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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240625BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240625BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
G03G15/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020055664
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021158480
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】花神 大樹
(72)【発明者】
【氏名】古城 晋介
(72)【発明者】
【氏名】日隈 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮内 敬輔
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-199535(JP,A)
【文献】特開2003-259096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部の読み取り面を清掃する清掃部と、
前記清掃部による前記読み取り面の清掃動作を行う為の駆動源と、
前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行
前記清掃部は、前記読み取り部と対向する位置において回転可能に設けられ、回転することにより前記読み取り面を清掃し、
前記読み取り部と対向する位置に回転体を備え、
前記清掃部は、前記回転体の回転軸線と共通の回転軸線を中心に回転可能に設けられ、
前記回転体は、ワンウェイクラッチを介して第1回転方向に回転する場合にのみ前記清掃部に回転トルクを伝達し、
前記清掃部は、押圧部材によって前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する外力が付与されているとともに、前記第2回転方向への回転を規制する規制部により、前記読み取り面から離間する状態を維持する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項に記載の画像読取装置において、前記回転体の外周面は、周方向に沿って第1背景部と前記第1背景部より明るい第2背景部とを有し、
前記制御手段は、前記第1背景部を前記読み取り部と対向させた状態、及び前記第2背景部を前記読み取り部と対向させた状態で前記読み取り面の汚れを検出する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部の読み取り面を清掃する清掃部と、
前記清掃部による前記読み取り面の清掃動作を行う為の駆動源と、
前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行
前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、
前記制御手段は、前記原稿幅方向における前記読み取り面の汚れの位置を検出した上で、前記清掃部を前記原稿幅方向の端部位置である第1位置から反対の端部位置である第2位置に向けて移動させる際、前記第1位置から前記汚れの位置まで前記清掃部を第1速度で移動させ、前記汚れの位置において前記清掃部を前記第1速度より低速の第2速度で移動させる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部の読み取り面を清掃する清掃部と、
前記清掃部による前記読み取り面の清掃動作を行う為の駆動源と、
前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行
前記読み取り部として、第1読み取り部と、当該第1読み取り部と間隔を空けて対向配置される第2読み取り部とを備え、
前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、
前記第1読み取り部と前記第2読み取り部との間隔を形成する間隔形成部には、前記清掃部を前記読み取り面と交差する方向にガイドするガイド面が設けられ、
前記清掃部が前記原稿幅方向に移動する際、前記清掃部が前記ガイド面に乗り上がることで、前記間隔形成部の位置を通過可能に構成されている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部の読み取り面を清掃する清掃部と、
前記清掃部による前記読み取り面の清掃動作を行う為の駆動源と、
前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行
前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、
前記清掃部は、原稿を搬送する原稿搬送方向において、前記読み取り部に対し上流及び下流の少なくともいずれかに延びている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項に記載の画像読取装置において、
前記原稿搬送方向において前記読み取り部の上流及び下流の少なくともいずれかには、原稿を搬送する搬送ローラー及び前記搬送ローラーに接して従動回転する従動ローラーを備えて成る搬送ローラー対が設けられ、
前記従動ローラーは、前記搬送ローラーに対し進退可能に設けられているとともに、前記原稿幅方向における端部の角部が面取り状に形成され、
前記清掃部が前記原稿幅方向に移動する際に、前記従動ローラーの前記面取り状の角部を介して前記従動ローラーを前記読み取り部から離間する方向に押し上げることで、前記清掃部が前記従動ローラーの位置を通過する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記制御手段は、原稿の読み取り指令を受けた後の最初の原稿を給紙する前、最後の原稿が排出された後、及び連続して複数枚の原稿を読み取る場合に先行する原稿を排出して後続の原稿を給送する前の少なくともいずれかで、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナーに代表される画像読取装置においては、特許文献1に示される様に、読み取り面にゴミ等の異物が付着することに起因する読み取り品質低下を抑制する為に清掃部材を備えるものがある。特許文献1記載の清掃部材は、読み取りセンサーと対向するプラテンローラーに清掃部材を設け、原稿を搬送して原稿の画像を読み取った後、所定のタイミングでプラテンローラーを回転させることで、読み取りセンサーの読み取り面に対して清掃部材が接触しながら通過して読み取り面を清掃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-153524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の構成において、清掃部材が設けられるプラテンローラーは、外周面の半周領域が黒色部とされ、残りの半周領域が白色部とされている。そしてプラテンローラーを回転させることで、背景色を切り換える。
