(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】繊維体処理装置
(51)【国際特許分類】
D06B 1/02 20060101AFI20240625BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20240625BHJP
D04H 1/736 20120101ALI20240625BHJP
B05B 17/06 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
D06B1/02
D04H1/732
D04H1/736
B05B17/06
(21)【出願番号】P 2020020977
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信正
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕文
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043065(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/100904(WO,A1)
【文献】特開平05-115801(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043047(WO,A1)
【文献】実開昭63-198933(JP,U)
【文献】特開平10-141715(JP,A)
【文献】実開昭56-130623(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03508637(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む材料を処理する処理部と、
前記処理部によって処理されている前記材料を加湿する加湿器と、前記加湿器とは異なる位置に設置され、加湿用の液体が貯留されるタンクと、
前記タンクに前記液体を補給する補給部と、前記加湿器と前記タンクとの間で送液を行う第1送液部と、
前記補給部と前記タンクとの間で送液を行う第2送液部と、前記第1送液部および前記第2送液部の作動を制御する制御部と、を有する加湿装置と、を備え、
前記第1送液部は、前記タンクから前記加湿器に送液する第1給液部と、前記加湿器から前記タンクに送液する第1排液部と、を有
し、
前記第2送液部は、前記補給部から前記タンクに送液する第2給液部と、前記タンクから前記補給部に送液する第2排液部と、を有し、
前記制御部は、前記加湿器から前記タンクへの送液と、前記タンクから前記補給部への送液とを時間的に重複して行う同時排液モードを有することを特徴とする繊維体処理装置。
【請求項2】
前記第1給液部は、第1給液管を有し、
前記第1排液部は、前記第1給液管とは異なる第1排液管をさらに有する請求項1に記載の繊維体処理装置。
【請求項3】
前記第1送液部は、ポンプを有し、
前記第1給液部および前記第1排液部は、前記ポンプを共有する請求項2に記載の繊維体処理装置。
【請求項4】
前記第1給液部および前記第1排液部は、前記第1給液管および前記第1排液管内の前記液体の通過、遮断を切り替えるバルブを有する請求項3に記載の繊維体処理装置。
【請求項5】
前記加湿器は、前記液体を貯留する容器と、前記容器内の前記液体の殺菌処理を行う第1殺菌処理部とを有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の繊維体処理装置。
【請求項6】
前記タンクは、前記タンク内の前記液体の殺菌処理を行う第2殺菌処理部を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の繊維体処理装置。
【請求項7】
前記第1排液部は、濾過フィルターを有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の繊維体処理装置。
【請求項8】
前記第1排液部は、前記加湿器から前記タンクに向かう前記液体の殺菌処理を行う第3殺菌処理部を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の繊維体処理装置。
【請求項9】
前記第2送液部は、前記補給部から前記タンクに向かう前記液体を軟水化させる軟水化フィルターを有する請求項1ないし
8のいずれか1項に記載の繊維体処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、粗砕部、選別部、分散部、第1ウェブ形成部および第2ウェブ形成部を有し、
前記粗砕部、前記選別部、前記第1ウェブ形成部、前記分散部および前記第2ウェブ形成部のうちの少なくとも1つに、前記加湿装置の前記加湿器が設置されている請求項1ないし
9のいずれか1項に記載の繊維体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、例えば特許文献1に示すような、水を極力利用しない乾式によるシート製造装置が提案されている。このシート製造装置は、例えば、原料を粗砕する粗砕部と、粗砕部で生成された粗砕片を解繊する解繊部と、解繊部で生成された解繊物を堆積させる堆積部と、堆積部で生成された堆積物を成形する成形部と、を備える。
【0003】
また、特許文献1に記載されているシート製造装置では、複数個所に加湿部が設置されている。この加湿部による加湿により、粗砕片、解繊物および堆積物等の帯電を抑制し、良好かつ円滑なシート製造が可能となる。
【0004】
また、各加湿部は、機内タンクに接続されており、各加湿部内の水の残量が減ってきたら、機内タンクから水が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているシート製造装置では、例えばメイン電源をOFFにした際、各加湿部の内部に残っている水を装置外に排出し、捨てる構成であるため、水の利用効率が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の繊維体処理装置は、繊維を含む材料を処理する処理部と、
前記処理部によって処理されている前記材料を加湿する加湿器と、前記加湿器とは異なる位置に設置され、加湿用の液体が貯留されるタンクと、前記加湿器と前記タンクとの間で送液を行う第1送液部と、を有する加湿装置と、を備え、
前記第1送液部は、前記タンクから前記加湿器に送液する第1給液部と、前記加湿器から前記タンクに送液する第1排液部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の繊維体処理装置を示す概略側面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す加湿器のうち、気化式の加湿器を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す加湿器のうち、ミスト式の加湿器を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第1モードを行っている状態を示す図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第2モードを行っている状態を示す図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第2モードを行っている状態を示す図である。
【
図9】
図9は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第2モードを行っている状態を示す図である。
【
図10】
図10は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第3モードを行っている状態を示す図である。
【
図11】
図11は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第4モードを行っている状態を示す図である。
【
図12】
図12は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第5モードを行っている状態を示す図である。
【
図13】
図13は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第6モードを行っている状態を示す図である。
【
図14】
図14は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第6モードを行っている状態を示す図である。
【
図15】
図15は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第6モードを行っている状態を示す図である。
【
図16】
図16は、
図2に示す加湿装置が備える制御部が行う制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、
図2に示す加湿装置が備える制御部が行う制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の繊維体処理装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の繊維体処理装置を示す概略側面図である。
図2は、
図1に示す加湿装置の概略構成図である。
図3は、
図2に示す加湿器のブロック図である。
図4は、
図2に示す加湿器のうち、気化式の加湿器を示す断面図である。
図5は、
図2に示す加湿器のうち、ミスト式の加湿器を示す断面図である。
図6は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第1モードを行っている状態を示す図である。
図7~
図9は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第2モードを行っている状態を示す図である。
図10は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第3モードを行っている状態を示す図である。
図11は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第4モードを行っている状態を示す図である。
図12は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第5モードを行っている状態を示す図である。
図13~
図15は、
図2に示す加湿装置の作動状態を示す概略構成図であって、第6モードを行っている状態を示す図である。
図16および
図17は、
図2に示す加湿装置が備える制御部が行う制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0011】
なお、以下では、説明の便宜上、
図1に示すように、互いに直交する3軸をx軸、y軸およびz軸とする。また、x軸とy軸を含むx-y平面が水平となっており、z軸が鉛直となっている。また、各軸の矢印が向いた方向を「+」、その反対方向を「-」と言う。また、
図1の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
【0012】
図1に示す繊維体処理装置100は、原料M1を粗砕、解繊し、結合素材を混合して堆積させ、この堆積物を成形することで成形体を得る装置である。また、繊維体処理装置100は、加湿装置10を備え、加湿装置10により各部を加湿しつつ、上述した処理を行う。
