(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】活動支援装置、活動支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240625BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20240625BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240625BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240625BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06Q10/06
G08B27/00 A
G08B25/04 K
G08B21/02
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2020043388
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】生藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】冨永 慎
(72)【発明者】
【氏名】仙田 裕三
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180573(JP,A)
【文献】特開2008-287477(JP,A)
【文献】特開2013-134663(JP,A)
【文献】特開2018-002319(JP,A)
【文献】特開2006-318247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08B 27/00
G08B 25/04
G08B 21/02
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場での作業員の活動を支援する活動支援装置であって、
前記作業員の位置を取得する位置取得部と、
前記作業現場の地図データを取得する地図データ取得部と、
取得された前記地図データに危険エリアを設定する設定部と、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定する判定部と、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知する通知部と、
前記作業員が前記危険エリアに侵入した場合、前記作業員が前記危険エリアから退避するための退避ルートを算出する退避ルート算出部と、
算出された前記退避ルートを提示する退避ルート提示部と、
を備え、
前記
退避ルート算出部は、前記作業員の現在位置から、前記危険エリアの外周までの直線距離を算出し、算出した直線距離のなかで最短となるルートを、退避ルートとし、更に、前記地図データを参照し、前記
退避ルートとした前記直線距離上に建物がある場合に、次に短い直線距離を退避ルートとする、
活動支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の活動支援装置であって、
前記設定部は、前記作業現場の建物及び道路の情報に基づいて、危険エリアを設定する、
活動支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の活動支援装置であって、
前記退避ルートの算出指示を受け付ける受付部、
を備え、
前記退避ルート算出部は、前記退避ルートの算出指示が受け付けられると、前記退避ルートを算出する、
活動支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の活動支援装置であって、
前記位置取得部は、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
活動支援装置。
【請求項5】
作業現場での作業員の活動を支援する活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記作業現場の地図データを取得するステップと、
取得された前記地図データに危険エリアを設定するステップと、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定するステップと、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知するステップと、
前記作業員が前記危険エリアに侵入した場合、前記作業員が前記危険エリアから退避するための退避ルートを算出するステップと、
算出された前記退避ルートを提示するステップと、
を備え、
前記
退避ルートを算出するステップにおいて、前記作業員の現在位置から、前記危険エリアの外周までの直線距離を算出し、算出した直線距離のなかで最短となるルートを、退避ルートとし、更に、前記地図データを参照し、前記
退避ルートとした前記直線距離上に建物がある場合に、次に短い直線距離を退避ルートとする、
活動支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載の活動支援方法であって、
前記危険エリア
を設定するステップでは、前記作業現場の建物及び道路の情報に基づいて、危険エリアを設定する、
活動支援方法。
【請求項7】
請求項5に記載の活動支援方法であって、
前記退避ルートの算出指示を受け付けるステップ、
