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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】回路装置、発振器、電子機器及び移動体
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20240625BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H03B5/32 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020100716
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021197580
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】別府 耕平
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-193122(JP,A)
【文献】特開2006-060751(JP,A)
【文献】特開平08-223026(JP,A)
【文献】米国特許第10270450(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0260756(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0232446(US,A1)
【文献】特開2006-146403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00-19/096
H03B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源電圧ノードと第2の電源電圧ノードとの間に設けられ、出力ノードからクロック信号を出力する出力バッファー回路と、前記出力バッファー回路の動作を制御する制御回路と、抵抗切替情報を記憶する記憶回路と、を備え、
前記出力バッファー回路は、
前記第1の電源電圧ノードにソースが接続された第1の導電型の第1MOSトランジスタと、
前記第2の電源電圧ノードにソースが接続された第2の導電型の第2MOSトランジスタと、
直列に接続されたスイッチ及び抵抗からなる複数の第1の回路が前記第1MOSトランジスタのドレインと前記出力ノードとの間に並列に接続されている第1可変抵抗回路と、
前記第1MOSトランジスタのドレインと前記第2の電源電圧ノードとの間に設けられた第2スイッチと、を含み、
前記制御回路は、
前記出力ノードから前記クロック信号が出力されないとき、前記複数の第1の回路に含まれるスイッチをオフするとともに、前記第2スイッチをオンとし、
前記出力ノードから前記クロック信号が出力されるとき、前記抵抗切替情報に基づいて前記複数の第1の回路に含まれるスイッチのオンオフを制御するとともに、前記第2スイッチをオフとする制御を行う、回路装置。
【請求項2】
前記出力バッファー回路は、
直列に接続されたスイッチ及び抵抗からなる複数の第2の回路が前記第2MOSトランジスタのドレインと前記出力ノードとの間に並列に接続されている第2可変抵抗回路と、
前記第2MOSトランジスタのドレインと前記第1の電源電圧ノードとの間に設けられた第4スイッチと、を更に備え、
前記制御回路は、
前記出力ノードから前記クロック信号が出力されないとき、前記複数の第2の回路に含まれるスイッチをオフとするとともに、前記第4スイッチをオンとし、
前記出力ノードから前記クロック信号が出力されるとき、前記抵抗切替情報に基づいて前記複数の第2の回路に含まれるスイッチのオンオフを制御するとともに、前記第4スイッチをオフとする、請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記クロック信号の基準電位に応じて、
前記第2スイッチと、前記第4スイッチとを選択的にオンする、請求項2に記載の回路装置。
【請求項4】
前記第1の電源電圧ノードは高電位側電源電圧ノードであり、
前記第2の電源電圧ノードは低電位側電源電圧ノードであり、
前記第1の導電型はP型であり、
前記第2の導電型はN型である、
請求項1~のいずれか一項に記載の回路装置。
【請求項5】
前記第1の電源電圧ノードは低電位側電源電圧ノードであり、
前記第2の電源電圧ノードは高電位側電源電圧ノードであり、
前記第1の導電型はN型であり、
前記第2の導電型はP型である、
請求項1~のいずれか一項に記載の回路装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の回路装置と、
発振信号を生成する振動子と、を備え、
前記回路装置が、前記発振信号に基づくクロック信号を出力する発振器。
【請求項7】
請求項に記載の発振器を備えた電子機器。
【請求項8】
請求項に記載の発振器を備えた移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、発振器、及び、当該発振器を備えた電子機器及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、P型トランジスタ、N型トランジスタを有し、出力ノードの間に可変抵抗回路を設けることで、出力信号の立ち上がり時間や立下り時間を容易に調整可能な出力バッファー回路を備えた発振器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-193122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、出力信号が出力されないハイインピーダンス状態において、スイッチとして機能するトランジスタはオフ状態となる。