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特許7508821鍵盤装置の鍵の支持構造、鍵盤装置及び電子楽器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】鍵盤装置の鍵の支持構造、鍵盤装置及び電子楽器
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/34 20060101AFI20240625BHJP
   G10B 3/12 20060101ALI20240625BHJP
   G10C 3/12 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G10H1/34
G10B3/12 110
G10C3/12 150
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020050877
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149029
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西村 徹矢
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕史
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072532(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164232(WO,A1)
【文献】特開2017-173706(JP,A)
【文献】特開平07-219521(JP,A)
【文献】米国特許第05866831(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10B 3/00-3/24
G10C 1/00-3/30
G10H 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケール方向に延在する軸周りに回動支点を中心として回動するとともに、前記スケール方向に略直交する方向に延在する軸周りの回動方向であるローリング方向に動きの自由度を有する鍵後端部の軸部と、
前記スケール方向における前記回動支点の移動を制限するとともに、前記軸部を前記スケール方向に延在する軸周りに回動可能に支持し、前記スケール方向に略直交する方向に垂直な面における断面視において前記軸部と複数の接点を有する軸受部と、
を備え、
前記軸部の外形は、同一の中心を有する円弧を含み、
前記複数の接点は、前記円弧上に位置する、鍵盤装置の鍵の支持構造。
【請求項2】
スケール方向に延在する軸周りに回動支点を中心として回動するとともに、前記スケール方向に略直交する方向に延在する軸周りの回動方向であるローリング方向に動きの自由度を有する第1部材と、
前記スケール方向における前記回動支点の移動を制限するとともに、前記第1部材を前記スケール方向に延在する軸周りに回動可能に支持する溝部を含む第2部材と、
を備え、
前記第2部材は、軸受部であり、
前記第1部材は、鍵後端部の軸部であり、前記軸受部との接点の位置の変化を伴うヨーイング方向の動きの自由度を有する、鍵盤装置の鍵の支持構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の支持構造を有し、
前記軸受部は、フレームの一部である、鍵盤装置。
【請求項4】
請求項に記載の鍵盤装置を有する、電子楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤装置の鍵の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子楽器等の鍵盤装置の鍵を回動可能に支持する構造として、特許文献1に記載された支持構造が知られている。この鍵盤装置は、フレームと鍵との間に設けられた棒状の可撓性部材によって鍵を回動可能に支持している。可撓性部材は、曲がったり捩れたりすることにより、経時変化等に起因する鍵の変形を吸収することができる。このように、特許文献1に記載された鍵盤装置は、可撓性部材の可撓性を利用して、鍵盤装置の外観の品質を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-072532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した鍵盤装置は、鍵の本数と同数の可撓性部材が必要となる。また、フレーム側と鍵側の両方に可撓性部材を装着するための構造が必要となる。したがって、より簡易な支持構造を用いた鍵盤装置の実現が望まれている。
【0005】
本発明の課題の一つは、簡易な鍵の支持構造により、鍵盤装置の外観の品質を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における鍵盤装置の鍵の支持構造は、第1方向に延在する軸周りに回動支点を中心として回動するとともに、第1方向に略直交する第2方向に延在する軸周りの回動方向であるローリング方向に動きの自由度を有する第1部材と、第1方向における回動支点の移動を制限するとともに、第1部材を第1方向に延在する軸周りに回動可能に支持する第2部材と、を備える。
【0007】
第1部材は、第2部材との接点の位置の変化を伴うヨーイング方向の動きの自由度を有していてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態における鍵盤装置の鍵の支持構造は、第1部材と、断面視において、第1部材に対して第1接点及び第2接点で接する第2部材と、断面視において、第1部材に対して第3接点で接する第3部材と、を備え、断面視において、第1接点、第2接点及び第3接点の間欠的に摺動する側の部材の少なくとも1つの形状は、円弧であり、第1接点を始点とし、第1部材に向かう第1法線ベクトル、及び、第2接点及び第3接点のそれぞれを始点とし、第1部材に向かう第2法線ベクトル及び第3法線ベクトルにおける各始点を1点に移動させたとき、隣り合う各法線ベクトルのなす角は180度未満である。
【0009】
本発明の一実施形態における鍵盤装置の鍵の支持構造は、軸部を含む第1部材と、断面視において、軸部に対して第1接点及び第2接点を有する第2部材と、断面視において、第1部材に対して第3接点を有する第3部材と、を備え、軸部は、第2部材及び第3部材との間で構成される第1接点、第2接点及び第3接点により支持される。
【0010】
第1部材、第2部材、及び第3部材の少なくとも1つは、弾性を有していてもよい。
【0011】
第1部材は、回動部材(回動可能な部材)であってもよい。
【0012】
回動部材は、当該回動部材の前後方向の位置を決める位置決め部を有し、平面視において、位置決め部は、回動部材の回動軸を挟み、互いに回動軸から離隔した位置にあってもよい。
【0013】
回動部材は、当該回動部材の前後方向の位置を決める位置決め部を有し、平面視において、位置決め部は、回動部材の回動軸を挟み、回動部材の回動軸上で第2部材に接していてもよい。
【0014】
第3部材は、第2部材と連結していてもよいし、一体であってもよい。
【0015】
前記円弧は、複数の円弧であって、前記複数の円弧は、それぞれ半径が異なっていてもよい。その際、前記複数の円弧は、それぞれの中心が略一致していてもよい。
【0016】
円弧は、複数の円弧であってもよい。
【0017】
複数の円弧は、それぞれの中心が一致していてもよい。
【0018】
複数の円弧は、それぞれの半径が同一であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態における鍵盤装置は、前述のいずれかの支持構造を有し、第1部材は、鍵の一部であり、第2部材は、フレームの一部である。
【0020】
本発明の一実施形態における電子楽器は、前述の鍵盤装置を有していてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態によれば、簡易な鍵の支持構造により、鍵盤装置の外観の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態における鍵盤装置の構成を示す平面図である。
