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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】バッテリ温度調節装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20240625BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240625BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M50/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020058643
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158012
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】橋本 篤徳
(72)【発明者】
【氏名】三矢 朋輝
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-114030(JP,A)
【文献】特開2019-036397(JP,A)
【文献】特開2019-197647(JP,A)
【文献】特開2014-082069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006699(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6563
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを支持し内部が流体の流路となる管状体を備え、
前記管状体は、本体と、前記本体において前記バッテリに対向する部位に形成された開口を覆うように前記本体に密封状態で支持され、伝熱性を有する弾性部材とを含んで構成され、
前記バッテリが前記管状体に支持された状態において、前記管状体の前記流路に流体が流れたときに、前記弾性部材のみが変形し前記バッテリと前記流路を流れる流体との間で前記弾性部材による熱伝達が可能になるバッテリ温度調節装置。
【請求項2】
バッテリを支持し内部が流体の流路となる管状体を備え、
前記管状体は、本体と、前記本体のうち前記バッテリに対向する部位の少なくとも一部を覆う、伝熱性を有する弾性部材とを含んで構成され、
前記バッテリが前記管状体に支持された状態において、前記管状体の前記流路に流体が流れたときに、前記バッテリと前記流路を流れる流体との間で前記弾性部材による熱伝達が可能になり、
前記管状体は、前記弾性部材を挟む両側に突設された、前記バッテリに当接可能な板状の金属体をさらに有するバッテリ温度調節装置。
【請求項3】
前記管状体の前記流路に流体が流れたときに、前記弾性部材が前記管状体の外方側に膨出して前記バッテリに当接する請求項1又は2に記載のバッテリ温度調節装置。
【請求項4】
前記本体が樹脂によって構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリ温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両、電気機器、作業用機械等に搭載されるバッテリを冷却または加熱するためのバッテリ温度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリから出力された電気をエネルギー源とし、該電気で駆動されるモータを動力源として走行する電動車両が普及している。バッテリには、一般に、性能と寿命を両立させる適正な温度範囲がある。この適正な温度範囲から外れて温度が上昇するとバッテリの寿命が短くなり、温度が低下するとバッテリの性能が低下する。そのため、バッテリを使用しているときには、その温度を適正な範囲に保つ必要がある。
【0003】
特許文献1には、自動車用のバッテリ冷却装置の構成が開示されている。特許文献1のバッテリ冷却装置は、バッテリが載置される冷却板と、冷媒が流れる冷却ホースとを備え、冷却ホースが冷却板を挟んでバッテリとは反対側に配置されている。冷却ホースは、冷却板と筐体底部との間に位置し、ホース内が加圧されることで冷却板に圧接されている。これにより、特許文献1のバッテリ冷却装置は、冷却板と冷却ホースとの間の熱抵抗を抑制して、効率よくバッテリを冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-227148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のバッテリ冷却装置では、バッテリが冷却板を介して冷却ホースに熱伝達する構成であるので、バッテリと冷却板との間に熱抵抗が発生する。そのため、熱抵抗を抑制するために、バッテリと冷却板との間に伝熱シートを挿入する等の対応が必要となる。