このため、浮いた状態となったP型トランジスタ、又は、N型トランジスタのドレインのノードに電荷が溜まり、信号の出力が開始されるときに微小なパルス信号を生じる恐れがある。このため、出力開始時に所望の波形の信号を出力できないおそれがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願回路装置は、第1の電源電圧ノードと第2の電源電圧ノードとの間に設けられ、出力ノードからクロック信号を出力する出力バッファー回路と、前記出力バッファー回路の動作を制御する制御回路と、を備え、前記第1の電源電圧ノードにソースが接続された第1の導電型の第1MOSトランジスタと、前記第2の電源電圧ノードにソースが接続された第2の導電型の第2MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタのドレインと前記出力ノードとの間に設けられ、第1スイッチを含む第1可変抵抗回路と、前記第1MOSトランジスタのドレインと前記第2の電源電圧ノードとの間に設けられた第2スイッチと、を含み、前記制御回路は、前記出力ノードから前記クロック信号が出力されないときは、前記第1スイッチをオフするとともに、前記第2スイッチをオンとし、前記出力ノードから前記クロック信号が出力されるときは、前記第1スイッチをオンするとともに、前記第2スイッチをオフとする制御を行う。
【0006】
また、本願の発振器は、上記の回路装置と、発振信号を生成する振動子と、を備え、前記回路装置が、前記発振信号に基づくクロック信号を出力する。
【0007】
また、本願の電子機器は、上記発振器を備えている。
【0008】
また、本願の移動体は、上記発振器を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1の出力バッファー回路、回路装置の基本ブロック構成図。
図2】比較例の出力バッファー回路、回路装置の回路図。
図3】出力波形の一態様図。
図4】出力バッファー回路、回路装置の回路図。
図5】実施形態2の出力バッファー回路、回路装置の回路図。
図6】実施形態3の出力バッファー回路、回路装置の回路図。
図7】実施形態4の発振器の回路ブロック図。
図8】実施形態5のスマートフォンの回路ブロック図。
図9】スマートフォンの外観図。
図10】実施形態6の移動体の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1
***出力バッファー回路、回路装置の基本ブロック構成***
図1は、本実施形態の出力バッファー回路、回路装置の基本ブロック構成図である。
図1に示すように、本実施形態の回路装置81は、出力バッファー回路1、制御回路4などから構成されている。
出力バッファー回路1は、Pチャンネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるP型トランジスタ10、Nチャンネル型のMOSFETであるN型トランジスタ20、N型スイッチ60、2つの可変抵抗回路30,40及び抵抗50を備えている。
制御回路4は、出力バッファー回路1の動作を制御するための制御回路4である。なお、実際の発振デバイスにおいて、制御回路4は、出力バッファー回路1の専用回路ではなく、後述の出力バッファー回路1を含む発振器200の制御回路260の機能のうち、出力バッファー回路1を制御する部分を切り出してブロック図として示している。
【0011】
P型トランジスタ10は、ソースに電源電圧VDDが供給され、ゲートには、プリバッファー回路2から入力信号PINが供給される。入力信号PINがローレベルのとき、P型トランジスタ10は、ソースとドレインとが導通し、ドレインが電源電圧VDDとほぼ等しい電圧となる。また、入力信号PINがハイレベルのとき、P型トランジスタ10は、ソースとドレインとが非導通となり、ドレインがハイインピーダンスとなる。
【0012】
N型トランジスタ20は、ソースにグラウンド電圧VSSが供給され、ゲートには、プリバッファー回路3から入力信号NINが供給される。入力信号NINがハイレベルのとき、N型トランジスタ20は、ソースとドレインとが導通し、ドレインがグラウンド電圧VSSとほぼ等しい電圧となる。また、入力信号NINがローレベルのとき、N型トランジスタ20は、ソースとドレインとが非導通となり、ドレインがハイインピーダンスとなる。
【0013】
制御回路4は、CPU(Central Processing Unit)、及び、トランジスタで形成された論理回路を含む制御回路である。制御回路4は、可変抵抗回路30,40、及び、N型スイッチ60などのオンオフを制御するための制御信号を生成する。当該制御信号により、可変抵抗回路30,40の抵抗値や、出力信号OUTの出力の有無などの制御を行うことができる。
【0014】
可変抵抗回路30は、P型トランジスタ10のドレインと出力バッファー回路1の出力ノードN2との間の信号経路内に設けられている。具体的には、可変抵抗回路30は、P型トランジスタ10のドレインと出力バッファー回路1の内部ノードN1との間に電気的に接続されている。可変抵抗回路30は、制御回路4から供給される制御信号に応じて抵抗値が変化する。
【0015】
可変抵抗回路40は、N型トランジスタ20のドレインと出力ノードN2との間の信号経路内に設けられている。具体的には、可変抵抗回路40は、N型トランジスタ20のドレインと内部ノードN1との間に電気的に接続されている。可変抵抗回路40は、制御回路4から供給される制御信号に応じて抵抗値が変化する。
抵抗50は、内部ノードN1と出力ノードN2との間に電気的に接続されている。
【0016】