図2】第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態における鍵盤アセンブリの構成を示す側面図である。
図4】第1実施形態における鍵盤アセンブリの構成を示す平面図である。
図5】第1実施形態における鍵の動きの方向に関する定義を説明するための図である。
図6】第1実施形態における鍵の動きの方向に関する定義を説明するための図である。
図7】第1実施形態における鍵後端部の構成を示す斜視図である。
図8】第1実施形態における第1軸受部材の構成を示す斜視図である。
図9】第1実施形態における第2軸受部材の構成を示す斜視図である。
図10】第1実施形態における支持部の構成を示す平面図である。
図11】第1実施形態における支持部の構成を示す断面図である。
図12】第1実施形態における鍵の構成を模式的に表した平面図である。
図13】第1実施形態における鍵の構成を模式的に表した断面図である。
図14】第1実施形態における支持部の構成を模式的に表した平面図である。
図15】第1実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図16】第1実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図17】第1実施形態における鍵後端部の構成を模式的に示す平面図である。
図18】第1軸受部材に軸部を配置した状態を模式的に示す平面図である。
図19】第2実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図20】第2実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図21】第2実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図22】第2実施形態における軸部、第1軸受部材及び第2軸受部材の各接点の位置関係を説明するための図である。
図23】第2実施形態における軸部、第1軸受部材及び第2軸受部材の各接点の位置関係を説明するための図である。
図24】第3実施形態における支持部の構成を模式的に表した平面図である。
図25】第3実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図26】第3実施形態における支持部の構成を模式的に表した側面図である。
図27】第3実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図28】第3実施形態における支持部の構成を模式的に表した平面図である。
図29】第3実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図30】第4実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図31】第4実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図32】第5実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図33】第6実施形態における支持部の構成を模式的に表した平面図である。
図34】第6実施形態における支持部の構成を模式的に表した平面図である。
図35】第7実施形態における支持部の構成を模式的に表した平面図である。
図36】第7実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図37】第7実施形態における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
図38】第7実施形態の変形例における支持部の構成を模式的に表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、機能が同一または類似の部分には同一または類似の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、説明の都合上、図面の寸法比率が実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0024】
本明細書中において、鍵盤装置について、上、下、左、右、手前および奥などの方向を示す表現は、演奏するときの演奏者を基準としている。また、説明の便宜上、鍵を基準として方向を示す場合もあるが、その場合、鍵の前端側(前方側)及び後端側(後方側)は、それぞれ演奏者を基準とした場合の手前側及び奥側に対応する。
【0025】
本明細書中において「円弧」には、厳密な意味における円弧だけでなく、実質的に円弧とみなせる略円弧も含まれる。例えば、製造誤差等の影響により、部材の外形が厳密には完全な円弧ではないとしても、外形が円弧である部材と同等の機能を有していれば、その部材の外形は、円弧であるとみなすことができる。同様に、「一致」又は「同一」という用語には、機能を損なわない程度に僅かに異なる場合(すなわち、略一致する場合、又は、略同一である場合)も含まれる。
【0026】
<第1実施形態>
[鍵盤装置の構成]
図1は、第1実施形態における鍵盤装置1の構成を示す平面図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤装置である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を有していなくてもよい。
【0027】
鍵盤装置1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100Wおよび黒鍵100Bを含む。複数の白鍵100Wと黒鍵100Bとが並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個である。鍵が配列された方向をスケール方向という。図1において、第1方向(D1)が、スケール方向である。第1方向に直交する第2方向(D2)は、鍵100の長手方向である。演奏者を基準とすれば、第1方向は、左右方向であり、第2方向は、前後方向である。
【0028】
白鍵100Wおよび黒鍵100Bを特に区別せずに説明できる場合には、鍵100という場合がある。以下の説明においても、符号の最後に「w」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。また、符号の最後に「b」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。
【0029】
鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体90の内部に存在している。鍵盤装置1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体90に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体90から露出してユーザから視認できる部分(非外観部NVはよりも手前側に位置している部分)を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。
【0030】
筐体90の内部には、音源装置70およびスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどを備えていてもよい。
【0031】
図2は、第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730および出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。
【0032】
信号変換部710は、センサ300(88個の鍵100に対応したセンサ300-1、300-2、・・・、300-88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、および押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。
【0033】
音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80または音波形信号出力端子などに出力される。
【0034】
[鍵盤アセンブリの構成]
