(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電装部品支持構造
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240625BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H05K7/20 G
B60R16/02 610J
(21)【出願番号】P 2020058943
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】佐口 公一
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115647(JP,A)
【文献】特開2016-141322(JP,A)
【文献】特開2019-206303(JP,A)
【文献】特開2017-257686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付面と、
前記被取付面に取り付けられる取付部と、第1電装部品を支持する支持部と、を有するブラケットと、を備え、
前記第1電装部品が前記ブラケットを介して前記被取付面に支持される電装部品支持構造であって、
前記被取付面と前記第1電装部品とが、上下方向に直交する対面方向に対面して配置されており、前記第1電装部品に
、上下方向および前記対面方向に直交する隣接方向に隣接して第2電装部品が配置されており、
前記ブラケットは、
前記第1電装部品の側面のうち、前記第2電装部品に隣接する第1側面と、
前記隣接方向に延びる第2側面と、に沿って、
前記対面方向に隆起する隆起部と、
前記隣接方向で前記第2電装部品から流れてきた空気を、前記第1電装部品の下方を迂回するように案内する案内通路を前記隆起部とともに形成する案内通路部と、を有していることを特徴とする電装部品支持構造。
【請求項2】
前記隣接方向における前記第2電装部品側を一端側とし、前記隣接方向における前記第2電装部品側とは反対側を他端側とした場合、
前記ブラケットは、
前記一端側から前記他端側に向けて、前記対面方向における前記被取付面側に徐々に近づくように傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項1に記載の電装部品支持構造。
【請求項3】
前記隆起部は、前記傾斜部の
前記他端側において前記案内通路部の幅を徐々に上方へ扇状に広げるように隆起する扇状部を有していることを特徴とする請求項2に記載の電装部品支持構造。
【請求項4】
前記第1電装部品は、本体部と、前記支持部に連結される脚部と、を有し、
前記扇状部の前記他端側の端部は、前記本体部と前記対面方向で対面
しない位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電装部品支持構造。
【請求項5】
前記傾斜部は、第1傾斜部と、前記第1傾斜部よりも前記他端側に設けられる第2傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部の前記対面方向の寸法は、前記第2傾斜部の前記対面方向の寸法よりも大きく、
前記扇状部は、前記第1傾斜部よりも
前記他端側に配置されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電装部品支持構造。
【請求項6】
前記支持部と前記被取付面との間に外部に解放された第1空間が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の電装部品支持構造。
【請求項7】
前記隆起部を第1隆起部とした場合、
前記ブラケットは、前記取付部から前記案内通路部に向かって隆起する第2隆起部を有し、
前記第2隆起部は、前記
対面方向に隆起していることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電装部品支持構造。
【請求項8】
前記支持部は、前記隆起部の前記隣接方向における前記第2電装部品側に設けられた一端側支持部を有し、
前記一端側支持部の前記被取付面側に配置した固定部材を介して、前記支持部に前記第1電装部品が支持されていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の電装部品支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装部品支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の車両にあっては走行用のモータに電力を供給するバッテリパックを備えており、バッテリパックのハウジングの内部には、バッテリモジュールとともに、制御用の電装部品や電力変換用の電装部品が収容されている。