(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】配筋測定システムおよび配筋測定方法。
(51)【国際特許分類】
G01B 11/08 20060101AFI20240625BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240625BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20240625BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01B11/08 H
G06T7/00 350B
G06T7/00 610Z
E04G21/12 105Z
E04G21/18 A
(21)【出願番号】P 2023182800
(22)【出願日】2023-10-24
【審査請求日】2023-12-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513146376
【氏名又は名称】コムシス情報システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591197699
【氏名又は名称】日本高圧コンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【氏名又は名称】幸田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100145148
【氏名又は名称】北上 日出登
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】上島 顕
(72)【発明者】
【氏名】千葉 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】坪井 一晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 憲一
(72)【発明者】
【氏名】宮越 亮
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅樹
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/024499(WO,A1)
【文献】特開2022-164949(JP,A)
【文献】特開2015-1146(JP,A)
【文献】特開2020-027058(JP,A)
【文献】特開2019-196992(JP,A)
【文献】特開2022-114783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/08
G06T 7/00
E04G 21/12
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実寸を示す基準物が含まれた撮影画像において、少なくとも鉄筋の長手方向に沿った鉄筋位置それぞれの特定処理を受け、特定された各鉄筋位置を少なくとも一時的に記憶する位置記憶部と、
前記各鉄筋位置に示される各鉄筋領域に対し、前記基準物に示される実寸に基づき所定の長さ分を範囲指定する指定部と、
前記指定部により指定された範囲内の部分画像に対し、鉄筋の分類ごとに特徴的な
節の数にしたがって、いずれの分類に属するか判別する判別部と、
前記判別部の判別結果を用いて鉄筋径を取得する取得部と、
を備える配筋測定システム。
【請求項2】
前記指定部は前記撮影画像内の基準物に基づき、画像内の前記所定の長さと、該長さ方向と直交する方向の所定の幅とによって、前記範囲を指定する
ことを特徴とする請求項1に記載の配筋測定システム。
【請求項3】
撮影画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の配筋測定システム。
【請求項4】
前記判別部は、機械学習による画像分類により分類を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の配筋測定システム。
【請求項5】
前記指定部は、
前記撮影画像内の基準物を検出した上で、その配置パターンの分類をし、
前記分類ごとに基準物の特徴点を検出し、
その特徴点の検出によって、基準物の範囲を特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の配筋測定システム。
【請求項6】
配筋測定方法であって、
実寸を示す基準物が含まれた撮影画像において、少なくとも鉄筋の長手方向に沿った鉄筋位置それぞれの特定処理を受け、特定された各鉄筋位置を少なくとも一時的に記憶する工程と、
前記各鉄筋位置に示される各鉄筋領域に対し、前記基準物に示される実寸に基づき所定の長さ分を範囲指定する工程と、
指定部により指定された範囲内の部分画像に対し、鉄筋の分類ごとに特徴的な
節の数にしたがって、いずれの分類に属するか判別する工程と、
判別部の判別結果を用いて鉄筋径を取得する工程と、
を備えた配筋測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配筋測定システムおよび配筋測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートを用いた構造物の土木工事や建築工事等において、間隔をあけて鉄筋を配置する工程がある。従来、その工程の後、目視にて配置する鉄筋の本数と間隔の確認が行われていた。しかしながら、近年土木工事の現場において測定の品質向上や、省力化が望まれるようになっている。
【0003】
この点、配置された鉄筋(鉄筋出来形)を撮影し、そのデータに基づいて鉄筋径、鉄筋間隔等を計測する技術の開発が進められている。例えば鉄筋コンクリートを用いる土木工事において、配筋作業の実施者等が鉄筋出来形の鉄筋径、鉄筋間隔等を撮影し、画像データとする。例えば鉄筋出来形の撮影による画像データから領域検出モデルにより鉄筋を検出して計測する技術が提案されている(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄筋出来形の撮影においては、鉄筋における節やリブの写り方が定まらないという問題がある。撮影画像に対する鉄筋の検出の精度が高くても、節やリブの写り方に問題があれば、検出された鉄筋に基づき計測された鉄筋径は誤りを含むおそれがある。また撮影画像における鉄筋は円柱形の形状である。これにより、撮影手段と対象との距離間に応じて太さに相違があるかのように描画される可能性がある。
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、配筋測定システムにおいて測定ミスを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の配筋測定システムは、位置記憶部と指定部と判別部と取得部を含む。位置記憶部は、実寸を示す基準物が含まれた撮影画像において、少なくとも鉄筋の長手方向に沿った鉄筋位置それぞれの特定処理を受け、特定された各鉄筋位置を少なくとも一時的に記憶する。指定部は、各鉄筋位置に示される各鉄筋領域に対し、基準物に示される実寸に基づき所定の長さ分を範囲指定する。判別部は、指定部により指定された範囲内の部分画像に対し、鉄筋の分類ごとに特徴的な識別要素にしたがって、いずれの分類に属するか判別する。取得部は、判別部の判別結果を用いて鉄筋径を取得する。実施形態の配筋測定システムにおいて、指定部は前記撮影画像内の基準物に基づき、画像内の前記所定の長さと、該長さ方向と直交する方向の所定の幅とによって、前記範囲を指定してもよい。