即ち、背景色を切り換える度に清掃部材が読み取り面を清掃することとなる為、読み取り面に汚れが無いにも拘わらず清掃部材による読み取り面の清掃が行われる場合が生じ、清掃部材の寿命を短くしてしまう。加えて、清掃部材による読み取り面の清掃が頻繁に行われると、読み取りセンサー内に異物が入り込んでしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の画像読取装置は、搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、前記読み取り部の読み取り面を清掃する清掃部と、前記清掃部による前記読み取り面の清掃動作を行う為の駆動源と、前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行うことを特徴とする。
また本発明の画像読取装置は、搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、前記読み取り部からデータを受信する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り部の読み取り面の汚れを検出した場合に、前記読み取り面の汚れについて報知することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】スキャナーの原稿送り経路の側面図。
図2】スキャナーの制御系統を示すブロック図。
図3】背景切り換え部の動作を示す図。
図4】他の実施形態に係る背景切り換え部を示す図。
図5】清掃部材が従動ローラーを押し退ける様子を示す図。
図6】清掃部材が間隔形成部を通過する過程を示す図。
図7】制御部が制御する読み取り面の清掃動作の流れを示すフローチャート。
図8】汚れ検出処理のメインフローを示すフローチャート。
図9】汚れ検出処理のサブフローを示すフローチャート。
図10】汚れ検出処理のサブフローを示すフローチャート。
図11】汚れ検出処理のサブフローを示すフローチャート。
図12】連続異常画素範囲の一例を模式的に示す図。
図13】連続異常画素範囲の一例を模式的に示す図。
図14】不連続異常画素範囲の一例を模式的に示す図。
図15】不連続異常画素範囲の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る画像読取装置は、搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、前記読み取り部の読み取り面を清掃する清掃部と、前記清掃部による前記読み取り面の清掃動作を行う為の駆動源と、前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行うことを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、画像読取装置の制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出した場合に、前記駆動源を制御して前記清掃部による前記清掃動作を行うので、必要な場合にのみ前記清掃部による前記読み取り面の清掃が行われることとなり、前記清掃部の寿命を延ばすことができる。加えて、前記清掃部による前記読み取り面の清掃が頻繁に行われることに起因する、前記読み取り部内への異物の入り込みを抑制できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記清掃部は、前記読み取り部と対向する位置において回転可能に設けられ、回転することにより前記読み取り面を清掃することを特徴とする。
本態様によれば、前記清掃部は、前記読み取り部と対向する位置において回転可能に設けられ、回転することにより前記読み取り面を清掃するので、前記清掃部による前記読み取り面の清掃効果を高めることができる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記読み取り部と対向する位置に回転体を備え、前記清掃部は、前記回転体の回転軸線と共通の回転軸線を中心に回転可能に設けられ、前記回転体は、ワンウェイクラッチを介して第1回転方向に回転する場合にのみ前記清掃部に回転トルクを伝達し、前記清掃部は、押圧部材によって前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する外力が付与されているとともに、前記第2回転方向への回転を規制する規制部により、前記読み取り面から離間する状態を維持することを特徴とする。
本態様によれば、簡易な構造により、前記清掃部による前記読み取り面の清掃を行うことができ、また、前記清掃部を前記読み取り面から離間させておくことができる。
【0011】
第4の態様は、第3の態様において、前記回転体の外周面は、周方向に沿って第1背景部と前記第1背景部より明るい第2背景部とを有し、前記制御手段は、前記第1背景部を前記読み取り部と対向させた状態、及び前記第2背景部を前記読み取り部と対向させた状態で前記読み取り面の汚れを検出することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記回転体の外周面は、周方向に沿って第1背景部と前記第1背景部より明るい第2背景部とを有し、前記制御手段は、前記第1背景部を前記読み取り部と対向させた状態、及び前記第2背景部を前記読み取り部と対向させた状態で前記読み取り面の汚れを検出するので、前記読み取り面の汚れの検出に際し、汚れの色の影響を受け難く、より高精度に前記読み取り面の汚れを検出することができる。
【0013】
第5の態様は、第1の態様において、前記読み取り面と対向する位置に、第1背景部と前記第1背景部より明るい第2背景部とを選択可能な背景部を備え、前記制御手段は、前記第1背景部を前記読み取り部と対向させた状態、及び前記第2背景部を前記読み取り部と対向させた状態で前記読み取り面の汚れを検出することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記制御手段は、前記第1背景部を前記読み取り部と対向させた状態、及び前記第2背景部を前記読み取り部と対向させた状態で前記読み取り面の汚れを検出するので、前記読み取り面の汚れの検出に際し、汚れの色の影響を受け難く、より高精度に前記読み取り面の汚れを検出することができる。
【0015】
第6の態様は、第1の態様において、前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、前記制御手段は、前記原稿幅方向における前記読み取り面の汚れの位置を検出した上で、前記清掃部を前記原稿幅方向の端部位置である第1位置から反対の端部位置である第2位置に向けて移動させる際、前記第1位置から前記汚れの位置まで前記清掃部を第1速度で移動させ、前記汚れの位置において前記清掃部を前記第1速度より低速の第2速度で移動させることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記制御手段は、前記原稿幅方向における前記読み取り面の汚れの位置を検出した上で、前記清掃部を前記原稿幅方向の端部位置である第1位置から反対の端部位置である第2位置に向けて移動させる際、前記第1位置から前記汚れの位置まで前記清掃部を第1速度で移動させ、前記汚れの位置において前記清掃部を前記第1速度より低速の第2速度で移動させるので、前記汚れの位置における前記読み取り面の汚れを、効果的に取り除くことができるとともに、清掃時間を短縮することができる。
【0017】
