく、前記電流密度モジュールはソフトウェアまたはハードウェア形態でもよく、前記マイクロコントローラ111の外部に前記電流制御装置113を別途設置する必要はない。
【0060】
実際の操作において、他の発光方法により実行してもよく、前記発光方法は前述の前記発光素子の提供ステップS01及び前記発光ステップS02を順に含むほか、前記発光ステップS02の後に更に継続して初期スペクトルエネルギー分布曲線(Relative spectral energy distribution curve)取得ステップS021及び電流密度調整ステップS022を順に含み、前述の前記スペクトル検出方法は電流密度調整ステップS022の後に更に継続して前記フィルタリングステップS03及び前記逆変換ステップS04を順に含むように変更してもよい(図10B参照)。
【0061】
前記初期スペクトルエネルギー分布曲線取得ステップS021は、まず、同じ前記電流密度を複数の前記発光ダイオードにそれぞれ提供し、図10Aの前記被検体Aが存在しない状況において、前記光検出器13及び前記コンピューター14により前記発光装置12の初期スペクトルエネルギー分布曲線を測定して取得する(図10C参照)。図10Cに示す如く、前記第1光線の前記第1発光ピーク値波長(734nm)が対応する前記第1波長範囲が対応する前記第1発光強度は6.8x106(a.u.)である。前記第4光線の前記第4発光ピーク値波長(772nm)が対応する前記第4波長範囲が対応する前記第4発光強度は17.7x107(a.u.)である。前記背景ノイズが固定値であり、前記第4発光強度が前記第1発光強度よりも大きいため、前記第4波長範囲のSN比が前記第1波長範囲のSN比よりも明らかに高い。
【0062】
前記電流密度調整ステップS022では、複数の前記発光強度中から特定の数値及び対応する前記発光ダイオードを選択し、通常は数値が最大のものを選択し、例えば、図10Cの前記第4発光強度及び対応する前記第4発光ダイオード1211を選択する。そして、未選択の前記発光ダイオードが対応する前記電流密度を増強または減弱し、未選択の前記発光ダイオードが対応する前記発光強度を選択された前記発光ダイオードが対応する前記発光強度と同じにするか接近させる。図10Cの例では、例えば、未選択の前記発光ダイオードが前記第1発光ダイオード121であり、前記第1発光ダイオード121が対応する前記第1電流密度が増強され、未選択の前記第1発光ダイオード121が対応する前記第1発光強度が、選択された前記第4発光ダイオード1211が対応する前記第4発光強度と同じ17.7x107(a.u.)になるか17.7x107(a.u.)に接近し、これにより前記第1波長範囲のSN比を高めている。図10Dは前記第1電流密度を調整した後のスペクトルエネルギー分布曲線を示す。当然ながら、他の全ての未選択の複数の前記発光ダイオードが各自対応する前記電流密度を増強または減弱し、未選択の各前記発光ダイオードが対応する前記発光強度を選択された前記発光ダイオードが対応する前記発光強度と同じにするか接近させてもよく、例えば、選択された前記第4発光ダイオード1211が対応する前記第4発光強度と同じ17.7x107(a.u.)にするか、17.7x107(a.u.)に接近させることで、未選択の各前記発光ダイオードが対応する前記波長範囲のSN比を高め、且つ複数の前記波長範囲のSN比を一致するように近付ける。図10Eは他の全ての未選択の複数の前記発光ダイオードが各自対応する前記電流密度を調整した後のスペクトルエネルギー分布曲線を示す。
【0063】
各前記発光ダイオードの前記発光強度とその接触面温度(junction temperature)が逆方向関係を呈し、前記発光ダイオードの放熱問題もあり、前記発光ダイオードは前記電流密度で動作中に持続操作時間が増加すると、前記接触面温度も上昇して前記発光強度が減少するため、発光補正方法により前記発光強度を補正する必要がある。前記発光補正方法は補正関係取得ステップP01と、順方向バイアス測定ステップP02と、比例関係取得ステップP03と、補正完了ステップP04と、を順に含む。前記発光補正方法は前記発光方法の後に継続し、前述の前記スペクトル検出方法の前記フィルタリングステップS03及び前記逆変換ステップS04は前記発光補正方法の後に継続し、図11Aを参照する。
【0064】
補正関係取得ステップP01では、各前記発光ダイオードの前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図を取得し、通常は前記発光ダイオードの製造メーカーが提供する。図11Bは前記第4発光ダイオード1211の相対的強度と前記接触面温度との対応図であり、前記第4発光ダイオード1211は前記接触面温度が摂氏25度である際の前記第4発光ピーク値波長は772nmであり、且つ相対的強度は100%として計算する。また、各前記発光ダイオードの順方向バイアス(forward voltage)と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図も取得し、前記第4発光ダイオード1211は前記接触面温度が摂氏25度である際の前記第4発光ピーク値波長は772nmであり、且つ順方向バイアスは2Vである。図11Cは前記第4発光ダイオード1211の順方向バイアスと前記接触面温度との対応図である。前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図、及び前記発光ダイオードの前記順方向バイアスと前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図の両者の取得方式は、(Journal of Science and Engineering Technology、第3巻、第4期、2007年、99~103頁、発光ダイオードの接触面温度の自動測定システム)(Journal of Science and Engineering Technology, Vol. 3, No. 4, pp. 99-103 (2007))、及び台湾特許公開第200818363号明細書に公開されている方式を参照し、ここでは、その説明は繰り返さない。