図3は、第1実施形態における鍵盤アセンブリ10の構成を示す側面図である。鍵盤アセンブリ10は、鍵100、支持部150、ハンマーセンブリ200、センサ300およびフレーム500を含む。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。図3において、第3方向(D3)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)に直交する方向である。演奏者を基準とすれば、第3方向は、上下方向である。第3方向は、押鍵方向又はストローク方向と呼ばれる場合もある。
【0035】
フレーム500は、筐体(図示せず)に固定されている。フレーム500に対して複数の鍵100が回動可能に支持されることにより、鍵盤アセンブリ10が構成される。鍵100は、第1方向に延在する軸周りに回動支点を中心として回動する。支持部150は、フレーム500に対して回動可能に鍵100を支持する部分である。支持部150は、後述する図10に示す軸部110と軸受部120とで構成される。支持部150の具体的な構造については、後述する。
【0036】
鍵100は、前端鍵ガイド102を備える。前端鍵ガイド102は、白鍵100Wの先端に設けられている。前端鍵ガイド102は、前方(演奏者側)に向かう面を有する板状部材である。前端鍵ガイド102の面の略中央には、上下方向に細長いスリット(図示せず)が設けられている。フレーム500は、前端フレームガイド511を備える。前端フレームガイド511は、前方に向かって突出する板状部材である。白鍵100Wをフレーム500に装着する際、前端フレームガイド511は、前端鍵ガイド102のスリット内に、摺動可能に挿入される。押鍵操作の際、白鍵100Wは、前端鍵ガイド102のスリットの内側を前端フレームガイド511に摺動させつつ上下方向に動く。これにより、後述するように、鍵100の前端におけるスケール方向、ヨーイング方向及びローリング方向への動きが制限される。
【0037】
図3に示す例では、前端鍵ガイド102及び前端フレームガイド511で構成されるガイド構造を白鍵100Wの前端に設けた例を示したが、この例に限られるものではない。このようなガイド構造は、白鍵100Wのうち、手前(前端)から半分以内の範囲の部分(好ましくは、白鍵100Wの幅が他の部分より広くなっている部分)に設けてもよい。また、前端フレームガイド511として板状部材を用いる例を示したが、この例に限らず、上下方向の2箇所の部分で前端鍵ガイド102のスリットに接する構造であってもよい。この場合、前端鍵ガイド102のスリットは、上下方向に並ぶ2つのスリットで構成されてもよい。すなわち、前述の上下方向の2箇所の部分が、2つのスリットそれぞれに接する構造であってもよい。また、前端鍵ガイド102がスリットである例を挙げたが、この例に限られるものではない。すなわち、前端鍵ガイド102が、上下方向の2箇所で前端フレームガイド511に接する構造であれば、前端鍵ガイド102の形状は任意である。
【0038】
ハンマーセンブリ200は、鍵100の下方側の空間に配置され、フレーム500に対して回動可能に取り付けられている。ハンマーセンブリ200の軸支持部220とフレーム500の回動軸520とは少なくとも3点で摺動可能に接触する。ハンマーセンブリ200の前端部210は、ハンマー支持部115の内部空間116において概ね前後方向に摺動可能に接触する。この摺動部分(すなわち前端部210とハンマー支持部115とが接触する部分)は、外観部PVにおいて、鍵100の下方に位置する。
【0039】
ハンマーセンブリ200は、回動軸520よりも奥側において、金属製の錘部230が配置されている。通常時(押鍵していないとき)には、錘部230が下側ストッパ410に接触した状態であり、ハンマーセンブリ200の前端部210が、鍵100を上方に押し上げている。押鍵されると、鍵100がハンマーセンブリ200の前端部210を下方に押し下げる。その結果、錘部230が上方に移動し、上側ストッパ430に接触する。ハンマーセンブリ200は、錘部230によって、押鍵に対して加重を与える。下側ストッパ410および上側ストッパ430は、緩衝材等(不織布、弾性体等)で構成されている。
【0040】
ハンマー支持部115およびハンマーセンブリ200の前端部210の下方には、フレーム500に対してセンサ300が取り付けられている。センサ300は、柔軟性を有する部材に電極を取り付けた構造を有する上側電極部310と、回路基板に電極を設けた構造を有する下側電極部320とで構成される。押鍵によりハンマーセンブリ200の前端部210の下面側でセンサ300の上側電極部310が押しつぶされると、奥側(ハンマーセンブリ200の回動軸520に近い側)から順に、上側電極部310の電極と下側電極部320の電極とが接触する。これにより、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて検出信号を出力することができる。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。
【0041】
図4は、第1実施形態における鍵盤アセンブリ10の構成を示す平面図である。図4においては、説明の便宜上、フレーム500の構成の一部を省略している。図4に示すように、黒鍵100Bの支持部150Bは、白鍵100Wの支持部150Wよりも奥側に配置される。この位置は、鍵100の支点(回動中心)の位置に関連する。図4に示すような配置にすることによって、アコースティックピアノの白鍵と黒鍵の支点の違いを再現している。
【0042】
さらに、本実施形態では、グランドピアノのタッチ感を再現できるように、白鍵100W及び黒鍵100Bの位置を調整している。具体的には、図4に示すように、白鍵100Wの回動軸101Wと黒鍵100Bの回動軸101Bとの間の距離をaとし、白鍵100Wの長さ(回動軸101Wから白鍵100Wの前端までの距離)をbとしたとき、a/bの値が0.061以上0.075以下の範囲に収まるように調整している。一般的なグランドピアノにおけるa/bの値は、約0.068である。本実施形態では、鍵盤アセンブリ10におけるa/bの値を、グランドピアノの鍵盤アセンブリにおけるa/bの値の±10%に収めることにより、グランドピアノのタッチ感を再現している。例えば、白鍵100Wの長さ(b)が、210mm以上250mm以下である場合、白鍵100Wの回動軸101Wと黒鍵100Bの回動軸101Bとの間の距離(a)は、14mm以上17mm以下とすればよい。
【0043】
図5及び図6は、第1実施形態における鍵100の動きの方向に関する定義を説明するための図である。図5及び図6では、白鍵100Wを例示して説明するが、黒鍵100Bについても同様の定義を用いる。
【0044】
図5において、スケール方向Sは、前述のとおり、白鍵100W及び黒鍵100Bが配列する方向(演奏者から見た左右方向)である。本実施形態では、第1方向が、スケール方向Sに相当する。ヨーイング方向Yは、白鍵100Wを上方から見たときに、白鍵100Wが第3方向を軸として回転する方向である。例えば、図5において、白鍵100Wの後端(支持部150W)のみを固定したと仮定すると、白鍵100Wが左右に曲がる方向がヨーイング方向Yと言える。
【0045】
図6において、ローリング方向Rは、白鍵100Wの長手方向を軸として白鍵100Wが回転する方向である。換言すれば、ローリング方向Rは、第2方向に延在する軸周りの回転方向と言える。上下方向Vは、白鍵100Wが押鍵される方向(ストローク方向ともいう。)である。本実施形態では、第3方向が、上下方向Vに相当する。
【0046】
従来技術として述べたように、鍵は、経時変化等に起因して変形する場合がある。この変形は、例えば、ヨーイング方向Yへの湾曲であったり、ローリング方向Rへの捩じれであったりする。このような変形が外観部PVにおける鍵に現れると、鍵盤装置の外観を損ねる。そのため、外観部PVにおいて鍵の変形が視認されないように、鍵の変形を制限する構造が必要となる。
【0047】
本実施形態の鍵盤アセンブリ10は、鍵100が比較的短く、鍵全体の大部分が外観部PVに現れる。そのため、本実施形態の鍵盤アセンブリ10は、鍵100の前端部及び後端部において鍵100の変形を制限する構造となっている。具体的には、鍵100の前端部は、前端鍵ガイド102及び前端フレームガイド511によって、スケール方向、ヨーイング方向Y及びローリング方向Rの動きが制限される。鍵100の後端部は、支持部150によりスケール方向Sへの動きが制限される。