したがって、電装部品等の良好な冷却に配慮しつつバッテリパックを小型化するには、電装部品同士の冷却効率を向上させる必要がある。従来のこの種の技術として、特許文献1に記載されるものが知られている。特許文献1においては、バッテリ監視装置をブラケットで水平面に取り付ける際に、バッテリ監視装置の低電圧部を有する基板を、基板面の法線方向から見て、ブラケットに形成された空気の通る通路部に重なるように配置している。これにより、特許文献1に記載のものは、通路部内に生じる空気の流れによって高電圧部から優先的かつ集中的に熱を奪っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の技術にあっては、発熱量の大きなインバータ等の電装部品をバッテリ監視装置等の電装部品に隣接して配置する場合、発熱量の大きな電装部品で発生した熱が空気を介して他の隣接する電装部品に伝わってしまい、その電装部品の温度が高くなってしまうおそれがある。この問題は、温度上昇を抑制したい電装部品よりも発熱量が少ない他の電装部品を当該電装部品に隣接配置する場合であっても、当該電装部品に対して供給される空気量が他の電装部品に対して供給される空気量よりも少ない場合も、同様の問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、電装部品の冷却効率を向上させることができる電装部品支持構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被取付面と、前記被取付面に取り付けられる取付部と、第1電装部品を支持する支持部と、を有するブラケットと、を備え、前記第1電装部品が前記ブラケットを介して前記被取付面に支持される電装部品支持構造であって、前記被取付面と前記第1電装部品とが、上下方向に直交する対面方向に対面して配置されており、前記第1電装部品に、上下方向および前記対面方向に直交する隣接方向に隣接して第2電装部品が配置されており、前記ブラケットは、前記第1電装部品の側面のうち、前記第2電装部品に隣接する第1側面と、前記隣接方向に延びる第2側面と、に沿って、前記対面方向に隆起する隆起部と、前記隣接方向で前記第2電装部品から流れてきた空気を、前記第1電装部品の下方を迂回するように案内する案内通路を前記隆起部とともに形成する案内通路部と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように上記の本発明によれば、電装部品の冷却効率を向上させることができる電装部品支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックを搭載する車両の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すバッテリパックのII-II方向の矢視断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すバッテリパックのIII-III方向の矢視断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックの縦壁の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットおよびバッテリコントローラの底面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットおよびバッテリコントローラの正面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットの正面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットの斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットおよびバッテリコントローラの背面図である。
【
図10】
図10は、本発明の変形例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットおよびバッテリコントローラの右側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の変形例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックのブラケットおよびバッテリコントローラの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る電装部品支持構造は、被取付面と、被取付面に取り付けられる取付部と、第1電装部品を支持する支持部と、を有するブラケットと、を備え、第1電装部品がブラケットを介して被取付面に支持される電装部品支持構造であって、第1電装部品に隣接して第2電装部品が配置されており、ブラケットは、第1電装部品の側面のうち、第2電装部品に隣接する