【0013】
また、繊維体処理装置100により製造される成形体は、例えば、再生紙のようなシート状をなしていてもよく、ブロック状をなしていてもよい。また、成形体の密度も特に限定されず、シートのような繊維の密度が比較的高い成形体であってもよく、スポンジ体のような繊維の密度が比較的低い成形体であってもよく、これらの特性が混在する成形体であってもよい。以下では、製造される成形体は、再生紙であるシートSとして説明する。
【0014】
図1に示す繊維体処理装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、これらの作動を制御する制御部28と、加湿装置10と、を備えている。原料供給部11~ストック部22は、各々が、繊維を含む材料を処理する処理部である。
【0015】
また、繊維体処理装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、放出工程と、堆積工程と、シート形成工程と、切断工程と、がこの順に実行される。
【0016】
以下、各部の構成について説明する。
原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程を行なう部分である。この原料M1としては、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料が挙げられる。セルロース繊維とは、化合物としてのセルロースを主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロースの他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。また、原料M1は、織布、不織布等、形態は問わない。また、原料M1は、例えば、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーや、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよいし、リサイクルペーパーでなくてもよい。
【0017】
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行なう部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート122とを有している。
【0018】
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適しているのが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。
【0019】
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
【0020】
シュート122は、管241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
【0021】
解繊部13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0022】
解繊部13は、例えば本実施形態では、高速回転する回転刃と、回転刃の外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、回転刃とライナーとの間に挟まれて解繊される。
【0023】
また、解繊部13は、回転刃の回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0024】
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
【0025】
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さの大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。その平均長さは、1μm以上30μm以下であるのが好ましい。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0026】
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング142とを有する。
【0027】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。
第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
【0028】
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち、下流側が管241に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0029】
また、ドラム部141からの第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
【0030】
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
【0031】
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
【0032】
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、後述する回収部27に回収されることとなる。
【0033】
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
【0034】
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0035】
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0036】
メッシュベルト151の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング162内を下降する。
【0037】
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と添加剤とを混合する混合工程を行なう部分である。この混合部17は、添加剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
【0038】
管172は、細分部16のハウジング162と、分散部18のハウジング182とを接続しており、細分体M6と添加剤との混合物M7が通過する流路である。
【0039】
管172の途中には、添加剤供給部171が接続されている。添加剤供給部171は、添加剤が収容されたハウジング170と、ハウジング170内に設けられたスクリューフィーダー174とを有している。スクリューフィーダー174の回転により、ハウジング170内の添加剤がハウジング170から押し出されて管172内に供給される。管172内に供給された添加剤は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0040】
ここで、添加剤供給部171から供給される添加剤としては、例えば、繊維同士を結着させる結着材や、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤、解繊物等が挙げられ、これらのうちの一種または複数種を組み合わせて用いることができる。以下では、一例として、添加剤が結着材としての樹脂P1である場合について説明する。添加剤が繊維同士を結合させる結合材を含むことにより、シートSの強度を高めることができる。
【0041】
樹脂P1は、粉体または粒子状のものを用いることができる。また、樹脂P1は、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いるのが好ましい。
【0042】
また、管172の途中には、添加剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と樹脂P1との混合が促進される。また、ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と樹脂P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と樹脂P1とが均一に分散した状態で、分散部18に搬送される。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0043】
なお、
図1に示すように、ブロアー173は、制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、ブロアー173の送風量を調整することにより、ドラム181内に送り込む空気の量を調整することができる。
【0044】
なお、図示はしないが、管172は、ドラム181側の端部が2股に分岐しており、分岐した端部は、ドラム181の端面に形成された図示しない導入口にそれぞれ接続されている。
【0045】
図1に示す分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出する放出工程を行なう部分である。分散部18は、解繊物である混合物M7を導入および放出するドラム181と、ドラム181を収納するハウジング182と、ドラム181を回転駆動する駆動源183と、を有する。
【0046】
ドラム181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて空気とともに放出される。すなわち、ドラム181が、繊維を含む材料を放出する放出部として機能する。
【0047】
駆動源183は、図示はしないが、モーターと、減速機と、ベルトと、を有する。モーターは、モータードライバーを介して制御部28と電気的に接続されている。また、モーターから出力された回転力は、減速機によって減速される。ベルトは、例えば、無端ベルトで構成されており、減速機の出力軸およびドラムの外周に掛け回されている。これにより、減速機の出力軸の回転力がベルトを介してドラム181に伝達される。
【0048】
また、ドラム181で放出された混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を形成する堆積工程を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
【0049】
メッシュベルト191は、メッシュ部材であり、図示の構成では、無端ベルトで構成される。また、メッシュベルト191には、分散部18が分散、放出した混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
【0050】
なお、図示の構成では、メッシュ部材の一例としてメッシュベルト191を用いる構成であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、平板状をなすものであってもよい。
【0051】
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
【0052】
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
【0053】
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0054】
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程を行なう部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
