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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/249 20210101AFI20240625BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240625BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
H01M50/249
B60K1/04 Z
H01M10/625
H01M10/6563
H01M50/204 401H
H01M50/244 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020041895
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021144825
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 将希
(72)【発明者】
【氏名】渡部 綱一郎
(72)【発明者】
【氏名】山梨 哲平
(72)【発明者】
【氏名】三浦 智之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修平
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-119202(JP,A)
【文献】特開2012-109077(JP,A)
【文献】特開2011-235761(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084939(WO,A1)
【文献】特開2012-124071(JP,A)
【文献】特開2011-020552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールに空気を送る送風ダクトと、
前記バッテリモジュールおよび前記送風ダクトを収納するバッテリケースと、を備えるバッテリパックであって、
前記送風ダクトは、前記バッテリモジュールと前記バッテリケースの間で車両前後方向に延びる側方ダクトを有し、
前記バッテリケースの側壁に、前記バッテリケースを車体に取り付けるための車体マウント部と、前記側方ダクトを支持するダクト支持部と、が設けられ、
前記ダクト支持部に接続されるダクト取付部が前記側方ダクトに設けられ、
前記側方ダクトは、その下流側端部に第1開口部を有する第1ダクトと、その上流側端部に第2開口部を有し、前記第1開口部と前記第2開口部とが車両幅方向に対向して連通するように前記第1ダクトに接続される第2ダクトと、を備え、
前記第1開口部と前記第2開口部とが、車両幅方向に対向して連通した状態で接続され、
前記第1開口部、前記第2開口部および前記ダクト取付部は、前記車体マウント部と車両幅方向に重なって配置されていることを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記第1開口部は、車両前後方向に沿って、かつ、車両幅方向内側を向くように形成され、
前記第2開口部は、車両前後方向に沿って、かつ、車両幅方向外側を向くように形成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記第1ダクトの下流側端部は、車両幅方向外側の面に、下流側ほど車両幅方向内側に近づくように傾斜する傾斜部を有し、
前記第1ダクトは、前記傾斜部から車両前後方向に延びる延長部を有し、
前記延長部は前記ダクト取付部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記第1開口部は、車両前後方向の寸法が車両上下方向の寸法よりも大きく、
前記ダクト取付部が前記第2ダクトに設けられ、
前記第1開口部が前記ダクト取付部の近傍に位置していることを特徴とする請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記第1ダクトの下流側端部に接続される前記第2ダクトの端部を上流側端部とし、
前記延長部を第1延長部としたとき、
前記送風ダクトは、
前記第2ダクトの上流側端部から前記第1延長部とは車両前後方向で反対方向に延びる第2延長部と、
前記第2ダクトから車両幅方向に延びて、前記第1延長部と車両上下方向で重なる第3延長部と、
前記第1ダクトから車両幅方向に延びて、前記第2延長部と車両上下方向で重なる第4延長部と、
前記第1延長部と前記第3延長部との接続部位である第1取付部と、
前記第2延長部と前記第4延長部との接続部位である第2取付部と、を備え、
車両上方から見た場合、前記第1取付部と前記第2取付部とを結ぶ仮想線が前記第1開口部を通過することを特徴とする請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記車体マウント部は、
