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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】複数範囲構造を有するセンサ組立体
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/18 20060101AFI20240625BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01L1/18 A
G01L9/00 303C
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020075076
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2020180972
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】16/395,095
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510225465
【氏名又は名称】メジャメント スペシャリティーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤーメイ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ジェームズ
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0349129(US,A1)
【文献】特開2018-159594(JP,A)
【文献】特表2009-503445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/18
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサダイ(12)を備えるセンサデバイス(10)であって、前記センサダイ(12)は、
- 前記センサダイの第1の外側表面(18)と、前記センサダイ内の埋込みキャビティ(27)との間に配設されている、前記第1の外側表面からある深さだけ延在する第1の膜体(24)と、
- 前記埋込みキャビティ(27)と、前記第1の外側表面の反対側の前記センサダイの第2の外側表面(34)の凹部(32)との間に配設されている、第2の膜体(44)と、
- 前記センサダイ(12)内に配設されている、検知用の前記第1の膜体(24)および検知用の前記第2の膜体の移動を測定するための電気検知素子(48、54)と、備えるとともに、

前記センサダイ(12)は、貼り合わされている第1の部材(14)および第2の部材(16)を備え、
前記埋込みキャビティ(27)は、前記第1の部材(14)と前記第2の部材(16)との間に形成されており、
前記第1の膜体(24)は前記第1の部材(14)と一体であり、
前記電気検知素子(48、54)は前記第1の部材(14)に設けられ、

前記第2の膜体(44)は前記第2の部材(16)と一体であり、
前記第2の部材(16)が前記埋込みキャビティ(27)を画定する凹部(26)と、前記センサダイの前記第2の外側表面(34)の前記凹部(32)を有する、
センサデバイス(10)。
【請求項2】
前記電気検知素子は、
- 前記第1の膜体(24)と隣り合って配置されている第1組の電気検知素子(48)と、
- 前記第2の膜体(44)と隣り合って配置されている第2組の電気検知素子(54)と、を備える、
請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項3】
前記センサデバイス(10)は、前記電気検知素子と電気接続されている、前記センサダイ(12)の前記第1の外側表面に沿って露出している電気コンタクト(58)を更に備える、
請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
前記電気検知素子(48、54)は、前記センサダイ(12)の、前記第1の外側表面と前記埋込みキャビティ(27)との間に挟まれている領域内に配設されている、
請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項5】
前記第1の膜体(24)は、前記第2の膜体(44)の長さとは異なる長さを有するサイズとなっている、
