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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240625BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20240625BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/42
A61Q5/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020063048
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161056
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】396020464
【氏名又は名称】株式会社エーピーアイ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】與田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】境 正浩
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智美
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500790(JP,A)
【文献】特許第6154012(JP,B2)
【文献】特開2009-235315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/00-31/80
A45D 19/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性抗フケ剤100重量部、炭素数16~18のアルキル基を有する融点が50~80℃のエステル化合物100~1000重量部、及びHLB8~16の界面活性剤10~50重量部を、固形分濃度が20~70重量%になる量の水性媒体中で混合し、80℃以上100℃以下の温度で加熱溶解した後、50℃以下の温度に冷却することにより、水溶性抗フケ剤、炭素数16~18のアルキル基を有するエステル化合物及び界面活性剤を含有する粒子を析出させることを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性抗フケ剤がピロクトンオラミン又はクリンバゾールであり、前記エステル化合物がジステアリン酸エチレングリコールであり、前記界面活性剤がPOEアルキルエーテル類又はアルカノールアミドである請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
水溶性抗フケ剤、炭素数16~18のアルキル基を有する融点が50~80℃のエステル化合物及びHLB8~16の界面活性剤を含む粒子であって、水溶性抗フケ剤の含有量が0.1~20重量%である粒子。
【請求項4】
前記水溶性抗フケ剤がピロクトンオラミン又はクリンバゾールであり、前記エステル化合物がジステアリン酸エチレングリコールであり、前記界面活性剤がPOEアルキルエーテル類又はアルカノールアミドである請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の粒子を含有する組成物。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の粒子を含有する毛髪用洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性抗フケ剤と界面活性剤とを含有する粒子、該粒子の製造方法、該粒子を含む組成物及び毛髪用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロクトンオラミンは抗フケ剤としてシャンプー等に配合されることが知られているが、ピロクトンオラミンは界面活性剤存在下で水に溶解するため、洗髪の過程で洗い流されてしまう。このため、洗浄後の頭皮表面残留量は非常に少なく、フケ防止効果を長期にわたり持続することは難しい。特に、洗髪頻度の低い地域においては、そのフケ防止効果は不十分である。
【0003】
そのため、ピロクトンオラミンのような抗菌剤を脂質及び/又はたんぱく質でコーティングし、効果の持続性を高める検討も行われている(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載の脂質及び/又はたんぱく質でピロクトンオラミンをコーティングした粒子は、更に界面活性剤を含有するものではなく、特許文献1ではその効果についても検証は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-523232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、洗髪後に、ピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を頭皮表面に残留させるために、界面活性剤存在下にピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を粒状に不溶化させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、水溶性抗フケ剤、融点が50~80℃の化合物及び界面活性剤を水性媒体に溶解し、融点が50~80℃の化合物を析出させて得られた水溶性抗フケ剤を含有する粒子が、上記課題を解決するとの知見を得、この知見に基づき、以下の本発明を完成させるに至った。
