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特許7508748少なくとも3つの車輪を有する傾斜車両および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】少なくとも3つの車輪を有する傾斜車両および方法
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/08 20060101AFI20240625BHJP
   B62K 5/08 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B62K25/08 Z
B62K5/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022546419
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 IB2021051766
(87)【国際公開番号】W WO2021176368
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】102020000004780
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】522301843
【氏名又は名称】クーダー エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モロニ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】リグオリ、ミケランジェロ
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524864(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123092(WO,A1)
【文献】特開2006-131155(JP,A)
【文献】米国特許第08480111(US,B1)
【文献】特表2017-525608(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0121687(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110239653(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 25/08
B62K 5/08
B62K 5/027
B62K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フレームと、
互いに並んで設けられた、少なくとも1つの左車輪と少なくとも1つの右車輪とを含む少なくとも3つの車両用車輪と、
前記右車輪と前記左車輪とを前記車両フレームに対して操作可能に接続するサスペンションシステムと、
前記サスペンションシステムに操作可能に接続される電子制御システムと、
を備え、
前記サスペンションシステムは、前記右車輪と前記車両フレームとの間に第1の伸縮性アセンブリを有し、前記第1の伸縮性アセンブリは、前記右車輪と前記車両フレームとの間に推進作用を発揮させ、傾斜車両の傾斜を制御するのに適しており、
前記サスペンションシステムは、前記左車輪と前記車両フレームとの間に第2の伸縮性アセンブリを有し、前記第2の伸縮性アセンブリは、前記左車輪と前記車両フレームとの間に推進作用を発揮させ、前記傾斜車両の傾斜を制御するのに適しており、
前記傾斜車両は、前記電子制御システムに操作可能に接続された少なくとも1つの露出面を含む少なくとも1つの作動インタフェースを備え、
前記少なくとも1つの作動インタフェースは、コマンドに応じて前記傾斜車両の前記傾斜を制御すべく、前記傾斜車両の運転者により必要とされる場合に操作されるよう構成され
前記少なくとも1つの作動インタフェースは、少なくとも1つのロードセルを含み、
前記少なくとも1つのロードセルは、前記運転者により付与された前記コマンドの作用の程度に比例した圧力を検出するよう構成され、前記コマンドの前記作用の前記程度に関する情報を含む信号を前記電子制御システムに送信するために構成される結果、前記電子制御システムは、前記サスペンションシステムの前記第1の伸縮性アセンブリおよび/または第2の伸縮性アセンブリによる対応する推進作用の供給を決定すべく、前記コマンドの前記作用の前記程度に関する前記情報を処理する、
傾斜車両。
【請求項2】
前記少なくとも1つの作動インタフェースは、少なくとも1つの第1の部分と、前記傾斜車両の中央軸に対して反対に配置された少なくとも1つの第2の部分とを含む結果、前記傾斜車両の前記運転者は、前記少なくとも1つの作動インタフェースの前記少なくとも1つの第1の部分および/または前記少なくとも1つの第2の部分を押すことにより、前記車両フレームと、前記右車輪および/または前記左車輪との間に前記推進作用をそれぞれ発揮させるための状態に置かれる、
請求項に記載の傾斜車両。
【請求項3】
シートを備え、
前記少なくとも1つの作動インタフェースの前記露出面は、前記シートより低く位置付けられる、
請求項1または2に記載の傾斜車両。
【請求項4】
前記少なくとも1つの作動インタフェースは、前記傾斜車両の前記運転者の少なくとも1つの足により到達されることができる少なくとも1つのフットボードを形成する方法で、前記傾斜車両の台座上に設けられる、
請求項1からのいずれか一項に記載の傾斜車両。
【請求項5】
前記少なくとも1つの作動インタフェースの前記少なくとも1つの第1の部分および前記少なくとも1つの第2の部分は、前記傾斜車両の2つの反対のペダル上に設けられる、
請求項に記載の傾斜車両。
【請求項6】
前記少なくとも1つの作動インタフェースの前記少なくとも1つの第1の部分および前記少なくとも1つの第2の部分は、ントロールレバーおよび/またはプッシュボタンの型式で、前記傾斜車両のハンドルバー設けられる、
請求項に記載の傾斜車両。
【請求項7】
前記サスペンションシステムの前記第1の伸縮性アセンブリおよび前記第2の伸縮性アセンブリのそれぞれは、油圧-空気圧ショックアブソーバーであり、ピストンを摺動可能に受け入れるシリンダを含むことにより、第1のチャンバを形成し、
(1)前記第1の伸縮性アセンブリの前記第1のチャンバは、ダクトを介して前記第2の伸縮性アセンブリの前記第1のチャンバと流体連通する、
(2)前記サスペンションシステムは、前記電子制御システムと操作可能に接続された、ポンプと、比例ソレノイドバルブと、をさらに含む、および/または
(3)前記電子制御システムは、前記傾斜車両の前進の速度、および/または前記傾斜車両のローリングの傾き角度、および/または前記傾斜車両の前記サスペンションシステムのタンク内の圧力を含む前記傾斜車両の少なくとも1つの状態変数に関する情報を検出するのに適した検出システムに関連付けられる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の傾斜車両。
【請求項8】
前記傾斜車両の前記運転者を受け入れるよう設計された操縦席を画定する、前記車両フレームに堅固に接続されたキャビンをさらに備え、
前記操縦席は、前記運転者が前記操縦席に入ることを許容するために開かれることができる、少なくとも1つのドアを有し、