車両幅方向に延び、前記バッテリケースの側壁の外面に接続される一対の縦壁部と、
一対の前記縦壁部の上端部における前記バッテリケースの側壁に近い部位同士を接続する上壁部と、
一対の前記縦壁部の上端部における前記バッテリケースの側壁から遠い部位同士を接続する接続縦壁部と、を有し、
前記ダクト取付部は、車両幅方向で前記接続縦壁部と対向し、かつ、車両前後方向で一対の前記縦壁部の間に位置する領域に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記第1ダクトの下流側端部は、車両下方ほど前記第1開口部に近づくように湾曲する湾曲部を有しており、
前記延長部は、前記湾曲部の下端に接続されていることを特徴とする請求項3または請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記第1取付部と前記第2取付部との車両上下方向の位置が異なっていることを特徴とする請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記第1ダクトは、下流側ほど車両下方に近づくように傾斜する方向から、前記第2ダクトと平行の方向に向きを変えるように屈曲する屈曲部を有し、
前記第4延長部は、前記屈曲部から延びていることを特徴とする請求項5に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両にあっては、複数のバッテリモジュールを備えるバッテリパックを搭載し、このバッテリパックの電力を走行用のモータに供給することがある。従来のバッテリパックとして、特許文献1に記載されるものが知られている。特許文献1に記載のバッテリパックは、吸気ダクトと排気ダクトの少なくとも一方のダクトの一部をバッテリパックの車両幅方向の端部に配置することにより、側面衝突に対するクラッシャブルストロークとバッテリ搭載量との両方を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-067335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバッテリパックにあっては、ダクトが長い一体構造で製作されている場合、バッテリケースへのダクトの組付け作業の作業性が低下してしまうおそれがあった。一方、ダクトを分割構造にした場合、車両の振動等に起因して分割構造のダクト同士の接続部が外れてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、バッテリケースへの送風ダクトの組付け作業の作業性を向上させることができ、かつ、ダクト同士の接続部が外れることを抑制できるバッテリパックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バッテリモジュールと、前記バッテリモジュールに空気を送る送風ダクトと、前記バッテリモジュールおよび前記送風ダクトを収納するバッテリケースと、を備えるバッテリパックであって、前記送風ダクトは、前記バッテリモジュールと前記バッテリケースの間で車両前後方向に延びる側方ダクトを有し、前記バッテリケースの側壁に、前記バッテリケースを車体に取り付けるための車体マウント部と、前記側方ダクトを支持するダクト支持部と、が設けられ、前記ダクト支持部に接続されるダクト取付部が前記側方ダクトに設けられ、
前記側方ダクトは、その下流側端部に第1開口部を有する第1ダクトと、その上流側端部に第2開口部を有し、前記第1開口部と前記第2開口部とが車両幅方向に対向して連通するように前記第1ダクトに接続される第2ダクトと、を備え、前記第1開口部と前記第2開口部とが、車両幅方向に対向して連通した状態で接続され、前記第1開口部、前記第2開口部および前記ダクト取付部は、前記車体マウント部と車両幅方向に重なって配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように上記の本発明によれば、バッテリケースへの送風ダクトの組付け作業の作業性を向上させることができ、かつ、ダクト同士の接続部が外れることを抑制できるバッテリパックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係るバッテリパックを搭載する車両のフロアパネルおよびバッテリパックの底面図である。
図2図2は、図1の破線部分を拡大した平面図である。
図3図3は、図2に示すバッテリパックのIII-III方向の矢視断面図である。
図4図4は、図2に示すバッテリパックのIV-IV方向の矢視断面図である。
図5図5は、図2に示すバッテリパックのV-V方向の矢視断面図である。