第7の態様は、第1の態様において、前記読み取り部として、第1読み取り部と、当該第1読み取り部と間隔を空けて対向配置される第2読み取り部とを備え、前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、前記第1読み取り部と前記第2読み取り部との間隔を形成する間隔形成部には、前記清掃部を前記読み取り面と交差する方向にガイドするガイド面が設けられ、前記清掃部が前記原稿幅方向に移動する際、前記清掃部が前記ガイド面に乗り上がることで、前記間隔形成部の位置を通過可能に構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、簡易な構成で、前記間隔形成部の位置を前記清掃部が通過することができる。
【0018】
第8の態様は、第1の態様において、前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、前記清掃部は、原稿を搬送する原稿搬送方向において、前記読み取り部に対し上流及び下流の少なくともいずれかに延びていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記清掃部は、前記読み取り面に対し原稿の搬送方向と交差する方向である原稿幅方向に移動しながら前記読み取り面を清掃し、前記清掃部は、原稿を搬送する原稿搬送方向において、前記読み取り部に対し上流及び下流の少なくともいずれかに延びているので、前記清掃部により、前記読み取り部のみならず他の範囲をも清掃することができる。
【0020】
第9の態様は、第8の態様において、前記原稿搬送方向において前記読み取り部の上流及び下流の少なくともいずれかには、原稿を搬送する搬送ローラー及び前記搬送ローラーに接して従動回転する従動ローラーを備えて成る搬送ローラー対が設けられ、前記従動ローラーは、前記搬送ローラーに対し進退可能に設けられているとともに、前記原稿幅方向における端部の角部が面取り状に形成され、前記清掃部が前記原稿幅方向に移動する際に、前記従動ローラーの前記面取り状の角部を介して前記従動ローラーを前記読み取り部から離間する方向に押し上げることで、前記清掃部が前記従動ローラーの位置を通過することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記清掃部による清掃範囲に前記搬送ローラー対が配置されていても、前記清掃部が前記従動ローラーを押し退けて移動することができ、前記清掃部による清掃を適切に行うことができる。
【0022】
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記制御手段は、原稿の読み取り指令を受けた後の最初の原稿を給紙する前、最後の原稿が排出された後、及び連続して複数枚の原稿を読み取る場合に先行する原稿を排出して後続の原稿を給送する前の少なくともいずれかで、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り面の汚れを検出することを特徴とする。
【0023】
第11の態様に係る画像読取装置は、搬送される原稿の画像を読み取る読み取り部と、前記読み取り部からデータを受信する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り部の読み取り面の汚れを検出した場合に、前記読み取り面の汚れについて報知することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記制御手段は、前記読み取り部から受信するデータに基づき前記読み取り部の読み取り面の汚れを検出した場合に、前記読み取り面の汚れについて報知するので、必要な場合にのみ前記清掃部による前記読み取り面の清掃が行われることとなり、前記清掃部の寿命を延ばすことができる。加えて、前記清掃部による前記読み取り面の清掃が頻繁に行われることに起因する、前記読み取り部内への異物の入り込みを抑制できる。
【0025】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では画像読取装置の一例として、原稿の表面及び裏面のうち少なくとも一面を読み取り可能なスキャナー1を例に挙げる。スキャナー1は、読み取り手段に対して原稿を搬送させつつ読み取りを行う、所謂ドキュメントスキャナーである。
【0026】
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が装置幅方向であり原稿幅方向でもある。Y軸方向は装置奥行き方向であり、水平方向に沿った方向である。Z軸方向は鉛直方向に沿った方向である。
以下では原稿が搬送されていく方向を「下流」といい、これと反対の方向を「上流」という場合がある。
【0027】
図1においてスキャナー1は、下部ユニット2aの上部に上部ユニット2bを備えている。上部ユニット2bは下部ユニット2aに対して+Y方向の端部に位置する不図示の回転軸を中心に回転可能であり、回転することで2点鎖線で示す様に下部ユニット2aに対して開くことができる。上部ユニット2bを下部ユニット2aに対して開くことで、後述する原稿送り経路を露呈させることができる。後述する分離ローラー15、従動ローラー16b、背景切り換え部30A、上部センサーユニット20B、及び従動ローラー17bは、上部ユニット2bを構成する。また、後述する給送ローラー14、駆動ローラー16a、背景切り換え部30B、下部センサーユニット20A、及び駆動ローラー17aは、下部ユニット2aを構成する。
【0028】
上部ユニット2bは、上面に各種操作を行う操作パネル51を備えている。操作パネル51は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルであり、各種操作を行う為の操作部と、各種情報を表示する為の表示部とを兼用する。
そしてスキャナー1は、装置本体内に略直線状の原稿送り経路を備えており、その最も上流に、複数枚の原稿を載置する原稿載置部5を備えている。
原稿載置部5による原稿載置領域には、給送モーター52(図2参照)により駆動される送り出しローラー13が設けられている。送り出しローラー13は、原稿載置部5に載置された複数枚の原稿のうち、最も下の原稿と対向する位置に設けられている。
【0029】
送り出しローラー13と対向する位置には原稿を原稿載置部5に向けて押圧する不図示の原稿押圧部が設けられており、この原稿押圧部が原稿を送り出しローラー13に向けて押圧する状態で、送り出しローラー13が正転、即ち図1の反時計回り方向に回転することで、原稿載置部5に載置された複数枚の原稿のうち最も下の原稿が、送り出しローラー13から送り力を受け、下流に向けて送り出される。
【0030】
送り出しローラー13の下流には間口規制部10が設けられており、この間口規制部10により、後述する給送ローラー14と分離ローラー15とによる原稿ニップ位置に入り込む原稿の枚数が規制される。
間口規制部10の下流には、原稿を下流に向けて送る給送ローラー14と、給送ローラー14との間で原稿をニップして分離する分離ローラー15とが設けられている。
給送ローラー14には、給送モーター52(図2参照)からワンウェイクラッチ23を介して図1において反時計回り方向、即ち原稿を下流に送る方向のトルクが伝達される。
【0031】
給送ローラー14にはワンウェイクラッチ23を介してトルクが伝達されるので、給送モーター52(図2参照)が逆回転しても、給送ローラー14は逆回転しない。また、給送モーター52が停止した状態においては、給送ローラー14は搬送される原稿と接して、正転方向に従動回転することができる。
分離ローラー15には、分離モーター54(図2参照)から、トルクリミッター24を介して回転トルクが伝達される。分離モーター54からは、分離ローラー15に対して原稿を上流に戻す逆転方向(図1において反時計回り方向)のトルクが伝達される。分離ローラー15により、重送されようとする2枚目以降の原稿が上流に戻され、即ち重送が防止される。