前記少なくとも1つの作動インタフェースは、前記操縦席の内部に位置付けられる、
請求項1からのいずれか一項に記載の傾斜車両。
【請求項9】
前記ドアの少なくとも1つの緊急ハッチを開くことを可能にするための少なくとも1つの安全システムを備え、
前記少なくとも1つの緊急ハッチは、前記傾斜車両のドアのフレームにヒンジ接続される結果、前記少なくとも1つの緊急ハッチの緊急開放は、前記運転者が地面に少なくとも1つの足をつけることを許容すべく、前記少なくとも1つの緊急ハッチの底部に空隙の形成をもたらすこととなる、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項10】
安全システムは、
前記少なくとも1つの緊急ハッチを安定した閉鎖状態に維持するよう設計された少なくとも1つのロック装置と、
機械的に操作される、および/または電気的に操作される、前記少なくとも1つのロック装置の緊急開放をするためのシステムと、を備
前記少なくとも1つのロック装置の緊急開放をするための前記システムは、
前記少なくとも1つの緊急ハッチをロックするための緊急ロック装置に操作可能に接続された少なくとも1つの作動ケーブルであって、前記傾斜車両の前記操縦席の内部にけられる、前記少なくとも1つの作動ケーブルと、
前記ロック装置をロックされた状態に維持し、動作不良の場合に、制御システムのコマンド信号の結果として、または故障の結果として、電力供給が遮断されて、従って、前記ロック装置を開いて前記少なくとも1つの緊急ハッチを自動開放することを可能にする、電動式装置と、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項またはに記載の傾斜車両。
【請求項11】
右車輪および左車輪を、車両フレームに操作可能に接続する、サスペンションシステムの電子制御システムに操作可能に接続された、少なくとも1つの作動インタフェースにコマンドの作用を付与する段階と、
付与される前記コマンドの前記作用に基づいて、傾斜車両の傾斜を制御すべく、前記車両フレームと前記右車輪および/または前記左車輪との間の推進作用を決定する段階と、を備え、
少なくとも1つの前記車両フレームと、互いに並んで設けられた、前記左車輪および前記右車輪を含む3つの車両用車輪と、を有する、前記傾斜車両の傾斜を制御するための方法であって、
前記少なくとも1つの作動インタフェースは、少なくとも1つのロードセルを含み、
前記サスペンションシステムは、前記右車輪と前記車両フレームとの間に第1の伸縮性アセンブリを有し、前記第1の伸縮性アセンブリは、前記右車輪と前記車両フレームとの間に推進作用を発揮させ、前記傾斜車両の傾斜を制御するのに適しており、
前記サスペンションシステムは、前記左車輪と前記車両フレームとの間に第2の伸縮性アセンブリを有し、前記第2の伸縮性アセンブリは、前記左車輪と前記車両フレームとの間に推進作用を発揮させ、前記傾斜車両の傾斜を制御するのに適しており、
前記少なくとも1つのロードセルは、前記傾斜車両の運転者により付与された前記コマンドの作用の程度に比例した圧力を検出するよう構成され、前記コマンドの前記作用の前記程度に関する情報を含む信号を前記電子制御システムに送信するために構成される結果、前記電子制御システムは、前記サスペンションシステムの前記第1の伸縮性アセンブリおよび/または第2の伸縮性アセンブリによる対応する推進作用の供給を決定すべく、前記コマンドの前記作用の前記程度に関する前記情報を処理する、
方法。
【請求項12】
前記コマンドの前記作用を付与する前記段階は、前記傾斜車両の前記運転者の少なくとも1つの足により実行される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電子制御システムの制御ユニットは、前記運転者によって付与されるコマンドの前記作用の結果として、前記右車輪および/または前記左車輪と、前記車両フレームとの間に発揮される前記推進作用の程度を制限するという、前記運転者の意図を解するよう構成される、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電子制御システムは、検出装置により取得される1または複数の状態パラメータの情報に基づいて、前記傾斜車両の傾斜を自動的に制御するようさらに構成されることにより、前記傾斜車両の低走行速度において、前記電子制御システムは、第1の伸縮性アセンブリまたは第2の伸縮性アセンブリを自動的にブロックできる、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜車両の技術分野に関する。特に、本発明は、傾斜車両および傾斜方法に関する。さらに、本発明は、傾斜車両のための安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、傾斜車両、例えばオートバイは、カーブを曲がる場合に、横向きに傾斜するか、またはロールするよう適合されることが知られる。これらの場合には、車輪の回転速度が増大するにつれて、車輪が回転する際に車両の車輪により生成されるジャイロ効果が、車両の姿勢を安定化させる傾向がある。車輪の回転が低速である場合、従って、車両の低走行速度の場合、車両自体が特に不安定であることが判明する可能性があり、例えば車両が信号機待ちでじっと止まっている場合に、車両自体が片側に転倒することを防ぐために、大抵、運転者が足を地面につけることを強いられる。代わりに、傾斜車両の高走行速度の場合、従って、車輪の回転が高速である場合には、車両の姿勢がより安定となる。カーブを曲がる場合、運転者は、ジャイロスコープ的な角度モーメントの保存の結果として、カーブの方向への車両の傾き(すなわち、車両がカーブの内側へと傾く)をもたらすために、カウンターステア、すなわち、カーブの反対の方向にわずかにステアリングしなければならない。
【0003】
同様に、3つまたは4つの車輪を備える傾斜車両であって、PIAGGIO(登録商標) MP3(登録商標)、PEUGEOT(登録商標) METROPOLIS(登録商標)、YAMAHA(登録商標) TRICITY(登録商標)、TOYOTA(登録商標) i-ROAD(登録商標)、およびQooder(登録商標) QV3(登録商標)といった製品において提示されるように、2つの前輪が互いに並んで設けられ、それらがステアリングすることで、より安定な車両の姿勢を維持する傾斜車両が知られている。
【0004】
作動流体の移送を制御するポンプの作動の制御を介して、油圧-空気圧サスペンションの伸びおよび/または剛性を自動的に管理可能である、所謂垂直化システムをこの種の車両に搭載することが知られている。油圧-空気圧サスペンションに適用され得るこの種のシステムが、本出願人の名前で出願されたEP2046589の書類に例示され、記載されている。そのような垂直化システムのおかげで、互いに並んで設けられた車両の車輪のサスペンションの両方を自動的に硬化することが可能となり、例えば車両が信号機でじっと止まっている場合に、車両の姿勢を安定に維持させ、従って運転者が地面に足をつける必要性を回避することができるようになる。
【0005】