を備え、
前記退避ルートを算出するステップでは、前記退避ルートの算出指示が受け付けられると、前記退避ルートを算出する、
活動支援方法。
【請求項8】
請求項5に記載の活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップでは、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
活動支援方法。
【請求項9】
コンピュータに作業現場での作業員の活動を支援させるプログラムであって、
コンピュータに、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記作業現場の地図データを取得するステップと、
取得された前記地図データに危険エリアを設定するステップと、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定するステップと、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知するステップと、
前記作業員が前記危険エリアに侵入した場合、前記作業員が前記危険エリアから退避するための退避ルートを算出するステップと、
算出された前記退避ルートを提示するステップと、
を実行させる命令を含み、
前記
退避ルートを算出するステップにおいて、前記作業員の現在位置から、前記危険エリアの外周までの直線距離を算出し、算出した直線距離のなかで最短となるルートを、退避ルートとし、更に、前記地図データを参照し、前記
退避ルートとした前記直線距離上に建物がある場合に、次に短い直線距離を退避ルートとする、
プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記危険エリアを設定するステップでは、前記作業現場の建物及び道路の情報に基づいて、危険エリアを設定する、
プログラム。
【請求項11】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記退避ルートの算出指示を受け付けるステップ、
を実行させる命令を含み、
前記退避ルートを算出するステップでは、前記退避ルートの算出指示が受け付けられると、前記退避ルートを算出する、
プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記作業員の位置を取得するステップでは、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活動支援装置、活動支援方法、及び、それを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害現場、例えば火災現場では、作業員が安全かつ効率よく消火・救助作業を行えるように、指揮官が各作業員に対して無線で指示を出すことが行われる。指揮官は、各作業員に指示を出すために、各作業員の状態を把握する必要がある。特許文献1には、災害現場の滞在者の位置を、リアルタイムで把握可能な位置特定システムが開示されている。この特許文献1に記載のシステムは、建物内に作業員が携帯する携帯端末装置の位置を測位している。そして、携帯端末装置の位置を作業員の存在が推定される位置として、画面上に表示することで、建物内の作業員の位置を特定することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明により、災害現場内にいる作業員の位置を把握することができる。しかしながら、特許文献1では、その作業員が位置するエリアの状況を把握することができない。例えば、作業員が位置するエリアが危険エリアである場合、指揮官は、その作業員の安全のために、作業員をそのエリアから退避させる指示を出す必要がある。このため、作業員が危険エリアに侵入したことをいち早く把握できることが望まれる。
【0005】
本発明の目的の一例は、作業員が危険なエリアに侵入したことを把握することができる、活動支援装置、活動支援方法及び、それを実現するためプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における活動支援装置は、
作業現場での作業員の活動を支援する活動支援装置であって、
前記作業員の位置を取得する位置取得部と、
前記作業現場の地図データを取得する地図データ取得部と、
取得された前記地図データに危険エリアを設定する設定部と、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定する判定部と、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知する通知部と、
を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における活動支援方法は、
作業現場での作業員の活動を支援する活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記作業現場の地図データを取得するステップと、
取得された前記地図データに危険エリアを設定するステップと、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定するステップと、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知するステップと、
を備える。