【0007】
[1] 水溶性抗フケ剤、融点が50~80℃の化合物、及び界面活性剤を水性媒体に溶解し、前記融点が50~80℃の化合物を析出させることにより粒子を得ることを特徴とする粒子の製造方法。
【0008】
[2] 前記水溶性抗フケ剤がピロクトンオラミンである[1]に記載の粒子の製造方法。
【0009】
[3] 前記融点が50~80℃の化合物がステアリン酸誘導体である[1]又は[2]に記載の粒子の製造方法。
【0010】
[4] 前記ステアリン酸誘導体がジステアリン酸グリコールである[3]に記載の粒子の製造方法。
【0011】
[5] 前記界面活性剤の1重量%水溶液が、50℃以下の温度において、前記水溶性抗フケ剤を0.5重量%以上の濃度で完全に溶解することがないものである[1]から[4]のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0012】
[6] 前記界面活性剤のHLBが3~16である[1]から[5]のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0013】
[7] 前記界面活性剤を2種以上用い、それらを混合したHLBが3~16である[1]から[5]のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0014】
[8] 水溶性抗フケ剤、融点が50~80℃の化合物及び界面活性剤を含む粒子であって、前記融点が50~80℃の化合物中に前記水溶性抗フケ剤及び界面活性剤を含有させてなる粒子。
【0015】
[9] [8]に記載の粒子を含有する組成物。
【0016】
[10] [8]に記載の粒子又は[9]に記載の組成物を含有する毛髪用洗浄剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、界面活性剤存在下にピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を粒状に不溶化させることができる。従って、本発明により製造された粒子は、毛髪用洗浄剤に配合する抗フケ剤として好適に用いることができ、洗髪後も水溶性抗フケ剤を含む粒子を頭皮表面に残留させて、長期にわたりフケ防止効果を持続させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態を示して本発明を詳細に説明する。
【0019】
[粒子の製造方法]
本発明の粒子の製造方法は、水溶性抗フケ剤、融点が50~80℃の化合物、及び界面活性剤を水性媒体に溶解し、前記融点が50~80℃の化合物を析出させることにより粒子を得ることを特徴とする。
【0020】
<水溶性抗フケ剤>
水溶性抗フケ剤とは、20℃において水に対して1重量%以上の濃度で溶解し得るものであり、例えば、ピロクトンオラミン、シクロピロックスオラミン、クリンバゾール、サリチル酸、ミコナゾール塩、ケトコナゾール塩などが挙げられる。化粧料組成物としての水溶性抗フケ剤としては、ピロクトンオラミンやクリンバゾールが好ましく、抗フケ性能の観点からピロクトンオラミンが最も好ましい。
【0021】
これらの水溶性抗フケ剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0022】
<融点が50~80℃の化合物>
融点が50~80℃の化合物としては、融点(m.p.)がこの範囲に存在するものであればよく、特に限定されないが、毛髪用洗浄剤として用いる観点から、好ましくは、化粧品に使用可能な化合物(INCIに登録済の原料)から選ばれる。このような化合物としては、炭素数12~22のアルキル基、好ましくは炭素数16~20のアルキル基、より好ましくは炭素数16~18のアルキル基を有するエステル化合物又はエーテル化合物が挙げられる。これらの中でもステアリン酸誘導体が好ましい。ステアリン酸誘導体の中でも、ジステアリン酸グリコール等の、炭素数16~18のアルキル基を2以上有する化合物が結晶性が良好であり、より好ましい。これらの中でもジステアリン酸エチレングリコール(融点60~65℃)が好ましい。
【0023】
融点が50~80℃の化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0024】
なお、ここで、融点が50~80℃の化合物を用いる理由は以下の通りである。
即ち、融点が50~80℃の化合物であれば、当該融点以上の温度に加温することで、溶融させることができ、また、当該融点未満の温度に冷却することで固化させることができるため、高くても80℃以上の加温と低くても50℃未満の冷却という比較的緩やかな温度条件で溶融→析出の状態変化をさせることができ、溶融状態の時に水溶性抗フケ剤及び界面活性剤と相溶し、この状態で冷却して固化させることで、これらを取り込んだ粒子を析出させることができる。
【0025】
<界面活性剤>
本発明で用いる界面活性剤は、50℃以下において、当該界面活性剤の1重量%水溶液が、ピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を0.5重量%以上の濃度で完全に溶解することがないもの(以下、この条件を「水溶性抗フケ剤の溶解条件」と称す場合がある。)であることが好ましい。これは界面活性剤がピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を水に溶解させてしまうと、粒子形成時に、ピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤は水中に安定に存在するため、融点が50~80℃の化合物中にピロクトンオラミンを含有させることが困難であるからである。なお、「完全に溶解することがない」とは、界面活性剤の1重量%水溶液に水溶性抗フケ剤を0.5重量%の濃度で添加して、60分以上撹拌しても、水溶性抗フケ剤の不溶物が目視にて観察されるものである。