【0048】
本実施形態では、鍵100の前端部において、スケール方向S、ヨーイング方向Y及びローリング方向Rへの動きを制限しつつ、後端部において、ヨーイング方向Y及びローリング方向Rへの動きの自由度を与えている。すなわち、本実施形態の鍵100は、支持部150において、スケール方向Sへの動きが制限されるとともに、ヨーイング方向Y及びローリング方向Rへの動きが許容されている。
【0049】
[支持部の構成]
図7は、第1実施形態における鍵後端部105の構成を示す斜視図である。図8は、第1実施形態における第1軸受部材130の構成を示す斜視図である。図9は、第1実施形態における第2軸受部材140の構成を示す斜視図である。
【0050】
図7に示すように、鍵後端部105は、全体として鉤型の形状を有している。鍵後端部105のうち第2方向に延在する部位が軸部110である。鍵100は、軸部110が第1方向に延在する軸周りに回動することにより回動する。図8において、第1軸受部材130は、溝部131を有する。溝部131は、軸受として軸部110を支持する役割を有する。図9に示す第2軸受部材140は、軸部110を第1軸受部材130の溝部131の内側に配置した後、第3方向において軸部110を押さえる役割を有する。後述するように、第2軸受部材140は、第3方向において弾性を有する。そのため、軸部110は、第2軸受部材140から受ける弾性力よりも大きい力が与えられれば、一定の範囲内で第3方向に移動することが可能である。
【0051】
図10は、第1実施形態における支持部150の構成を示す平面図である。具体的には、図4に示した黒鍵100Bの支持部150Bを拡大した平面図に対応する。図11は、第1実施形態における支持部150の構成を示す断面図である。具体的には、図11は、図10に示す支持部150をA-A線で切断した断面図に対応する。図10及び図11では、黒鍵100Bの支持部150Bを例示しているが、白鍵100Wの支持部150Wも同様の構造を有している。
【0052】
図10に示すように、支持部150は、軸部110及び軸受部120を含む。軸受部120は、第1軸受部材130及び第2軸受部材140で構成される。軸部110は、軸受部120によって第1方向に延在する軸周りに回動可能に支持される。すなわち、鍵100は、第1方向に延在する軸を回動軸として回動する。鍵100が回動する際の回動支点は、第2方向に沿って軸部110を切断した面における回動軸の位置にある。
【0053】
軸部110は、鍵100の鍵後端部105に位置する。軸部110は、第2方向に延在する棒状の部位である。図11に示すように、本実施形態では、軸部110の断面が略楕円形である例を示すが、断面の形状は、多角形又は略円形であってもよい。
【0054】
第1軸受部材130は、フレーム500の一部である。本実施形態の第1軸受部材130は、溝部131を有する。図11に示すように、軸部110は、第1軸受部材130の溝部131の内側に配置される。軸部110は、溝部131に対して接点41及び接点42で接する。本実施形態では、軸部110が接点41及び接点42で第1軸受部材130と接することにより、軸部110の第1方向(スケール方向S)への移動が制限される。
【0055】
第2軸受部材140は、第1軸受部材130との間に軸部110を挟む役割を有する部材である。第2軸受部材140は、軸部110を第1軸受部材130に対して押しつける機能を有している。したがって、軸部110は、第2軸受部材140によって第3方向(上下方向V)への移動が制限される。
【0056】
本実施形態では、第2軸受部材140は、フレーム500に連結され、固定されている。具体的には、第2軸受部材140は、図9に示す本体部140aが、フレームに連結された保持部140bによって保持された構造を有する。つまり、本体部140aは、保持部140bに対して片持ち構造で保持される。第2軸受部材140は、接点43で軸部110と接する。すなわち、軸部110は、接点41、接点42及び接点43により軸受部120に支持される。
【0057】
第2軸受部材140は、弾性を有する。本明細書において「部材Aが弾性を有する」とは、部材Aと部材Bとが接点を有するとき、部材Aが、部材Bから加わる力の変化に応じて、接点を保持したまま変形し得る性質を有することをいう。換言すれば、部材Aと部材Bとの間において、部材Aの弾性力が働く方向に沿って、上記接点が移動可能であることをいう。したがって、図11に示す構造の場合、軸部110が第3方向に移動しても、第2軸受部材140の第3方向への動きに合わせて接点43は保持される。したがって、軸部110の第3方向への移動は、第2軸受部材140の弾性力によって制限はされるものの、一定の範囲内で許容される。
【0058】
軸部110は、接点41で第1軸受部材130の湾曲面131aと接する湾曲面110a、接点42で第1軸受部材130の湾曲面131bと接する湾曲面110b、及び接点43で第2軸受部材140と接する湾曲面110cを有する。このとき、図11に示すように、接点41、接点42及び接点43において、軸部110の外形は、円弧形状である。すなわち、接点41、接点42及び接点43は、軸部110の外形である円弧上の点である。
【0059】
図11に示す例において、接点41を有する円弧の半径をr1、接点42を有する円弧の半径はr2としたとき、半径r1と半径r2とは等しい。つまり、軸部110の下端は、半円形状である。接点43を有する円弧の半径はr3である。半径r3は、半径r1及び半径r2よりも大きい。つまり、軸部110は、断面視において、第3方向に長手方向を有する部材である。
【0060】
図11において、接点41を有する円弧、接点42を有する円弧、及び接点43を有する円弧は、いずれも同一の中心Oを有する円弧である。そのため、軸部110は、中心Oを回動支点として回動可能である。つまり、鍵100は、第2方向に延在する軸周りの回動方向であるローリング方向Rに回動可能である。換言すれば、鍵100は、ローリング方向Rに動きの自由度を有する。このように、本実施形態の支持部150では、接点41、接点42及び接点43において、軸部110が、軸受部120に対して間欠的に摺動しつつ回動する。
【0061】
図12は、第1実施形態における鍵100の構成を模式的に表した平面図である。図13は、第1実施形態における鍵100の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図13は、鍵100を図11に示す断面図にける接点42、中心O及び接点43を通るB-B線で切断した断面図に対応する。図12に示すように、支持部150は、鍵100の鍵後端部105に配置されている。しかしながら、この例に限らず、支持部150は、鍵100の鍵後端部105以外の箇所に配置されていてもよい。
【0062】
図13に示すように、第1方向に垂直な面(D2-D3平面)における断面視において、軸部110の湾曲面110bの断面形状は、直線状である。しかしながら、この例に限らず、湾曲面110bの断面形状は、湾曲していてもよい。他方、湾曲面110cの断面形状は、湾曲している。この場合、湾曲面110cの断面形状は、接点42と接点43との間の長さを半径とする円弧であることが好ましい。また、第1軸受部材130の溝部131の内壁は、湾曲面131bを有する。そのため、接点42では、軸部110の湾曲面110bと第1軸受部材130の溝部131における湾曲面131bとが接する。図13には図示されないが、接点42と同様に、接点41では、軸部110の湾曲面110aと溝部131の湾曲面131aとが接する。
【0063】
図13に示す構造とすることにより、押鍵操作の際、鍵100は、接点41と接点42とを通る回動軸101の軸周りに回動する。図13において、接点42が回動中心である。このとき、軸部110と第2軸受部材140とが接する接点43において、軸部110が湾曲面110cを有するため、鍵100が回動する際、支持部150は回動の妨げにならない。
【0064】
図14は、第1実施形態における支持部150の構成を模式的に表した平面図である。図15及び図16は、第1実施形態における支持部150の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図15は、図14に示す支持部150をC-C線で切断した断面図に対応する。図16は、図14に示す支持部150をD-D線で切断した断面図に対応する。
【0065】