請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項6】
前記第1の膜体(24)は、前記第2の膜体(44)の厚さとは異なる厚さを有する、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項7】
前記埋込みキャビティ(27)は、前記センサダイ(12)の外部の環境まで延在するポートを含む、
請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項8】
前記第1の部材(14)および前記第2の部材(16)はシリコンから形成されており、
前記第1の部材(14)および前記第2の部材(16)は直接接合されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサデバイス(10)。
【請求項9】
検知用の第1の膜体(24)と前記第1の膜体と垂直方向に隣り合っている第2の膜体(44)とが中に配設されているセンサダイ(12)を備えるセンサデバイス(10)に、外力をかけるステップであって、
前記センサデバイス(10)は請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサデバイス(10)であり、

前記センサダイ(12)は、検知用の前記第1の膜体(24)と隣り合っている埋込みキャビティ(27)を備え、前記外力は検知用の前記第1の膜体(24)に向けられる、外力をかけるステップと、
前記センサダイ(12)内に配設されている電気検知素子(48、54)から、前記外力に応じて前記第1の膜体(24)および前記第2の膜体(44)の一方または両方がたわむ量を検出するステップと、
前記センサダイ(12)の表面上に配設されている電気コンタクト(58)を通して伝送されるセンサデバイス(10)として、前記電気検知素子(48、54)の出力から、前記外力の前記量を判定するステップと、
を含む、力を検知するための方法。
【請求項10】
前記第1の膜体(24)は、外力量の第1の範囲内で外力を検出するように構成されており、
前記第2の膜体(44)は、前記外力量の第1の範囲とは異なる外力量の第2の範囲内で外力を検出するように構成されている、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
センサ素子、ダイヤフラム、または膜体に加わる力の量の判定を目的としたセンサ組立体の使用が、当技術分野で知られている。
【背景技術】
【0002】
物理的要素が加える力の量の判定を目的として、力センサが使用される。従来の力センサは、ダイヤフラムおよびこれと接続された電気検知素子を含む、力センサダイと、センサダイとは別個に製作され作動要素がダイヤフラムの一部と接触するようにセンサダイと組み合わされている、作動要素と、を備える。作動要素は外力を受けるように力センサから延在しており、この外力は次いで作動要素によってセンサダイのダイヤフラム上へと伝達されてダイヤフラムをたわませ、このたわみが電気検知素子によって測定され、その後これらの電気検知素子を使用して、外力を判定するために使用される出力が提供される。
そのような公知の力センサとしては、埋込みキャビティの設計(buried cavity design)を有するものが挙げられ、この場合、ダイヤフラムまたは膜体はセンサダイの表面から埋込みキャビティまで延在してもよく、ダイヤフラム表面に外力が加わると、このことによりダイヤフラムが埋込みキャビティ内へとたわむ。他の公知の力センサは、裏側キャビティの設計(backside cavity design)を有し、この場合、ダイヤフラムまたは膜体はセンサダイの表面から裏側キャビティまで延在してもよく、ダイヤフラム表面に外力が加わると、このことによりダイヤフラムが裏側キャビティ内へとたわむ。そのような公知の力センサ設計の特徴は、正確に判定できる外力の範囲が、ダイヤフラムのたわみの動作範囲およびそこに加わる力を検出する際のダイヤフラムの感度の両方によって、制限されることである。これらのタイプの公知のセンサの各々において、このことにより、正確に測定できる外力の範囲が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の使用用途では、そのような公知の力センサの能力内に収まらない(例えば、ダイヤフラムまたは膜体が完全なたわみに達し、このためそれ以上は力測定情報を提供できない動作状態を超える)、広い範囲にわたって、外力を判定する必要がある。