【0065】
前記順方向バイアス測定ステップP02は、前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間において、例えば、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間において、前記発光ダイオードの前記順方向バイアスを同時に測定する。例えば、前述の第2実施例及び第3実施例において、前記第4発光ダイオード1211の前記明滅周波数は約90.90回/秒であり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが作動(点滅)する時間区間は1msであり、前記明滅周波数中で前記発光ダイオードが停止(消灯)する時間区間は10msである。前記明滅周波数中で前記第4発光ダイオード1211が作動(点滅)する時間区間において、同時に測定した前記第4発光ダイオード1211の前記順方向バイアスは1.9Vである。
【0066】
前記比例関係取得ステップP03では、測定した前記順方向バイアスを前述の前記発光ダイオードの順方向バイアスと前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図と対比し、前記接触面温度に換算する。例えば、測定した前記第4発光ダイオード1211の前記順方向バイアスは1.9Vであり、図11Cと対比すると、得られた前記接触面温度が摂氏50度となっている。そして、換算した前記接触面温度を前述の前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図と対比し、前記発光強度または相対的強度に換算する。例えば、対比した前記接触面温度が摂氏50度となり、図11Bと対比すると、得られた前記第4発光ダイオード1211の相対的強度は83%となる。継続的に、前記発光強度または相対的強度に換算し、前記発光強度または相対的強度と前記接触面温度との数学的関係式または対応表或いは対応図のうちの特定の接触面温度における発光強度または相対的強度と比較して比例関係を取得する。例えば、前記特定の接触面温度が摂氏25度であり、摂氏25度の前記第4発光ダイオード1211の相対的強度が100%であり、前記接触面温度が摂氏25度である相対的強度の100%を摂氏50度で除算した場合の相対的強度は83%となり、得られた前記比例関係は1.20倍となる。
【0067】
前記補正完了ステップP04では、前述の前記初期スペクトルエネルギー分布曲線中の前記発光ダイオードが対応する前記波長範囲の前記発光強度を前記比例関係で乗算し、前記発光強度の補正を達成する。或いは、測定した前記発光ダイオードが対応する前記波長範囲のスペクトル信号を前記比例関係で乗算し、スペクトル信号の補正を達成する。前記波長範囲のスペクトル信号は前述の前記被検体スペクトル信号及び前記背景ノイズで構成する前記被検体ドメイン信号でもよい。例えば、前記光検出器13または前記コンピューター14は前記第4発光ダイオード1211が対応する前記第4発光強度17.7x107(a.u.)を前記比例関係1.20倍で乗算し、得られた発光強度は前記特定の接触面温度(摂氏25度)における前記第4発光ダイオード1211の発光強度と見なすことができる。
【0068】
ここで説明すべき点は、本発明は前記発光装置12の複数の前記発光ダイオードのうちの少なくとも1つの前記発光ダイオード、部分的な前記発光ダイオード、或いは全部の前記発光ダイオードが前記発光補正方法を順にまたは同時に実行する点である。好ましくは、本発明は全部の前記発光ダイオードが前記発光補正方法を同時に実行し、得られたスペクトルエネルギー分布曲線は前記特定の接触面温度(摂氏25度)におけるスペクトルエネルギー分布曲線と見なすことができ、得られたスペクトル信号は前記特定の接触面温度(摂氏25度)におけるスペクトル信号と見なすことができる。
【0069】