【0008】
実施形態の配筋測定システムにおいて、1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部を有していてもよい。
【0009】
実施形態の配筋測定システムにおいて、判別部は、機械学習による画像分類により分類を判別してもよい。
【0010】
実施形態の配筋測定システムにおいて、鉄筋位置は前記変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別して特定されてもよい。
【0011】
実施形態の配筋システムにおいて、撮影された画像の一範囲または全範囲を指定する入力にしたがい、画像処理部による視線方向が変換されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
実施形態によれば、配筋測定システムにおいて配筋の測定の誤りを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の配筋測定システムを示す概略ブロック図。
【
図5】第2実施形態の配筋測定システムを示す概略ブロック図。
【
図9】第3実施形態の配筋測定システムを示す概略ブロック図。
【
図10】第4実施形態の配筋測定システムを示す概略ブロック図。
【
図13】ロッドテープ配置検出の概略フローチャート。
【
図16】十字パターンにおける縦横それぞれのロッドテープ検出処理の過程を示す一例。
【
図17】第4実施形態における概略フローチャート。
【
図19】第5実施形態の配筋測定システムを示す概略ブロック図。
【
図21】第5実施形態における概略フローチャート。
【
図22】視点変換(射影変換)後・二値画像の一例。
【
図27】横方向走査・判定後の画素置換状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図27を参照して、各実施形態にかかる配筋測定システムについて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる配筋測定システム100の全体構成について
図1~
図4を参照して説明する。なお、
図1における配筋測定システムは一例であり、その他の構成を含むことを除外するものではなく、様々な形態で実施することが可能である。
【0016】
(システムの概要)
図1に示すように、配筋測定システム100は、撮影部110、記憶部120、画像処理部130、指定部140、判別部150、取得部160、制御部Cおよび表示手段Dを備える。撮影部110は、例えばタブレット端末に設けられた撮像手段である。撮像手段により得られた撮像データは、タッチパネルや保存ボタンの操作により、画像データとして記憶部120に記憶される。また、記憶部120は実寸を示す基準物が含まれた撮影画像において、少なくとも鉄筋の長手方向に沿った鉄筋位置それぞれの特定処理を受け、特定された各鉄筋位置を少なくとも一時的に記憶する。画像処理部130は撮影データの生成、表示処理を実行する。指定部140は、一時的に記憶された各鉄筋位置に示される各鉄筋領域に対し、基準物に示される実寸に基づき所定の長さ分を範囲指定する。判別部150は指定部により指定された範囲内の部分画像に対し、鉄筋の分類ごとに特徴的な識別要素にしたがって、いずれの分類に属するか判別する。取得部160は、判別部の判別結果を用いて鉄筋径を取得する。なお、以下の図に表される画像は一例である。
【0017】
(撮影部110)
撮影部110は、図示しない1つの光学系、すなわちレンズ、絞りおよびシャッタ等を有する。撮影部110は合焦機能(オートフォーカス等)を有していてもよい。また撮影部110は図示しない撮像素子を有し、撮像素子は光学系を制御して撮像データを生成する。撮像素子としてはCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを挙げることができる。また撮影部110は撮像データをとA/D変換する信号処理回路等を備える。
【0018】
(記憶部120)
記憶部120は、撮像データ、画像データ、各種プログラムや後述の指定鉄筋位置等を記憶する。記憶部120としては、HDD、SSD、フラッシュメモリの他、任意のデバイスを利用可能である。また記憶部120は少なくとも一時的なデータの記憶をする一時記憶装置を含む。また主記憶装置は記憶部120に含まれていてもよく、または外部の記憶手段を用いる構成であってもよい。
【0019】
(画像処理部130)
画像処理部130は、記憶部120に記憶された撮像データに基づき任意の表示手段(例えば表示手段D)に表示可能な画像データを生成する。また、図示しない操作部を介して画像データの表示指示を受けると、当該指定にかかる画像データに基づき撮影画像を表示させる処理を実行する。
【0020】
(指定部140)
<鉄筋位置の指定>
本実施形態では、表示された撮影画像に対し、ポインティングデバイス等を介してユーザによる鉄筋位置の指定を受けることが可能である。この指定があると指定部140は、当該位置指定に基づき鉄筋位置を記憶部120に記憶させる。
【0021】
一例を説明する。任意の制御により表示手段Dに配筋状態の画像データが表示される。画像データに基づく画像ID1が表示された状態で、
図2に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の2点C1、C2を指定する操作を行うと、指定部140はその指定点2点を受け記憶部120に記憶させる。
【0022】
指定部140は、当該指定点C1、C2間を鉄筋位置として特定する。さらに、指定部140は指定点間の線分だけでなく、その線分を中心に当該長手方向と直交する短手方向の所定範囲を含んだ鉄筋領域を記憶部120に記憶させる。ここで
図2に示すように指定点が1本の鉄筋のすべてをカバーしていない場合であっても、指定部140は指定点を結ぶ線分の延長線上を含めて(指定点2点を通る直線)鉄筋位置として特定する構成であってもよい。また、指定点が撮影画像における鉄筋とずれている場合、例えば、各指定点を結ぶ線分と撮影画像内の鉄筋の中心線との所定角度がずれている場合、警告を出力、位置修正の提案、または修正処理を実行してもよい。この例において指定部140は、各指定点を結ぶ線分上や線分の近傍の画素値等に基づき、鉄筋の中心線を取得する。さらに指定部140はこの中心線と各指定点を結ぶ線分との角度や位置が所定範囲を超えてずれているか求める。超えている場合、指定部140は上記のような修正にかかる処理を実行する。鉄筋位置の指定がすべての鉄筋に対して実行され、それに応じて後述の鉄筋径の取得処理が行われる構成であってもよい。しかしながらこの構成に限らず、画像における全鉄筋のうちの一部に鉄筋位置の指定を行う構成であってもよい。一部の指定とは、例えば各縦横方向の鉄筋のうちの1本ずつの指定である。この場合、後述の鉄筋径の取得処理も指定された鉄筋位置に応じて行われる。これは同じ径の鉄筋が並ぶことを前提とし、個々の推定結果を集約することに相当する。また本実施形態では他の実施形態のように射影変換を行わないため、ロッドテープが配置されている列または行の鉄筋位置を指定するようにユーザに促すメッセージ等を表示させてもよい。
【0023】
<計測範囲の指定>
図2に示すように、撮影画像にロッドテープのような実寸を示す基準物がある場合、これを鉄筋径の計測に利用することができる。
図3Aに示すように実施形態ではロッドテープの範囲指定(