図14に示すように、支持部150は、軸部110の前後方向(第2方向)の位置を決める第1位置決め部51及び第2位置決め部52を有する。第1位置決め部51及び第2位置決め部52は、それぞれ、第1軸受部材130に向かい合う部位である。第1位置決め部51は、第1軸受部材130の前側傾斜部22aと向かい合う。第2位置決め部52は、第1軸受部材130の後側傾斜部22bと向かい合う。すなわち、第1位置決め部51及び第2位置決め部52は、第1軸受部材130を間に挟んで互いに向かい合うように配置される。ここで、図14において、前述のD-D線は、押鍵操作時における軸部110の回動軸に一致する。つまり、第1位置決め部51及び第2位置決め部52は、軸部110の回動軸を挟み、互いに回動軸から離隔した位置にある。
【0066】
図15に示すように、断面視において、第1軸受部材130は、第3方向において、先端(上方)に向かうほど先が細くなる形状(台形形状)を有している。これに対し、第1位置決め部51及び第2位置決め部52は、それぞれ前側傾斜部22a及び後側傾斜部22bとは反対側に傾斜している。つまり、断面視において、第1位置決め部51と第2位置決め部52との間の空間は、第1軸受部材130とは反対に、第3方向において、下方に向かうほど先が細くなる形状(台形形状)を有している。
【0067】
本実施形態では、軸部110を第1軸受部材130の溝部131に配置することにより、第1位置決め部51及び第2位置決め部52の下端が、第1軸受部材130に接点45及び接点46で接する。そのため、軸受部120によって軸部110を支持した状態においては、軸部110の前後方向(第2方向)への移動が制限される。なお、第1位置決め部51及び第2位置決め部52の下端は、耐久性向上のため、湾曲していることが望ましい。
【0068】
このとき、図16における接点41と接点42とを結ぶ線分44の第3方向における位置と、図15における接点45と接点46とを結ぶ線分47の第3方向における位置とを、略一致させる、もしくは、できるだけ近づけることが望ましい。第3方向において線分44と線分47とを近づけることにより、押鍵時において、第1軸受部材130と第1位置決め部51及び第2位置決め部52との間の間隙(クリアランス)の変化を抑えることができる。
【0069】
図17は、第1実施形態における鍵後端部105の構成を模式的に示す平面図である。図17に示すように、本実施形態の第1位置決め部51は、第2方向と略平行な辺53に対して90°よりも大きい角度θ1を有する。すなわち、第1位置決め部51は、第1方向に対して傾斜している。同様に、第2位置決め部52は、辺53に対して90°よりも大きい角度θ2を有しており、第1方向に対して傾斜している。ただし、図17に示す例は一例にすぎず、角度θ1及びθ2は、90°以下であってもよい。また、図17では、第1位置決め部51及び第2位置決め部52が直線状の辺で構成される例を示したが、この例に限らず、曲線状の辺であってもよい。軸部110は、第1位置決め部51及び第2位置決め部52が、それぞれ第1軸受部材130と少なくとも一点で接する構造であればよい。すなわち、軸部110と第1軸受部材130とが前後の2箇所で接してさえいれば、軸部110の前後方向への移動を制限することができる。
【0070】
図18は、第1軸受部材130に軸部110を配置した状態を模式的に示す平面図である。前述のとおり、第1位置決め部51及び第2位置決め部52は、第1方向に対して傾斜している。そのため、第1軸受部材130の前側傾斜部22aと第1位置決め部51との間、及び、後側傾斜部22bと第2位置決め部52との間には、溝部131から離れるほど広がる間隙が生じる。そのため、軸部110は、ヨーイング方向Yに対して回動可能である。すなわち、鍵100は、ヨーイング方向Yに対して動きの自由度を有する。ただし、軸部110がヨーイング方向Yに対して回動する際には、軸部110と第1軸受部材130とが接する接点(接点45及び接点46)の位置が変化する。
【0071】
図10及び図11を用いて説明したように、軸部110は、第2軸受部材140によって第1軸受部材130に対して押さえつけられている。そのため、軸部110は、第2軸受部材140によって第3方向(第1軸受部材130から外れる方向)への動きが制限される。しかしながら、軸部110に対して第2軸受部材140の弾性力よりも大きい力が働けば、軸部110は、一定の範囲内で上方に移動可能である。図15及び図16に示したように、本実施形態の支持部150では、軸部110が第1軸受部材130の溝部131に配置され、接点41、接点42、接点45及び接点46で接している。したがって、軸部110がヨーイング方向Yに動くと、軸部110は、各接点の位置の変化を伴いつつ第2軸受部材140の弾性力に逆らって上方に移動する。つまり、本実施形態では、第2軸受部材140が弾性を有するため、軸部110に対してヨーイング方向Yへの動きの自由度を与えることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の鍵盤装置1における鍵100の支持構造(支持部150)は、鍵100の一部である軸部110が、ローリング方向R及びヨーイング方向Yに動きの自由度を有する。したがって、本実施形態の支持構造によれば、経時変化等に起因する鍵の変形を吸収し、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。また、鍵100とフレーム500とを別部材で接続する構造ではなく、鍵100の一部(本実施形態では後端部)をフレーム500の一部(軸受部120)に配置した簡易な構造により、鍵100を支持することができる。
【0073】
(変形例1)
本実施形態では、第1軸受部材130をフレーム500の一部で構成し、第2軸受部材140をフレーム500に連結する例を示した。しかしながら、この例に限らず、第1軸受部材130と第2軸受部材140とを一体化させてもよい。すなわち、第1軸受部材130と第2軸受部材140とを同一材料で一体の構造体として形成してもよい。第1軸受部材130と第2軸受部材140とを一体とすることにより、さらに部品点数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。
【0074】
(変形例2)
本実施形態では、軸部110として、断面形状が略楕円形状の棒状部材を用いる例について説明した。しかしながら、この例に限らず、軸部110は、球状の部材であってもよい。すなわち、軸部110は、鍵100の一部に球状の部位を設けた構造としてもよい。この場合、第1軸受部材130は、例えば、多角錐形状の開口部を有する部材を用いることができる。軸受として機能する開口部の形状を多角錐(例えば、三角錐、四角錐等)にすることにより、軸部110は、第1軸受部材130と多点(例えば、三角錐であれば3点、四角錘であれば4点)で接する。その上で、第2軸受部材140を用いて、第1軸受部材130に対して軸部110を押しつければよい。
【0075】
(変形例3)
本実施形態では、図9に示すように、第2軸受部材140を片持ち構造とする例を示した。しかしながら、この例に限らず、第2軸受部材140を両持ち構造とすることも可能である。また、第2軸受部材140は、編目状(ネット状)の本体部を有する部材であってもよい。さらに、第2軸受部材140は、自身が弾性を有する部材である必要はなく、バネ、ゴム等の弾性体と組み合わせて弾性を有する部材として機能するものであってもよい。このように、第2軸受部材140は、軸部110に対して弾性力を与えることができる部材であれば、如何なる部材を用いてもよい。
【0076】
(変形例4)
本実施形態では、第2軸受部材140に弾性をもたせる例について説明した。しかしながら、この例に限らず、軸部110又は第1軸受部材130が弾性を有していてもよい。また、弾性を有する部材は、軸部110、第1軸受部材130及び第2軸受部材140の少なくとも1つであればよく、複数の部材が弾性を有していてもよい。例えば、第1軸受部材130及び第2軸受部材140の両方が弾性を有していてもよい。
【0077】
<第2実施形態>
本実施形態では、支持構造(支持部)における軸部と軸受部(第1軸受部材及び第2軸受部材)との位置関係を、第1実施形態とは異なるものとした例について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の鍵盤装置1と異なる点に着目して説明を行う。第1実施形態の鍵盤装置1と同じ構造については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0078】