【0032】
給送ローラー14及び分離ローラー15の下流には、第1搬送ローラー対16が設けられ、更にその下流には、原稿画像を読み取る読み取り手段としての読み取り部20が設けられ、更にその下流には、第2搬送ローラー対17が設けられている。第1搬送ローラー対16及び第2搬送ローラー対は、原稿を搬送する搬送ローラー対の一例である。
第1搬送ローラー対16は、搬送モーター53(図2参照)により駆動される駆動ローラー16aと、従動回転する従動ローラー16bとを備えて成る。従動ローラー16bは、駆動ローラー16aに対して進退する方向に変位可能であるとともに、不図示の押圧部材により、駆動ローラー16aに向けて押圧されている。
【0033】
給送ローラー14及び分離ローラー15によりニップされて下流に給送された原稿は第1搬送ローラー対16にニップされて、第1搬送ローラー対16の下流に位置する下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bと対向する位置に搬送される。
【0034】
読み取り部20は、原稿送り経路に対して下に位置する下部センサーユニット20Aと、原稿送り経路に対して上に位置する上部センサーユニット20Bと、を備えている。下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bは、密着型イメージセンサーモジュール(CISM)である。
原稿送り経路に対して下に位置する下部センサーユニット20Aにより、原稿の下面が読み取られ、原稿送り経路に対して上に位置する上部センサーユニット20Bにより、原稿の上面が読み取られる。下部センサーユニット20Aは第1読み取り部の一例であり、上部センサーユニット20Bは第2読み取り部の一例である。
【0035】
下部センサーユニット20Aと対向する位置には、背景切り換え部30Aが設けられ、上部センサーユニット20Bと対向する位置には、背景切り換え部30Bが設けられている。背景切り換え部30A、30Bは、シェーディング補正の為に、対向するセンサーユニットにより読み取られる回転体31を備えており、本実施形態では回転体31の回転によって背景を白背景と黒背景のいずれかに切り換えることができる。
背景切り換え部30A、30Bの構成については、後に詳述する。
【0036】
読み取り部20において上面及び下面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた原稿は、読み取り部20の下流に位置する第2搬送ローラー対17にニップされて、排出口18から排出される。
第2搬送ローラー対17は、搬送モーター53(図3参照)により回転駆動される駆動ローラー17aと、従動回転する従動ローラー17bとを備えて成る。従動ローラー17bは、駆動ローラー17aに対して進退する方向に変位可能であるとともに、不図示の押圧部材により、駆動ローラー17aに向けて押圧されている。
【0037】
続いて図2及び必要に応じて図1を参照しつつスキャナー1における制御系統について説明する。
制御手段としての制御部50は原稿の給送、搬送、排出制御及び読み取り制御を含め、その他スキャナー1の各種制御を行う。制御部50には操作パネル51からの信号が入力され、また、操作パネル51の表示、特にユーザーインターフェース(UI)を実現する為の信号が制御部50から操作パネル51に送信される。
【0038】
そして制御部50は、給送モーター52、搬送モーター53、分離モーター54、第1背景モーター59、第2背景モーター60、のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。尚、第1背景モーター59は背景切り換え部30Aが備える回転体31の駆動源であり、第2背景モーター60は背景切り換え部30Bが備える回転体31の駆動源である。回転体31については後に改めて説明する。
【0039】
制御部50には、読み取り部20からの読み取りデータが入力され、また、読み取り部20を制御する為の信号が制御部50から読み取り部20に送信される。
制御部50には、第1検出部26、第2検出部27、第3検出部28、重送検出部29、のこれら検出部からの信号も入力される。
また制御部50には、給送モーター52、搬送モーター53、分離モーター54、第1背景モーター59、第2背景モーター60、のこれらモーターに対しそれぞれ設けられたロータリーエンコーダー(不図示)の検出値も入力され、これにより制御部50は各モーターの回転量を把握できる。
【0040】
制御部50は、CPU55、フラッシュROM56、及びRAM57を備えている。CPU55はフラッシュROM56に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、スキャナー1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROM56は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリであり、原稿の送り制御や読み取りに必要な各種制御プラグラム、パラメーター等が記憶されている。後述する清掃動作及び汚れ検出に必要な各種プラグラム、パラメーター等もフラッシュROM56に記憶されている。また操作パネル51を介してユーザーが入力した各種設定情報も、フラッシュROM56に記憶される。揮発性メモリであるRAM57には、一時的に各種情報が格納される。
制御部50はインターフェース58を備えており、このインターフェース58を介して外部コンピューター90との通信が可能となっている。
【0041】
続いて、原稿送り経路に設けられた各検出部について主として図1を参照して説明する。
第1検出部26は給送ローラー14の上流に位置する検出部であり、より詳しくは原稿給送方向において送り出しローラー13と給送ローラー14との間であって給送ローラー14寄りに位置する検出部である。制御部50は、第1検出部26から受信する信号により、第1検出部26の配置位置での原稿先端及び原稿後端の通過を検出できる。
第2検出部27は、原稿給送方向において給送ローラー14の下流に位置する検出部であり、より詳しくは給送ローラー14と第1搬送ローラー対16との間であって給送ローラー14寄りに位置している。制御部50は、第2検出部27から受信する信号により、第2検出部27の配置位置での原稿先端及び原稿後端の通過を検出できる。
【0042】
第3検出部28は、原稿給送方向において第1搬送ローラー対16と読み取り部20との間に位置する検出部である。制御部50は、第3検出部28から受信する信号により、第3検出部28の配置位置での原稿先端及び原稿後端の通過を検出できる。
尚、第1検出部26、第2検出部27、第3検出部28、のこれら検出部は非接触式のセンサーで構成しても良いし、接触式のセンサーで構成しても良い。
【0043】
重送検出部29は、給送ローラー14と第1搬送ローラー対16との間に設けられた検出部であり、原稿送り経路を挟んで対向配置される超音波発信部及び超音波受信部を備えて成る。制御部50は、重送検出部29から送信される信号により、原稿の重送を検知できる。
【0044】
続いて背景切り換え部30A、30Bについて詳述する。尚、背景切り換え部30Aと背景切り換え部30Bは基本的構成が同じである為、以下では背景切り換え部30Aの構成及び動作について図3を参照して説明する。