第1側面と、第2電装部品とブラケットとが隣接する隣接方向に延びる第2側面と、に沿って、被取付面と第1電装部品とが対面する対面方向に隆起する隆起部と、隣接方向で第2電装部品から流れてきた空気を、第1電装部品の下方を迂回するように案内する案内通路を隆起部とともに形成する案内通路部と、を有していることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る電装部品支持構造は、電装部品の冷却効率を向上させることができる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例に係る電装部品支持構造を備えるバッテリパックについて、図面を用いて説明する。
図1から
図11において、X軸、Y軸およびZ軸は、車両に設置された状態のバッテリパックの前後方向、左右方向および上下方向を示している。また、バッテリパックの前方をX軸の正の方向とし、バッテリパックの右方をY軸の正の方向とし、バッテリパックの上方をZ軸の正の方向としている。X軸、Y軸およびZ軸の各軸の矢印の方向は正の方向を示している。また、各図面において、他の部材の背面に隠れている部分を破線で表し、隠れていない部分を実線で表している。
【0011】
図1から
図11は、本発明の一実施例に係る電装部品支持構造を有するバッテリパックを示す図である。
図1において、バッテリパック10は、車両1の車体2のリヤシート2Eの後部のリヤフロアパネル2Aに形成された窪み部2Bに収容されている。なお、リヤフロアパネル2Aは、車体2の側面を構成するサイドパネル2Cと車体の後面を構成するリヤパネル2Dとによって荷室を形成している。
【0012】
図3において、バッテリパック10は、第1電装部品14と、第2電装部品13と、バッテリパック10の外部と内部との間で冷却用空気の交換を行う冷却ファン12と、を備えている。第1電装部品14は、例えばバッテリモジュール11の充放電等を制御または監視するバッテリコントローラからなる。第2電装部品13は、例えばバッテリモジュール11からの電力を変換するインバータからなる。
【0013】
図2、
図3において、バッテリパック10はバッテリケース20を備えている。バッテリケース20には、第1電装部品14、第2電装部品13が収容されている。バッテリケース20は、上側のアッパケース21と下側のロアケース22とからなる。
【0014】
図2において、バッテリモジュール11は、バッテリケース20内に車幅方向に並べて4つ設けられている。各バッテリモジュール11は、複数のセルを電気的に接続した組電池からなる。4つのバッテリモジュール11は、バッテリケース20におけるY軸正の方向の端部(右端部)側に寄せて配置されている。したがって、バッテリケース20におけるY軸負の方向の端部(左端部)側の領域には、第1電装部品14および第2電装部品13を配置する空間が形成される。
【0015】
図1において、冷却ファン12は、バッテリケース20のX軸およびY軸の負の方向の角部(左端部かつ後端部)の上面に配置されている。本実施例では、冷却ファン12は、バッテリケース20の外部から取り込んだ空気をバッテリケース20の内部に供給する。冷却ファン12でバッテリケース20の内部に供給された空気は、不図示の分岐ダクトによって、第2電装部品13側と各バッテリモジュール11の上面側にそれぞれ分配される。
【0016】
第2電装部品13やバッテリモジュール11に分配された空気は、その後、バッテリケース20に設けた不図示の排気口やバッテリケース20の隙間から排気される。各バッテリモジュール11には、上下方向に貫通する通気口が形成されている。このため、分岐ダクトから各バッテリモジュール11に供給された空気は、この通気口の上面側端部から各バッテリモジュール11の内部空間を通り、その後通気口の下面側端部からバッテリケース20の底面側に流れ、その後バッテリケース20の底面に沿ってX軸方向あるいはY軸方向に流れ、その後、排気口や隙間からバッテリケース20の外側に排気される。その過程で、各バッテリモジュール11の下面側端部から流れる空気の一部が第1電装部品14側に流れる。なお、冷却ファン12は、バッテリケース20の内部から取り込んだ空気をバッテリケース20の外部に排出するように動作してもよい。この場合、バッテリケース20の外部の空気は、当該排気口や隙間からバッテリケース20内に供給される。
【0017】
図3において、第1電装部品14および第2電装部品13は、バッテリケース20におけるX軸正の方向の端部(前端部)側に配置されている。第1電装部品14と第2電装部品13とは、Y軸方向に隣り合って配置されている。
【0018】