【0055】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。なお、加熱する場合の加熱の程度としては、例えば、樹脂P1を溶融させない程度であるのが好ましい。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0056】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、樹脂P1が溶融して、この溶融した樹脂P1を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0057】
成形部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程を行なう部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
【0058】
第1カッター211は、シートSの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向にシートSを切断するものである。
【0059】
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。この切断は、シートSの両側端部、すなわち、+y軸方向および-y軸方向の端部の不要な部分を除去して、シートSの幅を整えるものであり、切断除去された部分は、いわゆる「みみ」と呼ばれる。
【0060】
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の形状、大きさのシートSが得られる。そして、このシートSは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
【0061】
なお、成形部20としては、上記のようにシートSに成形する構成に限定されず、例えば、ブロック状、球状等の成形体に成形する構成であってもよい。
【0062】
このような繊維体処理装置100が備える各部は、制御部28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御部28によって制御される。
【0063】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)281と、記憶部282とを有している。CPU281は、記憶部282に記憶された各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。
【0064】
記憶部282には、例えば、シートSを製造するプログラム等の各種プログラムや、各種検量線、テーブル等が記憶されている。
【0065】
また、この制御部28は、繊維体処理装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、外部機器は、例えば、繊維体処理装置100とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、例えばインターネット等のようなネットワークを介して繊維体処理装置100と接続されている場合等がある。
【0066】
また、CPU281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよいし、CPU281が繊維体処理装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、記憶部282が繊維体処理装置100に内蔵され、CPU281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0067】
次に、加湿装置10について説明する。
図2に示すように、加湿装置10は、繊維体処理装置100の各部を加湿するものであり、複数の加湿器である加湿器3A、加湿器3B、加湿器3C、加湿器3Dおよび加湿器3Eと、タンク4と、補給部5と、第1送液部6Aと、第2送液部6Bと、これらの作動を制御する制御部7と、を備える。
【0068】
まず、加湿器3A~加湿器3Cについて説明する。
図1に示すように、加湿器3Aは、粗砕部12に設置され、より詳細には、粗砕部12のシュート122の上方に設置されている。加湿器3Bは、選別部14に設置され、より詳細には、選別部14のハウジング142に接続されている。加湿器3Cは、分散部18に設置され、より詳細には、分散部18のハウジング182に接続されている。加湿器3A~加湿器3Cは、設置個所が異なること以外は、同様の構成、同様の加湿方式であるため、以下、加湿器3Aについて代表的に説明する。
【0069】
加湿器3Aは、気化式の加湿器であり、シュート122内の粗砕片M2を加湿する。この加湿器3Aは、
図4に示すように、容器31と、フィルター32と、ファン33と、殺菌処理部34と、第1検出部である残量センサー35と、を有する。
【0070】
容器31は、吸気口311と、排気口312と、給水口313と、排水口314と、を有する。吸気口311は、ファン33の作動により空気を取り入れる開口である。排気口312は、ファン33の作動により空気を排出する開口である。
【0071】
給水口313は、容器31内に加湿用の液体、本実施形態では、水を取り入れる部分である。給水口313も、後述する第1給液管611Aに接続されている。なお、加湿器3Bの給水口313も、後述する第1給液管611Aに接続されており、加湿器3Cの給水口313も、後述する第1給液管611Aに接続されている。
【0072】
排水口314は、容器31内の残液を排出する部分である。排水口314は、後述する第1排液管621Aに接続されている。なお、加湿器3Bの排水口314も、第1排液管621Aに接続されており、加湿器3Cの排水口314も、第1排液管621Aに接続されている。
【0073】
フィルター32は、容器31内に設置され、容器31内の水を吸収し含有することができもの、例えば、織布、不織布、スポンジ等の多孔質体で構成される。ファン33は、回転羽根と、モーターと、を有する。
図3に示すように、ファン33は、制御部7と電気的に接続され、その作動が制御される。ファン33の作動により、水分を含有するフィルター32に空気を通過させ、気化させることにより、湿度を高めた加湿空気を排気口312から放出することができる。
【0074】
殺菌処理部34は、容器31内の水の殺菌処理を行う第1殺菌処理部である。
図3に示すように、殺菌処理部34は、制御部7と電気的に接続され、その作動が制御される。殺菌処理部34による殺菌方法としては、特に限定されず、例えば、熱による殺菌、薬品による殺菌、紫外線、電磁波等のエネルギー線を照射することによる殺菌、高電圧の付与により生じるオゾンを用いた殺菌等が挙げられる。これらの中でも、エネルギー線、特に、紫外線を照射することにより殺菌を行うのが好ましい。すなわち、殺菌処理部34としては、紫外線ランプを用いるのが好ましい。これにより、容器31内の水に対し、万遍なく紫外線を照射することができる。よって、容器31内の水に対し万遍なく殺菌を行うことができ、衛生面で優れる。さらに、熱や薬品等が残ることなく、これらによるシートSの品質に対する影響を軽減することができる。
【0075】
なお、本明細書において、「殺菌」とは、菌、ウィルス、カビに対する殺菌のみならず、除菌、抗菌等のより低いレベルのものも含む概念である。
【0076】
また、上記に限定されず、水と接する部位を例えば銀イオンが担持された材料等、抗菌性を有する材料で構成してもよい。
【0077】
なお、殺菌処理部34は、加湿器3B~加湿器3Eにも設けられており、加湿器3Aと同様の構成とすることができる。
【0078】
なお、加湿器3A~加湿器3Eの殺菌処理部34の殺菌方式は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0079】
残量センサー35は、容器31内に設けられ、容器31内の水の残量を検出するものである。残量センサー35としては、特に限定されず、例えば、フロート式のスイッチ、透過型または反射型の光センサーや、自己容量型または相互容量型の静電容量センサー、磁気センサー等を用いることができる。
図3に示すように、残量センサー35は、制御部7と電気的に接続されており、残量センサー35が検出した水の残量に対応する情報は、電気信号に変換され、制御部7に送信される。
【0080】
なお、残量センサー35は、加湿器3B~加湿器3Eにも設けられており、加湿器3Aと同様の構成とすることができる。また、加湿器3A~加湿器3Eの残量センサー35の検出方式は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0081】
次に、加湿器3Dおよび加湿器3Eについて説明する。
図1に示すように、加湿器3Dは、第1ウェブ形成部15に設置され、より詳しくは、メッシュベルト151の上方に設置されている。また、加湿器3Eは、第2ウェブ形成部19に設置され、より詳しくは、メッシュベルト191の上方に設置されている。
【0082】
加湿器3Dおよび加湿器3Eは、設置個所が異なること以外は、同様の構成、同様の加湿方式であるため、以下、加湿器3Dについて代表的に説明する。
【0083】
図5に示すように、加湿器3Dは、ミスト式の加湿器であり、容器36と、超音波素子37と、殺菌処理部34と、残量センサー35と、を有する。容器36は、吸気口361と、排気口362と、給水口363と、排水口364と、を有する。吸気口361は、空気を取り入れる開口である。排気口362は、加湿空気を排出する開口である。
【0084】
給水口363は、容器36内に加湿用の水を取り入れる部分である。給水口363は、後述する第1給液管611Aに接続されている。なお、加湿器3Eの給水口363も、後述する第1給液管611Aに接続されている。排水口364は、容器36から内部の残液を排出する部分である。排水口364は、後述する第1排液管621Aに接続されている。なお、加湿器3Eの排水口364も、後述する第1排液管621Aに接続されている。
【0085】
超音波素子37は、超音波振動を発生させ、容器36内に図示しない水柱を形成する。この水柱の形成とともに周囲にミストが発生し、このミストが空気とともに排気口362より排出される。これにより、加湿空気を放出することができる。また、
図3に示すように、超音波素子37は、制御部7と電気的に接続され、その作動が制御される。
【0086】
なお、殺菌処理部34および残量センサー35は、前述した加湿器3A~加湿器3Cと同様の構成とすることができるため、説明を省略する。
【0087】
このような加湿器3Dによれば、第1ウェブM5に適度な水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。その結果、シート製造を円滑に行うことができ、シートSの品質を安定して高めることができる。
【0088】
また、加湿器3Eによれば、第2ウェブM8に適度な水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。その結果、シート製造を円滑に行うことができ、シートSの品質を安定して高めることができる。
【0089】
このように、加湿器3A~加湿器3Cは、液体を貯留する容器31と、容器31内の液体の殺菌処理を行う第1殺菌処理部である殺菌処理部34を有する。また、加湿器3Dおよび加湿器3Eは、液体を貯留する容器36と、容器36内の液体の殺菌処理を行う第1殺菌処理部である殺菌処理部34を有する。これにより、加湿器3A~加湿器3E内の水に対して殺菌処理を行うことができる。よって、加湿器3A~加湿器3E内でのカビ、細菌の繁殖を抑え、臭気のない加湿空気を放出することができる。その結果、衛生面で優れ、臭気が抑制されたシートSを製造することができる。