負荷容量5は、出力バッファー回路1の出力ノードN2に接続される後段の回路のゲート容量や寄生容量等である。可変抵抗回路30の抵抗値及び可変抵抗回路40の抵抗値を固定した場合、負荷容量5が大きいほど、出力バッファー回路1の出力信号OUTの立ち上がり時間や立ち下がり時間が長くなる。なお、出力信号OUTの立ち上がり時間とは、例えば、出力信号OUTの電圧が、電源電圧VDDとグラウンド電圧VSSとの差の10%から90%まで上昇するのに要する時間である。また、出力信号OUTの立ち下がり時間とは、例えば、出力信号OUTの電圧が、電源電圧VDDとグラウンド電圧VSSとの差の90%から10%まで低下するのに要する時間である。なお、出力信号OUTのことをクロック信号ともいう。
【0017】
ここで、P型トランジスタ10と可変抵抗回路30との間のノード51には、不要な電荷が貯まってしまうという課題があった。当該課題の詳細は後述するが、本実施形態の出力バッファー回路1は、この課題を解決するために、N型スイッチ60を備えている。
N型スイッチ60は、Nチャンネル型のMOSFETであり、ドレインがノード51に接続されており、ソースにグラウンド電圧VSSが供給され、ゲートには、制御回路4から制御信号が供給される。
出力ノードN2から出力信号OUTが出力されているとき、制御回路4からローレベルの信号がN型スイッチ60のゲートに入力され、ドレイン側のノード51とソース側のグラウンド電圧が非導通となる。出力信号OUTが停止状態のとき、制御回路4からハイレベルの信号がN型スイッチ60のゲートに入力され、ドレイン側のノード51とソース側のグラウンド電圧が導通となる。これは、出力信号OUTが停止状態のときに、ノード51をグラウンド電圧にすることで、ノード51に不要な電荷をためないためである。
【0018】
***従来の出力バッファー回路、回路装置における課題***
図2は、比較例における出力バッファー回路、回路装置の回路構成図である。
図2の回路装置92は、従来の回路構成であり、出力バッファー回路91、制御回路94などから構成されていた。
図2の出力バッファー回路91では、可変抵抗回路30,40の具体的な回路構成を示している。なお、図1の構成と同一の部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0019】
出力バッファー回路91は、P型トランジスタ10、N型トランジスタ20、2つの可変抵抗回路30,40及び抵抗50などを備えている。
可変抵抗回路30は、P型トランジスタから構成された3つのスイッチ31a,31b,31cと、3個の抵抗32a,32b,32cとを含む。なお、説明を容易にするため、3段の抵抗可変構成としているが、必要な抵抗可変範囲に応じて、複数段の設定とすれば良い。例えば、5つのスイッチを備えた5段構成でも良いし、10段の構成であっても良い。
同様に、可変抵抗回路40は、N型トランジスタから構成された3つのスイッチ41a,41b,41cと、3個の抵抗42a,42b,42cとから構成されている。
【0020】
次に、可変抵抗回路30の回路動作について説明する。なお、制御回路94は従来の制御回路である。
スイッチ31aは、制御回路94から供給される制御信号SPaに応じてオンオフする。スイッチ31aのゲートは制御回路94に接続しており、制御回路94から制御信号SPaが供給される。スイッチ31aのソースはノード51に接続し、ドレインは抵抗32aの一端に接続される。抵抗32aの他端は、内部ノードN1に接続される。
スイッチ31aが閉じると、P型トランジスタ10のドレインと抵抗32aの一端とが電気的に接続され、スイッチ31aが開くとP型トランジスタ10のドレインと抵抗32aの一端とが電気的に遮断される。
【0021】
スイッチ31bは、制御回路94から供給される制御信号SPbに応じてオンオフする。スイッチ31bのゲートは制御回路94に接続しており、制御回路94から制御信号SPbが供給される。スイッチ31bのソースはノード51に接続し、ドレインは抵抗32bの一端に接続される。抵抗32bの他端は、内部ノードN1に接続される。スイッチ31bが閉じるとP型トランジスタ10のドレインと抵抗32bの一端とが電気的に接続され、スイッチ31bが開くとP型トランジスタ10のドレインと抵抗32bの一端とが電気的に遮断される。
【0022】
スイッチ31cは、制御回路94から供給される制御信号SPcに応じてオンオフする。スイッチ31cのゲートは制御回路94に接続しており、制御回路94から制御信号SPcが供給される。スイッチ31cのソースはノード51に接続し、ドレインは抵抗32cの一端に接続される。抵抗32cの他端は、内部ノードN1に接続される。
スイッチ31cが閉じるとP型トランジスタ10のドレインと抵抗32cの一端とが電気的に接続され、スイッチ31cが開くとP型トランジスタ10のドレインと抵抗32cの一端とが電気的に遮断される。
【0023】
このように構成された可変抵抗回路30は、制御回路94から供給される制御信号SPa,SPb,SPcの論理レベルに応じて抵抗値が変化する。そして、可変抵抗回路30の抵抗値が大きいほど、出力信号OUTの波形の立ち上がりが緩やかになる。また、可変抵抗回路30の抵抗値が小さいほど、出力信号OUTの波形の立ち上がりが急峻になる。
【0024】
続いて、可変抵抗回路40の回路動作について説明する。
スイッチ41aは、制御回路94から供給される制御信号SNaに応じてオンオフする。スイッチ41aのゲートは制御回路94に接続しており、制御回路94から制御信号SNaが供給される。スイッチ41aのソースは、N型トランジスタ20のドレイン端のノード53に接続する。スイッチ41aのドレインは、抵抗42aの一端に接続される。抵抗42aの他端は、内部ノードN1に接続される。
スイッチ41aが閉じるとN型トランジスタ20のドレインと抵抗42aの一端とが電気的に接続され、スイッチ41aが開くとN型トランジスタ20のドレインと抵抗42aの一端とが電気的に遮断される。
【0025】
