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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】液体投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20240625BHJP
   A61M 11/06 20060101ALI20240625BHJP
   A61M 15/08 20060101ALI20240625BHJP
   B05B 17/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61M11/00 A
A61M11/06
A61M15/08
B05B17/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020083475
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021177832
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】田邊 英樹
(72)【発明者】
【氏名】米川 亮
(72)【発明者】
【氏名】元林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】東 昭宏
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515467(JP,A)
【文献】国際公開第2014/165694(WO,A2)
【文献】実公昭10-015355(JP,Y1)
【文献】特開2006-087791(JP,A)
【文献】特開2018-175136(JP,A)
【文献】特表2016-539679(JP,A)
【文献】特開2019-155064(JP,A)
【文献】特開平11-033117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 11/06
B05B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を使用者に投与するための液体投与装置であって、
本体部と、
前記本体部から所定方向に突出し、前記使用者の一方の鼻腔内の所定の部位に液体を付着させて投与するために、前記一方の鼻腔に挿入された状態で液体を吐出する液体吐出用ノズルと、
前記本体部から前記所定方向に突出し、前記液体吐出用ノズルを前記一方の鼻腔に対して位置決めするために、前記使用者の他方の鼻腔に挿入される位置決め用補助ノズルと、
前記液体吐出用ノズル及び前記位置決め用補助ノズルの少なくとも一方の挿入状態を検出するセンサと、
前記センサの検出結果に基づいて、前記液体吐出用ノズルからの液体の吐出を制御する吐出制御部と、を備え、
前記液体吐出用ノズルの中心軸は、前記本体部の中心軸に平行な軸線に対して、前記位置決め用補助ノズル側に所定の角度だけ傾斜し、
前記位置決め用補助ノズルの中心軸は、前記軸線に対して、前記液体吐出用ノズル側に前記所定の角度だけ傾斜している
液体投与装置。
【請求項2】
前記センサは、前記位置決め用補助ノズルに配置されており、前記位置決め用補助ノズルが前記他方の鼻腔に挿入されたことを検出する
請求項に記載の液体投与装置。
【請求項3】
前記液体吐出用ノズルは、前記液体吐出用ノズルの先端部が先細となるようにテーパ状に形成され、
前記位置決め用補助ノズルは、前記位置決め用補助ノズルの先端部が先細となるようにテーパ状に形成されている
請求項1又は2に記載の液体投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を使用者に投与するための液体投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液を使用者の鼻腔に投与するための点鼻スプレーが知られている(例えば、特許文献1参照)。点鼻スプレーは、薬液が充填されたポンプ容器と、ポンプ容器の上端部に配置されたスプレーヘッドとを備えている。
【0003】
使用者は、スプレーヘッドの先端部を一方の鼻腔に挿入した状態で、スプレーヘッドのレバーを手動で押し下げる。これにより、ポンプ容器内の薬液が、スプレーヘッドの先端の孔から一方の鼻腔に向けて吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-055560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の点鼻スプレーでは、使用者による点鼻スプレーの持ち方によって、スプレーヘッドの先端部の一方の鼻腔に対する位置がばらつくことがある。そのため、薬液を鼻腔内の所定の部位に正確に投与することが難しいという課題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、液体を鼻腔内の所定の部位に正確に投与することができる液体投与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体投与装置は、液体を使用者に投与するための液体投与装置であって、本体部と、前記本体部から所定方向に突出し、前記使用者の一方の鼻腔に挿入された状態で液体を吐出する第1のノズルと、前記本体部から前記所定方向に突出し、前記第1のノズルを前記一方の鼻腔に対して位置決めするために、前記使用者の他方の鼻腔に挿入される第2のノズルと、を備える。