背景切り換え部30Aは、回転軸32を中心に回転可能な回転体31を備えている。回転体31は、第1背景モーター59の動力によって、図3の回転方向Ra及び回転方向Rbに回転する。回転方向Rbは第1回転方向の一例であり、回転方向Raは第2回転方向の一例である。
【0045】
回転体31の外周面は、周方向に沿って第1背景部31bと第1背景部31bより明るい第2背景部31aとで構成されている。本実施形態では、第1背景部31bと第2背景部31aは、それぞれ回転体31の外周面の半周を占めている。第1背景部31bは、本実施形態では黒色の背景であり、第2背景部31aは、本実施形態では白色の背景である。従って回転体31を回転させることで、読み取り面Saが第2背景部31aと対向する状態つまり白背景を選択した状態と、読み取り面Saが第1背景部31bと対向する状態つまり黒背景を選択した状態とを切り換えることができる。
【0046】
尚、背景切り換えの手段としては、回転体31の回転によるものに限られないことは言うまでもなく、第1背景部と、第1背景部より明るい第2背景部とを選択可能な構成であればどのような構成でも構わない。また黒背景は、読み取り面Saと対向する位置に背景部を配置しないことでも実現できる。
【0047】
次に背景切り換え部30Aは、清掃部としての清掃部材35を備えている。清掃部材35は、回転軸32を中心に回転可能に設けられているとともに、押圧部材としてのねじりばね36によって回転方向Raに回転する様に押圧されている。但し、清掃部材35の回転方向Raへの回転を規制する回転規制部38が設けられており、清掃部材35の回転方向Raへの回転は、回転規制部38に当接する位置が限度となる。
【0048】
また清掃部材35は、ワンウェイクラッチ37を介して回転体31が回転方向Rbに回転する場合にのみ回転体31から回転トルクを受け、回転体31とともに回転する。
尚、背景色を切り換える場合、回転体31は回転方向Raに駆動される。この場合ワンウェイクラッチ37の作用によって清掃部材35には回転体31から回転トルクが伝達されず、回転体31のみが回転する。
【0049】
清掃部材35は少なくとも読み取り面Saと対向する部分が弾性変形可能な材料で形成されており、例えばスポンジや不織布で形成することができ、或いはエラストマーのようなゴム製の部材の表面に布等の清掃シートを設けて形成することもできる。本実施形態において読み取り面Saはガラス面である為、清掃部材35はガラス面の払拭に適した材料で形成することが好ましい。
また清掃部材35は交換可能に構成することが好適である。また清掃部材35を、導電性を有する材料で形成するとともに接地することで、読み取り面Saを除電することができ、異物等の付着を抑制することもできる。
【0050】
清掃部材35は通常、図3の最も左の図で示す様にねじりばね36の押圧力によって回転規制部38に当接し、読み取り面Saから離間している。この状態から回転体31が回転方向Rbに回転すると、清掃部材35は図3の最も左の図から中央の図への変化で示す様に弾性変形を伴って回転体31とともに回転方向Rbに回転し、その際に下部センサーユニット20Aの読み取り面Saを払拭する。
【0051】
この様に回転体31は、図3の最も左の図で示す状態から回転方向Rbに回転するが、その際に回転角が180°を超えない範囲で停止させられる。回転体31が停止すると、清掃部材35はねじりばね36から受ける押圧力によって回転方向Raに回転する。すると図3の中央の図から最も右の図への変化で示す様に、清掃部材35は弾性変形を伴って回転規制部38に当接するまで回転する。その際にも清掃部材35は、下部センサーユニット20Aの読み取り面Saを払拭する。
尚、清掃部材35が読み取り面Saと回転体31との間を通過し易い様に、回転体31を読み取り面Saに対して進退可能に設けるとともに、ばね等の押圧部材によって読み取り面Saに向けて押圧することも好適である。
【0052】
以上説明した様に、背景切り換え部30Aは清掃部材35を備えており、清掃部材35が回転することにより読み取り面Saを払拭する、即ち清掃処理が行われるので、読み取り面Saに付着した異物等を除去することができ、適切な読み取り結果を得ることができる。また清掃部材35は回転することにより読み取り面Saを払拭するので、清掃部材35による読み取り面Saの清掃効果を高めることができる。
【0053】
また背景切り換え部30Aは回転体31を備え、清掃部材35は、回転体31の回転軸線と共通の回転軸線を中心に回転可能となる様に、回転軸32に対して回転可能に設けられている。回転体31は、ワンウェイクラッチ37を介して第1回転方向である回転方向Rbに回転する場合にのみ清掃部材35に回転トルクを伝達する。清掃部材35は、押圧部材であるねじりばね36によって第2回転方向である回転方向Raに回転する外力が付与されているとともに、回転方向Raへの回転を規制する回転規制部38により、読み取り面Saから離間する状態を維持する。従って簡易な構造により、清掃部材35による読み取り面Saの清掃を行うことができ、また、清掃部材35を読み取り面Saから離間させておくことができる。
【0054】
尚、読み取り面Saを清掃する為の清掃部材としては、上述した清掃部材35の様に回転することで読み取り面Saを清掃する形態に限られないことは言うまでもない。図4はその様な構成の一例を示すものであり、清掃部材40はY軸方向即ち原稿搬送方向に延びており、X軸方向即ち原稿幅方向に移動することで読み取り面Saを払拭する。図4において符号40-1は、清掃部材40が読み取り面SaのX軸方向の中央部に位置した状態を示しており、符号40-2は、清掃部材40が-X方向の端部に位置した状態を示している。
【0055】
尚、図4の実施形態において回転体31と読み取り面Saとの間には、清掃部材40が入り込める隙間を形成することが好ましい。また、必要に応じて回転体31を読み取り面Saに対して進退可能に構成するとともにばね等の押圧部材によって回転体31を読み取り面Saに向けて押圧し、清掃部材40によって回転体31を押し退けることができる様に構成することも好適である。
【0056】
清掃部材40は、例えば不図示のベルト機構によってX軸方向に移動させることができる。ベルト機構としては、例えばX軸方向の一方側端部に位置する駆動プーリー(不図示)と、X軸方向の他方側端部に位置する従動プーリー(不図示)と、駆動プーリーと従動プーリーに掛け回されるとともに清掃部材40が固定される無端ベルト(不図示)と、で構成できる。駆動プーリーは、制御部50(図2参照)によって制御される不図示のモーターで駆動することができる。
【0057】
尚、本実施形態において清掃部材40はY軸方向に延びているが、厳密にはY軸方向に対して若干の傾斜角を有している。これにより、X軸方向に清掃部材40が移動した際に、読み取り面Sa上の異物をY軸方向に移動させて落下させることができる。例えば、清掃部材40が-X方向に移動した際、読み取り面Sa上の異物は-Y方向に移動し、清掃部材40が+X方向に移動した際、読み取り面Sa上の異物は+Y方向に移動する。
但し清掃部材40はこの様な構成に限られず、Y軸方向に沿って平行に延設されていても良い。
【0058】
ここで、清掃部材40は読み取り面Saに対しX軸方向即ち原稿幅方向に移動しながら読み取り面Saを清掃するが、Y軸方向即ち原稿搬送方向において、下部センサーユニット20Aに対し-Y方向即ち上流方向に延びている。具体的には、本実施形態において清掃部材40は第1搬送ローラー対16の位置まで含むように延びている。これにより、読み取り面Saのみならず他の範囲である第1搬送ローラー対16をも清掃することができる。