スイッチ41bは、制御回路94から供給される制御信号SNbに応じてオンオフする。スイッチ41bのゲートは制御回路94に接続しており、制御回路94から制御信号SNbが供給される。スイッチ41bのソースはノード53に接続し、ドレインは抵抗42bの一端に接続される。抵抗42bの他端は、内部ノードN1に接続される。
スイッチ41bが閉じるとN型トランジスタ20のドレインと抵抗42bの一端とが電気的に接続され、スイッチ41bが開くとN型トランジスタ20のドレインと抵抗42bの一端とが電気的に遮断される。
【0026】
スイッチ41cは、制御回路94から供給される制御信号SNcに応じてオンオフする。スイッチ41cのゲートは制御回路94に接続しており、制御回路94から制御信号SNcが供給される。スイッチ41cのソースはノード53に接続し、ドレインは抵抗42cの一端に接続される。抵抗42cの他端は、内部ノードN1に接続される。
スイッチ41cが閉じるとN型トランジスタ20のドレインと抵抗42cの一端とが電気的に接続され、スイッチ41cが開くとN型トランジスタ20のドレインと抵抗42cの一端とが電気的に遮断される。
【0027】
このように構成された可変抵抗回路40は、可変抵抗回路30と同様に、制御回路94から供給される制御信号SNa,SNb,SNcの論理レベルに応じて抵抗値が変化する。そして、可変抵抗回路40の抵抗値が大きいほど、出力信号OUTの波形の立ち下がりが緩やかになる。また、可変抵抗回路40の抵抗値が小さいほど、出力信号OUTの波形の立ち下がりが急峻になる。
【0028】
図3は、従来の出力バッファー回路による出力波形を示す図である。
図2で示す従来方式の出力バッファー回路91では、図3に示すように、出力開始時間t0において、出力信号OUTの波形に不要なノイズ52が発生してしまうという課題が存在した。これは、出力信号OUTが停止状態において、P型トランジスタ10のソースとドレインが非導通となることに加えて、スイッチ31a,31b,31cのソースとドレインが非導通となるため、P型トランジスタ10のドレイン端と、スイッチ31a,31b,31cのソース端の接合点となるノード51が電気的に浮いてしまい、微小な電荷をため込んでしまうからである。それにより、出力開始時間t0において、不要なノイズ52を発生させていた。このノイズ52は、出力バッファー回路1を発振回路に用いた際、出力信号OUTに影響を与えてしまい、所期の出力信号OUTを得られない懸念があった。
【0029】
同様に、N型トランジスタ20のドレイン端のノード53でも、同様の課題があった。詳しくは、出力信号OUTが停止状態において、N型トランジスタ20のソースとドレインが非導通となることに加えて、スイッチ41a,41b,41cのソースとドレインが非導通となるため、N型トランジスタ20のドレイン端と、スイッチ41a,41b,41cのソース端との接合点となるノード53が電気的に浮いてしまい、微小な電荷をため込んでしまうからである。ノード53に電荷が溜まった場合も、図3に示すように、出力開始時間t0において、出力信号OUTの波形に不要なノイズ52が発生してしまうという課題があった。
【0030】
***出力バッファー回路、回路装置の回路構成***
図4は、本実施形態の出力バッファー回路、回路装置の回路構成図であり、図1に対応している。
図4は、図1の基本ブロックを具体的な回路構成にした図である。詳しくは、可変抵抗回路30,40について具体的な回路構成としている。なお、図4の可変抵抗回路30,40の回路構成は、図2の可変抵抗回路30,40の回路構成と同じである。
以下説明において、上記説明と同一の部位については同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0031】
前述したように、本実施形態の回路装置81は、出力バッファー回路1、制御回路4などから構成されている。
図4の出力バッファー回路1は、第1MOSトランジスタとしてのP型トランジスタ10、第2MOSトランジスタとしてのN型トランジスタ20、第2スイッチとしてのN型スイッチ60、第1可変抵抗回路としての可変抵抗回路30、第2可変抵抗回路としての可変抵抗回路40、及び、抵抗50を備えている。また図4には出力回路を制御するための制御回路4などが示してある。
【0032】
可変抵抗回路30は、図2における可変抵抗回路30の構成と同じく、P型トランジスタから構成された3つのスイッチ31a,31b,31cと、3個の抵抗32a,32b,32cとを含む。なお、スイッチ31aは、第1スイッチに相当する。スイッチ31b,31cは、第5スイッチに相当する。スイッチ31a,31b,31cは、設定された抵抗値に応じて少なくとも1つはオンとなる。
抵抗32aは、第1抵抗に相当する。抵抗32b,32cは、第2抵抗に相当する。
また、説明を容易にするため、3段の抵抗可変構成としているが、必要な抵抗可変範囲に応じて、複数段の設定とすれば良い。例えば、5つのスイッチを備えた5段構成でも良いし、10段の構成であっても良い。
【0033】
同様に、可変抵抗回路40についても、図2における可変抵抗回路40の構成と同じく、3つのスイッチ41a,41b,41cと、3個の抵抗42a,42b,42cとから構成されている。なお、スイッチ41aは、第3スイッチに相当する。スイッチ41b,41cは、第6スイッチに相当する。スイッチ41a,41b,41cは、設定された抵抗値に応じて少なくとも1つはオンとなる。
抵抗42aは、第3抵抗に相当する。抵抗42b,42cは、第4抵抗に相当する。
【0034】
N型スイッチ60は、図3で説明したように、従来の出力バッファー回路で発生していた出力開始時における不要なノイズ52の発生を除去するために追加された回路である。
また、本実施形態の回路装置81の制御回路4は、従来の制御回路94(図2)の機能に加えて、N型スイッチ60を制御する機能も有している。詳しくは、制御回路4は、N型スイッチ60のオンオフを制御する制御信号SPdを生成して、N型スイッチ60に供給する。