図6図6は、図2に示すバッテリパックのVI-VI方向の矢視断面図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係るバッテリパックの左側面図である。
図8図8は、図7に示すバッテリパックのIIX-IIX方向の矢視断面図である。
図9図9は、図2に示すバッテリパックのIX-IX方向の矢視断面図である。
図10図10は、図9に示す矢視断面図の第1ダクトおよび第2ダクトの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係るバッテリパックは、バッテリモジュールと、バッテリモジュールに空気を送る送風ダクトと、バッテリモジュールおよび送風ダクトを収納するバッテリケースと、を備えるバッテリパックであって、送風ダクトは、バッテリモジュールとバッテリケースの間で車両前後方向に延びる側方ダクトを有し、バッテリケースの側壁に、バッテリケースを車体に取り付けるための車体マウント部と、側方ダクトを支持するダクト支持部と、が設けられ、ダクト支持部に接続されるダクト取付部が側方ダクトに設けられ、側方ダクトは、その下流側端部に第1開口部を有する第1ダクトと、その上流側端部に第2開口部を有し、第1開口部と第2開口部とが連通するように第1ダクトに接続される第2ダクトと、を備え、第1開口部、第2開口部およびダクト取付部は、車体マウント部と車両幅方向に重なって配置されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係るバッテリパックは、バッテリケースへの送風ダクトの組付け作業の作業性を向上させることができ、かつ、ダクト同士の接続部が外れることを抑制できる。
【実施例
【0010】
以下、本発明の実施例に係るバッテリパックについて、図面を用いて説明する。図1から図10において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態のバッテリパックの上下前後左右方向とし、車両の前後方向に対して直交する方向が左右方向、バッテリパックの高さ方向が上下方向である。
【0011】
図1から図10は、本発明の一実施例に係るバッテリパックを示す図である。
【0012】
まず、構成を説明する。図1において、車両1は、車体2を備えている。車体2は、左右で一対のサイドメンバ11と、一対のサイドメンバ11に連結されたフロアパネル2Aとを有している。フロアパネル2Aの車幅方向の中央部には、車両前後方向に延びるフロアトンネル2Bが形成されている。
【0013】
フロアパネル2Aの下側にはバッテリパック20が配置されている。バッテリパック20は、車両1の図示しないモータに電力を供給する。バッテリパック20は、一対のサイドメンバ11の間に配置されている。
【0014】
図2図5において、バッテリパック20は、車両前後方向および車両幅方向に並べられた複数のバッテリモジュール61からなるバッテリモジュール群60と、バッテリモジュール群60の後部の上方に配置された送風ファン55(図4参照)とを備えている。バッテリモジュール群60の後方には、バッテリモジュール61と同様の構成を有するバッテリモジュール62(図5参照)が設けられている。送風ファン55はバッテリモジュール62の上部に配置されている。
【0015】
また、バッテリパック20は、送風ファン55から送られる空気をバッテリモジュール61に送る送風ダクト70と、バッテリモジュール61、送風ファン55および送風ダクト70を収納するバッテリケース21と、を備えている。送風ダクト70はバッテリモジュール群60の外周に沿って配置されている。
【0016】
図3において、バッテリケース21は、ロアケース40とアッパケース30とからなる。バッテリケース21は、ロアケース40の外縁部に形成されたフランジ部41とアッパケース30の外縁部に形成されたフランジ部31とを締結することにより一体化される。
【0017】
ロアケース40には、複数のバッテリモジュール61が固定されている。ロアケース40は、複数のバッテリモジュール61の下面および側面を覆っている。アッパケース30は、ロアケース40を上方から塞いだ状態で、複数のバッテリモジュール61の上面を覆っている。
【0018】
図2において、送風ダクト70は、上流ダクト部材71と、中間ダクト部材72と、第2ダクト73と、を有している。
【0019】
上流ダクト部材71は全体としてT字形状に形成されており、バッテリモジュール群60の後部の上方に配置されている。上流ダクト部材71には送風ファン接続部71Aが設けられており、送風ファン接続部71Aは車両前後方向に延びており、その後端部で送風ファン55(図4参照)に接続されている。上流ダクト部材71は分岐部71Bを有しており、分岐部71Bは送風ファン接続部71Aの前端部に設けられており、車両幅方向に延びている。分岐部71Bは、車両幅方向の左方向と右方向にそれぞれ分岐し、バッテリモジュール群60の後部に沿って延びている。
【0020】