図3A;符号R参照)をすることにより、指定範囲に対応する実寸を取得することが可能である。ここでは一例として指定部140が長手方向に500mmの長さを取得するものとする。この取得した長さは、画像上の座標、画素等に基づき画像における長さに変換されて記憶される。なお、範囲指定についてはポインティングデバイス等を介したユーザによる範囲指定を受けることが一例である。
【0024】
また指定部140は記憶された鉄筋領域のうち、取得した実寸500mmの長さ分を鉄筋径の取得対象範囲(以下、「部分画像」と記載)として抽出する。なお、ロッドテープの全ての長さ分を指定範囲とする構成に限られない。例えば画像内のロッドテープの長さの全範囲を指定せず、ロッドテープが示す長さの一部分を指定範囲とすることが可能である。
【0025】
(判別部150)
判別部150は、ディープラーニング(深層学習)により部分画像から鉄筋径を判別する。例えば判別部150はディープラーニングによる画像分類モデル(アルゴリズムでもよい)によって、部分画像から鉄筋径を判別する。画像分類モデルとしては、ラベル付けされたデータセット(部分画像等)を入力して、画像の内容に対応したラベルを出力する構成を一例として挙げることができる。本実施形態では鉄筋の部分画像を入力して、鉄筋径の規格というラベルを出力(判別)する。
【0026】
鉄筋は呼び径ごとに「D**」というように分類が定められている。本実施形態のディープラーニングでは、この呼び径の分類ごとに所定長さ分の鉄筋画像の深層学習をあらかじめ実施している。この深層学習における鉄筋画像の実寸は、上記抽出した部分画像の実寸に対応しているものとする。
【0027】
判別部150は、所定長さの鉄筋領域を抽出した部分画像における特徴量について、上記画像分類モデル等により判別することにより、部分画像の呼び径分類を判別する。特徴量は例えば所定の実寸範囲(例えば「節の平均間隔の最大値mm」)に含まれる呼び径分類ごとの鉄筋の節の数等が該当する。
【0028】
(取得部160)
取得部160は、判別部150の判別結果を用いて鉄筋径を取得する。例えば、判別部150が呼び径分類の判別を行うと、その判別結果にしたがって、記憶部120等にあらかじめ記憶されている呼び径分類ごとの鉄筋径を取得する。一例として記憶部120には、判別される呼び径分類ごとに、鉄筋径の数値が対応付けて記憶されている。
【0029】
上記説明における各部の処理は、説明の便宜上、
図1に示す制御部Cの制御の下に実行されるものとして説明した。この制御部Cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等のうち、単一または複数の回路を含んで構成されていてもよい。制御部Cはメモリに保存された例えば配筋測定プログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、制御部Cとしての回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、制御部Cは単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサーとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、実施形態における複数の構成要素(例えば撮影部110、記憶部120、画像処理部130、指定部140、修正部150および取得部160のうち少なくとも2以上)を1つのプロセッサーへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0030】
[動作]
図4は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋測定システム100の動作を、ステップ番号(S101~S106)に添って説明する。
【0031】
(S101)
配筋測定システム100における撮像部110は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部120は撮像データを一時記憶する。画像処理部130は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0032】
(S102)
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図2に示すように、ポインティングデバイス等を介してユーザによる鉄筋位置の指定を受ける。この指定があると指定部140は、当該位置指定に基づき、指定点間の線分を中心に鉄筋の長手方向と、当該長手方向と直交する短手方向の所定範囲を含んだ鉄筋領域を記憶部120に記憶させる。
【0033】
(S103)
次に入力部等を介したユーザによるロッドテープの範囲指定を受け、指定部140は、指定範囲に対応する実寸(例:500mm)対応の長さを取得する。取得した実寸対応の長さは、画像上の座標、画素等に基づき画像における長さに変換されて記憶される。
【0034】
(S104)
さらに指定部140はS102で記憶された鉄筋領域のうち、S103で取得した実寸500mmの長さに対応する長さ分を鉄筋径の部分画像として抽出する。
【0035】
(S105)
判別部150は、例えばディープラーニングによる画像分類モデル等によって、部分画像から鉄筋径を判別する。本実施形態では鉄筋の部分画像を入力して、鉄筋径の規格というラベルを出力する。
【0036】
(S106)
取得部160は、判別部150の判別結果を用いて鉄筋径を取得する。例えば、判別部150が呼び径分類の判別を行うと、その判別結果にしたがって、記憶部120等にあらかじめ記憶されている呼び径分類ごとに対応付けられた鉄筋径を取得する。
【0037】
なお、S102の鉄筋位置の指定と、S103のロッドテープの指定の順は逆であってもよい。
【0038】
[効果]
本実施形態によれば、配筋測定システムにおいて配筋の測定ミスを低減することが可能である。撮影される鉄筋の少なくとも一部は実際に配置されている方向と異なるように傾斜して撮影画像に描画される。したがって、撮影画像と実平面とはずれが大きくなる可能性がある。さらに、撮影画像では、鉄筋における節やリブが一定せず計測された鉄筋径の誤計測を招くおそれがある。また鉄筋は円柱形の形状であるから、撮影手段と対象との距離間に応じて画像上では太さに相違を生じる可能性がある。これに対し本実施形態では撮影画像の鉄筋に基づき例えば画素に基づき鉄筋径を計測するのではなく、実際の鉄筋の所定範囲に含まれる鉄筋の特徴から画像分類で鉄筋径の推定を行う。これにより、上記のような撮影状況による各問題を排除し、鉄筋径の誤計測を回避することが可能である。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる配筋測定システム200について
図5~
図10を参照して説明する。
図5に示すように、配筋測定システム200は、撮影部210、記憶部220、画像処理部230、指定部240、判別部250、取得部260、制御部Cおよび表示手段Dを備える。以下の説明において、第1実施形態と重複する説明は割愛する。
【0040】
(画像処理部230)
第2実施形態における画像処理部230も、撮像データを画像データに変換する。さらに画像処理部230は画像データの縦横方向と、撮像対象である配筋における縦横方向、すなわち実際に設置された鉄筋を垂直方向から見た場合の縦横方向とが対応するように画像の視線方向を変換する。
【0041】
一例を説明する。任意の制御により表示手段Dに配筋状態の画像データが表示される。画像データに基づく画像ID1が表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点C1~C4で囲まれる領域Rを指定する操作を行うと、配筋測定システム200の制御部Cはその領域Rを指定範囲として受け付ける。