【0090】
以上、加湿器3A~加湿器3Eの構成について説明した。このような加湿器3A~加湿器3Eが、搬送中の材料を加湿することにより、材料を良好にほぐした状態で搬送を行うことができる。また、搬送を円滑に行うことができる。その結果、シートSの品質を高めることができる。また、加湿器3A~加湿器3Eにて加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましい。
【0091】
繊維体処理装置100は、乾式の装置、特に、シート製造装置であり、本来、シートSを製造するのに水を必要としないが、前記のように、装置の各所で材料を加湿することで、製造物の品質の向上を図ることができる。従来用いられている湿式の製紙装置に比べれば、加湿装置での水の使用量は、極端に少ない。すたがって、例えば、砂漠等の乾燥地帯、山岳地帯、寒冷地帯、北極圏、南極圏、車両、航空機内等の水の確保に不利な場所においても、容易にシートSを製造することができる。
【0092】
また、加湿器3A~加湿器3Eの加湿対象は、搬送中の材料のみならず、装置の内壁等、他の物を加湿する構成であってもよい。
【0093】
次に、タンク4について説明する。
図2に示すように、タンク4は、加湿器3A~加湿器3Eとは異なる位置に設置され、加湿用の液体、すなわち、水が貯留される部分である。タンク4は、加湿用の水を貯留する貯留部40と、貯留部40内に設けられた殺菌処理部41と、貯留部40内の水の残量を検出する第2センサーである残量センサー42A、残量センサー42B、残量センサー42Cおよび残量センサー42Dと、を有する。
【0094】
貯留部40は、第1給水口401と、第1排水口402と、第2給水口403と、第2排水口404と、を有する。
【0095】
第1給水口401は、第1送液部6Aを介して加湿器3A~加湿器3Eとそれぞれ接続されている。加湿器3A~加湿器3Eから排出された水は、第1送液部6Aおよび第1給水口401を介して貯留部40内に流入し、貯留される。第1排水口402は、第1送液部6Aを介して加湿器3A~加湿器3Eとそれぞれ接続されている。第1排水口402から排出された水は、第1排水口402および第1送液部6Aを介して加湿器3A~加湿器3Eにそれぞれ供給される。
【0096】
第2給水口403は、第2送液部6Bを介して後述する補給部5に装着されたユーザータンク200と接続される。ユーザータンク200から供給された水は、第2送液部6Bおよび第2給水口403を介して貯留部40内に流入し、貯留される。第2排水口404は、第2送液部6Bを介してユーザータンク200と接続されている。第2排水口404から排出された水は、第2排水口404および第2送液部6Bを介して補給部5に接続されたユーザータンク200に供給される。
【0097】
貯留部40の内部容積は、特に限定されないが、加湿器3A~加湿器3Eの内部容積の合計よりも大きいのが好ましい。具体的には、貯留部40の内部容積は、加湿器3A~加湿器3Eの内部容積の合計の1.2倍以上、100倍以下であるのが好ましく、2倍以上、50倍以下であるのがより好ましい。このような数値範囲に設定することにより、貯留部40の残量にもよるが、加湿器3A~加湿器3Eの残液が満量の状態から排水を行っても、これらの残液を貯留部40に貯留することができる。
【0098】
図2に示すように、殺菌処理部41は、貯留部40内の水の殺菌処理を行う第2殺菌処理部である。
図3に示すように、殺菌処理部41は、制御部7と電気的に接続され、その作動が制御される。殺菌処理部41による殺菌方法としては、前述した殺菌処理部34の説明で挙げた殺菌方法が挙げられる。中でも、殺菌処理部41としては、殺菌処理部34と同様に、紫外線ランプを用いるのが好ましい。これにより、貯留部40内の水に対し、万遍なく紫外線を照射することができる。よって、貯留部40内の水に対し万遍なく殺菌を行うことができ、衛生面で優れる。さらに、熱や薬品等が残ることなく、これらによるシートSの品質に対する影響を軽減することができる。
【0099】
このように、タンク4は、タンク4内の液体である水の殺菌処理を行う第2殺菌処理部としての殺菌処理部41を有する。これにより、タンク4内の水に対して殺菌処理を行うことができる。よって、タンク4内でのカビ、細菌の繁殖を抑え、臭気のない加湿空気を放出することができる。その結果、衛生面で優れ、臭気が抑制されたシートSを製造することができる。
【0100】
また、
図2に示すように、残量センサー42A、残量センサー42B、残量センサー42Cおよび残量センサー42Dは、貯留部40の深さ方向に沿って配置されている。これらは、残量センサー42D、残量センサー42C、残量センサー42Bおよび残量センサー42Aの順で底部側から配置されている。残量センサー42A~残量センサー42Dの検出方式としては、特に限定されず、前述した残量センサー35の説明で挙げた検出方式と同じ検出方式が挙げられる。
【0101】
図3に示すように、残量センサー42A~残量センサー42Dは、制御部7とそれぞれ電気的に接続されており、残量センサー42A~残量センサー42Dが検出した水の残量に相当する情報は、それぞれ、制御部7に送信される。
【0102】
次に、補給部5について説明する。
図2に示すように、補給部5は、ユーザータンク200が装着、接続される接続部である。補給部5は、第2送液部6Bを介してタンク4に接続されている。補給部5にユーザータンク200が装着された状態では、第2送液部6Bを介してユーザータンク200内の水をタンク4に補給することができる。繊維体処理装置100のユーザーは、必要に応じてユーザータンク200に水を補給して補給部5に装着する。
【0103】
ユーザータンク200の内部容積は、タンク4の内部容積よりも十分に大きいのが好ましい。具体的には、ユーザータンク200の内部容積は、貯留部40の内部容積の合計の2倍以上、50倍以下であるのが好ましく、5倍以上、10倍以下であるのがより好ましい。このような数値範囲に設定することにより、ユーザーがユーザータンク200に水を補給する頻度を十分に減らすことができる。
【0104】
なお、加湿装置10では、補給部5に接続されるのがユーザータンク200に限定されず、例えば、給水ホースが接続される構成であってもよい。また、補給部5が漏斗で構成され、ユーザーが必要に応じて漏斗に給水する構成であってもよい。
【0105】
また、図示はしないが、補給部5は、ユーザータンク200等が接続されたことを検出する検出手段を有するのが好ましい。これにより、例えば、接続を検出した場合のみ、後述する第1モード、第2モード、第5モードおよび第6モードを実行する構成とすることができる。
【0106】
次に、第1送液部6Aについて説明する。
図2に示すように、第1送液部6Aは、加湿器3A~加湿器3Eと、タンク4との間で送液を行うものである。第1送液部6Aは、第1給液部61Aと、第1排液部62Aと、ポンプ63Aと、ポンプ64Aと、を有する。
【0107】
第1給液部61Aは、タンク4内の水を加湿器3A~加湿器3Eに給液するものである。第1給液部61Aは、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4まで延びる第1給液管611Aと、第1給液管611Aの途中に設けられたバルブ612A、バルブ613A、バルブ614A、バルブ615A、バルブ616A、バルブ617Aおよびバルブ618Aと、を有する。
【0108】
第1給液管611Aは、一端部が、タンク4の第1排水口402に接続されている。また、第1給液管611Aの他端側は、分岐部aにて二股に分岐している。また、第1給液管611Aの分岐部aよりも
図2中左側の部分は、分岐部bにて二股に分岐し、分岐した一方が加湿器3Cの給水口313に接続されている。また、分岐部bにて二股に分岐した他方は、途中の分岐部cにて二股に分岐し、一方が加湿器3Bの給水口313に接続され、他方が加湿器3Aの給水口313に接続されている。
【0109】
一方、第1給液管611Aの分岐部aよりも
図2中右側の部分は、分岐部dにて二股に分岐し、分岐した一方が加湿器3Dの給水口363に接続されている。また、分岐部dにて二股に分岐した他方は、加湿器3Eの給水口363に接続されている。
【0110】
バルブ612Aは、第1給液管611Aの、分岐部aと分岐部bとの間の部分に設けられている。バルブ612Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。
【0111】
バルブ613Aは、第1給液管611Aの、分岐部cと加湿器3Aとの間の部分に設けられている。バルブ613Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Aに水を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0112】
バルブ614Aは、第1給液管611Aの、分岐部cと加湿器3Bとの間の部分に設けられている。バルブ614Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Bに水を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0113】
バルブ615Aは、第1給液管611Aの、分岐部bと加湿器3Cとの間の部分に設けられている。バルブ615Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Cに水を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0114】
バルブ616Aは、第1給液管611Aの、分岐部aと分岐部dとの間の部分に設けられている。バルブ616Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。
【0115】
バルブ617Aは、第1給液管611Aの、分岐部dと加湿器3Dとの間の部分に設けられている。バルブ617Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Dに水を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0116】
バルブ618Aは、第1給液管611Aの、分岐部dと加湿器3Eとの間の部分に設けられている。バルブ618Aは、当該部分において、第1給液管611Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Eに水を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0117】
また、バルブ612A~バルブ618Aは、例えば、電磁弁で構成される。また、
図3に示すように、バルブ612A~バルブ618Aは、それぞれ、制御部7と電気的に接続されており、その作動が独立して制御される。なお、本実施形態では、バルブ612A~バルブ618Aは、それぞれ、開状態および閉状態を切り替えるものであるが、本発明では、これに限定されず、例えば、開度を段階的または連続的に調整可能に構成されていてもよい。
【0118】
このような第1給液部61Aにより、加湿器3A~加湿器3Cに選択的に水を供給することができる。
【0119】