【0008】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに作業現場での作業員の活動を支援させるプログラムであって、
コンピュータに、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記作業現場の地図データを取得するステップと、
取得された前記地図データに危険エリアを設定するステップと、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定するステップと、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知するステップと、
を実行させる命令を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業員が危険エリアに侵入したことを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、活動支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、活動支援装置の構成を具体的に説明するためのブロック図である。
【
図3】
図3は、表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、危険エリアへの作業員の侵入を通知する通知画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の活動支援装置の動作を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、実施形態2における活動支援装置の具体的構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、退避ルートを提示する表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の活動支援装置の動作を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、実施形態1、2における活動支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1における活動支援装置、活動支援方法及びプログラムについて、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0012】
[装置構成]
図1は、活動支援装置10の構成を示すブロック図である。活動支援装置10は、作業現場での作業員の活動を支援する装置である。活動支援装置10は、位置取得部1と、地図データ取得部2と、設定部3と、判定部4と、通知部5と、を備えている。
【0013】
位置取得部1は、作業現場での作業員の位置を取得する。
【0014】
地図データ取得部2は、作業員が活動する作業現場の地図データを取得する。
【0015】
設定部3は、地図データ取得部2により取得された地図データに危険エリアを設定する。
【0016】
判定部4は、位置取得部1により取得された作業員の位置に基づいて、作業員が、設定部3で設定された危険エリアへ侵入したかを判定する。
【0017】
通知部5は、作業員が、設定部3で設定された危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知する。
【0018】
この活動支援装置10は、作業現場に危険エリアを設定し、その危険エリアに作業員が侵入したかを判定している。そして、侵入した場合、作業員、又は、作業員を指揮する指揮官に、作業員が危険エリアに侵入したことを通知することができる。指揮官に通知することで、指揮官は、作業現場近くにいなくても、作業員が危険エリアへ侵入したことを把握できる。作業員に通知することで、作業員は、自身が危険エリアに侵入したことを把握できる。
【0019】
続いて、
図2~
図5を用いて、活動支援装置10の構成について具体的に説明する。
【0020】
図2は、活動支援装置10の構成を具体的に説明するためのブロック図である。
【0021】
以下の説明では、作業現場は災害現場であり、火災現場とする。作業員は、火災現場で消火・救助活動をしており、各作業員を指揮する指揮官は、指揮所から各作業員に指示を出しているものとする。また、作業員は、携帯機器50を携帯し、指揮所には、表示装置51が設置されているものとする。
【0022】
活動支援装置10は、携帯機器50、表示装置51及びサーバ装置52と、データ通信が可能である。
【0023】
携帯機器50は、例えば、腕時計型のウェアラブル端末である。携帯機器50は、測位システムの測位信号を受信して、現在位置の位置データを取得する機能を有している。測位システムは、GPS、Galileo、GLONASSなどの、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。
【0024】
表示装置51は、活動支援装置10から受信したデータを画面に表示する。表示装置51は、汎用のPC(パーソナルコンピュータ)であってもよいし、スマートフォン、タブレット型端末装置などであってもよい。活動支援装置10と、表示装置51とは一体に設けられていてもよい。また、活動支援装置10は、表示装置51と同じ場所に設けられていてもよいし、離れた位置に設けられていてもよい。
【0025】
サーバ装置52は、例えば消防署に設置されている。サーバ装置52には査察台帳が記憶されている。査察台帳とは、消防署によって作成された、建物及び道路の状況を纏めた台帳である。その査察台帳には、築年数、敷地面積、消火設備などの情報が含まれている。