【0035】
N型スイッチ60は、ドレインがノード51に接続されており、ソースに第2の電源電圧ノードとしてのグラウンド電圧VSSが供給され、ゲートには、制御回路4から制御信号SPdが供給される。出力ノードN2における出力信号OUTが停止状態のとき、制御回路4からハイレベルの制御信号SPdがN型スイッチ60のゲートに入力され、ドレイン側のノード51とソース側のグラウンド電圧が導通となる。これは、出力信号OUTが停止状態において、従来回路では電気的に浮いてしまっていたノード51をグラウンド電圧に落とすことで、ノード51に電荷をためないためである。ノード51に電荷がたまっていなければ、出力開始時に不要なノイズが出力されることはなくなり、所期のきれいな出力波形を得ることができる。また、出力ノードN2における出力信号OUTが出力されている状態では、制御回路4からローレベルの制御信号SPdがN型スイッチ60のゲートに入力され、ドレイン側のノード51とソース側のグラウンド電圧が非導通となるため、定常状態での出力信号OUTの出力を阻害する恐れはない。
【0036】
以上述べた通り、本実施形態の回路装置81によれば以下の効果を得ることができる。
出力バッファー回路1は、P型トランジスタ10のドレインと、グラウンド電圧VSSとの間に設けられたN型スイッチ60を備えている。
そして制御回路4は、出力ノードN2からクロック信号が出力されないときは、スイッチ31a,31b,31cを全てオフとするとともに、N型スイッチ60がオンとなるように制御する。出力ノードN2からクロック信号が出力されるときは、スイッチ31aをオンとするとともに、N型スイッチ60をオフとする制御を行う。
これにより従来の出力バッファー回路と異なり、出力停止時において、ノード51にたまる電荷を逃がし、出力開始時からきれいな波形の信号を出力することができる。
従って、出力開始時から所望の波形の信号が得られる出力バッファー回路1、及び、回路装置81を提供することができる。
【0037】
なお、出力ノードN2からクロック信号が出力されるときは、設定された抵抗値に応じて、スイッチ31a,31b,31cのうち、少なくとも1つをオンすれば良い。
【0038】
***出力バッファー回路の異なる態様-1***
実施形態2
図5は、実施形態2における出力バッファー回路、回路装置の回路構成図であり、図4に対応している。なお、図4の構成と同一の部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
図5の制御回路4には、記憶回路70が附属している。これ以外は、出力バッファー回路1の構成を含めて、図4と同一である。
【0039】
記憶回路70には、抵抗切替情報が記憶されている。抵抗切替情報とは、可変抵抗回路30の抵抗値を決定するための情報であり、その抵抗切替情報に基づき、制御回路4がスイッチ31b,31cに、制御信号SPb,SPcを出力することで、スイッチ31b,31cのオンオフを制御する。なお、記憶回路は、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリーを含んで構成されており、予め抵抗切替情報が記憶されている。
【0040】
本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
制御回路4には、抵抗切替情報を記憶する記憶回路70が附属している。制御回路4は、抵抗切替情報に基づいて、スイッチ31b,31cのオンオフを制御する。
よって、可変抵抗回路30における合成抵抗値の調整を含め、出力開始時から所望の波形の信号が得られる出力バッファー回路1、及び、回路装置81を提供することができる。
【0041】
***出力バッファー回路の異なる態様-2***
実施形態3
図6は、実施形態3における出力バッファー回路、回路装置の回路構成図であり、図4に対応している。なお、図4の構成と同一の部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
図6に示す、本実施形態の回路装置82は、出力バッファー回路11を備えている。
出力バッファー回路11は、図4の出力バッファー回路1の構成に、第4スイッチとしてのP型スイッチ61を追加した構成となっている。また、制御回路4には、P型スイッチ61のオンオフ制御を行う機能が追加されている。これら以外は、図4の構成と同一である。
【0042】
P型スイッチ61は、従来の出力バッファー回路で発生していた、図3の出力開始時における不要なノイズ52の発生を除去するために追加された回路である。
P型スイッチ61は、ドレインがノード53に接続されており、ソースに第1の電源電圧ノードとしての電源電圧VDDが供給され、ゲートには、制御回路4から制御信号SNdが供給される。出力ノードN2における出力信号OUTが停止状態のとき、制御回路4からローレベルの制御信号SNdがP型スイッチ61のゲートに入力され、ドレイン側のノード53とソース側の電源電圧が導通となる。これは、出力信号OUTが停止状態において、従来回路では電気的に浮いてしまっていたノード53を電源電圧VDDに固定することで、ノード53を電源電圧VDDではない中途半端な電位にしないためである。ノード53が、中途半端な電位になっていなければ、出力開始時に不要なノイズが出力されることはなくなり、所期のきれいな出力波形を得ることができる。また、出力ノードN2における出力信号OUTが出力されている状態では、制御回路4からハイレベルの制御信号SNdがP型スイッチ61のゲートに入力され、ドレイン側のノード53とソース側の電源電圧VDDが非導通となるため、定常状態での出力信号OUTの出力を阻害する恐れはない。
【0043】