【0008】
本態様によれば、液体投与装置は、第1のノズルに加えて第2のノズルを備えているので、第1のノズルを一方の鼻腔に挿入するとともに、第2のノズルを他方の鼻腔に挿入することにより、第1のノズルを一方の鼻腔に対して位置決めすることができる。その結果、第1のノズルから吐出された液体を、鼻腔内の所定の部位に正確に投与することができる。
【0009】
例えば、本発明の一態様に係る液体投与装置において、前記液体投与装置は、さらに、前記第1のノズル及び前記第2のノズルの少なくとも一方の挿入状態を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて、前記第1のノズルからの液体の吐出を制御する吐出制御部と、を備えるように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、センサの検出結果に基づいて、第1のノズルからの液体の吐出を適切に制御することができる。
【0011】
例えば、本発明の一態様に係る液体投与装置において、前記センサは、前記第2のノズルに配置されており、前記第2のノズルが前記他方の鼻腔に挿入されたことを検出するように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、センサは第2のノズルに配置されているので、センサが第1のノズルからの液体の吐出の妨げになるのを回避することができる。
【0013】
例えば、本発明の一態様に係る液体投与装置において、前記第1のノズルは、前記第1のノズルの先端部が先細となるようにテーパ状に形成され、前記第2のノズルは、前記第2のノズルの先端部が先細となるようにテーパ状に形成されているように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、第1のノズル及び第2のノズルをそれぞれ一方の鼻腔及び他方の鼻腔にスムーズに挿入することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る液体投与装置によれば、液体を鼻腔内の所定の部位に正確に投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に係る液体投与装置を示す斜視図である。
図2図1のII-II線による、実施の形態1に係る液体投与装置の概略断面図である。
図3】実施の形態1に係る液体投与装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係る液体投与装置の使用方法を説明するための図である。
図5】実施の形態1に係る液体投与装置の使用方法を説明するための図である。
図6】実施の形態2に係る液体投与装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態2に係る液体投与装置の使用方法を説明するための図である。
図8】実施の形態3に係る液体投与装置の機能構成を示すブロック図である。
図9】実施の形態3に係る液体投与装置の使用方法を説明するための図である。
図10】実施の形態4に係る液体投与装置の機能構成を示すブロック図である。
図11】実施の形態4に係る液体投与装置の使用方法を説明するための図である。
図12】実施の形態5に係る液体投与装置の機能構成を示すブロック図である。
図13】実施の形態5に係る液体投与装置の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0018】
(実施の形態1)
[1-1.液体投与装置の構造]
まず、図1及び図2を参照しながら、実施の形態1に係る液体投与装置2の構造について説明する。図1は、実施の形態1に係る液体投与装置2を示す斜視図である。図2は、図1のII-II線による、実施の形態1に係る液体投与装置2の概略断面図である。
【0019】
なお、図1及び図2において、液体投与装置2の幅方向(左右方向)をX軸方向、液体投与装置2の奥行き方向(前後方向)をY軸方向、液体投与装置2の高さ方向(上下方向)をZ軸方向として説明する。
【0020】
液体投与装置2は、例えば薬液(液体の一例)を使用者の鼻腔28(後述する図4参照)に投与するための点鼻用ディスペンサである。図1に示すように、液体投与装置2は、本体部4と、第1のノズル6と、第2のノズル8とを備えている。
【0021】
本体部4は、例えば中空状の直方体状に形成されている。図1に示すように、本体部4の側面には、操作スイッチ10と、表示ランプ12とが配置されている。操作スイッチ10は、液体投与装置2を操作するためのプッシュスイッチである。使用者が操作スイッチ10を押下することにより、第1のノズル6の先端部6aから薬液が吐出する。表示ランプ12は、液体投与装置2の動作状態を表示するためのLED(Light Emitting Diode)ランプである。