尚、本実施形態では清掃部材40は-Y方向即ち上流方向に延びているが、これに代えて、或いはこれに加えて、+Y方向即ち下流方向に延びる様に形成しても良い。その場合、清掃部材40は、上部センサーユニット20Bを清掃する位置まで延設しても良いし、更に第2搬送ローラー対17を清掃する位置まで延設しても良い。
【0059】
尚、第1搬送ローラー対16はニップローラーであり、上述した様に駆動ローラー16aと従動ローラー16bとを備えている。従って清掃部材40がX軸方向に移動する際には、従動ローラー16bを押し退けて移動する必要がある。これに対して従動ローラー16bには、図5に示す様にX軸方向における端部の角部b1、b2が面取り状に形成されている。また清掃部材40は、X軸方向における側面a1、a2が傾斜状に形成されている。これにより清掃部材40がX軸方向に移動する際に、従動ローラー16bの面取り状の角部b1、b2を介して従動ローラー16bを図5の上の図から下の図への変化で示す様に読み取り面Saから離間する方向に押し上げることで、清掃部材40が従動ローラー16bの位置を通過することができる。
【0060】
尚、下部センサーユニット20Aと上部センサーユニット20Bとを対向配置する場合、図6に示す様に下部センサーユニット20Aと上部センサーユニット20Bとの間隔を形成する間隔形成部41の位置を、清掃部材40が通過する必要がある。ここで、上部センサーユニット20Bは、下部センサーユニット20Aに対して進退可能に設けられているとともに、ばね等の押圧部材によって下部センサーユニット20Aに向けて押圧されている。
そして間隔形成部41には、清掃部材40を読み取り面Saと交差する方向にガイドするガイド面c1、c2が形成されている。そして図5の上の図から下の図への変化で示す様に、清掃部材40が原稿幅方向に移動する際、清掃部材40がガイド面c1、c2に乗り上がることで、間隔形成部41の位置を通過することができる。
【0061】
続いて制御部50による清掃制御について図7以降を参照して説明する。
図7において制御部50は、読み取り部20の清掃を行うか否かを判断するタイミング、より具体的には読み取り面Saの汚れ検出を行うタイミングであると判断した場合(ステップS11においてYes)、ステップS12以降を実行する。
ここで清掃を行うか否かを判断するタイミングは、以下の(1)~(9)の少なくともいずれか、或いは任意の複数のタイミングに設定することができる。
(1)原稿の読み取り開始指令を受けた後に最初の原稿を給送する前
(2)最後の原稿を排出した後
(3)連続して複数枚の原稿を読み取る場合に先行する原稿を排出して後続の原稿を給送する前
(4)スキャナー1の電源がオンまたはオフの状態から電源ボタンが押下された場合
(5)スキャナー1が省電力モードに移行する場合
(6)スキャナー1が省電力モードから復帰した場合
(7)原稿給送枚数が予め設定された枚数に達した場合
(8)前回清掃実行時から予め設定された時間が経過した場合
(9)ユーザーが操作パネル51を介して、或いは接続された外部コンピュータ90で動作するスキャナードライバを介して、汚れ検出の実行を指示した場合
【0062】
次いで制御部50は、清掃を行った回数を示す変数Caを”0”にセットし(ステップS12)、清掃を行うか否かを示す清掃実行フラグを”0”にセットする(ステップS13)。尚、変数Ca及び清掃実行フラグについては、下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bのそれぞれに対して独立して設定される。
【0063】
そして制御部50は、下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bの読み取り面Saの汚れを検出する処理を実行する(ステップS14)。この汚れ検出処理については、後に詳しく説明するが、下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bから受信するデータ、具体的には背景切り換え部30A、30Bを白背景或いは黒背景にした状態で白背景或いは黒背景を読み取った際の読み取りデータに基づいて行われる。そして汚れが検出された場合、清掃実行フラグは”1”となり、汚れが検出されなかった場合、清掃実行フラグは”0”のままとなる。
従って汚れ検出処理の結果、清掃実行フラグが”0”のままであった場合(ステップS15においてNo)、清掃動作を行うことなく処理は終了される。
【0064】
そして汚れ検出処理の結果、清掃実行フラグが”1”であった場合(ステップS15においてYes)、つまり汚れが検出された場合には、清掃実行回数を示す変数Caが”3”以上であるかを判断し(ステップS16)、”3”以上の場合は(ステップS16においてYes)、エラー処理を行う。尚、このエラー処理の具体例については、後に説明する。
【0065】
清掃実行回数を示す変数Caが”3”未満の場合(ステップS16においてNo)、図3図4を参照して説明した読み取り面Saの清掃動作を行う。尚、この清掃動作は、下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bのうち、読み取り面Saの汚れが検出されたセンサーのみ行い、読み取り面Saの汚れが検出されなかったセンサーについては、清掃は行わない。
清掃動作を行った場合、変数Caをインクリメントし(ステップS18)、ステップS13に戻って以降の処理を再び行う。
【0066】
以上の様に制御部50は、下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bから受信するデータに基づき読み取り面Saの汚れを検出した場合に、駆動源である第1背景モーター59或いは第2背景モーター60を制御して清掃部材35による清掃動作を行うので、必要な場合にのみ清掃部材35による読み取り面Saの清掃が行われることとなり、清掃部材35の寿命を延ばすことができる。加えて、清掃部材35による読み取り面Saの清掃が頻繁に行われることに起因する、下部センサーユニット20A或いは上部センサーユニット20Bへの異物の入り込みを抑制できる。尚、読み取り面Saの清掃動作は図3に示した清掃部材35に限られず、図4に示した清掃部材40によって行っても良い。
【0067】
尚、図7のステップS16において清掃実行回数を示す変数Caが”3”以上であった場合(ステップS16においてYes)、操作パネル51に、読み取り面Saが汚れている旨のアラートを表示しても良い。またその際、ユーザーによる読み取り面Saの清掃を促す案内を表示しても良い。
またその際、後述する汚れ検出処理によって汚れの位置が判明している為、操作パネル51に、汚れの位置について案内する表示を行っても良い。その場合、例えば下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bのいずれの読み取り面Saが汚れているかを案内するのが好適である。勿論この場合、下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bの双方の読み取り面Saが汚れている場合は、その旨が案内される。
また操作パネル51に汚れの位置を案内するUIは、例えば読み取り面Saの形状を模式的に示すとともに、読み取り面Saを幾つかの領域に分割し、汚れている領域を他の領域とは異なる色で塗り潰す等が考えられる。
【0068】
また、清掃部材として図4を参照して説明した清掃部材40を用いる場合には、X軸方向即ち原稿幅方向における読み取り面Saの汚れの位置を検出した上で、清掃部材40を原稿幅方向の端部位置である第1位置、例えば+X方向の端部位置から、反対の端部位置である第2位置、例えば-X方向の端部位置に向けて移動させる際、汚れの位置まで清掃部材40を第1速度で移動させ、汚れの位置において清掃部材40を前記第1速度より低速の第2速度で移動させることも好適である。これにより、汚れの位置における読み取り面Saの汚れを、効果的に取り除くことができるとともに、清掃時間を短縮することができる。