第2電装部品13は、本体部13Aと、この本体部13Aの下部に設けられた放熱部13Bとを有している。放熱部13Bは、複数のフィンから構成されており、上述の分岐ダクトから取り込まれた空気との間で熱交換をすることで本体部13Aを冷却している。第2電装部品13の放熱部13Bを通過した空気は、バッテリケース20の側壁に当たり、一部の空気は第1電装部品14に向かってY軸方向に流れる。なお、第2電装部品13に供給される空気量は、バッテリモジュール11に供給される空気量よりも大きい。
【0019】
図3、
図4において、バッテリパック10は、前側の側壁の近傍に、Z軸方向およびY軸方向に延びる平板状の被取付面23を備えている。
【0020】
バッテリパック10はブラケット30を備えており、第1電装部品14はブラケット30を介して被取付面23に支持されている。ブラケット30は、被取付面23に取り付けられる取付部31A、31B、31Cと、第1電装部品14を支持する支持部33A、33Bと、を備えている。また、ブラケット30は、支持部33A、33Bの間に、第1電装部品14と対面する平板上の対面部36を備えている。
【0021】
対面部36には、X軸方向の被取付面23側に向かって窪む窪み部32が設けられている。窪み部32には、被取付面23に取り付けられる取付部31Cが設けられている。このように、ブラケット30は、3つの取付部31A、31B、31Cにおいて被取付面23に取付られており、2つの支持部33A、33Bにおいて第1電装部品14を支持している。
【0022】
図2、
図3において、第1電装部品14に隣接して第2電装部品13が配置されている。第2電装部品13は第1電装部品14よりも発熱量が大きい。第2電装部品13は例えばインバータからなる。なお、バッテリモジュール11の発熱量は第1電装部品14の発熱量よりも大きい。
【0023】
図6において、第1電装部品14は、この第1電装部品14の側面のうち、第2電装部品13に隣接する第1側面14Dと、第2電装部品13とブラケット30とが隣接する隣接方向(Y軸方向)に延びる第2側面14Eと、を備えている。
【0024】
図6において、ブラケット30は隆起部および第1隆起部としての隆起部34Aを備えており、隆起部34Aは、第1側面14Dと第2側面14Eとに沿って、被取付面23と第1電装部品14とが対面する対面方向(X軸方向)に隆起している。
【0025】
図5、
図7、
図8において、ブラケット30は案内通路部35を備えており、案内通路部35は、隣接方向で第2電装部品13から流れてきた空気を、第1電装部品14の下方を迂回するように案内する案内通路38を隆起部34とともに形成している。隆起部34Aおよび後述する第2隆起部としての隆起部34Bは、全体として隆起部34を構成する。
図5において、矢印51は、案内通路部35を通過する空気の経路を示している。
【0026】
図5、
図7、
図8において、隣接方向(Y軸方向)における第2電装部品13側を一端側とし、隣接方向における第2電装部品13側とは反対側を他端側とする。ブラケット30は、一端側から他端側に向けて、対面方向における被取付面23側に徐々に近づくように傾斜する傾斜部35A、35Bを有している。
【0027】
図7において、隆起部34Aは、傾斜部35Bの下流側において案内通路部35の幅Wを徐々に上方へ扇状に広げるように隆起する扇状部39を有している。ここで、案内通路部35の幅WとはZ軸方向である。
【0028】
図6において、第1電装部品14は、本体部14Aと、支持部33A、33Bに連結される脚部14B、14Cと、を有している。また、扇状部39の他端側の端部は、本体部14Aと対面方向(X軸方向)で対面する範囲の外側に配置されている。つまり、
図6における扇状部39の他端側(Y軸正の方向)の端部は、本体部14Aと対面方向で対面しておらず、本体部14Aの外側に配置されている。
【0029】
図7、
図8において、傾斜部35Aは、第1傾斜部35Aと、この第1傾斜部35Aよりも他端側に設けられる傾斜部35Bと、を有している。傾斜部35Aの対面方向の寸法は、傾斜部35Bの対面方向の寸法よりも大きく形成されている。扇状部39は、第1傾斜部35Aよりも下流側に配置されている。ここで、傾斜部35Aまたは傾斜部35Bの対面方向の寸法とは、
図7における傾斜部35Aまたは傾斜部35Bの高低差(深さ)に相当する。
【0030】
図5において、支持部33A、33Bと被取付面23との間には第1空間37が設けられている。第1空間37は、バッテリケース20内の他の空間と連通しており、冷却用の空気が流通する。
図5において、矢印52は、第1空間37を通過する空気の経路を示している。
【0031】
図6、
図7、
図8において、ブラケット30は、取付部31A、31B、31Cから通路部に向かって隆起する第2隆起部としての隆起部34Bを有している。この隆起部34Bは、第1隆起部としての隆起部34Aの傾斜方向と交差する方向に隆起している。
【0032】
図9において、支持部33A、33Bはのうち、隆起部34の一端側に設けられた一端側支持部としての支持部33Bの被取付面23側には、ボルトまたはナット等からなる固定部材40が配置されている。支持部33A、33Bには、この固定部材40を介して第1電装部品14が支持されている。