解決すべき問題は、例えば小さい力条件および大きい力条件に曝されるときに、複数の範囲にわたる外力の測定を可能にするように構築された、ならびに、この複数範囲での力検出能力を、特定の最終使用用途、例えば範囲のある領域で範囲の別の領域と比較して程度の異なる感度が望まれ得る場合に合わせて調整することを目的として、カスタマイズ可能にするように構築された、センサ組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、本明細書に開示するセンサデバイスは一般に、センサダイの第1の外側表面とセンサダイ内の埋込みキャビティとの間に配設されている、外側表面からある深さだけ延在する第1の膜体を含む、センサダイを備える。センサダイは、第2の膜体を更に含む。第2の膜体は、埋込みキャビティと、第1の外側表面とは反対側のセンサダイの第2の外側表面の凹部との間に配設されている。一例では、センサダイは貼り合わされている第1の部材および第2の部材を備え、この場合、埋込みキャビティは、第1の部材と第2の部材との間に形成されており、第1の膜体は第1の部材と一体である。一例では、第2の膜体は第2の部材と一体である。第1の膜体は、第2の膜体の長さとは異なる長さを有するサイズとなっていてもよい。
第1の膜体は、第2の膜体の厚さとは異なる厚さを有してもよい。センサダイはまた、その中に配設されている、第1および第2の検知膜体の移動を測定するための電気検知素子も含む。一例では、電気検知素子は、センサダイの、第1の外側表面と埋込みキャビティとの間に挟まれている領域内に配設されている。一例では、電気検知素子は、第1の膜体と隣り合って配置されている第1組の電気検知素子と、第2の膜体と隣り合って配置されている第2組の電気検知素子と、を備える。センサデバイスは、電気検知素子と電気接続されている、センサダイの第1の外側表面に沿って露出している電気コンタクトを更に備える。一例では、センサデバイスは力センサである。
【0005】
センサデバイスを使用してそこに加わる力を判定するための方法は、第2の検知膜体が第1の検知膜体の垂直方向下方に配設されている状態で、第1の検知膜体が占有するセンサデバイスの領域に外力をかけるステップを含む。センサデバイスに加わる力は第1の検知膜体をたわませ、場合によっては第2の検知膜体をもたわませ、この場合、各検知膜体のたわみの量は、対応する電気検知素子によって測定される。電気検知素子は、センサデバイスと電気接続されている外部のデバイスによって力の量を判定するために、電気コネクタによってセンサデバイスの外部へと伝送される、出力信号を提供する。一例では、第1の膜体は、外力量の第1の範囲内の外力を検出するように構成されており、第2の膜体は、外力量の第1の範囲とは異なる外力量の第2の範囲内の外力を検出するように構成されている。
【0006】
本明細書に開示するセンサ組立体について、以下で添付の図を参照して例示により記載する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本明細書に開示する例示的なセンサ組立体の側面断面図である。
図1B図1Aに示した例示的なセンサ組立体の上面図である。
図1C図1Aに示した例示的なセンサ組立体の底面図である。
図2A】本明細書に開示する例示的なセンサ組立体の側面断面図である。
図2B図2Aに示した例示的なセンサ組立体の上面図である。
図3図3Aから図3Dは、図1の例示的なセンサ組立体の側面断面図である。図3Aは、第1の状態にあるセンサ組立体を示す。図3Bは、第2の状態にあるセンサ組立体を示す。図3Cは、第3の状態にあるセンサ組立体を示す。図3Dは、第4の状態にあるセンサ組立体を示す。
図4】本明細書に開示する例示的なセンサ組立体に関する、印加力の関数としての膜体のたわみ特性を示すグラフである。
図5】本明細書に開示する例示的なセンサ組立体に関する、印加力の関数としての膜体の感度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