【0042】
画像処理部230は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図7の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。実質的に方向が対応するとは、指定範囲内の鉄筋の中心線が、画像データの縦横方向に概ね沿っていることを示す。例えば、画像データの縦横方向に対し、各中心線のずれ角度が±3°程度である場合である。
【0043】
[動作]
図8は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋測定システム200の動作を、ステップ番号(S201~S207)に添って説明する。
【0044】
(S201)
配筋測定システム200における撮像部210は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部220は撮像データを一時記憶する。画像処理部230は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0045】
(S202)
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点で囲まれる領域を指定する操作を行うと、配筋測定システム200の制御部Cはその領域を指定範囲として受け付ける。
【0046】
(S203)
画像処理部230は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図7の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。
【0047】
(S204)
さらに画像処理部230は、射影変換(台形補正等)後の画像データに対し、入力部等を介したユーザによる鉄筋位置の指定を受ける。この指定があると指定部240は、当該位置指定に基づき、指定点間の線分を中心に当該長手方向と直交する短手方向の所定範囲を含んだ鉄筋領域を記憶部220に記憶させる。
【0048】
(S205)
入力部等を介したユーザによるロッドテープの範囲指定を受け、指定部240は、指定範囲に対応する実寸(例:500mm)対応の長さを取得する。取得した実寸対応の長さは、画像上の座標、画素等に基づき画像における長さに変換されて記憶される。
【0049】
さらに指定部240は記憶された鉄筋領域のうち、取得した実寸500mmの長さ分を鉄筋径の部分画像として抽出する。
【0050】
(S206)
判別部250は、例えばディープラーニングによる画像分類モデル等によって、部分画像から鉄筋径を判別する。本実施形態では鉄筋の部分画像を入力して、鉄筋径の規格というラベルを出力する。
【0051】
(S207)
取得部260は、判別部250の判別結果を用いて鉄筋径を取得する。例えば、判別部250が呼び径分類の判別を行うと、その判別結果にしたがって、記憶部220等にあらかじめ記憶されている呼び径分類ごとに対応付けられた鉄筋径を取得する。
【0052】
[効果]
本実施形態によれば、配筋測定システムにおいて配筋の測定ミスを回避することが可能である。例えば、画像分類の前に、射影変換等による画像の縦横方向と、画像の視線方向を合わせようとすることで、画像分類による鉄筋径の取得ミスを大幅に低減させることが可能である。また射影変換を行うことで、鉄筋の配置が縦横の2軸に学習モデルを絞ることができ、検出精度が向上する。
【0053】
すなわち通常の撮像手段を使って、配筋のような構造体を撮影した場合には、実際には縦横に整列したものであるにもかかわらず、画像の縦横方向と対応しない傾向がある。それを、計測エリアの四隅に該当する個所を設定し射影変換を行うことで、本来の構造としての情報を保有した画像へと修正が可能となる。さらに鉄筋位置の指定位置がロッドテープが配置されている列または行と対応していなくてもよい。
【0054】
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる配筋測定システム300について
図3B、
図9を参照して説明する。
図9に示すように、配筋測定システム300は、撮影部310、記憶部320、画像処理部330、指定部340、判別部350、取得部360、制御部Cおよび表示手段Dを備える。以下の説明において、第1実施形態と重複する説明は割愛する。
【0055】
<計測範囲の指定>
第1実施形態における指定部140は、ロッドテープ(実寸を示す基準物)の長手方向において一例として500mmの長さを取得する構成であった。第3実施形態における指定部340は長手方向だけでなく、短手方向においても長さを取得する。その短手方向においては例えば30mmの長さを取得するものとする(
図3B参照)。500mmX30mmの長さは、画像上の座標、画素等に基づき画像における長さに変換されて記憶される。
【0056】
また指定部340は記憶された鉄筋領域のうち、取得した実寸500mmX30mmの矩形範囲に対応する画像上の長さ分を鉄筋径の部分画像として抽出する。この30mmという数値は使用頻度が高いと考えられる鉄筋の規格の範囲における最大の規格の数値を考慮した数値であるが、他の数値であってもよい。
【0057】
[効果]
本実施形態によれば、配筋測定システムにおいて配筋の測定ミスを低減することが可能である。例えば、鉄筋径の短手方向の情報は鉄筋径に関する直接的な情報であり、長手方向だけでなく、短手方向の情報も活用することにより、さらに鉄筋の部分画像における特徴を実際に即した状態で鉄筋径の推定を行うことが可能となる。これにより、上記のような撮影状況による各問題を排除し、鉄筋径の誤計測を低減せることが可能である。
【0058】
[第4実施形態]
第4実施形態にかかる配筋測定システム400について
図10~
図13を参照して説明する。
図10に示すように、配筋測定システム400は、撮影部410、記憶部420、画像処理部430、指定部440、判別部450、取得部460、制御部Cおよび表示手段Dを備える。以下の説明において、第1~第3実施形態と重複する説明は割愛する。
【0059】
(指定部440)
第1実施形態と同様に指定部440は記憶された鉄筋領域のうち、取得した実寸500mmの長さ分を鉄筋径の部分画像として抽出する。ここで第4実施形態における指定部440は、以下に説明する通りロッドテープを検出し、分類することにより部分画像に対応する実寸対応の長さを取得する。
【0060】
指定部440はロッドテープ検出をした上でロッドテープの配置パターンの分類をする。例えば指定部440は画像上でロッドテープが縦または横方向に1つ配置されているパターンか、縦横に十字状に2つ配置されているパターンか、あるいは縦横に重複せずに2つ配置されているパターンの3種を識別する(
図11A~11C参照)。
【0061】
指定部440の上記処理の一例の概要を説明する。指定部440は、ディープラーニング(深層学習)により画像データからロッドテープを検出する。すなわちディープラーニングによる物体検知モデル(アルゴリズムでもよい)によってそれぞれ検出する。
【0062】
次に指定部440は、ディープラーニングによる画像分類モデル(アルゴリズムでもよい)によって、検出したロッドテープ画像(
図12参照)からロッドテープの配置パターンの分類を判別する。画像分類モデルとしては、ラベル付けされたデータセット(部分画像等)を入力して、画像の内容に対応したラベルを出力する構成を一例として挙げることができる。本実施形態ではロッドテープの画像を入力して、上記3パターンのいずれかのラベルを出力する。