中間ダクト部材72は、上流ダクト部材71の分岐部71Bの下流側端部に接続されている。中間ダクト部材72は、車両幅方向の外側に向かって延びる車両幅方向延伸部72Aと、車両幅方向延伸部72Aの車両幅方向の端部で車両前方に向かって屈曲する屈曲部72Bと、屈曲部72Bから車両前方に延伸する第1ダクト72Cとを有している。第1ダクト72Cは、バッテリモジュール61とバッテリケース21との間の隙間に沿って延びている。第1ダクト72Cは、バッテリケース21の側壁42に沿って前方に延びている。
【0021】
第2ダクト73の上流側端部は、第1ダクト72Cの下流側端部に接続されている。第2ダクト73は、バッテリモジュール群60の側方を通るように配置され、バッテリモジュール群60とバッテリケース21との隙間に沿って延びている。
【0022】
第2ダクト73の図示しない下流側端部は、バッテリモジュール群60の内部に配置されており、複数のバッテリモジュール61に空気を供給している。
【0023】
図2図3において、第1ダクト72Cと第2ダクト73とは側方ダクト75を構成している。側方ダクト75は、バッテリモジュール61とバッテリケース21の間で車両前後方向に延びている。
【0024】
バッテリケース21の側壁42には、バッテリケース21を車体2に取り付けるための車体マウント部22が設けられている。また、バッテリケース21の側壁42には、側方ダクト75を支持するダクト支持部80Bが設けられている。ダクト支持部80Bは車両幅方向の内側(右方)に向かって延びている。
【0025】
側方ダクト75にはダクト取付部80Aが設けられており、ダクト取付部80Aは、ダクト支持部80Bに接続されている。詳しくは、ダクト取付部80Aは、接続部80において、ダクト支持部80Bに嵌め込み形式により接続されている。
【0026】
図4において、第1ダクト72Cは、その下流側端部72Eに第1開口部72Fを有している。第2ダクト73は、その上流側端部に第2開口部73Bを有しており、第1開口部72Fと第2開口部73Bとが連通するように第1ダクト72Cに接続されている。第1開口部72F、第2開口部73Bおよびダクト取付部80Aは、車体マウント部22と車両幅方向に重なって配置されている。言い換えれば、第1開口部72F、第2開口部73Bおよびダクト取付部80Aは、車体マウント部22と車両幅方向に対向する位置に配置されている。
【0027】
ここで、図8において、第1ダクト72Cの第1開口部72Fの上流側端部(後端部)は、車両幅方向延伸部72Aよりも車両前方に位置するバッテリモジュール61の後端面61Aよりも第1ダクト72Cの上流側に位置している。そのため、車両幅方向延伸部72Aよりも車両前方に位置するバッテリモジュール61に車両幅方向延伸部72Aを近づけて配置でき、第1ダクト72Cを短くできて第1ダクト72Cの剛性を高めることができる。これにより、作業者が第1ダクト72Cと第2ダクト73とを接続するに当たって、車両幅方向延伸部72Aを変形させつつ、変形し難い第1ダクト72Cを第2ダクト73に接続するので、作業者は安定して第1ダクト72Cと第2ダクト73とを接続することができる。よって、作業者の作業効率を向上できる。
【0028】
図8において、第1開口部72Fおよび第2開口部73Bは、車両前後方向に沿うように形成されている。ここで、第1開口部72Fおよび第2開口部73Bが車両前後方向に沿うように形成されるとは、車両前後方向に延びる平面(本実施例では垂直面)上に第1開口部72Fおよび第2開口部73Bのそれぞれの開口面が配置されていることを意味する。また、第1ダクト72Cの第1開口部72Fは車両幅方向内側を向くように形成されており、第2ダクト73の第2開口部73Bは、車両幅方向外側を向くように形成されている。したがって、第1ダクト72Cと第2ダクト73とは、車両幅方向に相対移動して接続される。本実施例では、バッテリケース21にバッテリモジュール61、第2ダクト73等を取り付ける工程の後に、第2ダクト73に対して第1ダクト72Cが接続される。図2において、第1ダクト72Cは、第2ダクト73に対して車両幅方向外側から組み付けられる。
【0029】
図2図5において、第1ダクト72Cは、下流側端部72Eの車両幅方向外側の面に、傾斜部72Dを有している。傾斜部72Dは、下流側ほど右方から車両幅方向内側に近づくように傾斜している。言い換えれば、傾斜部72Dは、下流側ほど車両幅方向の寸法が小さくなるように傾斜している。ここで、傾斜部72Dとは、第1ダクト72Cの下流側端部72Eにおける車両幅方向の寸法が小さくなり始める部位から、下流側端部72Eの先端部(前端部)の範囲の部位である。
【0030】
第1ダクト72Cは、傾斜部72Dから車両前後方向に延びる第1延長部81Aを有しており、第1延長部81Aは、縦壁部80Cを介してダクト取付部80Aに接続されている。
【0031】