【0069】
また、清掃部材40の移動速度を変化させず、或いは上記の様に移動速度を変化させる場合において、汚れの位置において清掃部材40を1回又は複数回往復動させることも好適である。またその場合、清掃部材40を往復動させてから原稿幅方向の一方側端部に清掃部材40を移動させ、次いで清掃部材40を他方側端部へ移動させることが好ましい。清掃部材40を往復動させた位置で、除去した異物が読み取り面Saに残存している虞があるからである。
【0070】
尚、上記実施形態では、読み取り面Saの汚れが検出された場合、自動で清掃部材35による清掃動作を行うが、例えば操作パネル51にユーザーの押下によって清掃動作が実行されるUIを設けた上で、読み取り面Saの汚れを検出した場合に、操作パネル51に読み取り面Saの清掃について報知し、ユーザー指令があった場合に清掃動作を行う様にしても良い。
また、上部ユニット2bが下部ユニット2aに対して開かれたことを検出するセンサーを設け、上部ユニット2bが下部ユニット2aに対して開かれた場合、ユーザーによる不用意な清掃部材へのアクセスを防止する為に、清掃動作を行わない様にしても良い。
【0071】
続いて汚れ検出処理(図7のステップS14)について図8以降を参照して詳しく説明する。下部センサーユニット20A及び上部センサーユニット20Bはイメージセンサーを備えており、制御部50は画素毎に受光強度を取得することができる。総画素数をnとし、スキャナー1の製造工程において、即ち製品出荷前に、読み取り面Saに汚れが付着していない状態で白背景或いは黒背景を読み取った際の受光強度を示すデータをデータRi(i=1~n)として、データRiが、初期値としてフラッシュROM56(図2参照)に保持されている。尚、詳しくは後述するが、データRiは白背景と黒背景のいずれで取得したものであっても良いが、白背景と黒背景の双方でデータRiを取得し、白背景用のデータRiと黒背景用のデータRiをフラッシュROM56(図2参照)に別個に保持していることが好ましい。
【0072】
ここで、ユーザー使用環境で背景色を読み取った際の受光強度を示すデータをデータLi(i=1~n)とすると、データLiとデータRiとの差が予め定めた閾値Shi(i=1~n)以上の場合には、その画素に汚れがあると判断できる。前記閾値Shiは、フラッシュROM56(図2参照)に保持されている。
但し本実施例では、一つの画素に汚れがあると判断するのみでは清掃動作は行わず、汚れ画素がある程度纏まっている場合に、汚れを検出したとして清掃動作を実行する。以下、これについて詳説する。
【0073】
基本的な考え方として画素Xi(i=1~n)について、データRiとデータLiとの差分が、設定された閾値Shi(i=1~n)未満であれば、当該画素Xiは後述する汚れ検出幅Xw1、Xw2のカウントの対象とせず、上記差分が閾値Shiを越えていれば、当該画素Xiは後述する汚れ検出幅Xw1、Xw2のカウントの対象とする。そして詳しくは後述するが、本実施例では汚れ検出幅Xw1、Xw2が所定幅以上となった場合に、汚れが存在すると判断する。尚、以下では便宜上、後述する汚れ検出幅Xw1、Xw2のカウントの対象とする画素を「異常のある画素」或いは「汚れのある画素」と位置づけ、汚れ検出幅のカウントの対象とならない画素を「異常のない画素」或いは「汚れのない画素」と位置づける。
尚、本実施例において上記差分は絶対値であって正の値をとり、閾値Shiも同様に正の値をとるが、いずれも正負が区別された値であっても良い。
【0074】
制御部50は、図8に示す様に「第1判定値」としての汚れ幅判定値Swを読み出し(ステップS101)、「第2判定値」としての続きの汚れを探す幅Seを読み出し(ステップS102)、その上で異常画素範囲の検出即ち汚れ判定処理を行う(ステップS103)。汚れ判定処理の結果、汚れありと判断した場合には(ステップS104においてYes)、清掃実行フラグを”1”にセットする(ステップS105)。
【0075】
以下、汚れ判定処理(ステップS103)について図9以降を参照して詳説する。図9図11は、汚れ判定処理(ステップS103)の具体的内容を示すものである。
汚れ判定処理は、大略的には各画素Xiの異常の有無に基づき画素数が予め定められた第1判定値を越えている異常画素範囲を検出し、清掃動作を行う為の汚れあり判定とする。
そして本実施例における特徴は、上記異常画素範囲が、異常画素が連続する連続異常画素範囲と、異常画素と次の異常画素との間に正常画素が介在し、正常画素の数が予め定められた第2判定値である「続きの汚れを探す幅Se」未満である不連続異常画素範囲と、を含む点にある。
【0076】
より詳しくは、制御部50は、画素X1、X2、・・・の順に異常画素の有無をサーチする。例えば、図12において画素X5が汚れ開始位置Xaであり、画素X5~X8が連続する汚れ画素範囲であって、その画素数が汚れ検出幅Xw1であり、図12の例では汚れ検出幅Xw1=4となる。汚れ幅判定値Sw=5に設定されていれば、図12の例では、汚れ検出幅Xw1は汚れ幅判定値Sw未満であるので、画素X5~X8は異常画素範囲ではなく、清掃動作を行う為の汚れあり判定とはならない。
【0077】
これに対し図13は、画素X5~X11が連続する汚れ画素範囲であって、汚れ検出幅Xw1=7となる。この場合、汚れ幅判定値Sw=5に設定されていれば、汚れ検出幅Xw1が汚れ幅判定値Swを越えているので、画素X5~X11は連続異常画素範囲となり、清掃動作を行う為の汚れあり判定になる。
【0078】
ここまでの判断の流れを、図9に示すフローチャートで説明すると、制御部50は汚れ検出幅Xw1、Xw2、汚れ間隔Xt、汚れ開始位置Xa、のこれら変数を初期化、即ちゼロにする(ステップS201)。汚れ検出幅Xw2及び汚れ間隔Xtについては後に説明する。
次いで、汚れ開始位置Xaをサーチし(ステップS202)、データ終端即ち画素Xnまでサーチしても汚れ画素を発見しない場合には(ステップS203においてNo)、図8に示すメインフローに戻る。
【0079】
一方、汚れ画素を発見した場合(ステップS203においてYes)、汚れ末尾位置をサーチし、汚れ検出幅Xw1を取得する(ステップS204)。そして取得した汚れ検出幅Xw1が予め定めた汚れ幅判定値Swを越えていれば(ステップS205においてYes)、連続異常画素範囲を検出したものとして、図11に示すステップS216に移る。
ステップS216において汚れ開始位置Xa及び汚れ検出幅Xw1をフラッシュROM56(図2)に記憶し、汚れ検出を続けて行う場合には(ステップS218においてYes)、図9のステップS201から再び処理を行う。
汚れ検出処理を終了する場合には(ステップS218においてNo)、図8のメインフローに戻る。
【0080】
続いて、不連続異常画素範囲について説明する。ユーザーにとって視認可能な画像不良は、連続した異常画素のまとまり即ち連続異常画素範囲のみならず、異常画素と次の異常画素との間に正常画素が介在する場合、即ち不連続異常画素範囲であっても、正常画素の数が少ない場合には、ユーザーにとって視認可能な画像不良である場合がある。
【0081】
そこで、異常画素と次の異常画素との間に介在する正常画素の数に対する判定値である「続きの汚れを探す幅Se」を設定し、正常画素の幅が幅Se未満であれば、その様な汚れ検出範囲は不連続異常画素範囲とし、清掃動作を行う為の汚れあり判定となる。逆に正常画素の幅が幅Seを越えていれば、その様な汚れ検出範囲は不連続異常画素範囲とせず、清掃動作を行う為の汚れあり判定とはならない。