加えて、前述の垂直化システムのおかげで、車両が前進する状態においても姿勢を制御することが可能となる。例えば、米国特許第7802800号の書類は、車両がコーナーを曲がる速度やカーブの半径に応じて、ポンプ、または、あるサスペンションから他のサスペンションへと流体を移動させる様々な装置を使用して車両の傾きを調整することを可能とするシステムを開示する。この場合、傾斜車両を運転することは、自動車を運転すること、すなわち、ハンドルバーを右へ回転させると、車両は右へとカーブを曲がり、傾くというような、さらに、ハンドルバーを左へ回転させると、車両は左へとカーブを曲がり、傾くというような運転に類似する。上述の自動車タイプの運転スタイルによれば、車両をカーブの内側に傾けることと併用して、カーブ自体の内側へとステアリングする一致した動作を行うことができる。しかし、これは、車両が片側に転倒する(車両が横転する)というリスクを全く排除しない。実際、ジャイロスコープ的な角度モーメントの保存の結果として、ある状況においては、この転倒のリスクは増幅さえされる。複数のピンの間のスラロームの経路またはシケインタイプの経路に直面する場合と同様、S字カーブ、すなわち、右へのカーブおよび左へのカーブの連続がある場合のような、運転者がカーブを曲がっている一方で運転者がステアリングの方向を変更することを決める場合のような状況である。そのような方向転換の状況は、郊外の道路においてだけでなく、レーストラックと同様、都市交通においても頻繁に生じる。
【0006】
従って、狭い軌道を持つ少なくとも3つの車輪を有する傾斜車両が、オートバイスタイルで、すなわち、ハンドルバーまたはステアリングホイールを使用したカウンターステアリングによって、傾きの角度を設定してカーブを曲がることを可能とする必要性が顕著に感じられる。
【0007】
言い換えれば、少なくとも3つの車輪を有するそのような車両の運転者が、例えば、右手方向カーブをカウンターステアリングにより曲がる、すなわちわずかに左へステアリングして曲がることを可能とする必要性が感じられる。
【0008】
実際、上述の垂直化制御のための自動システムは、所与の速度閾値を超えた場合に、オートバイスタイルでの車両のステアリングを可能とし、低走行速度において自動車スタイルでの車両のステアリングを可能とする。しかし、運転者があるスタイルから他のスタイルへと移る場合に、運転者により知覚される客観的な困難さへの考慮が十分であるか、という欠点から免れるものでは全くない。例えば、そのような自動垂直化システムを具備する車両が速度閾値を過ぎる場合、システムは、サスペンションへとコマンド信号を自動的に送信する。結果として、運転者は、その特定の前進速度に対してシステムにより選ばれるスタイルに、車両のステアリングを即座に適合させなければならない。
【0009】
カーブで急ブレーキをする場合には、速度閾値を過ぎる結果として、オートバイスタイルから補助運転スタイル(すなわち、自動車スタイル)への移行が自動的に課され、運転者により知覚される困難は、さらに悪化する。この場合には、交通安全も危険にさらされる。また、同様の困難が、加速の間にも知覚される。
【0010】
従って、互いに並んで設けられた少なくとも2つの車輪を有する傾斜車両の、それにより低走行速度での傾斜車両の姿勢の安定性を低下させることのない、より信頼でき、より安全な乗車を実行することへの必要性が顕著に感じられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を克服することである。
【0012】
上記目的および他の目的が、請求項12に係る方法により実現され、同様に請求項1に係る車両によっても実現される。いくつかの有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。
【0013】
提案される解決手段によれば、傾斜車両の運転者には、車両の姿勢に対する改善された制御が提供され、車両の姿勢の安定性の低下をもたらすリスクを防止することができる。
【0014】
提案される解決手段によれば、傾斜車両の運転者には、車両の姿勢に対する改善された制御と同時に、走行状態における十分な程度の安全性が提供される。
【0015】
本発明の車両および方法の態様によれば、傾斜車両は、車両フレームと、互いに並んで設けられた、少なくとも1つの左車輪および少なくとも1つの右車輪を含む少なくとも3つの車両用車輪と、前記右車輪および前記左車輪を前記車両フレームに操作可能に接続する、サスペンションシステムと、電子制御システムと、を備える。
【0016】
本発明の車両および方法の態様によれば、前記サスペンションシステムは、前記右車輪と前記車両フレームとの間に設けられた第1の伸縮性アセンブリであって、前記傾斜車両の傾斜を制御すべく、前記右車輪と前記車両フレームとの間に推進作用を発揮するよう設計された前記第1の伸縮性アセンブリと、前記左車輪と前記車両フレームとの間に設けられた第2の伸縮性アセンブリであって、前記傾斜車両の傾斜を制御すべく、前記左車輪と前記車両フレームとの間に推進作用を発揮するよう設計された前記第2の伸縮性アセンブリと、を有する。
【0017】
本発明の車両および方法の態様によれば、前記傾斜車両は、電子制御システムに操作可能に接続された少なくとも1つの作動インタフェースを備え、前記少なくとも1つの作動インタフェースは、コマンドに応じて、すなわち、少なくとも3つの車輪を有する前記傾斜車両の運転者により付与されるコマンドの作用に応じて、前記傾斜車両の傾斜を制御すべく、前記傾斜車両の前記運転者により必要とされる場合に、作動するよう設計される。
【0018】
本発明の車両および方法の態様によれば、前記作動インタフェースは、前記傾斜車両の右側に設けられる、右側部分または第1の部分と、前記傾斜車両の左側に設けられる、左側部分または第2の部分と、を含む。本発明の車両および方法の態様によれば、前記作動インタフェースは、前記車両の前記運転者の足により操作され得る。
【0019】
本発明の車両および方法の態様によれば、前記傾斜車両は、前記傾斜車両の前記運転者を受け入れるよう設計された操縦席を画定するキャビンをさらに備える。前記操縦席は、前記運転者が前記操縦席へのアクセスを得ることを許容するために開かれることのできる少なくとも1つのドアを含み、前記少なくとも1つの作動インタフェースは、前記操縦席内に位置付けられる。
【0020】
本発明の車両および方法の態様によれば、前記傾斜車両は、前記ドアの緊急ハッチの開放を可能とする安全システムを備え、前記運転者が少なくとも1つの足を地面につけることを許容する、前記緊急ハッチの底部に空隙の形成をもたらす。例えば、前記安全システムのうち1つは、前記少なくとも1つの緊急ハッチをロックするための少なくとも1つの装置と、機械的に操作されるとともに/または、電気的に操作される前記少なくとも1つのロック装置の緊急開放のためのシステムと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明による車両および方法のさらなる特性および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な表示の方法で提供される、それらの実施形態の好ましい例の次の説明から明らかとなるであろう。
図1】一実施形態による、傾斜車両の不等角投影図法の正面図である。
図2】傾斜車両のサスペンションシステムを垂直立面図で示し、サスペンションシステムに関連付けられる作動インタフェースと、制御システムと、を概略的に表す。
図3】一実施形態による、傾斜車両の上方からの不等角投影図である。
図4】一実施形態による、傾斜車両の平面図である。
図5】一実施形態による、不等角投影図における作動インタフェースを示す。