【0026】
位置取得部1は、携帯機器50から位置データを受信することで、火災現場での作業員の位置を取得する。なお、火災現場に複数の作業員がいて、各作業員が携帯機器50を携帯している場合、位置取得部1は、携帯機器50から作業員のIDを、位置データと共に受信するようにしてもよい。
【0027】
携帯機器50は、一定間隔(例えば、1分毎又は数秒毎)で測位信号を受信する。位置取得部1は、携帯機器50が測位信号を受信する都度、位置データを携帯機器50から受信する。位置取得部1は、位置データを受信する都度、記憶装置である位置データ蓄積部11に、受信した位置データを蓄積する。
【0028】
位置取得部1は、位置データ蓄積部11に蓄積された位置データを表示装置51へ送信する。位置取得部1は、一定時間に蓄積された複数の位置データを纏めて送信してもよいし、一定時間ごとに、蓄積された位置データの最新の位置データを送信してもよい。なお、位置取得部1は、位置データ蓄積部11に蓄積せずに、位置データを携帯機器50から受信する都度、位置データを表示装置51へ送信してもよい。
【0029】
地図データ取得部2は、例えば、指揮官により指定された火災現場のエリアの地図データを取得する。地図データ取得部2は、地図データを提供するサービス業者から地図データを取得してもよいし、予め地図データが記憶された記憶装置から取得してもよい。地図データを記憶する記憶装置は、活動支援装置10が備えていてもよいし、外部に設置されていてもよい。
【0030】
設定部3は、火災現場の建物及び道路に基づいて、地図データ取得部2が取得した地図データ内に、危険エリアを設定する。設定部3は、サーバ装置52から査察台帳に含まれる情報を受信する。設定部3は、査察台帳の情報に基づいて、例えば、築年数が長い建物があるエリアを、火災時に崩れやすい危険エリアに設定する。または、設定部3は、不活性ガス消火設備がある建物があるエリアを、引火して爆発するおそれがある危険エリアに設定する。
【0031】
設定部3は、危険エリアに設定したエリアの位置データを表示装置51に送信する。
【0032】
作業員の位置データと、地図データと、危険エリアの位置データとを受信した表示装置51には、
図3に示す画面が表示される。
図3は、表示装置51に表示される画面の一例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、表示装置51には、地図データに基づく地図が表示される。その地図上には、位置データに基づく作業員の位置を示すマーク55、及び、文字情報57が表示される。
図3では、複数の作業員(作業員A、B、C)の位置を表示している。危険エリアに設定されたエリア56には、ハッチングなどにより強調表示される。この表示画面により、指揮官は、火災現場での危険エリア、及び、作業員の位置を視覚的に把握することができる。
【0034】
なお、
図3では、位置取得部1が一定時間に蓄積された複数の位置データを纏めて送信し、その一定時間に作業員が移動した軌跡を黒丸印で表示している。この場合、指揮官は、作業員の経時的な移動を把握することができる。また、位置取得部1が位置データを取得する都度、表示装置51へ送信する場合には、指揮官は、作業員の位置をリアルタイムに把握することができる。
【0035】
図2に戻る。判定部4は、作業員が危険エリアへ侵入したかを判定する。判定部4は、位置取得部1が取得した作業員の位置が、設定部3が設定した危険エリアに含まれるかを判定する。作業員の位置が危険エリアに含まれる場合、判定部4は、作業員が危険エリアへ侵入したと判定する。
【0036】
通知部5は、作業員が危険エリアへ侵入したことを、指揮官又は作業員に通知する。指揮官へ通知する場合、例えば、通知部5は表示装置51により通知する。
図4は、危険エリアへの作業員の侵入を通知する通知画面の一例を示す図である。なお、通知方法は、特に限定されない。例えば、
図3又は
図4に示す、危険エリアに設定されたエリア56を点滅させてもよい。また、音により通知してもよい。作業員に通知する場合、危険エリアに侵入した作業員の携帯機器50から音を出力させたり、携帯機器50の表示部に表示させたり、携帯機器50を振動させたりしてもよい。
【0037】
なお、上記の説明では、活動支援装置10は、指揮所の表示装置51に、火災現場の地図、設定した危険エリアなどを表示させているが、画面表示させず、作業員が危険エリアに侵入したときに、侵入を通知する構成でもよい。また、活動支援装置10は、作業員の携帯機器50に、
図3に示す画面を表示させるようにしてもよい。
【0038】
上記説明では、作業現場である災害現場を火災現場として説明したが、他の災害現場、例えば、地震で建物が倒壊した現場、ガス漏れが発生した現場などであってもよい。
【0039】
[装置動作]
次に、本実施形態における活動支援装置10の動作について
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の活動支援装置10の動作を示すフロー図である。また、本実施形態では、活動支援装置10を動作させることによって、活動支援方法が実施される。よって、本実施形態における活動支援方法の説明は、以下の活動支援装置10の動作説明に代える。
【0040】
まず、地図データ取得部2は、火災現場の地図データを取得する(S1)。設定部3は、サーバ装置52から査察台帳の情報を受信して、査察台帳の情報に基づいて、S1で取得された地図データに対して危険エリアを設定する(S2)。