【0022】
図2に示すように、本体部4の内部には、制御基板14と、バッテリ16とが配置されている。制御基板14には、第1のノズル6からの薬液の吐出を制御するための制御回路等が実装されている。バッテリ16は、表示ランプ12及び制御基板14等に所定の電力を供給する。また、本体部4の上端面には、本体部4の内部と連通された円形状の第1の開口部15及び第2の開口部17が形成されている。
【0023】
第1のノズル6は、薬液を吐出するための薬液吐出用ノズルである。第1のノズル6は円筒状に形成され、先端部6aが先細となるようにテーパ状に形成されている。第1のノズル6は、本体部4の上端面から所定方向(Z軸のプラス方向)に突出し、本体部4の第1の開口部15と連通している。図2に示すように、第1のノズル6の中心軸C1は、本体部4の中心軸(Z軸方向)に平行な軸線Pに対して、第2のノズル8側に角度θ1(0°<θ1≦10°)だけ傾斜している。
【0024】
図2に示すように、第1のノズル6の内部には、カートリッジ18及びヒータチップ20が配置されている。カートリッジ18は、当該カートリッジ18の内部に充填された薬液をヒータチップ20に供給する。カートリッジ18は、第1のノズル6に対して着脱可能である。ヒータチップ20は、カートリッジ18よりも第1のノズル6の先端部6a側に配置されている。ヒータチップ20は、カートリッジ18から供給された薬液を例えばサーマルインクジェット方式で加熱することにより、所定量(例えば数十μリットル程度)の霧状の薬液を第1のノズル6の先端部6aから外部に吐出する。
【0025】
第2のノズル8は、第1のノズル6を一方の鼻腔28a(後述する図4参照)に対して位置決めするために、使用者の他方の鼻腔28b(後述する図4参照)に挿入される位置決め用補助ノズルである。第2のノズル8は円筒状に形成され、先端部8aが先細となるようにテーパ状に形成されている。第2のノズル8は、本体部4の上端面から上記所定方向に突出し、本体部4の第2の開口部17と連通している。図2に示すように、第2のノズル8の中心軸C2は、本体部4の中心軸に平行な軸線Pに対して、第1のノズル6側に角度θ2(0°<θ2≦10°)だけ傾斜している。なお、角度θ2は、上述した角度θ1と等しい角度である。
【0026】
[1-2.液体投与装置の機能構成]
次に、図3を参照しながら、実施の形態1に係る液体投与装置2の機能構成について説明する。図3は、実施の形態1に係る液体投与装置2の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、液体投与装置2は、機能構成として、吐出部22と、ユーザインタフェース(UI)24と、吐出制御部26とを備えている。
【0028】
吐出部22は、上述したカートリッジ18及びヒータチップ20(図2参照)により構成され、薬液を第1のノズル6の先端部6aから外部に吐出する。
【0029】
ユーザインタフェース24は、上述した操作スイッチ10(図2参照)により構成され、使用者による液体投与装置2の操作を受け付ける。
【0030】
吐出制御部26は、上述した制御基板14(図2参照)により構成され、ユーザインタフェース24により受け付けられた操作に基づいて、吐出部22による薬液の吐出を制御する。具体的には、ユーザインタフェース24が使用者による薬液の吐出指示の操作を受け付けた(すなわち、操作スイッチ10が押下された)際に、吐出制御部26は、第1のノズル6の先端部6aから薬液が吐出されるように吐出部22を制御する。
【0031】
[1-3.液体投与装置の使用方法]
次に、図4及び図5を参照しながら、実施の形態1に係る液体投与装置2の使用方法について説明する。図4及び図5は、実施の形態1に係る液体投与装置2の使用方法を説明するための図である。
【0032】
図4に示すように、使用者は、本体部4を手で把持しながら、第1のノズル6を一方(例えば左側)の鼻腔28aに挿入し、且つ、第2のノズル8を他方(例えば右側)の鼻腔28bに挿入する。このように、第2のノズル8を他方の鼻腔28bに挿入することにより、第1のノズル6が一方の鼻腔28aに対して位置決めされる。また、図5に示すように、第1のノズル6の外側面は、一方の鼻腔28aの内壁に沿ってガイドされ、且つ、第2のノズル8の外側面は、他方の鼻腔28bの内壁に沿ってガイドされる。これにより、第1のノズル6の先端部6aは、鼻腔28内の所定の部位30(例えば、Olfactry Region)を向くようになる。なお、鼻腔28は、一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bよりも奥側の鼻腔を意味する。
【0033】
この時、図4に示すように、使用者の鼻中隔29が第1のノズル6の基端部6b(先端部6aと反対側の端部)と第2のノズル8の基端部8b(先端部8aと反対側の端部)との間に接触することにより、第1のノズル6及び第2のノズル8の各々の挿入深さDが例えば20mm以下に規制される。
【0034】
この状態で、使用者が操作スイッチ10を指で押下することにより、第1のノズル6の先端部6aから薬液が吐出される。図5に示すように、第1のノズル6の先端部6aから吐出された薬液は、鼻腔28内の所定の部位30に付着し投与される。