【0033】
上記実施例では、第2電装部品13が第1電装部品14よりも発熱量が大きい設定にしているが、これらに限定されない。例えば、第1電装部品14に供給される空気量が第2電装部品13に供給される空気量よりも少ないこと、または第1電装部品14に供給される空気の流速が第2電装部品13に供給される空気の流速よりも速いことに起因して、第1電装部品14の周辺空気の温度より第2電装部品13の周辺空気の温度が上昇しやすい場合、第2電装部品13として第1電装部品14と同様の発熱量または第1電装部品14よりも発熱量が低い電装部品を採用してもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施例では、第1電装部品14に隣接して第2電装部品13が配置されている。ブラケット30は、第1電装部品14の側面のうち、第2電装部品13に隣接する第1側面14Dと、第2電装部品13とブラケット30とが隣接する隣接方向(Y軸方向)に延びる第2側面14Eと、に沿って、被取付面23と第1電装部品14とが対面する対面方向(X軸方向)に隆起する隆起部34Aと、を備えている。また、ブラケット30は、隣接方向で第2電装部品13から流れてきた空気を、第1電装部品14の下方を迂回するように案内する案内通路38を隆起部34とともに形成する案内通路部35と、を有している。
【0035】
これにより、第2電装部品13の方が第1電装部品14よりも高温になった場合に、第2電装部品13が発生した熱によって昇温した高温の空気のうち、第1電装部品14の周辺に流れてきた空気は、
図7に矢印53で示すように、ブラケット30の隆起部34の下縁34Cと案内通路部35の側面35Cとにより形成された案内通路38に沿って、第1電装部品14の下方を迂回するように、隣接方向で第2電装部品13から離れるように流れる。このため、第1電装部品14の温度が上昇することを抑制できる。この結果、第1電装部品14の冷却効率を向上させることができる。
【0036】
また、本実施例では、隣接方向における第2電装部品13側を一端側とし、隣接方向における第2電装部品13側とは反対側を他端側とした場合、ブラケット30は、一端側から他端側に向けて、対面方向における被取付面23側に徐々に近づくように傾斜する傾斜部35A、35Bを有している。
【0037】
これにより、隆起部34に沿って流れる第2電装部品13の周辺の空気を、一端側から他端側に向かって傾斜部35A、35Bに沿って徐々に第1電装部品14から離れるように導くことができる。
【0038】
また、傾斜部35A、35Bから対面方向において第2電装部品13の周辺空気を流すことができる空間が増えるので、隆起部34に沿って流れる第2電装部品13の周辺の空気の流速を早めて、隆起部34に第2電装部品13の周辺の空気が対流することを抑制できる。
【0039】
この結果、第2電装部品13の周辺の空気を第1電装部品14側により多く流すことができ、第1電装部品14の温度が上昇することを抑制できる。
【0040】
また、本実施例では、隆起部34Aは、傾斜部35A、35Bの下流側において案内通路部35の幅を徐々に上方へ扇状に広げるように隆起する扇状部39を有している。
【0041】
これにより、隆起部34Aに沿って傾斜部35Bに導かれた第2電装部品13の周辺の空気の一部を、
図7に矢印53で示すように、扇状部39の形状に沿って上方に導きながら、案内通路部35の他端側(Y軸上の他端側)に導くことができる。また、扇状部39は、
図8に矢印60で示すように、その下方から上昇してきた高温の空気を集めて、隆起部34の上方の窪み部32に案内し、窪み部32を介して上方に排出させることができる。これにより、高温の空気が第1電装部品14の下部の周辺に滞留することを防止できる。
【0042】
この結果、案内通路部35の下流側の通路幅を下方に広げる場合と比較して、ブラケット30の上下方向の寸法が大きくなることを抑制しながら、案内通路38に流れる第2電装部品13の周辺の空気の流速を早めることができる。このため、第2電装部品13の周辺の空気が案内通路38に滞留することを抑制でき、第1電装部品14の温度が上昇することを抑制できる。
【0043】
また、本実施例では、第1電装部品14は、本体部14Aと、支持部33A、33Bに連結される脚部14B、14Cと、を有している。また、扇状部39の他端側の端部は、本体部14Aと対面方向で対面する範囲の外側に配置されている。
【0044】
これにより、扇状部39に沿って流れる空気を隣接方向で第2電装部品13から離れる方向に導くことができる。
【0045】
また、本実施例では、第1傾斜部としての傾斜部35Aの対面方向の寸法は、第2傾斜部としての傾斜部35Bの対面方向の寸法よりも大きくされている。また、扇状部39は、傾斜部35Aよりも下流側に配置されている。