図6図5のインタフェースの分解図である。
図7】一実施形態による、不等角投影図における作動インタフェースを示す。
図8図7のインタフェースの分解図である。
図9】一実施形態による、傾斜車両の不等角投影図を示す。
図10】一実施形態による、安全装置を備える傾斜車両の不等角投影図である。
図11】一実施形態による、安全システムを示す。
図12】一実施形態による、安全システムを示す。
図13】一実施形態による、安全システムを示す。
図14】一実施形態による、安全システムを具備する傾斜車両のドアの不等角投影図である。
図15】一実施形態による、安全システムを具備する傾斜車両のドアの不等角投影図である。
図16】一実施形態による、明確さの理由のために部分的に透視図で表された部品を有する、互いに並んで設けられた少なくとも2つの後輪を有する傾斜車両の一部を示す。
図17】一実施形態による、明確さの理由のために部分的に透視図で表された部品を有する、四輪の傾斜車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
一般的な実施形態により、傾斜車両10が提供される。
【0023】
「傾斜車両」という用語により、カーブを曲がることを目的として、前面29に対して横向きに傾斜するよう、すなわち、ローリングの動きを実行するよう設計された二輪または三輪のオートバイ、傾斜四輪車、およびこれと同様のもののような振動する車両が意味される。例えば、傾斜車両10は、少なくとも1つの内燃エンジン、並びに/または少なくとも1つの電気的におよび/若しくは磁気的に推進するモータにより動力供給されることのできるスクータ等のオートバイである。車両10は、自転車のような人力の車両であってさえもよい。例えば、傾斜車両10は、車両の運転者19により制御されることのできる、ハンドルバー46、さもなければステアリングホイールに例示されるステアリングコントローラ46を備える。
【0024】
傾斜車両10は、少なくとも3つの車両用車輪、または複数の車輪を備える。少なくとも3つの車両用車輪は、少なくとも前方へと走行する状態で傾斜車両10が進行する場合、車両10に対する走行面29上で少なくともローリングの動きを実行するよう設計される。
【0025】
傾斜車両10は、車両フレーム14を備える。フレーム14は、好ましくは、傾斜車両がカーブを曲がる場合に傾斜またはローリングをし、従って、傾斜車両10の姿勢を規定するよう設計された傾斜フレームである。「姿勢」という用語により、傾斜車両の、横方向のローリングの姿勢、または傾斜姿勢が意味される。
【0026】
少なくとも3つの車両用車輪は、互いに並んで設けられた、少なくとも1つの右車輪11と、少なくとも1つの左車輪12とを備える。好ましくは、少なくとも1つの右車輪11は、運転者19に対して傾斜車両10の右側Rに設けられ、少なくとも1つの左車輪12は、運転者19に対して傾斜車両10の左側Lに設けられる。
【0027】
傾斜車両10は、例えば図1に図示されるように、少なくとも1つの右車輪11および少なくとも1つの左車輪12とは並んで設けられない、少なくとも1つのさらなる車輪13をさらに備えてもよい。この場合には、他の車輪と並んで設けられないさらなる車輪13は、車両の後輪である。
【0028】
好ましくは、右車輪11および左車輪12は、例えばハンドルバー46、さもなければステアリングホイールのようなステアリングコントローラ46に接続された、車両のステアリング用車輪である。
【0029】
例えば図17で図示されるように、傾斜車両10は、互いに並んでペアで設けられた少なくとも4つの車両用車輪を備えていてもよい。
【0030】
傾斜車両10は、2つの車輪が互いに位置合わせされ、他の2つの車輪11および12が互いに並んで設けられた少なくとも4つの車両用車輪を備えてもよい。
【0031】
傾斜車両10は、右車輪11および左車輪12を車両フレーム14に操作可能に接続するサスペンションシステム15をさらに備える。
【0032】
サスペンションシステム15は、右車輪11および車両フレーム14の間の少なくとも1つの第1の伸縮性アセンブリ17または右側伸縮アセンブリ17と、左車輪12および車両フレーム14の間の少なくとも1つの第2の伸縮性アセンブリ18または左側伸縮性アセンブリ18と、を備える。例えば、伸縮性アセンブリ17および18は、望遠鏡の方式で伸長したり、短縮したりできる。
【0033】
一実施形態によると、右車輪11および左車輪12は、傾斜車両10の2つの後方車軸の車輪、すなわち2つの後輪であり、サスペンションシステム15は、例えば図16に図示されるように車両の後部サスペンションシステムである。少なくとも1つのさらなる車輪13は、並んで設けられて提供されなくてよく、傾斜車両10の前方車両部に関連付けられて提供されなくてもよい。さもなければ、前方車両部は、互いに並んで設けられた2つの車輪に関連付けられてよい。
【0034】
一実施形態によると、右車輪11および左車輪12は、傾斜車両10の2つの前方車軸の車輪、すなわち、2つの前輪であり、サスペンションシステム15は、車両の前部サスペンションシステムである。
【0035】
一実施形態によると、上述の実施形態のいずれか一つを参照して既に説明されたように、傾斜車両10は、少なくとも4つの車両用車輪を備え、少なくとも4つの車輪は、互いに並んで設けられた2つのペアの車輪を含み、車輪のそれぞれのペアは、右車輪11および左車輪12およびサスペンションシステム15を含む。
【0036】
好ましい実施形態によると、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および第2の伸縮性アセンブリ18の間のそれぞれは、油圧-空気圧ショックアブソーバーを含む。油圧-空気圧ショックアブソーバーは、ピストン33を摺動可能に受け入れるシリンダ30を含み、従って、例えば油のような作動流体を含む第1のチャンバ31を形成する。
【0037】
一実施形態によると、ピストン33は、それぞれの伸縮性アセンブリ17および18内に、圧力下にあるガスを含む第2のチャンバ32を形成する。各伸縮性アセンブリ17および18の第1のチャンバ31および第2のチャンバ32は、それぞれのピストン33により互いに密封型式で分離される。
【0038】
好ましい実施形態によると、第1の伸縮性アセンブリ17の第1のチャンバ31は、少なくとも1つのダクト34を介して第2の伸縮性アセンブリ18の第1のチャンバ31と流体連通する。このように、作動流体は、第1の伸縮性アセンブリ17の第1のチャンバ31と第2の伸縮性アセンブリ18の第1のチャンバ31との間を流れることができる。好ましい実施形態によると、サスペンションシステム15は、第1の伸縮性アセンブリ17の第1のチャンバ31と、第2の伸縮性アセンブリ18の第1のチャンバ31との間で作動流体を移動させるよう設計された、少なくとも1つのポンプ37をさらに含む。好ましくは、ポンプ37は、ダクト34に搭載される油圧ポンプである。
【0039】
好ましい実施形態によると、それぞれのピストン33は、ステム35に関連付けられる。ステム35は、続いて、互いに並んで設けられた2つの車輪である車両用車輪11,12が回転自在に搭載されるアーム36に、例えば関節連結の型式で接続される。好ましい実施形態によると、サスペンションシステム15は、ダクト34に接続された少なくとも1つのタンク40をさらに含む。
【0040】