センサ組立体またはデバイスの実施形態について、同様の参照符号が同様の要素を指す添付の図面を参照して、以下で詳細に記載する。ただし、本明細書に開示するセンサ組立体は、多くの異なる形態でおよび様々な種類の使用に向けて具現化することができ、本明細書に明記する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全なものとなるように、および、センサ組立体の概念を当業者に完全に伝えるように、提供されている。本明細書に開示するセンサ組立体は、そこに物体が加える力が測定されている用途で使用されてもよく、この場合、そのようなセンサ組立体を力センサと呼ぶ場合がある。しかしながら、本明細書に開示するセンサ組立体を、流体圧などがモニタされている圧力センサ用途などの、物体からセンサ組立体に測定されるべき力が加わっている用途以外の、他の種類の力の記録/モニタリング用途に利用してもよいことを理解されたい。
【0009】
図1Aは、センサダイ12を備える、本明細書に開示する例示的なセンサデバイス10またはセンサ組立体10を示す。一例では、センサダイ12は、貼り合わされている、または共に接合されている2つのセンサダイ部材(14および16)から形成されてもよい。一例では、第1のセンサダイ部材14および第2のセンサダイ部材16はシリコンから形成され、共に直接接合される。センサダイ12の第1の部材14は、外側表面18から下側表面20の間に延在する厚さを有し、これはセンサダイ12の縁部22に沿って見るとき最もよく示されている。センサダイ12は、第1の部材14と一体であり第1の部材14の厚さによって画定される厚さを有する、第1のダイヤフラム24または第1の膜体24を備える。一例では、第1の膜体24の厚さは約2ミクロン超であってもよく、約5から50ミクロンであってもよい。膜体の厳密な厚さは、特定の最終使用用途および/または第1の膜体24の所望の感度に応じて異なり得ることを理解されたい。
【0010】
センサダイ12の第2の部材16は、以下でよりよく説明するように、第1の部材14に取り付ける前にエッチング工程などによって第2の部材16に形成され得る、凹部26を含む。凹部26は第1の膜体24に直接対向して配置されており、センサダイ12内に、外力に応じて膜体が中でたわむことができるような、埋込みキャビティ27を提供する。埋込みキャビティ27は、外部環境へと通気されてもされなくてもよい。通気される場合、埋込みキャビティ27からセンサダイ12の所望の部分を通って延在するポートを通して、通気を行うことができる。
【0011】
例えば、埋込みキャビティ27が通気されていない例では、センサ組立体10を使用して圧力を測定してもよい。埋込みキャビティ27が通気されている例では、センサ組立体10を使用して物理的な力を測定してもよい。一例では、埋込みキャビティ27は通気され、そのような通気は、例えば埋込みキャビティ27から延在するポートを通して行われてもよい。第2の部材16の下側表面28から埋込みキャビティ27の閉鎖部30まで測定した場合の凹部26の深さは、約0.5ミクロン超であってもよく、約1から10ミクロンであってもよい。凹部26の厳密な深さは、第1の膜体24の厚さ、ならびに、特定の最終使用用途および/または第1の膜体24のたわみの所望の度合、といった要因に応じて異なり得ることを理解されたい。以下に記載するように、凹部26または埋込みキャビティ27の長さは、例えば比較的小さい力において所望の程度の力感度が提供されるように、センサ組立体10の特定の最終使用に応じて異なることになる。
【0012】
センサダイ12の第2の部材16は、第2の部材16の外側表面34に沿って配設され裏側キャビティ36を形成している、凹部32を備える。裏側キャビティ36は埋込みキャビティ27の反対側に配置されている。一例では、凹部32は、特定のセンサデバイスの最終使用用途にとって望まれる第2の膜体の厚さを提供するようなサイズとなっており、この厚さは、第2の膜体の感度特性を定め得るかまたは感度特性に寄与し得る。
【0013】
この例では、埋込みキャビティ27は、センサダイ12内で裏側キャビティ36の長さよりも小さい長さだけ延在し、埋込みキャビティ27および裏側キャビティ36はいずれも、センサダイ12の厚さを通って延びる共通の垂直軸線に沿って、垂直方向において互いに位置合わせされている。センサダイ12は、センサダイ12と一体でありかつ裏側キャビティ36の閉鎖部38から第2の部材16の下側表面28まで延在する、第2のダイヤフラム40または第2の膜体40を含む。第2の膜体40は、埋込みキャビティ27の長さに沿って延在する中央部44と、埋込みキャビティ27のそれぞれの縁部から裏側キャビティ36の対応する縁部まで各々延在する、端部部分46と、を含み、第2の膜体40の中央部44の厚さは、第2の膜体40の端部部分46の厚さよりも小さい。一例では、第2の膜体40は、約5ミクロンよりも大きい、および約10から500ミクロンである厚さを有し得る、中央部44を有する。