図2に示すように、第1排液部62Aは、加湿器3A~加湿器3E内の水をタンク4に排出するものである。第1排液部62Aは、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4まで延びる第1排液管621Aと、第1排液管621Aの途中に設けられたバルブ622A、バルブ623A、バルブ624A、バルブ625A、バルブ626A、バルブ627Aおよびバルブ628Aと、殺菌処理部65Aと、濾過フィルター66Aと、を有する。
【0120】
第1排液管621Aは、一端部が第1給水口401に接続されている。また、第1排液管621Aの他端側は、分岐部eにて二股に分岐している。また、第1排液管621Aの分岐部eよりも
図2中左側の部分は、分岐部fにて二股に分岐し、分岐した一方が加湿器3Cの排水口314に接続されている。また、分岐部fにて二股に分岐した他方は、途中の分岐部gにて二股に分岐し、一方が加湿器3Bの排水口314に接続され、他方が加湿器3Aの排水口314に接続されている。
【0121】
一方、第1排液管621Aの分岐部eよりも
図2中右側の部分は、分岐部hにて二股に分岐し、分岐した一方が加湿器3Dの排水口364に接続されている。また、分岐部hにて二股に分岐した他方は、加湿器3Eの排水口364に接続されている。
【0122】
バルブ622Aは、第1排液管621Aの、分岐部eと分岐部fとの間の部分に設けられている。バルブ622Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。
【0123】
バルブ623Aは、第1排液管621Aの、分岐部gと加湿器3Aとの間の部分に設けられている。バルブ623Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Aから水を排出するか遮断するかを切り替えることができる。
【0124】
バルブ624Aは、第1排液管621Aの、分岐部gと加湿器3Bとの間の部分に設けられている。バルブ624Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Bから水を排出するか遮断するかを切り替えることができる。
【0125】
バルブ625Aは、第1排液管621Aの、分岐部fと加湿器3Cとの間の部分に設けられている。バルブ625Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Cから水を排出するか遮断するかを切り替えることができる。
【0126】
バルブ626Aは、第1排液管621Aの、分岐部eと分岐部hとの間の部分に設けられている。バルブ626Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。
【0127】
バルブ627Aは、第1排液管621Aの、分岐部hと加湿器3Dとの間の部分に設けられている。バルブ627Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Dから水を排出するか遮断するかを切り替えることができる。
【0128】
バルブ628Aは、第1排液管621Aの、分岐部hと加湿器3Eとの間の部分に設けられている。バルブ628Aは、当該部分において、第1排液管621Aの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、加湿器3Eから水を排出するか遮断するかを切り替えることができる。
【0129】
また、バルブ622A~バルブ628Aは、例えば、電磁弁で構成される。また、
図3に示すように、バルブ622A~バルブ628Aは、それぞれ、制御部7と電気的に接続されており、それらの作動は独立して制御される。なお、本実施形態では、バルブ622A~バルブ628Aは、それぞれ、開状態および閉状態を切り替えるものであるが、本発明では、これに限定されず、例えば、開度を段階的または連続的に調整可能に構成されていてもよい。
【0130】
図2に示すように、殺菌処理部65Aは、第1排液管621Aの、分岐部eとバルブ622Aとの間に設置されている。殺菌処理部65Aは、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に向かう水の殺菌処理を行う第3殺菌処理部である。
図3に示すように、殺菌処理部65Aは、制御部7と電気的に接続され、その作動が制御される。
【0131】
殺菌処理部65Aによる殺菌方法としては、前述した殺菌処理部34および殺菌処理部41の説明で挙げた殺菌方法が挙げられる。中でも、殺菌処理部65Aとしては、殺菌処理部34および殺菌処理部41と同様に、紫外線ランプを用いるのが好ましい。これにより、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に向かう水に対し、万遍なく紫外線を照射することができる。よって、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に向かう水に対し万遍なく殺菌を行うことができ、衛生面で優れる。さらに、熱や薬品等が残ることなく、これらによるシートSの品質に対する影響を軽減することができる。
【0132】
このように、第1排液部62Aは、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に向かう液体である水の殺菌処理を行う第3殺菌処理部である殺菌処理部65Aを有する。これにより、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に向かう水に対して殺菌処理を行うことができる。よって、タンク4内でのカビ、細菌の繁殖を抑え、臭気のない加湿空気を放出することができる。その結果、衛生面で優れ、臭気が抑制されたシートSを製造することができる。
【0133】
図2に示すように、濾過フィルター66Aは、第1排液管621Aの、タンク4と分岐部eとの間で、かつ、第1排液管621Aの流路内に設けられている。濾過フィルター66Aは、例えば、織布、不織布、スポンジで構成され、通過する水に含まれるゴミ等を捕捉する機能を有する。なお、濾過フィルター66Aは、排水口314および排水口364に設けられていてもよい。
【0134】
このように、第1排液部62Aは、濾過フィルター66Aを有する。これにより、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に向かう水に含まれる水アカ、ゴミ等を除去することができる。よって、タンク4内等に水アカ、ゴミが貯まってしまうのを防止または抑制することができる。
【0135】
このような第1排液部62Aにより、加湿器3A~加湿器3Bから選択的に水を排出することができる。
【0136】
また、第1給液部61Aは、第1給液管611Aを有し、第1排液部62Aは、第1給液管611Aとは異なる第1排液管621Aをさらに有する。例えば、第1給液部61Aおよび第1排液部62Aを共通の管で構成した場合、ポンプとしては正逆双方向に送液可能な構成である必要がある。これに対し、上記のように、別々の独立した管、すなわち、第1給液管611Aおよび第1排液管621Aを有する構成とすることにより、加湿器3A~加湿器3Eに対する給排水のパターンの幅が広がる。また、一方向のみに送液するポンプ63Aおよびポンプ64Aを用いることができる。よって、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの構成を簡素にすることができるとともに、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの作動の制御を簡素にすることができる。
【0137】
また、第1給液部61Aおよび第1排液部62Aは、第1給液管611Aおよび第1排液管621A内の液体である水の通過、遮断を切り替えるバルブ612A~バルブ618Aおよびバルブ622A~バルブ628Aを有する。これにより、バルブ612A~バルブ618Aおよびバルブ622A~バルブ628Aの開閉を制御するという簡単な構成により、第1給液管611Aおよび第1排液管621A内の水の通過、遮断を選択することができる。特に、加湿器3A~加湿器3Eごとに開閉を選択することができ、加湿器3A~加湿器3Eのどの加湿器に水を供給するか、または、加湿器3A~加湿器3Eのどの加湿器の排水を行うかを容易に選択することができる。
【0138】
また、第1給液部61Aおよび第1排液部62Aは、共通のポンプ63Aおよびポンプ64Aを有する。
【0139】
図2に示すように、ポンプ63Aは、第1給液管611Aの、バルブ612Aと分岐部bとの間の部分で、かつ、第1排液管621Aの、分岐部fとバルブ622Aとの間の部分に設置されている。換言すれば、ポンプ63Aには、第1給液管611Aの、分岐部aよりも
図2中左側の部分、および、第1排液管621Aの、分岐部eよりも
図2中左側の部分が接続されている。また、ポンプ63Aは、一方向にのみ送液を行うものである。このため、第1給液管611Aおよび第1排液管621Aは、水が流下する方向における上流側の部分が、ポンプ63Aの
図2中右側から接続され、水が流下する方向における下流側の部分が、ポンプ63Aの
図2中左側から接続されている。
【0140】
また、ポンプ64Aは、第1給液管611Aの、バルブ616Aと分岐部dとの間の部分で、かつ、第1排液管621Aの、分岐部hとバルブ626Aとの間の部分に設置されている。換言すれば、ポンプ64Aには、第1給液管611Aの、分岐部aよりも
図2中右側の部分、および、第1排液管621Aの、分岐部eよりも
図2中右側の部分が接続されている。また、ポンプ64Aは、一方向にのみ送液を行うものである。このため、第1給液管611Aおよび第1排液管621Aは、水が流下する方向における上流側の部分が、ポンプ64Aの
図2中左側から接続され、水が流下する方向における下流側の部分が、ポンプ64Aの
図2中右側から接続されている。
【0141】
図3に示すように、ポンプ63Aおよびポンプ64Aは、制御部7と電気的に接続されており、その作動が独立して制御される。ポンプ63Aおよびポンプ64Aとしては、送液する機能を有していれば、特に限定されず、例えば、真空ポンプ等を用いることができる。
【0142】
また、ポンプ63Aおよびポンプ64Aは、図示の構成では、一方向のみに送液するものであるが、本発明ではこれに限定されず、通電条件を変更することにより、正逆双方向に送液可能であってもよい。
【0143】
このように、第1送液部6Aは、ポンプ63Aおよびポンプ64Aを有し、第1給液部61Aおよび第1排液部62Aは、ポンプ63Aおよびポンプ64Aを共有する。これにより、ポンプの設置数を減らすことができ、装置構成を簡素にすることができる。
【0144】
以上、第1送液部6Aについて説明した。
前述したように、第1送液部6Aは、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に送液、すなわち、排水を行う第1排液部62Aを有する。これにより、例えば、加湿器3A~加湿器3E内に水が残っている状態で加湿装置10の電源をOFFにしたとしても、加湿器3A~加湿器3E内の水をタンク4に戻し、再利用することができる。その結果、水の利用効率を高めることができる。特に、加湿装置10を、
図1に示すような乾式の繊維体処理装置100に適用した場合、水の使用量をさらに減らすことができるため有効である。
【0145】
なお、第1排液部62Aおよび第1排液部62Aが、それぞれ、別個のポンプを有していてもよい。これにより、加湿器3A~加湿器3Eの給排水のパターンの幅が広がる。
【0146】
次に、第2送液部6Bについて説明する。