【0006】
上記実情に鑑み、簡易な構成により熱抵抗を抑制して伝熱効率を高めることができるバッテリ温度調節装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバッテリ温度調節装置の特徴構成は、バッテリを支持し内部が流体の流路となる管状体を備え、前記管状体は、本体と、前記本体において前記バッテリに対向する部位に形成された開口を覆うように前記本体に密封状態で支持され、伝熱性を有する弾性部材とを含んで構成され、前記バッテリが前記管状体に支持された状態において、前記管状体の前記流路に流体が流れたときに、前記弾性部材のみが変形し前記バッテリと前記流路を流れる流体との間で前記弾性部材による熱伝達が可能になる点にある。
【0008】
本構成によれば、バッテリと管状体の流路を流れる流体との間には、伝熱性を有する弾性部材のみが存在するようになる。これにより、バッテリ温度調節装置は、バッテリと弾性部材との間に冷却板や伝熱シート等を配置する必要はなく、バッテリとの間の熱抵抗を抑制することができる。その結果、バッテリ温度調節装置は、簡易な構成により熱抵抗を抑制することができ、バッテリと管状体を流れる流体との間の伝熱効率を高めることができる。
本発明に係るバッテリ温度調節装置の特徴構成は、バッテリを支持し内部が流体の流路となる管状体を備え、前記管状体は、本体と、前記本体のうち前記バッテリに対向する部位の少なくとも一部を覆う、伝熱性を有する弾性部材とを含んで構成され、前記バッテリが前記管状体に支持された状態において、前記管状体の前記流路に流体が流れたときに、前記バッテリと前記流路を流れる流体との間で前記弾性部材による熱伝達が可能になり、前記管状体は、前記弾性部材を挟む両側に突設された、前記バッテリに当接可能な板状の金属体をさらに有する点にある。
本構成によれば、板状の金属体をバッテリの両側に配置してバッテリに当接させることができる。これにより、バッテリ温度調節装置は、弾性部材のみならず、金属体によってもバッテリとの間で熱伝達が可能になる。その結果、バッテリ温度調節装置は、バッテリとの間の伝熱効率をさらに高めることができる。
【0009】
他の特徴構成は、前記管状体の前記流路に流体が流れたときに、前記弾性部材が前記管状体の外方側に膨出して前記バッテリに当接する点にある。
【0010】
本構成によれば、管状体の流路に流体が流れたときに、弾性部材が管状体の外方側に膨出してバッテリに当接するので、弾性部材はバッテリとの間で密着性を向上させることができる。これにより、バッテリと管状体を流れる流体との間の伝熱効率をより高めることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
他の特徴構成は、前記本体が樹脂によって構成されている点にある。
【0014】
本構成によれば、管状体のうち本体が樹脂によって構成されているので、弾性部材を金型内に載置して管状体をインサート成形により製造することができる。また、弾性部材の成形と本体の成形とを同時に行うこともできる。これにより、バッテリ温度調節装置は、弾性部材を含む管状体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】バッテリ冷却装置の平面図である。
図2図1のII-II矢視断面図である。
図3】第1実施形態の管状体の平面図である。
図4図3のIV-IV線矢視断面図であって、管状体に流体が流れる前の状態を示す図である。
図5図3のV-V線矢視断面図であって、管状体に流体が流れた状態を示す図である。
図6】第1実施形態の第2変形例の管状体の平面図である。
図7】第1実施形態の第2変形例の管状体の分解斜視図である。
図8図6のVIII-VIII線矢視断面図であって、管状体に流体が流れた状態を示す図である。
図9】第1実施形態の第3変形例の管状体の平面図である。
図10】第1実施形態の第3変形例の管状体の分解斜視図である。
図11】バッテリ冷却装置の断面図であって、管状体に流体が流れた状態を示す図である。
図12】第1実施形態の第4変形例の管状体における弾性部材の熱伝導率を説明する図である。
図13】第2実施形態のバッテリ冷却装置の断面図である。
図14】第3実施形態のバッテリ冷却装置の断面図である。
図15】第4実施形態のバッテリ冷却装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るバッテリ温度調節装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0017】