図4において、第1開口部72Fは、車両前後方向の寸法L2は車両上下方向の寸法L1よりも大きく設定されている。なお、図4では、第1ダクト72Cの第1開口部72Fを仮想線で表されている。
【0032】
図2において、送風ダクト70は、第2延長部82Bを備えており、第2延長部82Bは、第2ダクト73の上流側端部73Aから第1延長部81Aとは車両前後方向で反対方向に延びている。ここで、第2ダクト73の上流側端部73Aとは、第1ダクト72Cの下流側端部72Eに接続される第2ダクト73の端部である。
【0033】
送風ダクト70は、第3延長部81Bを備えており、第3延長部81Bは、第2ダクト73から車両幅方向に延びて、第1延長部81Aと車両上下方向で重なっている。送風ダクト70は、第4延長部82Aを備えており、第4延長部82Aは、第1ダクト72Cから車両幅方向に延びて、第2延長部82Bと車両上下方向で重なっている。
【0034】
また、送風ダクト70は、第1延長部81Aと第3延長部81Bとの接続部位である第1取付部81と、第2延長部82Bと第4延長部82Aとの接続部位である第2取付部82と、を備えている。そして、車両上方から見た場合、第1取付部81と第2取付部82とを結ぶ仮想線Lが第1開口部72Fを通過している。このように、本実施例では、第1取付部81と第2取付部82とが、第1開口部72Fを挟んで対向するように配置されている。
【0035】
図2図3図7において、車体マウント部22は、車両幅方向に延び、バッテリケース21の側壁42の外面に接続される一対の縦壁部22Bと、一対の縦壁部22Bの上端部におけるバッテリケース21の側壁42に近い部位同士を接続する上壁部22Aと、一対の縦壁部22Bの上端部におけるバッテリケース21の側壁42から遠い部位同士を接続する接続縦壁部22Cと、を有している。また、ダクト取付部80Aは、車両幅方向で接続縦壁部22Cと対向し、かつ、車両前後方向で一対の縦壁部22Bの間に位置する領域に設けられている。
【0036】
図10において、第1ダクト72Cの下流側端部72Eは、車両下方ほど第1開口部72Fに近づくように湾曲する湾曲部72Gを有しており、第1延長部81Aは、湾曲部72Gの下端に接続されている。
【0037】
図4図5において、第1取付部81と第2取付部82との車両上下方向の位置は異なっている。本実施例では、第2取付部82は、図4に示すように、第2ダクト73の上面の位置と高さ方向で同位置に配置されており、第1取付部81は、図5に示すように、第1ダクト72Cの下面の位置と高さ方向で同位置に配置されている。
【0038】
図6図7において、第1ダクト72Cは、下流側ほど車両下方に近づくように傾斜する方向から、第2ダクト73と平行の方向に向きを変えるように屈曲する屈曲部72Hを有している。第4延長部82Aは、屈曲部72Hから延びている。
【0039】
以上説明したように、本実施例のバッテリパック20において、送風ダクト70は、バッテリモジュール61とバッテリケース21の間で車両前後方向に延びる側方ダクト75を有している。バッテリケース21の側壁42に、バッテリケース21を車体に取り付けるための車体マウント部22と、側方ダクト75を支持するダクト支持部80Bと、が設けられている。また、ダクト支持部80Bに接続されるダクト取付部80Aが側方ダクト75に設けられ、側方ダクト75は、その下流側端部72Eに第1開口部72Fを有する第1ダクト72Cと、その上流側端部に第2開口部73Bを有し、第1開口部72Fと第2開口部73Bとが連通するように第1ダクト72Cに接続される第2ダクト73と、を備えている。そして、第1開口部72F、第2開口部73Bおよびダクト取付部80Aは、車体マウント部22と車両幅方向に重なって配置されている。
【0040】
この構成により、送風ダクト70の側方ダクト75が第1ダクト72Cと第2ダクト73とからなる分割構造であるため、側方ダクト75を一体構造として一度に車体に取り付ける場合と比較して、作業車による側方ダクト75の車体への取付作業の作業性を向上させることができる。
【0041】
また、車体マウント部22は剛性が高く振動を抑制できる部位であるため、第1開口部72Fおよびダクト取付部80Aを車体マウント部22と車両幅方向で重なるように配置したことで、側方ダクト75を支持するダクト取付部80Aが振動することを抑制でき、車両振動に起因して第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続が解除されることを抑制できる。
【0042】
この結果、バッテリケース21への送風ダクト70の組付け作業の作業性を向上させることができ、かつ、ダクト同士の接続部が外れることを抑制できる。
【0043】
本実施例のバッテリパック20において、第1開口部72Fは、車両前後方向に沿って、かつ、車両幅方向内側を向くように形成されている。第1ダクト72Cは、第2ダクト73に対して車両幅方向外側から組み付けられる。