図2に示すように、第2送液部6Bは、第2給液部61Bと、第2排液部62Bと、を有する。
【0147】
第2給液部61Bは、ユーザータンク200内の水をタンク4に給液するものである。第2給液部61Bは、第2給液管611Bと、第2給液管611Bの途中に設けられたバルブ612Bおよびバルブ613Bと、軟水化フィルター64Bと、を有する。
【0148】
第2給液管611Bは、一端が補給部5に接続され、他端が、第2給水口403に接続されている。バルブ612Bは、第2給液管611Bの途中に設けられ、バルブ613Bは、第2給液管611Bのバルブ612Bよりも、第2給水口403側に設けられている。バルブ612Bおよびバルブ613Bは、設置された部分において、第2給液管611Bの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、補給部5からタンク4に水を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0149】
軟水化フィルター64Bは、第2給液管611Bの、バルブ612Bと補給部5との間の部分に設置されている。軟水化フィルター64Bは、第2給液管611Bにおいて、補給部5からタンク4に向かう水と接触して、当該水に含まれる硬度成分を吸着除去するフィルターである。水に含まれる硬度成分としては、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等が挙げられる。軟水化フィルター64Bとしては、上記機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、強酸性カチオン交換樹脂を含んでいるのが好ましい。
【0150】
このように、第2送液部6Bは、補給部5からタンク4に向かう液体である水を軟水化させる軟水化フィルター64Bを有する。これにより、加湿用の水からカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度成分を除去することができる。よって、硬度成分が過剰にシートSに含まれるのを防止することができ、シートSの品質を高めることができる。さらに、加湿装置10の各部での硬度成分の付着を防止または抑制することができ、これらのメンテナンスが容易となる。
【0151】
第2排液部62Bは、タンク4の水をユーザータンク200に排出するものである。第2排液部62Bは、第2排液管621Bと、第2排液管621Bの途中に設けられたバルブ622Bおよびバルブ623Bと、を有する。
【0152】
第2排液管621Bは、一端が補給部5に接続され、他端が、第2排水口404に接続されている。バルブ622Bは、第2給液管611Bの途中に設けられ、バルブ623Bは、第2排液管621Bのバルブ622Bよりも、補給部5側に設けられている。バルブ622Bおよびバルブ623Bは、設置された部分において、第2排液管621Bの開閉を行い、水の通過、遮断を切り替える。これにより、タンク4から補給部5に水を排出するか遮断するかを切り替えることができる。
【0153】
また、バルブ612B、バルブ613B、バルブ622Bおよびバルブ623Bは、例えば、電磁弁で構成される。また、
図3に示すように、バルブ612B、バルブ613B、バルブ622Bおよびバルブ623Bは、それぞれ、制御部7と電気的に接続されており、その作動が独立して制御される。なお、本実施形態では、バルブ612B、バルブ613B、バルブ622Bおよびバルブ623Bは、それぞれ、開状態および閉状態を切り替えるものであるが、本発明では、これに限定されず、例えば、開度を段階的または連続的に調整可能に構成されていてもよい。
【0154】
また、第2給液部61Bおよび第2排液部62Bは、共通のポンプ63Bを有する。
図2に示すように、ポンプ63Bは、第2給液管611Bの、バルブ612Bとバルブ613Bとの間の部分で、かつ、第2排液管621Bの、バルブ622Bとバルブ623Bとの間の部分に設置されている。換言すれば、ポンプ63Bには、第2給液管611Bおよび第2排液管621Bが接続されている。また、ポンプ63Bは、一方向にのみ送液を行うものである。このため、第2給液管611Bおよび第2排液管621Bは、水が流下する方向における上流側の部分が、ポンプ63Bの
図2中左側から接続され、水が流下する方向における下流側の部分が、ポンプ63Bの
図2中右側から接続されている。
【0155】
図3に示すように、ポンプ63Bは、制御部7と電気的に接続されており、その作動が独立して制御される。ポンプ63Bとしては、送液する機能を有していれば、特に限定されず、例えば、真空ポンプ等を用いることができる。また、ポンプ63Bは、図示の構成では、一方向のみに送液するものであるが、本発明ではこれに限定されず、通電条件を変更することにより、正逆双方向に送液可能であってもよい。
以上、第2送液部6Bについて説明した。
【0156】
このように、繊維体処理装置100は、タンク4に液体である水を供給する補給部5と、補給部5とタンク4との間で送液を行う第2送液部6Bと、を備える。これにより、補給部5からタンク4に水を補給することができるとともに、例えば、タンク4の水が満量になると、補給部5に向かって排水を行うことができる。よって、加湿器3A~加湿器3E内の水が比較的多く残っていたとしても、加湿器3A~加湿器3E内の水の排水をより確実に行うことができる。
【0157】
次に、制御部7について説明する。
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)71と、記憶部72とを有している。CPU71は、記憶部72に記憶された各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。
【0158】
記憶部72には、例えば、シートSを製造するプログラム等の各種プログラムや、各種検量線、テーブル等が記憶されている。
【0159】
また、この制御部7は、繊維体処理装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、外部機器は、例えば、繊維体処理装置100とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、例えばインターネット等のようなネットワークを介して繊維体処理装置100と接続されている場合等がある。
【0160】
また、CPU71と、記憶部72とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよいし、CPU71が繊維体処理装置100に内蔵され、記憶部72が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、記憶部72が繊維体処理装置100に内蔵され、CPU71が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0161】
また、本実施形態では、前述した繊維体処理装置100の各部の作動を制御する制御部28と、加湿装置10の各部の作動を制御する制御部7とが、別個に設けられているが、本発明では、これに限定されず、制御部7が制御部28の機能を兼ねていてもよい。
【0162】
このような制御部7は、以下に説明する、第1モード(第1単独給液モード)、第2モード(同時給液モード)、第3モード(第2単独給液モード)、第4モード(第1単独排液モード)、第5モード(第2単独排液モード)および第6モード(同時排液モード)を有し、これらを択一的に実行可能である。
【0163】
また、実行するモードのパターン、順番は、
図16に示すパターンと、
図17に示すパターンとが挙げられる。
図16に示すパターンでは、第1モード、第2モード、第3モード、第4モードおよび第5モードをこの順で実行する。
図17に示すパターンでは、第1モード、第2モード、第3モードおよび第6モードをこの順で実行する。なお、第2モードが完了すると、加湿を開始し、その後、第3モードを実行する。
【0164】
以下、
図6~
図15を用いて、第1モード~第6モードについて説明する、
図6~
図15では、各バルブのうち、開状態のものに「〇」を付しており、閉状態のものに「×」を付している。また、各ポンプのうち、作動状態のものに「〇」を付しており、停止状態のものに「×」を付している。
【0165】
1.第1モード(第1単独給液モード)
図6に示す第1モードは、繊維体処理装置100の電源がONになった際、繊維体処理装置100によるシートSの製造を開始するための準備を行うモードである。すなわち、第1モードは、第1送液部6Aを作動させずに、第2送液部6Bのみを単独で作動させて、補給部5からタンク4に給液を行う第1単独給液モードである。
【0166】
第1モードを開始する前は、加湿器3A~加湿器3E内が空の状態、すなわち、水の残量が基準値以下であり、タンク4の水の残量が空の状態、すなわち、水の残量が第1所定値以下である。
【0167】
制御部7は、残量センサー42A~残量センサー42Dの検出結果に基づいて、水の残量を推定、確認する。具体的には、残量センサー42A~残量センサー42Dのいずれも水を検出しなかった場合、残量が第1所定値未満とみなし、残量センサー42Dのみが水を検出した場合、残量が第1所定値以上とみなす。
【0168】
制御部7は、タンク4内の液体である水の残量が第1所定値未満である場合、補給部5からタンク4に送液するよう第2送液部6Bの作動を制御する。このように、タンク4内の水の残量が十分に少ないことを確認してからタンク4に送液することにより、タンク4内の水の残量の制御を正確に行うことができる。
【0169】
図6に示すように、第1モードでは、制御部7は、バルブ612Bおよびバルブ613Bを開状態とし、ポンプ63Bを作動させる。これにより、補給部5からタンク4に給液が行われる。なお、第1モードでは、ポンプ63Aおよびポンプ64Aは、作動させず、第1送液部6Aのバルブ612A~バルブ618Aおよびバルブ622A~バルブ628Aは、全て閉状態としている。
【0170】
このような第1モードを継続すると、タンク4内の水が増える。そして、制御部7は、タンク4内の水の量が第1所定値以上になると、殺菌処理部41を作動させて、タンク4内の水に対し殺菌処理を開始する。
【0171】
このように、タンク4は、内部の液体である水の殺菌処理を行う第2殺菌処理部としての殺菌処理部41を備え、制御部7は、タンク4内の液体である水の残量が第1所定値以上である場合、第2殺菌処理部を作動させる。これにより、タンク4内の水に対し殺菌処理を行うことができる。また、タンク4内の水が比較的少ない状態においては殺菌処理部41を作動させないため、無駄な電力消費を低減することができる。
【0172】
2.第2モード(同時給液モード)
図7~
図9に示すように、第2モードは、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eへの送液と、補給部5からタンク4への送液を、同時、すなわち、時間的に重複して行う同時給液モードである。すなわち、第2モードでは、第1送液部6Aと第2送液部6Bとを同時に作動させる。なお、これらの送液は、開始時刻および終了時刻のうちの一方または双方がずれていてもよい。
【0173】
本実施形態では、制御部7は、加湿器3A~加湿器3Eの残量センサー35の検出結果、および、タンク4内の残量センサー42A~残量センサー42Dの検出結果に基づいて、第2モードを行うか否かを判断する。
【0174】