[第1実施形態]
図1及び図2に示されるバッテリ冷却装置10(バッテリ温度調節装置の一例)は、バッテリ1を冷却するために用いられる。バッテリ1は、例えば電動車両の駆動モータへ電力を供給するために用いられる。図1に示されるバッテリ1は、複数のバッテリモジュール2を備えて構成されている。個々のバッテリモジュール2は、複数の板状の電池セル3が積層されて一体化されている。
【0018】
バッテリ冷却装置10は、流入管11と流出管12と、流入管11と流出管12との間に配置される複数の管状体13と、を備える。管状体13は内部が流体の流路18となる。流入管11及び流出管12は平行に配置されている。流入管11及び流出管12には、複数の管状体13との間で流体を流通させるための複数の連通孔14,15が夫々形成されている。複数の管状体13は流入管11及び流出管12に直交した状態で接続されており、1つの管状体13の流体の流通方向に沿って1つのバッテリモジュール2を構成する複数の電池セル3が積層配置されている。バッテリ冷却装置10は、単体のバッテリモジュール2を支持する単一の管状体13を備える構成であってもよい。
【0019】
図2図4に示すように、管状体13は、直方体状の筒状に形成された本体31の開口30が弾性部材21に覆われて構成されている。開口30は、本体31の天面16に、本体31の長手方向に沿って矩形状に形成されている。開口30を覆う弾性部材21は伝熱性を有している。こうして、管状体13のうち天面16の少なくとも一部が、弾性部材21によって構成される。バッテリモジュール2は、管状体13の本体31の天面16の弾性部材21に覆われた箇所に底面2aが載置されてバッテリ冷却装置10に支持される。
【0020】
弾性部材21は、板状に形成されており、天面16の外方に向けて湾曲する湾曲部22と、湾曲部22の外周側に設けられる平板部23とを有する。湾曲部22は、管状体13の天面16の長手方向に直交する方向において湾曲する。弾性部材21は、例えば弾性材に金属の粉末(フィラー)が混入されて構成されている。弾性部材21は、開口30に平板部23が挿入配置される。弾性部材21と管状体13の本体31の天面16との間は、例えば天面16に形成された凹部に充填されるシール材24によって液密に封止される。
【0021】
管状体13の本体31は、例えば中空のアルミ押出し材や樹脂等によって構成される。管状体13の本体31を中空のアルミ押出し材によって構成すると、管状体13は加工が容易になり剛性も容易に高めることができる。一方、管状体13の本体31を樹脂によって構成すると、管状体13の本体31は弾性部材21を金型内に載置した状態でインサート成形によって製造することができる。また、本体31の樹脂成形の際に弾性部材21とシール材24とを同時にインサート成形して管状体13を製造することもできる。
【0022】
図4に示すように、流体が流れていない状態で、管状体13の天面16にバッテリモジュール2が載置されることで、弾性部材21の湾曲部22は図3に示す状態から平板状に変形する。バッテリモジュール2は、複数の電池セル3が締結されて構成されているため、バッテリモジュール2の底面2aは平坦ではなく多少の凹凸が存在する場合が多い。そのため、バッテリモジュール2が管状体13に支持された状態では、弾性部材21の湾曲部22とバッテリモジュール2の底面2aとの間に隙間が存在することがある。こうした状態において、図5に示すように、管状体13の内部の流路18に流体が流れると、バッテリモジュール2と流路18を流れる流体との間で弾性部材21を介しての熱伝達が可能になる。具体的には、弾性部材21は流体圧を受けて湾曲部22が外方に膨出してバッテリモジュール2の底面2aに当接し、弾性部材21の湾曲部22がバッテリモジュール2に底面2aに密着するようになる。湾曲部22は弾性を有しているので、バッテリモジュール2の底面2aに多少の凹凸が存在したとしても、底面2aの全体に密着する。なお、図5では、弾性部材21における湾曲部22の膨出状態を誇張して図示している。
【0023】
こうして、バッテリ冷却装置10は、バッテリモジュール2と管状体13の流路18を流れる流体との間の熱伝達を弾性部材21によって行うことができる。これにより、バッテリ冷却装置10は、バッテリモジュール2と弾性部材21と間に、冷却板及び伝熱シートを配置する必要はなく、バッテリモジュール2との間の熱抵抗を抑制することができる。その結果、バッテリ冷却装置10は、簡易な構成により熱抵抗を抑制することができ、バッテリモジュール2の冷却効率を高めることができる。
【0024】
[第1実施形態の第1変形例]