【0026】
界面活性剤としては特に上記のような条件を満たすものであれば限定されないが、例えば、ラウレス硫酸アンモニウム、コカミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤;ラウレス-9等のPOEアルキルエーテル類;PEG-40水添ヒマシ油等のPOE硬化ヒマシ油類;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等のアルカノールアミド等が挙げられる。これらの中でもPOEアルキルエーテル類、POE硬化ヒマシ油類、アルカノールアミドが好ましい。
【0027】
また、界面活性剤のHLBとしては3~16が好ましく、8~16がより好ましく、8~13、9~13がさらに好ましい。HLBが上記好ましい範囲内であれば、ピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤と融点が50~80℃の化合物のいずれとも相溶性があり、融点が50~80℃の化合物中にピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を効率的に取り込むことが可能である。
【0028】
界面活性剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の界面活性剤を用いる場合、それらの混合後のHLBが上記好適範囲となれば、個々の界面活性剤のHLBは上記好適範囲から外れてもよい。
【0029】
<水性媒体>
水性媒体とは、水を含む溶媒をいい、水単独であってもよく、水と水混和性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。水の種類は特に制限されず、蒸留水、純水、超純水、水道水等のいずれも用いることができる。水混和性有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノールやエタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン等のケトン類;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等のアミド類等を挙げることができる。
【0030】
水と水混和性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合には、当該混合溶媒における水の割合は50容量%以上が好ましく、60容量%以上がより好ましく、70容量%以上が更に好ましく、80容量%以上が特に好ましい。水性媒体としては、水のみを用いることが最も好ましい。
【0031】
<粒子の製法>
本発明では、水溶性抗フケ剤、融点が50~80℃の化合物及び界面活性剤を水性媒体中で混合し、好ましくは加熱により溶解し、好ましくは冷却により融点が50~80℃の化合物を析出させる。これにより水溶性抗フケ剤と界面活性剤とを含有した融点が50~80℃の化合物からなる粒子が得られる。
【0032】
水溶性抗フケ剤と融点が50~80℃の化合物と界面活性剤を水性媒体中で混合する際の融点が50~80℃の化合物の使用量は、水溶性抗フケ剤100重量部に対して100~1000重量部、特に200~500重量部であることが好ましい。融点が50~80℃の化合物の使用量が上記下限以上であれば、安定に粒子を製造することができ、上記上限以下であれば、水溶性抗フケ剤含有量の多い粒子を製造することができることから、粒子のフケ防止効果に優れる。
【0033】
また、界面活性剤の使用量は、水溶性抗フケ剤100重量部に対して1~100重量部、好ましくは10~50重量部、特に好ましくは20~40重量部であることが好ましい。界面活性剤の使用量が上記下限以上であれば、安定に粒子を製造することができ、上記上限以下であれば、水溶性抗フケ剤含有量の多い粒子を製造することができることから、粒子のフケ防止効果に優れる。
【0034】
水性媒体は、得られる混合物の固形分濃度(水溶性抗フケ剤と融点が50~80℃の化合物と界面活性剤の合計濃度)が20~70重量%、特に35~50重量%となるように用いることが好ましい。固形分濃度が上記下限以上であれば水溶性抗フケ剤含有量の多い粒子を製造することができ、上記上限以下であれば安定に粒子を製造することができる。
【0035】
水溶性抗フケ剤、融点が50~80℃の化合物及び界面活性剤を水性媒体中に加熱により溶解する場合、加熱温度は用いる融点が50~80℃の化合物の融点以上であればよいが、好ましくは80℃以上である。この加熱温度は、融点が50~80℃の化合物が溶融し得る温度であればよく、その上限は通常100℃以下であるが、90℃以下、特に85℃以下で低い方が好ましい。
【0036】
加熱溶解後、冷却により融点が50~80℃の化合物を析出させる場合、冷却温度は融点が50~80℃の化合物が固化して析出する温度であればよく、融点が50~80℃の化合物の融点未満の温度であり、好ましくは50℃以下である。
【0037】
冷却により、水溶性抗フケ剤と界面活性剤を含む粒子が析出した後は、通常、室温まで更に温度を下げた後、遠心分離、濾過等の固液分離により粒子を回収してもよく、粒子の分散液として使用に供してもよい。