図19は、第2実施形態における支持部150-1の構成を模式的に表した断面図である。図19に示す例は、第1実施形態とは逆に、鍵に軸受部を設け、フレームに軸部を設けた例である。支持部150-1は、軸部110-1、第1軸受部材130-1及び第2軸受部材140-1を含む。軸部110-1は、フレーム500の一部である。第1軸受部材130-1及び第2軸受部材140-1は、共に鍵100の一部である。また、図示は省略するが、第1軸受部材130-1と第2軸受部材140-1とは、一体の部材である。ただし、この例に限らず、第1軸受部材130-1と第2軸受部材140-1とは、別部材としてもよい。軸部110-1は、それぞれ接点41、接点42及び接点43で第1軸受部材130-1又は第2軸受部材140-1と接する。
【0079】
図20は、第2実施形態における支持部150-2の構成を模式的に表した断面図である。図20に示す例は、軸部の形状が第1実施形態と異なる例である。第1軸受部材130及び第2軸受部材140の構成は、第1実施形態と同様である。支持部150-2は、軸部110-2、第1軸受部材130及び第2軸受部材140を含む。軸部110-2は、鍵100の一部である。図20に示すように、軸部110-2は、3つの部分110-2a~110-2cを含む。
【0080】
軸部110-2は、それぞれ接点41、接点42及び接点43で第1軸受部材130又は第2軸受部材140と接する。具体的には、軸部110-2は、各部分110-2a~110-2cによって第1軸受部材130又は第2軸受部材140と接する。各部分110-2a~110-2cは、それぞれ断面視において外形が円弧である。すなわち、各部分110-2a~110-2cは、それぞれ湾曲面を有している。
【0081】
このように、軸部110-2は、第1軸受部材130又は第2軸受部材140と接する部分における外形が円弧形状であればよい。つまり、軸部110-2は、第1軸受部材130又は第2軸受部材140と接する部分以外の形状は、任意である。
【0082】
図21は、第2実施形態における支持部150-3の構成を模式的に表した断面図である。図21に示す例は、軸部及び第1軸受部材の形状が第1実施形態と異なる例である。第2軸受部材140の構成は、第1実施形態と同様である。支持部150-3は、軸部110-3、第1軸受部材130-3及び第2軸受部材140を含む。軸部110-3は、鍵100の一部である。図20に示すように、軸部110-3は、断面視において直線状の第1辺110-3a及び第2辺110-3bを有する。第1軸受部材130-3は、断面視において外形が半円形状の突出部130-3aを有する。すなわち、突出部130-3aは、軸部110-3と接する部分に湾曲面を有する。
【0083】
第1軸受部材130-3の突出部130-3aは、軸部110-3の第1辺110-3a及び第2辺110-3bに対し、それぞれ接点41及び接点42で接する。この場合、軸部110-3は、第1辺110-3a及び第2辺110-3bを突出部130-3aに摺動させて回動する。
【0084】
以上のように、軸部と軸受部(特に第1軸受部材)との位置関係や形状は、様々な態様があり得る。いずれにしても、本実施形態の鍵盤装置1の鍵の支持構造は、断面視において、軸部と軸受部とが少なくとも3点で接している。このとき、各接点において、間欠的に摺動する側の部材の外形は、円弧である。
【0085】
ここで、図19図21に示した接点41、接点42及び接点43の位置関係は、所定の関係を満たしている。この点について、図22及び図23を用いて説明する。
【0086】
図22は、第2実施形態における軸部161、第1軸受部材162及び第2軸受部材163の接点41、接点42及び接点43の位置関係を説明するための図である。図22に示す支持部160は、第1実施形態の図11に示す支持部150、第2実施形態の図19に示す支持部150-1及び図20に示す支持部150-2の構成に対応する。ただし、説明の便宜上、図22に示す例では、断面視において軸部161が円形である例を示す。
【0087】
接点41及び接点42では、軸部161と第1軸受部材162とが接する。接点43では、軸部161と第2軸受部材163とが接する。つまり、断面視において、接点41、接点42及び接点43は、軸部161の外形である円弧上の点である。ここで、接点41を始点とし、軸部161に向かう法線ベクトル(すなわち、接点41から軸部161の回動中心Oに向かう法線ベクトル)を第1法線ベクトル41aとする。同様に、接点42及び接点43を始点とし、軸部161に向かう法線ベクトルをそれぞれ第2法線ベクトル42a及び第3法線ベクトル43aとする。このとき、図22に示すように、第1法線ベクトル41a、第2法線ベクトル42a及び第3法線ベクトル43aそれぞれの始点を1点に移動させたとき、隣り合う各法線ベクトルのなす角θ1~θ3は、180°未満である。
【0088】
軸部161は、第1軸受部材162及び第2軸受部材163で構成される軸受部によって支持されているため、接点41、接点42及び接点43において、軸部161が第1軸受部材162又は第2軸受部材163から受ける力は釣り合っている。換言すれば、図22に示す支持部160は、接点41、接点42及び接点43において第1軸受部材162及び第2軸受部材163から軸部161に加わる力の合成ベクトルがゼロである。
【0089】
図23は、第2実施形態における軸部166、第1軸受部材167及び第2軸受部材168の接点41、接点42及び接点43の位置関係を説明するための図である。図23に示す支持部165は、第2実施形態の図21に示す支持部150-3の構成に対応する。ただし、説明の便宜上、図23に示す例では、断面視において第1軸受部材167が円形である例を示す。
【0090】
接点41及び接点42では、軸部166と第1軸受部材167とが接する。接点43では、軸部166と第2軸受部材168とが接する。つまり、断面視において、接点41及び接点42は、第1軸受部材167の外形である円弧上の点である。これに対し、接点43は、軸部166の外形である円弧上の点である。このとき、図23に示す例においても、第1法線ベクトル41a、第2法線ベクトル42a及び第3法線ベクトル43aそれぞれの始点を1点に移動させたとき、隣り合う各法線ベクトルのなす角θ1~θ3は、180°未満である。
【0091】
図23に示す例では、軸部166は、第1軸受部材167及び第2軸受部材168で構成される軸受部によって支持されている。したがって、図23に示す例においても、図22に示した例と同様に、接点41、接点42及び接点43において第1軸受部材167及び第2軸受部材168から軸部166に加わる力の合成ベクトルはゼロである。
【0092】
以上のように、本実施形態の支持構造(支持部150-1~150-3)では、断面視において、軸部に対して軸受部(すなわち、第1軸受部材及び第2軸受部材)が3つの接点で接するとき、各接点は、軸部、第1軸受部材及び第2軸受部材の少なくともいずれかの外形である円弧上にある。そして、各接点を始点とし、当該接点から軸部に向かう各法線ベクトルにおける各始点を1点に移動させたとき、隣り合う各法線ベクトルのなす角は180°未満である。このような関係は、第1実施形態においても同様である。
【0093】
本実施形態の支持構造によれば、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。
【0094】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態の支持構造(支持部)を第1方向、第2方向又は第3方向に回転させた場合の例について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の鍵盤装置1と異なる点に着目して説明を行う。第1実施形態の鍵盤装置1と同じ構造については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0095】
図24は、第3実施形態における支持部150-4の構成を模式的に表した平面図である。図25は、第3実施形態における支持部150-4の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図25は、図24に示す鍵100-1及び支持部150-4をE-E線で切断した断面図に対応する。