記憶回路70には、可変抵抗回路30の抵抗切替情報に加えて、可変抵抗回路40に対応した抵抗切替情報も記憶されている。制御回路4は、抵抗切替情報に基づき、スイッチ41b,41cに制御信号SNb,SNcを出力することで、スイッチ41b,41cのオンオフを制御する。
【0044】
以上述べた通り、本実施形態の出力バッファー回路11、回路装置82によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
出力バッファー回路11は、N型トランジスタ20のドレインと電源電圧VDDとの間に設けられたP型スイッチ61を、さらに備えている。
そして制御回路4は、出力ノードN2からクロック信号が出力されないときは、スイッチ41a,41b,41cを全てオフとするとともに、P型スイッチ61がオンとなるように制御する。出力ノードN2からクロック信号が出力されるときは、スイッチ41aをオンとするとともに、P型スイッチ61をオフとする制御を行う。これにより従来の出力バッファー回路と異なり、出力停止時において、ノード53にたまる電荷を逃がし、出力開始時からきれいな波形の信号を出力することができる。
従って、出力開始時から所望の波形の信号が得られる出力バッファー回路11、及び、回路装置82を提供することができる。
【0045】
また、記憶回路70には、可変抵抗回路40の抵抗切替情報が記憶されている。制御回路4は、抵抗切替情報に基づいて、スイッチ41b,41cのオンオフを制御する。
よって、可変抵抗回路40における合成抵抗値の調整を含め、出力開始時から所望の波形の信号が得られる出力バッファー回路11を提供することができる。
【0046】
なお、出力ノードN2からクロック信号が出力されるときは、設定された抵抗値に応じて、スイッチ41a,41b,41cのうち、少なくとも1つをオンとすることで良い。
【0047】
また、出力ノードN2からのクロック信号停止時において、N型スイッチ60とP型スイッチ61とが同時にオンすることはなく、出力回路の仕様に応じて、N型スイッチ60、P型スイッチ61のどちらを選択的にオンするかを制御回路4で決定する。好適例では、図3の出力波形のように、出力信号OUTがグラウンド電圧を基準としている場合は、N型スイッチ60を選択的にオンする。また、出力信号OUTが電源電圧VDDを基準としている場合は、P型スイッチ61を選択的にオンする。
【0048】
なお、可変抵抗回路30に含まれる、抵抗32a,32b,32cの抵抗値は0Ωでも良い。同様に、可変抵抗回路40に含まれる、抵抗42a,42b,42cの抵抗値も0Ωでも良い。これらの抵抗値が0Ωであっても、スイッチ31a,31b,31cおよびスイッチ41a,41b,41cはそれぞれオン抵抗を有するので、可変抵抗回路30および40は、可変抵抗としての機能を果たすことができる。また、抵抗値を0Ωにした場合、抵抗が不要となるため回路規模を小型化できるというメリットがあげられる。
【0049】
また、上記では、第1の電源電圧ノードを高電位側電源電圧ノードである電源電圧VDDとし、第2の電源電圧ノードを低電位側電源電圧ノードであるグラウンド電圧VSSとしていたが、第1の電源電圧ノードをグラウンド電圧VSSとし、第2の電源電圧ノードを電源電圧VDDとしても良い。
なお、第1の電源電圧ノードをグラウンド電圧VSSとし、第2の電源電圧ノードを電源電圧VDDとする場合は、P型トランジスタ10、N型トランジスタ20、N型スイッチ60、及び、P型スイッチ61を含む全てのトランジスタの導電型を入れ替えれば良い。詳しくは、P型トランジスタ10、N型トランジスタ20、N型スイッチ60、P型スイッチ61、P型トランジスタで構成されたスイッチ31a,31b,31c、N型トランジスタで構成されたスイッチ41a,41b,41cにおいて、全てのトランジスタのP型とN型の導電型を入れ替えれば良い。
【0050】
***発振器***
実施形態4
図7は、発振器の機能ブロック構成図である。
本実施形態の発振器200は、上述の出力バッファー回路11、回路装置82を備えている。なお、出力バッファー回路11、回路装置82に替えて、出力バッファー回路1、回路装置81を備えていても良い。
【0051】
発振器200は、振動子201、集積回路装置202などから構成されている。
振動子201は、好適例として水晶振動子を採用している。なお、水晶振動子に限定するものではなく、SAW(Surface Acoustic Wave)共振素子や、圧電振動素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子などを用いても良い。
【0052】
集積回路装置202は、1チップの集積回路(IC:Integrated Circuit)として構成されており、T_XG端子、T_XD端子、T_SCL端子、T_SDA端子、T_OE端子、T_VDD端子、T_VSS端子及びT_OUT端子を備えている。
集積回路装置202は、基準電圧回路210、電圧レギュレーター220、発振回路230、分周回路240、出力回路250、制御回路260及び不揮発メモリー270を含む。なお、集積回路装置202は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
【0053】
集積回路装置202の各回路はT_VSS端子を介して供給されるグラウンド電圧VSS(例えば0V)を基準として動作する。
基準電圧回路210は、T_VDD端子を介して供給される電源電圧VDDから基準電圧VREFを生成し、電圧レギュレーター220に出力する。例えば、基準電圧回路210は、半導体のバンドギャップを利用したバンドギャップリファレンス回路等で実現される。
【0054】
電圧レギュレーター220は、電源電圧VDDと基準電圧VREFとに基づいて電源電圧LVDDを生成する。電圧レギュレーター220が生成した電圧は、発振回路230及び分周回路240の電源電圧となる。