【0038】
<粒子の特性・物性>
本発明により製造される粒子は、融点が50~80℃の化合物よりなるマトリックス中に水溶性抗フケ剤と界面活性剤を含有するものであり、本発明によれば、界面活性剤存在下にピロクトンオラミン等の水溶性抗フケ剤を不溶化させることができる。
この粒子中には、通常0.1~20重量%程度の水溶性抗フケ剤が含有されており、水難溶性ないしは水不溶性の水溶性抗フケ剤と同様に毛髪用洗浄剤等に配合して用いることができる。
【0039】
[粒子含有組成物]
本発明の粒子の製造方法により製造された水溶性抗フケ剤含有粒子、及びこの粒子を含有する組成物は、特に水溶性抗フケ剤の頭皮滞留性、フケ防止効果の長期持続性に優れた毛髪用洗浄剤として有用である。
【0040】
[毛髪用洗浄剤]
本発明により製造される粒子を含有する毛髪用洗浄剤としては、例えばシャンプー等が挙げられる。シャンプーとしては例えば、洗浄を重視したフケ防止用シャンプー、アンチエイジング目的のハリコシ付与シャンプー、白髪染めシャンプー、カラーシャンプー、コンディショニングシャンプー、ダメージケアシャンプー、ベビー用低刺激シャンプー等が挙げられる。
【0041】
シャンプーについての処方例を下記表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(注)植物エキスとして、ショウガ根エキスを使用したが、その他ユーカリエキス、カミツレ花エキス、サトウキビエキス、レモン果皮エキス、グレープフルーツ果実エキス、アボカドエキス、アロエベラ葉エキス、オリーブ葉エキス、大豆種子エキス、チャ葉エキス、トウキンセンカ花エキス、ノイバラ果実エキス、ハチミツエキス、プラセンタエキス、ラベンダー花エキス、ローズマリー葉エキス、ローヤルゼリーエキス等を使用することができる。
(注)植物オイルとしてオリーブ油を使用したが、その他、オリーブ果実油、ツバキ油、ツバキ種子油、ヒマワリ種子油、ラベンダー油、ホホバ油等を使用することができ、同様の効果(ツヤ、しっとり感付与)が得られる。
(注)オイル可溶化剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを使用した。その他、汎用的な可溶化剤である、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等を使用することができる。
【0044】
リンスについての処方例を下記表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
スタイリング剤についての処方例を下記表3に示す。
【0047】
【表3】
【実施例
【0048】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0049】
[実施例1]
水溶性抗フケ剤としてピロクトンオラミンを10重量部、融点が50~80℃の化合物としてジステアリン酸エチレングリコールを30重量部、界面活性剤としてヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(HLB10.1)を2重量部及びPOE(9)ラウリルエーテル(HLB14.5)を1重量部、並びに水57重量部を混合し、80℃に加温し、完全に溶解するまで撹拌した。その後、1時間かけて50℃まで徐々に冷却し、粒子を析出させた。その後、1時間室温中に放置することにより冷却し、粒子が析出した混合物を分析に供した。なお、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(HLB10.1)2重量部とPOE(9)ラウリルエーテル(HLB14.5)1重量部の混合物のHLBは11.5である。
【0050】
得られた混合物はクリーム状であり、そのうち10gをラウレス硫酸ナトリウムの1重量%水溶液90g中に分散させ、粒子中に取り込まれなかったピロクトンオミンをラウレス硫酸ナトリウムに溶解させ、遠心分離にかけて粒子を沈降させ、上澄みをろ過した。得られたろ液について液体クロマトグラフィー(LC)を用いて、ピロクトンオラミンを定量した。
得られた混合物10g中のピロクトンオラミンの量は配合量に基づき1g、ろ液に含まれるピロクトンオラミンの量は前記LCによる定量の結果0.8gであったので、「得られた混合物10g中の粒子」中に含まれるピロクトンオラミンの量は0.2gであった。
一方、得られた混合物10g中の粒子の量は3.2gであったので、粒子中のピロクトンオラミン濃度(重量%)は、[0.2/3.2×100]=6.3重量%であった。
粒子のピロクトンオラミン濃度を表4に示す。
【0051】
[比較例1]
市販のパール化剤であるBASF社製「EUPERLAN(登録商標)PK771」(ジステアリン酸エチレングリコール、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドMEA、及びラウレス-10の混合物。固形分濃度50重量%)60重量部とピロクトンオラミン20重量部を、水20重量部と混合したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、同様に粒子中のピロクトンオラミン濃度を測定した。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
表4より、市販のパール化剤ではピロクトンオラミンを含む粒子を製造することはできないが、本発明によれば、ピロクトンオラミンを包含した粒子を製造することができることが分かる。