【0035】
[1-4.効果]
上述したように、本実施の形態の液体投与装置2は、第1のノズル6に加えて、第2のノズル8を備えている。第1のノズル6を一方の鼻腔28aに挿入するとともに、第2のノズル8を他方の鼻腔28bに挿入することにより、第1のノズル6を一方の鼻腔28aに対して位置決めすることができる。その結果、第1のノズル6の先端部6aから吐出された薬液を、鼻腔28内の所定の部位30に正確に投与することができる。
【0036】
例えば、薬液がアルツハイマー等の中枢神経系疾患の治療薬である場合、薬液の薬効を最適に機能させるためには、鼻腔28内の所定の部位30であるOlfactry Regionに薬液を正確に投与する必要がある。本実施の形態の液体投与装置2は、このような場合における用途に特に有用である。なお、薬液は、中枢神経系疾患の治療薬に限定されず、例えば鼻炎薬等であってもよい。
【0037】
(実施の形態2)
図6及び図7を参照しながら、実施の形態2に係る液体投与装置2Aの機能構成について説明する。図6は、実施の形態2に係る液体投与装置2Aの機能構成を示すブロック図である。図7は、実施の形態2に係る液体投与装置2Aの使用方法を説明するための図である。なお、以下に示す各実施の形態において、上記実施の形態1の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、実施の形態2に係る液体投与装置2Aでは、発光部32(センサの一例)と、受光部34(センサの一例)と、発光制御部36と、受光制御部38と、センサデータ取得部40とを備える点が上記実施の形態1と異なっている。
【0039】
発光部32及び受光部34は、第2のノズル8の他方の鼻腔28b(上述した図4参照)への挿入状態を検出するための反射型光センサであり、第2のノズル8の外側面上に互いに隣接して配置されている。発光部32はLEDであり、受光部34はフォトトランジスタである。
【0040】
発光制御部36は、発光部32の発光を制御する。受光制御部38は、受光部34が発光部32からの光を受光した際に、第2のノズル8が他方の鼻腔28bに挿入されたことを示す検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。
【0041】
センサデータ取得部40は、受光制御部38からの検出信号を受信した場合には、薬液の吐出を許可するための吐出許可信号を吐出制御部26に出力する。
【0042】
使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入していない状態では、受光部34は発光部32からの光を受光しないため、受光制御部38は、検出信号をセンサデータ取得部40に出力しない。センサデータ取得部40は、受光制御部38からの検出信号を受信しない間は、吐出許可信号を吐出制御部26に出力しない。この状態で使用者が操作スイッチ10を押下した場合であっても、吐出制御部26は、薬液を吐出しないように吐出部22を制御する。
【0043】
一方、図7に示すように、使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入した際には、発光部32からの光は、他方の鼻腔28bの内壁で反射した後に、受光部34により受光される。これにより、受光制御部38は、検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。センサデータ取得部40は、受光制御部38からの検出信号を受信したことをトリガとして、吐出許可信号を吐出制御部26に出力する。この状態で使用者が操作スイッチ10を押下した場合には、吐出制御部26は、薬液を吐出するように吐出部22を制御する。
【0044】
したがって、本実施の形態では、使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入する前に、操作スイッチ10を誤って押下した際に、第1のノズル6から薬液が吐出してしまうのを回避することができる。
【0045】
(実施の形態3)
図8及び図9を参照しながら、実施の形態3に係る液体投与装置2Bの機能構成について説明する。図8は、実施の形態3に係る液体投与装置2Bの機能構成を示すブロック図である。図9は、実施の形態3に係る液体投与装置2Bの使用方法を説明するための図である。
【0046】
図8に示すように、実施の形態3に係る液体投与装置2Bでは、発光部42(センサの一例)と、受光部44(センサの一例)と、発光制御部46と、受光制御部48と、センサデータ取得部40とを備える点が上記実施の形態1と異なっている。
【0047】
発光部42及び受光部44は、第1のノズル6の一方の鼻腔28a(上述した図4参照)への挿入状態及び第2のノズル8の他方の鼻腔28b(上述した図4参照)への挿入状態をそれぞれ検出するための遮光型光センサである。発光部42は、第2のノズル8の外側面上に配置されている。受光部44は、第1のノズル6の外側面上に配置され、発光部42と対向するように配置されている。発光部42はLEDであり、受光部44はフォトトランジスタである。
【0048】