【0096】
図24及び図25に示す例は、第1実施形態の図12及び図13に示した支持部150を第1方向の軸周りに略90°回転させた構造に相当する。鍵100-1の鍵後端部105-4は下方(第3方向)に向かって屈曲し、軸部110-4を構成している。図25に示すように、軸部110-4は、第2方向において、第1軸受部材130-4と第2軸受部材140-4との間に支持される。図24及び図25に示す例において、軸部110-4は、第1方向に延在する軸周りに回動するとともに、ローリング方向R及びヨーイング方向Yに動きの自由度を有する。
【0097】
図26は、第3実施形態における支持部150-5の構成を模式的に表した側面図である。図27は、第3実施形態における支持部150-5の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図27は、図25に示す鍵100-2及び支持部150-5をF-F線で切断した断面図に対応する。
【0098】
図26及び図27に示す例は、第1実施形態の図12及び図13に示した支持部150を第2方向の軸周りに略90°回転させた構造に相当する。軸部110-5は、第1方向において、第1軸受部材130-5と第2軸受部材140-5との間に支持される。また、軸部110-5は、第1位置決め部51-1及び第2位置決め部52-1で第1軸受部材130-5を挟むことにより、第2方向への動きが制限される。第1位置決め部51-1及び第2位置決め部52-1の傾斜角は、押鍵操作による鍵100-2の回動を妨げない範囲で決定される。図26及び図27に示す例において、軸部110-5は、第1方向に延在する軸周りに回動するとともに、ローリング方向R及びヨーイング方向Yに動きの自由度を有する。
【0099】
図28は、第3実施形態における支持部150-6の構成を模式的に表した平面図である。図29は、第3実施形態における支持部150-6の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図29は、図28に示す鍵100-3及び支持部150-6をG-G線で切断した断面図に対応する。
【0100】
図28及び図29に示す例は、第1実施形態の図12及び図13に示した支持部150を第3方向の軸周りに略90°回転させた構造に相当する。軸部110-6は、第3方向において、第1軸受部材130-6と第2軸受部材140-6との間に支持される。また、軸部110-6は、第1位置決め部51-2及び第2位置決め部52-2で第1軸受部材130-6を挟むことにより、第1方向への動きが制限される。図28及び図29に示す例において、軸部110-6は、第1方向に延在する軸周りに回動するとともに、ローリング方向R及びヨーイング方向Yに動きの自由度を有する。
【0101】
以上のように、鍵盤装置1の鍵の支持構造(支持部)を第1方向、第2方向又は第3方向に回転させた場合であっても、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。なお、本実施形態では、支持構造の回転を略90°回転させた例を示したが、回転角度は90°に限らない。
【0102】
本実施形態の支持構造によれば、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。
【0103】
<第4実施形態>
本実施形態では、軸受部ではなく、軸部が弾性を有する支持構造(支持部)とした例について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の鍵盤装置1と異なる点に着目して説明を行う。第1実施形態の鍵盤装置1と同じ構造については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0104】
図30は、第4実施形態における支持部150-7の構成を模式的に表した断面図である。図31は、第4実施形態における支持部150-7の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図31は、図30に示す支持部150-7をI-I線で切断した断面図に対応する。
【0105】
図30及び図31に示すように、本実施形態の軸部110-7は、本体部110-7a、弾性部110-7b及び連結部110-7cを含む。軸部110-7は、第1軸受部材130-7に設けられた開口部130-7aの内部に配置される。本体部110-7aは、開口部130-7aにおける下方側の内壁に接し、弾性部110-7bは、開口部130-7aにおける上方側の内壁に接する。このとき、弾性部110-7bの弾性力が上方に向かって第1軸受部材130-7を押すため、本体部110-7aには、下方に向かう力が働く。その結果、本体部110-7aは、開口部130-7aにおける下方側の内壁に押しつけられる。
【0106】
本体部110-7aは、外形が円弧である湾曲面60a及び60bを有する。図30に示すように、本体部110-7aの湾曲面60a及び60bが、第1軸受部材130-7に接点41及び接点42で接する。軸部110-7と第1軸受部材130-7とが接する接点41及び接点42における構造は、第1実施形態(例えば、図11参照)と同様の構造である。
【0107】
弾性部110-7bは、外形が円弧である湾曲面60cを有する。図30及び図31に示すように、弾性部110-7bの湾曲面60cが、第1軸受部材130-7に接点43で接する。弾性部110-7bと第1軸受部材130-7とが接する第3接点における構造は、第1実施形態(例えば、図11及び図13参照)における軸部110と第2軸受部材140とが接する部分と同様の構造である。
【0108】
本実施形態の支持構造によれば、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。また、軸部110-7が弾性部110-7bを有するため、部品点数を減らして製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、本体部110-7a、弾性部110-7b及び連結部110-7cを一体の構造とする例を示した。しかしながら、この例に限らず、本体部110-7aと弾性部110-7bとを別部材とし、連結部110-7cで連結することも可能である。
【0109】
<第5実施形態>
本実施形態では、軸部の形状を第1実施形態とは異なる構造とした例について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の鍵盤装置1と異なる点に着目して説明を行う。第1実施形態の鍵盤装置1と同じ構造については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0110】
図32は、第5実施形態における支持部150-8の構成を模式的に表した断面図である。図32は、第1実施形態において、図11を用いて説明した断面図に対応する。支持部150-8において、軸部110-8は、接点41で第1軸受部材130と接する湾曲面110-8a、接点42で第1軸受部材130と接する湾曲面110-8b、及び接点43で第2軸受部材140と接する湾曲面110-8cを有する。接点41、接点42及び接点43において、軸部110-8の外形は、円弧形状である。すなわち、接点41、接点42及び接点43は、軸部110の外形である円弧上の点である。
【0111】
本実施形態では、接点41を有する円弧の半径r1、接点42を有する円弧の半径r2、及び第3接点を有する円弧の半径r3が、それぞれ互いに異なる。しかしながら、接点41を有する円弧、接点42を有する円弧、及び接点43を有する円弧は、いずれも同一の中心Oを有する円弧であるため、軸部110-8は、中心Oを回動支点として回動可能である。つまり、軸部110-8は、ローリング方向Rに動きの自由度を有する。
【0112】
本実施形態の支持構造によれば、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。
【0113】
<第6実施形態>
本実施形態では、軸部の前後方向の位置を決める位置決め部の構成を第1実施形態とは異なる構成とした例について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の鍵盤装置1と異なる点に着目して説明を行う。第1実施形態の鍵盤装置1と同じ構造については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0114】