【0055】
発振回路230は、T_XG端子を介して振動子201の一端と接続され、T_XD端子を介して振動子201の他端と接続されている。発振回路230は、T_XG端子を介して入力される振動子201の出力信号を増幅し、増幅した信号を、T_XD端子を介して振動子201にフィードバックすることで、振動子201を発振させる。発振回路230は、温度補償機能や周波数変換機能を有していてもよい。例えば、発振回路230は、フラクショナルN-PLL回路を用いて、振動子201の出力信号を増幅した信号を、制御回路260からの制御信号に応じた分周比に応じて周波数変換して出力してもよい。この発振回路230は、後述する出力バッファー回路11に入力される信号の元となる発振信号を出力する。発振回路230は、制御回路260からの制御信号に基づいて動作が制御される。
【0056】
分周回路240は、発振回路230から出力される発振信号を、制御回路260からの制御信号に応じた分周比で分周したクロック信号CK1を出力する。クロック信号CK1の振幅は、電源電圧LVDDとグラウンド電圧VSSとの差にほぼ等しい。
出力回路250は、レベルシフター251、プリバッファー回路252、及び、上述した出力バッファー回路11を含んで構成されている。
【0057】
レベルシフター251は、クロック信号CK1を、その振幅が電源電圧VDDとグラウンド電圧VSSとの差にほぼ等しくなるように変換したクロック信号CK2を出力する。レベルシフター251は、制御回路260からの制御信号に基づいて動作が制御される。
【0058】
プリバッファー回路252は、電源電圧VDDで動作し、クロック信号CK2に基づいて、出力バッファー回路11の入力信号PIN,NINを生成する。なお、プリバッファー回路252は、図示を省略しているが、図6のプリバッファー回路2,3を含んで構成されている。図1,4,5のプリバッファー回路2,3も同様に、プリバッファー回路252に含まれている。例えば、プリバッファー回路252は、クロック信号CK2がハイレベルのときはともにローレベルの入力信号PIN,NINを出力し、クロック信号CK2がローレベルのときはともにハイレベルの入力信号PIN,NINを出力する。プリバッファー回路252は、制御回路260からの制御信号に基づいて動作が制御される。
【0059】
前述したように、出力バッファー回路11は、電源電圧VDDで動作し、入力信号PIN,NINに基づいて出力信号OUTを生成する。出力信号OUTの立ち上がり時間や立ち下がり時間は、制御回路260からの制御信号に基づいて変化する。出力信号OUTは、T_OUT端子から発振器200の外部に出力される。
【0060】
制御回路260は、I2C(Inter-Integrated Circuit)バス対応のインターフェイス回路(不図示)を有しており、不図示の外部装置からT_SCL端子を介して入力されるシリアルクロック信号に同期してT_SDA端子を介して入力されるシリアルデータ信号を受け取り、受け取ったシリアルデータに従って各種のデータを不揮発メモリー270に記憶する。そして、制御回路260は、不揮発メモリー270に記憶された各種のデータに基づいて、各制御信号を生成する。なお、制御回路260は、図6の制御回路4に相当する。同様に、図1,4,5の制御回路4も、制御回路260と置き換えても良い。また、不揮発メモリー270は、図6の記憶回路70に相当する。同様に、図5の記憶回路70も、不揮発メモリー270と置き換えても良い。
【0061】
制御回路260は、不図示の外部装置からT_OE端子を介して入力される出力イネーブル信号OEがハイレベルのときは、レベルシフター251を動作させるとともに、プリバッファー回路252がクロック信号CK2に応じた入力信号PIN,NINを出力するように制御する。また、制御回路260は、出力イネーブル信号OEがローレベルのときは、レベルシフター251を停止させるとともに、プリバッファー回路252がハイレベルの入力信号PIN及びローレベルの入力信号NINを出力するように制御する。
入力信号PINがハイレベルであり、且つ、入力信号NINがローレベルのときは、出力バッファー回路1,11の不図示のP型トランジスタ及びN型トランジスタがともにオフし、T_OUT端子がハイインピーダンスとなる。
【0062】
なお、制御回路260が有するインターフェイス回路は、I2Cバス対応のインターフェイス回路に限らず、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)バス対応のインターフェイス回路等であってもよい。
【0063】
以上述べた通り、本実施形態の発振器200によれば、出力バッファー回路11、回路装置82を適用することにより、プリバッファー回路252の駆動能力の調整が不要であるので、出力信号OUTの立ち上がり時間や立ち下がり時間の調整が容易でありながら、出力開始時からきれいな波形の信号を出力することができる。なお、出力バッファー回路1、回路装置81を適用した場合も、同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
実施形態5
***電子機器***
図8は、本実施形態の電子機器の機能ブロック図である。図9は、電子機器の一例であるスマートフォンの外観図である。
【0065】
本実施形態の電子機器としてのスマートフォン300は、上述した発振器200、CPU(Central Processing Unit)320、操作部330、ROM(Read Only Memory)340、RAM(Random Access Memory)350、通信部360、表示部370を含んで構成されている。なお、スマートフォン300は、図8の構成要素(各部)の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0066】