ポンプ37は、傾斜を制御するために、複数の第1のチャンバ31の間で作動流体を移動させ、比例ソレノイドバルブ38と協働する。一実施形態によると、オン-オフバルブ51は、当該バルブ51を閉鎖することにより、サスペンションをブロックすることを可能として、従って、長期間、車両を停止可能にできるために提供される。
【0041】
一実施形態によると、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および第2の伸縮性アセンブリ18の間のそれぞれに設けられるシステムは、電子システムである。
【0042】
傾斜車両10は、サスペンションシステム15に操作可能に接続された、好ましくは少なくとも1つのデータ処理ユニットを含む電子制御システム16をさらに備える。サスペンションシステム15に操作可能に接続された電子制御システム16が提供されることにより、第1の伸縮性アセンブリ17および第2の伸縮性アセンブリ18の制御が可能となる。
【0043】
サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17は、傾斜車両10の傾斜を制御すべく、右車輪11および車両フレーム14の間に推進作用を発揮するよう設計される。右車輪11および車両フレーム14の間の推進作用のおかげで、傾斜車両10の姿勢を制御する、例えば車両を左に傾くように車両のフレーム14を付勢する、第1の伸縮性アセンブリ17の伸長をもたらすことができる。
【0044】
サスペンションシステムの第2の伸縮性アセンブリ18は、傾斜車両10の傾斜を制御すべく、左車輪12および車両フレーム14の間に推進作用を発揮するよう設計される。左車輪12および車両フレーム14の間の推進作用のおかげで、傾斜車両10の姿勢を制御する、例えば車両を右に傾くように車両のフレーム14を付勢する、第2の伸縮性アセンブリ18の伸長をもたらすことができる。
【0045】
伸縮性アセンブリ17または18のうち1つが伸長する間、他の伸縮性アセンブリ18または17が同時に短縮することを見て取ることができる。
【0046】
一実施形態によると、電子制御システム16は、傾斜車両10の傾斜を制御すべく、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および第2の伸縮性アセンブリ18の間のそれぞれの可能な伸長および/または短縮を引き起こすよう、それぞれの推進作用を独立してもたらすよう構成される。
【0047】
上で用いられる「独立して」という表現は、サスペンションシステム15の伸縮性アセンブリ17および18が同時に短縮する可能性、および/または、同時に伸長する可能性、および/または、一方が短縮し、他方が伸長する可能性を排除することを意図するものではない。
【0048】
傾斜車両10は、有利に、電子制御システム16に操作可能に接続され、コマンドに応じて、傾斜車両10の傾斜を制御すべく、傾斜車両10の運転者19により必要とされた場合に操作されるよう設計される、少なくとも1つの作動インタフェース20を備える。
【0049】
この種の傾斜車両10のおかげで、傾斜車両10の運転者19は、少なくとも1つの作動インタフェース20にコマンドの作用を付与して、直観的な方法で車両10の傾斜を制御できる。
【0050】
電子制御システム16に操作可能に接続された少なくとも1つの作動インタフェース20が提供されることにより、傾斜車両10の運転者19がサスペンションシステム15の伸縮性アセンブリ17および18を有効に作動させることができる。
【0051】
さらなる利点として、少なくとも1つの作動インタフェース20は、使用する場合に、運転者19の体の少なくとも一部に対し、操作可能に面した露出面24を備え、その結果、運転者19は、露出面24へとコマンドの作用を付与することができる。「露出面24」という用語により、好ましくは、運転者19による力の実質的な直接適用により、例えば押されるなどして触れられるよう設計された自由表面を示すことが意味され、ステアリングコマンドの伝達部材の内部の表面を示すことは意味されない。
【0052】
作動インタフェース20の2つの部分21および22が提供される場合、部分21および22のそれぞれ、並びに両方は、露出面24を有してよい。露出面が手動制御レバーに設けられる場合、露出面24は、運転者が車両を運転している間に、運転者がハンドルレバーグリップを保持する場合などに、運転者の手の指の内側のみに面していてさえしてよい。
【0053】
露出面24を提供することにより、傾斜車両10の傾斜の制御を目的として、運転者19がコマンドの作用を作動インタフェース20に付与することが簡単になる。
【0054】
好ましい実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20は、少なくとも、第1の部分21および傾斜車両10の中央軸M-Mに対して反対側に配置された第2の部分22を含む。例えば、作動インタフェース20の第1の部分21は、運転者19に対して傾斜車両10の右側Rに設けられ、第2の部分22は、運転者19に対して傾斜車両10の左側Lに設けられる。
【0055】
好ましい実施形態によると、右側Rに設けられる作動インタフェース20の第1の部分21に付与されるコマンドの作用は、傾斜車両10の左側Lへの傾斜の増大を引き起こし、左側Lに設けられる作動インタフェース20の第2の部分22に付与されるコマンドの作用は、傾斜車両10の右側Rへの傾斜の増大を引き起こす。例えば、右側Rに設けられる作動インタフェース20の第1の部分21に付与されるコマンドの作用は、伸縮性アセンブリ17の可能な伸長および推力を引き起こし、それにより右側Rに設けられる車輪11に推力を発揮する。同様に、左側Lに設けられる作動インタフェース20の第2の部分22へのコマンドの作用は、伸縮性アセンブリ18の可能な伸長および推力を引き起こし、それにより左側Lに設けられる車輪12に推力を発揮する。
【0056】
作動部分またはインタフェース21,22は、両方とも同時に操作されてよい。この場合、結果として生じる車両の姿勢の傾斜の方向は、例えば、各インタフェース21,22に適用される圧力量の差に依存してよく、さもなければ、同時操作の場合には、車両の姿勢は一定に保たれることとなり、好ましくは、車両の姿勢は、実質的に水平な配置に制御されることとなる。
【0057】
この種の傾斜車両10のおかげで、運転者19は、作動インタフェース20の第1の部分21および/または第2の部分22を押すことにより、対応する推力を直観的な方法で車輪11および12に発揮可能な状態に置かれる。
【0058】
好ましくは、傾斜車両10の右側Rに設けられるインタフェース21は、操作される場合に、右車輪11に推力を発揮し、傾斜車両10の左側Lに設けられるインタフェース22は、操作される場合に、左車輪12に推力を発揮する。
【0059】