図33は、第6実施形態における支持部150-9の構成を模式的に表した平面図である。図33は、第1実施形態において、図14を用いて説明した平面図に対応する。第1実施形態では、第1位置決め部51及び第2位置決め部52が、軸部110の回動軸を挟んで互いに向かい合うように配置される例を示した。これに対し、図33に示す例では、第1位置決め部51-3と第2位置決め部52-3とが、第1方向において異なる位置に設けられている。すなわち、支持部150-9では、第1位置決め部51-3と第2位置決め部52-3とが、第2方向において重畳しない。
【0115】
図33に示す平面図では、第1位置決め部51-3と前側傾斜部22aとの間に間隙があるが、実際には、第1実施形態において図15を用いて説明したように、第1位置決め部51-3と前側傾斜部22aとは接している。したがって、第1位置決め部51-3は、軸部110-9の後方向への移動を制限することができる。同様に、第2位置決め部52-3と後側傾斜部22bとが接しているため、第2位置決め部52-3も、軸部110-9の前方向への移動を制限することができる。
【0116】
図34は、第6実施形態における支持部150-10の構成を模式的に表した平面図である。図34に示す例では、軸部110-10の第1位置決め部51-4と第1軸受部材130-10の前側傾斜部22a-1とが回動軸101の軸上(又は近接した位置)で接する。図34に示す平面図では、第1位置決め部51-4と前側傾斜部22a-1との間に間隙があるが、実際には、前述のとおり、第1位置決め部51-4と前側傾斜部22a-1とは接している。同様に、第2位置決め部52-4も後側傾斜部22b-1と回動軸101の軸上(又は近接した位置)で接する。したがって、第1位置決め部51-4は、軸部110-10の後方向への移動を制限することができる。同様に、第2位置決め部52-4と後側傾斜部22b-1とが接しているため、第2位置決め部52-4も、軸部110-10の前方向への移動を制限することができる。
【0117】
図34に示す例では、軸部110-10と第1軸受部材130-10とが回動軸101の軸上(又は近接した位置)で接する。この場合、軸部110-10が回動軸101の周りに回動しても、軸部110-10と第1軸受部材130-10との接点における前後の位置関係が変化しない。つまり、軸部110-10が回動しても、軸部110-10と第1軸受部材130-10との間に隙間が生じない。したがって、図34に示す構造によれば、軸部110-10の前後方向への移動をより高い精度で制限することができる。
【0118】
図34に示す例においても、第1位置決め部51-4と第2位置決め部52-4とが、第1方向において異なる位置に設けられている。すなわち、支持部150-10では、第1位置決め部51-4と第2位置決め部52-4とが、第2方向において重畳しない。
【0119】
本実施形態の支持構造によれば、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。
【0120】
<第7実施形態>
本実施形態では、軸部の前後方向の位置を決める位置決め部の構成を第1実施形態とは異なる構造とした例について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態の鍵盤装置1と異なる点に着目して説明を行う。第1実施形態の鍵盤装置1と同じ構造については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0121】
図35は、第7実施形態における支持部150-11の構成を模式的に表した平面図である。図36及び図37は、第7実施形態における支持部150-11の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図36は、図35に示す支持部150-11をJ-J線で切断した断面図に対応する。図37は、図35に示す支持部150-11をK-K線で切断した断面図に対応する。
【0122】
図35図37に示すように、軸部110-11は、第3方向に突出する突出部65を有する。また、第1軸受部材130-11は、溝部131-11を有する。図36に示すように、軸部110-11と第1軸受部材130-11とを組み合わせる際、突出部65は、溝部131-11に挿入される。このとき、溝部131-11の内壁のうち第2方向に略垂直な第1面23a及び第2面23bは、それぞれ、突出部65のうち第2方向に略垂直な第1面65a及び第2面65bと向かい合う。したがって、軸部110-11の前後方向への移動が制限される。
【0123】
図38は、第7実施形態における支持部150-12の構成を模式的に表した断面図である。具体的には、図36に示した断面図の変形例に相当する。図38に示すように、軸部110-12は、第3方向に突出する突出部65-1を有する。図38に示す例では、突出部65-1の先端は半円形状である。また、第1軸受部材130-12は、断面視において、略三角形状の溝部131-12を有する。軸部110-12と第1軸受部材130-12とを組み合わせる際、突出部65-1は、溝部131-12に挿入される。このとき、断面視において、突出部65-1の先端は、溝部131-12の内壁に対して接点48及び接点49で接する。したがって、軸部110-12の前後方向への移動が制限される。
【0124】
本実施形態の支持構造によれば、第1実施形態と同様に、簡易な支持構造により鍵盤装置1の外観の品質を向上させることができる。
【0125】
<第8実施形態>
第1実施形態から第7実施形態において説明した支持構造は、鍵盤装置の鍵の支持構造として適用した例を示した。しかしながら、この例に限らず、鍵盤装置において、鍵以外の他の回動部材の支持構造としても適用可能である。例えば、鍵盤装置のハンマーの支持構造として適用してもよい。
【0126】
以上、本発明の実施形態として説明した構成を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。前述の各実施形態又は変形例は、相互に矛盾がない限り、適宜組み合わせが可能である。各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0127】
前述の各実施形態又は変形例の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされると解される。
【符号の説明】
【0128】
1…鍵盤装置、10…鍵盤アセンブリ、22a…前側傾斜部、22b…後側傾斜部、23a…第1面、23b…第2面、41…接点、41a…第1法線ベクトル、42…接点、42a…第2法線ベクトル、43…接点、43a…第3法線ベクトル、44…線分、45…接点、46…接点、47…線分、48…接点、49…接点、51…第1位置決め部、52…第2位置決め部、53…辺、60a、60b、60c…湾曲面、65…突出部、65a…第1面、65b…第2面、70…音源装置、80…スピーカ、90…筐体、100…鍵、100B…黒鍵、100W…白鍵、101…回動軸、102…前端鍵ガイド、105…鍵後端部、110…軸部、110-2a~110-2c…部分、110-3a…第1辺、110-3b…第2辺、110-7a…本体部、110-7b…弾性部、110-7c…連結部、110-8a~110-8c…湾曲面、110a~110c…湾曲面、115…ハンマー支持部、120…軸受部、116…内部空間、130…第1軸受部材、130-3a…突出部、130-7a…開口部、131…溝部、131a、131b…湾曲面、140…第2軸受部材、140a…本体部、140b…保持部、150…支持部、160…支持部、161…軸部、162…第1軸受部材、163…第2軸受部材、165…支持部、166…軸部、167…第1軸受部材、168…第2軸受部材、200…ハンマーセンブリ、210…前端部、220…軸支持部、230…錘部、300…センサ、310…上側電極部、320…下側電極部、410…下側ストッパ、430…上側ストッパ、500…フレーム、511…前端フレームガイド、520…回動軸、710…信号変換部、730…音源部、750…出力部
図1
図2
図3
図4
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