一例では、第2の膜体40は、約5ミクロン超であってもよく約50から550ミクロンであってもよい、端部部分46の厚さを有する。第2の膜体40の中央部44および端部部分46の厳密な厚さは、第1の膜体24の厚さ、第2の部材16の全体厚さ、および特定の最終使用センサ組立体の用途、といった要因に応じて異なり得ることを理解されたい。
【0014】
図1Aに図示されている例では、埋込みキャビティ27は、センサダイ12に沿って裏側キャビティ36の長さよりも短い長さだけ延在する。一例では、そのような構成は、より大きい力において比較的低い程度の力感度で力情報を依然として受け取りながら、より小さい力において力感度の程度の向上を必要とする使用用途において、有用であり得る。
【0015】
図1Aおよび図1Bを参照すると、センサダイ12は、センサダイ12、例えばセンサダイ12の第1の部材14の外側表面18に沿って、第1の膜体24の周縁部と隣り合って配置されている、第1組の電気検知素子48を備える。第1組の電気検知素子48は、第1の膜体24の表面に沿ってそこに加わっている外力に応じた変化を検出するためのホイートストンブリッジ(Wheatstone bridge)回路として構成されており、そのような力の量を判定するための電気信号出力を提供する、ピエゾ抵抗素子などの形態であってよい。第1組の電気コネクタ50は、第1組の電気検知素子48から第1組の電気コンタクト52(図1Bに示す)まで延在し、電気コネクタ50および電気コンタクト52は、外側表面18と隣り合って配置されている。
センサダイ12は、センサダイ12、例えばセンサダイ12の第1の部材14の外側表面18に沿って、第2の膜体40の周縁部と隣り合って配置されている、第2組の電気検知素子54を備える。第2組の電気検知素子54は、第2の膜体40の表面に沿ってセンサダイ12に加わっている外力に応じた変化を検出するためのホイートストンブリッジ回路として構成されており、そのような力の量を判定するための電気信号出力を提供する、ピエゾ抵抗素子などの形態であってよい。第2組の電気コネクタ56は、第2組の電気検知素子54から第2組の電気コンタクト58まで延在し、電気コネクタ56および電気コンタクト58は、外側表面18と隣り合って配置されている。
【0016】
図1Bに最もよく示されているように、この例示的なセンサ組立体10の場合、第1組の電気検知素子48は、センサダイ12において、対応する第1の膜体24および第2の膜体40の周縁部に対応する第2組の電気検知素子54の設置位置内に、同心に配置されている。電気コンタクト52および58は、第2組の電気検知素子54から外側に配置されており、例えば電気検知素子が生成した電気信号を受信しそこから力の判定を行うための外部のデバイスの電気端子との電気接続を、容易にするように構成されている。センサは、シリコン基材に電圧バイアスを印加することを目的として、または他のセンサ動作上の目的で、1つまたは複数の他の電気コンタクト60を含み得る。
【0017】
図1Cは、センサ組立体10のセンサダイ12の底面図を示しており、センサダイの第2の部材の外側表面34、および凹部32から形成されている裏側キャビティ36が示されている。裏側キャビティ36に対する埋込みキャビティ27の相対位置も示されている。
【0018】
一例では、本明細書に開示し図1Aから図1Cに示すセンサ組立体10は、センサダイ12の第2の部材16に凹部32を形成し、次いで第2の部材16を第1の部材14に接合し、このことによりこれらの間に埋込みキャビティ27を形成することによって、製作されてもよい。第1の部材の外側表面18は、ドーパント拡散またはイオン注入によって処理されて、電気検知素子48、電気コネクタ50、および第1組の電気コンタクト52と、電気検知素子54、電気コネクタ56、および第2組の電気コンタクト58が形成される。次いで凹部32が第2の部材16の外側表面34に沿って形成されて、裏側キャビティ36が提供される。これは本明細書に開示するセンサ組立体の一例に過ぎず、そのようなセンサ組立体は、本明細書に開示するような作成方法の範囲内で異なるステップまたは手順に従って形成されてもよいことを理解されたい。