例えば、図14の例では、画素X5が汚れ開始位置Xaであり、異常画素X6及びX8の間に正常画素X7が含まれているので、正常画素の数つまり汚れ間隔Xt=1となる。「続きの汚れを探す幅Se」を”10”に設定するとすれば、汚れ間隔Xtは幅Se未満であるので、画素X5~画素X8の範囲が不連続異常画素範囲の候補となる。尚、図14の例では画素X5~画素X8の範囲は汚れ幅判定値Swを越えていないので、この時点では不連続異常範囲は確定しておらず、更に続きの汚れを探すこととなる。
【0082】
そして図14の例では、異常画素X8と、次の異常画素X-7との間の正常画素の数が多く、汚れ間隔Xtが幅Seを越えているので、画素X5~X-6の範囲は汚れ画素のまとまりとはならないから、画素X5~画素X8の範囲が最終的な汚れ検出幅Xw2となる。尚、汚れ検出幅Xw2は、不連続異常画素範囲を探す際に用いる変数であり、本実施例では連続異常画素範囲を探す際に用いる変数Xw1とは異なるものである。
【0083】
図14の例では、画定された汚れ検出幅Xw2は”4”であり、汚れ幅判定値Sw=5に設定するとすれば、汚れ検出幅Xw2が汚れ幅判定値Sw未満となるので、清掃動作を行う為の汚れあり判定とはならない。
次に、図15の例では同様な判定方法によって画定された汚れ検出範囲は画素X5~X11であり、即ち汚れ検出幅Xw2は”7”となり、汚れ検出幅Xw2が汚れ幅判定値Swを越えるので、画素X5~X11は不連続異常画素範囲となり、清掃動作を行う為の汚れあり判定となる。
【0084】
ここまでの判断の流れを、図9に示すフローチャートで説明すると、制御部50は、連続した異常画素のまとまりの幅を示す汚れ検出幅Xw1が汚れ幅判定値Sw未満であった場合(ステップS205においてNo)、次の汚れ先頭位置をサーチする(ステップS206)。その結果データ終端即ち画素Xnまでサーチしても汚れ画素を発見しない場合には(ステップS207においてNo)、図8に示すメインフローに戻る。
一方、汚れ画素を発見した場合(ステップS207においてYes)、汚れ間隔Xtが予め定めた判定値である幅Seを越えていれば(ステップS208においてYes)、ユーザーにとって視認可能な汚れ画素のまとまりとはならないから、ステップS201から再び処理を行う。
【0085】
逆に、汚れ間隔Xtが予め定めた判定値である幅Se未満であれば(ステップS208においてNo)、ユーザーにとって視認可能な汚れ画素のまとまりになる可能性があるため、更に次の汚れ画素を探す。
具体的には、図10のステップS209に遷移し、一旦、汚れ検出幅Xw2=汚れ検出幅Xw2+汚れ検出幅Xw1+汚れ間隔Xtとした上で、汚れ検出幅Xw1を初期化即ちゼロとし(ステップS210)、汚れ末尾位置をサーチして新たな汚れ検出幅XW1を取得する(ステップS211)。
これにより汚れ検出幅Xw2は、新たな汚れ検出幅Xw1を加算した値となる(ステップS212)。
ステップS209終了時点での汚れ検出幅Xw2の一例が図15の画素X5~X10であり、ステップS212終了時点での汚れ検出幅Xw2の一例が図15の画素X5~X11である。
【0086】
ステップS212終了時点での汚れ検出幅Xw2が、予め定めた汚れ幅判定値Swを越えていれば(ステップS213においてYes)、不連続異常画素範囲が画定し、図11に示すステップS217に移る。
ステップS217において汚れ開始位置Xa及び汚れ検出幅Xw2をメモリ43に記憶し、汚れ検出を続けて行う場合には(ステップS218においてYes)、図9のステップS201から再び処理を行う。
【0087】
図10に戻り、ステップS212終了時点での汚れ検出幅Xw2が、予め定めた汚れ幅判定値Sw未満であれば(ステップS213においてNo)、更に次の汚れ画素を探すべく汚れ間隔Xt及び汚れ検出幅Xw1を初期化即ちゼロにして、図9のステップS206から再び処理を行う。
【0088】
以上の通り制御部50は、各画素の異常の有無に基づき、画素数が予め定められた第1判定値である汚れ幅判定値Swを越えている異常画素範囲を検出して異常処理を実行するに際し、前記異常画素範囲に、異常画素が連続する連続異常画素範囲と、異常画素と次の異常画素との間に正常画素が介在し、正常画素の数が予め定められた第2判定値である幅Se未満となっている不連続異常画素範囲と、を含める。従って、ユーザーにとって視認可能な画像不良を漏れなく拾い出すことができる。
尚、上記実施例において制御部50は、全画素の異常の有無に基づき異常画素範囲を画定するので、異常の状況を適切に把握することができる。
【0089】
また、第1判定値としての汚れ幅判定値Swは、第1設定値と、当該第1設定値よりも大きい第2設定値と、を含むように複数設定しても良い。例えば、汚れ検出感度として「低感度」、「高感度」の選択を操作パネル51(図1)からユーザーが選択できるようにし、「低感度」が選択されている場合には前記第2設定値を選択し、「高感度」が選択されている場合には前記第1設定値を選択する。これにより、汚れの検出感度を調整することができる。
例えば、前記第1設定値として”5”を設定し、前記第2設定値として”20”を設定することが考えられる。
また、続きの汚れを探す幅Seについても、複数の値を設定するようにしても良い。例えば、第1の幅Se1と、これより大きい第2の幅Se2とを設定する。異常画素と次の異常画素との間の正常画素数が多いほど汚れは目立ち難くなるので、低感度設定の場合は、第1の幅Se1を採用し、高感度設定の場合は第2の幅Se2を採用する。
【0090】
尚、上述した様に初期値であるデータRiは、白背景と黒背景のいずれで取得したものであっても良いが、白背景と黒背景の双方でデータRiを取得し、白背景用のデータRiと黒背景用のデータRiをフラッシュROM56(図2参照)に保持していることが好適である。そして汚れ判定の際に取得するデータLiを白背景と黒背景の双方で取得し、白背景と黒背景の双方で汚れ検出を行うことがより好適である。これにより、汚れ検出に際して汚れの色の影響を受け難く、より高精度に汚れを検出することができる。
【0091】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
1…スキャナー、2a…下部ユニット、2b…上部ユニット、5…原稿載置部、10…間口規制部、13…送り出しローラー、14…給送ローラー、15…分離ローラー、16…第1搬送ローラー対、16a…駆動ローラー、16b…従動ローラー、17…第2搬送ローラー対、17a…駆動ローラー、17b…従動ローラー、18…排出口、20…読み取り部、20A…下部センサーユニット、20B…上部センサーユニット、23…ワンウェイクラッチ、24…トルクリミッター、26…第1検出部、27…第2検出部、28…第3検出部、29…重送検出部、30A、30B…背景切り換え部、31…回転体、31a…第2背景部、31b…第1背景部、32…回転軸、35…清掃部材、36…ねじりばね、37…ワンウェイクラッチ、38…回転規制部、40…清掃部材、41…間隔形成部、50…制御部、51…操作パネル、52…給送モーター、53…搬送モーター、54…分離モーター、55…CPU、56…フラッシュROM、57…RAM、58…インターフェース、59…第1背景モーター、60…第2背景モーター、90…外部コンピュータ、a1、a2…側面、b1、b2…角部、c1、c2…ガイド面
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