【0063】
ラベルを出力することにより配置パターンの分類が取得されると、指定部440は、当該分類を利用してロッドテープ画像の外接矩形の4点を抽出する。以下、図を参照して一例を詳細に説明する。
【0064】
図11Bに示すようにロッドテープが2つ十字状に重畳して配置されている状態を一例として説明する。指定部440は、ディープラーニングによる物体検知モデル等に基づき、画像データから十字状に2つのロッドテープが重畳されている形状を検出する。
【0065】
次に指定部440は、撮像画像から検出したロッドテープを含む領域画像(ロッドテープ画像)を抽出する。さらに指定部440は、領域画像をロッドテープとして検出した部分と、検出された部分以外の他の部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する(
図12参照)。
図12の例においては、検出されたロッドテープの領域を白色に、それ以外の領域(他の部分)を黒色に変換する。
【0066】
次に指定部440は、画像分類モデル等によって、検出したロッドテープ画像(
図12参照)からロッドテープの配置パターンの分類を判別する。この場合、ロッドテープが2つ十字状に重畳して配置されている
図11Bのような分類が出力される。この推定について以下詳細を説明する。
【0067】
上記推定は例えば
図13の順で処理が行われる。まず指定部440はロッドテープを含む領域画像の二値画像において検出された白色領域の外縁(以下、単に「枠」とする)の数でラベル分けをする第1の分類を行う。本例においては、検出された枠の数が1つか2つかについてまず分類されることになる。この第1の分類で枠が2つと分類されたものは、
図11Cのような「縦横に重複せずに2つ配置されているパターン」となる。
【0068】
次に指定部440は、第1の分類で枠数が1つと判断された
図11A,
図11Bのようなパターンについてさらに第2の分類を行う。すなわち、指定部40はロッドテープ画像の白色領域を囲う矩形枠を指定する。この矩形枠は白色領域をすべて領域内に内包し、かつ白色領域と矩形枠とが隣接ないし近接するように指定がなされる。なお、矩形枠としているのはロッドテープが矩形の形状を成すためである。
【0069】
次に指定部440は第2の分類として矩形枠内の白色領域、すなわちロッドテープ部分の占める割合を求める。このとき十字パターンは、ロッドテープ1つのパターンと比較して、黒色領域が多くなる(白色領域の割合が少なくなる)。指定部440は白色領域の割合によって、これら2つのパターンを分類することが可能である。なお、指定部440はこの割合による分類を閾値によって判別する構成が一例である。閾値以下である場合、ロッドテープ1つのパターンとなり、閾値を超過した場合、十字パターンとなる。
【0070】
図11Bに示すよう十字パターンの分類が判別された場合を含め、いずれの場合においても、指定部440は配置パターンごとに白色領域すなわちロッドテープの外縁の四隅となる4点を特定する。このとき、十字である場合は配筋に対する縦方向および横方向それぞれにおいて、個別に4点が特定される。
【0071】
上記のように第4実施形態においてはロッドテープの指定が実行される。なお、矩形枠の指定について、指定部440は白色領域に対して、外側に接する矩形枠を指定し、四隅の4点を取得する。このとき矩形枠が白色領域に対して一回り大きくなる傾向がある。したがって、指定部440は所定割合だけ矩形枠の縮小をする構成であってもよい(
図14参照)。この縮小割合は、例えば0.5%~2%程度である。
図15においては1%程度の縮小をする例を示している。
【0072】
また第2の分類で十字パターンと推定された場合について説明する。十字パターンと判断された場合、指定部440はロッドテープ画像内を縦横にそれぞれ走査する(
図16参照)。指定部440は走査の結果、縦に伸長する白色画素の割合が多い画素群を縦方向のロッドテープ領域と特定する。同じく縦に伸長する白色画素の割合が多い画素群を縦方向のロッドテープ領域と特定する。
【0073】
なお指定部440は、このように割合を閾値処理等によって判別して領域を特定することも可能である。しかしながら、この構成に限られない。例えばこの縦方向の走査で当該画像における縦方向ロッドテープが存在する部分は、他の部分を走査したときと比較して識別可能な程度に白色領域が多くなる。したがって、指定部440は、縦方向走査において縦方向ロッドテープの領域を走査したときの白画素の割合が多い隣接部分を縦ロッドテープ領域と特定することで、閾値を設定せずに特定することも可能である。
【0074】
なお、ロッドテープの長さ分を指定範囲とする構成に限られない。例えば画像内のロッドテープの長さの全範囲を指定せず、ロッドテープが示す長さの一部分を指定範囲とすることが可能である。
【0075】
第4実施形態においてもその他の処理は他の実施形態と同様である。
【0076】
[動作]
図17は、第4実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋測定システム400の動作を、ステップ番号(S401~S406)に添って説明する。なお、下記は第2実施形態と第4実施形態の組み合わせを記載するが、第4実施形態はこれに限られず、第2実施形態ではない他の実施形態でもよく、あるいは第2実施形態に加えて他の実施形態を組み合わせることも可能である。
【0077】
(S401)
配筋測定システム400における撮像部410は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部420は撮像データを一時記憶する。画像処理部430は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0078】
(S402)
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点で囲まれる領域を指定する操作を行うと、配筋測定システム400の制御部Cはその領域を指定範囲として受け付ける。
【0079】
(S403)
画像処理部430は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図7の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。
【0080】
(S404)
さらに画像処理部430は、射影変換(台形補正等)後の画像データに対し、入力部等を介したユーザによる鉄筋位置の指定を受ける。この指定があると指定部440は、当該位置指定に基づき、指定点間の線分を中心に当該長手方向と直交する短手方向の所定範囲を含んだ鉄筋領域を記憶部420に記憶させる。
【0081】
(S405)
指定部440はディープラーニングによる物体検知モデル(アルゴリズムでもよい)によって画像データからロッドテープをそれぞれ検出する。
【0082】
(S406)
指定部440は、領域画像をロッドテープとして検出した部分と、検出された部分以外の他の部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する(
図12参照)。
【0083】
(S407)
指定部440はロッドテープを含む領域画像の二値画像において検出された枠の数でラベル分けをする第1の分類を行う。本例においては、検出された枠の数が1つか2つかについてまず分類される。
【0084】
(S408-1)
この第1の分類で枠が2つと分類された場合(S407;A)、指定部440は
図11Cのような重複せずに2つ配置されているパターンと特定する。
【0085】