第1実施形態の第1変形例として、流体が流れていない状態で、弾性部材21は全体が平板状になるように形成されていてもよい。そのような弾性部材21であっても、管状体13の天面16にバッテリモジュール2が載置され、管状体13の内部の流路18に流体が流れると、弾性部材21は水圧を受けてバッテリモジュール2に向けて膨出する。これにより、弾性部材21がバッテリモジュール2に当接してバッテリモジュール2を冷却することができる。
【0025】
[第1実施形態の第2変形例]
第1実施形態の第2変形例では、図6及び図7に示すように、管状体13の本体31が、ベース体31Aと、ベース体31Aの両側に配置される一対の挿入体32によって構成されている。ベース体31Aの天面16には、ベース体31Aの長手方向の全体に亘って開口30が形成されている。図7に示すように、ベース体31Aの天面16には、長手方向に沿って対向する開口端17に一対の溝部33が形成されている。挿入体32は、第1部分34と第2部分35とを備える。第1部分34は、天面16と同じ厚みを有し開口30の一端側を封鎖可能に形成されている。第2部分35は、第1部分34の両側に設けられ溝部33に挿入可能に構成されている。
【0026】
管状体13は、例えば以下の手順により形成される。ベース体31Aの長手方向の一端から弾性部材21が挿入されて、開口30に弾性部材21が配置される。弾性部材21は天面16の裏側に接着剤等によって固着される。弾性部材21と管状体13の天面16との間は、例えば天面16に形成された凹部に充填されるシール材24によって液密に封止される。その後、一対の挿入体32をベース体31Aの両側から挿入し、挿入体32を管状体13のベース体31Aに接着する。
【0027】
図8に示すように、バッテリモジュール2が管状体13に支持された状態で、管状体13に内部の流路18に流体が流れると、バッテリモジュール2と流路18を流れる流体との間で弾性部材21による熱伝達が可能になる。具体的には、弾性部材21は水圧を受けて湾曲部22が外方に膨出してバッテリモジュール2に当接し、弾性部材21の湾曲部22がバッテリモジュール2に底面2aに密着するようになる。なお、図8においても、弾性部材21における湾曲部22の膨出状態を誇張して図示している。
【0028】
[第1実施形態の第3変形例]
第1実施形態の第3変形例では、図9図11に示されるように、弾性部材21は、弾性を有する湾曲部22の周囲に金属プレート25を一体的に設けて構成されている。また、管状体13の本体31は、ベース体31Aと、ベース体31Aの両側に配置される一対の挿入体32によって構成されている。本変形例における本体31のベース体31Aの天面16は開口端17の裏側に段部36が形成されている。挿入体32は、第1部分34と第2部分35とを備える。第1部分34は、天面16と同じ厚みを有し開口30の一端側を封鎖可能に形成されている。第2部分35は、第1部分34の両側に設けられ溝部33に挿入可能に構成されている。
【0029】
管状体13は、例えば以下の手順により形成される。ベース体31Aの長手方向の一端から金属プレート25と一体となった弾性部材21が挿入されて、開口30に弾性部材21が配置される。金属プレート25は天面16の段部36に接着剤によって固着される。弾性部材21と管状体13の天面16との間は、例えば天面16に形成された凹部に充填されるシール材24によって液密に封止される。その後、一対の挿入体32をベース体31Aの両側から挿入し、挿入体32をベース体31Aに接着する。
【0030】
図11に示すように、バッテリモジュール2が管状体13に支持された状態で、管状体13に内部の流路18に流体が流れると、バッテリモジュール2と流路18を流れる流体との間で弾性部材21による熱伝達が可能になる。具体的には、弾性部材21は水圧を受けて湾曲部22が外方に膨出してバッテリモジュール2に当接し、弾性部材21の湾曲部22がバッテリモジュール2に底面2aに密着するようになる。なお、図11においても、弾性部材21における湾曲部22の膨出状態を誇張して図示している。
【0031】
[第1実施形態の第4変形例]
バッテリ1は、バッテリモジュール2において、管状体13の流体の流通方向に沿って複数の電池セル3が積層されて構成されている。このため、バッテリモジュール2は、複数の電池セル3のうち特に中央に配置された電池セル3において熱が充満し易い。バッテリモジュール2は、積層される電池セル3の一部に高温領域が存在し他の電池セル3との間に温度差が生じると、発電効率が低下することがある。そこで、第1実施形態の第4変形例では、図12に示すように、弾性部材21は、管状体13の長手方向の両端側(流体入口側及び流体出口側)に比べて、管状体13の長手方向の中央に近づくほど熱伝導率が高くなるように構成されている。具体的には、弾性部材21において、熱伝導率に影響を与える金属の粉末(フィラー)の配合割合を、管状体13の長手方向の中央に近づくほど高くする。これにより、弾性部材21は、部位に応じた熱伝導率に調整することができる。これにより、バッテリモジュール2は、積層される複数の電池セル3間の温度のばらつきを抑えることができる。その結果、バッテリモジュール2において発電効率の低下を抑制することができる。