まず、制御部7は、加湿器3A~加湿器3Eの残量センサー35の検出結果に基づいて、水の残量が基準値以下か否かを判断する。基準値は、加湿器3A~加湿器3Eによる加湿を開始可能とみなせる程度の値である。また、制御部7は、残量センサー42A~残量センサー42Dの検出結果に基づいて、タンク4内の水の残量が第2所定値以上になったか否かを判断する。なお、第2所定値は、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eに対して水を十分に供給することができる程度の値である。具体的には、制御部7は、加湿器3A~加湿器3Eの残量センサー35が水を検出せず、かつ、残量センサー42Cおよび残量センサー42Dが水を検出した場合、第2モードを開始する。
【0175】
このように、制御部7は、タンク4内の液体である水の残量が第1所定値よりも多い第2所定値以上で、かつ、加湿器3A~加湿器3E内の前記液体の残量が所定残量以下、すなわち、基準値以下であった場合、同時給液モードである第2モードを実行する。これにより、第2モードを適正なタイミングで開始することができる。
【0176】
第2モードでは、
図7に示す状態、
図8に示す状態および
図9に示す状態の3パターンがあり、これらが順次行われる。
【0177】
まず、
図7に示すように、制御部7は、第2送液部6Bにおいては、第1モードでの作動状態と同じ状態を維持しつつ、第1送液部6Aにおいて、バルブ612A、バルブ613A、バルブ616Aおよびバルブ617Aを開状態とし、ポンプ63Aおよびポンプ64Aを作動させる。これにより、加湿器3Aおよび加湿器3Dに水が供給される。
【0178】
なお、このとき、バルブ614A、バルブ615A、バルブ618Aおよびバルブ622A~バルブ628Aは、閉状態としている。
加湿器3Aおよび加湿器3D内の水が基準値に達すると、
図8に示す状態に移行する。
【0179】
次いで、
図8に示すように、制御部7は、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの作動を維持したまま、バルブ613Aおよびバルブ617Aを閉状態とし、かつ、バルブ614Aおよびバルブ618Aを開状態とする。これにより、加湿器3Bおよび加湿器3Eに水が供給される。なお、このとき、バルブ613A、バルブ615A、バルブ617Aおよびバルブ622A~バルブ628Aは、閉状態である。
加湿器3Bおよび加湿器3E内の水が基準値に達すると、
図9に示す状態に移行する。
【0180】
次いで、
図9に示すように、制御部7は、ポンプ63Aの作動を維持したまま、バルブ614Aおよびバルブ618Aを閉状態とし、バルブ615Aを開状態とする。これにより、加湿器3Cに水が供給される。
【0181】
なお、このとき、バルブ613A、バルブ614A、バルブ617A、バルブ618Aおよびバルブ622A~バルブ628Aは、閉状態である。
また、加湿器3E内の水が基準値に達すると、
図10に示す第3モードに移行する。
【0182】
なお、ポンプ63A、ポンプ63Bおよびポンプ64Aの送液能力が比較的高い場合、加湿器3A~加湿器3Eに対して同時に給水を行ってもよく、同時に排水を行ってもよい。加湿器3A~加湿器3Eに対して同時に給水または排水を行う構成である場合、給水または排水にかかる時間を短縮することができる。一方、加湿器3A~加湿器3Eに対して順次給水、または、排水を行う構成である場合、各ポンプの最大負荷を軽減することができる。
【0183】
このように、第2モードは、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eへの送液と、補給部5からタンク4への送液とを時間的に重複して行う同時給液モードである。この第2モードによれば、加湿器3A~加湿器3Eへの送液と、補給部5からタンク4への送液とを順次、すなわち、時間的に重複せずに行う場合に比べ、これらの送液を迅速に行うことができる。よって、加湿装置10の電源をONにしてから、加湿可能な状態になるまでの時間を短縮することができる。その結果、迅速に加湿を開始することができる。
【0184】
ここで、制御部7は、第2モードにおいては、タンク4内の水が増大または維持されるよう第1送液部6Aおよび第2送液部6Bの作動を制御する。具体的には、制御部7は、
図7~
図9に示すように、補給部5からタンク4に送液する単位時間当たりの送液量をAとし、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eに送液する単位時間当たりの送液量をBとしたとき、A≧Bを満足するよう第1送液部6Aおよび第2送液部6Bの作動を制御する。すなわち、制御部7は、A≧Bを満足するよう、ポンプ63A、ポンプ64Aおよびポンプ63Bの通電条件を制御する。これにより、第2モードでは、タンク4の水が減ることなく、すなわち、枯渇することなく、加湿器3A~加湿器3Eに水を供給することができる。よって、加湿器3A~加湿器3Eに安定的に水を供給することができる。
【0185】
以上より、第2モードによれば、加湿器3A~加湿器3Eおよびタンク4への水の供給、すなわち、加湿装置10の立ち上げを迅速、かつ、安定的に行うことができる。
【0186】
なお、補給部5からタンク4への単位時間当たりの送液量Aは、ポンプ63Bの送液力、例えば、送液速度等によって決まる。
【0187】
また、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eに送液する単位時間当たりの送液量Bとは、タンク4の第1排水口402からの単位時間当たりの送液量のことを言う。なお、送液量Bは、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの送液力の和によって決まる。また、第1給液管611Aの分岐部aで分岐した先の部分の流量は、それぞれ、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの送液力によって決まる。
【0188】
ポンプ63Bの最大送液力は、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの最大送液力の和以上であるのが好ましい。これにより、ポンプ63A、ポンプ64Aおよびポンプ63Bを最大出力で駆動したとしても、A≧Bを満足することができる。
【0189】
また、第2モードにおいては、方式が同じ加湿器3A~加湿器3Cに対し、1つずつ送液するよう第1送液部6Aの作動を制御するとともに、方式が同じ加湿器3Dおよび加湿器3Eに対し、1つずつ送液するよう第1送液部6Aの作動を制御する。このように、加湿装置10は、設置位置が異なり、かつ、方式が同じ複数の加湿器3A~加湿器3C、加湿器3Dおよび加湿器3Eを備える。そして、制御部7は、同時給液モードである第2モードにおいては、タンク4から同じ方式の各加湿器に1つずつ送液するよう第1送液部6Aの作動を制御する。このような制御は、各加湿器3A~加湿器3Eに対し、専用のバルブを設け、これらの開閉を制御するという簡単な方法で実現することができる。すなわち、制御動作を簡素にすることができる。
【0190】
また、第2モードにおいては、
図7に示すように、方式が異なる加湿器3Aおよび加湿器3Dに対して一括して送液し、
図8に示すように、方式が異なる加湿器3Bおよび加湿器3Eに対して一括して送液する。このように、加湿装置10は、設置位置が異なり、かつ、方式が異なる複数の加湿器である加湿器3A~加湿器3Eを備える。そして、制御部7は、同時給液モードである第2モードにおいては、タンク4から方式が異なる加湿器に一括して送液するよう第1送液部6Aの作動を制御する。これにより、加湿器3A~加湿器3Eの全てに対して給水するトータルの時間を短くすることができる。よって、さらに迅速に加湿装置10を立ち上げることができる。
【0191】
また、前述したように、加湿器3A~加湿器3Eは、内部の液体である水の残量を検出する第1検出部としての残量センサー35を有し、タンク4は、内部の液体である水の残量を検出する第2検出部としての残量センサー42A~残量センサー42Dを有する。そして、制御部7は、残量センサー35の検出結果、および、残量センサー42A~残量センサー42Dの検出結果に基づいて、第1送液部6Aおよび第2送液部6Bの作動を制御する。これにより、第2モードの開始タイミング、終了タイミングや、その他のモードの切り替えを適正なタイミングで行うことができる。
【0192】
また、残量センサー42A~残量センサー42Dのうち、残量センサー42B~残量センサー42Dが水を検出し、残量センサー42Aが水を検出しなかった場合、残量が、第2所定値よりも多い第3所定値であるとみなす。タンク4内の水が第2所定値よりも大きい第3所定値以上になると、ポンプ63Bの作動を停止し、バルブ612Bおよびバルブ613Bを閉状態とする。これにより、タンク4への水の供給を停止することができる。このように、制御部7は、タンク4内の液体である水の残量が第2所定値よりも多い第3所定値以上の場合、補給部5からタンク4への水の供給、すなわち、送液を停止するよう第2送液部6Bの作動を制御する。よって、タンク4内の水が過剰に多くなるのを防止することができる。
【0193】
以上、第2モードについて説明した。第2モードが完了したら、加湿器3A~加湿器3Eによる加湿を開始する。次に、第3モードについて説明する。
【0194】
3.第3モード(第2単独給液モード)
図10に示す第3モードは、繊維体処理装置100の作動中、すなわち、シートSの製造中に、加湿器3A~加湿器3Eのうち、内部の水が基準値以下になった場合に行う第2単独給液モードである。第3モードでは、補給部5からタンク4への給水は行わず、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eのいずれかに対して給水を行う。加湿器3A~加湿器3Eの残量センサー35が水を検出しなかった場合、内部の水が少なくなったとみなし、第1送液部6Aを作動させて給水を行う。具体的には、加湿器3A~加湿器3Eのうち、内部の水が基準値以下になった加湿器のみに対し、給水を行うよう、バルブ612A~バルブ618Aの開閉、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの作動、停止を制御する。
【0195】
このような第3モードを有することにより、加湿器3A~加湿器3E内の水が枯渇することなく、シートSを製造することができる。よって、シートSの品質を安定して高めることができる。
【0196】
また、第3モードを実行中、加湿終了の指示があったら、
図16に示すように、第4モードおよび第5モードを順次実行する。
【0197】
4.第4モード(第1単独排液モード)
図11に示す第4モードは、例えば、繊維体処理装置100の電源をOFFにしたときに行われる第1単独排液モードである。第4モードでは、タンク4から補給部5への排水は行わず、加湿器3A~加湿器3Eのいずれかの加湿器から排水を行うモードである。第4モードでは、ポンプ63Aおよびポンプ64Aを作動させ、バルブ622A~バルブ628Aを順次開閉することにより、加湿器3A~加湿器3Eの排水を順次行うことができる。
【0198】
なお、加湿器3A~加湿器3Eの排水の順番は、特に限定されず、方式が異なる加湿器の排水を同時に行い、方式が同じ加湿器の排水を順次行うのが好ましい。例えば、加湿器3Aおよび加湿器3Dの排水を同時に行い、次いで、加湿器3Bおよび加湿器3Eの排水を同時に行い、次いで、加湿器3Cの排水を行うという順番が挙げられる。
【0199】