使用される場合、運転者19は、コマンドに応じて、傾斜車両10の傾斜を制御すべく、少なくとも1つの作動インタフェース20にコマンドの作用を付与する。好ましくは、運転者19により付与されるコマンドの作用は、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および第2の伸縮性アセンブリ18の2つの第1のチャンバ31の間で作動流体の一部を移送するポンプ37の起動をもたらす。このように、コマンドに応じて、それぞれの推力の作用が制御された型式で取得される。それぞれの推力の作用は、サスペンションシステム15の伸縮性アセンブリ17,18の伸長および/または短縮をもたらすことができる。例えば、ソレノイドバルブ38は、オイルポンプ37と組み合わされて動作し、ポンプ37自体の作用をより多く、またはより少なく活性化させる。従って、バルブ38を完全に閉鎖すると、オイルポンプの作用が最大となり、逆に、バルブ38を最大に開くと、オイルポンプの作用が最小となる。結果として、バルブ38を完全に開放すると、ポンプにより発揮されるほどほどの推力では、伸縮性アセンブリを伸長することにつながらない可能性がある。
【0060】
一実施形態によると、電子制御システム16は、傾斜車両10の走行速度、および/または傾斜車両10のローリングの傾き角度、および/または傾斜車両10のサスペンションシステム15のタンク40の圧力のような、傾斜車両10の少なくとも1つの状態変数についての情報を検出するよう設計された検出システムに関連付けられる。「ローリングの傾き角度」という」用語により、好ましくは、例えば、鉛直軸および/または水平軸に対する傾斜車両の中央軸M-Mの傾きとして評価される、傾斜車両の傾斜の角度が意味される。検出システムは、好ましくは、傾斜車両10の少なくとも1つの状態変数のリアルタイム検出を行い、電子制御システム16とリアルタイムで協働する。一実施形態によると、電子制御システム16は、傾斜車両10の姿勢に関する複数のデータを傾斜車両の少なくとも1つの状態変数の関数として記憶するメモリをさらに含む。検出システムは、好ましくは、傾斜車両10の瞬時速度および/または傾斜車両10の加速についての情報を検出するよう設計される少なくとも1つの速度センサ43を含む。検出システムは、好ましくは、電子制御システム16のデータを処理するための制御ユニットに操作可能に接続された、少なくとも1つの慣性プラットフォーム44、またはIMU(Inertial Measurement Unit)44を含む。
【0061】
一実施形態によると、電子制御システム16は、検出システムと協働して、傾斜車両10の姿勢を安定に維持すべく、傾斜車両10の1または複数の状態パラメータについて取得される情報に基づいて、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17によって発揮される推進作用および第2の伸縮性アセンブリ18によって発揮される推進作用を独立して調整する。このように、電子制御システム16は、傾斜車両10の姿勢を安定に維持すべく、作動インタフェース20を操作することにより運転者19が要求する推進作用を調整するために、検出システムと協働する。このように、電子制御システム16の作動インタフェース20に運転者19により付与されるコマンドの作用の結果として、傾斜車両10のいかなるバランスの喪失も防止される。好ましい実施形態によると、電子制御システム16は、傾斜車両10の姿勢を安定に維持すべく、検出システムにより検出される情報についてのフィードバックループ制御を発揮する。
【0062】
例えば、作動インタフェース、例えばペダルに加えられる不適切な圧力が、傾斜車両10を片側に転倒するように導いてはならず、この目的のために、電子制御システム16の制御ユニットは、運転者19の意図を解し、必要に応じて、傾斜車両10の姿勢を安定に維持することを目的として運転者19により付与されるコマンドの作用の結果として少なくとも1つの車輪11または12と、車両フレーム14との間に発揮される推進作用の程度を制限するよう構成される。
【0063】
例えば、傾斜車両10が停止状態からスタートを切って、すぐに右に旋回またはステアリングしなければならない場合、電子制御システム16が、この場合実質的にゼロである車両の速度などの車両の少なくとも1つの状態変数の検出のためのシステムと協働することにより、車両がそれによって片側に転倒するリスクのない推進作用が発揮されることを可能とするので、作動インタフェース20に運転者19によって付与されたコマンドの作用は、顕著に車両10の傾斜を制御する。
【0064】
電子制御システム16および検出システムの間の協働のおかげで、傾斜車両10の姿勢の管理は、改善された安全度において可能となり、同時に、傾斜車両10の運転者19によって少なくとも1つの作動インタフェース20に付与されるコマンドの作用の最大活用を可能とする。
【0065】
さらに、運転者19は、傾斜車両の姿勢を安定に維持するために、車両の少なくとも1つの状態変数を検出するよう設計された検出装置により検出された情報に基づいて、運転者のコマンドの作用がフィルタリングされる、すなわち、電子制御システム16により解される限り、少なくとも1つの作動インタフェース20で安全に操作する状態に置かれる。この目的のために、車両フレーム14と車輪11,12との間の推進作用の程度を調整する。
【0066】
例えば図6に図示されるように、少なくとも1つの作動インタフェース20は、好ましくは、少なくとも1つのロードセル23を含む。このように、コマンドの作用は、少なくとも1つの作動インタフェース20を押すことにより、付与することができ、この圧力は、ロードセル23により検出され、電子制御システム16に送信される。運転者19により少なくとも1つのコマンドインタフェース20に付与されるコマンドの作用は、より多く、またはより少なく活性化してよく、コマンドの作用の程度の検出は、コマンドの作用の程度に実質的に比例する方法で傾斜車両10の傾斜を制御するように電気ポンプ37の対応する作用を生成する。
【0067】
ロードセル23は、好ましくは、運転者19により付与されるコマンドの作用の程度に比例する圧力を検出し、対応する信号を電子制御システム16に送信する。この電子制御システム16は、コマンドの作用の程度に関するこの情報を処理して、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および/または第2の伸縮性アセンブリ18の設計された推進作用の実行を決定する。言い換えれば、少なくとも1つのロードセル23は、運転者19により付与されたコマンドの作用の程度に比例する圧力を検出し、コマンドの作用の程度についての情報を含む信号を電子制御システム16に送信し、その結果、電子制御システム16がコマンドの作用の程度に関する情報を処理して、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および/または第2の伸縮性アセンブリ18による対応する推進作用の実行を決定できるよう構成されることとなる。
【0068】
電子制御システム16は、検出装置によって取得された1または複数の状態パラメータの情報に基づいて、傾斜車両10の傾斜も自動的に制御でき、例えば、傾斜車両10の低走行速度において、傾斜車両10の姿勢を安定に維持するように伸縮性アセンブリ17,18を自動的にブロックできる。
【0069】
走行状態において、制御システム16がタンク40内の作動流体の圧力についての情報を受信し、ポンプ37および/または比例ソレノイドバルブ38にコマンドの作用を伝達する場合、比例ソレノイドバルブ38は、ポンプ37の作用を有効にするように、作動流体の流量を管理する。
【0070】