【0032】
[第2実施形態]
図13に示すように、本実施形態のバッテリ冷却装置10は、管状体13が、弾性部材21を挟む両側に突設された板状の金属体41,41を有する。金属体41,41は、バッテリモジュール2の両側面2b,2bに当接可能に構成されている。管状体13の本体31と金属体41とは、例えば熱伝導性の高いアルミニウムによって構成されると好ましい。これにより、バッテリ冷却装置10は、弾性部材21のみならず、金属体41,41によってもバッテリモジュール2との間で熱伝達が可能になる。その結果、バッテリ冷却装置10は、バッテリモジュール2との間の伝熱性を高めてさらに効率よくバッテリモジュール2を冷却することができる。
【0033】
[第3実施形態]
図14に示すように、本実施形態のバッテリ冷却装置10は、管状体13がバッテリモジュール2の底面2a側及び両側面2b,2b側に連続して設けられている。管状体13は、流路18に直交する断面においてU字状に形成されている。管状体13の本体31のうちバッテリモジュール2の底面2a及び両側面2b,2bに対向する位置に弾性部材21が当接可能に配置されている。管状体13の本体31は、バッテリモジュール2の底面2aに対向する部位、バッテリモジュール2の両側面2b,2bに対向する部位にそれぞれ開口30が形成され、開口30に弾性部材21が配置されている。管状体13は、流路18に冷却水を流すことで、水圧を受けた弾性部材21がバッテリモジュール2に向けて膨出して当接する。これにより、バッテリ冷却装置10は、バッテリモジュール2の底面2a及び側面2bと弾性部材21との間で熱伝達が可能になる。その結果、バッテリ冷却装置10は、バッテリモジュール2を効率よく冷却することができる。バッテリ冷却装置10は、管状体13がバッテリモジュール2の底面2a側及び両側面2b,2bの一方のみに連続して設けて構成してもよい。
【0034】
[第4実施形態]
図15に示されるように、バッテリモジュール2(バッテリ1)には、複数の筒状電池セル4が立設状態で保持されるものが存在する。このようなバッテリモジュール2(バッテリ1)を冷却するために、本実施形態のバッテリ冷却装置10は、直方体状の管状体13が複数の筒状電池セル4の並び方向に沿って配置されている。管状体13は、バッテリモジュール2に対向する、側面13a(一側面13a又は両側面13a,13a)に開口を備え、当該開口に弾性部材21の湾曲部22が配置されている。このようにバッテリ冷却装置10を構成することで、管状体13に冷却水を流した際に、弾性部材21の湾曲部22は冷却水の水圧を受けて筒状電池セル4に向けて膨出する。これにより、弾性部材21は複数の筒状電池セル4(バッテリ1)の両側面に密着するようになり、筒状電池セル4(バッテリ1)を効率よく冷却することができる。
【0035】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、バッテリ温度調節装置の一例として、管状体13の流路18に冷媒として冷却水を流してバッテリモジュール2(バッテリ1)を冷却するバッテリ冷却装置10を示した。バッテリ温度調節装置は、バッテリ冷却装置10に限定されず、管状体13の流路18に熱媒として温水を流してバッテリモジュール2(バッテリ1)バッテリ1を加熱するものでもよい。また、バッテリ温度調節装置は、管状体13の流路18に冷媒及び熱媒として気体を流す構成であってもよい。
【0036】
(2)上記の実施形態では、管状体13の流路18に流体が流れたときに、弾性部材21が管状体13の外方側に膨出する例を示した。管状体13にバッテリモジュール2が支持されている状態において、バッテリモジュール2と弾性部材21とが密接した状態であれば、弾性部材21は管状体13の外方側に膨出しない構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、流体によってバッテリの温度を調節するバッテリ温度調節装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 :バッテリ
2 :バッテリモジュール
2a :底面
2b :側面
10 :バッテリ冷却装置(バッテリ温度調節装置)
13 :管状体
16 :天面
17 :開口端
18 :流路
21 :弾性部材
22 :湾曲部
23 :平板部
25 :金属プレート
30 :開口
31 :本体
31A :ベース体
32 :挿入体
41 :金属体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15