なお、第4モードは、タンク4の残量センサー42A~残量センサー42Dが水を検出するか、または、加湿器3A~加湿器3Eの全ての排水が完了するまで行われる。タンク4の残量センサー42A~残量センサー42Dが水を検出した場合、タンク4内の水が第4所定値に達したとみなし、第4モードを停止する。第4所定値は、タンク4内の水が満量に達したとみなせる程度の値である。第3所定値と第4所定値との差は、加湿器3A~加湿器3Eの内部容量の総和以上であるのが好ましい。これにより、加湿器3A~加湿器3E内の水をタンク4により確実に貯留することができる。
【0200】
このような第4モードを有することにより、加湿器3A~加湿器3E内の水をタンク4に戻し、再利用することができる。その結果、水の利用効率を高めることができる。
【0201】
5.第5モード(第2単独排液モード)
図12に示す第5モードは、例えば、繊維体処理装置100の電源をOFFにする指示があったときに行われる第2単独排液モードである。第5モードは、加湿器3A~加湿器3Eからの排水が完了した後に行われる第2単独排液モードである。第5モードでは、ポンプ63Bを作動させて、バルブ622Bおよびバルブ623Bを開状態とし、バルブ612Bおよびバルブ613Bは、閉状態とする。これにより、タンク4から補給部5に排水が行われる。なお、第5モードでは、バルブ612A~バルブ618Aおよびバルブ622A~バルブ628Aを閉状態とし、ポンプ63Aおよびポンプ64Aは、停止状態とする。
【0202】
このような第5モードは、例えば、タンク4内の残量センサー42Dが水を検出しなくなるまで行われる。以上のような、第4モードおよび第5モードを経ることにより、繊維体処理装置100の電源をOFFにして長時間放置されたとしても、加湿器3A~加湿器3E内およびタンク4内に雑菌等が繁殖するのを防止または抑制することができる。よって、次回、繊維体処理装置100を立ち上げてシート製造を行う際、衛生面で優れた加湿空気を放出することができる。
【0203】
なお、第4モードおよび第5モードに代えて、以下に説明する第6モードを行うこともできる。すなわち、第3モードを実行中、加湿終了の指示があったら、
図17に示すように、第6モードを実行してもよい。
【0204】
6.第6モード(同時排液モード)
第6モードでは、
図13に示す状態、
図14に示す状態および
図15に示す状態の3パターンがあり、これらが順次行われる。
【0205】
まず、
図13に示すように、制御部7は、第2送液部6Bにおいては、ポンプ63Bを作動させ、かつ、バルブ622Bおよびバルブ623Bを開状態とする。これとともに、制御部7は、第1送液部6Aにおいて、ポンプ63Aおよびポンプ64Aを作動させ、かつ、バルブ626Aおよびバルブ627Aを開状態とする。これにより、加湿器3Aおよび加湿器3D内の水をタンク4に排出することができる。
【0206】
また、制御部7は、第2送液部6Bにおいては、ポンプ63Bを作動させ、かつ、バルブ622Bおよびバルブ623Bを開状態とする。これにより、タンク4から補給部5に水を排出することができる。
【0207】
このように、
図13に示す状態では、加湿器3Aおよび加湿器3Dの排水と、タンク4の排水を同時に行う。
【0208】
なお、
図13に示す状態では、バルブ612A~バルブ618A、バルブ624A、バルブ625A、バルブ628A、バルブ612Bおよびバルブ613Bを閉状態としている。
加湿器3Aおよび加湿器3D内の排水が完了すると、
図14に示す状態に移行する。
【0209】
次いで、
図14に示すように、制御部7は、ポンプ63Aおよびポンプ64Aの作動を維持し、バルブ623Aおよびバルブ627Aを閉状態とし、かつ、バルブ624Aおよびバルブ628Aを開状態とする。また、第2送液部6Bの作動状態を維持したままとする。これにより、加湿器3Bおよび加湿器3Eの水をタンク4に排出することができる。
【0210】
なお、
図14に示す状態では、バルブ612A~バルブ618A、バルブ623A、バルブ625A、バルブ627A、バルブ612Bおよびバルブ613Bを閉状態としている。
加湿器3Aおよび加湿器3D内の排水が完了すると、
図15に示す状態に移行する。
【0211】
次いで、
図15に示すように、制御部7は、ポンプ63Aの作動を維持し、ポンプ64Aの作動を停止する。また、制御部7は、バルブ624Aおよびバルブ628Aを閉状態とし、かつ、バルブ625Aを開状態とする。また、第2送液部6Bの作動状態を維持したままとする。これにより、加湿器3Cの水をタンク4に排出することができる。
【0212】
なお、
図15に示す状態では、バルブ612A~バルブ618A、バルブ623A、バルブ624A、バルブ627A、バルブ628A、バルブ612Bおよびバルブ613Bを閉状態としている。
【0213】
加湿器3A~加湿器3Eの排水が完了すると、第1送液部6Aの作動を停止する。また、タンク4の排水が完了すると、第2送液部6Bの作動を停止する。
【0214】
なお、第5モードまたは第6モードが完了したら、殺菌処理部41、各殺菌処理部34および殺菌処理部65Aを停止させてもよく、所定時間経過してから殺菌処理部41、各殺菌処理部34および殺菌処理部65Aを停止させてもよい。
【0215】
制御部7は、第6モードにおいては、タンク4内の水が減少または維持されるよう第1送液部6Aおよび第2送液部6Bの作動を制御する。具体的には、制御部7は、
図13~
図15に示すように、タンク4から補給部5に送液する単位時間当たりの送液量をCとし、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に送液する単位時間当たりの送液量をDとしたとき、C≧Dを満足するよう第1送液部6Aおよび第2送液部6Bの作動を制御する。すなわち、制御部7は、C≧Dを満足するよう、ポンプ63A、ポンプ64Aおよびポンプ63Bの通電条件を制御する。これにより、第6モードでは、タンク4の水が増えることなく、加湿器3A~加湿器3Eから水を排出することができる。よって、加湿器3A~加湿器3Eの排水およびタンク4の排水にかかるトータルの時間を短くすることができる。
【0216】
以上説明したように、繊維体処理装置100は、繊維を含む材料を処理する処理部である粗砕部12、選別部14、第1ウェブ形成部15、分散部18および第2ウェブ形成部19と、粗砕部12、選別部14、第1ウェブ形成部15、分散部18および第2ウェブ形成部19によって処理されている材料を加湿する加湿器3A~加湿器3Eと、加湿器3A~加湿器3Eとは異なる位置に設置され、加湿用の液体が貯留されるタンク4と、加湿器3A~加湿器3Eとタンク4との間で送液を行う第1送液部6Aと、を有する加湿装置10と、を備える。また、第1送液部6Aは、タンク4から加湿器3A~加湿器3Eに送液する第1給液部61Aと、加湿器3A~加湿器3Eからタンク4に送液する第1排液部62Aと、を有する。これにより、例えば、加湿器3A~加湿器3E内に水が残っている状態で加湿装置10の電源をOFFにしたとしても、加湿器3A~加湿器3E内の水をタンク4に戻し、再利用することができる。その結果、水の利用効率を高めることができる。特に、加湿装置10を、
図1に示すような乾式の繊維体処理装置100に適用することにより、水の使用量をさらに減らすことができるため有効である。
【0217】
また、処理部は、粗砕部12、選別部14、第1ウェブ形成部15、分散部18および第2ウェブ形成部19を有し、粗砕部12、選別部14、第1ウェブ形成部15、分散部18および第2ウェブ形成部19のうちの少なくとも1つに、加湿装置10の加湿器が設置されている。これにより、さらに水の使用量を抑制しつつ繊維体としてのシートSを製造することができる繊維体処理装置100を得ることができる。
【0218】
また、繊維体処理装置100は、乾式の装置、特に、シート製造装置であり、本来、シートSを製造するのに水を必要としないが、前記のように、装置の各所で材料を加湿することで、製造物の品質の向上を図ることができる。従来用いられている湿式の製紙装置に比べれば、加湿装置での水の使用量は、極端に少ない。すたがって、例えば、砂漠等の乾燥地帯、山岳地帯、寒冷地帯、北極圏、南極圏、車両、航空機内等の水の確保に不利な場所においても、容易にシートSを製造することができる。
【0219】
なお、繊維体処理装置10では、粗砕部12、選別部14、第1ウェブ形成部15、分散部18および第2ウェブ形成部19に加湿器が設置されているが、本発明ではこれに限定されず、例えば、これらのうち、1つのみに加湿器が設置されていてもよく、2つに加湿器が設置されていてもよく、3つに加湿器が設置されていてもよく、4つに加湿器が設置されていてもよい。また、加湿器は、上記とは異なる別の部位に設置されていてもよい。
【0220】
以上、本発明の繊維体処理装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、加湿装置および繊維体処理装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0221】
100…繊維体処理装置、10…加湿装置、3A…加湿器、3B…加湿器、3C…加湿器、3D…加湿器、3E…加湿器、4…タンク、5…補給部、6A…第1送液部、6B…第2送液部、7…制御部、11…原料供給部、12…粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御部、31…容器、32…フィルター、33…ファン、34…殺菌処理部、35…残量センサー、36…容器、37…超音波素子、40…貯留部、41…殺菌処理部、42A…残量センサー、42B…残量センサー、42C…残量センサー、42D…残量センサー、61A…第1給液部、61B…第2給液部、62A…第1排液部、62B…第2排液部、63A…ポンプ、63B…ポンプ、64A…ポンプ、64B…軟水化フィルター、65A…殺菌処理部、66A…濾過フィルター、71…CPU、72…記憶部、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング、170…ハウジング、171…添加剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム、182…ハウジング、183…駆動源、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、200…ユーザータンク、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1カッター、212…第2カッター、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…CPU、282…記憶部、311…吸気口、312…排気口、313…給水口、314…排水口、361…吸気口、362…排気口、363…給水口、364…排水口、401…第1給水口、402…第1排水口、403…第2給水口、404…第2排水口、611A…第1給液管、611B…第2給液管、612A…バルブ、612B…バルブ、613A…バルブ、613B…バルブ、614A…バルブ、615A…バルブ、616A…バルブ、617A…バルブ、618A…バルブ、621A…第1排液管、621B…第2排液管、622A…バルブ、622B…バルブ、623A…バルブ、623B…バルブ、624A…バルブ、625A…バルブ、626A…バルブ、627A…バルブ、628A…バルブ、A…送液量、B…送液量、C…送液量、D…送液量、M1…原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、S…シート、P1…樹脂、a…分岐部、b…分岐部、c…分岐部、d…分岐部、e…分岐部、f…分岐部、g…分岐部、h…分岐部