【0044】
この構成により、第1ダクト72Cを第2ダクト73に対してバッテリケース21の車両幅方向外側から組み付けることができ、たとえば、車両前後方向から第1ダクト72Cを組み付ける場合と比較して、第1ダクト72Cの組み付け作業性を向上させることができる。
【0045】
本実施例のバッテリパック20において、第1ダクト72Cの下流側端部72Eは、車両幅方向外側の面に、下流側ほど車両幅方向内側に近づくように傾斜する傾斜部72Dを有している。傾斜部72Dは、下流側ほど車両幅方向の寸法が小さくなるように傾斜している。第1ダクト72Cは、傾斜部72Dから車両前後方向に延びる第1延長部81Aを有しており、この第1延長部81Aはダクト取付部80Aに接続されている。
【0046】
この構成により、第1延長部81Aの基端部が第1ダクト72Cの傾斜部72Dと下流側端部72Eの先端部との両方に接続されるため、第1ダクト72Cへの第1延長部81Aの接続部位の面積を拡大でき、第1ダクト72Cに対して第1延長部81Aを強固に接続できる。
【0047】
また、バッテリケース21に支持されていることで振動し難いダクト取付部80Aに第1延長部81Aを接続することにより、第1ダクト72Cの振動を抑制でき、振動によって第1ダクト72Cと第2ダクト73との連結が解除されてしまうことを抑制できる。
【0048】
また、第1ダクト72Cが傾斜部72Dを有することにより、第1ダクト72Cを流れる空気を、傾斜部72Dの内面によって第1開口部72Fおよび第2ダクト73に向かって流れるように案内することができる。このため、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続部における圧力損失を抑制できる。
【0049】
本実施例のバッテリパック20において、第1開口部72Fは、車両前後方向の寸法L2が車両上下方向の寸法L1よりも大きく設定されている。
【0050】
この構成により、第1開口部72Fの車両前後方向の寸法L2が、車両上下方向の寸法L1よりも大きく設定されているので、車両前後方向に延びる側方ダクト75において、第1ダクト72Cから第1開口部72Fを介して第2ダクト73に、流れが阻害されることなく空気が流れることができる。
【0051】
また、第1開口部72Fの車両前後方向の寸法を拡大できるので、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続部の接触面積を拡大でき、第1ダクト72Cと第2ダクト73とを強固に接続できる。また、ダクト取付部80Aが第2ダクト73に設けられ、かつ、第1ダクト72Cの第1開口部72Fがダクト取付部80Aの近傍に位置する状態で、第1延長部81Aがダクト取付部80Aに接続されているので、第1ダクト72Cの第1開口部72Fの部位を第1延長部81Aを介してダクト取付部80Aに強固に支持させることができる。このため、車両振動による第1開口部72Fの振動を低減でき、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続が解除されることを抑制できる。
【0052】
本実施例のバッテリパック20において、送風ダクト70は、第2ダクト73の上流側端部73Aから第1延長部81Aとは車両前後方向で反対方向に延びる第2延長部82Bと、第2ダクト73から車両幅方向に延びて、第1延長部81Aと車両上下方向で重なる第3延長部81Bと、第1ダクト72Cから車両幅方向に延びて、第2延長部82Bと車両上下方向で重なる第4延長部82Aと、を備えている。また、送風ダクト70は、第1延長部81Aと第3延長部81Bとの接続部位である第1取付部81と、第2延長部82Bと第4延長部82Aとの接続部位である第2取付部82と、を備えている。そして、バッテリパック20を車両上方から見た場合、第1取付部81と第2取付部82とを結ぶ仮想線Lが第1開口部72Fを通過している。
【0053】
この構成により、第1ダクト72Cと第2ダクト73とが、第1延長部81Aと第3延長部81B、および第2延長部82Bと第4延長部82Aとがそれぞれ車両上下方向で重ねられた状態で接続される。また、第1ダクト72Cと第2ダクト73とが、互いに離れる方向である車両幅方向とは異なる方向でも接続されている。これにより、振動によって第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続が解除されてしまうことを抑制できる。
【0054】
車両上方から見た場合、第1取付部81と第2取付部82とが互いに第1開口部72Fを挟んで車両幅方向で異なる位置に配置されている。このため、第1ダクト72Cと第2ダクト73との連結部に対して荷重が作用すると、第1開口部72Fの第1取付部81に近い部位と第2取付部82に近い部位は、一方が互いに離れる方向に移動すると他方が互いに近づく方向に移動する。このため、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続を強固にすることができる。したがって、第1ダクト72Cおよび第2ダクト73の振動を抑制できる。