(S408-2)
指定部440は、第1の分類で枠数が1つと判断された(S407;B)
図11A,
図11Bのようなパターンについてさらに第2の分類を行う。
【0086】
(S409)
指定部440は第2の分類として矩形枠内の白色領域、すなわちロッドテープ部分の占める割合を求める。さらに指定部440この割合に基づいて、これら2つのパターンを分類する。第2の分類は例えば閾値に基づいて判別される。
【0087】
(S410-1)
この第2の分類で閾値以下である場合(S409;C)、
図11Aに示すようなロッドテープ1つのパターンと判別される。
【0088】
(S410-2)
この第2の分類で閾値を超過した場合(S409;D)、
図11Bに示すような十字パターンと判別される。
【0089】
(S411)
図11Bに示すよう十字パターンの分類が判別された場合を含め、3パターンいずれの場合においても、指定部440は配置パターンごとに白色領域すなわちロッドテープの外縁の四隅となる4点を特定する。このとき、十字である場合は配筋に対する縦方向および横方向それぞれにおいて、個別に4点が特定される。このとき、指定部440は所定割合だけ矩形枠の縮小をする構成であってもよい(
図14参照)。
【0090】
(S412)
次に指定部440は、指定範囲に対応する実寸(例:500mm)を取得する。取得した実寸、画像上の座標、画素等に基づき画像における長さに変換されて記憶される。
【0091】
(S413)
さらに指定部440はS404で記憶された鉄筋領域のうち、S412で取得した実寸500mmの長さ分を鉄筋径の部分画像として抽出する。
【0092】
(S414)
判別部450は、例えばディープラーニングによる画像分類モデル等によって、部分画像から鉄筋径を判別する。本実施形態では鉄筋の部分画像を入力して、鉄筋径の規格というラベルを出力する。
【0093】
(S415)
取得部460は、判別部450の判別結果を用いて鉄筋径を取得する。例えば、判別部450が呼び径分類の判別を行うと、その判別結果にしたがって、記憶部420等にあらかじめ記憶されている呼び径分類ごとの鉄筋径を取得する。
【0094】
なお、S404の鉄筋位置の指定と、S405~S411のロッドテープの指定の順は逆であってもよい。
【0095】
[効果]
本実施形態によれば、配筋測定システムにおいて配筋の測定ミスを低減することが可能である。すなわち、画像分類の前に、ロッドテープの指定を手作業で実行することにより、部分画像における特徴量と、比較する画像の特徴量とに相違が生じ、鉄筋径の取得ミスが生じるおそれも想定される。これについて、ロッドテープの指定を上記実施形態のように実施することで、ロッドテープを基準とした実寸対応の部分画像を適切に取得できる。その結果、上記のような誤った鉄筋径の取得を回避することが可能である。
【0096】
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点で囲まれる領域を指定する操作を行うと、配筋測定システム200の制御部Cはその領域を指定範囲として受け付ける。
【0097】
[変形例1]
第2実施形態では、画像データに基づく画像ID1が表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点C1~C4で囲まれる領域Rを指定する操作を行うと、配筋測定システム200の制御部Cはその領域Rを指定範囲として受け付ける。本変形例では当該構成に替えて以下のような構成をとる。
【0098】
画像処理部230Xは、配筋に付帯して配置されたマーカーを検出する(
図18:符号M1~M4参照)。画像処理部230Xは、
図18の例のようなマーカー4点M1~M4で囲まれる領域Rを指定範囲として受け付ける。
【0099】
[第5実施形態]
第5実施形態にかかる配筋検査システム500の全体構成について
図19~
図21を参照して説明する。なお、
図19における配筋検査システムは一例であり、その他の構成を含むことを除外するものではなく、様々な形態で実施することが可能である。
【0100】
(システムの概要)
図19に示すように、配筋検査システム500は、撮影部510、記憶部520、画像処理部530、識別部570、修正部580、制御部Cおよび表示手段Dを備える。撮影部510は、例えばタブレット端末に設けられた撮像手段である。撮像手段により得られた撮像データは、タッチパネルや保存ボタンの操作により、画像データとして記憶部520に記憶される。画像処理部530は、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する。識別部570は変換された画像データから鉄筋の領域を検出する。修正部580は、識別部570により検出された鉄筋部分とそれ以外の部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する。なお、以下の図に表される画像は一例である。
【0101】
(記憶部520)
記憶部520は、撮像データ、画像データ、二値画像データ、各種プログラム、領域検出モデル等を記憶する。
【0102】
(画像処理部530)
画像処理部530は第2実施形態やその変形例と同様に実際に設置された鉄筋を垂直方向から見た場合の縦横方向とが対応するように画像の視線方向を変換する。
【0103】
一例を説明する。任意の制御により表示手段Dに配筋状態の画像データが表示される。画像データに基づく画像ID1が表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点C1~C4で囲まれる領域Rを指定する操作を行うと、配筋検査システム100の制御部Cはその領域Rを指定範囲として受け付ける。また、当該構成に替えて変形例1のように
図18の例のようなマーカー4点M1~M4で囲まれる領域Rを指定範囲として受け付ける構成であってもよい。
【0104】
(識別部570)
識別部570は、ディープラーニング(深層学習)により画像データから鉄筋を検出する。ディープラーニングによる物体検知モデル(アルゴリズムでもよい)によって、画像データにおける表層の鉄筋をそれぞれ検出する。
【0105】
(修正部580)
修正部580は識別部570により検出された鉄筋部分とそれ以外の部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する。1つの具体例として修正部580は、当該画像における検出エラーを統計情報に基づいて判定し、修正を実行する。なお、ここで説明する検出とは、「識別」の一例である。
【0106】
<第1例;縦方向判定>
修正部580は、画像データから検出された鉄筋それぞれのうち、画像における実質的に縦方向に相当する縦方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。例えば修正部580は特定部581を含み、特定部581は所定の画素数単位で画像の縦方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図20参照)。具体的にはあらかじめ記憶された1つまたは複数の画素値の範囲に該当するか否かで特定されてもよい。つまり、修正対象の画像はカラー画像、グレースケール画像、二値画像のいずれでもよいが、対応する画像の画素値でこの特定が実行される。すなわち第1画素は、特定の単一または複数の画素値を有する画素である。
【0107】