【0046】
これにより、第2電装部品13の周辺から流れてきた高温の空気を傾斜部35Aおよび傾斜部35Bに沿って第2電装部品13から離れる方向に導いてから、扇状部39に沿って流れる第2電装部品13の周辺の空気の一部が第1電装部品14側に導かれることを抑制できる。
【0047】
また、本実施例では、支持部33A、33Bと被取付面23との間に第1空間37が設けられている。
【0048】
これにより、第2電装部品13の周辺の高温の空気の一部を、ブラケット30と被取付面23との間の第1空間37に導くことができる。そして、第1空間37に導かれた空気は、
図7に矢印55、56で示すように、ブラケット30の背後(被取付面23側)において、Y軸方向の他端側およびZ軸方向の上方(矢印57参照)に流れた後、第1電装部品14から遠ざかる。このため、ブラケット30の第1電装部品14側に第2電装部品13からの高温の空気が導かれることを抑制でき、第1電装部品14の温度が上昇することを抑制できる。
【0049】
また、本実施例では、ブラケット30は、取付部31A、31B、31Cから案内通路部35に向かって隆起する隆起部34Bを有している。隆起部34Bは、隆起部34Aの傾斜方向と交差する方向に隆起している。
【0050】
これにより、第2電装部品13の周辺から流れてきた高温の空気のうち、隆起部34Aの下縁34Cに沿って流れた後にこの隆起部34Aから下方に剥離した空気(
図7の矢印58参照)を、隆起部34Bに沿って第2電装部品13から離れる方向(Y軸方向の他端側)に導くことができる(
図7の矢印54参照)。このため、高温の空気が案内通路38に滞留することを抑制でき、第1電装部品14の温度が上昇することを抑制できる。ここで、矢印58は、湾曲する隆起部34Aの左端部側(Y軸負の方向の端部側)の下縁34Cに沿う直線であり、隆起部34Aの下縁34Cから剥離した空気の向かう方向を示している。また、隆起部34Aの下縁34Cから剥離しなかった空気は、矢印53で示すように、2つの傾斜部35A、35Bおよび扇状部39の表面に沿って流れる。
【0051】
また、隆起部34Bの一端側から導かれた第2電装部品13の周辺の空気を、この隆起部34Bに沿って他端側に導くことができ、高温の空気が第1電装部品14側に流れることを抑制できる。
【0052】
また、本実施例では、一端側支持部としての支持部33Bの被取付面23側に配置した固定部材40を介して、支持部33Bに第1電装部品14が支持されている。
【0053】
これにより、隆起部34の一端側において、隆起部34と被取付面23との間の隙間を固定部材40が塞いた状態になる。このため、隆起部34の一端側から隆起部34と被取付面23との間の隙間(空間)に流れ込もうとする高温の空気を固定部材40で遮蔽することができ、高温の空気が隆起部34を通過して隆起部34から第1電装部品14に熱が伝達されることを抑制できる。
【0054】
なお、ブラケット30と同様の機能を有するブラケットを、第1電装部品14自体に一体で設けるようにしてもよい。つまり、ブラケット30は、本実施例のように単独の部品として構成するだけでなく、第1電装部品14等の他の部品と一体化して構成してもよい。
【0055】
また、バッテリパック10におけるブラケット30が配置される部位は、本実施例で例示したバッテリパック10の前面側に限らず、左右の側面側、後面側、上面側、または底面側の何れの部位であってもよい。つまり、被取付面23は、バッテリパック10の左右前後の側面または上限の面の何れの面側に配置されていてもよい。
【0056】
また、
図10、
図11に示す変形例のように、第1電装部品14は、隆起部34Aに対してY軸方向、Z軸方向で重なるように配置してもよい。
図10、
図11において、第1電装部品14は、Y軸負の方向(左方)とZ軸負の方向(下方)で、隆起部34Aと重なるように、ブラケット30の対面部36に配置されている。このようにすることで、第1隆起部34Aに乗り上げた第2電装部品13側の空気が第1電装部品14の下端部に滞留しにくいという効果を有する。
【0057】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0058】
1...車両、13...第2電装部品、13A...本体部、13B...放熱部、14...第1電装部品、14A...本体部、14B,14C...脚部、14D...第1側面、14E...第2側面、23...被取付面、30...ブラケット、31A、31B...取付部、33A...支持部、33B...支持部(一端側支持部)、34A...隆起部(第1隆起部)、34B...隆起部(第2隆起部)、35...案内通路部、35A...傾斜部(第1傾斜部)、35B...傾斜部(第2傾斜部)、37...第1空間、38...案内通路、39...扇状部、40...固定部材