発振器200は、振動子201と集積回路装置202とを備えている。集積回路装置202は、振動子201を発振させて発振信号を発生させる。この発振信号は発振器200の外部端子からCPU320に出力される。集積回路装置202は、振動子201から出力される発振信号に基づき内部で生成した出力信号を、上述した出力バッファー回路1,11から出力する。
【0067】
CPU320は、ROM340等に記憶されているプログラムに従い、発振器200から出力される信号をクロック信号として各種の計算処理や制御処理を行う処理部である。具体的には、CPU320は、操作部330からの操作信号に応じた各種の処理、外部装置とデータ通信を行うために通信部360を制御する処理、表示部370に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。
【0068】
操作部330は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU320に出力する。なお、図9に示すスマートフォン300の表示部370は、タッチパネルを備えており、操作部330としても機能する。
【0069】
ROM340は、CPU320が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶する記憶部である。
RAM350は、CPU320の作業領域として用いられ、ROM340から読み出されたプログラムやデータ、操作部330から入力されたデータ、CPU320が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する記憶部である。
【0070】
通信部360は、CPU320と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
表示部370は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU320から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0071】
以上述べた通り、本実施形態のスマートフォン300は、出力開始時から所望の波形の信号が得られる発振器200を備えている。
従って、動作が安定したスマートフォン300を提供することができる。
【0072】
なお、スマートフォン300に限定するものではなく、種々の電子機器に、上述の発振器200を適用することができる。
電子機器としては、例えば、パーソナルコンピューター(例えば、モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター)、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等が挙げられる。これらの電子機器であっても、出力開始時から所望の波形の信号が得られる発振器200を備えることにより、安定した動作を行うことができる。
【0073】
実施形態6
***移動体***
図10は、本実施形態の移動体の一例を示す平面図である。
図10に示す移動体400は、自動車であり、上述した発振器200、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行うコントローラー420,430,440、バッテリー450、バックアップ用バッテリー460を含んで構成されている。なお、本実施形態の移動体は、図10の構成要素の一部を省略し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0074】
発振器200は、図7の集積回路装置202と、振動子201とを備えており、集積回路装置202は振動子201を発振させて発振信号を発生させる。集積回路装置202は、振動子201から出力される発振信号に基づき内部で生成した出力信号を、上述した出力バッファー回路1,11から出力する。この出力信号は発振器200の外部端子からコントローラー420,430,440に供給され、例えばクロック信号として用いられる。
【0075】
バッテリー450は、発振器200、及び、コントローラー420,430,440に電力を供給する。バックアップ用バッテリー460は、バッテリー450の出力電圧が閾値よりも低下した時、発振器200、及び、コントローラー420,430,440に電力を供給する。
【0076】
以上述べた通り、本実施形態の移動体400は、出力開始時から所望の波形の信号が得られる発振器200を備えている。
従って、移動体400における各種制御を正確に行うことができる。
【0077】
なお、自動車に限定するものではなく、種々の移動体に、上述の発振器200を適用することができる。移動体400としては、例えば、二輪車、電動カート、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
【符号の説明】
【0078】
1…出力バッファー回路、4…制御回路、5…負荷容量、10…P型トランジスタ、11…出力バッファー回路、20…N型トランジスタ、30…可変抵抗回路、31a…スイッチ、31b…スイッチ、31c…スイッチ、32a…抵抗、32b…抵抗、32c…抵抗、40…可変抵抗回路、41a…スイッチ、41b…スイッチ、41c…スイッチ、42a…抵抗、42b…抵抗、42c…抵抗、50…抵抗、51…ノード、52…ノイズ、53…ノード、60…N型スイッチ、70…記憶回路、81,82…回路装置、200…発振器、201…振動子、202…集積回路装置、230…発振回路、250…出力回路、252…プリバッファー回路、260…制御回路、270…不揮発メモリー、300…スマートフォン、400…移動体、N1…内部ノード、N2…出力ノード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10