被検体全体の表面の組成または内部の組成を精確に測定するため、図12A及び図12Bを参照し、前記光検出装置1の前記発光装置12は前記被検体Aに対し回転可能である。図12Aを参照し、前記発光装置12は回転装置15に更に接続され、前記回転装置15は複数の前記発光素子を、公転回転軸心を中心に公転(revolution)するように駆動し 、これにより前記発光装置12が前記被検体Aに対し回転し、前記公転回転軸心は物理的な公転回転軸心でも仮想的な公転回転軸心でもよい。換言すれば、前記発光装置12は自転可能である。例えば、前記回転装置15は前記マイクロコントローラ111に電気的に接続されている前記モーターでもよく、前記回転装置15は回転軸151を回転するように駆動する。前記回転軸151の一端は前記発光装置12の前記回路基板120に接続されているため、前記回転軸151は前記公転回転軸心と見なすことができ、少なくとも部分的な複数の前記発光素子は前記公転回転軸心の延伸方向上になく、よって、前記公転回転軸心の延伸方向上にない複数の前記発光素子は前記公転回転軸心を中心に公転する。前記被検体Aの複数の領域に僅かに異なる成分が存在する場合、一例を挙げると、前記被検体Aの第1領域A1及び第2領域A2に僅かに異なる成分が存在し、前記第1発光ダイオード121及び前記第1領域A1が第1相対位置を形成する場合(図12A参照)、即ち、前記発光装置12及び前記被検体Aが前記第1相対位置を形成し、前記第1発光ダイオード121及び前記第1領域A1は接近して前記第2領域A2は離間する。前記第1発光ダイオード121が放射した前記第1波長範囲を有する前記第1光線は、前記第1領域A1及び前記第2領域A2を透過すると共に前記光検出器13により受光され、前記光検出器13は受光した前記第1光線を第1相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記第1相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。図12Bを参照すると、前記第1発光ダイオード121は前記公転回転軸心を中心に公転し、前記第1領域A1と共に第2相対位置を形成すると、即ち、前記発光装置12及び前記被検体Aが前記第2相対位置を形成し、前記第1発光ダイオード121及び前記第2領域A2が接近し、前記第1領域A1が離間する。前記第1発光ダイオード121が放射した前記第1波長範囲を有している前記第1光線は、前記第1領域A1及び前記第2領域A2を透過すると共に前記光検出器13により受光され、前記光検出器13は受光した前記第1光線を第2相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記第2相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。前記コンピューター14は前記第1相対位置の被検体スペクトル信号及び前記第2相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。同様に、前記第2発光ダイオード122も前記第1相対位置から前記公転回転軸心を中心に前記第2相対位置まで公転する。このようにすると、前記被検体Aの複数の領域に僅かに異なる成分が存在しても、被検体スペクトル信号が歪められる問題が発生しない。
【0070】
前記発光装置12及び前記被検体Aが前記第1相対位置を形成すると、上述したように、実際の需要に応じて複数の前記発光ダイオードを同時にオンまたはオフにし、或いは選択的に1つまたは部分的な前記発光ダイオードのみをオンまたはオフにし、もしくは複数の前記発光ダイオードを順にオンまたはオフにし、或いは上述の方式の何れか1種類により前記明滅周波数方式でオンまたはオフにする。前記光検出器13が受光した前記光線Lは前記第1相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記第1相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。そして、前記発光装置12及び前記被検体Aが前記第2相対位置を形成すると、同様に、実際の需要に応じて複数の前記発光ダイオードを同時にオンまたはオフにし、或いは選択的に1つまたは部分的な前記発光ダイオードのみをオンまたはオフにし、もしくは複数の前記発光ダイオードを順にオンまたはオフにし、或いは上述の方式の何れか1種類により前記明滅周波数方式でオンとまたはオフにする。前記光検出器13は受光した前記光線Lを前記第2相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記第2相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。前記コンピューター14は前記第1相対位置の被検体スペクトル信号及び前記第2相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。
【0071】
前記被検体Aを更に精確に測定するため、実際の運用では、前記発光装置12及び前記被検体Aが複数の相対位置を形成し、各前記相対位置は実際の需要に応じて複数の前記発光ダイオードを同時にオンまたはオフにし、或いは選択的に1つまたは部分的な前記発光ダイオードをオンまたはオフにし、もしくは複数の前記発光ダイオードを順にオンまたはオフにし、または上述の方式の何れか1種類により前記明滅周波数方式でオンまたはオフにする。前記光検出器13は受光した前記光線Lを前記相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。前記コンピューター14は複数の前記相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。例えば、前記マイクロコントローラ111は前記回転装置15の前記回転軸151の回転を制御し、前記発光装置12の複数の前記発光素子が前記公転回転軸心を中心に所定の角度で回転し、例えば、各10度の回転角度を1つの前記相対位置とし、1周全360度公転すると合計36個の前記相対位置があり、前記コンピューター14は36個の前記相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。