修正部580は、縦の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。また修正部580は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部520にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部580は、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。割合の閾値は例えば50%であり、求めた第1画素の割合が50%を超えると、修正部580はその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えるという構成が一例である。
【0108】
修正部580はこのようにして、画像から検出された鉄筋部分が誤検出であるか否かを判定している。なお第1画素の割合の閾値としては45%が一例である。下限は20%、上限は55%である。
【0109】
<第2例;横方向判定>
修正部580は、画像データから検出された鉄筋それぞれのうち、画像における実質的に横方向に相当する横方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。上記と同様に特定部151は所定の画素数単位で画像の横方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、第1画素を特定する。具体的にはあらかじめ記憶された1つまたは複数の画素値の範囲に該当するか否かで特定されてもよい。つまり第1画素は、特定の単一または複数の画素値を有する画素である。
【0110】
修正部580は、横の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。また修正部580は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部520にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部580は、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。割合の閾値例については上記と同様である。
【0111】
<第3例;斜め方向判定>
修正部580は、射影変換により検出後の画像内の鉄筋部分の方向が画像の縦横方向と対応していない場合であっても、鉄筋部分の中心線の延伸方向を特定し、その方向において第1画素の割合を求め検出エラーの判定および当該走査方向における第1画素への変換をしてもよい。
【0112】
[動作]
図21は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋測定システム500の動作を、ステップ番号(S501~S507)に添って説明する。
【0113】
(S501)
配筋検査システム500における撮像部510は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部520は撮像データを一時記憶する。画像処理部530は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0114】
(S502)
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図6に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点で囲まれる領域を指定する操作を行うと、配筋検査システム500の制御部Cはその領域を指定範囲として受け付ける。
【0115】
(S503)
画像処理部530は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図7の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。
【0116】
(S504)
識別部540は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋を検出する。
【0117】
(S505)
修正部580における特定部581は所定の画素数単位で画像の縦方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図20参照)。
【0118】
(S506)
修正部550は、例えば縦の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。
【0119】
(S507)
また修正部580は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。修正部550は割合が閾値を超えない場合には(S507;No)、当該走査方向における処理を終了する。また、次のS508の逆の処理として、修正部580はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0120】
(S508)
S507の判定の結果、割合が閾値を超えた場合には(S507;Yes)、修正部580によりその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。
【0121】
横方向の操作も同様に、修正部580は割合が閾値を超えない場合には(S507;No)、当該走査方向における処理を終了する。割合が閾値を超えた場合には(S507;Yes)、修正部580により当該横の走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。この場合も逆の処理として、修正部580はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0122】
修正部580は、所定間隔で縦横方向それぞれについて画像全体にこの走査および割合判定と、第1画素への置換処理を実行する。その後計測処理が実行される。
【0123】
[効果]
本実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。例えば、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の前に、射影変換等による画像の縦横方向と、画像の視線方向を合わせようとすることで、誤検出を大幅に低減させることが可能である。例えばこれにより何層か重畳して配筋されている場合に、表層の配筋を検出しやすくなる。また射影変換を行うことで、鉄筋の配置が縦横の2軸に学習モデルを絞ることができ、検出精度が向上する。
【0124】
すなわち通常の撮像手段を使って、配筋のような構造体を撮影した場合には、実際には縦横に整列したものであるにもかかわらず、画像の縦横方向と対応しない傾向がある。それを、計測エリアの四隅に該当する個所を設定し射影変換を行うことで、本来の構造としての情報を保有した画像へと修正が可能となる。
【0125】
また、本実施形態では、鉄筋の検出後、検出された画像を所定方向に走査することで鉄筋部分を示す第1画素が特定される。さらに、第1画素が特定されると、その走査方向における第1画素の割合が特定され、所定割合を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。これにより、走査方向における鉄筋部分が所定割合以下である場合、誤検出として判定することができる。さらに検出ミスにより実際には鉄筋部分であるが鉄筋部分として検出できなかった画素について補完することが可能である。
【0126】
以上の実施形態の効果により、再撮影や手動による画像処理操作の増加を防ぐことが可能であり、従来の配筋検査システムと比較して配筋検査作業の省力化が可能である。
【0127】
[変形例2]