【0019】
図2Aおよび図2Bは、図1Aから図1Bのセンサ組立体10に関して上記した要素と同じ要素を備える、本明細書に開示する例示的なセンサ組立体80を示し、そのような要素は例えば、第1の部材14および第2の部材16を備えるセンサダイ12、第1の膜体24、埋込みキャビティ27、裏側キャビティ36、第2の膜体40、第1組の電気検知素子48および第2組の電気検知素子54、第1組の電気コネクタ50および第2組の電気コネクタ56、ならびに第1組の電気コンタクト52および第2組の電気コンタクト58である(図2Bに示す)。ただし、図1Aから図1Cの例とは異なり、埋込みキャビティ27は、センサダイ12内に裏側キャビティ36の長さよりも大きい長さを有して構成されており、この結果、第1の膜体24は、第2の膜体40よりも大きい長さを有して構成されている。
そのような例示的なセンサ組立体80をこの様式で構成する目的は、第1の膜体24を大きくした構成によって、加わる力の量が比較的小さい場合に比較的程度の大きい力感度および正確な力測定を、ならびに、第2の膜体40を小さくした構成によって、加わる力の量が比較的大きい場合に比較的程度の小さい力感度および正確な力測定を、実現するためであり得る。
【0020】
図2Bに最もよく示されているように、この例示的なセンサ組立体80の場合、第1組の電気検知素子48および第1組の電気コネクタ50ならびに第2組の電気検知素子54および第2組の電気コネクタ56の設置位置もまた、センサダイ12内での第1の膜体24および第2の膜体40の周縁部の配置の変更を反映して、図1Aから図1Cの例示的なセンサ組立体10に関して図示した設置位置とは異なる。この例では、第2組の電気検知素子54および対応する第2組の電気コネクタ56は、ここではサイズの大きくなった第1の膜体24に対する、ここではサイズの小さくなった第2の膜体40の設置位置を反映して、第1組の電気検知素子48および対応する第1組のコネクタ50の内側に、同心に配置されている。第1組の電気コンタクト52および第2組の電気コンタクト58は、所望の外部のデバイスと電気的に接触するために、第1組の電気検知素子48から外側に配置されている。
【0021】
図3Aから図3Dは、印加された外力に対して異なる状態にある、図1Aから図1Cに示した例示的なセンサ組立体を示す。図3Aは、第1の膜体24および第2の膜体40を有するセンサダイ12を備えるセンサ組立体100を示す。図3Aにおいて、作動要素102が外側表面18上に配設され第1の膜体24の中央部を覆って配置されており、作動要素102には外力が加わっていない。図3Bは、作動要素102には小さい力負荷が加わっており、この力負荷が、第1の膜体24を、埋込みキャビティ27内へと途中の深さまでたわませている状態のセンサ組立体100を示す。この状態において、第1組の電気検知素子48は、力負荷への感度を示すとともにこの力負荷の量を判定できる情報を提供する、出力信号を提供する。
【0022】
図3Cは、作動要素102に加わる力負荷が図3Bのレベルから増大して、第1の膜体24を埋込みキャビティ27内へと更にたわませて埋込みキャビティ27の閉鎖部30と接触させている状態の、センサ組立体100を示す。この状態では、第1の膜体のそれ以上の自由なたわみが妨げられ、この結果、第1組の電気検知素子48は、更なる力負荷の増大に対してそれほど高い感度を示さなくなる、または、そのような加わる力負荷量を正確に判定するための情報を提供しなくなる場合がある。この時点では、第1の膜体24および関連する第1組の電気検知素子48の使用によって比較的小さい力を検知するセンサ組立体100の能力は、上位の範囲にあり、それ以上の任意の力負荷のモニタリングは、第2の膜体40および関連する第2組の電気検知素子54の使用によって、最も良好に行われる。
【0023】
図3Dは、作動要素102に加わる力負荷が更に大きくなり、今や小さい範囲を出て大きい範囲内にある状態の、センサ組立体100を示す。この時点では、大きくなった負荷により第1の膜体24が第2の膜体40内へと更にたわみ、第2の膜体40は裏側キャビティ36内へと移動する。第2組の電気検知素子54は、その相対的に大きい力負荷への感度を示すとともにこの大きい力負荷の量を判定できる情報を提供する、出力信号を提供する。これらの図は、本明細書に開示するセンサ組立体が、第1および第2の膜体ならびに関連する第1組の電気検知素子および第2組の電気検知素子の使用および構成によって、力感度の程度の改善と印加力の小さい範囲および大きい範囲にわたる力の判定とを実現するよう動作する様子を示すように、機能する。