好ましい実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20は、傾斜車両10の運転者19の少なくとも1つの足39が到達できるフットボードを形成する方法で、傾斜車両10の台座25に設けられる。作動インタフェース20の前述の2つの部分21,22が提供される場合、第1の部分21は、運転者19の第1の足39、例えば右足によって到達されて操作されることができ、第2の部分22は、運転者19の第2の足39、例えば左足によって到達されて操作されることができる。
【0071】
少なくとも1つの露出面24は、好ましくは、ダッシュボードのフェアリング上または車両フットボードのフェアリング上に設けられる。
【0072】
作動インタフェース20の第1の部分21および第2の部分22は、互いに分離されてよく、接続されなくてよく、それぞれが露出した作動表面24を有する2つの島部を実質的に形成してもよい。これにより、作動インタフェース20の部分21,22を傾斜車両10の反対側R,Lに一定の距離離間して設けることができる。
【0073】
一実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20の第1の部分21および第2の部分22は、傾斜車両10の2つの反対のペダルに設けられる。このように、運転者19は、作動インタフェース20の第1の部分21および/または第2の部分22を押すことにより、好ましくはペダル21および22に、車輪11および12に対応する推力を発揮可能な状態に置かれる。好ましくは、傾斜車両10の右側Rに設けられたペダル21は、操作された場合、右車輪11に推力を発揮し、傾斜車両10の左側Lに設置されたペダル22は、操作された場合、左車輪12に推力を発揮する。このように、運転者19は、地面に足39または複数の足をつけるように、車輪11および12に推力を発揮することが直観的に可能となる。地面に足39または複数の足をつけた場合に得られる効果に相当する傾斜車両10の姿勢についての効果を、しかしながら、地面に足または複数の足をつける動作が伴うというリスクを冒すことなく、得ることができる。
【0074】
一実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20の第1の部分21および第2の部分22は、例えば、制御レバーおよび/または押しボタンの形態で、傾斜車両10のハンドルバー46の反対側に設けられる。このように、作動インタフェース20は、傾斜車両10のハンドルバー46に設けられることができ、その露出面24に運転者19によって付与された手動コマンドにより操作されるように設計することができる。
【0075】
一実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20の第1の部分21および第2の部分22は、例えば、制御レバーおよび/または押しボタンの形態で、傾斜車両10のステアリングホイールの反対側に設けられる。
【0076】
一実施形態によると、作動インタフェース20は、シート42および/またはシート支持部に設けられる。一実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20の第1の部分21および第2の部分22は、傾斜車両10のシート42および/またはシート支持部に設けられる。
【0077】
一実施形態によると、例えば作動インタフェース20がシート42および/またはシート支持部に設けられる場合、右側Rに設けられた作動インタフェース20の第1の部分21に付与されるコマンドの作用により、傾斜車両10の右側Rへの傾斜の増大が決定し、左側Lに設けられた作動インタフェース20の第2の部分22に付与されるコマンドの作用により、傾斜車両10の左側Lへの傾斜の増大が決定する。
【0078】
一実施形態によると、作動インタフェース20は、ロードセル23と、露出面24を具備するロードセル23を覆うためのカバー要素61を備える。ロードセル23と、制御システム16のデータ処理ユニットとの間には、ロードセル操作用接続部65が提供される。ロードセル23を支持する支持要素62が提供されてよく、その結果、ロードセル23は、カバー要素61および支持要素62の間に位置付けられることとなる。
【0079】
一実施形態によると、例えば図6において図示されるように、カバー要素61は、支持要素62に対して、関節連結され、例えば少なくとも1つの接続ロッド63の介在により、直接的または間接的にヒンジ接続される。所定の値だけロードセル23から露出面24を離すよう付勢する、1または複数の弾性要素64が提供されてよい。運転者19によって知覚される作動インタフェース20の移動は、1または複数の弾性要素64の剛性に作用することにより調整されることができる。
【0080】
例えば図8に図示される実施形態によれば、カバー要素61は、ロードセル23に密接に接触して関連付けられており、例えば、カバー要素61は、ロードセル23に固定される。好ましくは、カバー要素61は、露出面24をロードセル23から離すように付勢するよう、弾性的に変形可能な材料、例えばエラストマーで製造される。運転者19により知覚される作動インタフェース20の移動は、カバー要素61の組成および材料の弾性応答に関する作用により調整される。
【0081】
一実施形態によると、傾斜車両10は、車両フレーム14に堅固に接続されたキャビン45をさらに備え、キャビン45は、傾斜車両10の運転者19を受け入れるよう設計される操縦席47を画定する。好ましくは、操縦席47は、運転者19が操縦席47にアクセスを得ることを許容するために開かれることができる少なくとも1つのハッチ48を含む。好ましくは、少なくとも1つの作動インタフェース20は操縦席47内部に位置付けられる。操縦席47が提供される場合、ステアリングコントローラ46も提供され、好ましくは、運転者19のための少なくとも1つのシート42が操縦席47内部に提供される。運転者19がシート42に座る場合、運転者は少なくとも1つの作動インタフェース20に容易に到達することができる。
【0082】
一実施形態によると、少なくとも1つの作動インタフェース20の露出面24は、シート42より低く設けられる。
【0083】
既に説明された実施形態と必ずしも組み合わされなくてもよい一実施形態によると、傾斜車両10は、少なくとも1つのハッチ48の緊急開放を可能にするための安全システム50を備える。このように、運転者19は、制御システム16および/または作動インタフェース20の動作不良の場合に、足39を地面29につけることが許容される。
【0084】
一実施形態によると、安全システム50の1つは、第1のチャンバ31およびサスペンションシステム15のダクト34の間の流体の通過を選択的に防ぐように設計される少なくとも1つのオン-オフバルブ51に操作可能に接続される、1または複数の作動ケーブル、例えばボーデンケーブルを含む。例えば、ボーデンケーブルを手動で引っ張ることにより、オン-オフバルブ51が閉じる。このように、作動流体の通過が遮断され、傾斜車両10が安定化する。すなわち、サスペンションシステムの電子制御システムの動作不良の場合にも、長時間の停止の場合にも、傾斜がブロックされ、運転者は、バランスを崩さないように地面に足をつく必要がないようにできる。
【0085】