第5実施形態の変形例(変形例2)にかかる配筋検査システム500の全体構成について
図22~
図27を参照して説明する。変形例2では識別部570によって鉄筋部分が検出された画像を二値画像に変換する。詳細を以下説明する。
【0128】
(修正部580x;二値画像変換)
修正部580xは、識別部570が撮像画像から検出した画像内の鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する。
図7に示すような画像データにつき変形例では、修正部580xにより二値画像に変換される。例えば
図22に示すように修正部580xは、検出された鉄筋の領域を白色に、それ以外の領域を黒色に変換する。すなわち、識別部570がディープラーニングにより画像から鉄筋の領域を検出するが、その鉄筋の領域を示す画素を白色に変換する。また修正部580xは、画像において鉄筋の領域以外の領域を示す画素を黒色に変換する。二値画像はこのようにして生成される。
【0129】
(修正部580x;走査)
修正部580xは、鉄筋部分について、エッジ検出、線分検出または中心線の検出等、任意の検出方法により、鉄筋の領域の延伸方向を特定する。修正部580xは、特定した鉄筋部分の延伸方向に沿って検出エラーを判定する。例えば修正部580xは特定部581を含み、特定部581は所定の画素数単位で当該延伸方向ごとに走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図23参照)。具体的にはあらかじめ記憶された1つの画素値の範囲に該当するか否かで特定される。第1例として縦方向判定は以下のように行う。修正部580xは、ノイズが除去された二値画像における白画素領域WPA(黒画素を鉄筋領域とする場合は黒画素領域)のうち実質的に縦方向に相当する縦方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。例えば修正部580xは特定部451を含み、特定部581xは所定の画素数単位で画像の縦方向に走査し(
図24参照)、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素が占める割合を求める。
【0130】
なお、
図23に示すように検出された各鉄筋領域の間の画素については、隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて走査方向を求める。各鉄筋領域の間については、この求めた走査方向にしたがって走査を実行する。
【0131】
修正部580xは、走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。また修正部580xは、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この判定は第5実施形態と同様である(
図25参照)。修正部580xはこのようにして、画像から検出された鉄筋部分が誤検出であるか否かを判定している。なお第1画素の割合の閾値としては45%が一例である。下限は20%、上限は55%である。
【0132】
修正部580xは、第2例として横方向判定を以下のように行う。修正部580xは、ノイズが除去された二値画像における白画素領域(黒画素を鉄筋領域とする場合は黒画素領域)のうち実質的に横方向に相当する横方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。例えば修正部580xは特定部581xを含み、特定部581xは所定の画素数単位で画像の横方向に走査し(
図26参照)、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素が占める割合を求める。
【0133】
また修正部580xは、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部520にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部580xは、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい(
図27参照)。割合の閾値は例えば50%である(
図25参照)。
【0134】
[効果]
本実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。例えば、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の後に、画像を鉄筋領域とそれ以外の領域の二値画像に変換する。この二値画像に基づき走査を行う。
【0135】
すなわち二値画像に変換することにより、その後の検出ミスの判定と補完の前に、鉄筋領域を抜き出した画像を生成することで、検出ミスの判定と補完の精度を向上させることが可能となる。
【0136】
また、本実施形態では、鉄筋の検出後、検出された画像を所定方向に走査することで鉄筋部分を示す第1画素が特定される。さらに、第1画素が特定されると、その走査方向における第1画素の割合が特定され、所定割合を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。これにより、走査方向における鉄筋部分が所定割合以下である場合、誤検出として判定することができる。さらに検出ミスにより実際には鉄筋部分であるが鉄筋部分として検出できなかった画素について補完することが可能である。
【0137】
以上の実施形態の効果により、再撮影や手動による画像処理操作の増加を防ぐことが可能であり、従来の配筋検査システムと比較して配筋検査作業の省力化が可能である。
【0138】
[各実施形態の組み合わせ]
上記各実施形態およびその変形例は任意に組み合わせることが可能である。例えば第2実施形態の変形例、第4実施形態および第5実施形態の組み合わせによれば、撮影部による画像データの取得後は、第2実施形態の変形例(変形例1)で射影変換(台形補正等)、第5実施形態やその変形例(変形例2)で鉄筋検出、第4実施形態でロッドテープ検出、そして鉄筋径の測定までの各工程で、本システムが介在する。これにより大幅な省力化を図ることが可能である。さらに人為的なミスを回避することが可能であり、人為的ミスによる鉄筋検査および測定のやり直しを防ぐことにより短時間で多くの検査等を実施することも可能となる。
【0139】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
100、200、300、400、500 配筋測定システム
110、210、310、410、510 撮影部
120、220、320、420、520 記憶部
130、220、330、430、530 画像処理部
140、240、340、440 指定部
150、250、350、450 判別部
160、260、360、460 取得部
570 識別部
580、580x 修正部
581、581x 特定部
C 制御部
D 表示手段
【要約】
【課題】配筋測定システムにおいて測定の誤りを低減することを可能とする。
【解決手段】実施形態の配筋測定システムにおいて位置記憶部は、実寸を示す基準物が含まれた撮影画像において、少なくとも鉄筋の長手方向に沿った鉄筋位置それぞれの特定処理を受け、特定された各鉄筋位置を少なくとも一時的に記憶する。指定部は、各鉄筋位置に示される各鉄筋領域に対し、基準物に示される実寸に基づき所定の長さ分を範囲指定する。判別部は、指定部により指定された範囲内の部分画像に対し、鉄筋の分類ごとに特徴的な識別要素にしたがって、いずれの分類に属するか判別する。
【選択図】
図1