発光制御部46は、発光部42の発光を制御する。受光制御部48は、受光部44が発光部42からの光を受光しなくなった際に、第1のノズル6及び第2のノズル8がそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入されたことを示す検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。
【0049】
センサデータ取得部40は、受光制御部48からの検出信号を受信した場合には、薬液の吐出を許可するための吐出許可信号を吐出制御部26に出力する。
【0050】
使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入していない状態では、受光部44は発光部42からの光を直接受光するため、受光制御部48は、検出信号をセンサデータ取得部40に出力しない。センサデータ取得部40は、受光制御部48からの検出信号を受信しない間は、吐出許可信号を吐出制御部26に出力しない。この状態で使用者が操作スイッチ10を押下した場合であっても、吐出制御部26は、薬液を吐出しないように吐出部22を制御する。
【0051】
一方、図9に示すように、使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入した際には、発光部42からの光が鼻中隔29によって遮光されるため、受光部44は発光部42からの光を受光しない。これにより、受光制御部48は、検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。センサデータ取得部40は、受光制御部48からの検出信号を受信したことをトリガとして、吐出許可信号を吐出制御部26に出力する。この状態で使用者が操作スイッチ10を押下した場合には、吐出制御部26は、薬液を吐出するように吐出部22を制御する。
【0052】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(実施の形態4)
図10及び図11を参照しながら、実施の形態4に係る液体投与装置2Cの機能構成について説明する。図10は、実施の形態4に係る液体投与装置2Cの機能構成を示すブロック図である。図11は、実施の形態4に係る液体投与装置2Cの使用方法を説明するための図である。
【0054】
図10に示すように、実施の形態4に係る液体投与装置2Cでは、赤外線センサ50(センサの一例)と、センサデータ取得部40とを備える点が上記実施の形態1と異なっている。
【0055】
赤外線センサ50は、第2のノズル8の他方の鼻腔28b(上述した図4参照)への挿入状態を検出するためのサーモパイルである。赤外線センサ50は、第2のノズル8の先端部に配置されており、鼻腔28からの赤外線を受信した際に、第2のノズル8が他方の鼻腔28bに挿入されたことを示す検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。
【0056】
センサデータ取得部40は、赤外線センサ50からの検出信号を受信した場合には、薬液の吐出を許可するための吐出許可信号を吐出制御部26に出力する。
【0057】
使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入していない状態では、赤外線センサ50は、鼻腔28からの赤外線を受信しないため、検出信号をセンサデータ取得部40に出力しない。センサデータ取得部40は、赤外線センサ50からの検出信号を受信しない間は、吐出許可信号を吐出制御部26に出力しない。この状態で使用者が操作スイッチ10を押下した場合であっても、吐出制御部26は、薬液を吐出しないように吐出部22を制御する。
【0058】
一方、図11に示すように、使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入した際には、赤外線センサ50は、鼻腔28からの赤外線を受信し、検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。センサデータ取得部40は、赤外線センサ50からの検出信号を受信したことをトリガとして、吐出許可信号を吐出制御部26に出力する。この状態で使用者が操作スイッチ10を押下した場合には、吐出制御部26は、薬液を吐出するように吐出部22を制御する。
【0059】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態5)
図12及び図13を参照しながら、実施の形態5に係る液体投与装置2Dの機能構成について説明する。図12は、実施の形態5に係る液体投与装置2Dの機能構成を示すブロック図である。図13は、実施の形態5に係る液体投与装置2Dの使用方法を説明するための図である。
【0061】
図12に示すように、実施の形態5に係る液体投与装置2Dでは、発音子52と、超音波センサ54(センサの一例)と、超音波生成部56と、センサデータ取得部40とを備える点が上記実施の形態1と異なっている。また、実施の形態5に係る液体投与装置2Dでは、ユーザインタフェース24を備えない点が上記実施の形態1と異なっている。
【0062】