【0041】
位置取得部1は、作業員の携帯機器50から位置データを受信することで、作業員の位置を取得する(S3)。判定部4は、S3で取得された作業員の位置が、S2で設定された危険エリアに含まれるかにより、作業員が危険エリアに侵入したかを判定する(S4)。危険エリアに侵入した場合(S4:YES)、通知部5は、作業員又は指揮官に、危険エリアへの侵入を通知する(S5)。
【0042】
危険エリアに侵入していない場合(S4:NO)、活動支援装置10は、火災現場での消火・救助作業が終了したか否かを判定する(S6)。火災現場での消火・救助作業が終了していない場合(S6:NO)、S3の処理が実行される。作業現場での消火・救助作業が終了した場合(S6:YES)、本処理は終了する。
【0043】
[プログラム]
本実施形態1におけるプログラムは、コンピュータに、
図5に示す各ステップを実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における活動支援装置10と活動支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、位置取得部1、地図データ取得部2、設定部3、判定部4及び通知部5として機能し、処理を行なう。
【0044】
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、位置取得部1、地図データ取得部2、設定部3、判定部4及び通知部5のいずれかとして機能してもよい。
【0045】
また、コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0046】
[実施形態1における効果]
本実施形態によると、活動支援装置10は、作業現場に設定した危険エリアに作業員が侵入したことを、作業員、又は、作業員を指揮する指揮官に通知することができる。指揮官に通知すれば、指揮官は、作業現場近くにいなくても、作業員が危険エリアへ侵入したことを把握できる。これにより、指揮官は、作業員に対して、危険エリアから離れるよう指示するなど、作業員の安全性を考慮した指示を出すことができる。作業員に通知すれば、作業員は、自身が危険エリアに侵入したことを把握でき、自身の安全を考えた活動を行うことができる。
【0047】
(実施形態2)
次に本発明の実施形態2における、活動支援装置、活動支援方法、及びプログラムについて、
図6~
図8を参照しながら説明する。
【0048】
図6は、本実施形態における活動支援装置20の具体的構成を示すブロック図である。本実施形態においても、実施形態1と同様に、作業現場は災害現場とし、作業員は、火災現場で消火・救助活動をしており、各作業員を指揮する指揮官は、指揮所から各作業員に指示を出しているものとする。また、作業員は、携帯機器50を携帯し、指揮所には、表示装置51が設置されているものとする。そして、活動支援装置20は、携帯機器50、表示装置51、及びサーバ装置52とデータ通信が可能であるものとする。
【0049】
活動支援装置20は、実施形態1で説明した、位置取得部1、地図データ取得部2、設定部3、判定部4及び通知部5に加え、受付部6、退避ルート算出部7、及び退避ルート提示部8をさらに備えている。位置取得部1、地図データ取得部2、設定部3、判定部4及び通知部5については、実施形態1と同じであるため、その説明は省略する。
【0050】
受付部6は、作業員が危険エリアに侵入した場合に、作業員が危険エリアから退避するための退避ルートを算出する指示を受け付ける。
【0051】
退避ルート算出部7は、受付部6が指示を受け付けると、退避ルートを算出する。退避ルートは、例えば、作業員が危険エリアから出る際の最短ルートである。この場合、退避ルート算出部7は、作業員の現在位置から、危険エリアの外周までの直線距離を算出する。退避ルート算出部7は、算出した直線距離のなかで最短となるルートを、退避ルートとする。このとき、退避ルート算出部7は、地図データを参照し、直線距離上に建物がある場合には、次に短い直線距離を退避ルートとしてもよい。
【0052】
なお、退避ルートは、時間が最短となるルートでもよい。また、時間又は距離に関係なく、道幅が広いルートなど、危険リスクが相対的に低くなるルートなどでもよい。
【0053】
退避ルート提示部8は、算出された退避ルートを提示する。退避ルート提示部8は、指揮官に提示してもよいし、作業員に提示してもよい。指揮官に提示する場合、退避ルート提示部8は、表示装置51により提示する。
【0054】
図7は、退避ルートを提示する表示画面の一例を示す図である。
図7に示すように、表示装置51の画面に、退避する方向へ矢印を表示することで、退避ルートを提示する。これにより、指揮官が作業員を危険リスクの高い方向へ誘導することを抑止できる。
【0055】
作業員に通知する場合、退避ルート提示部8は、作業員が携帯する携帯機器50から音声を出力させたり、携帯機器50の表示部に表示させたりすることで、退避ルートを作業員に提示する。この場合、作業員は、闇雲に退避することでより危険リスクの高い方向に退避してしまうことを抑止できる。
【0056】
[装置動作]
次に、本実施形態における活動支援装置20の動作について
図8を用いて説明する。
図8は、活動支援装置20の動作を示すフロー図である。また、本実施形態では、活動支援装置20を動作させることによって、活動支援方法が実施される。よって、本実施形態における活動支援方法の説明は、以下の活動支援装置20の動作説明に代える。