【0055】
本実施例のバッテリパック20において、車体マウント部22は、車両幅方向に延び、バッテリケース21の側壁42の外面に接続される一対の縦壁部22Bと、一対の縦壁部22Bの上端部におけるバッテリケース21の側壁42に近い部位同士を接続する上壁部22Aと、一対の縦壁部22Bの上端部におけるバッテリケース21の側壁42から遠い部位同士を接続する接続縦壁部22Cと、を有している。ダクト取付部80Aは、車両幅方向で接続縦壁部22Cと対向し、かつ、車両前後方向で一対の縦壁部22Bの間に位置する領域に設けられている。
【0056】
この構成により、バッテリケース21の側壁42のうちダクト支持部80Bを介してダクト取付部80Aが設けられる部位を、接続縦壁部22Cおよび一対の縦壁部22Bにより強固に構成された車体マウント部22によって補強することができる。このため、ダクト取付部80Aの振動をより軽減でき、第1ダクト72Cと第2ダクト73とをより強固に接続することができる。
【0057】
本実施例のバッテリパック20において、第1ダクト72Cの下流側端部72Eは、車両下方ほど第1開口部72Fに近づくように湾曲する湾曲部72Gを有している。第1延長部81Aは、湾曲部72Gの下端に接続されている。
【0058】
この構成により、湾曲部72Gの下端において、湾曲部72Gの肉厚より大きな接触面積で、第1延長部81Aが湾曲部72Gに接触および接続することができるので、第1延長部81Aをより強固に第1ダクト72Cに接続することができる。このため、第1ダクト72Cの振動を抑制でき、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続が解除されることを抑制できる。
【0059】
本実施例のバッテリパック20において、第1取付部81と第2取付部82との車両上下方向の位置が異なっている。
【0060】
この構成により、側方ダクト75の第1開口部72Fに荷重が作用した際に、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続部の第1取付部81に近い側の部位と第2取付部82に近い側の部位のうち、一方が離間する方向に移動すると他方は近接する方向に移動する。このため、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続部の接続が解除されてしまうことを抑制できる。
【0061】
本実施例では、第1取付部81と第2取付部82は、これらの一方が第1ダクト72Cおよび第2ダクト73の接続部の上端部の近傍に配置され、他方が第1ダクト72Cおよび第2ダクト73の接続部の下端部の近傍に配置されている。このため、接続部の第1取付部81側に引っ張り方向の力が作用すると、この力は接続部の第2取付部82側で圧縮方向の力として作用し、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続部の全体に引っ張り方向の力が作用して接続部の接続が解除されてしまうこと抑制できる。
【0062】
本実施例のバッテリパック20において、第1ダクト72Cは、下流側ほど車両下方に近づくように傾斜する方向から、第2ダクト73と平行の方向に向きを変えるように屈曲する屈曲部72Hを有している。第4延長部82Aは、屈曲部72Hから延びている。
【0063】
この構成により、第4延長部82Aを強固に設けることができ、これにより第2取付部82を強固に形成でき、第1ダクト72Cと第2ダクト73との接続が解除されることをより抑制できる。
【0064】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0065】
1...車両、2...車体、20...バッテリパック、21...バッテリケース、22...車体マウント部、22A...上壁部、22B...縦壁部、22C...接続縦壁部、42...側壁、61...バッテリモジュール、70...送風ダクト、72C...第1ダクト、72D...傾斜部、72E...下流側端部、72F...第1開口部、72G...湾曲部、72H...屈曲部、73...第2ダクト、73A...上流側端部、73B...第2開口部、75...側方ダクト、80A...ダクト取付部、80B...ダクト支持部、81...第1取付部、81A...第1延長部(延長部)、81B...第3延長部、82...第2取付部、82A...第4延長部、82B...第2延長部、L...仮想線、L1...寸法(車両上下方向の寸法)、L2...寸法(車両前後方向の寸法)
図1
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