超音波生成部56は、超音波を生成し、生成した超音波を発音子52に出力する。発音子52は、超音波生成部56からの超音波を外部に出力する圧電式発音子であり、第2のノズル8の先端部に配置されている。超音波センサ54は、第2のノズル8の他方の鼻腔28b(上述した図4参照)への挿入状態を検出するための圧電式超音波センサである。超音波センサ54は、発音子52からの超音波を受信した際に、第2のノズル8が他方の鼻腔28bに挿入されたことを示す検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。
【0063】
なお、本実施の形態では、発音子52と超音波センサ54とを別体に構成したが、これに限定されず、例えば一つの圧電素子を時分割で駆動することにより、発音子52の機能と超音波センサ54の機能とを兼ね備えるようにしてもよい。
【0064】
センサデータ取得部40は、超音波センサ54からの検出信号を受信した場合には、薬液の吐出を指示するための吐出指示信号を吐出制御部26に出力する。
【0065】
使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入していない状態では、超音波センサ54は、発音子52からの超音波を受信しないため、検出信号をセンサデータ取得部40に出力しない。センサデータ取得部40は、超音波センサ54からの検出信号を受信しない間は、吐出指示信号を吐出制御部26に出力しない。これにより、吐出制御部26は、薬液を吐出しないように吐出部22を制御する。
【0066】
一方、図13に示すように、使用者が第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入した際には、発音子52からの超音波は、鼻腔28で反射した後に、超音波センサ54により受信される。これにより、超音波センサ54は、検出信号をセンサデータ取得部40に出力する。センサデータ取得部40は、超音波センサ54からの検出信号を受信したことをトリガとして、吐出指示信号を吐出制御部26に出力する。これにより、吐出制御部26は、薬液を吐出するように吐出部22を制御する。
【0067】
したがって、本実施の形態の液体投与装置2Dでは、使用者は、第1のノズル6及び第2のノズル8をそれぞれ一方の鼻腔28a及び他方の鼻腔28bに挿入するだけで、自動的に第1のノズル6から薬液を吐出させることができる。その結果、上述した操作スイッチ10(図1参照)を操作する手間を省くことができ、利便性を高めることができる。
【0068】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~5に係る液体投与装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0069】
上記各実施の形態では、液体投与装置2(2A,2B,2C,2D)により使用者に投与される液体を薬液としたが、これに限定されず、例えば、リラックス効果のある芳香性を有する液体、又は、覚醒効果のある刺激性を有する液体等であってもよい。
【0070】
上記各実施の形態では、第2のノズル8を円筒状に構成したが、これに限定されず、例えば中実状のロッド状に構成してもよい。
【0071】
上記実施の形態2,4及び5では、各種センサを第2のノズル8にのみ配置したが、これに限定されず、第1のノズル6及び第2のノズル8の両方に配置してもよい。これにより、第1のノズル6の一方の鼻腔28aへの挿入状態及び第2のノズル8の他方の鼻腔28bへの挿入状態をより確実に検出することができる。
【0072】
また、第2のノズル8に、使用者の吸気を検出するための流量センサを配置してもよい。流量センサが使用者の吸気を検出しなくなった(すなわち、使用者が呼吸を止めた)タイミングで、吐出制御部26は、薬液を吐出するように吐出部22を制御してもよい。これにより、使用者が薬液を深く吸い込むことにより、薬液が使用者の肺に流れるのを抑制することができ、薬液を鼻腔28内の所定の部位30に確実に投与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る液体投与装置は、例えば薬液を使用者の鼻腔に投与するための点鼻用ディスペンサとして適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
2,2A,2B,2C,2D 液体投与装置
4 本体部
6 第1のノズル
6a,8a 先端部
6b,8b 基端部
8 第2のノズル
10 操作スイッチ
12 表示ランプ
14 制御基板
15 第1の開口部
16 バッテリ
17 第2の開口部
18 カートリッジ
20 ヒータチップ
22 吐出部
24 ユーザインタフェース
26 吐出制御部
28 鼻腔
28a 一方の鼻腔
28b 他方の鼻腔
29 鼻中隔
30 所定の部位
32,42 発光部
34,44 受光部
36,46 発光制御部
38,48 受光制御部
40 センサデータ取得部
50 赤外線センサ
52 発音子
54 超音波センサ
56 超音波生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13