【0072】
同様に、図12Cも併せて参照し、前記被検体Aが前記回転装置15に接続され、前記回転装置15は前記被検体Aを、自転回転軸心A0を中心に自転するように駆動し、前記発光装置12を前記被検体Aに対し回転させる。前記自転回転軸心A0は物理的な自転回転軸心でも、仮想的な自転回転軸心でもよい。図12Cでは、前記回転装置15が前記回転軸151を回転するように駆動し、前記回転軸151は歯車により前記被検体Aを自転するように駆動し、前記被検体Aの中心部の法線は仮想的な自転回転軸心であり、即ち、前記自転回転軸心A0である。同様に、例えば、前記マイクロコントローラ111は前記回転装置15の回転を制御し、前記被検体Aを、自転回転軸心A0を中心に各10度を1つの前記相対位置とし、1周全360度自転すると合計36個の前記相対位置があり、前記コンピューター14は36個の前記相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。
【0073】
前記被検体Aの複数の領域には同じ成分が存在し、然しながら、前記被検体Aの表面が前記発光装置12と平行を保持できない場合、前記第1発光ダイオード121及び前記第2発光ダイオード122は前記被検体Aとの距離がそれぞれ異なり、前記第1発光ダイオード121の前記第1光線及び前記第2発光ダイオード122の前記第2光線が発生させる被検体スペクトル信号が歪んでしまう。図12Dも併せて参照し、本発明の前記発光装置12は前記被検体Aに対し回転可能であり、前記発光装置12及び前記被検体Aは複数の相対位置を形成可能であり、前記光検出器13は受光した前記光線Lを前記相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。前記コンピューター14は複数の前記相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。このようにすることで、前記発光装置12の複数の前記発光素子が前記被検体Aとの距離がそれぞれ異なるために被検体スペクトル信号が歪められる問題が生じない。
【0074】
同様に、図12Eも併せて参照し、前記発光装置12及び前記光検出器13は前記被検体Aの同じ一側に設置され、例えば、前記発光装置12及び前記光検出器13は前記被検体Aの上方側に設置され、前記被検体Aの反射スペクトル信号を測定する。前記第1発光ダイオード121及び前記第2発光ダイオード122は前記被検体Aとの距離がそれぞれ異なり、前記第1発光ダイオード121の前記第1光線及び前記第2発光ダイオード122の前記第2光線が発生させる被検体スペクトル信号が歪んでしまう。本発明の前記発光装置12は前記被検体Aに対し回転可能であり、例えば、2つの前記回転装置15を設置し、複数の前記発光素子が前記公転回転軸心(前記回転軸151)を中心に公転し、前記被検体Aが前記自転回転軸心A0を中心に自転する。前記発光装置12及び前記被検体Aは複数の相対位置を形成可能であり、前記光検出器13は受光した前記光線Lを前記相対位置の被検体スペクトル信号に変換すると共に前記相対位置の被検体スペクトル信号を前記コンピューター14に伝送する。前記コンピューター14は複数の前記相対位置の被検体スペクトル信号の平均値を計算し、前述の前記被検体スペクトル信号とする。このようにして、前記発光装置12の複数の前記発光素子が前記被検体Aとの距離がそれぞれ異なるために被検体スペクトル信号が歪められる問題が生じないようにしている。
【0075】
上述の説明から分かるように、本発明は従来技術及び従来の製品と比較すると、本発明が提供する発光装置、発光方法、光検出装置、スペクトル検出方法及び発光補正方法は、サンプルの解析結果が従来のハロゲンタングステンランプ分光器を使用した高解像度の結果に接近し、且つサンプル検出結果のスペクトログラム中のSN比も同時に高まり、テストを精確にする効果を確実に達成している。
【0076】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0077】
1 光検出装置
11 光源制御装置
111 マイクロコントローラ
112 クロックジェネレータ
113 電流制御装置
12 発光装置
120 回路基板
121 第1発光ダイオード
1211 第4発光ダイオード
122 第2発光ダイオード
1221 第5発光ダイオード
123 第3発光ダイオード
13 光検出器
14 コンピューター
15 回転装置
151 回転軸
A 被検体
A0 自転回転軸心
A1 第1領域
A2 第2領域
L 光線
M 数学的分析モジュール
M1 ドメイン/周波数ドメイン変換ユニット
M2 周波数ドメイン/ドメイン変換ユニット
P01 補正関係取得ステップ
P02 順方向バイアス測定ステップ
P03 比例関係取得ステップ
P04 補正完了ステップ
R 光路
S01 発光素子の提供ステップ
S02 発光ステップ
S021 初期スペクトルエネルギー分布曲線取得ステップ
S022 電流密度調整ステップ
S03 フィルタリングステップ
S04 逆変換ステップ

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E