【0057】
地図データ取得部2は地図データを取得する(S11)。設定部3は、サーバ装置52から査察台帳の情報を受信して、査察台帳の情報に基づいて、S11で取得された地図データに対して危険エリアを設定する(S12)。
【0058】
位置取得部1は、作業員の携帯機器50から位置データを受信して、作業員の位置を取得する(S13)。判定部4は、S13で取得された作業員の位置が、S12で設定された危険エリアに含まれるかにより、作業員が危険エリアに侵入したかを判定する(S14)。危険エリアに侵入した場合(S14:YES)、通知部5は、作業員又は指揮官に、危険エリアへの侵入を通知する(S15)。
【0059】
退避ルート算出部7は、受付部6が、退避ルートを算出する指示を受け付けたか否かを判定する(S17)。受付部6が算出指示を受け付けないと(S17:NO)、S13の処理が再度実行される。受付部6が算出指示を受け付けると(S17:YES)、退避ルート算出部7は、退避ルートを算出する(S18)。退避ルート提示部8は、算出された退避ルートを提示する(S19)。退避ルート提示部8は、例えば表示装置51へ、算出された退避ルートを送信する。表示装置51には、
図7に示すような画面が表示される。
【0060】
一方、危険エリアに侵入していない場合(S14:NO)、活動支援装置20は、火災現場での作業が終了したか否かを判定する(S16)。火災現場での作業が終了していない場合(S16:NO)、S13の処理が実行される。火災現場での作業が終了した場合(S16:YES)、本処理は終了する。
【0061】
[プログラム]
本実施形態2におけるプログラムは、コンピュータに、
図8に示す各ステップを実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における活動支援装置20と活動支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、位置取得部1、地図データ取得部2、設定部3、判定部4、通知部5、受付部6、退避ルート算出部7、及び退避ルート提示部8として機能し、処理を行なう。
【0062】
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、位置取得部1、地図データ取得部2、設定部3、判定部4、通知部5、受付部6、退避ルート算出部7、及び退避ルート提示部8のいずれかとして機能してもよい。
【0063】
また、コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0064】
[実施形態2における効果]
本実施形態によれば、活動支援装置20は、危険エリアに侵入した作業員の退避ルートを指揮官に提示することで、指揮官は、作業員に対して、危険リスクの高い方向に誘導してしまうことを防止できる。また、退避ルートを作業員に提示することで、作業員は、闇雲に退避することでより危険リスクの高い方向に退避してしまうことを抑止できる。
【0065】
(物理構成)
ここで、実施形態1、2におけるプログラムを実行することによって、活動支援装置を実現するコンピュータについて
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の実施形態1、2における活動支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0066】
図9に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、またはCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。
【0067】
CPU111は、記憶装置113に格納された、実施形態1、2におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、実施形態1、2におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、実施形態1、2におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0068】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0069】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0070】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
【0071】
なお、実施形態における活動支援装置は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。更に、活動支援装置は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
【0072】
上述した実施形態1、2の構成は、適宜組み合わせが可能である。また、上述した実施形態1、2の一部または全部は、以下に記載する(付記1)~(付記15)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0073】
(付記1)
作業現場での作業員の活動を支援する活動支援装置であって、
前記作業員の位置を取得する位置取得部と、
前記作業現場の地図データを取得する地図データ取得部と、