【0024】
図4は、第1のダイヤフラムまたは膜体24および第2のダイヤフラムまたは膜体40のたわみ量を印加力の関数として示す、グラフ200である。第1の膜体24のたわみ特性がプロット202によって示されており、第2の膜体40のたわみ特性がプロット204によって示されている。示されているように、印加力がゼロから始まって増大するにつれ、プロット202から、第1の膜体24が第2の膜体40よりも大きい程度までたわむことが見て取れる。グラフ上には、約0.7Nのところに垂直な線206によって指摘される点が存在し、この点は、第1の膜体24が、第1の膜体24のそれ以上の自由なたわみを制限するように動作する埋込みキャビティ27に、どこで接触するかを表している(この状態は上で開示されており、図3Cに図示されている)。この時点以降は、プロット204は、第2の膜体40が示すたわみの度合が大きくなる様子を示しているが、かかる時点より前には、第2の膜体40のたわみは僅かであった。
プロット204は、力をかけ続けると第2の膜体40が引き続きたわむことを示している。したがって、このグラフは、センサ組立体の第1の膜体24および第2の膜体40の、印加力の範囲(この例では第1の膜体24のたわみについてはゼロから約0.7N、および第2の膜体40のたわみについては約0.7から10N)に沿ったたわみ特性を示すように機能し、このことにより、これらの膜体にかかる力を力の圧力の範囲の間で判定するための情報を、正確に提供するように機能する。
【0025】
図5は、第1のダイヤフラムまたは膜体24および第2のダイヤフラムまたは膜体40の感度量を印加力の関数として示す、グラフ300である。第1の膜体24の感度特性がプロット302によって示されており、第2の膜体40の感度特性がプロット304によって示されている。示されているように、印加力がゼロから始まって増大するにつれ、プロット302から、第1の膜体24が第2の膜体40よりも比較的大きいレベルの感度を有することが見て取れる。グラフ上には、約0.7Nのところに垂直な線306によって指摘される点が存在し、この点は、第1の膜体24が、第1の膜体24のそれ以上の自由なたわみを制限するように動作する埋込みキャビティ27に、どこで接触するかを表している(この状態は上で開示されており、図3Cに図示されている)。
この時点以降は、プロット302は、第1の膜体24の感度の急激な低下を示しているが、これとは対照的にプロット304は、増大する印加力の関数としてほぼ直線的なまたは線形の感度レベルを示している。測定の正確さを目的として、第2の膜体40がそのような線形の感度特性を示すことが望まれる。したがって、このグラフは、センサ組立体の第1の膜体24および第2の膜体40の、印加力の範囲(この例では第1の膜体24の感度についてはゼロから約0.7N、および第2の膜体40の感度については約0.7から10N)に沿った感度特性を示すように機能し、このことにより、これらの膜体にかかる力を力の圧力の範囲の間で判定するための情報を、正確に提供するように機能する。
【0026】
本明細書に開示するセンサ組立体の特徴は、第1の膜体24と埋込みキャビティ27と第2の膜体40と裏側キャビティ36との使用によって、従来のセンサ組立体では通常は不可能な、ある範囲の力にわたる力の判定を容易にする構造を含む。そのようなセンサ組立体は、力の範囲の様々な領域において所望する測定正確度が得られるように、例えば第1の膜体24および第2の膜体40のサイズ決定、埋込みキャビティ27の深さ、および/または裏側キャビティ36の深さによって特別に調整したものであってもよい。更に、そのようなセンサ組立体は、埋込みキャビティ27の存在によって、すなわちこれと接触することによって)、第1の膜体24のたわみの程度を物理的に制限し、以って使用中の第1の膜体24の断裂または他の不具合の可能性を最小限にするように動作するが、このことにより、センサ組立体の有効耐用年数を延ばすことができる。更に、本明細書に開示するセンサ組立体は、力センサとして機能する文脈で記載されているが、圧力センサなどの他の用途で使用されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5