一実施形態によると、例えば図12に図示されるように、安全システム50の1つは、傾斜車両10のキャビン45の少なくとも1つのハッチ48をロックするための緊急ロック装置53に操作可能に接続された少なくとも1つの作動ケーブル52を含む。少なくとも1つの作動ケーブル52は、好ましくは、操縦席47の内部に設けられる。このように、運転者19は、作動ケーブル52を操作することにより、少なくとも1つのハッチ48の緊急開放を引き起こす。作動ケーブル52は、図12の矢印で示されるように、運転者19の脚または足39の作用を介して操作できるように、例えば傾斜車両10のシート42より低い位置のドア59の底部に設けられることができる。
【0086】
例えば図14に図示されるように、少なくとも1つのハッチ48は、ハッチ48の緊急開放が、運転者19が容易に少なくとも1つの足39を地面29につけることを許容すべく、ハッチ48の底部における空隙または経路54の形成をもたらすこととなるように、傾斜車両10のドア59のフレーム49にヒンジ接続されており、従って傾斜車両10の姿勢を安定化させ、すなわち運転者19が地面29に少なくとも1つの足39をつける結果として、その傾斜を実質的に安定化する。一実施形態によると、ハッチ48のロック装置53は、ハッチ48を安定した閉鎖状態に維持するように設計される。
【0087】
ロック装置53のロック作用は、例えば制御ケーブル52を介して、機械的に制御されることができ、または電気的に制御されることもできる。言い換えれば、少なくとも1つの機械的および/または電気的に操作されるロック装置53を開放するための緊急開放システムが提供される。
【0088】
一実施形態によると、ハッチ48のロック装置53は、双安定または冗長係合システムを含む。
【0089】
一実施形態によると、ロック装置53は、代替的には、機械的な方法で、さもなければ電気的な方法、例えば電気的接続を介して、制御システム16のデータ処理ユニットと係り止めされた状態に維持される。このように、車両エンジンがオフである状態では、ハッチ48は機械的に閉じた状態に維持される。車両エンジンがオンされる場合、電気的な力によりロック装置53をロックさせる。動作不良の場合、電流は、制御システム16のコマンド信号の結果として、または故障の結果として遮断され、従って、ハッチ48が自動的に開かれるように設定装置53を開放する。
【0090】
ハッチ48の緊急開放は、ハッチ48を開くように付勢する少なくとも1つの弾性装置を提供することによって促進され、空隙54の形成を促進することができる。
【0091】
一実施形態によると、ハッチ48は、ハッチ48の緊急開放と、空隙54の形成とを可能にするよう、操縦席47に面するパニックハンドルを含む。
【0092】
例えば図15において図示されるような実施形態によると、ハッチ48は、操縦席47とは反対の方向を向くその外面55に、傾斜車両10の前進の間に空気の流れ66と空気力学的に相互作用するような形態を有するプロファイルを有する。ハッチ48の外面55のプロファイルの形態は、傾斜車両10の前進の速度が増加するにつれて増加する、ハッチ48を閉じた状態に維持することを目的とした保持力67を発揮するよう構成されることができる。このように、ハッチ48は、車両10の高走行速度における緊急開放に対するより大きな抵抗を示し、車両10の低走行速度におけるより小さな抵抗を示す。以下で記載されるのは、傾斜車両10の傾斜を制御するための方法である。
【0093】
一般的な動作モードによると、少なくとも1つの車両フレーム14と、互いに並んで設けられた左車輪12および右車輪11を含む、3つの車両用車輪と、を備える傾斜車両10の傾斜を制御する方法は、以下の段階を備える。
-右車輪11および左車輪12を車両フレーム14に操作可能に接続するサスペンションシステム15の電子制御システム16に操作可能に接続される少なくとも1つの作動インタフェース20にコマンドの作用を付与する段階、および、
-付与されたコマンドの作用に基づいて、車両フレーム14と、右車輪11および/または左車輪12との間の推進作用を決定して傾斜車両10の傾斜を制御する段階。
【0094】
可能な動作モードによると、方法は、傾斜車両10の姿勢を安定に維持するために、傾斜車両10の1または複数の状態パラメータに関する情報を取得し、それに応じて車両フレーム14と、右車輪11および/または左車輪12との間の推進作用の程度を調整するさらなる段階を備える。
【0095】
可能な動作モードによると、方法は、傾斜車両10の傾斜を制御するために、推力を発揮して、サスペンションシステム15の第1の伸縮性アセンブリ17および第2の伸縮性アセンブリ18のそれぞれの可能な伸長および/または短縮を独立して引き起こすさらなる段階を備える。
【0096】
好ましい動作モードによると、少なくとも1つの作動インタフェース20にコマンドの作用を付与する段階は、傾斜車両10の運転者19の少なくとも1つの足39によって実行される。
【0097】
可能な動作モードによると、コマンドの作用を付与する段階は、傾斜車両10の運転者19の少なくとも1つの手により実行される。
【0098】
可能な動作モードによると、傾斜車両10の傾斜は、傾斜車両がじっと止まっている場合、または例えば低走行速度で進行する場合に、電子制御システム16により自動的に制御される。
【0099】
可能な動作モードによると、傾斜車両10の傾斜は、全ての使用状態で、作動インタフェース20の作動を介して運転者19により手動で制御される。
【0100】
可能な動作モードによると、傾斜車両10の傾斜は、例えば緊急事態に、運転者19の少なくとも1つの足を地面につけることにより発揮される推進作用により制御される。
【0101】
傾斜車両10が、操縦席47を画定するキャビン45を有する閉じられた車両である、可能な動作モードによると、既に説明した実施形態のいずれか一つにより、機械的に操作される、および/または、電気的に操作される緊急ハッチ48が提供される。好ましくは、車両が低走行速度で進行する場合、緊急ハッチ48は開放されることができる。好ましくは、緊急ハッチ48は、運転者の脚または足によって発揮される推力の作用、例えば横方向の推力を介して開放されることができる。
【0102】
好ましい動作モードによると、方法は、上述の実施形態のいずれか一つによる傾斜車両10により実装される。
【0103】
特定の実施形態において互いに別々にまたは一緒に合わせて提供される上述の特性のおかげで、上述の矛盾する要求および前述の所望の利点を同時に満たす車両および方法を得ることが可能である。特に、
-本発明は、車両が静止している状態および車両が前方へ走行している状態の両方で、コマンドに応じて直観的な方法で傾斜車両の傾斜、従ってローリングの角度を制御することを可能とする。
-本発明は、運転の安全性を改善し、運転者のための快適性を向上させ、特にカーブを曲がる場合に、運転者の運転の自由度を向上させる。
-制御システムは、運転者から付与されるコマンドの作用をフィルタリングすることができ、傾斜車両のアンバランスを防止する。
-傾斜車両の姿勢を制御するための半自動システムが提供される。
-本発明は、制御システムが動作不良の場合でさえも機能する安全システムを提供することにより、運転者の安全性を改善させることができる。
-運転者により直観的な方法で操作されることのできる緊急システムが提供される。
【0104】
当分野の当業者であれば、条件および特定のニーズに適合すべく、上述の実施形態に要素の多数の修正、適合、および他の機能的に等価な要素への置換を、それらにより、次の請求項の技術的範囲から逸脱することなく行うことが可能である。
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