取得された前記地図データに危険エリアを設定する設定部と、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定する判定部と、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知する通知部と、
を備える、活動支援装置。
【0074】
(付記2)
付記1に記載の活動支援装置であって、
前記設定部は、前記作業現場の建物及び道路に基づいて、危険エリアを設定する、
活動支援装置。
【0075】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の活動支援装置であって、
前記作業員が前記危険エリアに侵入した場合、前記作業員が前記危険エリアから退避するための退避ルートを算出する退避ルート算出部と、
算出された前記退避ルートを提示する退避ルート提示部と、
を備えた、活動支援装置。
【0076】
(付記4)
付記3に記載の活動支援装置であって、
前記退避ルートの算出指示を受け付ける受付部、
を備え、
前記退避ルート算出部は、前記退避ルートの算出指示が受け付けられると、前記退避ルートを算出する、
活動支援装置。
【0077】
(付記5)
付記1から付記4のいずれか一つに記載の活動支援装置であって、
前記位置取得部は、測位システムからの測位信号に基づく前記作業員の位置を取得する、
活動支援装置。
【0078】
(付記6)
作業現場での作業員の活動を支援する活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記作業現場の地図データを取得するステップと、
取得された前記地図データに危険エリアを設定するステップと、
取得された前記作業員の位置に基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定するステップと、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知するステップと、
を備える、活動支援方法。
【0079】
(付記7)
付記6に記載の活動支援方法であって、
前記危険エリア設定するステップでは、前記作業現場の建物及び道路に基づいて、危険エリアを設定する、
活動支援方法。
【0080】
(付記8)
付記6又は付記7に記載の活動支援方法であって、
前記作業員が前記危険エリアに侵入した場合、前記作業員が前記危険エリアから退避するための退避ルートを算出するステップと、
算出された前記退避ルートを提示するステップと、
を備えた、活動支援方法。
【0081】
(付記9)
付記8に記載の活動支援方法であって、
前記退避ルートの算出指示を受け付けるステップ、
を備え、
前記退避ルートを算出するステップでは、前記退避ルートの算出指示が受け付けられると、前記退避ルートを算出する、
活動支援方法。
【0082】
(付記10)
付記6から付記9のいずれか一つに記載の活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップでは、測位システムからの測位信号に基づく前記作業員の位置を取得する、
活動支援方法。
【0083】
(付記11)
コンピュータに作業現場での作業員の活動を支援させるプログラムであって、
コンピュータに、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記作業現場の地図データを取得するステップと、
取得された前記地図データに危険エリアを設定するステップと、
取得された前記位置データに基づいて、前記作業員が前記危険エリアへ侵入したかを判定するステップと、
前記作業員が前記危険エリアへ侵入した場合、侵入を通知するステップと、
を実行させる命令を含む、プログラム。
【0084】
(付記12)
付記11に記載のプログラムであって、
前記危険エリアを設定するステップでは、前記作業現場の建物及び道路に基づいて、危険エリアを設定する、
プログラム。
【0085】
(付記13)
付記11又は付記12に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記作業員が前記危険エリアに侵入した場合、前記作業員が前記危険エリアから退避するための退避ルートを算出するステップと、
算出された前記退避ルートを提示するステップと、
を実行させる命令をさらに含む、プログラム。
【0086】
(付記14)
付記13に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記退避ルートの算出指示を受け付けるステップ、
を実行させる命令を含み、
前記退避ルートを算出するステップでは、前記退避ルートの算出指示が受け付けられると、前記退避ルートを算出する、
プログラム。
【0087】
(付記15)
付記11から付記14のいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記作業員の位置を取得するステップでは、測位システムからの測位信号に基づく前記作業員の位置を取得する、
プログラム。
【符号の説明】
【0088】
1 位置取得部
2 地図データ取得部
3 設定部
4 判定部
5 通知部
6 受付部
7 退避ルート算出部
8 退避ルート提示部
10 活動支援装置
11 位置データ蓄積部
20 活動支援装置
50 携帯機器
51 表示装置
52 サーバ装置
55 マーク
56 エリア
57 文字情報
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス